(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】接合構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/025 20060101AFI20221122BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20221122BHJP
B23K 9/16 20060101ALI20221122BHJP
B23K 9/167 20060101ALI20221122BHJP
B23K 10/02 20060101ALI20221122BHJP
B23K 26/242 20140101ALI20221122BHJP
B23K 26/348 20140101ALI20221122BHJP
B23K 26/244 20140101ALI20221122BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B23K9/025 Z
B23K9/00 501C
B23K9/16 K
B23K9/167 A
B23K10/02 A
B23K26/242
B23K26/348
B23K26/244
B62D25/04 B
(21)【出願番号】P 2018124515
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2020-11-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 亮
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 憲一
(72)【発明者】
【氏名】安井 和也
(72)【発明者】
【氏名】史 棟勇
(72)【発明者】
【氏名】秦野 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 高行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 励一
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-160020(JP,A)
【文献】特開2017-189781(JP,A)
【文献】特開2013-220445(JP,A)
【文献】特開2011-088484(JP,A)
【文献】特開2018-075612(JP,A)
【文献】国際公開第2012/036262(WO,A1)
【文献】米国特許第5603853(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/025
B23K 9/00
B23K 9/16
B23K 9/167
B23K 10/02
B23K 26/242
B23K 26/348
B23K 26/244
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製の第1板状部材と、前記第1板状部材に重ねられ、長尺状に形成される鋼製の第2板状部材と、が接合されてなる接合構造体であって、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面には、曲げ部が形成されており、
前記第1板状部材の表面と前記第2板状部材の長手方向に沿った両縁部
、及び前記第2板状部材の前記両縁部に交差する短手方向に延びる両縁部のそれぞれが、溶接金属により接合され
ることにより、前記第2板状部材の縁部全周に渡って前記第1板状部材と溶接され、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面内において、前記第1板状部材と前記第2板状部材同士がさらに複数個所で接合されることを特徴とする接合構造体。
【請求項2】
前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方は、ホットスタンプ用鋼材であることを特徴とする請求項1に記載の接合構造体。
【請求項3】
前記接合構造体は、自動車用構造部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合構造体。
【請求項4】
鋼製の第1板状部材と、前記第1板状部材に重ねられ、長尺状に形成される鋼製の第2板状部材と、が接合されてなる接合構造体の製造方法であって、
前記第1板状部材と前記第2板状部材とを重ね合わせる工程と、
前記第2板状部材の縁部全周に渡って前記第1板状部材と溶接されるように、前記第2板状部材の長手方向に沿った両縁部
、及び前記第2板状部材の前記両縁部に交差する短手方向に延びる両縁部を、それぞれアーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって前記第1板状部材に接合し、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面内において、前記第1板状部材と前記第2板状部材同士を、レーザ溶接、プラズマ溶接、TIG溶接、及びレーザ・TIGハイブリッド溶接のいずれかの溶接によりさらに複数個所で接合する溶接工程と、
を備え、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面上で、曲げ加工することを特徴とする接合構造体の製造方法。
【請求項5】
前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方は、ホットスタンプ用鋼材であることを特徴とする請求項4に記載の接合構造体の製造方法。
【請求項6】
前記接合構造体は、自動車用構造部材であることを特徴とする請求項4又は5に記載の接合構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合構造体及びその製造方法に関し、より詳細には、例えば、自動車用構造部材に好適な接合構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2排出量の削減を目的とした車体軽量化を図りつつ、衝突安全性の強化を実現するため、高張力鋼板を採用したり、必要箇所を補強材で部分的に補強する方法が知らている。特許文献1及び2には、2つの金属部材、すなわち第1金属部材と第2金属部材をレーザ溶接により接合して製造される接合体が開示されている。ここで、特許文献1には、レーザ溶接の溶接痕が一対又は複数対の互いに平行な直線であることが開示されている。また、特許文献2には、レーザ溶接の溶接痕が、連続して配置された複数のC字状部を有し、隣接するC状部の一部が重なることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2001-507993号公報
【文献】特開2014-15206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1又は2に開示された接合体は、第1金属部材と第2金属部材の接合強度に依然として改善の余地がある。そのため、これらの接合体は、例えばホットスタンプ(熱間プレス)による加工に適さない。すなわち、これらの接合体をホットスタンプで加工すると、接合強度の不足、特に、第1金属部材と第2金属部材の縁部との接合部における接合強度不足により、縁部から第1金属部材と第2金属部材とが部分的又は全体的に剥離し得るおそれがある。
また、衝突事故時に上記ホットスタンプ部品に外力が加わると、第1金属部品と第2金属部品とが剥離し得るため、十分な補強効果を得ることができない。また、レーザ加工設備は、高価であるため、製品コストが増加する要因となっている。
【0005】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い接合強度を有し、かつ、低コストで製造可能な接合構造体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(1)の構成からなる。
(1) 鋼製の第1板状部材と、前記第1板状部材に重ねられ、長尺状に形成される鋼製の第2板状部材と、が接合されてなる接合構造体であって、
前記第1板状部材の表面と前記第2板状部材の長手方向に沿った両縁部とが、溶接金属により接合されることを特徴とする接合構造体。
【0007】
また、本発明の好ましい実施形態は、下記(2)~(5)の構成からなる。
(2) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面には、曲げ部が形成されることを特徴とする(1)に記載の接合構造体。
(3) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面内において、前記第1板状部材と前記第2板状部材同士がさらに接合されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の接合構造体。
(4) 前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方は、ホットスタンプ用鋼材であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の接合構造体。
(5) 前記接合構造体は、自動車用構造部材であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の接合構造体。
【0008】
また、本発明は、下記(6)の構成からなる。
(6) 鋼製の第1板状部材と、前記第1板状部材に重ねられ、長尺状に形成される鋼製の第2板状部材と、が接合されてなる接合構造体の製造方法であって、
前記第1板状部材と前記第2板状部材とを重ね合わせる工程と、
前記第2板状部材の長手方向に沿った両縁部を、それぞれアーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって前記第1板状部材に接合する溶接工程と、
を備えることを特徴とする接合構造体の製造方法。
【0009】
また、本発明の好ましい実施形態は、下記(7)~(10)の構成からなる。
(7) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面上で、曲げ加工することを特徴とする(6)に記載の接合構造体の製造方法。
(8) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面内において、前記第1板状部材と前記第2板状部材同士が、レーザ溶接、プラズマ溶接、TIG溶接、及びレーザ・TIGハイブリッド溶接のいずれかの溶接によりさらに接合されることを特徴とする(6)又は(7)に記載の接合構造体の製造方法。
(9) 前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方は、ホットスタンプ用鋼材であることを特徴とする(6)~(8)のいずれかに記載の接合構造体の製造方法。
(10) 前記接合構造体は、自動車用構造部材であることを特徴とする(6)~(9)のいずれかに記載の接合構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の接合構造体及びその製造方法によれば、接合構造体が高い接合強度を有し、かつ、該接合構造体を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る接合構造体の斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態に係る接合構造体における変形例の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2AのB-B線で曲げ加工された接合構造体の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る接合構造体における他の変形例の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る接合構造体をホットスタンプ加工して製造したBピラーの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る接合構造体をホットスタンプ加工して製造したBピラーの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る接合構造体の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る接合構造体の製造方法によって製造された接合構造体の斜視図である。
図1に示すように、接合構造体10は、鋼製の第1板状部材11と、第1板状部材11より幅狭の長尺状に形成された、補強材としての鋼製の第2板状部材12と、を備える。
【0013】
第2板状部材12は、第1板状部材11の表面11a上に重ね合わされている。そして、第2板状部材12の長手方向(図中、X方向)に沿う両縁部12aと第1板状部材11の表面11aとが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって形成される溶接金属(ビード)13によって接合されている。なお、溶接金属(ビード)13は、両縁部12aに沿って連続形成されても、断続形成されてもよい。しかし、後述するように、重ね合わせ面14上に設定された仮想線B(
図2Aを参照)に沿って曲げ加工が施される場合には、曲げ加工時に発生する応力に対応するため、溶接金属(ビード)13は連続で形成されるのが好ましい。
【0014】
なお、鋼製である、第1板状部材11及び第2板状部材12の材質は、純鉄および鉄合金であれば、特に制限されるものでなく、例えば、軟鋼、炭素鋼、ステンレス鋼などがあげられる。
また、第1板状部材11及び第2板状部材12には、錆防止等を目的として、電気的卑の元素や加工物、絶縁性物質、不動態といった皮膜を形成する表面処理を施すこともできる。例えば、亜鉛めっき、クロムめっき、ニッケルめっき、アルミめっき、錫(すず)めっき、樹脂塗装、セラミックコーティングなどがあげられる。
【0015】
第2板状部材12の両縁部12aと第1板状部材11の表面11aとは、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接による溶加材(溶接ワイヤ)で接合される。よって、例えば、スポット溶接やレーザ溶接などによる接合と比較して、広い面積で、かつ、第2板状部材12の両縁部12aを接合することができ、接合強度が向上する。また、溶加材の成分を適宜選択することで、接合部における接合強度設計が可能となる。溶加材の材質については、溶接金属13がFe系合金となるものであれば、一般的に用いられる溶接用ワイヤまたは溶接棒が適用可能である。
なお、レーザ・アークハイブリッド溶接は、熱源およびワイヤ供給法としてのアーク溶接法に、熱源としてレーザを加えたものである。この方法は、通常のアーク溶接法に比べ、溶接速度が高い点で有利である。
【0016】
また、
図1に示す実施形態では、第2板状部材12の長手方向に沿う両縁部12aが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって第1板状部材11に溶接されているが、第2板状部材12の両縁部12aに交差する方向(短手方向)に延びる縁部12bも、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって第1板状部材11と溶接してもよい。このように、第2板状部材12を縁部12a,12bの全周に渡って第1板状部材11と溶接することにより、第1板状部材11と第2板状部材12との隙間に侵入する水などを防止することができ、耐食性が大幅に向上する。
【0017】
アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって溶接された第1板状部材11及び第2板状部材12は、成形品にするため曲げ加工される場合がある。曲げ加工の程度や接合構造体10に要求される強度によっては、第2板状部材12の両縁部12aのみが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって溶接された接合構造体10では、接合強度や曲げ強度が不足する場合がある。特に、第2板状部材12の幅が広く、両縁部12a間の距離が大きい場合、強度不足が懸念される。
【0018】
図2Aは、第1板状部材11の表面11aと、第2板状部材12の両縁部12aとが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合され、さらに第1板状部材11と第2板状部材12との重ね合わせ面14同士が、レーザ溶接により接合された変形例に係る接合構造体10Aの斜視図である。また、
図2Bは、
図2AのA-A線における断面図である。
【0019】
本変形例に係る接合構造体10Aは、
図2A及び
図2Bに示すように、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって、両縁部12aが第1板状部材11に接合された、第1板状部材11と第2板状部材12との重ね合わせ面14同士が、レーザ溶接により、第2板状部材12の長手方向(
図2A中、X方向)に沿い、かつ、第2板状部材12の幅方向に対向して形成された複数対の接合部15によって接合されている。これにより、第1板状部材11と第2板状部材12との接合強度がさらに向上する。
【0020】
このように形成された接合構造体10Aは、重ね合わせ面14上に設定された仮想線B(
図2Aを参照)に沿って曲げ加工され、曲げ部16が形成されることで、
図3に示す成形品20に加工される。
【0021】
なお、曲げ部16(仮想線B)は、第2板状部材12の幅方向に対向して形成された一対の接合部15の略中央を通るように設定されることが好ましい。これにより、曲げ成形時に作用する力が左右均等に作用して、成形品20の形状精度が向上する。
【0022】
曲げ加工に伴って、第1板状部材11と第2板状部材12との接合部には、せん断力が作用する。第1板状部材11と第2板状部材12とが、スポット溶接やレーザ溶接のみによって接合されている場合、第2板状部材12の縁部12aにおける、第1板状部材11との接合強度が弱いおそれがあり、該縁部12aから第2板状部材12が剥離する可能性がある。
【0023】
しかし、本実施形態の接合構造体10Aでは、第1板状部材11及び第2板状部材12は、第2板状部材12の両縁部12aが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合され、さらに第1板状部材11と第2板状部材12との重ね合わせ面14同士が、レーザ溶接により複数個所で接合されている。よって、接合強度が強く、曲げ加工により第1板状部材11と第2板状部材12とが剥離することが防止される。
【0024】
接合構造体10,10Aが、例えば、ピラーなどの高強度が要求される自動車用構造部材である場合、第1板状部材11及び第2板状部材12としては、例えば、ホットスタンプ用鋼材を使用するのが好ましい。接合構造体10,10Aがホットスタンプ用鋼材で構成される場合、曲げ加工は、800℃以上の温度に加熱した状態で加工されるホットスタンプ(熱間加工)により行われる。これにより、精度のよい成形が可能となる。
【0025】
図4は、縁部12aがアーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接により接合された第1板状部材11と第2板状部材12との重ね合わせ面14同士が、プラズマ溶接、TIG溶接、またはレーザ・TIGハイブリッド溶接により接合された他の変形例に係る接合構造体の断面図である。
【0026】
本変形例の接合構造体10Bは、第1板状部材11と第2板状部材12の両縁部12aとが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接による溶接金属13で接合され、さらに第1板状部材11と第2板状部材12との重ね合わせ面14同士が、複数個所において、プラズマ溶接、TIG溶接、またはレーザ・TIGハイブリッド溶接による接合部17によって強固に接合されている。
【0027】
このように、第1板状部材11と第2板状部材12とは、両縁部12aが、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接により第1板状部材11に接合され、さらに第1板状部材11と第2板状部材12の重ね合わせ面14同士が、複数個所において、レーザ溶接、プラズマ溶接、TIG溶接、及びレーザ・TIGハイブリッド溶接のいずれかにより強固に接合されているので、ホットスタンプによる成形加工が可能となり、自動車用構造部材として好適に使用される。
なお、レーザ・TIGハイブリッド溶接は、熱源およびワイヤ供給法としてのTIG溶接法に、熱源としてレーザを加えたものである。この方法は、通常のTIG溶接法に比べ、溶け込み(2枚板の貫通性)が深く、また、溶接速度が高い点で有利である。
【0028】
例えば、
図5は、接合構造体10,10A,10Bをホットスタンプで加工して製造したBピラー30(自動車用構造部材の一例)の一例を示す。このBピラー30は、第1板状部材11における補強が必要部位に、1枚の第2板状部材12を溶接で接合した後、ホットスタンプで一体成形して形成されている。
【0029】
また、
図6に示すBピラー30は、2枚の第2板状部材12が、それぞれBピラー30の稜線部となる位置で第1板状部材11に接合され、第1板状部材11及び第2板状部材12の重ね合わせ面14においてホットスタンプにより曲げ加工されて形成されている。
【0030】
なお、接合構造体10,10A,10Bが適用可能な自動車用構造部材としては、Bピラー30以外にも、サイドシル、フロアクロスメンバ、ルーフサイドレール、センタートンネルカバーなどが例示される。
【0031】
なお、本発明は、前述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0032】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 鋼製の第1板状部材と、前記第1板状部材に重ねられ、長尺状に形成される鋼製の第2板状部材と、が接合されてなる接合構造体であって、
前記第1板状部材の表面と前記第2板状部材の長手方向に沿った両縁部とが、溶接金属により接合されることを特徴とする接合構造体。
この構成によれば、高い接合強度を有する接合構造体を低コストで製造できる。
【0033】
(2) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面には、曲げ部が形成されることを特徴とする(1)に記載の接合構造体。
この構成によれば、第1板状部材と第2板状部材とが溶接により接合された接合構造体を曲げ加工して、強度補強された成形品を製造できる。
できる。
【0034】
(3) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面内において、前記第1板状部材と前記第2板状部材同士がさらに接合されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の接合構造体。
この構成によれば、第1板状部材と第2板状部材とを、さらに強固に接合することができる。
【0035】
(4) 前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方は、ホットスタンプ用鋼材であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の接合構造体。
この構成によれば、接合構造体を超高強度鋼板で形成することができる。
【0036】
(5) 前記接合構造体は、自動車用構造部材であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の接合構造体。
この構成によれば、自動車用構造部材として使用可能な接合構造体が製造できる。
【0037】
(6) 鋼製の第1板状部材と、前記第1板状部材に重ねられ、長尺状に形成される鋼製の第2板状部材と、が接合されてなる接合構造体の製造方法であって、
前記第1板状部材と前記第2板状部材とを重ね合わせる工程と、
前記第2板状部材の長手方向に沿った両縁部を、それぞれアーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって前記第1板状部材に接合する溶接工程と、
を備えることを特徴とする接合構造体の製造方法。
この構成によれば、第1板状部材と第2板状部材とを、アーク溶接またはレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合することで、接合強度の高い接合構造体を低コストで製造することができる。
【0038】
(7) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面上で、曲げ加工することを特徴とする(6)に記載の接合構造体の製造方法。
この構成によれば、第1板状部材と第2板状部材とが溶接により接合された接合構造体を曲げ加工して、強度補強された成形品を製造できる。
【0039】
(8) 前記第1板状部材と前記第2板状部材との重ね合わせ面内において、前記第1板状部材と前記第2板状部材同士が、レーザ溶接、プラズマ溶接、TIG溶接、及びレーザ・TIGハイブリッド溶接のいずれかの溶接によりさらに接合されることを特徴とする(6)又は(7)に記載の接合構造体の製造方法。
この構成によれば、第1板状部材と第2板状部材とを、さらに強固に接合することができる。
【0040】
(9) 前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方は、ホットスタンプ用鋼材であることを特徴とする(6)~(8)のいずれかに記載の接合構造体の製造方法。
この構成によれば、接合構造体を超高強度鋼板で形成することができる。
【0041】
(10) 前記接合構造体は、自動車用構造部材であることを特徴とする(6)~(9)のいずれかに記載の接合構造体の製造方法。
この構成によれば、自動車用構造部材として使用可能な接合構造体が製造できる。
【符号の説明】
【0042】
10,10A,10B 接合構造体
11 第1板状部材(ホットスタンプ用鋼材)
11a 表面
12 第2板状部材(ホットスタンプ用鋼材)
12a,12b 縁部
13 溶接金属(ビード)
14 重ね合わせ面
15 接合部
16 曲げ部
17 接合部
20 成形品(自動車用構造部材)
30 Bピラー