(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】合板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B27D 1/04 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B27D1/04 G
B27D1/04 A
(21)【出願番号】P 2019523985
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2018021955
(87)【国際公開番号】W WO2018225845
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017113053
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 孝志
(72)【発明者】
【氏名】清水 正文
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/035341(WO,A1)
【文献】特開2002-225009(JP,A)
【文献】特開2011-251486(JP,A)
【文献】特開平08-309711(JP,A)
【文献】特開2007-136876(JP,A)
【文献】特開2013-226680(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104772797(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 1/04
B32B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板であって、
(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、
(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、
(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きく、
(4)前記第1層の比重は0.50未満であ
り、
(5)前記第2層の厚みは1.0mm以上である、
ことを特徴とする合板。
【請求項2】
前記第1層はポプラ単板であり、前記第2層はユーカリ単板である、請求項1に記載の合板。
【請求項3】
前記第1層は中国産ポプラ単板である、請求項1に記載の合板。
【請求項4】
前記第1層は、広葉樹単板である、請求項1に記載の合板。
【請求項5】
前記第2層の比重は0.50以上である、請求項1に記載の合板。
【請求項6】
前記第2層は、前記第1層側の表面の少なくとも一部に節を有しており、前記第1層の節は、前記第2層の節より少ない、請求項1に記載の合板。
【請求項7】
前記合板の層数は、5層又は7層である、請求項1に記載の合板。
【請求項8】
床用化粧材用合板である、請求項1に記載の合板。
【請求項9】
前記第1層の厚みは0.6mm以上0.9mm以下である、請求項1に記載の合板。
【請求項10】
少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板の製造方法であって、
(I)前記第1層と前記第2層とを積層する工程1、及び
(II)前記工程1の後に、前記第1層の表面を研磨して、前記第1層の厚みを1.0m m未満に調整する工程2を有し、
(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、
(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、
(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きく、
(4)前記第1層の比重は0.50未満であ
り、
(5)前記第2層の厚みは1.0mm以上である、
ことを特徴とする合板の製造方法。
【請求項11】
少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板の製造方法であって、
(I)前記第1層として気乾比重0.40以上0.47以下のポプラ単板、及び、前記第2層として気乾比重0.50以上0.90以下
であり、厚みが1.0mm以上のユーカリ単板を用意する工程1、
(II)前記第1層と前記第2層とを積層する工程2、並びに、
(III)前記工程2の後に、前記第1層の表面を研磨して、前記第1層の厚みを1.0mm未満に調整する工程3を有する、
ことを特徴とする合板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床用化粧材等の化粧材を構成する木質基材として、合板が用いられている。合板とは、ロータリーレース、スライサー等により切削した単板(たんばん)と呼ばれる木材の薄板を用い、当該単板の繊維方向を互いにほぼ直角にして、複数枚の単板を接着して積層させた木質板である。
【0003】
化粧材に用いられる合板には、耐衝撃性等の物性や意匠性が要求される。このため、合板を構成する単板として、高硬度で平滑性に優れ、意匠性が良いラワン材やバーチ材等の、比重が0.50以上の高比重の単板が用いられている。化粧材に用いられる合板としては、このような高比重の単板を用いる高比重の単板のみが積層された合板や、最表層に高い比重の単板が積層され、それ以外の層の一部又はそれ以外の層の全部として低比重の単板が積層された合板が用いられている。
【0004】
上述のような合板として、合板基材に木質化粧単板を貼着させた木質基板であって、合板基材の表面単板として比重0.6以上の広葉樹を使用して成る木質基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上述のような高比重の単板であるラワン材、バーチ材等は、世界的な森林資源保護による伐採制限等の動きにより生産量が調整・削減されており、安定して供給されないという問題がある。
【0006】
上述の問題を解消するために、ラワン材、バーチ材の単板の代替えとして、ラワン材、バーチ材と比較して成長が速く、短期間で収穫できる早生樹の単板を用いることが検討されている。
【0007】
しかしながら、早生樹は成長が早いため、短期間で収穫できる一方で、比重が0.5未満と低比重となるものが多く、ラワン材、バーチ材等と比較して低硬度となる。このため、これらの種類の樹木の単板を積層した合板が、耐衝撃性に劣るという問題がある。
【0008】
従って、低比重の樹木を利用した、耐衝撃性に優れた合板及びその製造方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、耐衝撃性に優れた合板及び合板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも第1層及び第2層を有する合板において、第1層及び第2層が木質材であり、第1層の厚みは1.0mm未満であり、第2層の比重は、第1層の比重より大きい構成とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の合板及び合板の製造方法に関する。
1.少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板であって、
(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、
(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、
(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きく、
(4)前記第1層の比重は0.50未満である、
ことを特徴とする合板。
2.前記第1層はポプラ単板であり、前記第2層はユーカリ単板である、項1に記載の合板。
3.前記第1層は中国産ポプラ単板である、項1に記載の合板。
4.前記第1層は、広葉樹単板である、項1に記載の合板。
5.前記第2層の比重は0.50以上である、項1に記載の合板。
6.前記第2層は、前記第1層側の表面の少なくとも一部に節を有しており、前記第1層の節は、前記第2層の節より少ない、項1に記載の合板。
7.前記合板の層数は、5層又は7層である、項1に記載の合板。
8.床用化粧材用合板である、項1に記載の合板。
9.前記第1層の厚みは0.6mm以上0.9mm以下である、項1に記載の合板。
10.少なくとも第1層及び第2層を有する合板の製造方法であって、
(I)前記第1層と前記第2層とを積層する工程1、及び
(II)前記工程1の後に、前記第1層の表面を研磨して、前記第1層の厚みを1.0mm未満に調整する工程2を有し、
(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、
(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、
(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きく、
(4)前記第1層の比重は0.50未満である、
ことを特徴とする合板の製造方法。
11. 少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板の製造方法であって、
(I)前記第1層として気乾比重0.40以上0.47以下のポプラ単板、及び、前記第2層として気乾比重0.50以上0.90以下のユーカリ単板を用意する工程1、
(II)前記第1層と前記第2層とを積層する工程2、並びに、
(III)前記工程2の後に、前記第1層の表面を研磨して、前記第1層の厚みを1.0mm未満に調整する工程3を有する、
ことを特徴とする合板の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の合板は、耐衝撃性に優れている。また、本発明の合板の製造方法は、耐衝撃性に優れた合板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の合板の層構成の一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の合板の層構成の一例を示す模式図である。
【
図3】耐衝撃試験評価における凹み量の測定方法の一例を示す模式図である。
【
図4】比重の測定方法の一例を示す模式図である。(a)は合板を一定の大きさに切り出した図、(b)は測定対象である層の厚みを薄くした図である。
【
図5】比重の測定方法の一例を示す模式図である。(a)は合板を一定の大きさに切り出した図、(b)は測定対象である層の上に積層されている層を表面から厚み方向に削って全て除去した図、(c)は測定対象である層の厚みを薄くした図である。
【
図6】本発明の合板を用いた化粧材の一例を示す2面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の合板、及び合板の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明の合板は、合板の第1層側の面がいわゆる「おもて面」であり、意匠層と積層される側の面である。よって、本明細書では、合板の第1層側の面の方向を「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する。
【0016】
1.合板
本発明の合板は、少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板であって、(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きく、(4)前記第1層の比重は0.50未満であることを特徴とする。
【0017】
上記特徴を有する本発明の合板は、第1層側から衝撃が加えられた際に、第1層に加わる衝撃を第2層でも受け止めることにより最終的に合板としての凹み量が抑制される。このため、本発明の合板は、優れた耐衝撃性を示すことができる。
【0018】
なお、本明細書において、「合板」とは、ロータリーレース、スライサー等により切削した単板(たんばん)を用い、当該単板の繊維方向を互いにほぼ直角にして、複数枚の単板を接着して積層させた木質板を意味する。なお上記単板は、3枚以上の奇数枚を木目が互いに直交するように積層されていることがより好ましい。
【0019】
また、本明細書における「比重」は、以下の測定方法によって測定される値である。すなわち、合板を一定の大きさ、例えば10×10cmの大きさに切り出す(
図4(a))。このときの合板の表面積をS(cm
2)とする。上述の10×10cmの場合であれば、Sは100cm
2となる。切り出した合板を、乾燥器中で103±2℃の温度条件下で72時間放置して乾燥させる。次いで、比重を測定する測定対象である層が、最表層に位置する場合(例えば、第1層)、乾燥後の合板の重量m0(g)及び厚みh0(cm)を測定する。次いで、測定対象である層(第1層)を表面から厚み方向に削って測定対象である層の一部を除去し、測定対象である層の厚みを薄くする(
図4(b))。測定対象である層の一部を除去後の合板の重量m1(g)及び厚みh1(cm)を測定する。上記測定値から、以下の式に基づいて測定対象である層の比重Gを測定する。
G=[m0(g)-m1(g)]/[(h0(cm)-h1(cm))×S(cm
2)] (式)
なお、上記式においては、単位はg/cm
3であるが、当該単位を省略して比重とする。
【0020】
なお、測定対象である層が合板の最表層に位置しない場合(例えば、
図5(a)の第2層22)、測定対象である層の最表層側に積層されている層(例えば、第1層)を表面から厚み方向に削って全て除去し、測定対象である層を最表層として(
図5(b))、上述の測定方法により測定対象である層の一部を除去し、測定対象である層の厚みを薄くして(
図5(c))、比重を測定すればよい。
【0021】
また、比重を測定する際は、合板を任意に3つ切り出して上述の方法によりそれぞれの比重Gを算出し、その3つの平均値を比重の測定値とする。なお、比重は、節を除いた部分で測定することを基本とする。
【0022】
(第1層)
第1層としては、後述するように、第2層の比重よりも小さく、その比重が0.50未満であればその樹木の種類は限定されない。第1層としては、広葉樹単板が好ましい。第1層としては、具体的には、早生樹であるポプラ単板、ファルカタ単板等が挙げられる。これらの中でも、低比重の中でも比較的比重が高く、表面の平滑性に優れ、節が少ない点で、ポプラ単板がより好ましい。また、ポプラ単板としては、中国産ポプラを用いたポプラ単板を好適に用いることができる。
【0023】
なお、本明細書において、「ポプラ」とは、ヤナギ科に代表されるセイヨウハコヤナギやアメリカクロヤマナラシ、ヨーロッパクロヤマナラシ等を意味しており、それらの育成種や種間雑種も含まれる。また、モクレン科のイエローポプラと称されるアメリカンホワイトウッド等も含まれる。
【0024】
また、本明細書において「中国産ポプラ」とは、イタリーポプラまたは暖帯系ポプラと称されていることが多く、中国国内で育種・育林されている早生樹ポプラを意味する。
【0025】
第1層の比重は、後述する第2層の比重より小さく、0.50未満であれば特に限定されない。第1層の比重の好ましい下限値としては0.40超以上、0.42以上、0.45以上が挙げられ、好ましい上限値としては0.48以下、0.47以下が挙げられる。なお、第1層の比重の範囲としては、0.42以上0.47以下が特に好ましい。上述の範囲の比重であることにより、本発明の合板が、より一層優れた耐衝撃性を示す。
【0026】
第1層の厚みは1.0mm未満である。第1層の厚みが1.0mm以上であると、合板の第1層側から加えられた衝撃の大半を第1層が受け止めることとなり、第1層の凹み量が多くなることで、当該凹みにより外観が低下する。第1層の厚みは、0.9mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましい。また、第1層の厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上が更に好ましく、また、第1層と第2層の収縮率の違いから発生する可能性のある割れを避けるためには0.7mm以上が特に好ましい。第1層の厚みが上記範囲であると、第2層の節や木目や割れ、欠け等の軽微な凹凸が合板の表面から視認されることを一層抑制する。なお、第1層の厚みの範囲としては、0.6mm以上0.9mm以下が特に好ましい。
【0027】
第1層は、表面に節が目立たないことが好ましく、さらには節を有しないことが特に好ましい。第1層の表面の節が目立たない、或いは節を有しないことにより、本発明の合板の表面の平滑性がより一層向上する。また、第1層は、表面に節を有する場合であっても、第2層の節よりも少ないことが好ましい。
【0028】
(第2層)
第2層としては、比重が第1層の比重よりも大きければその樹木の種類は限定されない。第2層としては、比較的高比重である点で、ユーカリ単板が好ましい。
【0029】
第2層の比重は、第1層の比重より大きい。第2層の比重は0.50以上が好ましく、0.55以上がより好ましい。また、上限値としては0.90以下が好ましく、0.75以下がより好ましく、0.65以下が更に好ましく、さらには0.60未満が特に好ましい。上述の範囲の比重であることにより、本発明の合板が、より一層耐優れた耐衝撃性や加工時の優れた切削性を示す。なお、第2層の比重の範囲としては、0.55以上0.60未満が特に好ましい。
【0030】
第2層の厚みは特に限定はないが、1.0mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましい。第2層の厚みの下限が上記範囲であると、本発明の合板が、より一層耐優れた耐衝撃性を示す。
【0031】
第2層は、表面の少なくとも一部に節を有していてもよい。本発明の合板は、上記第1層を有するので、第2層が表面の少なくとも一部に節を有する場合であっても、合板の表面から当該節が視認されることを抑制することができる。
【0032】
本発明の合板の層構成は、少なくとも第1層及び第2層を有しており、合板用原木を薄く削った薄板である単板を何枚か貼り合わせていれば特に限定されない。本発明の合板においては、上記単板は、奇数枚を木目が互いに直交するように貼り合わされていることがより好ましい。
【0033】
本発明の合板は、少なくとも上から順に第1層及び第2層を有していれば、他の木質層を有する層構成であってもよい。このような層構成としては、第1層を最表面として、当該第1層の下に第2層が積層され、さらには、その下に他の木質層が積層されて、奇数の木質層を有する層構成が挙げられる。このような層構成としては、例えば、
図1の合板1のように、上から順に第1層11/第2層12/第3層13/第4層14/第5層15を有する合板、
図2の合板2のように、上から順に第1層21/第2層22/第3層23/第4層24/第5層25/第6層26/第7層27を有する合板が挙げられる。合板の木質層の数は、5層又は7層に限られず、何層であってもよいが、3~9層が好ましく、5~7層がより好ましい。また、合板の反りをより一層抑制することができる点で、上記合板の木質層の数は奇数であることが好ましい。
【0034】
合板の総厚みは特に限定はされず、内装材として用いる場合の施工容易性を考慮すると、5.0mm以上30.0mm以下が好ましく、下限値としては、5.5mm以上がより好ましく、7.5mm以上、9.0mm以上が特に好ましい。また上限値としては、15.5mm以下がより好ましく、12.5mm以下が更に好ましい。なお、9.0mm以上12.5mm以下が特に好ましい厚みであり、この場合、上記木質層の層数は5~7層が好ましく、特に7層が好ましい。また15mm前後の厚みの場合には、9層が特に好ましい。なおリビングや廊下などのフローリング材といった一般的な木質フローリング材の厚みは、通常約8mm、約12mm、約15mm等である。また、後述する意匠層を積層する場合、当該意匠層を含めて、全体の層厚みにて約8mm、約12mm、約15mmとされるのが一般的である。
【0035】
上記
図1の合板1において、所謂フェイスと称される表面の第1層11と所謂バックと称される裏面の第5層15として同じ種類の樹木の単板を用いる。第2層12から第4層14としては同じ種類の樹木の単板を用いてもよいし、第3層13を第1層11、第5層15と同じ種類の樹木の単板を用いてもよい。また、第2層12及び第4層14は、同じ種類の樹木の単板を用いることが好ましい。このような
図1の合板の具体的な層構成を例示すると、上から順に、ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板を有する層構成や、ポプラ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板を有する層構成等が挙げられる。
【0036】
上記
図2の合板2において、所謂フェイスと称される表面の第1層21と所謂バックと称される裏面の第7層27として同じ種類の樹木の単板を用いる。第2層22から第6層26として同じ種類の樹木の単板を用いてもよいが、第1層21、第3層23、第5層25、及び第7層27として、同じ種類の樹木の単板を用いることが好ましい。また、第2層22、第4層24及び第6層26は、同じ種類の樹木の単板を用いることが好ましい。このような
図2の合板の具体的な層構成としては、上から順に、ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板を有する層構成や、ポプラ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板を有する層構成、ポプラ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板を有する層構成等が挙げられる。
【0037】
本発明の合板は、意匠層と積層することにより化粧材として用いることができる。意匠層としては、化粧材に意匠性を付与することができれば特に限定されず、例えば、天然の木材をスライスした突板や合成樹脂等で構成される化粧シートが挙げられる。本発明の合板は、上述の構成であるので、耐衝撃性に優れている。このため、本発明の合板は、意匠層と積層して化粧材とする際に、例えば、1mm以上といった厚みの意匠層を用いる必要がなく、意匠層と合板との線膨張率の差等により発生する反りが抑制されている。以上より、本発明の合板は、意匠層と積層することにより床用化粧材用合板として好適に用いることができる。
【0038】
化粧材の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。上記製造方法としては、例えば、合板の第1層上に、意匠層を積層する工程を含む製造方法が挙げられる。
【0039】
上記合板の第1層上に、意匠層を積層する方法としては特に限定されず、直接印刷や転写、さらには接着剤層を介してこれらの層を積層する方法等が挙げられる。接着剤層を形成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ウレタン、アクリル、ウレタン・アクリル、ウレタン・アクリル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする水溶性エマルジョン系や溶剤系、PURに例示される反応性ホットメルト系の接着剤が挙げられる。これらの中でも、作業容易性の点で水溶性エマルジョン系接着剤、反応性ホットメルト系接着剤が好ましく、積層工程後の外観が優れる点で反応性ホットメルト系接着剤がより好ましい。上記接着剤の硬化方法としては、1液型硬化、2液型硬化、熱硬化、湿気硬化、電子線や紫外線等の電離放射線硬化が挙げられる。接着剤層の厚さは限定的ではないが、0.1~50μm程度が好ましい。
【0040】
上記化粧材としては、少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板の、前記第1層上に意匠層を有する化粧材であって、
(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、
(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、
(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きい化粧材が挙げられる。
【0041】
上記合板は、上記に説明した本発明の合板を用いることができる。上記化粧材は、上記合板の第1層上に意匠層を有している。すなわち、上記化粧材は、第1層の、第2層が積層される側とは反対側の面に、意匠層が積層されている。
【0042】
図6に、上記化粧材の一例を示す。
図6は、化粧材の一例を示す2面図である。
図6に記載の化粧材は、合板2の第1層21の上に意匠層5が積層されて形成されている。
図6に記載の化粧材は、合板にサネ(実)加工が施されており、紙面の上側に向かって突出する凸部である雄サネA、及び、紙面の下側に形成された凹部である雌サネBを有している。
図6に記載の化粧材は、サネ加工が施されることにより、雄サネAと雌サネBとを勘合させてサネ組み施工することが可能となっており、床用化粧材としてより一層好適に用いることができる。
【0043】
以下、意匠層について説明する。
【0044】
(意匠層)
意匠層としては、本発明の合板に意匠性を付与することができれば特に限定されず、例えば、天然の木材をスライスした突板;メラミン化粧板等の、熱硬化型樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を高温高圧で積層成形した樹脂化粧板;合成樹脂製等で構成される化粧シートが挙げられる。それ以外に合板の表面に着色や印刷により模様を設けてもよいし、また転写により意匠を形成してもよい。
【0045】
なお、本明細書において、突板は、ナラ材、カバ材等の木材を、0.2mm以上0.6mm以下程度の厚みで薄くスライスした美しい木目を持つ希少な天然板材である。なお、突板の表面には後述する表面保護層を塗布することができる。
【0046】
樹脂化粧板に用いる熱硬化型樹脂としては、従来公知の熱硬化型の樹脂を広く使用することができる。熱硬化型樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。このような意匠層としては、含浸紙として浸透性のある紙、合成紙、不織布等のシート状の繊維質基材に、上記熱硬化型樹脂を含浸させた樹脂化粧板を、単層又は複数層重ねて高温高圧で成形したものが挙げられる。
【0047】
意匠層の総厚みは、0.10mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましく、0.30mm以上が更に好ましい。意匠層の総厚みの下限が上記範囲であると、化粧材の耐衝撃性がより一層向上する。また、意匠層の総厚みは、1.0mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましく、0.6mm以下が更に好ましく、0.45mm以下が特に好ましい。意匠層の総厚みの上限が上記範囲であると、化粧材の反りをより一層抑制することができる。なお、0.25mm以上0.45mm以下が特に好ましい。
【0048】
上記意匠層として化粧シートを用いることにより、化粧材の耐衝撃性をより一層向上させることができ、耐候性、耐水性に優れる。以下、化粧シートの構成について、具体的に説明する。
【0049】
化粧シートの構成は特に限定されず、例えば、基材シート、絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び表面保護層を順に有するものが好ましい。更に後述する合成樹脂製バッカー層上に基材シート、絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び表面保護層を順に有するものも好ましい。また基材シート、絵柄層(ベタインキ層・柄インキ層)、及び表面保護層を順に有するものも用いることができる。以下、この意匠層を例示的に説明する。なお、合成樹脂製バッカー層とは、意匠層の裏面側に位置するように積層され、木質基材などの表面凹凸の影響を緩和するとともに意匠層自体に耐衝撃性能を付与する合成樹脂製の層であり、意匠層の一部を構成する。
【0050】
(基材シート)
基材シートとしては、1)薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、2)木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等からなる織布又は不織布、3)ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン等の合成樹脂製シート、の1種又は2種以上の積層体が挙げられる。その中でも、3)の合成樹脂製シートが好ましい。
【0051】
基材シートの厚みは、20~300μm程度が好ましい。基材シートは、必要に応じて着色されていてもよい。また、表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよいし、隣接する層との密着性を高めるための下地塗料であるプライマーが塗布されていてもよい。
【0052】
(絵柄層)
絵柄層は、柄インキ層及び/又はベタインキ層から構成される。絵柄層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法により形成できる。柄インキ層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様等が挙げられる。ベタインキ層は、着色インキのベタ印刷により得られる。絵柄層は、柄インキ層及びベタインキ層の片方又は両方から構成される。
【0053】
絵柄層に用いるインキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種又は2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものが使用できる。この中でも、環境問題、被印刷面との密着性等の観点より、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
【0054】
(透明性接着剤層)
透明性接着剤層は、必要に応じて絵柄層と透明性樹脂層との間に設けられる。透明性接着剤層は、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を塗布・乾燥させることにより得られる。
【0055】
透明性接着剤層は、乾燥後の厚みが0.1~30μm程度が好ましく、1~5μm程度がより好ましい。
【0056】
(透明性樹脂層)
透明性樹脂層は、透明性の樹脂層であれば特に限定されず、例えば、透明性の熱可塑性樹脂により好適に形成できる。
【0057】
具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等の合成樹脂が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0058】
透明性樹脂層は、着色されていてもよい。この場合は、熱可塑性樹脂に着色剤を添加すればよい。着色剤としては、絵柄層で用いる顔料又は染料が使用できる。
【0059】
透明性樹脂層には、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えば、ゴム)等の各種の添加剤を含めてもよい。
【0060】
(表面保護層)
表面保護層(透明性表面保護層)は、意匠層に要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。更に、耐候性をより一層向上させることができる観点から、電子線硬化型樹脂が最も好ましい。
【0061】
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
【0062】
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
【0063】
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5~50μm、好ましくは5~40μm程度である。
【0064】
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0065】
電離放射線としては、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が好ましく、電子線がより好ましい。
【0066】
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190~380nm程度である。
【0067】
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100~1000keV程度が好ましく、100~300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2~15Mrad程度が好ましい。
【0068】
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
【0069】
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル-N,N-ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
【0070】
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1~10質量部程度である。
【0071】
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。溶液の塗布量としては、固形分として概ね5~50μm、好ましくは5~40μm程度である。
【0072】
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
【0073】
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1~80質量部程度である。
【0074】
(合成樹脂製バッカー層)
上記化粧シートは、化粧シートの最下層、すなわち意匠層の合板側に合成樹脂製バッカー層を有することが好ましい。合成樹脂製バッカー層を有することにより、化粧材の耐衝撃性がより一層向上する。
【0075】
合成樹脂製バッカー層を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、非晶性ポリエステル(A-PET)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。
【0076】
合成樹脂製バッカー層の厚みは、0.10~0.60mmが好ましく、下限値としては0.13以上、0.15以上がさらに好ましく、上限値としては、0.45以下、0.30以下、0.25以下、0.20以下がさらに好ましい。合成樹脂製バッカー層の厚みの下限が上記範囲であることにより、化粧材の耐衝撃性がより一層向上する。また、合成樹脂製バッカー層の厚みの上限が上記範囲であることにより、化粧材の反りがより一層抑制される。なお、0.13~0.25が特に好ましい範囲である。
【0077】
各層の積層は、例えば、基材シートの一方の面に絵柄層(ベタインキ層、柄インキ層)を印刷により形成後、絵柄層上にTダイ押出し法等で透明性樹脂を積層するか、或いは、2液硬化型ウレタン樹脂等の公知のドライラミネーション用接着剤を介して透明性樹脂層をドライラミネーション法で積層し、さらに表面保護層を形成して意匠層中間体を作製し、Tダイ押出し法等で作製した合成樹脂層バッカー層と、意匠層中間体とを熱ラミネートにより積層する方法により行うことができる。
【0078】
化粧シートには、透明性樹脂層側や表面保護層側からエンボス加工を施すことにより凹凸模様を形成してもよい。凹凸模様は、加熱プレス、ヘアライン加工等により形成できる。凹凸模様としては、導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が挙げられる。
【0079】
化粧シートは、上述の構成であるので、本発明の合板に積層し、化粧材とした場合、耐衝撃性に優れており、反り及び合板割れが抑制される。このため、上記化粧材は、床用化粧材として好適に用いることができる。
【0080】
2.合板の製造方法
本発明の合板の製造方法は、少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板の製造方法であって、
(I)前記第1層と前記第2層とを積層する工程1、及び
(II)前記工程1の後に、前記第1層の表面を研磨して、前記第1層の厚みを1.0mm未満に調整する工程2を有し、
(1)前記第1層及び前記第2層は木質材であり、
(2)前記第1層の厚みは1.0mm未満であり、
(3)前記第2層の比重は、前記第1層の比重より大きく、
(4)前記第1層の比重は0.50未満である製造方法である。当該製造方法を、製造方法1と称する。
【0081】
(工程1)
工程1は、第1層と第2層とを積層する工程である。上記第1層及び上記第2層、並びにそれらの厚み、比重については、上述の合板において説明した内容と同一である。
【0082】
第1層と第2層とを積層する方法としては特に限定されず、第1層と第2層との間に接着剤を塗布して積層し、多段式ホットプレス機等のプレス機を用いて圧力0.69~1.18MPa程度、温度100~130℃程度の条件で3~7分程度の熱圧プレスを行い積層すればよい。
【0083】
合板が、
図1及び
図2のように、第1層及び第2層、そしてそれ以外の木質層を有する場合、各層の層間に接着剤を塗布して積層し、上記熱圧プレスにより積層すればよい。なお各層間に用いた接着剤は
図1や
図2に図示せず省略する。また、接着剤により形成される接着剤層は、上記に説明した本発明の合板を形成する第1層~第7層等の層には含まれない。
【0084】
接着剤としては特に限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化型接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル-尿素系など)等の接着剤も挙げられる。
【0085】
以上説明した工程1により、第1層と第2層、及びそれ以外の木質層とが積層される。
【0086】
(工程2)
工程2は、工程1の後に、第1層の表面を研磨して、第1層の厚みを1.0mm未満に調整する工程である。工程1により、第1層と第2層とを積層した後に、工程2により第1層の表面を研磨することにより、第1層の厚みを均一化することができる。
【0087】
第1層の表面を研磨する研磨方法としては特に限定されず、サンディングベルト、プレーナー、バフ、ブラシ等を用いて研磨することができる。中でも、研磨後の第1層の表面を平滑にすることができる点で、サンディングベルトを用いた研磨方法が好ましい。
【0088】
工程2では、研磨後の第1層の厚みが1.0mm未満であればよく、研磨前の第1層の厚みは、1.0mm以上であってもよい。研磨前の第1層の厚みは特に限定されず、0.8~1.3mm程度であることが好ましい。
【0089】
工程2においては、第1層の表面を研磨すると共に、作製した合板の第1層が積層されている面とは反対側の面の木質層も研磨して、厚みを調整してもよい。例えば、
図1のように、合板1が、第1層11の反対側の面に第5層15を有する場合は、第1層11の表面を研磨すると共に、第5層15の表面も研磨してもよい。また、
図2のように、合板2が、第1層21の反対側の面に第7層27を有する場合は、第1層21の表面を研磨すると共に、第7層27の表面全体の厚み調整等として研磨してもよい。
【0090】
以上説明した工程2により、第1層の厚みが1.0mm未満に調整される。
【0091】
本発明の合板の製造方法は、また、少なくとも上から順に第1層及び第2層を有する合板の製造方法であって、
(I)前記第1層として気乾比重0.40以上0.47以下のポプラ単板、及び、前記第2層として気乾比重0.50以上0.90以下のユーカリ単板を用意する工程1、
(II)前記第1層と前記第2層とを積層する工程2、並びに、
(III)前記工程2の後に、前記第1層の表面を研磨して、前記第1層の厚みを1.0mm未満に調整する工程3を有する合板の製造方法である。当該製造方法を製造方法2と称する。
【0092】
製造方法2における工程1は第1層として気乾比重0.40以上0.47以下のポプラ単板、及び、第2層として気乾比重0.50以上0.90以下のユーカリ単板を用意する工程である。製造方法2では、気乾比重が上記範囲である第1層及び第2層を用意し、以下に説明する工程2に供する。
【0093】
製造方法2における工程2及び3は、上記工程1により用意した、気乾比重が上記範囲である第1層及び第2層を用いること以外は、上述の製造方法1における工程1及び2と同一である。製造方法2では、第1層に気乾比重0.40以上0.47以下のポプラ単板を用い、第2層に気乾比重0.50以上0.90以下のユーカリ単板を用いることで、耐衝撃性に優れた合板を製造することができる。
【0094】
なお、本明細書において、気乾比重とは、気乾状態における木材の重量をその容積で除して算出される比重を意味しており、気乾状態とは、含水率が15%であるときの木材の状態である。
【0095】
以上説明した製造方法2により、耐衝撃性に優れた合板を製造することができる。
【実施例】
【0096】
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0097】
なお、以下の実施例、比較例及び参考例において、作製した合板から各層の比重を測定したところ、以下の通りであった。
ポプラ単板:0.43
ユーカリ単板:0.55
【0098】
実施例1
(合板の作製)
第1層として、ポプラをスライスすることにより、厚み1.3mm、比重0.43のポプラ単板を用意した。また、第2層として、ユーカリをスライスすることにより、厚み2.7mm、比重0.55のユーカリ単板を用意した。さらに、第3層、第5層、第7層として上記第1層と同様のポプラ単板を用意し、第4層、第6層として上記第2層と同様のユーカリ単板を用意した。用意したポプラ単板及びユーカリ単板を、隣接する木質層の木目方向が直交するようにして、ユリア系接着剤を介して第1層から第7層まで上から順にポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板の層構成となるように積層し、木質層の積層体を調製した。
【0099】
上記木質層の積層体を、多段式ホットプレス機を用いて圧力0.78MPa、温度110℃の条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせた。熱圧プレスにより、ポプラ単板の厚みは1.2mm、ユーカリ単板の厚みは2.5mmとなり、積層体の総厚みは12.3mmであった。
【0100】
第1層の厚みが0.9mm、合板の総厚みが11.5mmとなるように、第1層及び第7層をサンディング研磨した。すなわち、第1層から第6層までのそれぞれの厚みは0.9mm/2.5mm/1.2mm/2.5mm/1.2mm/2.5mmであり、第7層をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みが11.5mmである合板を作製した。
【0101】
実施例2
第1層及び第2層の樹木の種類及び厚みを表1のようにするとともに、第3層から第7層として実施例1と同様の単板を積層した。すなわち、第1層から第7層までのそれぞれの層を、上記実施例1と同様の製造方法を用いて積層するとともに厚み調整を行い、ポプラ単板0.8mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mmとし、第7層としてのポプラ単板をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みを11.5mmとした。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0102】
実施例3
第1層及び第2層の樹木の種類及び厚みを表1のようにするとともに、第3層から第7層として実施例1と同様の単板を積層した。すなわち、第1層から第7層までのそれぞれの層を、上記実施例1と同様の製造方法を用いて積層するとともに厚み調整を行い、ポプラ単板0.6mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mmとし、第7層としてのポプラ単板をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みを11.5mmとした。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0103】
実施例4
(合板の作製)
第1層として、ポプラをスライスすることにより、厚み1.4mm、比重0.43のポプラ単板を用意した。また、第2層として、ユーカリをスライスすることにより、厚み2.7mm、比重0.55のユーカリ単板を用意した。さらに、第3層、第5層、第7層として上記第1層と同様のポプラ単板を用意し、第4層、第6層として上記第2層と同様のユーカリ単板を用意した。用意したポプラ単板及びユーカリ単板を、隣接する木質層の木目方向が直交するようにして、ユリア系接着剤を介して第1層から第7層まで上から順にポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板の層構成となるように積層し、木質層の積層体を調製した。
【0104】
上記木質層の積層体を、多段式ホットプレス機を用いて圧力0.78MPa、温度110℃の条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせた。熱圧プレスにより、ポプラ単板の厚みは1.3mm、ユーカリ単板の厚みは2.5mmとなり、積層体の総厚みは12.7mmであった。
【0105】
第1層及び第2層の樹木の種類及び厚みを表1のようにした。すなわち、第1層から第7層までのそれぞれの層を、ポプラ単板0.3mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.3mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.3mm/ユーカリ単板2.5mmとし、第7層としてのポプラ単板をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みを11.5mmとした。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0106】
実施例5
(合板の作製)
第1層として、ポプラをスライスすることにより、厚み3.5mm、比重0.43のポプラ単板を用意した。また、第2層として、ユーカリをスライスすることにより、厚み3.5mm、比重0.55のユーカリ単板を用意した。さらに、第3層、第5層として上記第1層と同様のポプラ単板を用意し、第4層として上記第2層と同様のユーカリ単板を用意した。用意したポプラ単板及びユーカリ単板を、隣接する木質層の木目方向が直交するようにして、ユリア系接着剤を介して第1層から第5層まで上から順にポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板の層構成となるように積層し、木質層の積層体を調製した。
【0107】
上記木質層の積層体を、多段式ホットプレス機を用いて圧力0.78MPa、温度110℃の条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせた。熱圧プレスにより、ポプラ単板の厚みは3.2mm、ユーカリ単板の厚みは3.2mmとなり、積層体の総厚みは16.0mmであった。
【0108】
合板の層数を5層とし、第1層及び第2層の樹木の種類及び厚みを表1のようにした。すなわち、第1層から第5層までのそれぞれの層を、ポプラ単板0.9mm/ユーカリ単板3.2mm/ポプラ単板3.2mm/ユーカリ単板3.2mmとし、第5層としてのポプラ単板をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みを11.5mmとした。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0109】
実施例6
第1層及び第2層の樹木の種類及び厚みを表1のようにするとともに、第3層から第7層として実施例1と同様の単板を積層した。すなわち、第1層から第7層までのそれぞれの層を、上記実施例1と同様の製造方法を用いて積層するとともに厚み調整を行い、ファルカタ単板0.6mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mmとし、第7層としてのポプラ単板をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みを11.5mmとした。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0110】
実施例7
(合板の作製)
第1層として、ポプラをスライスすることにより、厚み1.3mm、比重0.43のポプラ単板を用意した。また、第2層として、ユーカリをスライスすることにより、厚み2.2mm、比重0.55のユーカリ単板を用意した。さらに、第7層として上記第1層と同様のポプラ単板を用意し、第3層から第6層として上記第2層と同様のユーカリ単板を用意した。用意したポプラ単板及びユーカリ単板を、隣接する木質層の木目方向が直交するようにして、ユリア系接着剤を介して第1層から第7層まで上から順にポプラ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板の層構成となるように積層し、木質層の積層体を調製した。
【0111】
上記木質層の積層体を、多段式ホットプレス機を用いて圧力0.78MPa、温度110℃の条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせた。熱圧プレスにより、ポプラ単板の厚みは1.2mm、ユーカリ単板の厚みは2.0mmとなり、積層体の総厚みは12.4mmであった。
【0112】
第1層の厚みが0.8mm、合板の総厚みが11.5mmとなるように、第1層及び第7層をサンディング研磨した。すなわち、第1層から第6層までのそれぞれの厚みは0.8mm/2.0mm/2.0mm/2.0mm/2.0mm/2.0mmであり、第7層をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みが11.5mmである合板を作製した。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0113】
実施例8
(合板の作製)
第1層として、ポプラをスライスすることにより、厚み1.3mm、比重0.43のポプラ単板を用意した。また、第2層として、ユーカリをスライスすることにより、厚み2.1mm、比重0.55のユーカリ単板を用意した。さらに、第9層として上記第1層と同様のポプラ単板を用意し、第3層から第8層として上記第2層と同様のユーカリ単板を用意した。用意したポプラ単板及びユーカリ単板を、隣接する木質層の木目方向が直交するようにして、ユリア系接着剤を介して第1層から第9層まで上から順にポプラ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ユーカリ単板/ポプラ単板の層構成となるように積層し、木質層の積層体を調製した。
【0114】
上記木質層の積層体を、多段式ホットプレス機を用いて圧力0.78MPa、温度110℃の条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせた。熱圧プレスにより、ポプラ単板の厚みは1.2mm、ユーカリ単板の厚みは1.9mmとなり、積層体の総厚みは15.7mmであった。
【0115】
第1層の厚みが0.6mm、合板の総厚みが14.5mmとなるように、第1層及び第9層をサンディング研磨した。すなわち、第1層から第8層までのそれぞれの厚みは0.6mm/1.9mm/1.9mm/1.9mm/1.9mm/1.9mm/1.9mm/1.9mmであり、第9層をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みが14.5mmである合板を作製した。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0116】
比較例1
第1層及び第2層の樹木の種類及び厚みを表1のようにするとともに、第3層から第7層として実施例1と同様の単板を積層した。すなわち、第1層から第7層までのそれぞれの層を、上記実施例1と同様の製造方法を用いて積層するとともに厚み調整を行い、ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mm/ポプラ単板1.2mm/ユーカリ単板2.5mmとし、第7層のポプラ単板をサンディング研磨することにより厚みを調整して、合板の総厚みを11.5mmとした。それ以外は実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0117】
(評価)
上述のようにして作製された実施例及び比較例の合板について、以下の方法により評価を行った。
【0118】
(1)耐衝撃試験(デュポン衝撃試験)
「JISK5600-5-3(1999) 塗料一般試験方法 塗膜の機械的性質-第3節:耐おもり落下性 デュポン式」に記載のデュポン衝撃試験に従って、実施例及び比較例で得られた合板の表面上に、半径6.35mmの半球形状の先端を有した撃ち型を静置させ、当該撃ち型上に500gのおもりを高さ300mmから落下させた。凹み量を、
図3で示すようにして測定器(株式会社尾崎製作所 T2-127)で測定し、下記合板の評価基準に従って評価した。本試験において、合板がB以上の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
[合板の評価基準]
A:600μm以下
B:600μmを超え、700μm以下
C:700μmを超える
【0119】
結果を表1に示す。
【0120】
【0121】
参考例1
(化粧シートの作製)
両面コロナ放電処理した60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムの一方の面にウレタンセルロース系樹脂(ウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により、裏面プライマー層を形成した。裏面プライマー層は1μmであった。
【0122】
次いで、アクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をバインダーとする印刷インキを用いてグラビア印刷によりベタインキ層及び柄インキ層を順次形成し、木目及び抽象模様のインキ層を形成した。インキ層は3μmであった。
【0123】
次に、ウレタン系接着剤を絵柄層上に塗工した後、その上からプロピレン系樹脂を厚さ80μmとなるようにTダイ押し出し機で加熱溶融押し出しして透明性樹脂層を形成した。
【0124】
上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗工して表面保護層用プライマー層を形成した。表面保護層用プライマー層は1μmであった。
【0125】
表面保護層用プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で塗工し、乾燥した後、未硬化の電子放射線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させて電子放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成した。表面保護層は15μmであった。
【0126】
続いて、表面保護層側から版深50μmの木目導管状エンボス版又は木肌・抽象調エンボス版でエンボス加工を施して木目導管状又は木肌・抽象調の凹凸模様を形成し、厚みが0.16mmの意匠層中間体を得た。
【0127】
A-PET(非晶性ポリエステル)をTダイ押し出し機にて共押し出し法により合成樹脂シート(合成樹脂製バッカー層)を製膜した。バッカー層の厚みは0.25mmであり、マルテンス硬さは150N/mm2であった。
【0128】
意匠層中間体の裏面プライマー層にさらにウレタン系接着剤層を介在させて合成樹脂製バッカー層をドライラミネート法により積層し、意匠層である化粧シートを作製した。化粧シートの厚みは0.41mmであった。
【0129】
(合板の作製)
実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0130】
(化粧材の作製)
化粧シートの合成樹脂製バッカー層側の面と、合板の第1層側の面とを、反応性ホットメルト系(PUR)接着剤(厚み50μm)を介して貼り合わせ、所定の寸法(145mm×900mm)に裁断して、化粧材を作製した。
【0131】
参考例2
バッカー層の厚みを0.13mmとし、プロピレン系樹脂の厚さを80μmから60μmに変更した以外は参考例1と同様にして、化粧シートを作製した。化粧シートの厚みは0.27mmであった。
【0132】
参考例3
バッカー層の厚みを0.20mmにした以外は参考例2と同様にして、化粧シートを作製した。化粧シートの厚みは0.34mmであった。
【0133】
参考例4
(合板の作製)
実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0134】
(化粧材の作製)
意匠層を形成する突板として、厚み0.20mmのナラ材の突板を用意した。突板と、合板の第1層側の面とを、熱硬化型のフェノール系接着剤を介して貼り合わせた。
【0135】
次いで、突板の表面にウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料をナチュラルロールコート法、リバースロールコート法、ナチュラルロールコート法の順で3度塗布して10g/m2の塗膜からなる下塗層を形成した。直ちに空気中において有電極紫外線ランプで紫外線を照射して、下塗層を硬化させた。
【0136】
次いで、硬化した下塗層上にナチュラルロールコート法で12g/m2の塗膜からなる中間層を形成した。直ちに空気中において有電極紫外線ランプで紫外線を照射して中間層を硬化させた。硬化した中間層表面を360番研磨紙で研磨すると共に、研磨の際に発生した粉を除去した。
【0137】
次いで、硬化した中間層表面に、ナチュラルロールコート法で10g/m2の塗膜からなる上塗層を形成した。酸素濃度が0.5%の窒素ガス雰囲気下において、無電極紫外線ランプで上塗層に紫外線を照射して硬化させて、表面保護層を形成した。所定の寸法(145mm×900mm)に裁断して、化粧材を作製した。表面保護層の厚みは30μmであった。
【0138】
参考例5
(合板の作製)
実施例1と同様にして、合板を作製した。
【0139】
(化粧材の作製)
意匠層として、化粧シートの代わりに下記方法で作製した高圧メラミン化粧板を用意した。すなわち、坪量30g/m2の白チタン紙の一方の面に、ウレタン系樹脂をバインダーとする印刷インキを用いて、グラビア印刷によりインキ層を形成し、絵柄模様を印刷した。インキ層の厚みは3μmであった。次いで、メラミンホルムアルデヒド樹脂50質量部、水45質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂組成物を調製し、メラミン樹脂が100g/m2(乾燥時)の割合となるように、含浸装置を用いて絵柄模様上から含浸させ、乾燥させることによりメラミン含浸化粧シートを作製した。次いで、クラフト紙に、フェノール樹脂からなる樹脂組成物を含浸させて調製した、坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙2枚の上に、メラミン含浸化粧シートを積層して積層体を作製した。当該積層体を、2枚のプレス板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2、成型温度150℃、保持時間10分間の条件で加熱成型し、高圧メラミン化粧板(厚み0.4mm)を作製した。
【0140】
化粧シートに代えて、高圧メラミン化粧板を用いた。高圧メラミン化粧板と、合板の第1層側の面とを貼り合わせる際に用いた接着剤を、水溶性エマルジョン系接着剤に変更し、塗布厚みを35μmにした。それ以外は参考例1と同様にして、化粧材を作製した。水溶性エマルジョン系接着剤は、以下のものを用いた。
【0141】
水溶性エマルジョン系接着剤
主剤:「BA-10L」ジャパンコーティングレジン株式会社製、変性エチレン・酢酸ビニル系
硬化剤:「BA-11B」ジャパンコーティングレジン株式会社製、イソシアネート系
配合比:主剤:硬化剤=100:2.5(質量比)
【0142】
(評価)
上述のようにして作製された参考例の化粧材について、上記評価方法により耐衝撃試験を行い、凹み量を測定した。
【0143】
結果を表2に示す。
【0144】
【0145】
表2の結果から、合板が化粧材としての使用に適するものであることが分かった。
【符号の説明】
【0146】
1,2,4.合板
11,21.第1層
12,22.第2層
13,23.第3層
14,24.第4層
15,25.第5層
211.厚みを薄くした第1層
221.厚みを薄くした第2層
26.第6層
27.第7層
m.測定器
A.雄サネ
B.雌サネ