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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20221122BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20221122BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20221122BHJP
【FI】
A61B5/02 D
A61B5/022 E
A61B5/33 200
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019014541
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020120922
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 オムロンヘルスケア株式会社が、平成31年1月7日~11日に、Consumer Electronics Show 2019において、吉田秀輝及び田中伸哉が発明した生体情報測定装置(公開時における日本語の名称 心電計付き血圧計)を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸哉
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/156374(WO,A2)
【文献】特表2013-531522(JP,A)
【文献】特開昭59-108537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォンを備えた外部端末と音波通信を行う生体情報測定装置において、
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、生体情報を測定する測定回路と、測定された前記生体情報を音波信号に変換する変調回路と、前記変調回路から伝達される前記音波信号を基に振動する振動部材とを備えており、
前記ハウジングは、前記端末が載置される端末載置面を有し、
前記振動部材が、前記振動部材で発する振動が前記端末載置面に伝達されて、前記端末載置面の全体が振動するように、前記ハウジングの内部から前記端末載置面に押し付けられていることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
前記ハウジングに固定された支持部と、
前記支持部と前記振動部材との間に配置された弾性部材とを有し、
前記振動部材が前記弾性部材によって前記端末載置面に押し付けられていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記振動部材が圧電振動板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記音波信号は17~20kHzの周波数の超音波信号であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記端末載置面における左右方向の幅が前後方向の長さよりも大きく、
前記幅が少なくとも100mm以上であり、
前記長さが少なくとも30mm以上であり、
前記振動部材は、前記端末載置面の中心から前後方向にそれぞれ15mm以内かつ左右方向にそれぞれ50mm以内の領域に設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記測定回路は、被験者の心電図波形を測定する心電図波形測定回路を備えており、
前記心電図波形測定回路と電気的に接続された第1の心電図波形測定電極及び第2の心電図波形測定電極が前記ハウジングの外表面に設けられ、
前記心電図波形測定回路が測定した前記心電図波形が前記変調回路で前記音波信号に変換されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記生体情報測定装置は、被験者の血圧を測定する上腕血圧計の一部を構成しており、
前記ハウジングは、
前記上腕血圧計の腕帯に収容されている空気袋に空気を供給するための空気供給回路と、
前記空気供給回路を通じて前記空気袋に空気を供給する空気ポンプと、
前記空気供給回路における空気の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの出力に基づいて前記被験者の血圧を測定する血圧測定回路を収容していることを特徴とする請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記生体情報測定装置は腕帯ユニットをさらに備えており、
前記腕帯ユニットは、
空気袋を内蔵した帯状の腕帯と、
一端が前記空気袋に接続されており、前記空気袋に空気を供給するためのエアチューブとを備えており、
前記生体情報測定装置は、
前記ハウジングの表面に設けられ、前記エアチューブの他端が着脱自在に接続されるチューブ接続部を備えており、
前記チューブ接続部が前記空気供給回路に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の生体情報を取得し、この生体情報を表す電気信号の周波数を変調することで音波信号に変換し、マイクロフォンを有する外部端末に、この音波信号を基とする音波を送信する装置が特許文献1に提案されている。この装置は、被験者の人体に接触することで心電図波形などの生体情報を感知する1対の電極、心電図波形の周波数を変調して音波信号に変換する変換器、及びスマートフォンなどの端末に音波を送信するスピーカ又はブザーなどのオーディオ送信機を備えている。この音波を受信したスマートフォンは、音波信号を復調することで、測定された心電図波形を取得し、例えばディスプレイに表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5931855号
【0004】
しかし、スマートフォンなどの外部端末のマイクロフォンは、通常端末の端部に配置されている。そのため、端末の位置や向きによっては、スピーカから発信された音をマイクロフォンが検出できないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、マイクロフォンを備えた外部端末と音波通信を行う生体情報測定装置において、外部端末がその位置や向きに寄らず確実に音波を検出できるようにした生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の実施形態に係る、マイクロフォンを備えた外部端末と音波通信を行う生体情報測定装置において、
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、生体情報を測定する測定回路と、測定された前記生体情報を音波信号に変換する変調回路と、前記変調回路から伝達される前記音波信号を基に振動する振動部材とを備えており、
前記ハウジングは、前記端末が載置される端末載置面を有し、
前記振動部材が、前記振動部材で発する振動が前記端末載置面に伝達されて、前記端末載置面の全体が振動するように、前記ハウジングの内部から前記端末載置面に押し付けられていることを特徴とする。



【0007】
この生体情報測定装置によれば、測定された生体情報を音波として端末載置面全体から発振できる。そのため、外部端末のマイクロフォンが端末載置面の近傍に配置されることで、外部端末自体がどのような姿勢であったとしても、測定された生体情報を外部端末に確実に伝達できる。
【0008】
他の実施形態における生体情報測定装置は、
前記ハウジングに固定された支持部と、
前記支持部と前記振動部材との間に配置された弾性部材とを有し、
前記振動部材が前記弾性部材によって前記端末載置面に押し付けられていることを特徴とする。
【0009】
この生体情報測定装置によれば、振動部材と端末載置面が隙間なく接触するため、測定された生体情報を音波として端末載置面全体から確実に発振できる。
【0010】
他の実施形態における生体情報測定装置は、
前記振動部材が圧電振動板であることを特徴とする。
【0011】
この生体情報測定装置によれば、端末載置面全体から高い周波数の音波、例えば超音波を発振できるため、測定された生体情報を携帯情報端末に確実に伝達できる。
【0012】
他の実施形態における生体情報測定装置は、
前記音波信号が17~20kHzの周波数の超音波信号であることを特徴とする。
【0013】
この生体情報測定装置によれば、端末載置面全体から発する超音波の周波数を、市販されている通常の携帯情報端末等の外部端末、例えばスマートフォンのマイクロフォンが検出できる帯域に設定することで、測定された生体情報を一般的な外部端末に伝達できる。
【0014】
他の実施形態における生体情報測定装置は、
前記端末載置面における左右方向の幅が前後方向の長さよりも大きく、
前記幅が少なくとも100mm以上であり、
前記長さが少なくとも30mm以上であり、
前記振動部材は、前記端末載置面の中心から前後方向にそれぞれ15mm以内かつ左右方向にそれぞれ50mm以内の領域に設けられていることを特徴とする。
【0015】
この生体情報測定装置によれば、端末載置面は、市販されている通常の携帯情報端末等の外部端末を端末載置面に載せ得る。また、外部端末のマイクロフォンが端末載置面の端部にあっても、測定された生体情報を外部端末に確実に伝達できる。
【0016】
他の実施形態における生体情報測定装置は、
前記測定回路が、被験者の心電図波形を測定する心電図波形測定回路を備えており、
前記心電図波形測定回路と電気的に接続された第1の心電図波形測定電極及び第2の心電図波形測定電極が前記ハウジングの外表面に設けられ、
前記心電図波形測定回路が測定した前記心電図波形が前記変調回路で前記音波信号に変換されることを特徴とする。
【0017】
この生体情報測定装置によれば、被験者の手が第1の心電図波形測定電極及び第2の心電図波形測定電極に触れることで、心電図波形測定を行い、測定された心電図波形を音波として端末載置面全体から発振できる。
【0018】
他の実施形態における生体情報測定装置は、被験者の血圧を測定する上腕血圧計の一部を構成しており、
前記ハウジングは、
前記上腕血圧計の腕帯に収容されている空気袋に空気を供給するための空気供給回路と、
前記空気供給回路を通じて前記空気袋に空気を供給する空気ポンプと、
前記空気供給回路における空気の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの出力に基づいて前記被験者の血圧を測定する血圧測定回路を収容していることを特徴とする。
【0019】
この生体情報測定装置によれば、腕帯を空気供給回路に接続することで、心電図波形測定と血圧測定を同時に行える。
【0020】
他の実施形態における生体情報測定装置は腕帯ユニットをさらに備えており、
前記腕帯ユニットは、
空気袋を内蔵した帯状の腕帯と、
一端が前記空気袋に接続されており、前記空気袋に空気を供給するためのエアチューブとを備えており、
前記生体情報測定装置は、
前記ハウジングの表面に設けられ、前記エアチューブの他端が着脱自在に接続されるチューブ接続部を備えており、
前記チューブ接続部が前記空気供給回路に接続されていることを特徴とする。
【0021】
この生体情報測定装置によれば、心電図波形測定と血圧測定を同時に行える。
【発明の効果】
【0022】
本願の発明によれば、測定された生体情報は端末載置面全体から音波として発振されるため、外部端末のマイクロフォンがどのような位置又は向きに設定されていたとしても、該外部端末のマイクロフォンは音波を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る生体情報測定装置として、心電図波形測定機能付血圧計を示す概略図である。
図2図1に示す血圧計を斜め上方から見た斜視図である。
図3図2の線IIIから見た、振動部材である圧電振動板の位置を示す血圧計の断面図である。
図4図2のハウジングの内部を示す斜視図である。
図5図1に示す血圧計の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る生体情報測定装置の例として、上腕血圧計の実施形態を説明する。
【0025】
[1:上腕血圧計]
図1は、本発明の実施形態に係る上腕血圧計(以下、適宜「血圧計」という。)10の概略構成を示す。この血圧計10は、被験者100の血圧と心電図波形を測定する機能を備えた心電図波形測定機能付血圧計である。
【0026】
[2:上腕血圧計の構成]
図1に示すように、血圧計10は血圧計本体11と腕帯ユニット12を有する。
【0027】
血圧計本体11は、後述する種々の制御機器等を内蔵したハウジング21を有する。実施形態において、ハウジング21は横方向に長い箱形をしており、その外形は上面22、前面23、背面24、左右の側面25(25L、25R)、及び底面26によって構成されている。
【0028】
実施形態において、上面22は、前面23から背面24に向かって次第に高くなるように全体に傾斜が付けられており、前面23側に第1のインターフェイス領域(マンマシンインターフェイス領域)30が配置され、背面24側に第2のインターフェイス領域(マンマシンインターフェイス領域)31が配置されている(図2参照)。
【0029】
第1のインターフェイス領域30は、左右方向中央の表示領域32と、表示領域32の両側にあって左右側面25(25L,25R)の近傍に配置された一対の上面電極領域33(33L,33R)を有する。中央の表示領域32は横長四角形の形をしており、そこには表示部34が配置されている。好ましくは、表示部34は液晶ディスプレイで構成される。左右の上面電極領域33は、実施形態では前後方向に長い縦長略四角形の形をしており、そこには基準電極35(35L,35R)が配置されている。基準電極35は、少なくともその表面が導電性材料で形成されており、心電図波形に含まれる可能性のあるノイズを除去するために、心電図波形測定時被験者100がその体の一部(具体的には、図1に示すように、少なくとも左右のいずれかの親指102)を接触させる箇所である。
【0030】
第1のインターフェイス領域30には、表示部34と基準電極35の他に、表示部34と左右の基準電極35との間にスイッチ領域36,37がそれぞれ形成されており、そこに通信スイッチ38と開始・停止スイッチ39がそれぞれ配置されている。
【0031】
実施形態において、第2のインターフェイス領域31は、第1のインターフェイス領域30が設けられている前面側上面部分よりも低い背面側上面部分を備えており、そこに左右方向に長い横長四角形の平坦な携帯情報端末載置面40が形成されている。携帯情報端末載置面40は、携帯情報端末41(例えばスマートフォン)が設置される領域である。したがって、携帯情報端末載置面40は、市販されている一般的な大きさの携帯情報端末を安定して支持できる大きさと形状を有する。実施形態では、携帯情報端末載置面40は、その後端がハウジング21の背面24から後方に突出させてあり、市販されている通常の携帯情報端末のうち最大のものの全体を支持できるように設計されている。また、携帯情報端末載置面40の表面は、後方に向かって次第に高くなるように傾斜が付けられている。
【0032】
ハウジング21、特に携帯情報端末載置面40は、後述するように、携帯情報端末載置面40の背後に当接される振動部材42(図2参照)の振動に同期して全体が振動する硬さの材料(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリロニトリルスチレン)によって形成されている。これにより、振動部材42の振動に基づいて携帯情報端末載置面40の全体がスピーカの振動板のように振動し、携帯情報端末41のマイクロフォン43に向けて音波を発振できる。
【0033】
ハウジング21の両側面25(25L、25R)はそれぞれ側面電極領域44(44L,44R)を有し、そこには心電図波形測定電極45(第1の心電図波形測定電極45Lと第2の心電図波形測定電極45R)がそれぞれ配置されている。心電図波形測定電極45は、少なくともその表面が導電性材料で形成されており、心電図波形測定時被験者100がその体の一部(具体的には、図1に示すように、親指以外の指103、例えば人差指、中指、小指)を接触させる箇所である。
【0034】
図1に示すように、ハウジング21の背面24には、腕帯チューブ接続部(空気供給用の接続穴)46が設けてある。
【0035】
図1に示すように、腕帯ユニット12は、空気袋52を内蔵した帯状の腕帯51と、一端が空気袋52に接続されたエアチューブ53を備えている。エアチューブ53の他端は、ハウジング背面24の腕帯チューブ接続部46に着脱可能な形状のコネクタ54が取り付けてある。コネクタ54は、後述する、ハウジング21の内部に設けた空気供給回路55(図5参照)の末端に接続されている。したがって、コネクタ54を腕帯チューブ接続部46に接続した状態で、空気袋52がエアチューブ53を介して空気供給回路55(図5参照)に接続される。
【0036】
図2に示すように、振動部材42を構成する圧電振動板が携帯情報端末載置面40の裏面側に配置されている。圧電振動板42は、一点鎖線で示す領域61の内側に配置されている。好ましくは、領域61は、携帯情報端末載置面40の中心から左右方向にそれぞれ約50mm離れた位置までの幅W(=約100mm)と、携帯情報端末載置面40の中心から前後方向にそれぞれ約15mm離れた位置までの長さL(=約30mm)を有する。
【0037】
図3に示すように、圧電振動板42は、ハウジング21の内部に設けられてハウジング背面24に沿って上下方向に伸びるリブ62(支持部)の上端に支持されている。実施形態において、携帯情報端末載置面40は、リブ62の上端及びそれに支持された圧電振動板42に対向する下面領域部分に窪み63が形成されており、その領域部分の厚みが小さくしてある。
【0038】
図4に示すように、実施形態において、圧電振動板42は、リブ62との間に弾性部材64が圧縮された状態で配置されている。これにより、圧電振動板42は弾性部材64の弾性復帰力によって携帯情報端末載置面40に押し付けられている。
【0039】
したがって、圧電振動板42の振動は携帯情報端末載置面40に確実に伝達される。また、圧電振動板42が接触している窪み63(図3参照)の下面領域部分は他の領域よりも薄くなっているので、圧電振動板42の振動は大きく減衰することなく携帯情報端末載置面40に伝達される。
【0040】
ハウジング21は、図5に示される制御部70を内蔵している。実施形態において、制御部70は、プロセッサ71と、該プロセッサ71に接続された、血圧測定に関連した機器と通信可能に接続された血圧測定回路72及び心電図波形の測定に関連した機器に接続された心電図波形測定回路73を有する。
【0041】
血圧の測定に関連した機器には、空気供給回路55を介して腕帯ユニット12の空気袋52に空気を供給する空気ポンプ74と、空気供給回路55を大気に開放して空気袋52から空気を排気する排気バルブ75と、空気供給回路55内の圧力を検知する圧力センサ76が含まれる。
【0042】
心電図波形の測定に関連した機器には、上述の心電図波形測定電極45(第1の心電図波形測定電極45Lと第2の心電図波形測定電極45R)と基準電極35(35L,35R)が含まれる。
【0043】
プロセッサ71は、表示部34、通信スイッチ38、開始・停止スイッチ39と電気的に接続されており、表示部34に表示する表示内容に応じて必要な信号を表示部34に対して出力し、通信スイッチ38と開始・停止スイッチ39が押下されたときにそれに対応する信号を通信スイッチ38と開始・停止スイッチ39からそれぞれ受信するように構成されている。
【0044】
プロセッサ71はまた、血圧測定回路72で測定された血圧と脈拍数を無線送信する通信部77と電気的に接続されており、通信部77を通じて血圧と脈拍数を無線送信するように構成されている。
【0045】
プロセッサ71はさらに、心電図波形測定回路73で測定された心電図波形を、騒音などの外乱に影響されにくい17~20kHzの超音波信号に変換する変調回路78と電気的に接続されている。変調回路78は、超音波信号を基に振動する圧電振動板42と電気的に接続されている。従って、プロセッサ71は、変調回路78と圧電振動板42を通じて、心電図波形を超音波の形で出力できる。
【0046】
このように構成された血圧計10を用いて血圧を測定する場合、図1に示すように、腕帯ユニット12のコネクタ54をハウジング21の腕帯チューブ接続部46に接続して空気袋52を空気供給回路55に接続する。また、腕帯ユニット12の腕帯51を被験者100の上腕に巻き付ける。この状態から、被験者100が、ハウジング上面22の血圧測定開始・停止スイッチ39を押下(オン)することにより、血圧測定が開始される。
【0047】
血圧測定開始・停止スイッチ39が押下(オン)されると、その押下(オン)信号はプロセッサ71によって検出される。プロセッサ71が押下(オン)信号を検知すると、その信号に応答して血圧測定回路72が空気ポンプ74を駆動して空気供給回路55を通じて空気袋52に空気を供給し、これにより被験者100の上腕が腕帯51によって圧迫される。空気ポンプ74によって空気袋52に空気が供給される間、空気袋52の圧力(これは空気供給回路55の圧力に相当する。)は圧力センサ76で検知される。
【0048】
圧力センサ76の出力によって空気袋52の圧力が所定の圧力に達したことが検知されると、血圧測定回路72が排気バルブ75を開き、空気袋52の空気を排出する。空気袋52から空気が排気される間、空気袋52の圧力は圧力センサ76で検知される。
【0049】
圧力センサ76の出力は血圧測定回路72に検知される。血圧測定回路72は、予め決められた血圧計算アルゴリズムに基づいて、圧力センサ76の出力から血圧(最高血圧、最低血圧)と脈拍数を計算し、その計算結果をプロセッサ71に出力する。プロセッサ71は、血圧測定回路72から受信した血圧と脈拍数を表示部34に出力して表示する。
【0050】
血圧測定後、ハウジング上面22の通信スイッチ38が押下(オン)されると、血圧測定回路72は通信部77を介して血圧と脈拍数を携帯情報端末41に送信する。
【0051】
心電図波形を測定する場合、図1に示すように、携帯情報端末41を携帯情報端末載置面40に載せる。携帯情報端末41には、血圧計10から出力される心電図波形情報を携帯情報端末41が受信し、受信した心電図波形情報を携帯情報端末41のディスプレイに表示するための専用ソフトウェア(アプリケーション)が搭載されている。この状態で、被験者100は、左右の親指以外の指103(人指し指、中指、薬指)を左右側面の心電図波形測定電極45に接触させる。被験者100はまた、左右の親指102の一方又は両方を上面22の基準電極35に接触させる。
【0052】
被験者100がその両手の指103を心電図波形測定電極45に接触させると、心電図波形測定回路73は心電図波形測定電極45が被験者100を通じて互いに電気的に接続されたことを検知し、この検知信号をトリガとして心電図波形の測定を開始する。このとき、被験者100の左手又は右手若しくは両手の親指102が基準電極35に接触している。
【0053】
この状態で、基準電極35に入力される信号と心電図波形測定電極45に入力される信号との間には電位差がある。この電位差は、親指102とそれ以外の指103までの経路長の差に起因する。一方、基準電極35に入力される信号と心電図波形測定電極45に入力される信号にはほぼ同じレベルのノイズが含まれている。したがって、親指102を通じて基準電極35に入力される信号とそれ以外の指103を通じて心電図波形測定電極45に入力される信号の電位差を測定し、必要であればその電位差を増幅することによって、ノイズの影響の少ない心電図波形を得ることができる。
【0054】
測定された心電図波形は、変調回路78で超音波信号に変換された後、圧電振動板42によって振動として携帯情報端末載置面40に直接伝達される。このとき、携帯情報端末載置面40の全体がスピーカ振動板として働き、測定された心電図波形に対応する超音波を発する。そのため、携帯情報端末41が、マイクロフォン43を左右いずれかに向けて、携帯情報端末載置面40に置かれている場合、又はマイクロフォン43と携帯情報端末載置面40が近傍となるように、携帯情報端末41が配置されている場合のいずれであっても、マイクロフォン43は携帯情報端末載置面40からの音波を確実に検出する。
【0055】
心電図波形を受信した携帯情報端末41は、搭載されたソフトウェアにしたがって、携帯情報端末41のディスプレイ81に心電図波形82をリアルタイムに表示する。心電図波形情報は他の測定情報(測定日時)と共に携帯情報端末41のメモリに記憶される。メモリに記憶された心電図波形情報は、必要に応じて他の通信端末に送信できる。
【0056】
このように、上述した実施形態に係る血圧計10及び血圧計本体11によれば、携帯情報端末41のマイクロフォン43は、携帯情報端末41を携帯情報端末載置面40に載置した状態で常に振動板(音波発信源)の近傍に配置される。そのため、携帯情報端末41がどのような姿勢であっても、携帯情報端末41のマイクロフォン43は、携帯情報端末載置面40が発する音波を確実に受信できる。
【0057】
[3:他の実施形態]
本発明に係る生体情報測定装置の例として、血圧計の実施形態を説明したが、生体情報測定装置は他の実施形態に種々改変可能である。
【0058】
例えば、上述の実施形態において、生体情報測定装置として心電図波形測定機能付血圧計が提案されているが、生体情報測定装置は例えば体重計、体温計、血糖測定器、又は握力計などの体力測定器であってもよい。
【0059】
また、上述の実施形態において、心電図波形は超音波信号に変換されているが、被験者が一般的に良好に可聴できる20Hzから16kHzまでの周波数の音波信号に変換されてもよい。このとき、圧電振動板42の代わりに、磁束密度の変動により音波を発生するマグネチックサウンダを生体情報測定装置に設けてもよい。一般的なマグネチックサウンダが発振できる音波の基準周波数は約1~4kHzで、被験者が可聴できる音波を発する。
【0060】
上述の実施形態において、携帯情報端末41はスマートフォン又はマイクロフォンを備えるタブレット端末であってもよい。携帯情報端末載置面40は、想定される端末の大きさに応じて広さを適切に設計されることが好ましい。
【0061】
携帯情報端末41は、それに装着されたケースを介して携帯情報端末載置面40に置かれてもよい。携帯情報端末41のマイクロフォンが携帯情報端末載置面40の近傍に配置される姿勢であれば、スマートフォン自体が携帯情報端末載置面40から離れていたとしても、超音波通信は良好に行われる。
【符号の説明】
【0062】
11:血圧計本体(生体情報測定装置)
21:ハウジング
40:端末載置面
41:端末
42:圧電振動板(振動部材)
43:マイクロフォン
73:心電図波形測定回路
78:変調回路
図1
図2
図3
図4
図5