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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20221122BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20221122BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20221122BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20221122BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K8/42
A61K8/35
A61Q11/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019557228
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2018043517
(87)【国際公開番号】W WO2019107338
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2017230416
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川延 勇介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康彦
(72)【発明者】
【氏名】宮越 美妃
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-115115(JP,A)
【文献】特開2000-247851(JP,A)
【文献】特開昭61-165317(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106511112(CN,A)
【文献】国際公開第2005/063182(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が1,000以上20,000以下のポリアクリル酸塩、及び
(B)サンショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、カプサイシン、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、スピラントール及びメントール誘導体から選ばれる1種以上
を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分のポリアクリル酸塩の重量平均分子量が1,000以上10,000以下である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
メントール誘導体が、メンチルエステル、メンタンカルボキサミド及びメンチルエーテルから選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
【請求項4】
メントール誘導体が、メンチルラクテート、モノメンチルサクシネート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド及び3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオールから選ばれる1種以上である請求項3記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)成分が、サンショウ抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、スピラントール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド及びN-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミドから選ばれる1種以上である請求項1~4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(A)成分を0.01~2質量%、(B)成分を純分として0.000001~0.2質量%含有する請求項1~5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項7】
更に、(C)ノニオン性界面活性剤を0.01~10質量%含有する請求項1~6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項8】
ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキルグルコシドから選ばれる1種以上である請求項7記載の口腔用組成物。
【請求項9】
歯磨剤又は洗口剤である請求項1~8のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温感剤、冷感剤等の感覚刺激成分による口腔刺激が抑制され、かつ香味発現性が良い口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物において、その使用実感を高めることは継続使用にも繋がり、効果向上を期待できる面からも、一般的に香料が配合され、例えばメントール等の清涼剤を使用してスッキリとした使用実感を与えた市販製品は数多く存在する。更に、前記香料のアクセント剤として種々の感覚刺激成分、例えばトウガラシ抽出物等の温感剤や非メントール系の冷感剤を配合し、香料の効果をより改善することが行われているが、これら感覚刺激成分由来の刺激の発現が懸念されるという問題があった。
【0003】
従来、香料を構成する香料成分由来の苦味や刺激の緩和剤として、甘味剤や無機塩、更にはノニオン性界面活性剤を応用することは検討されている。また、香料成分のメントール等による刺激、苦味を低減させる方法として、甘味成分や無機塩の添加等の方法が提案され(特許文献1;特開2000-178152号公報、特許文献2;特開2002-212041号公報)、サッカリン等の甘味剤によって刺激や苦みをマスキングして低減する方法もあるが、これらの方法は、配合量の増量によって味が強調され過ぎたりすることの懸念があり、刺激を抑える効果は十分とは言い難い。
【0004】
一方、ポリオキシエチレン系等のノニオン性界面活性剤は、香料成分の可溶化剤や安定化剤としての役割もあり、エマルションとして応用する技術も提案されている(特許文献3;特開2011-168506号公報)。また、ポリオキシエチレン系のノニオン性界面活性剤を組合せて配合すると、香料の清涼感を損なわず安定化し、苦味もない使用性の高い口腔用組成物が得られることが提案されている(特許文献4;特開2013-241378号公報)。しかし、ノニオン性界面活性剤には、特有の苦味を有するものがあり、また、多く配合し過ぎると香料の香味立ちや使用感の悪化に繋がることもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-178152号公報
【文献】特開2002-212041号公報
【文献】特開2011-168506号公報
【文献】特開2013-241378号公報
【文献】特公平7-29907号公報
【文献】特開2000-247851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、温感剤、冷感剤等の感覚刺激成分による口腔刺激が抑制され、かつ香味発現性が良い口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、重量平均分子量が特定値以下のポリアクリル酸塩に、特定の感覚刺激物質による口腔刺激を低減させる作用があり、前記の特定のポリアクリル酸塩及び特定の感覚刺激物質を組み合わせて口腔用組成物に配合すると、前記感覚刺激物質による口腔刺激が抑制され、かつ香味発現性が良く香味立ちが優れること、また、外観安定性も良好となることを知見した。
即ち、本発明によれば、(A)重量平均分子量が1,000以上20,000以下のポリアクリル酸塩と、(B)サンショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、カプサイシン、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、スピラントール及びメントール誘導体から選ばれる1種以上とを口腔用組成物に配合することによって、感覚刺激成分である(B)成分による口腔刺激が抑制され、かつ香味発現性が良く、また、外観安定性も良好に維持できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
口腔用組成物用の粘結剤としてポリアクリル酸又はその塩は公知であるが、一般的に重量平均分子量10万以上、通常は30万程度の架橋型のポリアクリル酸又はその塩が用いられている。これに対して、本発明では、重量平均分子量が20,000以下である(A)成分のポリアクリル酸塩が、(B)成分による口腔刺激、例えば口腔内の粘膜で感じられる刺激を抑制するという、今まで知られていなかった作用効果を奏することがわかった。更に、(A)及び(B)成分を組み合わせると、配合香料による香味の発現性が悪化することがなく、香味立ちが良く、味も良い使用感を与えることもできた。また、更に(C)ノニオン性界面活性剤を配合すると、上記作用効果がより優れ、しかも、経時においても製剤の外観安定性が優れることがわかった。これにより、本発明では、重量平均分子量が20,000を超えるポリアクリル酸塩を使用した場合には達成し得ない格別顕著な作用効果を得ることができた。
後述の表5中の比較例にも示すように、(B)成分を含み、(A)成分を含まない場合は、重量平均分子量20,000超のポリアクリル酸塩を含んでいても、口腔刺激性(刺激の抑制効果)が劣り、香味発現性及び外観安定性も悪く(比較例3)、更にノニオン性界面活性剤のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含んでいても、口腔刺激性及び香味発現性が劣っていた(比較例4)。なお、(A)成分を含まず(B)成分を含むと、ノニオン性界面活性剤を含んでも香味発現性及び味(異味のなさ)が悪く、使用感が低下した(比較例2)。これに対して、表1~4、6中の実施例に示すように、本発明の(A)及び(B)成分を含有する口腔用組成物は、口腔刺激性(刺激の抑制効果)が優れ、香味発現性、味(異味のなさ)及び外観安定性も良好であった。
分子量が比較的低いポリアクリル酸重合体を歯石抑制に応用したり、ステインによる歯牙着色を抑制するコーティング剤に応用する技術は提案されている(特許文献5;特公平7-29907号公報、特許文献6;特開2000-247851号公報)。しかし、特許文献5、6から、本発明における(A)成分を(B)成分に組み合わせることによる口腔刺激の抑制は想起できない。
【0009】
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)重量平均分子量が1,000以上20,000以下のポリアクリル酸塩、及び
(B)サンショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、カプサイシン、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、スピラントール及びメントール誘導体から選ばれる1種以上
を含有する口腔用組成物。
〔2〕
(A)成分のポリアクリル酸塩の重量平均分子量が1,000以上10,000以下である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
メントール誘導体が、メンチルエステル、メンタンカルボキサミド及びメンチルエーテルから選ばれる1種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
メントール誘導体が、メンチルラクテート、モノメンチルサクシネート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド及び3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオールから選ばれる1種以上である〔3〕に記載の口腔用組成物。
〔5〕
(B)成分が、サンショウ抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、スピラントール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド及びN-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミドから選ばれる1種以上である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
(A)成分を0.01~2質量%、(B)成分を純分として0.000001~0.2質量%含有する〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
更に、(C)ノニオン性界面活性剤を0.01~10質量%含有する〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔8〕
ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びアルキルグルコシドから選ばれる1種以上である〔7〕に記載の口腔用組成物。
〔9〕
歯磨剤又は洗口剤である〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感覚刺激成分による口腔刺激が抑制され、また、香味発現性が良く、外観安定性も優れる口腔用組成物を提供できる。本発明では、感覚刺激成分による口腔刺激が抑制され、香味立ちも良いことから、効果実感の向上を期待することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)重量平均分子量が1,000以上20,000以下のポリアクリル酸塩と、(B)サンショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、カプサイシン、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、スピラントール及びメントール誘導体から選ばれる1種以上とを含有する。
【0012】
(A)成分のポリアクリル酸塩は、重量平均分子量(Mw)が1,000以上20,000以下である。この場合、特に口腔刺激の抑制効果及び香味発現性の点から、重量平均分子量は1,000以上であり、好ましくは2,000以上であり、また、20,000以下であり、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下である。重量平均分子量が1,000未満であると、口腔刺激の抑制効果及び香味発現性が劣る。20,000を超えると、口腔刺激の抑制効果及び香味発現性が低下し、十分な効果が得られない。
【0013】
上記重量平均分子量の測定は、GPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー法)により、特許第5740859号公報に記載された方法及び測定条件で行った。具体的には下記に示す(以下同様)。
重量平均分子量の測定方法;
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC-MALLS)を用いて測定された値であり、条件は以下の通りである。
移動相:0.3M NaClO4
NaN3水溶液カラム:TSKgelα-M 2本
プレカラム:TSKguardcolumn α
標準物質:ポリエチレングリコール
【0014】
(A)成分のポリアクリル酸塩は、口腔刺激の抑制効果の点から、直鎖状のポリアクリル酸塩が好ましい。
塩としては、一価塩が好ましく、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩がより好ましく、更に好ましくはアルカリ金属塩であり、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられるが、ナトリウム塩が特に好ましい。
このようなポリアクリル酸塩としては、ポリサイエンス社や東亞合成(株)から販売されている市販品を使用し得る。
具体的な市販品として、ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:1,000);直鎖状,ポリサイエンス社製、ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:6,000);直鎖状,東亞合成(株)製,AC-10NP,AC-10NPD,アロンT-50、ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:8,000);直鎖状,ポリサイエンス社製、ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:20,000);直鎖状,東亞合成(株)製,アロンA-20UN等を使用することができる。
【0015】
なお、(A)成分のポリアクリル酸塩は、通常、歯磨剤に使用される粘結剤の架橋型のポリアクリル酸塩よりも重量平均分子量が低く、粘結剤として公知のポリアクリル酸塩とは異なるものである。
(A)成分に代えて、(A)成分以外のポリアクリル酸塩を使用した場合は、口腔刺激の抑制効果が劣り、本発明の目的は達成されない。
【0016】
(A)成分の配合量は、組成物全体の0.01~2%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.01~1%、更に好ましくは0.05~0.5%である。0.01%以上であると、十分な口腔刺激の抑制効果及び香味発現性が得られる。2%以下であると、香味発現性や味を良好かつ十分に維持できる。
【0017】
(B)成分は、サンショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、カプサイシン、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、スピラントール及びメントール誘導体から選ばれる。これらは、温感剤又は冷感剤としても知られている感覚刺激成分であり、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0018】
サンショウ抽出物、トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、カプサイシン、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン及びスピラントールから選ばれる成分(B1)は、温感剤としても知られている。前記抽出物は、市販されている溶媒等による当該植物の抽出物を用いることができ、エキス、精油等が使用できる。また、サンショオールはサンショウ抽出物から、カプサイシンはトウガラシ抽出物から、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンはいずれもジンジャー抽出物から、スピラントールエキスはオランダセンニチ抽出物から、それぞれを公知の方法を採用して単離することができ、これらを用いることができる。
なお、具体的に原料は、市販の水蒸気蒸留による精油や、溶媒等による抽出物、二酸化炭素を用いた超臨界抽出物を用いることができる。
抽出溶媒は、水や、エタノール等の低級1価アルコールを使用することができ、抽出条件、後処理は通常の方法を採用できる。
(B1)成分としては、中でも、口腔刺激の抑制効果及び香味発現性の両方をより効果的に与える点で、サンショウ抽出物、オランダセンニチ抽出物、サンショオール、スピラントールが好ましく、より好ましくはサンショウ抽出物、サンショオール、スピラントール、特に好ましくはサンショウ抽出物、サンショオールであり、サンショウ抽出物、特にサンショウの二酸化炭素を用いた超臨界抽出物が更に好ましい。
これらは市販品、具体的にはシチュアンペッパーアブソリュートCO2エキストラクト(シャラボ(株)製)、トウガラシエキス((株)永廣堂本店製)、スピラントール(高砂香料工業(株)製)、ジンジャーオレオレジン(塩野香料(株)製)等を使用できる。
【0019】
また、メントール誘導体(B2)は、冷感剤としても知られており、メンチルエステル、メンタンカルボキサミド及びメンチルエーテルから選ばれる1種以上であることが好ましい。例えばメンチルラクテート、モノメンチルサクシネート等のメンチルエステル、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド等のメンタンカルボキサミド、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール等のメンチルエーテルが挙げられる。中でも、メンタンカルボキサミドが好ましく、特にN-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、N-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミドが好ましい。
メントール誘導体(B2)は、市販品を用いることができる。具体的には、下記のものが挙げられる。
メンチルラクテート(フレスコラット(Frescolat)(登録商標)ML、シムライズ社製)
モノメンチルサクシネート(フィスクール(Physcool)(登録商標)、ヴェ・マン・フィス社製)
N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド(WS-3、シムライズ社製)
N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシアミド(WS-5、シムライズ社製)
N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド(エバークール(Evercool)(登録商標)G-180、ジボダンジャパン社製)
N-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド(エバークール(Evercool)(登録商標)G-190、ジボダンジャパン社製)
3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール(クーリングエージェント10、高砂香料工業(株)製)
(B1)、(B2)成分は、各々単独で、又は(B1)及び(B2)成分を組み合わせて用いることができる。
【0020】
(B)成分の配合量は、組成物全体の0.000001~0.2%(抽出物の場合は溶媒を除いた抽出純分量)が好ましく、より好ましくは0.00001~0.04%、更に好ましくは0.00002~0.02%である。0.000001%以上であると、満足な配合効果が得られ、香味発現性も良い。0.2%以下であると、口腔刺激の抑制効果が十分に得られ、また、それ自身による異味(苦味や渋味)が十分に抑えられ味も良い。
更に、(B)成分の総配合量が上記範囲内において、(B1)成分の好ましい配合量は、組成物全体の0.000001~0.2%、特に0.00001~0.02%である。各成分の好ましい配合量は、それぞれ組成物全体の0.000001~0.2%、特に0.00001~0.02%である。
また、(B)成分の総配合量が上記範囲内において、(B2)成分の好ましい配合量は、組成物全体の0.00001~0.2%、特に0.002~0.02%である。
【0021】
本発明において、(A)成分に対する(B)成分の配合割合は、特に限定されないが、上記した各成分の配合量を満たす範囲内で設定することができる。
【0022】
本発明の口腔用組成物は、更に、(C)ノニオン性界面活性剤を含有することができる。(A)及び(B)成分に加えて(C)成分を配合すると、(C)成分が可溶化剤及び刺激緩和の向上剤として作用し、(A)成分による口腔刺激の抑制効果及び外観安定性が更に向上する。
(C)ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのうち、香味発現性及び使用感(味)の悪化を防止する点で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、とりわけ好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシドである。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が12~30、特に12~20であり、エチレンオキサイドの平均付加モル数(平均付加EO)が3~30であることが好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、平均付加EOが10~100であることが好ましい。アルキルグルコシドは、アルキル基の炭素数が8~16、特に12~14であることが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12~18であることが好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が16~18であり、平均付加EOが10~40であることが好ましく、飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0023】
(C)ノニオン性界面活性剤を配合する場合、その配合量は、組成物全体の0.01~10%が好ましく、より好ましくは0.01~5%である。この範囲内であると、口腔刺激の抑制効果がより向上し、外観安定性がより優れる。また、香料の香味発現性も良好である。
【0024】
本発明の口腔用組成物は、特に、練歯磨、液状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤や洗口剤として、中でも歯磨剤、とりわけ練歯磨剤として好適に調製できる。この場合、上記成分に加えて、その他の公知成分を本発明の効果を妨げない範囲で任意成分として添加、配合できる。例えば界面活性剤、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、更に必要により甘味剤、防腐剤、着色剤、香料、各種有効成分等を配合でき、これら成分と水とを混合して製造することができる。
【0025】
界面活性剤は、(C)成分に加えて、それ以外のもの、例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。
アニオン性界面活性剤は、炭素数が好ましくは12~14、特に12のアルキル基を有するアルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩等が挙げられる。アシルアミノ酸塩及びアシルタウリン塩のアシル基は、それぞれ炭素数12~14が好ましく、より好ましくは12である。具体的にアルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩等が挙げられる。アシルアミノ酸塩としては、ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩、ラウロイルサルコシン塩等のアシルサルコシン塩等が挙げられる。アシルタウリン塩としては、ラウロイルメチルタウリン塩等が挙げられる。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、特にアルキル硫酸塩、アシルサルコシン塩、アシルタウリン塩が好ましい。中でも、炭素数12の炭化水素基(ラウリル基)を有するアニオン性界面活性剤が好ましく、特にアルキル硫酸塩(ナトリウム塩)が、他の界面活性剤よりも味、使用感等の点で優れることから、より好ましい。
両性界面活性剤は、炭素数12~14のアシル基を有するアシルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインが挙げられる。アシルアミノ酢酸ベタインとしては、ラウロイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、特にアシルアミノ酢酸ベタインが好ましい。中でも、炭素数12の炭化水素基(ラウリル基)を有するものが好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが、より好ましい。
これら(C)成分以外の界面活性剤の配合量は、通常、0.01~10%、特に0.01~5%である。
【0026】
研磨剤は、例えば無水ケイ酸、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、第4リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤、ゼオライト、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用し得るが、中でも、口腔刺激の抑制及び使用性の観点から、無水ケイ酸等のシリカ系研磨剤、リン酸カルシウム系研磨剤といった無機研磨剤が好ましく、特に無水ケイ酸がよい。
研磨剤の配合量は、0~50%、特に3~30%、とりわけ5~20%が好ましい。多く配合し過ぎないほうが、口腔刺激の抑制の点からは好ましい。なお、洗口剤では、研磨剤の配合量は0~10%、特に0~5%が好ましい。
【0027】
粘結剤は、例えばアルギン酸誘導体、キサンタンガム等のガム類、重量平均分子量20,000超の架橋型のポリアクリル酸塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体といった有機粘結剤、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル等の無機粘結剤である(配合量は通常、0.3~10%)。
【0028】
粘稠剤は、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる(配合量は通常、5~70%)
【0029】
甘味剤は、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、グリチルリチン酸ジカリウム、ペリラルチン、ソーマチン、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステルが挙げられ、防腐剤は、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムが挙げられる。着色剤は、青色1号、黄色4号、二酸化チタンが挙げられる。
【0030】
香料は、(B)成分の他に、一般的な口腔用香料成分を使用できる。例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及びメントール、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を使用でき、実施例の香料に限定されない。
上記の香料素材は、成分により異なるが、口腔用組成物全体の0.000001~1%の範囲で使用するのが好ましい。特に、ペパーミント油(精製油含む)、スペアミント油(精製油含む)、和種ハッカ油(精製油含む)、メントール及びカルボンから選ばれる成分の1種以上を含有する香料とすることが好ましい。前記成分は口腔用組成中0.05~1%の範囲で使用することが好ましく、0.1~0.8%の範囲で使用することがより好ましい。
上記香料素材を使用した賦香用香料は、組成物中に0.001~2%配合するのが好ましく、0.1~2%がより好ましい。
なお、(B)成分を含む香料として口腔用組成物に配合する場合、(B)成分は、上記(B)成分に関する記載の範囲内で使用することができる。
【0031】
任意の有効成分としては、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤;塩化セチルピリジニウム等のカチオン性殺菌剤;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)等の酵素;モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート;フッ化ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸等の抗炎症剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等の知覚過敏改善剤;グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウムや、塩化亜鉛、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛等の亜鉛化合物;グルコン酸銅、硫酸銅等の銅化合物;ポリリン酸ナトリウム等の水溶性無機リン酸化物;ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類;オウバクやチャ等の生薬が挙げられる。これら有効成分は、1種又は2種以上で使用でき、また、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【0032】
口腔用組成物のpH(25℃)は、通常範囲でよく、pH5~9、特に6~8がよい。なお、公知のpH調整剤を添加してpH調整してもよく、塩酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を使用できる。
【実施例
【0033】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
また、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC-MALLS)を用いて上記と同様の方法及び測定条件で測定した。
【0034】
[実施例、比較例]
表1~6に示す組成の口腔用組成物(洗口剤又は練歯磨)を常法によって調製し、これらを試験組成物として使用し、下記方法で評価した。結果を表1~6に併記した。
【0035】
(1)使用感(口腔刺激性)の評価方法
10人の被験者モニターが、下記の方法で試験組成物を使用した際の使用感として、口腔刺激性をそれぞれ下記の評点基準により評価した。10人の評点の平均値から、下記の判定基準により判定した。
・洗口剤:試験組成物を口に含み、口腔内を洗浄した際の口腔刺激を評価した。
・練歯磨:試験組成物1gを歯ブラシにのせ、3分間ブラッシングして口腔内を洗浄した際の口腔刺激を評価した。
口腔刺激性の評点基準
4点:口腔内で刺激をほとんど感じない
3点:口腔内でやや刺激を感じるが問題ない
2点:口腔内で刺激を感じる
1点:口腔内で非常に刺激を感じる
口腔刺激性の判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0036】
(2)使用感(味)の評価方法
10人の被験者モニターが、下記の方法で試験組成物を使用した際の使用感として、味(異味のなさ)をそれぞれ下記の評点基準により評価した。10人の評点の平均値から、下記の判定基準により判定した。
・洗口剤:試験組成物を口に含み、口腔内を洗浄した際の味(異味)の有無を評価した。
・練歯磨:試験組成物1gを歯ブラシにのせ、3分間ブラッシングして口腔内を洗浄した際の味(異味)の有無を評価した。
味(異味のなさ)の評点基準
4点:口腔内で異味を感じない
3点:口腔内でやや異味を感じるが問題ない
2点:口腔内で異味を感じる
1点:口腔内で非常に異味を感じる
味(異味のなさ)の判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0037】
(3)香味発現性の評価方法
被験者として専門家パネラー10人を対象に実施した。専門家パネラーが下記の方法で試験組成物を使用した際の香味発現性について、下記の評点基準により評価した。10人の評点の平均値から、下記の判定基準により判定した。
・洗口剤:試験組成物を口に含み、口腔内を洗浄した際の香味発現性を評価した
・練歯磨:試験組成物1gを歯ブラシにのせ、3分間ブラッシングして口腔内を洗浄した際の香味発現性を評価した
香味発現性の評点基準
4点:香味を非常に感じる
3点:香味を感じる
2点:香味をやや感じる
1点:香味を感じない
香味発現性の判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0038】
(4)外観安定性の評価方法
試験組成物(いずれも澄明外観)を満注量500mLの無色透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)容器((株)吉野工業所製)に450mL充填し、50℃恒温槽に1ヶ月保存した後、外観安定性を下記の4段階の評点基準により目視で評価した。評価は3本について行い、これらの評点の平均値から、下記の判定基準により判定し、◎、○、×で示した。
外観安定性の評点基準
4:ニゴリが全くなかった
3:ニゴリがほとんどなかった
2:ニゴリがややあった
1:ニゴリがかなりあった
外観安定性の判定基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0未満
【0039】
使用原料の詳細を下記に示す。
(A)成分:
ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:1,000)
直鎖状、ポリサイエンス社製
ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:6,000)
直鎖状、東亞合成(株)製、商品名:AC-10NP
ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:8,000)
直鎖状、ポリサイエンス社製
ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:20,000)
直鎖状、東亞合成(株)製、商品名:アロンA-20UN
ポリアクリル酸ナトリウム(Mw:300,000、比較成分)
架橋型、ポリサイエンス社製
【0040】
(B)成分:
サンショウ抽出物
商品名:シチュアンペッパーアブソリュートCO2エキストラクト、
シャラボ(株)製
トウガラシ抽出物
商品名:トウガラシエキス、(株)永廣堂本店製
スピラントール
高砂香料工業(株)製
ジンジャー抽出物
商品名:ジンジャーオレオレジン、塩野香料(株)製
メンチルラクテート
商品名:フレスコラット(Frescolat)(登録商標)ML、
シムライズ社製
N-エチル-p-メンタン-3-カルボキシアミド
商品名:WS-3、シムライズ社製
N-{(エトキシカルボニル)メチル}-p-メンタン-3-カルボキシ
アミド
商品名:WS-5、シムライズ社製
N-(4-シアノメチルフェニル)-2-イソプロピル-5-メチルシク
ロヘキサンカルボキサミド
商品名:エバークール(Evercool)(登録商標)G-180、
ジボダンジャパン社製
N-(2-(2-ピリジニル)エチル)-2-イソプロピル-5-メチル
シクロヘキサンカルボキサミド
商品名:エバークール(Evercool)(登録商標)G-190、
ジボダンジャパン社製
3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール
商品名:クーリングエージェント10、高砂香料工業(株)製
モノメンチルサクシネート
商品名:フィスクール(Physcool)(登録商標)、
ヴェ・マン・フィス社製
【0041】
(C)成分
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油
商品名:ブラウノン RCW-60、青木油脂工業(株)製
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油
商品名:ブラウノン RCW-20、青木油脂工業(株)製
ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル
商品名:NIKKOL BC-30、日光ケミカルズ(株)製
ラウリルグルコシド
商品名:マイドール 12(アルキル基の炭素数8~16)、
花王(株)製
オレイン酸ポリエチレングリコール
商品名:EMALEX OE-10(E.O.10)、
日本エマルジョン(株)製
ショ糖脂肪酸エステル
商品名:リョートーシュガーエステルPOS-135(脂肪酸の炭素
数16~18)、
三菱ケミカルフーズ(株)製
デカグリセリンラウリン酸エステル
商品名:SYグリスター ML-750、阪本薬品工業(株)製
なお、表中の(B)成分が抽出物の場合、その配合量を示す数値は、溶媒を除いた抽出純分量である。
また、使用した香料組成物A~Fの組成は、後述の表7~13に示す通りである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
また、香料組成物Aの代わりに香料組成物B、C、D、E又はFを使用する以外は上記実施例と同組成の洗口剤又は練歯磨を同様に調製し、評価したところ、それぞれ上記実施例と同様の結果が得られた。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】

*;表中の部は、質量部である(以下同様)。
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【表12】
【0055】
【表13】