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特許7181027認識装置、表面実装機および認識対象の位置認識方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】認識装置、表面実装機および認識対象の位置認識方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20221122BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20221122BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20221122BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221122BHJP
【FI】
G01B11/00 C
H05K13/04 M
H05K13/08 Q
G06T7/00 610Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018159888
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020034362
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日 大介
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135143(JP,A)
【文献】特開2010-161243(JP,A)
【文献】特開2015-198201(JP,A)
【文献】特開2017-139411(JP,A)
【文献】特開2016-058543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
H05K 13/04
H05K 13/08
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認識対象の位置を認識する認識装置であって、
前記認識対象を撮像する撮像部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、前記撮像部によって前記認識対象を撮像した対象画像に対してマスク処理を行った加工画像を作成し、
前記加工画像は、前記認識対象が正規に配置される正規領域の範囲よりも小さく、かつ前記正規領域の外縁の内側の範囲を画像認識しない不認識領域と、前記正規領域の外縁と前記不認識領域の外縁との間に形成された認識領域と、を備えて構成され、
前記制御部は、前記加工画像の前記認識領域において、前記認識対象の外縁を認識することにより前記認識対象の位置を認識する認識装置。
【請求項2】
前記加工画像は、前記認識対象の中心部分が認識できず、前記認識対象の外形部分が認識できるように形成されている請求項1に記載の認識装置。
【請求項3】
前記不認識領域の範囲は、前記認識対象の最大位置ずれ量よりも、前記認識対象の外縁と前記不認識領域との差が大きくなるように設定されている請求項1または請求項2に記載の認識装置。
【請求項4】
認識対象の位置を認識する認識装置であって、
前記認識対象を撮像する撮像部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記認識対象が配置される前に前記撮像部によって撮像した基準画像と、前記基準画像と同一対象の同じ領域に前記認識対象が配置されて前記撮像部によって前記認識対象を撮像した対象画像とにおいて差が無い領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちのいずれか一方の領域とし、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちの他方の領域として前記加工画像を作成し、
前記加工画像における前記認識領域に基づいて前記認識対象の位置を認識する認識装置。
【請求項5】
前記認識対象は、被積層対象と、前記被積層対象上に配置される積層対象とを含み、
前記制御部は、前記被積層対象に基づいて作成した前記加工画像を前記基準画像とすると共に、前記積層対象が前記被積層対象上に配置された状態の撮像画像を前記対象画像とし、
前記基準画像と前記対象画像とにおいて差が無い領域を前記不認識領域、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記認識領域として前記加工画像を作成する請求項に記載の認識装置。
【請求項6】
前記認識対象は、電子部品と、前記電子部品が配置される基板とを含み、
前記制御部は、運転を再開する際には、前記基板を撮像して前記対象画像とし、
前記基準画像と前記対象画像とに差がある場合には、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記不認識領域、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差が無い領域を前記認識領域として前記加工画像を作成する請求項に記載の認識装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の認識装置と、
前記認識対象を供給する部品供給装置と、
前記部品供給装置から供給された前記認識対象を配置する部品実装装置とを備える表面実装機。
【請求項8】
撮像部によって認識対象を撮像した対象画像に対してマスク処理を行った加工画像を作成し、前記加工画像は、前記認識対象が正規に配置される正規領域の範囲よりも小さく、かつ前記正規領域の外縁の内側の範囲を画像認識しない不認識領域と、前記正規領域の外縁と前記不認識領域の外縁との間に形成された認識領域と、を備えて構成される加工画像作成工程と、
前記加工画像の前記認識領域において、前記認識対象の外縁を認識することにより前記認識対象の位置を認識する認識工程と、を含む認識対象の位置認識方法。
【請求項9】
識対象が配置される前に撮像部によって撮像した基準画像と、前記基準画像と同一対象の同じ領域に前記認識対象が配置されて前記撮像部によって前記認識対象を撮像した対象画像とにおいて差が無い領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちのいずれか一方の領域とし、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちの他方の領域として前記加工画像を作成する加工画像作成工程と、
記加工画像における前記認識領域に基づいて前記認識対象の位置を認識する認識工程と、を含む認識対象の位置認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、認識装置、表面実装機および認識対象の位置認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品と電子部品を搭載する基板とを位置合わせする部品実装装置として特開2007-43007号公報が知られている。この部品実装装置は、基板に設けられた位置合わせマークに基づいて基板の位置認識を行った後、電子部品に設けられた位置合わせマークと基板の位置合わせマークとを同時に撮像し、基板と電子部品との相対的な位置を認識する。そして、基板と電子部品との位置認識に基づいて基板に対して電子部品を位置決めし、電子部品を基板に実装する。
【0003】
また、基板に設けられた位置合わせマークは、第1の位置合わせマークと第2の位置合わせマークからなっており、第1の位置合わせマークに損傷など異常あって認識が困難な場合には、第2の位置合わせマークによって基板の位置認識が行なわれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-43007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品や基板の大きさによっては、位置合わせマークを設けることができない場合があり、その場合には、部品や基板の外縁を認識することで位置認識を行う場合がある。しかしながら、電子部品を製造する際の研磨などによって電子部品の表面に研磨ラインなどの傷がある場合には、傷を誤って外縁として認識してしまい、基板や電子部品などの認識対象の位置認識ができなくなってしまう。また、上記の部品実装装置であっても、第1の位置合わせマークだけでなく、第2の位置合わせマークにも、傷や汚れなどがある場合には、基板や電子部品などの認識対象の位置が認識できず、認識対象の位置認識ができなくなってしまう。
【0006】
本明細書では、傷や汚れなどの影響を受けずに認識対象の位置認識を行う技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される技術は、認識対象の位置を認識する認識装置であって、前記認識対象を撮像する撮像部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記撮像部によって前記認識対象を撮像した対象画像の一部を画像認識しない不認識領域とすると共に、前記対象画像において前記不認識領域とは異なる領域を認識領域とする加工画像を作成し、前記加工画像に基づいて前記認識対象の位置を認識する構成とした。
【0008】
また、本明細書によって開示される技術は、表面実装機であって、上記の認識装置と、前記認識対象を供給する部品供給装置と、前記部品供給装置から供給された前記認識対象を配置する部品実装装置とを備える。
【0009】
また、本明細書によって開示される技術は、認識対象の位置認識方法であって、認識対象を撮像した対象画像の一部を画像認識しない不認識領域とすると共に、前記対象画像において前記不認識領域とは異なる領域を認識領域とする加工画像を作成する加工画像作成工程と、前記加工画像に基づいて前記認識対象の位置を認識する認識工程とを含む。
【0010】
このような認識装置、表面実装機および認識対象の認識方法によると、基板や電子部品など認識対象に傷や汚れなどがある場合でも、認識対象の一部が不認識領域として画像認識されなくなるので、傷や汚れなどの影響を受けずに認識対象を認識することができる。つまり、傷や汚れなどの影響を受けずに認識対象の位置認識を行うことができる。また、加工画像を作成して位置認識を行うから、新たに位置認識プログラムなどを構築せずに従来の位置認識プログラムを用いて位置認識を実施することができる。
【0011】
本明細書によって開示される技術は、以下の構成としてもよい。
前記不認識領域は、前記認識対象が正規に配置される正規領域の範囲よりも小さく、かつ前記正規領域の外縁の内側の範囲とされ、前記制御部は、前記不認識領域を前記正規領域の範囲内に配置するように前記加工画像を作成し、前記加工画像における前記認識領域から前記認識対象の外縁を認識することにより前記認識対象の位置を認識する構成としてもよい。
【0012】
また、前記加工画像作成工程は、前記不認識領域を前記正規領域の範囲内に作成して前記加工画像を作成し、前記認識工程は、前記加工画像において前記不認識領域とは異なる認識領域から前記認識対象の外縁を認識することにより前記認識対象の位置を認識する。
【0013】
このような構成によると、認識対象が配置される正規領域の範囲内に、認識対象よりも小さく、かつ正規領域の外縁の内側の範囲である不認識領域を配置するように加工画像を作成するから、認識対象の外縁の認識を単純な処理によって行うことができる。つまり、正規領域の範囲内の一部を不認識領域とする軽い処理によって加工画像を作成するから、作業時間が増加することを抑制しつつ、傷や汚れなどの影響を受けずに認識対象の位置認識を行うことができる。
【0014】
前記制御部は、前記認識対象が配置される前に前記撮像部によって撮像した基準画像と、前記認識対象が配置されて前記撮像部によって撮像した前記対象画像とにおいて差が無い領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちのいずれか一方の領域とし、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちの他方の領域として前記加工画像を作成し、前記加工画像における前記認識領域に基づいて前記認識対象の位置を認識する構成としてもよい。
【0015】
また、前記加工画像作成工程は、前記認識対象が配置される前に撮像した基準画像と、前記認識対象が配置されて撮像した前記対象画像とにおいて差が無い領域を前記認識領域および前記不認識領域のうちのいずれか一方の領域とし、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記認識領域および不認識領域のうちの他方の領域として前記加工画像を作成し、前記認識工程は、前記加工画像における前記認識領域に基づいて前記認識対象の位置を認識する。
【0016】
このような構成によると、基準画像と対象画像との比較によって、基準画像と対象画像とにおいて差が無い領域を不認識領域、差がある領域を認識領域として加工画像を作成するだけで、この加工画像に基づいて認識対象を認識することができる。つまり、単純な処理によって認識対象の外形を認識することができ、これに基づいて認識対象の位置認識を行うことができる。
【0017】
前記認識対象は、被積層対象と、前記被積層対象上に配置される積層対象とを含み、前記制御部は、前記被積層対象に基づいて作成した前記加工画像を前記基準画像とすると共に、前記積層対象が前記被積層対象上に配置された状態の撮像画像を前記対象画像とし、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差が無い領域を前記不認識領域、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記認識領域として前記加工画像を作成する構成としてもよい。
【0018】
例えば、被積層対象上に積層対象を配置して認識対象を積層する場合、積層対象を認識する際に、被積層対象を誤って認識してしまうことが懸念される。
【0019】
ところが、被積層対象に基づいて作成した加工画像と、積層対象が被積層対象上に配置された状態の撮像画像とにおいて差が無い領域を不認識領域、差がある領域を認識領域として加工画像を作成する。そして、被積層対象が配置された領域を認識しないようにするから、被積層対象が誤って認識されることを防ぐことができる。
【0020】
前記認識対象は、電子部品と、前記電子部品が配置される基板とを含み、前記制御部は、運転を再開する際には、前記基板を撮像して前記対象画像とし、前記基準画像と前記対象画像とに差がある場合には、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差がある領域を前記不認識領域、前記基準画像と前記対象画像とにおいて差が無い領域を前記認識領域として前記加工画像を作成する構成としてもよい。
【0021】
例えば、基板に電子部品を配置した後に、トラブルなどによって運転を停止するなど基板を再認識する場合、電子部品を誤って認識してしまうことが懸念される。
ところが、電子部品が配置される前の状態の基板を撮像した基準画像と、電子部品が基板に配置された状態を撮像した対象画像とにおいて差がある領域を不認識領域、差が無い領域を認識領域として加工画像を作成する。そして、電子部品が配置された領域を認識しないようにするから、電子部品が誤って認識されることを防ぐことができ、認識したい基板の位置を正確に認識することができる。
【発明の効果】
【0022】
本明細書によって開示される技術によれば、傷や汚れなどの影響を受けずに認識対象の位置認識を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係る表面実装機の平面図
図2】表面実装機を正面から視た状態を示す正面図
図3】表面実装機の電気的構成を示すブロック図
図4】実施形態1に係る位置認識処理のフローチャート図
図5】プリント基板上に電子部品が配置された状態の対象画像の模式図
図6】対象画像にマスク処理を行った加工画像の模式図
図7】実施形態2に係る位置認識処理のフローチャート図
図8】基準画像と対象画像とに基づいて差が無い領域を認識領域とする加工画像を作成するイメージ図
図9】基準画像と対象画像とに基づいて差がある領域を認識領域とする加工画像を作成するイメージ図
図10】プリント基板の位置認識を行うための加工画像を作成するイメージ図
図11】基板位置認識処理のフローチャート図
図12】実施形態3に係る積層部品がプリント基板に配置された状態を示す模式図
図13】実施形態3に係る位置認識処理のフローチャート図
図14】1段目のウェハチップWをプリント基板Pに配置する場合の加工画像を作成するイメージ図
図15】2段目のウェハチップWをプリント基板Pに配置する場合の加工画像を作成するイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術における実施形態1について図1から図6を参照して説明する。
【0025】
本実施形態は、電子部品(「認識対象」の一例)Eをプリント基板(「基板」の一例)P上に配置する表面実装機10を例示している。表面実装機10は、図1に示すように、平面視略矩形状の基台11と、基台11上にプリント基板Pを搬送する搬送コンベア12と、プリント基板P上に電子部品Eを配置するための部品実装装置20と、部品実装装置20に電子部品Eを供給するための部品供給装置13とを備えて構成されている。
【0026】
なお、以下の説明において、左右方向とは、図1および図2における左右方向を基準とし、前後方向とは、図1における上下方向(基台11の短辺方向)を基準とする。
【0027】
電子部品Eは、プリント基板Pに実装される部品であって、本実施形態では、平面視略矩形状のウェハチップを示している。
基台11は、図1に示すように、搬送コンベア12、部品実装装置20などが配置される基台11であって、基台11における搬送コンベア12の下方には、プリント基板P上に電子部品Eを配置する際に、そのプリント基板Pをバックアップするための図示しないバックアッププレート等が設けられている。
【0028】
搬送コンベア12は、図1に示すように、基台11の前後方向の略中央部に配されており、プリント基板Pを左右方向に搬送する。また、搬送コンベア12は、左右方向に循環駆動する一対のコンベアベルト14を備えており、一対のコンベアベルト14には、プリント基板Pが架設する形でセットされる。そして、プリント基板Pは、右側である上流からコンベアベルト14に沿って基台11上における左右方向略中央部の部品実装位置PTに搬入され、電子部品Eを配置する実装作業がされた後、コンベアベルト14に沿って左側である下流に搬出される。
【0029】
部品供給装置13は、フィーダ型であって、図1に示すように、搬送コンベア12の上下方向両側において左右方向に2つずつ並べることで、合計4箇所に配置されている。これらの部品供給装置13には、複数のフィーダ40が左右方向に整列した状態で取り付けられている。
【0030】
各フィーダ40は、複数の電子部品Eが収容された図示しない部品供給テープを保持しており、搬送コンベア12側に位置する端部に設けられた図示しない部品供給位置から部品供給テープに収容された電子部品Eを一つずつ供給する。
【0031】
部品実装装置20は、図1に示すように、基台11の左右方向の両側に配される一対の支持フレーム21と、一対の支持フレーム21に架設されたヘッド支持体26と、ヘッド支持体26に装着されたヘッドユニット30と、ヘッドユニット30を移動させるヘッド駆動装置22とを備えて構成されている。各支持フレーム21は、前後方向に延びる細長い形態をなし、基台11の左右方向両側にそれぞれ配されている。
【0032】
ヘッド駆動装置22は、前後方向に延びた形態で支持フレーム21に沿って設けられたY軸サーボ機構23と、左右方向に延びた形態でヘッド支持体26に設けられたX軸サーボ機構27とを有している。ヘッド駆動装置22のY軸サーボ機構23およびX軸サーボ機構27が通電制御されると、ヘッドユニット30が基台11上を前後左右方向に移動するようになっている。
【0033】
ヘッドユニット30は、図1および図2に示すように、電子部品Eの保持および配置を行う実装ヘッド31が左右方向に複数並んで搭載されている。各実装ヘッド31はR軸サーボ機構33による回転駆動によって軸回り方向に回転可能であり、Z軸サーボ機構32による上下方向の駆動によってヘッドユニット30に対して昇降可能な構成とされている。また、各実装ヘッド31には図示しない負圧供給源から負圧が供給されるようになっており、実装ヘッド31の先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0034】
そして、X軸サーボ機構27、Y軸サーボ機構23、Z軸サーボ機構32を所定のタイミングで作動させることにより、部品供給装置13から電子部品Eを実装ヘッド31により吸着して保持し、プリント基板P上に配置する。
【0035】
また、部品実装装置20は、図1および図2に示すように、ヘッドユニット30と共に移動する基板認識カメラ(「撮像部」の一例)20Aを有しており、基板認識カメラ20Aがプリント基板P、プリント基板Pに配置された電子部品E、複数の電子部品Eを積層した積層部品WEを撮像することが可能となっている。
一方、基台11上における搬送コンベア12の前後方向の両側には、図1に示すように、部品認識カメラ15が一対設置されている。一対の部品認識カメラ15は、ヘッドユニット30の実装ヘッド31の先端に吸着保持された電子部品Eを撮像するようになっている。
【0036】
次に、表面実装機10の電気的構成について、図3を参照して説明する。
表面実装機10は、制御部110によってその全体が制御統括されており、制御部110は、CPUなどによって構成される演算処理部111、記憶部112、モータ制御部113、画像処理部114、部品供給制御部115などを有している。部品実装装置20における基板認識カメラ20Aと制御部110とが認識装置に相当する。
【0037】
記憶部112は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部112には、演算処理部111が実行する各種プログラムや各種データなどが記憶されている。具体的には、実装プログラムとしては、部品実装装置20、搬送コンベア12、部品供給装置13を制御して電子部品Eをプリント基板Pに配置する実装プログラムや、プリント基板Pへの電子部品Eの配置後の位置認識プログラムなどが記憶されている。
【0038】
モータ制御部113は、演算処理部111の指令により、記憶部112に記憶されている実装プログラムなどに基づいて、Y軸サーボ機構23、X軸サーボ機構27、Z軸サーボ機構32、R軸サーボ機構33、搬送コンベア12などを制御し、電子部品Eをプリント基板P上に配置する。
【0039】
画像処理部114は、基板認識カメラ20Aや部品認識カメラ15により撮像した撮像データが取り込まれ、取り込んだ画像信号に基づいて画像を生成する。
部品供給制御部115は、部品供給装置13に接続されており、部品供給装置13を統括して制御する。
【0040】
演算処理部111は、記憶部112に記憶されている各種プログラムに従って表面実装機10を制御する。例えば、演算処理部111は、実装プログラムに従って、モータ制御部113を介して搬送コンベア12および部品実装装置20を駆動させる。また、部品供給制御部115を介して部品供給装置13に取り付けられた各フィーダ40を制御する。これにより、プリント基板Pに電子部品Eを実装する。
【0041】
また、演算処理部111は、記憶部112に記憶された位置認識プログラムに従って、画像処理部114を介して基板認識カメラ20Aおよび部品認識カメラ15を駆動する。そして、演算処理部111は、基板認識カメラ20Aにより撮像した撮像データを画像処理部114介して取り込み、撮像データに基づいて、プリント基板P、電子部品Eなどの位置認識を行う。
【0042】
次に、基板認識カメラ20Aの撮像データに基づく位置認識処理について説明する。
電子部品Eは、搬送コンベア12によって部品実装位置PTまで搬送されたプリント基板Pの搭載予定位置P1に部品実装装置20によって配置される。
【0043】
ここで、電子部品Eは、部品実装装置20のヘッドユニット30における実装ヘッド31によってプリント基板Pの搭載予定位置P1に配置しているものの、搭載予定位置P1から僅かにずれている場合がある。また、電子部品Eの製造公差などによって搭載予定位置P1と電子部品Eの大きさとにずれが生じる場合がある。
【0044】
そこで、制御部110の演算処理部111によって位置認識処理を実行し、搭載予定位置P1と配置された電子部品Eとのずれ量を検出する。
以下に、位置認識処理について、図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0045】
位置認識処理では、まず、演算処理部111は、プリント基板Pに配置された電子部品Eを、画像処理部114を通じてヘッドユニット30の基板認識カメラ20Aにより撮像し(S11)、撮像した画像を対象画像D1として記憶部112に記憶する(S12)。ここで、対象画像D1は、図5に示すように、プリント基板Pの一部を背景として電子部品Eが配置された状態を撮像したものである。なお、図5以降の図において、符号Pはプリント基板の一部を表すものとする。
【0046】
次に、演算処理部111は、撮像した対象画像D1に対してマスク処理を行った加工画像D2を作成する(S13)。このS13の工程が加工画像作成工程に相当する。
具体的には、電子部品Eが正規に配置される搭載予定位置P1よりも僅かに小さく、かつ搭載予定位置P1の範囲の外縁の内側の範囲を画像認識しない不認識領域R1とし、演算処理部111は、対象画像D1に対して、不認識領域R1を搭載予定位置P1内に設定するマスク処理を実行する。そして、対象画像D1において不認識領域R1とは異なる部分を認識領域R2とする図6に示すような加工画像D2を作成する。
【0047】
本実施形態では、不認識領域R1とは、電子部品Eが正規に配置される搭載予定位置P1の中心位置Cを基準に、搭載予定位置P1の範囲の80から90%程度の大きさの範囲とされている。
したがって、電子部品Eが搭載予定位置P1から僅かにずれて配置された場合でも、電子部品Eの外形が認識できるように不認識領域R1が形成された加工画像D2が作成される。言い換えると、電子部品Eの中心部分の画像が認識できず、電子部品Eの外形部分が認識できる加工画像D2が作成される。
【0048】
なお、各電子部品Eに対応する不認識領域R1は、記憶部112に記憶されている。また、記憶部112に記憶されていない電子部品Eに対する不認識領域R1は、動作開始前に、表面実装機10に設けられた外部入出力端末116から入力されてもよい。
【0049】
次に、演算処理部111は、加工画像D2の認識領域R2において、プリント基板Pと電子部品Eの外形との境界部分である電子部品Eのエッジライン(「外縁」の一例)Lを認識する(S14)。このS14の工程が認識工程に相当する。
【0050】
ところで、電子部品Eは、製造過程における研磨や搬送の途中において電子部品Eの表面に研磨ラインや傷などが形成される場合がある。このため、プリント基板P上に電子部品Eを配置した後に、電子部品EのエッジラインLを基準に電子部品Eの位置を認識する場合、電子部品Eの表面における研磨ラインや傷を誤ってエッジラインLとして認識することにより電子部品Eの位置情報に誤りが生じることが懸念される。
【0051】
ところが、本実施形態によると、プリント基板Pに配置された電子部品Eを撮像した対象画像D1にマスク処理して加工画像D2を作成し、電子部品Eのマスク処理により覆われた部分、即ち、不認識領域R1の画像を認識しない。つまり、不認識領域R1以外の部分、即ち、認識領域R2における研磨ラインや傷は僅かとなるため、電子部品Eの表面における研磨ラインや傷を誤ってエッジラインLとして認識することを回避できる。この結果、演算処理部111は、認識領域R2において、電子部品Eにおける4つのエッジラインLを認識し、プリント基板P上における電子部品Eの正確な位置を認識することができる。
【0052】
そして、プリント基板P上における電子部品Eの正確な位置が認識できたところで、搭載予定位置P1と電子部品Eとのずれ量を検出する(S15)。
【0053】
つまり、本実施形態によると、電子部品EのエッジラインLを認識させる際に、電子部品Eの表面における研磨ラインや傷などを誤ってエッジラインLとして認識することを防ぎ、プリント基板P上における電子部品Eの位置を認識することができる。これにより、プリント基板P上における電子部品Eの位置を正しく認識することができ、搭載予定位置P1と電子部品Eとのずれ量の検出精度を向上させることができる。
【0054】
なお、本実施形態のS13では、不認識領域R1を搭載予定位置P1の範囲の80から90%程度の大きさの範囲としているが、不認識領域R1の範囲は、電子部品E(認識対象)の最大位置ずれ量よりも、電子部品E(認識対象)の外縁と不認識領域R1との差が大きくなるように設定されればよい。すなわち、不認識領域R1の範囲が大きすぎると電子部品E(認識対象)の搭載位置によっては電子部品E(認識対象)の外縁を含んだ領域をマスクしてしまう恐れがあり、不認識領域R1の範囲が小さすぎると、電子部品E(認識対象)の外縁と不認識領域R1との差が大きくなりすぎて、S14において研磨ラインや傷をご認識する恐れがあるからである。
また、本実施形態では、プリント基板P上に配置された電子部品Eの配置が搭載予定位置P1から大きく逸脱し、加工画像D2を作成したとしても、電子部品EのエッジラインLを認識することができない場合は、演算処理部111は、プリント基板Pに対する電子部品Eの配置異常として処理を行う。
【0055】
以上のように、本実施形態は、電子部品Eを供給する部品供給装置13と、部品供給装置13から供給された電子部品Eを配置する部品実装装置20と、プリント基板P上における電子部品Eの位置を認識する表面実装機10であって、電子部品Eを撮像する基板認識カメラ20Aと、制御部110とを備える。そして、制御部110の演算処理部111は、基板認識カメラ20Aによって電子部品Eを撮像した対象画像D1の一部を画像認識しない不認識領域R1とすると共に、対象画像D1において不認識領域R1とは異なる領域を認識領域R2とする加工画像D2を作成し、加工画像D2に基づいて電子部品Eの位置を認識する。
【0056】
つまり、電子部品Eの表面に研磨ライン、傷や汚れなどがある場合でも、電子部品Eの中心部分が不認識領域R1として画像認識されなくなる。また、認識領域R2における研磨ラインや傷は僅かとなるので、電子部品Eの表面における研磨ラインや傷を誤ってエッジラインLとして認識することを回避することができる。これにより、傷や汚れなどの影響を受けずに電子部品Eの位置認識を行うことができる。また、対象画像D1から加工画像D2を作成して位置認識処理を行うから、新たに位置認識プログラムなどを作成せずに従来の位置認識プログラムを用いて位置認識を実施することができる。
【0057】
また、本実施形態によると、不認識領域R1は、電子部品Eが正規に配置される搭載予定位置P1の範囲よりも小さく、かつ搭載予定位置P1の範囲の外縁の内側の範囲とされ、制御部110の演算処理部111は、不認識領域R1を搭載予定位置P1内に配置するように加工画像D2を作成する。そして、加工画像D2の認識領域R2から電子部品EのエッジラインLを認識することにより電子部品Eの位置を認識する。
【0058】
つまり、電子部品Eが配置される正規領域である搭載予定位置P1の範囲内に、搭載予定位置P1の範囲よりも小さく、かつ搭載予定位置P1の範囲の外縁の内側の範囲となる不認識領域R1を配置するように加工画像D2を作成するから、電子部品EのエッジラインLの認識を簡素に実施することができる。つまり、処理工程が大幅に増加することを抑制しつつ、電子部品Eの位置認識を行うことができる。
【0059】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図7から図11を参照して説明する。
実施形態2の位置認識処理は、実施形態1の位置認識処理における加工画像の作成方法を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。
【0060】
実施形態2の位置認識処理は、実施形態1と同様に、部品実装装置20によって電子部品Eをプリント基板P上に配置した際の電子部品Eの位置ずれや製造公差などによる搭載予定位置P1と電子部品Eの大きさとのずれを検出する。
以下に、実施形態2の位置認識処理について、図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0061】
実施形態2の位置認識処理では、制御部110の演算処理部111は、電子部品Eが配置される前の状態のプリント基板Pをヘッドユニット30の基板認識カメラ20Aにより撮像し(S21)、基準画像D0として記憶部112に予め記憶させておく(S22)。したがって、基準画像D0は、図8に示すように、何も配置されていないプリント基板Pの一部を撮像したものである。
【0062】
演算処理部111は、プリント基板Pに対して電子部品Eが配置されているか確認しており(S23)、電子部品Eが、部品実装装置20によってプリント基板Pの搭載予定位置P1に配置されたところで(S23:YES)、制御部100の演算処理部111は、プリント基板Pに配置された電子部品Eを、基板認識カメラ20Aにより撮像し(S24)、対象画像D1として記憶部112に記憶する(S25)。
【0063】
対象画像D1は、図8に示すように、プリント基板Pの一部を背景として電子部品Eが配置された状態を撮像したものである。
【0064】
次に、演算処理部111は、基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1として、図8に示すような加工画像D2を作成する(S26)。このS26の工程が、加工画像作成工程に相当する。
【0065】
次に、演算処理部111は、加工画像D2において、認識領域R2と不認識領域R1との境界部分を電子部品Eの外形として認識し、電子部品Eの正確な位置を認識する(S27)。このS27の工程が、認識工程に相当する。
【0066】
そして、プリント基板P上における電子部品Eの正確な位置が認識できたところで、演算処理部111は、搭載予定位置P1と電子部品Eとのずれ量を検出する(S28)。
【0067】
すなわち、本実施形態によると、基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1、差がある領域を認識領域R2として加工画像D2を作成するだけで、これらの境界部分を電子部品Eの外形として認識することができる。
【0068】
つまり、基準画像D0と対象画像D1とを比較するといった簡易な処理を行うことによって電子部品Eの外形認識、ひいては電子部品Eの位置認識を行うことができる。
【0069】
以上のように、本実施形態によると、制御部110の演算処理部111は、電子部品Eが配置される前に基板認識カメラ20Aによって撮像した基準画像D0と、プリント基板P上に電子部品Eが配置されて基板認識カメラ20Aによって撮像した対象画像D1とにおいて差が無い領域を認識領域R2および不認識領域R1のうちのいずれか一方の領域とし、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2および不認識領域R1のうちの他方の領域として加工画像D2を作成する。そして、加工画像D2における認識領域R2と不認識領域R1との境界部分を電子部品Eの外形として電子部品Eの位置を認識する。
【0070】
つまり、基準画像D0と対象画像D1とを比較するといった簡易な処理によって電子部品Eの位置認識を行うことができる。
【0071】
なお、本実施形態では、S25における加工画像D2の作成において、基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1として、加工画像D2を作成した。
しかしながら、図9に示すように、基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がない領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を不認識領域R1として、加工画像D2を作成し、認識領域R2と不認識領域R1との境界部分を電子部品Eの外形として認識させてもよい。
【0072】
ところで、一般に、プリント基板Pには、図10に示すように、位置を認識するための第2認識マークM2が付されており、第2認識マークM2が付されたプリント基板Pが搬送コンベア12によって部品実装位置PTまで搬送されたところで、第2認識マークM2に基づいてプリント基板Pの位置認識がされる。
【0073】
ところが、部品実装装置20によって電子部品Eがプリント基板Pの搭載予定位置P1に配置された後、トラブルなどが原因で表面実装機10の運転が停止されることがあり、その場合には、プリント基板Pの正確な位置情報が失われてしまう。したがって、運転が再開された場合には、新たに電子部品Eを搭載するために、プリント基板Pの正確な位置を認識する必要がある。
【0074】
しかしながら、プリント基板Pに配置された電子部品Eにも第1認識マークM1が付されており、電子部品Eの第1認識マークM1とプリント基板Pの第2認識マークM2とが同一もしくは類似している場合、基板認識カメラ20Aにおいてプリント基板Pの第2認識マークM2を撮像した際に、電子部品Eの第1認識マークM1が、検出範囲F内に映り込んでいると、電子部品Eの第1認識マークM1をプリント基板Pの第2認識マークM2として誤って認識してしまうことが懸念される。
【0075】
そこで、本実施形態は、制御部110の演算処理部111において基板位置認識処理が実行される。
以下に、基板位置認識処理について、図11に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0076】
基板位置認識処理では、制御部100の演算処理部111が、プリント基板Pに配置された電子部品Eを、基板認識カメラ20Aにより撮像し(S51)、対象画像D1として記憶部112に記憶する(S52)。
【0077】
次に、演算処理部111は、基準画像D0の検出範囲F内の内容と対象画像D1の検出範囲F内の内容とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差があるか判定する(S53)。
【0078】
基準画像D0の検出範囲F内の内容と対象画像D1の検出範囲F内の内容とにおいて差がない場合(S53:NO)、対象画像D1に電子部品Eが映り込んでおらず、電子部品Eの第1認識マークM1をプリント基板Pの第2認識マークM2として誤って認識することがないため、演算処理部111は、対象画像D1における認識マークMをプリント基板Pの第2認識マークM2としてプリント基板Pの位置認識を行う(S54)。
【0079】
一方、図10に示すように、基準画像D0の検出範囲F内の内容と対象画像D1の検出範囲F内の内容とにおいて差がある場合(S53:YES)、電子部品Eの第1認識マークM1が映り込んでおり、電子部品Eの第1認識マークM1をプリント基板Pの第2認識マークM2として誤って認識してしまう虞がある。このため、演算処理部111は、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1として、図10に示すような加工画像D2を作成する(S55)。このS55の工程が、加工画像作成工程に相当する。
【0080】
そして、演算処理部111は、加工画像D2における認識マークMをプリント基板Pの第2認識マークM2としてプリント基板Pの位置認識を行う(S56)。このS56の工程が、認識工程に相当する。
【0081】
以上のように、本実施形態では、電子部品Eおよび電子部品Eが配置されるプリント基板Pに付された第2認識マークM2によって位置認識が行われるようになっており、制御部110の演算処理部111は、運転を再開する際には、プリント基板Pを撮像して対象画像D1とする。
そして、基準画像D0と対象画像D1とに差がある場合には、演算処理部111は、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を不認識領域R1、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を認識領域R2として加工画像D2を作成し、加工画像D2の認識領域R2における認識マークMをプリント基板Pの第2認識マークM2としてプリント基板Pの位置を認識する。
【0082】
つまり、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある場合には、電子部品Eの第1認識マークM1が映り込んでおり、電子部品Eの第1認識マークM1をプリント基板Pの第2認識マークM2として誤って認識してしまう嫌いがある。しかしながら、本実施形態の基板位置認識処理によると、演算処理部111が、基準画像D0と対象画像D1とに基づいて認識領域R2と不認識領域R1とを含む加工画像D2を作成し、電子部品Eが配置された領域を不認識領域R1として認識しないようにすることでプリント基板Pの正確な位置を認識することができるようになっている。
【0083】
<実施形態3>
次に、実施形態3について図12から図16を参照して説明する。
実施形態3は、ウェハチップWを複数積層してなる積層部品(「電子部品」の一例)WEを構成する場合の位置認識処理を示しており、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。
【0084】
ウェハチップWは、平面視略矩形状をなしており、ウェハチップWの表面に認識対象である認識マークMが付されている。また、ウェハチップWの認識マークMは、図12に示すように、ウェハチップWの右上の角部に付されている。
ウェハチップWは、下段のウェハチップ(「被積層対象」の一例)W上に上段のウェハチップ(「積層対象」の一例)Wを複数積層して、各ウェハチップWを図示しないワイヤボンディングによって接続することで、図12に示すような積層部品WEが構成される。
【0085】
詳しくは、積層部品WEを構成する際には、プリント基板P上の搭載予定位置P1に第1段目のウェハチップW1を配置し、更にその上に、第1段目のウェハチップW1の認識マークMが隠れないように第2段目のウェハチップW2を配置する。このように、複数枚(本実施形態は、4枚)のウェハチップWを多段階に積層して、積層部品WEを構成する。
したがって、下段のウェハチップWを配置した後は、上段のウェハチップWを配置するために、既に配置された下段のウェハチップWの位置認識を認識マークMに基づいて正確に行うことが必要である。
【0086】
しかしながら、ウェハチップWを積層して、基板認識カメラ20AによってウェハチップWを撮像した際に、下段のウェハチップWの認識マークMが、位置認識の検出範囲内に複数入り込んでしまうと、上段のウェハチップWの位置認識に誤りが生じてしまう。
そこで、本実施形態では、以下に示す位置認識処理を実行して、各ウェハチップWの位置を正確に認識することで、ワイヤボンディングの接続精度を向上させる。
【0087】
本実施形態の位置認識処理について、図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
実施形態3の位置認識処理では、まず、演算処理部111は、積層部品WEの積層数nを設定すると共に、搭載段数iをリセット(i=0)する(S30)。ここで、積層数nは、積層部品WE毎に記憶部112に予め記憶されていてもよく、運転開始前に外部入出力端末116から作業者が入力してもよい。
【0088】
次に、演算処理部111は、図14および図15に示すように、今回配置するウェハチップWが配置される前の状態のプリント基板Pをヘッドユニット30の基板認識カメラ20Aにより撮像し(S31)、基準画像D0として記憶部112に記憶させる(S32)。
次に、演算処理部111は、搭載段数iを増加させ(i=i+1)(S33)、部品実装装置20によってi段目のウェハチップWがプリント基板Pの搭載予定位置P1に配置されたことを確認する(S34)。
【0089】
制御部100の演算処理部111は、i段目のウェハチップWがプリント基板Pに配置されたことを確認したところで、プリント基板Pに配置されたi段目のウェハチップW(搭載予定位置P1)を、基板認識カメラ20Aにより撮像し(S35)、対象画像D1として記憶部112に記憶する(S36)。ここで、対象画像D1は、図14および図15に示すように、プリント基板Pもしくは既に配置されたウェハチップWを背景としてi段目のウェハチップWが配置された状態を撮像したものである。
【0090】
次に、演算処理部111は、基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1として、図14および図15に示すような濃い墨付きの不認識領域R1と薄い墨付きの認識領域R2とから成る加工画像D2を作成する(S37)。このS37の工程が、加工画像作成工程に相当する。
【0091】
具体的には、図14に示すように、1段目のウェハチップW1をプリント基板Pの搭載予定位置(搭載座標)P1に配置する場合、プリント基板Pに配置された1段目のウェハチップW1を対象画像D1とする。そして、演算処理部111は、1段目のウェハチップW1が配置される前のプリント基板Pを撮像した基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1として、図14に示すような加工画像D2を作成する。
【0092】
また、図15に示すように、2段目のウェハチップW2をプリント基板Pの搭載予定位置(搭載座標)P2に配置する場合、プリント基板Pおよび1段目のウェハチップW1上に配置された2段目のウェハチップW2を対象画像D1とし、1段目のウェハチップW1のみが配置された状態のプリント基板Pの対象画像D1を基準画像D0として設定する。
【0093】
そして、演算処理部111は、基準画像D0と対象画像D1とを比較し、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1として、図14に示すような加工画像D2を作成する。また、3段目、4段目のウェハチップWも同様の方法によって加工画像D2を作成する(図示省略)。
【0094】
次に、演算処理部111は、加工画像D2において、認識マークMに基づくウェハチップWの正確な位置を認識する(S38)。このS38の工程が、認識工程に相当する。
なお、本実施形態では、ウェハチップW上に付された認識マークMに基づいてウェハチップWの位置を認識しているが、認識領域R2と不認識領域R1との境界部分をウェハチップWの外形として認識し、ウェハチップWの正確な位置を認識してもよい。
そして、プリント基板P上におけるウェハチップWの正確な位置が認識できたところで、演算処理部111は、搭載予定位置P1とウェハチップWとのずれ量を検出する(S39)。
次に、演算処理部111は、搭載段数iが積層数n未満であるか判定し(S40)、搭載段数iが積層数n未満でない場合(S40:NO)、位置認識処理を終了する。
【0095】
一方、搭載段数iが積層数n未満である場合(S40:YES)、演算処理部111は、i段目の対象画像D1を基準画像D0に設定し(S41)、S34からS41までの操作を繰り返すことで、積層部品WEの全てのウェハチップWの正確な位置を認識する。
したがって、本実施形態によると、演算処理部111は、S37において、i段目のウェハチップWのみが認識領域R2とされた加工画像D2を作成し、i段目のウェハチップWの正確な位置を認識することができる。
【0096】
つまり、本実施形態によると、演算処理部111が、配置したばかりの上段のウェハチップWを認識する際に、プリント基板Pや既に配置されていた下段のウェハチップWの領域を認識しない不認識領域R1として加工画像D2を作成する。これにより、既に配置されていた下段のウェハチップWに付された認識マークMを誤って認識することを防ぐことができ、配置したばかりの上段のウェハチップWの領域である認識領域R2をウェハチップWの正確な位置として認識することができる。ひいては、積層部品WE作成時のワイヤボンディングの精度を向上させることができる。
【0097】
以上のように、本実施形態のように既に配置されたウェハチップW上にウェハチップWを配置する場合、制御部110の演算処理部111は、既に配置されたウェハチップWを撮像した対象画像D1を基準画像D0とすると共に、配置されたばかりの上段のウェハチップWが既に配置された下段のウェハチップW上に配置された状態の撮像画像を対象画像D1とする。そして、演算処理部111は、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差が無い領域を不認識領域R1、基準画像D0と対象画像D1とにおいて差がある領域を認識領域R2として加工画像D2を作成する。
【0098】
つまり、既に配置された下段のウェハチップWの領域を認識しなくすることができ、既に配置された下段のウェハチップWが誤って認識されることを防ぐことができる。これにより、配置されたばかりの上段のウェハチップWの位置を正確に認識することができる。
【0099】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0100】
(1)上記実施形態では、基板認識カメラ20Aによって撮像する認識対象が電子部品Eもしくはプリント基板Pとする構成にした。しかしながら、これに限らず、基板認識カメラ20Aによって撮像する認識対象は、半導体素子などのチップであってもよい。
【0101】
(2)上記実施形態では、基板認識カメラ20Aと制御部110とを備える認識装置の一例として表面実装機10を示した。しかしながら、これに限らず、半田印刷機や基板の外観検査機などに本明細書で開示した技術である認識装置(基板認識カメラ20Aや制御部110)、または認識方法を適用してもよい。
【0102】
(3)上記実施形態1では、不認識領域R1の情報が記憶部112に記憶されている構成にした。しかしながら、これに限らず、不認識領域の情報は、外部入出力端末から全て入力される構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10:表面実装機(「認識装置」の一例)
13:部品供給装置
20:部品実装装置
20A:基板認識カメラ(「撮像部」の一例)
110:制御部
111:演算制御部(「制御部」の一例)
D1:対象画像
D2:加工画像
D0:基準画像
E:電子部品(「認識対象」の一例)
L:エッジライン(「外縁」の一例)
P:プリント基板(「認識対象」、「被積層対象」および「基板」の一例)
R1:不認識領域
R2:認識領域
W1:下段のウェハチップ(「認識対象」および「被積層対象」の一例)
W2:上段のウェハチップ(「認識対象」および「積層対象」の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15