IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】部品実装機、部品補給作業支援方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20221122BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/04 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018213054
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020080378
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133401(JP,A)
【文献】特開2014-110322(JP,A)
【文献】特開2016-018968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着された複数の部品収納部材を順番に使用して前記部品収納部材から部品を供給する部品供給装置と、
前記部品供給装置により供給された部品を基板に実装する実装部と、
前記複数の部品収納部材のうちの一の部品収納部材の部品が切れた後に、作業者が前記部品供給装置に対して実行した特定作業を検知する作業検知部と、
作業者に報知を行う報知部と、
前記部品供給装置に対する前記特定作業の実行が検知されると、前記部品供給装置に装着すべき前記部品収納部材に関する情報である部品関連情報を前記報知部に報知させる制御部と
を備え
前記部品収納部材は、複数の部品を収納する部品供給テープである部品実装機。
【請求項2】
前記複数の部品収納部材のうち、前記一の部品収納部材が切れて次の部品収納部材の使用が開始された状態を部品補給可能状態として検知する状態検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記部品補給可能状態が検知された前記部品供給装置に対する前記特定作業の実行が検知されると、当該部品供給装置に対応する前記部品関連情報を前記報知部に報知させ
記部品供給装置は、第1搬送経路および前記第1搬送経路より下方の第2搬送経路のいずれかを介して前記部品供給テープを搬送することで、前記部品供給テープに収納される部品を部品供給位置に供給し、
前記部品供給装置の本体に対して装着ユニットが着脱自在であり、前記装着ユニットを前記本体に取り付けることで前記第1搬送経路に前記部品供給テープが装着される一方、前記装着ユニットを前記本体から取り外した状態で、前記第1搬送経路に装着されていた前記部品供給テープを前記第2搬送経路に移動させることができ、
前記第2搬送経路を介した前記一の部品収納部材としての前記部品供給テープの搬送中は、前記次の部品収納部材としての前記部品供給テープが前記装着ユニットによって装着されて前記第1搬送経路で待機し、
前記状態検知部は、前記一の部品収納部材としての前記部品供給テープの部品が切れて前記第1搬送経路を介した前記次の部品収納部材としての前記部品供給テープの搬送が開始されると、前記部品補給可能状態を検知する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記作業検知部は、前記作業者が前記装着ユニットを前記本体から取り外す作業を前記特定作業として検知する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記作業検知部は、光を射出する発光部と、前記発光部から射出された光を検知する受光部と、前記装着ユニットに連動する遮光部とを有し、
前記装着ユニットが前記本体に取り付けられた状態で前記遮光部は前記発光部から前記受光部への光路上に位置して前記光路に沿った光の進行を遮る一方、前記装着ユニットが前記本体から取り外されると前記遮光部は前記光路から外れて前記発光部から射出された光を前記受光部が検知し、
前記作業検知部は、前記受光部による光の検知の有無に基づき、前記特定作業を検知する請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記本体に取り付けられた前記装着ユニットの前記本体からの取り外しを規制する規制レバーが設けられ、
前記規制レバーは、前記作業者による解除操作が実行されると、前記本体からの取り外しの規制を解除し、
前記作業検知部は、前記解除操作を前記特定作業として検知する請求項2ないし4のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する生産計画を取得し、前記状態検知部が前記部品補給可能状態を検知すると、前記部品供給装置に装着された前記複数の部品収納部材に残存する部品の個数である部品残数と、前記生産計画の完了に要する部品の個数である必要部品数とを比較した結果に基づき、前記報知部による前記部品関連情報の報知を制御する請求項2ないし5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記制御部は、前記部品残数が前記必要部品数以上である場合には、前記特定作業の検知に拘わらず前記報知部による前記部品関連情報の報知を禁止し、前記部品残数が前記必要部品数未満である場合には、前記特定作業の検知に応じて前記報知部に前記部品関連情報を報知させる請求項6に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記制御部は、前記部品残数が前記必要部品数以上である場合には、前記部品供給装置への新たな部品収納部材の装着が不要である旨を前記報知部に報知させる請求項6に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記制御部は、前記部品関連情報を第1態様で前記報知部に表示させる一方、前記状態検知部が前記部品補給可能状態を検知すると、前記部品供給装置が前記部品補給可能状態である旨を前記第1態様と異なる第2態様で前記報知部に報知させる請求項2ないし8のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項10】
前記部品供給装置は、前記部品関連情報の取得用のボタンを有し、
前記作業検知部は、前記作業者による前記ボタンの操作を前記特定作業として検知する請求項1ないし9のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項11】
装着された複数の部品収納部材を順番に使用して前記部品収納部材から部品を供給する部品供給装置と、
前記部品供給装置により供給された部品を基板に実装する実装部と、
前記複数の部品収納部材のうちの一の部品収納部材の部品が切れた後に、作業者が前記部品供給装置に対して実行した特定作業を検知する作業検知部と、
作業者に報知を行う報知部と、
前記部品供給装置に対する前記特定作業の実行が検知されると、前記部品供給装置に装着すべき前記部品収納部材に関する情報である部品関連情報を前記報知部に報知させる制御部と
を備え
前記部品収納部材は、複数の部品をそれぞれ収納する複数の収納部がマトリックス状に配列されたトレイであり、
前記部品供給装置は、複数の前記トレイを上下方向に収納する収納箇所と供給箇所との間で前記トレイを搬送するトレイ搬送部を有し、前記供給箇所に移動させた前記トレイに収納された部品を供給し、
前記作業検知部は、前記収納箇所から前記供給箇所の反対側に前記トレイを引き出す作業者による作業を前記特定作業として検知する部品実装機。
【請求項12】
装着された複数の部品収納部材を順番に使用して前記部品収納部材から部品を供給する部品供給装置について、前記複数の部品収納部材のうちの一の部品収納部材の部品が切れた後に、作業者が前記部品供給装置に対して実行した特定作業を検知する工程と、
前記部品供給装置に対する前記特定作業の実行が検知されると、前記部品供給装置に装着すべき前記部品収納部材に関する情報である部品関連情報を作業者に報知する工程と
を備え、
前記部品収納部材は、複数の部品を収納する部品供給テープである部品補給作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装着された複数の部品収納部材を順番に使用して部品収納部材から部品を部品供給位置に供給する部品供給装置に対して作業者が実行する部品補給作業を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部品供給テープ等の部品収納部材に収納された部品を部品供給位置に供給するフィーダを備え、部品供給位置に供給された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装機が知られている。また、特許文献1に記載のフィーダは、複数の部品供給テープが装着可能であり、これらを順番に使用して部品を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-199831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるフィーダのような部品供給装置では、2本の部品供給テープのうち、先の部品供給テープの部品が使い切られると、次の部品供給テープによる部品の供給が開始されるともに、当該部品供給装置に新たな部品収納部材を装着して、部品を補給することが可能となる。この際、部品補給が可能となった部品供給装置に装着すべき部品収納部材に関する部品関連情報を作業者に報知することが、作業者による的確な部品補給作業に資すると考えられる。
【0005】
しかしながら、かかる部品補給作業は、次の部品供給テープの部品が使い切られるまでの期間に実行されれば良く、必ずしも直ちに実行される必要は無い。したがって、作業者は、部品補給作業よりも他の作業を優先させることで、作業の効率化を図る。かかる状況では、作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが合理的であるが、従来はかかるニーズに応え得る技術は無かった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、装着された複数の部品収納部材を順番に使用して部品収納部材から部品を供給する部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品実装機は、装着された複数の部品収納部材を順番に使用して部品収納部材から部品を供給する部品供給装置と、部品供給装置により供給された部品を基板に実装する実装部と、複数の部品収納部材のうちの一の部品収納部材の部品が切れた後に、作業者が部品供給装置に対して実行した特定作業を検知する作業検知部と、作業者に報知を行う報知部と、部品供給装置に対する特定作業の実行が検知されると、部品供給装置に装着すべき部品収納部材に関する情報である部品関連情報を報知部に報知させる制御部とを備える。
【0008】
本発明に係る部品補給作業支援方法は、装着された複数の部品収納部材を順番に使用して部品収納部材から部品を供給する部品供給装置について、複数の部品収納部材のうちの一の部品収納部材の部品が切れた後に、作業者が部品供給装置に対して実行した特定作業を検知する工程と、部品供給装置に対する特定作業の実行が検知されると、部品供給装置に装着すべき部品収納部材に関する情報である部品関連情報を作業者に報知する工程とを備える。
【0009】
このように構成された本発明(部品実装機、部品補給作業支援方法)では、複数の部品収納部材のうち、一の部品収納部材の部品が切れた後に作業者が部品供給装置に対して実行した特定作業が検知される。そして、特定作業の実行が検知された部品供給装置について、当該部品供給装置に装着すべき部品収納部材に関する部品関連情報が報知される。したがって、部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となっている。
【0010】
また、複数の部品収納部材のうち、一の部品収納部材が切れて次の部品収納部材の使用が開始された状態を部品補給可能状態として検知する状態検知部をさらに備え、制御部は、部品補給可能状態が検知された部品供給装置に対する特定作業の実行が検知されると、当該部品供給装置に対応する部品関連情報を報知部に報知させ、部品収納部材は、複数の部品を収納する部品供給テープであり、部品供給装置は、第1搬送経路および第1搬送経路より下方の第2搬送経路のいずれかを介して部品供給テープを搬送することで、部品供給テープに収納される部品を部品供給位置に供給し、部品供給装置の本体に対して装着ユニットが着脱自在であり、装着ユニットを本体に取り付けることで第1搬送経路に部品供給テープが装着される一方、装着ユニットを本体から取り外した状態で、第1搬送経路に装着されていた部品供給テープを第2搬送経路に移動させることができ、第2搬送経路を介した一の部品収納部材としての部品供給テープの搬送中は、次の部品収納部材としての部品供給テープが装着ユニットによって装着されて第1搬送経路で待機し、状態検知部は、一の部品収納部材としての部品供給テープの部品が切れて第1搬送経路を介した次の部品収納部材としての部品供給テープの搬送が開始されると、部品補給可能状態を検知するように、部品実装機を構成しても良い。
【0011】
このような構成では、複数の部品収納部材のうち、一の部品収納部材の部品が切れて次の部品収納部材の使用が開始された状態が部品補給可能状態として検知される。また、作業者が部品供給装置に対して実行した特定作業が検知される。そして、部品補給可能状態が検知され、さらに特定作業の実行が検知された部品供給装置について、当該部品供給装置に装着すべき部品収納部材に関する部品関連情報が報知される。したがって、部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となっている。
【0012】
しかも、部品供給装置が部品補給可能状態になったことを的確に検知することができる。
【0013】
また、作業検知部は、作業者が装着ユニットを本体から取り外す作業を特定作業として検知するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者が部品補給作業に伴って必然的に実行する作業(装着ユニットの取り外し作業)の検知をきっかけに、部品関連情報が報知される。したがって、部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となっている。
【0014】
また、作業検知部は、光を射出する発光部と、発光部から射出された光を検知する受光部と、装着ユニットに連動する遮光部とを有し、装着ユニットが本体に取り付けられた状態で遮光部は発光部から受光部への光路上に位置して光路に沿った光の進行を遮る一方、装着ユニットが本体から取り外されると遮光部は光路から外れて発光部から射出された光を受光部が検知し、作業検知部は、受光部による光の検知の有無に基づき、特定作業を検知するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、装着ユニットの取り外し作業を的確に検知することができる。
【0015】
また、本体に取り付けられた装着ユニットの本体からの取り外しを規制する規制レバーが設けられ、規制レバーは、作業者による解除操作が実行されると、本体からの取り外しの規制を解除し、作業検知部は、解除操作を特定作業として検知するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者が部品補給作業に伴って必然的に実行する作業(規制レバーへの解除操作)の検知をきっかけに、部品関連情報が報知される。したがって、部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となっている。
【0016】
また、部品供給装置は、部品関連情報の取得用のボタンを有し、作業検知部は、作業者によるボタンの操作を特定作業として検知するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者は、部品補給作業の実行に際してボタンを操作することで、部品関連情報を得ることができる。したがって、部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となっている。
【0017】
また、制御部は、部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する生産計画を取得し、状態検知部が部品補給可能状態を検知すると、部品供給装置に装着された複数の部品収納部材に残存する部品の個数である部品残数と、生産計画の完了に要する部品の個数である必要部品数とを比較した結果に基づき、報知部による部品関連情報の報知を制御するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、不要な部品補給作業の実行を抑止することが可能となる。
【0018】
また、制御部は、部品残数が必要部品数以上である場合には、特定作業の検知に拘わらず報知部による部品関連情報の報知を禁止し、部品残数が必要部品数未満である場合には、特定作業の検知に応じて報知部に部品関連情報を報知させるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、不要な部品補給作業の実行を抑止することが可能となる。
【0019】
また、制御部は、部品残数が必要部品数以上である場合には、部品供給装置への新たな部品収納部材の装着が不要である旨を報知部に報知させるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、不要な部品補給作業の実行を抑止することが可能となる。
【0020】
また、制御部は、部品関連情報を第1態様で報知部に表示させる一方、状態検知部が部品補給可能状態を検知すると、部品供給装置が部品補給可能状態である旨を第1態様と異なる第2態様で報知部に報知させるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者は、部品関連情報をその表示態様によって的確に識別することができる。
【0021】
また、部品供給装置の具体的な態様は種々想定できる。そこで、部品収納部材は、複数の部品をそれぞれ収納する複数の収納部がマトリックス状に配列されたトレイであり、部品供給装置は、複数のトレイを上下方向に収納する収納箇所と供給箇所との間でトレイを搬送するトレイ搬送部を有し、供給箇所に移動させたトレイに収納された部品を供給し、作業検知部は、収納箇所から供給箇所の反対側にトレイを引き出す作業者による作業を特定作業として検知するように、部品実装機を構成しても良い。
【発明の効果】
【0022】
上記のように構成された発明では、装着された複数の部品収納部材を順番に使用して部品収納部材から部品を部品供給位置に供給する部品供給装置に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る部品実装機の一例を示す平面図。
図2図1に示す部品実装機の部分正面図。
図3図1に示す部品実装機の電気的構成を示すブロック図。
図4図1の部品実装機が備えるフィーダの構成を示す図。
図5図4のフィーダが部品供給に使用する部品供給テープの構成を示す斜視図。
図6A】テープセット部およびセット移動機構の全体構成を示す斜視図。
図6B】テープセット部およびセット移動機構の全体構成を示す斜視図。
図7】テープセット部およびセット移動機構の側面図。
図8A】規制レバーによるテープクランプを解除したときのテープ支持部材を示す図。
図8B】規制レバーによるテープクランプを実行したときのテープ支持部材を示す図。
図9A】フィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図。
図9B】フィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図。
図9C】フィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図。
図9D】フィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図。
図9E】フィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図。
図9F】フィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図。
図10】部品補給作業支援の一例を示すフローチャート。
図11図10の部品補給作業支援の実行に伴って表示部に表示される画面の一例を示す図。
図12図10の部品補給作業支援の実行に伴って表示部に表示される画面の一例を示す図。
図13図10の部品補給作業支援の実行に伴って表示部に表示される画面の一例を示す図。
図14】規制レバーに対する解除操作を特定作業として検知する例で使用されるテープ支持部材の一例を示す図。
図15】トレイタイプのフィーダの一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明に係る部品実装機の一例を示す平面図である。図2図1に示す部品実装機の部分正面図である。さらに、図3図1に示す部品実装機の電気的構成を示すブロック図である。この部品実装機1は、フィーダ型供給機構40に装着されたフィーダ50により供給される電子部品Eを基板Bに実装する装置であり、上記フィーダ型供給機構40以外に、基台10と、基板Bを搬送するための搬送コンベア20と、基板B上に電子部品Eを実装するための部品実装装置30とを備えている。
【0025】
基台10は平面視で長方形状を有している。そして、この基台10に対し、その長手方向と平行に搬送コンベア20が設けられている。また、搬送コンベア20の下方には、基板B上に電子部品Eを実装する際にその基板Bをバックアップするためのバックアッププレート(図示省略)が設けられている。なお、以下の説明では、基台10の長辺方向(図1の左右方向)および搬送コンベア20による基板Bの搬送方向をX軸方向とし、基台10の短辺方向(図1の上下方向)をY軸方向とし、上下方向(図2の上下方向)をZ軸方向とする。
【0026】
搬送コンベア20は、Y軸方向における基台10の略中央位置に配置され、基板Bを搬送方向(X軸方向)に沿って搬送する。搬送コンベア20は、搬送方向Xに循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えている。基板Bは、両コンベアベルト22に架設する形で載置され、その状態でX軸方向に搬送される。基板Bは、搬送方向Xの一方側(図1で示す右側)からコンベアベルト22に沿って基台10上の作業位置(図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入され、作業位置で停止して電子部品Eの実装作業がされた後、コンベアベルト22に沿って他方側(図1で示す左側)に搬出されるようになっている。
【0027】
部品実装装置30は、一対の支持フレーム31と、ヘッドユニット32と、ヘッドユニット32を駆動するヘッドユニット駆動機構とを有している。各支持フレーム31は、それぞれX軸方向における基台10の両側に位置しており、Y軸方向に延設されている。支持フレーム31には、ヘッドユニット駆動機構を構成するX軸サーボ機構およびY軸サーボ機構が設けられている。そして、装置全体を制御する制御部80からの動作指令に応じてX軸サーボ機構およびY軸サーボ機構が作動することで、ヘッドユニット32が一定の可動領域内でX軸方向およびY軸方向に移動する。
【0028】
Y軸サーボ機構は、Y軸ガイドレール33Y、Y軸ボールねじ34YおよびY軸サーボモータ35Yを有している。このY軸サーボ機構では、各支持フレーム31に対し、Y軸ガイドレール33Yが延設されている。また、各Y軸ガイドレール33Yと平行にY軸ボールねじ34Yが延設されている。このY軸ボールねじ34Yの一方端には、Y軸サーボモータ35Yが取り付けられ、制御部80からの駆動指令に応じて作動することでY軸ボールねじ34Yに螺合しているボールナット(図示省略)がY軸方向に移動する。これらのボールナットにヘッド支持体36が固定されている。ヘッド支持体36はX軸方向に延設されている。そして、2つのY軸ガイドレール33Yを橋渡しするようにヘッド支持体36はボールナット上に配置され、Y軸ガイドレール33Yに沿って移動自在となっている。このため、制御部80によりY軸サーボモータ35Yが通電制御されると、上記したボールナットの進退動作によって、ボールナットに固定されたヘッド支持体36およびヘッドユニット32がY軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
【0029】
X軸サーボ機構は、X軸ガイドレール33X(図2参照)、X軸ボールねじ34XおよびX軸サーボモータ35Xを有している。このX軸サーボ機構では、ヘッド支持体36に対し、X軸ガイドレール33XがX軸方向に延設されている。また、X軸ガイドレール33Xと平行にX軸ボールねじ34Xが延設されている。このX軸ボールねじ34Xの一方端には、X軸サーボモータ35Xが取り付けられ、制御部80からの駆動指令に応じて作動することでX軸ボールねじ34Xに螺合しているボールナット(図示省略)がX軸方向に移動する。このボールナットにはヘッドユニット32が固定されており、上記ボールナットの移動によってX軸ガイドレール33Xに沿ってX軸方向に移動する。
【0030】
ヘッドユニット32は、後述するフィーダ型供給機構40によって供給される電子部品Eを取り出して基板B上に実装する。ヘッドユニット32には、図2に示すように、電子部品Eの実装動作を行う実装ヘッド37が列状をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド37は、ヘッドユニット32の下面から下向きに突出しており、その先端には電子部品Eを負圧によって吸着する吸着ノズル38がそれぞれ設けられている。
【0031】
各実装ヘッド37は、R軸サーボモータ35R(図3)によって上下方向Zに延びる軸周りの回転動作が可能とされている。また、各実装ヘッド37は、Z軸サーボモータ35Z(図3)の駆動によってヘッドユニット32のフレーム32Aに対して上下方向Zに昇降可能とされている。
【0032】
なお、ヘッドユニット32には、基板認識カメラC1(図2)が設けられている。基板認識カメラC1は、撮像面を下に向けた状態でヘッドユニット32のフレーム32Aに固定されており、ヘッドユニット32とともに一体的に移動する。基板認識カメラC1は、ヘッドユニット32がX軸方向およびY軸方向に移動されることで、作業位置に停止した基板B上の任意の位置の画像を撮像する。
【0033】
また、基台10上におけるヘッドユニット32による作業位置の近傍には、部品認識カメラC2(図1)が固定されている。部品認識カメラC2は、実装ヘッド37によって部品供給位置S(後で説明する図4参照)から取り出された電子部品Eの画像を撮像することで、各電子部品Eの吸着ノズル38による吸着姿勢等を認識する。
【0034】
上記のように構成された部品実装機1の各部を制御するために、制御部80が設けられている。制御部80はCPU(Central Processing Unit)により構成される演算処理部81を備えている。演算処理部81には、モータ制御部82と、記憶部83と、画像処理部84と、外部入出力部85と、フィーダ通信部86と、表示部88と、入力部89と、がそれぞれ接続されている。
【0035】
モータ制御部82は、後述する実装プログラム83Aに従ってヘッドユニット32のX軸サーボモータ35XおよびY軸サーボモータ35Yを駆動させるとともに、各実装ヘッド37のZ軸サーボモータ35ZおよびR軸サーボモータ35Rを駆動させる。また、モータ制御部82は、実装プログラム83Aに従って搬送コンベア20を駆動させる。
【0036】
記憶部83は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、実装プログラム83Aおよび部品関連情報83Bを記憶する。記憶部83に記憶される実装プログラム83Aには、電子部品Eを基板Bに実装することで所定枚数の部品実装基板Bを生産する生産計画および当該生産計画に従って基板Bに実装すべき電子部品Eの種類や個数を示す情報等が含まれている。記憶部83に記憶される部品関連情報83Bには、フィーダ型供給機構40に取り付けられた各フィーダ50に保持された電子部品Eの数や種類に関するデータ等が含まれている。
【0037】
画像処理部84には、基板認識カメラC1および部品認識カメラC2から出力される撮像信号がそれぞれ取り込まれる。画像処理部84では、各カメラC1、C2から取り込まれた撮像信号に基づいて、部品画像の解析、基板画像の解析等が行われる。
【0038】
外部入出力部85は、いわゆるインターフェースであって、部品実装機1の本体に設けられる各種センサ類85Aから出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部85は、演算処理部81から出力される制御信号に基づいて、部品実装機1の本体に設けられる各種アクチュエータ類85Bに対する動作制御信号を出力するように構成されている。
【0039】
フィーダ通信部86は、フィーダ型供給機構40に取り付けられた各フィーダ50のフィーダ制御部59と接続されており、演算処理部81がフィーダ通信部86を介して各フィーダ50を統括して制御する。なお、フィーダ制御部59は、実装プログラム83Aに従った制御によってフィーダ50内の前側モータ52Aおよび後側モータ54Aの駆動を制御する。また、フィーダ制御部59は、フィーダ50内のテープセンサ(図示省略)と接続されており、当該テープセンサから出力される検出信号が取り込まれるようになっている。さらに、フィーダ制御部59は、作業者がフィーダ50に対して実行した特定作業を検知する作業検知部58と接続されており、当該作業検知部58から出力された検出結果に基づき、特定作業の実行の有無を把握する。なお、フィーダ50の構成および動作については、後で詳述する。
【0040】
表示部88は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、部品実装機1の状態等を表示画面上に表示する。入力部89は、キーボード等から構成され、手動による操作によって外部からの入力を受け付けるようになっている。なお、タッチパネルディスプレイ等によって表示部88と入力部89とを一体的に構成しても良い。
【0041】
図4図1の部品実装機が備えるフィーダの構成を示す図である。図5図4のフィーダが部品供給に使用する部品供給テープの構成を示す斜視図である。図1に示すように、フィーダ型供給機構40は搬送コンベア20の両側(図1の上下両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。各フィーダ型供給機構40は、複数のフィーダ50を列状に着脱自在に装着した一括交換台車により構成されている。各フィーダ型供給機構40には、複数のリール支持部(図示省略)が設けられており、リール支持部に対してリール状に巻回された部品供給テープ60をフィーダ50に送出可能となっている。
【0042】
部品供給テープ60は、例えば図5に示すように、一方向に長いシート形状を有するキャリアテープ62と、キャリアテープ62に貼着されるトップテープ64とから構成される。キャリアテープ62には、上方に開口した空洞状の部品収納部62Aがテープの長手方向に一定間隔で設けられている。そして、各部品収納部62Aに対し、トップテープ64によって閉止された状態で電子部品Eが収納され、保持されている。また、キャリアテープ62の一辺側には、その縁部に沿って上下に貫通する係合孔62Bが一定間隔で設けられている。
【0043】
このように構成された部品供給テープ60はリール支持部から送出されてフィーダ50にセットされた後、制御部80からの動作指令に応じたフィーダ50の動作によって部品供給位置Sに搬送される。これによって、部品収納部62Aに収納された複数の電子部品Eが順番に部品供給位置Sに供給される。なお、フィーダ50の構成説明を行うにあたって、説明の便宜から、電子部品Eを供給する側(搬送コンベア20に向けられる側、図4における右側)を前側とし、それとは反対側を後側とする。また、フィーダ50の前後方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)の両者と直交する方向をフィーダ50の幅方向(X軸方向)とする。
【0044】
フィーダ型供給機構40には、フィーダ取付部42が設けられており、当該フィーダ取付部42に対して複数のフィーダ50がX軸方向に一列に整列して取り付け可能となっている。各フィーダ50は、電子部品Eが保持された部品供給テープ60を部品供給位置Sに向けて送出するために、図4に示すように、前後方向(Y軸方向)に長い形状をなす本体部51に対して2つの送出部52、54を設けている。なお、本体部51には、カバー部材511が取り付けられているが、図4ではカバー部材511を切欠いて両送出部52、54の構成を図示している。
【0045】
これらのうち送出部52は、本体部51の前側部分に設けられた前側送出部であり、前側モータ52Aと、複数枚のギヤからなる前側ギヤ群52Bと、本体部51の前端上部に配された前側スプロケット52Cと、中間スプロケット52Dとを有している。前側モータ52Aは図3に示すようにフィーダ制御部59と電気的に接続されており、制御部80からの動作指令に応じてフィーダ制御部59が前側モータ52Aを駆動制御する。これによって、前側モータ52Aが上記実装プログラム83Aに従って作動する。そして、前側モータ52Aの動力は前側ギヤ群52Bを介して前側スプロケット52Cおよび中間スプロケット52Dに伝達され、前側スプロケット52Cおよび中間スプロケット52Dを回転させる。この前側スプロケット52Cの外周には、部品供給テープ60の係合孔62Bに係合される歯52Eが等ピッチで形成されている。また、中間スプロケット52Dの外周にも、前側スプロケット52Cと同様に、部品供給テープ60の係合孔62Bに係合される歯52Fが等ピッチで形成されている。そして、前側送出部52は、前側スプロケット52Cの歯52Eが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合した状態で前側スプロケット52Cおよび中間スプロケット52Dを回転させることで、後側送出部54側から送出されてくる部品供給テープ60をフィーダ50の前端部の部品供給位置Sに送出する。また、中間スプロケット52Dと前側スプロケット52Cとの間にはこの間を移動する部品供給テープ60のトップテープ64を切断あるいは剥離することにより電子部品Eを露出させる図示しない露出機構が設けられている。
【0046】
後側送出部54は、後側モータ54Aと、複数枚のギヤからなる後側ギヤ群54Bと、本体部51の後端上部に配された後側スプロケット54Cとを有している。後側送出部54も、基本的には、前側送出部52と同様に構成されている。すなわち、後側モータ54Aは図3に示すようにフィーダ制御部59と電気的に接続されており、制御部80からの動作指令に応じてフィーダ制御部59が後側モータ54Aを駆動制御する。これによって、後側モータ54Aが実装プログラム83Aに従って作動する。そして、後側モータ54Aの動力が後側ギヤ群54Bを介して後側スプロケット54Cに伝達され、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合した状態で後側スプロケット54Cが回転する。これによって、部品供給テープ60がテープ通路56を介して前側送出部52に送出される。
【0047】
つまり、部品供給テープ60を後側送出部54にセットすることで後側送出部54により前側送出部52に送出し、さらに前側送出部52により部品供給テープ60を前方に送出することで部品供給テープ60に収納された電子部品Eを部品供給位置Sに搬送することが可能となっている。また、上記したように前側スプロケット52Cの歯52Eが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合した状態では、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔62Bに係合していない状態、つまりフリー状態のまま、前側送出部52のみにより電子部品Eを部品供給位置Sに搬送することが可能となっている。さらに、フィーダ50に対して先にセットされた部品供給テープ60(以下、これを「先行テープ60A」と称する)を前側送出部52のみにより送出するとともに、後で説明するように先行テープ60Aの末端部がフィーダ50に近づくのに対応してフィーダ50に対してセットされた部品供給テープ60(以下、これを「後続テープ60B」と称する)を後側送出部54により前側送出部52に向けて送出することが可能となっている。すなわち、フィーダ50は、前側送出部52および後側送出部54を有し、以下の3つの態様、
・第1テープ送出態様:1つの部品供給テープ60を後側送出部54で前側送出部52に送り、さらに同部品供給テープ60を前側送出部52により部品供給位置Sに送出する、
・第2テープ送出態様:1つの部品供給テープ60を前側送出部52のみで部品供給位置Sに送出する、
・第3テープ送出態様:前側送出部52のみによる先行テープ60Aの部品供給位置Sへの送出から独立して後続テープ60Bを後側送出部54で前側送出部52に送る、
で部品供給テープ60を搬送することが可能となっている。
【0048】
また、本体部51には、上記3つの送出態様を実行可能とするために、図4に示すように、後側送出部54から前側送出部52に向けてテープ通路56が設けられるとともに、部品供給テープ60をテープ通路56に導入するための導入領域53が設けられている。この導入領域53はテープ通路56と接続する位置から本体部51の後端部に向けて上下方向Zにおいてラッパ状に広がっている。
【0049】
この導入領域53に対しては、一対のテープ支持部材551、552(図6Aを参照)を有するテープセット部55の先端が挿脱自在に設けられている。そして、導入領域53へのテープセット部55の挿入により部品供給テープ60をテープ支持部材551、552によって下方から支持して後側送出部54による送出を可能とする。また、導入領域53からのテープセット部55の引抜(離脱)およびテープ支持部材551、552による支持の解除によって部品供給テープ60を導入領域53の下方側に移動させて後側送出部54に対してフリー状態にする。
【0050】
換言すれば、導入領域53には、第1搬送経路TP1と、第1搬送経路TP1より下方に位置する第2搬送経路TP2とが設けられ、第1搬送経路TP1および第2搬送経路TP2のそれぞれは、テープ通路56に沿って部品供給位置Sに送出される部品供給テープ60の共通搬送経路TP0に接続されている。第1搬送経路TP1は、導入領域53へのテープセット部55の挿入により導入領域53の上部空間に形成されて後側送出部54により部品供給テープ60をテープ通路56に送出する送出経路に相当する。第2搬送経路TP2は、導入領域53の下部空間に形成されて前側送出部52のみにより部品供給テープ60をテープ通路56に送出するときの送出経路に相当する。
【0051】
続いて、テープセット部55と、テープセット部55を移動させるセット移動機構70との構成および動作について図面を参照しつつ説明する。図6Aおよび図6Bはテープセット部およびセット移動機構の全体構成を示す斜視図であり、図6Aはテープ支持を解除した支持解除状態を示す一方、図6Bはテープ支持が可能な支持状態を示している。また、図7はテープセット部およびセット移動機構の側面図である。テープセット部55は上記したように部品供給テープ60の幅方向(X軸方向)において配置された一対のテープ支持部材551、552で構成されている。そして、テープ支持部材551、552を一体的にテープセット部55の長手方向(Y軸方向)に往復移動させ、またテープ支持部材551、552を互いに近接および離間移動させるために、セット移動機構70が設けられている。かかるテープセット部55およびセット移動機構70は、特開2017-199831号公報に記載のこれらと同様の構成を具備する。
【0052】
つまり、セット移動機構70は、図4に示すように、本体部51に対して固定される固定部71と、固定部71に対して反部品供給位置側(同図の左手側)でY軸方向に進退自在に設けられたシャフト部材72、73と、シャフト部材72、73の先端部(反部品供給位置側の端部)から上方に立設されたプレート部材74、75とを有している。固定部71には、シャフト部材72、73の部品供給位置側の端部が水平移動するための移動空間711がY軸方向に延設されている。
【0053】
移動空間711には、発光部581と受光部582とがZ軸方向に配列されて互いに対向しており、発光部581から射出された光は、発光部581から受光部582へ向かう光路583を進んで受光部582に入射する。これら、発光部581および受光部582は、移動空間711のうち、シャフト部材73、73が通過する範囲からX軸方向の一方側(例えば、図7の紙面手前側)に外れて配置されている。また、シャフト部材72、73の間には、遮光部材584が取り付けられている。この遮光部材584は、シャフト部材72、73からX軸方向の一方側(例えば、図7の紙面手前側)に外れて配置され、シャフト部材72、73に伴ってY軸方向に移動する。
【0054】
そして、テープセット部55がフィーダ50の導入領域53に挿入された状態で、遮光部材584が発光部581と受光部582との間で光路583上に位置して、発光部581から受光部582への光の進行を妨げる。したがって、受光部582は発光部581から射出された光を検知しない。一方、テープセット部55がフィーダ50の導入領域53から引抜かれると遮光部材584が光路583から外れる。したがって、受光部582は発光部581から射出された光を検知する。このように、発光部581、受光部582および遮光部材584は、作業者がテープセット部55を導入領域53から取り外す作業を実行したことを、発光部581による光の検知結果に基づき検知する作業検知部58(図3)を構成する。この作業検知部58の検知結果は、フィーダ制御部59を介して制御部80の演算処理部81に送信される。
【0055】
シャフト部材72、73は互いに反対方向に回動自在となっている。特に、一方のシャフト部材72に対して外力によって回転力が加えられると、それに連動して他方のシャフト部材73が反対方向に回転し、互いに平行な姿勢で立設していたプレート部材74、75が扇状に広がり、図6Aに示すようにプレート部材74、75の上端部にそれぞれ固着されたテープ支持部材551、552が互いに部品供給テープ60の幅方向Xに移動してテープ支持を解除する。一方、逆向きの外力がシャフト部材72に加わると、上記とは逆の回転力によって扇状に広がっていたプレート部材74、75が平行な姿勢に戻ってテープ支持部材551、552が一体化されてテープ支持可能な状態に戻る。なお、上記した外力はテープ支持部材551、552やテープ支持部材551に連結された規制レバー553に対して作業者が加える力を意味している。また、プレート部材74、75が閉じて互いに平行な状態になったときに、プレート部材74、75間の間隔は部品供給テープ60の幅よりも広く、テープ支持部材551、552の下側に部品供給テープ60が位置しているときにスムーズに移動できるようになっている。
【0056】
このように、テープ支持部材551、552は、セット移動機構70によってガイドされながら導入領域53から離間されたときに、一体化されて部品供給テープ60を下方から支持する支持状態(図6B)と、互いに離間して部品供給テープ60の支持を解除した非支持状態(図6A)との間で切替可能となっている。なお、テープ支持部材551、552は、規制レバー553の有無を除いて、ほぼ対称構造を有している。したがって、以下のおいては、規制レバー553が連結されたテープ支持部材551について説明する一方、テープ支持部材552については同一構造に同一符号を付して構成説明を省略する。
【0057】
図8Aは規制レバーによるテープクランプを解除したときのテープ支持部材を示す図であり、図8Bは規制レバーによるテープクランプを実行したときのテープ支持部材を示す図である。各図面では、X軸方向の一方側から見た図と、他方側から見た図とを併記している。テープ支持部材551は、プレート部材74の上端部に固定されたベース部材554と、ベース部材554の上方側で上下方向Zに移動自在に配置された可動部材555と、ベース部材554の上面と可動部材555の下面との間に配置されてベース部材554に対して可動部材555を上方に付勢するバネ部材556とを有している。これらのうち可動部材555の上面は幅方向Xにおける部品供給テープ60の一方端部を下方から支持するテープ支持面となっている。より詳しくは、可動部材555の上面には、上方にわずかに立ち上がる当接壁が形成されて部品供給テープ60を幅方向に規制する。なお、当接壁はテープ支持部材552の可動部材555にも形成されており、後で説明するように一対のテープ支持部材551、552が支持状態になると、両当接壁に挟まれた各テープ支持部材551、552の上面領域で部品供給テープ60の幅方向Xの両下面端部を下方から支持する。また、テープ支持部材551およびテープ支持部材552が閉じて部品供給テープ60を支持する状態では部品供給テープ60を支持する面は両テープ支持部材551、552の間で略隙間が無いようにされている。テープセット部55が図9Fのように本体51にセットされている状態であってもレバー553を押し下げて部品供給テープ60を挿入してスプロケット54Cに嵌合させることができる。このときに、テープ支持部材551およびテープ支持部材552の部品供給テープ60を支持する面に隙間がないのでその面に沿って部品供給テープ60を簡単に挿入させることができる。
【0058】
また、ベース部材554の上面中央部には、軸支部位557が突設されており、規制レバー553の一方端部を軸支している。この規制レバー553の一方端部では、軸支位置からわずかに他方端側に進んだ位置にピンがX軸方向に突設され、可動部材555の一部に係止されている。さらに、規制レバー553の中央部には、X軸方向にクランププレート558が可動部材555の上面(テープ支持面)に向けて突設されている。このため、規制レバー553に対して外力が作用していないときには、バネ部材556の付勢力により可動部材555が上方に押圧されて図8Aに示す位置まで移動する。また、この移動に応じて規制レバー553が回動し、規制レバー553の中央部553Aから他方端部までは斜め上方に立ち上がった姿勢となる。さらに、クランププレート558は可動部材555のテープ支持面から離れて部品供給テープ60をクランプしない、いわゆるアンクランプ状態となる。
【0059】
一方、図8B中の白抜き矢印で示すように、作業者がバネ部材556の付勢力に抗いながら規制レバー553の他方端部を押し下げるように操作すると、上記軸支部分を中心に規制レバー553が回転され、可動部材555を下方に押し下げる。また、クランププレート558が可動部材555と協働して部品供給テープ60をクランプする、いわゆるクランプ状態となる。なお、この状態から作業者が規制レバー553から手を放すと、バネ部材556の付勢力によってアンプランプ状態に戻る(図8A)。
【0060】
また、規制レバー553はクランプ状態およびアンクランプ状態を切り替えるクランプ切替機能以外に、X軸方向の外力を受けてテープセット部55をテープ支持状態とそれを解除した支持解除状態との間で切り替える支持切替機能も兼ね備えている。つまり、図6Aおよび図6Bに示すように本体部51からテープセット部55全体が引き抜かれた状態で、作業者が規制レバー553に対してX軸方向のうちテープ支持部材552に向かう方向(図6Aにおける右下方向)の力を加えると、テープ支持部材551は図6Bに示すように幅方向Xにおける部品供給テープ60の一方端部の下方位置に位置して部品供給テープ60の一方端部を下方から支持する。また、テープ支持部材551の移動に連動してテープ支持部材552は図6Bに示すように部品供給テープ60の他方端部の下方位置に位置して部品供給テープ60の他方端部を下方から支持する。このように一対のテープ支持部材551、552が相互に近接して部品供給テープ60を支持している、つまりテープ支持状態となっているため、部品供給テープ60を安定して支持することができる。
【0061】
一方、作業者が規制レバー553に対してX軸方向のうちテープ支持部材552から離れる方向(図6Bにおける左上方向)に力を与えると、テープ支持部材551は幅方向Xにおいてテープ支持部材552と反対側の方向に離れる。また、セット移動機構70によって上記移動に連動してテープ支持部材552は幅方向Xにおいてテープ支持部材551と反対側の方向に離れる。こうして、一対のテープ支持部材551、552が部品供給テープ60の下方位置から退避することで、部品供給テープ60の支持が解除される。
【0062】
このように、作業者による規制レバー553のワンタッチ操作によって3つの動作、つまり、
・テープ支持状態およびテープ支持状態の解除の切替動作、
・導入領域53に対するテープセット部55の挿脱動作、
・クランプ状態およびクランプ状態の切替動作、
を同時に並行して行うことが可能となっており、優れた操作性が得られる。
【0063】
次に、上記のように構成された部品実装機1において、部品供給テープ60が未装着であるフィーダ50に対して新たな部品供給テープ60を装着して部品供給を実行する動作、ならびに先行テープ60Aによる部品供給中に後続テープ60Bをセットして次のテープ切替の準備を行う動作について図9Aないし図9Fを参照しつつ説明する。ここで、図9A~9Fはフィーダへの部品供給テープの装着手順を模式的に示す図である。
【0064】
フィーダ取付部42に装着された複数のフィーダ50のうちの一の空状態のフィーダ50に部品供給テープ60をセットする場合、作業者により以下のマニュアル操作が実行される。まず、図9Aの白抜き矢印で示すように、フィーダ50をフィーダ取付部42に装着した状態のまま当該フィーダ50のテープセット部55を導入領域53から引き抜き、本体部51から離脱させる。そして、この離脱状態で部品供給テープ60をリール支持部(図示省略)から送出し、一対のテープ支持部材551、552の上面に部品供給テープ60の先端部を載置する。
【0065】
このように部品供給テープ60を載置すると、幅方向Xにおいて部品供給テープ60の両端部がテープ支持部材551、552により下方から支持される。これに続いて、図9B中の矢印Fで示すように規制レバー553の押下によってクランププレート558と可動部材555とで部品供給テープ60がクランプされ、そのクランプ状態を維持したままテープセット部55が導入領域53に向けて移動される。
【0066】
そして、部品供給テープ60をクランプしているテープセット部55が導入領域53に挿入されると、図9Cに示すように、部品供給テープ60の先端部が後側スプロケット54Cの直下位置に位置決めされる。これに続いて、規制レバー553の押下が解除されると、バネ部材556の付勢力により可動部材555が上方に移動し、部品供給テープ60の先端部を後側スプロケット54Cに押圧する。これによって、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔62Bと係合するとともに、部品供給テープ60の下面が可動部材555によって弾性的に支持される。したがって、部品供給テープ60に対してバネ部材556の付勢力を超える圧力が印加されるのを防止しながら部品供給テープ60を後側送出部54により安定して送出することが可能となる。
【0067】
また、規制レバー553の押下の解除に伴って、バネ部材556が付勢力によって部品供給テープ60を後側スプロケット54Cに押圧して、これに係合させることで、テープセット部55が導入領域53から外れるのが抑制される。換言すれば、規制レバー553は、テープセット部55の導入領域53からの取り外しを規制する機能を果たすとともに、押下されることでこの規制を解除する機能を果たす。
【0068】
こうして、後側送出部54による部品供給テープ60の搬送準備が完了し、作業者が入力部89を介してセット指令を制御部80に与えると、図9Dに示すように、それに応じて制御部80が後側モータ54Aを駆動して後側スプロケット54Cを回転させて部品供給テープ60の先端部をフィーダ50の前側まで送出して前側スプロケット52Cの歯52Eと係合させる。
【0069】
こうして部品供給の準備が完了すると、制御部80は上述の実装プログラム83Aにしたがって部品実装機1の各部を制御してフィーダ50から電子部品Eを供給するとともに当該電子部品Eをヘッドユニット32によって基板Bの表面に実装する。
【0070】
上記電子部品Eの供給を行っている間、フィーダ50は部品供給テープ60を部品供給位置Sまで送出し続けており、そのうち当該部品供給テープ60の電子部品Eの残数が少なくなっていく。そこで、当該部品供給テープ60を部品供給位置Sに間欠的に送出し続けている間に、作業者は上記部品供給テープ60を先行テープ60Aとし、先行テープ60Aによる部品供給が終了するまでに次の部品供給テープ60、つまり後続テープ60Bを以下のマニュアル操作によってフィーダ50に装着する。
【0071】
先行テープ60Aを部品供給位置Sまで送出し続けている状態でテープセット部55が図9Eの白抜き矢印で示すように導入領域53から引き抜かれ、本体部51から離脱させられる。それに続いて、同図中の矢印ARで示すように規制レバー553をX軸方向のうちテープ支持部材552から離れる方向に動かして、テープ支持部材551、552をそれぞれ移動させる(図6Aを参照)。つまり、一対のテープ支持部材551、552が同時に部品供給テープ60の下方位置から退避して部品供給テープ60の支持を解除する。これによって、先行テープ60Aはその自重によって導入領域53内を鉛直下方に移動し、後側スプロケット54Cから離れて導入領域53内での先行テープ60Aの搬送経路が第1搬送経路TP1から第2搬送経路TP2に切り替わる。このとき、先行する部品供給テープ60Aは前側スプロケット52Cと既に係合しているため、先行テープ60Aは後側スプロケット54Cから離れても、前側スプロケット52Cを回転させることで先行テープ60Aを部品供給位置Sまで送出し続けることができる。
【0072】
導入領域53での先行テープ60Aの下方移動が完了すると、規制レバー553を元の位置に戻して一対のテープ支持部材551、552を相互に連結させて一体化するとともに、先行テープ60Aのセット動作(図9A図9Cに示す一連の動作)と同様にして後続テープ60Bを導入領域53に導入し、後側スプロケット54Cの歯54Dを部品供給テープ60の係合孔62Bと係合させるとともに、部品供給テープ60の下面を可動部材555によって弾性的に支持して後続テープ60Bのセットを完了させる。こうして、後続テープ60Bを待機させておくことができる。
【0073】
その後、先行テープ60Aの末端部がテープ通路56を通過したことを図示省略のテープセンサが検出すると、その検出信号を取り込んだフィーダ制御部59は、後側モータ54Aを駆動し、後側スプロケット54Cを回転させる。これにより、後続テープ60Bの先端部がフィーダ50の前側まで送出されて前側スプロケット52Cと係合される。
【0074】
かかる部品実装機1では、実装プログラム83Aに基づく部品実装が実行されるのに伴って、各フィーダ50で使用される部品供給テープ60の電子部品Eが使い切られる。かかる場合、作業者は、電子部品Eが切れたフィーダ50に対して、新たな部品供給テープ60を装着して電子部品Eを補給する。そして、本実施形態の部品実装機1は、作業者による部品補給作業を支援することができる。
【0075】
図10は部品補給作業支援の一例を示すフローチャートであり、図11図13のそれぞれは図10の部品補給作業支援の実行に伴って表示部に表示される画面の一例を示す図である。図10の部品補給作業支援は、全フィーダ型供給機構40に装着された複数のフィーダ50のそれぞれに対して個別に、演算処理部81によって実行される。
【0076】
ステップS101では、対象のフィーダ50が部品補給可能状態になったか否かが判断される。つまり、図9A図9Fを用いて説明したように、フィーダ50には、2本の部品供給テープ60が装着可能であり、フィーダ50は、装着された2本の部品供給テープ60を順番に用いて電子部品Eの供給を実行する。そして、図9C図9Dに示すように、2本の部品供給テープ60のうち、先行テープ60Aの電子部品Eが切れてフィーダ50の前端から排出され、後続テープ60Bの使用が開始されると、図9E図9Fの動作を実行して、新たな部品供給テープ60をフィーダ50に装着することで、電子部品Eの補給をフィーダ50に実行することができる。つまり、装着された2本の部品供給テープ60の電子部品Eのうち、先行テープ60Aの電子部品Eが切れて後続テープ60Bの使用が開始されると、フィーダ50は、電子部品Eの補給が可能な状態(部品補給可能状態)となる。そこで、演算処理部81は、複数のフィーダ50のそれぞれを監視して、各フィーダ50が部品補給可能状態になったかどうかを判断する。
【0077】
部品補給可能状態となったフィーダ50が検知されると(ステップS101で「YES」)、ステップS102では、図11に示す全情報画面91において、該当のフィーダ50が部品補給可能状態となった旨が表示される。この全情報画面91では、各フィーダ型供給機構40に装着されたフィーダ50の位置を図形式で示すフィーダ表示図911が表示される。さらに、全情報画面91では、各フィーダ番号(1、2、3、…)に対応するフィーダ50に装着すべき電子部品Eの名称と、当該フィーダ50をセットする位置(セット位置)とをリスト形式で示すフィーダ表示リスト912が表示される。そして、部品補給可能状態となったフィーダ50が発生すると、フィーダ表示図911において当該フィーダ50の表示がハイライト(図11の斜線ハッチング)されて部品補給可能状態で無いフィーダ50の表示と区別され、フィーダ表示リスト912において該当のフィーダ50の「補給可能」の列にアスタリスクが付される。これによって、作業者は、該当のフィーダ50が部品補給可能状態となったことを把握できる。
【0078】
続いて、演算処理部81は、部品補給可能状態となったフィーダ50に対して、作業者が特定作業を実行したか否かを監視する(ステップS103)。ここでは、テープセット部55を導入領域53から取り外す作業の実行の有無が、作業検知部58の出力に基づき検知される。そして、フィーダ50に対する特定作業の実行が検知されると(ステップS103で「YES」)、演算処理部81は、該当のフィーダ50に装着すべき部品供給テープ60に関する情報を示す部品関連情報83Bを記憶部83から取得する(ステップS104)。
【0079】
さらに、演算処理部81は、実装プログラム83Aが示す生産計画を完了するために当該フィーダ50によって供給する必要がある電子部品Eの個数(必要部品数)を実装プログラム83Aに基づき算出するとともに(ステップS105)、当該フィーダ50に装着されている部品供給テープ60に残る電子部品Eの個数(部品残数)を算出する(ステップS106)。そして、演算処理部81は、必要部品数と部品残数とを比較した結果に基づき、当該フィーダ50への電子部品Eの補給が必要か否かを判断する(ステップS107)。
【0080】
部品残数が必要部品数未満である場合には、ステップS107で電子部品Eの補給が必要(YES)と判断され、ステップS104で取得された部品関連情報83Bが表示部88に表示される(ステップS108)。具体的には、図12の単一情報画面92が表示部88に表示される。全てのフィーダ50について情報を示す全情報画面91と異なり、単一情報画面92は、特定作業が検知された一のフィーダ50についてのみ情報を示す。具体的には、単一情報画面92は、特定作業が検知された一のフィーダ50に装着すべき電子部品Eの名称と、当該フィーダ50をセットすべき位置(セット位置)とを表示する。
【0081】
一方、部品残数が必要部品数以上である場合には、ステップS107で電子部品Eの補給が不要(NO)と判断され、図13の補給不要画面93が表示部88に表示される(ステップS109)。この補給不要画面93は、単一情報画面92と同様の内容に加えて、該当のフィーダ50に対する電子部品Eの補給が不要である旨を表示する。
【0082】
以上に説明した実施形態では、2本(複数)の部品供給テープ60のうち、先行テープ60Aの電子部品Eが切れた後に作業者がフィーダ50に対して実行した特定作業が検知される(ステップS103)。そして、特定作業の実行が検知されたフィーダ50について、当該フィーダ50に装着すべき部品供給テープ60に関する部品関連情報83Bが報知される。したがって、フィーダ50に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報83Bを報知することが可能となっている。
【0083】
特に、2本(複数)の部品供給テープ60のうち、先行テープ60Aの電子部品Eが切れて後続テープ60Bの使用が開始された状態が部品補給可能状態として検知されるとともに(ステップS101)、作業者がフィーダ50に対して実行した特定作業が検知される(ステップS103)。そして、部品補給可能状態が検知され、さらに特定作業の実行が検知されたフィーダ50について、当該フィーダ50に装着すべき部品供給テープ60に関する部品関連情報83Bが報知される(ステップS108)。したがって、フィーダ50に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報83Bを報知することが可能となっている。
【0084】
また、フィーダ50は、第1搬送経路TP1および第1搬送経路TP1より下方の第2搬送経路TP2のいずれかを介して部品供給テープ60を搬送することで、部品供給テープ60に収納される電子部品Eを部品供給位置Sに供給する(図9A図9F)。この第1搬送経路TP1に対してはテープセット部55が着脱可能であり、テープセット部55を第1搬送経路TP1に対して取り付けることで第1搬送経路TP1に部品供給テープ60を装着できる一方(図9C図9Dおよび図9F)、テープセット部55を第1搬送経路TP1から取り外した状態で、第1搬送経路TP1に装着されていた部品供給テープ60を第2搬送経路TP2に移動させることができる(図9E)。そして、第2搬送経路TP2を介した先行テープ60Aの搬送中は、後続テープ60Bがテープセット部55によって装着されて第1搬送経路TP1で待機する(図9F)。これに対して、演算処理部81は、先行テープ60Aの電子部品Eが切れて第1搬送経路TP1を介した次の第2搬送経路TP2の搬送が開始されると(図9D)、部品補給可能状態を検知する。これによって、フィーダ50が部品補給可能状態になったことを的確に検知することができる。
【0085】
また、作業検知部58は、作業者がテープセット部55を第1搬送経路TP1から取り外す作業を特定作業として検知する。かかる構成では、作業者が部品補給作業に伴って必然的に実行する作業(テープセット部55の取り外し作業)の検知をきっかけに、部品関連情報83Bが報知される。したがって、フィーダ50に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報83Bを報知することが可能となっている。
【0086】
また、作業検知部58は、光を射出する発光部581と、発光部581から射出された光を検知する受光部582と、テープセット部55に連動する遮光部材584とを有する。そして、テープセット部55が第1搬送経路TP1に対して取り付けられた状態で遮光部材584は発光部581から受光部582への光路583に位置して光路583に沿った光の進行を遮る。一方、テープセット部55が第1搬送経路TP1から取り外されると遮光部材584は光路583から外れて発光部581から射出された光を受光部582が検知する。換言すると、テープセット部55が第1搬送経路TP1に対して取り付けられた状態から取り外され、遮光部材584が光路583から外れて発光部581から射出された光を受光部582が検知すると、作業検知部58は特定作業が実施されたことを検知する。こうして、作業検知部58は、受光部582による光の検知の有無に基づき、特定作業を検知する。これによって、テープセット部55の取り外し作業を的確に検知することができる。
【0087】
また、演算処理部81は、電子部品Eを基板Bに実装することで部品実装基板Bを生産する生産計画を記憶部83から取得する。そして、演算処理部81は、部品補給可能状態を検知すると(ステップS101)、フィーダ50に装着された全部品供給テープ60に残存する電子部品Eの個数である部品残数と、生産計画の完了に要する電子部品Eの個数である必要部品数とを比較した結果に基づき、表示部88による部品関連情報83Bの報知を制御する(ステップS105~S109)。かかる構成では、不要な部品補給作業の実行を抑止することが可能となる。
【0088】
また演算処理部81は、部品残数が必要部品数以上である場合には、フィーダ50への新たな部品供給テープ60の装着が不要である旨を表示部88に報知させる(ステップS109)。かかる構成では、不要な部品補給作業の実行を抑止することが可能となる。
【0089】
また、演算処理部81は、部品補給可能状態を検知すると、該当のフィーダ50が部品補給可能状態である旨を全情報画面91の表示態様(全フィーダ50について一括表示する態様)で表示部88に表示させる。一方、演算処理部81は、全情報画面91の表示態様と異なる単一情報画面92の表示態様(該当の一のフィーダ50についてのみ表示する態様)で、部品関連情報83Bを表示部88に報知させる。かかる構成では、作業者は、部品関連情報83Bをその表示態様によって的確に識別することができる(すなわち、部品補給可能状態と区別して認識できる)。
【0090】
上記の実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、フィーダ50が本発明の「部品供給装置」の一例に相当し、本体部51が本発明の「本体」の一例に相当し、ヘッドユニット32が本発明の「実装部」の一例に相当し、演算処理部81が本発明の「状態検知部」および「制御部」の一例に相当し、作業検知部58が本発明の「作業検知部」の一例に相当し、発光部581が本発明の「発光部」の一例に相当し、受光部582が本発明の「受光部」の一例に相当し、光路583が本発明の「光路」の一例に相当し、遮光部材584が本発明の「遮光部」の一例に相当し、表示部88が本発明の「報知部」の一例に相当し、部品供給テープ60が本発明の「部品収納部材」および「部品供給テープ」の一例に相当し、先行テープ60Aが本発明の「一の部品収納部材」の一例に相当し、後続テープ60Bが本発明の「次の部品収納部材」の一例に相当し、電子部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、部品供給位置Sが本発明の「部品供給位置」の一例に相当し、部品関連情報83Bが本発明の「部品関連情報」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、テープセット部55が本発明の「装着ユニット」の一例に相当し、第1搬送経路TP1が本発明の「第1搬送経路」の一例に相当し、第2搬送経路TP2が本発明の「第2搬送経路」の一例に相当し、実装プログラム83Aが示す生産計画が本発明の「生産計画」の一例に相当し、全情報画面91の表示態様が本発明の「第1態様」の一例に相当し、単一情報画面92の表示態様が本発明の「第2態様」の一例に相当する。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、ステップS107で部品補給が不要と判断した場合の表示制御を変更しても良い。この変形例では、演算処理部81は、部品残数が必要部品数以上である場合には、特定作業の検知に拘わらず表示部88による部品関連情報83Bの報知を禁止し、部品残数が必要部品数未満である場合には、特定作業の検知に応じて表示部88に部品関連情報83Bを報知させる。かかる構成では、不要な部品補給作業の実行を抑止することが可能となる。
【0092】
また、特定作業として検知する作業は、上述のテープセット部55の取り外し作業に限られず、これと異なる作業でも良い。この際、上記実施形態と同様に、作業者が部品補給作業に伴って必然的に実行する作業を特定作業として検知することが好適となる。次がその一例である。
【0093】
図14は規制レバーに対する解除操作を特定作業として検知する例で使用されるテープ支持部材の一例を示す図である。この例では、規制レバー553を検知する光センサ587がテープ支持部材551に取り付けられている。同図の上段の欄に示すように、規制レバー553に外力が作用していないときには、規制レバー553の中央部553Aはバネ部材556の付勢力により斜め上方に立ち上がった姿勢となり、光センサ587に対向しないため、光センサ587は規制レバー553を検知しない。一方、同図の下段の欄に示すように、作業者がバネ部材556の付勢力に抗いながら規制レバー553の他方端部を押し下げると、規制レバー553の中央部553Aが光センサ587に対向するため、光センサ587は規制レバー553を検知する。そして、作業検知部58は、光センサ587の検知結果に基づき、作業者による解除操作を検知する。
【0094】
つまり、第1搬送経路TP1に対して取り付けられたテープセット部55の第1搬送経路TP1からの取り外しを規制する規制レバー553が設けられており、この規制レバー553は、作業者による解除操作(押下操作)が実行されると、第1搬送経路TP1からのテープセット部55の取り外しの規制を解除する。そして、作業検知部58は、解除操作を特定作業として検知する。かかる構成では、作業者が部品補給作業に伴って必然的に実行する作業(規制レバー553への解除操作)の検知をきっかけに、部品関連情報83Bが報知される。したがって、フィーダ50に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報83Bを報知することが可能となっている。
【0095】
あるいは、例えば次のように、部品補給作業に伴って作業者が必然的に実行する作業以外の作業を、特定作業として検知しても良い。この変形例では、フィーダ50は、部品関連情報83Bの取得用のボタンを有する。そして、作業検知部58は、作業者による当該ボタンの操作を特定作業として検知する。かかる構成では、作業者は、部品補給作業の実行に際してフィーダ50のボタンを操作することで、部品関連情報83Bを得ることができる。したがって、フィーダ50に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報83Bを報知することが可能となっている。
【0096】
また、部品関連情報83Bを表示する表示態様は、上記の例に限られない。
【0097】
また、フィーダ50に装着可能な部品供給テープ60の個数は2個に限られず、3個以上でも良い。
【0098】
また、フィーダ50に装着する部品収納部材の種類は、部品供給テープ60に限られない。したがって、フィーダは、スティック状の収納部材に複数の部品を重ねて部品を1個ずつ供給するスティックタイプのフィーダでも構わないし、ばらばらの状態の複数の部品を整列させて1個ずつ供給するトレイタイプのフィーダでも構わない。
【0099】
図15はトレイタイプのフィーダの一例を模式的に示す図である。このフィーダ100は、特開2003-234596号公報に記載の部品供給装置と同様の構成を具備する。フィーダ100は、複数のパレットホルダ111がZ軸方向に並ぶハウジング112を有し、収納箇所L1に配置されたハウジング112の各パレットホルダ111にパレットPを収納する。パレットPは、平面視において長方形のトレイTを位置決めした状態で固定し、トレイTはマトリックス状に縦横に配列された複数の収納部を有して、各収納部に部品を収納する。
【0100】
さらに、フィーダ100は、収納箇所L1にY軸方向から隣接する供給箇所L2に配置されたパレット引出部113を有する。パレット引出部113は、ハウジング112のパレットホルダ111(収納箇所L1)からパレットPを供給箇所L2に引き出し、ヘッドユニット32は、供給箇所L2のパレットP上のトレイTから部品をピックアップして基板Bに実装する。また、供給箇所L2のパレットP上のトレイTの部品が切れると、パレット引出部113は、供給箇所L2からハウジング112のパレットホルダ111(収納箇所L1)にパレットPを戻す。このようにパレット引出部113が本発明の「トレイ搬送部」の一例として機能する。
【0101】
さらに、フィーダ100は、パレット引出部113を昇降させる昇降機構114を有し、昇降機構114は、複数のパレットホルダ111のうち、対象のパレットホルダ111の高さにパレット引出部113の高さを一致させて、パレット引出部113は、同じ高さに位置する対象のパレットホルダ111に対して、パレットPを引き出したり、パレットPを戻したりといった動作を実行する。
【0102】
そして、作業者は、空になったトレイTを載置したパレットPを収納箇所L1(パレットホルダ111)から供給箇所L2の反対側(図15では、収納箇所L1の左側)に引き出す作業を実行することができ、作業検知部58はかかるパレットPの引き出し作業を特定作業として検知する。
【0103】
かかる変形例では、複数のパレットPのそれぞれに載置された複数のトレイT(部品収納部材)のうち、一のトレイTの部品が切れた後に作業者がフィーダ100に対して実行した特定作業が作業検知部58により検知される。そして、特定作業の実行が検知されたフィーダ50について、当該フィーダ100のパレットPに装着すべきトレイTに関する部品関連情報(トレイTに収納された部品の情報)が報知される。したがって、フィーダ100に対して作業者が部品補給作業を実行するタイミングに応じて部品関連情報を報知することが可能となる。
【符号の説明】
【0104】
1…部品実装機
32…ヘッドユニット(実装部)
50…フィーダ(部品供給装置)
51…本体部(本体)
55…テープセット部(装着ユニット)
58…作業検知部
581…発光部
582…受光部
583…光路
584…遮光部材(遮光部)
587…光センサ
60…部品供給テープ(部品収納部材)
60A…先行テープ(一の部品収納部材)
60B…後続テープ(次の部品収納部材)
81…演算処理部(状態検知部、制御部)
83A…実装プログラム83A
83B…部品関連情報
88…表示部(報知部)
91…全情報画面
92…単一情報画面
100…フィーダ(部品供給装置)
B…基板
E…電子部品(部品)
S…部品供給位置
TP1…第1搬送経路
TP2…第2搬送経路
P…パレット
T…トレイ(部品収納部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11
図12
図13
図14
図15