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特許7180909無線システム、無線システムの制御方法および無線システムの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】無線システム、無線システムの制御方法および無線システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/38 20180101AFI20221122BHJP
   G06F 21/43 20130101ALI20221122BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20221122BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20221122BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221122BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20221122BHJP
【FI】
H04W76/38
G06F21/43
H04W12/06
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W4/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021012869
(22)【出願日】2021-01-29
(62)【分割の表示】P 2019099358の分割
【原出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2021078146
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大隅 文裕
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-158087(JP,A)
【文献】特開2013-247614(JP,A)
【文献】特開2019-080168(JP,A)
【文献】特表2018-537017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G06F 21/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるキー装置と
前記キー装置と第1の接続方法によって通信接続が確立できる距離にある機器と、
前記機器からの認証要求に基づいて、前記機器に認証の可否を返す認証サーバと、
前記機器と第2の接続方法によって通信接続が確立されているとともに、前記機器から
前記認証サーバに通信回線を介した通信接続の確立を行う、異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置と、を備え、
前記機器は、前記認証サーバでの認証を求める際に、前記キー装置の識別情報と、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置の識別情報と、前記機器の識別情報を用いて、前記認証サーバへの認証要求を行い、
前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置は、前記機器と、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置との間で前記第2の接続方法により通信接続が確立された後に、所定の時間内に前記認証サーバによる認証がなされない場合には、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置により確立された通信接続を切断し、
前記認証サーバが前記機器を認証した場合には、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置により前記通信回線との通信接続が確立されている状態を継続する、
無線システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線システムの制御方法であって、
移動体に搭載される前記キー装置と前記第1の接続方法によって通信接続が確立できる距離にある機器が、前記第1の接続方法によって前記キー装置と通信接続を確立し、
前記機器が、前記第2の接続方法によって、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置と通信接続を確立し、
前記機器は、前記認証サーバでの認証を求める際に、前記キー装置の識別情報と、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置の識別情報と、前記機器の識別情報を用いて、前記認証サーバへの前記認証要求を行い、
通信回線を介して前記機器から認証サーバに送られた前記認証要求に基づいて、前記認証サーバが前記機器前記認証の可否を返し、
前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置は、前記機器と、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置との間で前記第2の接続方法により通信接続が確立された後に、前記所定の時間内に、前記認証サーバによる認証がなされない場合には前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置により前記確立された通信接続を切断し、
前記認証サーバが前記機器を認証した場合には、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置との前記確立された通信接続を継続する
無線システムの制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の無線システムの制御プログラムであって、
移動体に搭載される前記キー装置と前記第1の接続方法によって通信接続が確立できる距離にある機器が、前記第1の接続方法によって前記キー装置と通信接続を確立し、
前記機器が、前記第2の接続方法によって前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置と通信接続を確立し、
前記機器は、前記認証サーバでの認証を求める際に、前記キー装置の識別情報と、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置の識別情報と、前記機器の識別情報を用いて、前記認証サーバへの前記認証要求を行い、
前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置は、前記機器と、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置との間で前記第2の接続方法により通信接続が確立された後に、前記機器前記所定の時間内に前記認証サーバにより認証されない場合には、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置により前記確立された通信接続を切断し、
前記機器が前記認証サーバにより認証された場合には、前記異なるネットワークを相互に接続する機能を有する装置は、前記通信回線との前記確立された通信接続を継続させる
無線システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線WAN(Wide Area Network)-無線LAN(Local Area Network)ルータ装置(以下、無線ルータ装置)の無線WANの起動を制御して、利用制限を行う発明に関する。特に、車両内のUSBポートに接続して使用することを想定したUSB型無線ルータ装置を用い、使用条件を接続サービス契約者の持つスマートフォン等の端末が存在する状態で、かつ、契約者が所有する車両の車内において無線システムの利用を限定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線WAN(LTE:Long Term EvolutionやWiMAXなど)を利用してインターネットへ接続する為には、ほとんどの場合、通信事業者と契約を結んで通信料を支払う必要がある。また、昨今のコネクテッドカーの普及に伴い、車両の情報を無線WAN回線と通して収集するという方法が広まりつつある。
【0003】
この場合、自動車メーカーはユーザと契約してユーザの所有する車両から走行情報などを収集し、WAN回線の使用料は自動車メーカーが負担する場合がある。この時、WAN回線接続用のデバイスとして無線ルータ装置を使うことで、車両情報の収集だけでなく、車内での無線LANによるインターネット接続も可能となり、契約ユーザへのインターネット接続サービスを提供することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-280310号公報
【文献】特開2014-123843号公報
【文献】特開2017-225184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自動車メーカーとしては利用範囲を契約者と契約者が登録した車両に限定させたいという考えがある。一方で無線ルータ装置のデバイス形態として、USBから給電するものが取り扱いやすいが、USBは汎用インターフェイスである為、他の車両やPCなどに接続することでインターネット回線が利用できてしまい、利用者や利用範囲を制限することが難しいという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、車内かつ契約者がいる状態でのみ使用できる無線システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係る無線システムは、車両に搭乗する搭乗者が所持する端末と、前記車両に搭載されており、前記端末と第1の接続方法によって接続されるキー装置と、前記端末からの認証要求に基づいて、前記端末に認証の可否を返す認証サーバと、前記端末と第2の接続方法によって接続されているとともに、前記端末から前記認証サーバに通信回線を介した通信を行う無線ルータと、を備え、前記無線ルータは、所定の時間内に前記認証サーバによる認証がなされない場合に、前記通信回線への接続を切断するタイマーを有し、前記端末からの認証要求に応じて前記認証サーバで認証された場合には、前記タイマーを解除し、前記通信回線が接続されている状態を継続する。
【0008】
また、一実施の形態に係る無線システムの制御方法は、車両への搭乗者が所持する端末に対して、第1の接続方法によってキー装置を接続し、前記端末に対して、第2の接続方法によって無線ルータを接続し、通信回線を介して前記端末から認証サーバに送られた認証要求に基づいて、前記認証サーバが前記端末に認証の可否を返し、前記無線ルータは、タイマーにより設定した所定の時間内に、前記認証サーバによる認証がなされない場合には前記通信回線への接続を切断し、前記認証サーバで前記端末が認証された場合には、前記タイマーを解除して前記通信回線への接続を継続する。
【0009】
また、一実施の形態に係る無線システムの制御プログラムは、第1の接続方法によってキー装置と接続し、第2の接続方法によって無線ルータと接続する端末が、実行する無線システムの制御プログラムにおいて、前記端末が通信回線を介して認証サーバに認証要求を送信し、前記認証サーバから認証の可否を受信することで、前記端末が前記認証サーバにより認証された場合には、前記無線ルータが実行する、所定の時間内に解除されない場合に前記通信回線を切断するためのカウントを実行しているタイマーの動作を、解除する。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、車内かつ契約者がいる状態でのみ使用できる無線システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかる無線システムの概要図である。
図2】実施の形態1にかかる車両内の構成を示す図である。
図3】実施の形態1にかかる認証が成功する場合のシーケンス図である。
図4】実施の形態1にかかる認証が失敗する場合のシーケンス図である。
図5】実施の形態1にかかる無線ルータの動作のフローチャートである。
図6】実施の形態3にかかるシーケンス図である。
図7】実施の形態4にかかるシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
図1は、本発明の概要と無線システムの構成を示す図である。図2は、端末を所持する人が搭乗する車両内に配置されている無線システムの構成の一例を示す図である。以下では、図1及び図2を用いて本発明装置の構成を説明する。
【0013】
図1に示すように、無線システムは、コネクトアプリ101がインストールされたスマートフォン等の端末100と、Display Audio(DA)などを利用したキー装置102と、認証サーバ103と、無線ルータ105と、を備える。なお、以下では、通信回線とは、WAN及びLANの少なくとも一方を含むものとして説明する。また、端末100は、以下ではスマートフォン100として説明する。
【0014】
スマートフォン100は、車両に搭乗する人が所有する端末である。スマートフォン100にインストールされたコネクトアプリ101の機能により、Bluetooth接続(第1の接続方法)を用いてキー装置102と接続可能である。またスマートフォン100は、コネクトアプリ101により、無線LAN(第2の接続方法)を介して無線ルータ105と接続可能である。またコネクトアプリ101では、スマートフォン100に関連付けられたIDを記憶している。なおこのIDは、例えば、スマートフォン100の所有者固有の契約者IDである。さらに、スマートフォン100は、コネクトアプリ101を介して、外部に設置されている認証サーバ103に対して認証の問い合わせや、認証結果の受信を実行できる。
【0015】
キー装置102は、車両に搭載されており、MACアドレスを有する機器である。キー装置102には、後に詳述するDisplay Audio(DA)200(図2参照)やカーナビを用いることができる。なお以下では、キー装置102から無線ルータ105に対して給電を行うとともに、キー装置102としてDAを用いることとして説明する。
【0016】
認証サーバ103には、スマートフォン100の契約者ID、車両に用いられている無線ルータの104のMACアドレス、及び、キー装置102として用いられているDAのMACアドレスの組み合わせを、あらかじめ記憶しているサーバである。例えば、認証サーバ103は、スマートフォン100とWANを介してデータの送受信を行い、認証の動作を実行する。より具体的には、スマートフォン100は認証サーバ103に対して認証の要求を行い、認証サーバ103は認証の可否をスマートフォン100に返すことができる。
【0017】
無線ルータ105は、無線LANを介してスマートフォン100に接続されており、スマートフォン100の認証サーバ103からの認証状態に基づいて、WAN接続等の状態を変更する。なお無線ルータ105は、スマートフォン100に対して認証サーバ103で認証を受けるように信号を出力する。さらに、無線ルータ105では、認証待ち状態を所定の時間だけ継続し、所定時間経過後に自動的に通信回線との接続を切断するタイマーを有している。ここで、無線ルータ105は、図2における無線WANルータ210と同一であり、無線ルータ105の構成については後に詳述する。
【0018】
ここで図2に示すように、車両には、車両を限定するキー装置となるDisplay Audio(DA)200と無線、WAN機能を有する無線WANルータ210と、車のイグニッションとの連動部220、とが配置されている。
【0019】
DA200は、例えば約7インチの液晶ディスプレイを有し、スマートフォン等との接続機能を有するとともに、スマートフォン側に備えられたソフトウェアを用いて、情報表示などの各種の機能を実行することができる。後述するように、DA200では、スマートフォンにインストールされたアプリケーション(コネクトアプリ)を用いて、WAN接続を制御する。
【0020】
DA200は、イグニッションと連動する電源部201と、外部給電可能なUSB電源204と、Display Audio機能部(DA機能部)202と、Bluetooth部203、とにより構成される。
【0021】
電源部201は、車のエンジン始動や電気系統の制御するスイッチであるイグニッションと連動する。例えば、車に搭乗した搭乗者による操作に基づいて、DA200の電源をON状態にする。
【0022】
USB電源204は、DA200に接続されたスマートフォン等の機器に対して電力の供給を行う。例えば、USB電源204は、無線WANルータ210に対して電力を供給する。
【0023】
DA機能部202は、例えば、ラジオ、音楽CDの再生だけでなく、携帯音楽プレーヤとの接続等の機能を有する。なお、DA機能部202が有する機能は、これらに限られない。
【0024】
Bluetooth部203は、スマートフォン100(図1参照)に対してBluetooth(登録商標)を用いて接続する機能を有する。典型的には、Bluetooth部203による接続方法(第1の接続方法)は、近距離無線通信に分類され、Wifi通信等に比べて電波が弱いという特徴があり、車両から離れた場合に通信できない状態とすることができる。すなわち、Bluetooth部203による通信を車両内に限定することができる。
【0025】
無線WANルータ210は、DA200のUSB電源204から電源供給を受ける電源部214と、無線LAN通信部212と、WiMAX,LTEなどの無線WAN通信部213と、無線LAN通信部212の動作制御や、無線WAN通信部213の動作制御、タイマー制御が可能なCPU+メモリ部211と、により構成される。例えばこの無線WANルータ210は、図1における無線ルータ105と同一である。
【0026】
例えば、無線WANルータ210は、無線LAN子機機能を備えた端末との間を、電波を用いて通信することにより、端末からWANに接続することを可能とする。
【0027】
より具体的には、無線LAN通信部212は、限られた範囲内にある機器について無線電波を用いて接続し、相互にデータ通信をするための通信機能を有する。すなわち、無線LAN通信部212は、LANネットワークへの接続を制御する。なお、ここで限られた範囲にある機器とは、例えば車両内に存在する機器である。
【0028】
無線WAN通信部213は、遠隔地と繋がるネットワークに対して無線電波で接続し、相互にデータ通信をするための通信機能を有する。すなわち、無線WAN通信部213は、インターネット等のWANに接続するための機能を有する。
【0029】
CPU+メモリ部211は、無線LAN通信部212と無線WAN通信部213の動作制御を行うとともに、WAN切断タイマーとしての機能を有する。無線WANルータ210では、後述するように、所定の時間内にWAN切断タイマーを解除するための信号が入力されなかった場合に、WANへ接続を切断する。
【0030】
ここで、図3に示したシーケンス図を用いて実施例の動作を説明する。図3では、スマートフォンから認証サーバへの認証要求を行った際に認証が成功し、WAN接続が維持されるパターンについて説明する。なお以下では、無線LANをWLAN(Wireless LAN)として説明する。
【0031】
なお図3におけるDisplay Audio301は図2におけるDA200に対応する。図3におけるスマートフォンコネクトアプリ(コネクトアプリ)302は、図1のコネクトアプリ101に対応する。図3における無線ルータ303は、図1の無線ルータ105及び図2の無線WANルータ210に対応する。図3の認証サーバ304は、図1の認証サーバ103に対応する。
【0032】
まずユーザ操作300により車両のイグニッションをON(310)すると、Display Audio(DA)301に電力が供給される。さらにDA301から、USB電源を介して無線ルータ303に電力が供給される。すなわちユーザの操作によって、DA301と、無線ルータ303のそれぞれが起動を開始する(311)。
【0033】
スマートフォンにインストールされたコネクトアプリ302が起動された状態になる(312)。ここで、コネクトアプリ302はスマートフォンの契約者固有のID情報を保有している。
【0034】
コネクトアプリ302の起動(312)後、コネクトアプリ302はBluetooth接続をDA301に要求して接続を確立する。このBluetooth接続を確立後、コネクトアプリ302は、DA301のBluetoothのMACアドレスを取得する。
【0035】
続いて、WLANの接続を無線ルータ303に要求し、WLAN接続を確立する。WLAN接続を確立後、コネクトアプリ302は、無線ルータ303のMACアドレスを取得する。
【0036】
また無線ルータ303は、電源起動後(313)、WLANとWANを起動して、一台目の無線LAN子機との接続を確立するとともに、WAN切断タイマーをセットする。ここで、一台目の無線LAN子機とは、スマートフォンであるものとして説明する。
【0037】
コネクトアプリ302は、DA301とのBluetooth接続、及び、無線ルータ303との接続完了後、契約者のID、DA301のMACアドレス、無線ルータ303のMACアドレスを、認証サーバ304に問い合わせる(314)。
【0038】
なお、このコネクトアプリ302からの認証サーバ304への問い合わせにかかるデータの送受信は、スマートフォンからの直接のパケット通信によってではなく、無線ルータ303を用いたWANを介する接続により実行可能である。
【0039】
認証サーバ304は、登録されている情報とコネクトアプリ302から伝送された情報の一致を確認し、一致した場合は認証成功としてコネクトアプリ302に通知する。
【0040】
認証サーバ304での認証成功の通知を受けたコネクトアプリ302は、無線ルータ303に対して、WAN切断タイマーで行っているカウントの解除を行う信号を出力する。これにより、無線ルータ303では、WAN切断タイマーの解除を行い、そのまま無線ルータ303が使用可能となり、WANに接続している状態が継続される。
【0041】
次に、図4を用いて、スマートフォンから認証サーバへの認証要求を行った際に認証が失敗して、WAN接続が切断されるパターンについて説明する。
【0042】
ここで、図4に示したユーザ操作400、Display Audio(DA)401、スマートフォンコネクトアプリ402、無線ルータ403、認証サーバ404は、図3のユーザ操作300、Display Audio301、スマートフォンコネクトアプリ302、無線ルータ303、認証サーバ304に対応する。
【0043】
また図4において、利用可否問い合わせ(410)までの動作は、図3と同様である。
【0044】
すなわち、無線ルータ403は、電源起動後、WLANとWANを起動して、一台目の無線LAN子機との接続を確立するとともに、WAN切断タイマーをセットする。
【0045】
コネクトアプリ402は、DA401とのBluetooth接続、及び、無線ルータ403との接続完了後、契約者のID、DA401のMACアドレス、無線ルータ403のMACアドレスを、認証サーバ404に問い合わせる。
【0046】
認証サーバ404は、コネクトアプリ402から送られた情報が、認証サーバ404に記憶されている登録情報と不一致であると判定した場合、認証失敗としてコネクトアプリ402に通知する。
【0047】
コネクトアプリ402では、ユーザに対して認証ができなかった旨のエラーを通知する。
【0048】
無線ルータ403はWAN切断タイマーが満了となった後に、WAN接続を切断する。これにより、無線ルータ403を介したWANの利用が不可となる。
【0049】
ここで、図5は無線ルータの動作のフローを示す図である。無線ルータでは、起動とともにWAN接続を行い(500)、WAN接続を切断するWAN切断タイマーをセットしておく(501)。その後、WAN切断タイマーが解除されたか否かの判定を行い、WAN切断タイマーが解除された場合には(502でYes)、WAN接続を継続する(505)。WAN切断タイマーが解除されない場合には(502でNo)、現在の経過時間tがあらかじめ定めた所定の時間T内であるか否か判定し、経過時間tが所定時間T内であれば(503でYes)、WAN切断タイマーが解除されたか否かの判定を繰り返す。経過時間tが所定の時間Tを越えていた場合には(503でNo)、WAN接続を切断する(504)。
【0050】
このようにして、認証サーバでの認証に基づいて、無線ルータの使用を制限することが出来る。このとき、WANを利用するための認証キーの1つとなるキー装置として車両に固定されているDAやカーナビを用いることで、無線通信利用制限の範囲を、これらのキー装置を備える車両に限定することができる。
【0051】
さらに、スマートフォンにインストールされたアプリケーションを利用条件とすることで、利用者を限定できる。したがって、車内かつ契約者がいる状態でのみ使用できる無線システムを提供することができる。
【0052】
さらに、端末から認証サーバへの認証要求は、無線ルータを介して実行できる。これにより、スマートフォンから認証サーバに対してパケット通信を行う場合に発生しうる通信速度の低下や、通信制限がある場合の影響を回避できる。
【0053】
さらに、無線ルータの起動完了後に、すぐに無線通信が使用可能の状態になること、及び、無線通信の利用制限を同時に実現できる。
【0054】
実施の形態2
実施の形態1では、無線ルータ105はWANを切断するためのWAN切断タイマーを有しているものとして説明したが、WAN切断タイマーに代えて、LANを切断するLAN切断タイマーとしても良い。
【0055】
これにより、認証サーバ103によって認証を受けられなかった機器は、無線ルータ105を介したWANだけでなく、利用者が搭乗している車両内に構築されているLANの利用ができないように制限される。
【0056】
実施の形態3
実施の形態1に示した装置構成に対して、コネクトアプリ101とキー装置102として用いているDAとのBluetooth接続が切断された場合に、WAN切断タイマーを再セットする仕組みを追加することができる。
【0057】
ここで、図6に示すユーザ操作600、Display Audio(DA)601、スマートフォンコネクトアプリ602、無線ルータ603、認証サーバ604は、図3のユーザ操作300、Display Audio301、スマートフォンコネクトアプリ302、無線ルータ303、認証サーバ304に対応する。
【0058】
図6に示すように、Bluetoothが切断される(610)と、コネクトアプリ602は無線ルータ603に対してWAN切断タイマーの開始を要求する。無線ルータ603は、WAN切断タイマー開始の要求に基づいて、WAN切断タイマーのセットを実行する。
【0059】
その後、DA601と、コネクトアプリ602がBluetoothで再接続された場合には、再び認証サーバ604へ問い合わせを実行し、利用可の場合はWAN切断タイマーを解除する。
【0060】
これにより、スマートフォンを持ってDAから離れる、つまり車外に出るなどした場合は、無線ルータの利用を停止することができる。
【0061】
実施の形態4
実施の形態1に示した装置構成に対して、さらに車両の乗り降りの際に再認証不要で、無線通信を利用できる仕組みを追加する構成について説明する。
【0062】
ここで、図7に示すユーザ操作700、Display Audio(DA)701、スマートフォンコネクトアプリ702、無線ルータ703、認証サーバ704は、図3のユーザ操作300、Display Audio301、スマートフォンコネクトアプリ302、無線ルータ303、認証サーバ304に対応する。
【0063】
図7において、イグニッションをOFF(710)すると、DA701および無線ルータ703は電源がOFFされた状態となり、Bluetooth、無線LANがそれぞれ切断される。
【0064】
ここで、DA701とのBluetooth接続、及び無線ルータ703との無線LANの両方の接続が切断されたときに、コネクトアプリ702は、エンジンが切られたと判断してDA701のMACアドレスと、無線ルータ703のMACアドレスと、現在の位置情報を取得する。位置情報の取得には一般的にスマートフォンが有している機能を使用する。例えば位置情報の取得には、GPS(Global Positioning System)を利用できる。なお、ここでは、接続が切断される前の状態において、DA701のMACアドレスと、無線ルータ703のMACアドレスと、を用いて、認証サーバ704で認証が行われていたものとする。
【0065】
その後、再びイグニッションがON(711)された場合、DA701のMACアドレス及び無線ルータ703のMACアドレスの取得までは実施の形態1と同様のシーケンスである。
【0066】
コネクトアプリ702は、MACアドレス取得後、現在の位置情報を取得する。そして、Bluetooth、無線LANの両者が切断されたときにコネクトアプリ702に記録された、MACアドレス及び位置情報を照合し、比較する(712)。
【0067】
これらのDA701のMACアドレス、無線ルータ703のMACアドレス、位置情報がそれぞれ一致した場合には、コネクトアプリ702は、認証済みの装置構成に変化がなく、人が車両に対して乗降のみを行ったものと判断する。したがって、コネクトアプリ702では、認証サーバ704への問い合わせを行わずに、無線ルータ703に対してWAN切断タイマーを解除する信号を出力する。
【0068】
これにより、車両への乗降のみである場合には、位置情報を利用することによって、認証サーバへの問い合わせを行わずに、無線通信が継続利用可能となる。
【0069】
一方、これらのDA701のMACアドレス、無線ルータ703のMACアドレス、及び位置情報が、接続の切断前と切断後で一致しない場合には、実施の形態1と同様に、認証サーバ704に問い合わせを行うシーケンスを実行できる。
【0070】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0071】
例えば、コネクトアプリがインストールされている端末はスマートフォンであるものとして説明したが、端末の使用者のIDの取得し、DAのMACアドレスを記憶し、無線ルータのMACアドレスを記憶可能であるとともに、少なくとも無線ルータを介した通信が可能である端末であればよく、スマートフォンに限られない。
【0072】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明に用いたタイマー以外の任意の処理についても、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0073】
100 端末(スマートフォン)
101 コネクトアプリ
102 キー装置
103 認証サーバ
105 無線ルータ
200 Display Audio(DA)
201 電源部
202 Display Audio機能部(DA機能部)
203 Bluetooth部
204 USB電源
210 無線WANルータ
211 メモリ部
212 無線LAN通信部
213 無線WAN通信部
214 電源部
220 連動部
300 ユーザ操作
301 Display Audio(DA)
302 コネクトアプリ
303 無線ルータ
304 認証サーバ
400 ユーザ操作
401 Display Audio(DA)
402 コネクトアプリ
403 無線ルータ
404 認証サーバ
600 ユーザ操作
601 Display Audio(DA)
602 コネクトアプリ
603 無線ルータ
604 認証サーバ
701 Display Audio(DA)
700 ユーザ操作
702 コネクトアプリ
703 無線ルータ
704 認証サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7