(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】エレベータかご及びエレベータかご内で作業台を移動させる方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B66B5/00 D
(21)【出願番号】P 2019033559
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-05-17
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス,フアン ホセ
(72)【発明者】
【氏名】キレス,フアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス-ゴンサレス,アグスティン
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-533416(JP,A)
【文献】特開2008-044734(JP,A)
【文献】特表2008-503413(JP,A)
【文献】特開2009-155096(JP,A)
【文献】特開平09-263372(JP,A)
【文献】国際公開第2018/104578(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を収容するための内部空間(12)を画定するエレベータかご(6)であって、
前記内部空間(12)の上面側に位置付けられる支持フレーム(22)と、
前記支持フレーム(22)に枢動可能に取り付けられる支持構造物(30)と、
前記支持構造物(30)に枢動可能に取り付けられる作業台(28)と、を備え、
前記支持構造物(30)は前記支持フレーム(22)に対して枢動可能であり、前記作業台(28)は、前記作業台(28)及び前記支持構造物(30)が前記支持フレーム(22)に近接するように配向される格納位置と、前記支持構造物(30)が前記内部空間(12)に向かって前記支持フレーム(22)から離れるように延在し、かつ前記作業台(28)が前記支持構造物(30)から離れるように延在する展開位置との間で、前記支持構造物(30)に対して枢動可能であ
り、
前記支持フレーム(22)に及び前記作業台(28)に接続されるリンク機構(32)をさらに備え、前記作業台(28)の第1の側面(28a)は前記支持構造物(30)に接続され、反対にある前記作業台(28)の第2の側面(28b)は前記リンク機構(32)に枢動可能に接続され、
前記リンク機構(32)は、2つのリンク機構要素(32a,32b)を有し、前記2つのリンク機構要素(32a,32b)は、一対の第1のバー(34a,34b)と、該一対の第1のバー(34a,34b)にそれぞれ接続される一対の第2のバー(36a,36b)と、を有し、前記第1のバー(34a,34b)および前記第2のバー(36a,36b)の各々は、前記リンク機構(32)の長手方向に延びるスロットを有し、前記第1のバー(34a,34b)と前記第2のバー(36a,36b)とは、前記第1のバー(34a,34b)および前記第2のバー(36a,36b)のスロットを通って延在する一対のピンを介して相互に摺動可能に接続される、エレベータかご(6)。
【請求項2】
前記作業台(28)は、前記作業台(28)が前記支持フレーム(22)に対して傾斜する少なくとも1つの中間位置を通るように、前記格
納位置と前記展
開位置との間で移動可能である、請求項1に記載のエレベータかご(6)。
【請求項3】
展開位置にある前記作業台(28)は、前記支持構造物(30)から基本的に直角に延在するとともに/または前記支持構造物(30)は、前記作業台(28)が展開位置に位置付けられるときに前記支持フレーム(22)から基本的に直角に延在する、請求項1または2に記載のエレベータかご(6)。
【請求項4】
前記リンク機構(32)の長さは可変であり、前記リンク機構(32)は特に伸縮自在リンク機構(32)である、請求項
1~3のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項5】
前記リンク機構(32)は、前記支持フレーム(22)に枢動可能に接続される、請求項
4に記載のエレベータかご(6)。
【請求項6】
前記リンク機構(32)は、
前記2つのリンク機構要素(32a,32b)を備え、前記2つのリンク機構要素(32a,32b)は特に前記作業台(28)の2つの対向する側面に取り付けられる、請求項4
または5に記載のエレベータかご(6)
。
【請求項7】
前記作業台(28)は、特に梯子(42)を収容するための収納空間(40)を含み、前記収納空間(40)は特に前記作業台(28)の下部に形成される、請求項1~
6のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項8】
前記収納空間(40)の内部に梯子(42)をさらに備え、前記梯子(42)は特に伸縮梯子(42)である、請求項
7に記載のエレベータかご(6)。
【請求項9】
前記支持構造物(30)及び/または前記作業台(28)は、前記支持構造物(30)及び/または前記作業台(28)の格納位置及び展開位置の少なくとも1つでロック可能である、請求項1~
8のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項10】
前記支持フレーム(22)に枢動可能に取り付けられる天井要素(24)をさらに備える、請求項1~
9のいずれかに記載のエレベータかご(6)。
【請求項11】
前記天井要素(24)は、前記作業台(28)が格納位置に配向されるときに前記作業台(28)と前記内部空間(12)との間に位置付け可能である、請求項
10に記載のエレベータかご(6)。
【請求項12】
前記天井要素(24)は、前記作業台(28)と前記内部空間(12)との間に配列されるときにロック可能である、請求項
11に記載のエレベータかご(6)。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれかに記載の少なくとも1つのエレベータかご(6)を備える、エレベータシステム(2)。
【請求項14】
請求項1~
12のいずれかに記載のエレベータかご(6)内で前記作業台(28)を移動させる方法であって、前記方法は、前記支持フレーム(22)に対して前記支持構造物(30)を枢動させることと、前記支持構造物(30)に対して前記作業台(28)を枢動させることとを含む
、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータかごと、少なくとも1つのエレベータかごを備えるエレベータシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータシステムは、複数の乗場の間で昇降路に沿って進行する少なくとも1つのエレベータかごを備える。修復及び/または保守の目的ために、機械工が昇降路(特に、エレベータかごの上方の昇降路の領域)にアクセスすることが必要であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、機械工がエレベータかごの上方の昇降路の領域に安全に及び便利にアクセスすることを可能にする手段を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的実施形態に従って、乗客を収容するための内部空間を画定するエレベータかごは、内部空間の上面側に位置付けられる支持フレームと、支持フレームに枢動可能に搭載される支持構造物と、支持構造物に枢動可能に搭載される作業台とを備える。支持構造物は支持フレームに対して枢動可能であり、作業台は支持構造物に対して枢動可能であり、これにより、作業台は、作業台及び支持構造物が支持フレームに近接するように配向される格納収納位置と、支持構造物が内部空間に向かって支持フレームから離れるように延在し及び作業台が支持構造物から離れるように延在する展開作業位置との間で移動可能である。
【0005】
本発明の例示的実施形態は、また、本発明の例示的実施形態に従って、少なくとも1つのエレベータかごを備えるエレベータシステムを含む。
【0006】
本発明の例示的実施形態は、さらに、本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごの作業台を移動させる方法を含む。本方法は、格納収納位置と展開作業位置との間で作業台を移動させるために、支持フレームに対して支持構造物を枢動させることと、支持構造物に対して作業台を枢動させることとを含む。
【0007】
作業台は、支持フレームに対して支持構造物を移動させることとは別に、または少なくとも部分的に同時に、支持構造物に対して枢動し得る。すなわち、作業台は第1のステップで支持フレームに対して支持構造物と一緒に移動(特に、枢動)し得、作業台は、第1のステップが完了した後、第2のステップで支持構造物に対して移動(特に、枢動)し得る。代替として、作業台は、支持構造物が支持フレームに対してさらに移動(枢動)する間に、支持構造物に対して移動(特に、枢動)し得る。
【0008】
その展開作業位置に配列されるとき、作業台は、作業台に立っている機械工が、エレベータかごの上方の昇降路の領域に安全に及び便利にアクセスすることを可能にする。機械工がエレベータかご内に滞在し得るとき(特に、エレベータかごの屋根の上に登る必要はないとき)、事故の危険性は大幅に減少する。作業台がエレベータかごの一部であるため、機械工が台、梯子、または同様のデバイスをエレベータシステムに搬送する必要性がない。格納収納位置に配列されるとき、台はエレベータシステムの乗客に可視ではなく、作業台は乗客に利用可能である空間を小さくしない。この特徴は、特別補正措置なしで、低い頭上の昇降路を有することを可能にする。
【0009】
いくつかの随意の特徴は以下に記載される。これらの特徴は、単独でまたは他の特徴のいずれかと組み合わせて、特定の実施形態で実現し得る。
【0010】
作業台は、少なくとも1つの中間位置を通るように、格納収納位置と展開作業位置との間で移動可能であり得、少なくとも1つの中間位置では、作業台は、支持フレームに対して及び/またはエレベータかごの床に対して傾斜配向で配列される。傾斜配向では、作業台は、依然として、支持構造物の近接に及びそれに実質的に平行であるように配列され得る。代替として、作業台の傾斜配向では、作業台の端は、支持構造物からいくつかの距離に位置し得る。
【0011】
中間位置では、作業台は、特に、支持フレームに対して及び/またはエレベータかごの床に対して10度~80度の角度で配向され得る。作業台が、格納収納位置から展開作業位置(その逆も同様)に移動するとき、支持フレームに対して枢動(回転)する。係る枢動運動は、格納収納位置と展開作業位置との間で、利便性があり及び安全な作業台の移動を可能にする。
【0012】
作業台が展開作業位置に配列されるとき、支持構造物は基本的に直角に支持フレームから延在し得る。言い換えれば、支持構造物と支持フレームとの間の角度は、70度~110度、具体的には80度~100度、より具体的には85度~95度であり得る。係る幾何学形状は機械的安定構成を可能にする。
【0013】
その展開作業位置に位置付けられるとき、作業台は基本的に直角に支持構造物から延在し得る。言い換えれば、作業台は、その展開作業位置に位置付けられるとき、支持構造物から、70度~110度の角度、具体的には80度~100度の角度、より具体的には85度~95度の角度であり得る。係る幾何学形状は機械的安定構成を可能にする。
【0014】
作業台がその格納収納位置に配列されるとき、支持構造物と支持フレームとの間の角度は、0度~15度、具体的には0度~10度、より具体的には0度~5度であり得る。係る構成は、作業台及び支持構造を収納するために必要な空間を小さくすることを可能にする。
【0015】
その格納収納位置に配列されるとき、作業台は支持構造物に基本的に平行に延在し得る。言い換えれば、作業台は、その格納収納位置に配列されるとき、支持構造物に対して、0度~15度の角度、具体的には0度~10度の角度、より具体的には0度~5度の角度であり得る。係る構成は、作業台及び支持構造を収納するために必要な空間を小さくすることを可能にする。
【0016】
エレベータかごは、さらに、支持フレーム及び作業台に接続されるリンク機構を備え得る。係るリンク機構は、作業台にさらなる安定性を加え、格納収納位置と展開作業位置との間で作業台の良好に制御された移動をもたらす。
【0017】
特に、作業台の第1の端は支持構造物に枢動可能に接続され得、作業台の第2の反対側の端はリンク機構に接続され得る。係る構造は効率的に作業台の安定性を向上させる。
【0018】
リンク機構は、その移動の過程で作業台の変わる配向に対するリンク機構の配向を調節することを可能にするために、例えば、回転可能関節によって、支持フレームに及び/または作業台に枢動可能に接続され得る。
【0019】
リンク機構の長さは、作業台の移動の過程で、作業台の端と支持フレームとの間で変わる距離に対するリンク機構の長さを調節することを可能にするために可変であり得る。リンク機構は、特に、伸縮自在リンク機構であり得る。リンク機構は、さらに、相互に摺動可能に接続される第1のバー及び第2のバーを備え得る。係るリンク機構は、各々、バーのそれぞれに形成される長手方向のスロットを通って延在するピンを備え得る。
【0020】
リンク機構は、作業台の2つの対向する側面に取り付けられる2つのリンク機構要素を備え得、したがって、対称的構成を提供し、作用力の対称的分散を可能にする。
【0021】
作業台は収納空間を含み得る。収納空間は梯子を収容するように構成され得る。収納空間は、特に、作業台の低部に形成され得る。作業台に/作業台の下方に梯子を収納することは、機械工がより容易に作業台上に登ることを可能にする。特に、機械工が自分の梯子を持っていく必要性がない。
【0022】
梯子は、特に、伸縮自在梯子であり得る。これは、比較的長い梯子を可能にし、エレベータかごの床とその展開作業位置の作業台の間の距離を橋架し、比較に小さい収納空間内に収納され、収納空間は作業台の寸法によって制限される。
【0023】
本発明の例示的実施形態は、梯子を収納空間から引き出すことと、随意に、作業台への容易なアクセスを提供するために梯子を広げることとを含み得る。
【0024】
エレベータは、さらに、支持フレームに枢動可能に接続される天井要素を備え得る。天井要素は、特に、作業台及び支持構造物がそれらの各々の格納位置に配向されるとき、作業台と、作業台を覆う内部空間との間に位置付け可能であり得る。天井要素が支持フレームに枢動可能に取り付けられるとき、天井要素は、さらに、それが作業台を覆う位置から出るように天井要素を移動させることによって作業台へのアクセスを可能にする。
【0025】
本発明の例示的実施形態に従った方法は、天井要素が作業台と内部空間との間に位置付けられる位置から、天井要素が作業台へのアクセスを可能にする位置に天井要素を枢動することを含み得る。
【0026】
天井要素は、少なくとも1つの照明要素を支持し得る、またはそれを含み得る。照明要素はエレベータかごの内部空間を照らすように構成されている。少なくとも1つの照明要素を天井要素と統合することは、天井要素の後側へのアクセスを可能にするために天井要素を枢動することによって、少なくとも1つの照明要素への容易なアクセスを可能にする。照明要素は、LED、または複数のLEDの配列を含み得る。
【0027】
支持構造物、作業台、及び/または天井要素は、作業台の無許可の及び/または望まない移動を防止するために、それらの格納位置及び展開位置の少なくとも1つでロック可能であり得る。支持構造物、作業台、及び/または天井要素は、特に、ロックを用いることによって提供され得る。ロックは、許可された人だけが利用可能である鍵だけを使用してロック解除可能であり得る。
【0028】
本発明の例示的実施形態に従った方法は、その格納収納位置と展開作業位置(その逆も同様)との間で作業台を選択的に防止するために、または作業台を移動することを可能にするために、支持構造物、作業台、及び/または天井要素はロックすること及びロック解除することを含み得る。
【0029】
以下では、本発明の例示的実施形態は添付図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごを備えるエレベータシステムを概略的に示す。
【
図2】格納収納位置に配列される作業台を備える本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごの透視図を示す。
【
図3】各々、中間位置に配列される作業台を備える本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごの透視図を示す。
【
図4】各々、中間位置に配列される作業台を備える本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごの透視図を示す。
【
図5】展開作業位置に配列される作業台を備える本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごの透視図を示す。
【
図6】展開作業位置に配列される作業台を備える本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかごの透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかご6を備えるエレベータシステム2を概略的に示す。
【0032】
エレベータシステム2は、異なる階に位置する複数の乗場8の間で縦方向に延在する昇降路4を備える。
【0033】
エレベータかご6は、床16と、床16から延在する側壁17とを備え、エレベータかご6の内部空間12を画定する。1つの側壁17だけが
図1の略図に示される。
【0034】
エレベータかご6は、張力要素3によって、昇降路4の内部に移動可能に吊るされる。引張部材3(例えば、ロープまたはベルト)はドライブ5に接続され、ドライブ5は、複数の乗場8の間で昇降路4の縦方向/高さに沿ってエレベータかご6を移動させるために、引張部材3を駆動するように構成されている。
【0035】
各乗場8は乗場ドア10(エレベータ昇降路ドア)が提供され、エレベータかご6は対応するエレベータかごドア11が提供され、エレベータかごドア11は、エレベータかご6が各々の乗場8に位置付けられるとき、乗客が乗場8とエレベータかご6の内部空間12との間で移動することを可能にする。
【0036】
図1に示されるエレベータシステム2の例示的実施形態は、エレベータかご6を吊るすための1:1のロープを採用する。しかしながら、当業者は、ロープの種類が本発明に不可欠ではないことと、ロープの異なる種類(例えば、2:1のロープ)が同様に良好に使用され得ることとを容易に理解する。エレベータシステム2は、さらに、同時に及びエレベータかご6に対して反対方向に移動するカウンターウェイト(図示されない)を含み得る。代替として、エレベータシステム2は、
図1に示されるように、カウンターウェイトがないエレベータシステム2であり得る。ドライブ5は、当技術分野で使用される駆動の任意の形態(例えば、摩擦駆動、油圧式駆動、または線形駆動)であり得る。エレベータシステム2はマシンルームを有し得る、または、マシンルームがないエレベータシステムであり得る。エレベータシステム2は、
図1に示されるように、引張部材3を使用し得る、または、エレベータシステム2は、例えば、油圧式駆動または線形駆動(図示されない)を備える引張部材3がないエレベータシステムであり得る。
【0037】
ドライブ5は、異なる乗場8の間で昇降路4に沿ってエレベータかご6を移動させるために、エレベータ制御装置18によって制御される。
【0038】
エレベータ制御装置18への入力は、エレベータ乗場ドア10に近接する各乗場8上で提供される乗場制御パネル7aを介して、及び/またはエレベータかご6の内側に提供されるかご動作パネル7bを介して、提供され得る。
【0039】
乗場制御パネル7a及びかご動作パネル7bは、特に電気バス(例えば、CANバス等のフィールドバス)によって、または無線データ接続によって、
図1に示されない電線路によってエレベータ制御装置18に接続され得る。
【0040】
エレベータかご6の現在位置を判定するために、エレベータかご6は位置センサ19が提供される。位置センサ19は、
図1に示されるようなエレベータかご6の上面に配列され得る。代替として、位置センサ19は、エレベータかごの側面に、またはエレベータかご6の底部に(例えば、床16の下方に)提供され得る。
【0041】
図2~
図6は、各々、本発明の例示的実施形態に従って、エレベータかご6の透視図を示す。
図2~
図6では、エレベータかご6の側壁17(
図1参照)は、エレベータかご6の内部空間12への遮るものがない図を可能にするために示されない。
【0042】
エレベータかご6は、エレベータかご6の床16から直角に(具体的には垂直に)延在する、2つの構造バー20a、20bを備える。床16に並行に延在する支持フレーム22は、構造バー20a、20bの上端に(すなわち、床16に反対の構造バー20a、20bの端に)搭載される。当業者は、図に示されない代替構成では、2つの構造バー20a、20bよりも多いものが使用され得ることを理解するであろう。代替として、支持フレーム22は、構造バー20a、20bの代わりに、またはそれらに加えて、エレベータかご6の側壁17によって支持され得る。
【0043】
床16及び支持フレーム22の両方は、長方形状と、基本的に水平方向に同じ寸法とを有し、これにより、床16、支持フレーム22、及び床16と支持フレーム22との間に延在する側壁17は、直方体の形状を有するエレベータかご6を構成する。
【0044】
天井要素24(
図3~
図6参照)は、支持フレーム22に枢動可能に取り付けられる。天井要素24は基本的に支持フレーム22によって画定される内部開口部の形状及び寸法を有し、これにより、天井要素24は、天井要素24が、
図2に示されるように、水平位置(支持フレーム22に平行に配向される位置)に配列されるとき、当該内部開口部を覆い、及びそれを閉じる。
【0045】
天井要素24は、照明要素(図示されない)を支持し得る、またはそれを含み得る。照明要素はエレベータかご6の内部空間12を照らすように構成されている。内部空間12に対面する天井要素24の底側は、特に、エレベータかご6の内部空間12の天井の感じの良い外観を提供する装飾要素として提供され得る。
【0046】
天井要素24はフック等の固定要素26を備え得、固定要素26は、
図2に示されるようなその水平位置に天井要素24を固定するために、支持フレーム22の補完的固定構造(図示されない)と係合するように構成されている。
【0047】
天井要素24の無許可の移動を防止するために、固定要素26は係止機構と組み合わされ得る。ロック機構は、ロック機構をロック解除した後だけ、その水平位置から出るように、天井要素24を移動させるために固定要素26を解放することを可能にする。
【0048】
固定要素26が解放された後、天井要素24は、その水平位置(
図2参照)から垂直アクセス位置(
図3~
図6参照)に枢動し得、垂直アクセス位置では、エレベータかご6の構造バー20a、20b及び/または側壁17に平行に基本的には垂直に延在する。
【0049】
当該アクセス位置に配列されるとき、天井要素24は、エレベータかご6の内部空間12から、支持フレーム22に移動可能に取り付けられる作業台28にアクセスすることを可能にする。
【0050】
作業台28は、特に、支持構造物30によって支持フレーム22に取り付けられる。支持構造物30は、相互に平行に延在する2つの剛体バー30a、30bを備える。バー30a、30bのそれぞれは、各々、作業台28の第1の側面28a(
図2~
図6の右側)に、及び支持フレーム22の第1の側面22a(
図2~
図6の右側)に枢動可能に取り付けられる。バー30a、30bは、作業台28の2つの側面に相互に対して反対に配列される。
【0051】
作業台28の反対の第2の側面28b(
図2~
図6の左側)は、リンク機構32によって支持フレーム22に取り付けられる。リンク機構32は、作業台28の第2の側面28bと、第1の側面22aの反対にある支持フレーム22の第2の側面22b(
図2~
図6の左側)との間で相互に並行に延在する2つのリンク機構要素32a、32bを含む。リンク機構要素32a、32bは、作業台28の2つの側面に相互に対して反対に配列される。
【0052】
リンク機構要素32a、32bは、適切な関節33によって、作業台28に及び支持フレーム22に枢動可能に取り付けられる。
【0053】
リンク機構要素は32a、32bの長さは可変である。リンク機構要素32a、32bのそれぞれは、特に、第1のバー34a、34bと、第2のバー36a、36bとを備える。各バー34a、34b、36a、36bには、長手方向に延在するスロットが提供される。各リンク機構要素32a、32bの2つのバー34a、34b、36a、36bは、バー34a、34b、36a、36bのスロットを通って延在するピン38a、38bによって、相互に摺動可能に接続される。
【0054】
当業者は、リンク機構要素32a、32bの代替構成が、それらがリンク機構要素32a、32bの長さを変化させることを可能にする限り、可能であることを理解するであろう。
【0055】
天井要素24がそのアクセス位置に移動した後、
図2~
図6に示されるように、作業台28は、作業台28が支持フレーム22の内側に及び/または上方に配列される格納収納位置(
図2参照)から、作業台28がエレベータかご6の内部空間12の内部で水平配向に位置付けられる展開作業位置(
図5及び
図6参照)に移動し得る。作業台28が展開作業位置に位置付けられるとき、機械工は、支持フレーム22によって画定される開口部を通ってエレベータかご6の上方にある昇降路4(特に、昇降路4の内部の構成要素)にアクセスするために、作業台28上に乗ることができる。
【0056】
以下では、
図2に示されるその格納収納位置から、
図5及び
図6に示されるその展開作業位置への作業台28の移動は、
図3~
図6を参照してより詳細に説明される。
【0057】
その格納収納位置(
図2)に位置付けられるとき、作業台28、リンク機構要素32a、32b、及び支持構造物30のバー30a、30bは、全て、支持フレーム22の(水平)面に基本的に平行に配列される。
【0058】
第1の運動(
図3参照)では、作業台28及び支持構造物30は当該格納収納位置からエレベータかご6の内部空間12に一緒に枢動する。当該第1の運動の間、作業台28は、依然として、支持構造物30のバー30a、30bに平行に配列される。
【0059】
リンク機構要素32a、32bは延在し(すなわち、それらの長さが増加し)、作業台28の移動を調整するために、作業台28に対して及び支持フレーム22に対して枢動する。
【0060】
第2の運動(
図4参照)では、作業台28をその最後の展開作業位置(作業台28がエレベータかご6の床16に基本的に水平に平行であるように延在する位置(
図5及び
図6参照))に移動させるために、作業台28は支持構造物30に対して枢動する。再度、リンク機構要素32a、32bは、各々、リンク機構要素32a、32bが搭載される支持フレーム22の第2の側面22bに対して作業台28の第2の側面28bの変化位置を調整させるために、それらの長さを変化させ、支持フレーム22に対して及び作業台28に対して枢動する。
【0061】
特定の構成に応じて、すなわち、作業台28、支持構造物30、及びリンク機構要素32a、32bの寸法に応じて、第2の運動(すなわち、支持構造物30に対する作業台28の動き)は、第1の運動が完了した後だけに(すなわち、支持構造物30が支持フレーム22からエレベータかご6の内部空間12に基本的に垂直に延在した後だけに)、開始し得る。係る構成では、作業台28は、第1の運動が完了した後に及び第2の動きが開始する前に、支持フレーム22及びエレベータかご6の床16に対して基本的に直角に配向される、すなわち、構造バー20a、20b及び/またはエレベータかご6の側壁17に平行に配向される。
【0062】
代替構成では、2つの運動は少なくとも部分的に重複し得る、すなわち、第2の運動は、第1の運動が完了する前に、すなわち、支持構造物30が支持フレーム22からエレベータかご6の内部空間12に基本的に垂直に延在する前に、開始し得る。
【0063】
両方の構成では、作業台28は中間位置を通るように移動し、中間位置では、作業台28が、運動中、支持フレーム22に対して及びエレベータかご6の床16に対して傾斜配向で配列される(
図4参照)。
【0064】
支持構造物30及び/またはリンク機構要素32a、32bは、格納収納位置と展開作業位置との間に作業台28の容易な、滑らかな、及び良好な移動の制御を可能にするために、それらの移動を減衰させるように構成されているダンパ35が提供され得る。
【0065】
図に示される例示的構成では、収納空間40(
図4参照)は、作業台28の内部に/下方に形成される。収納空間40は、特に、梯子42を収容するように構成され得、梯子42は、機械工が作業台28上をより容易に登ることを可能にする。
【0066】
梯子42は、特に、2つの伸縮自在バー44a、44bを備える伸縮自在梯子42であり得、伸縮自在梯子42は、梯子42を収納空間40の内部に収納することを可能にするために選択的に縮まり得(
図4及び
図5参照)、梯子42をエレベータかご6の床16と作業台28との間の距離まで延在させるために拡張され得る(
図6参照)。
【0067】
本発明が例示的実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更がされ得、同等のものがその要素の代わりになり得ることを当業者によって理解されるだろう。加えて、特定の状況または物質を本発明の教示に、その本質的範囲から逸脱することなく適応させるために、多くの修正を行い得る。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されないが、本発明は、「特許請求の範囲」の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0068】
2…エレベータシステム
3…引張部材
4…昇降路
5…ドライブ
6…エレベータかご
7a…乗場制御パネル
7b…かご動作パネル
8…乗場
10…乗場ドア
11…エレベータかごドア
12…エレベータかごの内部空間
16…エレベータかごの床
17…エレベータかごの側壁
18…エレベータ制御装置
19…位置センサ
20a、20b…構造バー
22…支持フレーム
22a…支持フレームの第1の側面
22b…支持フレームの第2の側面
24…天井要素
26…固定要素
28…作業台
28a…作業台の第1の側面
28b…作業台の第2の側面
30…支持構造物
30a、30b…支持構造物のバー
32…リンク機構
32a、32b…リンク機構要素
33…関節部
34a、34b…リンク機構要素の第1のバー
35…ダンパ
36a、36b…リンク機構要素の第2のバー
38a、38b…ピン
40…収納空間
42…梯子
44a、44b…梯子のバー