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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】液状飲料組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20221122BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20221122BHJP
   A23L 33/13 20160101ALI20221122BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20221122BHJP
【FI】
A23L2/00 F
A23L2/00 J
A23L2/66
A23L2/52
A23L33/13
A23L33/17
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022022531
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2021149370
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521405492
【氏名又は名称】プラス・レイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(72)【発明者】
【氏名】大久保 令子
【審査官】山本 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-231565(JP,A)
【文献】特開2007-117014(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054525(WO,A1)
【文献】特開2020-022388(JP,A)
【文献】特開平08-051953(JP,A)
【文献】特開2004-016142(JP,A)
【文献】有限会社バイオケム,ザ・ビジネスモール, 2016年,p.1-6,https://www.b-mall.ne.jp/CompanyDetail-EYbqCQfvEQdr.html, 検索日:2021年12月17日
【文献】受託製造事例 Trustee product case RNA(W),[検索日2022年6月22日],2019年03月09日,https://web.archive.org/web/20190309030159/http://www.biochem-jp.com/case/232/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A,成分B、成分C及び成分Dを含有する液状の飲料組成物であって、
前記成分Aは水溶性核蛋白であり、
前記成分BはDNAの水溶性塩であり、核蛋白から抽出され、
前記核蛋白内のDNAの分子量のまま抽出されたDNAの水溶性塩(成分B1)と、
前記核蛋白内のDNAの分子量を酵素反応で低減して得られるDNAの水溶性塩(成分B2)とを含み、
前記成分B1と前記成分B2の合計重量に対して前記成分B2が10重量%以上であり、
前記成分CはRNAの水溶性塩であり、
前記成分Dは水分であり、
前記成分A及び前記成分Bの配合比は、
前記成分A100重量部に対して、前記成分Bが20~300重量部であり、
前記飲料組成物中、前記成分A、B及びCの合計配合量が2~50重量%である液状の飲料組成物(但し、
前記成分A、B、C及びDの混合物を混合物X、
ニンニクレクチンを含有する混合物を混合物Y1、
メシマコブを含有する混合物を混合物Y2、及び、
ニンニクレクチン及びメシマコブを含有する混合物を混合物Y3としたときに、
前記飲料組成物が、
前記混合物Xと前記混合物Y1とを混合して得られた場合;
前記混合物Xと前記混合物Y2とを混合して得られた場合;並びに、
前記混合物Xと前記混合物Y3とを混合して得られた場合である態様を除く)。
【請求項2】
前記成分A,前記成分B及び前記成分Cを前記成分Dに溶解させる工程を含み、
前記工程が以下の工程1~4から選ばれる1以上の工程含む請求項1記載の液状の飲料組成物の製造方法:
(工程1)
前記成分A100重量部に対して、
前記成分Cの配合量を50~500重量部にして、
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を前記成分Dに添加して、攪拌して溶解する工程;
(工程2)
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を、pHの高い又は低い順に、前記成分Dに添加して、攪拌して溶解する工程;
(工程3)
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を混合して、前記成分Dに添加して、前記成分A~Dの混合液を、温度30~95℃で溶解する工程;
(工程4)
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を混合して、前記成分Dに添加して、前記A~Dの混合液を、pH4.0以上で攪拌して溶解する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩及び水分を含有する液状飲料組成物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水溶性核蛋白を含有する健康ドリンクが開示されており、
特許文献2には、DNAを含有する液状食品の製造方法が開示されており、
特許文献3には、水溶性核蛋白とRNAを含有する乳幼児用栄養組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3899436号公報
【文献】特許第4111969号公報
【文献】特許第4307475号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】「核内栄養成分 実用百科」(NPO法人KYG協会誌編、2008年、実業之日本社)
【文献】「ただいま海の宝物」(宮野のり子、2020年11月15日、NPO法人風の道塾)
【文献】「核酸ドリンク ナチュラル DNコラーゲン」(フォーデイズ(株);https://fordays.jp/products/drink.html)
【文献】「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」(第1 D 〇清涼飲料 2 清涼飲料水の製造基準 4.)
【文献】「愛知三の丸病院だより第5号」(資料_食品・飲料の酸性度表:http://www.sannomaru-hp.jp/news/wp-content/uploads/2017/01/%E6%84%9B%E7%9F%A5%E4%B8%89%E3%81%AE%E4%B8%B8%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%A0%E3%82%88%E3%82%8A_%E7%AC%AC%EF%BC%95%E5%8F%B7_%E8%B3%87%E6%96%99_%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%83%BB%E9%A3%B2%E6%96%99%E3%81%AE%E9%85%B8%E6%80%A7%E5%BA%A6%E8%A1%A8.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩は、従前より人間・動物の健康に良好であることが語られてきており、栄養学的な研究も多くなされ、それぞれを人間・動物が摂取しやすいような工夫をした上で、健康食品の主成分として使用されてきた(例えば、非特許文献1及び2)。
【0006】
技術的知見としては、例えば、
特許文献1では、白子等に由来する核蛋白を低分子化して水溶性を向上させており、
特許文献2では、DNAに特定の溶解安定剤を添加して濁りや澱みの発生を抑制し、
特許文献3では、RNAを母乳と同様に摂取できるように設計された乳幼児用栄養組成物が検討されている。
【0007】
このように水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩は、それぞれは水溶性で飲料として設計できるにもかかわらず、これらを全て含有する飲料については検討されてこなかった。
【0008】
実際、本発明に先立つ検討によって、水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩をそれぞれについて従前推奨された量比で混合した場合に、溶解性が不安定であり、不溶物が沈殿又は浮遊したり、流動性のないゲル状態になったりして、液状の飲料にすることが容易ではないことがわかった。例えば、以下のような状況である。
【0009】
市販品の水溶性核蛋白飲料である「核酸ドリンク ナチュラル DNコラーゲン」(非特許文献3:液状のDNA含有サケ白子抽出物(DNA含有率約16重量%,pH=3.8)に、市販品の「DNA-Na」((有)バイオケム製、粉末)を混合しても溶解し難く不溶物が沈殿し、
市販品の水溶性核蛋白である「水溶性白子核タンパク」((有)バイオケム製、粉末)と市販品の「DNA-Na」((有)バイオケム製、粉末)を水に添加するとゲル状の不溶物が浮遊又は沈殿してしまい、製造が非常に困難であり、そのままでは健康飲料として使用できない。
【0010】
また、従前の水溶性核タンパクを主成分とする飲料を含む清涼飲料は、ユーザーが求める味覚の観点と、厚生省の規制下での製造コストの観点(非特許文献4「2 清涼飲料水の製造基準 (1) 4(a)(b)」)とから、安定してpHが4未満の強い酸性飲料であることが製造サイドに要求されるため、非炭酸系清涼飲料の製造時のpHの範囲を4以上にすることに高いハードルがあり、非炭酸系清涼飲料の市販品のほとんどはpHが4.0未満である(非特許文献5)。
【0011】
特に、水溶性核タンパク、DNA及びRNAのような生体高分子系の混合飲料の場合、常温かつpHが4未満で異種の生体高分子の混合物が溶解し難い(ゲル状になる場合も多い)場合、混合物の製造工程で、いかなる条件の変動で不溶物が発生して製造トラブルに至るかの予測が困難であるため、かかる混合物を設計する動機付けに対するハードルはさらに高い。
【0012】
生体高分子系清涼飲料の置かれた以上の状況の中で、水溶性核タンパク、DNA及びRNAの水溶性塩を(特に高濃度)で混合した液状飲料組成物についての技術的知見はほぼ皆無といえる。
【0013】
本発明では、水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩を全て(又は、すべてをさらに高濃度で)含有する液状飲料組成物とその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
〔1〕成分A,成分B、成分C(以下「成分A~C」ともいう)及び成分Dを含有する液状の飲料組成物であって、
前記成分Aは水溶性核蛋白であり、
前記成分BはDNAの水溶性塩であり、
前記成分CはRNAの水溶性塩であり、
前記成分Dは水分であり、
前記成分A及び前記成分Bの配合比は、
前記成分A100重量部に対して、前記成分Bが20~300重量部であり、
前記飲料組成物中、前記成分A、B及びCの合計配合量が2~50重量%である液状の飲料組成物(以下「本発明1」ともいう)、並びに、
〔2〕前記成分A,前記成分B及び前記成分Cを前記成分Dに溶解させる工程を含み、
前記工程が以下の工程1~4から選ばれる1以上の工程含む請求項1記載の液状の飲料組成物の製造方法:
(工程1)
前記成分A100重量部に対して、
前記成分Cの配合量を50~500重量部にして、
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を前記成分Dに添加して、攪拌して溶解する工程;
(工程2)
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を、pHの高い又は低い順に、前記成分Dに添加して、攪拌して溶解する工程;
(工程3)
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を混合して、前記成分Dに添加して、前記成分A~Dの混合液を、温度35~95℃で溶解する工程;
(工程4)
前記成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を混合して、前記成分Dに添加して、前記A~Dの混合液を、pH4.0以上で攪拌して溶解する工程。
(以下「本発明2」ともいう)に関する(以下、本発明1及び2をまとめて「本発明」ともいう)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩を全て(又は、全てをさらに高濃度で)含有する液状飲料組成物とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】液体状態が「〇」の本発明1の実施態様例
図2】液体状態が「×」の本発明1の比較態様例
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔本発明1〕
本発明1は、成分A,成分B及び/又は成分C、成分D並びに成分Eを含有する液状の飲料組成物であって、
前記成分Aは水溶性核蛋白であり、
前記成分BはDNAの水溶性塩であり、
前記成分CはRNAの水溶性塩であり、
前記成分Dは水分である液状の飲料組成物である。
【0018】
(成分A)
本発明1における成分Aは水溶性核蛋白である。
【0019】
核蛋白は、生物細胞の核中に含まれ、例えば、さけ、ます、にしん、たら、いか、ほたて等の魚介類の精巣(白子とも呼ばれる)にはDNAを主成分とする核酸及びプロタミンを主成分とする蛋白を多く含有する。
【0020】
従って、成分Aは、例えば、白子中の核蛋白から得ることができる。
【0021】
核蛋白は低分子化されていると、水に0.1重量%以上の濃度で溶解し得る程度に水溶性の水溶性核蛋白となる。
【0022】
成分Aは、好ましくは、以下の工程を経て得ることができる:
【0023】
(工程A1)
白子原料を酵素処理及び/又は加水分解処理をして核蛋白複合体が分離された核蛋白混合物を得る工程。
【0024】
酵素処理に使用する酵素としては、それぞれヌクレアーゼ活性及び/又はプロテアーゼ活性を有するペプシン、パンクレアチン、パパイン、ヌクレアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びプロテアーゼからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の酵素が好ましい。
【0025】
成分Aは、上記酵素処理等により低分子化される。
【0026】
例えば、白子中の核蛋白をヌクレアーゼ活性を有する酵素及びプロテアーゼ活性を有する酵素で処理して得られる分子量が1000~3000の低分子化したオリゴヌクレオチド/ヌクレオシド及びオリゴペプチドを30%以上含むことが、水溶性核蛋白を消化管での消化吸収を容易にする観点から好ましい。
【0027】
(工程A2)
工程A1で得た核蛋白混合物を、脂質を除去するためにアルコール(好ましくは食用アルコール、より好ましくはエタノール)と接触させて抽出・精製し、必要に応じて中和、殺菌等して固液分離する工程。
【0028】
(工程A3)工程A2で得た固液分離相の固形分相を回収して乾燥(好ましくは減圧乾燥又は噴霧乾燥)して水溶性核蛋白である成分Aを含む成分A含有組成物を(好ましくは粉末状で)得る工程。
【0029】
成分A含有組成物中の成分Aの濃度は、工程A1の酵素処理の程度、工程A2で行われる抽出・精製の程度が進めば高くなり、成分A含有組成物中のDNAの重量%を目安にすることができる。
【0030】
成分A含有組成物中の成分Aの濃度は、成分A含有組成物中のDNAの重量%が40±5重量%程度でほぼ100重量%となり、それ以下であれば水溶性核蛋白以外の脂質等の白子原料に由来する不純物が多くなる。
【0031】
成分A含有組成物中の成分Aの濃度は、成分A含有組成物中のDNAの重量%が40±5重量%の範囲から下に外れていくほど低くなり、当該範囲から上に外れていくと水溶性核蛋白から蛋白質が剥離した核酸(DNA)が多くなり、成分A含有組成物中のDNAの重量%が85±5%程度になると、水溶性核蛋白のほぼ全量が蛋白質が剥離した核酸(DNA)になる。
【0032】
そこで、本発明では、白子から抽出・精製した成分A含有組成物中の成分Aの濃度Xは以下の要領で計算する。
【0033】
〔成分A含有組成物中のDNA濃度XDNAが40重量%以下の場合〕
=100×XDNA/40(重量%) (A-1)
【0034】
〔成分A含有組成物中のDNA濃度XDNAが40重量%超85重量%の場合〕
=100×(1-(XDNA-40)/45)(重量%) (A-2)
【0035】
〔成分A含有組成物中のDNA濃度XDNAが85重量%超の場合〕
成分A含有組成物中の成分Aの濃度Xは0重量%とする。
【0036】
上記工程A1~A3で得た成分A含有組成物中のDNAの重量%は、好ましくは30~70重量%、より好ましくは40~65重量%、更に好ましくは50~60重量%、
さらに、成分Aの有効利用の観点から、好ましくは30~60重量%、更に好ましくは30~50重量%、更に好ましくは35~65重量%、更に好ましくは35~45重量%、更に好ましくは38~42重量%である。
【0037】
なお、上述の成分A含有組成物中のDNAの重量%は、例えば、紫外可視吸光光度検出HPLCを使用して、DNAの吸収ピーク波長である260nmでの吸光度に基づいて算出することができる。
具体的には、例えば、上記工程A1における白子原料Xと、上記工程A3における成分A含有組成物Yについて、以下の手順を行う。
【0038】
(1)前処理:白子原料Xと成分A含有組成物Yのそれぞれ3mlに、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH=5.3)4ml、0.01mol/L塩化亜鉛溶液1ml、0.010.01mol/LヌクレアーゼP1溶液2mlを加え、60℃2時間の加温処理をして白子原料Xの前処理液X及び成分A含有組成物Yの前処理液Yを得る。
【0039】
(2)前処理液X及び前処理液について、HPLC測定条件:例えば、三菱化学社製イオン交換樹脂カラム(MCI GEL CDR-10)を使用した紫外可視吸光光度検出島津製作所製HPLC測定システムを用いて、標準的なHPLCの測定条件(例えば、
前処理液Xではカラム温度40℃、移動相が酢酸緩衝液(pH=3.3)1mol/L、流量1.0ml/min、
前処理液Yではカラム温度60℃、移動相が酢酸緩衝液(pH=3.3)1.4mol/L、流量1.0ml/min)で、前処理液X及び前処理液Yの吸光度に基づいて、
白子原料X中の成分Aの濃度CX、及び、含有組成物Y中の成分Aの濃度Cを算出し、
ΔC=C-CをDNAの濃度とした。
なお、ΔCは、紫外可視吸光光度検出HPLCで検出できるDNA由来のデオキシリボヌクレオチドの濃度の総和である。
【0040】
成分Aは、例えば白子を酵素処理して核蛋白を低分子化したものを、分画せずにそのまま又は吸着剤等を添加して不純物を沈殿させ上澄みを採取する程度の精製して使用してもよく、分画物を採取して低分子化した水溶性核蛋白の純度を向上したものでもよい。
【0041】
(成分B)
成分Bは、例えば、しらこに含まれる核蛋白に、蛋白質分解酵素(例えば、プロテアーゼ)を作用させて、核蛋白中のDNAの濃度を向上し、さらに、脂質を除去するためにアルコール(好ましくは食用アルコール、より好ましくはエタノール)と接触させて抽出・精製し、遠心分離等を組合わせて得た精製物を利用することができ、さらに精製物を分画処理して所望の範囲の分子量のDNAを多く含む精製物を利用することができる。
【0042】
成分Bは、
白子原料をヌクレアーゼ活性を有する酵素で処理しない高分子量型DNA(以下「成分B1」ともいう)と、
白子原料をヌクレアーゼ活性を有する酵素で処理してDNAの分子量を低減させた低分子量型DNA(以下「成分B2」ともいう)とを好ましく使用することができる。
【0043】
成分BのDNA水溶性塩を形成する塩基としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩などの無機塩;メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩のようなモノ-、ジ-及びトリ-アルキルアミン塩、モノ-、ジ-及びトリ-ヒドロキシアルキルアミン塩、グアニジン塩、N-メチルグルコサミン塩などの有機塩を挙げることができ、水溶性の観点から、無機塩であることが好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びリチウム塩からなる群から選ばれる1種以上の塩であることがより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩からなる群から選ばれる1種以上の塩であることが更に好ましく、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩であることが更に好ましい。
【0044】
本発明においては、成分Bは、成分B1又は成分B2であってよいが、体内吸収性の観点から、成分B1と成分B2の混合物であることが好ましい。
【0045】
成分A含有組成物のDNA重量%を増大させた場合、成分A含有組成物中の成分Bの濃度Xを以下の要領で計算する。
【0046】
〔成分A含有組成物中のDNA濃度XDNAが40重量%以下の場合〕
成分A含有組成物中の成分Bの濃度Xは0重量%とする。
【0047】
〔成分A含有組成物中のDNA濃度XDNAが40重量%超85重量%の場合〕
=XDNA×(1-X/100)(重量%) (B-1)
【0048】
〔成分A含有組成物中のDNA濃度XDNAが85重量%超の場合〕
成分A含有組成物中の成分Bの濃度XはXDNA重量%とする。
【0049】
上記の工程で得た成分B1を含む精製物(原料組成物)中の成分B1の濃度(重量%)は、好ましくは70~99重量%、より好ましくは75~95重量%、更に好ましくは80~90重量%、更に好ましくは83~87重量%である。
【0050】
上記工程で得た成分B2を含む精製物(原料組成物)中の成分B2の濃度(重量%)は、好ましくは70~99重量%、より好ましくは80~97重量%、更に好ましくは85~95重量%、更に好ましくは88~92重量%である。
【0051】
なお、成分B1及びB2の濃度(重量%)は、DNA中のリン酸基に着目し、成分B1又はB2を含む精製物中のリン酸濃度を、フランス薬局方のバナドモリブデン酸吸光光度法(吸光波長400nm)に基づき測定して、DNA濃度に換算した。
【0052】
(成分C)
成分CはRNAの水溶性塩である。
【0053】
食品用とで使用されるRNAは、ビール酵母、パン酵母が食品用として知られるSaccharoyces属酵母由来の酵母エキス、トルラ酵母として知られるTorula属酵母由来の酵母エキスに含まれる酵母の菌体内に多く含まれ、これらの酵母エキス(好ましくはトルラ酵母由来の酵母エキス)から抽出・精製して得ることができる。
【0054】
RNAは、酵母、細菌、乳、魚介類、動物、及び/又は植物など生物の抽出由来のものが好ましく、食品用として従前より開発されている酵母の抽出由来のものがより好ましい。
【0055】
酵母の抽出由来のRNAは、ビール酵母、パン酵母が食品用として知られるSaccharoyces属酵母由来の酵母エキス、トルラ酵母として知られるTorula属酵母由来の酵母エキスに含まれる酵母の菌体内に多く含まれ、これらの酵母エキス(好ましくはトルラ酵母由来の酵母エキス)から抽出・精製して得ることができる。
【0056】
生酵母でも、熱処理、化学的処理、生化学的処理、物理的処理等を行った酵母であっても、更には酒類等の醸造工程から回収される余剰酵母なども利用することができる。
【0057】
成分Cは、好ましくは、以下の工程を経て得ることができる:
【0058】
トルラ酵母(Na塩)を水系溶媒(例えば、水)に溶解させて、必要に応じて殺菌して濾過して乾燥(好ましくは減圧乾燥又は噴霧乾燥)してRNA水溶性塩である成分Cを含有する組成物(以下「簡易精製組成物」ともいう)を得ることができる(以下、「簡易精製組成物」中の成分Cを「成分C1」ともいう)。
【0059】
成分Cは、さらに脂質を除去するためにアルコール(好ましくは食用アルコール、より好ましくはエタノール)と接触させて抽出・精製を繰り返して、必要に応じて、不純物の吸着、殺菌を行い、高純度化することができる(以下、「高精製組成物」中の成分Cを「成分C2」ともいう)。
【0060】
成分CのRNA水溶性塩を形成する塩基としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩などの無機塩;メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩のようなモノ-、ジ-及びトリ-アルキルアミン塩、モノ-、ジ-及びトリ-ヒドロキシアルキルアミン塩、グアニジン塩、N-メチルグルコサミン塩などの有機塩を挙げることができ、水溶性の観点から、無機塩であることが好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びリチウム塩からなる群から選ばれる1種以上の塩であることがより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩からなる群から選ばれる1種以上の塩であることが更に好ましく、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩であることが更に好ましい。
【0061】
上記工程で得た精製物(原料組成物)の成分C1又はC2の濃度(重量%)は、好ましくは70~99重量%、より好ましくは75~95重量%、更に好ましくは80~90重量%である。
【0062】
なお、成分C1及びC2の濃度(重量%)は、DNA中のリン酸基に着目し、成分B1又はB2を含む精製物中のリン酸濃度を、医薬部外品原料規格2021「デオキシリボ核酸ナトリウム 定量法(2)リン」に準拠してリン濃度を求め、DNA濃度に換算した。
【0063】
(成分A~Cの形態と市販品の例)
成分A~Cを主成分として含む原料(以下、まとめて「成分A~C原料」、それぞれ「成分A原料」「成分B原料」「成分C原料」という)は、水溶液、懸濁液、ゼリー状又は乾燥粉末等の形態であってよいが、他の成分との混合性及び本発明1の生産性の観点から、水溶液又は乾燥粉末であることが好ましく、乾燥粉末であることがより好ましい。
【0064】
成分Aを主成分とする市販品としては例えば『水溶性白子核タンパク』((有)バイオケム製);
成分B1を主成分とする市販品としては例えば『DNA-Na』((有)バイオケム製);
成分B2を主成分とする市販品としては例えば『DNA-Na(F)』((有)バイオケム製);
成分C1を主成分とする市販品としては、例えば『RNA』((有)バイオケム製);
成分C2を主成分とする市販品としては、例えば『RNA(W)』((有)バイオケム製)を挙げることができる(いずれも粉末である)。
【0065】
(1)成分A原料:製品名『水溶性白子核タンパク』(DNA含有量は40重量%)
(2)成分B1原料:製品名『DNA-Na』(成分B1は85重量%)
(3)成分B2原料:製品名『DNA-Na(F)』(成分B2は90重量%)
(4)成分C1原料:製品名『RNA』(成分C1は85重量%)
(5)成分C2原料:製品名『RNA-W』(成分C2は85重量%)
【0066】
(成分D)
成分Dは水分である。
【0067】
成分Dは、成分A~Cをと主成分とする原料と成分A~C以外の成分を主成分とする原料に含まれる水分と、これらの原料とは別に添加した水分の合計である。
【0068】
水分としては、「清涼飲料水の製造基準」において定義される「飲用適の水」が使用でき、例えば、飲用適の水として使用できる天然湧水、日本で使用される硬度(好ましくは10~300、より好ましくは20~200、更に好ましくは30~100、更に好ましくは40~90)の水道水、当該水道水を原料とする精製水(蒸留水、イオン交換水、脱イオン水等)を使用できるが、成分A~Cの溶解性と味覚の観点から精製水であることが好ましい。
【0069】
(任意成分)
本発明1は、成分A~Dの他に、本発明1における成分A~Dの効果を阻害しない範囲で、飲料用の成分を配合することができ、例えば、亜鉛、コラーゲン;コンドロイチン;ヒアルロン酸;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12等のビタミン類又はアスコルビン酸ジグリコシド等のビタミン類誘導体;クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、DL-リンゴ酸等のpH調整剤;ミネラル類;アミノ酸類;ペプチド類;糖類;水溶性食物繊維;果物又は野菜の汁;蜂蜜;酸味料;甘味料;香料;保存料;着色料及びナノコロイドシリカ等の無機微粒子等を配合することができる。
【0070】
(液状の飲料組成物)
成分A~Cを所定の組成で配合することによって、成分A~Dを含有する液状の飲料組成物である本発明1を得ることができる。
【0071】
DNAの水溶性塩である成分Bは、人体の細胞の新陳代謝の促進、免疫力の向上、抗疲労、持久力向上に寄与すると考えられている(非特許文献1及び2)。
【0072】
成分Bのうち、原料(例えば白子核蛋白)中の核蛋白内のDNAの分子量のまま抽出された成分B1は、相対的に体内への消化吸収が相対的にし難く、
成分Bのうち、原料(例えば白子核蛋白)中の核蛋白内のDNAの分子量を酵素反応等により低減して抽出された成分B2は、相対的に体内への消化吸収が相対的にし易いので、時間をかけて消化する必要がある場合は成分B1が好ましく
胃や腸などの消化器官が弱っている場合には成分B2が好ましい。
【0073】
成分B1及び成分B2が配合されていると、混合物の体内での消化が、まず成分2が消化され、次第に成分B1が消化されていくので、成分1及び2の配合比を変えることで成分Bの消化時間を制御することができる。
【0074】
水溶性核蛋白である成分Aは、精巣から抽出される核蛋白を原料とし、DNAに加えて、プロタミン等の蛋白質を含み、DNAによる効能に加えて、抗酸化化の向上、血糖値の安定化、血流促進、筋肉増強、成長ホルモンの分泌等に寄与すると考えられている(非特許文献1及び2)。
【0075】
RNAの水溶性塩である成分Cは、認知症の予防・改善にも繋がる、脳の神経細胞の活性維持、免疫機能の維持等に寄与すると考えられている(非特許文献1及び2)。
【0076】
本発明1に成分A~Cが配合されることで、上述各成分の効能を備えるだけでなく、成分A~Cの配合比を制御し、さらに、成分A~C中のDNA、RNA及び蛋白質の効能をより効率的に促進すると言われるビビタミンB類、ビタミンC類、細胞間の正常なタンパク質の品質管理に働くと考えられる亜鉛酵母等を組み合わせて消化吸収のしやすい飲料組成物を得ることができる。
【0077】
本発明1における成分Bの体内吸収性の観点から、
成分A及びBの配合比は、成分A100重量部に対して、
成分Bが、好ましくは30~500重量部、より好ましくは50~400重量部、更に好ましくは60~300重量部、更に好ましくは70~250重量部、更に好ましくは100~200重量部である。
【0078】
成分A及びBの配合比は、本発明1の液状性の観点から、より好ましくは、
成分A100重量部に対して、
成分Bが、20~300重量部、好ましくは25~250重量部、より好ましくは30~200重量部、更に好ましくは35~150重量部、更に好ましくは40~130重量部、更に好ましくは50~120重量部、である。
【0079】
本発明1における成分Bの体内吸収性の観点から、
成分B1と成分B2の配合比は、
成分B1と成分B2の重量比(B1/B2)は、
好ましくは100/0~10/90、90/10~30/70、より好ましくは85/15~50/50、更に好ましくは80/20~70/30である
【0080】
本発明1におけるRNAによる脳の活性維持の観点から、さらに、本発明1の液状性の観点からも、成分A及び成分Cの配合量は、
成分A100重量部に対して、成分Cが、
好ましくは50~1000重量部、より好ましくは100~800重量部、更に好ましくは150~600重量部、更に好ましくは180~500重量部、更に好ましくは200~400重量部である。
【0081】
本発明1の液状性の観点から、成分A100重量部に対して、成分Cが、
好ましくは200~1000重量部、より好ましくは250~900重量部、更に好ましくは300~800重量部、更に好ましくは400~700重量部、更に好ましくは500~600重量部である。
【0082】
本発明1の液状性の観点から、より好ましくは、成分A100重量部に対して、成分Cが、好ましくは200~1000重量部、より好ましくは250~900重量部、更に好ましくは300~800重量部、更に好ましくは400~700重量部、更に好ましくは500~600重量部である。
【0083】
本発明1における成分Cの製造簡易性の観点から、
成分C1と成分C2の配合比は、
成分C1と成分C2の重量比(C1/C2)は、好ましくは100/0~0/100、より好ましくは100/0~50/50、更に好ましくは100/0~80/20、更に好ましくは100/0~90/10である。
【0084】
本発明1の液状性及び栄養バランスの観点から、
本発明1中、成分A~Cの合計の配合量は、好ましくは2~50重量%、より好ましくは3~30重量%、更に好ましくは4~15重量%、更に好ましくは5~12重量%、更に好ましくは6~10重量%である。
【0085】
本発明1の液状性及び栄養バランスの観点から、
本発明1中、成分A~Cの合計の配合量は、
より好ましくは2~50重量%、更に好ましくは3~30重量%、更に好ましくは4~15重量%、更に好ましくは5~12重量%、更に好ましくは6~10重量%である。
【0086】
本発明1のpHは、本発明1の液状性、栄養バランスの観点から、好ましくは3.0~7.0、より好ましくは3.3~6.5、更に好ましくは3.5~6、更に好ましくは3.8~5.5、更に好ましくは4.0~5.2、更に好ましくは4.0~5.0、更に好ましくは4.2~4.5である。
【0087】
本発明1のpHは、本発明1の液状性、栄養バランスの観点から、より好ましくは4.0以上、より好ましくは4.0~7.0、更に好ましくは4.0~6.0、更に好ましくは4.0~5.5、更に好ましくは4.0~5.2、更に好ましくは4.2~5.0である。
【0088】
〔本発明2〕
本発明2は、成分A,成分B、成分C及び成分Dを混合する工程を含む液状の飲料組成物である本発明1の製造方法である。
【0089】
成分A~Cを含む原料は、それぞれ、水溶液、懸濁液、ゼリー状又は乾燥粉末等の形態であってよく、成分A~Cからなる群から選ばれる2種以上の成分が予め混合されていてもよい。
【0090】
成分A~C原料及び他の添加剤原料に水分が含まれている場合、これらの原料に含まれる水分は成分Dを構成する。
【0091】
本発明2は、以下の工程を経ることが好ましい。
【0092】
《工程A》
工程Aでは、成分A~C原料を成分D(水分)に溶解して、成分A~C原料の水溶液を得る。
さらに添加剤原料を添加しない場合は、成分A~C原料の水溶液は本発明1である。
【0093】
《工程B》
工程Bでは、工程Aで得た成分A~C原料の水溶液に、必要に応じて添加剤原料及び成分D(水分)を添加して、成分A~C原料及び添加剤原料の水溶液を得る。得られた成分A~C原料及び添加剤原料の水溶液は本発明1である。
【0094】
《工程Aの態様例1》
工程Aは、さらに以下の態様の工程であることが好ましく、以下の態様の工程を単独又は組合わせることがより好ましい。
【0095】
(工程A-1)
成分A100重量部に対して、成分Cの配合量を好ましくは300~800重量部、更に好ましくは400~700重量部、更に好ましくは500~600重量部にして、成分A~C原料を成分D(水分)に添加して、攪拌して溶解する。
【0096】
製造結果物の液状性の観点から、より好ましくは、成分A100重量部に対して、成分Cの配合量を好ましくは50~500重量部、より好ましくは60~450重量部、更に好ましくは70~400重量部、更に好ましくは90~350重量部、更に好ましくは100~300重量部にして、成分A~C原料を成分D(水分)に添加して、攪拌して溶解する。
【0097】
(工程A-2)
成分A~C原料をpHの高い又は低い順に成分D(水分)に添加して、攪拌して溶解する。
【0098】
なお、成分A~C原料のpHは、日本で使用される硬度40~90の温度25℃の水道水100gに、乾燥粉末状の成分A~C原料をそれぞれ1.0gを添加して攪拌溶解したときのそれぞれのpHをいう。
【0099】
(工程A-3)
成分A~C原料を混合して、成分D(水分)に添加して、成分A~Dの混合液を好ましくは25℃超60℃以下、より好ましくは30~50℃、更に好ましくは35~45℃に加温して攪拌して溶解する。
【0100】
製造結果物の液状性の観点から、より好ましくは、成分A~C原料を混合して、成分D(水分)に添加して、成分A~Dの混合液を好ましくは30~95℃、より好ましくは35~95℃、更に好ましくは37~85℃以下、更に好ましくは40~75℃以下、更に好ましくは40~65℃、更に好ましくは40~55℃で攪拌して溶解する。
【0101】
予め上記温度に加温した成分Dに、成分A~C原料混合物を添加してもよいし、
常温の成分Dに成分A~C原料混合物を添加して攪拌しながら、成分A~Dの混合液の容器を直接又は湯浴等して加温してもよい。
【0102】
(工程A-4)
成分A、B及びCをそれぞれ主成分として含む原料を混合して、前記成分Dに添加して、成分A~Dの混合液を、pH4.0以上で攪拌して溶解する。
【0103】
添加剤中の、クエン酸やビタミンCのような酸性が比較的強い成分は、成分A~Dの混合液のpHが4.0以上を維持するように添加速度や添加順序を調整することが好ましい。
【0104】
(本発明2の共通事項)
工程A-1及び工程A-2でも、成分A~Dの混合液を好ましくは25℃超60℃以下、より好ましくは30~50℃、更に好ましくは35~45℃(製造結果物の液状性の観点からは、好ましくは30~95℃、より好ましくは35~95℃、更に好ましくは37~85℃、更に好ましくは40~75℃、更に好ましくは40~65℃、更に好ましくは40~55℃)に加温して攪拌して溶解させてもよい。
【0105】
工程A及び工程A-1~3では、得られた成分A~C原料水溶液のpHは、本発明1の好適pHの範囲(好ましくは3.0~7.0、より好ましくは3.3~6.5、更に好ましくは3.5~6、更に好ましくは3.8~5.5(製造結果物の液状性の観点からは、より好ましくは4.0~7.0、更に好ましくは4.0~6.0、更に好ましくは4.0~5.5、更に好ましくは4.0~5.2、更に好ましくは4.2~5.0)に制御することが好ましく、必要に応じてpH調整剤を成分A~C原料と共に成分D(水分)に添加してよく、工程A-2では成分A~Cの後に添加することが好ましい。
【0106】
工程A-3の段階で、成分A~C及原料び添加剤原料を予め混合しておいて工程A-3を適用しても成分A~C及原料び添加剤原料が成分D(水分)に溶解するようであれば、工程A-3だけで成分A~D及原料び添加剤原料の水溶液である本発明1を得ることができる。
【0107】
〔実施例〕
(原料)
以下の粉末状原料を使用した。
【0108】
(1)成分A原料:製品名『水溶性白子核タンパク』(DNA含有量は40重量%)
(2)成分B1原料:製品名『DNA-Na』(成分B1は85重量%)
(3)成分B2原料:製品名『DNA-Na(F)』(成分B2は90重量%)
(4)成分C1原料:製品名『RNA』(成分C1は85重量%)
(5)成分C2原料:製品名『RNA-W』(成分C2は85重量%)
(6)成分D:水道水
(7)クエン酸:無水、純度99.5%(ヘルシーカンパニー社製)
(8)クエン酸ナトリウム:食品添加物クエン酸ナトリウム(松葉薬品社製)
【0109】
以下の実施例及び比較例の混合物を室温(25℃)下で作成した。
【0110】
(実施例1-1~2及び比較例1-1~3)
成分A~Dが表1記載の重量部になるように、
成分A~D原料をそれぞれ表1記載の重量(mg)の10倍量を秤量して、
表1の上からの記載順に成分A~C原料を、
200mlビーカー中に入れた成分Dに攪拌棒で攪拌しながら添加した。
【0111】
(実施例2-1~5)
成分A~D、クエン酸及びクエン酸ナトリウムが表3記載の重量部になるように、
成分A~D原料、クエン酸及びクエン酸ナトリウムをそれぞれ表2記載の重量(mg)の10倍量を秤量して、実施例2-4以外は、
表2に記載の添加順で成分A~C原料、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを、
200mlビーカー中に入れた成分Dに攪拌棒で攪拌しながら添加した。
【0112】
実施例2-4は、予め混合した成分成分A~C原料及びクエン酸混合物を、
200mlビーカー中に入れた成分Dに攪拌棒で攪拌して混合液とし、
混合液の入った200mlビーカーを湯浴して混合液を40℃に加温して攪拌混合した。
【0113】
実施例2-5は、予め混合した成分成分A~C原料及びクエン酸混合物を、
200mlビーカー中に入れた成分Dに攪拌棒で攪拌して混合液とし、
混合液の入った200mlビーカーに加温した成分D(水分)を加えて混合液を40℃にして攪拌混合した。
【0114】
(製品実施例1-1~2)
実施例1-1~2で得た成分A~D原料水溶液に、表4に記載した添加剤を、表4記載の重量(mg)の10倍量を秤量して、さらに添加して、攪拌溶解して得た成分A~D及び添加剤水溶液をそれぞれ製品実施例1-1~2とした。
【0115】
(製品実施例2-3~5)
実施例2-3~5で得た成分A~D原料及び添加剤水溶液に、表4に記載した添加剤を、表4記載の重量(mg)の10倍量を秤量して、さらに添加して、攪拌溶解して得た成分A~D原料及び添加剤水溶液をそれぞれ製品実施例3-3~5とした。
【0116】
(評価条件)
(1)pH
(1-1)成分D以外の各原料のpHは、ビーカーに入れた日本で使用される硬度40~90の温度25℃の水道水100gに、乾燥粉末状の各原料それぞれ1.0gを添加して攪拌混合したときのpHをpH測定器(Apera社製「エコノミータイプPH20」)で測定した。
【0117】
(1-2)成分DのpHは、ビーカーに入れた成分D100gのpHをpH測定器(Apera社製「エコノミータイプPH20」)で測定した。
【0118】
(1-3)実施例2-1~5のpHは、各実施例でビーカー中に得られた水溶液のpHを(Apera社製「エコノミータイプPH20」)で測定した。
【0119】
(2)液体状態
各実施例及び各比較例でビーカー中に得られた混合物の溶解状態を目視観察して、
浮遊物及び沈殿物が認められずに透明である場合(図1参照)を「〇」;
浮遊物及び/又は沈殿物が発生している場合(図2参照)を「×」とした。
【0120】
(結果)
以上の原料、配合及び性状を表1~4にまとめた。
【0121】
表1から、成分A100重量部部に対して成分Cが500重量部以下であると、液体状態が不安定である(同じような配合組成で〇になったり×になったりする)ことがわかった。
【0122】
表1及び2で液体状態が〇のものは、さらに添加剤を加えても液体状態は〇であった。
【0123】
表2から、成分A100重量部部に対して成分Cが500重量部以下であっても、
成分A~C及びpH調整剤をpHの高い順に添加したり(実施例2-1~3)、
成分A~C及びpH調整剤混合液を加温したり(実施例2-4)すると液体状態は〇になり、
成分A~C及びpH調整剤をpHの高い順に添加して、さらに成分A~C及びpH調整剤混合液を加温すると実施例2-1~3よりも早く溶解して液体状態が〇の水溶液となった。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【要約】
【課題】本発明は、それぞれが水溶性である水溶性核蛋白、DNAの水溶性塩、RNAの水溶性塩を全て含有する液状飲料組成物とその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、
成分A,成分B、成分C及び成分Dを含有する液状の飲料組成物であって、
前記成分Aは水溶性核蛋白であり、
前記成分BはDNAの水溶性塩であり、
前記成分CはRNAの水溶性塩であり、
前記成分Dは水分であり、
前記成分のAの配合量100重量部に対して、前記成分Bの配合量が20~300重量部であり、
前記飲料組成物中、前記成分A、B及びCの合計配合量が2~50重量%である液状の飲料組成物。
【選択図】なし

図1
図2