(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】リンゴ酸及び乳酸を含む粒子状酸味料組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20221122BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20221122BHJP
A23G 4/06 20060101ALI20221122BHJP
A23G 1/32 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A23L27/00 B
A23G3/34 101
A23G4/06
A23G1/32
(21)【出願番号】P 2020517361
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2018076141
(87)【国際公開番号】W WO2019063623
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504421730
【氏名又は名称】ピュラック バイオケム ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クスマワルダニ, ヘニー
(72)【発明者】
【氏名】プリタワルダニ, プリタ
(72)【発明者】
【氏名】パパジョルジュ, アポストロス
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア, シンシア ベレニス マルモレジョ
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-531045(JP,A)
【文献】特表2009-542242(JP,A)
【文献】ANONYMOUS,UNLEASH THE POWER OF SOUR - PURAC POWDER ACID SANDING IN SOFT CONFECTIONERY,[ONLINE],2016年04月20日,PAGE(S):1-2,https://web.archive.org/web/20160420044323/http://www.corbion.com/base/DownloadHelper/DownloadFile/9727
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20~70wt%のリンゴ酸、3~40wt%の乳酸、並びに、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及び酢酸、及びそれらの組合せから選択される0~40wt%の食用酸を含む粒子状酸味料組成物であって、
リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸と、の共結晶を含み、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の前記部分的に中和されたポリカルボン酸と、を含有するM粒子を40~90wt%、及び、
乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸と、の共結晶を含み、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも前記部分的に中和された
カルボン酸と、を含有するL粒子を5~60wt%を含み、
M粒子とL粒子の組合せが、前記酸味料組成物の少なくとも50wt%を構成
し、
前記M粒子は、流動床乾燥機内で、部分的に中和されたポリカルボン酸水溶液をリンゴ酸の粒子に噴霧することによって得ることができ、M粒子のコアが、リンゴ酸を、これらの粒子のリンゴ酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い濃度で含有し、
前記L粒子は、流動床乾燥機内で、乳酸水溶液を、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の粒子に噴霧することによって得ることができ、L粒子のコアが、前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸を、これらの粒子の前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い濃度で含有する、
酸味料組成物。
【請求項2】
60~88wt%のM粒子を含む、請求項1に記載の酸味料組成物。
【請求項3】
6~35wt%のL粒子を含む、請求項1又は2に記載の酸味料組成物。
【請求項4】
前記M粒子の前記部分的に中和されたポリカルボン酸が、リンゴ酸水素一ナトリウム又は一カリウム、クエン酸二水素一ナトリウム又は一カリウム、クエン酸水素二ナトリウム又は二カリウム、及びこれらの組合せから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の酸味料組成物。
【請求項5】
前記M粒子の少なくとも25wt%の前記リンゴ酸が、リンゴ酸と部分的に中和されたポリカルボン酸との前記共結晶に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の酸味料組成物。
【請求項6】
前記L粒子の前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸が中和された乳酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の酸味料組成物。
【請求項7】
前記中和された乳酸が乳酸カルシウムである、請求項6に記載の酸味料組成物。
【請求項8】
前記L粒子の少なくとも30wt%の前記乳酸が、乳酸と前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との前記共結晶に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の酸味料組成物。
【請求項9】
直径が120~1200μmの範囲にある粒子を少なくとも90wt%含む粉末である、請求項1~8のいずれか一項に記載の酸味料組成物。
【請求項10】
砂糖粒子を30~98wt%、
リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸と、の共結晶を含み、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の前記部分的に中和されたポリカルボン酸と、を含有するM粒子を2~40wt%、及び、
乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸と、の共結晶を含み、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも前記部分的に中和された
カルボン酸と、を含有するL粒子を0.5~10wt%を含
み、
前記M粒子は、流動床乾燥機内で、部分的に中和されたポリカルボン酸水溶液をリンゴ酸の粒子に噴霧することによって得ることができ、M粒子のコアが、リンゴ酸を、これらの粒子のリンゴ酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い濃度で含有し、
前記L粒子は、流動床乾燥機内で、乳酸水溶液を、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の粒子に噴霧することによって得ることができ、L粒子のコアが、前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸を、これらの粒子の前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い濃度で含有する、
粒子状コーティング組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の酸味料組成物、又は請求項10に記載の粒子状コーティング組成物と、1種以上の非水性材料と、を合わせるステップを含む、食材又は食品を調製する方法。
【請求項12】
前記食品が菓子製品である、請求項
11に記載の食品を調製する方法。
【請求項13】
前記酸味料組成物を、0.01~20wt%の濃度で前記食品に組み込むステップを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸と、の共結晶を含み、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の前記部分的に中和されたポリカルボン酸と、を含有するM粒子を0.3~90wt%、及び、
乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸と、の共結晶を含み、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも前記部分的に中和された
カルボン酸と、を含有するL粒子を0.1~60wt%含
み、
前記M粒子は、流動床乾燥機内で、部分的に中和されたポリカルボン酸水溶液をリンゴ酸の粒子に噴霧することによって得ることができ、M粒子のコアが、リンゴ酸を、これらの粒子のリンゴ酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い濃度で含有し、
前記L粒子は、流動床乾燥機内で、乳酸水溶液を、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の粒子に噴霧することによって得ることができ、L粒子のコアが、前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸を、これらの粒子の前記少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い濃度で含有する、
菓子製品。
【請求項15】
キャンディ、チョコレート又はチューインガムである、請求項14に記載の菓子製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野}
本発明は、リンゴ酸、乳酸、及び任意選択で1種以上の他の食用酸を含む粒子状酸味料組成物に関する。本発明はまた、食材及び食品における本酸味料組成物の利用に関する。
【0002】
本発明の粒子状酸味料組成物は、リンゴ酸及び/又は乳酸がカルボン酸塩の共結晶として存在する粒子を含むことにより、食品に独特のツンとくる香味感を付与する。
(発明の背景)
【0003】
食用酸は、酸味を導入し香味を「より鮮明に」するために食品に添加される。加えて、食用酸は、保存剤及び抗酸化剤として作用することができる。一般的な食用酸としては、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、及び乳酸が挙げられる。
【0004】
酸味は、酸性を感知する味覚である。酸味の味覚は、舌の味覚芽すべてにわたって分布する細胞の小亜集団によって感知される。酸味物質に豊富なプロトンは、頂端側に位置するイオンチャネルから、酸味の味覚細胞に直接侵入することができる証拠が存在する。また、生理的pH値では完全に解離しない酢酸などの弱酸は、味覚細胞に浸透し、それによって電気的応答を惹起できることが提唱されている。
【0005】
子どもは一般的に酸味の香味を喜ぶため、酸味キャンディが子どもに非常に人気があることは驚くべきことではない。これらのキャンディの多くはクエン酸を含有する。
【0006】
食用酸は酸味を導入する能力を共有するが、食用酸の香味(味+芳香)付与は、例えば、酢酸(酢)とクエン酸(レモン)の香味付与を比較することによっても明らかであるように、極めて異なる場合がある。こうした香味付与の違いに起因して、食用酸を好適にブレンドして所望の香味付与をもたらすことができる。
【0007】
食用酸のブレンドの香味付与は、ブレンド内の食用酸の相対濃度だけではなく、個々の酸の口内での溶出によっても判定される。より詳細には、食用酸の香味付与は、これらの酸のそれぞれが唾液に溶出される速度に左右される。食用酸が唾液に溶出される速度は、例えば、食用酸の唾液への溶出を遅らせるマトリックスに、食用酸を封入することによって操作することができる。
【0008】
欧州特許出願公開第0372695号は、チューインガム及び菓子組成物に組み込まれ、ぴりっとした味や酸味を長続きさせ、唾液の分泌を促すように設計された、食用酸の送達システムに関する。送達システムは、低分子量のポリ酢酸ビニル物質に封入された食用酸を含む。
【0009】
米国特許第5186965号は、カルシウム、クエン酸塩、及びリンゴ酸塩の準安定複合体について記載している。この塩は、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、又は酸化カルシウムと、クエン酸及びリンゴ酸を水溶液で反応させ、次に100℃未満の温度で乾燥することによって調製される。
【0010】
Wheelerら(Rediscovering Pasteur’s Quasiracemates、Angewandte Chemie v.47、n1、16、2007年11月)は、酒石酸水素アンモニウムとリンゴ酸水素アンモニウムの再結晶化によって形成される三成分結晶について記載している。著者らは、「組合せ異性体」と称される特有の化合物の形成について記載した、Pasteurによる論文について言及している。Pasteurの1853年の論文で引用された2つの例は、(+)-酒石酸水素/(-)-リンゴ酸水素アンモニウム及び(+)-酒石酸アミド/(-)-リンゴ酸アミド成分から導出されたものである。これらの物質は、光学挙動の低下、及びエナンチオピュアな構成ブロックに対する顕著に異なる溶解度を示している。
【0011】
米国特許出願公開第2007/0269577号は、少なくとも1つの封入材料を含む酸ブレンドを含む粒子状組成物について記載している。実施例では、水素化植物油に封入されたリンゴ酸と、イソマルトに一緒に封入された乳酸とリンゴ酸のブレンドとを含有するコーティング組成物が記載されている。
【0012】
米国特許出願公開第2008/0014312号は、コア-コーティング構成からなる食品グレード粒子であって、コーティングが、それぞれ少なくとも50wt%の部分的に中和されたポリカルボン酸を含む組成物から作製される少なくとも1つの層を含み、前記部分的に中和されたポリカルボン酸が、酸の形態の少なくとも1種のカルボン酸基と、塩の形態の少なくとも1種のカルボン酸基とを含み、コアが少なくとも1種の食品グレード酸又はその塩を含む、食品グレード粒子について記載している。この米国特許出願の実施例では、リンゴ酸水素一ナトリウム水溶液を、リンゴ酸とモノリンゴ酸ナトリウムの1:1の混合物からなる流動床に噴霧することによって、流動床乾燥機でコーティング酸粒子を調製する方法が記載されている。
【0013】
Corbin Purac発行の、表題「Unleash the power of sour - ピューラック(PURAC)(登録商標)Powder acid sanding in soft confectionary」の製品リーフレットは様々な酸粉末について記載している。ピューラック(登録商標)Powder MAは、高い安定性、低吸湿性、及び即時のすっきりとした味覚プロファイルを実現するリンゴ酸粉末である。ピューラック(登録商標)粉末55及びピューラック(登録商標)粉末60は、安定性が高く、酸味強度を長時間持続させ、柔らかい菓子の食欲をそそる外観を維持する乳酸粉末である。
【0014】
ピューラック(登録商標)Powder MA(第8/5172巻、印刷日2017年3月7日)の製品データシートは、コーティングされたリンゴ酸粉末としてのピューラック(登録商標)Powder MAについて記載している。粉末は42~50%(w/w)のリンゴ酸水素ナトリウム及び50~58%(w/w)のリンゴ酸を含有する。
【0015】
ピューラック(登録商標)Powder 55(第12/5120巻、印刷日2017年5月2日)の製品データシートは、乳酸及び乳酸カルシウムからなるピューラック(登録商標)Powder 55について記載している。粉末は53.0~57.0%の乳酸及び40.0~45.0%の乳酸カルシウムを含有する。
【0016】
共結晶は、少なくとも2種の成分から構成される結晶構造であり、成分は原子、イオン、又は分子であり得る。共結晶の特徴付けには、通常、粉末X線回折を使用する。共結晶技法は、エネルギー物質、医薬品、及び他の化合物の製造に関連する。それらの中でも、最も広く研究され使用されている用途は薬物開発分野であり、より詳細には、活性医薬成分、すなわちAPIの形成、設計、及び実施の分野である。共結晶技法では、各成分の特定の性質を利用し、最終的に薬物のバイオアベイラビリティを向上させ得るのに最も好都合な溶解度の条件を作り出す。
(発明の概要)
【0017】
本発明者らは、リンゴ酸、乳酸、及び任意選択で1種以上の他の食用酸の組合せを含む粒子状酸味料組成物であって、リンゴ酸が共結晶性成分として存在する粒子を、乳酸が共結晶性成分として存在する粒子との組合せで含むことにより、独特の香味付与をもたらす酸味料組成物を開発した。
【0018】
より詳細には、本発明は、20~70wt%のリンゴ酸、3~40wt%の乳酸、並びに0~40wt%の、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及び酢酸、及びそれらの組合せから選択される食用酸を含む粒子状酸味料組成物であって、
40~90wt%の、リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶を含むM粒子であり、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、M粒子;
5~60wt%の、乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶を含むL粒子であり、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、L粒子を含み、
M粒子とL粒子の組合せが、酸味料組成物の少なくとも50wt%を構成する、酸味料組成物に関する。
【0019】
本発明者らは理論に拘りたくないが、リンゴ酸及び乳酸の、リンゴ酸及び乳酸をカルボン酸塩の共結晶の形態で含有する粒子からの口内での溶出は、リンゴ酸及び乳酸の、リンゴ酸及び乳酸が純粋な結晶性状態又は非晶質ブレンドの一部として存在する粒子からの溶出とは極めて異なると思われる。したがって、酸味料組成物は、食品に独特の香味付与をもたらすが、ただし粒子がこれらの食品を製造する間に本質的に不変であることを条件とする。
【0020】
加えて、本発明の粒子状酸味料組成物は、吸湿性が低いという重要な利点をもたらす。したがって、酸味料組成物は、環境条件で保存された場合であっても自由流動性を保持する。
【0021】
本発明の粒子状酸味料組成物は、キャンディ及びチューインガムなどの菓子製品での、並びにインスタントスープ及びソース、茶、インスタント飲料、インスタントデザートなどの乾燥粒子状製品での用途に特に適する。好ましくは、酸味料組成物は、菓子製品に適用される。酸味料組成物は、好適には、粒子状コーティング組成物の一部としてそのような菓子製品に塗布することができる。
【0022】
また、本発明は、砂糖粒子、M粒子、及びL粒子のブレンドを含む粒子状コーティング組成物を提供する。
【0023】
本発明は、食材又は食品を調製する方法であって、前述の酸味料組成物又は前述の粒子状コーティング組成物と、1種以上の非水性材料を合わせるステップを含む方法にさらに関する。
【0024】
また、
0.3~10wt%のM粒子;及び
0,1~10wt%のL粒子
を含む菓子製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】M粒子のXRPDパターンを示す図である。このパターンから、M粒子の実質的な部分が、リンゴ酸とリンゴ酸水素ナトリウムとの共結晶からなっていたことが推測できる。
【
図2】L粒子のXRPDパターンを示す図である。このパターンから、L粒子の実質的な部分が、乳酸と乳酸カルシウムとの共結晶からなっていたことが推測できる。(発明の詳細な説明)
【0026】
したがって、本発明の第1の態様は、20~70wt%のリンゴ酸、3~40wt%の乳酸、並びに0~40wt%の、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及び酢酸、及びそれらの組合せから選択される食用酸を含む粒子状酸味料組成物であって、
40~90wt%の、リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶を含むM粒子であり、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、M粒子;
5~60wt%の、乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶を含むL粒子であり、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、L粒子を含み、
M粒子とL粒子の組合せが、酸味料組成物の少なくとも50wt%を構成する、酸味料組成物に関する。
【0027】
本明細書で粒子状食用酸(例えば、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、又は酢酸)に言及する場合は常に、別途指示しない限り、遊離形態であるか共結晶の成分であるかを問わず、遊離酸を意味する。
【0028】
本明細書で使用する場合、「リンゴ酸と部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶」という用語は、少なくとも25wt%のリンゴ酸と、少なくとも25wt%の部分的に中和されたポリカルボン酸とを含む結晶構造を指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、「乳酸と少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶」という用語は、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の部分的に中和されたカルボン酸とを含む結晶構造を指す。
【0030】
「少なくとも部分的に中和されたカルボン酸」という用語は、完全に中和されたモノカルボン酸、部分的に中和されたポリカルボン酸、及び完全に中和されたポリカルボン酸を包含する。
【0031】
部分的に中和されたポリカルボン酸及び少なくとも部分的に中和されたカルボン酸は、酸味料組成物に無水形態で存在してもよく、水和物の形態で存在してもよい。
【0032】
本発明の粒子状酸味料組成物は、好ましくは25~60wt%のリンゴ酸、より好ましくは30~50wt%のリンゴ酸、最も好ましくは32~45wt%のリンゴ酸を含む。
【0033】
粒子状酸味料組成物の乳酸含有量は、好ましくは4~35wt%の範囲、より好ましくは5~30wt%の範囲、最も好ましくは6~25wt%の範囲である。粒子状酸味料組成物は、好ましくは0~30wt%、より好ましくは0~18wt%、最も好ましくは2~12wt%の、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及び酢酸、及びそれらの組合せから選択される食用酸を含有する。リンゴ酸及び乳酸の他に追加の食用酸を含むと、酸味料組成物の香味付与の複雑さが増す。しかし、これらの他の食用酸を10wt%より高い濃度で組み込むと、組成物の環境安定性に悪影響が及ぶ可能性がある。
【0034】
粒子状酸味料組成物は、リンゴ酸、乳酸、及び任意選択の他の遊離酸の他に、典型的には少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも25wt%、最も好ましくは30~60wt%のカルボン酸の塩を含有する。
【0035】
リンゴ酸と部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶を含むM粒子は、好ましくは酸味料組成物の60~88wt%を構成する。最も好ましくは、M粒子は、酸味料組成物の70~85wt%を構成する。
【0036】
乳酸と少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶を含むL粒子は、好ましくは酸味料組成物の6~35wt%、最も好ましくは8~32wt%を構成する。
【0037】
M粒子の部分的に中和されたポリカルボン酸は、好ましくは、リンゴ酸水素一ナトリウム又は一カリウム、クエン酸二水素一ナトリウム又は一カリウム、クエン酸水素二ナトリウム又は二カリウム、及びこれらの組合せから選択される。より好ましくは、M粒子の部分的に中和されたポリカルボン酸は、リンゴ酸水素一ナトリウム、リンゴ酸水素一カリウム、及びこれらの組合せから選択される。最も好ましくは、M粒子の部分的に中和されたポリカルボン酸はリンゴ酸水素一ナトリウムである。
【0038】
特に好ましい実施形態によると、M粒子はリンゴ酸とリンゴ酸水素一ナトリウムとの共結晶を含み、L粒子は乳酸と乳酸カルシウムとの共結晶を含む。
【0039】
酸味料組成物のM粒子は、好適には、部分的に中和されたポリカルボン酸水溶液をリンゴ酸の粒子に噴霧することによって、流動床乾燥機で調製することができる。このように調製されたM粒子では、コアが、リンゴ酸を、こうした粒子のリンゴ酸の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い、より好ましくは少なくとも20wt%高い、最も好ましくは少なくとも30wt%高い濃度で含有する。この種のM粒子が酸味料組成物に存在することにより、酸味の知覚が長続きするという有利な効果が得られることが見出された。
【0040】
本明細書で粒子に関して使用する場合、「コア」という用語は、そのような粒子の中心を指す。L粒子の少なくとも部分的に中和されたカルボン酸は、好ましくは中和された乳酸、最も好ましくは乳酸カルシウムである。
【0041】
酸味料組成物のL粒子は、好適には、乳酸水溶液を、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸の粒子に噴霧することによって、流動床乾燥機で調製することができる。このように調製されたL粒子では、コアが、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸を、こうした粒子の部分的に中和されたカルボン酸(例えば、乳酸カルシウム)の平均的な濃度よりも少なくとも10wt%高い、より好ましくは少なくとも20wt%高い、最も好ましくは少なくとも30wt%高い濃度で含有する。この種のL粒子が酸味料組成物に存在することにより、ほぼ即時の酸味の知覚が達成されるという有利な効果が得られることが見出された。
【0042】
特に好ましい実施形態によると、粒子状酸味料組成物は、コアのリンゴ酸の濃度が相対的に高いM粒子と、コアの中和されたカルボン酸の濃度が相対的に高いL粒子の組合せを含む。M粒子とL粒子のこの特定の組合せを適用することによって、ほぼ即時的で長時間続く酸味感がもたらされることが見出された。
【0043】
リンゴ酸と部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶、及び乳酸と少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶は、X線粉末回折(XRPD)を利用することによって検出することができる。この技術では、粉末パターンで観察されるピーク位置及び強度を、物質のすべての公知の塩基遊離型と比較することによって、共結晶を識別する。物質の共結晶量はXRPDを用いて定量することができるが、より正確な定量については、ラマン分光法などの他の方法が好ましい場合がある。
【0044】
特に好ましい実施形態によると、M粒子の少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも23wt%、最も好ましくは少なくとも25wt%のリンゴ酸が、リンゴ酸と部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶に存在する。
【0045】
別の好ましい実施形態によると、L粒子の少なくとも25wt%、より好ましくは少なくとも27wt%、最も好ましくは少なくとも30wt%の乳酸が、乳酸と少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶に存在する。
【0046】
酸味料組成物は、リンゴ酸及び乳酸の他に、好適には、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及び酢酸から選択される1種以上の食用酸を含有してもよい。好ましい実施形態によると、これらの他の食用酸は、主に遊離酸からなる粒子(A粒子)の形態で酸味料組成物に存在する。したがって、好ましい実施形態では、酸味料組成物は、少なくとも80wt%の、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及び酢酸、及びそれらの組合せから選択される食用酸を含有する、2~30wt%、より好ましくは3~20wt%のA粒子を含む。
【0047】
本発明の粒子状酸味料組成物は、好ましくは、直径が120~1200μmの範囲、より好ましくは150~1100μmの範囲、最も好ましくは200~1000μmの範囲である、粒子を少なくとも90wt%含む。酸味料組成物の粒度分布は、好適にはレーザー回折を利用して決定することができる。
【0048】
本発明のさらなる態様は、
30~98wt%の砂糖粒子;
2~40wt%の、リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶を含むM粒子であって、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、M粒子;
0.5~10wt%の、乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶を含むL粒子であって、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、L粒子
を含む粒子状コーティング組成物に関する。
【0049】
粒子状コーティング組成物で使用することができるM粒子及びL粒子は、本発明の粒子状酸味料組成物に関して本明細書で先に定義されたM粒子及びL粒子と同じものである。
【0050】
好ましくは、粒子状コーティング組成物は、40~96wt%、より好ましくは45~92wt%、最も好ましくは50~90wt%の砂糖粒子を含む。
【0051】
M粒子は、好ましくは3~35wt%、より好ましくは4~30wt%、最も好ましくは5~27wt%の濃度でコーティング組成物に含有される。
【0052】
L粒子は、好ましくは0.8~9wt%、より好ましくは1~8.5wt%、最も好ましくは1.2~8wt%の濃度でコーティング組成物に含有される。
【0053】
本発明のコーティング組成物は、好適には、酸サンディングされた菓子の調製に適用することができる。酸サンディングは、砂糖と酸粉末のブレンドを用いた菓子のコーティング法である。
【0054】
本発明の別の態様は、食材又は食品を調製する方法であって、本明細書で先に定義された粒子状酸味料組成物、又は本明細書で先に定義された粒子状コーティング組成物を、1種以上の非水性(non-aqueous)材料と合わせるステップを含む方法に関する。
【0055】
本発明の方法では、粒子状酸味料組成物又は粒子状コーティング組成物は、好ましくは、M粒子とL粒子がほぼ不変であることを確実にするために、水性液体と接触させない。
【0056】
本発明の食材又は食品を調製する方法は、好ましくは、酸味料組成物を、砂糖;ポリオール;香味料;着色料;植物、葉、果実、又は花の抽出物:香辛料;ハーブ;シトラス繊維;食物繊維;精油;チョコレート;カカオ;ナッツ;乳製品;強化剤から選択される1種以上の材料と合わせるステップを含む。
【0057】
本発明の一実施形態では、酸味料組成物は、0.1~30wt%、より好ましくは0.15~25wt%、最も好ましくは0.2~20wt%の濃度で食材に組み込まれる。
【0058】
好ましい実施形態によると、酸味料組成物は、粒子状砂糖とともに粒子状食材に組み込まれる。粒子状砂糖は、好ましくは、30~98wt%、より好ましくは40~95wt%、最も好ましくは50~90wt%の濃度で食材に組み込まれる。
【0059】
本発明の方法によって好適に調製できる食材の例としては、本明細書に記載される粒子状コーティング組成物などのコーティング組成物が挙げられる。
【0060】
本発明の別の実施形態では、粒子状酸味料組成物又は粒子状コーティング組成物は、菓子製品、より好ましくはキャンディ及びチューインガムから選択される菓子製品に適用される。
【0061】
酸味料組成物は、好ましくは0.01~20wt%、より好ましくは0.1~15wt%、最も好ましくは1~10wt%の濃度で食品に適用される。
【0062】
粒子状コーティング組成物は、好ましくは1~70wt%、より好ましくは2~60wt%、最も好ましくは5~50wt%の濃度で食品に適用される。
【0063】
特に好ましい実施形態によると、粒子状コーティング組成物は、コーティングとして食品に塗布される。
【0064】
本発明のさらに別の態様は、
0.3~90wt%の、リンゴ酸と、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される部分的に中和されたポリカルボン酸との共結晶を含むM粒子であって、少なくとも30wt%のリンゴ酸と、少なくとも30wt%の部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、M粒子;及び
0.1~60wt%の、乳酸と、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、及びそれらの組合せから選択される少なくとも部分的に中和されたカルボン酸との共結晶を含むL粒子であって、少なくとも30wt%の乳酸と、少なくとも30wt%の少なくとも部分的に中和されたポリカルボン酸とを含有する、L粒子
を含む菓子製品に関する。
【0065】
菓子製品に使用することができるM粒子及びL粒子は、本発明の粒子状酸味料組成物に関して本明細書で先に定義されたM粒子及びL粒子と同じものである。
【0066】
M粒子は、好ましくは0.5~80wt%の濃度、より好ましくは0.6~70wt%の濃度、最も好ましくは0.7~60wt%の濃度で菓子製品に含有される。
【0067】
菓子製品のL粒子の濃度は、好ましくは0.2~50wt%、より好ましくは0.25~40wt%、最も好ましくは0.3~30wt%の範囲である。
【0068】
菓子製品は、好ましくは1~70wt%、より好ましくは3~50wt%、最も好ましくは6~40wt%の砂糖を含有する。
【0069】
本発明の菓子製品は、好ましくは、キャンディ、チョコレート、又はチューインガムである。キャンディの例としては、ソフトキャンディ(親水コロイドベース及び/又はソフトパンニング処理)、ハードキャンディ(ハードボイルド及び/又はハードパンニング処理)、含気キャンディが挙げられる。特に好ましい実施形態によると、菓子製品は、キャンディ、最も好ましくは酸サンディングされたキャンディである。
【0070】
特に好ましい実施形態によると、M粒子及びL粒子は、菓子製品のコアを取り囲むコーティング層に含有される。コーティング層は、好ましくは本明細書に記載される粒子状コーティング組成物と同じ組成を有する。
【0071】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
【0072】
(実施例)
実施例1
本発明による粒子状酸味料組成物を、食用酸成分を表1に示される配合表に従ってドライブレンドすることによって調製した。
【0073】
【0074】
1 ピューラック(登録商標)Powder MA(42~50wt%のリンゴ酸水素ナトリウム、50~58wt%のリンゴ酸、≧95%<710μm、リンゴ酸水素ナトリウム水溶液をリンゴ酸粒子床に噴霧することによって、流動床乾燥機で製造)
2 ピューラック(登録商標)Powder 55(53~57wt%の乳酸、40~45wt%の乳酸カルシウム、1~3wt%のケイ酸塩、≧98%<710μm、乳酸水溶液を乳酸カルシウム粒子床に噴霧することによって、流動床乾燥機で製造)
3 無水クエン酸(99.5wt%のクエン酸、D[4,3]950μm RFI Food Ingredients)
4 L(+)酒石酸粉末(99.5wt%の酒石酸、295~400μm、Distillerie Bonollo)
【0075】
図1は、M粒子のXRPDパターンを示す図である。このパターンから、M粒子の実質的な部分が、リンゴ酸とリンゴ酸水素ナトリウムとの共結晶からなっていたことが推測できる。
【0076】
図2は、L粒子のXRPDパターンを示す図である。このパターンから、L粒子の実質的な部分が、乳酸と乳酸カルシウムとの共結晶からなっていたことが推測できる。
【0077】
粒子状酸味料組成物1~4を、以下の試験に供した。
【0078】
30℃、75% RHでの酸味料組成物の吸湿性;
【0079】
30℃、75% RHでのゼラチン塊への酸移行;酸移行を、±0.5gの酸味料配合物をゼラチンチューブの表面に広げることによって試験する。酸がゲルに移行すると、pHの変化によって着色層が作り出され、この層の厚さ(mm)を測定し、試料間で比較することが可能である。移行層及び外観のモニタリングを、少なくとも14日間、2日毎に行う。
【0080】
30wt%の酸味料組成物及び70wt%の砂糖を含むコーティングブレンドを使用して調製した、酸サンディングされたゼリーキャンディの官能分析。酸サンディングされたゼリーキャンディを、蒸気を利用して、コーティングを市販のグミキャンディ(ハリボー(Haribo)(登録商標)gold bears)に塗布することによって調製した。コーティングされたキャンディを、調製の4週間後、専門家パネルによって評価した。官能評価を、酸味強度(1~10のスコア)及び最初の酸味知覚までの経過時間(秒単位)について行った。
【0081】
これらの試験の結果を表2に示す。
【0082】
【0083】
1 30℃、RH=75%での16日後の最大吸水パーセンテージ
2 酸味料が液化しない限り、5mm以下の浸透が良好である。
【0084】
酸移行試験では、いずれの酸味料組成物でも液化は観察されなかった。
【0085】
比較例A
酸サンディングされたゼリーキャンディを、この例では、酸味料組成物が、リンゴ酸とリンゴ酸水素ナトリウムとの共結晶を含むリンゴ酸粉末(ピューラック(登録商標)Powder MA)からなることを除き、実施例1と同じ方法で調製した。
【0086】
このリンゴ酸粉末を用いて調製されたキャンディは、最初の酸味知覚までの経過時間が約4秒であり、長続きする効果を示すが酸味の溶出が遅いことが見出された。さらに、塩気が知覚される場合があり、これにより香味プロファイルの鮮明度が低下する。
【0087】
比較例B
酸味料組成物を、リンゴ酸粉末と乳酸粉末を80:20の重量比でブレンドすることによって調製する。この酸味料組成物を、実施例1の酸味料組成物と同じ方法で試験する。
【0088】
リンゴ酸粉末と乳酸粉末のブレンドは、吸湿性が高いことが見出される。さらに、この酸ブレンドは、酸移行試験においてゼラチンの表面に液化塊を生成することが見出される。