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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】カテーテルおよびカテーテル組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A61M25/00 510
A61M25/00 504
A61M25/00 506
A61M25/00 610
A61M25/00 620
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017181455
(22)【出願日】2017-09-21
(65)【公開番号】P2019055041
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 祐八
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】宮部 愛子
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0348512(US,A1)
【文献】特開2014-230710(JP,A)
【文献】特開2016-112201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔に挿入される長尺状のシャフトと、
前記シャフトの基端側に接続されるハブと、を有し、
前記シャフトは、
前記ハブを保持して前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、その少なくとも一部が、巻き回された第1の形状を形成し、
前記ハブおよび前記シャフトを重力方向と直交する平坦な基準面に載置した状態では、その少なくとも一部が、巻き回され、かつ、重力方向に沿う前記シャフトの長さが前記第1の形状における重力方向に沿う前記シャフトの長さよりも短い、第2の形状を形成し、
前記第1の形状は、3次元の螺旋であり、
前記第2の形状は、前記基準面を上面視した際に、1周以上巻き回された形状であり、
前記シャフトは、前記第1の形状における前記シャフトの前記ハブから露出している部分の重力方向に沿う長さが、真っ直ぐな状態での前記シャフトの先端から前記ハブの先端までの長さの、2/3以下である、カテーテル。
【請求項2】
生体管腔に挿入される長尺状のシャフトと、
前記シャフトの基端側に接続されるハブと、を有し、
前記シャフトは、
前記ハブを保持して前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、その少なくとも一部が、巻き回された第1の形状を形成し、
前記ハブおよび前記シャフトを重力方向と直交する平坦な基準面に載置した状態では、その少なくとも一部が、巻き回され、かつ、重力方向に沿う前記シャフトの長さが前記第1の形状における重力方向に沿う前記シャフトの長さよりも短い、第2の形状を形成し、
前記第1の形状は、3次元の螺旋であり、
前記第2の形状は、前記基準面を上面視した際に、1周以上巻き回された形状であり、
前記シャフトは、
前記シャフトを垂れ下げた状態では、前記シャフトの先端から前記ハブの先端までの半分以上の部分が、前記第1の形状を形成し、
前記第1の形状における前記シャフトの重力方向と直交する方向の最大長さが、真っ直ぐな状態での前記シャフトの先端から前記ハブの先端までの長さの、1/10以上、かつ、1/3以下である、カテーテル。
【請求項3】
前記第2の形状は、前記基準面を上面視した際に、前記シャフトの巻き回された部分同士が重なる重なり部を備え、
前記重なり部において、前記巻き回された部分同士は当接している、請求項1または請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第2の形状は、前記基準面を上面視した際に、前記シャフトの巻き回された部分同士が重なる重なり部を備えず、前記基準面上で巻き回されている、請求項1または請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記シャフトは、樹脂材料によって構成され、先端側の外表面に親水性コート層を備える、請求項1~のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項6】
外カテーテルおよび前記外カテーテルに挿入可能な内カテーテルを有するカテーテル組立体であって、
前記外カテーテルおよび前記内カテーテルのそれぞれは、長尺状のシャフトおよび前記シャフトに接続されるハブを備え、
前記内カテーテルの前記シャフトは、前記内カテーテルの前記ハブを保持して前記内カテーテルの前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、その少なくとも一部が、巻き回された第1の形状を形成し、
前記外カテーテルに前記内カテーテルを挿入し、かつ、前記外カテーテルまたは前記内カテーテルの前記ハブを保持して、前記外カテーテルおよび前記内カテーテルの前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、前記外カテーテルおよび前記内カテーテルの前記シャフトの一部が、巻き回された第3の形状を形成し、
前記第1の形状は、3次元の螺旋であり、
前記第3の形状は、前記第1の形状と比較して巻き数が減少した3次元の螺旋である、カテーテル組立体。
【請求項7】
前記外カテーテルの前記シャフトは、樹脂材料によって構成される内層と、前記内層の外周面に設けられた補強体と、前記内層および前記補強体を被覆する外層からなり、
前記内層および前記外層は、樹脂材料によって構成され、
前記補強体は、ブレードによって構成され、
前記内カテーテルの前記シャフトは、樹脂材料によって構成される、請求項に記載のカテーテル組立体。
【請求項8】
前記外カテーテルの前記シャフトは、樹脂材料によって構成される内層と、前記内層の外周面に設けられた補強体と、前記内層および前記補強体を被覆する外層からなり、
前記内層および前記外層は、樹脂材料によって構成され、
前記補強体は、コイルによって構成され、
前記内カテーテルの前記シャフトは、樹脂材料によって構成される、請求項に記載のカテーテル組立体。
【請求項9】
前記外カテーテルの前記シャフトは、外表面に親水性コート層を備え、
前記内カテーテルの前記シャフトは、先端側の外表面に親水性コート層を備える、請求項6~8のいずれか1項に記載のカテーテル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよびカテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患者の身体的負担が少なく退院が早まる等の理由により、腕の動脈(橈骨動脈や上腕動脈)からカテーテルを導入して治療を行う手技(TRI:Trans Radial Intervention)が注目されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、腕の動脈からカテーテルを導入して下肢の血管内に生じた病変部、例えば末梢動脈疾患(PAD:Peripheral Arterial Disease)に、長尺状のカテーテルを送達して治療を行う手技が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-230710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているように、腕の動脈を介して下肢の血管内の病変部に送達されるカテーテルは、長手方向の長さが比較的長い。このような長手方向の長さが長いカテーテルを取り扱う場合、術者は、例えばカテーテルが垂れ下がって床等の不潔野に接触しないように、カテーテルを巻き回してクリップで束ねる等の措置を講じている。このように、術者は、長手方向の長さが比較的長いカテーテルを使用する場合、カテーテルが不潔野へ接触しないように注意を払う必要がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、取扱いが容易なカテーテルおよびカテーテル組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカテーテルは、生体管腔に挿入される長尺状のシャフトと、前記シャフトの基端側に接続されるハブと、を有し、前記シャフトは、前記ハブを保持して前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、その少なくとも一部が、巻き回された第1の形状を形成し、前記ハブおよび前記シャフトを重力方向と直交する平坦な基準面に載置した状態では、その少なくとも一部が、巻き回され、かつ、重力方向に沿う前記シャフトの長さが前記第1の形状における重力方向に沿う前記シャフトの長さよりも短い、第2の形状を形成し、前記第1の形状は、3次元の螺旋であり、前記第2の形状は、前記基準面を上面視した際に、1周以上巻き回された形状であり、前記シャフトは、前記第1の形状における前記シャフトの前記ハブから露出している部分の重力方向に沿う長さが、真っ直ぐな状態での前記シャフトの先端から前記ハブの先端までの長さの、2/3以下である。
【0008】
本発明に係るカテーテル組立体は、外カテーテルおよび前記外カテーテルに挿入可能な内カテーテルを有するカテーテル組立体であって、前記外カテーテルおよび前記内カテーテルのそれぞれは、長尺状のシャフトおよび前記シャフトの基端側に接続されるハブを備え、記内カテーテルの記シャフトは、前記内カテーテルの前記ハブを保持して前記内カテーテルの前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、その少なくとも一部が、巻き回された第1の形状を形成し、前記外カテーテルに前記内カテーテルを挿入し、かつ、前記外カテーテルまたは前記内カテーテルの前記ハブを保持して、前記外カテーテルおよび前記内カテーテルの前記シャフトを重力方向に垂れ下げた状態では、前記外カテーテルおよび前記内カテーテルの前記シャフトの部が、巻き回された第3の形状を形成し、前記第1の形状は3次元の螺旋であり、前記第3の形状は前記第1の形状と比較して巻き数が減少した3次元の螺旋である。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成したカテーテルによれば、術者がカテーテルの基端側を保持して取回す際、シャフトの少なくとも一部は、巻き回された第1の形状を形成してコンパクトになる。このため、カテーテルは、床等の不潔野に接触するリスクが低減するとともに、床等の不潔野に接触しないように術者がカテーテルをクリップ等で束ねる作業を不要にするか、または、容易にする。また、術者がカテーテルを医療用トレイやテーブル等に載置した際、シャフトの少なくとも一部は、第2の形状を形成し、垂れ下げた状態よりもさらにコンパクトにまとまる。このように、取扱いが容易なカテーテルを提供することができる。
【0010】
上記のように構成したカテーテル組立体によれば、外カテーテルに内カテーテルを挿入した状態で、術者がカテーテル組立体の基端側を保持して取回す際、カテーテル組立体のシャフトの少なくとも一部は、巻き回された第3の形状を形成してコンパクトになる。このため、カテーテル組立体は、床等の不潔野に接触するリスクが低減するとともに、床等の不潔野に接触しないように術者がカテーテルをクリップ等で束ねる作業を不要にするか、または、容易にする。このように、取扱いが容易なカテーテル組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るカテーテル組立体を真っ直ぐに引き伸ばした状態を示す概略平面図である。
図2】実施形態に係るカテーテル組立体の長手方向の拡大断面図である。
図3A】実施形態に係るカテーテル組立体の備える内カテーテルが、垂れ下げられた状態を示す図である。
図3B】実施形態に係るカテーテル組立体が、組み上げられ、かつ、垂れ下げられた状態を示す図である。
図4A】実施形態に係る内カテーテルが、基準面上に載置された状態を示す図である。
図4B】実施形態に係るカテーテル組立体が、組み上げられ、かつ、基準面上に載置された状態を示す図である。
図5図4Aの5-5線に沿う断面図である。
図6】実施形態に係るカテーテル組立体を用いた手技の説明に供する模式図である。
図7】変形例に係る内カテーテルが、基準面上に載置された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るカテーテルおよびカテーテル組立体を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1は、実施形態に係るカテーテル組立体10の全体構成の説明に供する図である。図2は、カテーテル組立体10の各部の説明に供する図である。図3A図5は、内カテーテル200およびカテーテル組立体10の形状の説明に供する図である。図6は、カテーテル組立体10の使用例の説明に供する図である。
【0014】
カテーテル組立体10は、診断・治療するため医療器具(例えば、画像診断用カテーテルやバルーンカテーテル等)を患者の腕の動脈を介して下肢の血管に生じた病変部に案内するために、先行して患者の血管内に導入される医療器具(いわゆるガイディングカテーテル)として構成している。
【0015】
カテーテル組立体10は、図1を参照して概説すると、外カテーテル100と、外カテーテル100に挿入される内カテーテル200と、を有している。以下、カテーテル組立体10の各部について説明する。
【0016】
なお、本明細書の説明では、図1に示すように、仮に外カテーテル100を真っ直ぐに引き伸ばした場合に、外カテーテル100の伸びている方向を「長手方向Y1」と称する。また、仮に内カテーテル200を真っ直ぐに引き伸ばした場合に、内カテーテル200の伸びている方向を「長手方向Y2」と、称する。また、各カテーテル100、200の長手方向Y1、Y2において、生体内に挿入される側を「先端側」と称し、先端側と反対側に位置する手元での操作がなされる側を「基端側」と称する。また、各カテーテル100、200において、先端(最先端)およびその近傍を「先端部」と称し、基端(最基端)およびその近傍を「基端部」と称する。
【0017】
(外カテーテル)
外カテーテル100は、患者の血管(「生体管腔」に相当)に挿入可能な長尺状の外シャフト110と、外シャフト110の基端部に固着するとともに、術者が保持して操作するためのハブ120と、を有している。以下、外カテーテル100の各部について説明する。
【0018】
まず、外シャフト110について説明する。
【0019】
外シャフト110は、可撓性を備える管状部材によって構成している。外シャフト110は、全長に渡って内腔110aが形成されている。術者は、カテーテル組立体10を患者の血管内に挿入する場合、図6に示すように、外カテーテル100に内カテーテル200を挿入し、かつ、内カテーテル200にガイドワイヤGWを挿入する。先行するガイドワイヤGWに這わせるようにして、カテーテル組立体10を目的部位に送達した後、術者は、内カテーテル200を生体外へ抜去し、診断・治療用の医療器具(例えば、画像診断用カテーテルやバルーンカテーテル等)を外カテーテルに挿入し、病変部の診断・治療を行う。このように、内腔110aには、内カテーテル200、ガイドワイヤGW、診断・治療用の医療器具等が挿入可能である。
【0020】
外シャフト110は、本実施形態では、図2に示すように、管状の内層111と、内層111の外周面に設けられた補強体112と、内層111および補強体112を被覆する外層113とを有している。
【0021】
内層111の構成材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素エチレン性重合体やナイロン等のポリアミド、ナイロンエラストマー等のポリアミドエラストマー等の樹脂を用いることができる。内層111の構成材料としては、上記の中でも、摩擦抵抗の低いPTFEやPFAを用いることが好ましい。内層111をこのような材料によって構成することにより、外シャフト110の内周面の摩擦抵抗を小さくすることが可能になり、術者は、内腔110aに挿入した診断・治療用の医療器具を、長手方向Y1に円滑に移動させることができる。
【0022】
補強体112は、本実施形態では、網目状に編組した複数の素線(ブレード)によって構成している。補強体112は、外シャフト110の先端部を除いた部分全域に設けられている。このように、外シャフト110は、補強体112を備えるため、耐キンク性、トルク伝達性およびプッシャビリティが高い。
【0023】
補強体112を構成する素線としては、特に限定されないが、例えば、金属素線、樹脂素線、または金属素線と樹脂素線とを組合せたもの等を用いることができる。金属素線の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、タングステン、銅、ニッケル、チタン、コバルト-クロム系合金、ニッケル-チタン系合金(超弾性合金)、銅-亜鉛系合金、アモルファス合金等を用いることができる。樹脂素線の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン等の硬質なポリマー又は液晶ポリマー等を用いることができる。素線の断面形状は、特に限定されないが、例えば、略円形や略長方形に形成することができる。ただし、外シャフト110における補強体112の密度を大きくすることで操作性を向上できるため、素線の断面形状は、略長方形であることが好ましい。なお、補強体112は、ブレードではなく、コイルによって構成してもよい。
【0024】
外層113の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素系樹脂等の高分子材料或いはこれらの混合物を用いることができる。なお、外層113は、異なる樹脂材料を積層した多層構造を備えていてもよく、異なる樹脂材料が連続して接合されたたセグメント構造でもよい。また、外層113は、外表面に、親水性コート層を備えていてもよい。
【0025】
外シャフト110は、腕の動脈から挿入した外シャフト110の先端が下肢の血管にまで届くように、真っ直ぐな状態での外シャフト110の先端からハブ120の先端までの長さL1(以下、単に「外シャフト110の長さL1」と称する、図1参照)が、1200mm以上2500mm以下が好ましく、1500mm以上2000mm以下であることがより好ましい。
【0026】
なお、外シャフト110は、先端部に、X線造影性を備えるマーカ(図示省略)を有していてもよい。
【0027】
次に、ハブ120について説明する。
【0028】
ハブ120は、外シャフト110が固着される中空の外ハブ胴体部121と、外シャフト110と外ハブ胴体部121の連結部分を覆うとともに、当該連結部分で外シャフト110にキンクが発生するのを抑制するストレインリリーフ122と、外ハブ胴体部121の外周面から径方向外方に向かって突出する複数(本実施形態では2つ)のウイング123と、外ハブ胴体部121の基端部に設けられるとともに、外ハブ胴体部121の外周面から径方向外方に突出する突出部124と、を有している。
【0029】
外ハブ胴体部121は、全長に渡って内腔121aが形成されている。内腔121aは、外シャフト110の内腔110aに連通している。突出部124は、後述する内カテーテル200のハブ220が備える螺旋状の溝部222に螺合可能である。術者は、カテーテル組立体10を生体内に挿入する場合、内カテーテル200を外カテーテル100に挿入し、外カテーテル100のハブ120を内カテーテル200のハブ220に対して回転させる。これによって、突出部124が螺旋状の溝部222に螺合し、内カテーテル200は、外カテーテル100に固定される。
【0030】
ハブ120の構成材料は、特に限定されないが、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、これらのうちの二種以上を組み合わせたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、多層体等)を用いることができる。
【0031】
(内カテーテル)
内カテーテル200は、長尺状の内シャフト210と、内シャフト210の基端部に固着するとともに、術者が保持して操作するためのハブ220と、を有している。以下、内カテーテル200の各部について説明する。
【0032】
まず、内シャフト210について説明する。
【0033】
内シャフト210は、可撓性を備える管状部材によって構成している。内シャフト210は、全長に渡って内腔210aが形成されている。内腔210aには、図2に示すように、ガイドワイヤGWが挿入可能である。
【0034】
内シャフト210は、外カテーテル100の内腔110a、121aに挿入可能である。一般的に、カテーテルは長手方向の長さが長いほど、基端側における術者の押込み力が先端側に伝わり難い。本実施形態に係るカテーテル組立体10では、術者は、外カテーテル100に内カテーテル200を挿入した状態で、カテーテル組立体10を血管内の目的部位に送達する。術者がカテーテル組立体10を押し込む際、内カテーテル200が外カテーテル100を内側から支持するため、基端側における術者の押込み力が先端側に伝わり易い。このため、術者は、腕の動脈を介して下肢の目的部位にカテーテル組立体10を容易に送達することができる。
【0035】
内シャフト210の一部A(図1参照、以下「巻回部A」と称する)は、図3Aに示すように、ハブ220を保持して内シャフト210を重力方向Gに垂れ下げた状態では、巻き回された第1の形状を形成する。
【0036】
「ハブ220を保持して内シャフト210を重力方向Gに垂れ下げた状態」は、例えば、天井に固定された保持具Fによってハブ220を保持し、かつ、内シャフト210を重力方向Gに垂れ下げることによって作ることができる。なお、図3Aでは、保持具Fは、天井に固定したフックF1と、フックF1に引っ掛けられるとともにハブ220の基端側に巻き付けられた紐F2と、によって構成されているが、保持具Fの構成は、ハブ220を保持可能である限り、特に限定されない。
【0037】
第1の形状は、巻き回され、かつ、重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL3(図3A参照)が、後述する載置された状態での重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL4(図5参照)よりも長い限り、特に限定されない。このため、第1の形状には、例えば、3次元の螺旋(helix)や、3次元の螺旋および2次元の渦巻き(spiral)の両方を備える形状等が含まれ、垂れ下げた状態での内シャフト210を正面視した場合に内シャフト210の中央部分が撓んだだけの「C形状」、先端部が湾曲しただけの「J形状」、「2次元の渦巻きのみ」等は含まれない。なお、本実施形態では、第1の形状は、図3Aに示すように、重力方向に沿う軸X1の周囲に形成された3次元の螺旋である。本実施形態では、巻回部Aは、第1の形状では、軸X1の周囲に約2周と1/4周巻き回され、かつ、軸X1方向に隣り合う部分(例えば、C1、C2)同士が、軸X1方向に離間した状態である。なお、本実施形態では、螺旋の軸X1は、重力方向Gに沿って伸びているが、重力方向Gに沿って伸びている必要はなく、重力方向Gに対して傾斜していてもよい。
【0038】
このように、巻回部Aは、垂れ下げた状態では、第1の形状を形成する。また、図3Bに示すように、内カテーテル200を外カテーテル100に挿入して、ハブ220を保持して外シャフト110および内シャフト210を垂れ下げた状態では、巻き回された形状を備えない外カテーテル100と第1の形状を備える内カテーテル200とを組み合わせたことによって、カテーテル組立体10は、巻き回された第3の形状を形成する。このため、例えば、術者が内カテーテル200またはカテーテル組立体10の基端側を保持して取回す際、内カテーテル200またはカテーテル組立体10は、術者が巻き回さなくても、巻き回された形状を形成して、重力方向Gにコンパクトになる。このため、内カテーテル200およびカテーテル組立体10は、床等の不潔野に接触するリスクを低減するとともに、床等の不潔野に接触しないように術者が内カテーテル200およびカテーテル組立体10をクリップ等で束ねる作業を不要にするか、または、容易にする。なお、本実施形態では、カテーテル組立体10が形成する第3の形状は、重力方向Gに沿う軸X2の周囲に巻き回され、かつ、内シャフト210の第1の形状と比較して巻き数が減少した3次元の螺旋であるが、第3の形状は、巻き回された形状であれば特に限定されない。例えば、軸X2は、重力方向Gに対して傾斜していてもよい。
【0039】
内シャフト210を垂れ下げた状態では、内シャフト210の少なくとも一部が、第1の形状を形成すればよいが、内シャフト210の先端からハブ220の先端までの半分以上が、第1の形状を形成することが好ましい。このように内シャフト210において第1の形状を形成する領域が広いほど、内シャフト210は、重力方向Gにコンパクトになる。なお、本実施形態では、図1に示すように、巻回部Aは、内シャフト210の先端部およびハブ220の先端近傍を除く部分である。先端部の範囲は、特に限定されないが、最先端から基端側に0~400mm程度、好ましくは0~150mm程度の範囲までとできる。ハブ220の最先端近傍の範囲は、特に限定されないが、ハブ220の最先端から先端側に0~400mm程度、好ましくは0~150mm程度の範囲までとできる。
【0040】
内シャフト210は、特に限定されないが、図3Aに示すように、重力方向Gと直交する方向の最大長さ(螺旋の最大外径R)が、真っ直ぐな状態での内シャフト210の先端からハブ220の先端までの長さL2(以下、単に「内シャフト210の長さL2」と称する、図1参照)の、1/10以上、かつ、1/3以下とすることができる。上記のように、螺旋の最大外径Rを、内シャフト210の長さL2の1/10以上に設定することによって、内シャフト210は、垂れ下げた状態で、重力方向Gに、より一層コンパクトになる。また、上記のように、螺旋の最大外径Rを、内シャフト210の長さL2の1/3以下に設定することによって、内シャフト210に、第1の形状を形成するような巻き癖を好適に付与できる。
【0041】
垂れ下げた状態での内シャフト210のハブ220から露出している部分の重力方向Gに沿う長さL3(内シャフト210の螺旋長さL3、図3A参照)は、特に限定されないが、例えば、内シャフト210の長さL2の、2/3以下であることが好ましい。さらに、内シャフト210の螺旋長さL3は、特に限定されないが、例えば、内シャフト210の長さL2の、30%以上50%以下とすることができる。このように内シャフト210の螺旋長さL3を設定することで、内シャフト210は、重力方向Gに、より一層コンパクトになる。
【0042】
図4Aおよび図5に示すように、重力方向Gと直交する平坦な基準面Tに内カテーテル200を載置した状態では、巻回部Aは、巻き回され、かつ、重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL4が第1の形状における重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL3よりも短い、第2の形状を形成する。
【0043】
「基準面Tに載置した状態」とは、図5に示すように、内カテーテル200を基準面Tに載置し、かつ、内カテーテル200に基準面T以外のものが接触していない状態を意味する。すなわち、この状態では、内カテーテル200に、重力および基準面Tとの接触に起因する力(基準面Tとの間の摩擦力や基準面Tからの抗力)を除き、外力が働いていない。このように、巻回部Aは、載置された状態では、術者が巻き回さなくても、第2の形状を形成する。また、カテーテル組立体10も、図4Bに示すように、載置された状態では、巻き回された形状を備えない外カテーテル100と第2の形状を備える内カテーテル200とを組み合わせたことによって、外シャフト110および内シャフト210の一部が、巻き回され、かつ、第2の形状よりも巻き数の少ない第4の形状を形成する。カテーテル組立体10を患者の血管内に挿入するのに先立って、術者は、医療用トレイ等にプライミング液を満たし、内カテーテル200やカテーテル組立体10を浸漬するプライミング作業を行う。また、手技中、内カテーテル200またはカテーテル組立体10は、テーブルや医療用トレイ等に一時的に載置される場合がある。このような場合、内カテーテル200またはカテーテル組立体10は、術者が巻き回さなくても、テーブルや医療用トレイ上で巻き回された形状を形成し、重力方向Gにコンパクトになる。このように、術者は、内カテーテル200またはカテーテル組立体10が邪魔にならないように、または、医療用トレイに収まるように、内カテーテル200またはカテーテル組立体10を巻き回す必要がない。
【0044】
第2の形状は、巻き回され、かつ、重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL4(図5参照)が、垂れ下げた状態での重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL3(図3A参照)よりも短い限り、特に限定されない。このため、第1の形状には、例えば、「2次元の渦巻き(spiral)」、基準面Tを上面視した場合に1周巻き回された「α形状」、基準面Tを上面視した場合に軸X1周りを囲むように撓んだ「C形状」等が含まれる。
【0045】
本実施形態では、第2の形状は、図4Aに示すように、基準面Tを上面視した場合に、軸X1の周囲を約2周と1/4周巻き回された形状である。また、第2の形状では、内シャフト210は、巻きまわされた部分C3、C4同士が、基準面Tを上面視した場合に重なる重なり部B1、B2を備えている。図5に示すように、重なり部B1、B2において、巻きまわされた部分C3、C4同士は当接している(なお、図では、重なり部B1のみを示している)。このように、重なり部B1、B2において、隣り合う部分C3、C4同士が当接するため、内カテーテル200は、重力方向Gに、より一層コンパクトになる。なお、内カテーテル200は、載置した状態での内シャフト210の重力方向Gに沿う長さL4が、垂れ下げた状態の内シャフト210の重力方向Gに沿う長さL3(図3A参照)よりも短くなっていればよく、隣り合う部分C3、C4同士が当接せずに多少離間していてもよい。
【0046】
内シャフト210に第1の形状および第2の形状を形成するような巻き癖を付与する方法は、特に限定されないが、例えば、内シャフト210を環状の治具や円柱状の治具に沿って巻き回し、その状態を所定時間維持する方法等を用いることができる。なお、内シャフト210は、巻き癖が付与されていない外シャフト110に挿入した際に、巻き癖が付与されていない外シャフト110の形状によって緩まりつつも、カテーテル組立体10が、垂れ下げた状態や載置された状態で、巻き回された形状(上述した第3の形状や第4の形状)を形成可能である程度に、強い巻き癖(形状保持性)を備えることが好ましい。
【0047】
内シャフト210は、樹脂材料によって構成することが好ましい。内シャフト210を樹脂材料によって構成することによって、上記の方法で内シャフト210に巻き癖を好適に付与することができる。内シャフト210を構成する樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、上述した外カテーテル100の外層113と同様の樹脂材料を用いることができる。また、内シャフト210は、先端側の外表面に、親水性コート層を備えていてもよい。
【0048】
なお、内シャフト210は、先端部に、X線造影性を備えるマーカ(図示省略)を有していてもよい。
【0049】
内シャフト210の長さL2は、外シャフト110の長さL1よりも、長く設定することができる。このように構成することによって、内シャフト210の先端部は、外シャフト110に挿入された状態で、外シャフト110の先端開口部から露出することができる(図6参照)。
【0050】
次に、ハブ220について説明する。
【0051】
ハブ220は、図1に示すように、中空状の内ハブ胴体部221と、内ハブ胴体部221の内表面に設けられた螺旋状の溝部222と、を有している。内ハブ胴体部221は、全長に渡って内腔221aが形成されている。内腔221aは、内シャフト210の内腔210aに連通している。
【0052】
ハブ220の構成材料は、特に限定されないが、例えば、外カテーテル100のハブ120と同じ材料を用いることができる。
【0053】
(使用例)
次に、図6を参照して、患者の右腕の橈骨動脈R1を介して下肢の左浅大腿動脈(SFA)R7に生じた病変部(狭窄部N)を治療する手技にカテーテル組立体10を適用した、カテーテル組立体10の使用例について、説明する。
【0054】
まず、術者は、外カテーテル100および内カテーテル200を医療用トレイに載置し、プライミング液で浸漬するプライミング作業を行う。
【0055】
次に、術者は、内カテーテル200を外カテーテル100に挿入して、内カテーテルの螺旋状の溝部222に、外カテーテル100の突出部124を螺合させる。これによって、カテーテル組立体10を患者の血管内へ挿入する際に、術者は、外カテーテル100および内カテーテル200を一体的に操作できるため、操作が容易となる。術者は、組み立てたカテーテル組立体10を、再び使用するまでの間、医療用トレイ等に一時的に載置しておくことができる。
【0056】
次に、術者は、図6に示すように、右腕の橈骨動脈R1を穿刺し、イントロデューサーシースSを橈骨動脈R1に留置する。これによって、術者は、橈骨動脈R1内へカテーテル組立体10を導入するための導入路を確保することができる。
【0057】
次に、術者は、カテーテル組立体10の内腔にガイドワイヤGWを挿入した状態で、カテーテル組立体10をイントロデューサーシースSに挿入する。そして、術者は、ガイドワイヤGWに這わせてカテーテル組立体10を橈骨動脈R1内に導入する。
【0058】
次に、術者は、先行するガイドワイヤGWに這わせて、カテーテル組立体10を、狭窄部Nの手前の目的部位(例えば、左浅大腿動脈(SFA)R7の上方近傍)まで押し進める。なお、カテーテル組立体10は巻き回された形状を備えているため、術者は、右鎖骨下動脈R2、腕頭動脈R3、大動脈弓R4等の湾曲する動脈に沿って、カテーテル組立体10を容易に推し進めることができる。また、カテーテル組立体10は、巻き回された形状を備えているため、術者は、外カテーテル100が胸部大動脈R5および腹部大動脈R6の壁面に当接しつつ螺旋を描くように、カテーテル組立体10を押し進めることができる。
【0059】
次に、術者は、カテーテル組立体10の先端が目的部位に到達した後、内カテーテル200の螺旋状の溝部222と、外カテーテル100の突出部124の螺合を解除する。そして、術者は、外カテーテル100およびガイドワイヤGWを血管内に残したまま、内カテーテル200を生体外へ抜去する。
【0060】
次に、術者は、拡張収縮可能な拡張部を先端部に備えるバルーンカテーテル(図示省略)を、ガイドワイヤGWに沿わせて外カテーテル100の内腔110a、121aに挿入する。さらに、術者は、バルーンカテーテルを、外カテーテル100の内腔110a、121aへ押し込み、拡張部を外カテーテル100の先端から突出させ、拡張部を狭窄部Nに配置する。なお、前述したように、カテーテル組立体10は、胸部大動脈R5および腹部大動脈R6の壁面に螺旋を描きながら、当接しているため、外カテーテル100と血管壁の接触面積が広い。このため、仮にバルーンカテーテルを推し進めたことによる反力が外カテーテル100に伝わったとしても、外カテーテル100と胸部大動脈R5および腹部大動脈R6の壁面との間の摩擦力によって、外カテーテルが生体外へ抜去される方向に移動するのを好適に抑制することができる。
【0061】
次に、術者は、バルーンカテーテルの拡張部を拡張させ、狭窄部Nを押し広げる。次に、術者は、バルーンカテーテルの拡張部を収縮させ、バルーンカテーテルおよびガイドワイヤGWを生体外へ抜去する。
【0062】
次に、術者は、外カテーテル100を生体外へ抜去する。次に、術者は、イントロデューサーシースSを生体外へ抜去し、穿刺部位を止血する。
【0063】
以上、カテーテル組立体10の使用例を説明したが、カテーテル組立体10を適用する手技は、上記の手技に限定されない。例えば、穿刺する部位は、右腕の橈骨動脈R1に限定されず、例えば、左腕の橈骨動脈であってもよい。また、病変部は、左浅大腿動脈R7に生じたものに限定されず、例えば、右浅大腿動脈、左右の腸骨動脈、左右の膝窩動脈に生じたものであってもよい。また、外カテーテル100を介して行う処置は、バルーンカテーテルのみによる処置に限定されない。例えば、バルーンの外表面には、ステントが配置されてもよい。また、外カテーテル100を介して、バルーンカテーテル以外のカテーテル、内視鏡、超音波プローブ、温度センサー等の長尺物を挿入または抜去してもよいし、造影剤(X線造影剤)、薬液、生理食塩水等の各種液体を注入してもよい。
【0064】
以上本実施形態に係る内カテーテル200は、血管に挿入される長尺状の内シャフト210と、内シャフト210の基端側に接続されるハブ220と、を有する。内シャフト210は、ハブ220を保持して内シャフト210を重力方向Gに垂れ下げた状態では、その少なくとも一部Aは、巻き回された第1の形状を形成する。内シャフト210は、ハブ220および内シャフト210を重力方向Gと直交する平坦な基準面Tに載置した状態では、その少なくとも一部Aは、巻き回され、かつ、重力方向Gに沿う内シャフト210の長さL4が第1の形状における内シャフト210の重力方向Gに沿う長さL3よりも短い、第2の形状を形成する。
【0065】
上記のように構成した内カテーテル200によれば、術者が内カテーテル200の基端側を保持して取回す際、内シャフト210の少なくとも一部Aは、巻き回された第1の形状を形成してコンパクトになる。このため、内カテーテル200は、床等の不潔野に接触するリスクが低減するとともに、床等の不潔野に接触しないように術者が内カテーテル200をクリップ等で束ねる作業を不要にするか、または、容易にする。また、術者が内カテーテル200を医療用トレイやテーブル等に載置した際、内シャフト210の少なくとも一部Aは、第2の形状を形成して、第1の形状よりもコンパクトになる。このように、取扱いが容易な内カテーテル200を提供することができる。
【0066】
また、第1の形状は、3次元の螺旋である。このため、内シャフト210は、垂れ下げた状態で、重力方向Gにコンパクトにまとまる。
【0067】
また、第2の形状は、基準面Tを上面視した際に、内シャフト210の巻き回された部分C3、C4同士が重なる重なり部B1、B2を備える。重なり部B1、B2において、巻き回された部分C3、C4同士は当接している。このため、術者が内カテーテル200を医療用トレイやテーブル等に載置した際、内シャフト210は、コンパクトになる。
【0068】
また、内シャフト210は、ハブ220を保持して内シャフト210を垂れ下げた状態では、内シャフト210の先端からハブ220の先端までの半分以上の部分が、第1の形状を形成し、第1の形状における内シャフト210の重力方向Gと直交する方向の最大長さRが、真っ直ぐな状態での内シャフト210の先端からハブ220の先端までの長さL2の、1/10以上、かつ、1/3以下である。上記のように設定することにより、内シャフト210は、重力方向Gに、より一層コンパクトになるとともに、内シャフト210に、第1形状を形成するような巻き癖を好適に付与できる。
【0069】
また、内シャフト210は、第1の形状における内シャフト210のハブ220から露出している部分の重力方向Gに沿う長さL3が、真っ直ぐな状態での内シャフト210の先端からハブ220の先端までの長さL2の、2/3以下である。上記のように設定することで、内シャフト210は、重力方向Gにより一層コンパクトになる。
【0070】
また、本実施形態に係るカテーテル組立体10は、外カテーテル100および外カテーテル100に挿入可能な内カテーテル200を有する。外カテーテル100および内カテーテル200のそれぞれは、長尺状のシャフト110、210およびシャフト110、210に接続されるハブ120、220を備える。内カテーテル200の内シャフト210は、ハブ220を保持して内シャフト210を重力方向Gに垂れ下げた状態では、その少なくとも一部Aが、巻き回された第1の形状を形成する。外カテーテル100に内カテーテル200を挿入し、かつ、内カテーテル200のハブ220を保持して、外カテーテル100および内カテーテル200のシャフト110、210を重力方向Gに垂れ下げた状態では、外カテーテル100および内カテーテル200のシャフトの一部が、巻き回された第3の形状を形成する。
【0071】
上記のように構成したカテーテル組立体10によれば、外カテーテルに内カテーテルを挿入した状態で、術者がカテーテル組立体の基端側を保持して取回す際、カテーテル組立体のシャフトの少なくとも一部は、巻き回された第3の形状を形成してコンパクトになる。このため、カテーテル組立体は、床等の不潔野に接触するリスクが低減するとともに、床等の不潔野に接触しないように術者がカテーテルをクリップ等で束ねる作業を不要にするか、または、容易にする。このように、取扱いが容易なカテーテル組立体を提供することができる。
【0072】
(変形例)
図7は、変形例に係る内シャフト310を示す図である。以下、変形例に係る内シャフト310について説明する。
【0073】
変形例に係る内シャフト310は、基準面Tに載置した状態における形状(第2の形状)において、上記実施形態と相違する。その他の構成については、上記実施形態と同一であるため、その説明を省略する。
【0074】
内シャフト310の第2の形状は、2次元の渦巻き(spiral)である。このように、第2の形状は、基準面Tを上面視した際に、内シャフト310の巻き回された部分同士が重なる重なり部を備えず、基準面T上で巻き回されている(すなわち2次元平面で巻き回されている)。
【0075】
このため、上記実施形態に係る内シャフト210と比較すると、重力方向Gにより一層コンパクトになる。
【0076】
以上、実施形態を通じて本発明に係るカテーテルおよびカテーテル組立体を説明したが、本発明は明細書内で説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0077】
例えば、本発明を適用するカテーテルとして、上記実施形態では、ガイディングカテーテルの内カテーテルを例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、イントロデューサーシース、ダイレータ、ガイディングシース、造影用カテーテル、薬液投与用カテーテルなどに適用することができる。
【0078】
また、本発明を適用するカテーテル組立体として、上記実施形態では、外カテーテルと内カテーテルを備える2重構造のガイディングカテーテルを例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、イントロデューサーシース(「外カテーテル」に相当)およびダイレータ(「内カテーテル」に相当)を備えるイントロデューサに適用することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、内カテーテルが第1の形状および第2の形状を形成する形態を説明したが、内カテーテルが第1の形状および第2の形状を形成せず、外カテーテルが第1の形状および第2の形状を形成してもよいし、内カテーテルおよび外カテーテルの両方が第1の形状および第2の形状を形成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 カテーテル組立体、
100 外カテーテル、
110 外シャフト、
120 外カテーテルハブ、
200 内カテーテル、
210 内シャフト、
220 内カテーテルハブ、
F 保持具、
G 重力方向、
GW ガイドワイヤ、
L2 真っ直ぐな状態での内シャフトの先端から内カテーテルハブの先端までの長さ、
L3 第1形状における重力方向に沿う内シャフトの長さ、
L4 第2形状における重力方向に沿う内シャフトの長さ、
N 狭窄部、
R 第1の形状における内シャフトの重力方向と直交する方向の最大長さ、
S イントロデューサーシース、
T 基準面、
X1、X2 軸、
Y1、Y2 長手方向。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7