(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ダイナモメータシステムの制御装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
G01M17/007 A
(21)【出願番号】P 2021144779
(22)【出願日】2021-09-06
【審査請求日】2022-09-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利道
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-248095(JP,A)
【文献】特開2010-197129(JP,A)
【文献】特開平4-285838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の第1車輪及び第2車輪がそれぞれ載置され、各々の回転に従動する第1従動部材及び第2従動部材と、前記第1及び第2従動部材にそれぞれ連結された第1ダイナモメータ及び第2ダイナモメータと、前記第1ダイナモメータの第1速度を検出する第1速度センサと、前記第2ダイナモメータの第2速度を検出する第2速度センサと、を備えるダイナモメータシステムの制御装置であって、
前記第1速度と前記第2速度との速度差が無くなるように前記第1及び第2ダイナモメータに対する同期補正入力を生成する等速同期制御部と、
前記第1車輪から前記第1従動部材へ伝達する第1駆動力を推定する第1駆動力推定部と、
前記第2車輪から前記第2従動部材へ伝達する第2駆動力を推定する第2駆動力推定部と、
前記第1及び第2駆動力に基づいて、前記第1ダイナモメータに対する第1負荷バランス補正入力及び前記第2ダイナモメータに対する第2負荷バランス補正入力を生成する負荷バランス演算部と、
前記第1負荷バランス補正入力及び前記同期補正入力に基づいて第1トルク電流指令を生成し前記第1ダイナモメータへ入力する第1トルク電流指令生成部と、
前記第2負荷バランス補正入力及び前記同期補正入力に基づいて第2トルク電流指令を生成し前記第2ダイナモメータへ入力する第2トルク電流指令生成部と、を備え、
前記負荷バランス演算部は、前記第1及び第2負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記第2駆動力が大きくなるほど前記第1負荷バランス補正入力を大きくし、前記第1駆動力が大きくなるほど前記第2負荷バランス補正入力を大きくすることを特徴とするダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項2】
前記負荷バランス演算部は、
0から1の間で定められた第1比率を前記第1及び第2駆動力を合算して得られる合成駆動力に乗じることによって第1補正量を算出するとともに、前記第1駆動力から前記第1補正量を減算することによって前記第2負荷バランス補正入力を生成し、
1から前記第1比率を減じて得られる第2比率を前記合成駆動力に乗じることによって第2補正量を算出するとともに、前記第2駆動力から前記第2補正量を減算することによって前記第1負荷バランス補正入力を生成することを特徴とする請求項1に記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項3】
前記第1比率は、前記第1及び第2従動部材並びに前記第1及び第2ダイナモメータを合わせた合成機械慣性に対する前記第1従動部材及び前記第1ダイナモメータを合わせた第1機械慣性の比であり、
前記第2比率は、前記合成機械慣性に対する前記第2従動部材及び前記第2ダイナモメータを合わせた第2機械慣性の比であることを特徴とする請求項2に記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項4】
速度制御アルゴリズム、トルク制御アルゴリズム、及び走行抵抗制御アルゴリズムの何れかに基づいて主制御入力を生成する主制御装置をさらに備え、
前記第1トルク電流指令生成部は、前記第1負荷バランス補正入力、前記同期補正入力、及び前記主制御入力に基づいて前記第1トルク電流指令を生成し、
前記第2トルク電流指令生成部は、前記第2負荷バランス補正入力、前記同期補正入力、及び前記主制御入力に基づいて前記第2トルク電流指令を生成することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項5】
前記第1車輪は前記車両の前輪であり、前記第2車輪は前記車両の後輪であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項6】
前記第1車輪は前記車両の左輪であり、前記第2車輪は前記車両の右輪であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項7】
車両の左前輪、右前輪、左後輪、及び右後輪がそれぞれ載置され、各々の回転に従動する左前従動部材、右前従動部材、左後従動部材、及び右後従動部材と、前記左前、右前、左後、及び右後従動部材にそれぞれ連結された左前ダイナモメータ、右前ダイナモメータ、左後ダイナモメータ、及び右後ダイナモメータと、前記左前ダイナモメータの左前速度を検出する左前速度センサと、前記右前ダイナモメータの右前速度を検出する右前速度センサと、前記左後ダイナモメータの左後速度を検出する左後速度センサと、前記右後ダイナモメータの右後速度を検出する右後速度センサと、を備えるダイナモメータシステムの制御装置であって、
前記左前速度と前記右前速度との速度差が無くなるように前記左前及び右前ダイナモメータに対する前側同期補正入力を生成する前側等速同期制御部と、
前記左後速度と前記右後速度との速度差が無くなるように前記左後及び右後ダイナモメータに対する後側同期補正入力を生成する後側等速同期制御部と、
前記左前車輪から前記左前従動部材へ伝達する左前駆動力を推定する左前駆動力推定部と、
前記右前車輪から前記右前従動部材へ伝達する右前駆動力を推定する右前駆動力推定部と、
前記左後車輪から前記左後従動部材へ伝達する左後駆動力を推定する左後駆動力推定部と、
前記右後車輪から前記右後従動部材へ伝達する右後駆動力を推定する右後駆動力推定部と、
前記左前及び右前駆動力に基づいて、前記左前ダイナモメータに対する第1左前負荷バランス補正入力及び前記右前ダイナモメータに対する第1右前負荷バランス補正入力を生成する前側負荷バランス演算部と、
前記左後及び右後駆動力に基づいて、前記左後ダイナモメータに対する第1左後負荷バランス補正入力及び前記右後ダイナモメータに対する第1右後負荷バランス補正入力を生成する後側負荷バランス演算部と、
前記第1左前負荷バランス補正入力及び前記前側同期補正入力に基づいて前記左前トルク電流指令を生成し前記左前ダイナモメータへ入力する左前トルク電流指令生成部と、
前記第1右前負荷バランス補正入力及び前記前側同期補正入力に基づいて前記右前トルク電流指令を生成し前記右前ダイナモメータへ入力する右前トルク電流指令生成部と、
前記第1左後負荷バランス補正入力及び前記後側同期補正入力に基づいて前記左後トルク電流指令を生成し前記左後ダイナモメータへ入力する左後トルク電流指令生成部と、
前記第1右後負荷バランス補正入力及び前記後側同期補正入力に基づいて前記右後トルク電流指令を生成し前記右後ダイナモメータへ入力する右後トルク電流指令生成部と、を備え、
前記前側負荷バランス演算部は、前記第1左前負荷バランス補正入力及び前記第1右前負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記右前駆動力が大きくなるほど前記第1左前負荷バランス補正入力を大きくし、前記左前駆動力が大きくなるほど前記第1右前負荷バランス補正入力を大きくし、
前記後側負荷バランス演算部は、前記第1左後負荷バランス補正入力及び前記第1右後負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記右後駆動力が大きくなるほど前記第1左後負荷バランス補正入力を大きくし、前記左後駆動力が大きくなるほど前記第1右後負荷バランス補正入力を大きくすることを特徴とするダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項8】
前記左前及び右前速度の平均である前側平均速度と前記左後及び右後速度の平均である後側平均速度との速度差が無くなるように前記左前、右前、左後、及び右後ダイナモメータに対する前後同期補正入力を生成する前後等速同期制御部と、
前記左前、右前、左後、及び右後駆動力に基づいて、前記左前ダイナモメータに対する第2左前負荷バランス補正入力、前記右前ダイナモメータに対する第2右前負荷バランス補正入力、前記左後ダイナモメータに対する第2左後負荷バランス補正入力、及び前記右後ダイナモメータに対する第2右後負荷バランス補正入力を生成する前後負荷バランス演算部と、をさらに備え、
前記左前トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2左前負荷バランス補正入力、前記前側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記左前トルク電流指令を生成し、
前記右前トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2右前負荷バランス補正入力、前記前側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記右前トルク電流指令を生成し、
前記左後トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2左後負荷バランス補正入力、前記後側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記左後トルク電流指令を生成し、
前記右後トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2右後負荷バランス補正入力、前記後側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記右後トルク電流指令を生成し、
前記前後負荷バランス演算部は、前記第2左前、第2右前、第2左後、及び第2右後負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記左後及び右後駆動力を合算して得られる後側合成駆動力が大きくなるほど前記第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力を大きくし、前記左前及び右前駆動力を合算して得られる前側合成駆動力が大きくなるほど前記第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力を大きくすることを特徴とする請求項7に記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項9】
前記前後負荷バランス演算部は、
0から1の間で定められた前側比率を前記前側合成駆動力に乗じることによって前側補正量を算出するとともに、前記前側合成駆動力から前記前側補正量を減算することによって前記第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力を生成し、
1から前記前側比率を減じて得られる後側比率を前記後側合成駆動力に乗じることによって後側補正量を算出するとともに、前記後側合成駆動力から前記後側補正量を減算することによって前記第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力を生成することを特徴とする請求項8に記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【請求項10】
前記前後負荷バランス演算部は、
前記後側合成駆動力から前記後側補正量を減じて得られる駆動力に0から1の間で定められた左前比率を乗算することによって前記第2左前負荷バランス補正入力を生成し、
前記後側合成駆動力から前記後側補正量を減じて得られる駆動力に1から前記左前比率を減じて得られる右前比率を乗算することによって前記第2右前負荷バランス補正入力を生成し、
前記前側合成駆動力から前記前側補正量を減じて得られる駆動力に0から1の間で定められた左後比率を乗算することによって前記第2左後負荷バランス補正入力を生成し、
前記前側合成駆動力から前記前側補正量を減じて得られる駆動力に1から前記左後比率を減じて得られる右後比率を乗算することによって前記第2右後負荷バランス補正入力を生成することを特徴とする請求項9に記載のダイナモメータシステムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナモメータシステムの制御装置に関する。より詳しくは、車両の前後輪又は左右輪が別々に載置される複数の従動部材と各従動部材と連結された複数のダイナモメータとを備えるシャシダイナモメータシステムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耐久試験、排気浄化性能評価試験、及び燃費計測試験等の車両試験では、シャシダイナモメータシステムが用いられる。シャシダイナモメータシステムは、試験対象となる車両の車輪が載置されるローラとこのローラに連結されたダイナモメータとを備え、ローラ上で走行する車両に対してころがり抵抗や慣性抵抗等の実走行時に発生する走行抵抗をダイナモメータ及びローラを用いて与えることにより、実走行条件に近い条件を再現する。
【0003】
このようなシャシダイナモメータシステムには、主として四輪車両の前後の車輪に動力を伝達する所謂四輪駆動車両に用いられることを想定して、車両の前輪が載置される前輪ローラと後輪が載置される後輪ローラとをそれぞれ別々のダイナモメータで駆動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
実際の路面上を四輪車両が非スリップ状態で走行している場合、前輪と後輪の速度は等しい。しかしながら上述のような四輪駆動車両用のシャシダイナモメータシステムでは、前輪ローラと後輪ローラとを機械的に連結せずに独立して駆動していることから、前輪ローラの速度と後輪ローラの速度とで差が生じる場合がある。このため、四輪駆動車両用のシャシダイナモメータシステムでは、前輪ローラと後輪ローラとを等速にするような同期制御が行われる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-285903号公報
【文献】特許第6525076号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載のダイナモメータシステムの制御装置では、電気慣性制御部によって生成した入力と同期制御部によって生成した入力とを組み合わせることによって、前後輪の速度差に振動的な挙動を与えないようにしながら前後輪を等速に制御している。より具体的には、同期制御部は、前輪速度と後輪速度との間の速度差を無くすように前後ダイナモメータへの入力を決定し、電気慣性制御部は、駆動力オブザーバによって推定された車両の発生駆動力を用いて前後ローラを介して車両に与える電気慣性抵抗を算出し、この電気慣性抵抗を用いて前後ダイナモメータへの入力を決定する。
【0007】
しかしながら特許文献2に記載の電気慣性制御部は、前輪機械慣性Mf及び後輪機械慣性Mrの和と車両慣性Mvとの比に基づいて前後ダイナモメータへの入力を決定しているため、前輪機械慣性Mf及び後輪機械慣性Mrの和が車両慣性Mvと等しい場合には、電気慣性制御部からの出力が0となってしまい、同期制御部のみが動作することとなる。このため、試験対象となる車両前後輪の負荷バランスが異なる加速時や制動時等の過渡時における応答性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、2つ以上の車輪を等速にする同期機能の過渡時における応答性の低下を防止できるシャシダイナモメータシステムの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る制御装置(例えば、後述の制御装置6,6A)は、車両(例えば、後述の車両V)の第1車輪(例えば、後述の前輪Wf、左前輪Wfl、及び左後輪Wrl)及び第2車輪(例えば、後述の後輪Wr、右前輪Wfr、及び右後輪Wrr)がそれぞれ載置され、各々の回転に従動する第1従動部材(例えば、後述の前輪ローラ1f、左前輪ローラ1fl、及び左後輪ローラ1rl)及び第2従動部材(例えば、後述の後輪ローラ1r、右前輪ローラ1fr、及び右後輪ローラ1rr)と、前記第1及び第2従動部材にそれぞれ連結された第1ダイナモメータ(例えば、後述の前輪ダイナモメータ2f、左前輪ダイナモメータ2fl、及び左後輪ダイナモメータ2rl)及び第2ダイナモメータ(例えば、後述の後輪ダイナモメータ2r、右前輪ダイナモメータ2fr、及び右後輪ダイナモメータ2rr)と、前記第1ダイナモメータの第1速度を検出する第1速度センサ(例えば、後述の前輪速度センサ3f、左前輪速度センサ3fl、及び左後輪速度センサ3rl)と、前記第2ダイナモメータの第2速度を検出する第2速度センサ(例えば、後述の後輪速度センサ3r、右前輪速度センサ3fr、及び右後輪速度センサ3rr)と、を備えるダイナモメータシステム(例えば、後述のシャシダイナモメータシステムS,SA)を制御対象とする。前記制御装置は、前記第1速度と前記第2速度との速度差が無くなるように前記第1及び第2ダイナモメータに対する同期補正入力を生成する等速同期制御部(例えば、後述の等速同期制御部63、前側等速同期制御部63f、及び後側等速同期制御部63r)と、前記第1車輪から前記第1従動部材へ伝達する第1駆動力を推定する第1駆動力推定部(例えば、後述の前輪駆動力オブザーバ61f、左前輪駆動力オブザーバ61fl、及び左後輪駆動力オブザーバ61rl)と、前記第2車輪から前記第2従動部材へ伝達する第2駆動力を推定する第2駆動力推定部(例えば、後述の後輪駆動力オブザーバ61r、右前輪駆動力オブザーバ61fr、及び右後輪駆動力オブザーバ61rr)と、前記第1及び第2駆動力に基づいて、前記第1ダイナモメータに対する第1負荷バランス補正入力及び前記第2ダイナモメータに対する第2負荷バランス補正入力を生成する負荷バランス演算部(例えば、後述の負荷バランス演算部63、前側負荷バランス演算部62f、及び後側負荷バランス演算部62r)と、前記第1負荷バランス補正入力及び前記同期補正入力に基づいて第1トルク電流指令を生成し前記第1ダイナモメータへ入力する第1トルク電流指令生成部(例えば、後述の前輪トルク電流指令生成部64f、左前輪トルク電流指令生成部64fl、及び左後輪トルク電流指令生成部64rl)と、前記第2負荷バランス補正入力及び前記同期補正入力に基づいて第2トルク電流指令を生成し前記第2ダイナモメータへ入力する第2トルク電流指令生成部(例えば、後述の後輪トルク電流指令生成部64r、右前輪トルク電流指令生成部64fr、及び右後輪トルク電流指令生成部64rr)と、を備え、前記負荷バランス演算部は、前記第1及び第2負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記第2駆動力が大きくなるほど前記第1負荷バランス補正入力を大きくし、前記第1駆動力が大きくなるほど前記第2負荷バランス補正入力を大きくすることを特徴とする。
【0010】
(2)この場合、前記負荷バランス演算部は、0から1の間で定められた第1比率を前記第1及び第2駆動力を合算して得られる合成駆動力に乗じることによって第1補正量を算出するとともに、前記第1駆動力から前記第1補正量を減算することによって前記第2負荷バランス補正入力を生成し、1から前記第1比率を減じて得られる第2比率を前記合成駆動力に乗じることによって第2補正量を算出するとともに、前記第2駆動力から前記第2補正量を減算することによって前記第1負荷バランス補正入力を生成することが好ましい。
【0011】
(3)この場合、前記第1比率は、前記第1及び第2従動部材並びに前記第1及び第2ダイナモメータを合わせた合成機械慣性に対する前記第1従動部材及び前記第1ダイナモメータを合わせた第1機械慣性の比であり、前記第2比率は、前記合成機械慣性に対する前記第2従動部材及び前記第2ダイナモメータを合わせた第2機械慣性の比であることが好ましい。
【0012】
(4)この場合、前記制御装置は、速度制御アルゴリズム、トルク制御アルゴリズム、及び走行抵抗制御アルゴリズムの何れかに基づいて主制御入力を生成する主制御装置(例えば、後述の主制御装置65)をさらに備え、前記第1トルク電流指令生成部は、前記第1負荷バランス補正入力、前記同期補正入力、及び前記主制御入力に基づいて前記第1トルク電流指令を生成し、前記第2トルク電流指令生成部は、前記第2負荷バランス補正入力、前記同期補正入力、及び前記主制御入力に基づいて前記第2トルク電流指令を生成することが好ましい。
【0013】
(5)この場合、前記第1車輪は前記車両の前輪(例えば、後述の前輪Wf)であり、前記第2車輪は前記車両の後輪(例えば、後述の後輪Wr)であることが好ましい。
【0014】
(6)この場合、前記第1車輪は前記車両の左輪(例えば、後述の左前輪Wfl、及び左後輪Wrl)であり、前記第2車輪は前記車両の右輪(例えば、後述の右前輪Wfr、及び右後輪Wrr)であることが好ましい。
【0015】
(7)本発明に係る制御装置(例えば、後述の制御装置6A,6B)は、車両(例えば、後述の車両V)の左前輪(例えば、後述の左前輪Wfl)、右前輪(例えば、後述の右前輪Wfr)、左後輪(例えば、後述の左後輪Wrl)、及び右後輪(例えば、後述の右後輪Wrr)がそれぞれ載置され、各々の回転に従動する左前従動部材(例えば、後述の左前輪ローラ1fl)、右前従動部材(例えば、後述の右前輪ローラ1fr)、左後従動部材(例えば、後述の左後輪ローラ1rl)、及び右後従動部材(例えば、後述の右後輪ローラ1rr)と、前記左前、右前、左後、及び右後従動部材にそれぞれ連結された左前ダイナモメータ(例えば、後述の左前輪ダイナモメータ2fl)、右前ダイナモメータ(例えば、後述の右前輪ダイナモメータ2fr)、左後ダイナモメータ(例えば、後述の左後輪ダイナモメータ2rl)、及び右後ダイナモメータ(例えば、後述の右後輪ダイナモメータ2rr)と、前記左前ダイナモメータの左前速度を検出する左前速度センサ(例えば、後述の左前輪速度センサ3fl)と、前記右前ダイナモメータの右前速度を検出する右前速度センサ(例えば、後述の右前輪速度センサ3fr)と、前記左後ダイナモメータの左後速度を検出する左後速度センサ(例えば、後述の左後輪速度センサ3rl)と、前記右後ダイナモメータの右後速度を検出する右後速度センサ(例えば、後述の右後輪速度センサ3rr)と、を備えるダイナモメータシステム(例えば、後述のシャシダイナモメータシステムSA)を制御対象とする。前記制御装置は、前記左前速度と前記右前速度との速度差が無くなるように前記左前及び右前ダイナモメータに対する前側同期補正入力を生成する前側等速同期制御部(例えば、後述の前側等速同期制御部63f)と、前記左後速度と前記右後速度との速度差が無くなるように前記左後及び右後ダイナモメータに対する後側同期補正入力を生成する後側等速同期制御部(例えば、後述の後側等速同期制御部63r)と、前記左前車輪から前記左前従動部材へ伝達する左前駆動力を推定する左前駆動力推定部(例えば、後述の左前輪駆動力オブザーバ61fl)と、前記右前車輪から前記右前従動部材へ伝達する右前駆動力を推定する右前駆動力推定部(例えば、後述の右前輪駆動力オブザーバ61fr)と、前記左後車輪から前記左後従動部材へ伝達する左後駆動力を推定する左後駆動力推定部(例えば、後述の左後輪駆動力オブザーバ61rl)と、前記右後車輪から前記右後従動部材へ伝達する右後駆動力を推定する右後駆動力推定部(例えば、後述の右後輪駆動力オブザーバ61rr)と、前記左前及び右前駆動力に基づいて、前記左前ダイナモメータに対する第1左前負荷バランス補正入力及び前記右前ダイナモメータに対する第1右前負荷バランス補正入力を生成する前側負荷バランス演算部(例えば、後述の前側負荷バランス演算部62f,67f)と、前記左後及び右後駆動力に基づいて、前記左後ダイナモメータに対する第1左後負荷バランス補正入力及び前記右後ダイナモメータに対する第1右後負荷バランス補正入力を生成する後側負荷バランス演算部(例えば、後述の後側負荷バランス演算部62r,67r)と、前記第1左前負荷バランス補正入力及び前記前側同期補正入力に基づいて前記左前トルク電流指令を生成し前記左前ダイナモメータへ入力する左前トルク電流指令生成部(例えば、後述の左前輪トルク電流指令生成部64fl)と、前記第1右前負荷バランス補正入力及び前記前側同期補正入力に基づいて前記右前トルク電流指令を生成し前記右前ダイナモメータへ入力する右前トルク電流指令生成部(例えば、後述の右前輪トルク電流指令生成部64fr)と、前記第1左後負荷バランス補正入力及び前記後側同期補正入力に基づいて前記左後トルク電流指令を生成し前記左後ダイナモメータへ入力する左後トルク電流指令生成部(例えば、後述の左後輪トルク電流指令生成部64rl)と、前記第1右後負荷バランス補正入力及び前記後側同期補正入力に基づいて前記右後トルク電流指令を生成し前記右後ダイナモメータへ入力する右後トルク電流指令生成部(例えば、後述の右後輪トルク電流指令生成部64rr)と、を備え、前記前側負荷バランス演算部は、前記第1左前負荷バランス補正入力及び前記第1右前負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記右前駆動力が大きくなるほど前記第1左前負荷バランス補正入力を大きくし、前記左前駆動力が大きくなるほど前記第1右前負荷バランス補正入力を大きくし、前記後側負荷バランス演算部は、前記第1左後負荷バランス補正入力及び前記第1右後負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記右後駆動力が大きくなるほど前記第1左後負荷バランス補正入力を大きくし、前記左後駆動力が大きくなるほど前記第1右後負荷バランス補正入力を大きくすることを特徴とする。
【0016】
(8)この場合、前記制御装置は、前記左前及び右前速度の平均である前側平均速度と前記左後及び右後速度の平均である後側平均速度との速度差が無くなるように前記左前、右前、左後、及び右後ダイナモメータに対する前後同期補正入力を生成する前後等速同期制御部(例えば、後述の前後等速同期制御部63fr)と、前記左前、右前、左後、及び右後駆動力に基づいて、前記左前ダイナモメータに対する第2左前負荷バランス補正入力、前記右前ダイナモメータに対する第2右前負荷バランス補正入力、前記左後ダイナモメータに対する第2左後負荷バランス補正入力、及び前記右後ダイナモメータに対する第2右後負荷バランス補正入力を生成する前後負荷バランス演算部(例えば、後述の前後負荷バランス演算部68)と、をさらに備え、前記左前トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2左前負荷バランス補正入力、前記前側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記左前トルク電流指令を生成し、前記右前トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2右前負荷バランス補正入力、前記前側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記右前トルク電流指令を生成し、前記左後トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2左後負荷バランス補正入力、前記後側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記左後トルク電流指令を生成し、前記右後トルク電流指令生成部は、前記第1及び第2右後負荷バランス補正入力、前記後側同期補正入力、並びに前記前後同期補正入力に基づいて前記右後トルク電流指令を生成し、前記前後負荷バランス演算部は、前記前後負荷バランス演算部は、前記第2左前、第2右前、第2左後、及び第2右後負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、前記左後及び右後駆動力を合算して得られる後側合成駆動力が大きくなるほど前記第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力を大きくし、前記左前及び右前駆動力を合算して得られる前側合成駆動力が大きくなるほど前記第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力を大きくすることが好ましい。
【0017】
(9)この場合、前記前後負荷バランス演算部は、0から1の間で定められた前側比率を前記前側合成駆動力に乗じることによって前側補正量を算出するとともに、前記前側合成駆動力から前記前側補正量を減算することによって前記第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力を生成し、1から前記前側比率を減じて得られる後側比率を前記後側合成駆動力に乗じることによって後側補正量を算出するとともに、前記後側合成駆動力から前記後側補正量を減算することによって前記第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力を生成することが好ましい。
【0018】
(10)この場合、前記前後負荷バランス演算部は、前記後側合成駆動力から前記後側補正量を減じて得られる駆動力に0から1の間で定められた左前比率を乗算することによって前記第2左前負荷バランス補正入力を生成し、前記後側合成駆動力から前記後側補正量を減じて得られる駆動力に1から前記左前比率を減じて得られる右前比率を乗算することによって前記第2右前負荷バランス補正入力を生成し、前記前側合成駆動力から前記前側補正量を減じて得られる駆動力に0から1の間で定められた左後比率を乗算することによって前記第2左後負荷バランス補正入力を生成し、前記前側合成駆動力から前記前側補正量を減じて得られる駆動力に1から前記左後比率を減じて得られる右後比率を乗算することによって前記第2右後負荷バランス補正入力を生成することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
(1)ダイナモメータシステムの制御装置は、第1及び第2速度の速度差が無くなるように同期補正入力を生成する等速同期制御部と、第1及び第2駆動力推定部によって推定した第1及び第2駆動力に基づいて第1及び第2負荷バランス補正入力を生成する負荷バランス演算部と、第1負荷バランス補正入力及び同期補正入力に基づいて第1ダイナモメータに対する第1トルク電流指令を生成する第1トルク電流指令生成部と、第2負荷バランス補正入力及び同期補正入力に基づいて第2ダイナモメータに対する第2トルク電流指令を生成する第2トルク電流指令生成部と、を備える。特に本発明に係る制御装置において、負荷バランス演算部は、第1及び第2負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、第2駆動力が大きくなるほど第1負荷バランス補正入力を大きくし、第1駆動力が大きくなるほど第2負荷バランス補正入力を大きくする。これにより、第1駆動力と第2駆動力との差が大きくなる傾向がある過渡時には、第1速度と第2速度との間の速度差が小さくなるように第1及び第2負荷バランス補正入力をそれぞれ独立して変化させることができるので、従来と比較して過渡時における応答性の低下を防止することができる。
【0020】
(2)本発明において、負荷バランス演算部は、0から1の間の第1比率を合成駆動力に乗じることによって第1補正量を算出し、第1駆動力から第1補正量を減算することによって第2負荷バランス補正入力を生成する。また負荷バランス演算部は、1から第1比率を減じて得られる第2比率を合成駆動力に乗じることによって第2補正量を算出し、第2駆動力から第2補正量を減算することによって第1負荷バランス補正入力を生成する。これにより、合成駆動力と、この合成駆動力を構成する第1及び第2駆動力の負荷バランスとに応じて、第1及び第2負荷バランス補正入力を適切な大きさに調整することができる。
【0021】
(3)本発明では、第1比率を、第1及び第2従動部材並びに第1及び第2ダイナモメータを合わせた合成機械慣性に対する第1従動部材及び第1ダイナモメータを合わせた第1機械慣性の比とし、第2比率を、合成機械慣性に対する第2従動部材及び第2ダイナモメータを合わせた第2機械慣性の比とする。これにより、合成駆動力と、第1及び第2駆動力の負荷バランスと、第1及び第2機械慣性のバランスとに応じて、第1及び第2負荷バランス補正入力を適切な大きさに調整することができる。
【0022】
(4)本発明において、主制御装置は、速度制御アルゴリズム、トルク制御アルゴリズム、及び走行抵抗制御アルゴリズムの何れかに基づいて主制御入力を生成し、第1トルク電流指令生成部は、第1負荷バランス補正入力、同期補正入力、及び主制御入力に基づいて第1トルク電流指令を生成し、第2トルク電流指令生成部は、第2負荷バランス補正入力、同期補正入力、及び主制御入力に基づいて第2トルク電流指令を生成する。これにより、主制御装置による速度制御、トルク制御、及び走行抵抗制御等に、2つ以上の車輪を等速に維持する同期機能を容易に組み込むことができる。
【0023】
(5)本発明では、第1車輪を前輪とし、第2車輪を後輪とする。これにより、前輪と後輪とが等速になるようにダイナモメータシステムを制御することができる。
【0024】
(6)本発明では、第1車輪を左輪とし、第2車輪を右輪とする。これにより、左輪と右輪とが等速になるようにダイナモメータシステムを制御することができる。
【0025】
(7)ダイナモメータシステムの制御装置は、左前及び右前速度の速度差が無くなるように前側同期補正入力を生成する前側等速同期補正部と、左後及び右後速度の速度差が無くなるように左後及び後側同期補正入力を生成する後側等速同期補正部と、推定された左前及び右前駆動力に基づいて第1左前及び第1右前負荷バランス補正入力を生成する前側負荷バランス演算部と、推定された左後及び右後駆動力に基づいて第1左後及び第1右後負荷バランス補正入力を生成する後側負荷バランス演算部と、第1左前負荷バランス補正入力及び前側同期補正入力に基づいて左前トルク電流指令を生成する左前トルク電流指令生成部と、第1右前負荷バランス補正入力及び前側同期補正入力に基づいて右前トルク電流指令を生成する右前トルク電流指令生成部と、第1左後負荷バランス補正入力及び後側同期補正入力に基づいて左後トルク電流指令を生成する左後トルク電流指令生成部と、第1右後負荷バランス補正入力及び後側同期補正入力に基づいて右後トルク電流指令を生成する右後トルク電流指令生成部と、を備える。特に本発明に係る制御装置において、前側負荷バランス演算部は、第1左前及び第1右前負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、右前駆動力が大きくなるほど第1左前負荷バランス補正入力を大きくし、左前駆動力が大きくなるほど第1右前負荷バランス補正入力を大きくする。また後側負荷バランス演算部は、第1左後及び第1右後負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、右後駆動力が大きくなるほど第1左後負荷バランス補正入力を大きくし、左後駆動力が大きくなるほど第1右後負荷バランス補正入力を大きくする。これにより、前輪側又は後輪側において、左右の車輪の間の駆動力の差が大きくなるような場合には、左右の車輪の間の速度差が小さくなるように第1左前、第1右前、第1左後、及び第1右後負荷バランス補正入力をそれぞれ独立して変化させることができるので、従来と比較して過渡時における応答性の低下を防止することができる。
【0026】
(8)ダイナモメータシステムの制御装置は、前側平均速度と後側平均速度との速度差が無くなるように前後同期補正入力を生成する前後等速同期制御部と、左前、右前、左後、及び右後駆動力に基づいて第2左前、第2右前、第2左後、及び第2右後負荷バランス補正入力を生成する前後負荷バランス演算部と、をさらに備える。また前後負荷バランス演算部は、第2左前、第2右前、第2左後、及び第2右後負荷バランス補正入力を独立して変化させるとともに、後側合成駆動力が大きくなるほど第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力を大きくし、前側合成駆動力が大きくなるほど第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力を大きくする。これにより、前後左右全ての車輪の速度を等速に維持する同期機能の過渡時における応答性の低下を防止することができる。
【0027】
(9)前後負荷バランス演算部は、0から1の間の前側比率を前側合成駆動力に乗じることによって前側補正量を算出し、前側合成駆動力から前側補正量を減算することによって第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力を生成する。また前後負荷バランス演算部は、1から前側比率を減じて得られる後側比率を後側合成駆動力に乗じることによって後側補正量を算出し、後側合成駆動力から後側補正量を減算することによって第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力を生成する。これにより、前側合成駆動力と、後側合成駆動力と、に応じて、第2左前及び第2右前負荷バランス補正入力と、第2左後及び第2右後負荷バランス補正入力とを適切な大きさに調整することができる。
【0028】
(10)前後負荷バランス演算部は、後側合成駆動力から後側補正量を減じて得られる駆動力に0から1の間の左前比率を乗算することによって第2左前負荷バランス補正入力を生成し、後側合成駆動力から後側補正量を減じて得られる駆動力に1から左前比率を乗算することによって第2右前負荷バランス補正入力を生成し、前側合成駆動力から前側補正量を減じて得られる駆動力に0から1の間の左後比率を乗算することによって第2左後負荷バランス補正入力を生成し、前側合成駆動力から前側補正量を減じて得られる駆動力に1から左後比率を減じて得られる右後比率を乗算することによって第2右後負荷バランス補正入力を生成する。これにより、前側合成駆動力と、この前側合成駆動力を構成する左前及び右前駆動力の負荷バランスと、後側合成駆動力と、この後側合成駆動力を構成する左後及び右後駆動力の負荷バランスと、に応じて、第2左前、第2右前、第2左後、及び第2右後負荷バランス補正入力を適切な大きさに調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るダイナモメータシステム及びその制御装置の構成を示す図である。
【
図3】負荷バランス演算部において前輪及び後輪負荷バランス補正入力を生成する手順を説明するための図である。
【
図4】加速時における車速及び前後速度差を本実施形態に係る制御装置と比較例に係る制御装置とで比較した図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るダイナモメータシステム及びその制御装置の構成を示す図である。
【
図7】前側負荷バランス演算部において左前輪及び右前輪負荷バランス補正入力を生成する手順を説明するための図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るダイナモメータシステムの制御装置の構成を示す図である。
【
図9】前後負荷バランス演算部において第2左前輪、第2右前輪、第2左後輪、及び第2右後輪負荷バランス補正入力を生成する手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るシャシダイナモメータシステムS及びその制御装置6の構成を示す図である。シャシダイナモメータシステムSの試験対象車両Vは、その動力を前輪Wf及び後輪Wrへ分離して伝達する四輪駆動(4WD)車両であるが、本発明はこれに限らない。試験対象車両Vは、前輪駆動(FWD)車両や後輪駆動(RWD)車両としてもよい。
【0031】
シャシダイナモメータシステムSは、車両Vの前輪Wf及び後輪Wrがそれぞれ載置され、各々の回転に従って回転する前輪ローラ1f及び後輪ローラ1rと、これらローラ1f,1rにそれぞれ同軸で連結された前輪ダイナモメータ2f及び後輪ダイナモメータ2rと、ダイナモメータ2f,2rの回転速度をそれぞれ検出する前輪速度センサ3f及び後輪速度センサ3rと、ダイナモメータ2f,2rのトルクをそれぞれ検出する前輪トルクセンサ4f及び後輪トルクセンサ4rと、ダイナモメータ2f,2rのそれぞれに電力を供給する前輪インバータ5f及び後輪インバータ5rと、速度センサ3f,3r及びトルクセンサ4f,4rの出力等を用いることによってダイナモメータ2f,2rで発生させるトルクに対する指令に相当する前輪及び後輪トルク電流指令信号を生成し、インバータ5f,5rへ入力する制御装置6と、を備える。
【0032】
図2は、制御装置6の構成を示す図である。制御装置6は、前輪駆動力オブザーバ61fと、後輪駆動力オブザーバ61rと、負荷バランス演算部62と、等速同期制御部63と、前輪トルク電流指令生成部64fと、後輪トルク電流指令生成部64rと、主制御装置65と、を備える。
【0033】
前輪駆動力オブザーバ61fは、前輪速度センサによって検出される前輪速度vf[m/s]と、前輪トルクセンサによって検出される前輪ダイナモメータトルクと、を用いることによって、車両の前輪から前輪ローラに伝達する駆動力に相当する前輪駆動力Fvf[N]を推定する。より具体的には、前輪駆動力オブザーバ61fは、例えば、前輪が載置される前輪ローラと、この前輪ローラと軸を介して連結される前輪ダイナモメータと、によって構成される機械系のモデルを用いることによって、車両の前輪から前輪ローラに伝達する前輪駆動力Fvfを推定する。
【0034】
後輪駆動力オブザーバ61rは、後輪速度センサによって検出される後輪速度Vr[m/s]と、後輪トルクセンサによって検出される後輪ダイナモメータトルクと、を用いることによって、車両の後輪から後輪ローラに伝達する駆動力に相当する後輪駆動力Fvr[N]を推定する。より具体的には、後輪駆動力オブザーバ61rは、例えば、後輪が載置される後輪ローラと、この後輪ローラと軸を介して連結される後輪ダイナモメータと、によって構成される機械系のモデルを用いることによって、車両の後輪から後輪ローラに伝達する後輪駆動力Fvrを推定する。
【0035】
等速同期制御部63は、前輪速度vf及び後輪速度vrを用いることによって、これらの速度差(vf-vr)が無くなるように前輪及び後輪ダイナモメータに対する同期補正入力Fd[N]を生成する。より具体的には、等速同期制御部63は、所定の速度差指令dvから速度差(vf-vr)を減算することによって偏差入力evを算出し、この偏差入力evを、所定の同期制御ゲインKp,Tiを用いて下記式(1)によって定義される伝達関数Gd(s)に入力することによって得られる出力を同期補正入力Fdとする。なお下記式(1)において、“s”はラプラス演算子である。また下記式(1)において、同期制御ゲインKp,Tiの値は、本願出願人による特許第6525076号に記載の同期制御部63と同様に、前輪駆動力Fvfと後輪駆動力Fvrとを合わせた合成駆動力Fvから速度差(vf-vr)までの伝達関数の分母多項式の極が全て負の実数になるように定められる。
【数1】
【0036】
ここで速度差指令dvとは、前輪速度vfと後輪速度vrの速度差(vf-vr)に対する指令値に相当する。以下では、この速度差を0にする制御を行うため、速度差指令dvの値は0とする場合について説明するが、本発明はこれに限らない。例えばクラッチの試験や、ディファレンシャルギアの試験等を行う場合には、前輪速度と後輪速度(又は左輪速度と右輪速度)に意図的に速度差を設ける場合がある。そこでこのように意図的に速度差を設ける場合には、この速度差指令dvの値を0以外の値に設定する。
【0037】
負荷バランス演算部62は、駆動力オブザーバ61f,61rによって推定された前輪駆動力Fvf及び後輪駆動力Fvrに基づいて、以下において
図3を参照しながら説明する手順に従って、前輪ダイナモメータに対する前輪負荷バランス補正入力Ffil_f及び後輪負荷バランス補正入力Ffil_rを生成する。
【0038】
図3は、負荷バランス演算部62において負荷バランス補正入力Ffil_f,Ffil_rを生成する手順を説明するための図である。
【0039】
負荷バランス演算部62は、合成駆動力演算部621と、前側機械慣性比乗算部622と、後側機械慣性比乗算部623と、後側入力演算部624と、前側入力演算部625と、後側フィルタ626と、前側フィルタ627と、を備える。
【0040】
合成駆動力演算部621は、前輪駆動力Fvfと後輪駆動力Fvrとを合算することにより、合成駆動力Fv[N]を算出する(Fv=Fvf+Fvr)。
【0041】
前側機械慣性比乗算部622は、0から1の間で定められた前側機械慣性比率Cfを合成駆動力Fvに乗じることにより前側補正量Fv・Cfを算出する。ここで前側機械慣性比率Cfは、前輪ローラ及び前輪ダイナモメータを合わせた前側機械慣性Mf[kg]と、後輪ローラ及び後輪ダイナモメータを合わせた後側機械慣性Mr[kg]との和である合成機械慣性Mf+Mrに対する前側機械慣性Mfの比である(Cf=Mf/(Mf+Mr))。
【0042】
後側機械慣性比乗算部623は、1から前側機械慣性比率Cfを減じて得られる後側機械慣性比率Crを合成駆動力Fvに乗じることにより後側補正量Fv・Crを算出する。したがって前側補正量Fv・Cfと後側補正量Fv・Crとの和は、常に合成駆動力Fvとなる。ここで後側機械慣性比率Crは、合成機械慣性Mf+Mrに対する後側機械慣性Mrの比である(Cr=Mr/(Mf+Mr))。
【0043】
後側入力演算部624は、前輪駆動力Fvfから前側機械慣性比乗算部622によって算出される前側補正量Fv・Cfを減算することによって後輪負荷バランス補正入力Frを算出する(Fr=Fvf-Fv・Cf)。
【0044】
前側入力演算部625は、後輪駆動力Fvrから後側機械慣性比乗算部623によって算出される後側補正量Fv・Crを減算することによって前輪負荷バランス補正入力Ffを算出する(Ff=Fvr-Fv・Cr)。
【0045】
後側フィルタ626は、後側入力演算部624の出力Frから、所定のカットオフ周波数より大きな成分を減衰させるとともに、このカットオフ周波数より小さな成分を通過させることにより、後側入力演算部624の出力Frからノイズを除去するローパスフィルタであり、相対次数が1次以上の任意の伝達関数PFr(s)によって表される。後側フィルタ626の出力Ffil_rは、後輪トルク電流指令生成部64rへ入力される。以下では、後側入力演算部624の出力Frと、下記式(2)によって表される後側フィルタ626の出力Ffil_rとを、何れも後輪負荷バランス補正入力という。
Ffil_r=PFr(s)・(Fvf-(Fv・Cf)) (2)
【0046】
前側フィルタ627は、前側入力演算部625の出力Ffから、所定のカットオフ周波数より大きな成分を減衰させるとともに、このカットオフ周波数より小さな成分を通過させることにより、前側入力演算部625の出力Ffからノイズを除去するローパスフィルタであり、相対次数が1次以上の任意の伝達関数PFf(s)によって表される。前側フィルタ627の出力Ffil_fは、前輪トルク電流指令生成部64fへ入力される。以下では、前側入力演算部625の出力Ffと、下記式(3)によって表される前側フィルタ627の出力Ffil_fとを、何れも前輪負荷バランス補正入力という。
Ffil_f=PFf(s)・(Fvr-(Fv・Cf)) (3)
【0047】
以上のように負荷バランス演算部62は、前輪負荷バランス補正入力Ffil_f及び後輪負荷バランス補正入力Ffil_rを独立して変化させるとともに、後輪駆動力Fvrが大きくなるほど前輪負荷バランス補正入力Ffil_fを大きくし、前輪駆動力Fvfが大きくなるほど後輪負荷バランス補正入力Ffil_rを大きくする。
【0048】
図2に戻り、主制御装置65は、速度制御アルゴリズム、トルク制御アルゴリズム、及び走行抵抗制御アルゴリズムの何れかに基づいて前輪及び後輪ダイナモメータに対する主制御入力Fmを生成し、トルク電流指令生成部64f,64rへ入力する。
【0049】
前輪トルク電流指令生成部64fは、主制御入力Fmと、前輪負荷バランス補正入力Ffil_fと、同期補正入力Fdと、に基づいて、前輪トルク電流指令信号を生成し、前輪インバータ5fへ入力する。より具体的には、前輪トルク電流指令生成部64fは、主制御入力Fmと前輪負荷バランス補正入力Ffil_fとの和から同期補正入力Fdを減算することにより、前輪トルク電流指令信号を生成する。
【0050】
後輪トルク電流指令生成部64rは、主制御入力Fmと、後輪負荷バランス補正入力Ffil_rと、同期補正入力Fdと、に基づいて、後輪トルク電流指令信号を生成し、後輪インバータ5rへ入力する。より具体的には、後輪トルク電流指令生成部64rは、主制御入力Fmと、後輪負荷バランス補正入力Ffil_rと、同期補正入力Fdとを合算することにより、後輪トルク電流指令信号を生成する。
【0051】
図4は、加速時における車速及び前後速度差を本実施形態に係る制御装置6と比較例に係る制御装置とで比較した図である。
図4の下段には、前後平均車速を示し、
図4の上段には、前後速度差を示す。ここで比較例に係る制御装置とは、本実施形態に係る制御装置6において、負荷バランス演算部62の出力を0とし、等速同期制御部63のみによって前輪及び後輪トルク電流指令信号を生成した場合をいう。
【0052】
図4の上段に示すように、加速時に生じる前後速度差は、比較例に係る制御装置よりも本実施形態に係る制御装置6の方が速やかに収束する。また
図4の下段に示すように、前後平均車速は、比較例に係る制御装置よりも本実施形態に係る制御装置6の方が、太破線で示す目標、すなわち前後車速差を0とした場合の車速に近い。以上より、負荷バランス演算部62により過渡時における同期機能の応答性を向上できることが明らかとなった。
【0053】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお以下の説明において、第1実施形態に係るシャシダイナモメータシステムS及び制御装置6と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図5は、本実施形態に係るシャシダイナモメータシステムSA及びその制御装置6Aの構成を示す図である。
【0055】
シャシダイナモメータシステムSAは、車両Vの左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl、及び右後輪Wrrがそれぞれ載置され、各々の回転に従って回転する左前輪ローラ1fl、右前輪ローラ1fr、左後輪ローラ1rl、及び右後輪ローラ1rrと、これらローラ1fl,1fr,1rl,1rrにそれぞれ同軸で連結された左前輪ダイナモメータ2fl、右前輪ダイナモメータ2fr、左後輪ダイナモメータ2rl、及び右後輪ダイナモメータ2rrと、これらダイナモメータ2fl,2fr,2rl,2rrの回転速度をそれぞれ検出する左前輪速度センサ3fl、右前輪速度センサ3fr、左後輪速度センサ3rl、及び右後輪速度センサ3rrと、これらダイナモメータ2fl,2fr,2rl,2rrのトルクをそれぞれ検出する左前輪トルクセンサ4fl、右前輪トルクセンサ4fr、左後輪トルクセンサ4rl、及び右後輪トルクセンサ4rrと、これらダイナモメータ2fl,2fr,2rl,2rrのそれぞれに電力を供給する左前輪インバータ5fl、右前輪インバータ5fr、左後輪インバータ5rl、及び右後輪インバータ5rrと、速度センサ3fl,3fr,3rl,3rr及びトルクセンサ4fl,4fr,4rl,4rrの出力等を用いることによってダイナモメータ2fl,2fr,2rl,2rrで発生させるトルクに対する指令に相当する左前輪、右前輪、左後輪、及び右後輪トルク電流指令信号を生成し、各インバータ5fl,5fr,5rl,5rrへ入力する制御装置6Aと、を備える。
【0056】
図6は、制御装置6Aの構成を示す図である。制御装置6Aは、左前輪駆動力オブザーバ61flと、右前輪駆動力オブザーバ61frと、左後輪駆動力オブザーバ61rlと、右後輪駆動力オブザーバ61rrと、前側負荷バランス演算部62fと、後側負荷バランス演算部62rと、前側等速同期制御部63fと、後側等速同期制御部63rと、左前輪トルク電流指令生成部64flと、右前輪トルク電流指令生成部64frと、左後輪トルク電流指令生成部64rlと、右後輪トルク電流指令生成部64rrと、主制御装置65と、を備える。
【0057】
各駆動力オブザーバ61fl,61fr,61rl,61rrは、それぞれ各速度センサ3fl,3fr,3rl,3rrによって検出される速度と、各トルクセンサ4fl,4fr,4rl,4rrによって検出されるダイナモメータトルクと、を用いることによって、左前輪から左前輪ローラに伝達する駆動力に相当する左前輪駆動力Fvfl[N]、右前輪から右前輪ローラに伝達する駆動力に相当する右前輪駆動力Fvfr[N]、左後輪から左後輪ローラに伝達する駆動力に相当する左後輪駆動輪Fvrl[N]、及び右後輪から右後輪ローラに伝達する駆動力に相当する右後輪駆動力Fvrr[N]を推定する。なお各駆動力オブザーバ61fl,61fr,61rl,61rrにおいて駆動力Fvfl,Fvfr,Fvrl,Fvrrを推定する手順は、第1実施形態に係る駆動力オブザーバ61f,61rと同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0058】
前側等速同期制御部63fは、左前輪速度と右前輪速度との速度差が無くなるように左前輪及び右前輪ダイナモメータに対する前側同期補正入力Fdf[N]を生成する。また後側等速同期制御部63rは、左後輪速度と右後輪速度との速度差が無くなるように左後輪及び右後輪ダイナモメータに対する後側同期補正入力Fdr[N]を生成する。なお各等速同期制御部63f,63rにおいて同期補正入力Fdf,Fdrを生成する手順は、第1実施形態に係る等速同期制御部63とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。すなわち、等速同期制御部63f,63rは、それぞれ左前輪速度と右前輪速度との速度差及び左後輪速度と右後輪速度との速度差を入力とする点において第1実施形態に係る等速同期制御部63と異なる。
【0059】
前側負荷バランス演算部62fは、駆動力オブザーバ61fl,61frによって推定された左前輪駆動力Fvfl及び右前輪駆動力Fvfrに基づいて、以下において
図7を参照しながら説明する手順に従って、左前輪ダイナモメータに対する左前輪負荷バランス補正入力Ffil_fl及び右前輪ダイナモメータに対する右前輪負荷バランス補正入力Ffil_frを生成する。
【0060】
図7は、前側負荷バランス演算部62fにおいて負荷バランス補正入力Ffil_fl,Ffil_frを生成する手順を説明するための図である。
【0061】
前側負荷バランス演算部62fは、前側合成駆動力演算部621fと、左前側機械慣性比乗算部622fと、右前側機械慣性比乗算部623fと、右前側入力演算部624fと、左前側入力演算部625fと、右前側フィルタ626fと、左前側フィルタ627fと、を備える。
【0062】
前側合成駆動力演算部621fは、左前輪駆動力Fvflと右前輪駆動力Fvfrとを合算することにより、前側合成駆動力Fvf[N]を算出する(Fvf=Fvfl+Fvfr)。
【0063】
左前側機械慣性比乗算部622fは、0から1の間で定められた左前側機械慣性比率Cflを前側合成駆動力Fvfに乗じることにより左前側補正量Fvf・Cflを算出する。ここで左前側機械慣性比率Cflは、左前輪ローラ及び左前輪ダイナモメータを合わせた左前側機械慣性Mfl[kg]と、右前輪ローラ及び右前輪ダイナモメータを合わせた右前側機械慣性Mfr[kg]との和である前側合成機械慣性Mfl+Mfrに対する左前側機械慣性Mflの比である(Cfl=Mfl/(Mfl+Mfr))。
【0064】
右前側機械慣性比乗算部623fは、1から左前機械慣性比率Cflを減じて得られる右前側機械慣性比率Cfrを前側合成駆動力Fvfに乗じることにより右前側補正量Fvf・Cfrを算出する。したがって左前側補正量Fvf・Cflと右前側補正量Fvf・Cfrとの和は、常に前側合成駆動力Fvfとなる。ここで右側機械慣性比率Cfrは、前側合成機械慣性Mfl+Mfrに対する右前側機械慣性Mfrの比である(Cfr=Mfr/(Mfl+Mfr))。
【0065】
右前側入力演算部624fは、左前輪駆動力Fvflから左前側機械慣性比乗算部622fによって算出される左前側補正量Fvf・Cflを減算することによって右前輪負荷バランス補正入力Ffrを算出する(Ffr=Fvfl-Fvf・Cfl)。
【0066】
左前側入力演算部625fは、右前輪駆動力Fvfrから右前側機械慣性比乗算部623fによって算出される右前側補正量Fvf・Cfrを減算することによって左前輪負荷バランス補正入力Fflを算出する(Ffl=Fvfr-Fvf・Cfr)。
【0067】
右前側フィルタ626fは、右前側入力演算部624fの出力Ffrから、所定のカットオフ周波数より大きな成分を減衰させるとともに、このカットオフ周波数より小さな成分を通過させることにより、右前側入力演算部624fの出力Ffrからノイズを除去するローパスフィルタであり、相対次数が1次以上の任意の伝達関数PFfr(s)によって表される。右前側フィルタ626fの出力Ffil_frは、右前輪トルク電流指令生成部64frへ入力される。以下では、右前側入力演算部624fの出力Ffrと、下記式(4)によって表せる右前側フィルタ626fの出力Ffil_frとを、何れも右前輪負荷バランス補正入力という。
Ffil_fr=PFfr(s)・(Fvfr-(Fvf・Cfr)) (4)
【0068】
左前側フィルタ627fは、左前側入力演算部625fの出力Fflから、所定のカットオフ周波数より大きな成分を減衰させるとともに、このカットオフ周波数より小さな成分を通過させることにより、左前側入力演算部625fの出力Fflからノイズを除去するローパスフィルタであり、相対次数が1次以上の任意の伝達関数PFfl(s)によって表される。左前側フィルタ627fの出力Ffil_flは、左前輪トルク電流指令生成部64flへ入力される。以下では、左前側入力演算部625fの出力Fflと、下記式(5)によって表せる左前側フィルタ627fの出力Ffil_flとを、何れも左前輪負荷バランス補正入力という。
Ffil_fl=PFfl(s)・(Fvfl-(Fvf・Cfl)) (5)
【0069】
以上のように前側負荷バランス演算部62fは、左前輪負荷バランス補正入力Ffil_fl及び右前輪負荷バランス補正入力Ffil_frを独立して変化させるとともに、右前輪駆動力Fvfrが大きくなるほど左前輪負荷バランス補正入力Ffil_flを大きくし、左前輪駆動力Fvflが大きくなるほど右前輪負荷バランス補正入力Ffil_frを大きくする。
【0070】
図6に戻り、後側負荷バランス演算部62rは、駆動力オブザーバ61rl,61rrによって推定された左後駆動力Fvrl及び右後駆動力Fvrrに基づいて、左後輪ダイナモメータに対する左後輪負荷バランス補正入力Ffil_rl及び右後輪ダイナモメータに対する右後輪負荷バランス補正入力Ffil_rrを生成する。なお後側負荷バランス演算部62rにおいて、負荷バランス補正入力Ffil_rl,Ffil_rrを生成する具体的な手順については、前側負荷バランス演算部62fにおいて、負荷バランス補正入力Ffil_fl,Ffil_frを生成する手順とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。すなわち、前側負荷バランス演算部62fにおける演算において、左前輪側に関するパラメータを左後輪側に関するパラメータに置き換え、右前輪側に関するパラメータを右後輪側に関するパラメータに置き換えればよい。
【0071】
左前輪トルク電流指令生成部64flは、主制御入力Fmと、左前輪負荷バランス補正入力Ffil_flと、前側同期補正入力Fdfと、に基づいて、左前輪トルク電流指令信号を生成し、左前輪インバータ5flへ入力する。より具体的には、左前輪トルク電流指令生成部64flは、主制御入力Fmと左前輪負荷バランス補正入力Ffil_flとの和から前側同期補正入力Fdfを減算することにより、左前輪トルク電流指令信号を生成する。
【0072】
右前輪トルク電流指令生成部64frは、主制御入力Fmと、右前輪負荷バランス補正入力Ffil_frと、前側同期補正入力Fdfと、に基づいて、右前輪トルク電流指令信号を生成し、右前輪インバータ5frへ入力する。より具体的には、右前輪トルク電流指令生成部64frは、主制御入力Fmと右前輪負荷バランス補正入力Ffil_frと、前側同期補正入力Fdfとを合算することにより、右前輪トルク電流指令信号を生成する。
【0073】
左後輪トルク電流指令生成部64rlは、主制御入力Fmと、左後輪負荷バランス補正入力Ffil_rlと、後側同期補正入力Fdrと、に基づいて、左後輪トルク電流指令信号を生成し、左後輪インバータ5rlへ入力する。より具体的には、左後輪トルク電流指令生成部64rlは、主制御入力Fmと左後輪負荷バランス補正入力Ffil_frとの和から後側同期補正入力Fdrを減算することにより、左後輪トルク電流指令信号を生成する。
【0074】
右後輪トルク電流指令生成部64rrは、主制御入力Fmと、右後輪負荷バランス補正入力Ffil_rrと、後側同期補正入力Fdrと、に基づいて、右後輪トルク電流指令信号を生成し、右後輪インバータ5rrへ入力する。より具体的には、右後輪トルク電流指令生成部64rrは、主制御入力Fmと右後輪負荷バランス補正入力Ffil_rrと、後側同期補正入力Fdrとを合算することにより、右後輪トルク電流指令信号を生成する。
【0075】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお以下の説明において、第2実施形態に係るシャシダイナモメータシステムSA及び制御装置6Aと同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図8は、本実施形態に係るダイナモメータシステムの制御装置6Bの構成を示す図である。制御装置6Bは、左前輪駆動力オブザーバ61flと、右前輪駆動力オブザーバ61frと、左後輪駆動力オブザーバ61rlと、右後輪駆動力オブザーバ61rrと、前側負荷バランス演算部67fと、後側負荷バランス演算部67rと、前後負荷バランス演算部68と、前側等速同期制御部63fと、後側等速同期制御部63rと、前後等速同期制御部63frと、左前輪トルク電流指令生成部64flと、右前輪トルク電流指令生成部64frと、左後輪トルク電流指令生成部64rlと、右後輪トルク電流指令生成部64rrと、主制御装置65と、を備える。
【0077】
前後等速同期制御部63frは、左前輪速度及び右前輪速度の平均である前側平均速度と、左後輪速度及び右後輪速度の平均である後側平均速度との速度差が無くなるように、左前輪、右前輪、左後輪、及び右後輪ダイナモメータに対する前後同期補正入力Fdfr[N]を生成する。なお前後等速同期制御部63frにおいて前後同期補正入力Fdfrを生成する手順は、第2実施形態に係る等速同期制御部63f,63rとほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。すなわち、前後等速同期制御部63frは、前側平均速度と後側平均速度との速度差を入力とする点において第2実施形態に係る等速同期制御部63f,63rと異なる。
【0078】
前側負荷バランス演算部67fは、駆動力オブザーバ61fl,61frによって推定された左前輪駆動力Fvfl及び右前輪駆動力Fvfrに基づいて、左前輪ダイナモメータに対する第1左前輪負荷バランス補正入力Ffil_1fl及び右前輪ダイナモメータに対する第1右前輪負荷バランス補正入力Ffil_1frを生成する。なお前側負荷バランス演算部67fにおいて、負荷バランス補正入力Ffil_1fl,Ffil_1frを生成する手順は、第2実施形態に係る前側負荷バランス演算部62fにおいて、負荷バランス補正入力Ffil_fl,Ffil_frを生成する手順と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0079】
後側負荷バランス演算部67rは、駆動力オブザーバ61rl,61rrによって推定された左後輪駆動力Fvrl及び右後輪駆動力Fvrrに基づいて、左後輪ダイナモメータに対する第1左後輪負荷バランス補正入力Ffil_1rl及び右後輪ダイナモメータに対する第1右後輪負荷バランス補正入力Ffil_1rrを生成する。なお後側負荷バランス演算部67rにおいて、負荷バランス補正入力Ffil_1rl,Ffil_1rrを生成する手順は、第2実施形態に係る後側負荷バランス演算部62rにおいて、負荷バランス補正入力Ffil_rl,Ffil_rrを生成する手順と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0080】
前後負荷バランス演算部68は、駆動力オブザーバ61fl,61fr,61rl,61rrによって推定された駆動力Fvfl,Fvfr,Fvrl,Fvrrに基づいて、以下において
図9を参照しながら説明する手順に従って、左前輪ダイナモメータに対する第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2fl、右前輪ダイナモメータに対する第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2fr、左後輪ダイナモメータに対する第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rl、及び右後輪ダイナモメータに対する第2右後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rrを生成する。
【0081】
図9は、前後負荷バランス演算部68において負荷バランス補正入力Ffil_frfl,Ffil_frfr,Ffil_frrl,Ffil_frrrを生成する手順を説明するための図である。
【0082】
前後負荷バランス演算部68は、前側合成駆動力演算部680と、後側合成駆動力演算部681と、合成駆動力演算部682と、前側機械慣性比乗算部683と、後側機械慣性比乗算部684と、後側入力演算部685と、前側入力演算部686と、後側フィルタ687と、前側フィルタ688と、左前側機械慣性比乗算部6891と、右前側機械慣性比乗算部6892と、左後側機械慣性比乗算部6893と、右後側機械慣性比乗算部6894と、を備える。
【0083】
前側合成駆動力演算部680は、左前輪駆動力Fvflと右前輪駆動力Fvfrとを合算することにより、前側合成駆動力Fvf[N]を算出する(Fvf=Fvfl+Fvfr)。
【0084】
後側合成駆動力演算部681は、左後輪駆動力Fvrlと右後輪駆動力Fvrrとを合算することにより、後側合成駆動力Fvr[N]を算出する(Fvr=Fvrl+Fvrr)。
【0085】
合成駆動力演算部682は、前側合成駆動力Fvfと後側合成駆動力Fvrとを合算することにより、合成駆動力Fv[N]を算出する(Fv=Fvf+Fvr)。
【0086】
前側機械慣性比乗算部683は、0から1の間で定められた前側機械慣性比率Cfを合成駆動力Fvに乗じることにより前側補正量Fv・Cfを算出する。ここで前側機械慣性比率Cfは、左前輪ローラ、右前輪ローラ、左前輪ダイナモメータ、及び右前輪ダイナモメータを合わせた前側機械慣性Mf[kg]と、左後輪ローラ、右後輪ローラ、左後輪ダイナモメータ、及び右後輪ダイナモメータを合わせた後側機械慣性Mr[kg]との和である合成機械慣性Mf+Mrに対する前側機械慣性Mfの比である(Cf=Mf/(Mf+Mr))。
【0087】
後側機械慣性比乗算部684は、1から前側機械慣性比率Cfを減じて得られる後側機械慣性比率Crを合成駆動力Fvに乗じることにより後側補正量Fv・Crを算出する。したがって前側補正量Fv・Cfと後側補正量Fv・Crとの和は、常に合成駆動力Fvとなる。ここで後側機械慣性比率Crは、合成機械慣性Mf+Mrに対する後側機械慣性Mrの比である(Cr=Mr/(Mf+Mr))。
【0088】
後側入力演算部685は、前側駆動力Fvfから前側機械慣性比乗算部683によって算出される前側補正量Fv・Cfを減算することによって後側負荷バランス補正入力Frを算出する(Fr=Fvf-Fv・Cf)。
【0089】
前側入力演算部686は、後側駆動力Fvrから後側機械慣性比乗算部684によって算出される後側補正量Fv・Crを減算することによって前側負荷バランス補正入力Ffを算出する(Ff=Fvr-Fv・Cr)。
【0090】
後側フィルタ687は、後側入力演算部685の出力Frから、所定のカットオフ周波数より大きな成分を減衰させるとともに、このカットオフ周波数より小さな成分を通過させることにより、後側入力演算部685の出力Frからノイズを除去するローパスフィルタであり、相対次数が1次以上の任意の伝達関数PFr(s)によって表される。下記式(6)によって表される後側フィルタ687の出力Ffil_rは、左後側機械慣性比乗算部6893及び右後側機械慣性比乗算部6894へ入力される。
Ffil_r=PFr(s)・(Fvf-(Fv・Cf)) (6)
【0091】
前側フィルタ688は、前側入力演算部686の出力Ffから、所定のカットオフ周波数より大きな成分を減衰させるとともに、このカットオフ周波数より小さな成分を通過させることにより、前側入力演算部686の出力Ffからノイズを除去するローパスフィルタであり、相対次数が1以上の任意の伝達関数PFf(s)によって表される。下記式(7)によって表される前側フィルタ688の出力Ffil_fは、左前側機械慣性比乗算部6891及び右前側機械慣性比乗算部6892へ入力される。
Ffil_f=PFf(s)・(Fvr-(Fv・Cf)) (3)
【0092】
左前側機械慣性比乗算部6891は、0から1の間で定められた左前側機械慣性比率Cflを前側フィルタ688の出力Ffil_fに乗じることにより第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2flを算出する。ここで左前側機械慣性比率Cflは、左前輪ローラ及び左前輪ダイナモメータを合わせた左前側機械慣性Mflの前側機械慣性Mfに対する比である(Cfl=Mfl/Mf)。
【0093】
右前側機械慣性比乗算部6892は、1から左前側機械慣性比率Cflを減じて得られる右前側機械慣性比率Cfrを前側フィルタ688の出力Ffil_fに乗じることにより第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2frを算出する。したがって第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2flと第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2frとの和は、常に前側フィルタ688の出力Ffil_fとなる。ここで右前側機械慣性比率Cfrは、右前輪ローラ及び右前輪ダイナモメータを合わせた右前機械慣性Mfrの前側機械慣性Mfに対する比である(Cfr=Mfr/Mf)。
【0094】
左後側機械慣性比乗算部6893は、0から1の間で定められた左後側機械慣性比率Crlを後側フィルタ687の出力Ffil_rに乗じることにより第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rlを算出する。ここで左後側機械慣性比率Crlは、左後輪ローラ及び左後輪ダイナモメータを合わせた左後側機械慣性Mrlの後側機械慣性Mrに対する比である(Crl=Mrl/Mr)。
【0095】
右後側機械慣性比乗算部6894は、1から左後側機械慣性比率Crlを減じて得られる右後側機械慣性比率Crrを後側フィルタ687の出力Ffil_rに乗じることにより第2右後輪負荷バランス補正入力Fil_2rrを算出する。したがって第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rlと第2右後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rrとの和は、常に後側フィルタ687の出力Ffil_rとなる。ここで右後側機械慣性比率Crrは、右後輪ローラ及び右後輪ダイナモメータを合わせた右後機械慣性Mrrの後側機械慣性Mrに対する比である(Crr=Mrr/Mr)。
【0096】
以上のように前後負荷バランス演算部68は、第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2fl、第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2fr、第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rl、及び第2右後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rrをそれぞれ独立して変化させるとともに、後側合成駆動力Fvrが大きくなるほど第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2fl及び第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2frを大きくし、前側合成駆動力Fvfが大きくなるほど第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rl及び第2右後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rrを大きくする。
【0097】
図8に戻り、左前輪トルク電流指令生成部64flは、主制御入力Fmと、第1左前輪負荷バランス補正入力Ffil_1flと、第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2flと、前側同期補正入力Fdfと、前後同期補正入力Fdfrと、に基づいて、左前輪トルク電流指令信号を生成し、左前輪インバータ5flへ入力する。より具体的には、左前輪トルク電流指令生成部64flは、主制御入力Fmと第1左前輪負荷バランス補正入力Ffil_1flと第2左前輪負荷バランス補正入力Ffil_2flとの和から、前側同期補正入力Fdf及び前後同期補正入力Fdfrの和を減算することにより、左前輪トルク電流指令信号を生成する。
【0098】
右前輪トルク電流指令生成部64frは、主制御入力Fmと、第1右前輪負荷バランス補正入力Ffil_1frと、第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2frと、前側同期補正入力Fdfと、前後同期補正入力Fdfrと、に基づいて、右前輪トルク電流指令信号を生成し、右前輪インバータ5frへ入力する。より具体的には、右前輪トルク電流指令生成部64frは、主制御入力Fmと第1右前輪負荷バランス補正入力Ffil_1frと第2右前輪負荷バランス補正入力Ffil_2frと前側同期補正入力Fdfとの和から、前後同期補正入力Fdfrを減算することにより、右前輪トルク電流指令信号を生成する。
【0099】
左後輪トルク電流指令生成部64rlは、主制御入力Fmと、第1左後輪負荷バランス補正入力Ffil_1rlと、第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rlと、後側同期補正入力Fdrと、前後同期補正入力Fdfrと、に基づいて、左後輪トルク電流指令信号を生成し、左後輪インバータ5rlへ入力する。より具体的には、左後輪トルク電流指令生成部64rlは、主制御入力Fmと第1左後輪負荷バランス補正入力Ffil_1rlと第2左後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rlと前後同期補正入力Fdfrとの和から、後側同期補正入力Fdrを減算することにより、左後輪トルク電流指令信号を生成する。
【0100】
右後輪トルク電流指令生成部64rrは、主制御入力Fmと、第1右後輪負荷バランス補正入力Ffil_1rrと、第2右後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rrと、後側同期補正入力Fdrと、前後同期補正入力Fdfrと、に基づいて、右後輪トルク電流指令信号を生成し、右後輪インバータ5rrへ入力する。より具体的には、右後輪トルク電流指令生成部64rrは、主制御入力Fmと第1右後負荷バランス補正入力Ffil_1rrと第2右後輪負荷バランス補正入力Ffil_2rrと後側同期補正入力Fdrと前後同期補正入力Fdfrとを合算することにより、右後輪トルク電流指令信号を生成する。
【0101】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0102】
V…車両(車両)
Wf…前輪(第1車輪)
Wr…後輪(第2車輪)
Wfl…左前輪
Wfr…右前輪
Wrl…左後輪
Wrr…右後輪
S,SA…シャシダイナモメータシステム(ダイナモメータシステム)
1f…前輪ローラ(第1従動部材)
1r…後輪ローラ(第2従動部材)
1fl…左前輪ローラ(左前従動部材)
1fr…右前輪ローラ(右前従動部材)
1rl…左後輪ローラ(左後従動部材)
1rr…右後輪ローラ(右後従動部材)
2f…前輪ダイナモメータ(第1ダイナモメータ)
2r…後輪ダイナモメータ(第2ダイナモメータ)
2fl…左前輪ダイナモメータ(左前ダイナモメータ)
2fr…右前輪ダイナモメータ(右前ダイナモメータ)
2rl…左後輪ダイナモメータ(左後ダイナモメータ)
2rr…右後輪ダイナモメータ(右後ダイナモメータ)
3f…前輪速度センサ(第1速度センサ)
3r…後輪速度センサ(第2速度センサ)
3fl…左前輪速度センサ(左前速度センサ)
3fr…右前輪速度センサ(右前速度センサ)
3rl…左後輪速度センサ(左後速度センサ)
3rr…右後輪速度センサ(右後速度センサ)
6,6A,6B…制御装置
61f…前輪駆動力オブザーバ(第1駆動力推定部)
61r…後輪駆動力オブザーバ(第2駆動力推定部)
61fl…左前輪駆動力オブザーバ(左前駆動力推定部)
61fr…右前輪駆動力オブザーバ(右前駆動力推定部)
61rl…左後輪駆動力オブザーバ(左後駆動力推定部)
61rr…右後輪駆動力オブザーバ(右後駆動力推定部)
62…負荷バランス演算部
62f,67f…前側負荷バランス演算部
62r,67r…後側負荷バランス演算部
63…等速同期制御部
63f…前側等速同期制御部
63r…後側等速同期制御部
63fr…前後等速同期制御部
64f…前輪トルク電流指令生成部(第1トルク電流指令生成部)
64r…後輪トルク電流指令生成部(第2トルク電流指令生成部)
64fl…左前輪トルク電流指令生成部(左前トルク電流指令生成部)
64fr…右前輪トルク電流指令生成部(右前トルク電流指令生成部)
64rl…左後輪トルク電流指令生成部(左後トルク電流指令生成部)
64rr…右後輪トルク電流指令生成部(右後トルク電流指令生成部)
65…主制御装置65
68…前後負荷バランス演算部
【要約】 (修正有)
【課題】前後輪を等速にする同期機能の過渡時における応答性の低下を防止できるシャシダイナモメータシステムの制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置6は、前後の速度差が無くなるように前輪及び後輪ダイナモメータに対する同期補正入力Fdを生成する等速同期制御部63と、前輪負荷バランス補正入力Ffil_f及び後輪負荷バランス補正入力Ffil_rを生成する負荷バランス演算部62と、入力Ffil_f,Fdに基づいて前輪トルク電流指令を生成する前輪トルク電流指令生成部64fと、入力Ffil_r,Fdに基づいて後輪トルク電流指令を生成する後輪トルク電流指令生成部64rと、を備える。負荷バランス演算部62は、入力Ffil_f,Ffil_rを独立して変化させるとともに、後輪駆動力Fvrが大きくなるほど入力Ffil_fを大きくし、後輪駆動力Fvfが大きくなるほど入力Ffil_rを大きくする。
【選択図】
図2