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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20221122BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H05K7/14 N
G06F1/16 312M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018231109
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020096019
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸平
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-336044(JP,A)
【文献】実開昭60-090893(JP,U)
【文献】特開2017-005060(JP,A)
【文献】特開2012-216604(JP,A)
【文献】特開2017-142350(JP,A)
【文献】特開平10-178290(JP,A)
【文献】特開2008-171611(JP,A)
【文献】特開2017-191872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な実装面上に部材と向かい合って装着される電子装置であって、
前記実装面と平行な挿抜方向に沿って基板が挿抜されるスロットと、
前記基板の前記スロットへの挿抜を案内するために、前記スロットに挿入される前記基板の両面側で前記挿抜方向に沿って前記スロット内に延在した一対のガイドレールと、
を備え、
前記基板が挿抜される前記スロットの挿入口は、前記部材と向かい合うように配置され、
一対の前記ガイドレールには、前記基板を前記スロットに挿抜する途中において、前記部材と接触しないように前記基板を傾けることを許容する傾斜面が設けられている、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
一対の前記ガイドレールは、前記挿抜方向に対して直交する方向に離間した第1レールおよび第2レールを有し、
前記第1レールは、前記第2レールよりも前記実装面から離れており、
前記傾斜面は、前記第1レールと前記第2レールとのうち、少なくとも前記第1レールの先端部に設けられ、
前記傾斜面の前記実装面に対する傾斜角度は、前記傾斜面の該傾斜角度に沿って延びる延長線と前記部材とが交わらないように設定されている、電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置であって、
前記傾斜面の前記傾斜角度は、前記スロットと前記部材との間の距離に応じて設定されている、電子装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電子装置であって、
前記第2レールには、前記基板が前記スロットに挿抜されるときにおいて、前記基板の撓みを抑制する凹部が、前記挿抜方向に延在して設けられている、電子装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記挿抜方向における前記傾斜面の長さは、前記スロットと前記部材との間の距離に応じて設定されている、電子装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子装置であって、
一対の前記ガイドレールの数は2組であり、
2組ある一対の前記ガイドレールの各々は、前記挿抜方向と交差する方向の前記基板の両端部側の各々に位置するように前記スロットに設けられる、電子装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記実装面は、画面を備えた表示器の背面であり、
前記電子装置は、前記表示器を制御可能な制御装置であり、
前記部材は、前記表示器が取り付けられる板金である、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置には、必要に応じて基板が挿抜されるスロットを備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-178290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電子装置は、平坦な実装面に実装されることがある。それは例えば、電子装置が制御装置であって、パネル型PCのディスプレイの背面に装着される場合である。ここで、電子装置のスロットの挿入口が、実装面に対して平行な方向に向いていれば、基板も実装面と平行な方向に沿って挿抜されるのが一般的である。
【0005】
上記のディスプレイの背面は、板金部材に取り付けられることがある。このとき、ディスプレイの背面に装着された電子装置と、板金部材との干渉を回避するために、板金部材に開口部が設けられる。したがって、ディスプレイの背面が板金部材に取り付けられると、上記の電子装置は、板金部材に設けられた開口部の内側に位置する。このとき、電子装置は、板金部材に平面視で囲われており、電子装置のスロットと板金部材とが互いに対向している。その状態では、スロットと対向した板金部材が基板を挿抜するときの障害となってしまうために、基板を実装面と平行な方向に沿って挿抜することが難しい。このように、スロットを備えた電子装置がディスプレイの背面の平坦な実装面に実装されるときには、スロットに基板を挿抜することがやりにくいことがあるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、スロットの挿入口の周辺に部材が配置されていても、当該部材を避けつつ基板を容易に挿抜することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平坦な実装面上に部材と向かい合って装着される電子装置であって、前記実装面と平行な挿抜方向に沿って基板が挿抜されるスロットと、前記基板の前記スロットへの挿抜を案内するために、前記スロットに挿入される前記基板の両面側で前記挿抜方向に沿って前記スロット内に延在した一対のガイドレールと、を備え、前記基板が挿抜される前記スロットの挿入口は、前記部材と向かい合うように配置され、一対の前記ガイドレールには、前記基板を前記スロットに挿抜する途中において、前記部材と接触しないように前記基板を傾けることを許容する傾斜面が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スロットに基板を挿抜するときに、基板を傾けることができる。したがって、スロットの挿入口の周辺に部材が配置されていたとしても、当該部材を避けながら基板の挿抜を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の電子装置が実装されるパネル型PCの斜視図である。
図2】実施の形態のスロットの内部側面図である。
図3】変形例1のスロットの内部側面図である。
図4】変形例2のスロットの内部側面図である。
図5】変形例3のスロットの内部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の電子装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0011】
[実施の形態]
図1は、実施の形態の電子装置10が実装されるパネル型PCの斜視図である。
【0012】
以下では、図1に示した矢印に従って、上下左右および前後方向を説明する。本実施の形態の電子装置10は、数値制御装置であって、表示器12が有する平坦な実装面14に装着される。表示器12は、本実施の形態においてはディスプレイ装置であり、液晶画面などの画面を下方向側の面に備える。実装面14とは、本実施の形態においては表示器12の上方向側の面(背面)である。本実施の形態の電子装置10は、実装面14に装着されることで、表示器12を制御可能である。すなわち、電子装置10は、自身が実行した演算処理の経過や結果を、表示器12に表示させることが可能である。
【0013】
表示器12は、実装面14側において、上下方向に厚みを有した板金16に取り付けられる。板金16には開口部16aが設けられている。板金16の開口部16aは、表示器12の背面が板金16に取り付けられたとき、表示器12の背面に装着された電子装置10と板金16とが干渉してしまうことを防止するために設けられるものである。図1のように、表示器12が板金16に取り付けられたとき、電子装置10は、開口部16aの内側に位置する。その結果、電子装置10は、周囲を平面視で板金16に囲われた状態となる。以下、板金16を部材16とも記載する。
【0014】
電子装置10には、電気回路が形成された基板18を実装するためのスロット構造20が備わっている。スロット構造20は、基板18が格納されるスロット22と、基板18の両面側で実装面14に平行な前後方向(挿抜方向)に沿って延在する一対のガイドレール24とを有する。スロット22の奥側の端部には不図示のコネクタが設けられており、スロット22に挿入される基板18のコネクタ18aと嵌合および接続できるようになっている。
【0015】
一対のガイドレール24は、図1のように、前後方向と交差する方向(左右方向)の基板18の両端部側の各々に位置するようにスロット22に設けられる。これにより、左右方向の基板18の一方の端部側のみに一対のガイドレール24を設ける場合よりも、基板18の表面を挿抜方向に平行な状態にしてスロット22の奥に案内することが容易となる。
【0016】
また、一対のガイドレール24は、相対的に上方向側に位置する第1レール26と、相対的に下方向側に位置する第2レール28とを有する。第1レール26と第2レール28とは、基板18の厚みよりも大きい間隔をおいて離間している。
【0017】
ここで、上下方向に厚みを有した部材16が、スロット22に基板18を挿抜するときの障害物となるおそれがある。基板18を挿抜するためには、電子装置10を実装面14からいったん取り外すことも考えられる。しかしながら、基板18を挿抜するためだけに電子装置10の実装面14への脱着作業を行うことは、非効率である。そこで、本実施の形態では、以下のようにして、スロット22の挿入口30に向かい合うようにして部材16が実装面14上に配置されていても、当該部材16を避けつつ基板18を挿抜することができるようにする。
【0018】
図2は、実施の形態のスロット22の内部側面図である。
【0019】
一対のガイドレール24には、基板18をスロット22に挿抜する途中において、部材16と接触しないように基板18を傾けることを許容する傾斜面32が設けられる。本実施の形態では、図2のように、当該傾斜面32を、一対のガイドレール24のうちの第1レール26の先端部に設けている。傾斜面32が第1レール26に設けられていることにより、基板18をスロット22に挿抜する途中において、基板18の後方向側を上方向に向けるようにして傾けることができる。
【0020】
また、図2のように、前後方向に延在する下方向側の平坦面26aを第1レール26が有し、前後方向に延在する上方向側の平坦面28aを第2レール28が有する。これにより、例えば、スロット22への基板18の挿入時において、基板18を上記のように傾けながら挿入していくと、いずれ基板18の前方向側の端部が平坦面28aと接触して撓む。そのまま挿入していくことで、基板18は、基板18の両面側に位置する平坦面26aおよび平坦面28aにより、前後方向(挿抜方向)に平行な状態へと次第に近づけられながら、スロット22の奥へと案内される。
【0021】
傾斜面32の傾斜角度θは、傾斜面32の該傾斜角度θに沿って延びる延長線Bと部材16とが交わらないように設定することが好ましい。これにより、部材16と接触しないように基板18を傾けたまま、スロット22に基板18を挿抜することができる。なお、ここで、傾斜角度θとは、図2に示したように、実装面14に対する傾斜面32の傾きの大きさ(延長線Bと実装面14とがなす角度)のことを指す。また、ここで、延長線Bとは、図2に示したように、傾斜面32の挿抜方向における両端(前方向側の端部と後方向側の端部)を線上におく仮想の直線のことを指す。
【0022】
また、傾斜角度θは、スロット22と部材16との間の距離Aに応じて設定してもよい。例えば、距離Aが大きい場合ほど、基板18を前後方向(挿抜方向)に対して大きく傾ける必要性はなくなるといえる。したがって、距離Aが大きい場合ほど、傾斜角度θを小さく設定してよい。さらに、傾斜角度θは、部材16の上下方向での長さ(高さ)に応じて設定してもよい。例えば、部材16の高さが低い場合ほど、基板18を前後方向(挿抜方向)に対して大きく傾ける必要性はなくなるといえる。したがって、部材16の高さが低い場合ほど、傾斜角度θを小さく設定してよい。
【0023】
このように、上記のスロット構造20によれば、実装面14に平行な向き(前後方向)の挿入口30に向かい合う部材16が存在していたとしても、当該部材16を避けつつ、基板18を容易にスロット22に挿抜することができる。
【0024】
なお、上記のスロット構造20は、パネル型PCの制御装置が備えるものに限定されない。また、上記では第1レール26のみに傾斜面32を設けたが、第1レール26のみならず、第2レール28にも傾斜面32を設けてよい。また、図1および図2では、説明を簡単にするために、1つの電子装置10につきスロット構造20が1つの場合を説明した。これに限らず、上記したスロット構造20は、1つの電子装置10につき2つ以上備わっていてもよい。
【0025】
[変形例]
以上、本発明の一例として実施の形態が説明されたが、上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることはもちろんである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0026】
(変形例1)
図3は、変形例1のスロット22の内部側面図である。
【0027】
第2レール28には、基板18がスロット22に挿抜されるときにおいて、基板18の撓みを抑制する凹部34が、前後方向に延在して設けられていてもよい。図3には、断面が矩形状の凹部34が示されている。凹部34は、第1レール26に設けられた傾斜面32の延長線B上、且つ、凹部34の挿入口30側の端部34aが延長線Bと凹部34との交点Pよりも挿入口30側に位置するようにして設けられることが好ましい。これにより、基板18が挿入されるときに、第2レール28の平坦面28aと接触したときの基板18の撓みを、凹部34で吸収することができる。その結果、例えば、過度に撓むことで基板18が破損するといったおそれが低減される。
【0028】
(変形例2)
図4は、変形例2のスロット22の内部側面図である。
【0029】
凹部34は、断面が矩形状でなくてもよい。例えば、図4のように、凹部34の表面は、曲面であってもよい。また、本変形例の凹部34も、変形例1と同様に、第1レール26に設けられた傾斜面32の延長線B上、且つ、凹部34の挿入口30側の端部34aが延長線Bと凹部34との交点Pよりも挿入口30側に位置するようにして設けられることが好ましい。これにより、基板18が挿入されるときに、第2レール28の平坦面28aと接触したときの基板18の撓みを、凹部34で吸収することができる。また、本変形例の凹部34は、曲面を有することで、断面が矩形状にされた変形例1の凹部34と比較すると、基板18の挿抜時において、前方向側または後方向側の凹部34の端部に基板18が引っかかりにくい。したがって、本変形例によれば、変形例1よりも、基板18がよりスムーズにスロット22に挿抜されるようになる。
【0030】
(変形例3)
図5は、変形例3のスロット22の内部側面図である。
【0031】
凹部34は、図5のように、前後方向における側面に勾配が付された、断面がテーパー状の形状であってもよい。本変形例の凹部34も、変形例1、2と同様に、第1レール26に設けられた傾斜面32の延長線B上、且つ、凹部34の挿入口30側の端部34aが延長線Bと凹部34との交点Pよりも挿入口30側に位置するようにして設けられることが好ましい。これにより、基板18が挿入されるときに、第2レール28の平坦面28aと接触したときの基板18の撓みを、凹部34で吸収することができる。また、本変形例の凹部34は、前後方向における側面に勾配が付されたことで、断面が矩形状にされた変形例1の凹部34と比較すると、基板18の挿抜時において、前方向側または後方向側の凹部34の端部に基板18が引っかかりにくい。したがって、本変形例によれば、変形例1よりも、基板18がよりスムーズにスロット22に挿抜されるようになる。
【0032】
(変形例4)
傾斜面32の前後方向(挿抜方向)における長さC(以下、「傾斜面32の長さC」とも記載する)は、上記した距離Aに応じて適宜設定されてもよい。また、傾斜面32の長さCは、部材16の上下方向での長さ(高さ)に応じて適宜設定されてもよい。
【0033】
例えば、傾斜面32の長さCは、距離Aが小さいときほど、長く設定されてもよい。これにより、基板18を傾けたままで、スロット22の奥まで挿入することができる。
【0034】
なお、第1レール26や第2レール28の上下方向での厚みが一定に定められている場合には、距離Aが小さいときほど傾斜角度θを大きく設定することと、傾斜面32の長さCを長く設定することとは、トレードオフの関係にあることに注意されたい。第1レール26や第2レール28の上下方向での厚みが一定に定められている場合には、傾斜角度θが決まると、それに伴って傾斜面32の長さCも自ずと定まるためである。
【0035】
(変形例5)
傾斜面32は、傾斜角度θが、前後方向(挿抜方向)に沿って段階的に変化する面であってもよい。例えば、第1レール26に設けられた傾斜面32は、第1レール26の先端部から前方向に向かう途中までは傾斜角度θ1で設けられ、当該途中から平坦面26aに至るまでは、傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度θ2で設けられてもよい。このとき、部材16と交わらない延長線Bは、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2との少なくとも一方のみについて定義されてもよい。
【0036】
(変形例6)
傾斜面32は、平面でなく、曲面であってもよい。このとき、延長線Bは、上記実施の形態で説明したように、傾斜面32の挿抜方向における両端を線上におく仮想の直線として定義されてよい。また、当該延長線Bと実装面14とのなす角度を、傾斜面32の傾斜角度θとして扱ってよい。
【0037】
(変形例7)
上記実施の形態および各変形例は、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わされてよい。
【0038】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0039】
平坦な実装面(14)上に部材(16)と向かい合って装着される電子装置(10)は、前記実装面(14)と平行な挿抜方向に沿って基板(18)が挿抜されるスロット(22)と、前記基板(18)の前記スロット(22)への挿抜を案内するために、前記スロット(22)に挿入される前記基板(18)の両面側で前記挿抜方向に沿って前記スロット(22)内に延在した一対のガイドレール(24)と、を備え、前記基板(18)が挿抜される前記スロット(22)の挿入口(30)は、前記部材(16)と向かい合うように配置され、一対の前記ガイドレール(24)には、前記基板(18)を前記スロット(22)に挿抜する途中において、前記部材(16)と接触しないように前記基板(18)を傾けることを許容する傾斜面(32)が設けられている。
【0040】
これにより、スロット(22)に基板(18)を挿抜するときに、基板(18)を傾けることができる。したがって、スロット(22)の挿入口(30)の周辺に部材(16)が配置されていたとしても、当該部材(16)を避けながら基板(18)の挿抜を容易に行うことができる。部材(16)とは、例えば、表示器(12)の背面側において、電子装置(10)の周囲を囲う板金である。
【0041】
一対の前記ガイドレール(24)は、前記挿抜方向に対して直交する方向に離間した第1レール(26)および第2レール(28)を有し、前記第1レール(26)は、前記第2レール(28)よりも前記実装面(14)から離れており、前記傾斜面(32)は、前記第1レール(26)と前記第2レール(28)とのうち、少なくとも前記第1レール(26)の先端部に設けられ、前記傾斜面(32)の前記実装面(14)に対する傾斜角度(θ)は、前記傾斜面(32)の該傾斜角度(θ)に沿って延びる延長線(B)と前記部材(16)とが交わらないように設定されていてもよい。これにより、傾斜面(32)が許容する最大の傾きにまで基板(18)を傾けることで、スロット(22)への挿抜時に基板(18)と部材(16)とが接触するおそれが低減される。
【0042】
前記傾斜面(32)の前記傾斜角度(θ)は、前記スロット(22)と前記部材(16)との間の距離(A)に応じて設定されていてもよい。これにより、スロット(22)と部材(16)との距離(A)に応じて傾斜面(32)が許容する最大の傾きが決まるので、傾斜面(32)が許容する最大の傾きにまで基板(18)を傾けることで、スロット(22)への挿抜時に基板(18)と部材(16)とが接触するおそれが低減される。
【0043】
前記第2レール(28)には、前記基板(18)が前記スロット(22)に挿抜されるときにおいて、前記基板(18)の撓みを抑制する凹部(34)が、前記挿抜方向に延在して設けられていてもよい。これにより、基板(18)が挿入されるときに、第2レール(28)の平坦面(28a)と接触したときの基板(18)の撓みを、凹部(34)で吸収することができる。
【0044】
前記挿抜方向における前記傾斜面(32)の長さ(C)は、前記スロット(22)と前記部材(16)との間の距離(A)に応じて設定されていてもよい。
【0045】
一対の前記ガイドレール(24)の数は2組であり、2組ある一対の前記ガイドレール(24)の各々は、前記挿抜方向と交差する方向の前記基板(18)の両端部側の各々に位置するように前記スロット(22)に設けられてもよい。これにより、例えば、前記挿抜方向と交差する方向の前記基板(18)の一方の端部側にのみ一対のガイドレール(24)を設けた場合よりも、基板(18)の表面を挿抜方向に平行な状態にしてスロット(22)の奥に案内することが容易となる。
【0046】
前記実装面(12)は、画面を備えた表示器(12)の背面であってよく、前記電子装置(10)は、前記表示器(12)を制御可能な制御装置であってよく、前記部材(16)は、前記表示器(12)が取り付けられる板金であってよい。これにより、表示器(12)の背面側において、スロット(22)の挿入口(30)の周辺に板金(16)が配置されていたとしても、当該板金(16)を避けながら基板(18)の挿抜を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
10…電子装置 12…表示器
14…実装面 16…部材
16a…部材16の開口部 18…基板
18a…基板18のコネクタ 20…スロット構造
22…スロット 24…一対のガイドレール
26…第1レール 26a…第1レール26の平坦面
28…第2レール 28a…第2レール28の平坦面
30…挿入口 32…傾斜面
34…凹部 34a…凹部34の挿入口30側の端部
A…スロット22と部材16との間の距離 B…延長線
C…傾斜面32の長さ P…延長線Bと凹部34との交点
θ、θ1、θ2…傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5