(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ヒートシール装置、及び、製袋機
(51)【国際特許分類】
B31B 70/64 20170101AFI20221122BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20221122BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B31B70/64
B65B51/14
B65B51/10 A
B65B51/10 P
(21)【出願番号】P 2021566470
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2021033943
(87)【国際公開番号】W WO2022113486
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2020197911
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110192
【氏名又は名称】トタニ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 英夫
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-099080(JP,A)
【文献】特開平06-345058(JP,A)
【文献】中国実用新案第210761618(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/64
B65B 51/14
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の構成要素をヒートシールするためのヒートシール装置であって、
第1水平方向に互いに間隔をあけて配置された一組の梁と、
前記一組の梁に支持されて前記一組の梁の間を前記第1水平方向に延在するビームと、
前記ビームに対して上下方向に移動可能に設けられたスライダと、
前記スライダと共に上下方向に移動する第1ヒートシール部材と、
前記第1ヒートシール部材と上下方向に対向する第2ヒートシール部材と、
前記一組の梁および前記ビームを上下方向に移動させて、前記スライダおよび前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に近接および離間させるための上下動機構と、
前記スライダと前記ビームとの間に位置し、前記袋の構成要素が前記第1ヒートシール部材と前記第2ヒートシール部材とで挟まれる際に前記スライダおよび前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に向けて付勢するための少なくとも2つの主付勢部材と、
前記スライダと前記ビームとの間に位置し、前記袋の構成要素が前記第1ヒートシール部材と前記第2ヒートシール部材とで挟まれる際に前記スライダおよび前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に向けて付勢するための副付勢部材と、を備え、
前記少なくとも2つの主付勢部材が、前記第1水平方向に一直線上に配置され、
前記副付勢部材は、前記少なくとも2つの主付勢部材から、前記第1水平方向に直角な第2水平方向にオフセットして配置され、
前記ヒートシール装置は、前記副付勢部材による前記第1ヒートシール部材への付勢力を調整可能に構成されている、
ことを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記ヒートシール装置は、前記副付勢部材を、前記袋の構成要素が前記第1ヒートシール部材と前記第2ヒートシール部材とで挟まれる際に前記第1ヒートシール部材を付勢しない状態に調整可能に構成されている、
請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記第1ヒートシール部材は、
ベースと、
前記ベースに着脱可能に装着されるシールプレートと、を備え、
前記シールプレートは、当該シールプレートが前記ベースに装着されたときに前記第2ヒートシール部材と対向する表面を有する凸部を備え、
前記ヒートシール装置は、前記シールプレートと前記第2ヒートシール部材とで前記袋の構成要素を挟んでヒートシールして、前記凸部の前記表面の形状を有するシール部を形成するように構成されている、
請求項1または請求項2に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記第1ヒートシール部材は、前記シールプレートが前記ベースに前記第2水平方向に対して異なる複数の位置で装着できるように、構成されている、
請求項3に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記副付勢部材は、バネまたはシリンダである、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のヒートシール装置。
【請求項6】
全ての前記主付勢部材は、バネまたはシリンダである、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のヒートシール装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のヒートシール装置を備える製袋機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、製袋機用のヒートシール装置に関する。また、本願は、当該ヒートシール装置を備える製袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に開示された製袋機は、袋の成形(クロスカット工程)前に、袋の構成要素をヒートシールするヒートシール装置を備える。袋の構成要素は、例えば、ウェブ状の胴部や、ウェブ状またはシート状のガセット部(サイドガセット部、底ガセット部、天ガセット部)である。ヒートシール装置は、2枚のウェブ状の胴部を互いにヒートシールしたり、ガセット部を胴部にヒートシールしたりする。ヒートシールの方向は、ウェブ状の胴部の幅方向または長さ方向が一般的である。
【0003】
ヒートシールの方向は、ウェブ状の胴部の幅方向および長さ方向に対して斜め方向になることもある。例えば、特許文献3に開示されたヒートシール装置は、ガセット部を胴部にヒートシールして、V字形状の傾斜シール部を形成する。
【0004】
こういったヒートシール装置は、加熱された第1および第2ヒートシール部材で袋の構成要素を挟むことで、袋の構成要素をヒートシールする。したがって、少なくとも第1ヒートシール部材は、形成されるシール部の形状を有しかつ袋の構成要素に押し付けられる表面を有する。
【0005】
ヒートシール装置は、第1および第2ヒートシール部材で袋の構成要素を挟んでいるときに、第1ヒートシール部材を第2ヒートシール部材に向けて付勢する少なくとも2つの付勢部材を備える。少なくとも2つの付勢部材は、互いに間隔をあけて水平方向に一直線上に配置されている。付勢部材の付勢力が第1ヒートシール部材を介して袋の構成要素に印加される。付勢部材は、バネやシリンダである(特許文献1,2参照)。
【0006】
付勢力が袋の構成要素に均等に印加されると、シール部の仕上がりがよくなる。このために、第1ヒートシール部材の前記表面の図芯が付勢部材の付勢力の合力の作用線(上下方向にのびている)上にあるとよい。かかる状態にあれば、前記表面の全域にわたり、均一なシール圧が印加されることとなり、高品質なシールが得られる。
【0007】
製造される袋の形状、サイズ、ガセット部のサイズなど袋のデザインに応じて、シール部の形状や位置も変えなければならないことがある。この場合、第1ヒートシール部材を異なる形状のものに変更する、または第1ヒートシール部材の位置を変更している。しかしながら、このような変更によって、第1ヒートシール部材の前記表面の図芯が、付勢部材の合力の作用線からずれてしまうことがある。とりわけ、図芯が付勢部材の配置ラインからずれてしまうことが実情として多い。このずれにより、付勢力の均等な印加が損なわれ、シール部の仕上がりが悪くなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-76090号公報
【文献】WO2019/225266
【文献】WO2018/012542
【発明の概要】
【0009】
本願は、付勢部材の合計された付勢力の作用線を主付勢部材の配置ラインに直角な水平方向に調整可能なヒートシール装置、および、当該ヒートシール装置を備える製袋機を提供することを目的とする。
【0010】
本願の一態様によれば、袋の構成要素をヒートシールするためのヒートシール装置が提供され、前記ヒートシール装置は、
第1水平方向に互いに間隔をあけて配置された一組の梁と、
前記一組の梁に支持されて前記一組の梁の間を前記第1水平方向に延在するビームと、
前記ビームに対して上下方向に移動可能に設けられたスライダと、
前記スライダと共に上下方向に移動する第1ヒートシール部材と、
前記第1ヒートシール部材と上下方向に対向する第2ヒートシール部材と、
前記一組の梁および前記ビームを上下方向に移動させて、前記スライダおよび前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に近接および離間させるための上下動機構と、
前記スライダと前記ビームとの間に位置し、前記袋の構成要素が前記第1ヒートシール部材と前記第2ヒートシール部材とで挟まれる際に前記スライダおよび前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に向けて付勢するための少なくとも2つの主付勢部材と、
前記スライダと前記ビームとの間に位置し、前記袋の構成要素が前記第1ヒートシール部材と前記第2ヒートシール部材とで挟まれる際に前記スライダおよび前記第1ヒートシール部材を前記第2ヒートシール部材に向けて付勢するための副付勢部材と、を備え、
前記少なくとも2つの主付勢部材は、前記第1水平方向に一直線上に配置され、
前記副付勢部材は、前記少なくとも2つの主付勢部材から、前記第1水平方向に直角な第2水平方向にオフセットして配置され、
前記ヒートシール装置は、前記副付勢部材による前記第1ヒートシール部材への付勢力を調整可能に構成されている。
【0011】
前記ヒートシール装置は、前記副付勢部材を、前記袋の構成要素が前記第1ヒートシール部材と前記第2ヒートシール部材とで挟まれる際に当該副付勢部材が前記第1ヒートシール部材を付勢しない状態に調整可能に構成されてよい。
【0012】
前記第1ヒートシール部材は、
ベースと、
前記ベースに着脱可能に装着されるシールプレートと、を備えてよい。
前記シールプレートは、当該ベースプレートが前記ベースに装着されたときに前記第2ヒートシール部材と対向する表面を有する凸部を備えてよい。
前記ヒートシール装置は、前記シールプレートと前記第2ヒートシール部材とで前記袋の構成要素を挟んでヒートシールして、前記凸部の前記表面の形状を有するシール部を形成するように構成されてよい。
【0013】
前記第1ヒートシール部材は、前記シールプレートが前記ベースに前記第2水平方向に対して異なる複数の位置で装着できるように、構成されているとよい。
【0014】
前記副付勢部材は、バネまたはシリンダでよい。
【0015】
全ての前記主付勢部材は、バネまたはシリンダでよい。
【0016】
本願の別の態様によれば、上記ヒートシール装置を備える製袋機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】
図4は、例示のヒートシール装置の概略平面図である。
【
図6】
図6Aは、
図5の主付勢部材の位置における縦断面図であり、
図6Bは、
図5の副付勢部材の位置における縦断面図である。
【
図7】
図7は、例示のシールプレートを示す図である。
【
図8】
図8は、
図5の調整ボルトの位置における縦断面図である。
【
図12】
図12は、袋の構成要素、配置ライン、凸部および作用線の平面的な位置関係を示す。
【
図13】
図13は、袋の構成要素、配置ライン、凸部および作用線の平面的な位置関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本願の実施形態が説明される。
【0019】
例示の製袋機が、
図1A-
図1Cに示されている。製袋機は、ウェブ1から袋10を順次製造する。ウェブ1が、原反1’からその長さ方向(その連続方向)に定速で連続的に繰り出され、第1折り装置30によって2つ折りされる。第1折り装置30は、三角板300と、一組のくわえローラ301とを備える。ウェブ1は、三角板300、および、くわえローラ301によって、搬送の際に、その長手方向中心線に沿って2つ折りされていく。
図1Aの符号100は、ウェブ1の2つ折りの結果生じる折曲縁を示す。
図1Aの符号101,102は、ウェブ1の2つ折りによって互いに整合したウェブ1の両側縁を示す。
【0020】
2つ折りされたウェブ1は、次いで、ダンサーローラを含むダンサー装置31によって連続搬送から間欠搬送に適切に切り替えられる。なお、一組の搬送ローラを含む搬送装置32が、製袋機の下流部分に設けられ、ウェブ1を当該ウェブ1の長さ方向に間欠的に搬送している。ウェブ1の搬送方向は、符号X1によって示される。
【0021】
次いで、ウェブ1は、第2折り装置33によってさらに折られて、2つのウェブ状の胴部11,12、および、これらの胴部11,12の間に折り込まれたウェブ状のガセット部13が、ウェブ1から形成されるようにする。胴部11,12およびガセット部13は袋10の構成要素である。
【0022】
第2折り装置33は、一組のガイドローラ330の下流かつ一組のガイドローラ331の上流に配置された一組の拡張ローラ332(
図1B)を備える。2つ折りされたウェブ1は、拡張ローラ332によって、ガイドローラ330からガイドローラ331までの区間で拡げられる。
【0023】
図2Aは、
図1Aの領域Sの拡大平面図である。第2折り装置33は、さらに、拡張ローラ332の下流かつガイドローラ331の上流に位置する形成板333を備える。
図2Bは、領域Sの背面図である。形成板333は、三角形状を有する。形成板333は、折曲縁100を含む部分に、外側から当接するように配置されている。形成板333は、下流に向ってかつウェブ1に向って窄まり、その1つの頂部3330が形成板333の下流端となりウェブ1に入り込み、ガイドローラ331に接近し、ウェブ1の折曲縁100と当接する。
【0024】
ウェブ1の搬送に伴い、折曲縁100を含む部分が、形成板333によってウェブ1の2層の間に入り込むように折曲縁100に沿って反対方向に折り返される。そして、その状態で、ウェブ1が、一組のガイドローラ331の間を通過する。
【0025】
これによって、折曲縁100を含む部分は、ウェブ1の2層の間に折り込まれ、その結果、ウェブ状の2つ折りされたガセット部13となり、そして、ウェブ1の2層は、2つのウェブ状の胴部11,12になる。折曲縁100がガセット部13の内側縁になる。
図2Aの符号103,104は、胴部11,12の端縁であり、かつ、ガセット部13の外側縁であり、すなわち、ガセット部13と胴部11,12との境界縁となる。以下、ウェブ1は、このように折られた状態で搬送される。
【0026】
なお、形成板333の位置によって、ガセット部13の胴部11,12への折込量、つまりガセット深さ、を調整できる。
【0027】
図2Cは、第2折り装置33の代替例を示す。第2折り装置33は、形成板333に代えて、公知の折込みプレート334および内側ガイドプレート(図示略)によって、折曲縁100を含む部分を折り込んでもよい。この場合、折込みプレート334の位置によって、ガセット部13の折込量を調整および決定できる。
【0028】
再び、
図1A,
図1Bを参照して、製袋機は、第2折り装置33の下流に設けられ、ウェブ1の間欠搬送の度に、ガセット部13を胴部11,12にヒートシールして、シール部14(
図3)を形成するためのヒートシール装置4を備える。ヒートシール装置4の構成は、後に上述される。
【0029】
製袋機は、ヒートシール装置4の下流に設けられ、ウェブ1の間欠搬送の度に、胴部11,12およびガセット部13を胴部11,12の幅方向にヒートシールまたは超音波シールの形式でシールして、横シール部15(
図3)を形成する横シール装置34を備える。実施形態では、横シール装置34は、例えば、2組のヒートシールバーを用いて袋の構成要素11,12,13をヒートシールする。
【0030】
製袋機は、横シール装置34および搬送装置32の下流に設けられ、ウェブ1の間欠搬送の度に、胴部11,12、および、ガセット部13を胴部11,12の幅方向にクロスカットするクロスカット装置35をさらに備える。クロスカットの度に、袋10が製造される。クロスカットの位置は、横シール部15の位置である。クロスカット装置35は、例えば、カッター、受け台などを用いて袋の構成要素11,12,13をクロスカットする。
【0031】
図3は、
図1Aの袋10を示す。ガセット部13は、袋10に自立性を付与する底ガセット部として機能する。また、シール部14は、袋10の自立性を補強する。なお、シール部14はクロスカット工程の前はV字形状を有する。シール部14は、クロスカットの際に2分割される。その結果、シール部14は、袋10の両側に位置しかつ袋10の縦横方向に延在する傾斜シール部となる。縁101,102は、袋10の開口縁となる。
【0032】
以下、ヒートシール装置4が説明される。
図4の通り、ヒートシール装置4は、第1水平方向Xに互いに間隔をあけて配置された一組の梁40を備える。第1水平方向Xは、実施形態では、ウェブ状の胴部11,12の長さ方向であり、搬送方向X1に一致する。梁40は、それぞれ、
図4の通り、搬送経路上の胴部11,12の幅全体に渡って第2水平方向Yに延在し、かつ、
図5の通り、胴部11,12の横で上下方向Zに延在している。第2水平方向Yは、第1水平方向Xに直角であり、実施形態では、胴部11,12の幅方向に一致する。
【0033】
ヒートシール装置4は、さらに、一組の梁40に直接または適切な部材を介して間欠的に支持されて一組の梁40の間を第1水平方向Xに延在するビーム41を備える。ビーム41は、その両端において梁40の水平延在部上に固定されている。固定位置を変更してビーム41を梁40に対して第2水平方向Yに調整できる。ビーム41は、搬送経路上の胴部11,12の上方に位置する。
【0034】
図5の通り、ヒートシール装置4は、さらに、ビーム41に対して上下方向に移動可能にビーム41に設けられたスライダ42を備える。スライダ42は、ビーム41の下側に位置している。
【0035】
ヒートシール装置4は、さらに、第1ヒートシール部材43と第2ヒートシール部材44とを備える。第1ヒートシール部材43は、胴部11,12に向くようにスライダ42に取り付けられており、スライダ42と共に上下方向Zに移動する。
【0036】
実施形態では、第1ヒートシール部材43は、スライダ42に取り付けられたベース45と、ベース45に着脱自在に装着されるシールプレート46とを備える。
【0037】
シールプレート46は、
図7の通り、凸部460を備える。この凸部460は、例えば、シールプレート46のプレート部分に一体形成されて、当該プレート部分からでっぱっている。凸部460は、シールプレート46がベース45に装着されたときに第2ヒートシール部材44に対向するフラットな表面461を有する。この表面461は、後述のヒートシールの際に袋の構成要素11,12,13に押し付けられることとなる面である。そして、この表面461が、形成されるシール部14と対応する形状を有する。したがって、実施形態の表面461は、V字形状を有する。
【0038】
第1ヒートシール部材43は、シールプレート46が第2水平方向Yに対して異なる複数の位置でベース45に装着できるように、構成されている。これにより、シールプレート46のベース45に対する位置を第2水平方向Yに変更可能である。これは、例えば、シールプレート46に形成された長孔462とボルトなどといった公知の手段により実施されてよい。
【0039】
第2ヒートシール部材44は、胴部11,12に向くように配置されており、第1ヒートシール部材43と上下方向Zに対向する。実施形態では、第1ヒートシール部材43が胴部11,12の上方に位置し、第2ヒートシール部材44が胴部11,12の下方に位置している。第2ヒートシール部材44の第1ヒートシール部材43(シールプレート46)と対向する表面は、凸部460の上記表面461と同じ形状のフラットな表面、または、表面461よりも十分な大きさのフラットな表面でよい。ヒートシール装置4は、第2ヒートシール部材44を、第1ヒートシール部材43の位置に合った位置に固定できるように構成されている。
【0040】
図5、
図6Aの通り、ヒートシール装置4は、ビーム41とスライダ42との間に位置する少なくとも2つの主付勢部材47(実施形態では2つ)を備える。
図6Aは、主付勢部材47の位置におけるYZ断面図である(第2ヒートシール部材の図示略)。主付勢部材47は、実施形態ではバネであり、その伸縮方向(付勢方向)が上下方向Zになるように配向されている。
【0041】
主付勢部材47がバネである実施形態では、プレッシャボルト48が、主バネ47に同軸状に挿通され、スライダ42に挿入されている。主バネ47は、プレッシャボルト48のフランジ480とスライダ42との間に位置する。プレッシャボルト48は、ビーム41を貫通しており、その外周のスレッドによってビーム41に対して上下方向Zに位置調整可能である。また、ダブルナット構造のナット49がプレッシャボルト48に外嵌められている。プレッシャボルト48は、ダブルナット構造によってビーム41に対して固定可能である。プレッシャボルト48は、スライダ42に対しては上下方向Zに摺動自在である。ビーム41とスライダ42の最大距離は調整ボルト53により固定されており(後述)、プレッシャボルト48のビーム41に対する上下方向Zの位置調整により、主バネ47の圧縮状態を調整可能である。
【0042】
図5、
図6Bの通り、ヒートシール装置4は、ビーム41とスライダ42との間に位置する少なくとも1つの副付勢部材50を有する。実施形態では、2つの副付勢部材50が設けられている。
図6Bは、副付勢部材50の位置におけるYZ断面図である(第2ヒートシール部材の図示略)。
【0043】
副付勢部材50がバネである実施形態では、プレッシャボルト51が、副バネ50に同軸状に挿通されて、スライダ42に挿入されている。副バネ50は、プレッシャボルト51のフランジ510とスライダ42との間に位置する。プレッシャボルト51は、ビーム41を貫通しており、その外周のスレッドによってビーム41に対して上下方向Zに位置調整可能である。また、ダブルナット構造のナット52がプレッシャボルト51に螺合している。ボルト51は、ダブルナット構造によりビーム41に対して固定可能である。プレッシャボルト51は、スライダ42に対しては上下方向Zに摺動自在である。ビーム41とスライダ42の最大距離は調整ボルト53により固定されており(後述)、プレッシャボルト51のビーム41に対する上下方向Zの位置調整により、副バネ50の圧縮状態を調整可能である。
【0044】
主付勢部材47は、第1水平方向Xに一直線上に配置されている。この配置ラインL1は、
図4に示されている(対応するプレッシャボルト48の位置参照)。副付勢部材50は、主付勢部材47から、第2水平方向Yにオフセットして配置されている(対応するプレッシャボルト51の位置参照)。すなわち、第1水平方向Xにのびる副付勢部材50の配置ラインL2は、主付勢部材47の配置ラインL1から、第2水平方向Yに所定の距離d1、離れている。
【0045】
実施形態の2つの副付勢部材50は、主付勢部材47の配置の第2水平方向中心線C(
図4)に対して対称的に配置されている。
【0046】
図5、
図8の通り、2つの調整ボルト53が設けられている。
図8は、調整ボルト53の位置におけるYZ断面図である(第2ヒートシール部材は省略)。調整ボルト53は、スライダ42に固定されている。調整ボルト53は、ビーム41に挿通されており、ビーム41に対して上下方向Zに摺動自在である。ナット54が、調整ボルト53に螺合している。ナット54によって、ビーム41とスライダ42との間の最大間隔を、したがってスライダ42のビーム41に対する可動範囲を調整することができる。ナット54については、さらにナットを追加してダブルナット構成とすることで、調整ボルト53に対するナット位置が容易に変動しないようにすることもできる。
【0047】
実施形態では、上記最大間隔を固定した後に、上述の構成で付勢部材としてのバネ47,50の圧縮状態をそれぞれ調整することで、後述の通り第1および第2ヒートシール部材43,44で袋の構成要素11,12,13が挟まれる際のバネ47,50による第1ヒートシール部材43への付勢力をそれぞれ調整することが、したがってシール圧を調整することができる。ヒートシール装置4は、副バネ50を、第1および第2ヒートシール部材43,44で袋の構成要素11,12,13が挟まれる際に当該副バネ50が第1ヒートシール部材43を第2ヒートシール部材44に向けて付勢しない状態に調整できるように構成されている。つまり、ヒートシール時の副バネ50による第1ヒートシール部材43への付勢力をゼロに調整することが、言い換えると、副バネ50をヒートシール際に使用しないことを選択できる。
【0048】
図5の通り、ヒートシール装置4は、梁40およびビーム41を上下方向Zに移動させて、スライダ42および第1ヒートシール部材43を第2ヒートシール部材44に対して近接および離間させるための上下動機構55を備える。この上下方向Zの移動により、袋の構成要素11,12,13が、第1ヒートシール部材43(シールプレート46)と第2ヒートシール部材44で挟まれる。上下動機構55は、搬送装置32によるウェブ1の間欠搬送に連動して、これら40~43を上下方向Zに移動させる。このような、上下動機構55は、特許文献1,2に開示の通り、周知である。
【0049】
図6の通り、ヒートシール装置4は、第1ヒートシール部材43を加熱するためのヒーターとしてヒートパイプ56を備える。ヒートパイプ56は、実施形態では第1ヒートシール部材43に、より具体的にはそのベース45に組み込まれている。ヒートパイプ56が温度制御下で発熱することにより第1ヒートシール部材43がヒートシールに適切な温度に加熱される。
【0050】
以下、
図9-
図11を参照して、ヒートシール動作が説明される。ウェブ1(即ち、袋の構成要素11,12,13)は、第1および第2ヒートシール部材43,44の間で搬送装置32によって間欠搬送されている。ウェブ1が間欠搬送において一時停止すると、上下動機構55が、梁40およびビーム41を下降させて、スライダ42および第1ヒートシール部材43を第2ヒートシール部材44に向けて近接させ、それにより、袋の構成要素11,12,13を第1ヒートシール部材43(そのシールプレート46)と第2ヒートシール部材44とで挟む(
図9,
図10)。
【0051】
上下動機構55は、さらに、梁40およびビーム41を下降させる。このとき、スライダ42および第1ヒートシール部材43は、これ以上、下降することはできず停止する。したがって、ビーム41およびプレッシャボルト48は、スライダ42、および、第1ヒートシール部材43に対して下方に移動する(
図10、
図11)。その結果、主付勢部材47としてのバネは、フランジ480によってフランジ480とスライダ42との間で圧縮されて、その付勢力を、スライダ42および第1ヒートシール部材43を介して袋の構成要素11,12,13に印加する。副付勢部材50としてのバネも使用されるとき、同様の方法で、その付勢力が印加される。
【0052】
したがって、ヒートパイプ56によって加熱された凸部460(
図7)の表面461が袋の構成要素11,12,13に押し付けられるので、これにより、袋の構成要素11,12,13がヒートシールされて、表面461と同じ形状を有するシール部14が形成される。実施形態では、第1ヒートシール部材43(シールプレート46)と第2ヒートシール部材44で胴部11,12およびガセット部13とが挟まれ、ヒートシールされて、V字形状の傾斜シール部14が形成される。
【0053】
その後、上下動機構55は、梁40およびビーム41を初期位置(
図9)にまで戻してスライダ42および第1ヒートシール部材43をウェブ1および第2ヒートシール部材44から離間させる。それから、ウェブ1の搬送が再開される。以上のことが繰り返されて、シール部14が間欠搬送の度に形成される。
【0054】
シール部14の良好な仕上がりのためには、第1ヒートシール部材43の袋の構成要素11,12,13に押し付けられる表面の図芯が、すなわち、表面461の実際に袋の構成要素11,12,13に押し付けられる部分(以下、シール実効表面とする)の図芯が、ヒートシールに使用される付勢部材の付勢力の合力の作用線(上下方向Zにのびる)に一致すればよい。これにより、付勢力が、シール実効表面を介して袋の構成要素11,12,13に均等に印加される。
【0055】
図12の通り、実施形態において、ガセット部13の折込量(胴部11,12の縁103,104とガセット部13の二つ折り内縁100間の距離)が製袋機の設計上最大となる袋10を製造する場合、凸部460の表面461全体がシール実効表面となり胴部11,12およびガセット部13に押し付けられる。オペレータは、表面461全体の図芯Gが、配置ラインL1と第2水平方向中心線Cの交点と上下方向Zに整合するように、シールプレート46を長孔461などを利用して位置調整したのちに、ベース45に位置決めする。主付勢部材47のみが使用され、副付勢部材50は使用されない。すなわち、副付勢部材50はヒートシールの際に第1ヒートシール部材43を付勢しない状態になるようプレッシャボルト51によって調整される。主付勢部材47のみの付勢力の合力の作用線Lfは、配置ラインL1と第2水平方向中心線Cの交点にある。したがって、図芯Gと作用線Lfとが一致する。
【0056】
図芯Gが作用線Lfと一致しているので、合計された付勢力が、シール実効表面である表面461全体に渡り均等に伝達され、胴部11,12およびガセット部13に印加される。結果、良好な傾斜シール部14の形成が保障される。
【0057】
ガセット部13の折込量が設計上最大値未満の袋10を製造する場合、
図13の通り、
図13の表面461のうち斜線の部分だけがシール実効表面となる。その図芯G’は、配置ラインL1から、すなわち主付勢部材47のみの作用線Lfから第2水平方向Yにずれる。このずれは、符号d2によって示されている。この状態でヒートシール装置4がヒートシールを実施すると、付勢力の均等な印加は損なわれ、傾斜シール部14の質の低下をもたらしかねない。主付勢部材47の付勢力を調整するだけでは作用線Lfを第2水平方向Yに移動させることはできない。
【0058】
そこで、副付勢部材50も用いて、
図13の通り、主付勢部材47および副付勢部材50の付勢力の合力の作用線Lf’を図芯G’に一致させるとよい。そして、このためには、必要な付勢力の合力をF、主付勢部材の付勢力をF1、副付勢部材の付勢力をF2として、以下の2式が成立すればよい。したがって、オペレータは、下記の2式を満たすように付勢力F1,F2を、プレッシャボルト48,51を用いて調整する。
F=F1+F2
F1:F2=(d1-d2):d2
【0059】
こうして、副付勢部材50を用いることにより、作用線Lf’を第2水平方向Yに調整して図芯G’に一致させることができる。これにより、ガセット部13の折込量が変更されたときでも、均等なシール圧の印加を可能にする。傾斜シール部14の質の低下を防止でき、それにより、傾斜シール部14からの内容物の漏れといった問題も防止できる。
【0060】
ヒートシール装置4は、上記の例示の通り、副付勢部材50の付勢力の調整により、付勢部材の付勢力の合力の作用線を少なくとも第2水平方向Yに調整できる。袋10のデザインの変更などの理由により、第1ヒートシール部材43のシール実効表面の図芯が配置ラインLからずれる場合でも、均等なシール圧の印加を可能にする。
【0061】
実施形態では、
図14の通り、端縁ガイドライン463と図芯ガイドライン464とが所定のピッチでシールプレート46に例えば刻印などの形式で形成されているとよい。両ガイドライン463,464は、オペレータの視認し易い箇所、実施形態では、
図14Aの通り、シールプレート46のプレート部分の側面に形成されている。なお、両ガイドライン463,464は、プレート部分の凸部460側の表面に形成されてもよい。
【0062】
例えば、ガセット部13の折込量が製袋機の設計上最大となる袋10を製造する場合、端縁103,104が端縁ガイドラインの「0」目盛りと揃うように、シールプレート46が長孔462等の公知手段を用いてベース45に対して位置決めされている。このときの実効シール表面の図芯Gは、図芯ガイドライン464の「0」目盛りと揃う。そして、主付勢部材47のみの作用線Lfは、図芯ガイドライン464の「0」目盛りと揃う。
【0063】
図14Aの通り、ガセット部13の折込量が製袋機の設計上最大値未満となる袋10を製造するにあたり、端縁103,104が端縁ガイドライン463の「2」目盛りと揃うとき、シール実効表面の図芯G’は、図芯ガイドライン464の「2」目盛りと揃う。したがって、プレッッシャボルト51を操作して副付勢部材50もヒートシールに関与させ、作用線を、主付勢部材47のみの作用線Lfの位置から、d2、第2水平方向Y(胴部11,12の幅方向)にずらして図芯G’に一致させればよい。
【0064】
このように、端縁ガイドライン463の目盛りとこれに対応する図芯ガイドライン464の目盛りとの位置関係が端縁103,104と実効シール表面の図芯G/G’との位置関係に対応するように、両ガイドライン463,464が構成される。これは、オペレータが作用線Lf’(
図13)を図芯G’に合わせるのを容易にする。
【0065】
なお、作用線を調整可能なヒートシール装置4は、シールプレート46がベース45に対して位置変更された、シールプレート46が異なる形状の凸部を有する別のシールプレートに交換された、または、第1ヒートシール部材43全体が別のものに交換された結果、シール実効表面の図芯の位置が変わった場合にも利用できる。
【0066】
ウェブ1、したがって袋の構成要素11,12,13は、ヒートシールおよび製袋を実現可能にするものであれば、モノマテリアル材料または複合素材のどちらで構成されてもよい。例えば、袋の構成要素11,12,13は、それぞれ、特許文献1-3に開示された基材層とシーラント層を含む多層構造のフィルムでよい。
【0067】
実施形態のヒートシール装置4は、胴部11,12とガセット部13とをヒートシールをしているが、他の構成要素がヒートシール装置4によってヒートシールされてもよい。ガセット部13は、実施形態のような底ガセット部に限らず、天ガセット部またはサイドガセット部でもよい。ヒートシール装置4の製袋機中の配置も、
図1Aの例示に限られず、袋のデザインに応じて適宜決定される。ヒートシール装置4は、実施形態の製袋方法の他、各種の製袋方法に適用できることは、当業者にとって容易に理解することができる。
【0068】
主付勢部材47は、バネに代えて、シリンダ、例えばエアシリンダ、電動シリンダでもよい。副付勢部材50も、バネに代えて、シリンダ、例えばエアシリンダ、電動シリンダでもよい。流体圧(エア圧)やストロークの調整によってヒートシール時の付勢力を調整することができる。流体圧から付勢力を割り出せるので、より短時間での上記作用線Lf’の位置調整が可能となる。また、付勢部材47/50の付勢力がセンサによって検出されてもよい。
【0069】
電動シリンダが主付勢部材47や副付勢部材50として用いられる場合、例えば、合力の作用線Lf’を、
図13に示されるようにシール実効表面の図芯G’に一致させるために、電動シリンダ47,50のそれぞれの付勢力を、ソフトウェアを用いて演算した上で制御することが可能である。
【0070】
圧力センサが、シールプレート46と第2ヒートシール部材44とで挟まれてよい。当該圧力センサの測定結果を用いることで、作用線Lf’が図芯G’を通っているか否かを確認することができる。
【0071】
ヒートシール装置4または製袋機は、タッチパネル式のディスプレイで構成された操作パネルなどのユーザインターフェースをさらに備えてよい。ヒートシール装置4または製袋機は、オペレータによるユーザインターフェースの操作に応答して、主付勢部材47及び副付勢部材50の付勢力をそれぞれ増減できるように構成されてよい。これは、電動シリンダであれば簡単にできる。
【0072】
まず、電動シリンダ47,50の付勢力が、ソフトウェアを用いて演算した値で制御されてよい。次いで、作用線Lf’が実際に図芯G’を通っていることが、上記圧力センサを用いて確認されてよい。さらに、微調整が、ユーザインターフェースの操作によって行われてよい。
【0073】
実施形態に代えて、3つ以上の主付勢部材47が一直線上に配置されてもよい。1つのまたは3以上の副付勢部材50が、配置ラインL1から第2水平方向Yにオフセットして配置されてもよい。
【0074】
表面461は、V字形状の他、シール部の目的、機能および用途に適合する形状を有してよい。
【符号の説明】
【0075】
10 袋
11,12 胴部(袋の構成要素)
13 ガセット部(袋の構成要素)
14 シール部/傾斜シール部
4 ヒートシール装置
40 梁
41 ビーム
42 スライダ
43 第1ヒートシール部材
44 第2ヒートシール部材
45 ベース
46 シールプレート
460 凸部
461 凸部の表面
47 主付勢部材
50 副付勢部材
G/G’ シール実効表面の図芯
L1 主付勢部材の配置ライン
Lf 作用線(主付勢部材のみ使用)
Lf’ 作用線(主および副付勢部材を使用)