(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】車両用視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20221122BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B60R1/074
B60R1/06 D
(21)【出願番号】P 2018190023
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-104961(JP,A)
【文献】特開2006-021666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/074
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に設けられる支持体と、
前記支持体に回動可能に支持されると共に、回動中心軸線が上下方向に対し傾斜され、車両の乗員の視認を補助する視認手段が設けられる回動体と、
前記回動体を回動させる回動機構と、
前記回動体を付勢し、前記回動機構が前記回動体を上側に回動させる際に前記回動体に対する付勢力が減少されると共に、前記回動機構が前記回動体を下側に回動させる際に前記回動体に対する付勢力が増加される付勢体と、
を備える車両用視認装置。
【請求項2】
前記回動機構が前記回動体を上側に回動させる際に前記回動体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を減少させると共に、前記回動機構が前記回動体を下側に回動させる際に前記回動体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を増加させる請求項1記載の車両用視認装置。
【請求項3】
前記回動機構が前記回動体を上側に回動させる際に前記支持体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を減少させると共に、前記回動機構が前記回動体を下側に回動させる際に前記支持体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を増加させる請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員の視認を視認手段が補助する車両用視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアミラーでは、シャフトにベース部材及びミラー本体が回動可能に支持されており、ベース部材及びミラー本体の回動中心軸線が上下方向に対し傾斜されている。さらに、モータが駆動されることで、ベース部材及びミラー本体が上側及び下側に回動される。
【0003】
ここで、このドアミラーでは、ベース部材及びミラー本体を上側に回動させる負荷がベース部材及びミラー本体を下側に回動させる負荷よりも大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、回動体を上側に回動させる負荷と回動体を下側に回動させる負荷との差を小さくできる車両用視認装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の車両用視認装置は、車体側に設けられる支持体と、前記支持体に回動可能に支持されると共に、回動中心軸線が上下方向に対し傾斜され、車両の乗員の視認を補助する視認手段が設けられる回動体と、前記回動体を回動させる回動機構と、前記回動体を付勢し、前記回動機構が前記回動体を上側に回動させる際に前記回動体に対する付勢力が減少されると共に、前記回動機構が前記回動体を下側に回動させる際に前記回動体に対する付勢力が増加される付勢体と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様の車両用視認装置において、前記回動機構が前記回動体を上側に回動させる際に前記回動体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を減少させると共に、前記回動機構が前記回動体を下側に回動させる際に前記回動体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を増加させる。
【0008】
本発明の第3態様の車両用視認装置は、本発明の第1態様又は第2態様の車両用視認装置において、前記回動機構が前記回動体を上側に回動させる際に前記支持体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を減少させると共に、前記回動機構が前記回動体を下側に回動させる際に前記支持体が前記付勢体の前記回動体に対する付勢力を増加させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1態様の車両用視認装置では、車体側に支持体が設けられており、支持体に回動体が回動可能に支持されている。さらに、回動体に視認手段が設けられており、視認手段が車両の乗員の視認を補助する。また、回動体の回動中心軸線が上下方向に対し傾斜されると共に、付勢体が回動体を付勢する。
【0010】
ここで、回動機構が回動体を上側に回動させる際に付勢体の回動体に対する付勢力が減少されると共に、回動機構が回動体を下側に回動させる際に付勢体の回動体に対する付勢力が増加される。このため、回動体を上側に回動させる負荷と回動体を下側に回動させる負荷との差を小さくできる。
【0011】
本発明の第2態様の車両用視認装置では、回動機構が回動体を上側に回動させる際に回動体が付勢体の回動体に対する付勢力を減少させると共に、回動機構が回動体を下側に回動させる際に回動体が付勢体の回動体に対する付勢力を増加させる。このため、回動体によって付勢体の回動体に対する付勢力を増減できる。
【0012】
本発明の第3態様の車両用視認装置では、回動機構が回動体を上側に回動させる際に支持体が付勢体の回動体に対する付勢力を減少させると共に、回動機構が回動体を下側に回動させる際に支持体が付勢体の回動体に対する付勢力を増加させる。このため、支持体によって付勢体の回動体に対する付勢力を増減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図であり、(A)は、ミラーが展開された際を示し、(B)は、ミラーが回動される際を示し、(C)は、ミラーが格納された際を示している。
【
図2】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の主要部を示す車両後方から見た正面図であり、(A)は、ミラーが展開された際を示し、(B)は、ミラーが回動される際を示し、(C)は、ミラーが格納された際を示している。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の格納機構を示す車両後方から見た断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両用ドアミラー装置の格納機構を示す上側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(A)には、本発明の実施形態に係る車両用視認装置としての車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0015】
本実施形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドアとしてのサイドドア(特にフロントサイドドア)の上下方向中間部かつ車両前側端に設置されて、車両外側に配置されている。
【0016】
図1(A)に示す如く、車両用ドアミラー装置10には、設置体としてのベース12が設けられている。ベース12には、本体部としてのブロック状のベース本体12Aが設けられており、ベース本体12Aがサイドドア(車体側)に固定されることで、車両用ドアミラー装置10がサイドドアに設置されている。ベース本体12Aは、有底円筒状のベースカバー12Bによって被覆されており、ベースカバー12Bは、内部が下側に開放されると共に、上壁(底壁)がベース本体12Aを上側に露出させている。
【0017】
ベース12の上側には、回動装置としての格納装置14(
図2(A)、
図3及び
図4参照)が支持されている。
【0018】
格納装置14には、支持体としてのスタンド16が設けられている。スタンド16の下端には、略円板状の固定部16Aが設けられており、固定部16Aがベース12のベース本体12Aの上側に固定されることで、スタンド16がベース12に固定されて、格納装置14がベース12に支持されている。また、固定部16Aの軸方向は、上方へ向かうに従い車幅方向外方へ向かう方向に傾斜されている。
【0019】
固定部16Aの上面には、制限部としての湾曲柱状の制限枠16Bが複数(本実施形態では2個)一体に設けられており、複数の制限枠16Bは、それぞれ固定部16Aの周方向に延伸されると共に、固定部16Aの周方向に等間隔に配置されている。固定部16Aの上面は、制限枠16B間において、第1被係合部としての第1係合面16Cにされており、第1係合面16Cは、固定部16Aの周方向に延伸されている。
【0020】
固定部16Aの上側には、制限枠16B及び第1係合面16Cの内側において、支持部としての略円筒状の支持軸16Dが一体に設けられており、支持軸16Dは、ベース12の上側に延出されている。支持軸16Dは、固定部16Aと同軸上に配置されており、支持軸16Dの軸方向は、上方へ向かうに従い車幅方向外方へ向かう方向に傾斜されている。
【0021】
支持軸16Dには、回動体を構成する駆動体18が回動可能に支持されており、駆動体18は、支持軸16Dを中心として、格納方向(
図4等の矢印Aの方向)及び起立方向(復帰方向、
図4等の矢印Bの方向)に回動可能にされている。
【0022】
駆動体18の下側部分には、回動部材としての容器状のケース20が設けられており、ケース20内は、上側に開放されている。ケース20の下壁の車幅方向内側部分には、係合部としての略円筒状の係合筒20Aが形成されており、係合筒20A内にスタンド16の支持軸16Dが貫通かつ嵌合されることで、ケース20が支持軸16Dに回動可能に支持されて、駆動体18が支持軸16Dに回動可能に支持されている。
【0023】
係合筒20Aの下面には、第1係合部としての第1係合突起20Bが複数(本実施形態では2個)一体に設けられており、複数の第1係合突起20Bは、それぞれ下側に突出されると共に、係合筒20Aの周方向に等間隔に配置されている。第1係合突起20Bは、スタンド16(固定部16A)の第1係合面16Cに当接されており、これにより、係合筒20Aが固定部16Aに下側から支持されて、ケース20が固定部16Aに下側から支持されている。第1係合突起20Bは、スタンド16(固定部16A)の制限枠16Bの格納方向側端に当接されており、これにより、係合筒20Aの格納方向への回動が制限されて、ケース20の格納方向への回動が制限されている。
【0024】
係合筒20Aの上面には、第2被係合部(移動部)としての第2係合面20Cが複数(本実施形態では2個)形成されており、複数の第2係合面20Cは、それぞれ起立方向へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されると共に、係合筒20Aの周方向に等間隔に配置されている。
【0025】
ケース20の上部内には、組付部材としてのモータベース22が固定されている。モータベース22の車幅方向内側部分には、略円筒状の収容筒22Aが設けられており、収容筒22A内には、スタンド16の支持軸16Dが同軸上に収容されている。モータベース22の車幅方向外側部分には、略矩形板状の底壁22Bが設けられており、底壁22Bは、収容筒22Aの下端部と一体にされている。底壁22Bの上面には、略楕円筒状の組付筒22Cが一体に設けられており、組付筒22Cは、底壁22Bから上側に突出されている。
【0026】
ケース20及びモータベース22の上側には、被覆部材としての容器状のカバー24が設けられており、カバー24内は、下側に開放されている。カバー24の下端は、ケース20の上端部外周に固定されており、カバー24は、ケース20及びモータベース22の上側を被覆している。
【0027】
格納装置14内には、回動機構を構成する駆動装置としてのモータ26が設けられている。モータ26には、略楕円柱状のモータ本体26Aが設けられており、モータ本体26Aは、モータベース22の組付筒22C内に上側から組付けられて固定されている。モータ本体26Aの下側には、出力軸26Bが延出されており、出力軸26Bは、モータベース22の底壁22Bを貫通して、モータベース22の下側に延出されている。
【0028】
ケース20内には、回動機構を構成するギア機構28が設けられている。
【0029】
ギア機構28には、モータ26の下側において、初段ギアとしての樹脂製のウォームギア30が設けられており、ウォームギア30の下部は、ケース20の下壁に回転自在に支持されている。ウォームギア30には、上側からモータ26の出力軸26Bが同軸上に挿入されており、モータ26が駆動されて、出力軸26Bが回転されることで、ウォームギア30が出力軸26Bと一体に回転される。
【0030】
ギア機構28には、ウォームギア30の車幅方向内側において、中間ギアとしてのウォームシャフト32が設けられており、ウォームシャフト32の一端(車両後側端)及び他端(車両前側端)は、ケース20の周壁に回転自在に支持されている。ウォームシャフト32の一端側部分には、ヘリカルギア部32Aが同軸上に設けられており、ウォームシャフト32の他端側部分には、ウォームとしてのウォームギア部32Bが同軸上に設けられている。ヘリカルギア部32Aは、ウォームギア30に噛合されており、ウォームギア30が回転されることで、ヘリカルギア部32A及びウォームギア部32Bが一体に回転されて、ウォームシャフト32が回転される。
【0031】
ギア機構28には、ウォームシャフト32の車幅方向内側において、最終ギア(係合部材)としてのギアプレート34(ウォームホイール)が設けられている。ギアプレート34には、スタンド16の支持軸16Dが同軸上に貫通されており、ギアプレート34は、支持軸16Dに回転自在に支持されている。
【0032】
ギアプレート34の下面には、第2係合部としての第2係合突起34Aが複数(本実施形態では2個)一体に設けられており、複数の第2係合突起34Aは、それぞれ下側に突出されると共に、ギアプレート34の周方向に等間隔に配置されている。第2係合突起34Aは、ケース20(係合筒20A)の第2係合面20Cの格納方向側端部に当接されており、これにより、ギアプレート34が係合筒20Aに下側から支持されている。
【0033】
ギアプレート34の上面には、円柱状の嵌入凹部34Bが同軸上に形成されており、嵌入凹部34Bは、上側に開放されている。嵌入凹部34Bの下面には、凹部34Cが複数(本実施形態では4個)形成されており、複数の凹部34Cは、それぞれ上側に開放されると共に、ギアプレート34の周方向に等間隔に配置されている。
【0034】
ギアプレート34の上側には、制限部材としての略円筒状のクラッチプレート36が設けられている。クラッチプレート36には、スタンド16の支持軸16Dが同軸上に貫通されており、クラッチプレート36は、支持軸16Dに回転不能に支持されている。クラッチプレート36は、支持軸16Dの軸方向に移動可能にされており、クラッチプレート36は、ギアプレート34の嵌入凹部34B内に嵌入されている。
【0035】
クラッチプレート36の下面には、凸部36Aが複数(本実施形態では4個)形成されており、複数の凸部36Aは、それぞれ下側に突出されると共に、クラッチプレート36の周方向に等間隔に配置されている。凸部36Aは、ギアプレート34の凹部34Cに挿入されており、凸部36Aは、ギアプレート34の周方向において凹部34Cに嵌合されている。
【0036】
クラッチプレート36の上側には、付勢体としての金属製で螺旋棒状のコイルスプリング38が設けられており、コイルスプリング38内には、スタンド16の支持軸16Dが同軸上に挿入されている。
【0037】
コイルスプリング38の上側には、係止部材としての略円環板状のプッシュナット40が設けられており、プッシュナット40は、スタンド16の支持軸16Dに同軸上に固定されている。プッシュナット40は、コイルスプリング38を下側に押圧して圧縮させており、コイルスプリング38は、クラッチプレート36、ギアプレート34及びケース20の係合筒20Aを下側に付勢している。コイルスプリング38は、付勢力により、クラッチプレート36の凸部36Aがギアプレート34の凹部34Cに挿入された状態を保持しており、これにより、ギアプレート34の回転がクラッチプレート36によって制限されている。
【0038】
ギアプレート34には、ウォームシャフト32のウォームギア部32Bが噛合されており、これにより、ウォームギア部32Bのギアプレート34回りの回動が係止されて、駆動体18のギアプレート34に対する回動が係止されている。上述の如く、ウォームギア部32Bが回転される際には、ウォームギア部32Bがギアプレート34の回りを回動されることで、駆動体18がウォームギア部32Bと一体にスタンド16の支持軸16Dを中心として回動される。
【0039】
駆動体18は、回動体を構成する収容体としての略直方体形容器状のバイザ42(
図1(A)参照)の車幅方向内側端部内に収容されており、バイザ42内は、車両後側に開放されている。バイザ42内には、開放部分近傍において、回動体を構成する視認手段としての略矩形板状のミラー44(
図1(A)参照)が配置されており、バイザ42は、ミラー44の全周及び車両前側面を被覆している。
【0040】
バイザ42及びミラー44は、駆動体18に連結されて支持されており、バイザ42及びミラー44は、駆動体18と共に、サイドドアに対して車幅方向外側に突出されて、起立(展開)されている。ミラー44の鏡面は、車両後側に向けられており、これにより、ミラー44が、車両の乗員(特に運転手)の車両後側の視認を可能にして、乗員の視認を補助している。また、バイザ42及びミラー44は、駆動体18と一体にスタンド16の支持軸16Dを中心として回動可能にされている。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
以上の構成の車両用ドアミラー装置10では、格納装置14において、コイルスプリング38がクラッチプレート36、ギアプレート34及び駆動体18のケース20の係合筒20Aを下側に付勢している。このため、クラッチプレート36の凸部36Aがギアプレート34の凹部34Cに挿入された状態が保持されて、クラッチプレート36に対するギアプレート34の回転が制限されることで、駆動体18、バイザ42及びミラー44の回転が制限されている。
【0043】
格納装置14において、モータ26が駆動されて、出力軸26Bが回転される際には、ギア機構28において、ウォームギア30が出力軸26Bと一体に回転されて、ウォームシャフト32(ヘリカルギア部32A及びウォームギア部32B)が回転されることで、ウォームギア部32Bがギアプレート34の回りを回動されて、駆動体18、バイザ42及びミラー44がウォームギア部32Bと一体に回動される。
【0044】
モータ26が駆動されて、出力軸26Bが一方向に回転される際には、ウォームギア部32Bがギアプレート34の回りを格納方向に回動されることで、駆動体18、バイザ42及びミラー44が、格納方向(車両後側、車幅方向内側及び上側)に回動されて、格納される(
図1の(A)から(C)参照)。また、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納方向に回動される際には、駆動体18(係合筒20A)の第1係合突起20Bがスタンド16(固定部16A)の第1係合面16Cに対し摺動される(
図2(B)参照)。さらに、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納された際には、第1係合突起20Bがスタンド16(固定部16A)の制限枠16Bの起立方向側端に当接されて、駆動体18、バイザ42及びミラー44の格納方向への回動が停止される(
図2(C)参照)。
【0045】
一方、モータ26が駆動されて、出力軸26Bが他方向へ回転される際には、ウォームギア部32Bがギアプレート34の回りを起立方向に回動されることで、駆動体18、バイザ42及びミラー44が起立方向(車両前側、車幅方向外側及び下側)に回動されて、起立(復帰)される(
図1の(C)から(A)参照)。また、駆動体18、バイザ42及びミラー44が起立方向に回動される際には、駆動体18の第1係合突起20Bがスタンド16の第1係合面16Cに対し摺動される(
図2(B)参照)。さらに、駆動体18、バイザ42及びミラー44が起立された際には、第1係合突起20Bがスタンド16の制限枠16Bの格納方向側端に当接されて、駆動体18、バイザ42及びミラー44の起立方向への回動が停止される(
図2(A)参照)。
【0046】
ここで、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納方向(上側)に回動される際には、駆動体18(係合筒20A)の第2係合面20Cがギアプレート34の第2係合突起34Aに対し摺動されて、第2係合面20Cによってギアプレート34及びクラッチプレート36が下側に移動されることで、コイルスプリング38が伸長されて、コイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力が減少される(
図2の(A)から(C)参照)。
【0047】
一方、駆動体18、バイザ42及びミラー44が起立方向(下側)に回動される際には、駆動体18(係合筒20A)の第2係合面20Cがギアプレート34の第2係合突起34Aに対し摺動されて、第2係合面20Cによってギアプレート34及びクラッチプレート36が上側に移動されることで、コイルスプリング38が圧縮されて、コイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力が増加される(
図2の(C)から(A)参照)。
【0048】
このため、モータ26が駆動体18、バイザ42及びミラー44を格納方向(上側)に回動させるための負荷を減少できると共に、モータ26が駆動体18、バイザ42及びミラー44を起立方向(下側)に回動させるための負荷を増加でき、モータ26が駆動体18、バイザ42及びミラー44を格納方向(上側)に回動させるための負荷とモータ26が駆動体18、バイザ42及びミラー44を起立方向(下側)に回動させるための負荷との差を小さくできる。これにより、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納方向(上側)に回動される際と駆動体18、バイザ42及びミラー44が起立方向(下側)に回動される際とで、駆動体18、バイザ42及びミラー44の回動速度の変化を抑制できると共に、モータ26への供給電流の変化を抑制できてモータ26の駆動音の変化を抑制できる。
【0049】
また、上述の如く、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納方向(上側)に回動される際には、駆動体18の第2係合面20Cによって、ギアプレート34及びクラッチプレート36が下側に移動されて、コイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力が減少される。さらに、駆動体18、バイザ42及びミラー44が起立方向(下側)に回動される際には、駆動体18の第2係合面20Cによって、ギアプレート34及びクラッチプレート36が上側に移動されて、コイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力が増加される。このため、駆動体18の第2係合面20Cによってコイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力を増減でき、コイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力を増減する構成を簡単にできる。
【0050】
さらに、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納方向及び起立方向に回動される際には、駆動体18が回動軸方向に変位されない。このため、駆動体18、バイザ42及びミラー44が格納方向及び起立方向に回動される際に駆動体18、バイザ42及びミラー44がベース12に対し回動軸方向に変位されることを抑制できる。
【0051】
なお、本実施形態では、駆動体18(係合筒20A)に第2係合面20Cが設けられると共に、ギアプレート34に第2係合突起34Aが設けられる。しかしながら、駆動体18(係合筒20A)に第2係合突起34Aが設けられると共に、ギアプレート34に第2係合面20Cが設けられてもよい。
【0052】
さらに、本実施形態では、駆動体18(係合筒20A)の第2係合面20Cが起立方向へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜される。しかしながら、これに代えて、又は、これと共に、スタンド16(固定部16A)の第1係合面16Cが格納方向へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されてもよく、また、駆動体18(係合筒20A)に当該第1係合面16Cが設けられると共に、スタンド16(固定部16A)に第1係合突起20Bが設けられてもよい。これにより、スタンド16(第1係合面16C又は第1係合突起20B)によって駆動体18(係合筒20A)、ギアプレート34及びクラッチプレート36が上側及び下側に移動できてコイルスプリング38の駆動体18に対する付勢力を増減でき、第2係合面20C及び第2係合突起34Aを設ける必要をなくすことができて、駆動体18及びギアプレート34の構成を簡単にすることを可能にできる。
【0053】
また、本実施形態では、本発明の車両用視認装置を車両用ドアミラー装置10にした。しかしながら、本発明の車両用視認装置を他の車両用ミラー装置(車両外部の他の車両用アウタミラー装置(例えば車両用フェンダミラー装置)又は車両内部の車両用インナミラー装置)や車両用カメラ装置(撮像することで乗員の視認を補助するもの)等にしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10・・・車両用ドアミラー装置(車両用視認装置)、16・・・スタンド(支持体)、18・・・駆動体(回動体)、26・・・モータ(回動機構)、28・・・ギア機構(回動機構)、38・・・コイルスプリング(付勢体)、42・・・バイザ(回動体)、44・・・ミラー(回動体、視認手段)