(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物及び粘・接着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20221122BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20221122BHJP
C09J 11/02 20060101ALI20221122BHJP
C09J 193/04 20060101ALI20221122BHJP
C09J 157/02 20060101ALI20221122BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20221122BHJP
C08L 93/04 20060101ALI20221122BHJP
C08L 57/02 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J133/00
C09J11/02
C09J193/04
C09J157/02
C09J7/38
C08L93/04
C08L57/02
(21)【出願番号】P 2020038134
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2019046804
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐野 正英
(72)【発明者】
【氏名】小川 寿子
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158960(JP,A)
【文献】特開2006-249404(JP,A)
【文献】特開2003-171560(JP,A)
【文献】特開2007-077285(JP,A)
【文献】特開2019-172994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08J 57/02、93/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化点120~180℃のロジン系樹脂(A)、
1H-NMRスペクトルにおける全ピーク面積値(S
NMR)に対する6.3~7.6ppmのピーク面積値(S’
NMR)の比率(S’
NMR/S
NMR)が0~4.0%である石油樹脂(B)、
及び、
乳化剤(C)を含
み、
前記ロジン系樹脂(A)と前記石油樹脂(B)との質量比率((A)/(B))が、固形分換算で70/30~95/5である、
粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項2】
(A)成分が、重合ロジンエステル及び/又はロジンフェノール樹脂である、請求項1に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項3】
(B)成分が、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の石油樹脂である、請求項1又は2に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項4】
(B)成分の重量平均分子量が、500~4,000である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の粘着付与樹脂エマルジョンとベースポリマーとを含む、水系粘・接着剤組成物。
【請求項6】
上記ベースポリマーがアクリル系重合体エマルジョンである、請求項
5に記載の水系粘・接着剤組成物。
【請求項7】
請求項
5又は
6に記載の水系粘・接着剤組成物からなる粘・接着層及び基材を含む、粘・接着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物及び粘・接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品包装や電子電気製品の外装に用いられているポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂は、官能基を持たず非極性のため、極性分子との親和性が乏しく、粘着剤との密着性や濡れ性が非常に弱く剥がれやすい。そのため、接着面にプライマーを塗布して接着表面を改質する方法が一般に用いられているが、プライマーを用いることなく、ポリオレフィン系樹脂に対する充分な接着力、特に曲面接着性を有する粘・接着剤が強く求められている。
【0003】
更に、近年、環境・人体の安全性に対する配慮から揮発性有機溶剤等の含有量が少ない環境負荷が低減された水系の粘・接着剤が求められるようになっている。しかしながら、有機溶剤系の粘・接着剤を水系に変更しようとすると、ポリオレフィン系樹脂に対する曲面接着性が不充分になるという問題があった。また、水系の粘・接着剤には、曲面接着性に加えて、様々な基材に対する接着力や粘・接着剤層の保持力等も要求されていた。
【0004】
ポリオレフィン系樹脂に対する曲面接着性を向上させた水系粘・接着剤として、例えば、特許文献1には、アクリル系共重合体と、ロジン系粘着付与樹脂及びC5/C9共重合系石油樹脂からの粘着付与樹脂エマルジョンとを含むエマルジョン型粘着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のエマルジョン型粘着剤は、ポリオレフィン系樹脂に対する曲面接着性は十分なものではなく、改善する余地があった。また、上記粘着付与樹脂エマルジョンは、ベースポリマーであるアクリル共重合体への相溶性が不十分なため、当該エマルジョンを含むエマルジョン型粘着剤の透明性は低いという課題があった。
【0007】
本発明は、様々な基材に対する接着力及び粘・接着剤層の保持力を保持しつつ、ポリオレフィン系樹脂に対する曲面接着性に優れた水系粘・接着剤組成物を与え、且つベースポリマーへの相溶性に優れた粘着付与樹脂エマルジョンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の軟化点を有するロジン系樹脂と特定の石油樹脂を併用した粘着付与樹脂エマルジョンによって、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は以下の粘着付与樹脂エマルジョン、水系粘・接着剤組成物及び粘・接着シートに関する。
【0009】
1.軟化点120~180℃のロジン系樹脂(A)、
1H-NMRスペクトルにおける全ピーク面積値(SNMR)に対する6.3~7.6ppmのピーク面積値(S’ NMR)の比率(S’ NMR/SNMR)が0~4.0%である石油樹脂(B)、
及び、
乳化剤(C)を含む、粘着付与樹脂エマルジョン。
【0010】
2.(A)成分が、重合ロジンエステル及び/又はロジンフェノール樹脂である、上記項1に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【0011】
3.(B)成分が、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の石油樹脂である、上記項1又は2に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【0012】
4.(B)成分の重量平均分子量が、500~4,000である、上記項1~3のいずれか1項に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【0013】
5.(A)成分と(B)成分との質量比率((A)/(B))が、固形分換算で60/40~99/1である、上記項1~4のいずれか1項に記載の粘着付与樹脂エマルジョン。
【0014】
6.上記項1~5のいずれか1項に記載の粘着付与樹脂エマルジョンとベースポリマーとを含む、水系粘・接着剤組成物。
【0015】
7.上記ベースポリマーがアクリル系重合体エマルジョンである、上記項6に記載の水系粘・接着剤組成物。
【0016】
8.上記項6又は7に記載の水系粘・接着剤組成物からなる粘・接着層及び基材を含む、粘・接着シート。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、様々な基材に対する接着力や粘・接着剤層の保持力などを保持しつつ、ポリオレフィン系樹脂への曲面接着性に優れる水系粘・接着剤組成物を与え得る。また、本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、水系粘・接着剤組成物におけるベースポリマーへの相溶性(以下、相溶性ともいう)に優れるため、当該エマルジョンを含む水系粘・接着剤組成物は透明性が高いものとなり、透明性や意匠性が要求される用途での粘・接着剤、例えば、化粧品容器やシャンプー容器に用いられる透明ラベルの粘・接着剤として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[粘着付与樹脂エマルジョン]
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、軟化点120~180℃のロジン系樹脂(A)(以下、(A)成分という)、1H-NMRスペクトルの全ピーク面積値(SNMR)に対する6.3~7.6ppmのピーク面積値(S’ NMR)の比率(S’ NMR/SNMR)が0~4.0%である石油樹脂(B)(以下、(B)成分という)及び乳化剤(C)(以下、(C)成分という)を含むものである。
【0019】
<ロジン系樹脂(A)>
(A)成分の物性としては、軟化点が120~180℃である。(A)成分の軟化点が120℃未満の場合は、曲面接着性が不十分であり、保持力が低下する。(A)成分の軟化点が180℃を超える場合は、相溶性が低下し、曲面接着性が不十分である。(A)成分は、曲面接着性、相溶性、接着力及び保持力のバランスに優れる点から、軟化点が130~160℃程度が好ましく、140~160℃程度がより好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、環球法(JISK5902)により測定した値である。
【0020】
(A)成分は、その軟化点が120~180℃であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(A)成分としては、例えば、重合ロジン、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジン、ロジンエステル類、ロジンフェノール樹脂などが挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0021】
上記重合ロジンは、二量化された樹脂酸を含むロジン誘導体である。
【0022】
上記重合ロジンを製造する方法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、馬尾松、スラッシュ松、メルクシ松、思茅松、テーダ松及び大王松等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)及び/又は天然ロジンを減圧留去法、水蒸気蒸留法、抽出法、再結晶法等で精製して得られる精製ロジン(以下、天然ロジンと精製ロジンを纏めて原料ロジンともいう)を、硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタン等の触媒を含むトルエン、キシレン等の溶媒中、温度40~160℃程度で、1~5時間程度反応させる方法等が挙げられる。
【0023】
上記重合ロジンの具体例としては、上記原料ロジンにガムロジンを使用したガム系重合ロジン(例えば、商品名「重合ロジンB-140」、新洲(武平)林化有限公司製)、トール油ロジンを使用したトール油系重合ロジン(例えば、商品名「シルバタック140」、アリゾナケミカル社製)、ウッドロジンを使用したウッド系重合ロジン(例えば、商品名「ダイマレックス」、ASHLAND社製)等が挙げられる。
【0024】
また、上記重合ロジンは、該重合ロジンに水素化、不均化、アクリル化、マレイン化、フマル化等の各種処理を施したものを使用しても良い。また各種処理も単独であっても2種以上を組み合わせても良い。該重合ロジンは、アクリル化、マレイン化、又はフマル化を施したものであるのが好ましい。
【0025】
上記α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンは、上記原料ロジンをα,β-不飽和カルボン酸で付加反応させた変性ロジンである。
【0026】
上記α,β-不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ムコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ムコン酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸が好ましい。α,β-不飽和カルボン酸の使用量は、乳化性の点から、通常は、上記原料ロジン100質量部に対して1~20質量部程度、好ましくは1~3質量部程度である。
【0027】
上記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱下で溶融させた上記原料ロジンに、上記α,β-不飽和カルボン酸を加えて、温度180~240℃程度で、1~9時間程度で反応させることが挙げられる。また、上記反応は、密閉した反応系内に窒素等の不活性ガスを吹き込みながら行っても良い。さらに上記反応では、例えば、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化スズ等のルイス酸や、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のブレンステッド酸等の公知の触媒を使用してもよい。これらの触媒の使用量は、上記原料ロジンに対して通常0.01~10質量%程度である。
【0028】
得られたα,β-不飽和カルボン酸変性ロジンには、上記原料ロジン由来の樹脂酸が含まれても良い。
【0029】
上記ロジンエステル類は、後述するロジンエステル、重合ロジンエステル、不飽和カルボン酸変性ロジンエステルを意味する。
【0030】
上記ロジンエステルは、上記原料ロジン、上記原料ロジンを水素化反応させて得られる水素化ロジン、又は上記原料ロジンを不均化反応させて得られる不均化ロジンに、アルコール類を反応させて得られる。
【0031】
上記ロジンと、アルコール類との反応条件としては、該ロジン及びアルコール類を溶媒の存在下又は不存在下に、必要によりエステル化触媒を加え、250~280℃程度で、1~8時間程度で行えば良い。
【0032】
上記アルコール類としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ステアリルアルコール等の1価のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオール等の2価のアルコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール類、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価のアルコール類、ジペンタエリスリトールなどの6価のアルコール類等が挙げられる。これらの中でも、2つ以上の水酸基を有する多価アルコール類が好ましく、特にペンタエリスリトールが好ましい。
【0033】
上記重合ロジンエステルは、上記重合ロジンにアルコール類を反応させて得られる。
【0034】
上記重合ロジンとアルコール類との反応条件としては、該重合ロジン及びアルコール類を溶媒の存在下又は不存在下に、必要によりエステル化触媒を加え、250~280℃程度で、1~8時間程度で行えば良い。
【0035】
上記重合ロジンをエステル化する際に用いるアルコール類は上記同様である。
【0036】
なお、上記の重合反応とエステル化反応の順番は、上記に限定されず、エステル化反応の後に、重合反応を行ってもよい。
【0037】
上記重合ロジンエステルの物性としては特に限定されない。曲面接着性、接着力及び保持力に優れる点から、重合ロジンエステルの物性は、軟化点が150~180℃程度であるのが好ましい。
【0038】
上記不飽和カルボン酸変性ロジンエステルは、上記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンに、アルコール類を反応させてエステル化させたものである。
【0039】
上記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンと、アルコール類との反応条件としては、特に限定されないが、例えば、加熱下で溶融させたα,β-不飽和カルボン酸変性ロジンに、アルコールを加えて、温度250~280℃程度で、15~20時間程度で反応させることが挙げられる。また、上記反応は、密閉した反応系内に窒素等の不活性ガスを吹き込みながら行っても良く、前述の触媒を使用してもよい。
【0040】
α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンをエステル化する際に用いるアルコール類は上記同様である。
【0041】
上記ロジンフェノール樹脂は、上記原料ロジンにフェノール類を反応させて得られる。
【0042】
上記フェノール類としては、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、クレゾール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、フェノール、ビスフェノール類、ナフトール類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。フェノール類の使用量は、乳化性の点から、通常、上記原料ロジン1モルに対して0.8~1.5モル程度反応させればよい。
【0043】
ロジンフェノール樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記原料ロジン及びフェノール類を必要に応じて酸触媒の存在下、加熱して反応させることが挙げられる。反応温度としては、通常、180~350℃で6~18時間程度反応させればよい。なお、当該反応に用いることができる酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩化水素、三フッ化ホウ素等の無機酸触媒やパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸触媒を挙げることができる。酸触媒を使用する場合には、上記原料ロジン100質量部に対し、0.01~1.0質量部程度用いればよい。また、ロジンフェノール樹脂は、上記反応で得られた樹脂に、更にアルコール類を反応させてエステル化したものであっても良い。その際に用いるアルコール類は上記同様である。
【0044】
(A)成分は、曲面接着性、相溶性、接着力及び保持力のバランスに優れる点から、上記ロジンエステル類及び/又はロジンフェノール樹脂が好ましい。また、上記ロジンエステル類は、曲面接着性、相溶性、接着力及び保持力のバランスに優れる点から、上記重合ロジンエステルがより好ましい。
【0045】
<石油樹脂(B)>
(B)成分は、その1H-NMRスペクトルにおける全ピーク面積値(SNMR)に対する6.3~7.6ppmのピーク面積値(S’ NMR)の比率(S’ NMR/SNMR)(以下、(S’ NMR/SNMR)とする)が、百分率で0~4.0%である。該(S’ NMR/SNMR)が4.0%を超えると、水系粘・接着剤組成物における曲面接着性が不十分になる。
【0046】
本明細書において、上記「6.3~7.6ppm」は、1H-NMRスペクトルにおいて、(B)成分に含まれる芳香環に由来する(シグナル)ピークが現れる領域を指す。また、芳香環に由来すると考えられるピークであれば、「6.3~7.6ppm」のピークとしてもよい。すなわち、上記(S’ NMR/SNMR)は、(B)成分中におけるベンゼン環等の芳香環成分の含有率を意味している。なお、本明細書において、上記「6.3~7.6ppm」に現れる全ピークからは、NMR測定溶媒(重クロロホルム等)に由来するピークが除かれる。また、「全ピーク面積値(SNMR)」には、NMR測定溶媒に由来するピークの積分値は含まれない。
【0047】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、(A)成分と、(S’ NMR/SNMR)が特定の範囲である(B)成分を併用することで、水系粘・接着剤組成物において相溶性を維持しつつ、曲面接着性が優れたものになる。その詳細は定かではないが、次のような理由が推測される。(B)成分において、(S’ NMR/SNMR)が0~4.0%であることは、芳香環成分の含有率が低い又は含有率が0であることを意味するため、(B)成分は極性が低いものといえる。そして、極性の低い(B)成分は、極性の低いポリオレフィン系樹脂に対する親和性が良くなると推定される。
【0048】
(B)成分における上記(S’ NMR/SNMR)は、曲面接着性がさらに優れる点から、0~1.0%程度が好ましい。
【0049】
(B)成分は、上記(S’ NMR/SNMR)が0~4.0%であれば、各種公知の石油樹脂を特に制限なく使用できる。(B)成分は、曲面接着性に優れる点から、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及び水添石油樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の石油樹脂が好ましい。
【0050】
脂肪族系石油樹脂としては、例えば、ナフサのC5石油留分から得られるC5系石油樹脂等が挙げられる。C5石油留分は、例えば、イソプレン、トランス-1,3-ペンタジエン、シス-1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン等に代表される炭素数4~6の共役ジオレフィン性不飽和炭化水素類;ブテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、シクロペンテン等に代表される炭素数4~6のモノオレフィン性不飽和炭化水素類;シクロペンタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、n-ヘキサン等の脂肪族系飽和炭化水素;これらの混合物等が挙げられる。
【0051】
脂環族系石油樹脂としては、例えば、ナフサのジシクロペンタジエン類石油留分から得られるDCPD系石油樹脂等が挙げられる。ジシクロペンタジエン類石油留分は、例えば、ジシクロペンタジエン等の炭素数10の環状脂肪族化合物;メチルジシクロペンタジエン等の炭素数11の環状脂肪族化合物;ジメチルジシクロペンタジエン等の炭素数12の環状脂肪族化合物;これらの混合物等が挙げられる。
【0052】
水添石油樹脂としては、例えば、上記脂肪族系石油樹脂、上記脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂及び脂肪族・芳香族系石油樹脂等の石油樹脂の水素化物が挙げられる。
【0053】
上記芳香族系石油樹脂としては、例えば、ナフサのC9石油留分から得られるC9系石油樹脂、該C9系石油樹脂を単独又は複数重合させた共重合体等が挙げられる。C9石油留分は、例えば、スチレン等の炭素数8の芳香族化合物;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等の炭素数9の芳香族化合物;1-メチルインデン、2-メチルインデン、3-メチルインデン等の炭素数10の芳香族化合物;2,3-ジメチルインデン、2,5-ジメチルインデン等の炭素数11の芳香族化合物;これらの混合物等が挙げられる。
【0054】
上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、例えば、上記C5石油留分とC9石油留分から得られるC5/C9共重合系石油樹脂等が挙げられる。
【0055】
なお、(B)成分に上記芳香族系石油樹脂及び脂肪族・芳香族系石油樹脂を用いると、それらは(S’ NMR/SNMR)が4.0%を超えるものが多いため、水系粘・接着剤組成物における曲面接着性が不十分となり、好ましくはない。
【0056】
(B)成分の物性は、上記(S’ NMR/SNMR)以外は特に限定されない。(B)成分の軟化点は、ポリオレフィンに対する接着力及び保持力が高く、曲面接着性に優れる点から、60~160℃程度が好ましい。
【0057】
(B)成分の重量平均分子量は、ベースポリマーへの相溶性に優れる点から、500~4,000程度が好ましい。また、(B)成分の重量平均分子量は、相溶性に優れるだけでなく、保持力も高くなる点から、500~3,500程度がより好ましく、さらに、相溶性及び保持力に優れるだけでなく、曲面接着性にも優れる点から、500~2,500程度が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法におけるポリスチレン換算値をいう。
【0058】
(A)成分と(B)成分との質量比率((A)/(B))は、特に限定されないが、ベースポリマーへの相溶性に優れる点から、固形分換算で60/40~99/1が好ましい。また、(A)/(B)は、相溶性に優れるだけでなく、保持力も高くなる点から、70/30~95/5がより好ましく、さらに、相溶性及び保持力に優れるだけでなく、曲面接着性にも優れる点から、80/20~90/10が特に好ましい。
【0059】
<乳化剤(C)>
(C)成分は、特に限定されず各種公知の乳化剤を使用できる。具体的には、モノマーを重合させて得られる高分子量乳化剤、低分子量アニオン性乳化剤、低分子量ノニオン性乳化剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0060】
上記高分子量乳化剤の製造に用いられるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類、;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系ビニルモノマー類、;マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸系ビニルモノマー類、;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、等のスルホン酸系ビニルモノマー類;及びこれら各種有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機塩基類の塩、;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー類;酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマー類;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー類;メチルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、炭素数6~22のα-オレフィン、ビニルピロリドン等のその他のモノマー類などが挙げられる。これらは単独でも2種以上組み合わせても良い。
【0061】
重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、後述する高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤、高分子量乳化剤以外の非反応性乳化剤などを用いた乳化重合などが挙げられる。
【0062】
かくして得られた上記高分子量乳化剤の重量平均分子量は特に限定されないが、通常1,000~500,000程度とすることが、得られる粘着付与樹脂エマルジョンの粘着特性の点で好ましい。ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法におけるポリスチレン換算値をいう。
【0063】
上記高分子量乳化剤以外の反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水基と、アルキル基、フェニル基などの疎水基を有するものであって、分子中に炭素-炭素二重結合を有するものをいう。
【0064】
上記低分子量アニオン性乳化剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレントリアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0065】
上記低分子量ノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0066】
(C)成分の使用量は、特に限定されないが、乳化性に優れる点から、固形分換算で、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、1~20質量部程度が好ましく、2~10質量部程度がより好ましい。
【0067】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、所望の特性を損なわない限り、必要に応じて消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、アンモニア水や重曹等のpH 調整剤等を含めてもよい。
【0068】
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、(C)成分(以下、「乳化剤」ともいう)の存在下、(A)成分と(B)成分を別々に乳化させて、得られたエマルジョンを混合させる、又は(A)成分及び(B)成分を一緒に乳化させることで得られる。乳化方法としては、特に限定されず、高圧乳化法、転相乳化法等の公知の乳化法を採用することができる。
【0069】
上記高圧乳化法は、(A)成分及び/又は(B)成分を溶融状態とした上で、乳化剤と水を予備混合して、高圧乳化機を用いて微細乳化した後、必要に応じて溶剤を除去する方法である。被乳化物を溶融状態とする方法は、加熱のみでも、溶剤に溶解してから加熱しても、可塑剤等の非揮発性物質を混合して加熱してもよいが、加熱のみで行うことが好ましい。なお、溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、酢酸エチル等の被乳化物を溶解できる有機溶剤が挙げられる。
【0070】
上記転相乳化法は、(A)成分及び/又は(B)成分を加熱溶融した後、撹拌しながら乳化剤・水を加え、まずW/Oエマルジョンを形成させ、次いで、水の添加や温度変化等によりO/Wエマルジョンに転相させる方法である。
【0071】
このようにして得られた粘着付与樹脂エマルジョンの濃度は特に限定されないが、通常は固形分が20~70質量%程度となるように適宜に調整して用いる。また、得られた粘着付与樹脂エマルジョンの体積平均粒子径は、通常0.1~2μm程度である。当該粘着付与樹脂エマルジョンは、大部分は1μm以下の粒子として均一に分散しているが、貯蔵安定性の点から、その体積平均粒子が0.7μm以下であることが好ましい。また、得られた粘着付与樹脂エマルジョンは、白色ないし乳白色の外観を呈し、粘度は通常10~1,000mPa・s程度(温度25℃、濃度50質量%)である。
【0072】
上記で得られた粘着付与樹脂エマルジョンのpHは、通常2~10程度である。また、当該粘着付与樹脂エマルジョンは、必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;モノメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;エチルアミン、n-ブチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を適宜添加して、pHを調整しても良い。
【0073】
[水系粘・接着剤組成物]
本発明の水系粘・接着剤組成物は、本発明の粘着付与樹脂エマルジョン及びベースポリマーを含むものである。また、本発明の水系粘・接着剤組成物は、水系粘・接着剤として使用することができる。なお、本明細書において、「粘・接着剤」とは、粘着剤及び接着剤のいずれか一方又は両方を含むことを明らかにしたものである。
【0074】
上記ベースポリマーとして、アクリル系重合体エマルジョン、ゴム系ラテックス及び合成樹脂系エマルジョン等が挙げられ、またそれぞれを併用することもでき、さらに必要に応じて架橋剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、アンモニア水や重曹等のpH 調整剤等を使用することもできる。また、公知の粘着付与樹脂エマルジョンをさらに使用しても良い。これら水系粘・接着剤組成物の濃度は、通常は固形分が40~70質量%程度であり、好ましくは55~70質量%である。
【0075】
上記アクリル系重合体エマルジョンとしては、一般に各種のアクリル系粘・接着剤に用いられているものを使用でき、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーの一括仕込み重合法、モノマー逐次添加重合法、乳化モノマー逐次添加重合法、シード重合法等の公知の乳化重合法により容易に製造することができる。
【0076】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等をあげることができ、これらを単独で又は二種以上を混合して用いる。また、得られるエマルジョンに貯蔵安定性を付与するため上記(メタ)アクリル酸エステルの一部に代えて(メタ)アクリル酸を使用してもよい。さらに所望により(メタ)アクリル酸エステル重合体の接着特性を損なわない程度において、たとえば、酢酸ビニル、スチレン等の共重合可能なモノマーを併用できる。なお、アクリル系重合体エマルジョンに用いられる乳化剤にはアニオン系乳化剤、部分ケン化ポリビニルアルコール等を使用でき、その使用量は固形分換算で、(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して0.1~5質量部程度、好ましくは0.5~3質量部程度である。
【0077】
上記アクリル系重合体エマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの含有比率は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンによる改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による耐熱保持力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、アクリル系重合体エマルジョン100質量部に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2~40質量部程度とするのがよい。
【0078】
上記ゴム系ラテックスとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用できる。例えば天然ゴムラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
【0079】
上記ゴム系ラテックスと粘着付与樹脂エマルジョンの含有比率は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンによる改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による接着力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用範囲としては、固形分換算で、ゴム系ラテックス100質量部に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常10~150質量部程度とするのがよい。
【0080】
上記合成樹脂系エマルジョンとしては、水系粘・接着剤組成物に用いられる各種公知のものを使用でき、例えば酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンが挙げられる。
【0081】
上記合成樹脂系エマルジョンと粘着付与樹脂エマルジョンの含有比率は、特に限定されないが、粘着付与樹脂エマルジョンの改質の効果が十分に発現でき、かつ、過剰使用による接着力、タック等の低下を引き起こさない適当な使用割合としては、固形分換算で、合成樹脂系エマルジョン100質量部に対して、粘着付与樹脂エマルジョンを通常2~40質量部程度とするのがよい。
【0082】
本発明の水系粘・接着剤組成物は、上記粘着付与樹脂エマルジョンと上記ベースポリマーとを混合させることで得られる。混合方法としては、特に限定されず各種公知の方法を用いることができる。
【0083】
[粘・接着シート]
本発明の粘・接着シートは、上記水系粘・接着剤組成物からなる粘・接着層及び基材を含むものである。本発明の粘・接着シートは、当該粘・接着層を基材の片面または両面に有する形態の基材付き粘・接着シートであってもよく、当該粘・接着層が剥離ライナー(剥離面を備える基材としても把握され得る。)に保持された形態等の基材レスの粘・接着シートであってもよい。ここでいう粘・接着シートの概念には、粘・接着テープ、粘・接着ラベル、粘・接着フィルム等と称されるものが包含され得る。
【0084】
上記基材としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等)製フィルム、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)製フィルム、塩化ビニル系樹脂製フィルム、酢酸ビニル系樹脂製フィルム、ポリイミド系樹脂製フィルム、ポリアミド系樹脂製フィルム、フッ素系樹脂製フィルム、その他セロハン類等のプラスチックフィルム類;和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等の紙類;各種の繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等の布類;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート類;発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等の発泡体からなる発泡体シート類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体;等を用いることができる。
【0085】
本発明の粘・接着シートは、公知方法にて製造することができる。始めに、基材の片面又は両面に上記水系粘・接着剤組成物を塗工して、当該水系粘・接着剤組成物からなる塗工層を形成する。塗工方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、及びグラビアコーター法等が挙げられる。 次に、塗工層を加熱または乾燥させることにより、上記水系粘・接着剤組成物からなる粘・接着層を形成する。加熱または乾燥時の条件は、粘・接着層の厚みなどにより適宜設定することができ、温度は例えば10~120℃であり、時間は例えば0.1~10時間である。当該粘・接着層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは5~200μmである。
【0086】
本発明の粘・接着シートは、上記水系粘・接着剤組成物からなる粘・接着層を含むことから、曲面接着性が優れており、例えば、建材、自動車内装部材、フィルムラベル等のポリオレフィン系樹脂の曲面に貼り付けされる用途での粘・接着シートとして好適である。また、本発明の粘・接着シートは、透明性にも優れているため、透明性や意匠性が要求される用途、例えば、化粧品容器やシャンプー容器に用いられる透明ラベル等での粘・接着シートとしても好適である。
【実施例】
【0087】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は特に断りがない限り、質量基準である。
【0088】
<重量平均分子量の測定>
製造例14~22における石油樹脂(B-1)~(B’-3)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC-8320GPC」)を用いて、カラム(東ソー(株)製、商品名「TSKgelSuperHM-L」)を3本連結することにより測定し、ポリスチレン換算により求めた。
【0089】
<(S’ NMR/SNMR)の算出>
製造例14~22における石油樹脂(B-1)~(B’-3)について、それぞれ重クロロホルム溶媒に溶解させて5%(w/v)の溶液を調製し、この溶液について、市販の1H-NMR装置(製品名「Varian Unityy INOVA-400」、400MHzタイプ、Varian社製)を用いて1H-NMRスペクトルを得た。そして、以下の数式より、各石油樹脂における(S’ NMR/SNMR)の値(%)を算出した。算出値を(B)成分中の芳香環成分の含有量とみなした。
【0090】
(S’ NMR/SNMR)(%)=〔6.3~7.6ppm領域のピーク面積値(S’ NMR)/全ピーク面積値(SNMR)〕×100
【0091】
[ベースポリマーの製造]
製造例1
撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、水43.4部及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノールLA-16」,第一工業製薬(株)製)0.92部からなる水溶液を仕込み、70℃に昇温した。次いで、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸2-エチルヘキシル7部及びアクリル酸3部からなる混合物と、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.24部、重曹(pH調整剤)0.11部及び水8.83部からなる開始剤水溶液の1/10量を反応容器に添加し、窒素ガス気流下にて70℃、30分間予備重合反応を行った。次いで、前記混合物と前記開始剤水溶液の残りの9/10量を2時間にわたり反応容器に添加して乳化重合を行い、その後70℃で1時間保持して重合反応を完結させた。こうして得られたアクリル系重合体エマルジョンを室温まで冷却した後100メッシュ金網を用いてろ過し、固形分濃度47.8%のアクリル系重合体エマルジョンを得た。
【0092】
(重合ロジンエステルの製造)
製造例2
撹拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、
重合ロジン100部(酸価145mgKOH/g、軟化点140℃)、ペンタエリスリトール14部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、軟化点160℃の重合ロジンエステル(A-1)を得た。
【0093】
製造例3
撹拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、
重合ロジン100部(酸価145mgKOH/g、軟化点140℃)、ペンタエリスリトール13部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で14時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を4時間吹き込み、軟化点180℃の重合ロジンエステル(A-2)を得た。
【0094】
製造例4
撹拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、
重合ロジン100部(酸価145mgKOH/g、軟化点140℃)、ガムロジン50部(酸価160mgKOH/g、軟化点70℃)、ペンタエリスリトール12部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、軟化点125℃の重合ロジンエステル(A-3)を得た。
【0095】
(ロジンフェノール樹脂の製造)
製造例5
撹拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、
ガムロジン50部(酸価160mgKOH/g、軟化点70℃)、フェノール100部仕込んだ後、100℃まで昇温し96%硫酸を2.1部仕込み窒素ガス気流下に3時間反応させた。次いで消石灰を3.0部加えた後、10kPa減圧下で280℃まで昇温し、同温度で4時間反応させた。その後、水分等を除去し、軟化点150℃のロジンフェノール樹脂(A-4)を得た。
【0096】
(不飽和カルボン酸変性重合ロジンエステルの製造)
製造例6
撹拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、
重合ロジン100部(酸価145mgKOH/g、軟化点140℃)、無水マレイン酸5部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に220℃で2時間反応させた後、ペンタエリスリトール16部を仕込んだ後、窒素ガス気流下に250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で10時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、0.1MPaの水蒸気を4時間吹き込み、軟化点190℃の不飽和カルボン酸変性重合ロジンエステル(A’-1)を得た。
【0097】
(ガムロジンエステルの製造)
製造例7
撹拌装置、コンデンサー、温度計および窒素導入管・水蒸気導入管を備えた反応容器に、
ガムロジン100部(酸価160mgKOH/g、軟化点70℃)、フマル酸を1部仕込んだ後、窒素ガス気流下に系内温度が220℃となるまで加熱し、1時間反応させた。その後、ペンタエリスリトール13部を仕込んだ後、250℃で2時間反応させた後、さらに280℃まで昇温し同温度で12時間反応させ、エステル化を完了させた。その後、減圧下に水分等を除去し、軟化点100℃のガムロジンエステル(A’-2)を得た。
【0098】
(重合ロジンエステルエマルジョンの製造)
製造例8
製造例2の重合ロジンエステル(A-1)100部をメチルシクロヘキサン80部に80℃にて3時間かけて溶解させた後、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸二ナトリウム(以下、乳化剤(C-1)とする)3部(固形分換算)および水140部を添加し、1時間撹拌した。次いで、高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、70℃、2.93×10-2MPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分濃度50%の重合ロジンエステルエマルジョンを得た。
【0099】
製造例9
製造例8において、重合ロジンエステル(A-1)を重合ロジンエステル(A-2)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%の重合ロジンエステルエマルジョンを得た。
【0100】
製造例10
製造例8において、重合ロジンエステル(A-1)を重合ロジンエステル(A-3)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%の重合ロジンエステルエマルジョンを得た。
【0101】
(ロジンフェノール樹脂エマルジョンの製造)
製造例11
製造例8において、重合ロジンエステル(A-1)をロジンフェノール樹脂(A-4)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のロジンフェノール樹脂エマルジョンを得た。
【0102】
(重合ロジンエステルエマルジョンの製造)
製造例12
製造例8において、重合ロジンエステル(A-1)を重合ロジンエステル(A’-1)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%の重合ロジンエステルエマルジョンを得た。
【0103】
(ガムロジンエステルエマルジョンの製造)
製造例13
製造例8において、重合ロジンエステル(A-1)をガムロジンエステル(A’-2)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のガムロジンエステルエマルジョンを得た。
【0104】
(C5系石油樹脂エマルジョンの製造)
製造例14
(S’ NMR/SNMR)が0.6%であるC5系石油樹脂(商品名「HIKOREZ A-1100」、KOLON社製、重量平均分子量2,000)(以下、石油樹脂(B-1)とする)100部をメチルシクロヘキサン80部に80℃にて3時間かけて溶解させた後、乳化剤(C-1)3部(固形分換算)および水140部を添加し、1時間撹拌した。次いで、高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、70℃、2.93×10-2MPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分濃度50%のC5系石油樹脂エマルジョンを得た。
【0105】
製造例15
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が0.2%であるC5系石油樹脂(商品名「T-REZ RC-100」、JXTGエネルギー(株)製、重量平均分子量1,800)(以下、石油樹脂(B-2)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のC5系石油樹脂エマルジョンを得た。
【0106】
製造例16
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が0.1%であるC5系石油樹脂(商品名「T-REZ RA-100」、JXTGエネルギー(株)製、重量平均分子量3,000)(以下、石油樹脂(B-3)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のC5系石油樹脂エマルジョンを得た。
【0107】
製造例17
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が0.1%であるC5系石油樹脂(商品名「T-REZ RB-100」、JXTGエネルギー(株)製、重量平均分子量3,300)(以下、石油樹脂(B-4)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のC5系石油樹脂エマルジョンを得た。
【0108】
(水添石油樹脂エマルジョンの製造)
製造例18
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が0.1%である水添石油樹脂(商品名「ESCOREZ 5300」、ExxonMobile製、重量平均分子量700)(以下、石油樹脂(B-5)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%の水添石油樹脂エマルジョンを得た。
【0109】
製造例19
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が2.1%である水添石油樹脂(商品名「アルコン P-115」、荒川化学工業(株)製、重量平均分子量1,600)(以下、石油樹脂(B-6)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%の水添石油樹脂エマルジョンを得た。
【0110】
(C5/C9共重合系石油樹脂エマルジョンの製造)
製造例20
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が5.0%であるC5/C9共重合系石油樹脂(商品名「Quintone G-115」、日本ゼオン(株)製、重量平均分子量4,300)(以下、石油樹脂(B’-1)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のC5/C9共重合系石油樹脂エマルジョンを得た。
【0111】
(C9系石油樹脂エマルジョンの製造)
製造例21
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が45.0%であるC9系石油樹脂(商品名「HIKOTACK P-120」、KOLON社製、重量平均分子量1,900)(以下、石油樹脂(B’-2)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%のC9系石油樹脂エマルジョンを得た。
【0112】
(水添石油樹脂エマルジョンの製造)
製造例22
製造例14において、石油樹脂(B-1)を、(S’ NMR/SNMR)が7.1%である水添石油樹脂(商品名「アルコン M-100」、荒川化学工業(株)製、重量平均分子量1,300)(以下、石油樹脂(B’-3)とする)に変えた以外は、同様に行い、固形分濃度50%の水添石油樹脂エマルジョンを得た。
【0113】
[粘着付与樹脂エマルジョンの調製]
実施例1
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン80部(固形分換算)と、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョン20部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0114】
実施例2
実施例1において、製造例8の重合ロジンエステルエマルジョンを、製造例9の重合ロジンエステルエマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0115】
実施例3
実施例1において、製造例8の重合ロジンエステルエマルジョンを、製造例10の重合ロジンエステルエマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0116】
実施例4
実施例1において、製造例8の重合ロジンエステルエマルジョンを、製造例11のロジンフェノール樹脂エマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0117】
実施例5
実施例1において、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョンを、製造例15のC5系石油樹脂エマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0118】
実施例6
実施例1において、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョンを、製造例16のC5系石油樹脂エマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0119】
実施例7
実施例1において、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョンを、製造例17のC5系石油樹脂エマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0120】
実施例8
実施例1において、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョンを、製造例18の水添石油樹脂エマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0121】
実施例9
実施例1において、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョンを、製造例19の水添石油樹脂エマルジョンに変えた以外は、同様に行い、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0122】
実施例10
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン90部(固形分換算)と、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョン10部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0123】
実施例11
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン70部(固形分換算)と、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョン30部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0124】
実施例12
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン60部(固形分換算)と、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョン40部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0125】
実施例13
製造例2の重合ロジンエステル(A-1)80部と石油樹脂(B-1)20部をメチルシクロヘキサン80部に80℃にて3時間かけて溶解させた後、乳化剤(C-1)3部(固形分換算)および水140部を添加し、1時間撹拌した。次いで、高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、70℃、2.93×10-2MPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分濃度50%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0126】
比較例1
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョンを粘着付与樹脂エマルジョンとした。
【0127】
比較例2
製造例14のC5系石油樹脂エマルジョンを粘着付与樹脂エマルジョンとした。
【0128】
比較例3
製造例12の重合ロジンエステルエマルジョン80部(固形分換算)と、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョン20部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0129】
比較例4
製造例13のガムロジンエステルエマルジョン80部(固形分換算)と、製造例14のC5系石油樹脂エマルジョン20部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0130】
比較例5
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン80部(固形分換算)と、製造例20のC5/C9共重合系石油樹脂エマルジョン20部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0131】
比較例6
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン80部(固形分換算)と、製造例21のC9系石油樹脂エマルジョン20部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0132】
比較例7
製造例8の重合ロジンエステルエマルジョン80部(固形分換算)と、製造例22の水添石油樹脂エマルジョン20部(固形分換算)とを配合し、粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
【0133】
[水系粘・接着剤組成物の製造]
製造例1にて合成したアクリル系重合体エマルジョン95部(固形分換算)と実施例1の粘着付与樹脂エマルジョン5部(固形分換算)とを混合し、水系粘・接着剤組成物を得た。実施例2~13および比較例1~7の各粘着付与樹脂エマルジョンについても、同様にして水系粘・接着剤組成物を製造した。
【0134】
[試料テープの作成]
サイコロ型アプリケーター(大佑機材(株)製)を用いて、上記水系粘・接着剤組成物をポリエステルフィルム(商品名「S-100」、三菱ケミカル(株)製 厚み:38μm)に厚みが35μm程度となるように塗布し、次いで105℃の循風乾燥機で5分間乾燥させて試料テープを作成した。
【0135】
[曲面接着性]
試料テープ(巾20mm×長さ35mm)を直径が15mmのポリプロピレン製円柱に屈曲して貼り付け、3日後、試料テープの円柱に接着している部分の距離(以下、接着距離)(mm)を測定し、下記式で表す接着率(%)で評価した。結果を表1に示す。接着率が高いほど、曲面接着性が高いといえる。
接着率(%)=接着距離(mm)/35mm×100
◎:接着率(%)が70%以上
○:接着率(%)が50%以上70%未満
△:接着率(%)が40%以上50%未満
×:接着率(%)が40%未満
【0136】
[相溶性]
分光光度計((株)日立製作所製、商品名「U-3210形自記分光光度計」)を用い、試料テープに500nmの光を照射し、透過率(%)を測定した。結果を表1に示す。透過率が高いほど、粘着付与樹脂エマルジョンは水系粘・接着剤組成物におけるベースポリマーへの相溶性に優れているといえ、その水系粘・接着剤組成物は透明性が高い。
○:透過率(%)が84%以上
△:透過率(%)が80%以上84%未満
×:透過率(%)が80%未満
【0137】
[接着力の評価]
上記試料テープを幅25mmに切り、被着体(ポリエチレン板)に2kgのローラーを1往復させて貼り合わせ、1日静置した。次いで、180度剥離テストを、引張速度300mm/分、測定温度23℃の条件で行い、接着力(N/25mm)を測定した。結果を表1に示す。
【0138】
[保持力の評価]
上記試料テープ(25mm×25mm)をステンレス板に重ね合わせ、重量2kgのローラーで1往復させて貼り合わせた。60℃で1.0kgの荷重を試料テープに加え、試料テープが落下するまでの時間(h)を測定した。結果を表1に示す。落下するまでの時間が長い方が、保持力が高いといえる。
【0139】
【表1】
表1中の注釈は以下の通りである。
※固形分換算した質量比率を表す。