(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】水改質装置、水改質システム、マグネシウム粒収容体、改質水の製造方法および洗浄装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
C02F1/68 520B
C02F1/68 510A
C02F1/68 510H
C02F1/68 530A
C02F1/68 530C
(21)【出願番号】P 2021075559
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2020082836の分割
【原出願日】2020-05-08
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019144003
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508141689
【氏名又は名称】株式会社宮本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆
(72)【発明者】
【氏名】郭 春峰
(72)【発明者】
【氏名】酒井 直人
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-007513(JP,A)
【文献】特開2005-013862(JP,A)
【文献】特開2004-275929(JP,A)
【文献】特開2000-202464(JP,A)
【文献】特開2011-131182(JP,A)
【文献】特開平09-122661(JP,A)
【文献】特開2003-024956(JP,A)
【文献】登録実用新案第3150470(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/68
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
複数のマグネシウム粒を収容し、前記本体に対して取り外しが可能な収容部と、
水の流路から前記収容部に対して水を噴出させるスリットと、
前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、前記スリットから当該収容部に噴出する水によって撹拌させる撹拌部と、
前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる流出部と、
を備え
、
前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする水改質装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記本体の下側に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の水改質装置。
【請求項3】
前記収容部に水を供給する供給部を備え、
前記供給部および前記流出部は、前記本体に設けられることを特徴とする請求項2に記載の水改質装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記複数のマグネシウム粒を充填可能な領域内に、複数のマグネシウム粒が充填されない非充填領域を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水改質装置。
【請求項5】
前記流路は、前記複数のマグネシウム粒に囲われるように設けられ、
前記スリットは、前記流路の下側に設けられることを特徴とする請求項1記載の水改質装置。
【請求項6】
前記流路は、前記収容部の半径方向内側であって当該収容部の軸方向に沿って設けら
れることを特徴とする請求項1記載の水改質装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水改質装置が複数連結されたことを特徴とする水改質システム。
【請求項8】
水の流路から収容部に対して水を噴出させるスリットから噴出する水によって当該収容部内に収容されるマグネシウム粒を撹拌させる水改質装置に対して着脱可能に設けられるマグネシウム粒収容体であって、
前記スリットから噴出する水によって前記マグネシウム粒を移動可能に保持する保持部と、
前記保持部に設けられ、前記水改質装置との接続箇所を形成する接続部と、
を備え
、
前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とするマグネシウム粒収容体。
【請求項9】
前記保持部は、金属製であって複数の孔を有していることを特徴とする請求項8に記載のマグネシウム粒収容体。
【請求項10】
水を改質する水改質装置に着脱可能に設けられるマグネシウム粒収容体であって、
複数のマグネシウム粒を収容する収容部と、
前記複数のマグネシウム粒に囲まれる領域を有する流路と、
前記流路に設けられ、前記収容部内に水を噴出させるスリットと、
を備え
、
前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とするマグネシウム粒収容体。
【請求項11】
本体に対して取り外しが可能であって複数のマグネシウム粒が収容される収容部内にスリットから水を噴出させる工程と、
前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、当該収容部に噴出する水によって撹拌させる工程と、
前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる工程と、
を備え
、
前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする改質水の製造方法。
【請求項12】
複数のマグネシウム粒に囲まれる領域を有する流路に設けられるスリットから、当該複数のマグネシウム粒を収容する収容部内に水を噴出させる工程と、
前記複数のマグネシウム粒に接触した水を前記収容部から流出させる工程と、
を備え
、
前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする改質水の製造方法。
【請求項13】
複数のマグネシウム粒を収容し、本体に対して取り外しが可能な収容部と、
前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、水の流路から水を噴出させるスリットにより当該収容部に噴出する水によって撹拌させる撹拌部と、
前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる流出部と、
前記流出部から流出する水を用いて対象を洗浄する洗浄部と、
を備え
、
前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水改質装置、水改質システム、マグネシウム粒収容体、改質水の製造方法および洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化マグネシウムが溶出した水を、例えば、洗濯水などに利用することが行われている。例えば、特許文献1には、複数個の、金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒子(マグネシウム粒子)を、水を透過する網体で封入してなる本件発明の洗濯用洗浄補助用品を、洗濯用洗剤とともに洗濯機の洗濯槽に投入し被洗濯物を洗濯することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マグネシウム粒と水とを接触させることで、水酸化マグネシウムを含む水を得ることができる。ここで、マグネシウム粒と水との接触を効果的に行うことができれば、水酸化マグネシウムを含む水の作成効率を高めることが可能になる。
本発明は、マグネシウム粒と水とを効果的に接触させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、本体と、複数のマグネシウム粒を収容し、前記本体に対して取り外しが可能な収容部と、水の流路から前記収容部に対して水を噴出させるスリットと、前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、前記スリットから当該収容部に噴出する水によって撹拌させる撹拌部と、前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる流出部と、を備え、前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする水改質装置である。
また、前記収容部は、前記本体の下側に取り付けられることを特徴とすることができる。
さらに、前記収容部に水を供給する供給部を備え、前記供給部および前記流出部は、前記本体に設けられることを特徴とすることができる。
またさらに、前記収容部は、前記複数のマグネシウム粒を充填可能な領域内に、複数のマグネシウム粒が充填されない非充填領域を有することを特徴とすることができる。
また、前記流路は、前記複数のマグネシウム粒に囲われるように設けられ、前記スリットは、前記流路の下側に設けられることを特徴とすることができる。
さらに、前記流路は、前記収容部の半径方向内側であって当該収容部の軸方向に沿って設けられることを特徴とすることができる。
また、かかる目的のもと、本発明は、これらの記載の水改質装置が複数連結されたことを特徴とする水改質システムである。
さらに、かかる目的のもと、本発明は、水の流路から収容部に対して水を噴出させるスリットから噴出する水によって当該収容部内に収容されるマグネシウム粒を撹拌させる水改質装置に対して着脱可能に設けられるマグネシウム粒収容体であって、前記スリットから噴出する水によって前記マグネシウム粒を移動可能に保持する保持部と、前記保持部に設けられ、前記水改質装置との接続箇所を形成する接続部と、を備え、前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とするマグネシウム粒収容体である。
ここで、前記保持部は、金属製であって複数の孔を有していることを特徴とすることができる。
またさらに、かかる目的のもと、本発明は、水を改質する水改質装置に着脱可能に設けられるマグネシウム粒収容体であって、複数のマグネシウム粒を収容する収容部と、前記複数のマグネシウム粒に囲まれる領域を有する流路と、前記流路に設けられ、前記収容部内に水を噴出させるスリットと、を備え、前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とするマグネシウム粒収容体である。
また、かかる目的のもと、本発明は、本体に対して取り外しが可能であって複数のマグネシウム粒が収容される収容部内にスリットから水を噴出させる工程と、前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、当該収容部に噴出する水によって撹拌させる工程と、前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる工程と、を備え、前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする改質水の製造方法である。
さらに、かかる目的のもと、本発明は、複数のマグネシウム粒に囲まれる領域を有する流路に設けられるスリットから、当該複数のマグネシウム粒を収容する収容部内に水を噴出させる工程と、前記複数のマグネシウム粒に接触した水を前記収容部から流出させる工程と、を備え、前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする改質水の製造方法である。
またさらに、かかる目的のもと、本発明は、複数のマグネシウム粒を収容し、本体に対して取り外しが可能な収容部と、前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、水の流路から水を噴出させるスリットにより当該収容部に噴出する水によって撹拌させる撹拌部と、前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる流出部と、前記流出部から流出する水を用いて対象を洗浄する洗浄部と、を備え、前記収容部は軸方向を有する構造であり、前記スリットは当該収容部の当該軸方向に対して斜めに形成されていることを特徴とする洗浄装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上記構成を採用しない場合に比べて、マグネシウム粒と水とをより効果的に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の水改質装置の全体斜視図である。
【
図3】(A)および(B)は、第1実施形態の撹拌部の斜視図および断面図である。
【
図4】(A)~(C)は、第1実施形態の水改質装置の動作の説明図である。
【
図5】(A)~(C)は、第1実施形態の水改質装置の着脱操作の説明図である。
【
図7】第2実施形態のカートリッジの全体斜視図である。
【
図8】(A)~(C)は、第2実施形態の水改質装置の着脱操作の説明図である。
【
図9】第1変形例の撹拌部の斜視図および断面図である。
【
図11】(A)および(B)は、第3変形例の撹拌部の斜視図および断面図である。
【
図13】本実施形態が適用される水改質システムの全体図である。
【
図14】本実施形態が適用される洗濯機の全体図である。
【
図15】本実施形態が適用されるシンク装置の全体図である。
【
図16】本実施形態が適用される食器洗浄機の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の水改質装置1の全体斜視図である。
図2は、第1実施形態の水改質装置1の断面図である。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態の水改質装置1は、本体を構成する本体部10と、本体部10に対してユーザにより着脱可能に構成されるとともに水およびマグネシウム粒100(
図2参照)を収容する収容部20と、マグネシウム粒100を撹拌させる撹拌部30(
図2参照)と、を備えている。
ここで、本実施形態の説明において、水改質装置1の長手方向を「軸方向」と呼ぶ。そして、水改質装置1は、水改質装置1の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。
【0011】
本実施形態のマグネシウム粒100は、例えば金属マグネシウム(Mg)単体を50重量%以上含有する粒を用いることができる。なお、マグネシウム粒100において、金属マグネシウム単体が含まれる割合は、より高い方が好ましい。
【0012】
そして、水改質装置1は、マグネシウム粒100に水を接触させることによって、マグネシウムと水とを反応させる。マグネシウムと水とが反応することで、マグネシウム粒100に接触した水には、水素(H2)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)とが含まれる。なお、本実施形態において、マグネシウム粒100に接触した水のことを「改質水」と呼ぶ。
【0013】
また、
図1に示すように、本実施形態の収容部20には、例えば、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)などのマグネシウム(Mg)とは異なる金属の金属粒200が収容される。金属粒200は、収容部20に収容される複数のマグネシウム粒100の個数に対し、例えば1%以上10%以下の割合で含めることが好ましい。そして、例えば、金属粒200として銀(Ag)や銅(Cu)を用いた場合には、金属イオンによる殺菌作用を改質水にもたせることができる。また、例えば金属粒200として鉄(Fe)を用いた場合には、マグネシウムを水に溶出させるための反応を促進することができる。
【0014】
改質水は、pHが例えば約8~11となるアルカリ性であり、洗浄作用や殺菌作用を有する。従って、改質水は、洗濯水やプールの水などの用途に利用することができる。特に、改質水には、水素(H2)がファインバブル(例えば、直径が100μm以下の気泡)として含まれる。このファインバブルの効果により、改質水の洗浄作用がさらに高められる。また、改質水は、水酸化マグネシウムおよびマグネシウムイオンが含まれるため、美肌効果が期待できる。従って、改質水は、入浴水などの用途に利用することができる。さらに、改質水は、植物にとって必要な水酸化マグネシウムおよびマグネシウムイオンを含む。そのため、改質水は、例えば農業や園芸などにおいて植物の肥料などの用途に利用することができる。
以下、上述した改質水を作る水改質装置1について具体的に説明する。
【0015】
(本体部10)
図1に示すように、本体部10は、収容部20の開口部21(
図2参照)を覆う覆部11と、収容部20に水を流入させる流入部12と、マグネシウム粒100に接触した水を収容部20から流出させる流出部13と、本体部10を設置するための固定部材が接続される被固定部14と、を備える。
【0016】
覆部11は、略円盤状に形成される。そして、覆部11は、収容部20の上側に設けられる。また、
図2に示すように、覆部11は、内側に雌ネジ11nを有している。さらに、覆部11は、開口部21と対向する箇所に、第1シール部材111を有している。第1シール部材111は、覆部11に設けられる環状溝11tに嵌め込まれている。そして、覆部11は、雌ネジ11nを介して収容部20と接続することで、収容部20の上側を覆う。また、第1シール部材111は、本体部10と収容部20とが接続された状態で、覆部11と開口部21との接続箇所から水が流出しないように封止する。
【0017】
図2に示すように、流入部12は、流入ホース121と、流入ホース121および流路部31(後述)とをつなぐ流入経路部122とを有する。そして、流入部12は、外部から供給される水を、流路部31を介して収容部20内に流入させる。
なお、本実施形態において、流入部12は、「供給部」の一例である。
【0018】
流入ホース121は、一方が流入経路部122と接続し、他方にて水道の蛇口あるいは水道につながる水道ホースと接続する。そして、流入ホース121は、水道から供給される水道水を流入経路部122に流す。
【0019】
なお、本実施形態の水改質装置1で用いる水は、含まれる不純物が少ないことが好ましい。本実施形態では、例えば水道水を用いているが、フィルタにより懸濁物質を除去した後の井水や工業用水を用いてもよい。さらに、水改質装置1では、水中に含まれるイオンを除去した脱イオン水や蒸留水を用いてもよい。ただし、含まれる不純物が少ないという観点からは、水改質装置1で用いる水には、脱イオン水や蒸留水を用いることが好ましい。
【0020】
流入経路部122は、一方にて流入ホース121に接続し、他方に後述の流路部31との接続箇所を形成する嵌合部123を有する。
嵌合部123は、流路部31の外径よりも若干大きい内径を有している。そして、嵌合部123の内側には、流路部31が挿入される。嵌合部123と流路部31とが接続することで、流入経路部122と流路部31との間で水が流通可能になる。
【0021】
流出部13は、流出ホース131と、流出ホース131および収容部20とをつなぐ流出経路部132とを有する。そして、流出部13は、流入部12から収容部20に流入してマグネシウム粒100に接した水、すなわち改質水を、収容部20外に流出させる。
【0022】
流出ホース131は、一方にて流出経路部132と接続し、他方にて改質水の供給対象につながる。そして、流出ホース131は、改質水の供給対象に向けて収容部20の改質水を供給する。
【0023】
流出経路部132は、一方が流出ホース131に接続し、他方が収容部20の開口部21における流路部31の半径方向外側の部分と対向する。そして、流出経路部132は、収容部20の改質水を流出ホース131に流す。
【0024】
図1に示すように、被固定部14は、本体部10にて突出して設けられる。また、被固定部14には、ネジ孔が形成される。そして、水改質装置1を設置する際には、被固定部14を介して、設置対象に水改質装置1が固定される。
【0025】
なお、本実施形態では、被固定部14を介して本体部10が設置対象に取り付けられることで、水改質装置1全体が設置対象に設置される。また、本実施形態では、本体部10に保持される収容部20は、本体部10に対して収容部20が吊り下げられるように設けられる。また、収容部20は、本体部10が設置対象に固定された状態のまま、本体部10に対して着脱可能になっている。
【0026】
(収容部20)
図1に示すように、収容部20は、円筒形状に形成された部材である。また、
図2に示すように、収容部20は、軸方向における上側に開口部21を有し、軸方向における下側に底部22を有している。そして、収容部20は、内部に、マグネシウム粒100および水を収容する。
本実施形態の収容部20は、鉄を主成分とする材料(例えば、ステンレス)を用いて構成することができる。本実施形態では、収容部20を、鉄を主成分とする材料により構成することで、マグネシウムと収容部20との間で局部電池を形成し、その電極電位差によって酸化還元反応を生じさせ、マグネシウムを水中に溶出させやすくしている。
【0027】
開口部21は、流入部12および流出部13との間で水が流通する以外の領域は、覆部11によって覆われる。また、収容部20において開口部21が設けられる箇所の外周には、雄ネジ21pが設けられる。雄ネジ21pは、本体部10の雌ネジ11nとネジ結合する。
収容部20の底部22は、曲面形状を有している。これにより、収容部20は、複数のマグネシウム粒100が撹拌されるとき、底部22が設けられる下側にて、複数のマグネシウム粒100および水を移動しやすくしている。
【0028】
さらに、
図2に示すように、収容部20は、収容するマグネシウム粒100が収容部20外に流出することを抑制するメッシュ部材23を有している。メッシュ部材23は、半径方向内側に流路部31が貫通する開口部23Hを有する円盤状の部材である。また、メッシュ部材23の目は、改質水の通過を許容するとともに、マグネシウム粒100の通過を制限するサイズになっている。そして、メッシュ部材23は、半径方向外側にて収容部20の内周と接続し、半径方向内側にて流路部31の外周と接続する。
【0029】
また、第1実施形態の水改質装置1は、収容部20の軸方向において、底部22からメッシュ部材23までの全領域にマグネシウム粒100を充填することが可能である。ただし、第1実施形態の水改質装置1は、収容部20に、全領域にマグネシウム粒100を充填するのではなく、収容部20の上側の一部の領域にマグネシウム粒100が充填されない非充填領域20Aを設けている。第1実施形態の収容部20には、全領域の約6割に、複数のマグネシウム粒100が充填されている。そして、第1実施形態の水改質装置1では、非充填領域20Aを設けることで、収容部20において水を用いて複数のマグネシウム粒100を撹拌させる際、複数のマグネシウム粒100が収容部20内の特に上下方向において移動しやすくしている。
【0030】
なお、マグネシウム粒100が収容部20から流出するのを抑制するメッシュ部材23は、上述した、収容部20にて全体的に設けられるメッシュ部材23に限定されない。例えば、流出経路部132の収容部20側の開口部にメッシュ部材を設けるなど、収容部20からのマグネシウム粒100の流出を抑制するメッシュ部材は、部分的に設けられていてもよい。
【0031】
そして、収容部20は、収容部20の内側であって底部22に、撹拌部30の流路部31(後述)を支持する支持部24を有している。
支持部24は、円筒状に形成された円筒部241を有している。円筒部241の内径は、流路部31の外径よりも若干大きく形成されている。そして、円筒部241には、流路部31が挿入される。
【0032】
なお、第1実施形態において、収容部20は、「収容部」、「マグネシウム粒収容体」または「保持部」の一例である。
【0033】
(撹拌部30)
図3は、第1実施形態の撹拌部30の斜視図および断面図である。なお、
図3(A)は、撹拌部30の全体斜視図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示すIIIB-IIIB断面線の断面図である。
図3(A)に示すように、撹拌部30は、水の流路を形成する流路部31と、流路部31の上端部に設けられ本体部10(
図2参照)と接続する上側接続部32と、流路部31の下端部に設けられ収容部20(
図2参照)と接続する下側接続部33と、流路部31から水を噴出させる噴出部34と、を有する。
【0034】
流路部31は、円筒状に形成されている。また、本実施形態の流路部31は、例えばステンレスなどの鉄を主成分とする材料により構成することができる。そして、
図2に示すように、流路部31は、収容部20の半径方向内側であって、収容部20の軸方向に沿って設けられる。そして、流路部31は、収容部20の上側から下側に向けて水が流れる経路を形成する。
また、上述のとおり、収容部20には、複数のマグネシウム粒100が収容されている。したがって、流路部31が収容部20の半径方向内側に設けられることで、流路部31は、複数のマグネシウム粒100に囲まれる領域を有する。
【0035】
図3(A)に示すように、上側接続部32には、第2シール部材35が設けられる。第2シール部材35は、上側接続部32に設けられる環状の凹部35tに嵌め込まれる。そして、
図2に示すように、上側接続部32は、本体部10の嵌合部123の内側に挿入される。また、第2シール部材35は、流路部31と流入経路部122との接続箇所から水が漏れないように封止する。
【0036】
図3(A)に示すように、下側接続部33には、第3シール部材36が設けられる。第3シール部材36は、下側接続部33に設けられる環状の凹部36tに嵌め込まれる。そして、
図2に示すように、下側接続部33は、収容部20の支持部24の内側に挿入される。また、第3シール部材36は、流路部31と支持部24との接続箇所から水が漏れないように封止する。そして、流路部31は、下側接続部33が支持部24に接続することで、下端部が塞がれる。
【0037】
図3(A)および
図3(B)に示すように、噴出部34は、複数(例えば、3つ)のスリット34Sを有している。複数のスリット34Sは、流路部31の周方向において略等間隔に配置されている。
スリット34Sは、軸方向に対して斜めに形成されている。より詳細には、スリット34Sは、上側に設けられ軸方向に対して約45°の角度を成す第1縁部341と、第1縁部341よりも下側に設けられ軸方向に対して約45°の角度を成す第2縁部342とを有して構成される。そして、スリット34Sは、流路部31の半径方向内側から半径方向外側に向けて水を噴出させる。
【0038】
そして、
図3(B)に示すように、スリット34Sの第1縁部341は、半径方向外側に突出するように形成されている。また、スリット34Sの第2縁部342は、半径方向内側に窪むように形成されている。このように、スリット34Sは、半径方向外側に突出する第1縁部341と半径方向内側に窪む第2縁部342とによって水を案内することで、流路部31内から噴出する水の向きを周方向に向ける。さらに、
図3(A)に示すように、スリット34Sは、上述のとおり軸方向に対して斜めに形成されている。これにより、スリット34Sは、流路部31内から噴出する水の向きを斜め下側に向ける。
【0039】
続いて、第1実施形態の水改質装置1の動作について具体的に説明する。
図4は、第1実施形態の水改質装置1の動作の説明図である。なお、
図4(A)は、水改質装置1の縦断面図であり、
図4(B)は、水改質装置1の横断面図であり、
図4(C)は、収容部20を透過してみた場合の水改質装置1の全体図である。なお、各々の図には、水の流れによって撹拌される複数のマグネシウム粒100の動きを模式的に示している。
【0040】
図4(A)に示すように、流入ホース121に給水することで、水は、流入経路部122から流路部31を介して収容部20内に流入する。そして、水は、流路部31の下側に設けられる噴出部34から噴出する。
このように、第1実施形態の水改質装置1では、複数のマグネシウム粒100に囲われるように流路部31を設け、複数のマグネシウム粒100の集合における内側からマグネシウム粒100に対して水を噴射することで、マグネシウム粒100に水をより効果的に接触させている。
【0041】
さらに、
図4(B)に示すように、水改質装置1では、噴出部34を構成する複数のスリット34Sから、周方向に沿って水がそれぞれ噴出される。これによって、白抜きの矢印で示すように、収容部20に収容される複数のマグネシウム粒100は、流路部31の外周と収容部20の内周との間にて、周方向に沿って回転移動する。また、
図4(A)に示すように、流路部31の下側に設けられるスリット34Sからは、斜め下側に向けて水が噴出される。この水流によって、例えば、スリット34Sよりも下側に位置する複数のマグネシウム粒100が底部22側に押し付けられる。そして、底部22に複数のマグネシウム粒100が集中し、底部22側に押し付けられることの反動で、複数のマグネシウム粒100は、収容部20の上側に向けて上昇する。また、複数のマグネシウム粒100が上昇することで、上側に位置していた複数のマグネシウム粒100が下側に向けて下降する。
【0042】
そして、
図4(C)に白抜きの矢印で示すように、水改質装置1では、収容部20の下側において、複数のマグネシウム粒100が下降した後に上昇する。一方、水改質装置1では、収容部20の上側において、上昇した複数のマグネシウム粒100が下降する。このように、撹拌部30は、収容部20に収容される複数のマグネシウム粒100を上下に循環させながら撹拌させる。そして、第1実施形態の水改質装置1は、水の流れによって複数のマグネシウム粒100を撹拌することで、マグネシウム粒100がより水に触れやすくしたり、マグネシウム粒100同士を衝突させてマグネシウムが溶出させやすくしたりしている。
【0043】
さらに、第1実施形態の水改質装置1では、複数のマグネシウム粒100を底部22側に押し付けながら撹拌させることで、マグネシウム粒100同士を強く擦り合わせている。この作用によって、マグネシウム粒100の表面が削れ、マグネシウムが水中に溶出しやすくなる。
また、複数のマグネシウム粒100は、水改質装置1の半径方向において、流路部31の外周と収容部20の内周との間に挟み込まれて拘束された状態になる。そして、第1実施形態の水改質装置1では、複数のマグネシウム粒100を半径方向において拘束した状態にて複数のマグネシウム粒100を撹拌させることで、マグネシウム粒100同士が強く擦れ合うようにしている。
【0044】
そして、
図4(A)に示すように、収容部20にて複数のマグネシウム粒100を撹拌させることで得られた改質水は、メッシュ部材23を通過し、開口部21から流出経路部132に流れる。さらに、改質水は、流出経路部132を介して流出ホース131から収容部20外に流出する。そして、流出ホース131は、改質水の供給対象に向けて改質水を供給する。このように、第1実施形態の水改質装置1は、水道の水圧を利用することで、モータ等の動力源を必須とせずに、複数のマグネシウム粒100を撹拌させ、改質水を作成することができる。
【0045】
続いて、第1実施形態の水改質装置1の着脱操作の手順について説明する。
図5は、第1実施形態の水改質装置1の着脱操作の説明図である。
【0046】
例えば長期間の使用に伴ってマグネシウム粒100の粒径が小さくなり、表面積が減少することで、改質水の製造効率が低下したマグネシウム粒100を含む収容部20を交換する場合の例を説明する。
この場合、
図5(A)に示すように、ユーザは、設置対象に固定された本体部10に対して収容部20を回転させ、雌ネジ11nと雄ネジ21pとのネジ結合を外す。なお、第1実施形態では、撹拌部30と収容部20とは一体的に構成されており、収容部20を取り外した際には、撹拌部30も一緒に取り外される。
そして、雌ネジ11nと雄ネジ21pとのネジ結合が外れると、本体部10に対して下側に収容部20を引き抜く。このとき、本実施形態の収容部20は、上側に設けられ上側を向けて開口する開口部21が設けられているため、収容部20の水が外にこぼれにくくなっている。
【0047】
そして、
図5(B)に示すように、マグネシウム粒100が収容された新たな収容部20を準備する。なお、新たな収容部20には、撹拌部30が予め取り付けられている。
さらに、
図5(C)に示すように、本体部10の下側から収容部20を本体部10に差し入れる。その後、固定された本体部10に対して収容部20を回転させ、雌ネジ11nと雄ネジ21pとをネジ結合させる。そして、収容部20は、本体部10に保持され、本体部10に装着される。また、上側接続部32が嵌合部123に挿入されることで、流路部31と流入経路部122とが接続する。
【0048】
以上のとおり、第1実施形態の水改質装置1では、マグネシウム粒100を収容する収容部20が取り外し可能に構成されているため、例えば消耗することで粒径が小さくなったマグネシウム粒100が収容される収容部20を、新たなマグネシウム粒100を収容する収容部20に交換できる。そして、第1実施形態の水改質装置1では、表面積がより大きいマグネシウム粒100を用いて、マグネシウム粒100に水を効果的に接触させることが可能になる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の水改質装置1について説明する。
図6は、第2実施形態の水改質装置1の断面図である。
図7は、第2実施形態のカートリッジ40の全体斜視図である。
なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6に示すように、第2実施形態の水改質装置1の基本構成は、第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態の水改質装置1は、収容部20に対して着脱可能であって、複数のマグネシウム粒100が収容されるカートリッジ40を有している。
【0050】
カートリッジ40は、複数の孔を有して、複数のマグネシウム粒100を収容する容器である。そして、カートリッジ40は、例えばステンレスなど、鉄を主成分とする材料を用いて構成することができる。カートリッジ40は、例えば複数の孔が設けられたステンレスの板やステンレスのメッシュを、円筒形状に成型することで作成することができる。
【0051】
そして、
図6に示すように、カートリッジ40は、水改質装置1において、収容部20の半径方向内側であって流路部31の半径方向外側に設けられる。カートリッジ40は、収容部20に設けられた状態で、半径方向内側にて軸方向に沿って流路部31が貫通する。
【0052】
続いて、
図7を参照しながら、カートリッジ40の構造について具体的に説明する。
図7に示すように、カートリッジ40は、下側に設けられる底面部41と、上側に設けられる上面部42と、半径方向外側に設けられる筒状の外周部43と、半径方向内側に設けられる筒状の内周部44とを有して構成される。そして、複数のマグネシウム粒100は、底面部41、上面部42、外周部43および内周部44によって囲まれた空間(例えば、保持部の一例)に収容される。
【0053】
底面部41は、円盤状であって、半径方向内側に開口部41Hを有する。また、上面部42は、円盤状であって、半径方向内側に開口部42Hを有する。そして、底面部41および上面部42の外径は、収容部20の内径よりも若干小さく形成されている(
図6参照)。また、開口部41Hおよび開口部42Hの内径は、流路部31の外径よりも若干大きく形成される(
図6参照)。
外周部43は、底面部41の外周と上面部42の外周とをつなぐように形成される。また、内周部44は、底面部41の内周と上面部42の内周とをつなぐように形成される。
そして、カートリッジ40は、収容部20に設けられた状態で、内周部44に流路部31が貫通し、外周部43が収容部20の内周面と対向する。
【0054】
また、
図6に示すように、第2実施形態の水改質装置1は、カートリッジ40の軸方向において、底面部41から上面部42までの全領域にマグネシウム粒100を充填することが可能である。ただし、第2実施形態の水改質装置1では、カートリッジ40には、全領域にマグネシウム粒100を充填するのではなく、カートリッジ40の上側の一部の領域にマグネシウム粒100が充填されない非充填領域40Aを設けている。第2実施形態のカートリッジ40には、全領域の約6割に、複数のマグネシウム粒100が充填されている。これによって、第2実施形態の水改質装置1では、複数のマグネシウム粒100がカートリッジ40の特に上下方向において移動しやすくしている。
【0055】
なお、第2実施形態において、カートリッジ40は、「マグネシウム粒収容体」の一例である。
【0056】
続いて、第2実施形態の水改質装置1の動作について具体的に説明する。
以上のように構成される第2実施形態の水改質装置1における水の流れは、第1実施形態の水改質装置1と同様である。
図6に示すように、流入ホース121から供給された水は、流入経路部122から流路部31を介して収容部20内に流入する。そして、水は、流路部31の下側に設けられる噴出部34から噴出する。このように、第2実施形態の水改質装置1においても、複数のマグネシウム粒100に囲われるように流路部31が設けられ、複数のマグネシウム粒100の集合における内側からマグネシウム粒100に対して水を噴射することで、マグネシウム粒100に水をより効果的に接触させている。
【0057】
また、撹拌部30は、カートリッジ40に収容される複数のマグネシウム粒100を撹拌する。カートリッジ40に収容される複数のマグネシウム粒100は、
図4を参照しながら説明した第1実施形態の水改質装置1と同様に、周方向かつ上下方向に移動しながら撹拌される。
そして、収容部20の改質水は、流出経路部132を通って流出ホース131から供給対象に供給される。
【0058】
さらに、第2実施形態の水改質装置1では、カートリッジ40は、複数の孔が形成されることで表面が比較的粗くなっている。これによって、カートリッジ40とマグネシウム粒100とが擦り合わされることで、マグネシウム粒100が削れて、水中にマグネシウムがより溶出しやすくなっている。
また、第2実施形態の水改質装置1では、カートリッジ40の外周部43と内周部44とによって半径方向において複数のマグネシウム粒100を拘束した状態で、複数のマグネシウム粒100を撹拌させる。これによって、第2実施形態の水改質装置1では、マグネシウム粒100同士が強く擦れ合い、マグネシウム粒100の表面が削れることを促している。
【0059】
続いて、第2実施形態の水改質装置1の着脱について説明する。
図8は、第2実施形態の水改質装置1の着脱操作の説明図である。
図8(A)に示すように、ユーザは、固定された本体部10に対して収容部20を回転させ、雌ネジ11nと雄ネジ21pとのネジ結合を外す。さらに、第2実施形態では、ユーザは、収容部20に対して、カートリッジ40を引き抜くことで、カートリッジ40を取り出す。このとき、第2実施形態の水改質装置1において、撹拌部30は、収容部20に残ったままとなる。
【0060】
そして、
図8(B)に示すように、マグネシウム粒100が収容された新たなカートリッジ40を準備する。そして、カートリッジ40を、撹拌部30が取り付けられている収容部20の開口部21から挿入する。このとき、カートリッジ40の内周部44に流路部31が通される。そして、第2実施形態においては、カートリッジ40の内周部44が、水改質装置1と接続するための接続部として機能する。
【0061】
さらに、
図8(C)に示すように、本体部10の下側から収容部20を本体部10に差し入れる。その後、固定された本体部10に対して収容部20を回転させ、雌ネジ11nと雄ネジ21pとをネジ結合させる。そして、収容部20は、本体部10に保持され、本体部10に装着される。また、上側接続部32が嵌合部123に挿入されることで、流路部31と流入経路部122とが接続する。
【0062】
以上のとおり、第2実施形態の水改質装置1では、マグネシウム粒100を収容するカートリッジ40がユーザによって取り外し可能に構成されているため、例えば消耗して粒径が小さくなったマグネシウム粒100が収容されるカートリッジ40を、新たなマグネシウム粒100を収容するカートリッジ40に交換できる。そして、第2実施形態の水改質装置1では、表面積がより大きいマグネシウム粒100を用いて、マグネシウム粒100に水をより効果的に接触させることが可能になる。
【0063】
なお、上述した例では、カートリッジ40と撹拌部30とが別々に設けられているものであったが、例えば、カートリッジ40は、撹拌部30を一体的に備えていてもよい。この場合、水改質装置1においてマグネシウム粒100の交換を行うときには、収容部20に対して撹拌部30が一体に設けられた古いカートリッジ40を取り外す。さらに、撹拌部30が一体に設けられた新しいカートリッジ40を収容部20に装着する。このとき、下側接続部33が支持部24の円筒部241に接続される。
【0064】
続いて、各種の変形例の水改質装置1について説明する。
<第1変形例>
図9は、第1変形例の撹拌部30の斜視図および断面図である。なお、
図9(A)は、第1変形例の撹拌部30の全体斜視図であり、
図9(B)は、
図9(A)に示すIXB-IXB断面線の断面図である。
【0065】
図9(A)および
図9(B)に示すように、噴出部34は、複数(例えば、3つ)のスリット51Sを有している。複数のスリット51Sは、流路部31の周方向において略等間隔に配置されている。
図9(A)に示すように、複数のスリット51Sは、流路部31の軸方向における略中央部に設けられている。ただし、複数のスリット51Sが設けられる位置は、この例に限定されず、例えば流路部31の軸方向における中央部よりも下側であってもよい。
【0066】
また、スリット51Sは、軸方向に対して直交する方向に沿って形成されている。より詳細には、スリット51Sは、流路部31における半径方向外側に位置し、軸方向に対して約90°の角度を成す外側縁部511と、外側縁部511よりも半径方向内側に位置し、軸方向に対して約90°の角度を成す内側縁部512とを有して構成される。そして、スリット51Sは、流路部31の半径方向内側から半径方向外側に向けて水を噴出させる。
【0067】
そして、
図9(B)に示すように、スリット51Sの内側縁部512は、半径方向内側に窪むように形成されている。このように、スリット51Sは、半径方向外側に設けられる外側縁部511と半径方向内側に窪む内側縁部512とによって水を案内することで、流路部31内から噴出する水の向きを軸方向における下側に向ける。
【0068】
以上のように構成される第1変形例の撹拌部30は、スリット51Sから下側に向けて水を勢いよく噴出することで、収容部20に収容されるマグネシウム粒100を、水の流れによって撹拌することができる。
【0069】
<第2変形例>
図10は、第2変形例の撹拌部30の斜視図である。
【0070】
図10に示すように、第2変形例の撹拌部30の噴出部34は、複数のスリット34Sおよび複数のスリット51Sの両方を有している。
以上のように構成される第2変形例の撹拌部30の噴出部34は、複数のスリット34Sによって周方向かつ斜め下側に向けて水を噴出するとともに、スリット51Sから軸方向における下側に向けて水を噴出することで、収容部20に収容されるマグネシウム粒100(
図2参照)をより強く撹拌することができる。
【0071】
<第3変形例>
図11は、第3変形例の撹拌部30の斜視図および断面図である。なお、
図11(A)は、第3変形例の撹拌部30の全体斜視図であり、
図11(B)は、第3変形例の撹拌部30を含む水改質装置1の断面図である。
【0072】
図11(A)に示すように、第3変形例の撹拌部30の噴出部34は、流路部31における下側の端部に開口部34Hを有している。開口部34Hは、軸方向の下側を向いて設けられる。また、
図11(B)に示すように、開口部34Hは、収容部20の下側に設けられる。この例において、開口部34Hは、収容部20の底部22から収容部20の軸方向の長さの約1/3程度の位置に設けられる。
ただし、開口部34Hの位置は、上記の例に限定されない。開口部34Hは、例えば、収容部20の軸方向の中央部よりも下側に設けられていればよい。
【0073】
以上のように構成される第3変形例の撹拌部30は、開口部34Hから下側に向けて水を勢いよく噴出することで、収容部20に収容されるマグネシウム粒100を、水の流れによって撹拌することができる。
【0074】
<第4変形例>
図12は、第4変形例の撹拌部30の斜視図である。
【0075】
図12に示すように、第4変形例の撹拌部30は、撹拌されるマグネシウム粒100が収容部20(
図4参照)内にて移動する際に障害物となるバッフル部37を有している。バッフル部37は、複数(例えば、8つ)の突出部37Pを有している。各突出部37Pは、棒状に形成され、半径方向に沿って設けられる。また、突出部37Pは、半径方向内側にて流路部31に支持されている。そして、複数の突出部37Pは、放射状に設けられる。さらに、第4変形例において、複数の突出部37Pは、周方向および軸方向において異なる位置に設けられる。
突出部37Pは、
図12に示す例では、噴出部34よりも上側に設けられている。ただし、突出部37Pは、例えば噴出部34と同様に、流路部31における下側に設けられていてもよい。
なお、第4変形例において、バッフル部37が「被衝突部」の一例である。
【0076】
そして、第4変形例が適用される水改質装置1では、撹拌部30の噴出部34から水が噴出されることで、収容部20内のマグネシウム粒100(
図4参照)が撹拌される。このとき、撹拌されることで周方向や上下方向に移動するマグネシウム粒100が、バッフル部37の突出部37Pに衝突する。そして、マグネシウム粒100は、突出部37Pと接触することで表面が削られ、マグネシウムが水中に溶出しやすくなる。
【0077】
なお、バッフル部37は、上述した突出部37Pの形状や位置に限定されない。バッフル部37は、撹拌されることで移動するマグネシウム粒100の移動経路上に設けられ、マグネシウム粒100が衝突するものであれば、他の形状や他の位置に設けられていてもよい。
【0078】
続いて、第1実施形態、第2実施形態および第1変形例~第4変形例の水改質装置1を用いた水改質システムについて説明する。
図13は、本実施形態が適用される水改質システムの全体図である。
【0079】
図13に示すように、水改質システムは、上述した第1実施形態、第2実施形態および第1変形例~第4変形例のうち何れかの水改質装置1を複数連結したものである。複数の水改質装置1を連結することで、上流側に設けられる水改質装置1にて作成した改質水を、下流側に設けられる水改質装置1に供給することができる。この場合には、上流側の水改質装置1の流出ホース131と、下流側の水改質装置1の流入ホース121とを接続する。このように複数の水改質装置1を直列に接続することで、例えば単体の水改質装置1だけを用いる場合と比較して、pHがより高く、また、水酸化マグネシウムやマグネシウムイオンや水素の濃度がより高い改質水を得ることができる。
なお、水改質システムとして複数の水改質装置1を連結する場合に、同じ構成の水改質装置1を用いてもよく、異なる構成の水改質装置1が含まれていてもよい。
【0080】
また、第1実施形態、第2実施形態および第1変形例~第4変形例の水改質装置1において、撹拌部30は、収容部20内に流入する水の流れによって直接的にマグネシウム粒100を撹拌するようにしているが、この態様に限定されない。例えば、収容部20内に流入する水の流れに応じて回転する回転部材を設け、この回転部材が回転することでマグネシウム粒100を撹拌させてもよい。すなわち、収容部20内に流入する水の流れによって、マグネシウム粒100を間接的に撹拌してもよい。
【0081】
さらに、第1実施形態、第2実施形態および第1変形例~第4変形例の水改質装置1において、撹拌部30は、半径方向内側から半径方向外側に向けて噴出部34が水を噴出しているが、この態様に限定されない。例えば、撹拌部30は、収容部20の半径方向外側から水を噴出し、複数のマグネシウム粒100を撹拌するようにしてもよい。
また、第1実施形態、第2実施形態および第1変形例~第4変形例において、収容部20、流路部31およびカートリッジ40の材料は、鉄を含む材料に限定しているが、これらの例に限定されない。例えば、収容部20、流路部31およびカートリッジ40の材料には、樹脂材料などの非金属材料を用いてもよい。
【0082】
さらに、流入ホース121の上流側に、流路断面積が前後と比較して小さくなる絞り流路を設け、ベンチュリ効果によって流路内を減圧するとともに、その減圧した流路に対して外部から二酸化炭素(CO2)や水素(H2)などを供給することで、水中にこれらの気泡をファインバルブとして取り込むようにしてもよい。なお、この絞り流路は、例えば流路部31など本体部10または収容部20の内側に設けてもよい。
【0083】
次に、本実施形態の水改質装置1を用いた洗濯機600について説明する。
図14は、本実施形態が適用される洗濯機600の全体図である。
【0084】
図14に示すように、洗濯機600(洗浄装置の一例)は、水道の蛇口から供給される水を改質する水改質装置1と、水改質装置1が改質した水を用いて衣類などの対象物を洗濯する洗濯槽部610と、を備える。また、洗濯機600は、水道の蛇口から水改質装置1に水を流す第1流路C1と、水改質装置1から洗濯槽部610に水を流す第2流路C2と、洗濯槽部610内の水を洗濯槽部610外に排出する第3流路C3と、を備える。
【0085】
洗濯機600は、第1流路C1に設けられる不図示のバルブ機構によって、水道の蛇口から水を水改質装置1に供給したり、水改質装置1への水の供給を止めたりする。
水改質装置1は、洗濯機600における上側に設けられる。本実施形態の水改質装置1は、洗濯槽部610における最高水位よりも高い位置に設けられる。そして、水改質装置1は、第1流路C1を介して供給される水を改質し、第2流路C2を介して洗濯槽部610に改質水を流す。
また、水改質装置1の本体部10は、洗濯機600に固定される。そして、収容部20は、本体部10に対して取り外し可能に設けられる。これによって、洗濯機600では、収容部20を交換することで、マグネシウム粒100(
図1参照)を取り替えられるようになっている。
【0086】
洗濯槽部610は、一定量の水を貯めることができるとともに、内部に衣類などの洗濯の対象物を収容する。また、洗濯槽部610は、回転可能に構成される。さらに、洗濯槽部610は、第2流路C2を介して、水改質装置1から改質水が供給される。そして、洗濯槽部610は、水改質装置1から供給される改質水を用いて、洗濯の対象物を洗浄する。
洗濯槽部610にて対象物の洗浄に用いられた水は、第3流路C3から例えば下水道へと排水される。
【0087】
以上のとおり、本実施形態の洗濯機600では、水道の蛇口から水が供給されるだけで、水改質装置1が作成した改質水を用いて、対象物を洗浄することができる。つまり、本実施形態の洗濯機600は、外部から例えば洗濯用洗剤を洗濯槽部610に投入することを必須とせずに、洗濯の対象物を洗浄することができる。
【0088】
次に、本実施形態の水改質装置1を用いたシンク装置700について説明する。
図15は、本実施形態が適用されるシンク装置700の全体図である。
【0089】
図15に示すように、シンク装置700(洗浄装置の一例)は、一定量の水を貯めることができるとともに食器などの対象物を洗浄する箇所を形成する水槽部710と、水槽部710から水改質装置1に水を供給するポンプ部720と、ポンプ部720から供給される水を改質する水改質装置1と、を備える。また、シンク装置700は、水槽部710からポンプ部720に水を流す第4流路C4と、ポンプ部720から水改質装置1に水を流す第5流路C5と、水改質装置1から水槽部710に水を流す第6流路C6と、を備える。さらに、シンク装置700は、第4流路C4にフィルタ部730を備える。
【0090】
水槽部710は、シンク装置700における上側に設けられている。水槽部710には、第6流路C6を介して水改質装置1から改質水が供給される。また、水槽部710には、不図示の排水溝が設けられている。そして、水槽部710にて対象物の洗浄に用いられた水は、排水溝から第4流路C4へと流出する。
フィルタ部730は、第4流路C4を流れる水に含まれる食品汚れなどの異物を取り除く。そして、フィルタ部730は、水改質装置1内に異物が詰まったり、異物の蓄積によって水改質装置1の機能障害が発生したりすることを抑制する。なお、フィルタ部730は、水槽部710よりも下流側であって水改質装置1よりも上流側に設けられることが好ましく、例えば第5流路C5に設けられていても良い。
【0091】
ポンプ部720は、水槽部710の下側に配置される。そして、ポンプ部720は、電動モータなどの動力源を用いて水を送る。本実施形態のポンプ部720は、第4流路C4から流入してきた水槽部710の排水を、第5流路C5を介して水改質装置1に送る。
【0092】
水改質装置1は、水槽部710の下側に配置される。そして、水改質装置1は、第5流路C5を介して供給される水を改質し、第6流路C6を介して水槽部710に改質水を送る。
また、水改質装置1の本体部10は、シンク装置700に固定される。そして、収容部20は、本体部10に対して取り外し可能に設けられる。これによって、シンク装置700は、収容部20を交換することで、マグネシウム粒100(
図1参照)を取り替えられるようになっている。
【0093】
以上のとおり、本実施形態のシンク装置700において、水槽部710の水は、ポンプ部720によって循環するように構成されている。そして、シンク装置700にて循環する水は、水改質装置1によって改質されるようになっている。水槽部710では、水改質装置1から供給される改質水を用いて、食器などの対象物を洗浄することができる。つまり、本実施形態のシンク装置700では、例えば食器用洗剤を用いることを必須とせずに、対象物を洗浄することができる。
【0094】
次に、本実施形態の水改質装置1を用いた食器洗浄機800について説明する。
図16は、本実施形態が適用される食器洗浄機800の全体図である。
【0095】
食器洗浄機800(洗浄装置の一例)は、食器などの対象物を搬送するコンベア部810と、コンベア部810により搬送される対象物を洗浄する洗浄部820と、洗浄に用いられた水を集める集水部830と、を備える。また、食器洗浄機800は、集水部830から水改質装置1に水を供給するポンプ部840と、ポンプ部840から供給される水を改質する水改質装置1と、を備える。また、食器洗浄機800は、集水部830からポンプ部840に水を流す第7流路C7と、ポンプ部840から水改質装置1に水を流す第8流路C8と、水改質装置1から洗浄部820に水を流す第9流路C9と、を備える。さらに、食器洗浄機800は、第7流路C7にフィルタ部850を備える。
【0096】
コンベア部810は、食器などの洗浄の対象物が載せられる複数のトレーラック811を有する。そして、コンベア部810は、トレーラック811を移動させることで、洗浄前の対象物を洗浄部820に搬入するとともに、洗浄後の対象物を洗浄部820から搬出する。
洗浄部820は、後述するように水改質装置1から供給される改質水を高圧噴射する複数のノズル821を有している。そして、洗浄部820は、ノズル821から対象物に対して改質水を噴射することで対象物を洗浄する。また、洗浄部820は、改質水を高温(例えば、60℃以上であって80℃以下)にする加熱部を有している。そして、洗浄部820は、高温の改質水をノズル821から噴出させることが可能になっている。
【0097】
集水部830は、洗浄部820およびコンベア部810の下側に配置される。そして、集水部830は、洗浄部820にて洗浄に用いられた水や、コンベア部810にて対象物から落ちる水を集める。そして、集水部830は、集めた水を、第7流路C7を介してポンプ部840に流す。
フィルタ部850は、第7流路C7を流れる水に含まれる食品汚れなどの異物を取り除く。そして、フィルタ部850は、水改質装置1内に異物が詰まったり、異物の蓄積によって水改質装置1の機能障害が発生したりすることを抑制する。なお、フィルタ部850は、集水部830よりも下流側であって水改質装置1よりも上流側に設けられることが好ましく、例えば第8流路C8に設けられていても良い。
【0098】
ポンプ部840は、電動モータなどの動力源を用いて水を送る。本実施形態のポンプ部840は、第7流路C7から流入してきた集水部830の水を、第8流路C8を介して水改質装置1に送る。
【0099】
水改質装置1は、第8流路C8を介して供給される水を改質し、第9流路C9を用いて洗浄部820に改質水を送る。
また、水改質装置1の本体部10は、食器洗浄機800における所定の位置に固定される。そして、収容部20は、本体部10に対して取り外し可能に設けられる。これによって、食器洗浄機800は、収容部20を交換することで、マグネシウム粒100(
図1参照)を取り替えられるようになっている。
【0100】
以上のとおり、本実施形態の食器洗浄機800において、洗浄部820で用いられる水は、ポンプ部840によって循環するように構成されている。そして、食器洗浄機800にて循環する水は、水改質装置1によって改質されるようになっている。洗浄部820では、水改質装置1から供給される改質水を用いて、食器などの対象物を洗浄することができる。つまり、本実施形態の食器洗浄機800では、例えば食器用洗剤等を用いることを必須とせずに、対象物を洗浄することができる。
【0101】
なお、
図14を参照しながら説明した洗濯機600の例では、洗濯槽部610にて洗浄に用いられた改質水を再び水改質装置1に通しても良い。つまり、洗濯機600では、水改質装置1を介して改質水を循環させても良い。一方で、
図15を参照しながら説明したシンク装置700や
図16を参照しながら説明した食器洗浄機800の例では、洗浄に用いられた改質水を循環させなくても良い。つまり、シンク装置700や食器洗浄機800では、洗浄に用いた改質水を水改質装置1を介して循環させることなく、例えば水道の蛇口から供給される水道水を水改質装置1により改質した改質水を用いて洗浄を行っても良い。
【0102】
なお、本実施形態の水改質装置1を備えた洗浄装置は、上述した洗濯機600、シンク装置700および食器洗浄機800に限定されない。例えば、水改質装置1を備えた洗浄装置としては、厨房で用いられる厨房機器、便器を含むトイレ装置、浴槽を含む浴室システムなど、水回りに用いられる各種の装置を例示できる。
【0103】
さらに、上述した実施形態では、水改質装置1を洗濯機600やシンク装置700や食器洗浄機800などの洗浄装置に設置する例について説明したが、水改質装置1は、個々の装置に設置されることに限定されない。
例えば、水改質装置1は、施設における複数の蛇口の下流側に設けられるのではなく、複数の蛇口の上流側に設けられていても良い。つまり、水改質装置1は、住宅などの施設において個々の蛇口へと分岐するよりも上流側の給水管に設けられていても良い。この場合には、施設における複数の蛇口から、水改質装置1の改質水が供給されるように構成することができる。
【0104】
以上、種々の実施形態や変形例についても言及したが、種々の実施形態や変形例同士を組み合わせることや、一部を入れ替えることは、本書に言及がない場合であっても可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…水改質装置、10…本体部、20…収容部、30…撹拌部、31…流路部、34…噴出部、40…カートリッジ