(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】電力変換ユニット
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221122BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M3/155 Y
(21)【出願番号】P 2019040958
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】若林 健一
(72)【発明者】
【氏名】小坂 和広
(72)【発明者】
【氏名】延原 正彦
(72)【発明者】
【氏名】神田 貴幸
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017250(JP,A)
【文献】特開2016-029693(JP,A)
【文献】特開2011-239623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチモジュール(530,571~573)と電子部品(510,520,560,576~578)を備える電力変換装置(500)と、
複数の前記スイッチモジュールそれぞれを収納するとともに冷却する冷却器(620)と、
複数の前記スイッチモジュールそれぞれと前記冷却器との熱抵抗を低減させるための反力を前記冷却器に付与するバネ体(630)と、
前記反力を調整するための調整部材(640)と、
前記冷却器、前記バネ体、および、前記調整部材を支持するための第1支持壁(613)と第2支持壁(614)が第1内底面(611a)に連結された第1ケース(610)と、
前記第1内底面と前記電子部品の設けられる第2内底面(651a)とが対向方向で対向する態様で前記第1ケースに固定される第2ケースと、を有し、
前記第1支持壁と前記第2支持壁との間において、前記冷却器は前記反力によって前記第1支持壁と前記バネ体との間に保持され、前記調整部材は前記反力によって前記バネ体と前記第2支持壁との間に保持されており、
前記第2ケースの前記第2内底面には前記調整部材と前記対向方向で対向する突出部(653,660,670,680)が設けられ、
前記突出部と前記第1内底面との前記対向方向の離間距離から前記調整部材の前記対向方向の長さを除いた空隙距離は、前記第1内底面と前記バネ体の前記対向方向の中点(CP)との間の中点距離よりも短くなっている電力変換ユニット。
【請求項2】
前記バネ体は前記第1内底面から前記対向方向に離間しており、
前記空隙距離は、前記第1内底面と前記バネ体との間の前記対向方向の最短離間距離よりも短くなっている請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項3】
前記突出部は前記調整部材だけではなく前記第2支持壁と前記対向方向で対向している請求項1または請求項2に記載の電力変換ユニット。
【請求項4】
前記突出部は前記第2ケースの前記第2内底面から前記対向方向に突起した突起部(653)である請求項1~3いずれか1項に記載の電力変換ユニット。
【請求項5】
前記電子部品の少なくとも一部は絶縁性の樹脂ケース(660,670,680)に収納されており、
前記突出部は前記樹脂ケースの一部である請求項1~3いずれか1項に記載の電力変換ユニット。
【請求項6】
前記調整部材と前記突出部との間に絶縁性の樹脂材(654)が介在され、前記調整部材と前記突出部それぞれに前記樹脂材が接触している請求項1~5いずれか1項に記載の電力変換ユニット。
【請求項7】
前記調整部材と前記突出部とが前記対向方向で対向する態様で接触している請求項1~5いずれか1項に記載の電力変換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、複数のスイッチモジュールを冷却する冷却器を備える電力変換ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、半導体ユニットを備える電力変換装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体ユニットは、複数の半導体モジュールと複数の冷却器が積層方向に交互に積層された構造(積層体)を有する。この積層体はフレームの壁と支柱との間に設けられる。積層体は壁に接触している。積層体と支柱との間にスプリングユニットが設けられる。積層体はスプリングユニットの反力によって積層方向に圧縮されている。
【0005】
ところでスプリングユニットは2枚のプレートと、2枚のプレートの間に挟まれたコイルスプリングと、を有する。2枚のプレートのうちの一方が積層体に接触し、他方が支柱に接触している。これら2枚のプレートはコイルスプリングの反力によって、積層体とコイルスプリングとの間、および、コイルスプリングと支柱との間に保持されている。外部印加などによって半導体ユニットが振動すると、これらプレート(調整部材)が積層体とコイルスプリングとの間やコイルスプリングと支柱との間から外れる虞がある。
【0006】
そこで本明細書に記載の開示は、調整部材が外れることの抑制された電力変換ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の1つは、複数のスイッチモジュール(530,571~573)と電子部品(510,520,560,576~578)を備える電力変換装置(500)と、
複数のスイッチモジュールそれぞれを収納するとともに冷却する冷却器(620)と、
複数のスイッチモジュールそれぞれと冷却器との熱抵抗を低減させるための反力を冷却器に付与するバネ体(630)と、
反力を調整するための調整部材(640)と、
冷却器、バネ体、および、調整部材を支持するための第1支持壁(613)と第2支持壁(614)が第1内底面(611a)に連結された第1ケース(610)と、
第1内底面と電子部品の設けられる第2内底面(651a)とが対向方向で対向する態様で第1ケースに固定される第2ケースと、を有し、
第1支持壁と第2支持壁との間において、冷却器は反力によって第1支持壁とバネ体との間に保持され、調整部材は反力によってバネ体と第2支持壁との間に保持されており、
第2ケースの第2内底面には調整部材と対向方向で対向する突出部(653,660,670,680)が設けられ、
突出部と第1内底面との対向方向の離間距離から調整部材の対向方向の長さを除いた空隙距離は、第1内底面とバネ体の対向方向の中点(CP)との間の中点距離よりも短くなっている。
【0008】
これによれば、突出部(653,660,670,680)によって調整部材(640)の対向方向への変位が抑制される。これにより調整部材(640)がバネ体(630)と第2支持壁(614)との間から外れることが抑制される。
【0009】
特に本開示では、突出部(653,660,670,680)と第1内底面(611a)との対向方向の離間距離から調整部材(640)の対向方向の長さを除いた空隙距離が、第1内底面(611a)とバネ体(630)の対向方向の中点(CP)との間の中点距離よりも短くなっている。そのために例え調整部材(640)が対向方向に変位したとしても、調整部材(640)とバネ体(630)の対向方向の中点(CP)とが非接触状態になることが抑制される。
【0010】
調整部材(640)が対向方向に沿って第2内底面(651a)側に変位した結果、調整部材(640)と第1内底面(611a)との間に隙間が構成されたとしても、この隙間の対向方向の体格の増大が抑制される。係る隙間が構成されたとしても、バネ体(630)の中点(CP)と調整部材(640)との接触状態が保たれている。そのためにこの隙間にバネ体(630)の一部が変形して入り込むことが抑制される。この隙間に変形したバネ体(630)の一部が入り込むことで調整部材(640)がバネ体(630)と第2支持壁(614)との間から外れることが抑制される。
【0011】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】冷却器の収納された第1ケースを示す平面図である。
【
図3】樹脂ケースの収納された第2ケースを示す平面図である。
【
図5】調整部材の変位抑制を説明するための部分断面図である。
【
図6】電力変換ユニットの変形例を示す部分断面図である。
【
図7】電力変換ユニットの変形例を示す部分断面図である。
【
図8】調整部材の変位抑制を説明するための部分断面図である。
【
図9】電力変換ユニットの変形例を示す部分断面図である。
【
図10】電力変換ユニットの変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図に基づいて説明する。
【0014】
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、
図1に基づいて電力変換ユニット300の設けられる車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100は、バッテリ200、電力変換ユニット300、および、モータ400を有する。
【0015】
また車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の力行と回生が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0016】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0017】
電力変換ユニット300の備える電力変換装置500はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置500はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置500はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。
【0018】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0019】
モータ400は電力変換装置500から供給される交流電力によって力行する。これにより推進力が走行輪に付与される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置500によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0020】
<電力変換装置>
次に電力変換ユニット300の備える電力変換装置500を説明する。電力変換装置500はコンバータ501とインバータ502を備えている。コンバータ501はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ502はこの直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。またインバータ502はモータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。コンバータ501はこの直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
【0021】
図1に示すようにコンバータ501は第1電力ライン301と第2電力ライン302を介してバッテリ200と電気的に接続されている。第1電力ライン301はバッテリ200の正極に接続されている。第2電力ライン302はバッテリ200の負極に接続されている。そしてコンバータ501は第3電力ライン303と第2電力ライン302を介してインバータ502と電気的に接続されている。
【0022】
<コンバータ>
コンバータ501は第1コンデンサ510、リアクトル520、および、A相レグ530を有する。第1コンデンサ510の有する2つの電極のうちの一方が第1電力ライン301に接続されている。第1コンデンサ510の有する2つの電極のうちの他方が第2電力ライン302に接続されている。リアクトル520は第1電力ライン301に接続されている。リアクトル520とA相レグ530とが連結バスバ540を介して電気的に接続されている。そしてA相レグ530は第3電力ライン303と第2電力ライン302それぞれに接続されている。
【0023】
A相レグ530は、ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536を有する。またA相レグ530は、ハイサイドダイオード535aとローサイドダイオード536aを有する。これら半導体素子が樹脂封止されてスイッチモジュールが構成されている。
【0024】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としてnチャネル型のIGBTを採用している。これらハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれのコレクタ電極、エミッタ電極、および、ゲート電極それぞれに接続された端子の先端がスイッチモジュールの封止樹脂の外に露出されている。
【0025】
図1に示すようにハイサイドスイッチ535のコレクタ電極は第3電力ライン303に接続されている。ハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極とが接続されている。ローサイドスイッチ536のエミッタ電極が第2電力ライン302に接続されている。これによりハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536は第3電力ライン303から第2電力ライン302へ向かって順に直列接続されている。
【0026】
また、ハイサイドスイッチ535のコレクタ電極にハイサイドダイオード535aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ535のエミッタ電極にハイサイドダイオード535aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ535にハイサイドダイオード535aが逆並列接続されている。
【0027】
同様にして、ローサイドスイッチ536のコレクタ電極にローサイドダイオード536aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ536のエミッタ電極にローサイドダイオード536aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ536にローサイドダイオード536aが逆並列接続されている。
【0028】
なお、これらハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。採用するスイッチ素子の種類としては特に限定されない。ただし、これらスイッチ素子としてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
【0029】
また、コンバータ501を構成する半導体素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0030】
図1に示すように、リアクトル520の一端は第1電力ライン301に接続されている。リアクトル520の他端は連結バスバ540を介してハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点に接続されている。
【0031】
ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536は上記のECUとゲートドライバによって開閉制御される。ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅し、それをスイッチのゲート電極に出力する。これによりECUはハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536を開閉制御して、コンバータ501に入力される直流電力の電圧レベルを昇降圧する。
【0032】
ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整することで直流電力の昇降圧レベルを調整している。この昇降圧レベルはモータ400の目標トルクとバッテリ200のSOCに応じて決定される。
【0033】
バッテリ200の直流電力を昇圧する場合、ECUはハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれを交互に開閉する。これとは反対にインバータ502から供給された直流電力を降圧する場合、ECUはローサイドスイッチ536に出力する制御信号をローレベルに固定する。それとともにECUはハイサイドスイッチ535に出力する制御信号をハイレベルとローレベルに順次切り換える。
【0034】
<インバータ>
インバータ502は第2コンデンサ560とスイッチ群570を有する。第2コンデンサ560の有する2つの電極のうちの一方が第3電力ライン303に接続されている。第2コンデンサ560の有する2つの電極のうちの他方が第2電力ライン302に接続されている。スイッチ群570は第3電力ライン303と第2電力ライン302それぞれに接続されている。
【0035】
スイッチ群570はU相レグ571、V相レグ572、および、W相レグ573を有する。これら3相のレグそれぞれは直列接続された2つのスイッチ素子を有する。
【0036】
U相レグ571~W相レグ573それぞれは、スイッチ素子として、ハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575を有する。またU相レグ571~W相レグ573それぞれは、ハイサイドダイオード574aとローサイドダイオード575aを有する。これら半導体素子が樹脂封止されてスイッチモジュールが構成されている。
【0037】
本実施形態では、ハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575としてnチャネル型のIGBTを採用している。これらハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575それぞれのコレクタ電極、エミッタ電極、および、ゲート電極それぞれに接続された端子の先端がスイッチモジュールの封止樹脂の外に露出されている。
【0038】
図1に示すようにハイサイドスイッチ574のコレクタ電極は第3電力ライン303に接続されている。ハイサイドスイッチ574のエミッタ電極とローサイドスイッチ575のコレクタ電極とが接続されている。ローサイドスイッチ575のエミッタ電極が第2電力ライン302に接続されている。これによりハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575は第3電力ライン303から第2電力ライン302へ向かって順に直列接続されている。
【0039】
そしてU相レグ571の備えるハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575との間の中点がU相バスバ576を介してモータ400のU相ステータコイルに接続されている。V相レグ572の備えるハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575との間の中点がV相バスバ577を介してモータ400のV相ステータコイルに接続されている。W相レグ573の備えるハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575との間の中点がW相バスバ578を介してモータ400のW相ステータコイルに接続されている。
【0040】
また、ハイサイドスイッチ574のコレクタ電極にハイサイドダイオード574aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ574のエミッタ電極にハイサイドダイオード574aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ574にハイサイドダイオード574aが逆並列接続されている。
【0041】
同様にして、ローサイドスイッチ575のコレクタ電極にローサイドダイオード575aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ575のエミッタ電極にローサイドダイオード575aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ575にローサイドダイオード575aが逆並列接続されている。
【0042】
なお、これらハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としては、コンバータ501と同様にしてIGBTではなくMOSFETを採用することもできる。これらスイッチ素子としてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
【0043】
インバータ502を構成する半導体素子は、コンバータ501と同様にして、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。
【0044】
これまでに説明したように、インバータ502はモータ400のU相ステータコイル~W相ステータコイルそれぞれに対応する3相のレグを有する。これら3相のレグの備えるハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575それぞれのゲート電極に、ゲートドライバによって増幅されたECUの制御信号が入力される。
【0045】
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号の出力によって3相のレグの備えるハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575それぞれがPWM制御される。これによりインバータ502で3相交流が生成される。モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これによりモータ400の発電によって生成された交流電力が3相レグの備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0046】
<電力変換装置の構成>
次に、電力変換ユニット300の構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。z方向が対向方向に相当する。
【0047】
図2に示すように電力変換ユニット300は、これまでに
図1に基づいて説明した電力変換装置500の他に、第1ケース610、冷却器620、バネ体630、および、調整部材640を有する。また
図3に示すように電力変換ユニット300は、第2ケース650、コンデンサケース660、バスバケース670、および、リアクトルケース680を有する。
【0048】
<第1ケースの収納形態>
図2に示すように第1ケース610は第1底部611と第1枠部612を有する。第1底部611はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。第1底部611はz方向で並ぶ第1内底面611aとその裏側の第1外底面を有する。第1ケース610は金属製である。
【0049】
第1枠部612は第1内底面611aからz方向に起立している。第1枠部612は第1内底面611aを囲む態様で、環状を成している。これにより第1枠部612の環状の第1内側面612aと第1底部611の第1内底面611aとによってz方向に開口する第1収納空間が区画されている。
図2に示すようにこの第1収納空間に冷却器620、バネ体630、および、調整部材640が設けられている。
【0050】
冷却器620は供給管621、排出管622、および、複数の中継管623を有する。供給管621と排出管622は複数の中継管623を介して連結されている。供給管621に冷媒が供給される。この冷媒は複数の中継管623を介して供給管621から排出管622へと流れる。
【0051】
供給管621と排出管622はそれぞれx方向に延びている。供給管621と排出管622はy方向で離間している。複数の中継管623それぞれは供給管621から排出管622へと向かってy方向に沿って延びている。
【0052】
複数の中継管623はx方向で離間して並んでいる。隣り合う2つの中継管623の間に空隙が構成されている。冷却器620には計4個の空隙が構成されている。これら4個の空隙それぞれにスイッチモジュールを構成するA相レグ530、U相レグ571、V相レグ572、および、W相レグ573が個別に設けられている。
【0053】
これら4相のレグそれぞれはx方向で中継管623と対向する態様で接触している。これにより4相のレグで発生した熱が中継管623を介して冷媒に放熱可能になっている。
【0054】
バネ体630は反力によって冷却器620を第1ケース610に保持する機能を果たしている。それとともにバネ体630は反力によって中継管623とスイッチモジュールを構成する各相レグとの接触面積を増やすことで両者の間の熱抵抗を低減する機能を果たしている。
【0055】
バネ体630は板バネである。バネ体630はx方向で並ぶ第1主面630aと第2主面630bを有する。バネ体630は第2主面630bから第1主面630aに向かって凸となるように湾曲している。
【0056】
そのために第1主面630aの中央側は凸面を成している。第2主面630bの中央側は凹面をなしている。その反面、第1主面630aと第2主面630bそれぞれのy方向の両端側それぞれは平坦形状を成している。
図2に示すように凸面を成す第1主面630aの中央側が中継管623に接触している。平坦形状を成す第2主面630bのy方向の両端側が調整部材640に接触している。
【0057】
以下においては第2主面630bのy方向の両端側を単に第2主面630bの端側と示す。この第2主面630bの端側はz方向を長手方向とする矩形を成している。この第2主面630bの端側の中心点を通りつつ、y方向に沿って延びる点の集合体を総称して中点CPと示す。中点CPはz方向におけるバネ体630の第1内底面611a側の端面とその反対側の端面との間の中間に位置している。
図4と
図5では第2主面630bの端側の中点CPをクロスマークで示している。
【0058】
調整部材640はバネ体630のx方向の縮み量を調整することで、バネ体630の反力の大きさを調整する機能を果たしている。本実施形態では2つの調整部材640がバネ体630の第2主面630bの端側に接触している。
【0059】
調整部材640は四角柱形状を成している。調整部材640の備える4つの側面640aのうちの1つがバネ体630の第2主面630bの端側に接触している。
【0060】
調整部材640はz方向に離間して並ぶ第1端面640bと第2端面640cを有する。この2つの端面間の長さが調整部材640のz方向の長さに相当する。調整部材640はバネ体630のz方向の長さよりも長くなっている。
【0061】
図4に示すように調整部材640の第1端面640bは第1内底面611aに接触している。その反面、バネ体630の第1内底面611a側の端面は第1内底面611aから離間している。そのために調整部材640の第1端面640bはバネ体630の第1内底面611a側の端面よりも第1内底面611a側に位置している。
【0062】
それとともに調整部材640の第2端面640cはバネ体630の第1内底面611a側の端面とは反対側の端面よりも第1内底面611aから離間している。そのために調整部材640の備える4つの側面640aのうちの1つに対してバネ体630の第2主面630bの端側が全面にわたって接触している。特に場所を限定して言えば、側面640aに対してバネ体630の第2主面630bの端側の中点CPが接触している。なお第1端面640bは第1内底面611aからz方向に離間していてもよい。
【0063】
図2に示すように第1内底面611aには第1支持壁613と第2支持壁614が連結されている。これら第1支持壁613と第2支持壁614は第1内底面611aからz方向に起立している。なお、これら第1支持壁613と第2支持壁614は第1ケース610に一体的に連結されていても良いし、第1ケース610とは別体でもよい。別体の場合、第1支持壁613と第2支持壁614は嵌合などによって第1底部611に連結される。
【0064】
第1支持壁613と第2支持壁614はx方向で離間して対向している。この第1支持壁613と第2支持壁614との間に、冷却器620の中継管623、バネ体630、および、調整部材640が設けられている。
【0065】
x方向に並ぶ複数の中継管623のうちの端に位置する2つの中継管623のうちの一方がx方向において第1支持壁613側に位置している。この中継管623は第1支持壁613に接触している。端に位置する2つの中継管623のうちの残りの他方がx方向において第2支持壁614側に位置している。この中継管623は第2支持壁614とx方向で離間している。
【0066】
バネ体630と調整部材640は中継管623と第2支持壁614との間に設けられる。バネ体630は中継管623側に位置している。調整部材640は第2支持壁614側に位置している。バネ体630は中継管623と調整部材640それぞれと接触している。調整部材640はバネ体630と第2支持壁614それぞれと接触している。
【0067】
バネ体630は中継管623と調整部材640との間でx方向に縮められている。これによりバネ体630はx方向において自身から遠ざかる方向に反力を作用している。この反力によって冷却器620はバネ体630と第1支持壁613との間に保持されている。この反力によって調整部材640はバネ体630と第2支持壁614との間に保持されている。
【0068】
<第2ケースの収納形態>
図3に示すように第2ケース650は第2底部651と第2枠部652を有する。第2底部651はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。第2底部651はz方向で並ぶ第2内底面651aとその裏側の第2外底面を有する。第2ケース650は金属製である。
【0069】
第2枠部652は第2内底面651aからz方向に起立している。第2枠部652は第2内底面651aを囲む態様で、環状を成している。これにより第2枠部652の環状の第2内側面652aと第2底部651の第2内底面651aとによってz方向に開口する第2収納空間が区画されている。
図3に示すようにこの第2収納空間に、コンデンサケース660、バスバケース670、および、リアクトルケース680が設けられている。
【0070】
コンデンサケース660、バスバケース670、および、リアクトルケース680それぞれは絶縁性の樹脂材料から成る。これら3つの樹脂ケースそれぞれがボルトなどによって第2ケース650に固定されている。
【0071】
コンデンサケース660には第1コンデンサ510と第2コンデンサ560が収納されている。バスバケース670にはU相バスバ576~W相バスバ578と、これら相バスバに流れる電流を検出する電流センサが収納されている。リアクトルケース680にはリアクトル520が収納されている。
【0072】
第2内底面651aからは、突起部653がz方向に起立している。突起部653のz方向の長さは一定になっている。この突起部653は第2ケース650に一体的に連結されていても良いし、第2ケース650とは別体でもよい。別体の場合、突起部653は嵌合などによって第2底部651に連結される。突起部653が突出部に相当する。
【0073】
<第1ケースと第2ケースの連結>
図4に部分的に示すように、第1ケース610の第1内底面611aと第2ケース650の第2内底面651aとがz方向で対向する態様で、第1ケース610と第2ケース650とが組み付けられる。これにより第1ケース610の第1収納空間と第2ケース650の第2収納空間とがz方向で連通する。
図4に示す断面形状は、
図2に示すA-A線と
図3に示すB-B線それぞれに対応している。
【0074】
このように第1ケース610と第2ケース650とが組み付けられた状態で、調整部材640および第2支持壁614それぞれと突起部653とがz方向で離間しつつ対向している。調整部材640の第2端面640cと突起部653の先端面653aとがz方向で離間しつつ対向している。第2支持壁614の端面614aと突起部653の先端面653aとがz方向で離間しつつ対向している。第2端面640cは端面614aよりも先端面653a側に位置している。
【0075】
図4に示すように、突起部653の先端面653aと第1内底面611aとのz方向の離間距離から調整部材640のz方向の長さを除いた空隙距離L1は、第1内底面611aとバネ体630の中点CPとの間のz方向の中点距離L2よりも短くなっている。より限定的に言えば、空隙距離L1は、第1内底面611aとバネ体630の第1内底面611a側の端面との間のz方向の最短離間距離L3よりも短くなっている。
【0076】
<課題>
例えば外力印加によって電力変換ユニット300が振動すると、反力によってバネ体630と第2支持壁614との間に保持されている調整部材640が第1内底面611a側から第2内底面651a側に向かってz方向に変位する虞がある。これにより調整部材640とバネ体630との接触状態が変化して、バネ体630の反力が変化する虞がある。反力によって低減されている各相レグそれぞれと中継管623との間の熱抵抗が変化する虞がある。
【0077】
また、調整部材640が第2内底面651a側に変位すると、調整部材640の第1端面640bと第1内底面611aとの間に隙間が構成される。この隙間がx方向においてバネ体630と並ぶほどに大きくなると、その隙間に向かってバネ体630の一部が変形する虞がある。この隙間に変形したバネ体630の一部が入り込むことで、調整部材640がバネ体630と第2支持壁614との間から外れる虞がある。
【0078】
<作用効果>
これに対して上記したように調整部材640はz方向で突起部653と対向している。この突起部653によって、調整部材640のz方向への変位が抑制されている。そのために調整部材640がバネ体630と第2支持壁614との間から外れることが抑制されている。
【0079】
突起部653の先端面653aと第1内底面611aとのz方向の離間距離から調整部材640のz方向の長さを除いた空隙距離L1が、第1内底面611aとバネ体630の第1内底面611a側の端面との間のz方向の最短離間距離L3よりも短くなっている。
【0080】
そのために例えば
図5に示すように調整部材640の第2端面640cが突起部653の先端面653aに接触するほどに調整部材640が第2内底面651a側に変位したとしても、側面640aに対して第2主面630bの端側が全面にわたってx方向で対向する。側面640aに対して第2主面630bの端側が全面にわたって接触している状態が変化することが抑制される。
【0081】
このように調整部材640とバネ体630との接触状態が変化することが抑制される。そのためにバネ体630の反力が変化することが抑制される。反力によって低減されている各相レグそれぞれと中継管623との間の熱抵抗が変化することが抑制される。
【0082】
また、
図5に示すように調整部材640の第2内底面651a側の変位によって調整部材640の第1端面640bと第1内底面611aとの間に隙間が構成されたとしても、その隙間とバネ体630とがx方向で対向することが抑制される。そのためにこの隙間に向かってバネ体630の一部が変形することが抑制される。これにより変形したバネ体630の一部の隙間への入り込みによって、調整部材640がバネ体630と第2支持壁614との間から外れることが抑制される。
【0083】
突起部653は調整部材640だけではなく第2支持壁614とz方向で離間しつつ対向している。これによれば、例えバネ体630の反力によって第2支持壁614が第1支持壁613から離間する形状に変形した結果、調整部材640の位置が第2支持壁614側に変位したとしても、調整部材640と突起部653とがz方向で対向することが期待される。そのために突起部653と調整部材640の接触によって、調整部材640の第2内底面651a側への変位が抑制されがたくなることが抑制される。
【0084】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0085】
(第1の変形例)
本実施形態では
図4に示すように調整部材640の第2端面640cと突起部653の先端面653aとの間に空間のある例を示した。これに対して本変形例では、
図6に示すように調整部材640の第2端面640cと突起部653の先端面653aとの間に絶縁性の樹脂材654が介在されている。樹脂材654は第2端面640cと先端面653aそれぞれと接触している。
【0086】
これにより調整部材640の振動が抑制される。調整部材640の第2内底面651a側への変位が効果的に抑制される。
【0087】
本実施形態で説明したように調整部材640はバネ体630の反力によってバネ体630と第2支持壁614との間に保持されている。バネ体630は冷却器620と反力によって接触している。このために調整部材640はバネ体630を介して冷却器620と積極的に熱伝導可能になっている。
【0088】
この調整部材640に樹脂材654が接触している。そして樹脂材654は突起部653に接触している。以上に示した構成により、冷却器620と突起部653は、バネ体630、調整部材640、および、樹脂材654を介して熱伝導可能になっている。このために突起部653の形成された第2ケース650は冷却器620によって冷却されやすくなっている。この結果、第2ケース650に設けられたコンデンサケース660、バスバケース670、および、リアクトルケース680の昇温が抑制される。すなわちこれら樹脂ケースに収納された第1コンデンサ510、第2コンデンサ560、U相バスバ576~W相バスバ578、電流センサ、および、リアクトル520などの電子部品の昇温が抑制される。
【0089】
なお、本変形例においても空隙距離L1は最短離間距離L3よりも短くなっている。したがって樹脂材654のz方向の厚さがゼロに近づくほどに調整部材640が突起部653側に変位したとしても、調整部材640とバネ体630との接触状態が変化することが抑制される。それとともに、例え調整部材640の第2内底面651a側への変位によって第1端面640bと第1内底面611aとの間に隙間が構成されたとしても、その隙間に向かってバネ体630の一部が変形することが抑制される。
【0090】
(第2の変形例)
本実施形態では空隙距離L1が最短離間距離L3よりも短い例を示した。しかしながら例えば
図7に示すように空隙距離L1は最短離間距離L3よりも長い構成を採用することもできる。ただし本変形例では、空隙距離L1は、第1内底面611aとバネ体630の中点CPとの間のz方向の中点距離L2よりも短くなっている。
【0091】
したがって例えば
図8に示すように調整部材640の第2端面640cが突起部653の先端面653aに接触するほどに調整部材640が変位したとしても、側面640aに対して第2主面630bの端側の中点CPが非接触状態になることが抑制される。それとともに側面640aに対して第2主面630bの端側の半分以上が接触する。
【0092】
図8に示すように調整部材640の変位によって調整部材640の第1端面640bと第1内底面611aとの間に隙間が構成される。この隙間に対してバネ体630の一部がx方向で対向する。しかしながら上記したように側面640aと第2主面630bの端側の中点CPとの接触状態が保たれている。さらに、側面640aに対して第2主面630bの端側の半分以上が接触している。
【0093】
したがって上記の空隙とバネ体630の第2主面630bの端側の中点CPとがx方向で非対向になっている。空隙に対する第2主面630bの端側のx方向での対向面積が、第2主面630bの端側の半分よりも狭くなっている。
【0094】
以上に示した構成のため、第1端面640bと第1内底面611aとの間に構成された隙間にバネ体630の一部が変形して入り込むことが抑制される。この隙間に入り込んだバネ体630の一部によって調整部材640がバネ体630と第2支持壁614との間から外れることが抑制される。
【0095】
(第3の変形例)
本実施形態では調整部材640および第2支持壁614それぞれと突起部653とがz方向で離間しつつ対向する例を示した。しかしながら例えば
図9に示すように第1支持壁613と突起部653とはz方向で対向していなくともよい。また調整部材640と突起部653とがz方向で対向する態様で接触していてもよい。
【0096】
(第4の変形例)
本実施形態では第2内底面651aからz方向に起立した突起部653と調整部材640とがz方向で対向する例を示した。しかしながら例えば
図10に示すように調整部材640と樹脂製のコンデンサケース660の一部とがz方向で対向する構成を採用することもできる。
【0097】
図10に示すようにコンデンサケース660と第1内底面611aとのz方向の離間距離から調整部材640のz方向の長さを除いた空隙距離L1が中点距離L2よりも短くなっている。空隙距離L1は最短離間距離L3よりも短くなっている。
【0098】
係る構成においても、調整部材640とコンデンサケース660との接触によって調整部材640の第2内底面651a側への変位が抑制される。また図示しないが、調整部材640とコンデンサケース660との間に樹脂材654が介在されてもよい。さらに言えば、調整部材640がバスバケース670やリアクトルケース680などの樹脂ケースの一部とz方向で対向する構成を採用することもできる。調整部材640はこの樹脂ケースの一部と接触していてもよい。コンデンサケース660、バスバケース670、および、リアクトルケース680などの樹脂ケースの一部が突出部に相当する。
【0099】
(第5の変形例)
本実施形態ではハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536、および、ハイサイドダイオード535aとローサイドダイオード536aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成される例を示した。1相のレグの備える2つのスイッチと2つのダイオードが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成される例を示した。
【0100】
しかしながらこれとは異なり、例えばハイサイドスイッチ535とハイサイドダイオード535aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成されてもよい。ローサイドスイッチ536とローサイドダイオード536aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成されてもよい。
【0101】
本実施形態ではハイサイドスイッチ574とローサイドスイッチ575、および、ハイサイドダイオード574aとローサイドダイオード575aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成される例を示した。
【0102】
しかしながらこれとは異なり、例えばハイサイドスイッチ574とハイサイドダイオード574aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成されてもよい。ローサイドスイッチ575とローサイドダイオード575aが樹脂封止されて1つのスイッチモジュールが構成されてもよい。スイッチモジュールの構成形態としては特に限定されない。
【0103】
(その他の変形例)
本実施形態では電力変換ユニット300が電力変換装置500の構成要素の全てを有する例を示した。しかしながら電力変換ユニット300にはコンバータ501とインバータ502のうちの一方の構成要素が含まれていればよい。若しくは、電力変換ユニット300にはコンバータ501とインバータ502それぞれの一部の構成要素が含まれていればよい。少なくとも電力変換ユニット300に電力変換装置500の構成要素としてスイッチモジュールが含まれていればよい。
【0104】
本実施形態では電力変換ユニット300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータと内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換ユニット300が含まれる構成を採用することもできる。
【0105】
本実施形態では電力変換ユニット300が1つのモータ400に接続される例を示した。しかしながら電力変換ユニット300が複数のモータ400に接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換ユニット300はインバータ502を複数備える。
【符号の説明】
【0106】
100…車載システム、200…バッテリ、300…電力変換ユニット、400…モータ、500…電力変換装置、510…第1コンデンサ、520…リアクトル、530…A相レグ、560…第2コンデンサ、571…U相レグ、572…V相レグ、573…W相レグ、576…U相バスバ、577…V相バスバ、578…W相バスバ、610…第1ケース、611a…第1内底面、613…第1支持壁、614…第2支持壁、620…冷却器、630…バネ体、640…調整部材、651a…第2内底面、653…突起部、654…樹脂材、660…コンデンサケース、670…バスバケース、680…リアクトルケース、CP…中点