(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】製函・箱詰め・封函装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/02 20060101AFI20221122BHJP
B65B 43/18 20060101ALI20221122BHJP
B65B 43/26 20060101ALI20221122BHJP
B65B 35/44 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B65B5/02
B65B43/18
B65B43/26 B
B65B35/44
(21)【出願番号】P 2018033024
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】横田 祐嗣
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-249017(JP,A)
【文献】特開2016-135682(JP,A)
【文献】特開2018-012300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/02
B65B 43/18
B65B 43/26
B65B 35/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンボール箱を平面状に折り畳んだ製函用シートを一方向に開口した箱に組み立て、商品を受け入れた後、前記開口を閉じて封函する、ダンボール箱取り扱い領域と、
複数の商品を整列させ、所定数量の前記商品を集積した状態で前記開口から前記箱内へ押し込む、商品取り扱い領域と、
を含み、
前記ダンボール箱取り扱い領域は、
一枚ずつ前記製函用シートを上に移動させ、角筒上に展開した後、底側を閉じて、上向きに開口する箱を形成する製函部と、
前記製函部によって、前記製函用シートが拡げられたときに開口が上を向くように、前記製函用シートを配置して収容する収容部と、
前記商品取り扱い領域側に前記箱の開口を向けた第1姿勢となるように前記箱の姿勢を変換する第1姿勢変換部と、
前記第1姿勢の前記箱を下降させて前記商品を前記箱内に受け入れる商品受入部と、
前記第1姿勢の前記箱の開口が上を向くように前記箱の姿勢を変換する第2姿勢変換部と、
前記箱の開口を閉じて封止する封函部と、
を有し、
前記ダンボール箱取り扱い領域と前記商品取り扱い領域とが、互いに接続され、互いに独立して区別でき
、
前記製函部、前記第1姿勢変換部、前記商品受入部、前記第2姿勢変換部および前記封函部は、共通の枠によって支持されている、
製函・箱詰め・封函装置。
【請求項2】
前記第1姿勢変換部は、前記箱を搬送方向に90°回転させる、
請求項1に記載の製函・箱詰め・封函装置。
【請求項3】
前記製函部が前記箱を形成する際の搬送方向と、前記封函部が前記箱の開口を封止する際の搬送方向とが、互いに反対方向である、
請求項1に記載の製函・箱詰め・封函装置。
【請求項4】
前記商品取り扱い領域は、
前記商品それぞれの一部が隣接する前記商品の一部と厚み方向に重なるように整列させる集積動作を行いながら、前記第1姿勢で下降した前記箱の手前まで搬送する商品整列部と、
集積された前記商品を前記第1姿勢の前記箱内に押し入れる商品挿入部と、
を有する、
請求項1に記載の製函・箱詰め・封函装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製函・箱詰め・封函装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、折り畳まれたダンボール・シートを開いて製函し、商品を箱詰め後、封函して排出する自動の製函・箱詰め・封函装置が広く普及するようになった。例えば、特許文献1(特開2005-145558号公報)に記載の箱詰装置は、折り畳まれた製函用シートを水平状態で積み重ねて収容する収容部と、製函用シートを搬送する搬送部と、搬送部により搬送された製函用シートを箱状に組み立てる製函部と、製函部で組み立てられた箱をその開口部を横方向として下方へ搬送する下方搬送部と、下方搬送部により搬送される箱に商品を横方向から挿入する挿入部とを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記箱詰装置では、折り畳まれた製函用シートを水平状態で複数積み重ねて収容させる構成であるので、一番上に積み重ねられている製函用シートを1枚ずつ取り出すため、積み重ねられる製函用シートの数量は制限される。したがって、許容数量を超えた分の製函シートは後方に収容されることになり、収容部の設置面積が増大する。
【0004】
一方、特許文献2(特開2015-157650号公報)に記載の箱詰装置では、製函用シートの開口予定部分を横に向けて立て掛けているので、箱の組み立て工程の方向と、商品の箱詰方向とが直交するので、一方向の製造ラインを構築できない等、レイアウト編成の自由度が狭かった。
【0005】
本発明の課題は、製造ラインのレイアウト編成の自由度を拡げつつ、設置面積の増大を抑制することができる製函・箱詰め・封函装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る製函・箱詰め・封函装置は、ダンボール箱取り扱い領域と、商品取り扱い領域とを含んでいる。ダンボール箱取り扱い領域は、ダンボール箱を平面状に折り畳んだ製函用シートを一方向に開口した箱に組み立て、商品を受け入れた後、開口を閉じて封函する。商品取り扱い領域は、複数の商品を整列させ、所定数量の商品を集積した状態で開口から箱内へ押し込む。ダンボール箱取り扱い領域は、製函部と、収容部と、第1姿勢変換部と、商品受入部と、第2姿勢変換部と、封函部とを有している。製函部は、一枚ずつ製函用シートを上に移動させ、角筒上に展開した後、底側を閉じて、上向きに開口する箱を形成する。収容部は、製函部によって、製函用シートが拡げられたときに開口が上を向くように、製函用シートを配置して収容する。第1姿勢変換部は、商品取り扱い領域側に箱の開口を向けた第1姿勢となるように箱の姿勢を変換する。商品受入部は、第1姿勢の箱を下降させて商品を箱内に受け入れる。第2姿勢変換部は、第1姿勢の箱の開口が上を向くように箱の姿勢を変換する。封函部は、箱の開口を閉じて封止する。ダンボール箱取り扱い領域と商品取り扱い領域とは、互いに接続され、互いに独立して区別できる。また、製函部、第1姿勢変換部、商品受入部、第2姿勢変換部および封函部は、共通の枠によって支持されている。
【0007】
この製函・箱詰め・封函装置では、ダンボール箱取り扱い領域と商品取り扱い領域とを完全に分けることができるので、レイアウト編成が容易となり、生産実体に合わせてレイアウト変更ができ、装置全体の設置面積の増大の抑制にも貢献する。
【0008】
また、例えば、製函用シートを水平状態で収容する構成では、許容数量を超えた分の製函シートは、たとえ一枚であっても後方に収容されることになり、製函シートの面積分の設置面積をさらに確保しなければならい。
【0009】
これに対し、この製函・箱詰め・封函装置では、製函用シートを、拡げられたときに開口が上を向くように配置して収容することによって、収容部にストックされる製函用シートの高さは一定であるので、基本的に収容する数量を制限する必要がなく、製函シートを補充しても[製函用シートの厚み寸法×補充数量]の長さ分、後方に延びるに過ぎない。
【0010】
さらに、この製函・箱詰め・封函装置では、1つの纏まった機体となり、省スペースで見栄えもよい。
【0011】
本発明の第2観点に係る製函・箱詰め・封函装置は、第1観点に係る製函・箱詰め・封函装置であって、第1姿勢変換部が箱を搬送方向に90°回転させる。
【0012】
この製函・箱詰め・封函装置では、ダンボール箱が搬送方向に向かって開口した姿勢となるので、箱の開口に向かって商品を供給することによって商品の横入れをすることができる。
【0013】
本発明の第3観点に係る製函・箱詰め・封函装置は、第1観点に係る製函・箱詰め・封函装置であって、製函部が箱を形成する際の搬送方向と、封函部が箱の開口を封止する際の搬送方向とが、互いに反対方向である。
【0014】
この製函・箱詰め・封函装置では、例えば、製函部が2階、封函部が1階となるような階層型ライン構成にすることによって、ダンボール箱取り扱い領域の設置面積を小さくすることができる。
【0015】
本発明の第4観点に係る製函・箱詰め・封函装置は、第1観点に係る製函・箱詰め・封函装置であって、商品取り扱い領域が、商品整列部と、商品挿入部とを有している。商品整列部は、商品それぞれの一部が隣接する商品の一部と厚み方向に重なるように整列させる集積動作を行いながら、第1姿勢で下降した箱の手前まで搬送する。商品挿入部は、集積された商品を第1姿勢の箱内に押し入れる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る製函・箱詰め・封函装置では、ダンボール箱取り扱い領域と商品取り扱い領域とを完全に分けることができるので、レイアウト編成が容易となり、生産実体に合わせてレイアウト変更ができ、装置全体の設置面積の増大の抑制にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る製函・箱詰め・封函装置を搭載した箱詰システムのブロック図。
【
図2B】箱詰システムにおけるダンボール箱及び商品の流れを示す斜視図。
【
図3】搬入コンベア、第1整列コンベア及び第2整列コンベアの配置状態を示す斜視図。
【
図4A】第1整列コンベア上に整列途中の一群の商品の搬送方向と直交する水平方向から視た商品整列部の正面図。
【
図4B】整列した一群の商品の先頭が第2整列コンベアに載ったときの商品整列部の正面図。
【
図4C】整列した一群の商品が完全に第2整列コンベアに移った後の商品整列部の正面図。
【
図4D】第2整列コンベアが第2状態であるときの商品整列部の正面図。
【
図4E】第2整列コンベアが第2状態であるときの商品整列部の正面図。
【
図4F】第2整列コンベアが第2状態であるときの商品整列部の正面図。
【
図4G】整列した一群の商品が第3整列コンベア上で起立状態に入ったときの商品整列部の正面図。
【
図5A】整列した一群の商品を起立させる直前の第3整列コンベア周辺の正面図。
【
図5B】
図5Aの整列した一群の商品を起立させた状態の第3整列コンベア周辺の正面図。
【
図6A】ダンボール箱が搬送されていないときのフラップ閉塞機構周辺の正面図。
【
図6B】ダンボール箱が搬送されてきたときのフラップ閉塞機構周辺の正面図。
【
図6C】後フラップが折り込まれる途中のフラップ閉塞機構周辺の正面図。
【
図6D】折り込みバーが最下点まで降下したときのフラップ閉塞機構周辺の正面図。
【
図7A】ダンボール箱の前フラップが前フラップ折り込み部材に接触する直前のフラップ閉塞機構周辺の斜視図。
【
図7B】ダンボール箱の前フラップが前フラップ折り込み部材によって折り込まれているときのフラップ閉塞機構周辺の斜視図。
【
図8】ダンボール箱の左フラップが折り込みバーに接触しているときのフラップ閉塞機構周辺の正面図。
【
図9】折り込みバーが最下点まで降下したときの左右フラップ折り込み機構の斜視図。
【
図11】第1整列コンベア、第2整列コンベア、第3整列コンベアの動作を示すタイミングチャート。
【
図12A】センサ異常時の制御フローチャート(ステップS1~ステップS6までのフロー)。
【
図12B】センサ異常時の制御フローチャート(ステップS11~ステップS15までのフロー)。
【
図13】
図10に示すステッピングモータ395の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1)箱詰システム1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る製函・箱詰め・封函装置を搭載した箱詰システム1のブロック図である。また、
図2Aは箱詰システムの構成を示す斜視図であり、
図2Bは箱詰システム1におけるダンボール箱B及び商品Gの流れを示す斜視図である。
【0020】
図1及び
図2Aにおいて、箱詰システム1は、例えば、スナック菓子等の袋入商品(商品G)をダンボール箱Bに、一定個数、整列状態で多層詰めするものである。
【0021】
図1及び
図2Aに示すように、箱詰システム1は、ダンボール取り扱い領域DHAと商品取り扱い領域GHAとが、互いに独立して分離可能な状態で接続されている。ダンボール取り扱い領域DHAには、製函工程P1と箱詰工程P3という2つの工程が含まれている。そして、商品取り扱い領域GHAには、商品整列工程P2が含まれている。
【0022】
つまり、箱詰システム1では、ダンボール取り扱い領域DHAと商品取り扱い領域GHAとが接続されることによって、製函工程P1、商品整列工程P2、箱詰工程P3という3つの工程が連携する。
【0023】
製函工程P1は、シート状のダンボール箱材Zをダンボール箱Bへ組み立てて箱詰位置まで搬送する工程であり、箱材収容部11、製函部12、第1姿勢変換部13及び箱下方搬送部14で構成されている。
【0024】
商品整列工程P2は、上流側工程から供給される商品Gを所定位置に搬入し、一定数の商品Gを隣接するもの同士がお互いに一部重なるように整列させて、箱詰位置まで搬送する工程であり、商品搬入部21、商品整列部22及び商品挿入部23で構成されている。
【0025】
箱詰工程P3は、製函工程P1から搬送されてきたダンボール箱Bに商品整列工程P2において整列が完了した一定数量の商品Gを箱詰し、箱を閉じて箱排出位置まで搬送する工程であり、商品受入部31、第2姿勢変換部32及び封函部33で構成されている。
【0026】
箱詰システム1は、ダンボール箱Bに商品Gの多層詰めを行っており、箱B内における商品Gの姿勢は「立ち姿勢」である。つまり、箱Bの開口を上に向けたとき、商品Gのオモテ面及びウラ面が側方を向き、商品Gの上下の端部が上下を向き、左右の側部が側方を向く姿勢である。
【0027】
また、
図2A及び
図2Bに示すように、ダンボール箱取り扱い領域DHAは2階構造となっており、製函工程P1と箱詰工程P3とを共通の枠10で支持しており、2階部分が製函工程P1であり、1階部分が箱詰工程P3である。
【0028】
この2階構造を実現するために、製函部12でのダンボール箱Bの組立てから箱下方搬送部14に至るまでのダンボール箱Bの搬送方向と、商品Gが詰められたダンボール箱Bの開口が封函部33で封止されるまでのダンボール箱Bの搬送方向とが、互いに反対方向となっている。
【0029】
(2)製函工程P1の詳細構成
図2Bに示すように、製函工程P1は、ダンボール箱材Zを箱詰システム1に導入する箱材収容部11と、ダンボール箱Bを組み立てる製函部12と、ダンボール箱Bをその搬送方向と直交する水平軸周りに90°回転させる第1姿勢変換部13と、第1姿勢となったダンボール箱Bを下方へ搬送する箱下方搬送部14とで構成されている。
【0030】
(2-1)箱材収容部11
箱材収容部11では、
図2Bに示すように、供給位置に積み重ねられたダンボール箱材Zのうちの一番先頭のダンボール箱材Zを1枚ずつ挟んで上方へ送出し、送出されたダンボール箱材Zを鉛直軸周りに90°回転させて筒状に広げる。
【0031】
ダンボール箱材Zは、作業者によって供給位置に載置される。ダンボール箱材Zは、フラップZfが開いた状態で折り畳まれ、そのフラップZfが鉛直方向に位置する姿勢で水平方向に積み重ねられている。なお、説明の便宜上、天面側のフラップZfを天フラップZfa、底面側のフラップZfを底フラップZfbという。
【0032】
ダンボール箱材Zの上方への送出は、昇降機構111によって行われ、供給位置の全てのダンボール箱材Zがなくなると、検知センサ(図示せず)の検知信号をコントローラ40(
図1参照)へ送信する。
【0033】
また、ダンボール箱材Zの鉛直軸周りの回転は、吸着回転機構112によってダンボール箱材Zの側面を吸盤で吸着して保持し、吸着回転機構112を鉛直軸回りに90°回転することによって実現される。
【0034】
(2-2)製函部12
製函部12は、筒状に広がったダンボール箱材Zを水平方向に搬送させながらダンボール箱材Zの底フラップZfbを折り込んでテープ張りを行い、天フラップZfaが開いた状態のダンボール箱Bを組み立てる。
【0035】
(2-3)第1姿勢変換部13
第1姿勢変換部13は、ダンボール箱Bを搬送方向に90°回転させる。より具体的に説明すると、第1姿勢変換部13は、ダンボール箱Bをその搬送方向と直交する水平軸周りに90°回転させ、ダンボール箱Bの開口と天フラップZfaとが同一鉛直面上になる姿勢(以下、第1姿勢という。)となるように、ダンボール箱Bの姿勢を変換する。ダンボール箱Bが第1姿勢のとき、開口は商品取り扱い領域GHAを向いている。
【0036】
(2-4)箱下方搬送部14
箱下方搬送部14は、第1姿勢となったダンボール箱Bを下方へ搬送する。つまり、ダンボール箱Bの開口を商品取り扱い領域GHAに向けた状態のまま下方に移動させる。
【0037】
(3)商品整列工程P2の詳細構成
箱詰システム1の商品Gの流れにおける商品整列工程P2の上流側には、図示しない計量装置、及び製袋包装機等が配置されている。そして、箱詰システム1には、上流側工程で重量、シール性、異物混入検査等に合格した商品Gだけが商品整列工程P2に供給される。
【0038】
商品整列工程P2は、商品Gを受け取り所定位置まで搬送する商品搬入部21と、商品搬入部21から供給される商品Gを整列させる商品整列部22と、整列した商品Gを集積して押し出す商品挿入部23とで構成されている。
【0039】
(3-1)商品搬入部21
商品搬入部21は、商品導入コンベア211、及び搬入コンベア212を有している。商品導入コンベア211は、重量、シール性、異物混入検査等を行う工程の下流側で、検査に合格した商品Gの供給を受けて、それを搬入コンベア212へ導く。
【0040】
搬入コンベア212は、商品導入コンベア211から搬送されてくる商品Gを商品整列部22へ搬送する。
【0041】
図3は、搬入コンベア212、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222の配置状態を示す斜視図である。
図3において、搬入コンベア212の搬送面は水平面に対して傾斜しており、搬送面の傾斜方向下側端には、商品Gを支えて脱落を防止し、且つ、商品Gを搬送方向に案内する支持壁213が設けられている。搬送面の傾斜方向上側を移動する商品Gは、傾斜方向に沿った重力の分力を受けるので、移動しながら支持壁213側へ滑り降下し、その後は支持壁213に沿って移動する。
【0042】
(3-2)商品整列部22
商品整列部22は、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222、及び第3整列コンベア223を有している。商品整列部22は、商品Gに対して集積動作を行いながら所定位置まで搬送するものであり、特に、袋状の包装物の集積に適しているので、包装物集積装置として独立して使用することもできる。
【0043】
(3-2-1)第1整列コンベア221
第1整列コンベア221は、搬入コンベア212から落下する商品Gを受けるために、その一端は搬入コンベア212の先端部の高さより低い位置に設定され、他端は第2整列コンベア222の高さ位置に設定されている。
【0044】
なお、搬入コンベア212の先端部は、第1整列コンベア221の商品載置面の直上空間に位置することが好ましい。ここで、商品載置面とは、第1整列コンベア221の搬送面のうち、落下してくる商品Gを待ち受ける面である。
【0045】
そして、第1整列コンベア221は、一つの商品Gを受けとめる毎に一定距離(ピッチL)だけ当該商品Gを第2整列コンベア222に向けて搬送する。なぜなら、第1整列コンベア221が商品Gを受け止める位置は同じであるため、次の商品Gが落下してくる前に着地位置を空けておく必要があるからである。それゆえ、商品Gは落下した位置から一定距離(ピッチL)だけ第2整列コンベア222に近づく。
【0046】
一方、後に落下してくる商品Gの一部分は第1整列コンベア221に着地し、残り部分は先の商品Gに寄り掛って傾斜する。このような、複数の商品Gを、商品Gそれぞれの一部が隣接する商品Gの一部と厚み方向に重なるように整列させる動作を集積動作という。
【0047】
図4Aは、商品整列部22の正面図である。
図4Aにおいて、第1整列コンベア221上では最初に投下された先頭の商品Gに、後続の商品Gが部分的に重なっており、この後、さらに後続の商品Gが重なって列を成していく。
【0048】
例えば、N=5個の商品Gを一群として整列させる場合、先頭の商品Gは、最後尾の商品Gが着地する位置から4Lの長さ分も進んでいるので、本実施形態では、少なくとも列の先頭の商品Gが第2整列コンベア222上に到達する。
【0049】
(3-2-2)第2整列コンベア222
図4Bは、整列した一群の商品Gの先頭が第2整列コンベア222に載ったときの商品整列部22の正面図である。
図4Bにおいて、列の最後尾の商品Gが第1整列コンベア221に着地した後、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222、及び第3整列コンベア223が、同時に、同一方向に搬送動作を行う。それゆえ、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222上で一列に整列したN個の商品Gが、一斉に第3整列コンベア223に向かって移動し、その第3整列コンベア223上を進行する。
【0050】
図4A及び
図4Bに示すように、第1整列コンベア221の搬送方向の下流端221bと第2整列コンベア222の搬送方向の上流端222aとが相対している。
【0051】
(3-2-2-1)第2整列コンベア222の第1状態
ここで、第1整列コンベア221の下流端221bと第2整列コンベア222の上流端222aとが相対している状態とは、第1整列コンベア221の搬送面と第2整列コンベア222の搬送面とが実質的に連続する搬送面を形成する程に第1整列コンベア221下流端221bと第2整列コンベア222の上流端222aとが近接している状態であり、この状態を第1状態とする。
【0052】
この第1状態では、第1整列コンベア221の下流端221bと第2整列コンベア222の上流端222aとの隙間は10mm以内が好ましい。
【0053】
図4A及び
図4Bに示すように、第1整列コンベア221は、一つの商品Gを受けとめる毎に一定距離(ピッチL)だけ当該商品Gを第2整列コンベア222に向けて搬送する動作を繰り返し、最後の商品Gが第1整列コンベア221に載ると、すなわち、一列分の商品群に達すると、商品Gの群を第1整列コンベア221から排出しなければならないので、そのときだけ一定距離(ピッチL)より長めのピッチ送り動作を行なう。同時に、第2整列コンベア222及び第3整列コンベア223も同じ速度で搬送動作を行なう。
【0054】
図4Cは、整列した一群の商品Gが完全に第2整列コンベア222に移った後の商品整列部22の正面図である。
図4Cにおいて、第1整列コンベア221だけは長めのピッチ送り動作を終えると減速して止まり、次の群の商品Gの受け止め体制に入る。このとき、第2整列コンベア222及び第3整列コンベア223は、第1整列コンベア221から引き継いだ一群の商品Gを搬送している。
【0055】
商品Gが小袋商品で第1整列コンベア221に多く載せることができる場合、或いは搬送速度が遅い場合には、第2整列コンベア222の姿勢として、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す第1状態が採られる。
【0056】
(3-2-2-2)第2整列コンベア222の第2状態
しかしながら、商品Gが大きい袋商品であって、生産能力を上げるため、搬送速度が速く、第2整列コンベア222および第3整列コンベア223が商品挿入時以外は搬送動作を行っている場合、第2整列コンベア222が先行の商品群を搬送しているときに、後続の商品群の先頭が第2整列コンベア222に接触し、第2整列コンベア222側に引き込まれる虞がある。
【0057】
そこで、コントローラ40は、第2整列コンベア222が搬送動作をしている間は、第1整列コンベア221の下流端221bに対して第2整列コンベア222の上流端222aの位置が第1状態のときよりも下がった状態である第2状態へ切り替えている。
【0058】
図4D、
図4E及び
図4Fは、第2整列コンベア222が第2状態であるときの商品整列部22の正面図であり、
図4D、
図4E及び
図4Fそれぞれにおいて、第1整列コンベア221の搬送面上の商品Gが第2整列コンベア222に接近している様子を示している。
【0059】
図4D、
図4E及び
図4Fにおいて、第2状態では、第2整列コンベア222の搬送面が第1整列コンベア221の下流端221bより下方となるまで第2整列コンベア222の上流端222aが矢印方向に降下している。
【0060】
制御的には、コントローラ40が、商品Gの群の最後の商品Gが第1整列コンベア221の搬送面から第2整列コンベア222の搬送面に載った後、第2整列コンベア222の上流端222aを下げている。
【0061】
図4D~
図4Fに示すように、第2整列コンベア222が先行する一群の商品Gを搬送している間、或いは、第3整列コンベア223上の一群の商品Gが未だ起立していない状態のときであっても、後続の商品群の先頭の商品Gが第2整列コンベア222に接近している。
【0062】
しかし、第2整列コンベア222の上流端222aが降下しているので、後続の商品群の先頭は第2整列コンベア222に接触することはなく、第2整列コンベア222側に引き込まれず、商品群の集積の列が乱れることも抑制される。
【0063】
図4Gは、整列した一群の商品Gが第3整列コンベア223上で起立状態に入ったときの商品整列部22の正面図である。
図4Gにおいて、第3整列コンベア223の搬送方向終端部には、搬送面が鉛直方向に移動する起立コンベア231が配置されている。なお、
図4A~
図4Fでは、説明の便宜上、起立コンベア231の記載を省略している。
【0064】
一群の商品Gは、第2整列コンベア222から第3整列コンベア223上に載った後は、鉛直方向に移動する起立コンベア231の搬送面によって先頭の商品Gが立ち上がり、続いて後続の商品Gも立ち上がる。
【0065】
第3整列コンベア223で一群の商品Gが起立状態にあるとき、第2整列コンベア222の搬送面には商品Gは存在せず、第1整列コンベア221から商品Gを受け入れることができる。さらに、第1整列コンベア221上には次の一群の商品Gの先頭が第2整列コンベア222に接近し落下しそうなタイミングになっている。それゆえ、第2整列コンベア222の上流端222aが上昇し、第2整列コンベア222は第2状態となり、一群の商品Gの先頭を支えることができる。
【0066】
この第2整列コンベア222の昇降動作のタイミングは、後半の「(5)制御」の欄で説明する。
【0067】
なお、本実施形態では、
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Gに示すように、第1状態では、第1整列コンベア221および第2整列コンベア222の搬送面は共に傾斜している。そして、
図4D、
図4E及び
図4Fに示すように、第2状態では、第2整列コンベア222の上流端222aのみが降下し、第2状態における第2整列コンベア222の搬送面は略水平である。
【0068】
また、コントローラ40は、商品Gのサイズ(例えば、袋サイズ)によって第2状態への切替えを実行するか否かを決定してもよいし、要求される生産能力によって第2状態への切替えを実行するか否かを決定してもよい。
【0069】
(3-2-3)第3整列コンベア223
第3整列コンベア223は、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222で整列した商品Gの一群を待機しているダンボール箱Bの開口の手前まで搬送する。第3整列コンベア223は、以下に説明する商品挿入部23の一要素を兼ねている。
【0070】
(3-3)商品挿入部23
商品挿入部23は、第3整列コンベア223で一列に整列した一群の商品Gの先頭と最後尾とを挟んで一群の商品Gを丸ごとダンボール箱B内に挿入する。
図2Bに示すように、商品挿入部23は、整列した一群の商品Gを挟むために、起立コンベア231と、押寄板233と、挿入板235とを有している。
【0071】
(3-3-1)起立コンベア231
起立コンベア231は、第3整列コンベア223の下流端上に設けられ、列を成して搬送されて来る商品Gの進行を阻止する。起立コンベア231は、その搬送面が常に商品Gの搬送方向と直交するように配置されている。
【0072】
図5Aは、整列した一群の商品Gを起立させる直前の第3整列コンベア223周辺の正面図である。また、
図5Bは、
図5Aの整列した一群の商品Gを起立させた状態の第3整列コンベア223周辺の正面図である。
図5A及び
図5Bにおいて、起立コンベア231は、商品Gが起立コンベア231の搬送面に接触する少し前から、その搬送面が鉛直上方へ移動している。そして、先頭の商品Gの先端が起立コンベア231の搬送面に接触したとき、商品Gには先端に上向きの力が作用し、さらに第3整列コンベア223による水平移動も継続しているので、先頭の商品Gは確実に起き上がることができる。
【0073】
(3-3-2)押寄板233
押寄板233は、一列に整列したN個の商品Gの最後尾を押して、起立コンベア231とで挟んで起立させる。
【0074】
押寄板233は、第3整列コンベア223の上流端側に設けられているが、商品Gの列が第2整列コンベア222から第3整列コンベア223へ移動している間は、平面部が商品Gの搬送方向と平行になるように第3整列コンベア223の脇に収容されている。また、押寄板233は、列の最後尾の商品Gが第2整列コンベア222から第3整列コンベア223へ完全に移った際に、平面部が商品Gの搬送方向と直交するように回動する。さらに、押寄板233は、列の最後尾の商品Gを押して列全体を起立コンベア231側へ寄せる。
【0075】
このとき、起立コンベア231の搬送面は鉛直上方に移動しているので、列の先頭の商品Gは起立コンベア231の搬送面に沿って起立し、次の商品Gは起立した先頭の商品Gに沿って起立する。後続の商品Gも同様の動作で連鎖して起立するので、N個の商品Gは起立状態で整列する。
【0076】
また、商品挿入部23は、挿入板235を介して、起立状態のN個の商品Gを一括してダンボール箱B内に押し込む。挿入板235は、第3整列コンベア223を挟んでダンボール箱Bの位置と反対側に位置している。第2整列コンベア222側から視たととき、第3整列コンベア223の右側にダンボール箱Bの開口面が位置し、第3整列コンベア223の左側に位置する。
【0077】
(3-3-3)挿入板235
挿入板235は、平面部をダンボール箱Bの開口に対向させて待機しており、N個の商品Gは起立状態になった後、それらをダンボール箱Bに開口面に向かって押し、N個の商品Gをダンボール箱Bに開口から底に向かって一挙に挿入する。挿入板235は、起立コンベア231と押寄板233との間を横切ってダンボール箱Bに開口面まで進行する。
【0078】
(4)箱詰工程P3の詳細構成
箱詰工程P3は、商品Gをダンボール箱Bに受け入れる商品受入部31と、ダンボール箱の開口が上を向くように姿勢を変換する第2姿勢変換部32と、商品Gの箱詰が完了したダンボール箱Bを搬送しながらダンボール箱Bの開口を閉じる封函部33とを有している。
【0079】
(4-1)商品受入部31
商品受入部31は、ダンボール箱Bを第1姿勢に維持し、ダンボール箱Bの開口を、商品挿入部23の挿入板235に対向させて待機させる。商品挿入部23において起立状態になったN個の商品Gは、挿入板235によってダンボール箱Bに開口面に向かって押しだされるので、商品受入部31はそのN個の商品Gがダンボール箱Bに開口から底に向かって完全に挿入されるまで、その位置に待機する。
【0080】
第1層目のN個の商品Gがダンボール箱Bに挿入されると、所定距離だけ降下する。そして、第2層目のN個の商品Gを受け入れるために、ダンボール箱Bの開口のうち第1層目より上の空間の開口を挿入板235に対向させて待機させる。
【0081】
上記のような動作を繰り返して、第i層目のN個の商品Gがダンボール箱Bに挿入されて、ダンボール箱Bへの商品の受け入れが完了する。
【0082】
(4-2)第2姿勢変換部32
図2Bに示すように、第2姿勢変換部32は、商品Gの詰められたダンボール箱Bの姿勢を、開口を上に向けた姿勢へ変換する姿勢変換機構321を有している。
【0083】
姿勢変換機構321は、それまで鉛直にしていた開口面を水平にして、すなわち、開口面が上を向くようにダンボール箱Bを回転させる。姿勢変換機構321は、ダンボール箱Bの側面及び底面を同時に吸着する吸着盤付きのL字状部材で保持し、L字状部材が90°回転することで、ダンボール箱Bが回転する。
【0084】
(4-3)封函部33
図2Bに示すように、封函部33は、ダンボール箱Bを搬送する排出コンベア330と、ダンボール箱Bの開口を囲むフラップを閉じるフラップ閉塞機構340(
図6A参照)と、ダンボール箱の側面を押す側面押し機構355(
図7D参照)と、フラップで閉じられた開口を封止するテープ貼付機380とを有している。
【0085】
(4-3-1)排出コンベア330
ダンボール箱Bは、姿勢変換機構321によって90°回転させられた際に、開口を上に向けた状態で排出コンベア330に載せられる。排出コンベア330は、ダンボール箱Bを排出位置まで搬送する。
【0086】
(4-3-2)フラップ閉塞機構340
図6Aは、ダンボール箱Bが搬送されていないときのフラップ閉塞機構340周辺の正面図である。また、
図6Bは、ダンボール箱Bが搬送されてきたときのフラップ閉塞機構340周辺の正面図である。
【0087】
また、
図6Cは、後フラップZfabが折り込まれる途中のフラップ閉塞機構340周辺の正面図である。さらに、
図6Dは、折り込みバー370aが最下点まで降下したときのフラップ閉塞機構340周辺の正面図である。
【0088】
図6A~
図6Cにおいて、フラップ閉塞機構340は、前フラップ折り込み部材350と、後フラップ折り込み部材360と、左右フラップ折り込み部材370を有している。ダンボール箱Bは、長手方向が搬送方向と平行となるように排出コンベア330に載せられており、先ず、前フラップ折り込み部材350が搬送方向側から視て開口の前辺に位置する前フラップZfaaを閉じる。次に、後フラップ折り込み部材360が搬送方向側から視て開口の後辺に位置する後フラップZfabを閉じる。次に、左右フラップ折り込み部材370が搬送方向側から視て開口の左辺及び右辺に位置する左フラップZfal及び右フラップZfarを閉じる。
【0089】
なお、フラップ閉塞機構340は、前フラップZfaaの折り込み前に、左フラップZfal及び右フラップZfarの前縁を左右フラップ起し部材345に当てて、外側に開いた左フラップZfal及び右フラップZfarが内側に傾斜させる。
【0090】
(4-3-2-1)左右フラップ起し部材345
左右フラップ起し部材345は、固定された一対の延伸部材であり、先端に向うほど互いに外側下方へ離れる構成である。左右フラップ起し部材345は、2つの先端部で搬送されてくるダンボール箱Bの左フラップZfal及び右フラップZfarを待ち受け、左フラップZfal及び右フラップZfarの前端が先端部に接触したのちは、前端が左右フラップ起し部材345に沿って進むので、左フラップZfal及び右フラップZfarはすくい上げられ、互いに近づくように内側に傾斜する。
【0091】
(4-3-2-2)前フラップ折り込み部材350
図6Aにおいて、前フラップ折り込み部材350は、第1傾斜面351と、第2傾斜面352と、水平面353とを有している。
【0092】
第1傾斜面351は、水平面に対して約50°上向きの傾斜面である。第2傾斜面352は、水平面に対して約15°上向きの傾斜面である。第1傾斜面351の下端は第2傾斜面352の上端と繋がり、第2傾斜面352の下端は水平面353の一端と繋がっている。
【0093】
図6Bにおいて、ダンボール箱Bの前フラップZfaaの前縁が前フラップ折り込み部材350の第1傾斜面351に当たり、前フラップZfaaの前縁が後方(
図6Bの白抜矢印の方向)へ倒される。
【0094】
ダンボール箱Bがさらに搬送されることによって、倒れた前フラップZfaaの上面が第2傾斜面352によってさらに倒される。その後、ダンボール箱Bがさらに搬送されることによって、前フラップZfaaの上面が水平面353によって略水平になるまで倒され、前フラップZfaaの折り込みが完了する。
【0095】
(4-3-2-3)側面押し機構355
図7Aは、ダンボール箱Bの前フラップZfaaが前フラップ折り込み部材350に接触する直前のフラップ閉塞機構340周辺である。
図7Bは、ダンボール箱Bの前フラップZfaaが前フラップ折り込み部材350によって折り込まれているときのフラップ閉塞機構340周辺である。
【0096】
図7A及び
図7Bにおいて、ダンボール箱Bの前フラップZfaaの前端が前フラップ折り込み部材350の第1傾斜面351の当たったときに、その反動でダンボール箱Bの前方が浮き上がる虞がある。
【0097】
また、ダンボール箱Bの前フラップZfaaの前端が前フラップ折り込み部材350の第1傾斜面351の当たったときに、ダンボール箱Bの搬送に制動がかかるため、ダンボール箱Bの後方が浮き上がる虞もある。
【0098】
そこで、本実施形態では、ダンボール箱Bの浮き上がりを防止するため、
図7A及び
図7Bにおいてダンボール箱Bの不可視側の側面を押すことができる側面押し機構を設けている。
【0099】
図7Cは、側面押し機構355の周辺の斜視図である。また、
図7Dは、側面押し機構の斜視図である。
【0100】
図7C及び
図7Dにおいて、排出コンベア330の側方には、排出コンベア330上を流れるダンボール箱Bの下部側面を排出コンベア330に沿って案内するガイド板331が設けられているが、搬送方向におけるガイド板331の上流側に、側面押し機構355が設けられている。
【0101】
側面押し機構355は、側面押し部材356と、側面押し用エアシリンダ357と、支持軸ガイド358とを含んでいる。側面押し部材356は、摩擦面356aを有している。摩擦面356aは、通常、ガイド板331と同一平面上に位置する。
【0102】
側面押し用エアシリンダ357は、空気圧で往復移動するピストン357aを有している。ピストン357aは、側面押し部材356の摩擦面356aを排出コンベア330の搬送面上へ押し出せるように、側面押し部材356の摩擦面356aの反対側に連結されている。
【0103】
支持軸ガイド358は、支持軸358aと軸受358bとを有している。支持軸358aは、側面押し部材356を摩擦面356aの反対側から支持する。軸受358bは、側面押し用エアシリンダ357のピストン357aの移動方向に沿って支持軸358aを案内する。本実施形態では、側面押し用エアシリンダ357の左右に一個ずつ、計2つの支持軸ガイド358が配置されている。
【0104】
側面押し用エアシリンダ357のピストン357aだけでは、側面押し部材356の姿勢を安定させることが困難であるので、ピストン357aの両側から支持軸ガイド358の支持軸358aが側面押し部材356を支持することによって、側面押し部材356は安定した姿勢で往復移動することができる。
【0105】
また、側面押し機構355の機能は、ダンボール箱Bの浮き上がりを防止する役目も負っているだけでなく、後フラップ折り込み時にダンボール箱Bが前方に滑ることを防止する機能も果たしている。
【0106】
上記のような構成において、コントローラ40は、ダンボール箱Bが側面押し部材356の摩擦面356aを通過する際に、側面押し用エアシリンダ357に対して所定の力が作用するように、側面押し用エアシリンダ357のピストン357aをダンボール箱Bの側面の方向へ前進させている。
【0107】
その所定の力は、ダンボール箱Bの搬送を阻害しない程度であって、且つ、ダンボール箱Bの前方又は後方が浮き上がらない程度に設定されており、約20Nが好ましい。
【0108】
ダンボール箱Bの前フラップZfaaが第1傾斜面351で後方へ折られるときには、ダンボール箱Bの側面は側面押し部材356の摩擦面356aから離れるので、コントローラ40は側面押し用エアシリンダ357への圧力供給を停止する。
【0109】
なお、
図7A~
図7Dにおいて、排出コンベア330の側方で、側面押し機構355よりも上流側には、側面押し機構355と同様の機構を有する姿勢調整押し機構336が配置されている。
【0110】
姿勢調整押し機構336は、姿勢変換機構321によって90°回転させられて排出コンベア330に載せられたダンボール箱Bの姿勢を、その側面を押すことによって、排出コンベア330の搬送方向に沿う姿勢に強制するものである。
【0111】
(4-3-2-4)後フラップ折り込み部材360
図6Cにおいて、ダンボール箱Bの前フラップZfaaが前フラップ折り込み部材350の水平面353の下方に進入するタイミングで、後フラップ折り込み部材360が後フラップZfabを折り込む。
【0112】
後フラップ折り込み部材360は、エアシリンダ365によって回動する部材であり、三角形に曲げ加工された押え板360aと、押え板360aにエアシリンダ365のピストンの変位を伝える伝達棒360bとを有している。
【0113】
コントローラ40は、ダンボール箱Bの前フラップZfaaが前フラップ折り込み部材350の水平面353の下方に進入したと判断したときにエアシリンダ365を駆動させ、押え板360aを
図6C正面視で時計方向に回動させる。
【0114】
図7Bに示すように、押え板360aは後フラップZfabの上面を押えながら回動し、押え板360aが90°回動したとき後フラップZfabは略水平に折り込まれた状態となる。
【0115】
(4-3-2-5)左右フラップ折り込み部材370
図6A、
図6B及び
図6Cに示すように、左右フラップ折り込み部材370は、折り込みバー370aと、2つのアーム370bとを有している。折り込みバー370aは、前フラップ折り込み部材350の水平面353よりも高い位置で待機している。
【0116】
アーム370bの一端は折り込みバー370aに連結されている。また、アーム370bは、折り込みバー370aの長手方向と交差するように且つ折り込みバー370aよりも高い位置まで延び、もう一方の端が折り込み用エアシリンダ375で動作するクランクシャフト377に接続されている。
【0117】
実際には、左右フラップ折り込み部材370は
図6A、
図6B及び
図6Cの正面視手前側と奥側に配置されており、各折り込みバー370aの先端を上向き、且つ後端より外側に向けて待機している。つまり、左フラップZfal及び右フラップZfarそれぞれに一つの折り込みバー370aが対応する。
【0118】
また、
図8は、ダンボール箱Bの左フラップZfalが折り込みバー370aに接触しているときのフラップ閉塞機構340周辺の正面図である。
図8において、折り込みバー370aの長手方向はダンボール箱Bの搬送方向に対して傾いているので、左フラップZfal及び右フラップZfarの前側前縁が他のどの部分よりも先に折り込みバー370aに当たる。なお、搬送方向に対する折り込みバー370aの長手方向の傾斜角度は、3°~60°の範囲内であるが、30°が好ましい。
【0119】
コントローラ40は、ダンボール箱Bの左フラップZfal及び右フラップZfarの前縁が左右フラップ折り込み部材370に接触するときと略同時期に、折り込み用エアシリンダ375を動作させ、折り込みバー370aを旋回させながら降下させる。折り込みバー370aは、旋回しながら降下しているときも搬送方向に対して傾斜している。
【0120】
図6Dにおいて、折り込みバー370aが最下点まで降下したとき、折り込みバー370aは
図6Dの正面視において略水平となるので、左フラップZfal及び右フラップZfarを確実に折り込むことができる。
【0121】
図9は、折り込みバー370aが最下点まで降下したときの左右フラップ折り込み部材370の斜視図であって、
図8の正面視とは反対の方向から視た左右フラップ折り込み部材370を示している。
図9において、折り込み用エアシリンダ375のピストン376の先端は、クランクシャフト377の端部と連結されている。
【0122】
折り込みバー370aは、アーム370bを介してクランクシャフト377に連結されているので、ピストン376が全行程を往復移動すると、クランクシャフト377が回動し、折り込みバー370aが旋回動作する。
【0123】
折り込み用エアシリンダ375には、ピストン376の位置を検出する第1センサ375aおよび第2センサ375bが取り付けられている。第1センサ375aは、折り込み用エアシリンダ375の両端部のうちのピストン376の往路側に取り付けられ、第2センサ375bは、ピストン376の復路側に取り付けられている。
【0124】
第1センサ375aおよび第2センサ375bは、予めピストン376に装着されているマグネットに反応してオンし、コントローラ40に対してLo信号を出力し、マグネットに反応しなくなるとオフし、コントローラ40に対してHi信号を出力する。
【0125】
したがって、コントローラ40は、第1センサ375aがオンしたとき、ピストン376が往路工程の終端に到達したと判断し、第2センサ375bがオンしたとき、ピストン376が復路工程の終端に到達したと判断することができる。
図9は、ピストン376が往路工程の終端に到達した状態であり、折り込みバー370aは最下点まで降下しており、正に
図6Dの状態である。
【0126】
この左右フラップ折り込み部材370によれば、折り込みバー370aが搬送方向における左フラップZfal及び右フラップZfarの前側前縁から後側に向かって徐々に折り込んでいくことができるので、左フラップZfal及び右フラップZfarは、予めその付け根に設けられている「折り目」に沿って確実に折り込まれる。
【0127】
(4-3-3)テープ貼付機380
ダンボール箱Bの開口は、前フラップZfaa、後フラップZfab、左フラップZfal及び右フラップZfarが折り込まれることによって塞がれ、テープ貼付機380によって封止される。テープ貼付機380は、ダンボール箱Bの搬送経路の排出位置寄りに設置されており、ダンボール箱Bが排出位置に到達する前にテープ貼りが行われる。
【0128】
テープ貼付機380は、ダンボール箱Bにテープを貼付けている間、ダンボール箱Bの横幅方向の両側面上部を搬送方向に沿って案内する。
【0129】
(4-3-3-1)案内部材390
図10は案内部材390の斜視図であり、
図8のテープ貼付機380を下方から見上げる方向から視たものである。
図10において、案内部材390は、テープ貼付機の底部にあって、案内部材390は、間隔を変更することができる一対の案内プレート(391、392)を有している。
【0130】
一対の案内プレートの一方を第1案内プレート391、他方の案内プレートを第2案内プレート392という。第1案内プレート391と第2案内プレート392は、搬送方向と平行な鉛直面に対して対称であり、搬送されてくるダンボール箱Bの受入側端部は端に近づくほど外側に広がる傾斜面であるが、それ以外はダンボール箱Bの搬送方向に平行な平面である。
【0131】
(4-3-3-2)案内部材390の間隔調整
第1案内プレート391は第1ブロック391aを介してボールねじ393と繋がっている。同様に、第2案内プレート392は第2ブロック392aを介してボールねじ393と繋がっている。第1ブロック391aおよび第2ブロック392aは、ともにボールねじ393と螺合している。
【0132】
ボールねじ393では、第1ブロック391aと螺合する部分393aと第2ブロック392aと螺合する部分393bとは、ねじ切り方向が逆向きとなっている。したがって、ボールねじ393が一方向に回転すると第1ブロック391aおよび第2ブロック392aは互いに近づく方向に平行移動し、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔が狭まる。そして、ボールねじ393が反対方向に回転すると第1ブロック391aおよび第2ブロック392aは互いに離れる方向に平行移動し、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔が広がる。
【0133】
ボールねじ393の一端は、ステッピングモータ395に接続されている。本実施形態では、ボールねじ393がステッピングモータ395から視て時計方向に回転したときは、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔が狭まり、反時計方向に回転したときは、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔が広がる。
【0134】
コントローラ40は、生産開始時、又は商品切替時におけるダンボール箱サイズの入力データからダンボール箱Bの幅寸法を読み取り、ステッピングモータ395を回転させて自動的に第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔を調整している。
【0135】
(5)制御
以上、箱詰システムの各部の構成をその動作とともに説明してきたが、ここでは、その中でも特殊な動作を行なう第2整列コンベア222の昇降制御と、エアシリンダにおけるセンサ異常時の制御と、サーボモータの原点位置センサの異常時の制御について説明する。
【0136】
(5-1)第2整列コンベア222の昇降制御
図11は、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222、第3整列コンベア223の動作を示すタイミングチャートである。以下、
図4A~
図4G、及び
図11を参照しながら、第2整列コンベア222の昇降のタイミングについて説明する。
【0137】
先ず、
図4A~
図4C及び
図11において、第1群の商品群のうちの1個~4個の商品Gそれぞれが第1整列コンベア221に着地するごとに第1整列コンベア221はピッチLで間欠搬送を行なう。
【0138】
また、第2整列コンベア222は、第1整列コンベア221に3個目の商品Gが着地して第1整列コンベア221による3回目の間欠搬送と同時に、第2整列コンベア222が間欠動作を開始する。
【0139】
これは、
図4Aに示すように、第1整列コンベア221に最初に着地した商品Gが第2整列コンベア222の上流端222aに載りかかり始めているからであり、第2整列コンベア222も同時にピッチLで間欠搬送させることによって、商品Gを第2整列コンベア222へ受け入れる。
【0140】
したがって、第1整列コンベア221に4個目の商品Gが着地し、第1整列コンベア221による4回目の間欠搬送と、第2整列コンベア222による2回目の間欠搬送があった時点で、少なくとも先頭の商品Gは第2整列コンベア222上に載っており、3番目と4番目の商品Gは第1整列コンベア221上に載っている。
【0141】
そして、5個目の商品Gが第1整列コンベア221に着地した後はピッチLよりも大きいピッチLaで搬送する。これは、第1整列コンベア221に既に着地している3番目、4番目の商品Gと、直前に着地した5個目の商品Gを第2整列コンベア222に移すために必要な搬送量である。
【0142】
第1整列コンベア221は、ピッチLaの間欠搬送を終了した後は、第2群の商品Gを受け入れ、ピッチLの間欠搬送を開始する。
【0143】
一方、第2整列コンベア222は、第1整列コンベア221によるピッチLaの間欠搬送の開始と同時に長ピッチLbの間欠搬送動作を開始する。また、第2整列コンベア222は、この長ピッチLbの間欠動作の途中で、且つ第1整列コンベア221がピッチLaの間欠搬送を終了したと同時に第2整列コンベア222の上流端222aを降下させる(
図4D参照)。
【0144】
このように、第2整列コンベア222の上流端222aを降下させる理由は、既に第1整列コンベア221上に着地している第2群の1番目の商品Gが第2整列コンベア222の上流端222aに接近しており、そのままでは、第1群の商品Gを搬送中の第2整列コンベア222に引き込まれるからである。
【0145】
そして、第1整列コンベア221上に第2群の2番目の商品Gが着地しピッチLの間欠搬送が完了した時点では、第1群の商品Gは第2整列コンベア222から第3整列コンベア223に載り移り、第1群の商品Gは第3整列コンベア223上の起立コンベア231によって起立状態に入っているので、第2整列コンベア222上には商品Gは存在せず、第1整列コンベア221からの第2群の商品Gを受け入れることができる状態になっている。それゆえ、第2整列コンベア222は、その上流端222aを上昇させ、元の位置に戻す(
図4G参照)。
【0146】
なお、第2整列コンベア222の長ピッチLbの間欠搬送は、第1整列コンベア221上に第2群の2番目の商品Gが着地しピッチLの間欠搬送が完了し、且つ3番目の商品Gが着地する前に完了する。
【0147】
第3整列コンベア223は、第1整列コンベア221がピッチLaの間欠搬送を開始すると同時に長ピッチLcの間欠搬送動作を開始する。そして、第1整列コンベア221に第2群の3個目の商品Gが着地しピッチLの間欠搬送が完了し、且つ4番目の商品Gが着地する前に長ピッチLcの間欠搬送を完了する。
【0148】
長ピッチLcの間欠搬送の期間に、第1群の1番目から5番目までの商品Gが第3整列コンベア223の搬送面上に整列を完了し、ダンボール箱Bへの挿入が完了する。
【0149】
(5-2)エアシリンダ375におけるセンサ異常時の制御
箱詰システム1では、アクチュエータとして複数のエアシリンダを備えており、各エアにはピストンの位置検出用のセンサが取り付けられている。複数あるエアシリンダのいずれか1つのエアシリンダの位置検出用のセンサが故障した場合、箱詰システム1全体を停止してセンサの交換が行われる。
【0150】
したがって、センサの交換が完了するまで生産が停止され、万が一、センサの在庫を切らしていた場合には、箱詰システム1の停止時間が長引き、生産性が著しく低下する。このような事態を回避するため、本実施形態では、各エアシリンダの必要動作時間を予め記憶し、センサが故障した場合でも動作時間をタイマで制御して、箱詰システムの運転を一定期間継続することができる。
【0151】
以下、位置検出用のセンサ異常時の制御について、フローチャートを参照しながら説明する。ここでは、「(4-3-2-5)左右フラップ折り込み部材370」の欄で記載した折り込み用エアシリンダ375の第1センサ375a及び第2センサ375bのいずれかが故障した場合について説明する。
【0152】
図12A及び
図12Bは、センサ異常時の制御フローチャートである、
図12AはステップS1~ステップS6までのフローを示し、
図12BはステップS11~ステップS15までのフローを示している。
【0153】
(5-2-1)
図12Aのフロー説明
(ステップS1)
図12Aにおいて、コントローラ40は、ステップS1で折り込み用エアシリンダ375の動作指令の有無を判定し、動作指令があるときはステップS2へ進む。
【0154】
(ステップS2)
次に、コントローラ40は、ステップS2において、折り込み用エアシリンダ375を動作させ、ステップS3へ進む。
【0155】
(ステップS3)
次に、コントローラ40は、ステップS3において、折り込み用エアシリンダ375の動作時間tを計時し、ステップS4へ進む。
【0156】
(ステップS4)
次に、コントローラ40は、ステップS4において、第1センサ375a又は第2センサ375bからの検出信号が有るか否かを判定する。「(4-3-2-5)左右フラップ折り込み部材370」の欄で記載した通り、第1センサ375aがオンしたときは、エアシリンダ375のピストン376が往路工程の終端に到達したと判断し、第2センサ375bがオンしたときは、ピストン376が復路工程の終端に到達したと判断することができる。
【0157】
したがって、第1センサ375a又は第2センサ375bからの検出信号が有ったときはステップS5へ進む。
【0158】
(ステップS5)
コントローラ40は、ステップS5において、エアシリンダの動作を停止する。
【0159】
(ステップS6)
一方、コントローラ40は、先のステップS4において第1センサ375a又は第2センサ375bからの検出信号がないときはステップS6へ進み、動作時間tが所定時間taに達したか否かを判定する。
【0160】
ここで、所定時間taとは、折り込み用エアシリンダ375の動作時間の設計値に誤差を加えた必要動作時間であり、コントローラ40に内蔵のメモリ401(
図13参照)に記憶されている。折り込み用エアシリンダの動作時間の設計値に誤差を加えた必要動作時間は、往路工程ではta=t1であり、復路工程ではta=t2である。
【0161】
したがって、折り込み用エアシリンダ375が往路工程の動作であった場合においてはt≧t1のとき、又は、折り込み用エアシリンダ375が復路工程の動作であった場合においてはt≧t2のとき、ステップS11へ進む。
【0162】
(5-2-2)
図12Bのフロー説明
(ステップS11)
図12Bにおいて、コントローラ40は、ステップS11において、箱詰システム1の運転を一時停止させる。なぜなら、先にステップS6で動作時間tが所定時間taに到達しているにもかかわらず、第1センサ375aまたは第2センサ375bから検出信号を受けなかったため、センサ異常と判断したからである。
【0163】
(ステップS12)
コントローラ40は、センサ異常表示を行い、箱詰システム1のオペレータに異常を告知する。表示用のディスプレイが有る場合は、その画面に表示する。警報、音声メッセージなどで告知してもよい。
【0164】
(ステップS13)
次に、コントローラ40は、タイマ制御への切替確認を行なう。具体的には、箱詰システム1のオペレータに対して、表示用のディスプレイ400(
図13参照)を介してタイマ制御への切替を行なうか否かを問う。
【0165】
(ステップS14)
次に、コントローラ40は、タイマ制御への切替確定の有無を判定し、切替確定が有ったときはステップS15へ進み、切替確定がない場合は判定を継続する。切替確定は、例えば、表示用のディスプレイ400の画面に表示された確定ボタンにタッチする構成でもよい。
【0166】
(ステップS15)
コントローラ40は、ステップS15において、第1センサ375aまたは第2センサ375bから検出信号に頼らず、予め記憶している必要動作時間に基づいて、折り込み用エアシリンダ375の往路工程および復路工程の動作を制御する。
【0167】
上記の制御によれば、タイマによってエアシリンダの動作を制御することができ、位置検出用のセンサの信号を無視して、箱詰システム1の運転を継続することができる。
【0168】
(5-3)ステッピングモータの原点位置センサの異常時制御
折り込み用エアシリンダ375のようなアクチュエータは、予め記憶している必要動作時間で運転・停止の制御を行なうことができるが、モータのような機械的破壊力の大きいアクチュエータを動作時間で制御するのは危険である。
【0169】
例えば、位置等がセンサ検知によって決定されるステッピングモータの場合、所定のパルスが入力されることによって必要な回転量を出力することができ、原点位置センサと組み合わせることによって、原点位置センサの位置検知信号を検知してから入力するパルス数を制御すれば、ステッピングモータに連結された可動部材を狙いの位置まで移動させることができる。
【0170】
しかしながら、ステッピングモータで駆動する機構において、原点位置センサが故障した場合には、故障した原点位置センサを正常な原点位置センサへ交換するまでの間、箱詰システム1は運転停止状態となるので生産性が著しく低下する。
【0171】
一方、ステッピングモータ駆動機構では、一度位置設定すれば、次の商品切替までは位置設定をし直す必要のないので、オペレータが手動で位置設定を行ってもよい、という事情もある。
【0172】
そこで、本実施形態では、応急的な措置として、ステッピングモータの原点位置センサの異常時制御について、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0173】
図13は、
図10に示すステッピングモータ395等のアクチュエータの制御ブロック図である。
図13において、コントローラ40には、ステッピングモータ395によって駆動されるボールねじ393の原点位置センサ395a等の各種センサが接続される。
【0174】
既に説明した「(4-3-3-2)案内部材390の間隔調整」に記載の通り、ボールねじ393がステッピングモータ395から視て時計方向に回転したときは、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔が狭まり、反時計方向に回転したときは、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔が広がる。
【0175】
メモリ401には、原点位置からのステッピングモータ395の回転量(入力パルス数)に対する、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔との関係が記憶されており、コントローラ40は、生産開始時、又は商品切替時におけるダンボール箱サイズの入力データからダンボール箱Bの幅寸法を読み取り、ステッピングモータ395を回転させて自動的に第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔を調整している。
【0176】
判定部402が原点位置センサ395aを異常と判定したとき、モード切替部403が、表示部としてのディスプレイ400に、原点位置センサ395aの異常を表示し、好ましくは「第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔調整の自動モードが不可能である」旨を表示し、「第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔調整を手動で行なうか否か」を問う表示を行なう。
【0177】
なお、判定部402が原点位置センサ395aを異常と判定する具体例として、ステッピングモータ395に十分なパルスが入力されているにもかかわらず、検知するべき位置信号が原点位置センサ395aから出力されない場合に、判定部402が原点位置センサ395aを異常と判定する。
【0178】
オペレータは、原点位置センサ395aの交換をすぐに行える場合は、手動モードへの切替を確定せずに、正常な原点位置センサ395aへ交換し、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔調整を自動モードで行なえばよい。
【0179】
一方、原点位置センサ395aの在庫がなく、取り寄せに時間がかかる場合には、それまでの応急措置として、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔調整を手動で行なう手動モードを選択した上でディスプレイ400の画面上に表示される確定ボタンを押して、手動モードへの切替を確定する。
【0180】
これによって、ボールねじ393の原点位置センサ395aが故障しても、第1案内プレート391と第2案内プレート392との間隔調整を手動モードへ切り替えることによって、原点位置センサ395aの信号を無視して、箱詰システム1の運転を継続することができる。
【0181】
(6)変形例
ここでは、上記実施形態に記載することができなかった、一部の構成のみを変更した変形例について説明する。
【0182】
上記「(4-3-2-3)側面押し機構355」の欄では、側面押し部材356の摩擦面356aがダンボール箱Bの側面を押すことによって、摩擦面356aとダンボール箱Bの側面とが擦れ合う構成を採用している旨を説明した。
【0183】
しかしながら、側面押し機構355の機能としては、ダンボール箱Bの前方または後方の浮き上がりを防止することであるので、他の構成でその機能を実現してもよい。
【0184】
(6-1)
例えば、摩擦面356aに替えて回転可能なローラでダンボール箱Bの側面で押してもよい。
【0185】
ローラの回転軸を鉛直にすれば、ダンボール箱Bの側面と擦れ合うことによってローラは回転するので、搬送中のダンボール箱Bの側面に擦り跡が付くことを抑制することができる。
【0186】
(6-2)
また、摩擦面356aをダンボール箱Bの搬送方向に移動する構成とすることによって、摩擦面356aがダンボール箱Bの側面を押えながら一緒に移動するので、摩擦面356aがダンボール箱Bの側面との擦れが抑制され、搬送中のダンボール箱Bの側面に擦り跡が付くことを抑制することができる。
【0187】
(7)本実施形態の特徴
(7-1)
箱詰システム1では、ダンボール箱取り扱い領域DHAと商品取り扱い領域GHAとを完全に分けることができるので、レイアウト編成が容易となり、生産実体に合わせてレイアウト変更ができ、箱詰システム1全体の設置面積の増大の抑制にも貢献する。
【0188】
(7-2)
箱詰システム1では、製函用シートであるダンボール箱材Zを、拡げられたときに開口が上を向くように配置して収容することによって、箱材収容部11にストックされるダンボール箱材Zの高さはストック量に関係なく一定であるので、基本的に収容する数量を制限する必要がなく、ダンボール箱材Zを補充しても[ダンボール箱材Zの厚み寸法×補充数量]の長さ分、後方に延びるに過ぎない。
【0189】
(7-3)
箱詰システム1では、ダンボール箱Bが搬送方向に向かって開口した姿勢となるので、ダンボール箱Bの開口に向かって商品を供給することによって商品Gの横入れをすることができる。
【0190】
(7-4)
箱詰システム1では、例えば、製函部12が2階、封函部33が1階となるような階層型ライン構成にすることによって、ダンボール箱取り扱い領域DHAの設置面積を小さくすることができる。
【0191】
(7-5)
箱詰システム1では、製函部12、第1姿勢変換部13、商品受入部31、第2姿勢変換部32および封函部33が、共通の枠10によって支持されており、1つの纏まった機体となり、省スペースで見栄えもよい。
【符号の説明】
【0192】
1 箱詰システム(製函・箱詰め・封函装置)
10 枠
11 箱材収容部(収容部)
12 製函部
13 第1姿勢変換部
22 商品整列部
23 商品挿入部
33 封函部
DHA ダンボール箱取り扱い領域
GHA 商品取り扱い領域
G 商品
Z ダンボール箱材(製函用シート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0193】
【文献】特開2005-145558号公報
【文献】特開2015-157650号公報