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  • 特許-キャパシタ部品及びその製造方法 図1
  • 特許-キャパシタ部品及びその製造方法 図2
  • 特許-キャパシタ部品及びその製造方法 図3
  • 特許-キャパシタ部品及びその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】キャパシタ部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 512
H01G4/30 515
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018167310
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2019140372
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0015658
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヒョン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ハム、テ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ハン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、キ ミョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェ ソン
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-278430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0309607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極が交互に積層された本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、誘電体及び金属粒子を含む複合層と、該複合層を挟んで配置され、誘電体を含む第1及び第2保護層と、を含み、
前記第1及び第2保護層の厚さは、それぞれ、前記誘電体層の厚さの1/3以上であり、前記誘電体層は焼成されて形成される、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記複合層の厚さは400nm以上で、前記誘電体層の厚さの1/3である、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記金属粒子は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及びセレン(Se)のいずれか1種以上である、請求項1または2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記金属粒子の大きさは5~600nmである、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記金属粒子は前記複合層の2~8体積%で含まれている、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記誘電体はチタン酸バリウム(BaTiO)である、請求項1から5のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記第1及び第2保護層は金属粒子を含んでいない、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
誘電体粉末を含む保護層用ペーストを準備する段階と、
誘電体粉末及び金属粒子を含む複合層用ペーストを準備する段階と、
支持基材上に前記保護層用ペーストを塗布して第1保護層を形成し、該第1保護層上に前記複合層用ペーストを塗布して複合層を形成した後、該複合層上に前記保護層用ペーストを塗布して第2保護層を形成することで、誘電体シートを準備する段階と、
前記誘電体シート上に導電性ペーストを塗布して内部電極を印刷する段階と、
前記内部電極が印刷された誘電体シートを積層し焼成して本体を形成する段階と、
前記本体に前記内部電極と連結される外部電極を形成する段階と、を含み、
前記第1保護層及び第2保護層の厚さは、それぞれ、前記誘電体シートの厚さの1/3以上である、キャパシタ部品の製造方法。
【請求項9】
前記金属粒子は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及びセレン(Se)のいずれか1種以上である、請求項8に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【請求項10】
前記誘電体粉末はチタン酸バリウム(BaTiO)である、請求項8または9に記載のキャパシタ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャパシタ部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップタイプのコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種の電子機器の小型化・高出力化が進むにつれ、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求も高まっている。積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を同時に達成するためには、高誘電率誘電体を使用したり、積層数や電極面積を増やしたりする必要があるが、小型化の傾向に伴って、積層数及び電極面積を増やすのに限界がある状況である。
【0004】
これによって、従来よりも高誘電率を有する誘電体に対する必要性が引き続き提起されているが、従来のBaTiO誘電体よりも高誘電率でありながら、使用するのに好適な材料は見出されていない。
【0005】
特許文献1には、BaTiO中に金属粒子を分散させてBaTiO/金属界面での空間電荷効果を加えることで、誘電率を向上させる方法が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献1によれば、誘電率は向上させることができるものの、信頼性が低下するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第2016-0007219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の一つは、信頼性を低下させることなく、誘電率が向上した誘電体層を含むキャパシタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、誘電体層及び内部電極が交互に積層された本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記誘電体層は、誘電体及び金属粒子を含む複合層と、該複合層を挟んで配置される第1及び第2保護層と、を含み、上記第1及び第2保護層の厚さは、それぞれ、上記誘電体層の厚さの1/3以上であるキャパシタ部品を提供する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、誘電体粉末を含む保護層用ペーストを準備する段階と、誘電体粉末及び金属粒子を含む複合層用ペーストを準備する段階と、支持基材上に上記保護層用ペーストを塗布して第1保護層を形成し、該第1保護層上に上記複合層用ペーストを塗布して複合層を形成した後、該複合層上に上記保護層用ペーストを塗布して第2保護層を形成することで、誘電体シートを準備する段階と、上記誘電体シート上に導電性ペーストを塗布して内部電極を印刷する段階と、上記内部電極が印刷された誘電体シートを積層し焼成して本体を形成する段階と、上記本体に上記内部電極と連結される外部電極を形成する段階と、を含み、上記第1及び第2保護層の厚さは、それぞれ、上記誘電体シートの厚さの1/3以上であるキャパシタ部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果のうちの一つとして、信頼性を低下させることなく、誘電率が向上した誘電体層を含むキャパシタ部品を得ることができる。但し、本発明の多様且つ有益な利点と効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3図2におけるA部分を拡大して示した図である。
図4】本発明による実施例と比較例のDCバイアス挙動を比較して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0015】
図面において、X方向は第1方向又は長さ方向を示し、Y方向は第2方向又は幅方向を示し、Z方向は第3方向又は厚さ方向を示すことができる。
【0016】
キャパシタ部品
図1は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示した斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿った断面図であり、図3図2におけるA部分を拡大して示した図である。
【0017】
図1図3を参照すると、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層された本体110と、本体110に配置され、内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、を含み、誘電体層111は、誘電体及び金属粒子Mを含む複合層111bと、該複合層111bを挟んで配置され、誘電体を含む第1及び第2保護層111a、111cと、を含む。
【0018】
本体110には、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。本体110は、複数の誘電体層111が積層された積層構造を有し、誘電体層111を挟んで交互に配置された第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0019】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は六面体形状又はこれに類似する形状であってもよい。焼成過程における本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0020】
誘電体層111は、誘電体及び金属粒子Mを含む複合層111bと、該複合層111bを挟んで配置され、誘電体を含む第1及び第2保護層111a、111cと、を含む。第1及び第2保護層の厚さは、それぞれ、上記誘電体層の厚さの1/3以上である。
【0021】
複合層111bは、誘電体及び金属粒子Mを含むことによって、誘電体層の誘電率を向上させる役割を果たす。
【0022】
金属粒子Mは、誘電体と金属粒子表面におけるショットキー障壁(Schottky barrier)を大きくすることにより、金属粒子の周囲に空間電荷層(Space charge layer)を形成し、誘電体組成物の誘電率を向上させることができる。
【0023】
ショットキー障壁とは、金属と半導体を接触させるときに生じる電位障壁(エネルギー障壁)のことをいい、金属と半導体を接触させると、両者のフェルミ準位が一致するようにキャリヤが移動し、半導体の表面に空間電荷層が形成されることによって、電位障壁が構成される。
【0024】
金属と半導体を接触させた場合と同様に、誘電体と金属粒子が接触したときも、誘電体と金属粒子表面におけるショットキー障壁が生じ、これによって、空間電荷層の効果が得られ、誘電率を向上させることが可能となる。
【0025】
このとき、複合層に含まれている金属粒子は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及びセレン(Se)のいずれか1種以上であってもよい。
【0026】
また、複合層に含まれている誘電体は、チタン酸バリウム(BaTiO)であってもよい。
【0027】
チタン酸バリウム(BaTiO)に、誘電体と金属粒子表面におけるショットキー障壁を大きくすることができる物質であるニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及びセレン(Se)のいずれか1種以上の金属元素を添加することによって、誘電体組成物の誘電率をさらに向上させることができる。
【0028】
また、金属粒子Mの大きさは、5~600nmであってもよい。
【0029】
金属粒子Mの大きさが5nm未満であると、金属粒子のバンドギャップ(Band gap)が大きくなって、金属特性が失われる場合がある。これは、非金属物質を添加した場合と同様の効果が得られるためである。
【0030】
一方、金属粒子Mの大きさが600nmを超えると、金属粒子の体積に対する表面積の比が小さくなるにつれて、同量の金属粒子を添加したときに表面積が小さくなり、金属粒子の周囲に形成される空間電荷層の減少によって誘電率の上昇効果が減少するという恐れがある。
【0031】
なお、金属粒子Mは、複合層の2~8体積%で含まれていてもよい。
【0032】
金属粒子が2体積%未満であると、誘電率の向上効果が鈍くなる場合があり、金属粒子が8体積%を超えると、金属粒子が互いに連結され、金属粒子の体積に対する表面積の比が小さくなるにつれて、同量の金属粒子を添加したときに表面積が小さくなり、金属粒子の周囲に形成される空間電荷層の減少によって誘電率の上昇効果が減少するという恐れがある。
【0033】
次いで、第1及び第2保護層111a、111cは、複合層111bを挟んで配置され、複合層111bに含まれている金属粒子Mと内部電極121、122間にショート(short)が発生することを防止する役割を果たす。複合層のみで誘電体層を構成すると、金属粒子Mと内部電極121、122間にショートが発生し、信頼性が低下する恐れがある。
【0034】
また、第1及び第2保護層に含まれている誘電体は、複合層に含まれている誘電体と同様に、チタン酸バリウム(BaTiO)であってもよい。
【0035】
さらに、第1及び第2保護層111a、111cは、金属粒子を含んでいなくてもよい。これは、金属粒子が含まれていると、上述した保護層の役割を果たすことができなくなるためである。
【0036】
次に、信頼性の確保及び誘電率の向上を図ることができる複合層、第1及び第2保護層の厚さについて説明する。
【0037】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2保護層111a、111cの厚さは、それぞれ、誘電体層111の厚さの1/3以上である。
【0038】
図3を参照すると、第1保護層111aの厚さをTa、複合層111bの厚さをTb、第2保護層111cの厚さをTc、誘電体層111の厚さをTdとするとき、Td=Ta+Tb+Tc、Td/3≦Ta、及びTd/3≦Tcを満たす。
【0039】
第1又は第2保護層の厚さTa、Tcが誘電体層の厚さTdの1/3未満であると、複合層に含まれている金属粒子Mと内部電極121、122間にショートが発生し、信頼性が低下する恐れがある。
【0040】
このとき、複合層111bの厚さは400nm以上で、誘電体層111の厚さの1/3以下であってもよい。
【0041】
複合層の厚さが400nm未満であると、誘電率の向上効果が鈍くなる場合があり、誘電体層の厚さの1/3を超えると、保護層の厚さを十分に確保できなくなるため、信頼性が低下する恐れがある。
【0042】
図4は、本発明による実施例と比較例のDCバイアス挙動を比較して示したグラフである。
【0043】
実施例では、誘電体層の厚さ8μm、第1及び第2保護層の厚さ3μm、複合層の厚さ2μmであり、誘電体としてBaTiOを用い、かつ複合層中に含まれているNiは5体積%であった。比較例では、従来のようにBaTiOを用いて厚さ8μmの誘電体層を製造した。
【0044】
実施例では、比較例に比べて、誘電率の向上によって容量(Capacitance)が約60%向上した。
【0045】
誘電体の粒成長によって容量が向上する場合、一般的には、DCフィールド(DC field)が大きくなるにつれて容量が急激に減少する傾向にある。しかしながら、図4から分かるように、実施例における2V/μmでの容量変化率も比較例と同様の水準となり、DCバイアス(DC-bias)挙動も比較例と類似していた。これは、容量の向上が誘電体の粒成長によるものではなく、複合層中に含まれているNiの空間電荷層の形成によるものと考えられる。
【0046】
また、一定の時間間隔で電界を増加させながら劣化寿命テストを行った結果、信頼性も比較例に比べて同等以上の水準であることが確認された。
【0047】
次いで、内部電極121、122は、誘電体層と交互に積層され、第1及び第2内部電極121、122を含んでもよい。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の両端部にそれぞれ露出してもよい。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されてもよい。第1及び第2内部電極121、122を形成する材料としては、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されてもよい。上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、第1及び第2内部電極121、122の厚さは、用途に応じて適宜決定され得るが、特に制限されるものではなく、例えば、0.1~5μmであってもよく、又は、0.1~2.5μmであってもよい。
【0048】
外部電極131、132は、本体110に配置され、内部電極121、122と連結される。図2に示したように、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。本実施形態では、キャパシタ部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明するが、外部電極131、132の数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更可能である。
【0049】
一方、外部電極131、132は、金属などのように導電性を有するものであれば、いかなる物質で形成されてもよいが、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。例えば、本体及び内部電極と接するNiからなる電極層、該電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0050】
キャパシタ部品の製造方法
本発明の他の実施形態であるキャパシタ部品の製造方法は、誘電体粉末を含む保護層用ペーストを準備する段階と、誘電体粉末及び金属粒子を含む複合層用ペーストを準備する段階と、支持基材上に上記保護層用ペーストを塗布して第1保護層を形成し、該第1保護層上に上記複合層用ペーストを塗布して複合層を形成した後、該複合層上に上記保護層用ペーストを塗布して第2保護層を形成することで、誘電体シートを準備する段階と、上記誘電体シート上に導電性ペーストを塗布して内部電極を印刷する段階と、上記内部電極が印刷された誘電体シートを積層し焼成して本体を形成する段階と、上記本体に上記内部電極と連結される外部電極を形成する段階と、を含み、上記第1及び第2保護層の厚さは、それぞれ、上記誘電体シートの厚さの1/3以上である。
【0051】
以下、各段階について説明するが、上述したキャパシタ部品で説明した部分と重複する部分は省略する。
【0052】
先ず、誘電体粉末を含む保護層用ペーストを準備する。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末に、種々の添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを入れ、混合した混合物をバインダーに分散させることで、保護層用ペーストを準備してもよい。
【0053】
その後、誘電体粉末及び金属粒子を含む複合層用ペーストを準備する。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末に、種々の添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを入れ、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、及びセレン(Se)などの金属元素のうち1種以上を、誘電体に対し2~8体積%添加して混合した混合物をバインダーに分散させることで、複合層用ペーストを準備してもよい。
【0054】
次いで、支持基材上に上記保護層用ペーストを塗布して第1保護層を形成し、該第1保護層上に上記複合層用ペーストを塗布して複合層を形成した後、該複合層上に上記保護層用ペーストを塗布して第2保護層を形成することで、誘電体シートを準備する。このとき、上記第1及び第2保護層の厚さは、それぞれ、上記誘電体シートの厚さの1/3以上とする。
【0055】
このように、保護層用ペーストと複合層用ペーストを別途準備することで、信頼性の確保及び誘電率の向上に有利な第1保護層/複合層/第2保護層のサンドイッチ構造を容易に実現することができる。さらに、複合層、第1及び第2保護層のそれぞれの厚さを容易に制御することができる。
【0056】
次に、誘電体シート上に内部電極用導電性ペーストを印刷工法などで塗布して内部電極を印刷することができる。上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などが挙げられるが、発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
内部電極が印刷された誘電体シートを積層し焼成して本体を形成することができる。このとき、内部電極が印刷された誘電体シートの積層数は、キャパシタ部品の容量に応じて調節することができる。
【0058】
最後に、本体に外部電極を形成することで、キャパシタ部品を完成することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0060】
100 キャパシタ部品
110 本体
121、122 内部電極
111 誘電体層
111a、111c 保護層
111b 複合層
131、132 外部電極
M 金属粒子
図1
図2
図3
図4