(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】視覚的アウトリガー監視システム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20221122BHJP
B66C 23/78 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C23/78 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017011754
(22)【出願日】2017-01-26
【審査請求日】2020-01-20
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ルディ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソアーセン, マシュー
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-073248(JP,A)
【文献】特表2016-500602(JP,A)
【文献】特開2003-300692(JP,A)
【文献】特開2015-101470(JP,A)
【文献】特開2003-075240(JP,A)
【文献】特開平09-255296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台ユニットと、
前記荷台ユニット上に取り付けられている上部構造と、
前記荷台ユニットへ連結されている少なくとも1つのアウトリガーであって、前記荷台ユニットに対して伸長収縮するように構成されているアウトリガーと、
アウトリガー監視システムであって、
前記少なくとも1つのアウトリガーの位置を検出するために画像を撮るように構成されているカメラ組立体、及び、
前記カメラ組立体へ動作可能且つ通信可能に接続されている制御システムであって、プロセッサ及び前記プロセッサと通信しているコンピュータ可読記憶媒体を備えており、前記コンピュータ可読記憶媒体は、前記プロセッサによって実行されると前記カメラ組立体から前記画像を受信して画像内の前記少なくとも1つのアウトリガーを検出し、検出した少なくとも1つのアウトリガーに基づき前記アウトリガーの伸長の長さを判定するようにされた画像認識機能および前記受信した画像に基づき前記アウトリガーの経路にある物体を検出する物体検出機能を含む機能を当該制御システムに実施させる命令、を記憶している、制御システム、
を備えるアウトリガー監視システムと、
を備え、
前記カメラ組立体が前記上部構造に取り付けられ、前記荷台ユニットの位置を検知するようにされており、
前記機能は、検知された前記荷台ユニットの位置に基づき前記上部構造の旋回角度を判定するための機能を更に備えているクレーン。
【請求項2】
前記機能は、前記少なくとも1つのアウトリガーの長さを検出する機能を更に備えている、請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記カメラ組立体は、前記上部構造の第1の位置に取り付けられている第1のカメラ組立体と、前記上部構造の第2の位置に取り付けられている第2のカメラ組立体と、を含んでいる、請求項
1に記載のクレーン。
【請求項4】
前記カメラ組立体は、前記上部構造の第3の位置に取り付けられている第3のカメラ組立体を更に含んでいる、請求項
3に記載のクレーン。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアウトリガーは、第1のアウトリガー対と、第2のアウトリガー対と、を含んでおり、前記第1のカメラ組立体は前記第1のアウトリガー対を監視するように構成されており、前記第2のカメラ組立体は前記第2のアウトリガー対を監視するように構成されている、請求項
3に記載のクレーン。
【請求項6】
前記クレーンは前記アウトリガーの遠位端へ連結されているジャッキを更に備えており、前記機能は前記ジャッキの伸長を判定するための機能を更に備えている、請求項
1に記載のクレーン。
【請求項7】
前記クレーンは前記ジャッキへ連結されているジャッキパッドを更に備えており、前記機能は前記ジャッキパッドの前記存在を判定するための機能を更に備えている、請求項
6に記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン監視システムに関するものであり、より詳しくは、アウトリガー、他のクレーン構成要素、及びクレーンの周囲の区域を監視するための視覚的システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンは、輸送シャーシの形態をしている荷台ユニットと伸長式ブームを有する上部構造ユニットを含んでいるのが典型的である。上部構造ユニットは典型的には荷台ユニット上で回転可能となっている。輸送時、クレーンは荷台ユニットにその車軸とタイヤで支持される。
【0003】
時に、移動式クレーンをそれが輸送シャーシのタイヤ及び車軸上に載置されている間の提供され得る安定度を超えて安定させることが必要とされる場合がある。吊り上げ動作中のクレーンの安定性及び支持を提供するために、荷台ユニットにアウトリガーシステムを設けることはよく知られている。アウトリガーシステムは、普通は、移動式クレーンを支持するための少なくとも2つ(大抵は4つ又はそれ以上)のアウトリガーを含んでいるはずである。アウトリガーシステムは、移動式クレーンが吊り上げ作業を遂行しようとする位置に置かれたときにクレーンを支持するためのアウトリガージャッキとアウトリガーパッドを有する伸縮式アウトリガービームを含んでいることもある。
【0004】
伸縮式アウトリガービームを利用する際、アウトリガーパッドをクレーンのための安定化基盤を提供することになる横方向の場所まで伸長させる。位置付けたら、アウトリガージャッキを伸長させ、アウトリガーパッドを下げてゆき、荷台ユニット及び上部構造ユニットを支持し安定させるために地面と接触させる。所望であれば、タイヤが地面より上に持ち上げられた状態でクレーンを支持するのに十分な程度にアウトリガージャッキを伸長させることもできる。
【0005】
歴史的には、クレーン操作員が、クレーンを適正に安定させるには伸縮式アウトリガービームをどの程度伸長させるべきかを判断し、アウトリガーパッドが所定位置につき地面と接触しているかどうかを見極めるべくアウトリガーを手作業で点検していたはずである。近年になって操作員を支援するアウトリガー監視システムが開発されてきた。これらのシステムは、典型的に、ストリングポテンショメータ、近接センサ、レーザーセンサ、及び他の距離センサの様な、測定装置に依存する。上述のシステムの各々はアウトリガーの伸長を判定することができるとはいえ、アウトリガーについてアウトリガーの伸長を含め視覚的に監視する低価格で高信頼のシステムを開発するのが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
1つの態様によれば、アウトリガーの長さを監視するように構成されているカメラ組立体と、カメラ組立体へ動作可能且つ通信可能に接続されている制御システムと、を有するアウトリガー監視システムが提供されている。制御システムは、プロセッサ及びプロセッサと通信しているコンピュータ可読記憶媒体を含んでおり、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとカメラ組立体からアウトリガーの画像を受信して受信画像に基づいてアウトリガーの長さを判定するようにされた画像認識機能を含む機能を制御システムに実施させる命令、を記憶している。
【0007】
幾つかの実施形態では、カメラ組立体は少なくとも1つの目標を検出する。少なくとも1つの目標はアウトリガージャッキであってもよい。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの目標はアウトリガー上の光学的パターン又はマーキングであってもよい。幾つかの実施形態では、目標は高コントラスト色である。
【0008】
幾つかの実施形態では、機能は、カメラの視界内の動きを検出するように構成されている動き検出機能を更に含んでいる。幾つかの実施形態では、機能は、アウトリガー上のパターンを認識するように構成されているパターン認識機能を更に含んでいる。幾つかの実施形態では、機能は、アウトリガーの周りの区域の潜在的な障害物を監視するように構成されている障害物検出機能を更に含んでいる。
【0009】
幾つかの実施形態では、システムは、複数のアウトリガーと、複数のアウトリガーの各アウトリガーにつき少なくとも1つのカメラ組立体と、を含んでいる。幾つかの実施形態では、システムは、複数のアウトリガーを含んでおり、複数のアウトリガーを単一のカメラ組立体が監視している。
【0010】
別の態様によれば、荷台ユニットと、荷台ユニット上に取り付けられている上部構造と、荷台ユニットへ連結されている少なくとも1つのアウトリガーであって荷台ユニットに対して伸長収縮するように構成されているアウトリガーと、アウトリガー監視システムと、を有するクレーンが提供されている。アウトリガー監視システムは、少なくとも1つのアウトリガーの存在を検出するように構成されているカメラ組立体と、カメラ組立体へ動作可能且つ通信可能に接続されている制御システムと、を含んでいる。制御システムは、プロセッサ及びプロセッサと通信しているコンピュータ可読記憶媒体を含んでおり、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとカメラ組立体から画像を受信して受信画像に基づいて少なくとも1つのアウトリガーの存在を検出するように構成されている画像認識機能を含む機能を制御システムに実施させる命令、を記憶している。
【0011】
幾つかの実施形態では、カメラ組立体はシャーシへ取り付けられている。幾つかの実施形態では、カメラ組立体は上部構造へ取り付けられている。
【0012】
幾つかの実施形態では、機能は、上部構造の旋回角度を判定するための機能を更に含んでいる。
【0013】
幾つかの実施形態では、クレーンはアウトリガーと同じ数のカメラ組立体を有している。幾つかの実施形態では、クレーンはカメラ組立体より多くのアウトリガーを有しており、カメラ組立体の1つ以上は複数のアウトリガーを監視している。幾つかの実施形態では、クレーンは、アウトリガーの遠位端へ連結されているジャッキを更に含んでおり、機能は、ジャッキの伸長を判定するための機能を更に含んでいる。
【0014】
幾つかの実施形態では、ジャッキパッドがジャッキへ連結されており、機能は、ジャッキパッドの存在を判定するための機能を更に含んでいる。
【0015】
別の態様によれば、クレーンのアウトリガーを監視する方法が、クレーンにアウトリガーを伸長させる段階と、カメラ組立体を使用してアウトリガーを視覚的に監視する段階と、カメラ組立体上の画像を使用してアウトリガーの長さを検出する段階と、を含んでいる。幾つかの実施形態では、アウトリガーは目標を有しており、アウトリガーの長さは目標を検出することによって検出される。幾つかの実施形態では、アウトリガーの長さはアウトリガーの画像のエッジ検出を使用して検出される。幾つかの実施形態では、方法は、アウトリガーの動きを検出するようにビデオカメラでアウトリガーを監視する段階を更に含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ここに説明されている或る実施形態による移動式クレーンの側面図を描いている。
【
図2】ここに説明されている或る実施形態による移動式クレーンの上面図を描いている。
【
図3】ここに説明されている或る実施形態による、ジャッキを収縮させた状態の移動式クレーンのアウトリガーの略図を描いている。
【
図4】ジャッキを伸張させた状態の
図3のアウトリガーを描いている。
【
図5】ここに説明されている或る実施形態による、カメラ組立体の或る設置例を示す移動式クレーンの前方図を描いている。
【
図6】ここに説明されている或る実施形態による、カメラ組立体の或る設置例を示す移動式クレーンの後方図を描いている。
【
図7】ここに説明されている或る実施形態による、カメラ組立体の或る設置例を示す移動式クレーンの側方図を描いている。
【
図8】ここに説明されている或る実施形態による、カメラ組立体の或る設置例を示す移動式クレーンの側方図を描いている。
【
図9】ここに説明されている或る実施形態による、カメラ組立体の設置を示す移動式クレーンの運転台の図を描いている。
【
図10】ここに説明されている或る実施形態による、カメラ組立体の視野を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図11】ここに説明されている或る実施形態による、複数のカメラの視界を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図12】ここに説明されている或る実施形態による、目標を有する移動式クレーンのアウトリガーの真上から見た略図を描いている。
【
図13】ここに説明されている或る実施形態による、1つのアウトリガーを部分的に伸長させた状態での複数のカメラの視野を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図14】ここに説明されている或る実施形態による、複数のカメラの視野及びアウトリガー付近の物体を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図15】ここに説明されている或る実施形態による、複数のカメラの視野及びアウトリガー付近の物体を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図16】ここに説明されている或る実施形態による、複数のカメラの視野及びアウトリガー付近の人物を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図17】ここに説明されている或る実施形態による、複数のカメラの視野及びアウトリガージャッキを示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図18】ここに説明されている或る実施形態による、複数のカメラの視野及びアウトリガージャッキパッドを示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図19】ここに説明されている或る実施形態による、クレーン上部構造の旋回を示す移動式クレーンの真上から見た略図を描いている。
【
図20】ここに説明されている或る実施形態による、視覚的アウトリガー監視システムを使用して動きを検出するための方法のフローチャートを描いている。
【
図21】ここに説明されている或る実施形態による、視覚的アウトリガー監視システムを使用して上部構造の旋回角度を検出するための方法のフローチャートを描いている。
【
図22】ここに説明されている或る実施形態による、視覚的アウトリガー監視システムを使用してアウトリガーの位置を検出するための方法のフローチャートを描いている。
【
図23】ここに説明されている或る実施形態による、アウトリガー監視システム及びクレーン制御システムを示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これより本発明を更に説明してゆく。次に続く節では、本発明の異なる態様がより詳細に定義されている。その様に定義されている各態様は、それとは反対の明確な指示の無い限り何れかの他の単数又は複数の態様と組み合わされてもよい。具体的には、好適又は好都合であると指し示されている何れかの特徴が、好適又は好都合であると指し示されている何れかの他の単数又は複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0018】
ここでの使用に際し、「少なくとも1つ」、「1つ以上」、及び「及び/又は」は、開放的な表現であって、運用上は接続的でもあり離接的でもある。例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「「A、B、及びCの1つ以上」、「A、B、又はCの1つ以上」、及び「A、B、及び/又はC」という表現の各々は、A単独、B単独、C単独、AとB一体、AとC一体、BとC一体、AとBとC一体、を意味する。
【0019】
本発明の様々な実施形態が、ここに提供され特許請求の範囲によって表象されるものとして、添付の図及び詳細な説明に示されている。また一方で、理解しておくべきこととして、この詳細な説明は、1つ以上の本発明の態様及び実施形態の全てを包含しているとは限らず、如何様にも限定又は制限を課す意図はなく、ここに開示されている(単数又は複数の)発明はそれらに対する自明の改善及び修正を網羅するということが当業者には理解されるであろう。
【0020】
本発明の更なる利点は、次に続く論考が特に添付図面と併せて考察されれば容易に明らかとなるであろう。
【0021】
図1はここに説明されている実施形態による移動式クレーン100の側面図を描いており、
図2は当該移動式クレーン100の上面図を描いている。
図1及び
図2を参照すると、移動式クレーン100は、輸送能力のあるシャーシ又は荷台ユニット104上に配置されている上部構造ユニット102を備えている。上部構造ユニット102は様々な型式の何れかの伸長可能なブーム(例えば伸縮式ブーム106)を含んでいてもよい。荷台ユニット104には、移動式クレーン100が大地の上を吊り上げ作業のための所望場所へ巧みに進んでゆけるようにするタイヤ108が提供されている。
【0022】
上部構造ユニット102は、操作員がそこから移動式クレーン100の機能を制御することができる運転台116を含んでいてもよい。
図1、
図2、及び
図23を参照すると、コンピュータプロセッサ132、コンピュータ可読記憶メモリ134、ユーザーインターフェース136、及び通信インターフェース138、を備えるクレーン制御システム117が、運転台116に又は運転台116に近接して置かれている。幾つかの実施形態では、クレーン制御システム117の構成要素は移動式クレーン100の異なる区分に分散されていてもよい。コンピュータ可読記憶メモリ134は、それがコンピュータプロセッサ132と通信することができるようにコンピュータプロセッサ132へ動作可能に接続されている。コンピュータ可読記憶メモリ134は、コンピュータプロセッサ132によって実行されるとコンピュータプロセッサ132に機能を実施させる命令を記憶している。コンピュータ可読記憶媒体134は、更に、移動式クレーン100の動作に関係付けられる情報を記憶するようになっていてもよい。ユーザーインターフェース136は、操作員がコンピュータプロセッサ132と対話することができるようにコンピュータプロセッサ132へ動作可能に接続されている。例えば、ユーザーインターフェース136を通じて、操作員は移動式クレーン100の動作に関係付けられた情報を入手し、コンピュータプロセッサ132に機能を実施させることもできる。
【0023】
荷重を吊り上げるときは、往々にして、タイヤ108によって提供され得る程度を超える支持が必要となる。従って、荷台ユニット104が移動式クレーン100を吊り上げ作業を遂行する場所に位置付けたら、吊り上げ作業の間は移動式クレーン100を安定させるために1つ以上のアウトリガー110が提供される。アウトリガー110は荷台ユニット104の一部として提供されている場合が最も多い。
図1に描かれている実施例では、アウトリガー110は一組の前アウトリガーと一組の後アウトリガーを含んでいる。
図2の上面図に示されている様に、アウトリガーは完全収縮位置118から中間点位置120へ、そして完全伸長位置122まで伸ばすことができる。他の位置も実施可能であり、実施形態はこれら3つの位置に限定されない。また、他の移動式クレーンでは、アウトリガーの数は
図1及び
図2に示されている4つより多いこともあれば4つより少ないこともある。
【0024】
図3は、或る実施形態による、一組のアウトリガー110をアウトリガー110の軸に対して直角な方向から見た概略図を描いている。この略図では、分かり易くするために上部構造ユニット102は省略されている。
図4は、或る実施形態による、アウトリガージャッキ206を伸長させた状態で荷台ユニット104を支持している一組のアウトリガー110の概略図を描いている。1つの実施形態では、アウトリガー110は、アウトリガービーム202、アウトリガージャッキ206、及びアウトリガーパッド208を備えている。別の実施形態では、アウトリガー110は実質的にジャッキとして形成されており、つまりは水平方向のビーム構成要素を有しておらず、よってアウトリガーは実質的に垂直方向にしか伸長しない。アウトリガービーム202は、ラック・アンド・ピニオン、油圧式シリンダー、又は他のリニアアクチュエータの様な、リニアアクチュエータによって荷台ユニット104から伸長収縮するように構成されている。一部のクレーンに関しては、アウトリガー110は、折り畳みによって収縮し、展開されることによって伸長するようになっていることもある。アウトリガージャッキ206はアウトリガービーム202の外側又は遠位の端に連結されている。アウトリガージャッキ206は垂直方向に伸長収縮するように構成されている。アウトリガーパッド208は、アウトリガージャッキ206の下端へ取り付けられていて、アウトリガージャッキ206が収縮された状態ではアウトリガージャッキ206によって持ち上げられており、
図4に示されている様にアウトリガージャッキ206が伸長された状態で荷台ユニット104を支持することができる。操作員はユーザーインターフェース136を通じてクレーン制御システム117と対話して、アウトリガージャッキ206に伸長して荷台ユニット104を持ち上げるようさせる機能を実施することができる。
【0025】
図3では、荷台ユニット104はタイヤ108によって支持されている。通常の輸送形態では、荷台ユニット104はタイヤ108によって支持される。輸送中、アウトリガービーム202は典型的には収縮されているだろう。仮に移動式クレーン100が
図3に示されている構成でアウトリガービーム202を伸長させてはいるがアウトリガージャッキ206を収縮させた状態で荷重を吊り上げようと試みたなら、移動式クレーン100の横方向の安定性はアウトリガービーム202を伸長させなかった場合と同じになるはずである。つまり、アウトリガーの使用に典型的に関連付けられる例えば安定性又は荷重容量の増加といった様な恩恵は、アウトリガービーム202を伸長(展開)させてもジャッキ206収縮させたままで地面又は他の基盤面210に係合していなければ実現され得ない。
【0026】
図4では、アウトリガージャッキ206が伸長されていて、その結果、アウトリガーパッド208が基盤面210に接触し荷台ユニット104が持ち上げられていることが示されている。アウトリガーパッド208はこうして移動式クレーン100の重量及び移動式クレーン100が吊り上げている何らかの荷重を支持している。
図4の構成は、有効支点がタイヤ108の縁からアウトリガーパッド208が基盤面210と接触している所へ移ったことが理由で、
図3の構成よりいっそう安定している。
【0027】
クレーン100の容量はアウトリガーの位置に基づくので、各アウトリガーの伸長の長さが分かるというのは有益である。例えば、移動式クレーン100は、アウトリガー110が中間の位置120にあるときに比較してアウトリガー110が完全伸長位置122にあるときのほうが高い荷重容量を有することができる。
【0028】
図5-
図19及び
図23を全体的に参照して、ここに及び以下に説明されている実施形態では、本開示はアウトリガー長さ検出及び/又はアウトリガー及び周囲区域の監視の所望される結果を実現するのにカメラを利用している。例えば、移動式クレーン100は、移動式クレーン100上に取り付けられた1つ以上のカメラ組立体302を含んでいる光学的アウトリガー監視システム300(
図23)を含んでいてもよい。
図23を参照すると、光学的アウトリガー監視システム300は、更に、以上にクレーン制御システム117に関して説明されているものと同様の、コンピュータプロセッサ332、コンピュータ可読記憶メモリ334、ユーザーインターフェース336、及び通信インターフェース338、を備える制御システム317を含んでおり、当該制御システム317へは1つ以上のカメラ組立体302が動作的に及び通信可能に接続されている。コンピュータ可読記憶メモリ334は、コンピュータプロセッサ332によって実行されるとコンピュータプロセッサ332に機能を実施するようさせる命令を記憶している。代わりに、光学的アウトリガー監視システム300はクレーン制御システム177へ動作可能及び通信可能に接続されていて、光学的アウトリガー監視システム300とクレーン制御システム117とが1つ以上の共通のコンピュータプロセッサ、コンピュータ可読記憶メモリ、ユーザーインターフェース、及び通信インターフェースを共有しているという具合になっていてもよい。1つの実施形態では、光学的アウトリガー監視システム300の制御システム317とクレーン制御システム117は同一物であってもよい。光学的アウトリガー監視システム300の構成要素類は、個別のカメラ又はカメラ組立体302と同一場所に置かれていてもよいし、集中化された場所に置かれていて従来式通信インターフェースを介してカメラ組立体302へ通信可能に接続されていてもよいし、又はその両方であってもよい。
【0029】
1つ以上のカメラ組立体302は、例えば、荷台ユニット104上に、上部構造102上に、又はその両方に取り付けられていてもよい。上部構造102上の1つ以上のカメラ組立体302を取り付けるのに適した場所には、限定するわけではないが、運転台116、ブーム106、釣り合い重り124(
図1参照)、又はこれらの構成要素間の中間の他の構造又は接続構造が挙げられる。各カメラ組立体302は、所望の視野に亘る画像を捕捉するように構成されている、単一カメラか又は複数カメラの何れか若しくは類似の画像捕捉装置類であってもよい。例えば、1つの実施形態では、カメラ組立体302は、広角度カメラの様な単一のカメラであってもよいし、又は例えば180度までの視野に亘る単数又は複数の画像を捕捉するように互いと連携して働く複数カメラの組合せであってもよい。各カメラは、例えばデジタルカメラの様な、静止画像及び/又は映像を捕捉する能力のあるカメラであってもよい。
【0030】
1つの実施形態では、光学的アウトリガーシステム300は2つのアウトリガー110を監視するように構成されている第1のカメラ組立体302を含んでいてもよい。例えば、第1のカメラ組立体302は、移動式クレーン100の第1の側の或る位置であって、クレーンの当該第1の側の前アウトリガーと後アウトリガーが第1のカメラ組立体302の視野に納まる位置に取り付けられていてもよい。第2のカメラ組立体302が、移動式クレーン100の第2の側の或る位置であって、クレーンの当該第2の側の前アウトリガーと後アウトリガーが第2のカメラ組立体302の視野に入る位置に取り付けられていてもよい。1つの実施形態では、第1の側は移動式クレーン100の左側であり、第2の側は移動式クレーン100の右側であってもよい。代わりに、第1の側は移動式クレーン100の前側であり、そして第1のカメラ組立体302は左右の前アウトリガー110を監視し、一方、第2の側は移動式クレーン100の後側であり、そして第2のカメラ組立体302は左右の後アウトリガー110を監視する、というのであってもよい。而して1つの実施形態では、各カメラ組立体302が複数のアウトリガー110を監視していてもよい。その様な構成の一例が以下に更に説明され、
図10に示されている。
【0031】
1つの実施形態では、カメラ組立体302は、例えば、アウトリガービーム202、アウトリガージャッキ206、及び/又はアウトリガーパッド208の存在を検出するように、アウトリガービーム202、アウトリガージャッキ206、及び/又はアウトリガーパッド208の動きを検出するように、及び光学的アウトリガー監視システム300と連携してアウトリガー202、アウトリガージャッキ206、及び/又はアウトリガーパッド208の位置及び/又は伸長の長さを判定するように、構成されていてもよい。
【0032】
但し、本開示は以上の実施例に限定されないものと理解している。例えば、他の実施形態では、光学的アウトリガー監視システム300は、各アウトリガー110と関連付けられる単一のカメラ組立体302を含んでおり、各カメラ組立体302が1つのアウトリガー110しか監視しないようになっていてもよい。他の実施形態では、2つ以上のカメラ組立体302が各アウトリガー110を監視していてもよい。その様な構成は、検出又は測定された位置を確証するのに及びカメラ組立体302が正しく機能していない場合の冗長性を提供するのに有用であるかもしれない。
【0033】
以下の実施例は、光学的アウトリガー監視システム300の幾通りかの実施形態を例示するために提供されている。但し、本開示は以下の実施形態又は構成に限定されないものと理解している。
【0034】
図5は、荷台ユニット104の前方端に2つのアウトリガージャッキ206を有している荷台ユニット104を描いている。1つの実施形態では、カメラ組立体302は荷台ユニット104の前方面へ取り付けられている。カメラ組立体302は、移動式クレーン100の特定の区域を視認するように向きを定められた複数の個別カメラで構成されていてもよい。少なくとも1つの個別カメラがアウトリガー110への視線を有しているのが望ましい。
【0035】
図6は、荷台ユニット104の後方端にアウトリガージャッキ206を有している荷台ユニット104の後端を描いている。1つの実施形態では、カメラ組立体302は、荷台ユニット104の後面の下部位置240又は上部位置242に設置されている。カメラ組立体302は、荷台ユニット104の後方端のアウトリガージャッキ206への視線を有していてもよい。幾つかの実施形態では、荷台ユニット104は、上部位置242と下部位置240の両方にといった様に、複数のカメラ組立体302を有していてもよい。
【0036】
図7は、荷台ユニット104の側方図を描いている。1つの実施形態では、一対のカメラ組立体302が荷台ユニット104の側面上に取り付けられている。各カメラ組立体302は荷台ユニット104の異なる端を視認するように向きを定められていてもよい。例えば、カメラ組立体302は、後アウトリガーを監視するための後方に向きを定められている第1のカメラ組立体304と、前アウトリガーを監視するように前方に向きを定められている第2のカメラ組立体306と、を含んでいてもよい。
図8は
図7と同様であるが、荷台ユニット104の反対側を描いている。1つの実施形態では、反対側も、荷台ユニット104の反対側の前アウトリガー及び後アウトリガーを監視するための2つのカメラ組立体302を含んでいる。幾つかの実施形態では、アウトリガー組立体を検出するための2つのカメラ組立体に代えて単一の広角度レンズカメラがカメラ組立体302で使用されていてもよい。
図5-
図7に示されている実施形態は一体で光学的アウトリガー監視システム300の一部として使用でき、又はそれら実施形態は、個別に実装されているか又は互いから分離されていてもよく、及び/又は互いに独立に動作していてもよい、と理解している。
【0037】
図9は、これまでの実施例と組み合わせて使用されてもよいし又は以上に説明されている荷台ユニット104上に取り付けられているカメラ組立体302とは独立に使用されてもよい光学的アウトリガー監視システム300の別の実施形態を描いている。
図9では、光学的アウトリガー監視システム300の1つ以上のカメラ組立体302は、運転台116の前方端に取り付けられている第1のカメラ組立体304と、運転台116の側方面に取り付けられている第2のカメラ組立体306と、を含んでいてもよい。他のカメラ組立体が運転台116上の他の場所に位置付けられていてもよい。荷台ユニット104へ取り付けられているカメラ組立体302の様に、運転台116取り付け型カメラ組立体304、306は、以下に説明されている技法の1つ以上を使用してアウトリガー110の伸長を検出するのに利用することができる。
【0038】
図10は、光学的アウトリガー監視システム300の別の構成の一例を示す真上から見た略図である。
図10を参照して、光学的アウトリガー監視システム300は、上部構造102の第1の側に取り付けられている第1のカメラ組立体304と上部構造102の第2の側に取り付けられている第2のカメラ組立体306を含む複数のカメラ組立体302を含んでいてもよい。
図10は、第1及び第2のカメラ組立体304、306の視野を表す弧90、91を示している。第1及び第2のカメラ組立体304、306は、例えば、運転台116、釣り合い重り124、ブーム106、中間的な上部構造構成要素類、又はそれらの組合せ、へ取り付けられていてもよい。この実施例では、前後の左側アウトリガー110は第1のカメラ組立体304の視野内にあり、前後の右側アウトリガー110は第2のカメラ組立体306の視野内にある。従って、第1のカメラ組立体304はクレーン100の左側の前後のアウトリガー110の位置を監視、検出、及び/又は計算するのに使用され、第2のカメラ組立体306はクレーン100の左側の前後のアウトリガー110の位置を監視、検出、及び/又は計算するのに使用される。
【0039】
1つの実施形態では、第1及び第2のカメラ組立体304、306は、光学的アウトリガー監視システム300での唯一のカメラ組立体であってもよい。但し、別の実施形態では、光学的アウトリガー監視システム300は、第3のカメラ組立体308を、また随意であるが追加のカメラ組立体を、更に含んでいてもよい。
図10に示されている様に、第3のカメラ組立体308はクレーンの後部の区域が第3のカメラ組立体308の視野内に入るような具合に上部構造102の後部に取り付けられていてもよい。第3のカメラ組立体308の視野は
図10に弧93によって表されている。
【0040】
更に、1つの実施形態では、光学的アウトリガー監視システム300のカメラ組立体302は3つのカメラ組立体304、306、308しか含んでいない。1つの実施形態では、2つのカメラ組立体はクレーン100の互いに反対の側(例えば左側と右側)に位置付けられており、一方、第3のカメラ組立体308はクレーン100の後部分に配置されている。クレーン100の前部の第4のカメラ組立体は、クレーン100の前部及びクレーン100の前部の周辺の区域が操作員の正常視野内にあるという理由で省略されていてもよい。
【0041】
1つの実施形態では、第1のカメラ組立体304と第2のカメラ組立体306は上部構造102に沿った長さ方向での同じ位置に位置付けられていて、第1の側の前後のアウトリガー110の第1のカメラ組立体304からの距離が、第2の側での前後のアウトリガー110の第2のカメラ組立体306からの距離とそれぞれ同じになっていてもよい。更に、1つの実施形態では、第1のカメラ組立体304は第1の側の前後のアウトリガーの間に対称的に即ち中点に位置付けられ、第2のカメラ組立体306は第2の側の前後のアウトリガーの間に対称的に即ち中点に位置付けられていてもよい。
【0042】
図11は、光学的アウトリガー検出システム300を有する移動式クレーン100の真上から見た略図を描いている。この実施形態は、4つのカメラ組立体302を有しており、各々が弧90、91、92、93によって示されている様に異なる方向を眺めている。各カメラ組立体302は、アウトリガー110の伸長を光学的に検出するための1つ以上のカメラを含んでいる。カメラ組立体302は、様々な技法を使用してアウトリガー110の位置を検出することができる。幾つかの実施形態では、カメラ組立体302は、明るさの不連続を使用するエッジ検出の様な光学的認識アルゴリズムを通じてアウトリガービーム202の端を光学的に検出するようになっていてもよい。光学的認識アルゴリズムは、メモリに記憶され、及び/又はプロセッサによって、例えば光学的アウトリガー監視システム300の制御システム317にてカメラ組立体302から受信される画像に基づき、及び/又は個別のカメラ組立体302にて、実行されていてもよい。カメラ組立体302は既知の場所にあるので、カメラ組立体302の視野内のアウトリガービーム202の検出された端に基づいてアウトリガービーム202の伸長を判定することができる。カメラ組立体302は、アウトリガービーム202の端を検出し、次いでアウトリガービーム202の検出された端の画素位置に基づいて位置を検索する。或いは他の実施形態では、アウトリガービーム202の端の場所は、カメラ組立体302の視野内の検出された画素位置に基づいてリアルタイムで計算されるようになっていてもよい。例えば、アウトリガービーム202の端がカメラ組立体302の中心線に対して或る特定の角度にあると判定されたとすると、表により当該の特定角度に対応する伸長が与えられるようになっていてもよい。他の実施形態では、検出された端は或る特定の画素位置にあり、当該場所がチャート上で検索されて、当該の特定の画素位置に対応する伸長が与えられるようになっていてもよい。更に他の実施形態では、ビーム端の相対場所が検出されたら、ビームの物理的長さが三角測量の様なよく知られている技法を使用して計算されるようになっていてもよい。
【0043】
図12は、アウトリガー110の位置を検出するための容易に視認できるマーカー又は目標94がアウトリガー110に付けられていること以外は
図11と同様の移動式クレーン100の真上から見た略図を描いている。この実施例では、マーカー94は水平方向の線であるが、他のパターンを使用することもできる。チャートがマーカー94をアウトリガー110の既知の伸長に相関付ける。カメラ組立体302が従来式パターン認識アルゴリズムを使用してマーカーの視認できる部分を検出し、するとマーカーの検出された部分がチャートに比較されて伸長距離が判明する。パターン認識アルゴリズムは、メモリに記憶され、及び/又は、光学的アウトリガー監視システム300の制御システム317のプロセッサによって及び/又は個別カメラ組立体302にて実行されるようになっていてもよい。
【0044】
これらの実施形態の各々では、光学的アウトリガー監視システム300はアウトリガー110又はマーカー94を背景から見分けるように構成されている。幾つかの実施形態では、アウトリガー110又はアウトリガー110の一部分即ちアウトリガー上の目標は、アウトリガー110を背景から見分けるうえで助けとなる特別な色及び/又はパターンで被覆されている区分であってもよい。例えば、アウトリガービーム202が、アウトリガービーム202の背景に対するコントラストを高めるため、蛍光マーカー、反射マーカー、又は他の視認性の高いマーカーをアウトリガービーム上に有することもできるのではないだろうか。
【0045】
図12の実施形態では、マーカー94の視認できる部分がカメラ組立体302によって捕捉され、するとカメラ組立体302は画像を当該画像の視認できる部分を表す符号へ変換する。例えば、5本の線がカメラ組立体302にとって視認可能であったなら、システムは画像を5という数的符号へ変換するようになっていてもよい。パターンが直接的に測定値に対応していてもよく、即ち線1本1本が1フィート(約30.48センチメートル)離間されていて、数的符号が直接的な測定値となるようにしていてもよいし、又は幾つかの実施形態では数的符号が表と比較されて対応するアウトリガーの長さを検索するようになっていてもよい。
【0046】
説明されている検出方法の各々を記載されている他の方法と組み合わせて、長さ又は位置を判定する方法を支援及びバックアップすることもできるし、また長さ又は位置を判定する代わりの又は冗長的な方法を与えることもできる。例えば
図13に描かれている実施形態は、アウトリガー110が50%の伸長を過ぎて初めて視認できるマーカー94付きのアウトリガー110を有している。50%未満の距離ではマーカー94は視認できず、システムはアウトリガー110の端の光学的認識を使用してアウトリガー110の位置付けを判定する。アウトリガー110を更に伸ばしてゆくことによってひとたびマーカー94が視界に入ったら、マーカー94を認識に使用することができる。或いは他の実施形態では、光学的マーカー94は概して測定のために使用されており、アウトリガー110の端は、概して測定値を検証するためのエッジ検出で以て検出される。例えば、万一マーカー94がぼんやりしていてカメラがマーカー94の一部分を見落としてしまったなら、アウトリガー110の端の検出されたエッジは検出されたマーカー94と矛盾する読み出しを与えるであろうから、操作員に潜在的問題に対する注意喚起がなされることになる。
【0047】
本開示は以上の実施例に限定されない。以上に説明されている目標、マーカー、被覆、などは、アウトリガーのビーム202、ジャッキ206、又はパッド208のうちの1つ以上に配置させることができるものと理解している。加えて、カメラ組立体302が、個別か又は制御システム317と連携してかのどちらかで、アウトリガーのビーム202、ジャッキ206、及びパッド208のうちの1つ以上の、端、エッジ、又はその他、例えば中間の場所、を検出するようになっていてもよい。更に、アウトリガーのビーム202、ジャッキ206、及びパッド208が、個別に又は一体として、目標になっていてもよい。
【0048】
また、カメラ組立体302はアウトリガー110の伸張を監視すること及び検出することのみに限定されない。例えば、
図14に描かれている様に、幾つかの実施形態では、光学的アウトリガー検出システム300は、アウトリガー110が動かされてゆく際にその周辺区域を視認するのに使用されている。例えば、移動式クレーン100の運転台116からはアウトリガー110の視認性が制限されるということもあり、アウトリガー110が伸長されてゆく際に観察することができるなら有益であろう。これはアウトリガー110の画像の変化を検出することによって果たされてもよいし、又はそれはクレーン制御システム117からの出力からもたらされてもよい。アウトリガー110の1つを動かすようにコマンドが与えられたとき、アウトリガー制御システム117は光学的アウトリガー検出システム300へ信号を送り、ユーザーインターフェース95を動かされてゆくアウトリガー110の近接図へ切り換える、ということもできるのではないだろうか。
【0049】
図15は、カメラ組立体302が個別か又は制御システム317と連携してかのどちらかで自動的に物体96を検出し、操作員に物体96の存在を警告するという別の実施形態を描いている。アウトリガー110が動かされてゆく際にそれを視認する能力との組合せで、システム300は、操作員にアウトリガー110の経路にある、運転台116の視界から隠されてしまうはずの何らかの物体96が見えるようにさせる。例えば、システム300は操作員に物体の存在に対する注意を喚起し、物体が
図14に示されているユーザーインターフェース95上に映し出されるようにしてもよい。物体96は検出されると、「ブロブトラッキング(blob tracking)」の様な幾通りかの既知の映像追跡アルゴリズムの何れかを使用して追跡されてもよい。映像追跡アルゴリズムは、メモリに記憶され、及び/又は制御システム317のプロセッサによって及び/又は個別のカメラ組立体302にて実行されていてもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、アウトリガー可動域が定義されている。アウトリガー可動域の画像内に変化が検出されれば、以上の方法の1つを用いて物体96の位置が計算される。幾つかの実施形態では、物体96の位置は複数のカメラによる三角測量を通じて判定されてもよいし、又は超音波距離センサ、レーザー距離センサ、光検出及び測距技法(一般的には「LIDAR」と呼称)、及び/又は赤外線技法の様な、追加のセンサの使用を通じて位置が判定されてもよい。物体96の位置がアウトリガーの定義された可動域(又は所望の場合はより広い区域)内にあれば、警告が与えられるようになっていてもよい。
【0051】
図16に描かれている別の実施形態では、物体96がクレーン100の近傍に動いてきたときシステムが検出し報知する。
図16では、人物96が移動式クレーン100の定義された可動域の中へ踏み込んでしまっている。操作員に、クレーン作業可動域の中で動いている何らかの物体96に対する注意を喚起するのは好都合である。映像追跡は、物体96がクレーン可動域内で動いていることを検出し、クレーン操作員へ警告を与える。動く物体の追跡は、何れかの既知の映像追跡技法を用いて行うことができる。
【0052】
アウトリガー位置付けの検出に加え、アウトリガージャッキ206の伸長を検出することも実施可能である。
図17に示されている様に、ジャッキ16の位置の検出は、アウトリガー110の位置の検出と同じ方式で行われる。但し、移動式クレーン100からの距離がジャッキ206の検出される伸長量に影響を及ぼすことになるので、システムはジャッキ206の位置を判定する前にアウトリガー110の位置を考慮に入れるようになっていてもよい。
【0053】
アウトリガージャッキ206の位置を検出することを越えて、システム300は
図18に描かれている様にアウトリガーパッド208の設置の検出も可能にさせる。場合に依っては、アウトリガーパッド208がアウトリガージャッキ206へうまく取り付けられていないこともある。アウトリガージャッキ206がパッド208無しに地面に接触するように伸ばされると、アウトリガージャッキ206は沈み込むか、そうでなければ基盤面に貫入してしまい、安定性の喪失を生じさせることになる可能性が高い。アウトリガーパッド208は、上記のアウトリガーの端の検出と同様の方式で検出できる。ひとたび位置が突き止められたら、システムはそれがアウトリガージャッキ206の端へ取り付けられているかどうかを判定することができる。取り付けられていなければ、システムはクレーンのセットアップが正しくないとの警告を操作員へ信号発信することができる。アウトリガーパッド208は検出の助けとなるようにコントラストをなす色が塗られていてもよい。
【0054】
図19に描かれている実施形態では、カメラ組立体302が、上部構造102又は他のクレーン構成要素の位置を検出するのに使用されている。クレーンの上部構造102は、アウトリガー又はタイヤのどちらかで地面上に位置付けられているクレーン荷台104に対して360度回転することができる。この旋回位置は旋回角度装置を用いて測定されるのが普通である。旋回角度装置は、典型的には、電子式であり、荷台ユニット104に対する上部構造102の旋回角度に比例する出力又は旋回角度を指示する出力を提供する。旋回角度装置の代わりに、
図19の実施形態はカメラ組立体302を使用して上部構造102の旋回角度を判定する。これは単一カメラからということもあれば1つ以上のカメラ組立体302の複数のカメラからということもあるだろう。判定された旋回角度は旋回角度にとって唯一の情報源として使用されることもあるかもしれないし、又は旋回角度の第1又は第2の情報源としてそれが使用されることもあり得る。アウトリガーの伸長の測定と同様、1つ以上のカメラ組立体302からの画像は値へ変換され、値の表と比較されて、上部構造102の旋回角度位置が判定される。また、
図19に示される位置にある即ち荷台ユニット104の前部から離れるように回転した位置にある上部構造102に係り、カメラ組立体102である例えば第1のカメラ組立体304、第2のカメラ組立体306、及び第3のカメラ組立体308のうちの1つ以上が、アウトリガーパッド208の様な様々なアウトリガー構成要素の存在又は位置を或いはアウトリガージャッキ206の伸長を検出することができるものと理解している。
【0055】
1つの実施形態では、1つ以上のカメラ組立体302は上部構造102及び/又は荷台ユニット104へ取り付けることができ、荷台104に対する上部構造102の位置を判定するために上部構造102と荷台ユニット104の他方上の位置を検出するように構成されている。上部構造102及び荷台ユニット104上の異なる位置を検出する複数のカメラ組立体302によって複数の画像が捕捉されて、荷台ユニット104に対する上部構造102の位置が判定されるようになっていてもよい。
【0056】
他の実施形態では、システムは、旋回位置を判定するために、少なくとも1つのカメラ組立体302からの生の画像を記憶されている画像のセットと比較することができる。例えば、上部構造102の変化する位置について画像を記憶させておき、これらの画像の各々が現在の生の画像に対照して比較されてもよい。画像認識を使用して、生の画像に最も似ている保存画像を判定することができ、最も似ている画像に対応する位置が上部構造102の位置であると判定される。
【0057】
幾つかの実施形態では、移動式クレーン100が動作可能になっているときはいつでもシステムがアクティブになり、操作員への有用データ及び又は荷重管理システムへのデータを表示しようとする。操作員がアウトリガー110に伸長するよう命令したことに応えて、システム300は表示と算定を当該アウトリガー110に向ける。システム300はこれまでに説明された方法に基づきアウトリガー位置を表示することができる。物体検出を含む実施形態では、システム300は同時にアウトリガー110の経路をチェックして、アウトリガーが伸長し続けるのに何の障害物もないことを確実にする。システム300が経路は障害物のない状態ではないと検出すれば、操作員は通知され、アウトリガー100は伸長するのを止める。1つの実施形態では、システム300はクレーン制御システム117と通信して、又はアウトリガー110の制御部と直接通信して、動きを止めさせる。クレーンの周りの動きも監視され、潜在的危険が操作員に概説されることになっていてもよい。危険が切迫していない場合、当該危険は監視されることになる。但し、危険がクレーン構成要素の計画された移動経路に入っていると判定されれば、若しくはクレーンの動作に干渉する可能性があれば、干渉の公算を低減するために特定のクレーン機能性が無効にされることもある。
【0058】
図20、
図21、及び
図22は、説明されているシステムを使用してクレーンを監視するための方法を描いている。これらの方法は、移動式クレーン100の構成に依存して個別に動作していてもよいし、又は幾つかの実施形態ではそれらを同時に動作させることもできる。
図20は説明されているシステムを使用して動きを検出するためのプロセスを描いている。
図21は移動式クレーン上部構造の旋回角度を検出するためのプロセスを描いている。
図22はアウトリガー検出のためのプロセスを描いている。
【0059】
図20では、システム300がブロック2000にて初期化され、ブロック2002にて1つ以上のカメラ組立体302から入力が読み出される。決定ブロック2004で、入力は動きの検出のために監視される。動きが何も検出されなければ、プロセスはブロック2002に戻る。動きが検出されれば、プロセスはブロック2006へ進み、システムは物体が危険であるかどうかを判定する。物体が危険であると判定されれば、ブロック2008でクレーンの幾つかの機能性が停止される。物体が危険ではないなら、ブロック2010にて操作員は報知され、システムはブロック2002にて1つ以上のカメラ組立体302の入力を読み出すことに戻る。
【0060】
図21では、システム300がブロック2102にて初期化される。ブロック2104にて、1つ以上のカメラ組立体302から入力が読み出される。決定ブロック2106にて、カメラ組立体302に上部構造102が見えれば、ブロック2112にて旋回角度が計算される。ブロック2114にて、計算された旋回角度が制御システム117内で更新され、プロセスはブロック2104に戻って、再び1つ以上のカメラ組立体302から入力が読み出される。ブロック2106にてカメラ組立体302に上部構造102が見えなければ、ブロック2110にてクレーン操作員は指示され及び/又はあり得ることとしては上部構造102の動きが停止され、プロセスはブロック2004に戻って、カメラ組立体302からの入力が読み出される。
【0061】
図22では、ブロック2202にてアウトリガー110の動きが検出されてプロセスが開始される。決定ブロック2204にて、システム300は1つ以上のカメラ組立体302からの入力を監視してカメラ組立体302にアウトリガー110が見えているかどうかを判定する。見えていなければ、2206にてユーザーは指示され、ブロック2208にてシステム300はアウトリガー110が視認されるはずであるならアウトリガー110の動きを停止する。ブロック2204にてアウトリガー110が視認できれば、システム300はブロック2205にてアウトリガー110の経路に障害物が存在しているかどうかを判定する。障害物が存在していれば、プロセスはステップ2206へ戻り、ユーザーは指示される。障害物が無ければ、ブロック2207にてアウトリガー距離が判定される。ブロック2210にて、判定されたアウトリガー距離に基づいて表示及び見込み的には荷重チャートが更新される。ブロック2212にてアウトリガー110は一杯まで伸長されていると判定されれば、操作員及びシステムはブロック2213にてアウトリガー110が一杯まで伸長されていることを報知される。アウトリガー110が一杯まで伸長されていなければ、ブロック2214にてアウトリガー110を更に伸長させる。ブロック2216にて操作員がアウトリガーを動かし終えたら、プロセスは決定ブロック2218へ続き、そうでなければプロセスはブロック2204へ戻る。
【0062】
決定ブロック2218にて、システム300は自身にアウトリガーパッド208が見えているかどうかを1つ以上のカメラ組立体302からの入力に基づいて判定する。見えていなければ、システム300はブロック2206へ戻り、ユーザーは指示される。システム300が自身にはアウトリガーパッド208が見えていると判定すれば、システムはブロック2220へ進み、パッド208を動かしても安全かどうかについて決定がなされる。安全でなければ、プロセスはブロック2206へ戻り、ユーザーは指示される。パッド208を動かしても安全であれば、ブロック2222でパッド208の制御が有効にされ、ブロック2224でパッドが動かされる。ブロック2226にて、パッド208がその最終位置にあると判定されれば、システム300はブロック2228にてアウトリガーの位置を確証し、ブロック2230にて更なる入力を待つ。アウトリガーパッド208がその最終位置にないなら、プロセスはブロック2218へ戻る。
【0063】
システムにとっての算定に係る要求物は、従来式クレーン制御システムにおいて提供されているそれを超えるかもしれない。幾つかの実施形態では、外部のマイクロコントローラ/コンピュータ/マイクロプロセッサ/電子制御ユニットが、従来式クレーン制御システムに追加して又はそれに代えて使用されてもよい。システム300は、更に、画像を処理して周囲からデータを抽出しそれに追加のデータを重ねるために1つ以上の電子制御ユニットを含んでいてもよい。荷重管理システムへ送信されるデータには、アウトリガーの長さ、アウトリガーパッドの地面までの距離、クレーンの周りの検出された危険、旋回角度、及びエラー/警告メッセージが含められる。ここに説明されている実施形態では、様々な検出、判定、計算、変換、比較、などは、光学的アウトリガー監視システム300の制御システム317において、メモリ334に記憶されていて制御システム317にてプロセッサ332によって実行されるプログラム命令を介して実施され得るものと理解している。代わりに、個別のカメラ組立体302が、上記を行うように構成されている制御システムを含んでいてもよい。
【0064】
以上の実施形態では、光学的アウトリガー監視システム300は、クレーン制御システム117へ動作可能及び通信可能に接続されていてもよい。クレーン制御システム117は、アウトリガー110の様な様々なクレーン構成要素の動きを、ビーム伸長/収縮及びジャッキ伸長/収縮、並びにブーム伸長/収縮及びブーム持ち上げ/下降を含め、制御することができる。クレーン制御システム117は更に上部構造102の旋回運動を制御するようになっていてもよい。1つの実施形態では、クレーン制御システム117は、様々なクレーン構成要素の機能性を、例えば、光学的アウトリガー監視システム300から受信される判定又は命令の様な入力に基づいて、機能性を停止する又は構成要素を更なる操作員入力無しに動かすことによって制御していてもよい。クレーン制御システム117は、更に、例えばクレーン制御システム117にて受信される1つ以上のカメラ組立体302が捕捉した画像に基づき、判定を下し、様々なクレーン構成要素の機能性を制御するようになっていてもよい。
【0065】
以上の様々な実施例に記述されている警告は、例えば、聴覚的警告、視覚的警告、触覚的警告、又はそれらの組合せ、として提供されていてもよい。聴覚的警告には、例えば、アラーム又はブザーが挙げられる。視覚的警告には、例えば、光、点滅光、ディスプレイ画面又はユーザーインターフェース若しくは操作員の視認区域内の他のインターフェース上に映し出される色、文章、又は標示、及び/又はディスプレイ画面又はユーザーインターフェース若しくは操作員の視認区域内の他のインターフェース上に映し出される点滅する色、文章、又は標示、が挙げられる。触覚的警告には、例えば、操作員がクレーン装置の動きを制御するのに作動させる例えばジョイスティックの様な使用されている制御要素の振動フィードバックが挙げられる。
【0066】
また、ここに説明されている光学的アウトリガー監視システムが、より大きな制御システム又は監視システムの一部として実装され、その結果、以上の実施形態に説明されているカメラ組立体がアウトリガーのみならず任意の数の他のクレーン構成要素も同様に監視するようになっていてもよいと理解している。
【0067】
現時点でのここに説明されている実施形態への様々な変更及び修正がなされる余地があること、また説明されている実施形態は互いに組み合わされてもよいこと、を理解しておきたい。例えば、システムは、アウトリガーの伸長をアウトリガーパッドの検出とは切り離して個別に検出していてもよいし、又は検出は組み合わされてもよい。同様に、システムの実施形態は、単一ユニット内で、アウトリガーの伸長を検出し且つ障害物検出を含んでいてもよい。その様な変更及び修正は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、またその意図される利点を損なうことなくなされ得る。従って、その様な変更及び修正は付随の特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
【符号の説明】
【0068】
90、91、92、93 カメラ組立体の視野を表す弧
94 マーカー又は目標
95 ユーザーインターフェース
96 物体、人物
100 移動式クレーン
102 上部構造
104 輸送シャーシ又は荷台ユニット
106 伸縮式ブーム
108 タイヤ
110 アウトリガー
116 運転台
117 クレーン制御システム
118 完全収縮位置
120 中間点位置
122 完全伸長位置
124 釣り合い重り
132 コンピュータプロセッサ
134 コンピュータ可読記憶メモリ
136 ユーザーインターフェース
138 通信インターフェース
202 アウトリガービーム
206 アウトリガージャッキ
208 アウトリガーパッド
210 地面又は他の基盤面
240 下部位置
242 上部位置
300 光学的アウトリガー監視(検出)システム
302、304、306、308 カメラ組立体
317 制御システム
332 コンピュータプロセッサ
334 コンピュータ可読記憶メモリ
336 ユーザーインターフェース
338 通信インターフェース