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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】電気装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20221122BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221122BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H05K9/00 U
H02M7/48 Z
H05K7/20 B
H05K7/20 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021017009
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120237
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2022-01-27
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔太
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-089201(JP,A)
【文献】特開2001-144488(JP,A)
【文献】特開2010-181394(JP,A)
【文献】特開2002-344177(JP,A)
【文献】特開2017-011152(JP,A)
【文献】特開2019-208005(JP,A)
【文献】特開2015-201923(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069406(WO,A1)
【文献】特開2018-170410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 9/00
H01G 2/08
H01G 2/22
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が最も広い面積を有すると共に、一方の底面が開口部として開放され、かつ他方の底面が底壁によって閉塞された直方体状のケースにコンデンサが収容された電気装置であって、
前記ケースの開口部に、金属製の放熱板が設けられ、
前記放熱板の外側面に、ねじ締結可能な被締結部が設けられ、
前記被締結部は、金属製のナットによって形成され、
前記被締結部に回路基板がねじ止めされていて、
前記放熱板は、前記電気装置の固定に供する金属製のフレームと電気的に接続され、
前記回路基板は、前記ナットに締結される前記ねじが貫通するねじ貫通孔を有し、
前記回路基板において、前記ねじ貫通孔の前記ナットと対向する側の孔縁に、接地用の回路パターンが設けられ、
前記放熱板の前記ケースの開口部に沿った面の面積が、前記回路基板の前記ケースの開口部に沿った面の面積よりも大きい、
ことを特徴とする電気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気装置であって、
前記電気装置は、金属製のフレームを介して搭載されるものであり、
前記ケースの底壁の外側面には、放熱シートが設けられていて、
前記ケースの底壁と前記フレームとの間に前記放熱シートが介装されている、
ことを特徴とする電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の電気装置としては、以下の特許文献に記載されたような、概ね直方体状をなす有底角筒状に形成された樹脂製のケースにコンデンサを収容したものが知られている。そして、このような電気装置の中には、ケースの外底面(底壁の外側面)に、例えば筒状のボスを形成するなどして、かかるボスを介して回路基板が取り付けられるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-262665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の電気装置では、上述のように、ケースの外底面に回路基板が取り付けられることにより、コンデンサと回路基板とが、樹脂材料からなるケースの底壁のみを隔てて、近接して配置されていた。これにより、コンデンサから発生する電磁空間ノイズにより、回路基板の誤動作を招来してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであり、コンデンサから発生する電磁空間ノイズによる回路基板の誤動作を抑制可能な電気装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その一態様として、底面が最も広い面積を有すると共に、一方の底面が開口部として開放され、かつ他方の底面が底壁によって閉塞された直方体状のケースにコンデンサが収容された電気装置であって、前記ケースの開口部に、金属製の放熱板が設けられ、前記放熱板の外側面に、ねじ締結可能な被締結部が設けられ、前記被締結部に回路基板がねじ止めされている。
【0007】
このように、本発明に係る電気装置によれば、コンデンサと回路基板との間に放熱板が介装されていて、回路基板がコンデンサに対して、樹脂製のケース(底壁)に加え、金属製の放熱板を隔てて配置されている。このため、金属製の放熱板によって、コンデンサから発せられる電磁空間ノイズが遮蔽又は低減され、コンデンサの電磁空間ノイズによる回路基板の誤動作を抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係る電気装置の別の態様として、前記被締結部は、金属製のナットによって形成されている、ことが望ましい。
【0009】
このように、被締結部が金属製のナットによって形成されていることにより、回路基板を強固に固定することができる。さらには、被締結部を放熱板と同じ金属材料で構成することで、例えば嵌合のほか、溶接など他の手段によっても、被締結部を放熱板に容易かつ強固に固定することができる。
【0010】
また、本発明に係る電気装置のさらに別の態様として、前記放熱板は、前記電気装置の固定に供する金属製のフレームと電気的に接続され、前記回路基板は、前記ナットに締結される前記ねじが貫通するねじ貫通孔を有し、前記回路基板において、前記ねじ貫通孔の前記ナットと対向する側の孔縁に、接地用の回路パターンが設けられている、ことが望ましい。
【0011】
このように、回路基板のねじ貫通孔におけるナットと対向する側の孔縁に、接地用の回路パターンが設けられていることにより、回路基板の接地用の回路パターンをフレームに接地接続するための追加のバスバーが不要となる。これにより、電気装置の部品点数の削減、及び電気装置の組立工数の削減が図れ、電気装置の生産性の向上や、製造コストの低廉化を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る電気装置のさらに別の態様として、前記電気装置は、金属製のフレームを介して搭載されるものであり、前記ケースの底壁の外側面には、放熱シートが設けられていて、前記ケースの底壁と前記フレームとの間に前記放熱シートが介装されている、ことが望ましい。
【0013】
このように、ケースの底壁の外側面に放熱シートが設けられ、ケースの底壁とフレームとの間に放熱シートが介装されていることにより、ケース内に収容されたコンデンサの熱を、放熱シートを介してフレームに放熱することが可能となる。これにより、コンデンサの熱を、放熱板及び放熱シートによりケースの両側から放熱可能となり、コンデンサの冷却効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金属製の放熱板によって、コンデンサから発せられる電磁空間ノイズを遮蔽又は低減することが可能となる。これにより、コンデンサの電磁空間ノイズによる回路基板の誤動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電気装置の斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】従来の電気装置を示す斜視図である。
図4図3のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電気装置の実施形態を、図面に基づき詳述する。なお、下記実施形態では、本発明に係る電気装置を、従来と同様、車両用インバータ装置に適用したものを示している。
【0017】
図1は、斜め上方から見た電気装置の斜視図を示している。図2は、図1に示すA-A線に沿って切断した電気装置の断面図を示している。なお、便宜上、各図の説明では、紙面の上側を「上」、紙面の下側を「下」として説明する。
【0018】
(電気装置の構成)
本実施形態に係る電気装置は、図1図2に示すように、有底角筒状をなす樹脂製のケース1内に、複数のコンデンサ2が収容されると共に、コンデンサ2の上面側及び下面側にPバスバー3p及びNバスバー3nが配置されている。また、ケース1の開口部OPには、金属製の放熱板4が取り付けられていて、この放熱板4の上面には、回路基板5が配置されている。なお、この電気装置は、金属製のフレーム6を介して、当該電気装置を搭載する図示外の車体等に取り付けられる。
【0019】
ケース1は、底面が最も広い面積を有し、上下に対向する底面のうち上方に位置する一方の底面が開口部OPとして開放され、かつ下方に位置する他方の底面が底壁10によって閉塞された直方体状に、樹脂材料によって一体に形成されている。より具体的には、ケース1は、平面視ほぼ長方形をなす底壁10と、この底壁10の外側縁よりそれぞれ直角に立ち上がる第1側壁11、第2側壁12、第3側壁13及び第4側壁14と、によって構成され、上方が開口した箱状を呈している。
【0020】
ケース1の第2側壁12、第3側壁13及び第4側壁14の各外側面には、フレーム6との接続に供するケースフランジ部15が、それぞれ底壁10と平行に外方へ突出するかたちで、ケース1と一体に設けられている。より具体的には、ケースフランジ部15は、底壁10の短辺に沿って形成された第2側壁12及び第4側壁14の外側面に1つずつ、底壁10の長辺に沿って形成された第3側壁13の外側面に2つ設けられている。そして、ケースフランジ部15の中央位置には、ボルト71の軸部が挿通可能な円形のケース側ボルト挿通孔15aが貫通形成されている。
【0021】
コンデンサ2は、例えば直方体形状のフィルムコンデンサや円筒形状の電解コンデンサ等によって構成されるものであり、単数又は複数の半導体スイッチング素子(例えばIGBTやMOSFET等)を複数組み合わせて一つのパッケージに収容してなる図示外の半導体パワーモジュールに入力される直流電圧を平滑化する。なお、本実施形態では、概ね直方体形状をなす5つのフィルムコンデンサが、ケース1の長手方向に沿って並列に配置されていて、図示外の直流電圧源が接続される直流入力端子を介してPバスバー3p及びNバスバー3nに接続され、このPバスバー3p及びNバスバー3nを介して前記図示外の半導体パワーモジュールに接続されている。
【0022】
Pバスバー3p及びNバスバー3nは、図示外の半導体パワーモジュールに電力を供給するための配線を構成する。すなわち、Pバスバー3pは、コンデンサ2の上側においてコンデンサ2の並列方向に沿って延びる板状を呈し、電源の正極と前記図示外の半導体パワーモジュールとを接続する。一方、Nバスバー3nは、コンデンサ2の下側においてコンデンサ2の並列方向に沿って延びる板状を呈し、電源の負極と前記図示外の半導体パワーモジュールとを接続する。
【0023】
なお、本実施形態では、Pバスバー3p及びNバスバー3nは、前記図示外の半導体パワーモジュールに接続される側の端部が、それぞれ外部端子を構成するP端子部30p及びN端子部30nとして分岐形成され、それぞれケース1の開口部OPからケース1の外部へと引き出されている。より具体的には、P端子部30p及びN端子部30nは、それぞれ第1側壁11の上端部(開口部OP側の端部)に沿ってケース1の内側から外側へとクランク状に曲折し、第1側壁11の幅方向(長手方向)においてP端子部30pとN端子部30nとが互い違いに並列した状態でケースフランジ部15と平行に第1側壁11の外方へ延びるようにして、ケース1の外部へと引き出されている。
【0024】
放熱板4は、概ね矩形板状をなす放熱板本体部41と、放熱板本体部41の外側縁において第2側壁12、第3側壁13及び第4側壁14と対向する3つの外側縁から延設された複数の放熱板フランジ部42と、を有し、これらが一体に形成されている。なお、放熱板4は、後述するようにコンデンサ2の放熱に供する役割から、前記金属材料のうち、例えばアルミニウムなど比較的放熱性の高い材料で形成されることが望ましい。
【0025】
放熱板本体部41は、ケース1の開口部OPの開口面積に相当する長方形状を有し、ケース1の内部に収容されるコンデンサ2全体の上面を覆うように設けられ、コンデンサ2の全体の熱を吸収可能となっている。また、放熱板本体部41の回路基板5と対向する外側面には、回路基板5の取付位置(後述するビス貫通孔50)に対応する位置に、回路基板5の固定(ねじ締結)に供する被締結部としての金属製のナット8が設けられている。より具体的には、放熱板本体部41には、回路基板5の取付位置(後述するビス貫通孔50)に対応する位置に、円柱状のナット8が嵌合可能な円形のナット嵌合孔41aが貫通形成されていて、このナット嵌合孔41aに嵌合(圧入)することによって、ナット8が放熱板本体部41に固定されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、上述のように、ナット8をナット嵌合孔41aに嵌合する態様を例示して説明したが、ナット8の固定態様は当該ナット嵌合孔41aとの嵌合に限定されるものではなく、例えば溶接など、任意の固定態様を採用してナット8を放熱板本体部41に固定することができる。なお、前記溶接によりナット8を放熱板本体部41に固定する場合は、ナット8をナット嵌合孔41aに嵌合(圧入)する必要がなく、ナット8を放熱板本体部41に容易に固定できるメリットがある。
【0027】
放熱板フランジ部42は、ケース1の開口部OPから第2側壁12、第3側壁13及び第4側壁14に沿ってクランク状に折れ曲がる曲折部42aと、曲折部42aの先端からケース1の外方へ折れ曲がり、ケースフランジ部15と重なり合う取付部42bと、を有する。そして、取付部42bの中央位置には、それぞれボルト71の軸部が挿通可能な円形の放熱板側ボルト挿通孔42cが貫通形成されていて、当該各放熱板側ボルト挿通孔42cに挿通するボルト71を介して、ケース1と共にフレーム6に共締め固定されている。換言すれば、放熱板4は、金属製のボルト71を介して、フレーム6と電気的に接続されている。
【0028】
回路基板5は、概ね長方形をなす矩形板状を呈し、例えばガラスエポキシ樹脂に代表されるような樹脂製の基板により構成される。そして、この回路基板5は、放熱板4と対向する内側面に、回路パターン(図示外)が印刷されると共に、CPUなど各種電子部品が実装されている。また、回路基板5は、長辺に相当する長手方向の側縁に沿って、金属製のビス72の軸部が貫通可能な複数(本実施形態では各辺に4つずつ)のビス貫通孔50が貫通形成されている。すなわち、回路基板5は、各ビス貫通孔50に挿通したビス72が放熱板4に設けられたナット8にねじ込まれることで、ナット8を介して放熱板4に固定(ねじ止め)されている。
【0029】
ここで、回路基板5には、前記複数のビス貫通孔50のうち少なくとも1つのビス貫通孔50の孔縁に、前記図示外の回路パターンの接地用パターンが配置されていて、ビス72により回路基板5を固定する際に当該接地用パターンがナット8に当接することで、当該接地用パターンがナット8及び放熱板4を介してフレーム6に接続可能に構成されている。さらに、フレーム6は図示しない配線によって接地されているので、この構成によって当該接地用パターンが接地されることになる。
【0030】
フレーム6は、概ね矩形板状に形成された台座部61と、この台座部61におけるケース1の取付位置(ケースフランジ部15)に対応する位置に、台座部61に対して垂直に立ち上がる複数の支柱部62と、を有し、これらが一体に形成されている。そして、各支柱部62の先端部には、それぞれボルト71の軸部と螺合可能な雌ねじ部62aが形成されていて、当該各雌ねじ部62aにボルト71が螺着することによって、ケース1と放熱板4がフレーム6に共締め固定されている。なお、フレーム6は、後述するようにコンデンサ2の放熱に供する役割から、前記金属材料のうち、例えばアルミニウムなど比較的放熱性の高い材料で形成されることが望ましい。
【0031】
また、ケース1の底壁10の外側面には、比較的熱伝導に優れた放熱シート9が配置されていて、ケース1とフレーム6の台座部61との間に放熱シート9が介装されるようになっている。すなわち、ケース1とフレーム6の台座部61との間に放熱シート9が介装されることで、ケース1の底壁10を介して伝わるコンデンサ2の熱をフレーム6に伝導し、当該フレーム6を介して放熱可能となっている。
(本実施形態の作用効果)
図3は、従来の電気装置を斜め上方から見た斜視図を示している。図4は、図3に示すB-B線に沿って切断した従来の電気装置の断面図を示している。なお、便宜上、各図の説明においては、紙面の上側を「上」、紙面の下側を「下」として説明する。
【0032】
図3図4に示すように、従来の電気装置では、下方に開口する直方体状のケース1の底壁10の外側面に、内部に雌ねじ穴(図示外)が形成された概ね円筒状の複数のボス部10aが突出形成されていて、各ボス部10aの先端面に回路基板5が載置され、当該回路基板5に設けられたビス貫通孔50に挿通された各ビス72の軸部が各ボス部10aの雌ねじ穴に螺着されることにより、回路基板5がケース1にねじ止めされている。
【0033】
なお、この従来の電気装置では、各側壁11~14にボス部10aを設けた場合は、回路基板5の取付面積が十分に確保できず、また、ケース1を型成形する際にスライド型を用いてボス部10aを成型することになり製造コストが増大することから、各側壁11~14ではなく最も広い面積を有する底壁10にボス部10aを設け、当該底壁10に回路基板5がねじ止めされている。
【0034】
しかし、前記従来の電気装置では、ケース1の底壁10に回路基板5がねじ止めされることで、コンデンサ2と回路基板5とが、樹脂材料からなるケース1の底壁10のみを隔てた状態で、近接して配置されることになる。このため、コンデンサ2から発生する電磁空間ノイズにより、回路基板5の誤動作を招来してしまうおそれがあった。
【0035】
これに対し、本実施形態では、ケース1の開口部OPに設けた金属製の放熱板4の上に回路基板5を配置することで、コンデンサ2と回路基板5との間に放熱板4が介装され、回路基板5が、コンデンサ2に対して、樹脂製のケース1(底壁10)に加え、金属製の放熱板4を隔てて配置されている。このため、当該金属製の放熱板4により、コンデンサ2から発せられる電磁空間ノイズを遮蔽、又は低減することが可能となる。これにより、コンデンサ2の電磁空間ノイズによる回路基板5の誤動作を抑制することができる。
【0036】
加えて、本実施形態では、回路基板5をねじ止めする際の被締結部が金属製のナット8により形成されている。これにより、回路基板5を強固に固定することができる。さらには、当該被締結部であるナット8を放熱板4と同じ金属材料で構成することにより、例えば前記嵌合のほか、溶接など他の手段によっても、当該被締結部を構成するナット8を放熱板4に容易かつ強固に固定することができる。
【0037】
また、前記従来の電気装置では、回路基板5に実装される電子部品の接地を行うため、図3に示すように、前記図示外の回路パターンの接地用パターンを、専用のバスバー3xを介してフレーム6に接続する必要があるため、当該専用のバスバー3xを設けることによる電気装置の部品点数の増大を招来し、電気装置の製造コストの増大が余儀なくされていた。
【0038】
これに対し、本実施形態では、ナット8が金属材料により形成されると共に、回路基板5において、ナット8と対向する側のビス貫通孔50の孔縁に、前記図示外の接地用の回路パターンが設けられている。これにより、回路基板5の前記図示外の接地用の回路パターンをフレーム6に接地接続するための追加のバスバー3x(図3参照)が不要となる。これにより、電気装置の部品点数の削減、及び電気装置の組立工数の削減が可能となり、電気装置の生産性の向上や、製造コストの低廉化を図ることができる。
【0039】
また、前記従来の電気装置では、図4に示すように、ケース1の開口部OP側に設けた放熱板4のみによってケース1内部のコンデンサ2の放熱を行っていたため、当該コンデンサ2の十分な冷却を図れないおそれがあった。
【0040】
ここで、前記従来の電気装置においても、本実施形態のように、ケース1の底壁10側にも放熱シートのような放熱部材を配置することが考えられるが、前記従来の電気装置では、図4に示すように、底壁10側に回路基板5やボス部10aが配置されるため、前記放熱シートのような放熱部材を配置することは困難であった。
【0041】
これに対し、本実施形態では、ケース1の底壁10の外側面に放熱シート9が設けられていて、ケース1の底壁10とフレーム6との間に放熱シート9が介装されている。これにより、ケース1内に収容されたコンデンサ2の熱を、放熱板4に加え、放熱シート9を介してもフレーム6に放熱することが可能となる。これにより、コンデンサ2の熱を、放熱板4及び放熱シート9によってケース1の両側から放熱することが可能となり、コンデンサ2の冷却効果を向上させることができる。
【0042】
本発明は、前記実施形態において例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適用対象の仕様等に応じて自由に変更することができる。
【0043】
また、前記実施形態では、本発明に係る電気装置の適用の一例として、従来と同様にインバータ装置に適用した態様を開示したが、本発明に係る電気装置は、直方体形状のケース1の内部にコンデンサ2が収容され、かつケース1に回路基板5が固定される電気装置であれば、インバータ装置以外の電気装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…ケース
10…底壁
2…コンデンサ
3p…Pバスバー
3n…Nバスバー
4…放熱板
5…回路基板
50…ビス貫通孔(ねじ貫通孔)
6…フレーム
71…ボルト
72…ビス(ねじ)
8…ナット(被締結部)
9…放熱シート
OP…開口部
図1
図2
図3
図4