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特許7181031ターボ機械用ベースプレートおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ターボ機械用ベースプレートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/20 20060101AFI20221122BHJP
   F01D 25/28 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
F02C7/20 A
F01D25/28 C
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018167439
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2019078262
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】102017000105273
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・メンチッチ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・コンデロ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエレ・チェッカッチ
(72)【発明者】
【氏名】ドメニコ・ザフィーノ
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10025129(DE,A1)
【文献】特表2010-516922(JP,A)
【文献】米国特許第06405992(US,B1)
【文献】特開2016-217303(JP,A)
【文献】特開2008-196639(JP,A)
【文献】米国特許第06230481(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/20
F01D 25/28
F16M 1/00
F16M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械ベースプレート(3)であって、
ターボ機械支持表面を形成する上部表面と当該上部表面と反対側の下部表面を有する上側金属プレート(17)と、
上部表面と当該上部表面と反対側の下部表面を有する下側金属プレート(19)であって、当該下側金属プレート(19)の前記上部表面が、前記上側金属プレート(17)の前記下部表面と対向する、下側金属プレート(19)と、
前記上側金属プレート(17)の前記下部表面と前記下側金属プレート(19)の前記上部表面との間に配置され、前記上側金属プレート(17)の前記下部表面と前記下側金属プレート(19)の前記上部表面に接着する、充填材料製の中間層(27)と、
前記中間層(27)の周囲に延在するフレーム(21)と
少なくとも1つの中間梁(31)であって、前記ターボ機械ベースプレート(3)の1つの断面において、当該少なくとも1つの中間梁(31)が、一端が前記下側金属プレート(19)の前記上部表面に接続され、反対端が前記上側金属プレート(17)の前記下部表面に接続され、前記上側金属プレート(17)と前記下側金属プレート(19)と前記フレーム(21)の間に画成される領域の中で前記フレーム(21)から内側に離間して配置される、少なくとも1つの中間梁(31)と、
を備える、ターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項2】
前記中間層(27)が、硬化した流動性材料で作製される、請求項1に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項3】
前記中間層(27)が、非発泡ポリマー、ポリマー発泡体、金属発泡体、セラミック発泡体、またはそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1または2に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項4】
前記フレーム(21)が、前記ターボ機械ベースプレート(3)を支持構造(33)に固定するための固定点を形成する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項5】
前記フレーム(21)が、複数の梁(23)を備え、各々の前記梁(23)がウェブ(23C)と、当該ウェブ(23C)の一方の端部から前記フレーム(21)の内向きに延びる上側フランジ(23A)と、当該ウェブ(23C)の他方の端部から前記フレーム(21)の内向きに延びる下側フランジ(23B)と、を有し、前記上側金属プレート(17)と前記上側フランジ(23A)とが同一平面に沿って延びるように前記上側金属プレート(17)の周縁が前記上側フランジ(23A)に溶接によって結合し、前記下側金属プレート(19)と前記下側フランジ(23B)とが同一平面に沿って延びるように前記下側金属プレート(19)の周縁が前記下側フランジ(23B)に溶接によって結合する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項6】
前記フレーム(21)が、前記ターボ機械ベースプレート(3)を支持構造(33)に結合するための固定部材が接続される、外向きに延びるフランジ(23A、23B、24)をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項7】
前記フレーム(21)が、複数の梁(23)から構成され、各々の前記梁(23)がウェブ(23C)と、前記ターボ機械ベースプレート(3)を支持構造(33)に固定するための固定点を形成する少なくとも1つの外向きに突出するフランジ(23A、23B、24)とを有する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項8】
前記上側金属プレート(17)の前記上部表面に接続されたターボ機械支持要素(13、15)をさらに備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項9】
前記上側金属プレート(17)が、1mm以上50mm以下の範囲の厚さを有し、および/または前記下側金属プレート(19)が、1mm以上50mm以下の範囲の厚さを有する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項10】
前記中間層(27)が、00mm以上1500mm以下の範囲の厚さを有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のターボ機械ベースプレート(3)に取り付けられたガスタービンエンジン(5)を備える、ターボ機械システム(1)。
【請求項12】
前記ターボ機械ベースプレート(3)の前記フレーム(21)に固定され、前記上側金属プレート(17)の上に延び、前記ガスタービンエンジン(5)を取り囲むエンクロージャ(11)をさらに備える、請求項11に記載のターボ機械システム(1)。
【請求項13】
ターボ機械システム(1)を製造するための方法であって、
流動性材料をベースプレート(3)構造の中空容積(28)に導入するステップであって、前記中空容積(28)は、ターボ機械支持表面を形成する上部表面と当該上部表面と反対側の下部表面を有する上側金属プレート(17)と、上部表面と当該上部表面と反対側の下部表面を有する下側金属プレート(19)であって、当該下側金属プレート(19)の前記上部表面が、前記上側金属プレート(17)の前記下部表面と対向する、下側金属プレート(19)と、前記上側金属プレート(17)および前記下側金属プレート(19)の縁部に沿って周囲に延びるフレーム(21)と、の間に形成され、前記中空容積(28)は、少なくとも1つの中間梁(31)を有し、前記ベースプレート(3)構造の1つの断面において、当該少なくとも一つの中間梁(31)が、一端が前記下側金属プレート(19)の前記上部表面に接続され、反対端が前記上側金属プレート(17)の前記下部表面に接続され、前記上側金属プレート(17)と前記下側金属プレート(19)と前記フレーム(21)の間に画成される領域の中で前記フレーム(21)から内方に離間して配置される、ステップと、
前記流動性材料を前記容積に流して固化し、前記上側金属プレート(17)、前記下側金属プレート(19)および前記フレーム(21)に接着させるステップと
を含む、方法。
【請求項14】
タービン支持要素(13、15)を前記上側金属プレート(17)の外側表面に取り付けるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ガスタービンエンジン(5)を前記ベースプレート(3)構造に取り付けるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ガスタービンエンジン(5)を前記タービン支持要素(13、15)に取り付けるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記上側金属プレート(17)が、前記上側金属プレート(17)を累積的に形成する第1の複数の金属プレート構成要素を備え、前記下側金属プレート(19)が、前記下側金属プレート(19)を累積的に形成する第2の複数の金属プレート構成要素を備える、請求項13乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記フレーム(21)が、複数の梁(23)を備え、各々の前記梁(23)がウェブ(23C)と、当該ウェブ(23C)の一方の端部から前記フレーム(21)の内向きに延びる上側フランジ(23A)と、当該ウェブ(23C)の他方の端部から前記フレーム(21)の内向きに延びる下側フランジ(23B)と、を有し、
前記方法が、前記上側金属プレート(17)と前記上側フランジ(23A)とが同一平面に沿って延びるように前記上側金属プレート(17)の周縁を前記上側フランジ(23A)に溶接によって結合するステップと、
前記下側金属プレート(19)と前記下側フランジ(23B)とが同一平面に沿って延びるように前記下側金属プレート(19)の周縁を前記下側フランジ(23B)に溶接によって結合するステップとをさらに含む請求項13乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記フレーム(21)が、四角形の配置で互いに溶接された複数の梁(23)からなる、請求項13乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターボ機械を支持するためのベースプレート構造に関する。本明細書で開示される実施形態は、具体的には、ガスタービンエンジンを支持するためのベースプレートを指す。本開示はまた、少なくともガスタービンエンジンと、前記ガスタービンエンジンを支持するベースプレートとを備えるユニットまたはシステム、ならびにベースプレートを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、いくつかの産業用途において原動機として広く使用されている。発電用途において、ガスタービンエンジンは、例えば発電用の発電機を駆動するために使用される。機械的駆動用途では、ガスタービンエンジンは、回転負荷、例えばガス圧縮機または一連のガス圧縮機を駆動するために使用される。
【0003】
ガスタービンエンジンは、通常、ベースプレートに取り付けられ、十分な負荷能力、曲げ効率およびねじり強度を提供しなければならない。この種のターボ機械ベースプレートは、通常、互いに溶接された複数の梁によって形成された、格子構造からなる。梁を互いに接続するには、労力を要する溶接プロセスが必要である。溶接ビードは、届きにくい場所でもある、ベースプレートの上部、底部、ならびに全体の厚さにわたって位置する。これにより、溶接プロセスは特に時間がかかり、高価となる。
【0004】
回転機械は、格子構造の中間梁のフランジに支持される。したがって、格子構造の設計は、機械がベースプレートに配置される可能性について制限および制約をもたらす。逆に、格子構造を形成する梁の位置、ひいてはその機械的特性は、回転機械が載置されなければならない位置に条件付けられる。
【0005】
格子構造を形成するすべての梁は、大気中の物質に対する保護のために塗装されなければならない。格子構造の複雑さ、格子構造を形成する多数の梁およびベースプレート構造の内部への限定されたアクセスは、最終的なベースプレート構造の総コストに加えて、塗装作業を労力と時間を要するものとする。
【0006】
ベースプレートの上側には、格子構造によって形成された開口部を閉じるために、閉鎖プレートが設けられていなければならない。プレートは、ガスタービンエンジン、および/またはベースプレートに取り付けられた可能な他の回転機械の動作によって引き起こされる振動を受ける。これにより、騒音が発生する。ベースプレートおよびガスタービンエンジンエンクロージャの周囲には、騒音低減装置が必要となる。
【0007】
ベースプレートの上部表面と底部表面との間の利用可能な空間を活用するために、いくつかの付属装置がベースプレートの垂直延長部内に配置される。このような装置へのアクセスは、困難である。
【0008】
十分な曲げおよびねじり強度を提供するためには、格子構造の高さが十分でなければならない。例えば、最大50MWの出力率を有するガスタービンエンジンは、通常、約600~700mmの垂直寸法(すなわち、厚さ)を有するベースプレートが必要である。これにより、ベースプレートは煩雑で扱いにくくなり、高価となる。ベースプレート構造の曲げおよびねじり強度は、構造の垂直延長部(高さ)に大きく依存する。
【0009】
したがって、特にガスタービンエンジンのような回転ターボ機械を支持するためのより効率的なベースプレートと、それに接続された可能な補助装置または回転負荷とを提供する必要性が存在し、これは、従来技術のベースプレート構造の上述の制限および欠点の少なくとも1つまたはいくつかを軽減または克服する。
【発明の概要】
【0010】
一態様によれば、ターボ機械支持表面を形成する上側金属プレートと、下側金属プレートとを備えるターボ機械ベースプレートが開示される。充填材料で作製された中間層は、上側プレートと下側プレートとの間に配置され、上側および下側金属プレートの内側表面に、ならびに中間層の周辺に延びるフレームに接合される。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、中間層は、硬化した流動性材料で作製される。ここで理解されるような「流動性材料」は、例えば、流体、半流体または粉末の形態であり得る材料であり、より一般的には、フレームと上側および下側金属プレートとの間に形成された閉鎖容積の中に注ぐことができる材料である。次に、流動性材料を硬化させ、上側および下側金属プレートの内側表面に、ならびにフレームの内向きの表面に接着させる。流動性材料は、膨張可能な材料、例えば、ポリマー発泡体、または金属発泡体もしくはセラミック発泡体であってもよい。発泡材料の膨張は、上側および下側金属プレートと周囲のフレームとの間のベースプレート構造の内側容積全体を効率的に充填することができる。
【0012】
ターボ機械ベースプレートには、ベースプレートを支持構造に固定するための固定点を設けることができる。固定点は、フレームに沿って設けられてもよいし、フレームによって形成されてもよい。
【0013】
上側金属プレートおよび/または下側金属プレートは、約1~約50mmの範囲の厚さを有することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、中間層は、約100~約1500mmの範囲の厚さを有する。
【0015】
さらなる態様によれば、上述のようにターボ機械ベースプレートに取り付けられたガスタービンエンジンを備えるターボ機械システムが開示される。
【0016】
また、ターボ機械システムを製造するための方法も本明細書で開示され、方法は、流動性材料をベースプレート構造の中空容積に導入するステップを含み、中空容積は、上側金属プレート、下側金属プレートならびに上側金属プレートおよび下側金属プレートの縁部に沿って周辺に延びるフレームの間に形成される。方法は、流動性材料を上側金属プレート、下側金属プレートおよびフレームにセットして接着させるステップをさらに含むことができる。
【0017】
特徴および実施形態が、本明細書で以下に開示されており、添付の特許請求の範囲においてさらに説明されている。添付の特許請求の範囲は、本明細書の必須の部分を形成する。上記の簡単な説明は、以下の詳細な説明をより深く理解できることを目的とし、さらに当該技術分野に対する本発明の寄与をより評価できるようにするために、本発明の様々な実施形態の特徴を記載している。もちろん本発明には他にも特徴があり、他の特徴は以下に説明され、添付の特許請求の範囲に記載される。この点で、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の様々な実施形態が、それらの応用において、以下の説明に記載され、あるいは図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に制限されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施および実行することができる。また、本明細書で用いられる表現および用語は説明を目的とするものであり、限定とみなすべきではないことを理解されたい。
【0018】
このように、当業者であれば、本開示が基づく構想が、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、および/またはシステムを設計する基礎として容易に利用することができることを理解するであろう。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲はこのような等価な構成を含むとみなすことが重要である。
【0019】
本発明の開示された実施形態、および本発明の多くの付随する利点のより全面的な理解は、添付の図面と結び付けて検討される際、以下の詳細な説明を参照することにより、これらがよりよく理解される場合に容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示によるガスタービンエンジンおよびベースプレートを備えるシステムの側面図である。
図2】ガスタービンエンジンが取り外された図1のシステムの斜視図である。
図3】ベースプレートの一部の斜視図である。
図4】ベースプレートの一部の断面斜視図である。
図5】ベースプレートを支持構造に固定するための固定部材の詳細を示す図である。
図6A】ベースプレートのフレームを形成する梁の代替の形状の断面図である。
図6B】ベースプレートのフレームを形成する梁の代替の形状の断面図である。
図6C】ベースプレートのフレームを形成する梁の代替の形状の断面図である。
図6D】ベースプレートのフレームを形成する梁の代替の形状の断面図である。
図7】本開示のベースプレートを製造する方法を要約したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な実施形態についての以下の詳細な説明では、添付の図面を参照する。別々の図面における同じ参照番号は、同じかまたは同様の要素を表す。さらに、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。また、以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0022】
本明細書全体を通して「一実施形態」「実施形態」または「いくつかの実施形態」への言及は、ある実施形態と結び付けて説明される特定の特徴、構造または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所で「一実施形態では」「実施形態では」または「いくつかの実施形態では」という表現が現れても、必ずしも同じ実施形態(単数および複数)を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0023】
一般的に言えば、改善された特性を有するより良好なベースプレートを提供するために、共通の格子構造は、上部金属プレートと底部金属プレートとからなるサンドイッチ構造で置き換えられる。好ましくはポリマーからなる充填材料の中間層が、上部金属プレートと底部金属プレートとの間に配置される。充填材料は、上側および下側金属プレートに接着して、曲げおよびねじり強度が改善された複合構造を提供する。中間充填材料は、発泡または非発泡ポリマーからなることができる。周辺フレームは、ベースプレートを取り囲み、上側金属プレートおよび下側金属プレートと共にベースプレートの内側容積を画定することができる。充填材料は、まだ流動性状態にあるとき、内側容積に注がれる。ベースプレートの内側容積に注がれると、充填材料は、実質的にモノリシックなサンドイッチ構造が得られるように、フレームならびに上側および下側金属プレートの内側表面にセットして接着させることができる。
【0024】
このようにして得られるベースプレートは、軽量で機械的強度を高め、溶接を必要とせず、したがって製造が容易である。塗装は、フレームおよび金属プレートの外部表面に限定され、内側表面は、セットされた充填材料によって環境作用物質から保護される。
【0025】
ここで添付の図面を参照すると、図1は、ベースプレート3と、ベースプレート3に取り付けられたガスタービンエンジン5とを備えるシステム1の側面図を示す。ガスタービンエンジン5は、例えば航空転用ガスタービンエンジンとすることができ、図示されていない発電機、ガス圧縮機または他の回転負荷に駆動可能に結合することができる。場合によっては、回転負荷は、同じベースプレート3に取り付けることができる。他の実施形態では、負荷は、別個のベースプレートに配置されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、ガスタービンエンジン5は、入口プレナム7と、排気ガスディフューザ9とからなることができる。
【0027】
ガスタービンエンジン5は、部分的に11で示すガスタービンエンクロージャに収容することができる。
【0028】
ガスタービンエンジン5およびエンクロージャ11は、設けられる場合、ベースプレート3に取り付けられる。中間ガスタービン支持要素13、15は、ベースプレート3に拘束され、そこから上方に突出することができる。ガスタービン支持要素13、15は、それ自体公知である。ガスタービン支持要素13、15は、ガスタービンエンジン5とベースプレート3との間の平衡リンク(isostatic link)を提供する3点支持配置を画定することができる。
【0029】
ベースプレート3は、図3の分離した部分断面図で示されている。ベースプレート3は、上部または上側表面3Tと、底部または下側表面3Bとを備えることができる。本明細書で使用する場合、「上部」および「底部」という用語は、その動作位置にあるベースプレートの配置を指す。上部表面3Tは、上側金属プレート17によって形成することができ、底部表面3Bは、下側金属プレート19によって形成することができる。各金属プレート17、19は、モノリシックであってもよく、すなわち、単一の金属のシートによって形成されてもよい。他の実施形態では、前記金属プレート17、19の一方または両方は、その突合せ縁部に沿って互いに溶接される複数の別個のプレート部分または部分プレートによって形成され、単一の金属プレートを形成することができる。
【0030】
上側金属プレート17と下側金属プレート19との間には、図3および図4に最もよく示されるように、ベースプレート3の周辺に延びるフレーム21が設けられる。フレーム21は、四角形であってもよく、上側金属プレート17および下側金属プレート19と実質的に同一の広がりを有することができる。フレーム21は、梁部分によって形成することができる。後でより詳細に説明するように、フレーム21を形成する梁は、様々な断面形状をとることができる。一般に、フレーム21を形成する梁は、中央ウェブと、2つのフランジ、それぞれ上側フランジおよび下側フランジとを有することができる。
【0031】
上側金属プレート17は、その上側のフレーム21に沿って溶接することができ、下側金属プレート19は、その下側のフレーム21に沿って溶接することができ、それによりフレーム21と、溶接された上側および下側金属プレート17、19とからなる実質的に閉じた構造が得られる。
【0032】
当業者には理解されるように、上に開示された構造における溶接量は、従来技術による格子構造を有するベースプレートを製造するために必要な溶接よりも実質的に少ない。
【0033】
いくつかの実施形態では、フレーム21は、図6Aに例として示すように、H字形の断面を有する梁23の断面または部分によって形成することができる。梁23は、上側フランジ23Aと、下側フランジ23Bと、中央ウェブ23Cとを備える。上側金属プレート17は、上側フランジ23Aの内向きの縁部に沿って溶接される。下側金属プレート19は、下側フランジ23Bの内向きの縁部に沿って溶接される。B1およびB2は、溶接ビードを示す。溶接ビードB1およびB2は、連続していてもよい。
【0034】
他の実施形態では、フレーム21は、図6Bに示すように、C字形の断面を有する梁の断面または部分によって形成することができる。同じ参照番号は、図6Aと同じかまたは対応する部分を示す。図6Bの実施形態では、梁23は、その上側および下側フランジ23A、23Bがベースプレート3から外向きに突出するように配置される。ウェブ23Cは、ベースプレート3の内部に面し、上側および下側金属プレート17、19は、そのウェブ23Cにおいて、梁の上側および下側縁部に沿って溶接ビードB1、B2に沿って溶接される。
【0035】
図6Cは、フレーム21のさらなる実施形態の断面図を示し、フレーム21を形成する梁23は、再びC字形の断面を有するが、そのフランジ23A、23Bは、内向きに面する。上側金属プレート17および下側金属プレート19は、フランジ23A、23Bの自由縁部に沿ってフレーム21に溶接される。参照番号B1およびB2は、再び溶接ビードを示す。
【0036】
図6Dは、フレーム21のさらなる実施形態の断面図を示し、梁23は、C字形の断面を有し、フレームから外向きに突出するフランジ24が、溶接によって追加されている。
【0037】
金属プレート17、19およびフレーム21は、中間層27(図6)を形成する充填材料で充填される内側空間28(図4)を囲み、上側金属プレート17、下側金属プレート19およびフレーム21に面接合することができる。図4では、内側空間28は、充填材料で充填する前に空の容積として示されている。充填材料によって形成された中間層27は、上側および下側金属プレート17、19によって境界が定められ、フレーム21によって取り囲まれた空の容積28(図4)全体を占めることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、中間層27は、ポリマーもしくはプラスチックからなることができ、またはポリマーもしくはプラスチックで作製することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、熱硬化性ポリマーであってもよい。例えば、中間層27は、エラストマ、例えば非発泡エラストマからなることができ、またはエラストマで作製することができる。本明細書に開示される例示的な実施形態によれば、ポリマーは、非発泡ポリウレタンであってもよい。
【0039】
さらなる実施形態によれば、中間層27は、熱硬化性ポリマー樹脂などの発泡ポリマー樹脂からなることができ、または発泡ポリマー樹脂で形成することができる。中間層を製造することができる材料の例示的な実施形態は、連続気泡ポリウレタン、独立気泡ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ポリスチレンからなる群から選択することができる。
【0040】
他の実施形態では、中間層27を形成する充填材料は、非ポリマー発泡体であってもよい。例示的な実施形態では、中間層27は、アルミニウム発泡体などの金属発泡体からなることができ、または金属発泡体で作製することができる。さらなる実施形態では、中間層27は、酸化アルミニウム発泡体などのセラミック発泡体からなることができ、またはセラミック発泡体で作製することができる。
【0041】
中間層27を形成する充填材料は、流動性の形態、例えば液体、半液体、もしくは粉末の形態で、または発泡した形態で、ベースプレートの内側容積28に注ぐことができ、金属プレート17、19およびフレーム21が互いに溶接されると、閉鎖構造が形成される。流動性充填材料を導入するために、上側および下側金属プレート17、19のうちの1つ、好ましくは上側金属プレート17に適切な開口(図示せず)を設けることができる。
【0042】
流動性充填材料は、例えば十分に低い粘度を有する未固化のポリマー樹脂とすることができ、それによりポリマー樹脂は、上側および下側金属プレート17、19とフレーム21との間に画定されたベースプレートの内側容積に容易に分配することができる。次いで、ポリマー樹脂を固化させ、凝固させることができる。発泡樹脂が使用される場合、非ポリマー化樹脂をベースプレートの内側容積に注ぐと膨張し、内側容積全体が膨張したポリマー樹脂で充填されるまで膨張する。
【0043】
一般に、流動性の形態の充填材料は、ベースプレート3の空洞に導入され、硬化させられる。
【0044】
固化または硬化プロセスは、上側金属プレート17および下側金属プレート19の内側表面、ならびに周辺に配置されたフレーム21の内向きの表面に内側層27を接着させる。
【0045】
流動性充填材料をベースプレート3の内部に注ぐために設けられた開口は、必要に応じて、例えば、流動性材料がベースプレート3の内側容積28に導入されると、溶接によって閉じることができる。
【0046】
固化または硬化プロセスが完了すると、フレーム21を形成する梁23の表面ならびに上側金属プレート17の下側表面および下側金属プレート19の上側表面は、中間層27を形成する充填材料と密着し、金属プレート17、19およびフレーム21の金属表面のためのコーティングを提供する。硬化した充填材料が大気中の物質または他の潜在的に有害な物質に対して十分な保護を行うので、フレーム21および金属プレート17、19の表面の内部塗装は不要である。
【0047】
図7は、上述した製造方法を要約したフローチャートを示す。
【0048】
加えて、硬化した充填材料は、構造的強度をベースプレート3に提供する。上側および下側金属プレート17、19、フレーム21および中間層27によって形成されたサンドイッチ構造は、高い慣性モーメントを有する断面を提供する。中間層27が上側および下側金属プレート17、19に接着し、それにより接線力が中間層27によって上側および下側プレート17、19に伝達されるので、高いトルクおよび曲げ強度が得られる。したがって、ベースプレート3の断面の慣性モーメントは、従来技術のベースプレートにおけるように、梁の上側および下側フランジによってではなく、断面の固体領域全体によって提供される。格子構造を有する従来技術のベースプレートと比較して、ベースプレート3の厚さ(垂直方向の寸法)が小さいほど、同じトルクおよび曲げ強度を得ることができる。本開示によるベースプレート3は、曲げおよびねじり強度に関して、従来技術のベースプレートの性能に匹敵する性能を達成することができ、厚さは3倍である。
【0049】
中間層27を形成するベースプレートの充填材料は、比較的軽い構造が得られるように金属よりも低い比重量を有する。発泡充填材料、例えば、ポリマー発泡体または金属発泡体が使用される場合、ベースプレートの全体重量がさらに低減される。
【0050】
中間層または内側層27は、機械的強度を圧縮および破砕に提供し、それによりターボ機械支持要素13、15は、支持要素13、15の下に梁を配置する必要なく、上部または上側金属プレート17の上側表面に沿った任意の位置に配置することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ベースプレート3の内側容積は、充填材料で完全に充填され得る。
【0051】
さらに、いくつかの実施形態によれば、中間層27は、振動減衰を行う。上側および下側金属プレート17、19が中間層27に接合されているので、その上に載置された回転機械によって発生されるベースプレート構造の振動が効果的に減衰され、騒音が効果的に低減される。本明細書に開示される実施形態によれば、充填材料がポリマー材料、具体的には発泡ポリマー材料である場合、特に効果的な振動減衰を達成することができる。追加の騒音障壁は、場合によっては、少なくとも省略することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加の梁を、ベースプレート3の内側容積28に配置することができる。図4では、例えば、2つの中間梁31が設けられている。中間梁31は、フレーム21を形成する梁と同じ断面、または異なる断面を有してもよい。例えば、図4では、すべての梁がH字形の断面を有するが、これは必須ではない。
【0053】
中間梁31は、四角形のフレーム21の長辺または短辺に平行に配置することができる。図4の実施形態では、中間梁31は、フレーム21の長辺に平行であり、その端部は、フレーム21の短辺を形成する梁に溶接することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、上側および/または下側金属プレート17、19は、中間梁31の上側および下側フランジに、その縁部に沿って溶接することができる別個の金属シート部分で作製することができる。
【0055】
中間梁31は、改善された機械的強度をベースプレート3に提供することができる。いくつかの実施形態では、中間梁31は、ベースプレート3の内側容積28に導入される流動性充填材料の分配を向上させることができる。中間梁31はまた、内側容積28を別個の区画に分割することができ、必要または所望であれば、同じまたは異なる種類の充填材料で充填することができる。
【0056】
ベースプレート3には、図5に示す支持構造33に接続するための固定部材をさらに設けることができる。支持構造33は、例えばコンクリートで作製された基礎ブロックとすることができる。図3および図5に示すように、複数の脚部35がベースプレート3の周囲に沿って分配されている。いくつかの実施形態では、脚部35は、それぞれのフレーム梁23の下側フランジ23Bの下に部分的に位置することができる。それぞれのねじスタッド37を使用して、各脚部35をベースプレート3に締結することができる。図3図5の例示的な実施形態では、ねじスタッド37は、フレーム梁23の下側フランジ23Bに設けられた孔を通って延びる。
【0057】
他の実施形態では、図6Dに示すように、外部フランジ24を梁23に溶接することができ、各脚部35を外部フランジ24に締結することができる。
【0058】
各脚部35には、貫通孔39を設けることができ、この貫通孔39を通して、脚部35から延びるねじ固定ボルトをナットなどで挿入して塞ぐことができる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、ベースプレート3は、以下のように支持構造33に固定することができる。ベースプレート3は、脚部35が支持構造33の上側表面に接触した状態で、支持構造33の上部に載置される。脚部35およびその貫通孔39を型板として用いて、空き孔が支持構造に穿孔される。その後、ねじ止め固定ボルトを支持構造33に形成された空き孔に部分的に導入し、締結することができる。固定は、化学的固定締結具によって行うことができる。化学的締結具がセットされると、脚部35は、ねじナットによって固定ボルトに締結される。ベースプレート3のフレーム21と脚部35との間には、ベースプレート3を水平にするためのシミング手段38を設けることができる。
【0060】
これにより、以下の構造、すなわち、脚部35を支持構造33の上側表面に接触させた状態でベースプレート3が配置された支持構造33が得られる。ねじ止め固定ボルトは、化学的締結具によって空き孔に締結され、空き孔の外側に、かつ脚部35の貫通孔39を通って延びる。ねじ止め固定ボルトにねじ込まれたねじナットは、ベースプレート3の脚部35を支持構造33に保持する。ベースプレート3のフレーム21と脚部35との間に位置したシミング手段38は、ベースプレート3を水平に保つ。
【0061】
本明細書で説明される主題の開示された実施形態が図面に示され、いくつかの例示的な実施形態と結び付けて具体的かつ詳細に上で十分に説明されてきたが、多くの修正、変更、および省略が、本明細書に記載された新たな教示、原理、および概念、ならびに添付の特許請求の範囲に述べられる主題の利点から著しく逸脱することなく可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、開示される技術革新の適切な範囲は、すべてのそのような修正、変更、および省略を含むように、添付の特許請求の範囲を最も広く解釈することによってのみ定められるべきである。加えて、プロセスまたは方法のあらゆるステップの順序または並びは、代替の実施形態によれば、変更されてもよく、または並べ直されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 システム
3 ベースプレート
3B 底部表面/下側表面
3T 上部表面/上側表面
5 ガスタービンエンジン
7 入口プレナム
9 排気ガスディフューザ
11 エンクロージャ
13 ガスタービン支持要素/ターボ機械支持要素
15 ガスタービン支持要素/ターボ機械支持要素
17 上側金属プレート
19 下側金属プレート
21 フレーム
23 フレーム梁
23A 上側フランジ
23B 下側フランジ
23C 中央ウェブ
24 外部フランジ
27 中間層/内側層
28 内側容積/内側空間
31 中間梁
33 支持構造
35 脚部
37 ねじスタッド
38 シミング手段
39 貫通孔
B1 溶接ビード
B2 溶接ビード
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7