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特許7180634湿気硬化性材料収容体及び内袋並びに内袋の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】湿気硬化性材料収容体及び内袋並びに内袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20221122BHJP
   B31B 70/64 20170101ALI20221122BHJP
   B31B 160/20 20170101ALN20221122BHJP
   B31B 170/20 20170101ALN20221122BHJP
【FI】
B65D77/06 F
B31B70/64
B31B160:20
B31B170:20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020085309
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021172437
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】202010363126.0
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520170656
【氏名又は名称】盛勢達(広州)化工有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520167841
【氏名又は名称】サンスター・ケミカル・タイランド・カンパニー・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】中塚 勝
(72)【発明者】
【氏名】張樹燕
(72)【発明者】
【氏名】王婉瑜
(72)【発明者】
【氏名】プータナボディ カエチェングワン
(72)【発明者】
【氏名】森川 豪三
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-109871(JP,A)
【文献】特開平11-130095(JP,A)
【文献】特開2005-001744(JP,A)
【文献】特開2016-137610(JP,A)
【文献】特開平09-095393(JP,A)
【文献】米国特許第05651460(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/06
B31B 70/64
B31B 160/20
B31B 170/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化性材料が、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いてなる内袋に充填された状態で、上下を反転させて前記内袋とともに円筒状容器に内装されてなる湿気硬化性材料収容体であって、
前記内袋は、円筒形の胴部と、前記胴部の第1端部を閉塞する円形の閉塞部とを有し、前記閉塞部の外周部に円筒形の折曲部が設けられ、前記折曲部は、前記胴部の第1端部の内周面に、遊端側を前記胴部の第2端部側へ向けて融着され、前記胴部の第2端部に開口部が設けられ、
前記内袋は、前記湿気硬化性材料が充填されて前記開口部が前記内袋自体で閉塞された状態で、前記閉塞部側が前記円筒状容器の上部側に配置されるように、上下を反転させて前記円筒状容器に内装されており、
前記内袋からの前記湿気硬化性材料の取り出しは、前記閉塞部の中央部を切開し、ポンプのフォロワープレートで前記閉塞部を下方へ押圧して前記フォロワープレートの開口から行う
ことを特徴とする湿気硬化性材料収容体。
【請求項2】
湿気硬化性材料が充填されて内袋自体で閉塞した状態で、上下を反転させて円筒状容器に内装される、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いてなる前記内袋であって、
前記内袋は、円筒形の胴部と、前記胴部の第1端部を閉塞する円形の閉塞部とを有し、前記閉塞部の外周部に筒状の折曲部が設けられ、前記折曲部は、前記胴部の長さ方向の第1端部の内周面に、遊端側を前記胴部の第2端部側へ向けて融着され、前記胴部の第2端部に開口部が設けられ、
前記折曲部と前記胴部の第1端部との融着部分におけるアルミ層の合計厚みが10~40μmであり、
前記内袋からの前記湿気硬化性材料の取り出しは、前記閉塞部の中央部を切開し、ポンプのフォロワープレートで前記閉塞部を下方へ押圧して前記フォロワープレートの開口から行う
ことを特徴とする内袋。
【請求項3】
前記融着部分の幅が5~30mmである請求項2記載の内袋。
【請求項4】
前記胴部及び前記閉塞部を構成するラミネートフィルムの厚みが30~150μmである請求項2又は3記載の内袋。
【請求項5】
前記胴部及び閉塞部を構成するラミネートフィルムが、ナイロン層とアルミ層とナイロン層とポリオレフィン層とを順番に積層してなるラミネートフィルムからなる請求項2~4のいずれか1項記載の内袋。
【請求項6】
前記折曲部と前記胴部との融着面側にポリオレフィン層が配置されている請求項2~5のいずれか1項記載の内袋。
【請求項7】
湿気硬化性材料が充填された状態で、上下を反転させて円筒状容器に内装される、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いてなる内袋の製造方法であって、
前記内袋の円筒形の胴部の内径と略同径の円盤状の載置台に、前記内袋の円形の閉塞部を構成する円形の閉塞用フィルムを載置して、前記閉塞用フィルムを押さえ板で載置台上に保持するステップと、
前記閉塞用フィルムを載置台の外周縁に沿って下側へ折り曲げて折曲部を形成するステップと、
前記胴部を構成する円筒形の胴部フィルムを、前記載置台の上側から前記載置台に外嵌させて、前記胴部フィルムの上側の第1端部が前記載置台に外嵌されるまで、前記胴部フィルムを相対的に下方へ移動させるステップと、
前記胴部フィルムの第1端部の内周面と前記折曲部の外周面とを融着させるステップと、
を備えたことを特徴とする内袋の製造方法。
【請求項8】
前記載置台の板厚が10~50mmである請求項7記載の内袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内袋に充填された湿気硬化性材料が、内袋とともに上下を反転させてドラム缶、ペール缶などの円筒状容器に内装されてなる湿気硬化性材料収容体と、湿気硬化性材料が充填された状態で、上下を反転させて円筒状容器に内装される内袋並びに内袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿気硬化性材料の充填方法として、容器内に内袋を装填した状態で、湿気硬化性樹脂等の内容物を充填し、内袋の口部を閉じて充填筒容器を作製する工程と、充填筒容器と空筒容器を倒して略水平状態とし、それぞれの開口部を対面させる工程と、充填筒容器の開口部と空筒容器の開口部を突き合わせる工程と、充填筒容器と空筒容器を突き合わせた状態で、空筒容器が下方に位置するように、全体を略垂直に立起させることにより、内袋の口部を下方にした状態で、内容物を充填した内袋を空筒容器内に移動させる工程と、両筒容器を分離する工程と、よりなる容器への内容物の反転充填方法が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この充填方法では、湿気硬化性樹脂を内袋に充填した後、内袋の開口部を閉じるときに開口部の閉塞部分に空気が残留して、その残留した空気中の湿気によって、閉塞部分の湿気硬化性樹脂が硬化した場合でも、空筒容器内において、内袋の底部側が上側に配置されるので、取り出した湿気硬化性樹脂への硬化物の混入を未然に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-95393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、特許文献1記載の発明の内袋として、円筒形の胴部フィルムの端部を内側に折り曲げて底部フィルムの外面側の外周部に重ね合わせて融着したものを使用すると、次のような問題があることを見出した。
【0006】
充填筒容器と空筒容器を突き合わせた状態で、空筒容器が下方に位置するように、全体を略垂直に立起させて、湿気硬化性材料を充填した内袋を、上下を反転させて空筒容器に移動させた際に、充填した湿気硬化性材料の流動によって、内袋の上部(もともとの底部)にシワが発生するとともに、内袋の上部の中央部が上方へ膨出する。しかし、内袋の上部にシワが発生すると、内袋の上部を構成するラミネートフィルムのアルミ層にピンホールが形成されることがあり、部分的に材料が硬化してしまうことがあった。また、内袋の上部の中央部が上方へ膨出すると、内袋の上部にフォロワープレートを押し付けて湿気硬化性材料を取り出す際に、フォロワープレートの外周部と内袋の上部外周部間に隙間が形成される。このため、通常は、湿気硬化性材料の吐出量が安定するまで、即ち前記隙間が無くなるまでポンプのフォロワープレートを押し下げた状態で、湿気硬化性材料を使用しているが、前記隙間が無くなるまでに吐出される湿気硬化性材料を廃棄する必要があることから、材料ロスが多くなるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、アルミ層におけるピンホールの発生を防止できるとともに、湿気硬化性材料を取り出すときにおける材料ロスを低減可能で、しかも製作コストが高くなることを防止し得る湿気硬化性材料収容体及び内袋と、このような内袋を効率的に製造可能な内袋の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)湿気硬化性材料が、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いてなる内袋に充填された状態で、上下を反転させて前記内袋とともに円筒状容器に内装されてなる湿気硬化性材料収容体であって、前記内袋は、円筒形の胴部と、前記胴部の第1端部を閉塞する円形の閉塞部とを有し、前記閉塞部の外周部に円筒形の折曲部が設けられ、前記折曲部は、前記胴部の第1端部の内周面に、遊端側を前記胴部の第2端部側へ向けて融着され、前記胴部の第2端部に開口部が設けられ、前記内袋は、前記湿気硬化性材料が充填されて前記開口部が前記内袋自体で閉塞された状態で、前記閉塞部側が前記円筒状容器の上部側に配置されるように、上下を反転させて前記円筒状容器に内装されており、前記内袋からの前記湿気硬化性材料の取り出しは、前記閉塞部の中央部を切開し、ポンプのフォロワープレートで前記閉塞部を下方へ押圧して前記フォロワープレートの開口から行う、ことを特徴とする湿気硬化性材料収容体。なお、本明細書においてフィルムとは、厚みに関して厳密な意味を有するものではなく、フィルム及びシートを含む総称として用いるものとする。
【0009】
(2) 湿気硬化性材料が充填されて内袋自体で閉塞した状態で、上下を反転させて円筒状容器に内装される、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いてなる前記内袋であって、前記内袋は、円筒形の胴部と、前記胴部の第1端部を閉塞する円形の閉塞部とを有し、前記閉塞部の外周部に筒状の折曲部が設けられ、前記折曲部は、前記胴部の長さ方向の第1端部の内周面に、遊端側を前記胴部の第2端部側へ向けて融着され、前記胴部の第2端部に開口部が設けられ、前記折曲部と前記胴部の第1端部との融着部分におけるアルミ層の合計厚みが10~40μmであり、前記内袋からの前記湿気硬化性材料の取り出しは、前記閉塞部の中央部を切開し、ポンプのフォロワープレートで前記閉塞部を下方へ押圧して前記フォロワープレートの開口から行う、ことを特徴とする内袋。
【0010】
(3) 前記融着部分の幅が5~30mmである前記(2)記載の内袋。
【0011】
(4) 前記胴部及び前記閉塞部を構成するラミネートフィルムの厚みが30~150μmである前記(2)又は(3)記載の内袋。
【0012】
(5) 前記胴部及び閉塞部を構成するラミネートフィルムが、ナイロン層とアルミ層とナイロン層とポリオレフィン層とを順番に積層してなるラミネートフィルムからなる前記(2)~(4)のいずれかに記載の内袋。
【0013】
(6) 前記折曲部と前記胴部との融着面側にポリオレフィン層が配置されている前記(2)~(5)のいずれかに記載の内袋。
【0014】
(7) 湿気硬化性材料が充填された状態で、上下を反転させて円筒状容器に内装される、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いてなる内袋の製造方法であって、前記内袋の円筒形の胴部の内径と略同径の円盤状の載置台に、前記内袋の円形の閉塞部を構成する円形の閉塞用フィルムを載置して、前記閉塞用フィルムを押さえ板で載置台上に保持するステップと、前記閉塞用フィルムを載置台の外周縁に沿って下側へ折り曲げて折曲部を形成するステップと、前記胴部を構成する円筒形の胴部フィルムを、前記載置台の上側から前記載置台に外嵌させて、前記胴部フィルムの上側の第1端部が前記載置台に外嵌されるまで、前記胴部フィルムを相対的に下方へ移動させるステップと、前記胴部フィルムの第1端部の内周面と前記折曲部の外周面とを融着させるステップと、を備えたことを特徴とする内袋の製造方法。
【0015】
(8) 前記載置台の板厚が10~50mmである前記(7)記載の内袋の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る湿気硬化性材料収容体及び内袋によれば、閉塞部の外周部に円筒形の折曲部を屈曲形成し、この円筒形の折曲部を胴部の内周面に融着するという簡単な構成で、内袋の上部外周部の強度を高めて、胴部の第1端部と折曲部との融着部の上端側が内側へ倒れ込むことを防止できるので、閉塞部におけるシワの発生を抑制できるとともに、閉塞部の中央部が、上側へ膨出するという不具合を抑制できる。そして、このように、閉塞部におけるシワの発生を抑制できるので、閉塞部を構成するラミネートフィルムのアルミ層にピンホールが形成されることによる、湿気硬化性材料の局部的な硬化を防止できる。また、閉塞部の中央部が上側へ膨出するという不具合を抑制できるので、閉塞部にポンプのフォロワープレートを押し当てて、内袋に充填された湿気硬化性材料を取り出すときに、閉塞部とフォロワープレートの外周部間の隙間を少なくして、取り出し初期に廃棄していた材料ロスを少なくできる。しかも、従来の内袋と同様に、内袋を胴部と閉塞部とで構成でき、別部材を必要としないので、湿気硬化性材料収容体及び内袋の製作コストが高くなることもない。
【0017】
加えて、本発明に係る内袋によれば、折曲部と胴部の第1端部との融着部分におけるアルミ層の合計厚みが10~40μmなので、胴部と折曲部との融着部分における強度を十分に確保して、融着部分の上端側が内側へ倒れ込むことを一層効果的に防止できる。
【0018】
本発明に係る内袋の製造方法によれば、載置台を用いた簡単な方法により、内袋を容易に且つ効率的に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、収容体の分解縦断面図である。
図2図2は、内袋の縦断面図である。
図3図3は、内袋の折曲部付近の縦断面図である。
図4図4は、内袋を構成するラミネートフィルムの断面図である。
図5図5図7は、収容体の組立方法の説明図であり、図5は、移し替え容器に内袋を装填し、湿気硬化性材料を充填した状態の説明図である。
図6図5図7は、収容体の組立方法の説明図であり、図6は、湿気硬化性材料が充填された内袋の閉塞用筒部の上部を閉塞するときの説明図である。
図7図5図7は、収容体の組立方法の説明図であり、図7は、湿気硬化性材料を充填した内袋を円筒状容器に移し替えるときの説明図である。
図8図8は、収容体から湿気硬化性材料を取り出すときの説明図である。
図9図9図12は、内袋の製造方法の説明図であり、図9は、閉塞用フィルムを治具の載置台にセットするときの説明図である。
図10図9図12は、内袋の製造方法の説明図であり、図10は、載置台にセットした閉塞用フィルムの外周部を折り曲げて折曲部を形成するときの説明図である。
図11図9図12は、内袋の製造方法の説明図であり、図11は、載置台にセットされた閉塞用フィルムに胴部フィルムを外嵌するときの説明図である。
図12図9図12は、内袋の製造方法の説明図であり、図12は、胴部フィルムの上端部と折曲部とを融着するときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、収容体1は、円筒状容器10と、円筒状容器10に内装された内袋20と、内袋20に充填された湿気硬化性材料2とを備え、湿気硬化性材料2は、内袋20に充填された状態で、内袋20の第1閉塞部22(これが閉塞部に相当する。)が上側に配置されるように、内袋20とともに上下を反転させて円筒状容器10に収容されている。
【0022】
円筒状容器10は、円筒状の胴部材11と、胴部材11の下端部を閉塞する底板12と、胴部材11の上端部を閉塞する上蓋13とを備えた、ドラム缶、ペール缶などの有底円筒状の周知の金属製の缶で構成されている。
【0023】
湿気硬化性材料2としては、空気中の水分と縮合反応して硬化する、ウレタン系、シリコーン系、変性シリコーン系などの接着剤、シーリング材などを収容できる。
【0024】
内袋20は、図2に示すように、円筒形の胴部21と、胴部21の第1端部21a(図2では下端部)を閉塞する円形の第1閉塞部22とを備え、アルミ層を含むラミネートフィルムを用いて有底円筒状に構成されている。
【0025】
図2図3に示すように、第1閉塞部22の外周部には上側へ延びる円筒形の折曲部24が設けられ、折曲部24は、胴部21の第1端部21aの内周面に、遊端側を胴部21の第2端部21b側へ向けて融着され、胴部21の第1端部21aと折曲部24間には第1融着部25(これが融着部に相当する。)が環状に形成され、内袋20の底部は第1閉塞部22で液密状に閉塞されている。
【0026】
図2に示すように、胴部21の第2端部21b(図2では上端部)には開口部23が形成され、胴部21の上部には満充填時における湿気硬化性材料2の液面2a(図5参照)よりも上方へ延びる閉塞用筒部26が設けられ、開口部23は、内袋20に湿気硬化性材料2を充填した状態で、内袋20内に空気が入らないようにしつつ、閉塞用筒部26の上部の前面部と後面部とを重ね合わせ、その後折り畳んでテープで止めてなる封止部26aを形成することで、閉塞用筒部26により形成される第2閉塞部26Aにより閉塞されている。ただし、開口部23の閉塞方法は、内袋20内に空気が残留しないように閉塞可能なものであれば、周知の任意の閉塞方法で閉塞することができる。
【0027】
図4に示すように、胴部21及び第1閉塞部22を構成するラミネートフィルム30は、空気中の湿気を遮断できるように、中間に少なくとも1層のアルミ層31が積層され、胴部21の内周面と折曲部24の外周面(第1閉塞部22の下面)に、ヒートシールや超音波シールなどにより相互に融着可能な、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性合成樹脂材料を主成分とするシーラント層32が設けられている以外は、耐久性、耐ピンホール性、耐破れ性、経済性などを考慮した、任意の積層構造に構成できる。例えば、ナイロン層33とアルミ層31とナイロン層34とシーラント層32を順番に積層した4層構造のラミネートフィルム30を採用できる。シーラント層32を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンを採用できる。このような構成のラミネートフィルム30を用いると、空気中の湿気を遮断でき、しかも耐破れ性に優れることから好ましい。また、第1閉塞部22は、湿気硬化性材料2と接する側にナイロン層34が配置され、第1閉塞部22との接触部分で湿気硬化性材料2が硬化した場合でも、該硬化した材料がナイロン層34に接着されるので、第1閉塞部22を切開して湿気硬化性材料2を取り出す際に、湿気硬化性材料2の硬化物が吐出されることを防止できる。なお、胴部21と第1閉塞部22とは同じ積層構造のラミネートフィルムで構成することも可能であるが、異なる積層構造のラミネートフィルムで構成することもできる。
【0028】
ラミネートフィルム30の厚さT1は、特に限定されるものではないが、30μm以上、150μm以下が好ましく、80μm以上、120μm以下がより好ましい。厚さT1は、耐久性や耐破れ性が得られるように、30μm以上が好ましく、ハンドリング性や経済性が得られるように、150μm以下が好ましい。
【0029】
胴部21と折曲部24と第1融着部25におけるアルミ層31の合計厚みT2(図示略)は、10μm以上、40μm以下が好ましく、14μm以上、30μm以下がより好ましい。合計厚みT2は、第1融着部25の上端側が内側へ倒れ込むことを防止するため、10μm以上が好ましく、耐ピンホール性を向上するため、40μm以下が好ましい。
【0030】
第1融着部25の幅Wは、特に限定されるものではないが、5mm以上、30mm以下が好ましく、9mm以上、19mm以下がより好ましい。第1融着部25の幅Wは、第1融着部25におけるシール性能を十分に確保するため、5mm以上が好ましく、ラミネートフィルム30の使用量を少なくするため、30mm以下が好ましい。
【0031】
次に、収容体1の組立方法の一例について説明する。ただし、本発明の収容体1は、これ以外の組立方法により組み立てることもできる。
【0032】
先ず、図5に示すように、胴部材11Aと底板12Aとを有する、円筒状容器10と同じ内径の移し替え容器10Aを用い、この移し替え容器10Aに第1閉塞部22側を下側にして内袋20を内装し、湿気硬化性材料2に空気が混入されないように、湿気硬化性材料2を内袋20に充填する。なお、移し替え容器10Aとしては、円筒状容器10と同じ内径のドラム缶、ペール缶などの容器を用いることもできるし、円筒状容器10と同じ内径の専用の有底円筒状の移し替え容器を用いることもできる。
【0033】
次に、図6に示すように、内袋20の上部に空気が残留しないように、閉塞用筒部26の第2端部21bの前面部と後面部とを重ね合わせ、その後折り畳んでテープで止めてなる封止部26aを形成し、閉塞用筒部26からなる第2閉塞部26Aで内袋20の開口部23を閉塞する。ただし、開口部23の閉塞方法は、内袋20内に空気が残留しないように閉塞可能なものであれば、周知の任意の閉塞方法で閉塞することができる。
【0034】
次に、図7に示すように、移し替え容器10Aを横向きに寝かせた状態で、開口部を突き合わせて収容体1を構成する円筒状容器10を水平に配置し、この突き合わせ状態を維持しながら、円筒状容器10が下側になるように、円筒状容器10及び移し替え容器10Aを低速で図7に矢印Aで示す方向へ90°回転させて、移し替え容器10Aに装填されていた湿気硬化性材料2を内袋20とともに円筒状容器10に移し替えて、湿気硬化性材料2が充填された内袋20を、第1閉塞部22を上側にして円筒状容器10内に収容し、その後移し替え容器10Aを取り除き、図1に示すように、円筒状容器10に上蓋13を組み付けて収容体1を得ることになる。
【0035】
一方、収容体1に収容された湿気硬化性材料2を取り出す際には、上蓋13を取り外して、第1閉塞部22の中央部を切開してから、図8に示すように、円筒状容器10に略隙間なく嵌合可能なフォロワープレート40を上側から円筒状容器10内に挿入し、フォロワープレート40の下面で第1閉塞部22を下方へ押圧して、フォロワープレート40の開口41から湿気硬化性材料2を取り出すことになる。
【0036】
この収容体1及び内袋20では、第1閉塞部22の外周部に円筒形の折曲部24を屈曲形成し、この円筒形の折曲部24を胴部21の内周面に融着するという簡単な構成で、内袋20の上部外周部の強度を高めて、胴部21の第1端部21aと折曲部24との第1融着部25の上端側が、図8に矢印Bで示すように、内側へ倒れ込むことを防止できるので、第1閉塞部22におけるシワの発生を抑制できるとともに、第1閉塞部22の中央部が上側へ膨出するという不具合を抑制できる。そして、このように、第1閉塞部22におけるシワの発生を抑制できるので、第1閉塞部22を構成するラミネートフィルム30のアルミ層31にピンホールが形成されることによる、湿気硬化性材料2の局部的な硬化を防止できる。また、第1閉塞部22の中央部が上側へ膨出するという不具合を抑制できるので、図8に示すように、第1閉塞部22にポンプのフォロワープレート40を押し当てて、内袋20に充填された湿気硬化性材料2を取り出すときに、第1閉塞部22とフォロワープレート40の外周部間の隙間を少なくして、取り出し初期に廃棄していた材料ロスを少なくできる。しかも、従来の内袋と同様に、内袋20を胴部21と第1閉塞部22とで構成でき、別部材を必要としないので、湿気硬化性材料2の収容体1及び内袋20の製作コストが高くなることもない。
【0037】
次に、内袋20の製造方法の一例について説明する。ただし、本発明の内袋20は、これ以外の製造方法により製造することもできる。
【0038】
先ず、図9に示すように、脚板51と、脚板51から上方へ延びる支柱52と、支柱52の上端部に回転自在に設けた胴部21の内径と略同径の円盤状の載置台53とを有する治具50を用い、この治具50の載置台53に、第1閉塞部22を構成する円形の閉塞用フィルム22Aをシワが形成されないように同心状に載置する。なお、このとき、シーラント層32が上側に配置されるように、閉塞用フィルム22Aを載置台53に載置する。
【0039】
載置台53の板厚T3は、特に限定するものではないが、10mm以上、50mm以下が好ましく、15mm以上、20mm以下がより好ましい。載置台53の厚さT3は、シール性を得るために、10mm以上が好ましく、作業性を得るために、50mm以下が好ましい。
【0040】
次に、図10に示すように、閉塞用フィルム22A上に載置台53と略同径の押さえ板54を載置してから、押さえ板54の上に円盤状の錘プレート55を載置して、閉塞用フィルム22Aを載置台53にセットする。
【0041】
次に、図10に示すように、載置台53から外方へ突出する閉塞用フィルム22Aの外周部24Aを、載置台53の上面の角部に沿って下側へ折り曲げて、円筒状の折曲部24を形成する。
【0042】
次に、図11に示すように、胴部21を構成する円筒形の胴部フィルム21Aを、載置台53の上側から載置台53に外嵌させて、図11に仮想線で示すように、胴部フィルム21Aの上端部(第1端部21a)が載置台53に外嵌されるまで、胴部フィルム21Aを相対的に下方へ移動させ、載置台53上に載置されている閉塞用フィルム22Aの外周部の折曲部24に、胴部フィルム21Aの第1端部21aを外嵌させる。
【0043】
次に、図11図12に示すように、載置台53の外周面に適合する部分円弧状の加熱部56aを有する1対の加熱部材56を相互に接近させて、図12に仮想線で示すように、加熱部56aを外側から胴部フィルム21Aの第1端部21aに押し当てて、胴部フィルム21Aの両側部の第1端部21aの内周面と折曲部24の外周面とを融着させ、その後加熱部材56を後退させてから、載置台53を90度回転させて、再度1対の加熱部材56を相互に接近させ、胴部フィルム21Aの両側部間の残りの部分に対して、加熱部56aを押し当てて、胴部フィルム21Aの第1端部21aの内周面と折曲部24の外周面とを全周にわたって融着させる。なお、胴部フィルム21Aの第1端部21aの内周面と、閉塞用フィルム22Aの折曲部24の外周面とを融着する方法として、上述した融着方法以外の方法、例えば、全周を一気に融着する方法や、周方向に一定速度で順次融着する方法など、周知の融着方法を採用することもできる。
【0044】
次に、加熱部材56を後退させるとともに錘プレート55及び押さえ板54を取り外してから、載置台53から内袋20を抜き取って、内袋20を得ることになる。なお、載置台53から内袋20を抜き取るときに、内袋20内が負圧になって、内袋20が扁平に密着しないように、図12に仮想線で示すように、載置台53に複数の空気孔53aを設けることが好ましい。
【0045】
この内袋20の製造方法では、前述のように載置台53を用いた簡単な方法により、内袋20を容易に且つ効率的に製作することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 収容体
2 湿気硬化性材料
2a 液面
10 円筒状容器
11 胴部材
12 底板
13 上蓋
20 内袋
21 胴部
21a 第1端部
21b 第2端部
22 第1閉塞部
23 開口部
24 折曲部
25 融着部
26 閉塞用筒部
26A 第2閉塞部
26a 封止部
30 ラミネートフィルム
31 アルミ層
32 シーラント層
33 ナイロン層
34 ナイロン層
24A 外周部
10A 移し替え容器
11A 胴部材
12A 底板
40 フォロワープレート
41 開口
21A 胴部フィルム
22A 閉塞用フィルム
50 治具
51 脚板
52 支柱
53 載置台
53a 空気孔
54 押さえ板
55 錘プレート
56 加熱部材
56a 加熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12