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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】気泡発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/231 20220101AFI20221122BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20221122BHJP
   B01F 25/441 20220101ALI20221122BHJP
   B01F 31/31 20220101ALI20221122BHJP
   B01F 35/51 20220101ALI20221122BHJP
【FI】
B01F23/231
B01F23/2373
B01F25/441
B01F31/31
B01F35/51
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021507169
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2020009069
(87)【国際公開番号】W WO2020189270
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2019050880
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克己
(72)【発明者】
【氏名】小木 良浩
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087984(JP,A)
【文献】特開2016-209825(JP,A)
【文献】特開2017-176979(JP,A)
【文献】特許第6039139(JP,B1)
【文献】特開2007-253000(JP,A)
【文献】特開2003-093858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-35/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動により微細な気泡を液体中に発生させる気泡発生装置であって、
複数の開口部が形成され、一方の面が液体槽の液体と接し、他方の面が気体と接する振動板と、
第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、前記第1の端部側において、前記振動板を保持するように、前記振動板に連結されている筒状体と、
前記筒状体の前記第2の端部側に、前記筒状体の径方向外側に延ばされたリング状つば部に固定され、前記筒状体を振動させる圧電素子とを備え、
前記第1の端部側の前記筒状体の側面で前記液体槽結合させ、
前記圧電素子で前記筒状体を振動させて前記振動板のみを屈曲振動させる、気泡発生装置。
【請求項2】
前記リング状つば部は、前記振動板側の第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面とを有し、前記第2の面に前記圧電素子が固定されている、請求項1に記載の気泡発生装置。
【請求項3】
前記筒状体は、前記第1の端部にフランジ部を設け、前記フランジ部を介して前記液体槽を結合させてある、請求項1または請求項2に記載の気泡発生装置。
【請求項4】
前記フランジ部、前記筒状体および前記リング状つば部とは、同一材料で一体に形成されている、請求項3に記載の気泡発生装置。
【請求項5】
前記振動板は、ガラス板で形成されている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項6】
前記ガラス板は、サポートガラスを介して前記筒状体の前記第1の端部側に連結されている、請求項5に記載の気泡発生装置。
【請求項7】
前記振動板は、孔径が1μm~20μmの前記開口部を、孔径の10倍以上の間隔で複数形成してある、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【請求項8】
前記開口部の形状は、前記液体槽の液体と接する前記一方の面の孔径に比べ、気体と接する前記他方の面の孔径が大きいテーパ形状である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の気泡発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細な気泡を使って水質浄化、排水処理、魚の養殖などが行なわれており、微細な気泡が様々な分野で利用されている。そのため、微細な気泡を発生する気泡発生装置が開発されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の気泡発生装置では、圧電素子を利用して微細な気泡を発生させている。この気泡発生装置では、屈曲振動する振動板の中央部での上下振動を利用して、振動板に形成した細孔で発生した気泡を振動で引きちぎり微細化している。そのため、細孔を形成した振動板は常に水などの液体にさらされている。さらに、振動板の下部には気泡を発生させるための気体を導入する空間を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6108526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の気泡発生装置では、振動板で液体と空気とを分離するために、同心円状のシリコンゴム等のゴム弾性体で振動板を保持している。ゴム弾性体で振動板を保持している場合、気泡を発生させるために振動板を振動させると、ゴム弾性体で振動板の振動を一部吸収するので、気泡発生装置での微細な気泡の発生効率を低下させる問題があった。
【0006】
逆に、弾性体のない固い遮蔽物で液体と空気との分離を行いつつ、振動板を保持する場合、気泡を発生させるために振動板を振動させると、遮蔽物から振動板の振動が漏れ水槽自体を振動させる問題があった。
【0007】
そこで、本開示の目的は、振動板で液体と空気とを分離しつつ、微細な気泡の発生効率を低下させない気泡発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一形態に係る気泡発生装置は、振動により微細な気泡を液体中に発生させる気泡発生装置であって、複数の開口部が形成され、一方の面が液体槽の液体と接し、他方の面が気体と接する振動板と、第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、第1の端部側において、振動板を保持するように、振動板に連結されている筒状体と、筒状体の第2の端部側に、筒状体の径方向外側に延ばされたリング状つば部に固定され、筒状体を振動させる圧電素子とを備え、第1の端部側の筒状体の側面で液体槽結合させ、圧電素子で筒状体を振動させて振動板のみを屈曲振動させる
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、筒状体の第1の端部に振動板を連結し、第2の端部のリング状つば部に圧電素子を設ける構造であるため、振動板で液体と空気とを分離しつつ、微細な気泡の発生効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る気泡発生装置が用いられる水質浄化装置の概略図である。
図2】本実施の形態に係る気泡発生装置の斜視図である。
図3】本実施の形態に係る気泡発生装置の半断面図である。
図4】本実施の形態に係る気泡発生装置の振動板の振動を説明するための図である。
図5】本実施の形態に係る気泡発生装置のリング状の圧電素子を駆動した場合の共振特性を示す図である。
図6】本実施の形態に係る振動板の平面図である。
図7】本実施の形態に係る振動板に形成した開口部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
以下に、本実施の形態に係る気泡発生装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
まず、図1は、本実施の形態に係る気泡発生装置1が用いられる水質浄化装置100の概略図である。図1に示す気泡発生装置1は、例えば水槽(液体槽)10の底部に設けられ、水槽10の水に微細な気泡200を発生させる水質浄化装置100に用いられる。なお、気泡発生装置1の用途は、水質浄化装置100に限定されず、排水処理装置、魚の養殖用水槽などの様々な用途に適用することができる。
【0013】
気泡発生装置1は、振動板2と、筒状体3と、圧電素子4とを備えている。気泡発生装置1は、水槽10の底部の一部に開けた孔に振動板2を設け、筒状体3を介して圧電素子4で振動板2を振動させることで、振動板2に形成した複数の細孔(開口部)から微細な気泡200を発生させている。
【0014】
振動板2は、ガラス板で形成されている。振動板2をガラス板で形成する場合、例えば、波長が200nm~380nmの紫外光および深紫外光を透過させるガラス板で形成してもよい。紫外光および深紫外光を透過させるガラス板で形成することで、振動板2の他方の面側から水槽10の水に対して紫外光を発する光源を設け、オゾン生成による殺菌と紫外光照射による殺菌とを兼用させることができる。なお、ガラス板には、石英ガラスや、組成がコントロールされ深紫外線の透過度を向上させた疑似石英合成ガラスなどが用いられる。なお、振動板2は、金属板で形成してもよく、ガラス以外に他の材質(例えば、金属、樹脂など)で形成してもよい。
【0015】
振動板2は、複数の細孔が形成され、一方の面が水槽10の水(液体)と接し、他方の面が空気(気体)と接している。つまり、気泡発生装置1では、振動板2で水と空気とを分離し、他方の面に背圧を加え(図1に示す矢印方向)、振動板2を振動させることで空気が複数の細孔を通って水槽10の水に送り込まれ微細な気泡200を発生させている。
【0016】
気泡発生装置1では、筒状体3を介して圧電素子4で振動板2を振動させている。図2は、本実施の形態に係る気泡発生装置1の斜視図である。図3は、本実施の形態に係る気泡発生装置の半断面図である。図3に示す一点鎖線は、筒状体3の中心軸を通る部分である。
【0017】
振動板2に、筒状体3が連結されている。なお、振動板2がガラス板で形成されているため図2では振動板2越しに筒状体3の貫通孔が見えているが、振動板2が金属板などの不透明な材料で形成された場合、図2のように振動板2越しに筒状体3の貫通孔を見ることはできない。筒状体3は、円筒状の形状を有する。筒状体3は、第1の端部3aと、第1の端部3aとは反対側の第2の端部3bとを有する。第2の端部3bは、円筒体の軸方向において、第1の端部3aと反対側に位置している。
【0018】
第1の端部3aが、振動板2に連結されている。すなわち、振動板2が、筒状体3の第1の端部3a側の開口を閉成するように、筒状体3の第1の端部3aが、振動板2の筒状体3側の面に固定されている。
【0019】
筒状体3は本実施の形態では、ステンレスからなる。もっとも、ステンレスに代えて、他の金属材料が用いられてもよい。好ましくは、ステンレスなどの剛性の高い金属が望ましい。
【0020】
筒状体3の側面には、筒状体の径方向外側に延ばされたフランジ部3cが設けられている。フランジ部3cは、たとえば図1に示すように水槽10の底部の一部に開けた孔と連結することにより、筒状体3の第1の端部3aが水槽10を結合させている。フランジ部3cは、筒状体3を介して圧電素子4で振動板2を振動させても、ほぼ無振動である。そのため、圧電素子4の振動を水槽10に伝えずに、振動板2のみを振動させることが可能である。
【0021】
筒状体3の第2の端部3b側には、径方向外側に延ばされたリング状つば部3eが設けられている。リング状つば部3eは、平面視した場合、ドーナツ状の形状を有している。フランジ部3cと、リング状つば部3eとの間の部分が、筒状体本体3dである。上記リング状つば部3eの外径は、筒状体本体3dの外径よりも大きくなっている。特に限定されないが、本実施の形態では、図3に示すように、筒状体本体3dの外径は、振動板2の外径より小さい。
【0022】
リング状つば部3eは、筒状体本体3dと同じ材料により一体に構成されていてもよい。もっとも、本実施の形態では、筒状体本体3dに、別部材としてのリング状つば部3eが筒状体本体3dの振動板2とは反対側の端面に接合されている。このように、リング状つば部3eは、筒状体本体3dと別部材で構成されていてもよい。
【0023】
リング状つば部3eには、振動板2側の面と反対側の面に、リング状の圧電素子4が固定されている。リング状の圧電素子4は、リング状圧電体と、リング状圧電体の両面に設けられた電極とを有する。リング状圧電体は、厚み方向に、すなわち筒状体3の第1の端部3aと第2の端部3bとを結ぶ方向に分極されている。リング状圧電体は、圧電セラミックスなどの圧電体からなる。
【0024】
リング状の圧電素子4がリング状つば部3eに接合されている構造により、振動板2を屈曲振動する振動体を構成している。なお、リング状の圧電素子4は、例えば、内径が12mm、外径が18mm、厚みが1mmである。また、圧電素子4は、例えば、電圧が50Vpp~70Vpp、デューティ比50%の矩形波形の動作条件で駆動される。
【0025】
気泡発生装置1では、この圧電素子4における屈曲振動が、筒状体3を介して振動板2に伝わり、振動板2を振動させて微細な気泡200を発生させている。圧電素子4の電極には、コントローラ20からの信号が供給され、当該信号に基づいて圧電素子4が駆動される。
【0026】
なお、圧電素子4は、リング状圧電体と、リング状圧電体の両面に設けられた電極とを有すると説明したが、これに限定されない。圧電素子4は、例えば、複数の圧電体がリング状配置され、各々の圧電体の両面に電極が設けられた構成でもよい。
【0027】
振動板2は、筒状体3の第1の端部3aに連結されているが、図3に示すようにサポートガラス6を介して筒状体3の第1の端部3aに連結されている。振動板2の厚みが、例えば0.2mmの場合、サポートガラス6の厚みが、例えば1.1mmである。もちろん、振動板2は、サポートガラス6を介さずに筒状体3の第1の端部3aに直接連結されてもよい。
【0028】
気泡発生装置1では、液体に接する振動板2の構造をガラス板とし、筒状体3を介して圧電素子4で振動板2を振動させる構成にすることで、気体を導入する空間と液体とを完全分離することができる。気体を導入する空間と液体とを完全分離することで、圧電素子4の電気配線等が液体に浸かることを防止できる。また、気泡発生装置1では、光源も気体を導入する空間に設けることができるので、光源の電気配線等が液体に浸かることも防止できる。
【0029】
次に、気泡発生装置1での振動板2の振動について詳しく説明する。図4は、本実施の形態に係る気泡発生装置1の振動板2の振動を説明するための図である。図4には、気泡発生装置1の半断面図に、振動板2の振動についてシミュレーションした結果の変位が示されている。図4に示す一点鎖線は、筒状体3の中心軸を通る部分である。
【0030】
図4に示す気泡発生装置1では、振動板2に筒状体3、リング状つば部3eおよびリング状の圧電素子4が連結されている。このリング状の圧電素子4の電極間に交流電界を印加することで、リング状の圧電素子4とリング状つば部3eとの積層体が屈曲振動する。この屈曲振動の変位が、筒状体3の筒状体本体3dを介して振動板2に伝搬する。その結果、振動板2は、中央部が大きく変位する屈曲振動が生じる。この場合、気泡発生装置1は、図4に示すように振動板2の屈曲振動で振動板2の中央部で変位dを生じる。
【0031】
リング状の圧電素子4でリング状つば部3eを振動させて振動板2を屈曲振動させた場合、図4に示す気泡発生装置1の振動板2の中央部分とリング状つば部3eの外周側部分とが逆相で変位する第1のモードと同相で変位する第2のモードとが生じる。
【0032】
特に、気泡発生装置1では、第1のモードで振動板2を振動させた場合、フランジ部3cの近傍にノードが現れるのでフランジ部3cの近傍ではほぼ無振動となる。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る気泡発生装置のリング状の圧電素子4を駆動した場合の共振特性を示す図である。図5に示すように、低周波数側に第1のモードの応答、高周波数側に第2のモードの応答がそれぞれ現れている。ここでは、第1のモードの共振周波数は32.5kHz付近に現れており、第2のモードの共振周波数は34.0kHz付近に現れている。
【0034】
なお、屈曲振動は、リング状つば部3eの外径や厚みを変更することで第1のモードの応答および第2のモードの応答の周波数を大きく変更することができる。
【0035】
振動板2には、複数の細孔が形成されている。図6は、本実施の形態に係る振動板の平面図である。図6に示す振動板2は、直径14mmのガラス板2aの中央部に設けた5mm×5mmの領域に複数の細孔2bが形成されている。振動板2は、例えば、細孔2bの孔径を10μm、細孔2bの間隔を0.25mmにした場合、5mm×5mmの領域に441個の細孔2bを形成することができる。なお、図6では、ガラス板2aに複数の細孔2bが形成されていることをイメージし易くするため、細孔2bの孔径および細孔2bの間隔が実際のスケールとは異なっている。
【0036】
振動板2に設けられる細孔2bは、液体と接する側の面での孔径が1μm~20μmである。当該細孔2bから導入された空気により、水槽10の水に約10倍の径の微細な気泡200が発生する。細孔2bは、孔径の10倍以上の間隔で複数形成されているので、1つの細孔2bから発生した微細な気泡200が隣の細孔2bから発生した微細な気泡200とつながることを防止して独立した微細な気泡200を発生させる性能を向上させている。
【0037】
ガラス板2aに複数の細孔2bを形成するための方法として、例えば、レーザと液相エッティングとを組み合わせた方法がある。具体的に、この方法では、ガラス板2aにレーザを照射することにより、レーザエネルギーでガラス板2aに組成変性を起こさせ、その部分を液体フッ化物系のエッティング材などで侵食させて複数の細孔2bを形成している。
【0038】
図7は、本実施の形態に係る振動板に形成した細孔(開口部)2bの断面図である。図7に示すように、ガラス板2aに形成される細孔2bの形状は、図中下側の面の孔径に比べ、上側の面の孔径が大きいテーパ形状である。孔径の小さい面を水槽10の水と接する面に、孔径の大きい面を気体と接する面にして振動板2を配置することで、細孔2bで発生する微細な気泡200の径をより小さくすることができる。もちろん、孔径の大きい面を水槽10の水と接する面に、孔径の小さい面を気体と接する面にして振動板2を配置してもよい。
【0039】
振動板2にガラス板2aを使用した場合、金属板を利用する場合と比較して、液体への金属イオンの溶出による液体汚染を防ぐことができるメリットがある。また、金属板に細孔を形成した場合、金属の腐食防止のためにメッキを行う必要がある。液体への金属イオンの溶出を防止するには、貴金属を用いる必要がある。そのため、細孔を形成した金属板を貴金属でメッキを行うと、振動板のコストが高価になる。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る気泡発生装置1は、振動により微細な気泡200を液体中に発生させる気泡発生装置である。気泡発生装置1は、振動板2と、筒状体3と、圧電素子4とを備える。振動板2は、複数の細孔2bが形成され、一方の面が水槽10の水(液体)と接し、他方の面が気体と接する。筒状体3は、第1の端部3aと、第1の端部3aとは反対側の第2の端部3bとを有し、第1の端部3a側において、振動板2を保持するように、振動板2に連結されている。圧電素子4は、筒状体3の第2の端部3b側に、筒状体3の径方向外側に延ばされたリング状つば部3eに固定され、筒状体3を振動させる。筒状体3の第1の端部3aが水槽10を結合させてある。
【0041】
これにより、気泡発生装置1は、筒状体3の第1の端部3aに振動板2を連結し、第2の端部3bのリング状つば部3eに圧電素子4を設ける構造であるため、振動板2で液体と空気とを分離しつつ、微細な気泡の発生効率を向上させることができる。また、気泡発生装置1は、気体を導入する空間と液体とを完全分離することができ、圧電素子4の電気配線等が液体に浸かることを防止できる。
【0042】
さらに、リング状つば部3eは、振動板2側の第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有し、第2の面に圧電素子4が固定されている。これにより、気泡発生装置1は、圧電素子4が液体に浸かることを防止できる。
【0043】
また、筒状体3は、第1の端部にフランジ部3cを設け、フランジ部3cを介して水槽10を結合させてもよい。これにより、気泡発生装置1は、圧電素子4の振動を水槽10に伝えずに、振動板2のみを振動させることが可能になる。
【0044】
さらに、フランジ部3c、筒状体3およびリング状つば部3eとは、同一材料で一体に形成されてもよい。これにより、フランジ部3c、筒状体3およびリング状つば部3eの強度を高めることができる。
【0045】
また、振動板2は、ガラス板で形成されてもよい。これにより、気泡発生装置1は、水槽10の水(液体)への金属イオンの溶出による液体汚染を防ぐことができる。
【0046】
さらに、ガラス板は、サポートガラス6を介して筒状体3の第1の端部3a側に連結されてもよい。
【0047】
また、振動板2は、液体と接する側の面での孔径が1μm~20μmの細孔2bを、孔径の10倍以上の間隔で複数形成してもよい。これにより、気泡発生装置1は、1つの細孔2bから発生した微細な気泡200が隣の細孔2bから発生した微細な気泡200とつながることを防止でき、独立した微細な気泡200を発生させることができる。
【0048】
さらに、細孔2bの形状は、水槽10の水(液体)と接する一方の面の孔径に比べ、気体と接する他方の面の孔径が大きいテーパ形状であってもよい。これにより、気泡発生装置1は、細孔2bで発生する微細な気泡200の径をより小さくすることができる。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
1,1a 気泡発生装置、2 振動板、2a ガラス板、2b 細孔、3 筒状体、3a 第1の端部、3b 第2の端部、3c フランジ部、3d 筒状体本体、3e リング状つば部、4,4A 圧電素子、6 サポートガラス、10 水槽、20 コントローラ、100 水質浄化装置、200 気泡。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7