(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/06 20060101AFI20221122BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20221122BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20221122BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20221122BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H01F17/06 D
H01F17/04 F
H01F17/00 B
H01F27/29 123
H01F27/255
(21)【出願番号】P 2019183025
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
(72)【発明者】
【氏名】國森 敬介
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-021633(JP,A)
【文献】特開2008-078833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 17/04
H01F 17/00
H01F 27/29
H01F 27/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、
前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第2インダクタ配線と前記第3インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第4インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第3インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第5インダクタ配線と、
前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、
前記第3インダクタ配線
、前記第4インダクタ配線、及び前記第5インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線で
あり、
前記第3インダクタ配線は、前記第4インダクタ配線及び前記第5インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さいインダクタ部品。
【請求項2】
本体と、
前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、
前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第2インダクタ配線と前記第3インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第4インダクタ配線と、
前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、
前記第3インダクタ配線
、及び前記第4インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線で
あり、
前記第1インダクタ配線は、第1配線部と、前記第1配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第1接続部とを含み、
前記第2インダクタ配線は、第2配線部と、前記第2配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第2接続部とを含み、
前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置する複数の前記低抵抗インダクタ配線の各々は、低抵抗配線部と、前記低抵抗配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された低抵抗接続部とを含み、
前記第1配線部と前記第2配線部との中間位置に近い前記低抵抗インダクタ配線ほど前記低抵抗配線部の断面積が大きいインダクタ部品。
【請求項3】
本体と、
前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、
前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第2インダクタ配線と前記第3インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第4インダクタ配線と、
前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、
前記第3インダクタ配線
、及び前記第4インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線で
あり、
前記第1インダクタ配線は、第1配線部と、前記第1配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第1接続部とを含み、
前記第2インダクタ配線は、第2配線部と、前記第2配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第2接続部とを含み、
前記第3インダクタ配線は、第3配線部と、前記第3配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第3接続部とを含み、
前記第4インダクタ配線は、第4配線部と、前記第4配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第4接続部とを含み、
前記第1配線部と前記第2配線部とは配線幅が等しく、
前記第4配線部は、前記第4接続部よりも、前記第2配線部側に寄っているインダクタ部品。
【請求項4】
本体と、
前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、
前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、
前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、
前記第3インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線であ
り、
前記第1インダクタ配線は、1つの第1配線部と、前記第1配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第1接続部とを含み、
前記第2インダクタ配線は、1つの第2配線部と、前記第2配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第2接続部とを含み、
前記低抵抗インダクタ配線は、低抵抗配線部と、前記低抵抗配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された低抵抗接続部とを含み、
前記低抵抗配線部は、前記低抵抗接続部間で電気的に並列接続された複数の並列配線からなるインダクタ部品。
【請求項5】
本体と、
前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、
前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、
前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、
前記第3インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線であ
り、
前記低抵抗インダクタ配線に接続される前記垂直配線は、前記第1インダクタ配線に接続される前記垂直配線及び前記第2インダクタ配線に接続される前記垂直配線よりも断面積が大きいインダクタ部品。
【請求項6】
本体と、
前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、
前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、
前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、
前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、
前記第3インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線であ
り、
前記第1乃至第3インダクタ配線の並設方向における前記本体の両端面のうち、前記第1インダクタ配線側の端面を第1端面とするとき、
前記第1インダクタ配線は、前記第1端面に向かって凸となる形状をなしているインダクタ部品。
【請求項7】
前記低抵抗インダクタ配線の少なくとも一部は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも断面積が大きい
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記低抵抗インダクタ配線の少なくとも一部は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも配線幅が太い
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記第1インダクタ配線は、第1配線部と、前記第1配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第1接続部とを含み、
前記第2インダクタ配線は、第2配線部と、前記第2配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された第2接続部とを含み、
前記低抵抗インダクタ配線は、低抵抗配線部と、前記低抵抗配線部の両端に設けられ前記垂直配線が接続された低抵抗接続部とを含み、
前記第1乃至第3インダクタ配線の並設方向における前記本体の両端面のうち、前記第1インダクタ配線側の端面を第1端面、前記第2インダクタ配線側の端面を第2端面とするとき、
前記第1端面と前記第1配線部との間の距離は、前記第1インダクタ配線の隣の前記低抵抗インダクタ配線の前記低抵抗配線部と前記第1配線部との間の距離よりも短く、
前記第2端面と前記第2配線部との間の距離は、前記第2インダクタ配線の隣の前記低抵抗インダクタ配線の前記低抵抗配線部と前記第2配線部との間の距離よりも短い
請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記低抵抗インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも線路長が短い
請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記第2インダクタ配線は、前記仮想平面上を延び、
前記複数の並列配線のうちの1つは、前記仮想平面上を延びる主配線であり、残りの並列配線は、前記仮想平面とは別の平面上で前記仮想平面と平行に延びる副配線である
請求項4に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記副配線は、前記仮想平面と垂直な方向に前記主配線と重なる位置に位置する請求項11に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記本体の前記仮想平面と平行な上面及び下面の各々に、外部に露出し前記垂直配線を介して前記低抵抗インダクタ配線に接続される外部端子を有する
請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記本体の前記仮想平面と平行な上面及び下面の少なくとも一方に、外部に露出し前記垂直配線と電気的に接続されないダミー端子を備えた
請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記本体は、焼結体である
請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項16】
前記本体は、磁性粉を含有した絶縁性樹脂よりなる磁性材料層を含む
請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項17】
前記第1乃至第3インダクタ配線が、前記仮想平面と垂直な方向に並ぶ、
請求項1乃至請求項16の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項18】
本体と、
前記本体の内部で行列状に整列された複数のインダクタ配線と、
前記インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を各列の前記インダクタ配線の並設方向に貫通する垂直配線とを備え、
各行の前記インダクタ配線は、それぞれ3つ以上並んでおり、行の両端に位置する2つの前記インダクタ配線の中間位置に近い前記インダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さく、
各列の前記インダクタ配線は、それぞれ3つ以上並んでおり、列の両端に位置する2つの前記インダクタ配線の中間位置に近い前記インダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さいインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に搭載されるインダクタ部品には、例えば特許文献1に記載されているように、フェライトの焼結体である磁性材料層が積層された本体と、本体の内部で同一仮想平面上に位置する複数のインダクタ配線とを備えたインダクタアレイを構成するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなインダクタアレイを構成するインダクタ部品において、一般的に、複数のインダクタ配線は、配線幅や線路長が同じように形成され、直流電気抵抗が同等である。そして、インダクタ部品が同一仮想平面上に整列された3つ以上のインダクタ配線を備えている場合、インダクタ配線の並設方向の両端に位置するインダクタ配線は、同並設方向の片側でのみインダクタ配線と隣り合う。これに対し、両端のインダクタ配線の間に位置するインダクタ配線は、インダクタ配線の並設方向の両側でインダクタ配線と隣り合う。そのため、各インダクタ配線に同様に電流が流れた場合、両端のインダクタ配線の間に位置するインダクタ配線は、両端に位置するインダクタ配線に比べて、周囲に熱がこもりやすく、温度が高くなってしまうという問題が考えられる。
【0005】
また、このようなインダクタ部品において、小型低背化のために、底面電極型を採用する場合がある。底面電極型のインダクタ部品は、インダクタ配線の各々から本体の表面まで、インダクタ配線が延びる平面と垂直な方向に本体を貫通する垂直配線を更に備え、垂直配線に接続された外部端子を同インダクタ部品の上面及び下面の少なくとも一方にのみ露出させる。このようなインダクタ部品は、はんだによって回路基板に接続される際に、はんだが底面側にのみ付着するため、同回路基板上での実装面積を低減できる。
【0006】
しかし、底面電極型のインダクタ部品を実際に製造したところ、本願発明者らは、インダクタ部品と回路基板との接続部分(即ち、外部端子と回路基板とを接続するはんだの部分)に電流が集中しやすくなるために、同接続部分においてエレクトロマイグレーションが発生しやすいことを発見した。
【0007】
ここで、薄膜におけるエレクトロマイグレーション寿命式(Blackの経験式)を下記に示す。
【0008】
【数1】
Aは比例定数、Jは電流密度[A/cm
2]、nは電流密度依存性係数、E
aは寿命の活性化エネルギ[J]、Kはボルツマン定数(1.38×10
23[J/K])、Tは絶対温度[K]を示す。
【0009】
上記のエレクトロマイグレーション寿命式より、温度が高くなるほど寿命が短くなることがわかる。また、同寿命は、温度依存性が高いことがわかる。
両端のインダクタ配線の間に位置するインダクタ配線は、上記したように温度が高くなりやすい。そのため、当該インダクタ配線に接続された垂直配線及び外部端子を回路基板に接続するはんだにおいては、エレクトロマイグレーションが特に発生しやすくなってしまう。
【0010】
本開示の目的は、熱による信頼性の低下を抑制できるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様であるインダクタ部品は、本体と、前記本体の内部に位置し、仮想平面上を延びる第1インダクタ配線と、前記本体の内部に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第2インダクタ配線と、前記本体の内部で前記第1インダクタ配線と前記第2インダクタ配線との間に位置し、前記仮想平面と平行に延びる第3インダクタ配線と、前記第1乃至第3インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を前記仮想平面と垂直な方向に貫通する垂直配線とを備え、前記第3インダクタ配線は、前記第1インダクタ配線及び前記第2インダクタ配線よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線である。
【0012】
上記態様によれば、第1乃至第3インダクタ配線に同様に電流が流れた場合であっても、特に熱がこもりやすい第3インダクタ配線は、第1及び第2インダクタ配線に比べて発熱し難い。よって、第1及び第2インダクタ配線付近に比べて第3インダクタ配線付近で局所的に高温になることが抑制され、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0013】
なお、本明細書において「インダクタ配線」とは、電流が流れた場合に磁束を発生させることによって、インダクタ部品にインダクタンスを付与させるものであって、その構造、形状、材料などに特に限定はない。
【0014】
本開示の一態様であるインダクタ部品は、本体と、前記本体の内部で行列状に整列された複数のインダクタ配線と、前記インダクタ配線の各々から前記本体の表面まで前記本体の内部を各列の前記インダクタ配線の並設方向に貫通する垂直配線とを備え、各行の前記インダクタ配線は、それぞれ3つ以上並んでおり、行の両端に位置する2つの前記インダクタ配線の中間位置に近い前記インダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さく、各列の前記インダクタ配線は、それぞれ3つ以上並んでおり、列の両端に位置する2つの前記インダクタ配線の中間位置に近い前記インダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さい。
【0015】
上記態様によれば、各行の各インダクタ配線に同様に電流が流れた場合であっても、各行のインダクタ配線において、行の両端に位置する2つのインダクタ配線の中間位置に近い特に熱がこもりやすいインダクタ配線ほど発熱し難い。よって、各行のインダクタ配線において、行の両端に位置する2つのインダクタ配線の間に位置するインダクタ配線付近で局所的に高温になることが抑制される。
【0016】
同様に、各列の各インダクタ配線に同様に電流が流れた場合であっても、各列のインダクタ配線において、列の両端に位置する2つのインダクタ配線の中間位置に近い特に熱がこもりやすいインダクタ配線ほど発熱し難い。よって、各列のインダクタ配線において、列の両端に位置する2つのインダクタ配線の間に位置するインダクタ配線付近で局所的に高温になることが抑制される。
【0017】
これらのことから、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一態様によれば、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態におけるインダクタ部品の分解斜視図。
【
図2】(a)は第1実施形態におけるインダクタ部品の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図2(a)における2b-2b断面図)、(c)は同インダクタ部品の断面図(
図2(a)における2c-2c断面図)。
【
図3】(a)は第2実施形態におけるインダクタ部品の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図3(a)における3b-3b断面図)。
【
図4】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図4(a)における4b-4b断面図)。
【
図5】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図5(a)における5b-5b断面図)。
【
図8】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図8(a)における8b-8b断面図)。
【
図12】(a)は変更例のインダクタ部品の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図12(a)における12b-12b断面図)、(c)は同インダクタ部品の断面図(
図12(a)における12c-12c断面図)。
【
図13】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図13(a)における13b-13b断面図)。
【
図14】(a)は変更例のインダクタ部品の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図14(a)における14b-14b断面図)、(c)は同インダクタ部品の断面図(
図14(a)における14c-14c断面図)。
【
図15】(a)は変更例のインダクタ部品の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図15(a)における15b-15b断面図)、(c)は同インダクタ部品の断面図(
図15(a)における15c-15c断面図)。
【
図16】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図16(a)における16b-16b断面図)。
【
図17】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図17(a)における17b-17b断面図)。
【
図18】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図18(a)における18b-18b断面図)。
【
図19】(a)は変更例のインダクタ部品図の透視平面図、(b)は同インダクタ部品の断面図(
図19(a)における19b-19b断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、インダクタ部品の実施形態について説明する。なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。また、断面図ではハッチングを付しているが、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0021】
<第1実施形態>
図1に示すインダクタ部品1は、例えば、パソコン、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、テレビ、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に搭載される表面実装型のインダクタ部品である。
【0022】
図1に示すように、インダクタ部品1は、本体20と、本体20の内部に位置し、仮想平面S1上を延びる第1インダクタ配線30と、本体20の内部に位置し、仮想平面S1上を(仮想平面S1と平行に)延びる第2インダクタ配線40とを備えている。また、インダクタ部品1は、本体20の内部で第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置し、仮想平面S1上を(仮想平面S1と平行に)延びる第3インダクタ配線50を備えている。また、インダクタ部品1は、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の各々から本体20の表面まで仮想平面S1と垂直な方向に本体20の内部を貫通する垂直配線61,62,63を備えている。第3インダクタ配線50は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55である。
【0023】
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、本実施形態のインダクタ部品1は、積層型のインダクタ部品である。インダクタ部品1は、本体20と、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50と、第1乃至第3垂直配線61~63とを備えている。
【0024】
本体20は、概略で直方体状である。本実施形態では、本体20の上面20aは、インダクタ部品1を回路基板に実装する際に回路基板と対向する実装面である。
本体20は、材料層が積層された積層体である。本実施形態では、本体20は、複数の磁性材料層21,22が積層された積層体である。各磁性材料層21,22は、長方形の板状をなしている。磁性材料層21,22は、焼結体であり、その材料としては、フェライト等の磁性体材料、ガラスやアルミナ等の非磁性体材料、等を用いることができる。磁性材料層21,22が焼結体であることにより、インダクタ配線30,40,50を高品質且つ低コストで形成できる。なお、磁性材料層21,22は焼結体に限らず、磁性材料層21,22の材料として、低温で溶けない磁性材料を用いることもできる。
【0025】
第1インダクタ配線30、第2インダクタ配線40及び第3インダクタ配線50は、本体20の内部に位置する。第1インダクタ配線30、第2インダクタ配線40及び第3インダクタ配線50は、磁性材料層21の主面21a上に設けられている。第1インダクタ配線30と、第2インダクタ配線40と、第3インダクタ配線50とは、同一仮想平面S1上に位置するように設けられている。なお、本実施形態では、仮想平面S1は、磁性材料層21の主面21aに一致している。また、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に第3インダクタ配線50が位置するとともに、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50は、仮想平面S1と平行な一方向に沿って等間隔に整列されている。第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の並ぶ方向である並設方向F1は、
図2(a)においては左右方向である。また、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50は、仮想平面S1上を並設方向F1と垂直な方向に延びる直線形状を有する。第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の延びる方向は、
図2(a)においては上下方向である。
【0026】
ここで、並設方向F1における本体20の両端面のうち、第1インダクタ配線30側の端面を第1端面20b、第2インダクタ配線40側の端面を第2端面20cとする。第1インダクタ配線30は、第1端面20bと並設方向F1に隣り合う。また、第2インダクタ配線40は、第2端面20cと並設方向F1に隣り合う。即ち、第1インダクタ配線30と第1端面20bとの間には、他のインダクタ配線が設けられていないとともに、第2インダクタ配線40と第2端面20cとの間には、他のインダクタ配線が設けられていない。そして、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40は、インダクタ部品1が備える全てのインダクタ配線のうち最外周、即ち、並設方向F1の両端に位置するインダクタ配線である。
【0027】
第1インダクタ配線30は、第1配線部31と、第1配線部31の両端に設けられた第1接続部32とを含む。
第1配線部31は、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向に沿って直線状に延びる帯状をなしている。第1配線部31は、配線幅W11及び厚さが一定に形成されている。第1接続部32は、第1配線部31と一体に形成されている。本実施形態では、各第1接続部32は、仮想平面S1と垂直な方向から見た形状(即ち
図2(a)に図示した状態)が略正方形の四角形状をなしている。そして、第1接続部32の配線幅W12(第1配線部31の配線幅方向と同方向の幅)は、第1配線部31の配線幅W11よりも太い。即ち、第1配線部31と第1接続部32との境界は、配線幅が変化する箇所である。また、並設方向F1における第1接続部32の配線幅方向(本実施形態では並設方向F1に同じ)の中央位置は、並設方向F1における第1配線部31の配線幅方向の中央位置と一致している。即ち、第1配線部31は、一方の第1接続部32の配線幅方向の中央部から他方の第1接続部32の配線幅方向の中央部まで延びている。
【0028】
第2インダクタ配線40は、仮想平面S1と平行に延びている。第2インダクタ配線40は、第2配線部41と、第2配線部41の両端に設けられた第2接続部42とを含み、第1インダクタ配線30と同じ形状且つ同じ大きさである。
【0029】
第2配線部41は、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向に沿って直線状に延びる帯状をなしている。第2配線部41は、第1配線部31と平行に延びている。また、第2配線部41は、配線幅W21及び厚さが一定に形成されている。そして、第2配線部41は、配線幅、厚さ、及び線路長が第1配線部31と等しい。
【0030】
第2接続部42は、第2配線部41と一体に形成されている。本実施形態では、各第2接続部42は、仮想平面S1と垂直な方向から見た形状(即ち
図2(a)に図示した状態)が第1接続部32と同じ略正方形の四角形状をなす。そして、第2接続部42は、第1接続部32と同じ大きさであるとともに、第1接続部32と厚さが等しい。また、第2接続部42の配線幅W22(第2配線部41の配線幅方向と同方向の幅)は、第2配線部41の配線幅W21よりも太い。即ち、第2配線部41と第2接続部42との境界は、配線幅が変化する箇所である。また、並設方向F1における第2接続部42の配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第2配線部41の配線幅方向の中央位置と一致している。即ち、第2配線部41は、一方の第2接続部42の配線幅方向の中央部から他方の第2接続部42の配線幅方向の中央部まで延びている。
【0031】
第3インダクタ配線50は、仮想平面S1と平行に延びている。第3インダクタ配線50は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55である。第3インダクタ配線50は、第3配線部51と、第3配線部51の両端に設けられた第3接続部52とを含む。なお、第3インダクタ配線50は低抵抗インダクタ配線55であるため、第3配線部51は低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第3接続部52は低抵抗接続部の一例に該当する。
【0032】
第3配線部51は、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向に沿って直線状に延びる帯状をなしている。第3配線部51は、第1配線部31及び第2配線部41と平行に延びている。第3配線部51は、配線幅W31及び厚さが一定に形成されている。また、第3配線部51は、線路長及び厚さが第1配線部31及び第2配線部41と等しい。
【0033】
本実施形態の低抵抗インダクタ配線55の少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも断面積(電流の流れる方向と垂直な断面の面積)が大きい。本実施形態では、低抵抗インダクタ配線55の少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも配線幅が太いことにより、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも断面積が大きく形成されている。具体的には、低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50の第3配線部51は、第1インダクタ配線30の第1配線部31及び第2インダクタ配線40の第2配線部41よりも配線幅が太い。即ち、第3配線部51の配線幅W31は、第1配線部31の配線幅W11及び第2配線部41の配線幅W21よりも太い。このように、本実施形態の第3インダクタ配線50は、第3配線部51の配線幅W31が、第1配線部31の配線幅W11及び第2配線部41の配線幅W21よりも太いことにより、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さくなっている。
【0034】
第3接続部52は、第3配線部51と一体に形成されている。本実施形態では、各第3接続部52は、仮想平面S1と垂直な方向から見た形状(即ち
図2(a)に図示した状態)が第1接続部32及び第2接続部42と同じ略正方形の四角形状をなす。そして、第3接続部52は、第1接続部32及び第2接続部42と同じ大きさであるとともに、第1接続部32及び第2接続部42と厚さが等しい。また、第3接続部52の配線幅W32(第3配線部51の配線幅方向と同方向の幅)は、第3配線部51の配線幅W31よりも太い。即ち、第3配線部51と第3接続部52との境界は、配線幅が変化する箇所である。また、並設方向F1における第3接続部52の配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第3配線部51の配線幅方向の中央位置と一致している。即ち、第3配線部51は、一方の第3接続部52の配線幅方向の中央部から他方の第3接続部52の配線幅方向の中央部まで延びている。
【0035】
第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の一方の第1乃至第3接続部32,42,52(
図2(a)において上側の接続部)は、並設方向F1と垂直な方向であって仮想平面S1と平行な方向(
図2(a)において上下方向)の位置が等しい。従って、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の一方の第1乃至第3接続部32,42,52は、並設方向F1に沿って整列されている。また、当該第1乃至第3接続部32,42,52は、並設方向F1に沿って等間隔に並んでいる。同様に、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の他方の第1乃至第3接続部32,42,52(
図2(a)において下側の接続部)は、並設方向F1と垂直な方向であって仮想平面S1と平行な方向の位置が等しい。従って、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の他方の第1乃至第3接続部32,42,52は、並設方向F1に沿って整列されている。また、当該第1乃至第3接続部32,42,52は、並設方向F1に沿って等間隔に並んでいる。
【0036】
本体20は、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50に電流が流れたときに発生する磁束が通る磁路となる。これにより、インダクタ部品1に有意なインダクタンスが付与され、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50を通過する信号に対するインピーダンスが発生する。従って、インダクタ部品1は信号に重畳される高周波ノイズなどを、本体20における磁性損失として消費させるノイズ対策品として働く。但し、インダクタ部品1は、インダクタンスが付与されれば、その機能に限定はなく、インピーダンス整合、フィルタ、共振子、平滑、整流、蓄電、変圧、分配、結合、変換などの機能を有していてもよい。
【0037】
第1配線部31と本体20の第1端面20bとの間の距離W41は、第1インダクタ配線30の隣の低抵抗インダクタ配線55(第3インダクタ配線50)の第3配線部51と第1配線部31との間の距離W42よりも短い。本体20において、第1配線部31と第1端面20bとの間の部分は、第1インダクタ配線30よりなるインダクタの磁路となる部分である。また、本体20において、第1インダクタ配線30の隣の低抵抗インダクタ配線55の第3配線部51と第1配線部31との間の部分は、第1インダクタ配線30よりなるインダクタの磁路となる部分である。従って、仮想平面S1と垂直な方向から見て、第1インダクタ配線30よりなるインダクタに関して、第1インダクタ配線30よりも第1端面20b側の磁路の幅は、第1インダクタ配線30よりも第3インダクタ配線50側の磁路の幅よりも狭い。
【0038】
また、第2配線部41と本体20の第2端面20cとの間の距離W43は、第2インダクタ配線40の隣の低抵抗インダクタ配線55(第3インダクタ配線50)の第3配線部51と第2配線部41との間の距離W44よりも短い。本体20において、第2配線部41と第2端面20cとの間の部分は、第2インダクタ配線40よりなるインダクタの磁路となる部分である。また、本体20において、第2インダクタ配線40の隣の低抵抗インダクタ配線55の第3配線部51と第2配線部41との間の部分は、第2インダクタ配線40よりなるインダクタの磁路となる部分である。従って、仮想平面S1と垂直な方向から見て、第2インダクタ配線40よりなるインダクタに関して、第2インダクタ配線40よりも第2端面20c側の磁路の幅は、第2インダクタ配線40よりも第3インダクタ配線50側の磁路の幅よりも狭い。
【0039】
また、本実施形態では、第1インダクタ配線30の第1配線部31と第3インダクタ配線50の第3配線部51との間の距離W42と、第2インダクタ配線40の第2配線部41と第3インダクタ配線50の第3配線部51との間の距離W44とは等しい。
【0040】
なお、本体20において、距離W41~W44は、必ずしも上述した関係でなくてもよい。
第1垂直配線61、第2垂直配線62及び第3垂直配線63は、本体20の内部に設けられている。第1乃至第3垂直配線61~63は、磁性材料層22に設けられるとともに、磁性材料層21の主面21a上に積層された磁性材料層22を貫通している。
【0041】
第1乃至第3垂直配線61~63は、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の各々から本体20の表面まで本体20の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。なお、本体20の内部を貫通するとは、第1乃至第3垂直配線61,62,63が延びる方向(仮想平面S1と垂直な方向)の本体20の端面を除いて、第1乃至第3垂直配線61,62,63が本体20から露出しないことを示し、具体的には、第1乃至第3垂直配線61,62,63の周面が本体20から露出していないことを示す。
【0042】
第1垂直配線61は、第1インダクタ配線30の第1接続部32の上面(
図2(c)において上側の面)から仮想平面S1と垂直な方向に延びるとともに、磁性材料層22の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。そして、第1垂直配線61の上端面は、本体20の上面20aから本体20の外部に露出している。また、第1垂直配線61は、第1接続部32に電気的に接続されている。第2垂直配線62は、第2インダクタ配線40の第2接続部42の上面(
図2(c)において上側の面)から仮想平面S1と垂直な方向に延びるとともに、磁性材料層22の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。そして、第2垂直配線62の上端面は、本体20の上面20aから本体20の外部に露出している。また、第2垂直配線62は、第2接続部42に電気的に接続されている。第3垂直配線63は、第3インダクタ配線50の第3接続部52の上面(
図2(c)において上側の面)から仮想平面S1と垂直な方向に延びるとともに、磁性材料層22の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。そして、第3垂直配線63の上端面は、本体20の上面20aから本体20の外部に露出している。また、第3垂直配線63は、第3接続部52に電気的に接続されている。
【0043】
本実施形態では、第1垂直配線61、第2垂直配線62及び第3垂直配線63は、横断面積が等しい。なお、垂直配線の横断面積は、電流が流れる方向に直交する断面の面積で定義される。従って、本実施形態では、第1乃至第3垂直配線61~63には、仮想平面S1と垂直な方向に電流が流れることから、第1乃至第3垂直配線61~63は、仮想平面S1と平行な方向の断面積が等しい。また、第1乃至第3垂直配線61~63は、仮想平面S1と垂直な方向の長さが等しい。
【0044】
第1乃至第3インダクタ配線30,40,50及び第1乃至第3垂直配線61~63には、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、アルミニウム(Al)、これらの金属を含む合金などの良導体を用いることができる。
【0045】
第1乃至第3外部端子71~73は、本体20の上面20aから外部に露出した第1乃至第3垂直配線61~63の端面を覆っている。第1外部端子71は、本体20の上面20aに設けられるとともに、同上面20aから露出した第1垂直配線61の上端面を覆っている。第2外部端子72は、本体20の上面20aに設けられるとともに、同上面20aから露出した第2垂直配線62の上端面を覆っている。第3外部端子73は、本体20の上面20aに設けられるとともに、同上面20aから露出した第3垂直配線63の上端面を覆っている。
【0046】
本実施形態のインダクタ部品1は、第1乃至第3垂直配線61~63に接続された第1乃至第3外部端子71~73を本体20の上面20a(本実施形態では、インダクタ部品1の上面に該当)のみに露出させた底面電極型のインダクタ部品である。そして、インダクタ部品1は、上面20aを回路基板に対向させた状態で第1乃至第3外部端子71~73がはんだによって回路基板に接続されることにより同回路基板に実装される。
【0047】
第1乃至第3外部端子71~73の材料としては、耐はんだ性やはんだ濡れ性の高い材料を用いることができる。例えば、Ni、Cu、錫(Sn)、Au等の金属、又はこれらの金属を含む合金などを用いることができる。また、第1乃至第3外部端子71~73は、複数の層により形成することもできる。例えば、Cuめっき、Niめっき、Snめっきの順に積層した構成を用いることもできる。なお、第1乃至第3外部端子71~73は省略してもよい。その場合、本体20の外部に露出した第1乃至第3垂直配線61~63の端面を、第1乃至第3外部端子71~73の代わりとすることができる。これは、インダクタ部品1を表面実装型として用いるのではなく、回路基板に埋め込む基板埋込型として用いる場合に好適である。
【0048】
なお、本実施形態のインダクタ部品1において、本体20の上面20a及び下面20dに絶縁性の被覆膜を設けてもよい。この被覆膜は、本体20の外表面における絶縁性を確保しつつ、第1乃至第3垂直配線61~63の端面を露出させるとともに、第1乃至第3外部端子71~73を外部に露出させる。また、被覆膜は、第1乃至第3外部端子71~73を形成する範囲を規定する役割を有していてもよい。
【0049】
次に、上述のインダクタ部品1の製造方法の概略を説明する。
まず、マザー積層体を形成する。マザー積層体とは、複数の本体20となる部分が行列状に繋がった状態の未焼成体である。具体的には、まず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム上に、フェライト粉末を樹脂に分散させたペーストをドクターブレード法により塗布してシート化させてなるグリーンシートを複数枚用意する。
【0050】
次に、上記グリーンシートの1つについて、主面上において、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50を形成すべき部分に導電性材料を含む導電ペーストをスクリーン印刷により塗布する。なお、この導電性材料は、上記した第1乃至第3インダクタ配線30,40,50及び第1乃至第3垂直配線61~63に用いる導電性材料である。
【0051】
次に、別のグリーンシートについて、第1乃至第3垂直配線61~63を形成すべき部分にレーザ等で貫通孔を形成し、当該貫通孔内に上記導電ペーストが充填されるように、導電ペーストを塗布する。この2つのグリーンシートを含む複数のグリーンシートを所定枚数積層した後、圧着することにより、マザー積層体が形成される。
【0052】
次に、マザー積層体をダイシングやギロチン等で切断し、本体20となる未焼成体に個片化する。更に、個片化した未焼成体を焼成炉等で焼成することで、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50及び第1乃至第3垂直配線61~63を内部に有する本体20が形成される。なお、本体20の上面20a及び下面20dに絶縁性の被覆膜を形成する場合は、この本体20に例えば樹脂材料を塗布する。因みに、被覆膜をガラスやアルミナなどの焼成体とする場合は、個片化前に、ガラス粉末やアルミナ粉末を含む絶縁ペーストをシート化させたものをマザー積層体の上下面に積層して圧着してもよい。
【0053】
次に、本体20の上面20aに、めっき、スパッタリング、蒸着、塗布等の方法により、第1乃至第3外部端子71~73を形成することで、インダクタ部品1が完成する。なお、上述の製造方法はあくまで一例であって、これに限られない。例えば、上述のシート積層工法に代えて、印刷積層工法を用いてもよいし、導電ペーストの塗布ではなく、めっきやスパッタリングなどにより第1乃至第3インダクタ配線30,40,50及び第1乃至第3垂直配線61~63に用いる導電性材料を形成したりパターニングしたりしてもよい。
【0054】
本実施形態の作用効果について説明する。
(1-1)インダクタ部品1は、本体20と、本体20の内部に位置し、仮想平面S1上を延びる第1インダクタ配線30と、本体20の内部に位置し、仮想平面S1と平行に延びる第2インダクタ配線40とを備えている。また、インダクタ部品1は、本体20の内部で第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置し、仮想平面S1と平行に延びる第3インダクタ配線50を備えている。また、インダクタ部品1は、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の各々から本体20の表面まで本体20の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通する第1乃至第3垂直配線61~63を備えている。そして、第3インダクタ配線50は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55である。
【0055】
上記構成によれば、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50に同様に電流が流れた場合であっても、特に熱がこもりやすい第3インダクタ配線50は、第1及び第2インダクタ配線30,40に比べて発熱し難い。よって、第1及び第2インダクタ配線30,40付近に比べて第3インダクタ配線50付近で局所的に高温になることが抑制され、その結果、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0056】
本実施形態では、並設方向F1の両端に位置する第1及び第2インダクタ配線30,40は、並設方向F1の片側にのみ隣り合う第3インダクタ配線50がある。そして、両端の第1及び第2インダクタ配線30,40の間に位置する第3インダクタ配線50は、第1及び第2インダクタ配線30,40よりも直流電気抵抗が小さい。そのため、低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50の両側に隣り合うインダクタ配線(本実施形態では第1及び第2インダクタ配線30,40)があっても、第3インダクタ配線50の発熱が抑制されるために第3インダクタ配線50の周囲に熱がこもることが抑制され、第3インダクタ配線50の温度上昇が抑制される。
【0057】
また、第1及び第2インダクタ配線30,40と第3インダクタ配線50との温度差が大きくなることが抑制される、即ち第1及び第2インダクタ配線30,40に比べて第3インダクタ配線50が高温になることが抑制される。そのため、第3インダクタ配線50に接続された第3垂直配線63と、インダクタ部品1が搭載される回路基板との接続部分において、エレクトロマイグレーションが発生することを抑制できる。
【0058】
これらのことから、整列された第1乃至第3インダクタ配線30,40,50を有する底面電極型のインダクタ部品1において、熱による信頼性の低下を抑制できる。
(1-2)低抵抗インダクタ配線55の少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも断面積が大きい。このようにすることで、低抵抗インダクタ配線55の直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも小さくすることを容易にできる。
【0059】
(1-3)低抵抗インダクタ配線55の少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも配線幅が太い。このようにすることで、低抵抗インダクタ配線55の配線厚さを厚くすることにより低抵抗インダクタ配線55の断面積を大きくする場合に比べて、低抵抗インダクタ配線55の直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも小さくすることをより容易にできる。
【0060】
(1-4)第1インダクタ配線30は、第1配線部31と、第1配線部31の両端に設けられ第1垂直配線61が接続された第1接続部32とを含む。第2インダクタ配線40は、第2配線部41と、第2配線部41の両端に設けられ第2垂直配線62が接続された第2接続部42とを含む。低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50は、低抵抗配線部である第3配線部51と、第3配線部51の両端に設けられ第3垂直配線63が接続された低抵抗接続部である第3接続部52とを含む。第1乃至第3インダクタ配線30,40、50の並設方向F1における本体20の両端面のうち、第1インダクタ配線30側の端面を第1端面20b、第2インダクタ配線40側の端面を第2端面20cとする。このとき、第1端面20bと第1配線部31との間の距離W41は、第1インダクタ配線30の隣の低抵抗インダクタ配線55の第3配線部51と第1配線部31との間の距離W42よりも短い。第2端面20cと第2配線部41との間の距離W43は、第2インダクタ配線40の隣の低抵抗インダクタ配線55の第3配線部51と第2配線部41との間の距離W44よりも短い。
【0061】
ここで、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に、第1及び第2配線部31,41と配線幅が等しい第3配線部を有する第3インダクタ配線が位置する場合を考える。第1インダクタ配線30と、第2インダクタ配線40と、第3インダクタ配線とは、並設方向F1に等間隔に並んでいるものとする。第3インダクタ配線よりなるインダクタは、第3インダクタ配線の並設方向F1の両側では、本体20における第1配線部31と第3配線部との間の部分と、本体20における第2配線部41と第3配線部との間の部分とが磁路となる。これに対し、第1インダクタ配線30よりなるインダクタは、並設方向F1の一方側では、本体20における第1端面20bと第1配線部31との間の部分が磁路となる。また、第1インダクタ配線30よりなるインダクタは、並設方向F1の他方側では、第1インダクタ配線30と隣り合う第3インダクタ配線の第3配線部と第1配線部31との間の本体20の部分が磁路となる。そして、第1端面20bと第1配線部31との間の距離W41は、第1インダクタ配線30の隣の第3インダクタ配線の第3配線部と第1配線部31との間の距離よりも短い。そのため、第1インダクタ配線30よりなるインダクタは、第3インダクタ配線よりなるインダクタよりもインダクタンスが低くなる。同様に、第2インダクタ配線40よりなるインダクタは、並設方向F1の一方側では、第2インダクタ配線40と隣り合う第3インダクタ配線の第3配線部と第2配線部41との間の本体20の部分が磁路となる。また、第2インダクタ配線40よりなるインダクタは、並設方向F1の他方側では、本体20における第2端面20cと第2配線部41との間の部分が磁路となる。そして、第2端面20cと第2配線部41との間の距離W43は、第2インダクタ配線40の隣の第3インダクタ配線の第3配線部と第2配線部41との間の距離よりも短い。そのため、第2インダクタ配線40よりなるインダクタは、第3インダクタ配線よりなるインダクタよりもインダクタンスが低くなる。このように、第1インダクタ配線30、第2インダクタ配線40及び第3インダクタ配線よりなる3つのインダクタにおいて、インダクタンスにばらつきが生じる。
【0062】
本実施形態では、第3インダクタ配線50の第3配線部51の配線幅W31を太くすることにより、本体20においてその分だけ距離W42,W44が短くなるため、第3インダクタ配線50よりなるインダクタのインダクタンスが低下される。その結果、第1端面20bと第1配線部31との間の距離W41が、第3配線部51と第1配線部31との間の距離W42よりも短くとも、第1インダクタ配線30よりなるインダクタと第3インダクタ配線50よりなるインダクタとのインダクタンスのばらつきを低減できる。同様に、第2端面20cと第2配線部41との間の距離W43が、第3配線部51と第2配線部41との間の距離W44よりも短くとも、第2インダクタ配線40よりなるインダクタと第3インダクタ配線50よりなるインダクタとのインダクタンスのばらつきを低減できる。
【0063】
(1-5)本体20は、焼結体である。本体20、即ち本体20を構成する磁性材料層21,22が焼結体であることにより、インダクタ配線30,40,50を高品質且つ低コストで形成できる。
【0064】
<第2実施形態>
以下、インダクタ部品の第2実施形態を説明する。
なお、本実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材又は上記実施形態と対応する構成部材については、同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略することがある。
【0065】
図3(a)及び
図3(b)に示すインダクタ部品1Aは、上記第1実施形態のインダクタ部品1において、本体20の内部で第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線50との間に位置し、仮想平面S1と平行に延びる第4インダクタ配線50Aを更に備えた構成である。第4インダクタ配線50Aは、低抵抗インダクタ配線55である。即ち、本実施形態のインダクタ部品1Aは、上記第1実施形態のインダクタ部品1とは低抵抗インダクタ配線55の数が異なる。インダクタ部品1Aは、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に、2つの低抵抗インダクタ配線55を有する。
【0066】
第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線50との間に位置する第4インダクタ配線50Aは、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50と同様に磁性材料層21の主面21a上で、主面21aと平行に延びている。このため、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aは、同一仮想平面S1上に位置する。また、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aは、仮想平面S1と平行な一方向に沿って等間隔に整列されている。
【0067】
第4インダクタ配線50Aは、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55である。第4インダクタ配線50Aは、第4配線部51Aと、第4配線部51Aの両端に設けられた第4接続部52Aとを含む。なお、第4インダクタ配線50Aは低抵抗インダクタ配線55であるため、第4配線部51Aは低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第4接続部52Aは低抵抗接続部の一例に該当する。
【0068】
第4配線部51Aは、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向に沿って直線状に延びる帯状をなしている。第4配線部51Aは、第1配線部31及び第2配線部41と平行に延びている。第4配線部51Aは、配線幅W31A及び厚さが一定に形成されている。また、第4配線部51Aは、線路長及び厚さが第1配線部31及び第2配線部41と等しい。本実施形態の第4配線部51Aは、第3配線部51と同じ形状をなしている。即ち、第4配線部51Aの配線幅W31Aは、第3配線部51の配線幅W31と等しい。更に、第4配線部51Aは、線路長及び厚さが第3配線部51と等しい。そして、第4配線部51Aは、仮想平面S1と垂直な方向から見た形状(即ち
図3(a)に図示した状態)が第3配線部51と同じ帯状をなしている。
【0069】
第4接続部52Aは、第4配線部51Aと一体に形成されている。本実施形態では、各第4接続部52Aは、仮想平面S1と垂直な方向から見た形状(即ち
図3(a)に図示した状態)が第1乃至第3接続部32,42,52と同じ略正方形の四角形状をなす。そして、第4接続部52Aは、第1乃至第3接続部32,42,52と同じ大きさであるとともに、第1乃至第3接続部32,42,52と厚さが等しい。また、第4接続部52Aの配線幅W32A(第4配線部51Aの配線幅方向と同方向の幅)は、第4配線部51Aの配線幅W31Aよりも太い。即ち、第4配線部51Aと第4接続部52Aとの境界は、配線幅が変化する箇所である。また、並設方向F1における第4接続部52Aの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第4配線部51Aの配線幅方向の中央位置と一致している。即ち、第4配線部51Aは、一方の第4接続部52Aの配線幅方向の中央部から他方の第4接続部52Aの配線幅方向の中央部まで延びている。
【0070】
低抵抗インダクタ配線55である第4インダクタ配線50Aの少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも断面積が大きい。本実施形態では、第4インダクタ配線50Aの少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも配線幅が太いことにより、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも断面積が大きく形成されている。具体的には、第4配線部51Aは、第1配線部31及び第2配線部41よりも配線幅が太い。このため、第4配線部51Aの断面積(電流の流れる方向と垂直な断面の面積)は、第1配線部31の断面積及び第2配線部41の断面積よりも大きい。このように、第4インダクタ配線50Aは、第4配線部51Aの配線幅W31Aが第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W21よりも太いことにより、即ち、第4配線部51Aの断面積が第1及び第2配線部31,41の断面積よりも大きいことにより、第1及び第2インダクタ配線30,40よりも直流電気抵抗が小さくなっている。なお、第4配線部51Aの配線幅W31Aは、第1配線部31の配線幅W11及び第2配線部41の配線幅W21よりも太いのであれば、第3配線部51の配線幅W31と異なっていてもよい。
【0071】
インダクタ部品1Aにおいては、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55ほど直流電気抵抗が小さい。本実施形態では、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い第3及び第4インダクタ配線50,50Aほど、低抵抗配線部、即ち第3及び第4配線部51,51Aの断面積が大きくなるようにしている。これにより、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55ほど直流電気抵抗が小さくなるようにしている。
図3(a)には、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置を通り仮想平面S1と平行に延びる中心線L1を一点鎖線にて図示している。第3インダクタ配線50と第4インダクタ配線50Aとは、並設方向F1における中心線L1からの距離が等しいため、第3配線部51の配線幅W31及び厚さと第4配線部51Aの配線幅W31A及び厚さとを等しくしている。即ち、第3配線部51と第4配線部51Aとは断面積が等しい。
【0072】
第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの一方の第1乃至第4接続部32,42,52,52A(
図3(a)において上側の接続部)は、並設方向F1と垂直な方向であって仮想平面S1と平行な方向の位置が等しい。従って、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの一方の第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に沿って整列されている。また、当該第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に沿って等間隔に並んでいる。同様に、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの他方の第1乃至第4接続部32,42,52,52A(
図3(a)において下側の接続部)は、並設方向F1と垂直な方向であって仮想平面S1と平行な方向の位置が等しい。従って、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの他方の第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に沿って整列されている。また、当該第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に沿って等間隔に並んでいる。
【0073】
第1配線部31と第1端面20bとの間の距離W41は、第1インダクタ配線30の隣の第3インダクタ配線50(低抵抗インダクタ配線55)の第3配線部51と第1配線部31との間の距離W42よりも短い。また、第2配線部41と第2端面20cとの間の距離W43は、第2インダクタ配線40の隣の第4インダクタ配線50A(低抵抗インダクタ配線55)の第4配線部51Aと第2配線部41との間の距離W44よりも短い。また、本実施形態では、第1配線部31と第3配線部51との間の距離W42と、第2配線部41と第4配線部51Aとの間の距離W44とは等しい。
【0074】
また、第3配線部51と第4配線部51Aとの間の距離W45は、第1配線部31と第3配線部51との間の距離W42、及び第2配線部41と第4配線部51Aとの間の距離W44よりも短い。具体的には、第3配線部51と第4配線部51Aとの間の距離W45は、第3配線部51の配線幅W31もしくは第4配線部51Aの配線幅W31Aと、第1配線部31の配線幅W11もしくは第2配線部41の配線幅W21との差の2分の1だけ、距離W42及び距離W44よりも短い。なお、本体20において、距離W41~W45は、必ずしも上述した関係でなくてもよい。
【0075】
第4インダクタ配線50Aの第4接続部52Aには、第4垂直配線64が接続されている。第4垂直配線64は、本体20の内部に設けられている。第4垂直配線64は、第4インダクタ配線50Aから本体20の表面まで本体20の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。具体的には、第4垂直配線64は、第4接続部52Aの上面から仮想平面S1と垂直な方向に延びるとともに、磁性材料層22の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。そして、第4垂直配線64の上端面は、本体20の上面20aから本体20の外部に露出している。また、第4垂直配線64は、第4接続部52Aに電気的に接続されている。
【0076】
本体20の上面20aから外部に露出した第4垂直配線64の上端面は、それぞれ第4外部端子74にて覆われている。そして、本実施形態のインダクタ部品1Aは、第1乃至第4垂直配線61~64に接続された第1乃至第4外部端子71~74を本体20の上面20a(本実施形態では、インダクタ部品1Aの上面に該当)のみに露出させた底面電極型のインダクタ部品である。
【0077】
本実施形態では、第4インダクタ配線50Aは、第3インダクタ配線50と同じ材料よりなるとともに、第4垂直配線64は、第3垂直配線63と同じ材料よりなる。また、第4外部端子74は、第3外部端子73と同じ材料よりなる。
【0078】
本実施形態のインダクタ部品1Aは、上記第1実施形態のインダクタ部品1と同様の方法で製造される。
本実施形態の作用について説明する。
【0079】
インダクタ部品1Aにおいて、第3インダクタ配線50の第3配線部51の配線幅W31及び第4インダクタ配線50Aの第4配線部51Aの配線幅W31Aを変化させた場合の、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの各々よりなるインダクタのインダクタンスの変化をシミュレーションした。第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの材料はCuとし、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの並設方向F1の間隔(配線幅方向の中央の間隔)を300μm間隔とした。また、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの厚さを50μmとした。また、第1インダクタ配線30の第1配線部31の配線幅W11及び第2インダクタ配線40の第2配線部41の配線幅W21は50μmとした。このシミュレーションの結果、配線幅W31及び配線幅W31Aの各々を配線幅W11に対して6.4%太くすると、第3インダクタ配線50よりなるインダクタのインダクタンス及び第4インダクタ配線50Aよりなるインダクタのインダクタンスが第1インダクタ配線30よりなるインダクタのインダクタンスとそれぞれ等しくなることがわかった。また、配線幅W31及び配線幅W31Aの各々を配線幅W21に対して6.4%太くすると、第3インダクタ配線50よりなるインダクタのインダクタンス及び第4インダクタ配線50Aよりなるインダクタのインダクタンスが第2インダクタ配線40よりなるインダクタのインダクタンスとそれぞれ等しくなることがわかった。
【0080】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(2-1)インダクタ部品1Aは、本体20の内部で第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線50との間に位置し、仮想平面S1と平行に延びる第4インダクタ配線50Aを更に備えている。第4インダクタ配線50Aは、低抵抗インダクタ配線55である。
【0081】
一般的に、配線幅や線路長が同じように形成され、直流電気抵抗が同等である複数のインダクタ配線を備えたインダクタ部品の場合、同一仮想平面上に整列された複数のインダクタ配線は、各インダクタ配線に同様に電流が流されると、両端のインダクタ配線の中間位置に近いインダクタ配線ほど温度が高くなりやすい。そこで、本実施形態では、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置する第3インダクタ配線50及び第4インダクタ配線50Aを、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55としている。このため、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aに同様に電流が流れた場合であっても、特に熱がこもりやすい第3及び第4インダクタ配線50,50Aは、第1及び第2インダクタ配線30,40に比べて発熱し難い。よって、第1及び第2インダクタ配線30,40付近に比べて第3及び第4インダクタ配線50,50A付近で局所的に高温になることが抑制される。
【0082】
また、第1及び第2インダクタ配線30,40と第3及び第4インダクタ配線50,50Aとの温度差が大きくなることが抑制される、即ち第1及び第2インダクタ配線30,40に比べて第3及び第4インダクタ配線50,50Aが高温になることが抑制される。そのため、第3インダクタ配線50に接続された第3垂直配線63と、インダクタ部品1Aが搭載される回路基板との接続部分だけでなく、第4インダクタ配線50Aに接続された第4垂直配線64と、インダクタ部品1Aが搭載される回路基板との接続部分においても、エレクトロマイグレーションが発生することを抑制できる。
【0083】
これらのことから、整列された第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aを有する底面電極型のインダクタ部品1Aにおいて、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0084】
(2-2)第1インダクタ配線30は、第1配線部31と、第1配線部31の両端に設けられ第1垂直配線61が接続された第1接続部32とを含む。第2インダクタ配線40は、第2配線部41と、第2配線部41の両端に設けられ第2垂直配線62が接続された第2接続部42とを含む。第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置する低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50は、第3配線部51と、第3配線部51の両端に設けられ第3垂直配線63が接続された第3接続部52とを含む。第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置する低抵抗インダクタ配線55である第4インダクタ配線50Aは、第4配線部51Aと、第4配線部51Aの両端に設けられ第4垂直配線64が接続された第4接続部52Aとを含む。そして、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55ほど第3及び第4配線部51,51Aの断面積が大きい。
【0085】
この構成によれば、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55ほど第3及び第4配線部51,51Aの断面積を大きくすることにより、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55ほど直流電気抵抗が小さい構成とすることができる。一般的に、配線幅や線路長が同じように形成され、直流電気抵抗が同等である複数のインダクタ配線を備えたインダクタ部品の場合、同一仮想平面上に整列された複数のインダクタ配線は、各インダクタ配線に同様に電流が流されると、両端のインダクタ配線の中間位置に近いインダクタ配線ほど温度が高くなりやすい。従って、このようにすることで、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置付近で局所的に高温になることを容易に抑制できる。その結果、熱による信頼性の低下を容易に抑制できる。
【0086】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。なお、各変更例において、上記実施形態と同じ構成部材又は上記実施形態と対応する構成部材については、同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略することがある。
【0087】
・上記第2実施形態では、低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50においては、並設方向F1における第3配線部51の配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第3接続部52の配線幅方向の中央位置と一致している。また、低抵抗インダクタ配線55である第4インダクタ配線50Aにおいては、並設方向F1における第4配線部51Aの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第4接続部52Aの配線幅方向の中央位置と一致している。しかしながら、第3インダクタ配線50において、並設方向F1における第3配線部51の配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第3接続部52の配線幅方向の中央位置と必ずしも一致していなくてもよい。同様に、第4インダクタ配線50Aにおいて、並設方向F1における第4配線部51Aの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第4接続部52Aの配線幅方向の中央位置と必ずしも一致していなくてもよい。
【0088】
例えば、
図4(a)及び
図4(b)に示すインダクタ部品1Bは、上記第2実施形態のインダクタ部品1Aにおいて、第3インダクタ配線50に代えて第3インダクタ配線50Cを有するとともに、第4インダクタ配線50Aに代えて第4インダクタ配線50Dを有する。第3及び第4インダクタ配線50C,50Dは、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40と同一仮想平面S1上に位置する。第1乃至第4インダクタ配線30,40,50C,50Dは、仮想平面S1と平行な一方向に沿って等間隔に整列されている。また、第3インダクタ配線50Cは、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置するとともに、第4インダクタ配線50Dは、第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線50Cとの間に位置する。第1配線部31と第2配線部41とは配線幅が等しい。
【0089】
第3及び第4インダクタ配線50C,50Dは、何れも第1及び第2インダクタ配線30,40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55Aである。第3及び第4インダクタ配線50C,50Dの厚さ(仮想平面S1と垂直な方向の厚さ)は、第1及び第2インダクタ配線30,40の厚さと等しい。第3インダクタ配線50Cは、第3配線部53と、第3配線部53の両端に設けられた第3接続部52とを含む。第4インダクタ配線50Dは、第4配線部53Dと、第4配線部53Dの両端に設けられた第4接続部52Aとを含む。第3配線部53及び第4配線部53Dは、それぞれ低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第3接続部52及び第4接続部52Aは、それぞれ低抵抗接続部の一例に該当する。第1乃至第4配線部31,41,53,53Dの一端側に位置する第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に等間隔に並んでいる。また、第1乃至第4配線部31,41,53,53Dの他端側に位置する第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に等間隔に並んでいる。
【0090】
第3配線部53は、第1配線部31及び第2配線部41と配線幅が等しい基礎部53aと、基礎部53aの配線幅方向の片側に基礎部53aと一体に設けられた拡張部53bとを備えている。
図4(a)において、拡張部53bは、第3配線部53に図示した破線の内側の部分である。なお、第3配線部53は、配線幅が一定であるとともに、基礎部53a及び拡張部53bも幅が一定である。第3インダクタ配線50Cにおいて、並設方向F1における基礎部53aの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第3接続部52の配線幅方向の中央位置と一致している。
【0091】
第4配線部53Dは、第1配線部31及び第2配線部41と配線幅が等しい基礎部53cと、基礎部53cの配線幅方向の片側に基礎部53cと一体に設けられた拡張部53dとを備えている。
図4(a)において、拡張部53dは、第4配線部53Dに図示した破線の内側の部分である。なお、第4配線部53Dは、配線幅が一定であるとともに、基礎部53c及び拡張部53dも幅が一定である。第4インダクタ配線50Dにおいて、並設方向F1における基礎部53cの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第4接続部52Aの配線幅方向の中央位置と一致している。そして、第1配線部31、第2配線部41及び基礎部53a,53cは、並設方向F1に等間隔に位置している。
【0092】
第3インダクタ配線50Cにおいて、拡張部53bは、基礎部53aの配線幅方向の両側のうち、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中央位置を通り仮想平面S1と平行な中心線L1から遠い側に位置する。具体的には、
図4(a)においては、中心線L1は、第3インダクタ配線50Cの右側に位置している。そして、第3インダクタ配線50Cにおいては、拡張部53bは、基礎部53aの左側、即ち第3インダクタ配線50Cの隣の第1インダクタ配線30側に位置する。このため、第3インダクタ配線50Cの第3配線部53は、第3接続部52よりも並設方向F1に第1配線部31側に寄っている。即ち、第3配線部53の配線幅方向の中央が、第3接続部52の配線幅方向の中央よりも並設方向F1に第1配線部31側に位置する。
【0093】
第4インダクタ配線50Dにおいて、拡張部53dは、基礎部53cの配線幅方向の両側のうち中心線L1から遠い側に位置する。具体的には、
図4(a)においては、中心線L1は、第4インダクタ配線50Dの左側に位置している。そして、第4インダクタ配線50Dにおいては、拡張部53dは、基礎部53cの右側、即ち第4インダクタ配線50Dの隣の第2インダクタ配線40側に位置する。このため、第4インダクタ配線50Dの第4配線部53Dは、第4接続部52Aよりも並設方向F1に第2配線部41側に寄っている。即ち、第4配線部53Dの配線幅方向の中央が、第4接続部52Aの配線幅方向の中央よりも並設方向F1に第2配線部41側に位置する。
【0094】
第1配線部31と第3配線部53との間の距離W46は、第3配線部53と第4配線部53Dとの間の距離W47よりも拡張部53bの幅の分だけ短い。また、第2配線部41と第4配線部53Dとの間の距離W48は、第3配線部53と第4配線部53Dとの間の距離W47よりも拡張部53dの幅の分だけ短い。また、第1配線部31と第3配線部53との間の距離W46は、第2配線部41と第4配線部53Dとの間の距離W48と等しい。
【0095】
上記構成によれば、第3インダクタ配線50Cの第3配線部53が、第3接続部52よりも第1配線部31側に寄ることにより、本体20における第1配線部31と第3配線部53との間の部分の並設方向F1の幅が狭められている。即ち、第1インダクタ配線30と隣り合う第3インダクタ配線50Cの第3配線部53と第1配線部31との間の磁路を狭めるように第3配線部53の配線幅が太くされている。従って、第1インダクタ配線30よりなるインダクタのインダクタンスが抑制されることになる。
【0096】
同様に、第4インダクタ配線50Dの第4配線部53Dが、第4接続部52Aよりも第2配線部41側に寄ることにより、本体20における第2配線部41と第4配線部53Dとの間の部分の並設方向F1の幅が狭められている。即ち、第2インダクタ配線40と隣り合う第4インダクタ配線50Dの第4配線部53Dと第2配線部41との間の磁路を狭めるように第4配線部53Dの配線幅が太くされている。従って、第2インダクタ配線40よりなるインダクタのインダクタンスが抑制されることになる。
【0097】
一般的に、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に2つのインダクタ配線が配置された場合には、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に配置されるインダクタ配線が1つの場合に比べて、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中央寄りの部分に熱がこもりやすくなる。そのため、各インダクタ配線に同様に電流が流れた場合であっても、インダクタ部品における第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中央寄りの部分でより発熱しやすくなる。
【0098】
そこで、インダクタ部品1Bでは、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に配置された第3インダクタ配線50Cの第3配線部53及び第4インダクタ配線50Dの第4配線部53Dの配線幅を、第1配線部31及び第2配線部41の配線幅よりも太くしている。これにより、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50C,50Dに同様に電流が流れた場合であっても、第3及び第4インダクタ配線50C,50Dの発熱が抑制される。第3配線部53及び第4配線部53Dの配線幅を第1配線部31及び第2配線部41の配線幅よりも太くするにあたっては、例えば、単純に各基礎部53a,53cの配線幅方向の両側に等しく拡張部を設けることにより第3配線部53及び第4配線部53Dの配線幅を太くすることが考えられる。このようにすると、第1及び第2インダクタ配線30,40の各々よりなるインダクタのインダクタンスが、第3及び第4インダクタ配線50C,50Dの各々よりなるインダクタのインダクタンスより低下する。これに対し、インダクタ部品1Bでは、第1配線部31と第2配線部41との中間位置から並設方向F1に沿ってインダクタ部品1Bの外側に向かう方向に第3配線部53及び第4配線部53Dの配線幅を太くしている。このようにすると、第3及び第4インダクタ配線50C,50Dの各々よりなるインダクタのインダクタンスの低下は抑制しつつ、第1及び第2インダクタ配線30,40の各々よりなるインダクタのインダクタンスを下げることができる。従って、インダクタ部品1B全体として、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50C,50Dの各々よりなるインダクタのインダクタンスが揃う方向に調整できる。
【0099】
なお、第3インダクタ配線50Cの第3配線部53は、必ずしも第3接続部52よりも第1配線部31側に寄っていなくてもよい。
また例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示すインダクタ部品1Cは、上記第2実施形態のインダクタ部品1Aにおいて、第3インダクタ配線50に代えて第3インダクタ配線50Eを有するとともに、第4インダクタ配線50Aに代えて第4インダクタ配線50Fを有する。第3及び第4インダクタ配線50E,50Fは、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40と同一仮想平面S1上に位置する。第1乃至第4インダクタ配線30,40,50E,50Fは、仮想平面S1と平行な一方向に沿って等間隔に整列されている。また、第3インダクタ配線50Eは、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置するとともに、第4インダクタ配線50Fは、第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線50Eとの間に位置する。第1配線部31と第2配線部41とは配線幅が等しい。
【0100】
第3及び第4インダクタ配線50E,50Fは、何れも第1及び第2インダクタ配線30,40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55Bである。第3及び第4インダクタ配線50E,50Fの厚さ(仮想平面S1と垂直な方向の厚さ)は、第1及び第2インダクタ配線30,40の厚さと等しい。第3インダクタ配線50Eは、第3配線部54と、第3配線部54の両端に設けられた第3接続部52とを含む。第4インダクタ配線50Fは、第4配線部54Fと、第4配線部54Fの両端に設けられた第4接続部52Aとを含む。第3配線部54及び第4配線部54Fは、それぞれ低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第3接続部52及び第4接続部52Aは、それぞれ低抵抗接続部の一例に該当する。
【0101】
第1乃至第4配線部31,41,54,54Fの一端側に位置する第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に等間隔に並んでいる。また、第1乃至第4配線部31,41,54,54Fの他端側に位置する第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、並設方向F1に等間隔に並んでいる。
【0102】
第3配線部54は、第1配線部31及び第2配線部41と配線幅が等しい基礎部54aと、基礎部54aの配線幅方向の片側に基礎部54aと一体に設けられた拡張部54bとを備えている。
図5(a)において、拡張部54bは、第3配線部54に図示した破線の内側の部分である。なお、第3配線部54は、配線幅が一定であるとともに、基礎部54a及び拡張部54bも幅が一定である。第3インダクタ配線50Eにおいて、並設方向F1における基礎部54aの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第3接続部52の配線幅方向の中央位置と一致している。
【0103】
第4配線部54Fは、第1配線部31及び第2配線部41と配線幅が等しい基礎部54cと、基礎部54cの配線幅方向の片側に基礎部54cと一体に設けられた拡張部54dとを備えている。
図5(a)において、拡張部54dは、第4配線部54Fに図示した破線の内側の部分である。なお、第4配線部54Fは、配線幅が一定であるとともに、基礎部54c及び拡張部54dも幅が一定である。第4インダクタ配線50Fにおいて、並設方向F1における基礎部54cの配線幅方向の中央位置は、並設方向F1における第4接続部52Aの配線幅方向の中央位置と一致している。そして、第1配線部31、第2配線部41及び基礎部54a,54cは、並設方向F1に等間隔に位置している。
【0104】
第3インダクタ配線50Eにおいて、拡張部54bは、基礎部54aの配線幅方向の両側のうち、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間の中心線L1に近い側に位置する。具体的には、
図5(a)においては、中心線L1は、第3インダクタ配線50Eの右側に位置している。そして、第3インダクタ配線50Eにおいては、拡張部54bは、基礎部54aの右側、即ち中心線L1に近い側であって第3インダクタ配線50Eの隣の第1インダクタ配線30から遠い側に位置する。これにより、第3インダクタ配線50Eの第3配線部54は、並設方向F1に第3接続部52よりも第1配線部31と第2配線部41との中間位置側に寄っている。即ち、第3配線部53の配線幅方向の中央が、第3接続部52の配線幅方向の中央よりも並設方向F1に第1配線部31と第2配線部41との中間位置側に位置する。
【0105】
第4インダクタ配線50Fにおいて、拡張部54dは、基礎部54cの配線幅方向の両側のうち中心線L1に近い側に位置する。具体的には、
図5(a)においては、中心線L1は、第4インダクタ配線50Fの左側に位置している。そして、第4インダクタ配線50Fにおいては、拡張部54dは、基礎部54cの左側、即ち中心線L1に近い側であって第4インダクタ配線50Fの隣の第2インダクタ配線40から遠い側に位置する。これにより、第4インダクタ配線50Fの第4配線部54Fは、並設方向F1に第4接続部52Aよりも第1配線部31と第2配線部41との中間位置側に寄っている。即ち、第4配線部54Fの配線幅方向の中央が、第4接続部52Aの配線幅方向の中央よりも並設方向F1に第1配線部31と第2配線部41との中間位置側に位置する。
【0106】
第3配線部54と第4配線部54Fとの間の距離W51は、第1配線部31と第3配線部54との間の距離W52よりも拡張部54bの幅及び拡張部54dの幅の分だけ短い。言い換えると、第1配線部31と第3配線部54との間の距離W52は、第3配線部54と第4配線部54Fとの間の距離W51よりも拡張部54bの幅及び拡張部54dの幅の分だけ長い。また、第1配線部31と第3配線部54との間の距離W52は、第2配線部41と第4配線部54Fとの間の距離W53と等しい。
【0107】
上記構成によれば、第1インダクタ配線30の隣の第3インダクタ配線50Eは、第1配線部31と第3配線部54との間の距離W52を相対的に広げるように配線幅が拡張されている。即ち、第1インダクタ配線30の隣の第3インダクタ配線50Eの第3配線部54と第1配線部31との間の磁路を相対的に広くするように第3配線部54の幅が太くされている。従って、第1インダクタ配線30よりなるインダクタのインダクタンスが相対的に増大されることになる。
【0108】
同様に、第2インダクタ配線40の隣の第4インダクタ配線50Fは、第2配線部41と第4配線部54Fとの間の距離W53を相対的に広げるように配線幅が拡張されている。即ち、第2インダクタ配線40の隣の第4インダクタ配線50Fの第4配線部54Fと第2配線部41との間の磁路を相対的に広くするように第4配線部54Fの幅が太くされている。従って、第2インダクタ配線40よりなるインダクタのインダクタンスが相対的に増大されることになる。
【0109】
第3及び第4配線部54,54Fの配線幅を第1及び第2配線部31,41の配線幅より太くすることにより、第3及び第4インダクタ配線50E,50Fの直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも小さくする。この場合において、並設方向F1の両端に位置する第1及び第2インダクタ配線30,40の各々よりなるインダクタのインダクタンスが、第1及び第2インダクタ配線30,40の間に位置する第3及び第4インダクタ配線50E,50Fの各々よりなるインダクタのインダクタンスよりも小さくなる可能性がある場合がある。この場合に、上記のようにすることにより、各インダクタのインダクタンスのばらつきを抑制することが可能である。即ち、インダクタ部品1C全体として、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50E,50Fの各々よりなるインダクタのインダクタンスが揃う方向に調整可能である。
【0110】
・上記第1実施形態では、第3インダクタ配線50は、第3配線部51の配線幅W31が、第1配線部31の配線幅W11及び第2配線部41の配線幅W21よりも太いことにより、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55になっている。しかしながら、第3インダクタ配線50の直流電気抵抗を、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40の直流電気抵抗よりも小さくする方法はこれに限らない。
【0111】
例えば、第3配線部51の一部の配線幅を、第1配線部31及び第2配線部41よりも太くすることにより、第3インダクタ配線50の直流電気抵抗を第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40の直流電気抵抗より小さくしてもよい。但し、この場合、第3配線部51において第1配線部31及び第2配線部41よりも配線幅が太くされる部分の配線幅は、第3接続部52の配線幅W32以下の範囲内の値とする。
【0112】
図6に示すインダクタ部品1Dでは、低抵抗インダクタ配線55Cである第3インダクタ配線50Gの第3配線部56は、長手方向の中央部に配線幅が部分的に太くなった幅広部56aを有する。
図6に示す例では、第3配線部56における幅広部56a以外の部分の配線幅は、第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W12と等しいが、第3接続部52の配線幅W32よりも細いのであれば、第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W12より太くしてもよい。
【0113】
このようにすると、特に熱がこもりやすい第3インダクタ配線50Gの長手方向の中央部において、発熱を抑制できる。そして、熱による信頼性の低下を抑制できる。
また、
図7に示すインダクタ部品1Eでは、低抵抗インダクタ配線55Dである第3インダクタ配線50Hの第3配線部57は、配線幅が部分的に太くなった幅広部57aを両端部に有する。幅広部57aは、第3接続部52と隣接するとともに、同第3接続部52と連続して設けられている。なお、
図7に示す例では、第3配線部57における幅広部57a以外の部分の配線幅は、第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W12と等しいが、第3接続部52の配線幅W32よりも細いのであれば、第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W12より太くしてもよい。
【0114】
このようにすると、第3接続部52付近で発熱を抑制できる。そのため、第3接続部52に接続された第3垂直配線63と、インダクタ部品1Eが搭載される回路基板との接続部分の温度が上昇することを抑制できる。従って、第3垂直配線63と、インダクタ部品1Eが搭載される回路基板との接続部分においてエレクトロマイグレーションが発生することを抑制しやすい。そして、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0115】
また例えば、第3接続部52の配線幅W32を、第1及び第2接続部32,42の配線幅W12,W22より太くしてもよい。
また例えば、第3インダクタ配線50の少なくとも一部の厚さ(仮想平面S1と垂直な方向の厚さ)を、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40の厚さよりも厚くすることにより、第3インダクタ配線50を、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55としてもよい。
【0116】
図8(a)及び
図8(b)に示すインダクタ部品1Fは、上記第1実施形態のインダクタ部品1において第3インダクタ配線50に代えて第3インダクタ配線50Iを有する。第3インダクタ配線50Iは、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40と同一仮想平面S1上に位置する。第1乃至第3インダクタ配線30,40,50Iは、仮想平面S1と平行な一方向に沿って等間隔に整列されている。
【0117】
第3インダクタ配線50Iは、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55Eである。そして、第3インダクタ配線50Iの少なくとも一部は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも仮想平面S1と垂直な方向の厚さが厚い。本例では、第3インダクタ配線50Iは、厚さT3が一定に形成されるとともに、第3インダクタ配線50Iの厚さT3は、第1インダクタ配線30の厚さT1及び第2インダクタ配線40の厚さT2よりも厚い。因みに、第1インダクタ配線30の厚さT1と第2インダクタ配線40の厚さT2とは等しい。また、第3インダクタ配線50Iの第3配線部58の配線幅W33及び線路長は、第1配線部31の配線幅W11及び線路長、並びに、第2配線部41の配線幅W21及び線路長と等しい。
【0118】
このようにしても、上記第1実施形態と同様に、熱による信頼性の低下を抑制できる。また、第3インダクタ配線50Iの少なくとも一部を第1及び第2インダクタ配線30,40よりも厚くすることで、第3インダクタ配線50Iの直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも容易に小さくすることができる。
【0119】
また例えば、第3インダクタ配線50の線路長を、第1インダクタ配線30の線路長及び第2インダクタ配線40の線路長よりも短くすることにより、第3インダクタ配線50を、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55としてもよい。
【0120】
図9に示すインダクタ部品1Gでは、並設方向F1の両端に位置する第1及び第2インダクタ配線30A,40Aの第1及び第2配線部33,43は、インダクタ部品1Gの外側に向かって湾曲した円弧状をなしている。一方、第1インダクタ配線30Aと第2インダクタ配線40Aとの間に位置する第3インダクタ配線50Jの第3配線部59は、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向に沿って直線状に延びている。このため、第3インダクタ配線50Jの線路長は、第1インダクタ配線30Aの線路長及び第2インダクタ配線40Aの線路長よりも長い。そして、
図9に示す例では、第1乃至第3配線部33,43,59の配線幅は等しい。このように構成されることにより、第3インダクタ配線50Jは、第1及び第2インダクタ配線30A,40Aよりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55Fとなっている。
【0121】
このようにすると、第3インダクタ配線50Jの直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30A,40Aの直流電気抵抗よりも容易に小さくすることができる。そして、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0122】
なお、第1及び第2配線部33,43の形状は、
図9に示す形状に限らず、インダクタ部品1Gの内側に向かって湾曲した円弧状、矩形状、波状等であってもよい。
また、
図10に示すインダクタ部品1Hでは、低抵抗インダクタ配線55Gである第3インダクタ配線50Kの第3接続部52は、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向(
図10において上下方向)に第1接続部32及び第2接続部42よりも内側に位置している。このようにすると、第1乃至第3配線部31,41,81の形状を複雑な形状にしなくとも、第3インダクタ配線50Kの線路長を、第1インダクタ配線30の線路長及び第2インダクタ配線40の線路長よりも容易に短くすることができる。そして、第3インダクタ配線50Kの直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも容易に小さくすることができる。その結果、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0123】
また例えば、第3配線部51は、第3接続部52間で電気的に並列接続された複数の並列配線からなるものであってもよい。複数の並列配線は、当該複数の並列配線を備える第3インダクタ配線50の直流電気抵抗が第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも小さくなるように構成される。このように第3配線部51を複数の並列配線で構成することにより、第3インダクタ配線50の直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも容易に小さくすることができる。そして、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0124】
図11に示すインダクタ部品1Kでは、低抵抗インダクタ配線55Hである第3インダクタ配線50Lの第3配線部83は、第3接続部52間で電気的に並列接続された2つの並列配線83a,83bからなる。2つの並列配線83a,83bのうち1つの並列配線83aは、仮想平面S1上を延びる主配線91であり、残りの並列配線83bは、主配線91に沿った副配線92である。インダクタ部品1Kにおいては、副配線92は、主配線91と同一仮想平面S1上に位置する。
図11に示す例では、主配線91の配線幅及び副配線92の配線幅は、第1及び第2配線部31,41の配線幅と等しいが、必ずしも等しくなくてもよい。また、主配線91の配線幅と副配線92の配線幅とを異ならせてもよい。また、副配線92の線路長は、主配線91より長くてもよいし、主配線91より短くてもよい。例えば、副配線92は、主配線91よりも短く、主配線91の長手方向の中央部に沿って設けられてもよい。また、
図11では、副配線92の両端は、主配線91に接続されているが、第3接続部52に接続されてもよい。なお、第3インダクタ配線50Lは低抵抗インダクタ配線55Hであるため、第3配線部83は低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第3配線部83の両端に設けられた第3接続部52は低抵抗接続部の一例に該当する。
【0125】
このようにすると、第3インダクタ配線50Lの直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも容易に小さくすることができる。そして、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0126】
また、
図12(a)、
図12(b)及び
図12(c)に示すインダクタ部品1Lでは、低抵抗インダクタ配線55Iである第3インダクタ配線50Mの第3配線部101は、第3接続部52間で電気的に並列接続された2つの並列配線101a,101bからなる。2つの並列配線101a,101bのうち1つの並列配線101aは、仮想平面S1上を延びる主配線111であり、残りの並列配線101bは、仮想平面S1とは別の平面S2上で仮想平面S1と平行に延びる副配線112である。なお、本例のインダクタ部品1Lにおいては、平面S2は、本体20を構成する3つの磁性材料層のうち、下面20dを有する磁性材料層の主面であって、仮想平面S1と平行な平面である。副配線112は、仮想平面S1と垂直な方向に主配線111と重なる位置に位置する。インダクタ部品1Lでは、副配線112は、主配線111に対してインダクタ部品1Lの下面20d側(実装面と反対側)に位置しているが、主配線111に対してインダクタ部品1Lの上面20a側(実装面側)に位置するように構成されてもよい。副配線112は、両端部がビア配線113を介して主配線111の両端部に接続されている。
図12では、主配線111の配線幅及び副配線112の配線幅は、第1及び第2配線部31,41の配線幅と等しいが、必ずしも等しくなくてもよい。また、主配線111の配線幅と副配線112の配線幅とを異ならせてもよい。また、副配線112の線路長は、主配線111より長くてもよいし、主配線111より短くてもよい。例えば、副配線112は、主配線111よりも短く、主配線111の長手方向の中央部に沿って設けられてもよい。また、インダクタ部品1Lでは、副配線112の両端は、主配線111に接続されているが、第3接続部52に接続されてもよい。なお、第3インダクタ配線50Mは低抵抗インダクタ配線55Iであるため、第3配線部101は低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第3配線部101の両端に設けられた第3接続部52は低抵抗接続部の一例に該当する。
【0127】
このようにすると、第3インダクタ配線50Mの直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも容易に小さくすることができる。そして、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0128】
なお、上記の変更例は、上記第2実施形態の第4インダクタ配線50Aにおいても同様に実施可能である。即ち、上記の変更例は、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置するどの低抵抗インダクタ配線においても実施可能である。
【0129】
・上記第2実施形態では、インダクタ部品1Aは、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に第3インダクタ配線50と第4インダクタ配線50Aとの2つのインダクタ配線を備えている。しかしながら、インダクタ部品1Aは、第1インダクタ配線30と第3インダクタ配線50との間に、更に第5インダクタ配線を備えてもよい。
【0130】
例えば、
図13(a)及び
図13(b)に示すインダクタ部品1Mは、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に、第1インダクタ配線30が延びる仮想平面S1と平行に延びる1つの第3インダクタ配線121を有する。また、インダクタ部品1Mは、第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線121との間に、仮想平面S1と平行に延びる2つの第4インダクタ配線122A,122Bを有する。更に、インダクタ部品1Mは、第1インダクタ配線30と第3インダクタ配線121との間に、仮想平面S1と平行に延びる2つの第5インダクタ配線123A,123Bを有する。第3インダクタ配線121、第4インダクタ配線122A,122B及び第5インダクタ配線123A,123Bは、第1及び第2インダクタ配線30,40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55Jである。そして、第3インダクタ配線121は、第4インダクタ配線122A,122B及び第5インダクタ配線123A,123Bよりも直流電気抵抗が小さい。
【0131】
本例では、第3インダクタ配線121、第4インダクタ配線122A,122B及び第5インダクタ配線123A,123Bは、仮想平面S1上に位置する。そして、第1インダクタ配線30側から順に、第5インダクタ配線123B、第5インダクタ配線123A、第3インダクタ配線121、第4インダクタ配線122A、第4インダクタ配線122Bの順に等間隔に並んでいる。
【0132】
第3インダクタ配線121は、第3配線部121aと、第3配線部121aの両端に設けられた第3接続部52とを含む。第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線121との間に位置する第4インダクタ配線122Aは、第4配線部122aと、第4配線部122aの両端に設けられた第4接続部52Aとを含む。第1インダクタ配線30と第3インダクタ配線121との間に位置する第5インダクタ配線123Aは、第5配線部123aと、第5配線部123aの両端に設けられた第5接続部52Bとを含む。第2インダクタ配線40と第4インダクタ配線122Aとの間に位置する第4インダクタ配線122Bは、第4配線部122bと、第4配線部122bの両端に設けられた第4接続部52Aとを含む。第1インダクタ配線30と第5インダクタ配線123Aとの間に位置する第5インダクタ配線123Bは、第5配線部123bと、第5配線部123bの両端に設けられた第5接続部52Bとを有する。なお、第3乃至第5インダクタ配線121,122A,122B,123A,123Bは何れも低抵抗インダクタ配線55Jであるため、第3配線部121a、第4配線部122a,122b及び第5配線部123a,123bは、それぞれ低抵抗配線部の一例に該当する。更に、第3乃至第5接続部52,52A,52Bは、それぞれ低抵抗接続部の一例に該当する。
【0133】
第5配線部123a,123bは、並設方向F1と直交し且つ仮想平面S1と平行な方向に沿って直線状に延びる帯状をなしている。第5配線部123a,123bは、第1配線部31及び第2配線部41と平行に延びている。第5配線部123a,123bは、配線幅W1,W2及び厚さが一定に形成されている。また、第5配線部123a,123bの線路長は、第1配線部31の線路長及び第2配線部41の線路長と等しい。
【0134】
第5接続部52Bは、第3接続部52及び第4接続部52Aと同じ形状をなしている。但し、第5接続部52Bは、第3接続部52及び第4接続部52Aと異なる形状であってもよい。
【0135】
各第5接続部52Bには、第5垂直配線65が接続されている。第5垂直配線65は、本体20の内部に設けられている。第5垂直配線65は、第5インダクタ配線123A,123Bの各々から本体20の表面まで本体20の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。具体的には、第5垂直配線65は、第5接続部52Bの上面から仮想平面S1と垂直な方向に延びるとともに、磁性材料層22の内部を仮想平面S1と垂直な方向に貫通している。そして、第5垂直配線65の上端面は、本体20の上面20aから本体20の外部に露出している。また、第5垂直配線65は、第5接続部52Bに電気的に接続されている。本体20の上面20aから外部に露出した第5垂直配線65の上端面は、それぞれ第5外部端子75にて覆われている。第5垂直配線65は、例えば、第1乃至第4垂直配線61~64と同様の材料にて形成される。また、第5外部端子75は、例えば、第1乃至第4外部端子71~74と同様の材料にて形成される。
【0136】
インダクタ部品1Mにおいては、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど直流電気抵抗が小さい。
図13(a)には、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置を通り並設方向F1と垂直をなすとともに仮想平面S1と平行に延びる中心線L1を一点鎖線にて図示している。この中心線L1に最も近い、即ち第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に最も近い第3インダクタ配線121は、本例では中心線L1上に位置している。そして、この第3インダクタ配線121は、5つの低抵抗インダクタ配線55Jの中で直流電気抵抗が最も小さい。中心線L1に2番目に近い第4インダクタ配線122A及び第5インダクタ配線123Aは、第3インダクタ配線121の両隣に位置する。これら第4インダクタ配線122A及び第5インダクタ配線123Aは、5つの低抵抗インダクタ配線55Jの中で直流電気抵抗が2番目に小さい。そして、残りの第4インダクタ配線122B及び第5インダクタ配線123Bは、中心線L1に3番目に近いとともに、5つの低抵抗インダクタ配線55Jの中で直流電気抵抗が3番目に小さい。
図13に示す例では、第3乃至第5インダクタ配線121,122A,122B,123A,123Bの厚さは一定である。第3配線部121a、第4配線部122a,122b及び第5配線部123a,123bの配線幅を異ならせることにより、第3配線部121a、第4配線部122a,122b及び第5配線部123a,123bの断面積を異ならせて、直流電気抵抗の大きさを異ならせている。具体的には、中心線L1に最も近い第3インダクタ配線121の第3配線部121aの配線幅W3を最も太くするとともに、中心線L1に2番目に近い第4及び第5インダクタ配線122A,123Aの第4及び第5配線部122a,123aの配線幅W4,W2を2番目の太さにする。更に、中心線L1に3番目に近い第4及び第5インダクタ配線122B,123Bの第4及び第5配線部122b,123bの配線幅W5,W1を3番目の太さにする。但し、第4及び第5配線部122b,123bの配線幅W5,W1は、第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W21よりも太い。これにより、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど第3乃至第5配線部121a,122a,122b,123a,123bの断面積が大きくなる。
【0137】
なお、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど第3乃至第5配線部121a,122a,122b,123a,123bの断面積が大きくなるようにする方法は、これに限らない。例えば、配線幅W1~W5を全て一定として、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど第3乃至第5配線部121a,122a,122b,123a,123bの厚さが厚くなるようにしてもよい。また例えば、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど第3乃至第5配線部121a,122a,122b,123a,123bの幅が太く、且つ厚さが厚くなるようにしてもよい。
【0138】
一般的に、配線幅や線路長が同じように形成され、直流電気抵抗が同等である複数のインダクタ配線を備えたインダクタ部品の場合、同一仮想平面上に整列された複数のインダクタ配線は、両端のインダクタ配線の中間位置に近いインダクタ配線ほど温度が高くなりやすい。そこで、本例では、第4インダクタ配線122A,122Bの直流電気抵抗及び第5インダクタ配線123A,123Bの直流電気抵抗よりも第3インダクタ配線121の直流電気抵抗を小さくすることにより、第1及び第2インダクタ配線30,40の中間位置に最も近い低抵抗インダクタ配線55Jの直流電気抵抗を最も小さくしている。従って、第1乃至第5インダクタ配線30,40,121,122A,122B,123A,123Bに同様に電流が流れた場合であっても、特に熱がこもりやすい第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置付近で局所的に高温になることを抑制できる。その結果、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0139】
また、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど第3乃至第5配線部121a,122a,122b,123a,123bの断面積が大きくなるようにしている。これにより、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど直流電気抵抗が小さい構成とすることが容易にできる。更に、第1乃至第5インダクタ配線30,40,121,122A,122B,123A,123Bに同様に電流が流れた場合であっても、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線55Jほど発熱を抑制できる。
【0140】
なお、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に配置される複数の低抵抗インダクタ配線55Jの数は、5つに限ならない。例えば、第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線121との間に位置する低抵抗インダクタ配線55Jである第4インダクタ配線の数を、1つ、もしくは3つ以上としてもよい。また例えば、第1インダクタ配線30と第3インダクタ配線121との間に位置する低抵抗インダクタ配線55Jである第5インダクタ配線の数を、1つ、もしくは3つ以上としてもよい。
【0141】
また、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に複数の低抵抗インダクタ配線が位置する場合、必ずしも第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との中間位置に近い低抵抗インダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さくなるように構成しなくともよい。例えば、全ての低抵抗インダクタ配線の直流電気抵抗が等しくてもよい。
【0142】
また、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に複数のインダクタ配線が位置する場合、必ずしも全てのインダクタ配線が低抵抗インダクタ配線でなくともよい。第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置する複数のインダクタ配線のうち少なくとも1つのインダクタ配線が、第3インダクタ配線、即ち低抵抗インダクタ配線であればよい。
【0143】
・上記第1実施形態では、第1乃至第3垂直配線61~63は全て断面積が同じ大きさである。しかしながら、第1乃至第3垂直配線61~63の断面積の大きさは、互いに異なる大きさであってもよい。なお、垂直配線の断面積とは、電流の通過する面積を指し、具体的には、仮想平面と平行な断面の面積である。
【0144】
例えば、
図14(a)、
図14(b)及び
図14(c)に示すインダクタ部品1Nでは、低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50に接続される第3垂直配線130は、第1インダクタ配線30に接続される第1垂直配線61及び第2インダクタ配線40に接続される第2垂直配線62よりも断面積が大きい。インダクタ部品1Nにおいては、第3垂直配線130の直径が第1垂直配線61の直径及び第2垂直配線62の直径よりも大きい。このように、エレクトロマイグレーションが発生しやすい回路基板との接続部分に近い第3垂直配線130の断面積を大きくすることにより、第3垂直配線130での発熱を抑制するとともに放熱性を高めることができる。従って、インダクタ部品1Nと回路基板との接続部分でのエレクトロマイグレーションの発生をより抑制しやすくなる。なお、上記第2実施形態においても同様に変更してもよい。
【0145】
・
図15(a)、
図15(b)及び
図15(c)に示すように、本体20の仮想平面S1と平行な下面20dにも、外部に露出し第3垂直配線141を介して低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50に接続される第3外部端子142を設けてもよい。本例では、第3垂直配線141は、第3接続部52の下面から本体20の下面20dまで仮想平面S1と垂直な方向に本体20を貫通している。そして、第3外部端子142は、本体20の下面20dから露出した第3垂直配線141の下端面を覆っている。そして、第3垂直配線141は、第3接続部52及び第3外部端子142に電気的に接続されている。
【0146】
このようにすると、インダクタ部品1Pの実装の自由度を高めることができる。また、低抵抗インダクタ配線55の熱を、下面20dから外部に露出した第3外部端子142からも放熱することができる。従って、低抵抗インダクタ配線55の放熱性が向上されるため、低抵抗インダクタ配線55と回路基板との接続部分においてエレクトロマイグレーションが発生することを抑制できる。その結果、熱による信頼性の低下をより抑制できる。なお、上記第2実施形態においても同様に変更してもよい。
【0147】
・
図16(a)及び
図16(b)に示すインダクタ部品1Qのように、本体20の仮想平面S1と平行な上面20a及び下面20dの少なくとも一方に、外部に露出し第1乃至第3垂直配線61~63と電気的に接続されないダミー端子143を備えてもよい。本例では、ダミー端子143は、本体20の下面20dに設けられている。また、本例では、ダミー端子143は、本体20の下面20dにおいて、低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50の第3接続部52及び第3垂直配線63と、仮想平面S1と垂直な方向に重なる位置に設けられている。このようにすると、ダミー端子143から放熱できるため、熱による信頼性の低下をより抑制できる。
【0148】
・上記第1実施形態では、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50は、同一仮想平面S1上に位置しており、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50は、仮想平面S1の平面方向に並んでいる。しかしながら、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の並設方向はこれに限らない。
【0149】
図17(a)及び
図17(b)に示すインダクタ部品1Rは、本体20と、本体20の内部で第1仮想平面S11上に位置する第1インダクタ配線30と、本体20の内部で第1仮想平面S11と平行に延びる第2インダクタ配線40とを備えている。また、インダクタ部品1Rは、本体20の内部で第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との間に位置し、第1仮想平面S11と平行に延びる第3インダクタ配線50を有する。また、インダクタ部品1Rは、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の各々から延び第1仮想平面S11と垂直な方向に本体20を貫通する垂直配線を備えている。
【0150】
図17(a)では、インダクタ部品1Rにおいて第1インダクタ配線30の上側に位置する部分を省略して図示している。第2インダクタ配線40は、第1仮想平面S11と平行な第2仮想平面S12上に位置する。第3インダクタ配線50は、第1仮想平面S11と第2仮想平面S12との間に位置し、第1インダクタ配線30と第2インダクタ配線40との並設方向F2に沿って第1及び第2インダクタ配線30,40と並んでいる。即ち、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50が、第1仮想平面S11と垂直な方向に並んでいる。
【0151】
第1乃至第3インダクタ配線30,40,50は、第1仮想平面S11と垂直な方向(
図17(b)において上下方向)に積層されることにより、第1仮想平面S11と垂直な方向に等間隔に整列されている。従って、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の並設方向F2は、第1仮想平面S11と垂直な方向である。また、一部の図示を省略しているが、第1インダクタ配線30の第1接続部32と、第2インダクタ配線40の第2接続部と、第3インダクタ配線50の第3接続部とは、第1仮想平面S11の平面方向にずれた位置にある。そして、第1乃至第3接続部の各々から本体20の表面まで、図示しない垂直配線が延びるとともに、当該垂直配線は、本体20を並設方向F2に貫通して本体20の外部に露出している。並設方向F2における本体20の両端面のうち、第1インダクタ配線30側の端面を第1端面20e、第2インダクタ配線40側の端面を第2端面20fとすると、垂直配線は、例えば、第1端面20eから本体20の外部に露出する。この垂直配線は、上記実施形態の第1乃至第3垂直配線61~63と同様のものである。本体20の外部に露出した垂直配線の端面は、図示しない外部端子にて覆われている。但し、本体20の外部に露出した垂直配線の端面は、必ずしも外部端子にて覆われなくてもよい。
【0152】
第3インダクタ配線50は、第1インダクタ配線30及び第2インダクタ配線40よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線55である。本例においては、第1乃至第3インダクタ配線30,40,50の厚さは等しい。また、第1インダクタ配線30の第1配線部31の配線幅W11と、第2インダクタ配線40の第2配線部41の配線幅W21とが等しい。そして、第3インダクタ配線50の第3配線部51の配線幅W31は、第1及び第2配線部31,41の配線幅W11,W21よりも太い。これにより、第3インダクタ配線50の直流電気抵抗が第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗よりも小さくなる。低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50の直流電気抵抗を第1及び第2インダクタ配線30,40の直流電気抵抗より小さくする方法は、これに限らず、上記変更例に記載された方法を用いることができる。
【0153】
上記構成によれば、上記第1実施形態の(1-1),(1-2),(1-3),(1-5)と同様の効果を得ることができる。
また、本例において、第1インダクタ配線30の隣の第1端面20eと第1配線部31との間の距離T11を、第1インダクタ配線30の隣の低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50の第3配線部51と第1配線部31との間の距離T12よりも短くすることが可能である。更に、第2インダクタ配線40の隣の第2端面20fと第2配線部41との間の距離T13を、第2インダクタ配線40の隣の低抵抗インダクタ配線55である第3インダクタ配線50の第3配線部51と第2配線部41との間の距離T14よりも短くすることが可能である。このようにした場合、上記第1実施形態の(1-4)と同様の作用効果を得ることができる。
【0154】
なお、インダクタ部品1Rにおいて、第2インダクタ配線40と第3インダクタ配線50との間に低抵抗インダクタ配線である第4インダクタ配線を配置してもよい。更に、第1インダクタ配線30と第3インダクタ配線50との間に低抵抗インダクタ配線である第5インダクタ配線を配置してもよい。このようにしても、低抵抗インダクタ配線55付近で発熱が抑えられるため、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0155】
・インダクタ部品は、行列状に整列された複数のインダクタ配線を備えた構成であってもよい。
例えば、
図18(a)及び
図18(b)に示すインダクタ部品1Sは、本体20と、本体20の内部で行列状に整列された複数のインダクタ配線150と、インダクタ配線150の各々から本体20の表面まで本体20の内部を各列のインダクタ配線150の並設方向F3に貫通する垂直配線とを備えている。各行のインダクタ配線150は、それぞれ3つ以上並んでおり、行の両端に位置する2つのインダクタ配線150の中間位置に近いインダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さい。また、各列のインダクタ配線150は、それぞれ3つ以上並んでおり、列の両端に位置する2つのインダクタ配線150の中間位置に近いインダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さい。
【0156】
インダクタ部品1Sは、例えば、3行3列の行列状に整列された9つのインダクタ配線150を有する。これらインダクタ配線150が内部に配置される本体20は、上記実施形態の磁性材料層21,22と同様の磁性材料層が例えば4層積層されたものである。9つのインダクタ配線150のうち3つのインダクタ配線150は、本体20の内部で第1仮想平面S21上に、配線幅方向が並設方向となるように等間隔に並んでいる。また、別の3つのインダクタ配線150は、本体20の内部で第1仮想平面S21と平行な第2仮想平面S22上に、配線幅方向が並設方向となるように等間隔に並んでいる。また、残りの3つのインダクタ配線150は、本体20の内部で、第1仮想平面S21と平行をなし第1仮想平面S21と第2仮想平面S22との間に位置する第3仮想平面S23上に、配線幅方向が並設方向となるように等間隔に並んでいる。各仮想平面S21,S22、S23上に並ぶ3つずつのインダクタ配線150が、それぞれ行を構成している。なお、
図18(a)には、9つのインダクタ配線150のうち、第1仮想平面S21上に位置する3つのインダクタ配線150のみを図示している。
【0157】
また、第1仮想平面S21上の3つのインダクタ配線150と、第2仮想平面S22上の3つのインダクタ配線150と、第3仮想平面S23上の3つのインダクタ配線150とは、第1仮想平面S21と垂直な方向に3つずつインダクタ配線150が並ぶように積層されている。そして、第1仮想平面S21と垂直な方向に並ぶ3つずつのインダクタ配線150が、それぞれ列を構成している。即ち、各列を構成する3つずつのインダクタ配線150は、第1仮想平面S21と垂直な方向に並んでいる。
【0158】
各インダクタ配線150は、配線部151と、配線部151の両端に設けられた接続部152とを含む。9つのインダクタ配線150は、互いの配線部151が平行をなしている。各インダクタ配線150の接続部152は、第1仮想平面S21の平面方向にずれた位置にある。そして、各接続部152には図示しない垂直配線が接続されている。当該垂直配線は、接続部152から本体20の表面まで本体20を各列のインダクタ配線150の並設方向F3(本例では第1仮想平面S21と垂直な方向に同じ)に貫通して本体20の外部に露出している。この垂直配線は、上記実施形態の第1乃至第4垂直配線61~64と同様のものである。本体20の外部に露出した垂直配線の端面は、図示しない外部端子にて覆われている。この外部端子は、上記実施形態の第1乃至第4外部端子71~74と同様のものである。但し、本体20の外部に露出した垂直配線の端面は、必ずしも外部端子にて覆われなくてもよい。
【0159】
各行のインダクタ配線150は、行の両端に位置する2つのインダクタ配線150の中間位置に近いインダクタ配線150ほど直流電気抵抗が小さい。本例では、各インダクタ配線150の厚さは等しい。また、行の両端に位置する2つのインダクタ配線150の配線部151の配線幅(
図18(b)において左右方向の幅)は等しい。そして、行の中央のインダクタ配線150は、行の両端の2つのインダクタ配線150よりも配線部151の配線幅が太い。これにより、行の中央のインダクタ配線150は、行の両端の2つのインダクタ配線150よりも直流電気抵抗が小さくなる。なお、行の中央のインダクタ配線150の直流電気抵抗を行の両端の2つのインダクタ配線150の直流電気抵抗よりも小さくする方法は、これに限らず、上記変更例に記載された方法を用いることができる。
【0160】
また、各列のインダクタ配線150は、列の両端に位置する2つのインダクタ配線150の中間位置に近いインダクタ配線ほど直流電気抵抗が小さい。本例では、列の両端の2つのインダクタ配線150の配線部151の配線幅は等しい。そして、列の中央のインダクタ配線150は、列の両端の2つのインダクタ配線150よりも配線部151の配線幅が太い。これにより、列の中央のインダクタ配線150は、列の両端の2つのインダクタ配線150よりも直流電気抵抗が小さくなる。なお、列の中央のインダクタ配線150の直流電気抵抗を列の両端の2つのインダクタ配線150の直流電気抵抗よりも小さくする方法は、これに限らず、上記変更例に記載された方法を用いることができる。
【0161】
このようにすると、各行の各インダクタ配線150に同様に電流が流れた場合であっても、各行のインダクタ配線150において、行の両端に位置する2つのインダクタ配線150の中間位置に近い特に熱がこもりやすいインダクタ配線150ほど発熱し難い。よって、各行のインダクタ配線150において、行の両端に位置する2つのインダクタ配線150の間に位置するインダクタ配線150付近で局所的に高温になることが抑制される。その結果、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0162】
また、各行のインダクタ配線150において、行の両端の2つのインダクタ配線150に比べて、行の両端の2つのインダクタ配線150の間に位置するインダクタ配線150が高温になることが抑制される。そのため、各行のインダクタ配線150において、行の両端の2つのインダクタ配線150の間に位置するインダクタ配線150に接続された垂直配線と、インダクタ部品1Sが搭載される回路基板との接続部分において、エレクトロマイグレーションが発生することを抑制できる。
【0163】
同様に、各列の各インダクタ配線150に同様に電流が流れた場合であっても、各列のインダクタ配線150において、列の両端に位置する2つのインダクタ配線150の中間位置に近い特に熱がこもりやすいインダクタ配線150ほど発熱し難い。よって、各列のインダクタ配線150において、列の両端に位置する2つのインダクタ配線150の間に位置するインダクタ配線150付近で局所的に高温になることが抑制される。その結果、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0164】
また、各列のインダクタ配線150において、列の両端の2つのインダクタ配線150に比べて、列の両端の2つのインダクタ配線150の間に位置するインダクタ配線150が高温になることが抑制される。そのため、各列のインダクタ配線150において、列の両端の2つのインダクタ配線150の間に位置するインダクタ配線150に接続された垂直配線と、インダクタ部品1Sが搭載される回路基板との接続部分において、エレクトロマイグレーションが発生することを抑制できる。
【0165】
・上記各実施形態では、第1インダクタ配線30、第2インダクタ配線40、第3インダクタ配線50、第4インダクタ配線50Aは、直線状に延びている。しかしながら、インダクタ配線の形状は、これに限らず、例えばスパイラル配線であってもよい。スパイラル配線とは、平面(仮想平面を含む)上で延びる曲線(二次元曲線)の配線であって、当該曲線が描くターン数は1周を超えていても、一周未満であってもよく、一部直線部を有する配線であってもよい。また、インダクタ配線は、ミアンダ形状などの公知の形状の配線を用いることもできる。
【0166】
また、第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、略正方形ではなく、略長方形であってもよい。また、第1乃至第4接続部32,42,52,52Aは、四角形状に限らず、円形や楕円形、多角形、これらの組み合わせで形成される形状であってもよい。
【0167】
例えば、
図19(a)及び
図19(b)に示すインダクタ部品1Tの第1乃至第4インダクタ配線160,170,180A,180Bは、仮想平面S1上に渦巻き状に巻回された形状をなすスパイラル配線である。なお、
図19では省略して図示しているが、第1乃至第4インダクタ配線160,170,180A,180Bは、仮想平面S1と垂直な方向から見て渦巻き状に見えるように、2層で形成されている。具体的には、第1乃至第4インダクタ配線160,170,180A,180Bの各々は、仮想平面S1上で一方の端から一周回ったところ、即ち
図19(a)において配線が交差するところの近傍で、ビア配線を介して上層もしくは下層に移り、更に、移った層において他方の端まで延びている。
【0168】
第1インダクタ配線160と第2インダクタ配線170との間に位置する第3インダクタ配線180Aは、第1及び第2インダクタ配線160,170よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線185である。また、第2インダクタ配線170と第3インダクタ配線180Aとの間に位置する第4インダクタ配線180Bは、第1及び第2インダクタ配線160,170よりも直流電気抵抗が小さい低抵抗インダクタ配線185である。
【0169】
本例では、第1乃至第4インダクタ配線160,170,180A,180Bは厚さが等しい。そして、第3インダクタ配線180Aの第3配線部181aの配線幅が第1インダクタ配線160の第1配線部161の配線幅及び第2インダクタ配線170の第2配線部171の配線幅よりも太い。更に、第4インダクタ配線180Bの第4配線部181bの配線幅が、第1配線部161の配線幅及び第2配線部171の配線幅よりも太い。このように、第3配線部181aの配線幅及び第4配線部181bの配線幅を第1配線部161の配線幅及び第2配線部171の配線幅よりも太くすることにより、第3及び第4インダクタ配線180A,180Bの直流電気抵抗を、第1及び第2インダクタ配線160,170の直流電気抵抗よりも小さくしている。従って、第3及び第4インダクタ配線180A,180Bの発熱が抑制されるため、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【0170】
なお、第3インダクタ配線180Aは低抵抗インダクタ配線185であるため、第3配線部181aは低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第3配線部181aの両端に設けられた第3接続部52は低抵抗接続部の一例に該当する。また、第4インダクタ配線180Bは低抵抗インダクタ配線185であるため、第4配線部181bは低抵抗配線部の一例に該当するとともに、第4配線部181bの両端に設けられた第4接続部52Aは低抵抗接続部の一例に該当する。
【0171】
・上記各実施形態において、磁性材料層21,22は、金属磁性粉やフェライト粉などの磁性粉を含有した絶縁性樹脂よりなるものであってもよい。この場合、第1乃至第4インダクタ配線30,40,50,50Aの表面と本体20との間に、電気絶縁性を有する絶縁層を更に設けてもよい。また、本体20は、必ずしも磁性材料層21,22を含まなくてもよい。本体20は、磁性材料層21,22を含まず、非磁性フェライトやガラス、アルミナなどの非磁性の焼結体や、磁性体を含有しない非磁性の絶縁性樹脂からなる絶縁層、例えばシリカフィラーを含有するエポキシ樹脂などが積層されたものであってもよい。このような本体20を有するインダクタ部品においても、熱による信頼性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0172】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1K,1L,1M,1N,1P,1Q,1R,1S,1T…インダクタ部品、20…本体、20a…上面、20b…第1端面、20c…第2端面、20d…下面、20e…第1端面、20f…第2端面、21,22…磁性材料層、30,30A,160…第1インダクタ配線、31,33,161…第1配線部、32…第1接続部、40,40A,170…第2インダクタ配線、41,43,171…第2配線部、42…第2接続部、50,50C,50E,50G,50H,50I,50J,50K,50L,50M,121,180A…第3インダクタ配線、50A,50D,50F,122A,122B,180B…第4インダクタ配線、51,53,54,56,57,58,59,81,83,101,121a,181a…低抵抗配線部としての第3配線部、51A,53D,54F,122a,122b,181b…低抵抗配線部としての第4配線部、52…低抵抗接続部としての第3接続部、52A…低抵抗接続部としての第4接続部、52B…低抵抗接続部としての第5接続部、55,55A,55B,55C,55D,55E,55F,55G,55H,55I,55J,185…低抵抗インダクタ配線、61~65,130,141…垂直配線、71~75,142…外部端子、83a,83b,101a,101b…並列配線、111…主配線、112…副配線、123A,123B…第5インダクタ配線、123a,123b…低抵抗配線部としての第5配線部、143…ダミー端子、150…インダクタ配線、F1,F2,F3…並設方向、S1…仮想平面、S2…平面、S11…仮想平面、S21…仮想平面、T11…距離、T12…距離、T13…距離、T14…距離、W1~W5…配線幅、W11…配線幅、W21…配線幅、W31…配線幅、W31A…配線幅、W41…距離、W42…距離、W43…距離、W44…距離。