(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】機器操作制御装置および機器操作制御方法、ならびにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20221122BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221122BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20221122BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20221122BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H04Q9/00 301Z
E05B49/00 J
B60R25/24
H04W4/40
H04M1/00 U
(21)【出願番号】P 2019570730
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2019003816
(87)【国際公開番号】W WO2019156016
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2018022161
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】横山 博亮
(72)【発明者】
【氏名】関根 隆文
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118485(JP,A)
【文献】特開2009-10673(JP,A)
【文献】特開2005-226284(JP,A)
【文献】特開2017-1615(JP,A)
【文献】特開2016-204912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
E05B 49/00
B60R 25/24
H04W 4/40
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器から無線で送信されるその携帯機器のIDを含む情報を受信する無線受信器と、
前記無線受信器が携帯機器から受信する電波の強度を測定する電波強度測定器と、
所定の手順で前記無線受信器により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第1の登録処理部と、
前記第1の登録処理部に登録された前記所有者グループに属する携帯機器のIDと共に第2のIDが前記無線受信器で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理部と、
前記第1の登録処理部に登録された前記所有者グループに属する携帯機器のIDと前記第2の登録処理部に登録された前記関係者グループに属する携帯機器のIDとのいずれかがその時点で受信されていることを条件として、操作対象機器に対して、その操作対象機器への操作が許容されているものであることを通知する操作許容通知処理とを実行する操作対象連携部と、
を備え
、
前記第2の登録処理部は、前記第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、前記所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似するとき、前記第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する
ことを特徴とする機器操作制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の機器操作制御装置において、
前記第2の登録処理部は、前記第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、前記所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似する回数が所定の回数を上回ったとき、前記第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する
ことを特徴とする機器操作制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の機器操作制御装置において、
前記操作対象連携部は、その時点で受信されている携帯機器のIDが、前記第1の登録処理で登録されたものか、前記第2の登録処理で登録されたものかで、前記操作対象機器に対して許容されている操作として、異なる操作を前記操作対象機器に通知する
ことを特徴とする機器操作制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の機器操作制御装置において、
車両に搭載され、
前記第2の登録処理部は、前記車両の移動が検出されており、かつ前記所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと前記第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いとが共に所定の値より小さい場合、前記第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する
ことを特徴とする機器操作制御装置。
【請求項5】
所定の携帯機器から無線で送信されたその携帯機器のIDを含む情報を無線受信器により受信してそのIDを登録する登録ステップと、
前記無線受信器が携帯機器から受信する電波の強度を測定する電波強度測定ステップと、
登録されているIDを含む情報が受信されていることを条件として、操作対象機器に対して、その操作対象機器への操作が許容されているものであることを通知する許容通知ステップと、
を含む機器操作制御方法であって、
前記登録ステップは、
所定の手順で前記無線受信器により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第1の登録処理ステップと、
前記第1の登録処理により登録された前記所有者グループに属する携帯機器のIDと共に第2のIDが前記無線受信器で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理ステップと、を含
み、
前記第2の登録処理ステップは、前記第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、前記所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似するとき、前記第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する
ことを特徴とする機器操作制御方法。
【請求項6】
操作対象機器に搭載されるプロセッサに、
所定の携帯機器から無線で送信されたその携帯機器のIDを含む情報を無線受信器により受信してそのIDを登録する登録ステップと、
前記無線受信器が携帯機器から受信する電波の強度を測定する電波強度測定ステップと、
登録されているIDを含む情報が受信されていることを条件として、前記操作対象機器に対して、その操作対象機器への操作が許容されているものであることを通知する許容通知ステップと、
を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記登録ステップは、
所定の手順で前記無線受信器により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第1の登録処理ステップと、
前記第1の登録処理により登録された前記所有者グループに属する携帯機器のIDと共に第2のIDが前記無線受信器で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理ステップと、を含み、
前記第2の登録処理ステップは、前記第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、前記所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似するとき、前記第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器操作制御装置および機器操作制御方法、ならびにコンピュータプログラムに関する。本発明は、特に車両の操作に適するが、車両以外の機器を操作対象とする場合にも同様に利用できるものである。以下では、特に車両を操作制御する場合を例に主に説明する。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗用車等の車両において、鍵を鍵穴に差し込むことなく、遠隔操作にて、ドアを解錠または施錠することができる、所謂、キーレスエントリーシステムが広く用いられている。キーレスエントリーシステムとは、イグニッションキーと一体、または、別体の小型発信機のスイッチをユーザが操作することにより、ドアロックのコントロールユニットへIDコードを送信し、適合すると、ドアが解錠・施錠するシステムである。
【0003】
また、キーを操作することなく、キーをカバンやポケットなどに入れたままの状態のユーザが車両に近づくことにより、自動的にドアロックを解錠したり、車両から離れることにより、自動的にドアロックに施錠を行うことができる、所謂、スマートエントリーシステムという技術がある。
【0004】
また、複数人のそれぞれが所有する通信端末で車両の動作制御を行うことを可能とする技術がある(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載の技術においては、このシステムに対してあらかじめペアリングされた機器を用いて、例えば、ドアロックの施錠/解錠、エンジンスタート/ストップなどの車両の動作制御を行うことができるようになされている。予めこのシステムおいて実行されるペアリングは、ペアリング対象の機器の識別情報、例えば、固有のIDと暗号キーに基づく情報がシステムにより記憶されることにより実現される。ペアリング対象の機器の特定には、機器に対して付与された固有の識別情報が用いられる。例えば、通信として近距離無線通信を用いる構成の場合、NFCやFeliCaチップに予め書き込まれている固有のIDを用いることができる。このシステムにおいては、複数の機器がペアリング可能であるので、複数人がドアロックの開錠などを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、キーレスエントリーシステムやスマートエントリーシステムにおいては、キーレスエントリーシステムの小型発信器、または、スマートエントリーシステムの携帯機を保有するユーザのみしか、ドアロックを開錠または施錠することができない。複数のユーザで同一の車両を利用する場合、すべてのユーザが、キーレスエントリーシステムの小型発信器、または、スマートエントリーシステムの携帯機を保有する必要がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の発明においても、このシステムに対してあらかじめペアリングされた機器を有するユーザ以外は、車両の動作制御を行うことができない。複数のユーザで同一の車両を利用する場合、すべてのユーザに対してペアリング処理をあらかじめ行うのは、非常に煩雑な作業である。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、車両などの機器を使用するユーザが複数であっても、その機器の操作に関する制御を容易に行うことができる、機器操作制御装置および機器操作制御方法、ならびにコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第一の側面によると、携帯機器から無線で送信されるその携帯機器のIDを含む情報を受信する無線受信器と、無線受信器が携帯機器から受信する電波の強度を測定する電波強度測定器と、所定の手順で無線受信器により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第1の登録処理部と、第1の登録処理部に登録された所有者グループに属する携帯機器のIDと共に第2のIDが無線受信器で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理部と、第1の登録処理部に登録された所有者グループに属する携帯機器のIDと第2の登録処理部に登録された関係者グループに属する携帯機器のIDとのいずれかがその時点で受信されていることを条件として、操作対象機器に対して、その操作対象機器への操作が許容されているものであることを通知する操作許容通知処理とを実行する操作対象連携部とを備え、第2の登録処理部は、第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似するとき、第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録することを特徴とする機器操作制御装置が提供される。
【0011】
本発明の第二の側面によると、所定の携帯機器から無線で送信されたその携帯機器のIDを含む情報を無線受信器により受信してそのIDを登録する登録ステップと、無線受信器が携帯機器から受信する電波の強度を測定する電波強度測定ステップと、登録されているIDを含む情報が受信されていることを条件として、操作対象機器に対して、その操作対象機器への操作が許容されているものであることを通知する許容通知ステップとを含む機器操作制御方法であって、登録ステップは、所定の手順で無線受信器により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第1の登録処理ステップと、第1の登録処理により登録された所有者グループに属する携帯機器のIDと共に第2のIDが無線受信器で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理ステップと、を含み、第2の登録処理ステップは、第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似するとき、第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録することを特徴とする機器操作制御方法が提供される。
【0012】
本発明の第三の側面によると、操作対象機器に搭載されるプロセッサに、所定の携帯機器から無線で送信されたその携帯機器のIDを含む情報を無線受信器により受信してそのIDを登録する登録ステップと、無線受信器が携帯機器から受信する電波の強度を測定する電波強度測定ステップと、登録されているIDを含む情報が受信されていることを条件として、操作対象機器に対して、その操作対象機器への操作が許容されているものであることを通知する許容通知ステップとを実行させるコンピュータプログラムであって、登録ステップは、所定の手順で無線受信器により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第1の登録処理ステップと、第1の登録処理により登録された所有者グループに属する携帯機器のIDと共に第2のIDが前記無線受信器で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理ステップとを含み、第2の登録処理ステップは、第2のIDを有する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いが、所有者グループに属する携帯機器からの受信電波強度の変化度合いと類似するとき、第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録することを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作対象機器を使用するユーザが複数であっても、その操作対象機器の動作の制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車内に設けられた車両操作制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】制御される動作について説明するための図である。
【
図5】所有者グループ機器登録処理について説明するためのフローチャートである。
【
図6】関係者グループ機器登録処理について説明するためのフローチャートである。
【
図7】車両操作制御処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態の車両操作制御装置について、
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0016】
図1を参照して、本発明の一実施例である車両操作制御装置11について説明する。この車両操作制御装置11は、車両1内に設けられる。
図1は、車両操作制御装置11が有する機能を、その機能に関連する車両1内の構成と共に説明するための機能ブロック図である。
【0017】
図1には、車両1の近傍の携帯機器2-1~2-3と、車両1に搭載された車両操作制御装置11と、車両1内に設けられたドアロック12、エンジン13、車両用電子機器14を示す。携帯機器2-1~2-3は、ここでは3つ示しているが、この数はそのときの状況により変化し、より多数の携帯機器が存在する場合もあれば、ひとつも存在しない場合もある。携帯機器2-1~2-3としては、例えば、スマートフォン、携帯型電話機、モバイル機器など、機器固有のIDを有し、無線通信機能を有する装置が用いられる。以下、携帯機器2-1~2-3を特に区別する必要がない場合、これらを携帯機器2と総称する。機器固有のIDとしては、車両盗難防止装置11との間で通信を行うための通信方式におけるアドレス、例えばBluetooth(登録商標)におけるBDアドレス(Bluetooth Device Address)や、その通信方式で車両盗難防止装置11に通知することのできるID、例えば電話番号やMAC(Media Access Control)アドレスなどを用いることができる。車両操作制御装置11は、車両1の所有者が保有するいずれかの携帯機器2を登録するとともに、車両1の所有者の関係者を推定して関係者が保有する携帯機器2を自動的に登録し、車両1に対する操作を制御する処理を実行する。車両操作制御装置11は、ドアロック12、エンジン13、車両用電子機器14などの車両1内の各機器の動作を、車両1内のCAN(Controller Area Network)を介して、あるいは直接制御が可能な場合には直接の指示により、制御する。車両用電子機器14には、例えば、カーナビゲーションシステムやヘッドセットなどがある。
【0018】
車両操作制御装置11は、例えば、登録された携帯機器2を保有する車両1の所有者(車両1を主に使用する者)または所有者の関係者が、ドアが施錠されている状態の車両1に近づいたとき、車両1内のCANを介してドアロック12を制御して解錠する、あるいは、ドアロック12の解錠を許容する指示を車両1内のECU(Electronic Control Unit)に送出する。また、車両操作制御装置11は、例えば、登録された携帯機器2を保有する車両1の所有者または所有者の関係者が、エンジン13がオフになっている状態の車両1に乗り込んだとき、エンジン13の始動を許容する指示を出す。また、車両操作制御装置11は、登録された携帯機器2を保有する車両1の所有者または所有者の関係者が車両1に乗り込んだとき、車両用電子機器14を制御して電源をオンにすることを許容する指示を出す。また、車両操作制御装置11は、車両1の所有者と所有者の関係者とで、車両用電子機器14の使用許可内容を異なるものとすることができる。さらに、車両操作制御装置11は、登録された携帯機器2を保有する車両1の所有者または所有者の関係者が、ドアが解錠されている状態の車両1近辺に一定時間以上存在しなかった場合、ドアロック12を制御して施錠することもできる。
【0019】
携帯機器2は、車両操作制御装置11と無線で通信することが可能である。携帯機器2には、例えば、スマートフォン、携帯型電話機、モバイル機器など、機器固有のIDを有し、無線通信機能を有する装置が用いられる。無線通信は、IDによる認証を行うものであれば任意のものでよく、無線LAN(Local Area Network)やBluetoothなどが利用可能である。以下、携帯機器2として、スマートフォンを利用し、車両操作制御装置11とBluetoothを用いて通信する場合について説明する。Bluetoothを用いて通信可能なスマートフォンには、Bluetooth対応デバイスを識別するために使われる48ビットの一意のアドレスであるBDアドレス(が対応付けられている。Bluetoothでの通信においては、無関係の機器と通信をしないよう、セキュリティー維持のために互いを認証する作業を実行する。携帯機器2は、他のBluetooth対応デバイスとの通信のために、BDアドレスを発信する。車両操作制御装置11は、発信されたBDアドレスの認証を行い、携帯機器2と接続する。
【0020】
このシステムにおいては、まず、車両1の所有者の携帯機器2と車両操作制御装置11とが通信により認証されて接続されたとき、携帯機器2を車両の所有者が保有するものと判断し、後述する処理により、携帯機器2のBDアドレスが、車両操作制御装置11に登録される。車両1の所有者が保有する携帯機器2は、1台、または複数登録可能であり、後述する登録テーブルにおいて、所有者グループとして登録される。例えば、携帯機器2-1が所有者グループとして登録されている場合、携帯機器2-1が車両1に近づき、車両操作制御装置11が、所有者グループとして登録された携帯機器2-1のBDアドレスを取得した場合、車両操作制御装置11は、所有者に許可された車両動作を制御する。
【0021】
車両操作制御装置11により、車両1の所有者が保有する携帯機器2として登録された携帯機器2-1の接続と同時に、他の携帯機器2-2および携帯機器2-3から発信されたBDアドレスが、検出された場合、後述する処理により、車両操作制御装置11は、携帯機器2-2および携帯機器2-3のBDアドレスを、車両1の所有者の関係者が保有する携帯機器2のBDアドレスとして登録する。車両1の所有者の関係者が保有する携帯機器2は、1台、または複数登録可能であり、後述する登録テーブルにおいて、関係者グループとして登録される。関係者グループとして登録された携帯機器2-2および携帯機器2-3が車両1に近づき、車両操作制御装置11が、関係者グループとして登録された携帯機器2のBDアドレスを取得した場合、車両操作制御装置11は、関係者に許可された車両動作を制御する。
【0022】
車両操作制御装置11は、操作入力部21、操作入力取得制御部22、無線送受信器23、通信制御部24、電波強度測定部25、ID抽出部26、所有者グループ機器登録処理部27、関係者グループ機器登録処理部28、記録制御部29、記録部30、グループ判別部31、および、車両連携部32の機能を含んで構成されている。所有者グループ機器登録処理部27、関係者グループ機器登録処理部28、記録制御部29、グループ判別部31、および車両連携部32の各機能は、1まはた複数のプロセッサにより実現される。各プロセッサは、ソフトウェアにより各機能を実現する汎用のマイクロプロセッサでもよく、あるいは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)などを用いたものでもよい。操作入力取得制御部22の少なくとも一部の機能についても、前記のプロセッサにより実現可能である。通信制御部24、電波強度測定部25およびID抽出部26の各機能は、前記のプロセッサにより、あるいは別個のディジタル信号プロセッサにより実現される。
【0023】
操作入力部21は、例えば、ボタン、キー、タッチパネルなどの入力デバイスにより構成され、操作入力取得制御部22による操作入力を促す画面表示にしたがってユーザが操作した入力を受け取り、その入力情報を操作入力取得制御部22に供給する。
【0024】
無線送受信器23は、通信制御部24の制御に基づいて、携帯機器2との無線通信を実行する。無線送受信器23は、携帯機器2から受信した情報を、通信制御部24に供給する。
【0025】
通信制御部24は、無線送受信器23による携帯機器2との無線通信を制御する。通信制御部24は、無線送受信器23から供給された情報が、ユーザによる車両操作制御装置11への操作入力である場合、供給された情報を操作入力取得制御部22に供給する。また、通信制御部24は、無線送受信器23から供給された携帯機器2のBDアドレスを、グループ判別部31、ならびに、所有者グループ機器登録処理部27および関係者グループ機器登録処理部28に供給する。
【0026】
操作入力取得制御部22は、操作入力部21または通信制御部24から、ユーザの操作入力に対応する情報を受ける。ユーザの操作入力として、所有者グループの携帯機器2の登録処理開始の指令を受けた場合、操作入力取得制御部22は、所有者グループの携帯機器2の登録処理開始を、通信制御部24、および、所有者グループ機器登録処理部27に通知する。
【0027】
電波強度測定部25は、無線送受信器23により実行される携帯機器2との無線通信における携帯機器2の電波強度を測定し、関係者グループ機器登録処理部28に供給する。
【0028】
ID抽出部26は、無線送受信器23が携帯機器2から受信した信号に含まれる携帯機器2のIDを抽出する。ここでは、ID抽出部26は、携帯機器2のBDアドレスを抽出する。携帯機器2は車両操作制御装置11と接続されている必要はなく、車両操作制御装置11の近傍に存在する携帯機器2から発信されるBDアドレスをすべて抽出してよい。ID抽出部26は、取得したBDアドレスを、所有者グループ機器登録処理部27および関係者グループ機器登録処理部28、ならびに、グループ判別部31に供給する。
【0029】
所有者グループ機器登録処理部27は、所有者グループの携帯機器2の登録に関する処理を実行する。所有者グループ機器登録処理部27は、操作入力取得制御部22から携帯機器2の登録処理開始の通知を受けた場合、ID抽出部26から、認証され、接続中である携帯機器2のBDアドレスを取得し、記録制御部29に供給して、記録部30に記録されている登録テーブルに登録させる。登録テーブルについては、
図2および
図4を用いて後述する。
【0030】
関係者グループ機器登録処理部28は、関係者グループの携帯機器2の登録に関する処理を実行する。関係者グループ機器登録処理部28は、ID抽出部26から携帯機器2のBDアドレスを取得するとともに、電波強度測定部25から無線送受信器23により実行される携帯機器2との無線通信における携帯機器2の電波強度の測定結果の供給を受ける。そして、関係者グループ機器登録処理部28は、ID抽出部26から供給されたBDアドレスが複数であり、所有者グループに登録され接続中である携帯機器2-1と、所有者グループに登録されていない携帯機器2-2であった場合、換言すると、所有者グループに登録された携帯機器2-1のBDアドレスを受信している間に別の携帯機器2-2のBDアドレスを受信した場合、電波強度測定部25から供給される無線通信における携帯機器2-1および2-2の電波強度をモニタリングし、所有者グループに登録されていない携帯機器2-2が、所有者の関係者が保有している携帯機器2であるか否かを判別する。具体的には、関係者グループ機器登録処理部28は、登録されていない携帯機器2-2から受信した電波の電波強度の変化度合いが、所有者グループに登録されている携帯機器2-1から受信した電波の電波強度の変化度合いと類似した場合、その携帯機器2-2の保有者は、所有者グループに登録されている携帯機器2-1の保有者と、一緒に歩いて車両1に近づき、一緒に車両1に乗り込んだと推定可能である。したがって、この場合、所有者グループに登録されていない携帯機器2-2の保有者は、所有者の関係者であると推定可能である。
【0031】
電波強度の類似に関しては、携帯機器2-1の保有者と、携帯機器2-2の保有者が時間差を置いて車両1に乗り込む場合を考慮して、時間に関して許容度を大きく取ってもよい。車両1からの降車時についても同様である。また、車両の移動状態を取得する車両移動検出部により車両1が走行中であることが検出されたときに、所有者グループに登録されている携帯機器2から受信した電波の電波強度の変化度合いと類似する電波強度の変化度合いであり、ともに電波強度の変化度合いが所定の値より小さい携帯機器2の保有者は、使用者とともに車両1に搭乗していると推定でき、使用者の関係者であると推定可能である。車両移動検出部は、車速パルスの取得など、公知の技術を用いればよいため、説明は省略する。
【0032】
関係者グループ機器登録処理部28は、その携帯機器2-2を所有者の関係者が保有していると判別した時、その携帯機器2-2のBDアドレスを、関係者グループの携帯機器2-2として、記録部30に記録されている登録テーブルに登録する。登録テーブルについては、
図2を用いて後述する。
【0033】
関係者グループの登録処理においては、電波強度による判定の条件が厳しいほど、また、関係者と判別される回数の設定が多いほど、セキュリティーは高くなるが、実際に所有者の家族や同僚などの関係者が保有する携帯機器2-2が、関係者グループの携帯機器2として登録されにくくなり、実用性には劣ってしまう。これに対して、電波強度による判定の条件が緩やかなほど、また、関係者と判別される回数の設定が少ないほど、早く自動的に登録され、実用性が高くなるが、セキュリティーは低くなってしまう。すなわち、電波強度による判定の条件や関係者として登録されるために必要な推定回数に関しては、実用性とセキュリティーの観点から、最も適した値を設定可能としてもよい。また、電波強度による判定を行わず、所有者グループの携帯機器2-1のBDアドレスが受信されている間に別の携帯機器2のBDアドレスの受信を検出した場合、BDアドレスが検出された回数のみで関係者グループの携帯機器2-2と判定してもよい。この場合、関係者と判断される回数の設定を多くし、たとえば10回以上とすることが好ましい。
【0034】
記録制御部29は、所有者グループ機器登録処理部27および関係者グループ機器登録処理部28から供給された情報に基づいて、記録部30に記録されている登録テーブルへの情報の登録、または、情報の更新を制御する。
【0035】
記録部30は、記録制御部29の制御に基づいて、登録テーブルを記録する。記録部30に記録されている登録テーブルには、例えば、
図2に示されるように、所有者グループとして登録された携帯機器2のBDアドレスと、所有者の関係者であると判定されたユーザが保持する携帯機器2のBDアドレスおよび推定回数が登録される。この場合、グループ判別部31には、
図3に示されるように、所有者グループの携帯機器2を保有するユーザと、関係者グループの携帯機器2を保有するユーザとに許可される車両1の各部の制御内容を示すテーブルが登録されている。記録部30としては、たとえばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの、書き込み可能不揮発性メモリが用いられる。
【0036】
図3に示されるように、所有者グループの携帯機器2を保有するユーザと、関係者グループの携帯機器2を保有するユーザとに許可される車両1の制御内容には、例えば、ドアロック12の解錠および施錠、カーナビゲーションシステムやヘッドセットなどの車両用電子機器14の使用が許可されるか不可であるかなどが含まれている。また、ヘッドセットの使用においては、その使用の内容ごとに個別に許可または不可が設定されていてもよい。ここでは、ヘッドセットの使用内容を、HFP(Hands-Free Profile)優先接続、HFP接続、電話帳ダウンロード、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)接続に分けて設定されている。また、所有者グループの携帯機器2を保有するユーザと、関係者グループの携帯機器2を保有するユーザとに許可される車両1の制御内容には、例えば、エンジン13の始動や、パワーウインドウの開閉など、
図3に示される以外の制御内容が含まれていてもよいことは言うまでもない。
【0037】
また登録テーブルは、例えば、
図4に示されるように、所有者グループとして登録された携帯機器2のBDアドレスと、所有者の関係者であると判定されたユーザが保持する携帯機器2のBDアドレス、および、取得されたID(BDアドレス)が所有者の関係者が保有する携帯機器2の固有のIDであると判定された回数に加えて、所有者グループの携帯機器2に許可される車両1の制御内容、および、関係者グループの携帯機器2において、所有者の関係者であると判定された回数に基づいて許可される車両1の制御内容が登録されていてもよい。
【0038】
次に、グループ判別部31は、記録部30に記録されている登録テーブルを参照し、ID抽出部26が抽出したBDアドレスを有する携帯機器2が、所有者グループとして登録されているか、関係者グループとして登録されているか、または、いずれのグループにも登録されていないかを判別し、判別結果を、車両連携部32に供給する。また、グループ判別部31は、関係者グループの携帯機器2を保有するユーザに許可される車両1の制御内容が、ID(BDアドレス)の取得回数によって異なるものとされている場合、判別結果として、許可された動作内容の情報を、車両連携部32に供給する。また、グループ判別部31は、一定時間、所有者グループまたは関係者グループとして登録された携帯機器2のBDアドレスの供給を受けなかった場合、車両連携部32に、一定時間、登録された携帯機器2からBDアドレスを受信していないことを通知する。
【0039】
車両連携部32は、グループ判別部31から供給される、グループの判別結果、または、許可された動作内容の情報に基づいて、車両1内のECUに、ドアロック12、エンジン13、車両用電子機器14などの車両1内の各機器の制御を指示する、あるいは、車両1内の各機器の制御の許可を出す。また、車両連携部32は、グループ判別部31から、一定時間、所有者グループとして登録された携帯機器2のBDアドレスと、所有者の関係者であると判定されたユーザが保持する携帯機器2のBDアドレスが取得されていないことの通知を受けた場合、ドアロック12を制御して、車両1のドアを施錠する制御を実行する。
【0040】
このように、車両操作制御装置11は、車両1に搭載され、携帯機器2から無線で送信されるその携帯機器2のIDを含む情報を受信する無線送受信器23と、所定の手順で無線送受信器23により受信された第1のIDを、所有者グループに属する携帯機器2のIDとして登録する第1の登録処理としての所有者グループ機器登録処理部27と、所有者グループ機器登録処理部27により登録された所有者グループに属する携帯機器2のIDと共に第2のIDが無線送受信器23で受信されたときには、その第2のIDを関係者グループに属する携帯機器のIDとして登録する第2の登録処理としての関係者グループ機器登録処理部28と、所有者グループ機器登録処理部27で登録された所有者グループに属する携帯機器2のIDと関係者グループ機器登録処理部28で登録された関係者グループに属する携帯機器2のIDとのいずれかがその時点で受信されていることを条件として、車両1(正確にはそのECU)に対して、その車両1への操作が許容されているものであることを通知する車両連携部32とを備える。
【0041】
これにより、車両操作制御装置11は、車両を使用するユーザが複数であっても、車両1の所有者が保有する携帯機器2を登録することにより、所有者の関係者が保有する携帯機器2を自動的に検出し、車両1の所有者またはその関係者に対して許可される車両1の動作の制御を容易に行うことができる。また、たとえば車両1の所有者の家族の携帯機器を、認証することなく自動で検出して関係者と判定することにより、セキュリティーを確保しながら車両1の動作を制御することが可能となる。このとき、所有者であればエンジン13のON/OFFを含む全ての車両1の制御を許可し、関係者であればエンジン13の制御は許可せず、ドアロック12の開錠および車両用電子機器14のON/OFFを許可するように設定することで、所有者の携帯機器2の固有IDが検出された場合と、関係者の携帯機器2の固有IDのみが検出された場合とで制御または許可する制御内容の範囲を変更し、セキュリティーを強固なものとすることができる。
【0042】
次に、
図5のフローチャートを参照し、車両操作制御装置11で実行される、所有者グループ機器登録処理について説明する。
【0043】
ステップS1において、操作入力取得制御部22は、操作入力部21または通信制御部24から、所有者グループの携帯機器2の登録処理開始の指令を受けたか否かを判断する。ステップS1において、所有者グループの携帯機器2の登録処理開始の指令を受けていないと判断された場合、登録処理開始の指令を受けたと判断されるまで、ステップS1の処理が繰り返される。
【0044】
ステップS1において、所有者グループの携帯機器2の登録処理開始の指令を受けたと判断された場合、ステップS2において、操作入力取得制御部22は、所有者グループの携帯機器2の登録処理開始を、通信制御部24、および、所有者グループ機器登録処理部27に通知する。通信制御部24は、無線送受信器23を制御して、登録される携帯機器2のBDアドレスを取得し、所有者グループ機器登録処理部27に供給する。
【0045】
ステップS3において、所有者グループ機器登録処理部27は、ID抽出部26から、登録される携帯機器2のBDアドレスを取得し、記録制御部29に供給して、記録部30に記録されている登録テーブルに登録させる。記録制御部29は、取得されたBDアドレスを、所有者グループの携帯機器2の固有のIDとして、記録部30に記録されている登録テーブルへ登録し、処理が終了される。
【0046】
このような処理により、車両操作制御装置11において、所有者グループの携帯機器2のBDアドレスが登録される。ここでは所有者グループ機器登録処理が他の処理と並列処理で行われるものとし、登録処理の開始の指令があるまでループすることとしたが、ステップS1を上位の処理とし、所有者グループ機器登録処理の指令を受けた後に、
図3の処理がステップS2から開始されるようにすることもできる。
【0047】
次に、
図6のフローチャートを参照し、車両操作制御装置11で実行される、関係者グループ携帯機器登録処理について説明する。
【0048】
ステップS11において、通信制御部24は、無線送受信器23により、携帯機器2の電波が受信されたか否かを判断する。ステップS11において、携帯機器2の電波が受信されていないと判断された場合、携帯機器2の電波が受信されたと判断されるまで、ステップS11の処理が繰り返される。
【0049】
ステップS11において、携帯機器2の電波が受信されたと判断された場合、ステップS12において、ID取得部26は、通信制御部24の制御により、無線送受信器23と携帯機器2とが通信した場合に受信される携帯機器2のIDであるBDアドレスを抽出し、関係者グループ機器登録処理部28およびグループ判別部31に供給する。
【0050】
ステップS13において、関係者グループ機器登録処理部28は、ID取得部26から供給されたBDアドレスに基づいて、所有者グループとして登録されている携帯機器2のBDアドレスとともに、他の携帯機器2のBDアドレスが受信されたか否かを判断する。ステップS13において、所有者グループとして登録されている携帯機器2のBDアドレスとともに、他の携帯機器2のBDアドレスが受信されていないと判断された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0051】
ステップS13において、所有者グループとして登録されている携帯機器2のBDアドレスとともに、他の携帯機器2のBDアドレスが受信されたと判断された場合、ステップS14において、関係者グループ機器登録処理部28は、電波強度測定部25から供給される、無線送受信器23により実行される携帯機器2との無線通信における携帯機器2の電波強度に基づいて、所有者グループとして登録されている携帯機器2と、他の携帯機器2との電波の受信強度をモニタリングする。
【0052】
ステップS15において、関係者グループ機器登録処理部28は、所有者グループとして登録されている携帯機器2と、他の携帯機器2との電波の受信強度の変化が、ほぼ同一であるか否かに基づいて、他の携帯機器2の保有者は、所有者グループとして登録されている携帯機器2の保有者の関係者と推定可能とされたか否かを判断する。ステップS15において、他の携帯機器2の保有者は、所有者グループとして登録されている携帯機器2の保有者の関係者と推定できないと判断された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0053】
ここで、電波強度による判定の条件が厳しいほど、セキュリティーは高くなるが、実際に所有者の関係者が保有する携帯機器2のBDアドレスが、関係者グループの携帯機器2のBDアドレスとして登録されにくくなり、実用性には劣ってしまう。したがって、電波強度による判定の条件は、ユーザから求められるセキュリティーと実用性との兼ね合いによって適宜設定可能であるものとしてもよい。
【0054】
ステップS15において、他の携帯機器2の保有者は、所有者グループとして登録されている携帯機器2の保有者の関係者と推定可能であると判断された場合、ステップS16において、関係者グループ機器登録処理部28は、関係者が保有しているとみなされた携帯機器2のBDアドレスに基づいて、記録制御部29を制御して、記録部30に記録されている登録テーブルを更新させる。
【0055】
ステップS17において、関係者グループ機器登録処理部28は、記録部30に記録されている登録テーブルを、記録制御部29を介して参照し、対応するBDアドレスは、関係者グループに登録されるための1回以上の所定の回数以上関係者が保有している携帯機器2のBDアドレスとみなされたか否かを判断する。ステップS17において、所定の回数以上関係者が保有している携帯機器2のBDアドレスとみなされていないと判断された場合、処理は、ステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0056】
ここで、該当する携帯機器2を、車両1の所有者の関係者が保有する携帯機器2であると判定するための所定の回数が大きいほど、セキュリティーは高くなるが、実際に所有者の関係者が保有する携帯機器2のBDアドレスが、関係者グループの携帯機器2のBDアドレスとして登録されにくくなり、実用性には劣ってしまう。したがって、この回数は、ユーザから求められるセキュリティーと実用性との兼ね合いによって適宜設定可能であるものとしてもよい。
【0057】
ステップS17において、所定の回数以上関係者が保有している携帯機器2のBDアドレスとみなされたと判断された場合、ステップS18において、関係者グループ機器登録処理部28は、対応するBDアドレスを、関係者グループの携帯機器2のIDとして新たに登録するか、または、すでに関係者グループであると登録されている場合は、対応するBDアドレスの登録内容、すなわち、関係者が保有している携帯機器2のBDアドレスとみなされた回数を変更して、処理が終了される。
【0058】
このような処理により、車両操作制御装置11においては、登録されていない携帯機器2から受信した電波の電波強度の変化度合いが、所有者グループに登録されている携帯機器2から受信した電波の電波強度の変化度合いと類似しているか否かに基づいて、車両1の所有者の関係者が保有する携帯機器2のBDアドレスが自動的に検出されて記録される。そして、その検出回数に基づいて、車両1の所有者の関係者の携帯機器2のBDアドレスが自動的に登録される。また、この時、電波強度による判定の条件の厳しさ、および、登録に必要な推定回数は、ユーザから求められるセキュリティーと実用性との兼ね合いによって適宜設定可能であるものとしてもよい。また、この例では関係者グループ機器登録処理が他の処理と並列処理で行われるものとし、携帯機器の電波が受信されるまでループすることとしたが、ステップS11を上位の処理とし、電波が受信されたときに、
図4の処理がステップS12から開始されるようにすることもできる。
【0059】
次に、
図7のフローチャートを参照し、車両操作制御装置11で実行される、車両操作制御処理について説明する。
【0060】
ステップS31において、通信制御部24は、無線送受信器23により、携帯機器2の電波が受信されたか否かを判断する。ステップS31において、携帯機器2の電波が受信されていないと判断された場合、携帯機器2の電波が受信されたと判断されるまで、ステップS31の処理が繰り返される。
【0061】
ステップS31において、携帯機器2の電波が受信されたと判断された場合、ステップS32において、ID抽出部26は、通信制御部24の制御により、無線送受信器23と携帯機器2とが通信した場合に受信した信号に含まれる携帯機器2のBDアドレスを取得し、関係者グループ機器登録処理部28およびグループ判別部31に供給する。ここで、ID抽出部26により抽出されるBDアドレスは、1つだけではなく、複数である場合もある。
【0062】
ステップS33において、グループ判別部31は、記録部30に記録されている登録テーブルを、記録制御部29を介して参照し、ステップS32において取得されたBDアドレス(取得されたBDアドレスが複数である場合は、そのうちのいずれか)を有する携帯機器2は、所有者グループとして登録されている携帯機器2であるか否かを判断する。ステップS33において、所有者グループとして登録されている携帯機器2ではないと判断された場合、処理は、後述するステップS35に進む。
【0063】
ステップS33において、所有者グループとして登録されている携帯機器2であると判断された場合、ステップS35において、グループ判別部31は、判断結果、および、許可された動作内容を示す情報を、車両連携部32に供給する。車両連携部32は、ステップS32において取得されたBDアドレスに対応する車両制御動作、すなわち、所有者グループとして登録されている携帯機器2を保有する所有者に許可された車両制御動作を車両1内のECUに通知する。
【0064】
ステップS33において、所有者グループとして登録されている携帯機器2ではないと判断された場合、または、ステップS34の処理の終了後、ステップS35において、グループ判別部31は、記録部30に記録されている登録テーブルを、記録制御部29を介して参照し、ステップS32において取得されたBDアドレス(取得されたBDアドレスが複数である場合は、そのうちのいずれか)を有する携帯機器2は、関係者グループとして登録されている携帯機器2であるか否かを判断する。ステップS35において、関係者グループとして登録されている携帯機器2ではないと判断された場合、処理は、後述するステップS37に進む。
【0065】
ステップS35において、関係者グループとして登録されている携帯機器2であると判断された場合、ステップS36において、グループ判別部31は、判断結果、および、許可された動作内容を示す情報を、車両連携部32に供給する。車両部32は、ステップS32において取得されたBDアドレスに対応する車両制御動作、すなわち、関係者グループとして登録されている携帯機器2を保有する所有者に許可された車両制御動作を両1内のECUに通知する。
【0066】
ステップS35において、関係者グループとして登録されている携帯機器2ではないと判断された場合、または、ステップS36の処理の終了後、ステップS37において、グループ判別部31は、所有者グループ及び関係者グループとして登録されているいずれの携帯機器2の電波も受信されていない状態が所定時間以上継続したか否かを判断する。ステップS37において、所有者グループ及び関係者グループとして登録されているいずれの携帯機器2の電波も受信されていない状態は所定時間以上継続していないと判断された場合、処理は、ステップS31に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0067】
ステップS37において、所有者グループ及び関係者グループとして登録されているいずれの携帯機器2の電波も受信されていない状態が所定時間以上継続したと判断された場合、ステップS38において、グループ判別部31は、車両連携部32に、一定時間、登録された携帯機器2からBDアドレスを受信していないことを通知する。車両連携部32は、グループ判定部からの通知に基づいて、ドアロック12の動作を制御して施錠させ、処理が終了される。
【0068】
このような処理により、車両操作制御装置11においては、車両1を利用するすべてのユーザが、例えば、キーレスエントリーシステムの小型発信器、または、スマートエントリーシステムの携帯機を保有したり、すべてのユーザの保有する携帯機器2を登録することなく、所有者グループまたは関係者グループとして登録されている携帯機器2のID(BDアドレス)に基づいて、車両1の所定の動作を制御することができる。
【0069】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本発明の実施の形態として、車両に搭載される車両用装置として記述したが、本発明は車両用に限定されない。例えば、住宅に設置され、ドアロック、照明やエアコンディショナーなどの動作を制御する制御装置として使用されてもよい。この場合は、たとえば所有者グループとして親の保有する携帯機器が登録され、子供が保有する携帯機器は関係者グループとして登録される。これにより、関係者グループの携帯機器を保有する者に、火事の危険があるストーブ、コンロなどの装置の動作制御を許可しないように設定することができる。また、同様にして、オフィス等で社員と来客でセキュリティーの許可レベルを変更する場合に使用されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…車両、 2…携帯機器、 11…車両操作制御装置、 12…ドアロック、 13…エンジン、 14…車両用電子機器、 21…操作入力部、 22…操作入力取得制御部、 23…無線送受信器、 24…通信制御部、 25…電波強度取得部、 26…ID取得部、 27…所有者グループ機器登録処理部、 28…関係者グループ機器登録処理部、 29…記録制御部、 30…記録部、 31…グループ判別部、 32…車両連携部