(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】放射線撮像装置、放射線撮像装置の製造方法、及び放射線撮像装置の修復方法
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20221122BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20221122BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221122BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20221122BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01T7/00 A
H01L27/144 K
H01L27/146 D
G01T1/20 L
G01T1/20 E
G01T1/20 G
A61B6/00 300Q
(21)【出願番号】P 2018196742
(22)【出願日】2018-10-18
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】久嶋 竜次
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】澤田 純一
(72)【発明者】
【氏名】有竹 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】市河 実
(72)【発明者】
【氏名】岡田 晴義
(72)【発明者】
【氏名】深水 聖司
(72)【発明者】
【氏名】難波 秀平
【審査官】松平 佳巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161292(JP,A)
【文献】特開2018-107343(JP,A)
【文献】特開2016-200544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
H01L 27/144
H01L 27/146
G01T 1/20
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する検出領域が形成されると共に前記検出領域の外側に電極パッドが形成された第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの前記第2面に対向すると共に前記放射線検出パネルを支持する支持面を有するベース基板と、
接続部材を介して前記電極パッドに接続された可撓性回路基板と、
前記第1面上に配置され、前記検出領域を構成する、放射線を光に変換するシンチレータと、を備え、
前記ベース基板の端部は、前記支持面に直交する第1方向から見て、
前記検出領域よりも外側に位置し、且つ、前記電極パッドと前記接続部材と前記可撓性回路基板とが重なる接続領域の内側端部よりも内側に位置して
おり、
前記第1方向に直交する第2方向における前記接続領域の内側端部と前記ベース基板の端部との距離は、1mm以上である、放射線撮像装置。
【請求項2】
前記放射線検出パネルは、前記第1方向から見て矩形状に形成されており、
前記放射線検出パネルの少なくとも1つの辺部に、一以上の前記接続領域が形成されており、
前記ベース基板の端部は、前記第1方向から見て、前記少なくとも1つの辺部に形成された全ての前記接続領域の内側端部よりも内側に位置している、請求項1に記載の放射線撮像装置。
【請求項3】
前記ベース基板は、前記第1方向から見て、前記可撓性回路基板と重ならない位置において前記放射線検出パネルよりも外側に突出した突出部を有する、請求項1
又は2に記載の放射線撮像装置。
【請求項4】
前記突出部の前記支持面には、前記第1方向に延在する第1延在部が設けられている、請求項
3に記載の放射線撮像装置。
【請求項5】
前記第1延在部は、前記放射線検出パネルを位置決めする位置決め部材である、請求項
4に記載の放射線撮像装置。
【請求項6】
前記放射線検出パネル、前記ベース基板、及び前記可撓性回路基板を収容する筐体を更に備え、
前記筐体は、前記第1面に対向する第1壁部と、前記第2面に対向する第2壁部と、を有し、
前記ベース基板は、前記第1延在部を介して前記第1壁部に支持されている、請求項
4又は
5に記載の放射線撮像装置。
【請求項7】
前記突出部の前記支持面とは反対側の面には、前記突出部を挟んで前記第1延在部と対向する位置に配置され、前記第1方向に延在する第2延在部が設けられており、
前記ベース基板は、前記第2延在部を介して前記第2壁部に支持されている、請求項
6に記載の放射線撮像装置。
【請求項8】
前記第1延在部及び前記第2延在部は、前記ベース基板とは別体に形成されている、請求項
7に記載の放射線撮像装置。
【請求項9】
放射線を検出する検出領域が形成されると共に前記検出領域の外側に電極パッドが形成された第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する放射線検出パネルを準備する工程と、
前記放射線検出パネルの前記第2面をベース基板の支持面に支持させる工程と、
接続部材を介して前記電極パッドに可撓性回路基板を接続する工程と、を含み、
前記支持させる工程では、前記支持面に直交する第1方向から見て、前記ベース基板の端部が
、前記検出領域よりも外側に位置し、且つ、前記電極パッドと前記接続部材と前記可撓性回路基板とが重なる予定の接続領域の内側端部よりも内側に位置するように、前記放射線検出パネルに対して前記ベース基板を配置し、
前記接続する工程では、前記可撓性回路基板を挟んで前記接続部材とは反対側に配置される第1ヒータと前記放射線検出パネルを挟んで前記接続部材とは反対側に配置される第2ヒータとによって前記接続部材を加熱
し、
前記第1面上には、前記検出領域を構成する、放射線を光に変換するシンチレータが配置されており、
前記第1方向に直交する第2方向における前記接続領域の内側端部と前記ベース基板の端部との距離は、1mm以上に設定される、放射線撮像装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の放射線撮像装置の修復方法であって、
前記放射線検出パネルが前記ベース基板に支持された状態で、第1の可撓性回路基板を前記電極パッドから取り外す工程と、
前記放射線検出パネルが前記ベース基板に支持された状態で、第2の可撓性回路基板を挟んで前記接続部材とは反対側に配置される第1ヒータと前記放射線検出パネルを挟んで前記接続部材とは反対側に配置される第2ヒータとによって前記接続部材を加熱することにより、前記第2の可撓性回路基板を前記接続部材を介して前記電極パッドに接続する工程と、を含む放射線撮像装置の修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮像装置、放射線撮像装置の製造方法、及び放射線撮像装置の修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、X線検出装置が記載されている。このX線検出装置は、支持部材と、支持部材上に固定されたX線検出パネルと、外付けのICが搭載された可撓性回路基板(フレキシブル回路基板)と、を備えている。可撓性回路基板の一端は、X線検出パネルの周縁部に配置された電極パッド(電荷取出部)上に接着部材(異方導電性接着剤)を介して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように可撓性回路基板の一端を電極パッドに接続する際には、可撓性回路基板、接着部材、及びX線検出パネルを一対のヒータ部材で挟み込んで加熱することにより、接着部材を熱圧着する処理が実施される。また、可撓性回路基板のリペア(修理、交換等)を行う場合にも、修理後の可撓性回路基板(又は予備品等)を再度取り付ける際において、上述した熱圧着が行われる。しかしながら、上記X線検出装置のようにX線検出パネルの裏面(電極パッドが設けられた面とは反対側の面)が支持部材に完全に覆われていると、X線検出パネル側に配置されるヒータ部材と支持部材とが干渉してしまう。従って、上記X線検出装置の構成では、可撓性回路基板のリペア時において、X線検出パネルを支持部材から取り外す作業が必要となる。このため、上記X線検出装置には、作業性の観点から向上の余地がある。
【0005】
また、X線検出パネルに直交する方向(X線入射方向)から見て、支持部材の端部がX線検出パネルの端部よりも外側に位置する場合には、可撓性回路基板を支持部材の端部よりも外側に引き回す必要が生じる。このような引き回しが必要となる分だけ可撓性回路基板が長くなり、可撓性回路基板を介して伝達される信号にノイズが乗りやすくなってしまう。
【0006】
本発明の一側面は、可撓性回路基板のリペア作業を容易化すると共に可撓性回路基板を介して伝達される信号におけるノイズを抑制することが可能な放射線撮像装置、放射線撮像装置の製造方法、及び放射線撮像装置の修復方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る放射線撮像装置は、放射線を検出する検出領域が形成されると共に検出領域の外側に電極パッドが形成された第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有する放射線検出パネルと、放射線検出パネルの第2面に対向すると共に放射線検出パネルを支持する支持面を有するベース基板と、接続部材を介して電極パッドに接続された可撓性回路基板と、を備え、ベース基板の端部は、支持面に直交する第1方向から見て、電極パッドと接続部材と可撓性回路基板とが重なる接続領域の内側端部よりも内側に位置している、放射線撮像装置。
【0008】
上記放射線撮像装置においては、可撓性回路基板を電極パッドに接続する際に、可撓性回路基板、接続部材、及び放射線検出パネルを第1方向における両側からヒータで加熱する必要が生じる場合がある。一方、上記放射線撮像装置では、ベース基板の端部が、第1方向から見て接続領域の内側端部よりも内側に位置している。このため、放射線検出パネルの第2面側に配置されるヒータとベース基板との干渉を回避することができる。これにより、可撓性回路基板のリペア(修理、交換等)が必要になった場合において、放射線検出パネルをベース基板から取り外すことなく、可撓性回路基板のリペアを行うことができる。従って、上記放射線撮像装置によれば、可撓性回路基板のリペア作業を容易化することができる。また、仮に、第1方向から見てベース基板の端部が放射線検出パネルの端部よりも外側に位置する場合には、可撓性回路基板をベース基板の端部よりも外側に引き回す必要が生じる。このような引き回しが必要となる分だけ可撓性回路基板が長くなり、可撓性回路基板を介して伝達される信号にノイズが乗りやすくなってしまう。一方、上記放射線撮像装置においては、第1方向から見てベース基板の端部が接続領域の内側端部よりも内側に位置している(すなわち、放射線検出パネルの端部よりも内側に位置している)。このため、上述したような可撓性回路基板の引き回しが不要となり、可撓性回路基板の全体長を短くすることができる。その結果、可撓性回路基板を介して伝達される信号におけるノイズを抑制することが可能となる。
【0009】
放射線検出パネルは、第1方向から見て矩形状に形成されており、放射線検出パネルの少なくとも1つの辺部に、一以上の接続領域が形成されており、ベース基板の端部は、第1方向から見て、少なくとも1つの辺部に形成された全ての接続領域の内側端部よりも内側に位置していてもよい。この構成によれば、上記少なくとも1つの辺部における接続領域に接続された可撓性回路基板の第1方向から見た外側端部の位置を、ベース基板の端部に干渉させることなく、放射線検出パネルの端部に近づけることができる。すなわち、上記少なくとも1つの辺部における可撓性回路基板の外側端部をなるべく内側に位置させることができる。これにより、装置の小型化を図ることができる。例えばベース基板及び放射線検出パネル等を筐体に収容する場合において、当該筐体の小型化を図ることができる。
【0010】
上記放射線撮像装置は、第1面上に配置され、検出領域を構成する、放射線を光又は電荷に変換する変換部を更に備え、第1方向から見て、ベース基板の端部は、検出領域よりも外側に位置しており、第1方向に直交する第2方向における接続領域の内側端部とベース基板の端部との距離は、1mm以上であってもよい。放射線を光又は電荷に変換する変換部は、熱に弱い性質を有する場合が多い。上記構成によれば、可撓性回路基板を電極パッドに接続する際に接続部材を加熱するヒータと変換部との距離を、一定以上(少なくとも1mm以上)確保することができる。その結果、ヒータからの熱が変換部に与える悪影響を抑制することができる。
【0011】
変換部は、放射線を光に変換するシンチレータであってもよい。シンチレータには、防湿性を有する防湿膜が設けられる場合がある。このような防湿膜は特に熱に弱い性質を有する。上記構成によれば、ヒータからの熱がこのように特に熱に弱い性質を有するシンチレータ(防湿膜を含む)に与える悪影響を抑制することができる。
【0012】
ベース基板は、第1方向から見て、可撓性回路基板と重ならない位置において放射線検出パネルよりも外側に突出した突出部を有してもよい。この構成によれば、放射線検出パネルがベース基板に支持された状態で、突出部を把持部として利用することができるため、放射線撮像装置の製造時又はリペア時におけるハンドリング性を向上させることができる。
【0013】
突出部の支持面には、第1方向に延在する第1延在部が設けられていてもよい。例えば、第1延在部は、放射線検出パネルを位置決めする位置決め部材であってもよい。この構成によれば、第1延在部によってベース基板の支持面に対する放射線検出パネルの位置決めを容易に行うことが可能となるため、組立作業性を向上させることができる。
【0014】
上記放射線撮像装置は、放射線検出パネル、ベース基板、及び可撓性回路基板を収容する筐体を更に備え、筐体は、第1面に対向する第1壁部と、第2面に対向する第2壁部と、を有し、ベース基板は、第1延在部を介して第1壁部に支持されていてもよい。この構成によれば、ベース基板(突出部)が第1延在部を介して筐体(第1壁部)に支持されるため、筐体に対してベース基板を安定的に支持することができる。
【0015】
突出部の支持面とは反対側の面には、突出部を挟んで第1延在部と対向する位置に配置され、第1方向に延在する第2延在部が設けられており、ベース基板は、第2延在部を介して第2壁部に支持されていてもよい。この構成によれば、ベース基板(突出部)が、第1延在部及び第2延在部を介して、互いに対向する筐体の一部(第1壁部及び第2壁部)によって挟持される。これにより、筐体に対してベース基板をより一層安定的に支持することができる。ここで、ベース基板を筐体に対して支持する方法としては、例えば柱状の支持部材を介してベース基板の裏面(支持面とは反対側の面)を第2壁部に支持する方法がある。上記構成によれば、第1延在部及び第2延在部を介してベース基板が筐体に支持されるため、上記の支持方法を併用する場合においても、ベース基板の裏面に設けられる支持部材の数を削減することが可能となる。これにより、ベース基板の裏面に対する外部(特に第2壁部)からの衝撃を伝わり難くすることができる。その結果、ベース基板に支持される放射線検出パネルへの衝撃を低減することが可能となる。
【0016】
第1延在部及び第2延在部は、ベース基板とは別体に形成されていてもよい。この構成によれば、ベース基板が第1延在部及び第2延在部の少なくとも一方と一体に形成されている場合と比較して、ベース基板の反りを低減することができる。
【0017】
本発明の一側面に係る放射線撮像装置の製造方法は、放射線を検出する検出領域が形成されると共に検出領域の外側に電極パッドが形成された第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有する放射線検出パネルを準備する工程と、放射線検出パネルの第2面をベース基板の支持面に支持させる工程と、接続部材を介して電極パッドに可撓性回路基板を接続する工程と、を含み、支持させる工程では、支持面に直交する第1方向から見て、ベース基板の端部が電極パッドと接続部材と可撓性回路基板とが重なる予定の接続領域の内側端部よりも内側に位置するように、放射線検出パネルに対してベース基板を配置し、接続する工程では、可撓性回路基板を挟んで接続部材とは反対側に配置される第1ヒータと放射線検出パネルを挟んで接続部材とは反対側に配置される第2ヒータとによって接続部材を加熱する。
【0018】
上記製造方法によれば、支持させる工程において、接続領域と重ならないようにベース基板が配置されることにより、第1ヒータと第2ヒータとで可撓性回路基板、接続部材、及び放射線検出パネルを挟んで熱圧着することが可能となる。すなわち、可撓性回路基板と電極パッドとを接続する際に、第2ヒータとベース基板とが互いに干渉することを防止できる。これにより、放射線検出パネルをベース基板によって安定的に支持した状態で、可撓性回路基板を放射線検出パネルに接続することができる。また、このように第1ヒータと第2ヒータとで接続部材の両側(可撓性回路基板側及び放射線検出パネル側)から加熱することにより、接続部材の片側から加熱する場合と比較して、低い加熱温度(ヒータの温度)で十分な接続強度を確保することができる。従って、上記製造方法によれば、加熱時の熱が放射線検出パネル等に及ぼす悪影響を抑制しつつ、接続強度を確保することもできる。
【0019】
本発明の一側面に係る放射線撮像装置の修復方法は、放射線検出パネルがベース基板に支持された状態で、第1の可撓性回路基板を電極パッドから取り外す工程と、放射線検出パネルがベース基板に支持された状態で、第2の可撓性回路基板を挟んで接続部材とは反対側に配置される第1ヒータと放射線検出パネルを挟んで接続部材とは反対側に配置される第2ヒータとによって接続部材を加熱することにより、第2の可撓性回路基板を接続部材を介して電極パッドに接続する工程と、を含む。
【0020】
上記修復方法によれば、接続領域と重ならないようにベース基板が配置されていることにより、放射線検出パネルをベース基板から取り外すことなく、可撓性回路基板のリペア(取り外す工程及び接続する工程)を行うことができる。従って、上記修復方法によれば、可撓性回路基板のリペア作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一側面によれば、可撓性回路基板のリペア作業を容易化すると共に可撓性回路基板を介して伝達される信号におけるノイズを抑制することが可能な放射線撮像装置、放射線撮像装置の製造方法、及び放射線撮像装置の修復方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態の放射線撮像装置の平面図である。
【
図3】放射線検出パネルの一部を拡大した平面図である。
【
図5】受光部及びICチップの内部構成を示す図である。
【
図6】接続領域とベース基板との位置関係を説明するための図である。
【
図7】放射線検出パネルにおけるヒータからの距離と温度との関係を示す図である。
【
図8】放射線撮像装置の製造工程の一例を示す図である。
【
図9】放射線撮像装置の製造工程の一例を示す図である。
【
図10】放射線撮像装置の製造工程の一例を示す図である。
【
図11】放射線撮像装置の製造工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。なお、理解の容易のために、
図1~
図4、
図6、及び
図8~
図11にはXYZ直交座標系が示されている。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態の放射線撮像装置1の平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。ただし、
図1では、天壁11及びネジ部材14の図示が省略されている。放射線撮像装置1は、例えば医療用X線撮像システムに用いられる大面積フラットパネルセンサである。
図1及び
図2に示されるように、放射線撮像装置1は、筐体10と、ベース基板20と、放射線検出パネル30と、可撓性回路基板40と、制御基板50と、放射線遮蔽部材60と、を備える。
【0025】
筐体10は、略直方体状の中空容器である。筐体10は、天壁11(第1壁部)と、底壁12(第2壁部)と、側壁13(第3壁部)と、を有する。天壁11及び底壁12は、それぞれXY平面に沿って延びる矩形板状に形成されており、互いに対向している。側壁13は、XZ平面又はYZ平面に沿って延びており、天壁11の縁部と底壁12の縁部とを接続している。すなわち、側壁13は、Z方向から見て、矩形環状に形成されている。筐体10は、ベース基板20、放射線検出パネル30、可撓性回路基板40、制御基板50、及び放射線遮蔽部材60を収容している。
【0026】
天壁11は、放射線撮像装置1の検出対象である放射線(例えばX線)を筐体10の内部に透過する部材によって構成されている。天壁11は、Z方向に沿って入射する放射線を筐体10の内側に導く。すなわち、Z方向は、検出対象の放射線の入射方向である。本実施形態では、天壁11は、2層構造を有する。具体的には、天壁11は、放射線が入射する側(外側)に設けられたカーボンファイバプレート111と、カーボンファイバプレート111の内側表面に設けられた電磁波を遮蔽するためのシールド部材112と、を有する。シールド部材112は、例えば、カーボンファイバプレート111の内側表面にアルミ箔が接着されることにより形成されたアルミシールドである。
【0027】
底壁12及び側壁13は、放射線を遮る金属材料(例えば鉄等)によって形成されている。側壁13の上面13aは、シールド部材112と面接触しており、シールド部材112と導通している。これにより、筐体10外から筐体10内へと向かう電磁波の遮蔽が図られている。また、側壁13の上面13aには、複数のネジ孔13bが設けられている。ネジ部材14が、天壁11に設けられた貫通孔11aに挿通されると共にネジ孔13bに螺合されている。これにより、天壁11は、側壁13に固定されている。
【0028】
ベース基板20は、放射線検出パネル30、制御基板50、及び放射線遮蔽部材60を支持する部材である。ベース基板20は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス、タングステン合金、銅タングステン等の金属からなる。本実施形態では一例として、ベース基板20は、比較的軽量なアルミニウムによって形成されている。ベース基板20は、支持面20aと、支持面20aとは反対側の裏面20bと、を有する。支持面20aは、天壁11に対向する面であり、裏面20bは、底壁12に対向する面である。支持面20aは、放射線検出パネル30の基板31を支持している。裏面20bには、例えばZ方向に延びる柱状に形成された一以上の支持部材55を介して制御基板50が固定されている。
【0029】
放射線検出パネル30は、矩形板状に形成された基板31を有する。基板31は、受光部32(受光面)が形成された第1面31aと、第1面31aとは反対側の第2面31bと、を有する。第1面31aは、天壁11に対向する面であり、第2面31bは、底壁12に対向する面である。受光部32上には、シンチレータ34(変換部)が配置されている。シンチレータ34は、例えばCsIを主成分とするシンチレータ材料を受光部32上に蒸着することにより形成されている。シンチレータ34は、天壁11を介して入射した放射線を光に変換する。具体的には、シンチレータ34は、放射線の入射強度に応じた強度のシンチレーション光を受光部32に出力する。これにより、第1面31aにおいて受光部32が形成された領域は、放射線を検出する検出領域Rとして機能する。検出領域Rは、例えば一辺30cm~40cm程度の受光面積(一例として、40cm×30cm)を有する。
【0030】
基板31は、例えば透明なガラス基板である。基板31の第2面31bがベース基板20の支持面20aに固定されることにより、基板31はベース基板20に固定されている。例えば、基板31の第2面31bは、両面テープ等の接着部材G(
図6参照)を介して、ベース基板20の支持面20aに固定されている。Z方向から見て、少なくとも受光部32及びシンチレータ34が配置された領域は、支持面20aに含まれている。また、接着部材G(
図6参照)は、Z方向から見て、少なくとも受光部32と重なる領域に設けられている。また、接着部材Gの外側端部は、Z方向から見て、ベース基板20の端部(後述する端部21a)よりも内側に位置している。基板31の第1面31aにおいて、検出領域Rの外側には、複数の電極パッド33が形成されている。複数の電極パッド33は、後述する配線(読出用配線及び行選択用配線)等を介して、受光部32に形成された画素P
m,n(
図3参照)と電気的に接続されている。本実施形態では一例として、X方向に沿った基板31の周縁部に22個(11個×2辺)の電極パッド33が形成されている。また、Y方向に沿った基板31の周縁部に14個(7個×2辺)の電極パッド33が形成されている。
【0031】
可撓性回路基板40は、電極パッド33と電気的に接続された回路部材である。可撓性回路基板40は、折り曲げ等の変形が可能なフレキシブル基板41と、フレキシブル基板41に搭載されたICチップ42と、を有する。フレキシブル基板41は、例えば、薄膜上の絶縁体(例えばポリイミド等)上に導体箔(例えば銅等)による回路パターンが形成された構造を有する。フレキシブル基板41の一端部41aは、接続部材70を介して電極パッド33に接続されている。接続部材70は、熱圧着によって接着力を生じさせる部材であり、例えばACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)等の異方性導電材料である。フレキシブル基板41の他端部41bは、制御基板50(コネクタ51)に接続されている。
【0032】
制御基板50は、ICチップ42の動作(例えば、後述する垂直シフトレジスタ42a,42b、及び信号接続部42c,42dの動作)の制御、及びICチップ42への電源の供給を行うための回路を含む。具体的には、例えば筐体2の外側(例えば底壁12の外側等)に配置された図示しない外部電源から制御基板50に電力が供給され、当該電力が制御基板50を介してICチップ42へと供給される。なお、上記外部電源は筐体2の内部(例えば制御基板50と底壁12との間の空間)に配置されてもよい。ただし、上記外部電源に起因する測定ノイズの発生を抑制する観点等から、上記外部電源は筐体2の外側に配置されることが好ましい。制御基板50は、上述した一以上の支持部材55を介してベース基板20の裏面20bに固定されている。また、制御基板50は、支持部材55と同様の支持部材56を介して底壁12にも固定されている。なお、支持部材55と支持部材56とは、Z方向に制御基板50を貫通しつつ制御基板50を支持する柱状部材として、一体的に形成されていてもよい。このような柱状部材は、底壁12に対してベース基板20を支持すると共に、底壁12及びベース基板20に対して制御基板50を支持する部材として機能する。
【0033】
ここで、可撓性回路基板40に搭載されたICチップ42と制御基板50に搭載されたADコンバータ52とは、特に発熱し易い部分(発熱部材)である。また、ICチップ42又はADコンバータ52からの熱が放射線検出パネル30に伝わると、受光部32により取得される画像にノイズが発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、ICチップ42及びADコンバータ52からの発熱を効率良く筐体10の底壁12に逃がすために、ICチップ42及びADコンバータ52のそれぞれと底壁12との間に放熱部材57が配置されている。放熱部材57は、例えばシリコーン等を主原料とするジェルシート等である。
図2に示されるように、ICチップ42又はADコンバータ52と底壁12との間の距離が大きい場合には、底壁12の内面のうちZ方向から見てICチップ42又はADコンバータ52と重なる部分に、天壁11側に突出する凸部12aが設けられてもよい。このような凸部12aによれば、ICチップ42又はADコンバータ52からの発熱を放熱部材57及び凸部12aを介して底壁12へと適切に逃がすことができる。また、底壁12の内面を部分的に底上げすることによって、凸部12aが設けられない部分を、各種部品等を収容するための空間として活用することが可能となる。
【0034】
制御基板50は、Z方向から見て、シンチレータ34及びベース基板20と重なっている。すなわち、天壁11から入射して制御基板50へと向かう放射線のほとんどは、シンチレータ34及びベース基板20によって遮蔽される。一方、本実施形態のように、可撓性回路基板40に搭載されたICチップ42は、Z方向から見て、シンチレータ34及びベース基板20と重ならない位置に配置される場合がある。すなわち、天壁11から入射してICチップ42へと向かう放射線は、シンチレータ34及びベース基板20によって遮蔽されない場合がある。この場合、何らの対策も取らなければ、当該放射線によってICチップ42が損傷し、ICチップ42の誤作動等が引き起こされるおそれがある。そこで、本実施形態では、天壁11から入射した放射線のうちICチップ42へと向かう放射線を遮蔽するために、放射線遮蔽部材60が設けられている。
【0035】
放射線遮蔽部材60は、例えば、鉛、タングステン等のX線遮蔽能の高い材料によって形成されている。本実施形態では一例として、放射線遮蔽部材60は、短冊状に形成されており、ベース基板20の裏面20bの縁部に設けられている。放射線遮蔽部材60の一部は、Z方向から見て、ICチップ42と重なるように、ベース基板20の外側にはみ出している。放射線遮蔽部材60は、ICチップ42毎に設けられてもよいし、互いに隣接する複数のICチップ42に対して1つの放射線遮蔽部材60(すなわち、Z方向から見て当該複数のICチップと重なる大きさに形成された部材)が設けられてもよい。本実施形態では、ベース基板20を比較的軽量のアルミニウムにより形成する一方で、特に放射線を遮蔽する必要がある箇所に上述したような比較的重量の大きい材料で形成された放射線遮蔽部材60を部分的に設けることにより、放射線撮像装置1の軽量化が図られている。
【0036】
ベース基板20は、支持面20aに直交するZ方向(第1方向)から見て矩形状に形成された本体部21と、本体部21の角部(四隅)のそれぞれに形成され、本体部21の外側に突出する突出部22と、を有する。本実施形態では一例として、突出部22は、Z方向から見て隅部が面取りされた略矩形状に形成されている。また、本体部21と突出部22とは一体的に形成されており、突出部22の厚み(板厚)は本体部21の厚みと同一である。すなわち、ベース基板20は、略均等な厚みを有する一枚板として構成されている。
【0037】
Z方向から見て、可撓性回路基板40が電極パッド33に接続された部分に対応するベース基板20の端部は、放射線検出パネル30の端部(すなわち、基板31の端部31c)よりも内側(検出領域R側)に位置している。具体的には、本体部21が、Z方向から見て基板31よりも小さい矩形状に形成されており、本体部21の端部21aが、基板31の端部31cよりも内側に位置している。すなわち、放射線検出パネル30の各辺部(電極パッド33が形成された部分)に対応するベース基板20の端部(すなわち、本体部21の端部21a)は、基板31の端部31cよりも内側に位置している。さらに、本実施形態では、ベース基板20は、Z方向から見て、電極パッド33と接続部材70と可撓性回路基板40(フレキシブル基板41の一端部41a)とが重なる接続領域Aと重ならないように形成されている。すなわち、本体部21の端部21aは、接続領域Aの内側端部A1よりも内側に位置している。これにより、Z方向から見てベース基板20が接続領域A(本実施形態では、36個の接続領域A)と重ならない構成が実現されている。
【0038】
突出部22は、Z方向から見て可撓性回路基板40と重ならない位置(本実施形態では一例として、本体部21の角部)において、放射線検出パネル30よりも外側に突出している。すなわち、Z方向から見て、突出部22は、基板31よりも外側にはみ出している。本実施形態では、突出部22は、Z方向から見て、フレキシブル基板41の端部(折り曲げられた部分であって、XY平面に平行な方向において基板31の端部31cから最も離れた部分)よりも外側に突出している。
【0039】
突出部22の支持面20aには、Z方向に延在する第1延在部81が設けられている。本実施形態では一例として、第1延在部81は、アルミニウムからなる。ただし、第1延在部81は、その他の材料によって形成されてもよい。例えば、第1延在部81の材料は、鉄等のアルミニウム以外の金属、ポリアセタール(POM)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック等であってもよい。第1延在部81は、例えば図示しない固定部材(例えばネジ等)を介して、突出部22に固定されている。本実施形態では、第1延在部81は、Z方向に延びる柱状部材であり、放射線検出パネル30(すなわち、基板31)を位置決めする位置決め部材として機能する。具体的には、第1延在部81は、基板31の角部31dを収容するためにZ方向に延びるガイド溝81aを有する。ガイド溝81aは、Z方向から見て、基板31の角部31dの形状に合うようにL字状に形成されている。すなわち、第1延在部81は、四角柱状部材(後述する第2延在部82と同様の形状を有する部材)の一部(ガイド溝81aによって形成される空間に相当する四角柱状の部分)を切り欠いたような形状を有している。本実施形態では、このような第1延在部81が基板31の四隅のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、基板31の各角部31dを各第1延在部81のガイド溝81aの内側に配置することにより、基板31の位置決めを行うことが可能となっている。
【0040】
第1延在部81は、天壁11に支持されている。本実施形態では、第1延在部81の天壁11側の表面にネジ孔81bが形成されている。そして、ネジ部材14が、天壁11に設けられた貫通孔11aに挿通されると共にネジ孔81bに螺合されている。このように第1延在部81は、天壁11に支持されると共に、突出部22に支持されている。すなわち、ベース基板20は、第1延在部81を介して天壁11に支持されている。本実施形態では、ネジ留めによって、ベース基板20(突出部22)は、第1延在部81を介して天壁11に対してしっかりと固定されている。
【0041】
突出部22の裏面20bには、突出部22を挟んで第1延在部81と対向する位置に配置され、Z方向に延在する第2延在部82が設けられている。本実施形態では一例として、第2延在部82は、アルミニウムからなる。ただし、第2延在部82の材料としては、上述した第1延在部81の材料と同様の材料を用いることができる。第2延在部82は、例えば図示しない固定部材(例えばネジ等)を介して、突出部22に支持されている。なお、第1延在部81及び第2延在部82は、第1延在部81側又は第2延在部82側から共通のネジを用いてネジ留めされることによって突出部22に固定されてもよいし、互いに異なるネジを用いて個別にネジ留めされることによって突出部22に固定されてもよい。また、第2延在部82は、第1延在部81と同様の固定手段により、底壁12に支持されている。例えば、第2延在部82の底壁12側の表面には、図示しないネジ孔が形成されており、図示しないネジ部材が底壁12に設けられた図示しない貫通孔に挿通されると共に当該ネジ孔に螺合されている。このように、第2延在部82は、突出部22及び底壁12に支持されている。すなわち、ベース基板20は、第2延在部82を介して底壁12に支持されている。本実施形態では、ネジ留めによって、ベース基板20(突出部22)は、第2延在部82を介して底壁12に対してしっかりと固定されている。
【0042】
なお、第2延在部82には、第1延在部81のガイド溝81aに対応する溝部を形成する必要がない。このため、本実施形態では、第2延在部82は、四角柱状に形成されている。すなわち、第2延在部82は、Z方向から見て第1延在部81と重なる部分を有すると共に、Z方向から見てガイド溝81aによって形成された四角柱状の空間と重なる部分を有する。ただし、例えば部材の共通化等のために、第2延在部82は、第1延在部81と同一寸法のL字状の柱状部材に形成され、Z方向から見て第1延在部81と完全に重なるように配置されてもよい。
【0043】
上述したように、本実施形態では、第1延在部81及び第2延在部82は、本体部21の角部(四隅)に設けられた突出部22に設けられている。すなわち、第1延在部81及び第2延在部82は、放射線検出パネル30(基板31)の角部31dに対応する位置に設けられている。そして、側壁13は、Z方向から見て、矩形環状に形成されており、側壁13の角部には、突出部22、第1延在部81、及び第2延在部82との干渉を避けるための凹部13cが形成されている。凹部13cにおける側壁13の厚さt1は、隣り合う角部同士を接続する辺部における側壁13の厚さt2よりも小さい。本実施形態では、側壁13の角部において、側壁13の内側面の一部が切り欠かれることにより、Z方向から見て突出部22の外縁から離間するように凹部13cが形成されている。このように厚さの小さい凹部13cが側壁13の角部に形成されることにより、側壁13の角部への応力集中が抑制されている。
【0044】
ここで、上述したネジ孔13bは、厚さが小さい凹部13c(厚さt1の部分)には設けられておらず、厚さが大きい辺部(厚さt2の部分)にのみ設けられている。このため、Z方向から見た筐体10の角部(四隅)においては、天壁11と側壁13とは互いに固定されていない(ネジ留めされていない)。しかし、その代わりに、本実施形態では、上述したように天壁11と第1延在部81とがネジ部材14によって互いに固定されている。すなわち、筐体10の角部においても、天壁11と側壁13とが互いに強固に固定されている。これにより、筐体10の角部(天壁11と側壁13とが直接ネジ留めされていない部分)においても、天壁11のシールド部材112と側壁13との良好な面接触を図ることができる。その結果、筐体10外からの電磁波の漏洩(筐体10内部への侵入)を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、このような凹部13cを形成することにより、Z方向から見た筐体10の外形をなるべく小さくすることができる。すなわち、筐体10の角部において天壁11と側壁13とをネジ留めするためには、筐体10の角部においてもネジ孔13bを設けるために必要な側壁13の厚みを確保するために、Z方向から見た筐体10の外形を大きくする必要がある。この場合、Z方向から見た場合の放射線撮像装置1における不感領域の割合(すなわち、放射線撮像装置1全体の領域に対する有効受光エリア(検出領域R)以外の領域の割合)が大きくなってしまう。一方、本実施形態のように、凹部13cを形成すると共に、筐体10の角部において天壁11と側壁13とを固定する代わりに第1延在部81と天壁11とを互いに固定することにより、天壁11と側壁13との良好な面接触を確保しつつ、不感領域の割合を低減することが可能となる。
【0046】
次に、放射線撮像装置1の動作(放射線の検出)について説明する。本実施形態では、X方向に沿った基板31の周縁部に形成された電極パッド33に接続される可撓性回路基板40のICチップ42には、垂直シフトレジスタ(垂直走査回路)が形成されている。具体的には、
図1における基板31の左側の周縁部(左辺)に設けられた可撓性回路基板40のICチップ42によって、垂直シフトレジスタ42aが形成されており、基板31の右側の周縁部(右辺)に設けられた可撓性回路基板40のICチップ42によって、垂直シフトレジスタ42bが形成されている。また、Y方向に沿った基板31の周縁部に形成された電極パッド33に接続される可撓性回路基板40のICチップ42には、信号読出用のアンプチップ(信号接続部)が形成されている。具体的には、
図1における基板31の上側の周縁部(上辺)に設けられた可撓性回路基板40のICチップ42によって、信号接続部42cが形成されており、基板31の下側の周縁部(下辺)に設けられた可撓性回路基板40のICチップ42によって、信号接続部42dが形成されている。このように、本実施形態では、信号読出のノイズ低減及び速度向上を図るために、信号読出ライン(データライン)を上下に二分割した構成が採用されている。
【0047】
図3~
図5を参照して、受光部32及びICチップ42の詳細な構成(放射線撮像装置1の動作)について説明する。
図3は、放射線検出パネル30の一部を拡大した平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5は、受光部32及びICチップ42の内部構成を示す図である。
【0048】
受光部32は、M×N個の画素がM行N列に2次元配列されることにより構成されている。
図3に示される画素P
m,nは、第m行第n列に位置する画素である。ここで、mは1以上M以下の各整数であり、nは1以上N以下の各整数である。なお、
図3において、列方向はX軸方向と一致し、行方向はY軸方向と一致する。受光部32に含まれる複数の画素P
1,1~P
M,Nのそれぞれは、フォトダイオードPD及び読出用スイッチSW1を備えている。フォトダイオードPDのアノード端子にはバイアス電圧が印可されており、フォトダイオードPDのカソード端子には、読出用スイッチSW1の一端(一方の電流端子)が接続されている。また、読出用スイッチSW1の他端(他方の電流端子)は、対応する読出用配線(例えば画素P
m,nの場合、第n列読出用配線L
O,n)に接続されている。読出用スイッチSW1の制御端子は、対応する行選択用配線(例えば画素P
m,nの場合、第m行選択用配線L
V,m)に接続されている。
【0049】
図4に示されるように、基板31の第1面31aの全面には、シリコン膜35が設けられている。そして、フォトダイオードPD、読出用スイッチSW1、及び第n列読出用配線L
O,nは、このシリコン膜35の表面に形成されている。フォトダイオードPD、読出用スイッチSW1、及び第n列読出用配線L
O,nは、絶縁層36によって覆われている。絶縁層36の上には、シンチレータ34が基板31の第1面31aの検出領域Rの全体を覆うように設けられている。フォトダイオードPDは、例えば、アモルファスシリコンを含んで構成されている。
【0050】
本実施形態のフォトダイオードPDは、n型多結晶シリコンからなるn型半導体層91と、n型半導体層91上に設けられたi型アモルファスシリコンからなるi型半導体層92と、i型半導体層92上に設けられたp型アモルファスシリコンからなるp型半導体層93とを有する。また、読出用スイッチSW1は、多結晶シリコンにより形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)であり、電界効果トランジスタ(FET)としての構成を有する。すなわち、読出用スイッチSW1は、チャネル領域94と、チャネル領域94の一方の側面に沿って配置されたソース領域95と、チャネル領域94の他方の側面に沿って配置されたドレイン領域96と、チャネル領域94上に形成されたゲート絶縁膜97及びゲート電極98とを有する。第n列読出用配線LO,nは、金属からなる。シンチレータ34は、入射した放射線に応じてシンチレーション光を発生して放射線像を光像へと変換し、この光像を受光部32へ出力する。
【0051】
図5には、M×N個の画素P
m,n(m=1,…,M、n=1,…,N)を代表して、4×4個の画素100が示されている。画素100のそれぞれは、フォトダイオードPD及び読出用スイッチSW1を含んで構成されている。フォトダイオードPDは、入射光の強度に応じた量の電荷を発生し、発生した電荷を接合容量部に蓄積する。上述した通り、読出用スイッチSW1は、画素100が属する行に対応する行選択用配線L
Vに接続されている。ここで、第m行の画素P
m,nに対応する行選択用配線L
Vは、上述した第m行選択用配線L
V,mである。M本の行選択用配線L
Vは、垂直シフトレジスタ42a及び42bに接続されている。垂直シフトレジスタ42a及び42bのそれぞれは、読出用スイッチSW1の導通状態/非導通状態を各行毎に制御するための行選択信号を生成し、当該行選択信号を、各行の行選択用配線L
Vに対して順次提供する。
【0052】
垂直シフトレジスタ42a又は42bから行選択用配線LVに出力される行選択信号が非有意値(例えばローレベル)であるときに、読出用スイッチSW1が開く。このとき、フォトダイオードPDで発生した電荷は、対応する列読出用配線LOへ出力されることなく、接合容量部に蓄積される。ここで、第n列の画素Pm,nに対応する列読出用配線LOは、上述した第n列読出用配線LO,nである。一方、行選択信号が有意値(例えばハイレベル)であるときに、読出用スイッチSW1が閉じる。このとき、それまでフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、読出用スイッチSW1を経て、対応する読出用配線LOへ出力される。出力された電荷は、読出用配線LOを介して積分回路101へ送られる。本実施形態では、受光部32に形成された画素100のうち、基板31の上辺側の行に位置する画素100の読出用スイッチSW1は、対応する読出用配線LOを介して、信号接続部42cの積分回路101に接続されている。一方、受光部32に形成された画素100のうち、基板31の下辺側の行に位置する画素100の読出用スイッチSW1は、対応する読出用配線LOを介して、信号接続部42dの積分回路101に接続されている。なお、基板31の上辺側の行と下辺側の行との分割の仕方は任意である。例えば、基板31の上辺側の行の数をN1とし、基板31の下辺側の行の数をN2とした場合、「N1=N2」、「N1>N2」、及び「N1<N2」のいずれの関係が成立してもよい。
【0053】
積分回路101は、アンプ101a、容量素子101b、及び放電用スイッチ101cを含む、いわゆる電荷積分型の構成を備えている。容量素子101b及び放電用スイッチ101cは、互いに並列に接続され、且つアンプ101aの入力端子と出力端子との間に接続されている。アンプ101aの入力端子は、列読出用配線LOに接続されている。放電用スイッチ101cには、リセット用配線LRを介してリセット制御信号REが提供される。
【0054】
リセット制御信号REは、N個の積分回路101それぞれの放電用スイッチ101cの開閉動作を指示する。例えば、リセット制御信号REが非有意値(例えばハイレベル)であるときに、放電用スイッチ101cが閉じて、容量素子101bが放電され、積分回路101の出力電圧値が初期化される。また、リセット制御信号REが有意値(例えばローレベル)であるときに、放電用スイッチ101cが開いて、積分回路101に入力された電荷が容量素子101bに蓄積され、その蓄積電荷量に応じた電圧値が積分回路101から出力される。
【0055】
信号接続部42c及び42dのそれぞれは、N個の保持回路102及び水平シフトレジスタ103を更に有する。各保持回路102は、入力用スイッチ102a、出力用スイッチ102b、及び電圧保持部102cを含む。電圧保持部102cの一端は、入力用スイッチ102aを介して積分回路101の出力端に接続され、電圧保持部102cの他端は、出力用スイッチ102bを介して電圧出力用配線LOUTと接続されている。入力用スイッチ102aには、保持用配線LHを介して保持制御信号Hdが与えられる。保持制御信号Hdは、N個の保持回路102それぞれの入力用スイッチ102aの開閉動作を指示する。保持回路102の出力用スイッチ102bには、水平シフトレジスタ103から列選択信号が与えられる。列選択信号は、対応する列の保持回路102の出力用スイッチ102bの開閉動作を指示する。
【0056】
保持制御信号Hdがハイレベルからローレベルに転じると、入力用スイッチ102aが閉状態から開状態に転じて、そのときに保持回路102に入力されている電圧値が電圧保持部102cに保持される。その後、水平シフトレジスタ103からの列選択信号が各列毎にローレベルからハイレベルに順に転じると、出力用スイッチ102bが順次閉じて、電圧保持部102cに保持されている電圧値が各列毎に電圧出力用配線LOUTへ順次出力される。
【0057】
次に、
図6を参照して、接続領域Aとベース基板20(本体部21)の端部21aとの位置関係について説明する。
図6に示されるように、可撓性回路基板40の一端部41aは、当該一端部41aと電極パッド33との間に接続部材70を挟んだ状態で上下からヒータH1及びH2で挟み込んで加熱(熱圧着)することにより、接続部材70を介して電極パッド33に接続される。ヒータH1(第1ヒータ)は、可撓性回路基板40を挟んで接続部材70とは反対側に配置される圧着冶具である。ヒータH1は、例えば炭化タングステン及びコバルトからなる超硬合金である。ヒータH2(第2ヒータ)は、ヒータH1と放射線検出パネル30(すなわち、基板31)を挟んで接続部材70とは反対側に配置される圧着冶具である。ヒータH2は、例えば石英ガラスである。
【0058】
可撓性回路基板40を電極パッド33に接続する際には、ヒータH1の表面H1a(一端部41aに対向する面)は、Z方向から見て少なくとも接続領域Aと重なるように、フレキシブル基板41の一端部41aに接触させられる。また、ヒータH2の表面H2a(基板31の第2面31bに対向する面)は、Z方向から見て少なくとも接続領域Aと重なるように、基板31の第2面31bに接触させられる。この状態で、例えば、190℃まで昇温されたヒータH1及び40℃に固定されたヒータH2によって数秒間加熱される。このような熱圧着(特に基板31の第2面31bに対するヒータH2の接触)を行うためには、作業時におけるヒータH2とベース基板20との干渉を抑制するために、接続領域Aの内側端部A1からベース基板20の端部(本体部21の端部21a)までの距離dは、10μm以上であることが好ましい。
【0059】
一方、熱圧着の際にヒータH1,H2から発生した熱の一部は、基板31を介して、受光部32、シンチレータ34、及び接着部材Gへと伝達され得る。このように伝達される熱は、これらの部材に悪影響を及ぼすおそれがある。ここで、上述したように、Z方向から見て、受光部32、シンチレータ34、及び接着部材Gはいずれも、ベース基板20の端部21aよりも内側に位置している。すなわち、接続領域Aの内側端部A1から受光部32、シンチレータ34、及び接着部材Gのそれぞれまでの距離(XY平面に沿った距離)は、距離dよりも長いことが保証される。従って、距離dを調整することにより、接続領域Aから各部材(受光部32、シンチレータ34、及び接着部材G)までの距離(距離dよりも長い離間距離)を確保することができる。上述したようなヒータH1,H2から発生した熱が各部材に及ぼす悪影響を抑制する観点からは、距離dは、1mm以上であることが好ましい。
【0060】
さらに、シンチレータ34として潮解性を有する材料が用いられる場合、シンチレータ34の全体を覆うように、パリレン等によって成膜された防湿膜(保護膜)が設けられる場合がある。このような防湿膜の防湿性は、約50℃程度で低下することが知られている。このような場合には、上記距離dは、シンチレータ34(防湿膜)の温度が防湿性を維持するために必要な温度(ここでは50℃以下)に抑えられるように設定されてもよい。
【0061】
図7は、ヒータH1を200℃とすると共にヒータH2を40℃とした状態で8秒間の熱圧着を行った場合のシミュレーション結果を示している。
図7の(A)は、基板31がガラス基板(ここでは、熱伝導率が1.2W/mKである無アルカリガラス)である場合における、ヒータH1からの距離(
図6におけるY軸に沿った距離)と当該距離に対応する部分における基板31の温度との関係を示している。
図7の(B)は、基板31がフレキシブル基板(ここでは、熱伝導率が0.3W/mKであるフィルム材料)である場合における、ヒータH1からの距離と当該距離に対応する部分における基板31の温度との関係を示している。基板31がガラス基板である場合については、基板31の厚さtが0.3mm、0.5mm、0.7mm、及び0.9mmである場合のそれぞれについてのシミュレーションが行われた。一方、基板31がフレキシブル基板である場合については、基板31の厚さtが0.1mm及び0.2mmである場合のそれぞれについてのシミュレーションが行われた。
【0062】
図7の(A)に示されるように、基板31が上述したガラス基板である場合には、ヒータH1からの距離が約3.5mm以上であれば、いずれの厚さ(0.3mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm)についても、50℃以下に抑えられることが確認された。また、
図7の(B)に示されるように、基板31が上述したフレキシブル基板である場合には、ヒータH1からの距離が約1.5mm以上であれば、いずれの厚さ(0.1mm、0.2mm)についても、50℃以下に抑えられることが確認された。ここで、ヒータH1からの距離の基準とされた位置から接続領域Aの内側端部A1までの距離(Y方向に沿った長さ)は、0.27mmである。また、上述したように、Z方向から見て、シンチレータ34の縁部は、ベース基板20の端部21aよりも内側に位置している。従って、シンチレータ34(防湿膜)の温度を50℃以下に抑える観点からは、基板31が上述したガラス基板である場合には、距離dは、3.23mm以上であることが好ましく、基板31が上述したフレキシブル基板である場合には、距離dは、1.23mm以上であることが好ましい。
【0063】
次に、
図8~
図11を参照して、放射線撮像装置1の製造方法の一例について説明する。
【0064】
まず、
図8の(A)に示されるように、シンチレータ34が形成された放射線検出パネル30が準備される。例えば、放射線検出パネル30に対するプロービング等の画像検査を実施することにより、放射線検出パネル30の良否判定が行われる。続いて、良品と判定された放射線検出パネル30のピクセルエリア(受光部32)上にCsI等のシンチレータ材料を蒸着することにより、シンチレータ34が形成される。これにより、
図8の(A)に示される放射線検出パネル30が準備される。
【0065】
また、
図8の(B)に示されるように、第1延在部81及び第2延在部82が取り付けられたベース基板20が準備される。例えば、金属の一枚板に対する平面形状加工が実施されることにより、上述した本体部21及び突出部22からなるベース基板20が作製される。続いて、突出部22(本実施形態では本体部21の四隅に設けられた4つの突出部22の各々)の支持面20aに、第1延在部81がネジ留め等によって取り付けられる。また、突出部22の裏面20bに、第2延在部82がネジ留め等によって取り付けられる。また、本体部21の裏面20bに、制御基板50を固定するための支持部材55が取り付けられる。なお、第1延在部81と第2延在部82とが互いに異なるネジを用いて個別にネジ留めされる場合には、第2延在部82は、必ずしもこの段階で突出部22に取り付けられなくてもよい。この場合、第2延在部82は、後述する筐体の箱部に収容する工程(
図11参照)よりも前の任意の時点に突出部22に取り付けられればよい。また、支持部材55についても、必ずしもこの段階で本体部21に取り付けられなくてもよく、後述する制御基板50の取付工程(
図9の(A)参照)よりも前の任意の時点に本体部21に取り付けられればよい。
【0066】
続いて、
図8の(C)に示されるように、シンチレータ34が形成された放射線検出パネル30(
図8の(A)参照)が、第1延在部81及び第2延在部82が取り付けられたベース基板20(
図8の(B)参照)の支持面20aに固定される。ここでは、ベース基板20の四隅(突出部22)に設けられた第1延在部81のガイド溝81aを用いることにより、放射線検出パネル30(基板31)が位置決めされる。続いて、例えば予め基板31の第2面31bに設けられた両面テープ等の接着部材G(
図6参照)によって、基板31がベース基板20の支持面20aに固定される。ここでは、Z方向から見て、電極パッド33と接続部材70と可撓性回路基板40とが重なる予定の接続領域A(
図2及び
図6参照)と重ならないように、放射線検出パネル30に対してベース基板20が配置される。本実施形態では、第1延在部81のガイド溝81aによって基板31が位置決めされる結果、ベース基板20の本体部21の端部21aが基板31の端部31cよりも内側に配置される。これにより、ベース基板20は、接続領域Aと重ならないように配置される。なお、
図8の(C)に示される状態において、突出部22が設けられた部分(本実施形態では、突出部22、第1延在部81、及び第2延在部82の少なくとも1つ)を把持することにより、放射線検出パネル30及びベース基板20を容易に持ち運ぶことができる。すなわち、突出部22が設けられた部分によって、放射線検出パネル30及びベース基板20のハンドリング性が向上している。
【0067】
続いて、
図9の(A)に示されるように、ベース基板20の裏面20bに、支持部材55を介して制御基板50が固定される。
【0068】
続いて、
図9の(B)に示されるように、可撓性回路基板40の一端部41aが、接続部材70を介して電極パッド33に接続される。例えば、予め、各ICチップ42の検査が実施され、検査において良品と判定されたICチップ42がフレキシブル基板41に搭載される。続いて、ICチップ42がフレキシブル基板41に搭載された状態で、更に検査(例えばICチップ42及びフレキシブル基板41の導通確認等)が実施される。このような検査を経て、基板31の電極パッド33(本実施形態では36個の電極パッド33)に取り付けるための可撓性回路基板40が準備される。なお、制御基板50及び可撓性回路基板40の取付順序は上記とは逆でもよい。すなわち、可撓性回路基板40が放射線検出パネル30に取り付けられた後に、制御基板50がベース基板20に取り付けられてもよい。
【0069】
続いて、可撓性回路基板40(一端部41a)を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH1と放射線検出パネル30(基板31)を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH2とによって、接続部材70が加熱(熱圧着)される。上述したように、ベース基板20が接続領域Aと重ならないように配置されていることにより、ヒータH2とベース基板20との干渉が防止されている。また、本実施形態では、基板31が透明なガラス基板であるため、基板31の裏面(第2面31b)側から電極パッド33の位置を確認することができる。これにより、ヒータH2の位置合わせを容易に行うことができる。以上の処理により、各電極パッド33と各可撓性回路基板40とが電気的に接続される。なお、基板31の各辺部に配置された電極パッド33に可撓性回路基板40が取り付けられた後には、基板31の各辺部を把持することが困難となるが、上述したように突出部22が設けられた部分を把持することにより、放射線検出パネル30及びベース基板20を容易に持ち運ぶことができる。
【0070】
続いて、
図10の(A)に示されるように、各可撓性回路基板40に搭載されたICチップ42へと向かう放射線を遮蔽するための放射線遮蔽部材60が、ベース基板20の裏面20bの縁部に設けられる。
【0071】
続いて、
図10の(B)に示されるように、各可撓性回路基板40の他端部41bが、制御基板50(コネクタ51)に接続される。これにより、各可撓性回路基板40と制御基板50とが電気的に接続される。その結果、
図10の(B)に示されるように、筐体10に取り付けられる前の検出ユニット1aが完成する。
【0072】
続いて、
図10の(B)に示される状態で動作確認が実施される。ここで、ある可撓性回路基板40の不具合(例えば、当該可撓性回路基板40に搭載されたICチップ42の動作不良等)が発見された場合、以下の手順によるリペア作業(一実施形態の修復方法)が実施される。
【0073】
まず、不具合が発見された可撓性回路基板40(以下「第1の可撓性回路基板」)の他端部41bがコネクタ51から取り外されると共に、第1の可撓性回路基板に対応して設けられた放射線遮蔽部材60がベース基板20の裏面20bから取り外される。ここで、放射線遮蔽部材60は一又は複数のICチップ42毎に部分的に設けられているため、一部の放射線遮蔽部材60のみを取り外せばよく、作業性が向上している。続いて、放射線検出パネル30がベース基板20に支持された状態で、第1の可撓性回路基板(一端部41a)が電極パッド33から取り外される。具体的には、接続部材70が加熱されることにより、接続部材70が電極パッド33から取り外される。このように接続部材70を電極パッド33から取り外すことにより、第1の可撓性回路基板(一端部41a)を電極パッド33から取り外すことができる。その結果、
図9の(A)に示される状態となる。なお、第1の可撓性回路基板を取り外す際における接続部材70の加熱は、取付時と同様にヒータH1,H2とによって行われてもよいし、他の方法によって行われてもよい。例えば、ヒータH1,H2を用いる代わりに、エアガン等を用いて接続部材70の片側(例えば第1の可撓性回路基板(一端部41a)側)に対して熱風を吹き付けることにより、接続部材70を加熱してもよい。
【0074】
続いて、放射線検出パネル30に取り付けるための可撓性回路基板40(第2の可撓性回路基板)が準備される。例えば、上述した第1の可撓性回路基板の修復が可能な場合(例えば、第1の可撓性回路基板に搭載されたICチップ42を他のICチップに交換することにより修復可能な場合)には、第1の可撓性回路基板の修復作業が実行されてもよい。この場合、修復された第1の可撓性回路基板が、第2の可撓性回路基板として用いられる。一方、第1の可撓性回路基板の修復が不可能な場合には、予め用意されている可撓性回路基板の予備品が、第2の可撓性回路基板として用いられてもよい。
【0075】
続いて、放射線検出パネル30がベース基板20に支持された状態で、第2の可撓性回路基板が、電極パッド33に取り付けられる。すなわち、
図9の(B)に示されるように、第2の可撓性回路基板(一端部41a)を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH1と放射線検出パネル30(基板31)を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH2とによって接続部材70を加熱(熱圧着)することにより、第2の可撓性回路基板が接続部材70を介して電極パッド33に接続される。以上の手順により、可撓性回路基板40のリペア(すなわち、故障した第1の可撓性回路基板の取り外し、及び第2の可撓性回路基板(例えば、修理後の第1の可撓性回路基板又は予備品等)の再取付)が完了する。その後、可撓性回路基板40のリペアのために一旦取り外された放射線遮蔽部材60を再度ベース基板20の裏面20bの縁部に取り付けると共に、第2の可撓性回路基板の他端部41bをコネクタ51に取り付けることにより、
図10の(B)に示される状態となる。このように、ベース基板20が接続領域Aと重ならないように配置されていることにより、ベース基板20から放射線検出パネル30を取り外すことなく、可撓性回路基板40のリペア作業を実施することができる。
【0076】
続いて、
図11に示されるように、
図10の(B)に示される検出ユニット1aが、筐体の箱部(底壁12及び側壁13)に収容(固定)される。具体的には、第2延在部82が底壁12に固定される。また、支持部材56を介して制御基板50が底壁12に固定される。また、ICチップ42又はADコンバータ52と底壁12の凸部12aとの間には、放熱部材57が配置される。続いて、
図2に示されるように、筐体の蓋部(天壁11)が側壁13及び第1延在部81にネジ留めされる。以上により、放射線撮像装置1が製造される。なお、上述した可撓性回路基板40のリペア作業は、放射線撮像装置1が完成した後に実施されてもよい。この場合、天壁11を側壁13及び第1延在部81から取り外すと共に、検出ユニット1aを底壁12から取り外すことによって
図10の(B)に示される状態にした後に、上述したリペア作業が実施されればよい。
【0077】
次に、放射線撮像装置1の作用効果について説明する。
【0078】
放射線撮像装置1は、放射線を検出する検出領域Rが形成されると共に検出領域Rの外側に電極パッド33が形成された第1面31aと、第1面31aとは反対側の第2面31bと、を有する放射線検出パネル30と、放射線検出パネル30の第2面31bに対向すると共に放射線検出パネル30を支持する支持面20aを有するベース基板20と、接続部材70を介して電極パッド33に接続された可撓性回路基板40と、を備えている。ベース基板20の端部21aは、支持面20aに直交するZ方向から見て、電極パッド33と接続部材70と可撓性回路基板40とが重なる接続領域Aの内側端部A1よりも内側に位置している。放射線撮像装置1においては、可撓性回路基板40を電極パッド33に接続する際に、可撓性回路基板40、接続部材70、及び放射線検出パネル30をZ方向における両側からヒータH1,H2で加熱する必要が生じる場合がある。すなわち、例えば異方性導電材料のように熱圧着によって接着力を生じさせる部材を接続部材70として用いる場合、上記のヒータH1,H2による熱圧着が必要となる。一方、放射線撮像装置1では、ベース基板20の端部21aが、Z方向から見て接続領域A(本実施形態では全ての接続領域A)の内側端部A1よりも内側に位置している。このため、放射線検出パネル30の第2面31b側に配置されるヒータH2とベース基板20との干渉を回避することができる。これにより、可撓性回路基板40のリペア(修理、交換等)が必要になった場合において、放射線検出パネル30をベース基板20から取り外すことなく、可撓性回路基板40のリペアを行うことができる。従って、放射線撮像装置1によれば、可撓性回路基板40のリペア作業を容易化することができる。
【0079】
また、仮に、Z方向から見てベース基板20の端部21aが放射線検出パネル30の端部31cよりも外側に位置する場合には、可撓性回路基板40をベース基板20の端部21aよりも外側に引き回す必要が生じる。このような引き回しが必要となる分だけ可撓性回路基板40が長くなり、可撓性回路基板40を介して伝達される信号にノイズが乗りやすくなってしまう。一方、放射線撮像装置1においては、Z方向から見てベース基板20の端部21aが接続領域Aの内側端部A1よりも内側に位置している(すなわち、放射線検出パネル30の端部31cよりも内側に位置している)。このため、上述したような可撓性回路基板40の引き回しが不要となり、可撓性回路基板40の全体長を短くすることができる。その結果、可撓性回路基板40を介して伝達される信号におけるノイズを抑制することが可能となる。
【0080】
また、放射線検出パネル30は、Z方向から見て矩形状に形成されており、放射線検出パネル30の少なくとも1つの辺部に、一以上の接続領域Aが形成されている。本実施形態では一例として、全て(4つ)の辺部のそれぞれに、複数の接続領域Aが形成されている。ベース基板20の端部21aは、Z方向から見て、少なくとも1つの辺部(本実施形態では全ての辺部のそれぞれ)に形成された全ての接続領域Aの内側端部A1よりも内側に位置している。この構成によれば、上記少なくとも1つの辺部における接続領域Aに接続された可撓性回路基板40のZ方向から見た外側端部40aの位置を、ベース基板20の端部21aに干渉させることなく、放射線検出パネル30の端部31cに近づけることができる。すなわち、上記少なくとも1つの辺部における可撓性回路基板40の外側端部40aをなるべく内側に位置させることができる。これにより、Z方向から見た場合の筐体2の寸法を小さくすることができ、放射線撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0081】
また、放射線撮像装置1は、第1面31a上に配置され、検出領域Rを構成する、放射線を光に変換するシンチレータ34を備えており、Z方向から見て、ベース基板20の端部21aは、検出領域Rよりも外側に位置しており、XY平面に沿った方向(第2方向)における接続領域Aの内側端部A1とベース基板20の端部21aとの距離d(
図6参照)は、1mm以上であってもよい。上記構成によれば、可撓性回路基板40を電極パッド33に接続する際に接続部材70を加熱するヒータH1とシンチレータ34との距離を、一定以上(少なくとも1mm以上)確保することができる。その結果、ヒータH1からの熱がシンチレータ34に与える悪影響を抑制することができる。また、上述したように、シンチレータ34には、防湿性を有する防湿膜が設けられる場合がある。このような防湿膜は特に熱に弱い性質を有する。上記構成によれば、ヒータH1からの熱がこのように特に熱に弱い性質を有するシンチレータ34(防湿膜を含む)に与える悪影響を抑制することができる。
【0082】
また、ベース基板20は、Z方向から見て、可撓性回路基板40と重ならない位置において放射線検出パネル30(基板31)よりも外側に突出した突出部22を有している。この構成によれば、放射線検出パネル30がベース基板20に支持された状態で、突出部22を把持部として利用することができるため、放射線撮像装置1の製造時又はリペア時におけるハンドリング性を向上させることができる。
【0083】
また、突出部22の支持面20aには、Z方向に延在する第1延在部81が設けられている。そして、第1延在部81は、放射線検出パネル30(基板31)を位置決めする位置決め部材として機能する。この構成によれば、第1延在部81によってベース基板20の支持面20aに対する放射線検出パネル30(基板31)の位置決めを容易に行うことが可能となるため、組立作業性を向上させることができる。
【0084】
また、ベース基板20は、第1延在部81を介して天壁11に支持されている。この構成によれば、ベース基板20(突出部22)が第1延在部81を介して筐体10(天壁11)に支持されるため、筐体10に対してベース基板20を安定的に支持することができる。
【0085】
また、ベース基板20は、第2延在部82を介して底壁12に支持されている。この構成によれば、ベース基板20(突出部22)が、第1延在部81及び第2延在部82を介して、互いに対向する筐体10の一部(天壁11及び底壁12)によって挟持される。これにより、筐体10に対してベース基板20をより一層安定的に支持することができる。ここで、ベース基板20を筐体10に対して支持する方法としては、上記実施形態で示したように、例えば柱状の支持部材55,56(或いは、Z方向に制御基板50を貫通しつつ制御基板50を支持するように支持部材55,56が一体化された支持部材)を介してベース基板20の裏面20bを底壁12に支持する方法がある。上記実施形態では、上記の支持方法が併用されているが、第1延在部81及び第2延在部82を介してベース基板20が筐体10に支持されるため、第1延在部81及び第2延在部82が設けられない場合と比較して、ベース基板20の裏面20bに設けられる支持部材の数を削減することが可能となる。これにより、ベース基板20の裏面20bに対する外部(特に底壁12)からの衝撃を伝わり難くすることができる。その結果、ベース基板20に支持される放射線検出パネル30への衝撃を低減することが可能となる。また、底壁12に対して制御基板50を支持するための支持部材56の数を削減することが可能になることにより、制御基板50に対する外部(特に底壁12)からの衝撃を伝わり難くすることができる。また、制御基板50を貫通する支持部材の数を削減することが可能になることにより、制御基板50のレイアウト(制御基板50内に実装された回路及び配線等のレイアウト)の設計自由度を向上させることができる。
【0086】
また、第1延在部81及び第2延在部82は、ベース基板20と一体的に形成されていてもよいが、上記実施形態では、第1延在部81及び第2延在部82は、ベース基板20とは別体に形成されている。この構成によれば、ベース基板20が第1延在部81及び第2延在部82の少なくとも一方と一体に形成されている場合と比較して、ベース基板20の反りを低減することができる。また、第1延在部81又は第2延在部82をベース基板20と一体的に形成する場合には、比較的厚い金属板を削り出す作業が必要となり、材料コスト及び作業工数が増大するデメリットが生じる。一方、第1延在部81及び第2延在部82をベース基板20とは別体に形成することにより、このようなデメリットを回避できる。
【0087】
また、上述した放射線撮像装置1の製造方法は、放射線検出パネル30を準備する工程(
図8の(A))と、放射線検出パネル30の第2面31bをベース基板20の支持面20aに支持させる工程(
図8の(C))と、接続部材70を介して電極パッド33に可撓性回路基板40を接続する工程(
図9の(B))と、を含む。そして、支持させる工程では、Z方向から見て、ベース基板20の端部21aが電極パッド33と接続部材70と可撓性回路基板40とが重なる予定の接続領域A(
図6参照)の内側端部A1よりも内側に位置するように、放射線検出パネル30に対してベース基板20が配置される。また、接続する工程では、可撓性回路基板40を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH1と放射線検出パネル30を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH2とによって接続部材70が加熱される。このような製造方法によれば、支持させる工程において、接続領域Aと重ならないようにベース基板20が配置されることにより、ヒータH1とヒータH2とで可撓性回路基板40、接続部材70、及び放射線検出パネル30を挟んで熱圧着することが可能となる。すなわち、可撓性回路基板40と電極パッド33とを接続する際に、ヒータH2とベース基板20とが互いに干渉することを防止できる。これにより、放射線検出パネル30をベース基板20によって安定的に支持した状態で、可撓性回路基板40を放射線検出パネル30に接続することができる。また、このようにヒータH1,H2で接続部材70の両側(可撓性回路基板40側及び放射線検出パネル30側)から加熱することにより、接続部材70の片側から加熱する場合と比較して、低い加熱温度(ヒータの温度)で十分な接続強度を確保することができる。従って、上記製造方法によれば、加熱時の熱が放射線検出パネル30等(例えば、シンチレータ34等)に及ぼす悪影響を抑制しつつ、接続強度を確保することもできる。
【0088】
ただし、放射線撮像装置1の製造手順は上記手順に限られず、例えば、放射線検出パネル30をベース基板20に支持させる前に、放射線検出パネル30の電極パッド33に可撓性回路基板40を接続してもよい。すなわち、放射線検出パネル30がベース基板20に支持されていない状態で、放射線検出パネル30に可撓性回路基板40が接続されてもよい。いずれにしても、ベース基板20の形状及び配置が、接続領域Aと重ならないように設計されていることにより、放射線撮像装置1の製造時における作業手順の自由度が向上している。具体的には、放射線検出パネル30に可撓性回路基板40を接続する工程を実施するタイミングを、任意に選択することが可能となる。すなわち、放射線検出パネル30をベース基板20に支持させる前後のいずれにおいても、放射線検出パネル30に可撓性回路基板40を接続することが可能となる。
【0089】
また、上述した放射線撮像装置1の修復方法は、放射線検出パネル30がベース基板20に支持された状態で、第1の可撓性回路基板を電極パッド33から取り外す工程と、放射線検出パネル30がベース基板20に支持された状態で、第2の可撓性回路基板(修理後の第1の可撓性回路基板、又は他の可撓性回路基板)を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH1と放射線検出パネル30を挟んで接続部材70とは反対側に配置されるヒータH2とによって接続部材70を加熱することにより、第2の可撓性回路基板を接続部材70を介して電極パッド33に接続する工程と、を含む。このような修復方法によれば、接続領域Aと重ならないようにベース基板20が配置されていることにより、放射線検出パネル30をベース基板20から取り外すことなく、可撓性回路基板40のリペア(取り外す工程及び接続する工程)を行うことができる。従って、上記修復方法によれば、可撓性回路基板40のリペア作業を容易に行うことができる。
【0090】
(付記1)
放射線撮像装置1は、放射線を検出する検出領域Rが形成された第1面31aと、第1面31aとは反対側の第2面31bと、を有する放射線検出パネル30と、放射線検出パネル30の第2面31bに対向すると共に放射線検出パネル30を支持する支持面20aを有するベース基板20と、放射線検出パネル30に接続された可撓性回路基板40と、を備えている。支持面20aに直交するZ方向から見て、可撓性回路基板40が接続された部分に対応するベース基板20の端部21aは、放射線検出パネル30の端部31cよりも内側に位置しており、ベース基板20は、Z方向から見て、可撓性回路基板40と重ならない位置において放射線検出パネル30よりも外側に突出した突出部22を有する。放射線撮像装置1では、可撓性回路基板40が接続された部分に対応するベース基板20の端部21aは、放射線検出パネル30(基板31)の端部31cよりも内側に位置している。これにより、本実施形態のように、可撓性回路基板40の他端部41bをベース基板20の裏面20bに配置された制御基板50に接続する必要がある場合に、可撓性回路基板40とベース基板20との干渉を適切に防止することができる。
【0091】
また、上述した不感領域の割合(すなわち、放射線撮像装置1全体の領域に対する有効受光エリア(検出領域R)以外の領域の割合)を低減する観点から、Z方向から見た場合の可撓性回路基板40の基板31の端部31cからの突出長さをなるべく小さくすることが好ましい。ここで、上記突出長さは、Z方向から見た場合の可撓性回路基板40の外側端部40a(折り曲げられた部分であって、XY平面に平行な方向において基板31の端部31cから最も離れた部分)と基板31の端部31cとの離間距離である。ベース基板20の端部21aが放射線検出パネル30(基板31)の端部31cよりも内側に位置していることにより、上記突出長さをなるべく小さくすることができる。具体的には、仮にベース基板20の端部21aが端部31cよりも外側に位置している場合には、上記突出長さは、端部31cとベース基板20の端部21aとの間の距離よりも大きくしなければならないという制約が生じる。一方、ベース基板20の端部21aが放射線検出パネル30(基板31)の端部31cよりも内側に位置していることにより、上記制約が生じない。
【0092】
また、ベース基板20は、Z方向から見て、可撓性回路基板40と重ならない位置において放射線検出パネル30(基板31)よりも外側に突出した突出部22を有している。これにより、放射線検出パネル30がベース基板20に支持された状態で、突出部22を把持部として利用することができるため、ベース基板20のハンドリング性を向上させることができる。
【0093】
また、突出部22は、少なくとも2箇所に形成されている。この場合、ベース基板20を2箇所で安定して把持することが可能となる。また、突出部22は、少なくとも3箇所に形成されていてもよいし、少なくとも4箇所に形成されていてもよい。本実施形態では、突出部22は、4箇所に形成されている。この場合、ベース基板20をより一層安定して把持することが可能となる。
【0094】
また、基板31(放射線検出パネル30)は、Z方向から見て矩形状に形成されている。突出部22は、放射線検出パネル30の角部に対応する位置に設けられている。基板31の角部に対応する位置に突出部22を設けることにより、基板31の各辺部を可撓性回路基板40と接続されるスペース(すなわち、電極パッド33が形成される領域)として利用しつつ、ベース基板20のハンドリング性を向上させることができる。本実施形態では、ベース基板20の四隅に突出部22が形成され、これらの突出部22が第1延在部81及び第2延在部82を介して筐体2に固定されている。これにより、ベース基板20は、その四隅に形成された突出部22を介して筐体2に対してバランス良く支持される。また、この場合、Z方向から見て放射線検出パネル30からなるべく離れた位置に形成された上記突出部22によってベース基板20が筐体2に支持される。これにより、例えば筐体2に外力が加わって筐体2が変形したとしても、当該筐体2の変形の影響がベース基板20を介して放射線検出パネル30へと波及することを好適に抑制することができる。
【0095】
また、放射線検出パネル30は、Z方向から見て矩形状に形成されており、放射線検出パネル30の少なくとも1つの辺部に、一以上の可撓性回路基板40が接続されている。本実施形態では一例として、全て(4つ)の辺部のそれぞれに、複数の可撓性回路基板40が接続されている。少なくとも1つの辺部における全ての可撓性回路基板40が接続された部分に対応するベース基板20の端部21aは、放射線検出パネル30の端部31cよりも内側に位置している。この構成によれば、上記少なくとも1つの辺部における全ての可撓性回路基板40のZ方向から見た外側端部40aの位置を、ベース基板20の端部21aに干渉させることなく、放射線検出パネル30の端部31cに近づけることができる。すなわち、上記少なくとも1つの辺部における可撓性回路基板40の外側端部40aをなるべく内側に位置させることができる。これにより、Z方向から見た場合の筐体2の寸法を小さくすることができ、放射線撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0096】
(付記2)
放射線撮像装置1によれば、ベース基板20(突出部22)が、第1延在部81及び第2延在部82を介して、互いに対向する筐体10の一部(天壁11及び底壁12)によって挟持される。これにより、筐体10に対してベース基板20を安定的に支持することができる。ここで、ベース基板20を筐体10に対して支持する方法としては、上記実施形態で示したように、例えば柱状の支持部材55,56(或いは、Z方向に制御基板50を貫通しつつ制御基板50を支持するように支持部材55,56が一体化された支持部材)を介してベース基板20の裏面20bを底壁12に支持する方法がある。上記実施形態では、上記の支持方法が併用されているが、第1延在部81及び第2延在部82を介してベース基板20が筐体10に支持されるため、第1延在部81及び第2延在部82が設けられない場合と比較して、ベース基板20の裏面20bに設けられる支持部材の数を削減することが可能となる。これにより、ベース基板20の裏面20bに対する外部(特に底壁12)からの衝撃を伝わり難くすることができる。その結果、ベース基板20に支持される放射線検出パネル30への衝撃を低減することが可能となる。また、底壁12に対して制御基板50を支持するための支持部材56の数を削減することが可能になることにより、制御基板50に対する外部(特に底壁12)からの衝撃を伝わり難くすることができる。また、制御基板50を貫通する支持部材の数を削減することが可能になることにより、制御基板50のレイアウト(制御基板50内に実装された回路及び配線等のレイアウト)の設計自由度を向上させることができる。
【0097】
また、上述したように、第1延在部81と第2延在部82とは、共通の取付部材(ネジ等)によって突出部22に取り付けられていてもよい。この構成によれば、第1延在部81と第2延在部82との相対的な位置関係を精度良く維持することができ、ベース基板20をより一層安定的に支持することができる。
【0098】
また、第2延在部82は、Z方向から見て、第1延在部81よりも大きく、第2延在部82は、Z方向から見て、第1延在部81と重ならない部分を有している。本実施形態では、第2延在部82は、第1延在部81のガイド溝81aに対応する溝部が設けられていない分だけ、第1延在部81よりも大きい。筐体2のうち、放射線検出パネル30の検出領域Rが形成された第1面31aとは反対側に位置する(すなわち、第2面31bに対向する)底壁12は、通常接地面となる。このため、上記構成によれば、底壁12に支持される第2延在部82を第1延在部81よりも大きくすることにより、ベース基板20をより一層安定的に支持することができる。また、接地面側(底壁12)からの衝撃を第2延在部82で好適に吸収することが可能となるため、当該衝撃を放射線検出パネル30に伝わり難くすることができる。
【0099】
また、突出部22の支持面20aには、互いに離間して配置された複数の第1延在部81が設けられると共に、複数の第1延在部81に対応するように、互いに離間して配置された複数の第2延在部82が設けられている。本実施形態では、互いに離間して配置された4つの第1延在部81と、当該4つの第1延在部81に対応する4つの第2延在部82と、が設けられている。この構成によれば、互いに離間する複数の位置(本実施形態では、ベース基板20の四隅)に点在する第1延在部81及び第2延在部82によってベース基板20を筐体2に対して支持することができる。これにより、例えばベース基板20の縁部に沿って第1延在部及び第2延在部を壁状に形成する場合と比較して、第1延在部81及び第2延在部82を軽量化しつつ、ベース基板20を筐体2に対して安定的に支持することができる。
【0100】
また、ベース基板20は、互いに離間して配置された複数(本実施形態では4つ)の突出部22を有し、複数の突出部22の各々に、第1延在部81及び第2延在部82が設けられている。この構成によれば、突出部22毎に第1延在部81及び第2延在部82を設けることにより、上述した効果を奏する構成を容易に実現できる。なお、上記実施形態とは異なり、1つの突出部22に対して、互いに離間する複数の第1延在部81及び互いに離間する複数の第2延在部82が設けられてもよい。この場合でも、上述した効果を奏することができる。ただし、本実施形態のように、分散して配置された複数の突出部22の各々に対して、第1延在部81及び第2延在部82を1つずつ設けることにより、突出部22における無駄な領域(第1延在部81及び第2延在部82が設けられない領域)を減らすことができ、突出部22の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0101】
また、放射線検出パネル30は、Z方向から見て矩形状に形成されている。複数の突出部22は、放射線検出パネル30の四隅に対応する位置に設けられている。この構成によれば、ベース基板20の四隅を第1延在部81及び第2延在部82を介して天壁11及び底壁12によってバランス良く挟持することができるため、筐体10に対してベース基板20をより一層安定的に支持することができる。
【0102】
また、側壁13は、Z方向から見て、矩形環状に形成されている。側壁13の角部には、突出部22、第1延在部81、及び第2延在部82との干渉を避けるための凹部13cが形成されている。凹部13cにおける側壁13の厚さt1は、隣り合う側壁13の角部同士を接続する辺部における側壁13の厚さt2よりも小さい。側壁13の厚みを一定にする(すなわち、角部における厚みを辺部における厚みと同一にする)場合には、角部において突出部22との干渉を避ける必要がある分だけ、Z方向から見た筐体10の外形を大きくする必要が生じる。この場合、Z方向から見た場合の放射線撮像装置1における不感領域の割合が大きくなってしまう。一方、上記構成によれば、凹部13cを形成することにより、不感領域の割合を低減することが可能となる。
【0103】
また、天壁11は、側壁13と面接触するように配置されたシールド部材112を有しており、天壁11は、側壁13の辺部(側壁13の辺部に設けられたネジ孔13b)及び第1延在部81(第1延在部81に設けられたネジ孔81b)に対してネジ留めされている。この構成によれば、天壁11が側壁13の辺部及び第1延在部81(すなわち、側壁13の角部に近接した部分)に対してネジ留めされることにより、側壁13の上面13a全体において、天壁11と側壁13との良好な面接触を図ることができる。これにより、電磁シールド効果を効果的に高めることができる。
【0104】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、各部の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【0105】
上記実施形態では、垂直シフトレジスタ42a,42b、及び信号接続部42c,42dは、いずれも可撓性回路基板40を介して外付けされていた。また、読出性能(ノイズ及び読出速度等)を考慮して、検出領域Rの左右両側に垂直シフトレジスタ42a,42bを接続するための電極パッド33が配置され、検出領域Rの上下両側に信号接続部42c,42dを接続するための電極パッド33が配置されている。すなわち、上記実施形態では、
図12の(A)に示されるように、検出領域Rを取り囲む4辺に複数の電極パッド33が配置されている。しかし、電極パッド33は、必ずしも4辺全てに配置されていなくてもよい。また、各辺に配置される電極パッド33の個数及び配置間隔も特に限定されない。
【0106】
例えば、垂直シフトレジスタ42a,42bの一方、又は信号接続部42c,42dの一方が省略されてもよい。この場合、
図12の(B)に示されるように、基板31の3辺に沿って電極パッド33が配置される。また、垂直シフトレジスタ42a,42bの一方、及び信号接続部42c,42dの一方が省略されてもよい。この場合、
図12の(C)に示されるように、基板31の2辺に沿って電極パッド33が配置される。また、例えば、垂直シフトレジスタ42a,42bに対応する回路が、外付けのICチップ42ではなく基板31に作り込まれてもよい。さらに、信号接続部42c,42dの一方が省略されてもよい。この場合、
図12の(D)に示されるように、基板31の一辺に沿って電極パッド33が配置される。例えば、基板31を低温ポリシリコンを用いたTFTパネルとして構成することにより、このような回路の作り込みを容易に行うことができる。
【0107】
また、
図12の(E)に示されるように、基板31において電極パッド33が設けられる辺部(ここでは左右両側の2辺)には、比較的広い間隔で複数(ここでは一例として2つ)の電極パッド33が配置されていてもよい。この例では、左右両側の2辺の中央部に、電極パッド33が配置されていない比較的広いスペースが形成されている。また、
図12の(F)に示されるように、基板31において電極パッド33が設けられる辺部(ここでは左右両側の2辺)には、1つの電極パッド33のみが配置され、当該電極パッド33の両側に比較的広いスペースが形成されていてもよい。そして、
図12の(B)~(F)に示されるように、基板31において電極パッド33が形成されない辺部、又は電極パッド33が設けられていない比較的広いスペースが設けられる場合には、当該辺部又は当該スペースに対応する部分に、突出部22(例えば
図13の(E)~(I)参照)が配置されてもよい。
【0108】
上記実施形態では、突出部22は、本体部21の四隅に設けられたが、突出部22の配置及び個数は上記例に限られない。例えば、突出部22は、
図13の(A)に示されるように1つの角部に設けられてもよいし、
図13の(B)に示されるように互いに隣接する2つの角部に設けられてもよいし、
図13の(C)に示されるように互いに対角関係にある2つの角部に設けられてもよいし、
図13の(D)に示されるように、3つの角部に設けられてもよい。
【0109】
また、突出部22が設けられる位置は、本体部21の角部に限られず、本体部21の辺部であってもよい。この場合、例えば、突出部22は、
図13の(E)に示されるように1辺に設けられてもよいし、
図13の(F)に示されるように互いに隣接する2辺に設けられてもよいし、
図13の(G)に示されるように互いに対向する2辺に設けられてもよいし、
図13の(H)に示されるように3辺に設けられてもよいし、
図13の(I)に示されるように4辺に設けられてもよい。また、
図13の(F)~(I)の例では、突出部22は各辺の中央部に設けられているが、突出部22は各辺の中央部からずれた位置に設けられてもよいし、1辺に対して2以上の突出部22が設けられてもよい(例えば、
図14の(D)参照)。なお、
図13の(A)及び(E)に示されるように、突出部22が1つのみであったとしても、当該突出部22を把持することにより、放射線検出パネル30及びベース基板20を容易に持ち運ぶことができる。すなわち、突出部22が設けられた部分によって、放射線検出パネル30及びベース基板20のハンドリング性が向上する。一方、複数の突出部22を設けた場合には、ベース基板20を複数個所で安定して把持することが可能となるため、上記ハンドリング性をより一層向上させることができる。
【0110】
また、突出部22は、本体部21の角部及び辺部の両方に設けられていてもよい。すなわち、上記実施形態及び
図13等に示される突出部22の配置は、任意に組み合わせられてもよい。
【0111】
上記実施形態では、位置決め部材としての第1延在部81(ガイド溝81aが設けられた第1延在部81)が、基板31の四隅のそれぞれに対応する位置に設けられたが、位置決め部材としての第1延在部81は、少なくとも1つ設けられればよい。この場合でも、基板31の角部を挟んで互いに隣接する2辺(互いに直交する2辺)の位置決めを行うことができるため、基板31の位置決めを行うことができる。ただし、
図14の(A)~(C)に示されるように、位置決め部材としての第1延在部81は、基板31の2カ所以上の角部に対応する位置に設けられることが好ましい。これにより、基板31をベース基板20の支持面20aに配置する際の作業性を向上させることができる。
【0112】
また、
図14の(D)~(F)に示されるように、突出部22が本体部21の辺部に設けられる場合には、第1延在部81は、基板31の辺部を位置決めするためのガイド面81c(Z方向から見て、対応する基板31の辺部に平行となる面)を有してもよい。また、この場合、第1延在部81は、互いに直交する2辺に少なくとも1つずつ(計2つ)設けられればよい。ただし、
図14の(D)~(F)に示されるように、位置決め部材としての第1延在部81は、3カ所以上に設けられることが好ましい。これにより、基板31をベース基板20の支持面20aに配置する際の作業性を向上させることができる。
【0113】
また、位置決め部材としての第1延在部81は、本体部21の角部及び辺部の両方に設けられてもよい。
【0114】
位置決め部材として利用された第1延在部81は、基板31が支持面20aに固定された後に取り外されてもよい。ただし、基板31が支持面20aに固定された後も第1延在部81を残しておくことにより、第1延在部81を取り外す際におけるハンドリングミスの発生を防止し、ハンドリングミスに起因するベース基板20等の部材の損傷(すなわち、放射線撮像装置1の歩留まりの低下)を防止できる。また、第1延在部81を残しておくことにより、当該第1延在部81を基板31の端部(上記実施形態では、基板31の角部31d)を保護する保護部材として機能させることができる。さらに、上記実施形態のように、第1延在部81を突出部22と天壁11とを接続する支持部材として活用することもできる。
【0115】
上記実施形態では、第1延在部81は、基板31を位置決めする位置決め部材として機能すると共に、天壁11に対して突出部22を支持する支持部材として機能したが、第1延在部81は、位置決め部材及び支持部材の一方の機能のみを有してもよい。すなわち、第1延在部81には、基板31を位置決めする部分(本実施形態では、ガイド溝81a)が設けられていなくてもよい。或いは、第1延在部81は、天壁11に固定されていなくてもよい。もしくは、第1延在部81は、省略されてもよい。また、複数の突出部22が設けられる場合において、第1延在部81は、一部の突出部22にのみ設けられてもよい。同様に、第2延在部82は、省略されてもよい。また、複数の突出部22が設けられる場合において、第2延在部82は、一部の突出部22にのみ設けられてもよい。
【0116】
突出部22は、省略されてもよい。すなわち、ベース基板20は、上述した本体部21からのみなる部材であってもよい。この場合には、突出部22に固定される第1延在部81及び第2延在部82についても省略される。
【0117】
上記実施形態では、ベース基板20は、Z方向から見て全ての接続領域Aと重ならないように形成されたが、ベース基板20は、少なくとも1つの接続領域Aと重ならないように形成されていればよく、必ずしも全ての接続領域Aと重ならないように形成されていなくてもよい。例えば、ベース基板20は、特に故障の発生率が高い(すなわち、リペア作業が発生し易い)ICチップ42が搭載された可撓性回路基板40に対応する接続領域Aと重ならないように形成される一方で、他の接続領域Aと重なるように形成されてもよい。この場合、上記実施形態で示した手順(すなわち、放射線検出パネル30をベース基板20に支持させた後に、各可撓性回路基板40を各電極パッド33に接続する手順)を実施することはできなくなるが、放射線検出パネル30に各可撓性回路基板40を接続した後に放射線検出パネル30をベース基板20に支持させることにより、放射線撮像装置1を製造することができる。また、ベース基板20が故障の発生率が高いICチップ42が搭載された可撓性回路基板40に対応する接続領域Aと重ならないように形成されていることにより、当該ICチップ42が故障した場合には、ベース基板20から放射線検出パネル30を取り外すことなく、当該可撓性回路基板40のリペア作業を実施することができる。よって、このようにベース基板20が一部の接続領域Aのみと重ならないように形成されている場合においても、上記実施形態と同様に、当該接続領域Aに対応する可撓性回路基板40のリペア作業を容易化でき、当該可撓性回路基板40を介して伝達される信号におけるノイズを抑制することができるという効果が奏される。
【0118】
上記実施形態では、各電極パッド33との電気的な接続手段として可撓性回路基板40のみが用いられたが、可撓性回路基板40以外の接続手段(例えば、ワイヤボンディング等)が併用されてもよい。例えば、一部の電極パッド33が、可撓性回路基板40を介して制御基板50に接続され、他の電極パッド33が、ワイヤボンディングによって制御基板50(或いは別途設けられる制御回路)に接続されてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、外付けのICチップ42と電極パッド33とは、可撓性回路基板40を介して電気的に接続されているが、例えば筐体10内にチップ搭載用の基板が収容され、当該基板にICチップが搭載されてもよい。また、当該ICチップと電極パッド33とは、可撓性回路基板40以外の接続手段(例えば、上述したワイヤボンディング等)のみによって電気的に接続されてもよい。また、このような場合には、上記実施形態で説明したような接続領域Aは存在しないため、Z方向から見て、ベース基板20の端部21aは、放射線検出パネル30(基板31)の端部31cよりも内側に配置されなくてもよい。すなわち、Z方向から見て、基板31を完全に内包する大きさのベース基板20(すなわち、Z方向から見て、ベース基板20の周縁部全体が基板31よりも外側に位置するベース基板20)が用いられてもよい。この場合、ベース基板20の周縁部全体が、上記実施形態における突出部22に対応する。
【0120】
さらに、上述したように、ベース基板20と可撓性回路基板40との干渉を防止する観点、及び不感領域の割合を低減する観点からは、可撓性回路基板40が接続された部分に対応するベース基板20の端部21aは、放射線検出パネル30(基板31)の端部31cよりも内側に位置していればよく、ベース基板20は、Z方向から見て接続領域Aと重ならないように形成されていなくてもよい。
【0121】
上記実施形態では、検出領域Rは、シンチレータ34によって放射線像を光像に変換した後に受光部32によって当該光像を撮像して画像を得る間接変換方式が適用された領域であったが、検出領域Rは、放射線像を直接的に撮像して画像を得る直接変換方式が適用された領域であってもよい。例えば、基板31の第1面31aにおいて、受光部32の代わりに、電荷の蓄積及び転送を行うように構成された画素回路が設けられると共に、シンチレータ34の代わりに、放射線を直接的に電荷に変換する固体材料(変換部)(例えば、CdTe、CdZnTe、GaAs、InP、TlBr、HgI2、PbI2、Si、Ge、及びa-Se等)が設けられてもよい。これにより、直接変換方式が適用された検出領域Rが得られる。この場合の検出領域Rは、放射線が入射する領域であって、且つバイアス電圧が印加される領域(すなわち、画像を取得する対象となる領域)である。なお、このような固体材料も、シンチレータ34と同様に高温に弱い性質を有するため、固体材料と接続領域Aとの距離(すなわち、ベース基板20の端部21aと接続領域Aの内側端部A1との距離d)をなるべく大きくとることが好ましい。具体的には、固体材料が設けられる場合(直接変換方式)においても、シンチレータ34が設けられる場合(間接変換方式)と同様に、上記距離dは、1mm以上に設定されることが好ましい。これにより、可撓性回路基板40を電極パッド33に接続するために接続部材70を加熱するヒータH1と固体材料との距離を、一定以上(少なくとも1mm以上)確保することができる。その結果、ヒータH1からの熱が固体材料に与える悪影響を抑制することができる。
【0122】
上記実施形態では、ガラス基板である基板31上に多結晶シリコン又はアモルファスシリコン等が成膜されてなる放射線検出パネル30について説明したが、放射線検出パネル30は、上記構成に限られず、例えば単結晶シリコン基板上に受光部を形成してなる構成を有していてもよい。また、基板31は、ガラス基板に限られず、例えばフィルム状の基板(フレキシブル基板)等であってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…放射線撮像装置、10…筐体、11…天壁(第1壁部)、12…底壁(第2壁部)、13…側壁(第3壁部)、13c…凹部、20…ベース基板、20a…支持面、20b…裏面、21a…端部、22…突出部、30…放射線検出パネル、31c…端部、32…受光部、33…電極パッド、34…シンチレータ(変換部)、40…可撓性回路基板、70…接続部材、81…第1延在部、82…第2延在部、112…シールド部材、A…接続領域、A1…内側端部、H1…ヒータ(第1ヒータ)、H2…ヒータ(第2ヒータ)。