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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/38 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B65D5/38 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017250909
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019116294
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】500303847
【氏名又は名称】株式会社三和
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】細淵 雅邦
(72)【発明者】
【氏名】永井 康行
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0137167(US,A1)
【文献】米国特許第05392915(US,A)
【文献】特開平07-330045(JP,A)
【文献】特開2014-076822(JP,A)
【文献】実開平01-091717(JP,U)
【文献】米国特許第6220442(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第107148301(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの開放された引き出し口を備えた外箱と、前記外箱内に収容され、前記引き出し口からスライドして出し入れ可能な内箱本体と、前記内箱本体内に収容される合成樹脂製のインナー部材と、を有し、
前記インナー部材は、周囲を囲う壁部を有するとともに上面を開放して多数の粒状のチョコレート菓子が収容可能な空間を有したトレー部と、捲り上げ可能な軟質薄板状に形成され、前記トレー部の開放上面を覆う中蓋部とを少なくとも備え、
前記中蓋部は、前記トレー部の内箱引き出し方向の後端縁において、折り曲げ部を介して前記トレー部と一体成形されており、前記引き出し口を介して前記内箱本体を前記外箱内に収容すると、前記中蓋部が前記トレー部の開放上面を覆うように被せることが可能な包装用容器において、
前記折り曲げ部は、前記トレー部の後壁部の端縁と前記中蓋部との間にわたって断面視で略半円の長溝状に一体成形され、
前記折り曲げ部は、無負荷状態のとき、自己の弾性によって前記トレー部の開放上面から離間する方向に前記中蓋部を展開させるとともに、前記インナー部材の少なくとも一部が、前記折り曲げ部側から前記外箱内に収容されると、前記折り曲げ部の弾性に抗して前記中蓋部が前記トレー部の開放上面を覆うように構成されており、
前記中蓋部は、引き出し方向で左右の側縁に、ずれ防止用の第一の突出片が形成されているとともに、引き出し方向で前側の先端に、第二の突出片が形成されており、
前記トレー部は、前記引き出し方向と直交する方向に位置する側壁部の上端面に、前記中蓋部がトレー部の開放上面を覆ったときに、前記第一の突出片を収容可能な第一の凹部が形成されているとともに、引き出し方向で前側の前壁部の上面には、摘み部用の前記第二の突出片が収容可能な第二の凹部が形成されており
前記第一の突出片は、水平方向に突出して台形板状に形成され、
前記第一の凹部は、前記トレー部の側壁部の上端面に形成された第一の凸状部と第二の凸状部との間で、前記第一の突出片を収容した際に、前記第一の凸状部の端部及び第二の凸状部の端部と、前記第一の突出片の前後端との間に、それぞれ隙間を形成するように、前記第一の突出片よりも幅広に形成され、
前記第一の凸状部の端部と、前記第二の凸状部の端部は、それぞれ前記第一の凹部に向けて下り傾斜状のテーパ面に形成されていることを特徴とする包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外箱から内箱を引き出して内包物を取り出すことが可能な包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の包装用容器としては、例えば、アーモンドチョコなどの粒状のチョコレート菓子(内包物)の包装容器が知られている。
例えば、この種のチョコレート菓子の包装用容器は、端面を開放した矩形状の外箱と、上面を開放した矩形状で、前記外箱内に収容され、かつ前記外箱の開放された端面からスライドして出し入れ可能な内箱と、前記内箱に一端側を固着するとともに、内箱に内包されるチョコレート菓子上を覆うようにして配されるグラシン紙からなるシート状の中蓋部と、で構成されている。
この中蓋部は、内包されているチョコレート菓子を外方から受ける衝撃から保護する目的と、チョコレート菓子から出る油分が外箱に滲むのを防ぐ目的と、から採用されている。
【0003】
このようなシート状の中蓋を備えた包装用容器として特許文献1に開示されているような構造の包装用容器が提案されている。
特許文献1に開示の包装用容器によれば、グラシン紙からなる中蓋部の一部(先端)を外箱の開放端に固着し、内箱を引き出すことにより、中蓋部が自動的に捲れ上がるという構造を提供し、中蓋部の捲り上げ作業の煩わしさを解消しようというものである。
しかし、特許文献1のような先行技術にあっては、シート状の中蓋部の先端を外箱に固着する作業が必要で、このような作業は作業者が一つずつ手作業で行わなければならず、大変煩わしいばかりか、製造時間の多大なるロスを招く虞があると考えられることにより現実には市場に提供されてはいない。
従って、現在でもまだグラシン紙からなる中蓋部を備え、内箱を引き出した後、チョコレート菓子を食する際には中蓋部を捲り上げる必要があったが、この中蓋部がグラシン紙からなるやわらかいものであったため、特にチョコレート菓子が残り少なくなってくると、さらに捲り上げ難くなってくる。
【0004】
ところで、この種のチョコレート菓子の製造工程ではオートメーション化が進み、製造ラインに順次流されてくる内箱内に、上方から所定数量のチョコレート菓子が充填され、そして、チョコレート菓子を充填した内箱は、さらに製造ラインを下流方向へと流れ、その後、外箱内に収容され、そしてその後、外箱全体を外装フィルムにて包装する。
このような製造工程において、製造ラインに順次流れる内箱は、チョコレート菓子の充填工程において、スムーズにチョコレート菓子の充填が行い得るように、グラシン紙からなる中蓋部を、内箱の後端側にて外方に向けて広げた(捲られた)状態にして製造ラインに流すようにしている。
そして、所定位置で所定量の粒状のチョコレート菓子が、内箱内に投入され、その後、下流側へと流されて、所定位置でチョコレート菓子上を覆うようにグラシン紙が被せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013‐18521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような先行技術の場合、中蓋部がグラシン紙からなる柔らかくて軽いものであったため、製造ラインをチョコレート菓子の充填位置に向かって流れている最中に、何らかの要因で内箱の上方に戻ってしまう(被ってしまう)ことが考えられる。このような状態を招いてしまうと、チョコレート菓子の充填工程において、中蓋部の上にチョコレート菓子が充填されてしまうことが考えられる。このような状態で製造ラインを下流方向へと流れてしまうと、中蓋部の上にチョコレート菓子が乗った状態のままで包装されてしまう虞もある。
また、中蓋部がグラシン紙からなる柔らかくて軽いものであったため、外箱内に内箱を収容する工程において、グラシン紙が引っ掛かって折れ曲がってしまうことも考えられ、その状態のまま包装されてしまう虞もある。
【0007】
本発明は、この問題を解決するためになされており、その目的は、中蓋部の改良を図り、作業性の向上が図れ、かつ不良品発生の少ない新規構造を備えた包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明は、少なくとも一つの開放された引き出し口を備えた外箱と、前記外箱内に収容され、前記引き出し口からスライドして出し入れ可能な内箱本体と、前記内箱本体内に収容される合成樹脂製のインナー部材と、を有し、
前記インナー部材は、周囲を囲う壁部を有するとともに上面を開放して多数の粒状のチョコレート菓子が収容可能な空間を有したトレー部と、捲り上げ可能な軟質薄板状に形成され、前記トレー部の開放上面を覆う中蓋部とを少なくとも備え、
前記中蓋部は、前記トレー部の内箱引き出し方向の後端縁において、折り曲げ部を介して前記トレー部と一体成形されており、前記引き出し口を介して前記内箱本体を前記外箱内に収容すると、前記中蓋部が前記トレー部の開放上面を覆うように被せることが可能な包装用容器において、
前記折り曲げ部は、前記トレー部の後壁部の端縁と前記中蓋部との間にわたって断面視で略半円の長溝状に一体成形され、
前記折り曲げ部は、無負荷状態のとき、自己の弾性によって前記トレー部の開放上面から離間する方向に前記中蓋部を展開させるとともに、前記インナー部材の少なくとも一部が、前記折り曲げ部側から前記外箱内に収容されると、前記折り曲げ部の弾性に抗して前記中蓋部が前記トレー部の開放上面を覆うように構成されており、
前記中蓋部は、引き出し方向で左右の側縁に、ずれ防止用の第一の突出片が形成されているとともに、引き出し方向で前側の先端に、第二の突出片が形成されており、0023、図2図4
前記トレー部は、前記引き出し方向と直交する方向に位置する側壁部の上端面に、前記中蓋部がトレー部の開放上面を覆ったときに、前記第一の突出片を収容可能な第一の凹部が形成されているとともに、引き出し方向で前側の前壁部の上面には、摘み部用の前記第二の突出片が収容可能な第二の凹部が形成されており
前記第一の突出片は、水平方向に突出して台形板状に形成され、
前記第一の凹部は、前記トレー部の側壁部の上端面に形成された第一の凸状部と第二の凸状部との間で、前記第一の突出片を収容した際に、前記第一の凸状部の端部及び第二の凸状部の端部と、前記第一の突出片の前後端との間に、それぞれ隙間を形成するように、前記第一の突出片よりも幅広に形成され、
前記第一の凸状部の端部と、前記第二の凸状部の端部は、それぞれ前記第一の凹部に向けて下り傾斜状のテーパ面に形成されていることを特徴とする包装用容器としたことである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中蓋部の改良を図り、作業性の向上が図れ、かつ不良品発生の少ない新規構造を備えた包装用容器を提供し得た。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の包装用容器であって、インナー部材に内包物を収容し、内箱に収容した後、外箱内に収容される状態を示す概略断面図である。
図2】本実施形態の包装用容器を構成するインナー部材の平面図で、中蓋部が開いている状態を示す。
図3図2のIII-III線断面図である
図4】本実施形態の包装用容器を構成するインナー部材の平面図で、中蓋部が閉じている状態を示す。
図5図4のV-V線断面図である。
図6図4のVI-VI線断面図である。
図7図4のVII-VII線断面図である。
図8】内包物を収容した本実施形態の包装容器の概略断面図であって、外箱内に内箱が収容された状態と、内箱を引き出して中蓋部を捲り上げている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について、添付図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、アーモンドチョコなどの粒状のチョコレート菓子を内包物とする食品用の包装用容器を想定している。
なお、本実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、何等これに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0014】
本実施形態の包装用容器1は、紙製の外箱3と、外箱3内に収容される内箱5と、で構成されている。
なお、図示しないが、チョコレート菓子(内包物)29を内包(充填)した後、外箱3全体を外装フィルム(図示省略)にて包装する。
【0015】
外箱3は、両側の端面を開放した平面視で矩形状の角筒形状に形成されている。
本実施形態では、左右の端面を開放し、一方の開放した端面を引き出し口3aとしている。また、引き出し口3a側であることをわかり易くするため、外箱3における側面の引き出し口3a側の端部には、所定の切り欠き領域3bが設けられている(図1参照。)。
この切り欠き領域3bは、引き出し口3a側であることを示すだけではなく、切り欠き領域3bから内箱5の一部が露出する構造となっているため、内箱5を引き出す際に、切り欠き領域3bから露出している内箱5を持って引き出すことにより、引き出し操作(スライド操作)が容易となる。
少なくとも一つの開放された引き出し口を備えていればよいため、左右いずれか一方の端面は開放されず閉じている形態であってもよい。
外箱3は、本実施形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0016】
内箱5は、外箱3内に収容されるとともに、引き出し口3aからスライドして出し入れ可能な構成を有しており、例えば、本実施形態では、紙製の内箱本体6と、内箱本体6内に収容される合成樹脂製のインナー部材7とを含んで構成されている。
内箱本体6は、上面を開放した平面視矩形状で、インナー部材7を内装可能な高さ(深さ)を有する凹状の収容空間を有して形成されている。
内箱本体6の長さL1は外箱3の長さL2と略同一に設定されるとともに、幅と高さH1は、それぞれ外箱3の内面に摺接するように設定されている。
なお、各図中、S1は内箱5(若しくはトレー部9)の引き出し方向(スライド方向)を示し、X1は内箱5の引き出し方向と直交する方向を示す。
【0017】
インナー部材7は、合成樹脂製のトレー部9と、合成樹脂製の中蓋部19とで構成されている。
【0018】
トレー部9は、前壁部9a、後壁部9b、左側壁部9c、右側壁部9dによって周囲が囲まれるとともに、上面を開放し、チョコレート菓子(内包物)29を収容可能な凹状の内包部(空間)9eを有した平面視矩形状に形成されている。
また、本実施形態では、トレー部9の内包部9eの内底面に、凹凸部9f形成している。
この凹凸部9fは、内包されるチョコレート菓子29を衝撃から保護するためのクッションとしての役割を有するとともに、チョコレート菓子29の接触面積を減らし、チョコレート菓子29が内底面にくっついてしまうことを防止する役割を有している。本実施形態では、内箱5の引き出し方向S1と直交する方向X1、すなわち、トレー部9の側壁部(側面)9c,9d間にわたって架け渡されるようにして形成される凹条部9gと凸条部9hが交互に並設されている。凹凸部9fは、本実施形態のように、凹条部9gと凸条部9hが交互に並設されている形態ではなく、例えば、半球状に窪む凹部と、半球状に突出する凸部とが多数形成されてなる形態などであってもよく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
トレー部9の長さL3は、内箱本体6の長さL1よりも短く設定され、幅は内箱本体6の幅よりも狭く設定され、高さH3は内箱本体6の高さH1と略同一若しくは僅かに低く設定され、内箱5内に内装される。
【0019】
トレー部9の側壁部(側面)9c,9dの上端面9c´と9d´には、内箱5の引き出し方向S1に所定範囲で連続した所定長さ・所定深さの第一の凹部(凹溝部)11,11が形成されている。
第一の凹部(凹溝部)11,11は、中蓋部がトレー部9の開放上面を覆ったときに、後述する中蓋部19に備えた第一の突出片23,23を収容可能に形成されている。
【0020】
第一の凹部11は、側壁部(側面)9c,9dの上端面9c´と9d´に形成された第一の凸条部13と第二の凸条部15との間に形成されている。なお、本実施形態における第二の凸条部15は、側壁部9c,9dの上端面9c´と9d´と前壁部9aの上端面9a´とにわたって平面視略L字形状に連続して形成されている。
【0021】
前壁部9aの上端面9a´に位置する第二の凸条部15のそれぞれの端部間には、所定長さ・所定深さの第二の凹部(凹溝部)17が形成されている。
第二の凹部(凹溝部)17は、中蓋部19がトレー部9の開放上面を覆ったときに、後述する中蓋部19に備えた第二の突出片25を収容可能に形成されている。
【0022】
第一の凸条部13と第二の凸条部15のそれぞれの端部は、面取りをして第一の凹部11や第二の凹部17に向けて下り傾斜状のテーパ面に形成されている。
【0023】
中蓋部19は、トレー部9の開放上面を覆う大きさの薄板状に形成された本体21と、本体21の左右の側縁21a,21aに形成された第一の突出片(突出片)23,23と、本体21の前縁21bに形成された第二の突出片(突出片)25と、を含み、トレー部9の後壁部9bの端縁において、折り曲げ部27を介してトレー部9と一体成形されている。
【0024】
本体21は、トレー部9の開放上面を覆ったときに、トレー部9の内包部(空間)9e内に収まる程度の大きさに形成されている。本実施形態では、前壁部9aと左右の側壁部9c,9dとの間で隙間が形成される大きさに形成されている(図4及び図7参照。)。
内面側には、多数の凸部21cが形成されている。凸部21cは、本体21の左右の側縁21a,21a間にわたる長さを有した断面視で半円状に突出する長尺の凸条で、本体21の長さ方向で一定間隔をあけて多数並設されている。また、本実施形態では、凸部21cの反対側、すなわち、本体21の外面側には凸部形成時に形成される凹部21dが備えられている。
【0025】
第一の突出片23は、中蓋部19がトレー部9の開放上面を覆ったときに、トレー部9に備えた第一の凹部11に収容可能に、本体21の側縁21aから所定幅をもって水平方向に突設されている。本実施形態では、側縁21aの両側に所定領域を残して側縁21aからそれぞれテーパ面23aをもって水平方向に突出して台形板状に形成されている。
第二の突出片25は、前縁21bの両側に所定領域を残して前縁21bからそれぞれテーパ面25aをもって水平方向に突出して台形板状に形成されている。
この第一の突出片23と第二の突出片25の領域内には、本体21の内面側に形成されている凸部21cは形成されていない。
【0026】
折り曲げ部27は、トレー部9の後壁部9bの端縁と中蓋部19との間にわたって断面視で略半円の長溝状に一体成形され、弾性に抗して中蓋部19をトレー部9の上方を覆うように閉じたときに、断面視で楕円形の長溝を奏する(図5参照。)。
従って、折り曲げ部27は、無負荷状態のとき、自己の弾性によってトレー部9の開放上面から離間する方向、すなわち外方に向けて中蓋部19を展開させるように機能する(図3参照。)。折り曲げ部27の形状は本実施形態に限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0027】
本実施形態の包装用容器1によれば、次のような作用効果が発揮される。
【0028】
本実施形態の包装用容器1にチョコレート菓子29を充填して外装フィルムにて包装するまでの製造工程について説明すると、まず、製造ラインにインナー部材7が順次流されてくる。このとき、インナー部材7の中蓋部19は、折り曲げ部27の弾性により、トレー部9の開放上面から離間する方向、すなわち外方に向けて中蓋部19を展開するようにしてライン上に順次流されていく。
そして、所定位置に到達すると、インナー部材7のトレー部9の内包部9e内に、上方から所定数量のチョコレート菓子29が充填される。このとき、中蓋部19は、折り曲げ部27の弾性により常にトレー部9の開放上面から離間して外方に向けて展開されているため、チョコレート菓子29が充填される際に邪魔になることもない。
そして、チョコレート菓子29を充填したインナー部材7は、さらに製造ラインを下流方向へと流れ、内箱本体6内にトレー部9が収容される。
その後、さらに製造ラインを下流方向へと流れ、外箱3内に収容されていく。このとき、折り曲げ部27側から外箱3内に収容されていくと、折り曲げ部27の弾性に抗して中蓋部19がチョコレート菓子29上を覆うようにして被せられる。そしてその後、外箱3全体を外装フィルムにて包装する。
また、製造ラインにて外箱3内に内箱5を収容する際に、中蓋部19の側縁21a,21aに突出した左右の第一の突出片23,23が、それぞれトレー部9の側壁部9c,9dの上端面9c´,9d´にある第一の凹部11,11に案内されて収容されるため、外箱3への内箱5の収容時に中蓋部19がずれてしまうということもない。
なお、上述した製造ラインの説明は一実施形態であって、例えば、チョコレート菓子29を充填する工程よりも以前に、内箱本体6内にインナー部材7が収容されている形態であってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0029】
また、内包されているチョコレート菓子を食する際には、内箱5を外箱3から引き出し、中蓋部19の第二の突出片25を持って先端側から捲り上げればよく、第二の突出片25がトレー部9の第二の凹部15に収容されているため、第二の突出片25が摘み易く大変扱い易い。
【0030】
本実施形態では、紙製の内箱本体6と、内箱本体6内に収容される合成樹脂製のインナー部材7と、で内箱5を構成しているが、紙製の内箱本体6を省略して合成樹脂製のインナー部材7のみで内箱5を構成することも可能で本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、チョコレート菓子以外の食品用の包装容器にも利用可能であり、さらには食品以外の包装用容器にも利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 包装用容器
3 外箱
3a 引き出し口
5 内箱
7 インナー部材
9 トレー部
13 凹部(第一の凹部)
15 凹部(第二の凹部)
19 中蓋部
23 突出片(第一の突出片)
25 突出片(第二の突出片)
27 折り曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8