(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】制御された滞留CMP研磨法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/26 20120101AFI20221122BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20221122BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20221122BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B24B37/26
B24B37/24 B
B24B37/10
H01L21/304 622F
H01L21/304 621D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018111063
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-05-28
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヴー・グエン
(72)【発明者】
【氏名】トニー・クアン・トラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ジェームズ・ヘンドロン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ロバート・スタック
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0220702(US,A1)
【文献】特表2015-533668(JP,A)
【文献】特開2007-081322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0311955(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/26
B24B 37/24
B24B 37/10
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板、光学基板、及び磁性基板の少なくとも1つのウェーハを研磨又は平坦化する方法であって、前記方法は、
研磨パッドを回転させることであり、
前記回転する研磨パッドが、ポリマーマトリックスと厚さとを有する研磨層を有し、
前記研磨層が、中心、外縁部、および前記研磨パッドの前記中心から前記外縁部へ延在する半径を含む;研磨層の放射状供給溝が、前記研磨層を複数の研磨領域に分割し、
前記研磨領域が、2つの隣接する放射状供給溝によって画定された扇形であり、
前記研磨領域が、前記ウェーハの下での、滞留時間を調整するための偏倚を有し、
前記偏倚が、前記研磨領域を二等分する二等分線と、隣接する供給溝を接続する偏倚溝との間に偏倚角度θを有し、
前記偏倚角度θが、前記研磨パッドの前記中心の方へ内側に傾斜する内側偏倚角度θか、又は、前記研磨パッドの外周の方へ外側に傾斜する外側偏倚角度θ、のいずれかであり、
偏倚された溝の大部分が、前記ウェーハの下で、前記ウェーハを、内側偏倚又は外側偏倚と同じ方向に掃引し、
前記放射状供給溝が、少なくとも前記中心に近接する位置から前記外縁部に近接する位置まで延在し;且つ、
各研磨領域が、隣接する一対の放射状供給溝を接続する一連の偏倚された溝を含み、
前記偏倚された溝の
前記大部分が、前記中心に向かう内側への偏倚、又は、前記研磨パッドの前記外縁部に向かう外側への偏倚を有しており、
前記内側へ、及び、外側へ偏倚された溝の両方共に、研磨流体を前記研磨パッドの前記外縁部の方へ、且つ、内側への偏倚、又は、外側への偏倚、及び、前記研磨パッドの回転方向に依存して、前記ウェーハの方へ、又は、前記ウェーハから離れるように移動させる;
ことと、
研磨流体を、前記回転する研磨パッド上に、且つ、前記放射状供給溝、及び、前記一連の偏倚された溝に分配すること;及び、
i)前記研磨パッドの反時計回りの回転中、前記回転する研磨パッドの中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を増加させること、若しくは、
前記回転する研磨パッドの前記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を減少させること、
又は、
ii)前記研磨パッドの時計回りの回転中、前記回転する研磨パッドの前記中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を減少させること、若しくは、
前記回転する研磨パッドの前記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を増加させること、
のどちらかを選択することによって、研磨を調整するように、前記研磨パッドの複数の回転で前記回転する研磨パッドに対して、前記ウェーハを押圧し且つ回転させること、
を包含している、
上記方法。
【請求項2】
前記ウェーハは、前記研磨パッドの前記中心から前記研磨パッドの前記外縁部の近傍までの半径に沿った位置に置かれ続け、その後、前記研磨パッドの前記中心に置かれ続け、前記ウェーハの少なくとも1構成要素の除去速度を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記研磨パッドを回転させることにより、前記ウェーハの下に新たな研磨流体を流すことを可能にするために、使用済みの研磨流体を、前記一連の偏倚された溝の一部分を通して、前記研磨パッドの前記外縁部を越えて送る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一連の偏倚された溝は、前記ウェーハの下の前記研磨流体の滞留時間を増加させるような平行な溝の形状となる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一連の偏倚された溝は、前記ウェーハの下の前記研磨流体の滞留時間を減少させるような平行な溝の形状となる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
半導体基板、光学基板、及び磁性基板の少なくとも1つのウェーハを研磨又は平坦化する方法であって、前記方法は、
研磨パッドを回転させることであり、
前記回転する研磨パッドが、ポリマーマトリックスと厚さとを有する研磨層を有し、
前記研磨層が、中心、外縁部、および前記研磨パッドの前記中心から前記外縁部へ延在する半径を含む;研磨層の放射状供給溝が、前記研磨層を複数の研磨領域に分割し、
前記研磨領域が、2つの隣接する放射状供給溝によって画定された扇形であり、
前記研磨領域が、前記ウェーハの下での、滞留時間を調整するための偏倚を有し、
前記偏倚が、前記研磨領域を二等分する二等分線と、隣接する供給溝を接続する偏倚溝との間に偏倚角度θを有し、
前記偏倚角度θが、前記研磨パッドの前記中心の方へ内側に傾斜する内側偏倚角度θか、又は、前記研磨パッドの外周の方へ外側に傾斜する外側偏倚角度θ、のいずれかであり、
偏倚された溝の大部分が、前記ウェーハの下で、前記ウェーハを、内側偏倚又は外側偏倚と同じ方向に掃引し、
前記研磨領域が、二等分線で二等分され、
前記放射状供給溝が、少なくとも前記中心に近接する位置から前記外縁部に近接する位置まで延在し;且つ、
各研磨領域が、隣接する一対の放射状供給溝を接続する一連の偏倚された溝を含み、
前記偏倚された溝の
前記大部分が、前記二等分線から20°~85°の角度で前記研磨パッドの中心に向かう内側への偏倚、又は、前記二等分線から95°~160°の角度で前記研磨パッドの外縁部に向かう外側への偏倚を有しており、
前記内側へ、及び、外側へ偏倚された溝の両方共に、研磨流体を前記研磨パッドの外縁部の方へ、且つ、内側への偏倚、又は、外側への偏倚、及び、前記研磨パッドの回転方向に依存して、前記ウェーハの方へ、又は、前記ウェーハから離れるように移動させる;
ことと、
研磨流体を、前記回転する研磨パッド上に且つ前記放射状供給溝及び前記一連の偏倚された溝に分配すること;及び、
i)前記研磨パッドの反時計回りの回転中、前記回転する研磨パッドの中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を増加させること、若しくは、
前記回転する研磨パッドの前記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を減少させること、
又は、
ii)前記研磨パッドの時計回りの回転中、前記回転する研磨パッドの前記中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を減少させること、若しくは、
前記回転する研磨パッドの前記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、前記ウェーハの下の
前記扇形内の前記一連の偏倚された溝中の前記研磨流体が外側へ流れる研磨流体の滞留時間を増加させること、
のどちらかを選択することによって、研磨を調整するように、前記研磨パッドの複数の回転で前記回転する研磨パッドに対して、前記ウェーハを押圧し且つ回転させること、
を包含している、
上記方法。
【請求項7】
前記ウェーハは、前記研磨パッドの前記中心から前記研磨パッドの前記外縁部の近傍までの半径に沿った位置に置かれ続け、その後、前記研磨パッドの前記中心に置かれ続け、前記ウェーハの少なくとも1構成要素の除去速度を増加させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記研磨パッドを回転させることにより、前記ウェーハの下に新たな研磨流体の流れを可能にするために、使用済みの研磨流体を、前記一連の偏倚された溝の一部分を通し前記研磨パッドの前記外縁部を越えて送る、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記一連の偏倚された溝は、前記ウェーハの下の前記研磨流体の滞留時間を増加させるような平行な溝の形状となる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記一連の偏倚された溝は、前記ウェーハの下の前記研磨流体の滞留時間を減少させるような平行な溝の形状となる、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年6月16日に出願され現在係属中の米国特許出願第15/624、943号(これは、2017年6月14日に出願され現在係属中の米国特許出願第15/623、204号の一部継続出願である)の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、ケミカルメカニカル研磨用パッド用の溝に関する。より詳細には、本発明は、除去速度を増加させ、全体的な均一性を改善し、ケミカルメカニカル研磨中の欠陥を減少させるための溝の設計に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路及び他の電子デバイスの製造において、導電性の、半導体性の、及び誘電性の材料の多層が、半導体ウェーハの表面に堆積され、且つ半導体ウェーハの表面から除去される。導電性の、半導体性の、及び誘電性の材料の薄い層は、多くの堆積技術を使用して堆積させうる。現代のウェーハ処理における一般的な堆積技術は、とりわけ、スパッタリングとしても公知である物理的蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)及び電気化学めっきを含んでいる。一般的な除去技術は、湿式及び乾式の、等方性及び異方性のエッチングを含んでいる。
【0004】
材料の層が順次堆積されかつ除去されるにつれて、ウェーハの最上面は非平面的になる。後続の半導体処理(例えば、金属被膜法)は、ウェーハが平坦な表面を有することを必要とするため、ウェーハは平坦化される必要がある。平坦化は、望ましくない表面形状及び表面欠陥、例えば、粗い表面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料、を除去するのに有用である。
【0005】
ケミカルメカニカル平坦化、又はケミカルメカニカル研磨(CMP)は、加工物(例えば、半導体ウェーハ)を平坦化又は研磨するために使用される一般的な技術である。従来のCMPにおいて、ウェーハ搬送機又は研磨ヘッドは、搬送機アセンブリに取り付けられている。研磨ヘッドはウェーハを保持し、ウェーハをCMP装置内のテーブル又はプラテン上に載置された研磨パッドの研磨層と接触させて位置決めする。搬送機アセンブリは、ウェーハと研磨パッドとの間に制御可能な圧力を提供する。同時に、研磨媒体(例えば、スラリー)が研磨パッド上に分配され、ウェーハと研磨層との間の隙間に引き込まれる。研磨パッド及びウェーハは、基板を研磨するように、典型的には互いに対して回転する。研磨パッドがウェーハの下で回転すると、ウェーハは、典型的には環状の研磨トラック又は研磨領域を掃き出し、ウェーハの表面は研磨層に直接対面する。ウェーハ表面は、研磨層及び表面上の研磨媒体の化学的及び機械的作用によって研磨されかつ平坦にされる。
【0006】
ラインハルト(Reinhardt)達の米国特許第5,578,362号は、マクロテクスチャをパッドに提供するための溝の使用を開示している。特に、様々なパターン、輪郭、溝、螺旋、放射状、ドット又は他の形状を開示する。ラインハルト達に含まれる特定の例は、同心円及びX-Y溝と重ね合わされた同心円である。同心円状溝パターンはパッドの縁部への直結の流路を提供しないので、同心円状溝は最も一般的な溝パターンであることが証明されている。
【0007】
リン(Lin)達は、米国特許第6,120,366号の
図2で、円形溝と放射状供給溝との組合せを開示している。この例は、同心円状溝パターンに24個の放射状供給溝を追加することを示す。この溝パターンの欠点は、研磨パッド上の床面積が小さいために、スラリーの使用量が大幅に増加し、パッドの寿命が短くなって研磨が限定的にしか改善されないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それにもかかわらず、研磨性能とスラリー使用のより良好な組み合わせを有するケミカルメカニカル研磨パッドが絶えず必要とされている。さらに、ケミカルメカニカル研磨中、除去速度を高め、スラリーの使用量を少なくし、全体的な均一性を改善し、かつ欠陥を減少させるところの溝に対する必要性が存在している。
【0009】
本発明の一態様は、半導体基板、光学基板及び磁性基板の少なくとも1つのウェーハを研磨又は平坦化する方法を提供する。この方法は、研磨パッドを回転させることであり、上記回転する研磨パッドが、ポリマーマトリックスと厚さとを有する研磨層を有し、上記研磨層が、中心、外縁部、および上記研磨パッドの上記中心から上記外縁部へ延在する半径を含む;研磨層の放射状供給溝が、上記研磨層を複数の研磨領域に分割し、上記研磨領域が、2つの隣接する放射状供給溝によって画定された扇形であり、上記放射状供給溝が、少なくとも上記中心に近接する位置から上記外縁部に近接する位置まで延在し;且つ、各研磨領域が、隣接する一対の放射状供給溝を接続する一連の偏倚(斜めに偏りがある)された溝(以下、偏倚溝とも記す)を含み、上記偏倚された溝の大部分が、上記中心に向かう内側への偏倚、又は、上記研磨パッドの上記外縁部に向かう外側への偏倚を有しており、上記内側へ、及び、外側へ偏倚された溝の両方共に、研磨流体を上記研磨パッドの上記外縁部の方へ、且つ、内側への偏倚、又は、外側への偏倚、及び、上記研磨パッドの回転方向に依存して、上記ウェーハの方へ、又は、上記ウェーハから離れるように移動させる、ことと;研磨流体を、上記回転する研磨パッド上に、且つ、上記放射状供給溝、及び、上記一連の偏倚された溝に分配すること;及び、i)上記研磨パッドの反時計回りの回転中、上記回転する研磨パッドの中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を増加させること、若しくは、上記回転する研磨パッドの上記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を減少させること、又は、ii)上記研磨パッドの時計回りの回転中、上記回転する研磨パッドの上記中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を減少させること、若しくは、上記回転する研磨パッドの上記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を増加させること、のどちらかを選択することによって、研磨を調整するように、上記研磨パッドの複数の回転で上記回転する研磨パッドに対して、上記ウェーハを押圧し且つ回転させること、を包含している。
【0010】
本発明の別の態様は、半導体基板、光学基板及び磁性基板の少なくとも1つのウェーハを研磨又は平坦化するための方法を提供する。この方法は、研磨パッドを回転させることであり、上記回転する研磨パッドが、ポリマーマトリックスと厚さとを有する研磨層を有し、上記研磨層が、中心、外縁部、および上記研磨パッドの上記中心から上記外縁部へ延在する半径を含む;研磨層の放射状供給溝が、上記研磨層を研磨領域に分割し、上記研磨領域が、2つの隣接する放射状供給溝によって画定された扇形であり、上記研磨領域が二等分線で二等分され、上記放射状供給溝が、少なくとも上記中心に近接する位置から上記外縁部に近接する位置まで延在し;且つ、各研磨領域が、隣接する一対の放射状供給溝を接続する一連の偏倚された溝を含み、上記偏倚された溝の大部分が、上記二等分線から20°~85°の角度で上記研磨パッドの中心に向かう内側への偏倚、又は、上記二等分線から95°~160°の角度で上記研磨パッドの外縁部に向かう外側への偏倚を有しており、上記内側へ、及び、外側へ偏倚された溝の両方共に、研磨流体を上記研磨パッドの外縁部の方へ、且つ、内側への偏倚、又は、外側への偏倚、及び、上記研磨パッドの回転方向に依存して、上記ウェーハの方へ、又は、上記ウェーハから離れるように移動させる、ことと;研磨流体を、上記回転する研磨パッド上に且つ上記放射状供給溝及び上記一連の偏倚された溝に分配すること;及び、i)上記研磨パッドの反時計回りの回転中、上記回転する研磨パッドの中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を増加させること、若しくは、上記回転する研磨パッドの上記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を減少させること、又は、ii)上記研磨パッドの時計回りの回転中、上記回転する研磨パッドの上記中心に向かう内側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を減少させること、若しくは、上記回転する研磨パッドの上記外縁部に向かう外側への偏倚の一連の偏倚された溝に対して、上記ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を増加させること、のどちらかを選択することによって、研磨を調整するように、上記研磨パッドの複数の回転で上記回転する研磨パッドに対して上記ウェーハを押圧し且つ回転させること、を包含している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、その研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された溝を有する。
【
図1A】
図1の内側偏倚研磨パッドの概略の部分破断上面図である。
【
図1B】
図1Aの一連の非等脚台形溝の概略の部分破断上面図であり、台形の底辺を図面の下辺と平行に描くために回転させている。
【
図1C】相互に接続された内側への偏倚溝を有する
図1の放射状供給溝の概略の部分破断斜視図である。
【
図2】隣接する放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された溝を各々が有する8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの概略上面図である。
【
図2A】
図2の外側偏倚研磨パッドの概略の部分破断平面図である。
【
図2B】台形の底辺を図面の下辺と平行に表示するように回転させられた、
図2Aの一連の非等脚台形溝の概略の部分破断平面図である。
【
図2C】相互接続された外側への偏倚溝を有する
図2の放射状供給溝の概略の部分破断斜視図である。
【
図3】反時計回りのプラテン回転に対してウェーハの下での研磨流体の滞留時間を増加させるために、内側への偏倚溝が研磨流体を研磨パッドの外縁部に向けて流す方法の概略図である。
【
図3A】反時計回りのプラテン回転に対してウェーハの下での研磨流体の滞留時間を減少させるために、外側への偏倚溝が研磨流体を研磨パッドの外縁部に向けて流す方法の概略図である。
【
図4】3つの研磨領域を有している内側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、隣接する放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された溝をそれぞれが有している。
【
図4A】3つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された溝を各々が有している。
【
図5】4つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された溝をそれぞれが有している。
【
図5A】4つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された溝を各々が有している。
【
図6】5つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された溝を有している。
【
図6A】5つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された溝を各々が有している。
【
図7】6つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された溝を各々が有している。
【
図7A】6つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された溝を各々が有している。
【
図8】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された湾曲溝を有している。
【
図8A】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝に接続する一連の内側へ偏倚された湾曲溝を有している。
【
図9】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの1つの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する湾曲した放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された溝を有している。
【
図10】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する湾曲した放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された湾曲溝を有している。
【
図11】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する段付きの放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された湾曲溝を有している。
【
図11A】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する段付きの放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された湾曲溝を有している。
【
図11B】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する段付き放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された湾曲溝を有している。
【
図12】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を接続する一連の内側へ偏倚された段付き溝を有している。
【
図12A】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝に接続する一連の外側へ偏倚された段付き溝を有している。
【
図13】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する段付きの放射状供給溝を接続する一連の外側へ偏倚された段付き溝を有している。
【
図14】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分が破断された概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を全て接続する2つの一連の通常のピッチでの内側偏倚段付き溝の間に一連の増加したピッチでの内側偏倚段付き溝を有している。
【
図14A】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を全て接続する2つの一連の通常のピッチでの外側偏倚湾曲溝の間の一連の増加したピッチでの外側偏倚湾曲溝を有している。
【
図14B】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を全て接続する2つの一連の通常ピッチの内側偏倚湾曲溝の間の一連の増加したピッチでの内向き偏倚湾曲溝を有している。
【
図14C】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を全て接続する2つの一連の正常ピッチでの内側偏倚溝の間に一連の増加したピッチでの内側偏倚溝を有している。
【
図15】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝をすべて接続する2つの一連の増加したピッチでの内側偏倚段付き溝の間に直列の標準ピッチでの内側偏倚段付き溝を有している。
【
図15A】8つの研磨領域を有する外側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝をすべて接続する2つの一連の増加したピッチでの外側偏倚湾曲溝の間に直列の通常ピッチでの外側偏倚湾曲溝を有している。
【
図15B】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝をすべて接続する2つの一連の増加したピッチでの内側偏倚湾曲溝の間に直列の通常のピッチでの内側偏倚湾曲溝を有している。
【
図15C】8つの研磨領域を有する内側偏倚研磨パッドの半分を破断した概略の上面図であり、これら研磨領域の各々は、隣接する放射状供給溝を全て接続する2つの一連の増加したピッチでの内側偏倚溝の間に直列の通常ピッチでの内側偏倚溝を有している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の溝パターン及び方法は、研磨流体(例えば、研磨剤含有スラリー及び研磨剤を含有しない研磨溶液)の制御された且つ均一の分配を提供する。効率的な分配により、従来の溝に比べてスラリーの流れを減少させることができる。さらに、相互接続された溝経路は、研磨欠陥を低減するための研磨残屑が効率的な仕方でパッドを離れることを可能にする。最後に、溝パターンは、研磨の均一性、ウェーハプロファイル、ダイスケールの均一性を改善し、エッジ効果を改善しうる。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「台形」という用語は、平行な1対の辺のみを有する四角形又は四辺形を形成する相互接続された複数の溝を意味する。台形は、2つの平行な底辺とこれら底辺を接続する2つの脚とを有する。台形のすべての角度を合計すると360度になる。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「非等脚台形」という用語は、2つの非一致脚又は異なる長さの脚を有する台形を形成する相互接続溝を意味する。パッド中心に近い方の脚は、周囲に近い脚の長さよりも短い長さを有する。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「扇形」という用語は、2つの放射状供給溝と研磨パッドの外縁部に沿って延びる周囲円弧によって画定される研磨パッドの一部分を指す。放射状供給溝は、直線放射状、湾曲放射状、段付き放射状、又は他の形状を有しうる。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「研磨流体」という用語は、研磨剤含有研磨スラリー又は研磨剤を含まない研磨溶液を指す。
【0017】
本明細書で使用される「偏倚角度θ」という用語は、研磨領域を二等分する二等分線と、隣接する放射状供給溝を接続する傾斜された偏倚溝との間の角度を指す。二等分線は、放射状供給溝の方向の変化に伴ってシフトし、各偏倚溝の端から端までの平均を表す。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「内側偏倚角度θ」という用語は、溝の頂部を下方に見て左から右に測定された、研磨パッドの中心の方へ内側に傾斜する偏倚角度を指す。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「外側偏倚角度θ」という用語は、溝の頂部を下向きに見て左から右に測定された、研磨パッドの外周の方へ外側に傾斜する偏倚角度を指す。
【0020】
「ウェーハ」という用語は、磁気基板、光学基板、及び半導体基板を包含する。本明細書に含まれる表現(例えば、ウェーハ滞留時間)は、上側から見て、反時計回りの回転の場合はウェーハの左側へ、そして時計回りの場合はウェーハの右側へ研磨流体の落下点を仮定する。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「ポリ(ウレタン)」という用語は、イソシアネートと活性水素基を含有する化合物との間の反応により形成されるポリマーであり、具体的には、(a)(i)イソシアネート及び(ii)ポリオール(ジオールを含む)から形成されたポリウレタン、及び(b)(i)イソシアネートの(ii)ポリオール(ジオールを含む)及び(iii)水、アミン又は水とアミンとの組み合わせとの反応から形成されるポリウレタンを含む。本発明の研磨パッドは、有利にはポリマーであるが、最も有利にはポリウレタンポリマーである。
【0022】
本発明の溝パターンは、多数の利点を提供する。第1の利点は、偏倚された溝の大部分がウェーハを同じ方向に掃引することである。全ての偏倚された溝を同じ方向に掃引することは、利益をさらに増加させる。ウェーハを同じ方向に掃引することは、ウェーハを溝で押し、研磨除去速度に有益な累積的な影響を与える。さらに、偏倚された溝が同じ方向に整列しているので、搬送部ヘッドを振動させることなくウェーハを研磨することが可能であり、又は遥かに小さい振幅で又はより遅い振動速度でそれを振動させうる。このことは、研磨パッドの縁部により近い、パッド中心から十分に離れた固定位置で、ウェーハを研磨することを可能にする。外縁部に近接するこれらの位置で、パッドは中心よりも速く回転し、除去速度をさらに増加させる。さらに、非振動モードにおける研磨は、研磨パッド及び保持リングの摩耗が少ないために、複数のウェーハにわたって一貫したエッジプロファイルを提供し、欠陥を低減し、研磨パッド寿命及び保持リング寿命を延ばす。振動を停止させることは、また、プラテンサイズを小さくした製造工具を使用することを可能にする。これは、デュアルプラテン及び450mmサイズのCMPツールにとって特に重要である。さらに、高速と低速との間の中心プロファイルを調整するために且つ一貫した平坦なプロファイルを提供するために、放射状溝の数、プラテン速度及び偏倚角度θの組み合わせを用いることが可能である。
【0023】
さらに、供給溝及び偏倚溝は、研磨パッドを横切って一様なスラリー配分を容易にし、ウェーハ表面にわたって良好なスラリー配分を提供するように組み合わされる。これは、ウェーハ全体にわたる研磨速度プロファイルを調整し、プラテン速度又は偏倚角度θ又はその両方を変更することによって全体的な均一性を改善することを可能にする。さらに、偏倚角度θ又はキャリア速度、又はその両方を最適化することによって、ウェーハエッジプロファイルが上手く調整されうる。これは、極端に低いエッジ排除を伴う高度なロジック及び3D NANDでのウェーハエッジ歩留まりにとってより重要である。典型的には、研磨パッドは少なくとも3つの供給溝を有し、3~32の溝の間で変化させうる。典型的には、ウェーハは、1つの放射状供給溝及び多数の偏倚された溝の上にある状態と2以上の放射状供給溝及び多数の偏倚された溝の上にある状態との間で交代する。この均一な分布は、搬送部リングでのプールを排除し、研磨パッドがより効率的な方法で、又はスラリーの流れが減少して動作することを可能にする。
【0024】
本発明の別の予期しない特徴は、ウェーハ表面における良好なスラリー分布とウェーハとパッドとの間の過剰な熱及び研磨温度を低下させることとにより、従来の溝よりも高い下に押す力での研磨を可能にすることである。これは、CMP金属研磨(例えば、銅、タンタル及びタングステンの研磨)に特に重要である。これらの金属層、誘電体層、絶縁体層、及び他の材料層は、すべてウェーハ構成要素を表す。本発明の溝パターンは、多孔質及び非多孔質研磨パッドの両方で動作する。本発明の溝パターンは、非多孔質研磨パッド(例えば、一度に単一の単原子層を除去するための原子スケール研磨)による精密研磨に特に有用である。
【0025】
内側及び外側へ偏倚された両方の溝は、研磨パッドから研磨流体を逃すように導くので、より少ない欠陥のために効率的な研磨デブリの除去を提供する。
【0026】
図1及び
図1Aを参照すると、本発明の研磨パッド10は、半導体基板、光学基板、及び磁気基板の少なくとも1つを研磨又は平坦化するのに適している。研磨層12は、ポリマーマトリクス及び厚さ14を有する。研磨層12は、中心16、外縁部18及び中心16から外縁部18まで延びる半径(r)を含む。有利には、ウェーハは、研磨パッド10の中心16から研磨パッドの外縁部18に近い半径rに沿って、研磨パッド10の中心16に位置して、ウェーハの少なくとも1構成要素の除去速度を増加させる。放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32、及び34は、中心16から、又は任意の円形溝36から開始する。放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32、及び34は、研磨層12を研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54に分割する。特に、2つの隣接する放射状供給溝(例えば、20及び22)は、外縁部18の周囲円弧19と組み合わせて、研磨領域40を画定する。研磨領域42、44、46、48、50、52、及び54と共に研磨領域40は、中心16で小さな円形の扇形が切り取られた扇形の形状を有している。放射状供給溝20、22、24 、26、28、30、32、及び34は、少なくとも中心16に隣接する円形溝36から外縁部18まで又はそれに近接するまで有利に延在する。
【0027】
図1A及び1Bを参照すると、研磨領域40は、一連の積重ねられた台形溝領域60、62、64、66及び68を含んでいる。研磨領域40は、溝のない中心領域を有する、研磨パッド10の扇形(
図1)を表す。平行な直線溝又は平行な底辺溝160、162、164、166、168、及び170は、台形溝領域60、62、64、66、及び68の頂部及び底部を規定する。放射状供給溝20の放射状供給溝セグメント20a、20b、20c、20d、及び20eは、それぞれ台形溝領域60、62、64、66、及び68の左側を画定する。放射状供給溝22の放射状供給溝セグメント22a、22b、22c、22d、及び22eは、それぞれ台形溝領域60、62、64、66、及び68の右側を画定する。研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54(
図1)はすべて、平行な底辺溝で間隔を置いた一連の台形溝領域を含む。円形研磨パッド10の形状又は研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54の扇形を収容するために、台形溝領域は、しばしば外縁部18又は円形溝36を収容するように切断される。
【0028】
台形溝領域60、62、64、66、及び68はすべて、異なる長さの放射状の脚セグメントを有する非等脚台形の領域を表している。この溝パターンは中心に向かって内側への偏倚を有するので、放射状供給溝セグメント20a、20b、20c、20d、及び20eは、それぞれ放射状セグメント22a、22b、22c、22d、及び22eよりも長い。非等脚台形を表す各台形溝領域に加えて、積み重ねられた台形領域の周囲(例えば、台形領域60、及び62の周囲及び台形領域60、62、及び64の周囲)は、非等脚台形を画定する。円形溝36に隣接する台形領域70は、円形溝36を収容するための切り取られた部分を有している。同様に、外縁部18に隣接する台形溝領域80、82、84、86、88、90、92、94、96、及び98はすべて、研磨パッド10の外縁部18の円形形状に適応するために切り取られた部分を有している。研磨パッドを回転させることは、研磨パッド10の外縁部18に亘る台形溝領域80、82、84、86、88、90、92、94、96、及び98の近傍の一連の偏倚された溝の一部分を通して使用済みの研磨流体を送り、ウェーハの下に新しい研磨流体の流れを可能にする。
【0029】
図1Aを参照すると、破線AAは、外縁部18の周囲円弧19の中点に中心16を接続することによって研磨領域40を二等分している。離間された台形溝領域80、82、84、86、88、90、92、94及び96の底辺は、角度θで線AAと交差する。本明細書の目的のために、
図1A及び2Aに図示されているように、中心が上にあり外縁部が下にあるとき、角度θは、右上向きの角度である。有利には角度θは、内側へ偏倚された溝の場合、20~85度である。より有利には、角度θは、内側へ偏倚された溝の場合、30~80度である。放射状供給溝20は、台形溝領域60、62、64、66、及び68と角度α
1で交差する。放射状供給溝22は、台形溝領域60、62、64、66、及び68と角度β
1で交差する。内側へ偏倚された台形溝領域60、62、64、66、及び68に対して、α
1の角度はβ
1の角度よりも小さい。
【0030】
図1Bを参照すると、研磨領域60、62、64、66、及び68は、一連の離間した非等脚台形溝構造である。台形溝構造は、脚セグメント20a、20b、20c、20d、及び20e並びに22a、22b、22c、22d、及び22eをそれぞれ形成する2つの隣接する放射状供給溝20及び22を接続している平行な底辺セグメント160、162、164、166、168、及び170を有している。底辺セグメント160、162、164、166、168、及び170は、脚セグメント(20a、20b、20c、20d、及び20e)及び(22a、22b、22c、22d、及び22e)のそれぞれと異なる角度で交差する。一連の非等脚台形溝構造は、研磨パッドの外縁部の近くから中心に向かって延在している。一連の台形の構造60、62、64、66、及び68の周囲もまた台形である。
【0031】
研磨パッドの回転は、底辺セグメント160、162、164、166、168、170及び脚セグメント(20a、20b、20c、20d、及び20e)及び(22a、22b、22c、22d、及び22e)を通して研磨パッドの外縁部に向かって研磨流体を移動させる。外側への移動に加えて、研磨流体は、研磨パッドの時計回りの回転でウェーハの方へ移動し、そして研磨パッドの反時計回りの回転でウェーハから離れるように移動する。ウェーハの方への研磨流体の動きは、ウェーハの下のスラリーの滞留時間を減少させ、ウェーハから離れる動きは、ウェーハの下のスラリーの滞留時間を増加させる。例えば、内側への偏倚は、反時計回りのプラテン回転についての滞留時間を増加させうる。有利には、全ての研磨領域は同じ偏倚を有する。
【0032】
図1Cを参照すると、回転中に研磨流体は、回転する研磨パッド上に、放射状供給溝22(22a、22b、及び22c)及び一連の偏倚された溝160、161、162、及び163内に分配される。遠心力は、研磨流体を放射状供給溝22(22a、22b、及び22c)及び一連の偏倚溝160、161、162、及び163を通して研磨パッドの外縁部に向け矢印の方向に流す。さらに、研磨流体は、外側壁160a、161a、162a、及び163aをそれぞれウェットランド領域60a、61a、62a、及び63aへ溢れ出ることによって外側に移動する。次に、研磨流体は、後続の偏倚溝160及び162のそれぞれの内側壁161b及び160b(見えない別の偏倚溝、及びランド領域60a及び61aに沿った流れに対しては見えない内側壁)に流れる。内側壁160b及び外側壁160aでの流れの矢印は、内向き偏倚溝160の内外への研磨流体の流れを示す。典型的には、偏倚溝160及び162は、偏倚溝161及び163と一直線にならない。隣接研磨領域の間の偏倚溝のこの非整合は、改善されたスラリー分布のために、放射状の供給溝22への流れを容易にする。別の実施形態において、隣接する研磨領域の偏倚溝を整列させることが可能である。複数の回転のために回転する研磨パッドに対してウェーハを押圧し且つ回転させることは、溢れ出る研磨流体によって、全て濡らされたランド領域60a、61a、62a、及び63aを有するウェーハの少なくとも1構成要素が除去される。
【0033】
図1から
図1Cまでを参照すると、研磨パッド10は、好ましくは、少なくとも20個の内側へ偏倚された溝(例えば、各研磨領域40、42、44、46、48、及び60内に160、162、164、166、168、及び170)を含んでいる。これら内側への偏倚溝は、隣接する放射状供給溝の間を接続する溝セグメントを表す。それらは、反時計回りのプラテン回転でのウェーハ基板の下でスラリー滞留時間を増加させるように組み合わせられる。より好ましくは、研磨パッド10は、各研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54内に20~1000個の内側へ偏倚された溝を含む。最も好ましくは、研磨パッド10は、それぞれ20~500個の内側へ偏倚された溝を含む研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54を含む。
【0034】
典型的には、研磨パッド10は、全放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32、及び34(8)に対して少なくとも15倍の全内側へ偏倚された溝、例えば、160、162、164、166、168、及び170、を有する。例えば、研磨パッド10上の全放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32、及び34(8)に対して20~1000倍の内側へ偏倚された溝が存在してもよい。好ましくは、研磨パッド10上の全放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32及び34(8)に対して20~500倍の内側へ偏倚された溝を有する。
【0035】
図2及び2Aを参照すると、本発明の研磨パッド210は、半導体基板、光学基板及び磁性基板の少なくとも1つを研磨又は平坦化するのに適している。研磨層212は、ポリマーマトリックス及び厚さ214を有する。研磨層212は、中心216と、外縁部218と、中心216から外縁部218に延在する半径(r)とを含んでいる。有利には、ウェーハは、研磨パッド210の中心216から研磨パッドの外縁部218の近くまでの半径rに沿った或る位置に、その後ウェーハの少なくとも1構成要素の除去速度を増加させるために研磨パッド210の中心216に置かれた状態を維持する。放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234は、中心216から又は任意選択の円形溝236から始まる。放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234は、研磨層212を研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254に分離する。特に、2つの隣接する放射状供給溝、例えば220及び222は、外縁部218の周囲円弧219と組み合されて、研磨領域240を画定する。研磨領域240は、研磨領域242、244、246、248、250、252、及び254と共に、中心216において小さな扇形を取り除かれた扇形の形状を有する。放射状供給溝220、222、224 226、228、230、232、及び234は、有利には、中心216に隣接する円形溝236から少なくとも外縁部218まで又はその近くまで延在する。
【0036】
図2A及び2Bを参照すると、研磨領域240は、一連の積重ねられた台形溝領域260、262、264、266、及び268を含む。研磨領域240は、溝がない中心領域を有する研磨パッド210の扇形を表す(
図2)。平行な直線溝又は平行な底辺溝360、362、364、366、368、及び370は、台形溝領域260、262、264、266、及び268の上辺及び下辺を画定する。放射状供給溝220の放射状供給溝セグメント220a、220b、220c、220d、及び220eは、それぞれ台形溝領域260、262、264、266、及び268の左側を画定する。放射状供給溝222の放射状供給溝セグメント222a、222b、222c、222d、及び222eは、それぞれ台形溝領域260、262、264、266、及び268の右側を画定する。研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254(
図2)はすべて、平行な底辺溝で離間した一連の台形溝領域を含む。円形研磨パッド210の形状又は円形領域の研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254に適合するために、台形溝領域は、しばしば、外縁部218又は円形溝236に適合するように切断される。
【0037】
台形溝領域260、262、264、266、及び268はすべて、放射状脚セグメントが異なる長さの非等脚台形領域を表す。この溝パターンは、外縁部218に向かう外側への偏倚を有するので、放射状供給溝セグメント220a、220b、220c、220d、及び220eは、それぞれ放射状セグメント222a、222b、222c、222d、及び222eよりも長い。非等脚台形を表す各台形溝領域に加えて、積み重なった台形領域の周囲、例えば台形領域260及び262の周囲、及び台形領域260、262、及び264の周囲もまた、非等脚台形を画定する。円形溝236に隣接する台形領域270は、円形溝236を収容するため切り取られた部分を有する。同様に、外縁部218に隣接する台形溝領域280、282、284、286、288、290、292、294、及び296の全ては、円形溝236に隣接する台形領域270の一部分が、研磨パッド210の外縁部218の円形形状を収容するために切り取られた部分を有してている。研磨パッドを回転させると、ウェーハの下に新しい研磨流体を流すことができるように、使用済みの研磨流体が研磨パッド210の外縁部218を超えて、台形溝領域280、282、284、286、288、290、292、294、及び296に隣接する一連の偏倚された溝の一部分を通して送られる。
【0038】
図2Aを参照すると、破線AAは、中心216を外縁部218の周囲円弧219の中点に接続することによって研磨領域240を二等分している。分離された台形溝領域280、282、284、286、288、290、及び292の底辺は、破線AAと角度θで交差する。本明細書の目的のために、角度θは、中心が上にあり外縁部が下にある場合に、
図1A及び2Aに図示されているように、右上側の角度である。有利には、角度θは、外側へ偏倚された溝に対して95~160度である。より有利なことには、角度θは、外向き偏倚溝に対して100~150度である。放射状供給溝220は、台形溝領域260、262、264、266、及び268と角度α
2で交差する。放射状供給溝222は、台形溝領域260、262、264、266、及び268と角度β
2で交差する。外側へ偏倚された台形溝領域260、262、264、266、及び268の場合に、α
2の角度はβ
2の角度よりも大きい。
【0039】
図2Bを参照すると、研磨領域260、262、264、266、及び268は、一連の分離された非等脚台形溝構造である。台形溝構造は、脚セグメント220a、220b、220c、220d、及び220e、並びに222a、222b、222c、222d、及び222eをそれぞれ形成する2つの隣接する放射状供給溝220及び222を接続する平行な底辺セグメント360、362、364、366、368、及び370を有する。底辺セグメント360、362、364、366、368、及び370は、脚セグメント(220a、220b、220c、220d、220e)及び(222a、222b、222c、222d、222e)のそれぞれと異なる角度で交差する。一連の非等脚台形溝構造は、外縁部の近傍から研磨パッドの中心に向かって延在している。一連の台形構造260、262、264、266、及び268の周囲もまた台形である。
【0040】
研磨パッドの回転は、底辺セグメント360、362、364、366、368、及び370、並びに脚部セグメント(220a、220b、220c、220d、及び220e)及び(222a、222b、222c、222d、及び222e)を通って研磨パッドの外縁部に向かって研磨流体を移動させる。外側への移動に加えて、研磨流体は、研磨パッドの時計回りの回転に対してはウェーハの方へ移動し、研磨パッドの反時計回りの回転に対してはウェーハから離れるように移動する。ウェーハの方への研磨流体の動きは、ウェーハの下のスラリーの滞留時間を減少させ、ウェーハから離れる動きはウェーハの下のスラリーの滞留時間を増加させる。例えば、外側への偏倚は、反時計回りのプラテン回転に対して滞留時間を減少させうる。有利には、全ての研磨領域は同じ偏倚を有する。
【0041】
図2Cを参照すると、回転中、研磨流体は、回転する研磨パッド上及び放射状供給溝222(222a、222b、及び222c)並びに一連の偏倚された溝360、361、362、及び163に分配される。遠心力は、放射状供給溝222(222a、222b、及び222c)及び一連の偏倚された溝360、361、362、及び363を通して矢印の方向に、研磨パッドの外縁部の方へ研磨流体を移動させる。さらに、研磨流体は、外側壁360a、361a、362a、及び363aを溢れ出ることによって、外側にそれぞれ濡れたランド領域260a、261a、262a、及び263aにまで移動する。次に、研磨流体は、後続の偏倚溝360及び362のそれぞれの内側壁361b及び360b(ランド領域60a及び61aに沿う流れのための見えない別の偏倚溝及び見えない内側壁)に流れ込む。内側壁360b及び外側壁360aでの流れの矢印は、外側への偏倚溝360に入り且つそこから出ていく研磨流体の流れを示す。典型的には、偏倚溝360及び362は、偏倚溝361及び363と整列しない。改良されたスラリー分配によって、放射状供給溝222の流れを容易にする。別の実施形態では、隣接する研磨領域の偏倚溝を整列させることが可能である。複数の回転のために回転する研磨パッドに対してウェーハを押圧して回転させると、溢れ出る研磨流体によって全て濡れたランド領域260a、261a、262a及び263aを有するウェーハの少なくとも1構成要素が除去される。
【0042】
図2~
図2Cを参照すると、研磨パッド210は好ましくは、少なくとも20個の外側へ偏倚された溝、例えば260、262、264、266、268、及び270を、各研磨領域240、242、244、246、248、250,252、及び254に含んでいる。これらの外側への偏倚溝は、隣接する放射状供給溝間を接続する溝セグメントを表している。それらは、反時計回りのプラテン回転を有するウェーハ基板の下でのスラリー滞留時間を減少させるように組み合わされる。より好ましくは、研磨パッド210は、20~1000個の外側へ偏倚された溝を、各研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254に含んでいる。最も好ましくは、研磨パッド210は、20~500個の外側へ偏倚された溝を、各研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254に含んでいる。
【0043】
典型的には、研磨パッド210は、全放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234(8)に対する外側へ偏倚された溝全体、例えば、360、362、364、166、368、及び370の少なくとも15倍を有する。例えば、研磨パッド210上に全放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234(8)に対して、合計で20~1000倍の外側へ偏倚された溝が存在しうる。好ましくは、研磨パッド210上に全放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234(8)に対して20~500倍の外側へ偏倚された溝が存在しうる。
【0044】
図3及び3Aを参照すると、どのように研磨パッドの遠心運動が偏倚溝3-3及び3a-3aを通る研磨流体の外側への運動をもたらすかを、スラリー流動ベクトルは示している。矢印は、典型的なスラリー滴点を表しているDPと共に反時計回りのプラテン回転方向を示している。このスラリーベクトルは、ウェーハの下のスラリー流動点を表す点Wで交差する。内側への偏倚溝(
図3)の場合、V
ibは内側への偏倚溝3-3を通る研磨流体の外方向への速度を表し、V
Nは内側への偏倚溝3-3に垂直なスラリーの流れを表している。得られたスラリーの流れV
T又は速度の合計は、ウェーハに対して遅くなり、ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を増加させる。外側への偏倚溝(
図3A)の場合、V
obは外側への偏倚溝3a-3aを通る研磨流体の外側への速度を表し、V
Nは内側への偏倚溝3a-3aに垂直なスラリーの流れを表している。得られたスラリーの流れV
T又は速度の合計は、ウェーハに対してより速くなり、ウェーハの下の研磨流体の滞留時間を減少させる。この溝の構造により、プラテン速度と偏倚角度とが、研磨流体の滞留時間を制御するように組み合わされる。
【0045】
図4を参照すると、内側偏倚研磨パッド400は、3つの研磨領域402、404、及び406を有している。放射状供給溝408、410、及び412は、研磨パッド400を、角度120度で分離された等サイズの研磨領域402、404、及び406に分離する。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば100度、100度、及び160度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を3つの異なるサイズ、例えば100度、120度、及び140度に分離することが可能である。研磨パッド400が回転すると、長い偏倚された溝がウェーハを掃引して除去速度を改善する。この実施形態においては、放射状供給溝408、410、及び412が、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することは有利である。
【0046】
図4Aを参照すると、外側偏倚研磨パッド450は、3つの研磨領域452、454、及び456を有している。放射状供給溝458、460、及び462は、研磨パッド450を、120度で分離された等しいサイズの研磨領域452、454、及び456に分離する。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、100度、100度、及び160度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を3つの異なるサイズ、例えば100度、120度、及び140度に分離することが可能である。研磨パッド450が回転すると、長い偏倚された溝がウェーハを掃引して除去速度を改善する。この実施形態において、放射状供給溝458、460、及び462が、研磨流体の分布を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することは有利である。
【0047】
図5を参照すると、内側偏倚研磨パッド500は、4つの研磨領域502、504、506、及び508を有する。放射状供給溝510、512、514、及び516は、研磨パッド500を、90度で分離された等サイズの研磨領域502、504、506、及び508に分離している。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、80度、100度、80度、及び100度に分離することが可能である。別の代替実施形態において、研磨領域を4つの異なるサイズ、例えば、70度、110度、80度、及び100度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド500を回転すると、偏倚された溝がウェーハを掃引して除去速度を改善する。この実施形態において、放射状供給溝510、512、514、及び516は、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することが有利である。
【0048】
図5Aを参照すると、外側偏倚研磨パッド550は、4つの研磨領域552、554、556、及び558を有する。放射状供給溝560、562、564、及び566は、研磨パッド550を、90度で分離された等サイズの研磨領域552、554、556、及び558に分離している。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば80度、100度、80度、及び100度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を4つの異なるサイズ、例えば70度、80度、100度、及び110度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド550が回転すると、偏倚された溝がウェーハを掃引して除去速度を改善する。この実施形態において、放射状供給溝560、562、564、及び566が、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することが有利である。
【0049】
図6を参照すると、内側偏倚研磨パッド600は、5つの研磨領域602、604、606、608、及び610を有している。放射状供給溝612、614、616、618、及び620は、研磨パッド600を72度によって等サイズに分離された研磨領域602、604、606、608、及び610に分離する。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、60度、90度、60度、90度、及び60度に分離することが可能である。別の代替実施形態において、研磨領域を5つの異なるサイズ、例えば、52度、62度、72度、82度、及び92度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド600が回転するにつれて、偏倚された溝がウェーハを掃引して除去速度を向上させ、追加の放射状供給溝が研磨流体の分配を容易にする。この実施形態では、放射状供給溝612、614、616、618、及び620が、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することは有利である。
【0050】
図6Aを参照すると、外側偏倚研磨パッド650は、5つの研磨領域652、654、656、658、及び660を有する。放射状供給溝662、664、666、668、及び670は、研磨パッド650を72度に分離された等サイズの研磨領域652、654、656、658、及び660に分離する。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、60度、90度、60度、90度、及び60度に分離することが可能である。別の代替実施形態において、研磨領域を5つの異なるサイズ、例えば、52度、62度、72度、82度、及び92度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド650が回転するにつれて、偏倚された溝はウェーハを掃引して除去速度を改善し、追加の放射状の供給溝は研磨流体の分配を容易にする。この実施形態では、放射状供給溝662、664、666、668、及び670は、研磨流体の分配を改善するように、偏倚溝よりも大きな断面を有することが有利である。
【0051】
図7を参照すると、内側偏倚研磨パッド700は、6つの研磨領域702、704、706、708、710、及び712を有している。放射状供給溝714、716、718、720、722、及び724は、研磨パッド700を60度によって分離された等サイズの研磨領域702、704、706、708、710、及び712に分離している。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、50度、70度、50度、70度、50度、及び70度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を6つの異なるサイズ、例えば、30度、40度、50度、70度、80度、及び90度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド700が回転するにつれて、偏倚された溝はウェーハを掃引して除去速度を改善し、追加の放射状供給溝は研磨流体の分配を容易にする。この実施形態では、放射状供給溝714、716、718、720、722、及び724は、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することが有利である。
【0052】
図7Aを参照すると、外側偏倚研磨パッド750は、6つの研磨領域752、754、756、758、760、及び762を有している。放射状供給溝764、766、768、770、772、及び774は、研磨パッド750を60度によって分離された等サイズの研磨領域752、754、756、758、760、及び762に分離する。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、50度、70度、50度、70度、50度、及び70度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を6つの異なるサイズ、例えば、30度、40度、50度、70度、80度、及び90度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド750が回転するにつれて、偏倚された溝はウェーハを掃引して除去速度を改善し、追加の放射状供給溝は研磨流体の分配を容易にする。この実施形態では、放射状供給溝764、766、768、770、772、及び774が、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することが有利である。
【0053】
図1を参照すると、内側偏倚研磨パッド10は、8つの研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54を有している。放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32、及び34は、研磨パッド10を、45°で分離された等サイズの研磨領域40、42、44、46、48、50、52、及び54に分離している。図示されていない別の実施形態おいて、研磨領域を2つのサイズ、例えば、35度、55度、35度、55度、35度、55度、35度、及び55度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を8つの異なるサイズ、例えば、25度、30度、35度、40度、50度、55度、60度、及び65度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド10が回転するにつれて、偏倚された溝はウェーハを掃引して除去速度を改善し、追加の放射状供給溝は研磨流体の分配を容易にする。この実施形態では、放射状供給溝20、22、24、26、28、30、32、及び34が、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することは有利である。研磨パッドの回転は、ウェーハを1つの放射状供給溝の上にある状態と2つの放射状供給溝の上にある状態との間で交代させる。
【0054】
図2を参照すると、外側偏倚研磨パッド210は、8つの研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254を有している。放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234は、研磨パッド210を、45度によって分離された等サイズの研磨領域240、242、244、246、248、250、252、及び254に分離している。図示されていない別の実施形態において、研磨領域を2つのサイズ、例えば、35度、55度、35度、55度、35度、55度、35度、及び55度に分離することが可能である。さらに別の実施形態において、研磨領域を8つの異なるサイズ、例えば、25度、30度、35度、40度、50度、55度、60度、及び65度に分離することが可能である。さらに、研磨領域の順序を変えることも可能である。研磨パッド210が回転するにつれて、偏倚された溝はウェーハを掃引して除去速度を改善し、追加の放射状供給溝は研磨流体の分配を容易にする。この実施形態では、放射状供給溝220、222、224、226、228、230、232、及び234が、研磨流体の分配を改善するように、偏倚された溝よりも大きな断面を有することは有利である。
【0055】
図8及び8Aを参照すると、研磨パッド800及び850の偏倚された溝810及び860をそれぞれ湾曲させることは、溝のランド領域上の研磨流体の均一な流れを促進しうる。研磨パッド800及び850は外側への偏倚溝810及び860を有している。研磨パッド800及び850が回転すると、研磨流体が溝810及び860から外縁部812及び862に向かって流出する。溝810及び860において、溝が外側に向かうにつれて、溝の外側への傾斜は減少し、そして、これは外側への速度を遅くし、時計回り及び反時計回りの両方の回転中に、研磨流体が、ランド領域を溝810及び860の端部の方へ濡らすのを容易にする。
【0056】
これらの構成及び本明細書の目的に対して、偏倚角度θは、破線で表された二等分線に対する湾曲され偏倚された溝の平均角度に等しい。
図8に示された偏倚角度を測定する1つの方法は、隣接する放射状供給溝820及び830を単一の湾曲偏倚溝に沿って接続する仮想線8a-8aを描き、そして破線の二等分線B
8との交差角(θ)即ち偏倚角を測定する。同様に、
図8Aに関して、仮想線8a-8aは、隣接する放射状供給溝870及び872を単一の湾曲偏倚溝に沿って接続し、そして破線の二等分線B
8aとの交差角(偏倚角度θに等しい)を測定する。各湾曲偏倚セグメントの少なくとも大部分が内側又は外側へ角度のいずれかを有することが重要である。好都合なことに、偏倚溝の大部分で同じ偏倚を有する。これは、外側への偏倚溝部分を伴う内側への偏倚溝部分を有することが、除去速度に関して互いに打ち消し合う傾向があるためである。有利なことに、全ての偏倚セグメントは、内側への偏倚又は外側への偏倚のいずれかを有する。
【0057】
図9を参照すると、研磨パッド900は、湾曲した放射状供給溝910、912、914、及び916を有する。供給溝910、912、914、及び916は、研磨パッド900の時計回りの回転に対して流体流を強めるように、反時計回りに湾曲している。この形状は、時計回りの回転の間、研磨流体の外側への流れを加速して外側への偏倚溝920への研磨流体の分配を改善し、そして反時計回りの回転の間、外側への流れを減速して外側への偏倚溝920への研磨流体の分配を減少させる。あるいは、放射状供給溝は、逆の影響に対して時計回り方向(図示せず)に湾曲しうる。この形状は、反時計回りの回転の間、研磨流体の外向きの流れを減速して外側への偏倚溝920への研磨流体の分配を改善し、そして時計回りの回転の間、外側への流れを加速して外側への偏倚溝920への研磨流体の分配を減少させる。
【0058】
湾曲した放射状供給溝914及び916を有する
図9の偏倚角度の測定には、破線の放射状線Ra及びRbを、破線の放射状線Ra及びRbを二等分する仮想の二等分線B
9を伴って描くことが必要である。これは、二等分線B
9と交差する外側への偏倚溝930に対する偏倚角度θを示している。弦Ra
1とRb
1は等しい長さを有し、それぞれ放射状の線Ra及びRbと平行である。破線Ra
1-Rb
1は、弦Ra
1及びRb
1の端部を接続し、そして偏倚溝930で二等分線B
9と交差している。溝930の偏倚角は、二等分線B
9と溝930との間の角、即ちθである。本実施形態は、各偏倚溝に沿い且つ研磨領域全体にわたって一定のθを有している。
【0059】
図10を参照すると、研磨パッド1000は、外側へ偏倚された湾曲溝1020と組み合わされた湾曲した放射状供給溝1010、1012、1014、及び1016を含んでいる。特に、この溝パターンは、研磨パッド1000の外縁部1022の近傍で研磨流体を微調整又は調整するために、湾曲した放射状供給溝1010、1012、1014及び1016を含んでいる。さらに、外側へ偏倚した湾曲溝1020は、研磨領域1030、1032、及び1034内のランド領域上の研磨流体流を平衡させるように働く。
【0060】
湾曲した放射状供給溝1014及び1016を有する
図10の偏倚角度の測定には、破線の放射状線Ra及びRbを、破線の放射状線Ra及びRbを二等分する仮想の二等分線B
10を伴って描く必要がある。これは、二等分線B
10と交差する外側への偏倚溝1040の偏倚角度θを示す。弦Ra
1とRb
1は等しい長さを有し、それぞれ放射状線RaとRbに平行である。破線Ra
1-Rb
1は、弦Ra
1とRb
1との端部を接続し、偏倚溝1040で二等分線B
9と交差している。溝1040の偏倚角度は、二等分線B
10と溝1040の端部を結ぶ線との間の角度、即ちθである。本実施形態は、研磨パッド1000から一層間隔を空けられた各偏倚溝で増加するθを有している。
【0061】
図11、11A、及び11Bを参照すると、研磨パッド1100は、段付き放射状供給溝1110、1112、1114、及び1116を含んでいる。この形状は、時計回りの回転の間、研磨流体の外側への流れを減速して、外側への偏倚溝1120、1122、及び1124への研磨流体の分配を改善し、反時計回りの回転の間、外側への流れを加速して、外側への偏倚溝1120、1122、及び1124への研磨流体の分配を減少させる。あるいは、放射状供給溝は、反対の影響を与えるために時計回りの方向(図示せず)に湾曲させることができる。この形状は、反時計回りの回転中に、研磨流体の外向きの流れを減速して外側への偏倚溝1120、1122、及び1124への研磨流体の分配を改善し、時計回りの回転中に、外側への流れを加速して外側への偏倚溝1120、1122、及び1124への研磨流体の分配を減少させる。外側への湾曲放射状偏倚溝1120、内側への放射状偏倚溝1122、及び内側への平行な放射状偏倚溝1124は全て、ウェーハの下の研磨流体の滞留時間及び微調整研磨プロファイルを調整するように働く。さらに、プラテン又はウェーハの回転速度を調整することによって、エッジプロファイルを調整することが可能である。例えば、プラテン又はウェーハ速度を増加させることによって、中央高速研磨を平坦プロファイルに変えることができる。この効果は、ウェーハが研磨パッドの中心と縁との間で振動しない場合に、一層顕著になる。
【0062】
図11を参照すると、仮想線11-11は単一の偏倚溝を接続する。二等分線B
11-1における仮想線11-11と放射状供給溝1114、1116との間の角度は、θ
1又は研磨領域の第1の部分に対する偏倚角度を表している。研磨領域のこの部分は、研磨パッドの中心から間隔を空けられた各偏倚された溝に対して減少する偏倚角を有している。
【0063】
第2の領域は、放射状線Ra及びRbを二等分する放射状線Ra及びRb及びB11-2の描画を必要とする。半径方向の弦Ra1及びRb1は等しい長さを有し、且つそれぞれ放射状線Ra及びRbに平行である。破線B11-2は、これらの半径方向の弦の二等分線を表す。仮想線Ra1-Rb1は、Ra1とRb1とを結んでおり、偏倚溝1130と二等分線B11-2の交点を通る。偏倚溝1130の端部と二等分線B11-2とを結ぶ線の交点は、偏倚角度又はθ2を表す。研磨領域のこの部分はまた、研磨パッドの中心から間隔を空けられた各偏倚溝に対して減少する偏倚角を有している。
【0064】
図12及び12Aを参照すると、研磨パッド1200は、放射状供給溝1210、1220、1230、及び1240を接続する一連の段付き偏倚溝1202及び1204をそれぞれ含みうる。段付き偏倚溝1202及び1204は、セグメント1202a及び1202b、そして1204は、セグメント1204a及び1204bを有し、それぞれは説明のための破線で分離されている。
図12は、溝セグメント1202a及び1202bの等しい部分に分割された内側へ偏倚された段付き溝1202を有する。この構成において、スラリーは先ず、溝セグメント1202aを通り浅い偏倚で移動し、その後より急峻な傾斜を有する溝セグメント1202bを通り増加した速度で移動する。
図12Aは、溝セグメント1204a及び1204bの不均等な部分に分割された偏倚された段付き溝1204を有している。この構成において、スラリーは先ず、溝セグメント1204aを通る急峻な偏倚で移動し、その後より浅い傾斜の溝セグメント1204bを通り減少した速度で移動する。ウェーハプロファイルとエッジプロファイルを調整するために、セグメントの間隔と傾斜を用いることが可能である。
【0065】
図13を参照すると、研磨パッド1300は、隣接する段付き放射状供給溝1310、1320、1330、及び1340を相互接続する外側へ偏倚した段付き溝1302を含んでいる。段付き偏倚溝1302は、セグメント1302a及び1202bを有し、それぞれは説明のための破線で分離されている。段付き放射状供給溝及び段付き偏倚溝の両方に関しての段差の位置及び段差での勾配は、研磨除去速度、ウェーハプロファイル、及びエッジプロファイルに影響を与える。
【0066】
図14、14A、14B、及び14Cを参照すると、研磨パッドは、異なるピッチ又は異なる断面積を有する2つ以上の溝領域を含みうる。
図14、14A、14Cはすべて、次の3つの領域;(a)第1の通常ピッチでの溝、(b)増加したピッチでの溝、及び(c)領域(a)に等しいピッチを有する溝、を有する内側への間隔領域を含む。この溝の間隔は、中心の高速ウェーハプロファイルを除去するのに有効である。ウェーハプロファイルの微調整は、各溝領域の幅及び各溝領域内の溝の密度を調整することによって可能である。溝の間隔を調整することは、ウェーハのエッジプロファイルを改善することに特に影響を与える。
図14において分かるように、偏倚された溝は、平行な直線溝、平行な湾曲溝又は段付き溝であってもよい。これらの溝は、等間隔又は不等間隔を有してもよい。
【0067】
図15、15A、15B、及び15Cを参照すると、研磨パッドは、異なるピッチ又は異なる断面積を有する2つ以上の溝領域を含むことができる。
図15、15A、15B、及び15Cは、全て、次の3つの領域;(a)第1の増加したピッチでの溝、(b)通常のピッチでの溝、及び(c)領域(a)と等しいピッチを有する溝、を有する内側への間隔領域を含んでいる。この溝の間隔は、中央低速ウェーハプロファイルを除去するのに有効である。ウェーハプロファイルの微調整は、各溝領域の幅及び各溝領域内の溝の密度を調整することによって可能である。溝の間隔を調整することは、ウェーハのエッジプロファイルを改善することに特に影響を与える。
図15において分かるように、偏倚溝は、平行な直線溝、平行な湾曲溝、又は段付き溝であってもよい。これらの溝は、等間隔又は不等間隔を有してもよい。