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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】汚染検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/169 20060101AFI20221122BHJP
   G01T 1/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01T1/169 A
G01T1/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018081585
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019190909
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】518140494
【氏名又は名称】ふたばロボット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137822
【弁理士】
【氏名又は名称】香坂 薫
(72)【発明者】
【氏名】坂井 良治
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124270(JP,A)
【文献】特開2016-191623(JP,A)
【文献】特開平08-094399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/16
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の汚染検査を行う汚染検査システムであって、
放射線量を検知する検知器と、
三次元的に移動自在なアームを有し、アームの先端に検知器が固定されたロボットと、
検知器が車両の形状に追従して移動するように既定された動作情報であって、少なくとも車両の識別情報と車両の形状に関する形状情報とを含む車両の属性情報に応じて設定された動作情報に基づいて、ロボットを制御する制御装置と、を備え、
検知器は、車両の外面の放射線量を検知する外面用検知器と、外面用検知器の筐体に固定され、車両の細部の放射線量を検知する細部用検知器と、を含む、汚染検査システム。
【請求項2】
検知器に設けられ、車両との距離を測定する距離測定センサを更に備える、請求項1に記載の汚染検査システム。
【請求項3】
車両を停車位置へ誘導する誘導部を更に備え、
誘導部は、車両の幅方向の位置を停車位置へ誘導する幅方向の誘導部と、車両の前後方向の位置を停車位置へ誘導する前後方向の誘導部とを含む、請求項1又は2に記載の汚染検査システム。
【請求項4】
放射線量を検知する領域を複数の領域に区分けし、領域ごとに放射線量を判定し、判定結果を出力する管理装置を更に備える、請求項1から3の何れか1項に記載の汚染検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型トラックなどの車両が(放射線)管理区域から管理区域外に出る場合、放射線物質によって車両が汚染されていないかを確認する検査(以下、車両の汚染検査ともいう)が行われている。車両の汚染検査は、ハンディタイプの放射線検知器を用いて手作業で行うことが主流である。一方、車両の汚染検査の検査時間の短縮、検査精度の向上が求められている。
【0003】
上記問題に鑑み、車両の放射線量を測定する装置が開発されている。例えば、特許文献1には、車両の放射線量を測定する車両ゲートモニタが開示されている。この車両ゲートモニタは、車両との相対位置に応じて上下・左右移動が可能に配置され、車両の両側面の放射線量を測定する第1検知器と、車両との相対位置に応じて上下・回転・左右移動が可能に配置され、車両の前面、後面、上面、荷台面の放射線量を測定する第2検知器と、車両との相対位置に応じて上下・左右移動が可能に配置され、荷台の内側側面の放射線量を測定する第3検知器とで構成される検知器群が取り付けられた門型を、停止した車両に対して移動させながら、検知器群から得られた検知結果に基づいて、汚染箇所の有無を特定する制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-191623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の汚染検査を行う従来技術として、車両の放射線量を測定するゲート型の検査装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この従来技術によれば、車両の汚染検査を手作業で行う場合と比較して、車両の汚染検査の検査時間を短縮することができ、また、検査精度を向上することができる。
【0006】
ここで、車両の表面には、種々の凹凸が存在する。また、車両の汚染検査を精度よく実施するためには、放射線量を検知する検知器と車両の表面との距離をできる限り一定とすること、換言すると、検知器を車両の表面の形状に応じて追従させることが望まれる。しかしながら、従来のゲート型の検査装置では、検知器を車両の表面の形状に追従して検査することは困難である。また、従来のゲート型の検査装置では、車両の細部(例えば、タイヤやタイヤハウス付近)を検査することは困難である。そのため、従来のゲート型の検査装置では、車両の細部については、手作業で車両の汚染検査を行う必要がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、従来よりも、検査時間を短縮でき、かつ、検査精度を向上できる車両の汚染検査の技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、放射線量を検知する検知器を三次元的に移動自在なロボットアームの先端に固定し、車両の形状に関する情報を予め取得し、検知器が車両の形状に追従して移動するようにロボットアームの動作を制御することとした。また、検知器は、車両の外面の放射線量を検知する外面用検知器と、外面用検知器の近傍に設けられ、車両の細部の放射線量を検知する細部用検知器とを含む構成とした。
【0009】
詳細には、本発明は、車両の汚染検査を行う汚染検査システムであって、放射線量を検知する検知器と、三次元的に移動自在なアームを有し、アームの先端に検知器が固定されたロボットと、検知器が車両の形状に追従して移動するように既定された動作情報であって、少なくとも車両の識別情報と車両の形状に関する形状情報とを含む車両の属性情報に応じて設定された動作情報に基づいて、ロボットを制御する制御装置と、を備え、検知器は、車両の外面の放射線量を検知する外面用検知器と、外面用検知器の近傍に設けられ、車両の細部の放射線量を検知する細部用検知器と、を含む、汚染検査システムである。
【0010】
本発明に係る汚染検査システムは、検知器が車両の形状に追従して移動するので、例えば、従来のゲート型の検査装置と比較して、検査精度を向上することができる。また、ロボットは、予め設定した車両の動作情報に応じて制御されるので、効率よく移動(動作)することができ、検査時間を短縮することができる。また、本発明に係る汚染検査システムは、検知器が外面用検知器と細部用検知器とを含む構成である。そのため、従来、手作業で行っていた車両の細部を含め、車両の全体を効率よく汚染検査でき、検査時間を短縮することができる。更に、汚染検査の手作業を省略又は大幅に削減できるので、作業員の安全性を向上できる。
【0011】
検知器は、放射線量を検知できればよく、測定線種(α線、β線、γ線等)、測定エネルギー範囲、形状等は特に限定されない。検知器は、車両の汚染検査の目的や検査対象となる車両の種類や大きさに応じて、形状や数などを変更することができる。例えば、外面用検知器は、複数並べて配置するようにしてもよい。これにより、より広範囲を一度に汚染検査することができる。
【0012】
車両は、汚染検査を要する車両であり、(放射線)管理区域内と管理区域外とを行き来するトラックや(放射線)管理区域付近を行き来するトラックが例示される。車両の汚染検査は、車両が放射線物質等の汚染物質に汚染されていないかを確認する検査である。ロボットは、アームが三次元的に移動自在な多関節ロボットで構成することができる。多関節ロボットには、6軸ロボットが例示されるが、7軸、5軸等でもよく、軸数は特に限定されない。また、検知器は、外面用検知器、及び細部用検知器に加えて、更に別の検知器を含んでもよい。また、外面用検知器、細部用検知器、更には別の検知器は、交換自在、又はロボットが持ち替え自在にしてもよい。使用しない検知器は、ロボット近傍の例えばラックに収容するようにしてもよい。動作情報は、ロボットを動作させるための情報であり、例えば、各関節の座標と各関節の回転軸回りの回転角度を含む。属性情報に含まれる形状情報は、検知器の移動経路を特定するために必要となる情報である。形状情報は、車種等から特定してもよく、また、車両を実際に計測して取得してもよい。
【0013】
ここで、本発明の汚染検査システムは、検知器に設けられ、車両との距離を測定する距離測定センサを更に備えるものでもよい。ロボット、及びロボットに接続された検知器は、既定された動作情報に基づいて動作するが、距離測定センサで測定された距離に基づいて、動作情報を補正するようにしてもよい。これにより、例えば、車両の停車位置にずれがあった場合でも、車両の形状に合わせて検知器を追従させることができる。また、例えば、車両の形状に変更があった場合でも、変更された車両の形状に合わせて検知器を追従させることができる。
【0014】
また、本発明の汚染検査システムは、車両を停車位置へ誘導する誘導部を更に備え、誘導部は、車両の幅方向の位置を停車位置へ誘導する幅方向の誘導部と、車両の前後方向の位置を停車位置へ誘導する前後方向の誘導部とを含むものでもよい。
【0015】
誘導部を備えることで、車両を停車位置へ誘導することができる。車両が停車位置で正確に停止することで、車両の形状に合わせて検知器を追従させることができる。また、車両を停車位置へ正確に誘導することで、動作情報の補正が不要となる。または、動作情報を補正する場合でも、補正量を低減することができる。
【0016】
また、本発明の汚染検査システムは、放射線量を検知する領域を複数の領域に区分けし、領域ごとに放射線量を判定し、判定結果を出力する管理装置を更に備えるものでもよい。複数の領域は、車両の外面や細部に応じて区分けすることができる。これにより、車両における、放射線量の状況を容易に把握することができる。出力には、表示装置への表示や、スピーカからの音声出力が例示される。管理装置は、検知器と電気的に接続されていればよく、例えば、ネットワークを介して接続されたコンピュータで構成することができる。
【0017】
また、本発明の汚染検査システムは、ロボットを車両の前後方向に搬送する搬送装置を更に備え、制御装置は、動作情報に基づいて、搬送装置とロボットを制御するようにしてもよい。搬送装置を備えることで、ロボットを車両の前後方向に移動させることができる。その結果、ロボットの移動範囲を広げることができ、ロボットと搬送装置を適宜制御することで、より効率よく汚染検査を行うことができる。
【0018】
また、本発明の汚染検査システムは、車両の汚染検査を行う際の車両の停車位置に関する停車位置情報を検知する停車位置検知装置を更に備え、停車位置情報に基づいて動作情報が補正され、制御装置は、補正後の動作情報に基づいてロボットを制御するようにしてもよい。これにより、車両の停車位置に応じて、ロボットを精度よく移動させることができる。制御装置は、ロボットと電気的に接続されていればよく、例えば、ネットワークを介して接続されたコンピュータで構成してもよい。上記のように、車両を停車位置へ正確に誘導することで、動作情報の補正が不要、又は補正する場合でも補正量を低減できるが、停車位置情報に基づいて動作情報を補正することで、より精度よく、ロボットを移動させることができる。
【0019】
なお、本発明は、上述した汚染検査システムを構成する各装置によって構成してもよい。例えば、本発明は、検知器、ロボット、制御装置、管理装置等として特定することができる。また、汚染検査システムは、制御装置や管理装置等とネットワークを介して接続され、システム全体を管理するサーバを備える構成としてもよい。また、制御装置、管理装置、サーバの機能を一つのコンピュータに集約するようにしてもよい。
【0020】
また、本発明は、汚染検査方法として特定してもよい。例えば、本発明は、車両の汚染検査を行う汚染検査方法であって、放射線量を検知器で検知する検知工程を備え、検知器は、車両の外面の放射線量を検知する外面用検知器と、外面用検知器の近傍に設けられ、車両の細部の放射線量を検知する細部用検知器と、を含み、検知工程では、検知器が車両の形状に追従して移動するように既定された動作情報であって、少なくとも車両の識別情報と車両の形状に関する形状情報とを含む車両の属性情報に応じて設定された動作情報に基づいて、三次元的に移動自在なアームを有し、アームの先端に検知器が固定されたロボットを制御する、汚染検査方法である。
【0021】
また、本発明は、上記に加えて、汚染検査システムで実行される方法やプログラムとして特定してもよい。また、本発明は、そのようなプログラムが記録された記録媒体として特定してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来よりも、検査時間を短縮でき、かつ、検査精度を向上できる車両の汚染検査の技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態に係る汚染検査システムの概要を示す。
図2図2は、第1実施形態に係る汚染検査システムのシステムブロック図を示す。
図3図3は、第1実施形態に係る汚染検査システムにおいて、車両の汚染検査の様子を示す(前方上方からの斜視図)。
図4図4は、第1実施形態に係る汚染検査システムにおいて、車両の汚染検査の様子を示す(後方からの背面図)。
図5図5は、第1実施形態に係る汚染検査システムの平面図を示す。
図6図6は、第1実施形態に係る停車位置確認センサの配置状態を示す。
図7図7は、第1実施形態に係る車種判定センサの配置状態を示す。
図8図8は、第1実施形態に係るドア開閉センサ、及び侵入検知センサの配置状態を示す。
図9図9は、第1実施形態に係るロボット、及び検知器の斜視図を示す。
図10図10は、第1実施形態に係るロボット、及び検知器の側面図を示す。
図11図11は、第1実施形態に係る検知器の上面図を示す。
図12図12は、第1実施形態に係る検知器の正面図を示す。
図13図13は、第1実施形態に係るロボット、及び搬送装置等の上面図を示す。
図14図14は、第1実施形態に係るロボット、及び搬送装置等の側面図を示す。
図15図15は、第1実施形態に係る汚染検査方法のフローを示す。
図16図16は、第1実施形態に係る車両確定テーブルの一例を示す。
図17図17は、第1実施形態に係る汚染検査結果の表示画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0025】
<第1実施形態>
<汚染検査システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る汚染検査システムの概要を示す。図2は、第1実施形態に係る汚染検査システムのシステムブロック図を示す。図3は、第1実施形態に係る汚染検査システムにおいて、車両の汚染検査の様子を示す(前方上方からの斜視図)。図4は、第1実施形態に係る汚染検査システムにおいて、車両の汚染検査の様子を示す(後方からの背面図)。図5は、第1実施形態に係る汚染検査システムの平面図を示す。
【0026】
第1実施形態に係る汚染検査システム100は、管理サーバ1、ロボット制御端末2、車両管理端末3、車両特定カメラ41、停車位置確認センサ42、車種判定センサ43、車両位置決め輪留め44、ドア開閉センサ45、侵入検知センサ46、ゲート70、検知器53、ロボット54、搬送装置55等を備える。ロボット制御端末2、及び車両管理端末3は、以下、単に各端末ともいう。また、車両特定カメラ41、停車位置確認センサ42、車種判定センサ43、ドア開閉センサ45、侵入検知センサ46、ゲート70、検知器53、ロボット54、搬送装置55は、以下、単に各装置ともいう。なお、車両位置決め輪留め44にセンサを設けてもよく、この場合、車両位置決め輪留め44を各装置に含めてもよい。
【0027】
<<管理サーバ>>
管理サーバ1は、ネットワークを介して、汚染検査システム100の各端末や各装置と接続され、汚染検査システム100全体(各端末、各装置)を管理、又は制御する。例えば、管理サーバ1は、停車位置確認センサ42、車種判定センサ43、ドア開閉センサ45、侵入検知センサ46、ゲート70からの情報を取得し、停車位置の判定、車種の判定、ドアの開閉の判定、侵入者の有無の判定、ゲート70の開閉等を行う。ゲート70の開閉は、車両管理端末3を経由して取得した、検知器53で検知された放射線量や車種特定カメラ41で取得した車両の識別情報(車両の登録番号)に基づいて行われる。また、管理サーバ1は、車両管理端末3を経由して、検知器53で検知された放射線量の情報、及びロボットの移動位置の情報を取得する。本実施形態では、管理サーバ1は、各端末や各装置とローカルエリアネットワーク接続されているが、電話回線網を利用したインターネットで接続してもよい。ネットワークは、汚染検査システム100を構成する各端末や各装置を電気的に接続し、通信可能とできるものであれば良くその態様は特に限定されない。管理サーバ1は、管理施設(図示せず)に設置され、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read only memory))、記録装置(HDD(hard disk drive)/SSD(solid state drive))、表示装置、入力装置、出力装置、通信装置としてのネットワークI/O、管理データベースを備える。管理データベースには、車両の情報を管理する車両確定テーブルや、汚染検査の情報を管理する汚染検査テーブルなどが格納されている。管理サーバ1のCPUは、メモリに登録された制御プログラムに従って、汚染検査システム100を制御する。また、管理サーバ1のCPUは、ロボットの制御、車種判定の管理、汚染検査の管理等、各端末の機能を実現することもできる。換言すると、各端末の機能は、管理サーバ1のCPU上で実行されるコンピュータプログラムとして構成することができる。また、これらの各端末の機能は、専用のプロセッサが実行するようにしてもよい。
【0028】
管理サーバ1の表示装置は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT(Cathode Ray Tube)、エレクトロルミネッセンスパネル等を含む。管理サーバ1の入力装置は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、操作ボタン等を含む。管理サーバ1の出力装置は、スピーカを含む。上記表示装置は、出力装置としても機能する。管理サーバ1の通信装置には、例えば、ネットワークへの接続を実現する通信モジュール(例えば、ネットワークカード)が例示される。なお、管理サーバ1の機能は、ネットワークを介して接続されている、汎用のコンピュータからなる端末からの操作によっても実現できる。
【0029】
<<ロボット制御端末>>
ロボット制御端末2は、本発明の制御装置の一例であり、動作情報(ロボット54を動作させるための情報であり、例えば、各関節の座標と各関節の回転軸回りの回転角度を含む情報)に基づいて、検知器53が車両の形状に追従して移動するようにロボット54及び搬送装置55を制御する。また、ロボット制御端末2は、ロボット54の移動位置の情報を取得し、車両管理端末3へ送る。ロボット制御端末2は、ハードウェア構成として、制御装置、記録装置、表示装置、入力装置、出力装置、通信装置を備える。ロボット制御端末2の制御装置は、CPU、メモリを含む。ロボット制御端末2は、汎用のコンピュータによって構成することができる。ロボット制御端末2の制御装置、記録装置、表示装置、入力装置、出力装置、通信装置は、管理サーバ1の制御装置、記録装置、表示装置、入力装置、出力装置、通信装置と同様に構成することができる。従って、これらの説明は、割愛する。
【0030】
<<車両管理端末>>
車両管理端末3は、車両特定カメラ41を制御する。換言すると、車両特定カメラ41の向きやズームなどの調整は、車両管理端末3で行うことができる。また、車両管理端末3は、車両特定カメラ41で撮像された画像を分析して、車両の登録番号(車両ナンバー)を取得し照合する。なお、車両の登録番号とは別に識別番号となる表示番号を車両毎に付与し、表示番号を取得し照合するようにしてもよい。また、車両管理端末3は、本発明の管理装置の一例であり、検知器53で検知された放射線量の情報、及びロボットの移動位置の情報について、検知器用制御装置535を介して取得し、取得した情報を出力装置に出力する。車両管理端末3は、ハードウェア構成として、制御装置、記録装置、表示装置、入力装置、出力装置、通信装置を備える。車両管理端末3のハードウェア構成について、サーバ1と同様の構成については、説明を割愛する。車両管理端末の制御装置は、CPU、メモリを含む。車両管理端末3は、汎用のコンピュータによって構成することができる。
【0031】
<<検知器用制御装置>>
検知器用制御装置535は、検知器53と接続されるとともに、ネットワークを介して車両管理端末3と接続されており、検知器53で検知された放射線量の情報を車両管理端末3へ送信する。検知器用制御装置535は、ハードウェア構成として、制御装置(CPU、メモリ)、記録装置、表示装置、入力装置、出力装置、通信装置を備える。検知器用制御装置535は、汎用のコンピュータによって構成することができる。
【0032】
<<停車位置確認センサ>>
停車位置確認センサ42は、汚染検査を受ける際の車両の停車位置を検知する。検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって、車両が既定の停車位置に停止しているか判定される。既定の停車位置とは、汚染検査を行う際に車両が停車する位置であり、ロボット54や搬送装置55の動作情報を補正せずに汚染検査を行うことができる位置でもある。図6は、第1実施形態に係る停車位置確認センサの配置状態を示す。停車位置確認センサ42は、車両の左右両方の前輪位置を検知する。なお、停車位置確認センサ42は、左右一方に配置するようにしてもよい。右側を例に説明すると、停車位置確認センサ42は、レーザー変位センサで構成され、停車位置確認センサ台420に設置された、停車位置確認センサ(前方)42a、停車位置確認センサ(中央)42b、停車位置確認センサ(後方)42cを含む。停車位置確認センサ台420は、車両の両側方に設けられ、タイヤの直径よりも広い間隔で立ち上げられた柱材421,422と、柱材421,422と直交し、車両の前後方向に延びる、上桁材423、下桁材424とで構成されている。上桁材423は、車両の車軸付近の高さ位置に設けられ、下桁材424は、上桁材423と地面との間に設けられている。停車位置確認センサ(前方)42a、停車位置確認センサ(中央)42b、停車位置確認センサ(後方)42cは、上桁材423に設けられている。停車位置確認センサ(前方)42aは、車軸高さにおける右側前輪の最前部(前方に突出したタイヤ表面)を検知する。右側前輪の最前部が停車位置確認センサ(前方)42aよりも前方にあると、NG判定となる。停車位置確認センサ(中央)42bは、右側前輪の中心(車軸)を検知する。右側前輪の車軸が停車位置確認センサ(中央)42bと一致すると、OK判定となる。停車位置確認センサ(後方)42cは、車軸高さにおける右側前輪の最後部(後方に突出したタイヤ表面)を検知する。右側前輪の最後部が停車位置確認センサ(後方)42cよりも後方にあると、NG判定となる。
【0033】
<<車種判定センサ>>
車種判定センサ43は、汚染検査を受ける車両の荷台の長さを検知する。検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって車種が判定される。図7は、第1実施形態に係る車種判定センサの配置状態を示す。車種判定センサ43は、車両の両側から、車両の後端(本実施形態では、大型トラックの後ろあおり)を検知する。なお、車種判定センサ43は、左右一方に配置するようにしてもよい。右側を例に説明すると、車種判定センサ43は、レーザー変位センサで構成され、車種判定センサ台430に前方から順に設置された、第1車種判定センサ43a、第2車種判定センサ43b、第3車種判定センサ43c、第4車種判定センサ43dを含む。車種判定センサ台430は、車両の両側に設けられ、間隔を空けて立ち上げられた車種判定センサの柱材431,432と、車種判定センサの柱材431,432と直交し、車両の前後方向に延びる、車種判定センサの上桁材433、車種判定センサの下桁材434とで構成されている。車種判定センサの上桁材433は、車両の荷台付近(本実施形態では、大型トラックのあおり)の高さ位置に設けられ、車種判定センサの下桁材434は、車種判定センサの上桁材433と地面との間に設けられている。第1車種判定センサ43a、第2車種判定センサ43b、第3車種判定センサ43c、第4車種判定センサ43dは、互いに間隔を空けて車種判定センサの上桁材433に設けられている。例えば、最も前方側にある第1車種判定センサ43aのみ「ON」の場合(第2車種判定センサ43b、第3車種判定センサ43c、第4車種判定センサ43dは「OFF」)、第1荷台サイズ(例えば、5100mm)と判定される。第1車種判定センサ43a、及び前方側2番目にある第2車種判定センサ43bが「ON」の場合(第3車種判定センサ43c、第4車種判定センサ43dは「OFF」)、第2荷台サイズ(例えば、5300mm)と判定される。第1車種判定センサ43a、第2車種判定センサ43b、及び前方側3番目にある第3車種判定センサ43cが「ON」の場合(第4車種判定センサ43dは「OFF」)、第3荷台サイズ(例えば、6200mm)と判定される。第1車種判定センサ43a、第2車種判定センサ43b、第3車種判定センサ43c、及び前方側から4番目の第4車種判定センサ43dが全て「ON」の場合(第1車種判定センサ43a、第2車種判定センサ43b、第3車種判定センサ43cは「OFF」)、第4荷台サイズ(例えば、6500mm)と判定される。
【0034】
<<タイヤガイド>>
タイヤガイド56は、本発明の幅方向の誘導部の一例であり、車両を、車両の幅方向(左右方向)において、既定の停車位置へ誘導する。タイヤガイド56は、車両のタイヤの両側に位置する2本の平行なレールからなる。タイヤガイド56の入口部(後方側)は、2本のレールの間隔が広くなっており、前方に向けて徐々にその間隔が狭くなっている。
【0035】
<<車両位置決め輪留め>>
車両位置決め輪留め44は、本発明の前後方向の誘導部の一例であり、車両を、車両の前後方向において、既定の停車位置へ誘導する。車両位置決め輪留め44は、車両の前輪を挟み込むように前後方向に配置された一対の車止めによって構成されている。車止めは、第1傾斜部、第1傾斜部に連なる平面部、平面部に連なり第1傾斜部と傾斜の向きが逆である第2傾斜部からなる(図14参照)。
【0036】
<<ドア開閉センサ>>
ドア開閉センサ45は、車両の周囲に設置された安全柵60のドア61の開閉を検知する。ここで、図8は、第1実施形態に係るドア開閉センサ、及び侵入検知センサの配置状態を示す。図8は、車両の左側に設置された安全柵60の斜視図を示す。安全柵60は、車両の周囲を囲むように設けられ、入口部と出口部が開放されている。ドア開閉センサ45の検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によってドア61の開閉の有無が判定される。安全柵60には、コーナー部に警告灯63が設置されており、ドア61が開いている場合、警告灯63が点灯するとともに、警告音が鳴り、汚染検査が中断、換言するとロボット54が停止する。
【0037】
<<侵入検知センサ>>
侵入検知センサ46は、安全柵60の入口部と出口部に設置され、安全柵60の内側、換言すると車両の汚染検査を行うエリア内への人等の浸入を検知する。侵入検知センサ46は、レーザセンサで構成され、安全柵60の入口部に2か所、安全柵60の出口部に2か所、設置されている。侵入検知センサ46の検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によってエリア内への人等の浸入の有無が判定される。エリア内への人等の浸入が検知されると、安全柵60の警告灯63が点灯するとともに、警告音が鳴り、汚染検査が中断、換言するとロボット54が停止する。
【0038】
<<ゲート>>
ゲート70は、安全柵60の入口部と出口部に設置され、エリア内への車両の入出場を規制する。ゲート70は、ゲートバーの一端がゲート70の本体と接続され、他端が上下運動(本体との接続部を軸に回動)することで開閉する遮断機で構成されている。ゲート70の開閉は、管理サーバ1によって制御される。具体的には、車両特定カメラ41で撮像された画像が分析され、車両の登録番号が照合され、車両が登録された車両の場合、入口部のゲート70が開き、車両が登録された車両でない場合、入口部のゲート70が閉じた状態となる。また、汚染検査が終了し、放射線量が所定値を下回っている場合、出口部のゲート70が開き、汚染検査が終了していない場合、又は、汚染検査が終了したものの、放射線量が所定値以上の場合、出口部のゲート70が閉じた状態となる。
【0039】
<<検知器>>
検知器53は、ロボット54の先端に固定され、放射線量を検知する。ここで、図9は、第1実施形態に係るロボット、及び検知器の斜視図を示す。図10は、第1実施形態に係るロボット、及び検知器の側面図を示す。図11は、第1実施形態に係る検知器の上面図を示す。図12は、第1実施形態に係る検知器の正面図を示す。第1実施形態に係る検知器53は、車両の外面の放射線量を検知する外面用検知器531と、外面用検知器531の近傍に設けられ、車両の細部(車両のタイヤやタイヤハウス付近)の放射線量を検知する細部用検知器532と、を含む。外面用検知器531は、検知面が平板状のβ線プラスチックサーベイメータ5311が3基用いられ、これらが横方向に並ぶように箱型の筐体内に固定されることで構成されている。細部用検知器532は、棒状のγ線サーベイメータが用いられている。細部用検知器532は、外面用検知器531の後方、かつ上部に、基準時(汚染検査が開始される直前のタイミング)に先端が上方を指すように外面用検知器531の筐体に固定されている。検知器53で検知された放射線量の情報は、ロボット54に固定された検知器用制御装置535に送られる。なお、検知器53は、放射線量を検知できればよく、測定線種(α線、β線、γ線等)、測定エネルギー範囲、形状、配置等は特に限定されない。
【0040】
また、検知器53には、車体接近検知センサ540が複数設置されている。車体接近検知センサ540は、検知器53と車両との距離を検知する。検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって、検知器53と車両との距離が所定の範囲(例えば、120~150mm)か否か判定される。車両との距離が所定の範囲でない場合、警告表示や警告音が出力され、汚染検査が停止される。また、車体接近検知センサ540は、本発明の停車位置検知装置として機能する。具体的には、汚染検査開始前に、車両のあおりの前方と後方において、検知器53が基準位置(汚染検査が開始される直前のタイミングである基準時にロボット54や搬送装置55が停止する位置であり、汚染検査を行う上で、ロボット54や搬送装置55の基準となる位置)に移動した上で、あおりの内側面と検知器53との距離が検知される。基準位置とは、換言すると、車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあるか否かを判定するために予め既定された位置(座標)でもある。検知結果は、車両管理端末3へ送信され、車両管理端末3によって、車両の傾きが汚染検査可能な範囲か否か判定される。基準位置における検知器53とあおりの内側面までの距離が、例えば、120~150mm以内であれば、車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定される。車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定された場合、動作情報の補正が不要と判定され、汚染検査が開始される。
【0041】
一方で、車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定されなかった場合、動作情報の補正が必要と判定され、動作情報が補正される。具体的には、ロボット制御端末2は、停車位置情報(車体接近検知センサ540(図12参照)で検知された車両と車体接近検知センサ540との距離から算出される情報)に基づいて、実測値としての基準位置の座標を算出し、実測値としての基準位置の座標に基づいて、動作情報(ロボット54を動作させるための情報であり、例えば、各関節の座標と各関節の回転軸回りの回転角度を含む情報)を補正し、検知器53が車両の形状に追従して移動するようにロボット54及び搬送装置55を制御する。換言すると、実測値としての基準位置の座標が、車両が既定の停車位置で停車した場合の基準位置の座標とずれていることから、このずれを補うべく、ロボット54や搬送装置55の設計値としての基準位置の座標が補正される。これにより、車両の停車位置に応じて、ロボット54を精度よく移動させることができる。その結果、汚染検査の精度が向上する。なお、車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定されなかった場合、車両を移動し、再度、既定の停車位置で停止させるようにしてもよい。
【0042】
<<ロボット>>
ロボット54は、先端のアタッチメントに検知器53が固定され、三次元的に移動自在なアームを有する。検知器53は、先端のアタッチメントに取り外し自在に固定してもよい。第1実施形態に係るロボット54は、所謂6軸の多関節ロボットで構成されている。また、第1実施形態に係るロボット54は、車両の左右両側に1基ずつ合計2基設けられ、夫々が搬送装置55によって前後方向に移動自在である。なお、ロボット54は、7軸、5軸等でもよく、軸数は特に限定されない。また、ロボット54は、1基、3基等でもよく、設置台数は特に限定されない。また、検知器53に応じて、専用のロボットを設置するようにしてもよい。
【0043】
<<搬送装置>>
搬送装置55は、ロボット54を車両の前後方向に搬送する。ここで、図13は、第1実施形態に係るロボット、及び搬送装置等の上面図を示す。図14は、第1実施形態に係るロボット、及び搬送装置等の側面図を示す。第1実施形態に係る搬送装置55は、所謂LMガイド(Linear Motion Guide(リニア・モーション・ガイド))とアクチュエータを有する水平移動機構で構成されている。また、第1実施形態に係る搬送装置55は、車両の前後方向に伸びる直線状のラック、駆動源としてのモータ、モータのトルクをラックに伝達するリニアヘッドを有する水平移動機構で構成してもよい。
【0044】
<<汚染検査方法>>
次に汚染検査方法について、汚染検査システムの動作とともに説明する。図15は、第1実施形態に係る汚染検査方法のフローを示す。
【0045】
まず、ステップ01では、車両が照合される。具体的には、車両特定カメラ41によって車両の画像が撮像され、撮像された画像から車両の登録番号が取得される。取得された車両の登録番号は、車両管理端末3によって、予め登録されている汚染検査を行う車両の情報と照合される。ここで、図16は、車両確定テーブルの一例を示す。車両確定テーブルには、車両の登録番号、車種(荷台の長さ)、照合結果(OK/NG)、照合日時の項目が設けられ、各項目には、データが予め記録されるか、又は記録可能になっている。取得した車両の登録番号が車両確定テーブルに存在する場合、照合OKとなり、汚染検査の実施許可が行われる。取得した車両の登録番号が車両確定テーブルに存在しない場合、照合NGとなり、汚染検査の実施許可が行われない。車両が照合されると、ステップ02へ進む。
【0046】
ステップ02では、ゲート70が開閉される。具体的には、汚染検査の実施許可が行われた場合、実施許可の信号が管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって、後方のゲート70が開かれる。汚染検査の実施許可が行われなかった場合、車両管理端末3によって、後方のゲート70が閉じたままとなる。この場合、例えば、登録車両でない旨の通知が、画面表示や音声によって行われる。ゲート70が開閉されると、ステップ03へ進む。
【0047】
ステップ03では、車両の停車位置が判定される。具体的には、まず、ゲート70を通過した車両は、タイヤガイド56、及び車両位置決め輪留め44によって、車両の停車位置まで誘導される。車両が停車すると、車両の両側に設置された停車位置確認センサ42によって、汚染検査を受ける際の車両の停車位置が検知される。検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって、車両が停車位置に停車しているか判定される。右側を例に説明すると、右側前輪の最前部が停車位置確認センサ(前方)42aよりも前方にあると、NG判定となる。右側前輪の車軸が停車位置確認センサ(中央)42bと一致すると、OK判定となる。右側前輪の最後部が停車位置確認センサ(後方)42cよりも後方にあると、NG判定となる。判定結果は、画面表示や音声によって行われる。なお、NG判定となった場合には、車両が移動され、再度、車両の停車位置が判定される。車両の停車位置が判定されると、ステップ04へ進む。
【0048】
ステップ04では、車種が判定される。具体的には、車種判定センサ43によって、汚染検査を受ける車両の荷台の長さ(荷台のサイズ)が検知される。検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって車種が判定される。管理サーバ1は、車両確定テーブルにアクセスし、予め登録されている車両の荷台の長さと、車種判定センサ43による検知結果を照合し、車種が正しいか判定する。例えば、第1車種判定センサ43aのみ「ON」の場合、荷台サイズ5100mmと判定され、予め登録されている荷台の長さと一致すれば、OK判定となる。第1車種判定センサ43aのみ「ON」の場合、荷台サイズ5100mmと判定され、予め登録されている荷台の長さと一致しない場合、NG判定となる。車種が判定されると、ステップ05へ進む。
【0049】
ステップ05では、停車位置情報が判定される。具体的には、車体接近検知センサ540により、車両のあおりの前方と後方において、あおりの内側面と検知器53との距離が検知される。検知結果は、管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1によって、車両の傾きが汚染検査可能な範囲か否か判定される。基準位置における検知器53とあおりの内側面までの距離が、例えば、120~150mm以内であれば、車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定される。車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定された場合、汚染検査が可能と判定される。一方で、車両の傾きが汚染検査可能な範囲にあると判定されなかった場合、動作情報の補正が必要と判定され、動作情報が補正される。具体的には、ロボット制御端末2は、停車位置情報(車体接近検知センサ540(図14参照)で検知された車両と車体接近検知センサ540との距離から算出される情報)に基づいて、実測値としての基準位置の座標を算出し、実測値としての基準位置の座標に基づいて、動作情報を補正する。換言すると、実測値としての基準位置の座標が、動作情報を補正する必要がない設計値としての基準位置の座標とずれていることから、このずれを補うべく、ロボット54や搬送装置55の設計値としての基準位置の座標が補正される。なお、停車位置情報の判定は、例えば、ステップ02と平行して行うようにしてもよい。停車位置情報が判定されると、ステップ06へ進む。
【0050】
ステップ06では、放射線量の検知が行われる。具体的には、動作情報に基づいて、検知器53が車両の形状に追従して移動するようにロボット54及び搬送装置55が動作する。動作情報は、ロボット54を動作させるためのティーチングデータであり、車両の登録番号と紐づけられて、ロボット制御端末2の記録装置に格納されている。動作情報は、車両の外面や細部を複数の検査領域に区分けした検査領域毎に、検知器53が移動して放射線量を検知できるよう、ロボット54の各関節の座や各関節の回転軸回りの回転角度等が、時系列に夫々記録されている。動作情報が補正された場合には、補正後の動作情報に基づいて、検知器53が車両の形状に追従して移動するようにロボット54及び搬送装置55が動作する。
【0051】
ここで、図17は、第1実施形態に係る汚染検査画面の一例を示す。図17に示すように、検査領域は、荷台の上面がP1~P12、荷台の側面がR1~R3、L1~L3、車両の鳥居がLF、LB、RF、RB、タイヤ及びタイヤハウス付近がLT1~LT6、RT1~RT6のように区分けされている。動作情報は、図17に示す測定領域(ブロック)毎に放射線量を検出できるよう、ロボット54の各関節の座や各関節の回転軸回りの回転角度等が、時系列に夫々記録されている。測定領域(ブロック)のサイズは、検知器53に対応しており、各ブロックは、検知器53が移動せずに放射線量を検知できるようになっている。
【0052】
また、汚染検査の状況は、図17に示すように、リアルタイムで車両管理端末3の表示装置に表示される。汚染検査画面には、現在時刻、測定開始時刻、測定終了時刻、車両特定カメラ41と撮像された車両の静止画像(登録番号を含む)、車両特定カメラ41で撮像された車両の静止画像からスキャンされた車両の登録番号(ナンバープレート)、車両の輸送会社名、車体モデル(車種)、2基のロボットの現在の測定位置(ROBOT 1、ROBOT 2)、測定最大値、判定結果、緊急時通知枠、測定領域(ブロック)の図示、及び測定状況が表示されている。現在の測定位置には、測定中の測定領域(ブロック)名(例えば、P1)が表示される。現在の測定位置には、測定中の測定領域の計測値を表示するようにしてもよい。測定最大値には、1回の汚染検査における全測定値の最高値が表示される。測定最大値には、車両の登録番号、計測最大値を計測したロボット54(ROBOT 1/ROBOT 2)、計測最大値を計測した測定領域(ブロック名)及び最大値が表示される。判定結果には、設定した閾値(所定値)を全測定値が超えていなか判定した結果が表示される。全測定値が設定した閾値を超えていない場合、例えば、判定OKが表示される。全測定値の何れかが設定した閾値を超えていた場合、例えば、判定NGが表示され、測定したロボット54(ROBOT 1/ROBOT 2)、閾値を超えた測定領域(ブロック名)及び測定値が表示される。緊急時通知枠には、エリア内に人等が浸入した場合など、「緊急停止」が表示される。測定領域(ブロック)の図示では、車両と測定領域が表示され、測定領域(ブロック)は、基準値以上のブロック、測定中のブロック、測定の終わったブロックが色分けされて表示される。放射線量の検知が完了すると、検知結果が汚染検査テーブル記録され、ステップ07へ進む。
【0053】
ステップ07では、ゲート70が開閉される。具体的には、管理サーバ1によって、前方側のゲート70が開かれる。車両がエリア内から出場すると、汚染検査が終了する。
【0054】
<効果>
第1実施形態に係る汚染検査システム100によれば、検知器53が車両の形状に追従して移動するので、例えば、従来のゲート型の検査装置と比較して、検査精度を向上することができる。また、ロボット54は、予め設定した車両の動作情報に応じて制御されるので、効率よく移動(動作)することができ、検査時間を短縮することができる。また、第1実施形態に係る汚染検査システム100は、検知器53が外面用検知器531と細部用検知器532とを含む構成である。そのため、従来、手作業で行っていた車両の細部(例えば、タイヤやタイヤハウス)を含め、車両の全体を効率よく汚染検査でき、検査時間を短縮することができる。更に、汚染検査の手作業を省略又は大幅に削減できるので、作業員の安全性も向上することができる。
【0055】
また、第1実施形態に係る汚染検査システム100では、車両の停車位置情報に基づいて、動作情報の補正が必要か否か判定し、必要な場合、動作情報が補正される。これにより、車両の停車位置に応じて、ロボット54を精度よく移動させることができる。その結果、汚染検査の精度が向上する。
【0056】
第1実施形態に係る汚染検査システム100は、放射線量を検知する領域を複数の領域(ブロック)に区分けし、領域ごとに放射線量が検知されるとともに、放射線量が閾値内か否か判定され、判定結果が出力される。そのため、車両における、放射線量の状況を容易に把握することができる。
【0057】
<他の実施形態>
汚染検査システムは、車両の左前を検知する左前の停車位置測定画像センサ、車両の右前を検知する右前の停車位置測定画像センサ、車両の左後ろを検知する左後の停車位置測定画像センサ、車両の右後ろを検知する右後の停車位置測定画像センサを備える構成としてもよい。これらの画像センサにより、停車位置情報として、車両の前端、後端、左右側面、四隅の座標を取得し、車両の停車位置を特定するようにしてもよい。
【0058】
また、例えば、車両管理端末3の機能を管理サーバ1で実現するなど、管理サーバ1、ロボット制御端末2、車両管理端末3の機能は、管理サーバ1、ロボット制御端末2、車両管理端末3のうち、少なくとも何れか一つが実行するようにしてもよい。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る汚染検査システムは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・管理サーバ1、2・・・ロボット制御端末、3・・・車両管理端末、53・・・検知器、54・・・ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17