IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日高精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図1
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図2
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図3
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図4
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図5
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図6
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図7
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図8
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図9
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図10
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図11
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図12
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図13
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図14
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図15
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図16
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図17
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図18
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図19
  • 特許-放熱用フィン製造装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】放熱用フィン製造装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/08 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B21D53/08 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021551969
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2021022556
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西沢 準一
(72)【発明者】
【氏名】森下 圭一
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-073510(JP,A)
【文献】特開平10-263733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 53/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料供給部から供給された未加工の金属製の薄板に切欠部を形成して放熱用フィン成形体とする金型装置が設けられたプレス装置と、
前記プレス装置への前記薄板の供給、および前記プレス装置からの前記放熱用フィン成形体の搬出を行う搬送装置と、
前記放熱用フィン成形体を所定長さに切断し、放熱用フィンとするカットオフ装置と、
前記カットオフ装置を通過して前記カットオフ装置の搬送先側から突出した前記放熱用フィン成形体の側方位置と前記放熱用フィン成形体の保持位置との間で互いに接離動可能であって、前記放熱用フィン成形体および前記放熱用フィンを保持する一対の保持体、および前記一対の保持体を接離動させる保持体接離動機構を有する保持装置と、
前記カットオフ装置により前記所定長さに切断された前記放熱用フィンを積層させるべく前記保持装置の下方に配設され、前記保持装置により保持されている前記放熱用フィンに挿通されるスタックガイド体が立設されたスタックガイド体保持部、前記スタックガイド体に挿通された複数枚の前記放熱用フィンのうち最下部の前記放熱用フィンの下面に当接するフィン受け部、および前記フィン受け部を前記スタックガイド体に沿って移動させる移動機構を有するスタック装置と、
前記一対の保持体の上方において前記切欠部のいずれかに挿通可能な平面位置に配設された落下ガイド体、および前記落下ガイド体を前記スタック装置に向けて接離動させる落下ガイド体移動部を有する落下ガイド装置と、
少なくとも前記カットオフ装置、前記保持装置、前記スタック装置、および前記落下ガイド装置の動作をそれぞれ制御する動作制御部と、を具備し、
前記落下ガイド体は、前記放熱用フィンの外端縁と当接可能に、または所定間隔をあけて配設された落下ガイドピンをさらに有していることを特徴とする放熱用フィン製造装置。
【請求項2】
前記動作制御部は、
前記一対の保持体が前記放熱用フィン成形体を保持することが可能な保持可能位置にあるときに、前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を前記放熱用フィンの受け取り高さ位置まで上昇させる第1処理と、
前記搬送装置を作動させて、前記カットオフ装置から前記放熱用フィン成形体を前記所定長さにわたって通過させる第2処理と、
前記一対の保持体により保持された前記放熱用フィン成形体が前記カットオフ装置によって前記放熱用フィンに切断されるときまでに、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体を前記放熱用フィン成形体の前記切欠部に挿通させると共に前記落下ガイド体の下端部を前記スタックガイド体の上端部に接近させる第3処理と、
前記カットオフ装置により前記放熱用フィン成形体を所定寸法で切断させる第4処理と、
前記保持体接離動機構を作動させて、前記一対の保持体を離反させることにより前記落下ガイド体に沿って前記放熱用フィンを前記フィン受け部に載置する第5処理と、
前記一対の保持体から前記放熱用フィンが前記フィン受け部に載置された後、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体の前記下端部を前記一対の保持体の上方位置に退避させる第6処理と、
前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を予め設定した高さで下降させる第7処理と、
をそれぞれ実行することを特徴とする請求項1記載の放熱用フィン製造装置。
【請求項3】
前記動作制御部は、
前記一対の保持体が前記放熱用フィン成形体を保持することが可能な保持可能位置にあるときに、前記搬送装置を作動させて、前記カットオフ装置から前記放熱用フィン成形体を前記所定長さにわたって通過させる第1処理と、
前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を前記放熱用フィンの受け取り高さ位置まで上昇させる第2処理と、
前記一対の保持体により保持された前記放熱用フィン成形体が前記カットオフ装置によって前記放熱用フィンに切断されるときまでに、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体を前記放熱用フィン成形体の前記切欠部に挿通させると共に前記落下ガイド体の下端部を前記スタックガイド体の上端部に接近させる第3処理と、
前記カットオフ装置により前記放熱用フィン成形体を所定寸法で切断させる第4処理と、
前記保持体接離動機構を作動させて、前記一対の保持体を離反させることにより前記落下ガイド体に沿って前記放熱用フィンを前記フィン受け部に載置する第5処理と、
前記一対の保持体から前記放熱用フィンが前記フィン受け部に載置された後、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体の前記下端部を前記一対の保持体の上方位置に退避させる第6処理と、
前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を予め設定した高さで下降させる第7処理と、
をそれぞれ実行することを特徴とする請求項1記載の放熱用フィン製造装置。
【請求項4】
前記動作制御部は、
前記第6処理を実行した以降に、前記保持体接離動機構を作動させて前記一対の保持体を前記保持可能位置に戻す第8処理を実行することを特徴とする請求項2または3記載の放熱用フィン製造装置。
【請求項5】
前記動作制御部は、
前記第8処理を実行した後、前記第1処理に戻り、前記第1処理乃至前記第8処理を予め設定した回数にわたり繰り返し実行することを特徴とする請求項4記載の放熱用フィン製造装置。
【請求項6】
前記動作制御部は、
前記第1処理と前記第2処理とを同時に実行することを特徴とする請求項2または3記載の放熱用フィン製造装置。
【請求項7】
前記スタックガイド体は、前記切欠部に挿通するスタックブレードと前記放熱用フィンの外端縁に当接するスタックピンとを有し、
前記落下ガイド体は、前記切欠部に挿通する落下ガイドブレードであって、
前記落下ガイド体移動部が前記落下ガイドブレードを前記スタック装置に向けて接離動させていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の放熱用フィン製造装置。
【請求項8】
前記落下ガイド体が前記スタック装置から離反する際において、前記放熱用フィンの共上がりを防止するためのストリッパをさらに有していることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の放熱用フィン製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に用いられる放熱用フィンを製造するための放熱用フィン製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クーラー等の熱交換器には、図20Aおよび図20Bに示すような熱交換チューブ32を挿入する切欠部34が複数形成された放熱用フィン30が熱交換チューブ32に挿通された状態で複数枚積層されて構成されている。このような放熱用フィン30は、図19に示すような放熱用フィン製造装置によって製造することができる。
【0003】
放熱用フィン製造装置100には、アルミニウム等の金属製の薄板10がコイル状に巻かれたアンコイラー40が設けられている。アンコイラー40からループコントローラ42を経て引き出された薄板10は、NCフィーダ44を通過させることでプレス装置48内に設けられた金型装置46に間欠的に一定長さで供給される。なお、図示はしないが金型装置46に供給される前の薄板10の表面に加工用のオイルを供給するオイル供給部を設けることもできる。
【0004】
金型装置46は、内部に上下動可能な上型ダイセット46Aと、静止状態にある下型ダイセット46Bが設けられている。この金型装置46によって、図20Aおよび図20Bに示すような放熱用フィン成形体31(放熱用フィン30)が幅方向および長手方向に連続的に形成された金属帯状体11が形成される(図2参照)。このような金属帯状体11は、列間スリット装置52によって搬送方向と水平面内で直交する幅方向で製品幅に分割されることで放熱用フィン成形体31に形成される。放熱用フィン成形体31は、保持装置70に送り出された後、搬送方向の所要長さでカットオフ装置60によって切断されて放熱用フィン30に個片化された後に、スタックピンSPが立設されたスタック装置80に積層収容される。
【0005】
このようにして形成された放熱用フィン30は、熱交換チューブ32が挿入される切欠部34が複数箇所に形成されており、切欠部34と切欠部34との間にはルーバー35が形成された板状部36が設けられている。切欠部34は、放熱用フィン30の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、切欠部34と切欠部34との間の複数の板状部36は、長手方向に沿って伸びる連結部38によって連結されている。
【0006】
このような放熱用フィン30を積層収容する際に用いて好適なスタック装置80を有する放熱用フィン製造装置100の構成が出願人によりなされ、特許文献1(国際公開番号WO2020/152736A1)においてスタック装置80の具体的な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開番号WO2020/152736A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている放熱用フィン製造装置100のスタック装置80においては、カットオフ装置60の下流側に隣接して配設された放熱用フィン30の保持装置70の下側からスタック装置80を上昇させて保持装置70から放熱用フィン30を積層収容させる形態が採用されている(全体像の図示は省略)。すなわち放熱用フィン30の積層収容数の増加に伴い重量が増加し、スタック装置80を上昇させる際におけるスタック装置80の動作が不安定になるといった課題の所在が明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは次の通りである。すなわち、放熱用フィン製造装置のスタック装置が放熱用フィンを積層収容するにあたり、スタック装置に放熱用フィンが積層されている際は下降動作のみにすることで、放熱用フィンの積層収容数が増えて重量が増加しても、スタック装置の動作を安定化させることが可能な放熱用フィン製造装置の構成を提供することにある。
【0010】
本願発明者らは以上の課題を解決すべく検討した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、材料供給部から供給された未加工の金属製の薄板に切欠部を形成して放熱用フィン成形体とする金型装置が設けられたプレス装置と、前記プレス装置への前記薄板の供給、および前記プレス装置からの前記放熱用フィン成形体の搬出を行う搬送装置と、前記放熱用フィン成形体を所定長さに切断し、放熱用フィンとするカットオフ装置と、前記カットオフ装置を通過して前記カットオフ装置の搬送先側から突出した前記放熱用フィン成形体の側方位置と前記放熱用フィン成形体の保持位置との間で互いに接離動可能であって、前記放熱用フィン成形体および前記放熱用フィンを保持する一対の保持体、および前記一対の保持体を接離動させる保持体接離動機構を有する保持装置と、前記カットオフ装置により前記所定長さに切断された前記放熱用フィンを積層させるべく前記保持装置の下方に配設され、前記保持装置により保持されている前記放熱用フィンに挿通されるスタックガイド体が立設されたスタックガイド体保持部、前記スタックガイド体に挿通された複数枚の前記放熱用フィンのうち最下部の前記放熱用フィンの下面に当接するフィン受け部、および前記フィン受け部を前記スタックガイド体に沿って移動させる移動機構を有するスタック装置と、前記一対の保持体の上方において前記切欠部のいずれかに挿通可能な平面位置に配設された落下ガイド体、および前記落下ガイド体を前記スタック装置に向けて接離動させる落下ガイド体移動部を有する落下ガイド装置と、少なくとも前記カットオフ装置、前記保持装置、前記スタック装置、および前記落下ガイド装置の動作をそれぞれ制御する動作制御部と、を具備し、前記落下ガイド体は、前記放熱用フィンの外端縁と当接可能に、または所定間隔をあけて配設された落下ガイドピンをさらに有していることを特徴とする放熱用フィン製造装置である。
【0011】
以上の構成を採用することで、スタック装置に放熱用フィンを積層収容させる際は、スタック装置の上側から落下ガイド体をスタック装置に向けて接離動させることで放熱用フィンの落下をガイドすることができる。これにより、スタック装置が放熱用フィンの下側から放熱用フィンを差し込みに行かなくて済み、スタック装置を上下動させる必要がなくなった。すなわち、スタック装置が放熱用フィンを積層収容するにあたり、スタック装置を上昇させる際は、空荷状態のみとし、放熱用フィンが積層収容された状態では下降動作のみにしている。したがって、スタック装置への放熱用フィンの積層収容数が増えても、スタック装置を安定した状態で作動させることが可能になる。また、保持体が離反する際に保持体に保持されていた放熱用フィンが保持体と共に動かないようにすることができ、スタック装置に対して位置決めされた状態を維持することができる。
【0012】
また、従来はスタック装置を放熱用フィンに向けて下側から上昇させることで放熱用フィンを積層収容していたので、位置合わせのためスタックピンを細くする必要があり、スタックピンの剛性が低かった。したがって、スタック装置に積層収容した放熱用フィンの積層体をハンドリングする際は不安定であった。本発明によればスタック装置のスタックピンを太くすることができるため、スタック装置に積層収容した放熱用フィンの積層体を安定した状態でハンドリングすることができる。
【0013】
また、前記動作制御部は、前記一対の保持体が前記放熱用フィン成形体を保持することが可能な保持可能位置にあるときに、前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を前記放熱用フィンの受け取り高さ位置まで上昇させる第1処理と、前記搬送装置を作動させて、前記カットオフ装置から前記放熱用フィン成形体を前記所定長さにわたって通過させる第2処理と、前記一対の保持体により保持された前記放熱用フィン成形体が前記カットオフ装置によって前記放熱用フィンに切断されるときまでに、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体を前記放熱用フィン成形体の前記切欠部に挿通させると共に前記落下ガイド体の下端部を前記スタックガイド体の上端部に接近させる第3処理と、前記カットオフ装置により前記放熱用フィン成形体を所定寸法で切断させる第4処理と、前記保持体接離動機構を作動させて、前記一対の保持体を離反させることにより前記落下ガイド体に沿って前記放熱用フィンを前記フィン受け部に載置する第5処理と、前記一対の保持体から前記放熱用フィンが前記フィン受け部に載置された後、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体の前記下端部を前記一対の保持体の上方位置に退避させる第6処理と、前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を予め設定した高さで下降させる第7処理と、をそれぞれ実行することが好ましい。
【0014】
また、前記動作制御部は、前記一対の保持体が前記放熱用フィン成形体を保持することが可能な保持可能位置にあるときに、前記搬送装置を作動させて、前記カットオフ装置から前記放熱用フィン成形体を前記所定長さにわたって通過させる第1処理と、前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を前記放熱用フィンの受け取り高さ位置まで上昇させる第2処理と、前記一対の保持体により保持された前記放熱用フィン成形体が前記カットオフ装置によって前記放熱用フィンに切断されるときまでに、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体を前記放熱用フィン成形体の前記切欠部に挿通させると共に前記落下ガイド体の下端部を前記スタックガイド体の上端部に接近させる第3処理と、前記カットオフ装置により前記放熱用フィン成形体を所定寸法で切断させる第4処理と、前記保持体接離動機構を作動させて、前記一対の保持体を離反させることにより前記落下ガイド体に沿って前記放熱用フィンを前記フィン受け部に載置する第5処理と、前記一対の保持体から前記放熱用フィンが前記フィン受け部に載置された後、前記落下ガイド体移動部を作動させて、前記落下ガイド体の前記下端部を前記一対の保持体の上方位置に退避させる第6処理と、前記移動機構を作動させて、前記フィン受け部を予め設定した高さで下降させる第7処理と、をそれぞれ実行することが好ましい。
【0015】
以上の構成を採用することで、スタック装置に放熱用フィンを積層収容させる際における各構成の動作を最小限にすることができる。
【0016】
また、前記動作制御部は、前記第6処理を実行した以降に、前記保持体接離動機構を作動させて前記一対の保持体を前記保持可能位置に戻す第8処理を実行することが好ましく、前記動作制御部は、前記第8処理を実行した後、前記第1処理に戻り、前記第1処理乃至前記第8処理を予め設定した回数にわたり繰り返し実行することがより好ましい。
【0017】
これらの構成によれば、スタック装置に放熱用フィンを積層させる処理を連続して行うことができる。
【0018】
また、前記動作制御部は、前記第1処理と前記第2処理とを同時に実行することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、放熱用フィンを製造する際におけるタクトタイムを短縮させることができる。
【0020】
また、前記スタックガイド体は、前記切欠部に挿通するスタックブレードと前記放熱用フィンの外端縁に当接するスタックピンとを有し、前記落下ガイド体は、前記切欠部に挿通する落下ガイドブレードであって、前記落下ガイド体移動部が前記落下ガイドブレードを前記スタック装置に向けて接離動させていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、保持体に保持されている熱交換用フィンをスタック装置に落とし込む際における放熱用フィンのブレを防止することができ、スタック時における放熱用フィンの変形をさらに防止することができる。
【0024】
また、前記落下ガイド体が前記スタック装置から離反する際において、前記放熱用フィンの共上がりを防止するためのストリッパをさらに有していることが好ましい。
【0025】
これにより、フィン受け部に載置された放熱用フィンが落下ガイド体の上昇動作に合わせて持ち上げられることが防止でき、フィン受け部への放熱用フィンの載置状態が乱れることがない。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる放熱用フィン製造装置の構成によれば、放熱用フィン製造装置のスタック装置が放熱用フィンを積層収容するにあたり、スタック装置を上昇させる際は、空荷の状態にすると共に、放熱用フィンが積層収容された状態ではスタック装置を下降動作のみにしている。したがって、スタック装置への放熱用フィンの積層収容数が増えて重量が増加しても、スタック装置を安定した状態で作動させることが可能になる。また、スタック装置のスタックピンを太くすることができるため、スタック装置に積層収容した放熱用フィンの積層体を安定した状態でハンドリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明にかかる放熱用フィン製造装置の概略全体構成を示す側面図である。
図2図2は、図1の金型装置によって加工された金属帯状体の平面図である。
図3図3は、保持装置とスタック装置部分の側面図である。
図4図4は、図3の保持装置部分を搬送先側から搬送元側を臨んだ要部正面図である。
図5図5は、フィン受け部の平面図である。
図6図6は、本実施形態におけるスタック装置の要部側面図である。
図7図7は、図6中のVII部分を搬送先側から搬送元側に臨んだ正面図である。
図8図8は、図7中の保持体の上方位置からの要部平面図である。
図9図9は、ストリッパの概略構造を示す説明図である。
図10図10は、図6に示す状態からフィン受け部を上昇させた状態を示すスタック装置の側面図である。
図11図11は、図10中のXI部分を搬送先側から搬送元側に臨んだ正面図である。
図12図12は、図10に示す状態からスタックガイド保持体とフィン受け部とを同期させて放熱用フィン受け取り高さ位置まで上昇させた状態を示す要部側面図である。
図13図13は、図12における図11相当図である。
図14図14は、落下ガイド体を一対の保持体に保持されている放熱用フィン成形体を通過する位置まで下降させた状態を示す図11相当図である。
図15図15は、放熱用フィン成形体の切断後に一対の保持体を離反させた状態を示す図11相当図である。
図16図16は、一対の保持体から放熱用フィンが落下しスタックブレードに沿って放熱用フィンがフィン受け部に載置された状態を示す図11相当図である。
図17図17は、落下ガイド体を一対の保持体の上方位置退避させた状態を示す図11相当図である。
図18図18は、フィン受け部のみを放熱用フィン1枚分の高さ下降させた状態を示す図11相当図である。
図19図19は、従来の放熱用フィン製造装置の概略全体構成を示す側面図である。
図20図20Aは放熱用フィン成形体の平面図であり、図20Bは放熱用フィン成形体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本実施形態における放熱用フィン製造装置100の概略全体構成を図1に示す。本実施形態における放熱用フィン製造装置100はフィン成形部100Aとスタック部100Bに大別することができる。フィン成形部100Aは、材料供給部47、プレス装置48、送り装置50、列間スリット装置52、カットオフ装置60を有している。スタック部100Bは、保持装置70とスタック装置80とを具備している。
【0029】
本実施形態における放熱用フィン製造装置100における各構成の動作制御は、記憶部に予め記憶されている動作制御プログラムと、動作制御プログラムに基づいて作動するCPUとを少なくも有する動作制御部90により行われている。このような動作制御部90は、放熱用フィン製造装置100に組み込ませた形態の他、放熱用フィン製造装置100とは別体に設けたパーソナルコンピュータ等により実現することができ公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
フィン成形部100Aにおける材料供給部47は、アンコイラー40、ループコントローラ42、および、NCフィーダ44を有している。放熱用フィン30の材料であるアルミニウム等の未加工の金属製の薄板10(以下、単に薄板10という)は、アンコイラー40にコイル状に巻回されている。アンコイラー40から引き出された薄板10は、ループコントローラ42内に挿入され、間欠送りされる薄板10のばたつきがループコントローラ42によって抑えられる。ループコントローラ42の下流側には、NCフィーダ44が設けられている。NCフィーダ44は、薄板10の上面と下面とに接触する2つのローラから構成されており、2つのローラが回転駆動することにより、薄板10を互いに挟み込んで薄板10を一定長さで間欠送りする。
【0031】
NCフィーダ44の下流側には、金型装置46が内部に配置されたプレス装置48が設けられている。金型装置46は上下動可能な上型ダイセット46Aと、静止状態にある下型ダイセット46Bが設けられている。なお、薄板10は、オイル供給部(図示はせず)によってその表面にオイルが付与された後にプレス装置48に供給される。
【0032】
図2に示されているように、プレス装置48によって形成された金属帯状体11は、搬送方向である矢印Aに直交する製品幅方向に複数の製品が並んだ状態になっている。金属帯状体11を幅方向および搬送方向に適宜分割することにより得られる具体的な製品である放熱用フィン30には、扁平形状に形成された熱交換チューブ32が挿入される切欠部34が複数箇所に形成されている。切欠部34と切欠部34との間には、ルーバー35を有する板状部36が形成されている。また、ルーバー35の幅方向の両端部側には、金属製の薄板10が切り起こされて形成された開口部37が形成されている。1つのルーバー35に対する2つの開口部37,37のうち、一方側の開口部37は、板状部36の先端部側に形成されている。
【0033】
切欠部34は、放熱用フィン30の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、切欠部34と切欠部34との間の複数の板状部36は、長手方向に沿って連続して伸びる連結部38によって連結されている。上記の1つのルーバー35に対する2つの開口部37,37のうち、他方側の開口部37は、この連結部38上に形成されている。
【0034】
図2に示す金属帯状体11は、2つの製品が、互いの切欠部34の開口側を隣接させるように対峙させて配置されている組が、複数組形成されている。すなわち、2つの製品の切欠部34の開口側が対峙して配置された組が、互いの連結部38どうしを隣接させた状態で配置されている。本実施形態における金属帯状体11には、6組(12本)の放熱用フィン成形体31が形成されている(図示はせず)が、金属帯状体11はこの形態に限定されるものではない。
【0035】
放熱用フィン製造装置100の全体構成の説明に戻る。図1に示すようにプレス装置48内の金型装置46で形成された金属帯状体11は、プレス装置48の下流側に設けられている送り装置50によって間欠的に搬送方向に送られる。送り装置50の送りタイミングは、動作制御部90によりNCフィーダ44およびプレス装置48のプレス動作と連動して動作するようになっており、安定した間欠送りが可能である。
【0036】
本実施形態における送り装置50は、水平方向に移動可能な往復動ユニット51が、動作制御部90によって初期位置と移送位置との間を往復動するよう動作が制御されていて、プレス装置48から金属帯状体11を牽引する。往復動ユニット51の上面には、送りピン55が上方に突出して配置されており、送りピン55が金属帯状体11に形成された切欠部34または開口部37内に下方から進入し、送りピン55が牽引することで金属帯状体11を移送位置まで移動させている。本実施形態においては、材料供給部47と送り装置50とにより特許請求の範囲でいうところの搬送装置が構成されている。なお、この搬送装置には後述する送り装置62を加えることもできる。
【0037】
送り装置50の下流側に隣接した位置には、列間スリット装置52が設けられている。列間スリット装置52は、金属帯状体11の上面側に配置された上刃53と、金属帯状体11の下面側に配置された下刃54とを有する。列間スリット装置52は、プレス装置48の上下動動作を利用して動作するように設けるとよい。また、動作制御部90により図示しない列間スリット装置52の駆動機構の動作を制御することで列間スリット装置52の操作制御することもできる。上刃53および下刃54は金属帯状体11の搬送方向に沿って長尺に形成されており、間欠送りされる金属帯状体11を噛み合わせた上刃53と下刃54とで所定幅で切断し、搬送方向に長い製品幅の放熱用フィン成形体31を製造する。
【0038】
列間スリット装置52によって切断された放熱用フィン成形体31は、それぞれが別体に設けられたカットオフ装置60内に送り込まれる。なお、複数本の放熱用フィン成形体31は、カットオフ装置60に送り込まれる前に、隣り合う放熱用フィン成形体31どうしの間を所定間隔あけるように配置される。また、カットオフ装置60に送り込まれる前には、複数本の放熱用フィン成形体31は、カットオフ装置60による1回の送り長さよりも長い長さを一時的に溜めるため、下方に撓ませるようにしてバッファ部分BFを形成している。
【0039】
カットオフ装置60内には、搬送方向に各々の放熱用フィン成形体31を間欠的に搬送する送り装置62が設けられている。送り装置62の構造としては、プレス装置48の下流側に設けられている送り装置50の構造よりも、1回の送り長さを長くすることができる構成となっている。送り装置62もまた動作制御部90により動作が制御されていて、水平方向に移動可能な搬送ユニット64が、所定距離移動することにより放熱用フィン成形体31をプレス装置48側から牽引し、カットオフ装置60の下流側に押し出している。搬送ユニット64の上面には、放熱用フィン成形体31の数だけ水平方向に並んだ複数列の送りピン65が列状に上方に突出して配置されている。送りピン65がそれぞれの放熱用フィン成形体31に形成された切欠部34または開口部37内に下方から進入し、送りピン65が牽引することでそれぞれの放熱用フィン成形体31が移送位置まで移動される。
【0040】
カットオフ装置60内において、送り装置62の下流側には切断装置66が設けられている。切断装置66は動作制御部90により動作が制御されていて、各々の放熱用フィン成形体31を所定寸法(所定長さ)に切断することにより、放熱用フィン30を形成する。切断装置66は、各々の放熱用フィン成形体31の上面側に配置された上刃68と、各放熱用フィン成形体31の下面側に配置された下刃69とを有する。上刃68と下刃69とが型閉じすることによって、各々の放熱用フィン成形体31が搬送方向において所定長さに切断され、製品としての放熱用フィン30が製造される。カットオフ装置60の下流側には、図3および図4に示すようなスタック部100Bとしての保持装置70と、製造された放熱用フィン30を板厚方向(上下方向)に積層するスタック装置80とが設けられている。
【0041】
保持装置70は、カットオフ装置60の下流側から搬送方向に出てきた搬送方向の所要長さで切断される前の放熱用フィン成形体31を、搬送方向にスライド可能に支持している。具体的には、保持装置70は、カットオフ装置60を通過してきた切断前の放熱用フィン成形体31の幅方向端部で保持することができるように、放熱用フィン成形体31の幅方向両側に配置された、一対の保持体71を有している。各々の保持体71は、放熱用フィン成形体31の長手方向(搬送方向)に直交する方向における断面形状がコの字状に形成されている。すなわち、一対の保持体71を搬送方向から見ると、図4に示すように、互いに幅方向外側に凹む凹部74が互いに対向するように形成されている。このような保持装置70は、まだ切断される前の放熱用フィン成形体31の時点から、切断装置66によって所定長さに切断されて放熱用フィン30に形成された後も保持状態を維持することができる。
【0042】
また、一対の保持体71は、放熱用フィン成形体31の側方位置と、放熱用フィン成形体31を保持する保持位置との間で互いに水平方向に接離動可能(移動可能)に設けられている。一対の保持体71を接離動させるための保持体接離動機構として、後述する動作制御部90により動作が制御される流体シリンダ72が設けられている(図1以外の図面においては流体シリンダ72の表示を省略する)。
【0043】
スタック装置80は、スタックガイド体としてのスタックブレード81およびスタックピンSPが立設された平板状のスタックガイド体保持部82と、スタックブレード81に挿通された複数枚の放熱用フィン30のうち最下部の放熱用フィン30の下面に当接する平板状のフィン受け部83とを有している。スタックピンSPは放熱用フィン30の幅方向における外端縁に当接し、フィン受け部83にスタックさせた放熱用フィン30の平面位置を規制している。
【0044】
本実施形態におけるスタックブレード81は、放熱用フィン30の切欠部34に挿通可能な大きさであって、具体的には切欠部34の形状に合わせて製品の幅方向に長辺が形成された薄板形状である。また、スタックブレード81の上端部は本実施形態のようにいわゆる立設方向の中心軸線に対してスラッシュカットされた傾斜先端部81Aに形成されていてもよいし、平坦先端部に形成されていてもよい。また、スタックブレード81の基部には平板状に形成された製品側面ガイド81Bが配設されている。製品側面ガイド81Bはフィン受け部83に積層された放熱用フィン30の側面位置を規制するためのものであり、放熱用フィン30の幅方向における端縁部に近接または当接する位置に設けられている(図8参照)。
【0045】
また、図5に示すように本実施形態におけるフィン受け部83は、放熱用フィン30を積層させるために上面が平坦な長方形板体により形成されている。フィン受け部83にはスタックブレード81および製品側面ガイド81Bを挿通させるための通過孔93と、スタックピンSPを挿通させるためのピン回避部96が、それぞれの平面位置に対応する位置に穿設されている。一方、スタックブレード81、製品側面ガイド81B、およびスタックピンSPがそれぞれ立設されたスタックガイド体保持部82もフィン受け部83と同様に上面が平坦面に形成されている。
【0046】
本実施形態におけるスタックガイド体保持部82は、図6に示すように、基部としてのパレット82Aと、スタックブレード81を保持するためのスペーサ82Bが固定されたマガジン82Cとを有している。また、スタックブレード81を起立させた状態で保持させたスペーサ82Bはマガジン82Cを介してパレット82Aに取り付けられている。このようなスタック装置80におけるフィン受け部83とスタックガイド体保持部82は、それぞれ独立してスタックブレード81の立設方向に沿って第1移動機構84および第2移動機構85によって上下方向に移動可能になっている。なお、この第1移動機構84は、特許請求の範囲でいう移動機構に相当するものである。
【0047】
また、本実施形態におけるスタック装置80のフィン受け部83を移動させる第1移動機構84は、第1サーボモータ84A、第1ボールねじ84B、第1タイミングベルト84C、昇降プレート84Dを有している。第1ボールねじ84Bはスタックブレード81の立設方向と平行に設けられている。第1タイミングベルト84Cは、第1サーボモータ84Aの出力軸84Eに取り付けられた第1タイミングプーリー84Fと、第1ボールねじ84Bの一端部に取り付けられた第1従動タイミングプーリー84Gとの間に掛け渡されている。昇降プレート84Dは第1ボールねじ84Bに螺合させた状態で取り付けられていて、フィン受け部83を支持することが可能に設けられている。昇降プレート84Dは第1ボールねじ84Bの回転方向に応じて第1ボールねじ84Bの軸線方向に沿って(スタックブレード81の立設方向に沿って)フィン受け部83を支持した状態で上下方向に移動可能になっている。
【0048】
本実施形態における第1移動機構84は、フィン受け部83の長手方向(放熱用フィン成形体31の搬送方向)における両端部のそれぞれに設けられている。また、フィン受け部83を昇降させる際においてフィン受け部83の上面が水平を維持するよう、動作制御部90により互いの第1移動機構84の動作が同期するように制御されている。
【0049】
また、本実施形態においてスタックガイド体保持部82を移動させる第2移動機構85は、第2サーボモータ85A、第2ボールねじ85B、第2タイミングベルト85C、昇降台85Dを有している。第2ボールねじ85Bはスタックガイド体保持部82の下側位置においてスタックブレード81の立設方向と平行に設けられている。第2タイミングベルト85Cは、第2サーボモータ85Aの出力軸85Eに取り付けられた第2タイミングプーリー85Fと第2ボールねじ85Bの一端部に取り付けられた第2従動タイミングプーリー85Gとの間に掛け渡されている。昇降台85Dは横方向端部が第2ボールねじ85Bにそれぞれ螺合させた状態で取り付けられていて、上方向端部がスタックガイド体保持部82に取り付けられている。昇降台85Dは第2ボールねじ85Bの回転方向に応じて第2ボールねじ85Bの軸線方向に沿って(スタックブレード81の立設方向に沿って)スタックガイド体保持部82を上下方向に移動させることが可能である。
【0050】
第2移動機構85は第1移動機構84の動作とは独立および同期させた状態で作動するよう動作制御部90により動作が制御されている。なお、第2移動機構85と第1移動機構84の動作を同期させる際には、互いの位置関係を維持した状態(相対位置が維持された状態)となるようにそれぞれの動作が動作制御部90により制御されることになる。また、第2移動機構85の構成は省略可能であり、第2移動機構85を省略することでスタックガイド体保持部82が固定された形態を採用することもできる。第2移動機構85を有することで、保持体71からスタックガイド体保持部82までの距離を十分確保することができ、放熱用フィン30の大量積層収集が可能になる。また、第2移動機構85を有することにより、落下ガイドピン59を回避した状態でパレット82Aを交換(移動)させることもできる。これらに説明したように、第2移動機構85を有することで放熱用フィン30の積層収集作業が効率化される点で好都合である。
【0051】
また、本実施形態においては、図7に示すように保持装置70からスタック装置80に放熱用フィン30を受け渡しする際において放熱用フィン30の落下をガイドする落下ガイド装置56が配設されている。本実施形態における落下ガイド装置56は、落下ガイド体としての落下ガイドブレード57および落下ガイドピン59と、落下ガイド体移動部としての落下ガイドブレード移動部58とを有している。本実施形態における落下ガイドブレード57は、スタックブレード81と同様に傾斜先端部57Aを有するブレード体に形成されており、切欠部34のいずれかに挿通可能な平面位置に位置合わせされた状態で配設されている。ここで、スタックブレード81が挿通している切欠部34と落下ガイドブレード57が挿通する切欠部34とは同一の切欠部34である必要はない(図8参照)。
【0052】
このように形成された落下ガイドブレード57は、保持装置70の上方位置に配設された落下ガイドブレード移動部58により、保持装置70の上方位置から下方位置にわたって上下方向に昇降移動可能(スタック装置80に向けて接離動可能)になっている。本実施形態においては、落下ガイドブレード移動部58として流体シリンダを採用しているが、他の構成を採用することもできる。落下ガイドブレード移動部58による落下ガイドブレード57の昇降動作は、動作制御部90により制御されている。
【0053】
また、落下ガイドブレード57の側方位置には落下ガイドピン59が吊設されている。落下ガイドピン59は放熱用フィン成形体31(放熱用フィン30)の幅方向両端縁部分(側面)に外周面が当接する位置または当接する寸前の位置に配設されていて、保持体71に形成された退避部96部分に挿通されている。落下ガイドピン59は、保持体71に挿通する部分を含む先端部所要範囲が細径部に形成されている。落下ガイドピン59の下端部位置は、落下ガイドブレード57の下端部位置よりも下方位置かつ、スタックピンSPの先端部と高さ方向に重複している。本実施形態における落下ガイドピン59のように落下ガイドブレード57に隣り合う位置に配設することで、落下ガイドブレード57と落下ガイドピン59とによる放熱用フィン30の幅方向における位置決めをより精密に行うことができる点で好都合である。
【0054】
また、本実施形態においては、図9に示すように、保持体71を吊り下げ保持している架台MTに吊設されたストリッパ92を有している。本実施形態におけるストリッパ92は、架台MTへの取付部92A、架台MTからの吊り下げ部92Bおよび放熱用フィン30との当接部92Cとを有するJ字状に形成されている。ストリッパ92は、放熱用フィン30の直上位置で所定間隔をあけた位置に当接部92Cが保持されるように吊り下げ部92Bの長さが調整されている。このようなストリッパ92により、放熱用フィン30に挿通されていた落下ガイドブレード57が退避する際に、放熱用フィン30が落下ガイドブレード57と共上がりしても当接部92Cの位置で放熱用フィン30を分離させることができる。
【0055】
続けて本実施形態における放熱用フィン製造装置100において特徴的な動作である保持装置70とスタック装置80の動作について詳細に説明する。スタック装置80が図6に示す初期位置から図10および図11に示す待機位置に移るときは、動作制御部90は第1移動機構84を作動させてフィン受け部83のみをスタックブレード81に沿って上昇させる(積層収集開始待機)。そしてスタック装置80に放熱用フィン30をスタックさせるための動作が開始すると、動作制御部90が第1移動機構84を作動させる。本実施形態においては、第1移動機構84に加えて第2移動機構85を同期させた状態で作動させている。すなわち図12図13に示すように、フィン受け部83の上面からのスタックブレード81とスタックピンSPの突出量を維持させながらフィン受け部83とスタックガイド体保持部82を放熱用フィン30の受け取り高さ位置まで上昇させている(第1処理)。
【0056】
次に動作制御部90はカットオフ装置60の搬送ユニット64を作動させて、図13に示すようにカットオフ装置60の切断装置66から放熱用フィン成形体31を所要長さ通過させる(第2処理)。なお、図12における一点鎖線は放熱用フィン成形体31のパスライン(一対の保持体71から放熱用フィン30をフィン受け部83に受け渡しする高さ位置)である。
【0057】
次に動作制御部90は、図14に示すように落下ガイドブレード移動部58を作動させて一対の保持体71の上方位置から落下ガイドブレード57を一対の保持体71に保持されている放熱用フィン成形体31を通過する位置まで下降させる。このとき落下ガイドブレード57は放熱用フィン成形体31の切欠部34に挿通すると共に、傾斜先端部57Aがスタックブレード81の傾斜先端部81A(上端部)に当接する直前まで接近させている(第3処理)。このようにして一対の保持体71に幅方向に位置決めされた状態で保持されている放熱用フィン成形体31は、落下ガイドブレード57によりさらに搬送方向においても位置決めされた状態になる。この状態で動作制御部90が切断装置66を作動させて放熱用フィン成形体31を搬送方向における所定寸法で切断し放熱用フィン30に個片化する(第4処理)。
【0058】
次に動作制御部90は、流体シリンダ72を作動させ、図15に示すように一対の保持体71の凹部74どうしを互いに離反させる。このとき、落下ガイドピン59が放熱用フィン30の幅方向における外端縁に当接しているため、幅方向における放熱用フィン30の位置ずれを規制することができる。一対の保持体71が互いに離反すると、一対の保持体71に保持させていた放熱用フィン30は、図16に示すように落下ガイドブレード57に沿って平面位置が位置決めされた状態で落下し、フィン受け部83のスタックブレード81に切欠部34を挿通させた状態で載置される(第5処理)。
【0059】
次に動作制御部90は、落下ガイドブレード移動部58を作動させ、図17に示すように落下ガイドブレード57を一対の保持体71の上方位置に退避させる(第6処理)。なお、落下ガイドブレード57の退避位置は放熱用フィン成形体31のパスラインよりも上方位置であって新たに送り込まれる放熱用フィン成形体31と干渉しない高さ位置であればよい。本実施形態における動作制御部90は、図17に示すように、第6処理と同時に一対の保持体71を放熱用フィン成形体31が保持可能な位置に戻す処理を実行している。
【0060】
なお動作制御部90は、第6処理の実行の際に流体シリンダ72を作動させ、互いに離反している一対の保持体71を接近させて放熱用フィン成形体31の保持可能位置に戻しているが、この形態に限定されない。動作制御部90は、互い離反した一対の保持体71を放熱用フィン成形体31が保持可能な位置に戻す処理を、第6処理の直前または第6処理の直後に実行することもできる。また、動作制御部90は、互い離反した一対の保持体71を放熱用フィン成形体31が保持可能な位置に戻す処理を、後述する第7処理を実行した後に第8処理として実行することもできる。
【0061】
次に動作制御部90は、図18に示すように第1移動機構84を作動させて、フィン受け部83を予め設定した高さで下降させる(第7処理)。フィン受け部83を下降させる高さは、積層対象となっている放熱用フィン30の1枚当たりの高さとしている。これにより、保持装置70からフィン受け部83への放熱用フィン30の落下高さを一定にすることができる。
【0062】
さらに動作制御部90は、第5処理と同時またはその直前もしくは第5処理の後において、図示しない記憶部に予め記憶させてある放熱用フィン30の積層枚数のカウンタ値(放熱用フィン30の積層開始時に数値を0にリセットしてある)に1を加える処理を行う。次に動作制御部90は同じく図示しない記憶部に予め記憶させてある比較対象値と積層枚数のカウンタ値との比較を行う処理(積層数確認処理)を実行する。比較対象値>積層枚数のカウンタ値のときは、動作制御部90は第2処理に戻る処理を実行し、積層数確認処理までを繰り返し実行する。
【0063】
積層数確認処理において比較対象値=積層枚数のカウンタ値になったときは次の処理が実行される。すなわち動作制御部90は、図示しないスタック装置移動機構により放熱用フィン30の積層体、フィン受け部83、スタックガイド体保持部82を積層体引き渡し位置に移動させる処理(積層体取り出し用移動処理)を実行する。次に動作制御部90は、図示しない積層体取り出し装置により放熱用フィン30の積層体をスタック装置80から取り出す処理(積層体取り出し処理)を実行する。次に動作制御部90は、記憶部の積層枚数のカウンタ値を0にリセットした後、スタック装置移動機構を作動させてスタック装置80を元の位置に戻す処理(スタック装置復帰処理)を実行する。なお、スタック装置復帰処理は、別体のフィン受け部83、スタックガイド体保持部82を取り付ける処理に置き換えることもできる。
【0064】
次に動作制御部90は、第1移動機構84を作動させ、フィン受け部83を積層開始基準高さ位置まで上昇させる処理(待機状態移行処理)を実行し、続けて第1処理以降の処理を上記説明と同様にして繰り返し実行する。なお、ここでは、スタック装置80の初期状態からフィン受け部83を上昇させて待機状態移行処理にしているが、待機状態移行処理後の状態を初期状態にすることもできる。
【0065】
本実施形態における放熱用フィン製造装置100の構成によれば、放熱用フィン30をスタック装置80に積層収容する際は、重量物であるスタックガイド体保持部82を上昇させる動作を最小限にすることができる。これにより放熱用フィン30の積層収容時におけるスタック装置80の電気エネルギ消費量が削減され、運転コストの低減が可能になる。また、フィン受け部83に放熱用フィン30が積層された後は、フィン受け部83は下降動作のみを行うので、安定した状態で放熱用フィン30の積層動作を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態における放熱用フィン製造装置100は、スタック装置80が放熱用フィン30を下方側から迎えにいかない形態であるから、スタックピンSPの位置決め機能を確保する必要がないため、スタックピンSPを太くすることができ、スタックピンSPの剛性を高めることができる。したがって、スタック装置80に積層収容した放熱用フィン30の積層体を安定した状態でハンドリングできるといった点においても好都合である。
【0067】
また、一対の保持体71からフィン受け部83への放熱用フィン30の受け渡しは可及的に少ない落差で落下させることができる。そして、落下ガイドブレード57とスタックブレード81、落下ガイドピン59とスタックピンSPにより位置決めされた状態で放熱用フィン30をスタック装置80に積層収容することができる。
【0068】
なお、以上に説明した実施形態における放熱用フィン製造装置100は、未加工の金属製の薄板10に対して幅方向に複数の放熱用フィン30を並列して製造したので列間スリット装置52を有する形態について説明したがこの形態に限定されない。細長帯状体に形成された金属製の薄板10を用い、薄板10の幅方向において放熱用フィン30を1個取りする形態を採用した場合は、列間スリット装置52の構成を省略することもできる。
【0069】
また、以上の実施形態の構成から第2移動機構85の構成を省略した場合、スタックガイド体保持部82は完全に固定され、ガイド体保持部82の上昇動作をなくすことができる。この形態を採用した場合、第1処理においては第1移動機構84のみが作動し、フィン受け部83のみが放熱用フィン30の受け取り高さ位置まで上昇することになる。これによりスタック装置80の構成を簡素化することができると共に、電気エネルギ消費量がさらに削減され、運転コストのさらなる低減が可能になる。
【0070】
また、以上の実施形態における落下ガイド体は、落下ガイドブレード57と落下ガイドピン59を有しているが、落下ガイドピン59の構成は省略することもできる。
【0071】
さらに、以上に説明した実施形態においては、断面形状がコの字型に形成されている保持体71について説明しているが、保持体71は少なくとも幅方向外側に凹む凹部74として底面と側面を有する形態であればよい。具体的には、断面L字型や断面C字型に形成された保持体71の構成を採用することができる。
【0072】
そして以上に説明した保持体71は、金属帯状体11の送り出し方向に連続した形態について説明しているが、放熱用フィン30の長さ方向に沿って所要長さに形成された複数組の一対の保持体71を所定の間隔をあけた状態で配設した形態としてもよい。保持体71どうしの配設間隔部分に落下ガイドピン59が進入するように配置すれば、落下ガイドピン59を保持体71に干渉させないようにできる。
【0073】
また、以上の実施形態における放熱用フィン製造装置100は、保持体71の接離動手段として流体シリンダ72を採用しているが、保持体71を移動させることができれば特に流体シリンダ72の構成に限定するものではない。さらに、本明細書では第1移動機構84および第2移動機構85として第1サーボモータ84A,第2サーボモータ85Aとこれらの出力軸84E,85Eに第1タイミングプーリー84F,第2タイミングプーリー85Fと第1タイミングベルト84C,第2タイミングベルト85Cを介して連結された第1ボールねじ84B,第2ボールねじ85Bを採用した実施形態について説明した。しかし、本発明は、第1移動機構84(および第2移動機構85)についても以上に説明した形態の構成に限定されるものではない。
【0074】
また、本実施形態における落下ガイドピン59は、図8に示すように落下ガイドブレード57が進入する切欠部34の長手方向延長線上の位置で落下ガイドブレード57に既設させた状態で配設した形態を示しているがこの形態に限定されるものではない。落下ガイドブレード57と落下ガイドピン59とが同一の切欠部34の長手方向延長線上位置ではない位置に配置された形態を採用することもできる。
【0075】
また、本明細書中で説明した各種の変形例を適宜組み合わせた放熱用フィン製造装置100の形態を採用することも可能である。
【要約】
スタック装置(80)が放熱用フィン(30)を積層収容するにあたり、スタック装置(80)の動作を安定化させることが可能な放熱用フィン製造装置(100)の構成を提供することを課題としている。解決手段として、プレス装置(48)により形成された放熱用フィン成形体(31)を放熱用フィン(30)に個片化するカットオフ装置(60)の下流側に配設された放熱用フィン(30)の保持装置(70)の上方位置に落下ガイドブレード(57)を設け、保持装置(70)から放熱用フィン(30)をスタック装置(80)に受け渡す際には落下ガイドブレード(57)をスタック装置(80)に接近させ、落下ガイドブレード(57)により放熱用フィン(30)をガイドしながらスタック装置(80)に落下させることでスタック装置(80)に積層収容し、放熱用フィン(30)が収容された後のスタック装置(80)は下降動作のみを行う。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20