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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】電子部品実装装置及び電子部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H05K13/04 Q
H05K13/04 A
H05K13/04 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018116629
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019220564
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和馬
(72)【発明者】
【氏名】三浦 貴浩
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/056276(WO,A1)
【文献】特開2016-152235(JP,A)
【文献】国際公開第2014/207802(WO,A1)
【文献】特開2013-093427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の裏面と所定面とが平行になるように前記基板の端部を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された前記基板の表面に、リードを有するリード型電子部品及び前記リードを有しない搭載型電子部品を含む電子部品を実装する実装ヘッドと、
前記基板の裏面に対向する位置に配置され、一対のクリンチ部材を含むアーム部材と、
一方の前記クリンチ部材の上端部と他方の前記クリンチ部材の上端部とを接近及び離間させる開閉機構と、
前記基板の裏面側で前記所定面に平行な方向及び前記所定面に直交する方向に前記アーム部材を移動可能であり、前記電子部品の実装において前記基板の裏面に前記アーム部材を接触させる移動装置と、
前記電子部品が実装される前記基板の厚みを示す厚さデータを含む生産プログラムを記憶する記憶部と、
前記生産プログラムに基づいて、前記アーム部材及び前記移動装置を制御する制御部と、を備え
前記リード型電子部品の実装において、前記基板の裏面から突出した前記リードが前記アーム部材により曲げられ、
前記搭載型電子部品の実装において、一方の前記クリンチ部材の上端部と他方の前記クリンチ部材の上端部とが接触した状態で、前記基板の裏面が前記アーム部材に支持され、
前記制御部は、前記搭載型電子部品の実装において、前記厚さデータに基づいて、前記基板の裏面に接触した前記アーム部材を上昇させるときの前記アーム部材の目標位置を決定する、
電子部品実装装置。
【請求項2】
前記移動装置は、前記基板の裏面に前記アーム部材の上端部が接触した後、前記アーム部材を規定距離だけ上昇させる、
請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記実装ヘッドは、前記アーム部材が前記基板の裏面に接触した後、前記電子部品を実装する、
請求項1又は請求項2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記実装ヘッドは、複数の前記電子部品を順次実装し、
前記移動装置は、前記電子部品が実装される前記基板の表面の搭載位置に基づいて決定された基板Pの裏面の支持位置に前記アーム部材を接触させる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記実装ヘッドは、第1電子部品を前記基板の表面の第1搭載位置に実装した後、第2電子部品を前記基板の表面の第2搭載位置に実装し、
前記移動装置は、前記第1電子部品の実装において前記基板の裏面の第1支持位置に前記アーム部材を接触させ、前記第1電子部品が実装された後前記第2電子部品が実装される前に、前記基板の裏面から前記アーム部材を離し、前記第2電子部品の実装において前記基板の裏面の第2支持位置に前記アーム部材を接触させる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
方の前記クリンチ部材の上端部と他方の前記クリンチ部材の上端部とが接触した状態において、一方の前記クリンチ部材の上面と他方の前記クリンチ部材の上面とは同一面内に配置される、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
基板の裏面と所定面とが平行になるように前記基板の端部を保持することと、
前記基板の表面に、リードを有するリード型電子部品及び前記リードを有しない搭載型電子部品を含む電子部品を実装することと、
前記電子部品の実装において、前記基板の裏面側で前記所定面に平行な方向及び前記所定面に直交する方向に移動可能であり、一対のクリンチ部材を含むアーム部材を前記基板の裏面に接触させることと、
一方の前記クリンチ部材の上端部と他方の前記クリンチ部材の上端部とを接近及び離間させることと、を含み、
前記リード型電子部品の実装において、前記基板の裏面から突出した前記リードが前記アーム部材により曲げられ、
前記搭載型電子部品の実装において、一方の前記クリンチ部材の上端部と他方の前記クリンチ部材の上端部とが接触した状態で、前記基板の裏面が前記アーム部材に支持され、
前記搭載型電子部品の実装において、前記基板の厚みを示す厚さデータに基づいて、前記基板の裏面に接触した前記アーム部材を上昇させるときの前記アーム部材の目標位置を決定する、
電子部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置及び電子部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の生産工程において、基板の表面に電子部品を実装する電子部品実装装置が使用される。電子部品実装技術の一例として、リード部品のリードをクリンチ器具により曲げる技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6027778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の実装において基板が撓むと、実装不良が発生する可能性がある。その結果、生産される電子部品の性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、電子部品の実装において基板の撓みを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、基板の裏面と所定面とが平行になるように前記基板の端部を保持する基板保持機構と、前記基板保持機構に保持された前記基板の表面に電子部品を実装する実装ヘッドと、前記基板の裏面に対向する位置に配置されるアーム部材と、前記基板の裏面側で前記所定面に平行な方向及び前記所定面に直交する方向に前記アーム部材を移動可能であり、前記電子部品の実装において前記基板の裏面に前記アーム部材を接触させる移動装置と、を備える電子部品実装装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、基板の裏面と所定面とが平行になるように前記基板の端部を保持することと、前記基板の表面に電子部品を実装することと、前記電子部品の実装において、前記基板の裏面側で前記所定面に平行な方向及び前記所定面に直交する方向に移動可能なアーム部材を前記基板の裏面に接触させることと、を含む電子部品実装方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、電子部品の実装において基板の撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電子部品実装装置を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る実装ヘッドを模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態に係るノズルを示す図である。
図4図4は、実施形態に係る電子部品を示す模式図である。
図5図5は、実施形態に係る基板支持装置を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る基板支持装置の一部を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る基板支持装置の一部を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る基板支持装置の一部を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る基板支持装置の一部を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態に係る基板支持装置の一部を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態に係る基板支持装置の一部を示す斜視図である。
図12図12は、実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図13図13は、実施形態に係る電子部品実装方法を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係る電子部品実装装置の動作を示す模式図である。
図15図15は、実施形態に係る電子部品実装装置の動作を示す模式図である。
図16図16は、実施形態に係る電子部品実装装置の動作を示す模式図である。
図17図17は、実施形態に係る電子部品実装装置の動作を示す模式図である。
図18図18は、実施形態に係る電子部品実装装置の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、所定面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向とし、X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転又は傾斜方向をθX方向とし、Y軸を中心とする回転又は傾斜方向をθY方向とし、Z軸を中心とする回転又は傾斜方向をθZ方向とする。所定面は、XY平面である。所定面に平行な方向は、X軸方向及びY軸方向の一方又は両方を含む。Z軸方向は、所定面に直交する方向である。本実施形態において、所定面は、水平面と平行であり、Z軸方向は、上下方向である。なお、所定面は、水平面に対して傾斜してもよい。
【0012】
[電子部品実装装置]
図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置100を示す斜視図である。図1に示すように、電子部品実装装置100は、ベースフレーム114と、電子部品Cを供給する電子部品供給装置200と、電子部品供給装置200が設置される設置部102と、基板Pを搬送する基板搬送装置103と、基板搬送装置103の搬送経路に設けられ、基板Pの端部を保持する基板保持機構104と、基板保持機構104に保持された基板Pの表面に電子部品Cを実装する実装ヘッド106と、実装ヘッド106に設けられ、電子部品Cを保持可能なノズル30と、XY平面内において実装ヘッド106を移動可能な実装ヘッド移動装置107と、実装ヘッド106に設けられ、実装ヘッド106に対してノズル30をZ軸方向及びθZ方向に移動可能なノズル移動装置140と、基板Pの裏面に対向する位置に配置されるアーム部材310を有する基板支持装置300と、電子部品実装装置100を制御する制御装置120とを備える。
【0013】
電子部品供給装置200は、複数の電子部品Cを順次供給するフィーダを含む。設置部102は、フィーダが設置されるフィーダバンクを含む。設置部102、基板搬送装置103、実装ヘッド106、及び実装ヘッド移動装置107は、ベースフレーム114に支持される。電子部品供給装置200に部品供給位置PJaが規定される。部品供給位置PJaは、電子部品供給装置200から実装ヘッド106に電子部品Cを供給する部品供給処理が実施される位置である。
【0014】
基板搬送装置103は、基板Pを実装位置PJbに搬送する。実装位置PJbは、電子部品Cを基板Pに実装する実装処理が実施される位置である。基板搬送装置103は、基板Pを搬送可能な搬送ベルトを有する。搬送ベルトは、Y軸方向に一対設けられる。一方の搬送ベルトは、基板Pの裏面の+Y側の端部を支持し、他方の搬送ベルトは、基板Pの裏面の-Y側の端部を支持する。搬送ベルトは、無端ベルトを含み、基板Pを支持した状態で回転することにより、基板PをX軸方向に搬送する。
【0015】
基板保持機構104は、基板搬送装置103の搬送経路において基板Pの端部を保持する。基板保持機構104は、実装位置PJbにおいて基板Pを保持する。基板保持機構104に保持された基板は、実装位置PJbで停止する。基板保持機構104は、基板Pの端部を挟むクランプ機構を含む。基板保持機構104は、Y軸方向の基板Pの両端部を保持する。基板保持機構104は、基板Pの表面及び裏面のそれぞれとXY平面とが平行になるように基板Pを保持する。基板Pの表面は、上方を向く面である。基板Pの裏面は、下方を向く面である。
【0016】
実装ヘッド106は、基板保持機構104に保持された基板Pの表面に電子部品Cを実装する。実装ヘッド106は、電子部品Cを解放可能に保持するノズル30を有する。実装ヘッド106は、部品供給位置PJa及び実装位置PJbを含むXY平面内において移動可能である。実装ヘッド106は、電子部品供給装置200から供給された電子部品Cをノズル30で保持して、実装位置PJbに配置されている基板Pの表面に実装する。
【0017】
実装ヘッド移動装置107は、基板Pの上方及び電子部品供給装置200の上方で、実装ヘッド106を移動する。実装ヘッド移動装置107は、部品供給位置PJa及び実装位置PJbを含むXY平面内において実装ヘッド106を移動可能である。
【0018】
実装ヘッド移動装置107は、実装ヘッド106をX軸方向にガイドするX軸ガイドレール107aと、X軸ガイドレール107aをY軸方向にガイドするY軸ガイドレール107bと、実装ヘッド106をX軸方向に移動するための動力を発生するX駆動部109と、実装ヘッド106をY軸方向に移動するための動力を発生するY駆動部110とを有する。
【0019】
実装ヘッド106は、X軸ガイドレール107aに支持される。X駆動部109は、モータのようなアクチュエータを含み、X軸ガイドレール107aに支持されている実装ヘッド106をX軸方向に移動するための動力を発生する。X駆動部109の作動により、実装ヘッド106は、X軸ガイドレール107aにガイドされながらX軸方向に移動する。
【0020】
X軸ガイドレール107aは、Y軸ガイドレール107bに支持される。Y駆動部110は、モータのようなアクチュエータを含み、Y軸ガイドレール107bに支持されているX軸ガイドレール107aをY軸方向に移動するための動力を発生する。Y駆動部110の作動により、X軸ガイドレール107aは、Y軸ガイドレール107bにガイドされながらY軸方向に移動する。X軸ガイドレール107aがY軸方向に移動することにより、実装ヘッド106がY軸方向に移動する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る実装ヘッド106を模式的に示す図である。実装ヘッド106は、電子部品Cを解放可能に保持するノズル30を有する。ノズル30は、部品供給位置PJaにおいて、電子部品供給装置200から供給された電子部品Cを保持する。ノズル30は、部品供給位置PJaにおいて電子部品Cを保持した後、実装位置PJbまで搬送し、基板Pに実装する。実装位置PJbにおいて電子部品Cが基板Pに実装された後、ノズル30は、電子部品Cを解放する。これにより、基板Pに電子部品Cが実装される。
【0022】
実装ヘッド106は、ノズル30をZ軸方向及びθZ方向に移動可能なノズル移動装置140を有する。ノズル移動装置140は、ノズル30をZ軸方向に移動するZ駆動部150と、ノズル30をθZ方向に回転するθZ駆動部160とを含む。Z駆動部150は、モータのようなアクチュエータを含み、ノズル30をZ軸方向に移動するための動力を発生する。θZ駆動部160は、モータのようなアクチュエータを含み、ノズル30をθZ方向に移動するための動力を発生する。
【0023】
ノズル30は、実装ヘッド移動装置107及びノズル移動装置140により、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。なお、ノズル30は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向、及びθZ方向の6つの方向に移動可能でもよい。
【0024】
図3は、本実施形態に係るノズル30を示す図である。図3に示すノズル30は、電子部品Cを挟んで保持する把持ノズルである。ノズル30は、ノズル本体35と、ノズル本体35に支持され、電子部品Cを挟んで保持する保持部32とを有する。保持部32は、固定アーム32Aと、可動アーム32Bと、可動アーム32Bを移動可能な駆動部33とを有する。可動アーム32Bは、ヒンジ機構34を介してノズル本体35に支持される。可動アーム32Bは、ヒンジ機構34の回転軸を中心に回転可能である。固定アーム32Aと可動アーム32Bとの間に電子部品Cが配置されている状態で、可動アーム32Bが固定アーム32Aに接近するように移動することにより、電子部品Cは保持部32に保持される。可動アーム32Bが固定アーム32Aから離れるように移動することにより、電子部品Cは保持部32から解放される。なお、ノズル30は、電子部品Cを吸着保持する吸着ノズルでもよい。
【0025】
[電子部品]
図4は、本実施形態に係る電子部品Cを示す模式図である。本実施形態において、基板Pに実装される電子部品Cは、リードLDを有するリード型電子部品Caと、リードを有しない搭載型電子部品Cbとを含む。
【0026】
図4(A)に示すように、リード型電子部品Caは、部品本体CHと、部品本体CHから下方に突出するリードLDとを有する。リード型電子部品Caを基板Pに実装するとき、実装ヘッド106は、基板Pに設けられている貫通孔にリードLDが挿入されるように、基板Pの表面にリード型電子部品Caを実装する。基板Pの表面にリード型電子部品Caが実装されると、リードLDの下端部が基板Pの裏面から下方に突出する。
【0027】
図4(B)に示すように、搭載型電子部品Cbは、リードを有しない。基板Pの表面に搭載型電子部品Cbが実装されても、基板Pの裏面からリードは突出しない。
【0028】
[基板支持装置]
次に、本実施形態に係る基板支持装置300について説明する。図5は、本実施形態に係る基板支持装置300を示す斜視図である。基板支持装置300は、電子部品Cの実装において、基板保持機構104に保持されている基板Pの裏面を支持する。基板支持装置300は、基板搬送装置103により搬送される基板Pの搬送経路の下方に配置される。基板支持装置300は、基板保持機構104に保持されている基板Pの裏面に対向する位置に配置されるアーム部材310を有する。基板支持装置300は、電子部品Cの実装において、基板保持機構104に保持されている基板Pの裏面にアーム部材310を接触させることにより基板Pを支持する。電子部品Cは、基板保持機構104に保持され、基板支持装置300に支持されている基板Pの表面に実装される。
【0029】
基板支持装置300は、基板保持機構104に保持されている基板Pの裏面に対向する位置に配置されるアーム部材310と、基板Pの裏面側でアーム部材310を移動する移動装置350とを有する。
【0030】
移動装置350は、基板Pの裏面側でXY平面に平行な方向及びXY平面に直交するZ軸方向にアーム部材310を移動可能であり、電子部品Cの実装において基板Pの裏面にアーム部材310を接触させる。
【0031】
移動装置350は、ベースプレート351と、アーム部材310を支持する移動部材352と、移動部材352をY軸方向にガイドするY軸ガイド部353と、Y軸ガイド部353をX軸方向にガイドするX軸ガイド部354と、移動部材352をY軸方向に移動するための動力を発生するY軸駆動部355と、移動部材352をX軸方向に移動するための動力を発生するX軸駆動部356と、アーム部材310をZ軸方向にガイドするZ軸ガイド部357と、アーム部材310をZ軸方向に移動するための動力を発生するZ軸駆動部358とを有する。
【0032】
ベースプレート351は、基板保持機構104の下方に配置される。ベースプレート351は、ベースフレーム114に支持される。
【0033】
移動部材352は、アーム部材310を支持する。移動部材352は、アーム部材310を支持した状態で、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに移動可能である。移動部材352は、Y軸ガイド部353に支持される。
【0034】
Y軸ガイド部353は、底板353Aと、底板353Aの+Y側の端部及び-Y側の端部のそれぞれに固定された側板353Bと、一対の側板353Bの間に配置された一対のY軸ガイドロッド353Cとを有する。Y軸ガイドロッド353Cは、Y軸方向に延在する。Y軸ガイドロッド353Cの一方の端部は、一方の側板353Bに固定される。Y軸ガイドロッド353Cの他方の端部は、他方の側板353Bに固定される。一対のY軸ガイドロッド353Cは、平行に配置される。移動部材352は、Y軸ガイドロッド353Cが配置される貫通孔を有する。移動部材352は、Y軸ガイドロッド353CによりY軸方向にガイドされる。
【0035】
Y軸駆動部355は、移動部材352をY軸方向に移動するための動力を発生する。Y軸駆動部355は、モータのようなアクチュエータを含む。Y軸駆動部355で発生した動力は、動力伝達機構を介して移動部材352に伝達される。Y軸駆動部355の作動により、移動部材352は、Y軸ガイド部353にガイドされながらY軸方向に移動する。移動部材352がY軸方向に移動することにより、アーム部材310がY軸方向に移動する。アーム部材310のY軸方向の位置は、Y軸駆動部355の駆動量により規定される。
【0036】
Y軸ガイド部353は、X軸ガイド部354に支持される。X軸ガイド部354は、ベースプレート351に支持される一対のX軸ガイドレール354Gを含む。X軸ガイドレール354Gは、X軸方向に延在する。一対のX軸ガイドレール354Gは、平行に配置される。
【0037】
X軸駆動部356は、Y軸ガイド部353をX軸方向に移動するための動力を発生する。X軸駆動部356は、モータのようなアクチュエータを含む。X軸駆動部356で発生した動力は、動力伝達機構を介してY軸ガイド部353に伝達される。X軸駆動部356の作動により、Y軸ガイド部353は、X軸ガイド部354にガイドされながらX軸方向に移動する。Y軸ガイド部353がX軸方向に移動することにより、移動部材352がX軸方向に移動する。移動部材352がX軸方向に移動することにより、アーム部材310がX軸方向に移動する。アーム部材310のX軸方向の位置は、X軸駆動部356の駆動量により規定される。
【0038】
図6図7図8図9図10、及び図11のそれぞれは、本実施形態に係る基板支持装置300の一部を示す斜視図である。図6は、基板支持装置300の一部を斜め上方から見た図である。図7は、基板支持装置300の一部を斜め下方から見た図である。図8は、図6の一部を拡大した図である。図9は、基板支持装置300の一部の要素を外した状態の斜視図である。図10及び図11のそれぞれは、アーム部材310を拡大した斜視図である。
【0039】
移動部材352は、第1支持部材311及び第2支持部材312を介して、アーム部材310を支持する。アーム部材310は、第2支持部材312に支持される。第2支持部材312は、第1支持部材311に支持される。第1支持部材311は、移動部材352に支持される。
【0040】
Z軸ガイド部357は、移動部材352に取り付けられる雄ねじロッド357Aと、第1支持部材311に取り付けられる雌ねじロッド357Bと、移動部材352に取り付けられるガイドロッド357Cとを有する。Z軸ガイド部357は、第1支持部材311をZ軸方向にガイドする。Z軸ガイド部357は、第1支持部材311をZ軸方向にガイドすることにより、アーム部材310をZ軸方向にガイドする。
【0041】
雄ねじロッド357Aは、Z軸方向に延在し、θZ方向に回転可能に移動部材352に支持される。雄ねじロッド357Aの外周面に雄ねじ山が形成される。雌ねじロッド357Bは、第1支持部材311に接続される。雌ねじロッド357Bは筒状であり、雌ねじロッド357Bに雄ねじロッド357Aが挿入される。雌ねじロッド357Bの内周面に雌ねじ溝が形成される。雄ねじロッド357Aの雄ねじ山と雌ねじロッド357Bの雌ねじ溝とが噛み合う。
【0042】
ガイドロッド357Cは、第1支持部材311をZ軸方向にガイドする。ガイドロッド357Cは、Z軸方向に延在する。ガイドロッド357Cは、移動部材352に設けられている孔357Dに挿入される。
【0043】
Z軸駆動部358は、第1支持部材311をZ軸方向に移動するための動力を発生する。Z軸駆動部358は、モータのようなアクチュエータを含む。Z軸駆動部358で発生した動力は、動力伝達機構358Dを介して雄ねじロッド357Aに伝達される。動力伝達機構358Dは、雄ねじロッド357Aに取り付けられるプーリと、プーリとZ軸駆動部358とを連結する無端ベルトとを含む。Z軸駆動部358の作動により、雄ねじロッド357AがθZ方向に回転する。雄ねじロッド357Aが回転すると、雌ねじロッド357BがZ軸方向に移動する。これにより、第1支持部材311がガイドロッド357CにガイドされながらZ軸方向に移動する。第1支持部材311がZ軸方向に移動することにより、アーム部材310がZ軸方向に移動する。アーム部材310のZ軸方向の位置は、Z軸駆動部358の駆動量により規定される。
【0044】
第1支持部材311は、第2支持部材312をθZ方向に回転可能に支持する。第2支持部材312は、アーム部材310を支持する。第2支持部材312は、アーム部材310を支持する支持台312Aと、支持台312Aの下部に固定される円筒部312Bとを含む。
【0045】
本実施形態において、基板支持装置300は、リード型電子部品CaのリードLDを曲げるためにアーム部材310を駆動するクリンチ装置320を有する。上述のように、リード型電子部品Caが基板Pに実装された場合、基板Pの裏面からリードLDが突出する。アーム部材310は、リード型電子部品CaのリードLDを曲げることができるクリンチ機能を有する。クリンチ装置320は、アーム部材310を駆動して、基板Pの裏面から突出したリードLDを曲げる。
【0046】
本実施形態においては、リード型電子部品Caの実装において、基板Pの裏面から突出したリードLDがアーム部材310により曲げられる。一方、搭載型電子部品Cbの実装において、基板Pの撓みが抑制されるように、基板Pがアーム部材310に支持される。
【0047】
アーム部材310は、基板保持機構104に保持されている基板Pの裏面に対向する位置に配置される一対のクリンチ部材310Bを含む。クリンチ装置320は、アーム部材310をθZ方向に回転させる回転機構330と、一対のクリンチ部材310Bを開閉させる開閉機構340とを有する。
【0048】
回転機構330は、第2支持部材312をθZ方向に回転させる。回転機構330は、第2支持部材312をθZ方向にガイドする回転ガイド部331と、第2支持部材312をθZ方向に回転するための動力を発生する回転駆動部332とを有する。
【0049】
回転ガイド部331は、第2支持部材312をθZ方向にガイドする。回転ガイド部331は、第1支持部材311に設けられた孔を含む。第2支持部材312の円筒部312Bが第1支持部材311の孔に回転可能に支持される。第2支持部材312は、回転ガイド部331によりθZ方向にガイドされる。
【0050】
回転駆動部332は、第2支持部材312をθZ軸方向に回転するための動力を発生する。回転駆動部332は、モータのようなアクチュエータを含む。回転駆動部332で発生した動力は、動力伝達機構332Dを介して第2支持部材312に伝達される。動力伝達機構332Dは、第2支持部材312の円筒部312Bと回転駆動部332とを連結する無端ベルトを含む。回転駆動部332の作動により、第2支持部材312は、回転ガイド部331にガイドされながらθZ方向に移動する。第2支持部材312がθZ方向に回転することにより、アーム部材310がθZ方向に回転する。アーム部材310のθZ方向の位置は、回転駆動部332の駆動量により規定される。
【0051】
開閉機構340は、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとを接近及び離間させる。以下の説明においては、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとを接近及び離間させることを適宜、一対のクリンチ部材310Bを開閉させる、という。
【0052】
一対のクリンチ部材310Bのそれぞれは、シャフト310Aに回転可能に支持される。クリンチ部材310Bの回転軸は、XY平面と平行である。図6から図11に示す例においては、クリンチ部材310Bは、シャフト310AにθY方向に回転可能に支持される。シャフト310Aは、ローラ344に固定される。一対のクリンチ部材310Bのそれぞれがシャフト310Aを中心に回転することにより、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが接近及び離間する。
【0053】
第2支持部材312の支持台312Aの上面に、一対のガイドロッド341Aが設けられる。ガイドロッド341Aは、Z軸方向に延在する。ローラ344は、ガイドロッド341Aの上端部に支持される。クリンチ部材310Bとシャフト310A及びローラ344とは相対回転可能である。
【0054】
開閉機構340は、第2支持部材312に対してZ軸方向に移動可能な開閉部材342と、アーム部材310を開閉するための動力を発生する開閉駆動部343とを有する。
【0055】
開閉部材342は、支持台312Aよりも上方に配置される。開閉部材342は、回転シャフト343Aに連結される。回転シャフト343Aは、Z軸方向に延在し、θZ方向に回転可能に移動部材352に支持される。図9及び図10に示すように、XY平面内において第2支持部材312の中央部に貫通孔313が設けられる。貫通孔313は、支持台312A及び円筒部312BをZ軸方向に貫く。回転シャフト343Aの少なくとも一部は、貫通孔313に配置される。回転シャフト343Aと第2支持部材312とは相対回転可能である。
【0056】
回転シャフト343Aの上部の外周面に雄ねじ山が形成される。開閉部材342は、回転シャフト343Aの上部が挿入される孔を有する。開閉部材342の孔の内周面に雌ねじ溝が形成される。回転シャフト343Aの雄ねじ山と開閉部材342の雌ねじ溝とが噛み合う。
【0057】
開閉部材342は、ガイドロッド341Aが配置される貫通孔を有する。ガイドロッド341Aは、開閉部材342をZ軸方向にガイドする。ガイドロッド341Aは、Z軸方向に延在する。開閉部材342は、Z軸方向に移動可能にガイドロッド341Aに支持される。開閉部材342は、ピン310Cを介して一対のクリンチ部材310Bに連結される。ピン310Cは、一対のクリンチ部材310Bの間に配置される。ローラ344と支持台312Aとがばね310Dで連結される。
【0058】
開閉駆動部343は、開閉部材342をZ軸方向に移動するための動力を発生する。開閉駆動部343は、モータのようなアクチュエータを含む。開閉駆動部343で発生した動力は、動力伝達機構343Dを介して回転シャフト343Aに伝達される。動力伝達機構343Dは、回転シャフト343Aに取り付けられるプーリと、プーリと開閉駆動部343とを連結する無端ベルトとを含む。開閉駆動部343の作動により、回転シャフト343AがθZ方向に回転する。回転シャフト343Aが回転すると、開閉部材342がガイドロッド341AにガイドされながらZ軸方向に移動する。開閉部材342がZ方向に移動することにより、ピン310CがZ軸方向に移動する。シャフト310A及びローラ344は、ガイドロッド341Aの上端部に支持されている。シャフト310A及びローラ344のZ軸方向の位置は実質的に変化しない。ピン310CがZ軸方向に移動することにより、一対のクリンチ部材310Bのそれぞれがシャフト310Aを中心に回転する。これにより、一対のクリンチ部材310Bが開閉する。図10に示すように、開閉部材342が+Z方向に移動することにより、一対のクリンチ部材310Bは開く。すなわち、一対のクリンチ部材310Bの上端部310Baは離間する。図11に示すように、開閉部材342が-Z方向に移動することにより、一対のクリンチ部材310Bは閉じる。すなわち、一対のクリンチ部材310Bの上端部310Baは接近する。クリンチ部材310Bの上端部310Baの開閉方向の位置は、開閉駆動部343の駆動量により規定される。
【0059】
以上のように、アーム部材310は、移動装置350及び回転機構330により、基板保持機構104に保持されている基板Pの裏面側で、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。また、一対のクリンチ部材310Bは、開閉機構340により開閉可能である。
【0060】
[制御装置]
図12は、本実施形態に係る制御装置120の一例を示す機能ブロック図である。制御装置120は、電子部品実装装置100を制御する。制御装置120は、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算装置と、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む記憶装置と、信号及びデータを入出力可能な入出力回路を含む入出力インターフェースとを有する。
【0061】
制御装置120は、制御部121と、記憶部122と、支持位置決定部123とを有する。
【0062】
記憶部122は、電子部品実装装置100の動作条件を示す生産プログラムを記憶する。生産プログラムは、電子部品Cの実装処理に使用されるデータを含む。生産プログラムは、基板Pの表面において電子部品Cが搭載される搭載位置MPを示す搭載位置データ、及び電子部品Cが実装される基板Pの厚みを示す厚みデータを含む。
【0063】
制御部121は、記憶部122に記憶されている生産プログラムに基づいて、基板搬送装置103、基板保持機構104、実装ヘッド106、電子部品供給装置200、及び基板支持装置300に制御信号を出力する。制御部121は、生産プログラムに基づいて、基板支持装置300のY軸駆動部355、X軸駆動部356、Z軸駆動部358、回転駆動部332、及び開閉駆動部343のそれぞれに制御信号を出力する。
【0064】
支持位置決定部123は、記憶部122に記憶されている生産プログラムに基づいて、基板Pの裏面においてアーム部材310を接触させる支持位置SPを決定する。
【0065】
実装ヘッド106は、生産プログラムに基づいて、複数の電子部品Cを基板Pに順次実装する。すなわち、実装ヘッド106は、部品供給位置PJaにおいて電子部品Cをノズル30で保持した後、実装位置PJbに移動し、基板Pに実装する。実装ヘッド106は、電子部品Cを基板の表面に実装した後、部品供給位置PJaに移動し、新たな電子部品Cをノズル30で保持する。実装ヘッド106は、部品供給位置PJaにおいて新たな電子部品Cをノズル30で保持した後、実装位置PJbに移動し、基板Pに実装する。このように、実装ヘッド106は、部品供給位置PJaと実装位置PJbとの間を移動して、複数の電子部品Cを基板Pに順次搬送する。制御部121は、基板Pの表面に規定される複数の搭載位置MPのそれぞれに電子部品Cが順次実装されるように、XY平面内において実装ヘッド106を移動させる。
【0066】
支持位置決定部123は、電子部品Cが実装される基板Pの表面の搭載位置MPに基づいて、アーム部材310を接触させる基板Pの裏面の支持位置SPを決定する。移動装置350は、支持位置決定部123により決定された基板Pの裏面の支持位置SPにアーム部材310を接触させる。
【0067】
[電子部品実装方法]
次に、本実施形態に係る電子部品実装方法について説明する。図13は、本実施形態に係る電子部品実装方法の一例を示すフローチャートである。図14図15図16図17、及び図18のそれぞれは、本実施形態に係る電子部品実装装置100の動作を示す模式図である。
【0068】
制御部121は、基板Pが実装位置PJbに搬送されるように、基板搬送装置103に制御信号を出力する。基板搬送装置103は、基板Pを実装位置PJbに搬送する(ステップS1)。
【0069】
図14は、基板Pが実装位置PJbに搬送された状態を示す。実装位置PJbに搬送された基板Pの下方にアーム部材310が配置される。アーム部材310は、基板Pの裏面と対向する。制御部121は、基板Pの裏面とアーム部材310とが接触しないように、移動装置350を制御して、Z軸方向におけるアーム部材310の位置を調整する。
【0070】
次に、制御部121は、実装位置PJbに搬送された基板Pを保持するように、基板保持機構104に制御信号を出力する。基板保持機構104は、実装位置PJbに搬送された基板Pを保持する(ステップS2)。
【0071】
図15は、基板Pが基板保持機構104に保持されている状態を示す。図15に示すように、基板保持機構104は、基板PのY軸方向の両端部を挟んで保持する。基板保持機構104は、基板Pの裏面とXY平面とが平行になるように、基板Pの両端部を保持する。重力の作用(基板Pの自重)により、基板Pは、基板PのY軸方向の中央部が下がるように撓む。
【0072】
制御部121は、カウンタn及びカウンタmのそれぞれを初期値である「1」に設定する(ステップS3)。
【0073】
支持位置決定部123は、生産プログラムに基づいて、基板Pの裏面においてアーム部材310を接触させる支持位置SPを決定する。
【0074】
本実施形態において、生産プログラムは、基板搬送装置103により実装位置PJbに搬送された基板Pが基板保持機構104に保持された後、基板Pの表面の第1搭載位置MP1に第1の電子部品C1が実装されるように、電子部品実装装置100の動作条件を規定する。
【0075】
支持位置決定部123は、第1搭載位置MP1に基づいて、基板Pの裏面においてアーム部材310を接触させる第1支持位置SP1を決定する。図15に示すように、制御部121は、アーム部材310が基板Pの裏面の第1支持位置SP1に対向するように、移動装置350を制御する。
【0076】
支持位置決定部123は、XY平面内において、第1搭載位置MP1との距離が短くなるように、第1支持位置SP1を決定する。本実施形態において、支持位置決定部123は、XY平面内において第1搭載位置MP1と同一位置になるように、第1支持位置SP1を決定する。すなわち、支持位置決定部123は、基板Pの裏面のうち第1搭載位置MP1の真裏の位置を第1支持位置SP1に決定する。
【0077】
なお、例えば第1搭載位置MP1の真裏の位置に別の電子部品又はリードのような物体が既に配置され、アーム部材310を基板Pの裏面のうち第1搭載位置MP1の真裏の位置に接触させることが困難である場合、支持位置決定部123は、物体を避けるように、第1支持位置SP1を決定する。
【0078】
すなわち、XY平面内において、第1実装位置MP1と第1支持位置SP1とは、一致してもよいし、離れていてもよい。本実施形態においては、第1実装位置MP1と第1支持位置SP1とがXY平面内において一致していない例を示す。
【0079】
アーム部材310が第1支持位置SP1の下方に配置された後、制御部121は、移動装置350を制御して、アーム部材310を上昇させる。本実施形態において、制御部121は、一対のクリンチ部材310Bを閉じた状態で、アーム部材310を+Z方向に移動させる。
【0080】
本実施形態において、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが接触した状態において、一方のクリンチ部材310Bの上面と他方のクリンチ部材310Bの上面とは同一面内に配置される。
【0081】
図15に示す状態からアーム部材310が+Z方向に移動すると、基板Pの裏面の第1支持位置SP1にアーム部材310の上端部310Baが接触する。移動装置350は、基板Pの裏面にアーム部材310の上端部310Baが接触した後、基板Pの表面が平坦になるように、アーム部材310を規定距離だけ上昇させる。
【0082】
図16は、基板Pの裏面の第1支持位置SP1がアーム部材310に支持されている状態を示す。図16に示すように、アーム部材310は、基板Pの裏面の第1支持位置SP1を支持する(ステップS4)。撓んだ状態の基板Pの裏面にアーム部材310の上端部310Baが接触した後、アーム部材310が規定距離だけ上昇することにより、基板Pの撓みが抑制され、基板Pの表面は平坦に補正される。
【0083】
基板Pの表面に電子部品Cを実装するときのZ軸方向における電子部品Cの目標高さは、生産プログラムにおいて予め規定されている。電子部品Cの目標高さは、電子部品実装装置100のローカル座標系において規定される。また、生産プログラムは、電子部品Cが実装される基板Pの厚さデータを含む。したがって、制御部121は、基板Pの厚さデータに基づいて、電子部品Cの目標高さに基板Pの表面の高さが一致するように、基板Pの裏面に接触したアーム部材310を上昇させるときのZ軸方向におけるアーム部材310の目標位置を決定することができる。
【0084】
実装ヘッド106は、アーム部材310が基板Pの裏面に接触した後、第1の電子部品C1を実装する。
【0085】
図17は、実装ヘッド106が第1の電子部品C1を基板Pに実装している状態を示す。制御部121は、基板Pの裏面の第1支持位置SP1がアーム部材310に支持されている状態で、実装ヘッド106を制御して、基板Pの表面の第1搭載位置MP1に第1の電子部品C1を搭載させる。実装ヘッド106は、第1の電子部品C1を基板Pの表面の第1搭載位置MP1に実装する(ステップS5)。
【0086】
基板Pの撓みが抑制されている状態で、実装処理が実施されることにより、電子部品Cの実装不良が抑制される。
【0087】
実装ヘッド106は、生産プログラムに基づいて、複数の電子部品Cを基板Pに順次実装する。制御部121は、生産プログラムに基づいて、複数の電子部品Cの実装が終了したか否かを判定する(ステップS6)。
【0088】
ステップS6において、電子部品Cの実装が終了していないと判定した場合(ステップS6:No)、制御部121は、カウンタn及びカウンタmのそれぞれをインクリメントする(ステップS7)。
【0089】
本実施形態において、生産プログラムは、第1の電子部品C1が基板Pの表面の第1搭載位置MP1に実装された後、基板Pの表面の第2搭載位置MP2に第2の電子部品C2が実装されるように、電子部品実装装置100の動作条件を規定する。
【0090】
支持位置決定部123は、第2搭載位置MP2に基づいて、基板Pの裏面においてアーム部材310を接触させる第2支持位置SP2を決定する。
【0091】
制御部121は、基板Pの裏面の第1支持位置SP1に接触していたアーム部材310が基板Pの裏面から離れるように、移動装置350を制御する。すなわち、移動装置350は、基板Pの裏面の第1支持位置SP1に接触していたアーム部材310を下降させて、基板Pの裏面からアーム部材310を離す。制御部121は、基板Pの裏面の第1支持位置SP1からアーム部材310が離れた後、アーム部材310が基板Pの裏面の第2支持位置SP2に対向するように、移動装置350を制御する。移動装置350は、アーム部材310が基板Pの裏面から離れた状態で、基板Pの裏面の第2支持位置SP2とアーム部材310とが対向するように、XY平面内においてアーム部材310を移動する。
【0092】
アーム部材310が第2支持位置SP2の下方に配置された後、制御部121は、移動装置350を制御して、アーム部材310を上昇させる。制御部121は、一対のクリンチ部材310Bを閉じた状態で、アーム部材310を+Z方向に移動させる。
【0093】
アーム部材310が+Z方向に移動すると、基板Pの裏面の第2支持位置SP2にアーム部材310の上端部310Baが接触する。移動装置350は、基板Pの裏面にアーム部材310の上端部310Baが接触した後、基板Pの表面が平坦になるように、アーム部材310を規定距離だけ上昇させる。
【0094】
アーム部材310は、基板Pの裏面の第2支持位置SP2を支持する(ステップS4)。アーム部材310により基板Pの裏面が支持されることにより、基板Pの撓みが抑制される。
【0095】
実装ヘッド106は、アーム部材310が基板Pの裏面に接触した後、第2の電子部品C2を実装する。
【0096】
図18は、実装ヘッド106が第2の電子部品C2を基板Pに実装している状態を示す。制御部121は、基板Pの裏面の第2支持位置SP2がアーム部材310に支持されている状態で、実装ヘッド106を制御して、基板Pの表面の第2搭載位置MP2に第2の電子部品C2を搭載させる。実装ヘッド106は、第2の電子部品C2を基板Pの表面の第2搭載位置MP2に実装する(ステップS5)。
【0097】
XY平面内において、第2実装位置MP2と第2支持位置SP2とは、一致してもよいし、離れていてもよい。図18は、第2実装位置MP2と第2支持位置SP2とがXY平面内において一致していない例を示す。
【0098】
制御部121は、生産プログラムに基づいて、複数の電子部品Cの実装が終了したか否かを判定する(ステップS6)。
【0099】
以下、複数の電子部品Cの実装が終了するまで、上述のステップS4からステップS7の処理が繰り返される。ステップS6において、電子部品Cの実装が終了したと判定した場合(ステップS6:Yes)、基板Pに対する電子部品Cの実装が終了する。
【0100】
制御部121は、基板保持機構104による基板Pの保持を解除して、実装位置PJbから基板Pが搬出されるように、基板搬送装置103を制御する。
【0101】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、基板保持機構104に保持された基板Pの裏面に対向する位置に配置されるアーム部材310と、基板Pの裏面側でX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向にアーム部材310を移動可能であり、基板Pの表面に電子部品Cが実装されるときに基板Pの裏面にアーム部材310を接触させる移動装置350とが設けられる。これにより、基板Pの表面が平坦に補正された状態で、基板Pに電子部品Cを実装することができる。電子部品Cの実装において基板Pの撓みが抑制されることにより、実装不良の発生が抑制される。
【0102】
本実施形態において、移動装置350は、基板Pの裏面にアーム部材310の上端部310Baが接触した後、基板Pの表面が平坦になるまで、アーム部材310を規定距離だけ上昇させる。上述のように、基板Pに電子部品Cを実装するときのZ軸方向における電子部品Cの目標高さは、生産プログラムにおいて予め規定されている。また、生産プログラムは、電子部品Cが実装される基板Pの厚さデータを含む。したがって、制御部121は、基板Pの厚さデータに基づいて、電子部品Cの目標高さに基板Pの表面の高さが一致するように、基板Pの裏面に接触したアーム部材310を上昇させるときのZ軸方向におけるアーム部材310の目標位置を決定することができる。
【0103】
本実施形態において、実装ヘッド106は、アーム部材310が基板Pの裏面に接触した後、電子部品Cを基板Pに実装する。これにより、基板Pの撓みが抑制された状態で、電子部品Cが基板Pに実装される。
【0104】
本実施形態において、実装ヘッド106は、複数の電子部品Cを基板Pに順次実装する。移動装置350は、XY平面内を移動する実装ヘッド106に連動するように、アーム部材310をXY平面内において移動する。アーム部材310は、XY平面において実装ヘッド106に追従するように移動する。移動装置350は、電子部品Cが実装される基板Pの表面の搭載位置MPに基づいて決定された基板Pの裏面の支持位置SPにアーム部材310を接触させる。これにより、基板Pの表面において電子部品Cの搭載位置MPが変化しても、電子部品Cの搭載位置MPに応じて、基板Pの撓みが抑制されるように、基板Pの最適な支持位置SPをアーム部材310で支持することができる。
【0105】
本実施形態において、実装ヘッド106は、第1の電子部品C1を基板Pの表面の第1搭載位置MP1に実装した後、第2の電子部品C2を基板Pの表面の第2搭載位置MP2に実装する。移動装置350は、第1の電子部品C1の実装において基板Pの裏面の第1支持位置SP1にアーム部材310を接触させる。移動装置350は、第1の電子部品C1が実装された後、第2の電子部品C2が実装される前に、アーム部材310を下降して基板Pの裏面からアーム部材310を離した状態でXY平面内において移動させ、第2の電子部品C2の実装において基板Pの裏面の第2支持位置SP2にアーム部材310を接触させる。これにより、電子部品Cの搭載位置に応じて、基板Pの撓みが抑制されるように、基板Pの最適な支持位置をアーム部材310で支持することができる。
【0106】
本実施形態においては、リード型電子部品Caが基板Pに実装されるとき、基板Pの裏面から突出したリードLDがアーム部材310により曲げられる。搭載型電子部品Cbが基板Pに実装されるとき、図13から図18を参照して説明したように、基板Pの裏面がアーム部材310に支持される。これにより、リード型電子部品Caが実装されるとき及び搭載型電子部品Cbが実装されるときの両方で、アーム部材310を有効利用することができる。
【0107】
本実施形態によれば、アーム部材310は、一対のクリンチ部材310Bを含み、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが接触した状態において、一方のクリンチ部材310Bの上面と他方のクリンチ部材310Bの上面とは同一面内に配置される。すなわち、基板Pの裏面に接触するアーム部材310の接触面は、平坦面である。これにより、アーム部材310は、基板Pを安定して支持することができる。また、基板Pの裏面の損傷が抑制される。
【0108】
[他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが接触した状態において、基板Pの裏面に接触するアーム部材310の接触面が平坦面になるように、クリンチ部材310Bの形状が規定されることとした。一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが接触した状態において、基板Pの裏面に接触するアーム部材310の接触面が平坦面になるように、クリンチ部材310Bの形状が規定されてもよい。
【0109】
なお、上述の実施形態においては、アーム部材310は、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが接触した状態で、基板Pの裏面を支持することとした。これにより、XY平面内において電子部品Cの搭載位置MPとの距離が小さい支持位置SPをアーム部材310でピンポイントに支持することができる。一方、アーム部材310は、一方のクリンチ部材310Bの上端部310Baと他方のクリンチ部材310Bの上端部310Baとが離れた状態で、基板Pの裏面を支持してもよい。これにより、基板Pの撓みを広範囲で抑制することができる。
【0110】
上述の実施形態において、リード型電子部品Caが基板Pに実装された場合、クリンチ装置320は、一対のリードLDを離れるように曲げてもよいし、一対のリードLDを近付くように曲げてもよいし、一対のリードLDを回転方向に曲げてもよい。クリンチ装置320は、一対のクリンチ部材310Bを閉じた状態で一対のリードLDの間に配置した後、一対のクリンチ部材310Bを開けることにより、一対のリードLDを離れるように曲げることができる。クリンチ装置320は、一対のクリンチ部材310Bを開いた状態で一対のリードLDの外側に配置した後、一対のクリンチ部材310Bを閉じることにより、一対のリードLDを近付くように曲げることができる。クリンチ装置320は、一対のクリンチ部材310Bを開いた状態で一対のリードLDに接触させた後、クリンチ部材310BをθZ方向に回転させることにより、一対のリードLDを回転方向に曲げることができる。
【0111】
なお、上述の実施形態において、基板Pの裏面を支持するアーム部材310は、クリンチ機能を有していなくてもよい。上述の実施形態においては、アーム部材310は、一対のクリンチ部材310Bを含むことしたが、単一の部材でもよい。
【符号の説明】
【0112】
30…ノズル、32…保持部、32A…固定アーム、32B…可動アーム、33…駆動部、34…ヒンジ機構、35…ノズル本体、100…電子部品実装装置、102…設置部、103…基板搬送装置、104…基板保持機構、106…実装ヘッド、107…実装ヘッド移動装置、107a…X軸ガイドレール、107b…Y軸ガイドレール、109…X駆動部、110…Y駆動部、114…ベースフレーム、120…制御装置、121…制御部、122…記憶部、123…支持位置決定部、140…ノズル移動装置、150…Z駆動部、160…θZ駆動部、200…電子部品供給装置、300…基板支持装置、310…アーム部材、310A…シャフト、310B…クリンチ部材、310Ba…上端部、310C…ピン、310D…ばね、311…第1支持部材、312…第2支持部材、312A…支持台、312B…円筒部、313…貫通孔、320…クリンチ装置、330…回転機構、331…回転ガイド部、332…回転駆動部、332D…動力伝達機構、340…開閉機構、341A…ガイドロッド、342…開閉部材、343…開閉駆動部、343A…回転シャフト、343D…動力伝達機構、344…ローラ、350…移動装置、351…ベースプレート、352…移動部材、353…Y軸ガイド部、353A…底板、353B…側板、353C…Y軸ガイドロッド、354…X軸ガイド部、354G…X軸ガイドレール、355…Y軸駆動部、356…X軸駆動部、357…Z軸ガイド部、357A…雄ねじロッド、357B…雌ねじロッド、357C…ガイドロッド、357D…孔、358…Z軸駆動部、358D…動力伝達機構、C…電子部品、Ca…リード型電子部品、Cb…搭載型電子部品、CH…部品本体、LD…リード、MP…搭載位置、MP1…第1搭載位置、MP2…第2搭載位置、P…基板、PJa…部品供給位置、PJb…実装位置、SP…支持位置、SP1…第1支持位置、SP2…第2支持位置。
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