(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】多極コネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20221122BHJP
【FI】
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2021511883
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013489
(87)【国際公開番号】W WO2020203591
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2019065181
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】大久保 大輔
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184505(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021611(WO,A1)
【文献】特開平10-214659(JP,A)
【文献】特開2013-161578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットであって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットについて、それぞれ、互いに直交する長さ方向、幅方向、高さ方向を規定したとき、
前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットは、それぞれ、前記長さ方向に相対する1対の端面と、前記幅方向に相対する1対の側面と、前記高さ方向に相対する1対の主面を有し、
前記第1コネクタは、第1内部端子と、接地電位に接続される第1外部端子と、前記第1内部端子および前記第1外部端子を保持する第1絶縁性部材と、を備え、
前記第2コネクタは、第2内部端子と、前記接地電位に接続される第2外部端子と、前記第2内部端子および前記第2外部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、
前記第1外部端子は、前記第2外部端子が嵌合される凹部を有し、
前記凹部の外底面は、前記第1コネクタの外底面に露出しており、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、
前記第1内部端子と前記第2内部端子が接続され、
前記第1外部端子と前記第2外部端子が接続され、
前記第1コネクタの前記端面側から、
前記第1外部端子と前記第2外部端子の接続部を目視できる、
多極コネクタセット。
【請求項2】
前記第1コネクタの前記端面がオープン構造であり、
前記オープン構造としたことにより前記第1コネクタの前記端面側から、
前記第1外部端子と前記第2外部端子の接続部を目視できる、
請求項1に記載された多極コネクタセット。
【請求項3】
前記第1コネクタは、前記第1コネクタと前記第2コネクタを勘合させる際に、前記第1外部端子に対する前記第2外部端子の前記長さ方向における相対的な位置が適正になるように、前記第2外部端子を誘導する、1対の金属製のガイドを備え、
前記ガイドは、前記第1外部端子と電気的に接続され、
前記第2外部端子の数は1対であり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、
前記長手方向に、一方の前記第2外部端子と、一方の前記ガイドと、他方の前記ガイドと、他方の前記第2外部端子とが、この順番に並ぶ、
請求項1または2に記載された多極コネクタセット。
【請求項4】
第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットであって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットについて、それぞれ、互いに直交する長さ方向、幅方向、高さ方向を規定したとき、
前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットは、それぞれ、前記長さ方向に相対する1対の端面と、前記幅方向に相対する1対の側面と、前記高さ方向に相対する1対の主面を有し、
前記第1コネクタは、第1内部端子と、接地電位に接続される第1外部端子と、前記第1内部端子および前記第1外部端子を保持する第1絶縁性部材と、を備え、
前記第2コネクタは、第2内部端子と、前記接地電位に接続される第2外部端子と、前記第2内部端子および前記第2外部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、
前記第1内部端子と前記第2内部端子が接続され、
前記第1外部端子と前記第2外部端子が接続され、
前記第1コネクタの前記端面に窓が形成され、
前記窓を通して前記第1コネクタの前記端面側から、
前記第1外部端子と前記第2外部端子の接続部を目視できる、
多極コネクタセット。
【請求項5】
第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットであって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットについて、それぞれ、互いに直交する長さ方向、幅方向、高さ方向を規定したとき、
前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットは、それぞれ、前記長さ方向に相対する1対の端面と、前記幅方向に相対する1対の側面と、前記高さ方向に相対する1対の主面を有し、
前記第1コネクタは、第1内部端子と、接地電位に接続される第1外部端子と、前記第1内部端子および前記第1外部端子を保持する第1絶縁性部材と、を備え、
前記第2コネクタは、第2内部端子と、前記接地電位に接続される第2外部端子と、前記第2内部端子および前記第2外部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、
前記第1内部端子と前記第2内部端子が接続され、
前記第1外部端子と前記第2外部端子が接続され、
前記第1コネクタの前記端面にスリットが形成され、
前記スリットを通して前記第1コネクタの前記端面側から、
前記第1外部端子と前記第2外部端子の接続部を目視できる、
多極コネクタセット。
【請求項6】
前記
第1コネクタの前記端面に、前記第1外部端子が重なる、
請求項4または5に記載された多極コネクタセット。
【請求項7】
前記第1コネクタの端部に前記第1外部端子が設けられ、
前記第2コネクタの端部に前記第2外部端子が設けられ、
前記第1外部端子は凹部を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、
前記凹部に前記第2外部端子が嵌合され、
前記第1外部端子と前記第2外部端子の前記接続部の少なくとも1つが、前記凹部の前記幅方向における内側の面または点と、前記第2外部端子の前記幅方向における外側の面または点で構成される、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載された多極コネクタセット。
【請求項8】
第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットであって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットについて、それぞれ、互いに直交する長さ方向、幅方向、高さ方向を規定したとき、
前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよび前記多極コネクタセットは、それぞれ、前記長さ方向に相対する1対の端面と、前記幅方向に相対する1対の側面と、前記高さ方向に相対する1対の主面を有し、
前記第1コネクタは、第1内部端子と、接地電位に接続される第1外部端子と、前記第1内部端子および前記第1外部端子を保持する第1絶縁性部材と、を備え、
前記第2コネクタは、第2内部端子と、前記接地電位に接続される第2外部端子と、前記第2内部端子および前記第2外部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、
前記第1コネクタの端部に前記第1外部端子が設けられ、
前記第2コネクタの端部に前記第2外部端子が設けられ、
前記第1外部端子は、前記第2外部端子が嵌合される凹部を有し、
前記凹部の外底面は、前記第1コネクタの外底面に露出しており、
前記第1コネクタの前記端面がオープン構造であり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合された状態において、
前記凹部に前記第2外部端子が嵌合され、
少なくとも、前記凹部の前記幅方向における内側の面または点と、前記第2外部端子の前記幅方向における外側の面または点が、前記第1外部端子と前記第2外部端子の接続部を構成し、
前記オープン構造としたことにより前記第1コネクタの前記端面側から、前記接続部を目視できる、
多極コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つの回路基板を電気的に接続するために、一方の回路基板に第1コネクタを接続し、他方の回路基板に第2コネクタを接続し、第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成する多極コネクタセットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の多極コネクタセットは、第1コネクタが、長手方向に沿って配列された第1内部端子と、第1内部端子を支持する第1絶縁性部材と、第1内部端子の長手方向の両端に設けられた接地電位に接続される第1外部端子とを有する。また、第2コネクタが、長手方向に沿って配列された第2内部端子と、第2内部端子を支持する第2絶縁性部材と、第2内部端子の長手方向の両端に設けられた接地電位に接続される第2外部端子とを有する。そして、第1コネクタと第2コネクタを嵌合した状態において、第1内部端子と第2内部端子が接続され、第1外部端子と第2外部端子が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多極コネクタセットにおいて、伝送される信号の高周波化が進んでいる。多極コネクタセットを高周波信号の伝送に用いる場合、内部端子の近傍に配置された外部端子や、多極コネクタセットが実装された回路基板のグランド導体パターンなどは、高周波信号を伝送する内部端子から輻射される電磁界によって共振を起こしやすくなる。そして、所望しない共振は、放射ノイズを発生させるために、伝送帯域における安定した信号伝送が妨げられる。
【0006】
多極コネクタセットにおいて、所望しない共振を抑制するためには、第1コネクタの第1外部端子と第2コネクタの第2外部端子が、良好に接続されることが重要である。
【0007】
しかしながら、特許文献1の多極コネクタセットは、第1コネクタと第2コネクタを嵌合した状態において、側面および端面が閉じているため、第1外部端子と第2外部端子が良好に接続されているか否かを、外部から容易に確認することができなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、第1外部端子と第2外部端子が良好に接続されているか否かを、外部から容易に確認できる多極コネクタセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一実施態様にかかる多極コネクタセットは、第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットであって、第1コネクタと第2コネクタが嵌合された状態において、第1コネクタ、第2コネクタおよび多極コネクタセットについて、それぞれ、互いに直交する長さ方向、幅方向、高さ方向を規定したとき、第1コネクタおよび第2コネクタは、それぞれ、長さ方向に相対する1対の端面と、幅方向に相対する1対の側面と、高さ方向に相対する1対の主面を有し、第1コネクタは、第1内部端子と、接地電位に接続される第1外部端子と、第1内部端子および第1外部端子を保持する第1絶縁性部材と、を備え、第2コネクタは、第2内部端子と、接地電位に接続される第2外部端子と、第2内部端子および第2外部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、第1外部端子は、第2外部端子が嵌合される凹部を有し、凹部の外底面は、第1コネクタの外底面に露出しており、第1コネクタと第2コネクタが嵌合された状態において、第1内部端子と第2内部端子が接続され、第1外部端子と第2外部端子が接続され、第1コネクタの端面側から、第1外部端子と第2外部端子の接続部を目視できるものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多極コネクタセットは、第1コネクタの端面側から第1外部端子と第2外部端子の接続部を目視できるため、第1外部端子と第2外部端子が良好に接続されているか否かを、外部から容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)は、嵌合面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。
図1(B)は、実装面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、嵌合面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。
図3(B)は、実装面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。
【
図6】第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の斜視図である。
【
図7】
図7(A)は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の正面図である。
図7(B)は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた多極コネクタセット100の正面図である。
【
図8】
図8(A)は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bの嵌合を解除した多極コネクタセット200の正面図である。
図8(B)は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bを嵌合させた多極コネクタセット200の正面図である。
【
図9】
図9(A)は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bの嵌合を解除した多極コネクタセット300の正面図である。
図9(B)は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bを嵌合させた多極コネクタセット300の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0014】
[第1実施形態]
図1(A)、(B)、
図2、
図3(A)、(B)、
図4、
図5、
図6に、第1実施形態にかかる多極コネクタセット100を示す。なお、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合されて構成されている。
図1(A)は、嵌合面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。
図1(B)は、実装面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。
図2は、第1コネクタ100Aの分解斜視図である。
図3(A)は、嵌合面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。
図3(B)は、実装面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。
図4は、第2コネクタ100Bの分解斜視図である。
図5は、多極コネクタセット100の斜視図である。
図6は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の斜視図である。なお、多極コネクタとは、複数の内部端子を有するコネクタをいう。
【0015】
なお、図面には、多極コネクタセット100、第1コネクタ100A、第2コネクタ100Bの高さ方向T、長さ方向L、幅方向Wを示しており、以下の説明において、これらの方向に言及する場合がある。多極コネクタセット100、第1コネクタ100A、第2コネクタ100Bは、それぞれ、長さ方向Lに相対して1対の端面を備え、幅方向Wに相対して1対の側面を備え、高さ方向Tに相対して1対の主面(実装面および嵌合面)を備えている。
【0016】
上述したとおり、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合されて構成されている。以下、第1コネクタ100A、第2コネクタ100B、多極コネクタセット100について、順に説明する。
【0017】
<第1コネクタ100A>
図1(A)、(B)、
図2に、第1コネクタ100Aを示す。
【0018】
第1コネクタ100Aは、複数の第1内部端子1を備える。第1内部端子1は、第1コネクタ100Aを実装した回路基板などの信号ラインやグランドなどに接続される。本実施形態においては、第1内部端子1は、いわゆる雌型端子である。ただし、第1内部端子1は、いわゆる雄型端子であってもよい。
【0019】
第1内部端子1の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。リン青銅は、導電性を有し、かつ、弾性変形な材料である。
【0020】
本実施形態においては、第1内部端子1は、短冊状の金属板を折り曲げ加工して作製したものからなる。ただし、第1内部端子1は、ばね性を有する金属部材を抜き型加工することにより、作製したものであってもよい。
【0021】
第1コネクタ100Aは、第1絶縁性部材2を備える。第1絶縁性部材2は、第1内部端子1を保持するための部材である。第1絶縁性部材2の材質は任意であるが、たとえば、樹脂を使用することができる。第1内部端子1は、第1絶縁性部材2に、インサートモールドされている。ただし、第1内部端子1は、第1絶縁性部材2に、嵌め込んで固定されてもよい。
【0022】
第1内部端子1は、それぞれ長さ方向Lに延びる2列に分けて配置されている。第1内部端子1は、第1絶縁性部材2から幅方向Wに引出されている。
【0023】
第1コネクタ100Aは、第1絶縁性部材2の両端に、それぞれ、第1外部端子3が設けられている。本実施形態においては、両端の第1外部端子3が、第1コネクタ100Aの両側面に設けられた、1対のサイドシールド4によって、相互に、構造的かつ電気的に接続されている。ただし、サイドシールド4は、本発明において必須の構成要素ではなく、省略することもできる。
【0024】
第1外部端子3は、第1コネクタ100Aを実装した回路基板などのグランドに接続される。第1外部端子3は、第1コネクタ100Aの端面をシールドする。サイドシールド4は、第1コネクタ100Aの側面をシールドする。
【0025】
第1外部端子3およびサイドシールド4の材質は、それぞれ任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0026】
本実施形態の第1外部端子3およびサイドシールド4は、1つの金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して、一体的に作製されている。ただし、第1外部端子3とサイドシールド4は、別々に作製され、後から接合されたものであってもよい。
【0027】
第1外部端子3およびサイドシールド4は、第1絶縁性部材2にインサートモールドされている。ただし、第1外部端子3およびサイドシールド4は、第1絶縁性部材2に、嵌め込んで固定されてもよい。
【0028】
第1外部端子3は、凹部31を有している。凹部31は、第2コネクタ100Bの後述する第2外部端子8を嵌合する部分である。
【0029】
第1外部端子3は、凹部31の第1コネクタ100Aにおける端面側が開放されている。
【0030】
第1外部端子3は、凹部31の幅方向Wにおける両方の内側に、第2外部端子8と接続される第1接続部32を備えている。凹部31の長さ方向Lにおける一方の内側(開放された側と反対側)も、第2外部端子8と接続される接続部に利用することが可能である。
【0031】
本実施形態においては、第1接続部32に、ロック突起32aが形成されている。ただし、ロック突起32aに代えて、ロック孔を形成してもよい。なお、嵌合力を高めたり、勘合したかどうかをロック音で確認したりするためには、このようなロック突起やロック孔を設けることが好ましいが、このようなロック突起やロック孔を設けずに、押し込み固定するようにすることを妨げるものではない。
【0032】
第1外部端子3は、凹部31の幅方向Wにおける両方の内側、および、凹部31の長さ方向Lにおける一方の内側(開放された側と反対側)に、第2外部端子8を凹部31に嵌合させる際に使用するテーパー状のガイド33が形成されている。
【0033】
第1コネクタ100Aは、第1絶縁性部材2の幅方向Wの中央部に、長さ方向Lに延びる2つのセンターシールド5が設けられている。各センターシールド5は、第2コネクタ100Bの後述するセンターシールド9の凸部9aと嵌合される凹部5aを有している。センターシールド5は、第1コネクタ100Aを実装した回路基板などのグランドに接続される。センターシールド5は、異なる列に配置された第1内部端子1どうしにおいて電磁波の干渉を抑制するために設けられている。
【0034】
第1コネクタ100Aは、凹部31の第1コネクタ100Aにおける端面側を開放したため、端面がオープン構造になっている。端面がオープン構造であるとは、端面が閉じていないことをいう。
【0035】
<第2コネクタ100B>
図3(A)、(B)、
図4に、第2コネクタ100Bを示す。
【0036】
第2コネクタ100Bは、複数の第2内部端子6を備える。第2内部端子6は、第2コネクタ100Bを実装した回路基板などの信号ラインやグランドなどに接続される。本実施形態においては、第2内部端子6は、いわゆる雄型端子である。ただし、第2内部端子6は、いわゆる雌型端子であってもよい。
【0037】
第2内部端子6の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0038】
本実施形態においては、第2内部端子6は、短冊状の金属板を折り曲げ加工して作製したものからなる。ただし、第2内部端子6は、ばね性を有する金属部材を抜き型加工することにより、作製したものであってもよい。
【0039】
第2コネクタ100Bは、第2絶縁性部材7を備える。第2絶縁性部材7は、第2内部端子6を保持するための部材である。第2絶縁性部材7の材質は任意であるが、たとえば、樹脂を使用することができる。第2内部端子6は、第2絶縁性部材7に、インサートモールドされている。ただし、第2内部端子6は、第2絶縁性部材7に、嵌め込んで固定されてもよい。
【0040】
第2内部端子6は、それぞれ長さ方向Lに延びる2列に分けて配置されている。第2内部端子6は、第2絶縁性部材7から幅方向Wに引出されている。
【0041】
第2コネクタ100Bは、第2絶縁性部材7の両端に、それぞれ、第2外部端子8が設けられている。第2外部端子8は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが嵌合された状態において、第1コネクタ100Aの第1外部端子3の凹部31に嵌合される部分である。
【0042】
第2外部端子8は、第2コネクタ100Bを実装した回路基板などのグランドに接続される。第2外部端子8は、第2コネクタ100Bの端面をシールドする。
【0043】
第2外部端子8の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0044】
第2外部端子8は、幅方向Wにおける両方の外側に、第1外部端子3と接続される第2接続部82を備えている。第2外部端子8の長さ方向Lにおける内側も、第1外部端子3と接続される第2接続部として使用することが可能である。
【0045】
本実施形態においては、第2接続部82に、ロック孔82aが形成されている。ただし、ロック孔82aに代えて、ロック突起を形成してもよい。なお、嵌合力を高めたり、勘合したかどうかをロック音で確認したりするためには、このようなロック突起やロック孔を設けることが好ましいが、このようなロック突起やロック孔を設けずに、押し込み固定するようにすることを妨げるものではない。
【0046】
第2コネクタ100Bは、第2絶縁性部材7の幅方向Wの中央部に、長さ方向Lに延びるセンターシールド9が設けられている。センターシールド9は、第1コネクタ100Aのセンターシールド5の凹部5aと嵌合される2つの凸部9aを有している。センターシールド9は、第2コネクタ100Bを実装した回路基板などのグランドに接続される。センターシールド9は、異なる列に配置された第2内部端子6どうしにおいて電磁波の干渉を抑制するために設けられている。
【0047】
<多極コネクタセット100>
第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが嵌合されて、多極コネクタセット100が構成される。
図5に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた多極コネクタセット100の斜視図を示す。
図6に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の斜視図を示す。
図7(A)に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の正面図を示す。
図7(B)に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた多極コネクタセット100の正面図を示す。
【0048】
第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第1内部端子1と第2内部端子6が接続される。
【0049】
また、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第2外部端子8が凹部31に嵌合され、第1外部端子3の第1接続部32と第2外部端子8の第2接続部82が接続される。第1接続部32と第2接続部82が良好に接続されたとき、第1接続部32のロック突起32aが第2接続部82のロック孔82aに嵌合される。
【0050】
また、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、センターシールド9の凸部9aが、センターシールド5の凹部5aに嵌合される。
【0051】
図7(A)、(B)から分かるように、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aの端面がオープン構造であるため、第1コネクタ100Aの端面側から、第1接続部32と第2接続部82の接合状態を目視で確認することができる。換言すれば、接合状態の視認性を大幅に向上させることができる。
【0052】
したがって、多極コネクタセット100は、第1外部端子3と第2外部端子8を確実に接続することができるため、高周波信号を伝送する第1内部端子1、第2内部端子6から輻射される電磁界によって、第1外部端子3、第2外部端子8や、第1コネクタ100A、第2コネクタ100Bを実装した回路基板のグランド導体パターンなどが所望しない共振をおこすことが抑制されている。
【0053】
[第2実施形態;多極コネクタセット200]
図8(A)、(B)に、第2実施形態にかかる多極コネクタセット200を示す。なお、多極コネクタセット200は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bが相互に嵌合されて構成されている。
図8(A)は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bの嵌合を解除した多極コネクタセット200の正面図である。
図8(B)は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bを嵌合させた多極コネクタセット200の正面図である。
【0054】
第2実施形態にかかる多極コネクタセット200は、第1実施形態にかかる多極コネクタセット100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、多極コネクタセット100では、凹部31の第1コネクタ100Aにおける端面側が開放されており、第1コネクタ100Aの端面がオープン構造になっていた。多極コネクタセット200は、これを変更し、凹部31の第1コネクタ200Aにおける端面側を壁面34で塞ぎ、第1コネクタ200Aの端面を非オープン構造にした。そして、多極コネクタセット200では、壁面34に窓35を形成した。このような場合には、端面側を壁面34で塞ぐため、多極コネクタセットからノイズが外部に放射されることをさらに抑制することができる。
【0055】
多極コネクタセット200においても、壁面34に形成された窓35を通して、第1コネクタ200Aの端面側から、第1接続部32と第2接続部82の接合状態を目視で確認することができる。
【0056】
[第3実施形態;多極コネクタセット300]
図9(A)、(B)に、第3実施形態にかかる多極コネクタセット300を示す。なお、多極コネクタセット300は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bが相互に嵌合されて構成されている。
図9(A)は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bの嵌合を解除した多極コネクタセット300の正面図である。
図9(B)は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bを嵌合させた多極コネクタセット300の正面図である。
【0057】
第3実施形態にかかる多極コネクタセット300も、第1実施形態にかかる多極コネクタセット100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、多極コネクタセット100では、凹部31の第1コネクタ100Aにおける端面側が開放されており、第1コネクタ100Aの端面がオープン構造になっていた。多極コネクタセット300は、これを変更し、凹部31の第1コネクタ300Aにおける端面側を壁面34で塞ぎ、第1コネクタ300Aの端面を非オープン構造にした。そして、多極コネクタセット300では、壁面34にスリット36を形成した。
【0058】
多極コネクタセット300においても、壁面34に形成されたスリット36を通して、第1コネクタ300Aの端面側から、第1接続部32と第2接続部82の接合状態を目視で確認することができる。このような場合には、端面側を壁面34で塞ぐため、多極コネクタセットからノイズが外部に放射されることをさらに抑制することができる。
【0059】
以上、第1実施形態~第3実施形態にかかる多極コネクタセット100、200、300について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更をなすことができる。
【0060】
本発明の一実施態様にかかる多極コネクタセットは、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0061】
この多極コネクタセットにおいて、第1コネクタの端面がオープン構造であり、オープン構造としたことにより第1コネクタの端面側から、第1外部端子と第2外部端子の接続部を目視できることも好ましい。
【0062】
あるいは、第1コネクタの端面に窓が形成され、窓を通して第1コネクタの端面側から、第1外部端子と第2外部端子の接続部を目視できることも好ましい。
【0063】
あるいは、第1コネクタの端面にスリットが形成され、スリットを通して第1コネクタの端面側から、第1外部端子と第2外部端子の接続部を目視できることも好ましい。
【0064】
また、1コネクタの端面に、第1外部端子が重なることも好ましい。この場合には、シールド性が向上する。
【0065】
また、第1コネクタの端部に第1外部端子が設けられ、第2コネクタの端部に第2外部端子が設けられ、第1外部端子は凹部を有し、第1コネクタと第2コネクタが嵌合された状態において、凹部に第2外部端子が嵌合され、第1外部端子と第2外部端子の接続部の少なくとも1つが、凹部の幅方向における内側の面または点と、第2外部端子の幅方向における外側の面または点で構成されることも好ましい。
【0066】
本発明の別の実施態様にかかる多極コネクタセットは、第1コネクタと第2コネクタを相互に嵌合して構成される多極コネクタセットであって、第1コネクタと第2コネクタが嵌合された状態において、第1コネクタ、第2コネクタおよび多極コネクタセットについて、それぞれ、互いに直交する長さ方向、幅方向、高さ方向を規定したとき、第1コネクタ、第2コネクタおよび多極コネクタセットは、それぞれ、長さ方向に相対する1対の端面と、幅方向に相対する1対の側面と、高さ方向に相対する1対の主面を有し、第1コネクタは、第1内部端子と、接地電位に接続される第1外部端子と、第1内部端子および第1外部端子を保持する第1絶縁性部材と、を備え、第2コネクタは、第2内部端子と、接地電位に接続される第2外部端子と、第2内部端子および第2外部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、第1コネクタの端部に第1外部端子が設けられ、第2コネクタの端部に第2外部端子が設けられ、第1外部端子は、第2外部端子が嵌合される凹部を有し、凹部の外底面は、第1コネクタの外底面に露出しており、第1コネクタの端面がオープン構造であり、第1コネクタと第2コネクタが嵌合された状態において、凹部に第2外部端子が嵌合され、少なくとも、凹部の幅方向における内側の面または点と、第2外部端子の幅方向における外側の面または点が、第1外部端子と第2外部端子の接続部を構成し、オープン構造としたことにより第1コネクタの端面側から、接続部を目視できるものとする。この場合も、第1外部端子と第2外部端子が良好に接続されているか否かを、外部から容易に確認できる。
【符号の説明】
【0067】
100A、200A、300A・・・第1コネクタ
1・・・第1内部端子
2・・・第1絶縁性部材
3・・・第1外部端子
31・・・凹部
32・・・第1接続部
32a・・・ロック突起
33・・・ガイド
34・・・壁面
35・・・窓
36・・・スリット
4・・・サイドシールド
5・・・センターシールド
5a・・・凹部
100B、200B、300B・・・第2コネクタ
6・・・第2内部端子
7・・・第2絶縁性部材
8・・・第2外部端子
82・・・第2接続部
82a・・・ロック孔