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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】モータユニットとアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/30 20160101AFI20221122BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20221122BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02K11/30
H02K7/06 A
H02K5/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018230144
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020092561
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慎平
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/168728(WO,A1)
【文献】実開平06-062768(JP,U)
【文献】国際公開第2010/073397(WO,A1)
【文献】特開平11-153459(JP,A)
【文献】特開2008-028339(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/008135(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/30
H02K 7/06
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを収容するモータカバと、
上記モータカバ内にアダプタを介して取り付けられるモータ制御用基板と、
上記モータ制御用基板に設置され上記モータ制御用基板が上記モータカバ内に取り付けられることにより上記モータカバと上記モータ制御用基板との間に押圧・保持される放熱シートと、
を具備し
上記アダプタは一対の側片とこれら一対の側片をコ字形状に連結する連結片とからなり、
上記モータ制御用基板は上記アダプタに上記コ字形状の開口部側から装着されるように構成されていて、
上記一対の側片には上記モータ制御用基板を支持するモータ制御用基板支持部が設けられていて、上記モータ制御用基板はこれらモータ制御用基板支持部と上記連結片に挟持された状態で装着されることを特徴とするモータユニット。
【請求項2】
請求項1記載のモータユニットにおいて、
上記アダプタは上記一対の側片の内何れか一方の側片側から上記モータカバ内に挿入されるものであることを特徴とするモータユニット。
【請求項3】
請求項2記載のモータユニットにおいて、
上記モータカバ内には一対のガイド部が設けられていて、
上記アダプタを上記モータカバ内に挿入する際上記一方の側片の下面と上記連結片の下面が上記ガイド部上を摺接していき、
最後に上記他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げるように構成されていることを特徴とするモータユニット。
【請求項4】
請求項3記載のモータユニットにおいて、
上記放熱シートは、上記他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げることにより、上記モータカバと上記モータ制御用基板との間に押圧・保持されるものであることを特徴とするモータユニット。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載のモータユニットにおいて、
上記アダプタには挿入時に把持する把持部が設けられていることを特徴とするモータユニット。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載のモータユニットにおいて、
上記モータカバにはエンドカバが取り付けられ、上記アダプタには位置決め用係止片が設けられていて、一方、上記エンドカバには上記位置決め用係止片が係合する位置決め用切欠部が設けられていることを特徴とするモータユニット。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載のモータユニットと、
上記モータユニットに連結され上記モータによって駆動されるアクチュエータ本体と、
を具備したことを特徴とするアクチュエータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットとアクチュエータに係り、特に、モータ制御用基板のモータカバに対する取付作業の容易化を図ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
尚、特許文献1は本件特許出願人によるものである。
まず、モータユニットがあり、このモータユニットは、モータカバと、このモータカバ内に収容・配置されたモータと、同じくモータカバ内に収容・配置されたモータ制御用基板と、等から構成されている。
【0003】
上記モータユニットにはアクチュエータ本体が連結されている。上記アクチュエータ本体はハウジングを備えていて、このハウジング内にはボールねじが収容されている。上記ボールねじは上記モータの回転軸にカップリング機構を介して連結されている。上記ボールねじにはボールナットが螺合・配置されていて、このボールナットにはスライダが固定されている。上記スライダには各種機器、ワーク等が取り付けられる。
【0004】
上記構成によると、モータを回転・駆動することにより上記ボールねじが正転・逆転し、それによって、ボールナット及びスライダが往復動する。上記スライダの往復動によりそこに取り付けられている各種機器、ワーク等が往復動する。
【0005】
上記モータ制御用基板には、モータ制御用スイッチング回路素子、その他各種の電子部品が実装されている。上記モータ制御用基板は、上記モータカバ内の所定位置に、複数組のボルト・ナット締結手段により取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-151758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、上記モータ制御用基板は、上記モータカバ内の所定位置に、複数組のボルト・ナット締結手段により取り付けられているが、その取付作業が面倒であり、多くの労力と長い作業時間を要してしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、モータ制御用基板のモータカバに対する取付作業の容易化を図ることが可能なモータユニットとアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるモータユニットは、モータを収容するモータカバと、上記モータカバ内にアダプタを介して取り付けられるモータ制御用基板と、上記モータ制御用基板に設置され上記モータ制御用基板が上記モータカバ内に取り付けられることにより上記モータカバと上記モータ制御用基板との間に押圧・保持される放熱シートと、を具備し、上記アダプタは一対の側片とこれら一対の側片をコ字形状に連結する連結片とからなり、上記モータ制御用基板は上記アダプタに上記コ字形状の開口部側から装着されるように構成されていて、上記一対の側片には上記モータ制御用基板を支持するモータ制御用基板支持部が設けられていて、上記モータ制御用基板はこれらモータ制御用基板支持部と上記連結片に挟持された状態で装着されることを特徴とするものである。
又、請求項2によるモータユニットは、請求項1記載のモータユニットにおいて、上記アダプタは上記一対の側片の内何れか一方の側片側から上記モータカバ内に挿入されるものであることを特徴とするものである。
又、請求項3によるモータユニットは、請求項2記載のモータユニットにおいて、上記モータカバ内には一対のガイド部が設けられていて、上記アダプタを上記モータカバ内に挿入する際上記一方の側片の下面と上記連結片の下面が上記ガイド部上を摺接していき、最後に上記他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるモータユニットは、請求項3記載のモータユニットにおいて、上記放熱シートは、上記他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げることにより、上記モータカバと上記モータ制御用基板との間に押圧・保持されるものであることを特徴とするものである。
又、請求項5によるモータユニットは、請求項1~請求項4の何れかに記載のモータユニットにおいて、上記アダプタには挿入時に把持する把持部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるモータユニットは、請求項1~請求項5の何れかに記載のモータユニットにおいて、上記モータカバにはエンドカバが取り付けられ、上記アダプタには位置決め用係止片が設けられていて、一方、上記エンドカバには上記位置決め用係止片が係合する位置決め用切欠部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項7によるアクチュエータは、請求項1~請求項6の何れかに記載のモータユニットと、上記モータユニットに連結され上記モータによって駆動されるアクチュエータ本体と、を具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように本願発明の請求項1によるモータユニットによると、モータを収容するモータカバと、上記モータカバ内にアダプタを介して取り付けられるモータ制御用基板と、上記モータ制御用基板に設置され上記モータ制御用基板が上記モータカバ内に取り付けられることにより上記モータカバと上記モータ制御用基板との間に押圧・保持される放熱シートと、を具備し、上記アダプタは一対の側片とこれら一対の側片をコ字形状に連結する連結片とからなり、上記モータ制御用基板は上記アダプタに上記コ字形状の開口部側から装着されるように構成されていて、上記一対の側片には上記モータ制御用基板を支持するモータ制御用基板支持部が設けられていて、上記モータ制御用基板はこれらモータ制御用基板支持部と上記連結片に挟持された状態で装着される構成になっているので、モータ制御用基板のモータカバに対する取付作業の容易化を図ることができ、モータ制御用基板のアダプタに対する取付作業も容易であり、アダプタによるモータ制御用基板の保持も確実なものとなる。
又、請求項2によるモータユニットによると、請求項1記載のモータユニットにおいて、上記アダプタは上記一対の側片の内何れか一方の側片側から上記モータカバ内に挿入されるものであるので、アダプタのモータカバへの取付作業も容易である。
又、請求項3によるモータユニットによると、請求項2記載のモータユニットにおいて、上記モータカバ内には一対のガイド部が設けられていて、上記アダプタを上記モータカバ内に挿入する際上記一方の側片の下面と上記連結片の下面が上記ガイド部上を摺接していき、最後に上記他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げるように構成されているので、当初は他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げていない分、アダプタとモータカバとの間に十分な空間が確保され、挿入作業が容易なものとなり、最終的には他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げることにより、アダプタひいてはモータ制御用基板を安定した状態で取り付けることができる。
又、請求項4によるモータユニットによると、請求項3記載のモータユニットにおいて、上記放熱シートは、上記他方の側片の下面が上記ガイド部に乗り上げることにより、上記モータカバと上記モータ制御用基板との間に押圧・保持されるものであるので、放熱効果を高めることができる。
又、請求項5によるモータユニットによると、請求項1~請求項4の何れかに記載のモータユニットにおいて、上記アダプタには挿入時に把持する把持部が設けられているので、アダプタのモータカバへの取付作業の容易化を図ることができる。
又、請求項6によるモータユニットによると、請求項1~請求項5の何れかに記載のモータユニットにおいて、上記モータカバにはエンドカバが取り付けられ、上記アダプタには位置決め用係止片が設けられていて、一方、上記エンドカバには上記位置決め用係止片が係合する位置決め用切欠部が設けられているので、アダプタひいてはモータ制御用基板を所定の位置に正確に位置決めすることができる。
又、請求項7によるアクチュエータによると、請求項1~請求項6の何れかに記載のモータユニットと、上記モータユニットに連結され上記モータによって駆動されるアクチュエータ本体と、を具備した構成になっているので、モータ制御用基板の取付作業の容易なアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの一部を分解して示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの正面図である。
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、図2のIII-III断面図である。
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、図1のIV-IV断面図である。
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、エンドカバを外した状態のアクチュエータの側面図である。
図6】本発明の一実施の形態を示す図で、図2のVI-VI断面図である。
図7】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの分解斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態を示す図で、図7のVIII部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図8を参照して本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態によるアクチュエータ1は、モータユニット3と、上記モータユニット3によって駆動されるアクチュエータ本体5と、から構成されている。
尚、本実施の形態によるアクチュエータ1はコントローラ一体型アクチュエータである。
【0013】
上記モータユニット3は次のような構成になっている。まず、モータカバ7があり、このモータカバ7は中空形状の押出成形品であり、その横断面形状は縦長の長方形形状をなしている。又、図1図4図5に示すように、上記モータカバ7には、孔9、11が長手方向に沿って延長・形成されている。
【0014】
上記モータカバ7にはエンドカバ13が取り付けられている。上記エンドカバ13には電源・信号用コネクタ15、ティーチングボックス用コネクタ17が設けられている。上記電源・信号用コネクタ15には図示しない電源・信号用ケーブルの端子が差し込まれる。又、上記ティーチングボックス用コネクタ17には図示しないティーチングボックス用ケーブルの端子が差し込まれる。又、上記エンドカバ7の図中右角部は切欠部19となっている。
【0015】
上記モータカバ7内には、図4図6に示すように、モータ21が内装されている。上記モータ21の上面側にはモータ用コネクタ26と背面側の下部にはエンコーダ用コネクタ23が設けられている。上記モータ用コネクタ26とエンコーダ用コネクタ23は後述するモータ制御用基板31に図示しないケーブルを介して接続される。一方、上記エンドカバ13内には、図3図4に示すように、通信用基板25が内装されていて、この通信用基板25には電源・信号用コネクタ15、ティーチングボックス用コネクタ17が実装されている。ここで、上記信号用基板25とモータ制御用基板31は図示しないケーブルで接続される。
【0016】
上記モータカバ7内には、図3図7に示すように、モータ制御用基板31がアダプタ33を介して取り付けられている。図4に示すように、上記モータ制御用基板31の一方の面にはモータ制御用スイッチング回路素子41a、41b、41c、41dが実装されている。図8に拡大して示すように、上記モータ制御用基板31の他方の面の上記モータ制御用スイッチング回路素子41a、41b、41c、41dに対応する箇所には、銅箔パターンからなる放熱パッド35a、35b、35c、35dが形成されているとともに、電子部品43、45、47、49、及びその他各種電子部品が実装されている。上記モータ制御用基板31において上記モータ制御用スイッチング回路素子41a、41b、41c、41dが最も発熱する部位である。
【0017】
既に述べたように、上記モータ制御用基板31はアダプタ33を介して上記モータカバ7内の所定位置に取り付けられている。上記アダプタ33は樹脂の一体成形品であり、図7図8に示すように、略コ字形状をなしていて、一対の側片51、53と、これら一対の側片51、53をコ字形状に連結する連結片55と、から構成されている。上記一対の側片51、53と、上記連結片55とによりモータ制御用基板差込口57が形成されている。
【0018】
上記側片51にはモータ制御用基板支持部61が突出・形成されており、上記側片53側にも同様のモータ制御用基板支持部61(図示を省略)が突出・形成されている。上記モータ制御用基板31は、両側のモータ制御用基板支持部61、61と上記連結片55と上記連結片55に形成された図示しないモータ制御用基板支持部とによって上下から挟み込まれた状態で、上記アダプタ33に取り付けられる。
【0019】
上記アダプタ33の側片53には把持部71が突設されている。モータ制御用基板31が保持された上記アダプタ33を上記モータカバ7内に挿入して取り付ける場合には、上記把持部71を把持して行う。又、図5図7に示すように、上記モータカバ7内には左右にガイド部73、73が段付状に設けられていて、上記アダプタ33を上記モータカバ7内に挿入する場合には、アダプタ33の左右下端面(側片51の下端面、側片53の下端面、連結片55の下端面)を上記ガイド部73、73に沿って摺接させながら押し込む。
【0020】
上記アダプタ33の側片53の上記把持部71の上には位置決め用係止片75が突設されている。一方、エンドカバ13側には位置決め用切欠部77が形成されている。上記モータ制御用基板31を上記アダプタ33を介して上記モータカバ7内に挿入して取り付けることで位置決め用係止片75がモータカバ7の端面に当接し、そこに上記エンドカバ13を取り付けることにより、上記位置決め用係止片75が上記位置決め用切欠部77に係合する。それによって、上記アダプタ33ひいては上記モータ制御用基板31を位置決めする。ここで、上記位置決め用係止片75はアダプタ33挿入時のストッパとしての機能も備えている。
【0021】
尚、上記エンドカバ13の上記モータカバ7に対する固定であるが、図7に示すように、固定用長ねじ91、固定用ねじ93、95を上記エンドカバ13越しに上記モータカバ7に螺合することにより行われる。その際、上記固定用長ねじ91はエンドカバ13の切欠部19を通って上記モータカバ7の孔11に差し込まれる。
【0022】
上記モータ制御用基板31の上記放熱パッド35a、35b、35c、35dの上には放熱シート81が設置されている。上記モータ制御用スイッチング回路素子41a、41b、41c、41dにおいて発生した熱を、この放熱シート81を介して上記モータカバ7、さらには、外部雰囲気中に放熱する。ここで、放熱シート81は側片51又は側片53の近傍に設置されることが好ましい。
【0023】
前記アクチュエータ本体5は次のような構成になっている。図1図4に示すように、まず、ベース101があり、このベース101はその横断面形状が略U字形状をなしている。上記ベース101の前端にはフロントカバ103が装着され、後端には軸受ブラケット105が連結されている。上記軸受ブラケット105は既に説明したモータカバ7に連結されている。
【0024】
上記ベース101内にはボールねじ軸107が回転可能な状態で内装されていて、このボールねじ軸107はその一端側を軸受109、111により軸支されている。上記ボールねじ軸107は既に説明したモータ21の出力軸21aにオルダム式カップリング機構113を介して連結されている。上記ボールねじ軸107にはボールねじナット115が螺合・配置されていて、上記ボールねじナット115にはスライダ117が固着されている。上記スライダ117はスライダ本体119とこのスライダ本体119の上に取り付けられたスライダカバ121等から構成されている。上記スライダ117上には様々な機器或いはワークが搭載される。
【0025】
上記ベース101の上面開口部123はステンレスシート125によって閉塞されている。上記ステンレスシート125は上記スライダ本体119とスライダカバ121の間を通って設置されている。
【0026】
上記モータ21を正転・逆転させることにより上記ボールねじ軸を同方向に回転させ、それによって、ボールねじナットひいてはスライダ117を適宜往復動させる。スライダ117の往復動によりそこに搭載されている様々な機器或いはワークが往復動して所望の作業が実行される。
【0027】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、アクチュエータ1としての通常の作用から説明する。モータ21を正転・逆転させることによりボールねじ軸107を同方向に回転させる。上記ボールねじ軸107の回転によりボールねじナット115が適宜往復動し、それによって、スライダ117が往復動する。スライダ117には各種機器、ワークが搭載されており、スライダ117が適宜往復動することによりそれら各種機器或いはワークが往復動し、それによって、所望の作業が行われる。ここで、モータ21はモータ制御用基板31から供給される電力により駆動されており、モータ21の回転はモータ21に装着されたエンコーダ27からのフィードバック信号に基づいてモータ制御用基板31により制御されている。モータ21の回転を制御することでスライダ117の位置が制御される。
【0028】
次に、モータ制御用基板31の取付作業を説明する。まず、モータ制御用基板31をモータ制御用基板差込口57を介してアダプタ33に装着する。すなわち、アダプタ33の一対の側片51、53のモータ制御用基板支持部61、61と連結片55の間に上記モータ制御用基板31を差し込む。
次に、モータ制御用基板31を保持した上記アダプタ33を上記モータカバ7内に挿入して取り付ける。すなわち、アダプタ33の左右の底面(側片51の下端面、側片53の下端面、連結片55の下端面)を上記モータカバ7のガイド部73、73に沿って摺接させながら押し込む。
【0029】
挿入初期段階では、側片51の下端面と連結片55の下端面が上記モータカバ7のガイド部73、73に摺接する。その際、連結片55側の下端面はガイド部73に常時摺接していくが、側片51の下端面はその厚みの範囲でのみガイド部73に摺接する。又、側片51と側片53の間にはガイド部73に摺接する部位はない。その為、アダプタ33の後端側(側片53側)が僅かに下がった状態での挿入作業になり、その状態は側片53の下端面がガイド部73に乗り上げて摺接し始めるまで継続される。それによって、モータカバ7とアダプタ33の間に空間を確保してアダプタ33の挿入作業性を高めている。
【0030】
挿入最終段階では、側片53の下端面がガイド部73に乗り上げて摺接し始める。それによって、それまで後端側(側片53側)が僅かに下がった状態にあったアダプタ33が水平状態になる。それによって、放熱シート81が所定量押圧された状態となり、モータカバ7の内面に密着されることになる。図6中放熱シート81の圧縮代を符号81aで示す。ここで、放熱シート81はアダプタ33の後端側(側片53側)に設置されているので、挿入最終段階に近付くまで、放熱シート81はモータカバ7の内面に接触しない。また、この時、アダプタ33の後端側(側偏53側)に突設された位置決め用係止片75がモータカバ7の端面に当接する。
後は、エンドカバ13を固定用長ねじ91、固定用ねじ93、95によって上記モータカバ7に固定する。その際、位置決め用係止片75が上記位置決め用切欠部77に係合する。それによって、上記アダプタ33ひいては上記モータ制御用基板31が位置決めされる。
【0031】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、モータ制御用基板31のモータカバ7内への取付作業を容易化することができる。これはモータ制御用基板31をアダプタ33に装着した状態でモータカバ7内に挿入して取り付けるようにしたからである。
又、上記アダプタ33は一対の側片51、53を連結片55によってコ字形状に連結した形状になっていて、そのコ字形状の開口部がモータ制御用基板差込口57になっているので、モータ制御用基板31のアダプタ33に対する装着作業も容易である。
又、モータ制御用基板31は一対の側片51、53に設けられたモータ制御用基板支持部61、61と連結片55の間に挟み込まれるようになっているので、モータ制御用基板31のアダプタ33に対する装着作業が容易であるとともにその装着状態を確実に保持することができる。
又、モータ制御用基板31を保持した上記アダプタ33をモータカバ7内に挿入する場合には、一方の側片51側から押し込むようにしており、その際、他方の側片53側が僅かに下がった傾斜状態となるので、アダプタ33とモータカバ7との間に隙間が形成され、アダプタ33の挿入作業の作業性が高くなる。
又、最終的には、他方の側片53がモータカバ7のガイド部73に乗り上げることにより、アダプタ33をタイトな状態で取り付けることができ、同時に、放熱シート81は所定量押圧された状態でモータカバ7の内面に密着された状態で取り付けられるので、高い放熱効果を提供することができる。
又、放熱シート81をアダプタ33の一方の側片の近傍に設置することで、アダプタ33のモータカバ7への挿入の挿入最終段階に近付くまで、放熱シートがモータカバ7の内面に接触せず、アダプタ33の挿入作業の作業性が高くなる。
又、アダプタ33を使用することにより、モータ制御用基板31に実装されている各種電子部品とモータカバ7の内面との間に必要な絶縁距離を確実に確保することができる。
又、エンドカバ13をモータカバ7に取り付けることにより、位置決め用係止片75が上記位置決め用切欠部77に係合し、それによって、上記アダプタ33ひいては上記モータ制御用基板31を位置決めすることができる。アダプタ33周辺に締結部を配置することなくモータ制御用基板31をモータカバ7に取り付けることができる。
尚、モータユニット3の大きさ、形状は様々であるが、アダプタ33の大きさ、形状を適宜変更することにより、モータ制御用基板31についてはこれを共通化することができる。
【0032】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
まず、アダプタの形状は図示したものに限定されるものではなく、様々な形状が考えられる。
又、前記一実施の形態の場合には、アクチュエータのモータユニットを例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、様々な機器のモータユニットに適用可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、モータユニットとアクチュエータに係り、特に、モータ制御用基板のモータカバに対する取付作業の容易化を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、各種産業用ロボットに使用されるアクチュエータに好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 アクチュエータ
3 モータユニット
5 アクチュエータ本体
7 モータカバ
31 モータ制御用基板
33 アダプタ
51 側片
53 側片
55 連結片
61 モータ制御用基板支持部
71 把持部
73 ガイド部
75 位置決め用係止片
77 位置決め用切欠部
81 放熱シート
81a 放熱シートの圧縮代
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8