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  • 特許-飲食用粉末組成物及び溶け残り低減方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】飲食用粉末組成物及び溶け残り低減方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/39 20060101AFI20221122BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20221122BHJP
   A23L 29/212 20160101ALI20221122BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20221122BHJP
【FI】
A23L2/00 Q
A23L2/00 E
A23L29/212
A23L29/269
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018167004
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020039259
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】312017444
【氏名又は名称】ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】半本 泰三
(72)【発明者】
【氏名】桧作 公理
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/030206(WO,A1)
【文献】特開2018-068272(JP,A)
【文献】特開2015-171352(JP,A)
【文献】特開2018-033327(JP,A)
【文献】特開2018-023371(JP,A)
【文献】特開2017-012112(JP,A)
【文献】Corn Cream Stew,Mintel GNPD [online],2017年10月,ID#5170681
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
CAplus/FSTA(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工澱粉及びウェランガムを含有し、前記加工澱粉の含有量に対する前記ウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)が0.1~1.5である飲食用粉末組成物。
【請求項2】
前記飲食用粉末組成物中において、前記ウェランガムの含有量が0.4~4質量%である請求項1に記載の飲食用粉末組成物。
【請求項3】
前記飲食用粉末組成物中において、前記加工澱粉の含有量が1~16質量%である請求項1又は2に記載の飲食用粉末組成物。
【請求項4】
前記飲食用粉末組成物は、熱湯を注いでから150秒後の粘度が150mPa・s以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の飲食用粉末組成物。
【請求項5】
前記飲食用粉末組成物は、粉末原料として穀物類、野菜、果実、肉類、魚介類、卵類、及び乳類から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の飲食用粉末組成物。
【請求項6】
加工澱粉及びウェランガムを含有する飲食用粉末組成物において、前記加工澱粉の含有量に対する前記ウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)を0.1~1.5とすることにより飲食用粉末組成物の熱湯への溶け残りを低減させる溶け残り低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘多糖類を含有する飲食用粉末組成物及び溶け残り低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に飲食用粉末組成物として、カボチャ、トウモロコシ、卵等の糖質又はタンパク質成分からなる粉末原料を含み、熱湯を注いで食するためのスープ、飲料、ソース等の調味料が知られている。このような飲食用粉末組成物は、飲食の際、粉末の溶け残りがあると、本来求められる風香味が低下したり、食感が低下するという問題があった。
【0003】
従来より、例えば特許文献1,2の飲食用粉末組成物が知られている。特許文献1は、コーンパウダー等の澱粉と、加工澱粉、デキストリン等を含有するコーンスープについて開示する。特許文献2は、増粘剤としてキサンタンガム又はグアガムと、ステアリン酸カルシウム等を含有するダマの形成抑制方法について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-171352号公報
【文献】特開2017-12112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のコーンスープは、特定の造粒工程を必須とするため、簡易な手段により溶け残りを低減する方法が望まれていた。また、特許文献2に開示される方法は、増粘多糖類としてのキサンタンガムによりダマの形成抑制は図れるが、最終的な溶け残りの抑制効果が依然として不十分であった。また、増粘多糖類としてのグアガムによりダマの形成抑制は図れるが、食感が低下するという問題があった。
【0006】
本発明の目的とするところは、食感を低下させることなく、溶け残りを抑制できる飲食用粉末組成物及び溶け残り低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、加工澱粉とウェランガムを特定の比率で配合することにより、食感を低下させることなく、溶け残りを低減できることを見出したことに基づくものである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、加工澱粉及びウェランガムを含有し、前記加工澱粉の含有量に対する前記ウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)が0.03~1.5である飲食用粉末組成物が提供される。
【0008】
前記飲食用粉末組成物中において、前記ウェランガムの含有量が0.4~4質量%であってもよい。前記飲食用粉末組成物中において、前記加工澱粉の含有量が1~16質量%であってもよい。
【0009】
前記飲食用粉末組成物は、熱湯を注いでから150秒後の粘度が150mPa・s以上であってもよい。
前記飲食用粉末組成物は、粉末原料として穀物類、野菜、果実、肉類、魚介類、卵類、及び乳類から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
【0010】
本発明の別の態様では、加工澱粉及びウェランガムを含有する飲食用粉末組成物において、前記加工澱粉の含有量に対する前記ウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)を0.03~1.5とすることにより飲食用粉末組成物の熱湯への溶け残りを低減させる方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、食感を低下させることなく、溶け残りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】試験例1における粘度と溶け残り量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の飲食用粉末組成物を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の飲食用粉末組成物は、加工澱粉及びウェランガムを所定の比率で含有する。飲食用粉末組成物中において、加工澱粉の含有量に対するウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)が0.03~1.5、好ましくは0.1~1.2、より好ましくは0.3~1である。かかる範囲に規定することにより、飲食用粉末組成物の熱湯への溶け残りを低減させるとともに粘度上昇を図ることができる。
【0014】
加工澱粉は、飲食用粉末組成物を熱湯に溶解させた際の粘度上昇及び食感向上の観点から配合される。改質澱粉とは、澱粉に対して、エーテル化、エステル化、グラフト化等の誘導体化処理、焙焼、酵素変性、酸化、酸処理等の分解処理、α化、造粒処理、多孔質化等の加工を施すことにより、澱粉本来の物性を人為的に変化させたものをいう。加工澱粉の種類としては、特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。使用される澱粉の種類としては、例えば穀類澱粉、イモ類澱粉、豆類澱粉、野草類澱粉、幹茎澱粉が挙げられる。より具体的には、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、小麦澱粉が挙げられる。これらの中で粘度上昇効果に優れる観点から馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉が好ましく、馬鈴薯澱粉がより好ましい。飲食用粉末組成物中において、加工澱粉の含有量は、1~16質量%であることが好ましく、2~14質量%がより好ましく、2.6~12.5質量%が特に好ましい。かかる範囲に規定することにより、溶け残りを抑制しながら、粘度上昇を図ることができる。
【0015】
ウェランガムは、増粘多糖類の一種であって、加工澱粉との併用により飲食用粉末組成物を熱湯に溶解させた粘度を上昇させる。それにより、加工澱粉の使用量を増加させなくとも、粘度上昇を図ることができる。飲食用粉末組成物中において、ウェランガムの含有量は、0.4~4質量%が好ましく、0.5~3.5質量%がより好ましく、0.7~3質量%が特に好ましい。かかる範囲に規定することにより、溶け残りを抑制しながら、粘度上昇を図ることができる。
【0016】
本実施形態の飲食用粉末組成物は、熱湯を注いでから150秒後の粘度の下限が好ましくは150mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上、さらに好ましくは250mPa・s以上である。粘度が150mPa・s以上の場合、濃厚さを向上させることができる。熱湯を注いでから150秒後の粘度の上限は、特に限定されないが、スープ等の飲用形態における飲みやすさの観点から好ましくは1200mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下である。
【0017】
なお、熱湯を注いでから150秒後の粘度の測定方法は、具体的には次の方法により求められる。飲食用粉末組成物(22.6g)に対して約98℃のお湯150mLを入れて10秒間、手で150~200rpmの速度で混ぜて攪拌する。その後20秒以内に測定容器に入れ(お湯添加から30秒後)、B型粘度計で、ローターNo.M2、30rpmの条件で120秒間にわたり計測、つまりお湯添加から150秒までを計測する。
【0018】
飲食用粉末組成物の用途は、特に限定されないが、水(例えば80℃以上のお湯、熱湯)への分散過程を伴うスープ、飲料、調味料等の飲食品の分野に利用することができる。
飲食用粉末組成物は、上述した各用途に応じて、さらに澱粉又はタンパク質を含有する粉末原料を配合することができる。粉末原料として、例えば穀類、野菜、果実、肉類、魚介類、卵類、乳類等の天然素材が挙げられる。より具体的には、カボチャ等の果菜類、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、コメ等の穀物類、大豆等のマメ類、ジャガイモ、サツマイモ等の根菜類等が挙げられる。素材そのものの粉末原料のみならず、それらの抽出物(エキス)、各素材から得られる澱粉又はタンパク質を使用してもよい。澱粉としては、例えばコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、小麦澱粉等が挙げられる。タンパク質としては、例えば乳タンパク質、大豆タンパク質、コムギタンパク質、コメタンパク質、卵タンパク質、ゼラチン等が挙げられる。
【0019】
また、各種用途に応じて飲食品の分野に適用可能な添加剤、例えば砂糖、食塩、アミノ酸、香辛料等の調味料、砂糖以外の糖類、デキストリン等の多糖類、上記以外の増粘剤、乳化剤、分散剤、油脂、酸化防止剤、薬味種子等を配合してもよい。上記以外の増粘剤としては、例えばキサンタンガム、グアガム、ステアリン酸塩等が挙げられる。他の増粘剤は、溶け残りの抑制、食感を向上させる観点から、飲食用粉末組成物中において適宜配合してもよい。
【0020】
本実施形態の飲食用粉末組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の飲食用粉末組成物では、加工澱粉とウェランガムを特定の比率で配合した。したがって、食感を低下させることなく、溶け残りを低減できる。つまり、良好な食感と溶け残り抑制の両立を図ることができる。また、食感を低減させることなく、なめらかな食感を得ながら粘度の上昇を図ることができる。
【0021】
(第2実施形態)
以下、本発明の溶け残り低減方法を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態について、下記の記載以外は、第1実施形態の飲食用粉末組成物と同様の構成が適用される。
【0022】
本実施形態の溶け残りの低減方法は、加工澱粉及びウェランガムを含有する飲食用粉末組成物において、加工澱粉の含有量に対するウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)を0.03~1.5とすることにより飲食用粉末組成物の熱湯への溶け残りを低減させる方法である。
【0023】
溶け残りの低減とは、飲食用粉末組成物の溶け残り理論値よりも実際の溶け残り量が低減していることを示す。溶け残り理論値とは、加工澱粉のみを含む所定量の粉末に熱湯を注いでから150秒後の粘度と、溶け残り量とから求められる関係式(検量線)より得られる値を示す。例えば、馬鈴薯澱粉から得られる加工澱粉のみからなる粉末に熱湯を注いでから150秒後の粘度(x)と、溶け残り量(y)とから求められる関係式(1)は、y=4.4558ln(x)-16.153(R2=0.9863)である。加工澱粉の他、ウェランガムも含有する飲食用粉末組成物に熱湯を注いでから150秒後の粘度(x)の値より上記式(1)から得られる溶け残り量(y)が溶け残り理論値である。溶け残り理論値は、原料として用いられる加工澱粉に応じてその都度算出することが好ましい。
【0024】
本実施形態の溶け残り低減方法によれば、第2実施形態の効果に加えて以下のような効果を得ることができる。
(2)本実施形態の飲食用粉末組成物の熱湯への溶け残りを低減させる溶け残り低減方法では、加工澱粉の含有量に対するウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)を0.03~1.5とした。したがって、容易な方法により食感を低下させることなく、溶け残りを低減できる。
【0025】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の飲食用粉末組成物は、水分散性を有すれば、粉末状、粒子状、顆粒状であってもよく、また、取扱い性を向上させるために、水分散性を阻害しない範囲内において、それらを所定形状、例えばキューブ状、タブレット状に固めてもよい。
【0026】
・本実施形態の飲食用粉末組成物の製造方法は、特に限定されず、加工澱粉及びウェランガムを、加工澱粉の含有量に対するウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)が0.03~1.5となるように配合する工程を含んでいる。したがって、特定の粒径に造粒する工程を必須工程とすることなく、簡易な方法により、粘度上昇を図りながら、溶け残りを低減できる飲食用粉末組成物を得ることができる。
【実施例
【0027】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例6,7は、参考例6,7に置き換えるものとする。
<試験例1:増粘多糖類の検討>
加工澱粉に併用する増粘多糖類の種類を変えて増粘性と溶け残り等について評価を行った。
【0028】
表1~3に示されるように、カボチャパウダー等の粉末原料と加工澱粉を含有する加工澱粉区分(A区分)、カボチャパウダー等の粉末原料と増粘多糖類を含有する増粘多糖類区(B区分)、カボチャパウダー等の粉末原料を含有し、加工澱粉及び増粘多糖類を配合しない無添加区(C区分)をそれぞれ調製した。増粘多糖類の種類としては、表5に記載されるウェランガム、キサンタンガム、又はグアガムを使用した。
【0029】
表5に示されるように、A~C区分を所定量ずつ配合することにより、加工澱粉及び増粘多糖類を所定量含有する各例の飲食用粉末組成物を調製した。各例の飲食用粉末組成物について、溶け残り、粘度、及び食感についてそれぞれ評価した。また、本試験例で使用した加工澱粉について、溶け残り量と粘度との関係式より、各例の飲食用粉末組成物の溶け残り理論値を求めるとともに、実際の溶け残り量と比較し、溶け残り低減効果の有無について評価した。
【0030】
(粘度)
300mLカップに各例の飲食用粉末組成物(22.6g)を入れ、98℃のお湯150mLを注いで10秒間手で150~200rpmの速度で混ぜて攪拌した。次にその後20秒以内に粘度測定容器に入れ(お湯添加から30秒後)、B型粘度計(東機産業社製)で、ローターNo.M2、30rpmの条件で120秒間にわたり計測、つまりお湯添加から150秒までを計測した。測定結果を表5に示す。
【0031】
(溶け残り)
溶け残り量(g)は、上記粘度測定後のカップからスープを廃棄し、水気をよく切った後、容器内に付着した溶け残り成分を含む容器の質量を測定し、空の容器の質量を差し引くことにより求めた。溶け残り量が8g未満の場合を◎、8g以上且つ11g未満の場合を○、11g以上且つ14g未満を△、14g以上を×として評価した。結果を表5に示す。
【0032】
(食感)
熱湯に溶解した飲食用粉末組成物について、パネラーが食し、食感を評価した。具体的食感を表5に示す。
【0033】
(溶け残り理論値)
溶け残り理論値を得るために、加工澱粉のみを含む所定量の粉末に熱湯を注いでから150秒後の粘度と、溶け残り量とから求められる関係式(検量線)を求めた。
【0034】
加工澱粉として各例で用いられる馬鈴薯澱粉から得られるエーテル化澱粉を使用した。表4に示されるNo.1~5の各加工澱粉のみからなる粉末を、300mLのカップに入れ、上記と同様の方法により粘度(mPa・s)及び溶け残り量(g)を求めた。結果を表4に示す。また、かかる粘度(mPa・s)(x)と、溶け残り量(g)(y)とから求められる関係を図1のグラフに示す。
【0035】
かかる粘度(x)と溶け残り量(y)との関係式(1)は、y=4.4558ln(x)-16.153(R2=0.9863)であった。各例の飲食用粉末組成物に熱湯を注いでから150秒後の粘度の値より、上記式(1)から得られる溶け残り量(y)(溶け残り理論値(g))を求めた。
【0036】
また、上記(溶け残り)欄で求められた各例の飲食用粉末組成物の溶け残り量(溶け残り実測値)と、溶け残り理論値とを比較し、溶け残りの低減効果の有無について評価した。結果を表5に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
表5に示されるように、増粘多糖類としてキサンタンガムを使用した比較例1,2は、溶け残り理論値に対する溶け残り低減効果が認められなかった。増粘多糖類としてグアガムを使用する比較例3,4は、各実施例に比べて食感が劣ることが確認された。増粘多糖類を配合せず、加工澱粉を使用する比較例5,6は、加工澱粉の配合量を増加させると、溶け残り量が多くなることが確認された。加工澱粉を配合せず、ウェランガムを使用する比較例7,8は、各実施例に比べて食感が劣ることが確認された。
【0042】
<試験例2:増粘多糖類と加工澱粉の比率の検討>
加工澱粉とウェランガムの含有比率を変えて増粘性と溶け残りについて評価を行った。
試験例1と同様に、加工澱粉区分(A区分)、増粘多糖類区(B区分)、無添加区(C区分)をそれぞれ調製した。表6に示されるように、A~C区分を所定量ずつ配合することにより、加工澱粉及び増粘多糖類を所定の比率で含有する各例の飲食用粉末組成物を調製した。各例の飲食用粉末組成物について、溶け残り及び粘度について評価した。評価方法は、試験例1と同様の方法を採用した。結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
表6に示されるように、加工澱粉の含有量に対するウェランガムの含有量の質量比(ウェランガム/加工澱粉)が0.03~1.5の要件を満たす各実施例は、溶け残りが低減されることが確認された。
図1