(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】製袋機、および、製袋方法
(51)【国際特許分類】
B31B 70/10 20170101AFI20221122BHJP
B31B 70/14 20170101ALI20221122BHJP
【FI】
B31B70/10
B31B70/14
(21)【出願番号】P 2021574879
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2021037163
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2021005619
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110192
【氏名又は名称】トタニ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊本 裕司
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-218717(JP,A)
【文献】特開2021-003882(JP,A)
【文献】特開2010-105186(JP,A)
【文献】特開2008-100466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/10
B31B 70/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚のウェブ状の胴材を当該胴材の幅方向にクロスカットして、前記胴材から袋を順次製造する製袋機であって、前記胴材の少なくともいずれか一方は、反復印刷されたマークを含み、
前記製袋機は、
前記胴材を、互いに重ね合わされた状態で前記胴材の長手方向に間欠搬送する間欠搬送装置と、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工する少なくとも1つの第1加工装置と、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工する少なくとも1つの第2加工装置と、
前記第1加工装置より下流かつ前記第2加工装置より上流に設けられた調整装置と、を備え、
前記間欠搬送装置は、
前記調整装置より上流に設けられ、前記マークを検知するための第1センサと、
前記調整装置より上流に設けられ、前記胴材を当該胴材の長手方向に搬送するための第1駆動ローラ対と、
前記調整装置より下流に設けられ、前記マークを検知するための第2センサと、
前記調整装置より下流に設けられ、前記胴材を当該胴材の長手方向に搬送するための第2駆動ローラ対と、を備え、
前記第1駆動ローラ対を前記第1センサからの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第1加工装置に対して位置合わせし、
前記第2駆動ローラ対を前記第2センサからの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第2加工装置に対して位置合わせし、
前記調整装置は、前記第1駆動ローラ対から前記第2駆動ローラ対までの区間に含まれる前記胴材の長さの上閾値と下閾値とを検知するように構成され、
前記製袋機は、さらに、
前記第1加工装置および前記第1センサを、可動グループとして、一体的に前記胴材の長手方向に移動させるための移動装置を備え、
前記移動装置は、前記調整装置が前記上閾値を検知することに応答して前記可動グループを上流に移動させ、前記調整装置が前記下閾値を検知することに応答して前記可動グループを下流に移動させ、
前記間欠搬送装置は、前記可動グループが移動された場合、前記第1センサからの出力に加えて前記可動グループの移動距離に基づいて間欠搬送距離を決定し、前記第1駆動ローラ対によって前記胴材を決定した前記間欠搬送距離、搬送する、
ことを特徴とする製袋機。
【請求項2】
前記第1加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にヒートシールする横シール装置と、
前記横シール装置によってヒートシールされた箇所を、間欠搬送の一時停止の度に、冷却する冷却装置と、を含む、
請求項1に記載の製袋機。
【請求項3】
前記第2加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にクロスカットするクロスカット装置を含む、
請求項1または請求項2に記載の製袋機。
【請求項4】
前記第2加工装置は、前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、打ち抜く少なくとも1つの打抜装置をさらに含む、
請求項3に記載の製袋機。
【請求項5】
前記少なくとも1つの打抜装置は、
前記袋のノッチを形成するためのノッチ形成装置、または、前記袋のコーナーカット部分を形成するためのコーナーカット装置の少なくともいずれか一方を含む、
請求項4に記載の製袋機。
【請求項6】
前記調整装置は、
前記胴材の長手方向に互いに間隔をあけて配置されて前記胴材に係合する2つのガイドローラと、
前記2つのガイドローラの間に配置されて前記胴材に係合する制御ローラと、
前記制御ローラを前記胴材に付勢するための付勢部材と、
前記上閾値および前記下閾値に対応する前記制御ローラの位置を検知するための位置センサと、を備える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製袋機。
【請求項7】
少なくとも2枚のウェブ状の胴材を当該胴材の幅方向にクロスカットして、前記胴材から袋を順次製造する製袋方法であって、前記胴材の少なくともいずれか一方は、反復印刷されたマークを含み、
前記製袋方法は
、
前記胴材を、第1駆動ローラ対および当該第1駆動ローラ対より下流に設けられた第2駆動ローラ対を用いて、互いに重ね合わされた状態で前記胴材の長手方向に間欠搬送すること
、
前記第1駆動ローラ対から前記第2駆動ローラ対までの区間に設けた調整装置を用いて、当該区間に含まれる前記胴材の長さを検知すること、
前記調整装置より上流に設けられた少なくとも1つの第1加工装置を用いて、前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工すること
、および、
前記調整装置より下流に設けられた少なくとも1つの第2加工装置を用いて、前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工すること
、を備え、
前記胴材を間欠搬送することは
、
前記調整装置より上流に設けられた第1センサを用いて、前記マークを検知すること
、
前記第1駆動ローラ対を、前記第1センサの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第1加工装置に対して位置合わせすること
、
前記調整装置より下流に設けられた第2センサを用いて、前記マークを検知すること
、および、
前記第2駆動ローラ対を、前記第2センサの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第2加工装置に対して位置合わせすること
、を備え、
前記長さが所定の上閾値に達することに応答して、移動装置を用いて、前記第1加工装置、および、前記第1センサを、可動グループとして、一体的に上流に移動させ、
前記長さが所定の下閾値に達することに応答して、前記移動装置を用いて、前記可動グループを一体的に下流に移動させ、
前記可動グループが移動された場合、前記第1センサからの出力に加えて前記可動グループの移動距離に基づいて間欠搬送距離を決定し、前記第1駆動ローラ対によって前記胴材を決定した前記間欠搬送距離、搬送する、
ことを特徴とする製袋方法。
【請求項8】
前記胴材は、単一素材からなるフィルムである、
請求項7に記載の製袋方法。
【請求項9】
前記第1加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にヒートシールする横シール装置と、
前記横シール装置によってヒートシールされた箇所を、間欠搬送の一時停止の度に、冷却する冷却装置と、を含み、
前記第2加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にクロスカットするクロスカット装置を、を含む、
請求項7または請求項8に記載の製袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、少なくとも2枚のウェブ状の胴材を用いて袋を順次製造するための製袋機および製袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような製袋機および製袋方法は、例えば特許文献1-3に開示されている。少なくとも2枚のウェブ状の胴材が、間欠搬送される。間欠搬送の度に、ウェブ状の胴材は加工される。例えば、胴材は、横シール装置によってその幅方向にヒートシールされ、クロスカット装置によってその幅方向にクロスカットされる。クロスカットの度に、袋が成形される。
【0003】
柄が印刷ピッチで反復印刷された胴材が用いられることがある。印刷柄付きの袋を製造するにあたり重要なことは、胴材(その印刷柄)が、間欠搬送の一時停止の際に、横シール装置、クロスカット装置などの加工装置に対して高い精度で位置合わせされるべきであるということである。胴材が、設計上の位置からずれた位置で加工(例えば、ヒートシール、クロスカット)されると、袋の品質や見栄えが悪くなり得る。
【0004】
胴材は、ヒートシールなどの様々な工程を経る際に、温度などの環境条件によって、局所的にまた経時的に伸縮して印刷ピッチに変動をもたらし得るが、これは、位置合わせの精度に影響を及ぼす。使用する胴材の品質故に、印刷柄の印刷ピッチがばらつくこともあり得るが、これもまた、位置合わせの精度に影響を及ぼす。
【0005】
特許文献1では、横ヒートシール装置、クロスカット装置などの加工装置のそれぞれに対して、胴材のマークを検知するためのセンサ、胴材を間欠搬送するための駆動ローラ対が設けられている。そして、センサの出力に基づいて駆動ローラ対が制御されて、胴材が、当該センサおよび当該駆動ローラ対に対応する加工装置に対して位置決めされている。こうして、胴材を各加工装置に対して精度よく位置合わせしている。
【0006】
このような間欠搬送制御によれば、胴材の間欠搬送量が、駆動ローラ対とその下流にある次の駆動ローラ対とで異なる場合、胴材のテンションがこれらの駆動ローラ対の間で変動してしまい、許容可能な上限値または下限値を超える可能性がある。これにより、製袋を継続できない問題が生じるかもしれない。特許文献1では、これらの駆動ローラ対の間にダンサロールが設けられており、胴材がダンサロールで一時的に蓄えられることにより、これに対処している。様々なテンション管理の方法が検討されている。
【0007】
胴材、ガセット材などの袋の素材は、典型的には、剛性および耐久性がともに高いラミネートフィルムである。これに代えて、単一素材(モノマテリアル)や、さらに、紙ベースとこれにコーティングされた樹脂層とからなる複合素材が、環境の観点から、袋の素材として注目されている。
【0008】
単一素材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等である。単一素材は、ラミネートフィルムに比べて伸縮性が高い。ゆえに、単一素材は、テンションを利用した位置合わせを容易にするが、一方で、胴材のテンションが許容範囲を超えた場合に、これに対処するための機構を必要とする。
【0009】
紙ベースの複合素材は、伸縮性が低い。ゆえに、このような複合素材は、テンション制御による位置合わせが困難である。胴材の印刷ピッチにむらがある場合、そのむらに対処するための位置合わせの制御が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2008-100466号公報
【文献】特開2012-206458号公報
【文献】特開2010-105186号公報
【文献】特開2019-196238号公報
【文献】特開2015-221538号公報
【発明の概要】
【0011】
本願は、新規な形式で、胴材の加工装置に対する位置合わせ、および、胴材のテンションの管理の双方を両立することを目的とする。
【0012】
本願の一態様によれば、少なくとも2枚のウェブ状の胴材を当該胴材の幅方向にクロスカットして、前記胴材から袋を順次製造する製袋機であって、前記胴材の少なくともいずれか一方は、反復印刷されたマークを含み、
前記製袋機は、
前記胴材を、互いに重ね合わされた状態で前記胴材の長手方向に間欠搬送する間欠搬送装置と、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工する少なくとも1つの第1加工装置と、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工する少なくとも1つの第2加工装置と、
前記第1加工装置より下流かつ前記第2加工装置より上流に設けられた調整装置と、を備え、
前記間欠搬送装置は、
前記調整装置より上流に設けられ、前記マークを検知するための第1センサと、
前記調整装置より上流に設けられ、前記胴材を当該胴材の長手方向に搬送するための第1駆動ローラ対と、
前記調整装置より下流に設けられ、前記マークを検知するための第2センサと、
前記調整装置より下流に設けられ、前記胴材を当該胴材の長手方向に搬送するための第2駆動ローラ対と、を備え、
前記第1駆動ローラ対を前記第1センサからの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第1加工装置に対して位置合わせし、
前記第2駆動ローラ対を前記第2センサからの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第2加工装置に対して位置合わせし、
前記調整装置は、前記第1駆動ローラ対から前記第2駆動ローラ対までの区間に含まれる前記胴材の長さの上閾値と下閾値とを検知するように構成され、
前記製袋機は、さらに、
前記第1加工装置および前記第1センサを、可動グループとして、一体的に前記胴材の長手方向に移動させるための移動装置を備え、
前記移動装置は、前記調整装置が前記上閾値を検知することに応答して前記可動グループを上流に移動させ、前記調整装置が前記下閾値を検知することに応答して前記可動グループを下流に移動させ、
前記間欠搬送装置は、前記可動グループが移動された場合、前記第1センサからの出力に加えて前記可動グループの移動距離に基づいて、間欠搬送距離を決定し、前記第1駆動ローラ対によって前記胴材を決定した前記間欠搬送距離、搬送する。
【0013】
前記第1加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にヒートシールする横シール装置と、
前記横シール装置によってヒートシールされた箇所を、間欠搬送の一時停止の度に、冷却する冷却装置と、を含んでよい。
【0014】
前記第2加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にクロスカットするクロスカット装置を含んでよい。
【0015】
前記第2加工装置は、前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、打ち抜く少なくとも1つの打抜装置をさらに含んでよい。
【0016】
前記少なくとも1つの打抜装置は、
前記袋のノッチを形成するためのノッチ形成装置、または、前記袋のコーナーカット部分を形成するためのコーナーカット装置の少なくともいずれか一方を含んでよい。
【0017】
前記調整装置は、
前記胴材の長手方向に互いに間隔をあけて配置されて前記胴材に係合する2つのガイドローラと、
前記2つのガイドローラの間に配置されて前記胴材に係合する制御ローラと、
前記制御ローラを前記胴材に付勢するための付勢部材と、
前記上閾値および前記下閾値に対応する前記制御ローラの位置を検知するための位置センサと、を備えてよい。
【0018】
また、別の態様によれば、少なくとも2枚のウェブ状の胴材を当該胴材の幅方向にクロスカットして、前記胴材から袋を順次製造する製袋方法であって、前記胴材の少なくともいずれか一方は、反復印刷されたマークを含み、
前記製袋方法は、
前記胴材を、第1駆動ローラ対および当該第1駆動ローラ対より下流に設けられた第2駆動ローラ対を用いて、互いに重ね合わされた状態で前記胴材の長手方向に間欠搬送すること、
前記第1駆動ローラ対から前記第2駆動ローラ対までの区間に設けた調整装置を用いて、当該区間に含まれる前記胴材の長さを検知すること、
前記調整装置より上流に設けられた少なくとも1つの第1加工装置を用いて、前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工すること、および、
前記調整装置より下流に設けられた少なくとも1つの第2加工装置を用いて、前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、加工すること、を備え、
前記胴材を間欠搬送することは、
前記調整装置より上流に設けられた第1センサを用いて、前記マークを検知すること、
前記第1駆動ローラ対を、前記第1センサの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第1加工装置に対して位置合わせすること、
前記調整装置より下流に設けられた第2センサを用いて、前記マークを検知すること、および、
前記第2駆動ローラ対を、前記第2センサの出力に基づいて制御して、前記胴材を、一時停止させる際に前記第2加工装置に対して位置合わせすること、を備え、
前記長さが所定の上閾値に達することに応答して、移動装置を用いて、前記第1加工装置、および、前記第1センサを、可動グループとして、一体的に上流に移動させ、
前記長さが所定の下閾値に達することに応答して、前記移動装置を用いて、前記可動グループを一体的に下流に移動させ、
前記可動グループが移動された場合、前記第1センサからの出力に加えて前記可動グループの移動距離に基づいて間欠搬送距離を決定し、前記第1駆動ローラ対によって前記胴材を決定した前記間欠搬送距離、搬送する。
【0019】
前記胴材は、単一素材からなるフィルムでもよい。
【0020】
前記第1加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にヒートシールする横シール装置と、
前記横シール装置によってヒートシールされた箇所を、間欠搬送の一時停止の度に、冷却する冷却装置と、を含み、
前記第2加工装置は、
前記胴材を、間欠搬送の一時停止の度に、前記胴材の幅方向にクロスカットするクロスカット装置を、を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1Aは、例示の製袋機の上流部分の概略平面図であり、
図1Bは、その正面図である。
【
図2】
図2Aは、例示の製袋機の下流部分の概略平面図であり、
図2Bは、その正面図である。
【
図3】
図3Aは、加工された例示の胴材の概略であり、
図3Bは、クロスカット後の
図3Aの二点鎖線領域を部分的に拡大した図である。
【
図4】
図4は、胴材に反復印刷された例示のマークを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本願の実施形態が説明される。
【0023】
図1A、
図1Bは、例示の製袋機の上流部分を概略的に示す。大幅のウェブ1が、駆動ローラ対21によって原反1’から定速で連続的に巻き出され、アキュムレーター20を経てその長手方向にスリットされて、2枚のウェブ状の胴材10,11になる。これらの胴材10,11は、互いに上下に対向した状態で搬送される。胴材10,11の搬送方向は、符号X1によって示されている。胴材10,11は、例えばプラスチックのフィルムである。
【0024】
胴材10,11は、基材層とシーラント層とを含むラミネートフィルムでもよいし、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など単一素材(モノマテリアル)のフィルムでもよい。ラミネートフィルムは、丈夫で、伸縮率は低い。ポリエステル系、ポリエチレン系の単一素材は、リサイクルが容易で、環境に優しく、融点は低く、伸縮率は高い。フィルムに代えて、胴材10,11は、紙ベースと当該紙ベースにコーティングされた樹脂層とからなってもよい。
【0025】
次いで、胴材10,11は、ダンサー装置22を経る。ダンサー装置22は、胴材10,11の搬送を、連続搬送から間欠搬送に適切に変換する。したがって、胴材10,11は、ダンサー装置22より下流の区間では、後述の間欠搬送装置4(
図2A,
図2B)によって間欠搬送される。つまり、胴材10,11は、搬送され、一時停止し、再び搬送される。この搬送と一時停止とが交互に繰り返される。
【0026】
パーツ供給装置23(
図1B)が、ダンサー装置22より下流に設けられている。パーツ供給装置23は、附属部品12(
図1A)を、適切な案内部材によって案内して、胴材10,11の間の空間に供給する。附属部品12は、例えば連続状のジッパーである。以降、附属部品12がジッパーであるとして、実施形態が説明される。
【0027】
胴材10,11は、ガイドローラ24へ案内されてガイドローラ24の位置で互いに重ね合わされる。胴材10,11は、それから、間欠搬送装置4によって互いに重ね合わされた状態で間欠搬送される。胴材10,11が互いに重ね合わされると、ジッパー12は胴材10,11の間に挟まれる。
【0028】
ジッパーシール装置25が、ガイドローラ24より下流に設けられている。ジッパーシール装置25は、間欠送りの一時停止の度に、ヒートシール部材などによって、ジッパー12の雄材および雌材を、胴材10,11にそれぞれヒートシールする。
【0029】
図2A,
図2Bは、例示の製袋機の下流部分を概略的に示す。製袋機は、間欠搬送装置4を備える。間欠搬送装置4は、ウェブ状の胴材10,11を、当該胴材10,11の長手方向に間欠搬送する。間欠搬送装置4は、後に詳述される。
【0030】
製袋機は、さらに、縦シール装置30を備える。縦シール装置30は、間欠送りの一時停止の度に、ヒートシール部材などによって、胴材10,11を、胴材10,11の長手方向にヒートシールする。その縦シールの位置は、胴材10,11のジッパー12(
図2A,Bでは図示略)に対して遠位の一側縁である。これにより、縦シール部分13(
図3A)が形成される。
【0031】
製袋機は、さらに、縦シール装置30より下流に設けられた横シール装置32を備える。横シール装置32は、複数、例えば2基設けられている。横シール装置32は、間欠送りの一時停止の度に、ヒートシールバーなどによって、胴材10,11を、胴材10,11の幅方向にヒートシールする。これにより、横シール部分14(
図3A)が形成される。
【0032】
製袋機は、さらに、ポイントシール装置31を備える。ポイントシール装置31は、複数、例えば3基設けられる。2基のポイントシール装置31は横シール装置32より上流に設けられており、1基のポイントシール装置31は横シール装置32より下流に設けられている。ポイントシール装置31は、間欠送りの一時停止の度に、ヒートシール部材などによって、ジッパー12を、局所的に加熱および加圧してつぶす。このようなポイントシール装置31は、例えば、特許文献4に開示されている。そのポイントシールの位置は、横シール部分14が形成される箇所である。
【0033】
製袋機は、さらに、横シール装置32およびポイントシール装置31より下流に設けられた冷却装置33を備える。冷却装置33は、複数、例えば2基設けられる。冷却装置33は、間欠送りの一時停止の度に、冷却部材などによって、横シール装置32でヒートシールされた箇所(即ち、横シール部分14)を冷却する。
【0034】
製袋機は、さらに、冷却装置33より下流に設けられた打抜装置34,35を備える。打抜装置として、例えばノッチ形成装置34およびコーナーカット装置35が用いられる。ノッチ形成装置34は、間欠送りの一時停止の度に、パンチ刃などによって、胴材10,11を打ち抜いて、ノッチ用の孔15(
図3A)を形成する。その打抜位置は、横シール部分14内である。
【0035】
コーナーカット装置35は、間欠送りの一時停止の度に、パンチ刃またはトムソン刃などによって、胴材10,11を打ち抜いて、コーナーカット部分16(
図3A)を形成する。その打抜位置は、横シール部分14の両端である。
【0036】
製袋機は、さらに、打抜装置34,35より下流に設けられたクロスカット装置36を備える。クロスカット装置36は、間欠送りの一時停止の度に、カッターなどによって、胴材10,11およびジッパー12を、胴材10,11の幅方向にクロスカットする。そのクロスカット位置は、横シール部分14の位置である。クロスカットの度に、袋が、クロスカットの際に切除された部分によって形成される。
【0037】
したがって、縦シール部分13は、袋の一端縁に沿って位置する。横シール部分14は、袋の両側に沿って位置する。ジッパー12は、袋の自由自在な開閉を提供する。ジッパー12の潰された部分は、袋の両側(横シール部分14)に位置し、これにより袋に密閉性を付与する(特許文献4など参照)。ノッチ用の孔15は、クロスカットによって2分割されて、袋の開封用のノッチ150となる(
図3B参照)。コーナーカット部分16は、袋の4つの角に位置し、これにより袋に安全性を付与する。シール部分13,14は、袋において痕跡となって残るので、袋の見栄えに影響を及ぼすも要素になり得る。
【0038】
図示されていないが、胴材10,11には、その長手方向に、柄が印刷ピッチで反復印刷されており、印刷柄付きの袋が製造される。
図4の通り、マークMが、胴材10及び/又は胴材11の各印刷柄に含まれている。すなわち、マークMは、胴材10,11の少なくともいずれか一方に印刷ピッチで反復印刷されている。マークMは印刷柄の一部でもよい。マークMは、例えばWO2020/026620に開示の通り、各印刷柄に含まれるコントラスト変化点でもよい。
【0039】
胴材10,11を印刷ピッチで間欠搬送するために、間欠搬送装置4は、第1センサ40、第2センサ41、第1駆動ローラ対42、第2駆動ローラ対43、および、制御部44を備える。
【0040】
第1センサ40は、マークMを検知するために、横シール装置32より下流にかつ冷却装置33より上流に配置されている。第1センサ40として、光学センサが用いられている。
【0041】
第1センサ40はその基準位置において、間欠搬送されて停止した時の胴材10上のマークMを検知する。この時、マークMが基準位置を通過して停止した際は、通過した距離(行き過ぎた距離)を測定する。マークMを検知しなかった時、つまり、マークMが基準位置に達しなかった際は、第1センサ40はマークMを検知するまで上流側に移動し、その移動量を測定した後、基準位置まで戻る。
【0042】
胴材上において、マークMとクロスカットされるべきライン(以下、クロスカットライン)との間の寸法は予め決められている。第1センサ40は、後述する調整装置5において、制御ローラ51がその可動域中心位置にある状態で、クロスカット装置36のクロスカット位置が丁度クロスカットラインと合致するときに、マークMが第1センサ40の検知領域(基準位置)に位置するように、位置決めされている。
【0043】
胴材上において、マークMと横シールされるべき箇所(以下、横シール箇所)との間の寸法も予め決められている。ポイントシール装置31、横シール装置32および冷却装置33は、第1センサ40が丁度マークMを検知するとき(基準位置に位置する時)に、それらの加工位置(ポイントシール位置、横シール位置、冷却位置)が横シール箇所と合致するように、位置決めされている。
【0044】
第1駆動ローラ対42は、冷却装置33より下流にかつ打抜装置34,35より上流に配置されている。第1駆動ローラ対42は、不図示のサーボモータなどの駆動源によって間欠回転することで、その間に挟んだ胴材10,11を間欠搬送することができる。
【0045】
第2センサ41は、マークMを検知するために、第1駆動ローラ対42より、より具体的には打抜装置34,35より下流にかつクロスカット装置36よりも上流に配置されている。第2センサ41として、光学センサが用いられており、その動作は第1センサ40と同じである。第2センサ41は、クロスカット装置36のクロスカット位置が丁度クロスカットラインと合致するときに、マークMが第2センサ41の検知領域(基準位置)に位置するように、位置決めされている。
【0046】
胴材上において、マークMと打ち抜かれるべき箇所(以下、打抜箇所)との間の寸法も予め決められている。打抜装置34,35は、第2センサ41が丁度マークMを検知するとき(基準位置に位置する時)に、その打抜位置が打抜箇所と合致するように、位置決めされている。
【0047】
制御部44は、例えばコントローラまたはモータードライバなどを含む。両センサ40,41および両駆動ローラ対42,43は、制御部44に電気的に接続されている。
【0048】
制御部44は、第1センサ40からの出力信号を受け、この出力に基づいて、モータを介して、第1駆動ローラ対42を、具体的には、第1駆動ローラ対42による胴材10,11の搬送速度(距離)を制御する。それによって、印刷ピッチがなんらかの要因で変動している、または、ばらついていても、第1センサ40の位置において、実際の印刷ピッチで胴材10,11を間欠搬送する。より具体的には、制御部44は、第1センサ40の位置において胴材10、11の搬送が設計値よりも先行していると判定すると、第1センサ40により測定された、その先行している距離だけ、第1駆動ローラ対42による搬送距離を減少させる。一方、制御部44は、第1センサ40の位置において胴材10,11の搬送が設計値よりも遅れていると判定すると、第1センサ40により測定された、その遅れている距離だけ、第1駆動ローラ対42による搬送距離を増加させる。
【0049】
制御部44は、このようなマークM、第1センサ40および第1駆動ローラ対42を用いた制御によって、胴材10,11を一時停止させる際に、胴材10,11(その横シール箇所)を、ポイントシール装置31(そのポイントシール位置)、横シール装置32(その横シール位置)および冷却装置33(その冷却位置)に対して位置合わせする。
【0050】
制御部44は、第2センサ41からの出力信号を受けて、この出力に基づいて、モータを介して、第2駆動ローラ対43を、具体的には、第2駆動ローラ対43による胴材10、11の搬送速度を制御する。それによって、印刷ピッチがなんらかの要因で変動している、または、ばらついていても、第2センサ41の位置において、実際の印刷ピッチで胴材10,11を間欠搬送する。より具体的には、制御部44は、第2センサ41の位置において胴材10,11の搬送が設計値よりも先行していると判定すると、第2センサ41により測定された、その先行している距離だけ、第2駆動ローラ対43による搬送距離を減少させる。一方、制御部44は、第2センサ41の位置において胴材10,11の搬送が設計値よりも遅れていると判定すると、第2センサ41により測定された、その遅れている距離だけ、第2駆動ローラ対43による搬送距離を増加させる。
【0051】
制御部44は、このようなマークM、第2センサ41および第2駆動ローラ対42を用いた制御によって、胴材10,11を一時停止させる際に、胴材10,11(そのクロスカットライン)を、クロスカット装置(そのクロスカット位置)に対して位置合わせする。同時に、当該制御によって、胴材10,11(その打抜箇所)は、打抜装置34,35(その打抜位置)に対しても位置合わせされる。
【0052】
例えば、第1センサ40が丁度マークMを検知するとき(基準位置に位置する時)のポイントシール装置31、横シール装置32および冷却装置33の位置は、デフォルトとしての設計位置は決まっている。胴材10,11が、伸縮率の大きい単一素材の場合、温湿度条件等により当該位置が微少ながらもずれ得る。かかる場合、オペレータは目視等で、それらの加工位置(ポイントシール位置、横シール位置、冷却位置)を調整してもよい。
【0053】
実施形態は、このように、第1センサ40および第1駆動ローラ対42のセットで、胴材10,11(印刷柄)を、ポイントシール装置31(ポイントシール位置)、横シール装置32(横シール位置)および冷却装置33(冷却位置)に対して位置合わせしている。以下、これらの装置31-33を第1加工装置と称する。
【0054】
第2センサ41および第2駆動ローラ対43のセットで、胴材10,11(その印刷柄)を、クロスカット装置36(クロスカット位置)および打抜装置34,35(打抜位置)に対して位置合わせしている。以下、これらの装置34-36を第2加工装置と称する。
【0055】
第1センサ40は第1加工装置の近くにあるので、印刷柄を各第1加工装置の加工位置に対して高い精度で位置合わせすることができる。そして、第2センサ41は第2加工装置の近くにあるので、印刷柄を各第2加工装置の加工位置に対して高い精度で位置合わせすることができる。したがって、印刷柄を、第1および第2加工装置の双方の加工位置に対して高い精度で位置合わせすることができる。従って 実施形態の製袋機は、ヒートシール工程による熱などの環境条件や、胴材10,11の品質によって印刷ピッチが変動することがあっても、見栄えのよい印刷柄付きの袋を製造することができる。
【0056】
上記間欠搬送制御は、例えば第1センサ40の基準位置における胴材10,11の搬送が遅れ気味で第1駆動ローラ対42による搬送距離を増加させる一方、第2センサ41の基準位置における胴材10,11の搬送が先行気味で第2駆動ローラ対43による搬送距離を減少させた場合、第1駆動ローラ対42から第2駆動ローラ対43までの区間で胴材10,11がたるんだりし得る。特に、胴材10,11が単一素材の場合、このようなことが起こりやすい。
【0057】
逆に、第1センサ40の基準位置における胴材10,11の搬送が先行気味で第1駆動ローラ対42による搬送距離を減少させる一方、第2センサ41の基準位置における胴材10,11の搬送が遅れ気味で第2駆動ローラ対43による搬送距離を増加させた場合、胴材10,11のテンションが前記区間にて許容範囲を超えしまうかもしれない。
【0058】
更に、駆動ローラ対を境界として胴材10,11のテンションが異なる場合もあり、前記区間内におけるテンション管理が重要となる。そこで、製袋機は、以下の構成を備える。
【0059】
製袋機は、第1センサ40および第1駆動ローラ対42より下流に、かつ、第2センサ41および第2駆動ローラ対43より上流に設けられ、テンションを調整するための調整装置5(
図2)を備える。調整装置5は、
図5Aにその詳細が示される。調整装置5は、互いに胴材10,11の長手方向に間隔をあけて変位不能に配置されて胴材10,11に係合する2つのガイドローラ50と、これらのガイドローラ50の間に設けられて、胴材10,11に係合する制御ローラ51とを備える。調整装置5は、さらに、図示されないが、制御ローラ51を支持し、上下方向に変位可能にし、かつ、胴材10,11へ下向きに一定の付勢力で付勢する付勢部材を備えている。
【0060】
図6の通り、胴材10,11の制御ローラ51への巻き付け角を2θとし、制御ローラ51の自重も含めた付勢力をFとし、胴材10,11のテンションをTとし、ローラ回転方向の摩擦力等の微少な力を無視すれば、以下の式が実質的に成立する。
F=2Tsinθ
従って、制御ローラ51の位置が高い(θが小さい)時は付勢力Fを小さく、制御ローラ51の位置が低い(θが大きい)時は付勢力Fを大きく制御することで、胴材10,11のテンションを略一定範囲内に維持することが出来る。
【0061】
このように、付勢部材の付勢力を制御することにより、駆動ローラ対42,43の間の区間における胴材10,11のテンションを管理可能である。
【0062】
調整装置5は、さらに、第1駆動ローラ対42から第2駆動ローラ対43までの区間に含まれる胴材10,11の長さ(以下、単に「胴材区間長さ」とする)の上閾値と下閾値とを検知するように構成されている。図示されないが、調整装置5は、これらの閾値に対応する制御ローラ51の位置を検知するための位置センサをさらに備える。
【0063】
例えば、胴材区間長さが短くなると制御ローラ51はより上側に位置し(
図5B)、胴材区間長さが長くなると制御ローラ51はより下側に位置する(
図5C)。このように、胴材区間長さは、制御ローラ51の上下方向の位置に対応する。したがって、調整装置5は、位置センサにより制御ローラ51が上限位置(
図5B点線参照)/下限位置(
図5C点線参照)にあることを検知することで、胴材区間長さが下閾値/上閾値に達したことを検知できる。
【0064】
製袋機は、さらに、第1加工装置31,32,33、第1センサ40を、可動グループとして、胴材10,11の長手方向に、すなわち上流および下流に、製袋機の他の装置に対して、微小距離、移動させるための移動装置6(
図2)をさらに備える。
【0065】
移動装置6は、その詳細は省略されるが、例えば、可動グループを搭載したフレームと、当該フレームを移動させるラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を作動させるためのモータなどの駆動源と、を備える。これに代えて、移動装置6は、その他、レールを配設し、ウォームギアで駆動する構成等、公知の構成を備えてよい。そして、移動装置6は、調整装置5の位置センサの出力に基づいて以下のように作動する。
【0066】
制御部44による間欠搬送制御により、調整装置5が、胴材区間長さが下閾値に達したことを、すなわち制御ローラ51が上限位置にあることを検知すると、移動装置6は、これに応答して、可動グループを下流に、微少距離、移動させ、さらに、これに伴い第1駆動ローラ対42による間欠搬送距離を変化させて、それにより制御ローラ51を下降させる。
【0067】
例えば、基準となる間欠搬送ピッチが100mm、可動グループの移動量が2mmきざみで設定されている場合について、より詳細に説明する。
【0068】
調整装置5が、胴材10,11の搬送停止時に制御ローラ51が上限位置にあることを検知すると、間欠搬送装置4および移動装置6が以下のように作動する。
【0069】
間欠搬送装置4は、第1センサ40でマークMを検知し、その出力により、搬送が0.5mm遅れていると割り出す。そして、第1センサ40による検知、シール加工、冷却の後、移動装置6は、可動グループを下流側に2mm移動させる。
【0070】
間欠搬送装置4は、第1センサ40による出力結果および可動グループの移動距離に基づいて、第1駆動ローラ42による次の間欠搬送距離を、102.5mm(100mm+0.5mm+2mm)と決定する。そして、間欠搬送装置4は、次の間欠搬送サイクルでは、第1駆動ローラ対42によって、胴材10,11を102.5mm(決定された間欠搬送距離)、搬送する。ここで、+0.5mmは、第1センサ40の出力により決定される補正量であり、+2mmは、可動グループの移動に基づいて決定される補正量であり、可動グループの移動距離に等しい。
【0071】
かかる制御を行うことにより、第1センサ40の位置を基準に考えれば、胴材10,11は100.5mmだけ搬送されたこととなり、マークMに対してポイントシール装置31、横シール装置32および冷却装置33の位置は正確に決められる。加えて、第1駆動ローラ対42によって、胴材10,11が、可動グループの下流側への移動量(2mm)だけ余分に搬送されることにより胴材区間長さが下閾値を下回ることもない。
【0072】
一方、制御部44による間欠搬送制御により、調整装置5が、胴材区間長さが上閾値に達したことを、すなわち制御ローラ51が下限位置にあることを検知すると、移動装置6は、これに応答して、可動グループを上流に、微小距離、移動させ、さらに、第1駆動ローラ対42による間欠搬送距離を変化させて、それにより制御ローラ51を上昇させる。
【0073】
調整装置5が、胴材10,11の搬送停止時に制御ローラ51が下限位置にあることを検知すると、間欠搬送装置4および移動装置6が以下のように作動する。
【0074】
間欠搬送装置4は、第1センサ40でマークMを検知し、その出力により、例えば搬送が0.5mm遅れていると割り出す。そして、第1センサ40による検知、シール加工、冷却の後、移動装置6は、可動グループを上流側に2mm移動させる。
【0075】
間欠搬送装置4は、第1センサ40による出力結果および可動グループの移動距離に基づいて、第1駆動ローラ42による次の間欠搬送距離を、98.5mm(100mm+0.5mm-2mm)と決定する。そして、間欠搬送装置4は、次の間欠搬送サイクルでは、第1駆動ローラ対42によって、胴材10,11を98.5mm(決定された間欠搬送距離)、搬送する。ここで、+0.5mmは、第1センサ40の出力により決定される補正量であり、-2mmは、可動グループの移動に基づいて決定される補正量であり、可動グループの移動距離に等しい。
【0076】
その結果、マークMに対してポイントシール装置31、横シール装置32および冷却装置33の位置は正確に決められる。加えて、第1駆動ローラ対42によって、胴材10,11が、可動グループの上流側への移動量(2mm)だけ少なめに搬送されることにより胴材10,11区間長さが上閾値を超えることもない。
【0077】
以上の通り、可動グループが移動された場合、その移動距離が、第1駆動ローラ対42による間欠搬送距離に対する補正量として加味される。したがって、胴材区間長さは、下閾値から上閾値までの範囲を超えることはなく、適切な値に管理され、胴材10,11のテンションについても、一定範囲内での管理が可能である。
【0078】
尚、制御ローラ51の機械的な可動範囲は上述の上限位置/下限位置よりも広く、制御ローラ51の付勢力についても、胴材の材質や幅等により適宜設定が可能である。
【0079】
製袋機は、可動グループの移動距離を継続して計測しておくことで、クロスカット位置から第1センサ40の基準位置までの距離も継続して割り出せる。つまり、製袋機は、温度や湿度等の環境変化によっても伸縮する胴材10,11のコンディションに応じて変動する第1センサ40の基準位置を、継続して割り出すことができる。
【0080】
可動グループの移動距離、及び、移動タイミングは適宜設定される。例えば、可動グループを3mm刻みや5mmきざみで移動させたり、胴材10,11の胴材区間長さの変動幅が大きい場合は2きざみ分や3きざみ分、移動させてもよい。
【0081】
以上の構成によれば、1つのセンサで制御される加工装置のグループ毎に精度の高い位置合わせが可能であるだけでなく、駆動ローラ対から次の駆動ローラ対までの区間におけるテンションの適切な管理も可能である。したがって、伸縮率の高い印刷包材で製袋をする際においても安定した製袋を実現することができる。
【0082】
特に、胴材10,11を構成するフィルムは、ヒートシール工程による熱で非常に伸びやくすなるため、ヒートシールを伴う工程以降における実施形態の間欠搬送制御は極めて有効である。
【0083】
なお、実施形態の各装置31-36の他に、精度の高い位置合わせが要求される加工装置が追加される場合には、センサおよび駆動ローラ対の追加のセットを当該加工装置の近傍に配置して、センサ、駆動ローラ対、及び当該加工装置を一体的に上下流方向に移動させる移動装置を設け、前述の間欠搬送制御およびテンション管理を行えばよい。これにより、胴材10,11を当該加工装置の加工位置に高い精度で位置合わせすることができるとともにテンションを適切に管理できる。
【0084】
一般的に、オペレータが横シール位置やポイントシール位置を目視により確認するために、横シール装置32・ポイントシール装置31と冷却装置33との間に、ある程度のスペースが確保されている。第1センサ40およびその可動ユニットは、製袋機のこの遊休スペースを有効に利用して配置される。
【0085】
ウェブ1をスリットせずにその長手方向に沿って二つ折りすることで、2枚のウェブ状の胴材10,11を形成してもよい。この場合、2枚のウェブ状の胴材10,11は、折り曲げ線を介して互いに繋がっている。このような製袋の場合、縦シール装置30は省略される。
【0086】
パーツ供給装置23は、ジッパー12に加えて、及び/又は、ジッパー12に代えて、例えばガセット材(底ガセット材、天ガセット材、サイドガセット材)などの他の附属部材を胴材10,11に供給してもよい。また、ウェブ1から、胴材10,11に加えてガセット材も形成されてもよい。縦シール装置30や横シール装置32などが、胴材10,11を、ガセット材をこれらの間に介在させた状態でヒートシールしてもよい。上記の間欠搬送制御は、実施形態以外の各種の製袋に対しても適用できることは、当業者であれば容易に理解することができる。
【0087】
単一素材のフィルムは、ラミネートフィルムよりも伸び易く、融点は低く、シール温度および搬送速度の管理が困難である。また、単一素材のフィルムは、品質のばらつきも多い。したがって、単一素材のフィルムは、ラミネートフィルムよりも、製袋における位置合わせがしづらい。実施形態は、上記のように胴材10,11が伸びたとしても精度の高い位置合わせを提供できるので、単一素材のフィルムを用いた製袋には特に有効である。軟包装業界は、リサイクルの観点から、単一素材のフィルムを用いた製袋が見直されつつあるので、実施形態の製袋は非常に有効なものである。
【0088】
単一素材のフィルムは、基本的には、ラミネートフィルムより融点が低い。したがって、単一素材フィルムが用いられるとき、上流の2基のポイントシール装置31は、ラミネートフィルムの場合の加熱温度よりも低い温度で加熱して、胴材10,11へのダメージを抑えるとよい。そして、2基の横シール装置32は、潰された箇所をさらに加圧かつ加熱することで、胴材10,11へのダメージを抑えつつ、ジッパー12の潰された箇所の厚みをさらに薄くしてよい。そして、最下流の1基のポイントシール装置31は、加熱および加圧により柔らかくなった潰された部分をさらに加圧してよい。これにより、確実に漏れのないシールが実現される。
【0089】
単一素材のフィルムが胴材10,11として用いられる場合、その高い伸縮性を利用することで、調整装置5を製袋機から省略することも可能である。位置合わせが、第1駆動ローラ対42の位置で第1センサ40によりなされ、第2駆動ローラ対43の位置では第2センサ42によりなされている。そのため、第1駆動ローラ対42から第2駆動ローラ対43の区間に含まれる胴材10,11のピッチ数は不変である。したがって、ある程度のテンションを初期状態で胴材10,11にかけておけばよい。胴材10,11が伸縮したとしても、前記区間内のピッチ数は不変であり、打抜装置34,35の打抜位置が胴材10,11に対してずれることはない。
【0090】
すなわち、実際の印刷ピッチが、そのむらにより、又は、胴材10,11の縮みにより、初期状態の印刷ピッチよりも短いと、胴材10,11はこの区間で伸ばされてテンションは上がるが、印刷位置が打抜位置に対してずれることはない。逆に、実際の印刷ピッチが、そのむらにより、又は、胴材10,11の伸びにより、初期状態の印刷ピッチよりも長いと、この区間で胴材10,11に付与されていたテンションが緩和されて初期状態の値よりも下がり、印刷位置が打抜位置に対してずれることはない。
【0091】
初期状態のテンションは、胴材10,11の物性を考慮し、胴材10,11が伸縮したとしてもテンション調整でこれをキャンセルできるように決定される。仮に、胴材10,11が伸びすぎてたるんだとき、若しくは、縮みすぎて張りすぎたとき、可動グループの移動によって、これに対処することが可能である。
【0092】
このように、胴材10,11のテンション変動幅を大きくして位置合わせをすると、印刷のむらに対する位置合わせ精度は高くなる一方、シール時のテンションのばらつきは大きくなる。結果的に、シール加工の質は安定しない傾向がある。
【0093】
一方で、調整装置5を用いてテンション変動幅を小さくしておくと、シール時のテンションのばらつきは小さくなる。結果的に、シール加工の質は安定する。しかしながら、印刷にむらがあるとテンションでの調整範囲に限界がある。その場合、可動グループの移動によって調整することが可能である。
【0094】
紙ベースの胴材は、樹脂ベースの胴材に比べてほとんど伸縮しない。ゆえに、印刷ピッチのむらが紙ベースの胴材にある場合、テンション制御でそれに対処するのは困難である。図面に例示された製袋機であれば、テンション制御によらず、可動グループの移動によって、マークMに対してポイントシール装置31、横シール装置32および冷却装置33の位置を正確に決めることができる。
【符号の説明】
【0095】
10,11 胴材
32 横シール装置(第1加工装置)
33 冷却装置(第1加工装置)
34,35 打抜装置(第2加工装置)
36 クロスカット装置(第2加工装置)
4 間欠搬送装置
40 第1センサ
41 第2センサ
42 第1駆動ローラ対
43 第2駆動ローラ対
5 調整装置
50 ガイドローラ
51 制御ローラ
6 移動装置
M マーク
【要約】
製袋機は、胴材を間欠搬送するための間欠搬送装置と、第1駆動ローラ対から前記第2駆動ローラ対までの区間に含まれる胴材の長さの上閾値と下閾値とを検知するための調整装置と、加工装置およびセンサを、可動グループとして、一体的に胴材の長手方向に移動させるための移動装置を備える。移動装置は、調整装置が上閾値を検知することに応答して可動グループを上流に移動させ、調整装置が下閾値を検知することに応答して可動グループを下流に移動させる。間欠搬送装置は、可動グループが移動された場合、センサからの出力に加えて可動グループの移動距離に基づいて間欠搬送距離を決定し、第1駆動ローラ対によって胴材を決定した間欠搬送距離、搬送する。