(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】基板処理装置に設けられる基板着座部
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221122BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20221122BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 N
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2019520037
(86)(22)【出願日】2017-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2017011161
(87)【国際公開番号】W WO2018070765
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2016-0131958
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510149600
【氏名又は名称】ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ホ チョル
(72)【発明者】
【氏名】ファン チョル ジュ
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3198619(JP,U)
【文献】韓国公開特許第2016-0109833(KR,A)
【文献】特開2005-303014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0186110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置に設けられる基板着座部であって、
前記基板着座部は、
内側加熱線及び外側加熱線を有する複数の内側区域と、
周縁に設けられて前記内側区域を取り囲み、前記外側加熱線を有する外側区域とに分割され、
前記内側加熱線は、少なくとも一部の区間が第1間隔で同一の前記内側区域に配置され、
別個の前記内側区域に配置されるそれぞれの前記内側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第2間隔で配置され、
前記内側加熱線と前記外側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第3間隔で配置され、
前記第1間隔は、前記第3間隔よりも狭く、前記第2間隔は、前記第3間隔よりも広
く、
前記第2間隔に対応する箇所に配置された前記内側加熱線の加熱による温度は、前記内側区域の温度より低いことを特徴とする基板着座部。
【請求項2】
前記内側区域に位置した前記外側加熱線の一部は加熱されないことを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【請求項3】
少なくとも一つの前記外側区域の前記外側加熱線の一部は、基板と重ならない外郭に位置し、基板の外郭の温度を補償することを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【請求項4】
少なくとも一つの前記外側区域における前記外側加熱線の一部は、前記内側区域の外側加熱線よりも高い温度を保つことを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【請求項5】
少なくとも一つの前記内側区域における前記外側加熱線の一部は、前記内側区域の前記内側加熱線よりも低い温度を保つことを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【請求項6】
前記外側区域は、複数で設けられ、それぞれ独立して加熱されることを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【請求項7】
前記内側区域は4分面に分けられることを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【請求項8】
前記外側区域は4分面に分けられることを特徴とする、請求項1に記載の基板着座部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、全体温度均一度を改善し、外郭部位の温度を個別に調節できるようにし、基板の縁部位の温度調節によって完成品基板の素子特性を調節できるようにする、基板処理装置に設けられる基板着座部に関する。
【背景技術】
【0002】
この欄に記述された内容は、単に実施例に関する背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
一般に、半導体メモリ素子、液晶表示装置、有機発光装置などは、基板上に複数回の半導体工程を施し、所望の形状の構造物を積層して製造する。
【0004】
半導体製造工程は、基板上に所定の薄膜を蒸着する工程、薄膜の選択された領域を露出させるフォトリソグラフィ(photolithography)工程、選択された領域の薄膜を除去するエッチング工程などを含む。このような半導体を製造する基板処理工程は、当該工程のために最適の環境が作られた工程チャンバーを有する基板処理装置で行われる。
【0005】
工程チャンバーには、加工の対象である基板と、該基板が着座する基板着座部が設けられ、当該基板に、ソース物質を含有する工程ガスが噴射される。該工程ガスに含有されたソース物質によって基板に蒸着、エッチング工程などが行われる。
【0006】
一方、上記基板着座部は、基板処理工程を行うために加熱できるが、不均一な加熱が発生することがあり、改善が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、実施例は、全体温度均一度を改善し、外郭部位の温度を個別に調節できるようにし、基板コーナー部の温度調節によって完成品基板の素子特性を調節できるようにする、基板処理装置に設けられる基板着座部に関する。
【0008】
実施例が遂げようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない別の技術的課題が、以下の記載から、実施例の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基板着座部の一実施例は、基板処理装置に設けられる基板着座部であって、前記基板着座部は、内側加熱線及び外側加熱線を有する複数の内側区域と、周縁に設けられて前記内側区域を取り囲み、前記外側加熱線を有する外側区域とに分割され、前記内側加熱線は、少なくとも一部の区間が第1間隔で同一の前記内側区域に配置され、別個の前記内側区域に配置されるそれぞれの前記内側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第2間隔で配置され、前記内側加熱線と前記外側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第3間隔で配置され、前記第1間隔は前記第2間隔より狭い、ものでよい。
【0010】
基板着座部の他の実施例は、基板処理装置に設けられる基板着座部であって、前記基板着座部は、内側加熱線及び外側加熱線を有する複数の内側区域と、周縁に設けられて前記内側区域を取り囲み、前記外側加熱線を有する外側区域とに分割され、前記内側加熱線は、少なくとも一部の区間が第1間隔で同一の前記内側区域に配置され、別個の前記内側区域に配置されるそれぞれの前記内側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第2間隔で配置され、前記内側加熱線と前記外側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第3間隔で配置され、前記第1間隔は、前記第3間隔に等しいか、前記第3間隔よりも狭い、ものでよい。
【0011】
基板着座部のさらに他の実施例は、基板処理装置に設けられる基板着座部であって、前記基板着座部は、内側加熱線及び外側加熱線を有する複数の内側区域と、周縁に設けられて前記内側区域を取り囲み、前記外側加熱線を有する外側区域とに分割され、前記内側加熱線は、少なくとも一部の区間が第1間隔で同一の前記内側区域に配置され、別個の前記内側区域に配置されるそれぞれの前記内側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第2間隔で配置され、前記内側加熱線と前記外側加熱線は、互いに平行に並ぶ箇所において第3間隔で配置され、前記第2間隔は、前記第3間隔に等しいか、前記第3間隔よりも広い、ものでよい。
【発明の効果】
【0012】
実施例において、基板着座部の全領域にわたって温度が均一であるか、微小な差で保たせることによって、基板着座部の全体温度均一度を改善できる、という効果がある。
【0013】
また、基板着座部を外側区域と内側区域とに分割し、さらに前記外側区域と内側区域を複数に分割することによって、各区域の温度を個別に調節できる、という効果がある。
【0014】
特に、基板着座部の外側区域の温度を個別調節できるので、前記外側区域に隣接した基板のコーナー部の温度調節が容易となり、完成品基板の素子特性を調節できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施例に係る基板着座部を具備した基板処理装置を示す図である。
【
図2】一実施例に係る基板着座部の各区域を示す図である。
【
図3】一実施例に係る基板着座部の加熱部の配置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳しく説明する。実施例は、様々な変更を加えることができ、様々な形態にし得るところ、特定の実施例を図面に例示して本文に詳述しようとする。しかし、これは、実施例を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、実施例の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むものと理解すべきである。
【0017】
「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するために使われるものに過ぎず、これらの用語に構成要素が限定されてはならない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われる。また、実施例の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、実施例を説明するだけのもので、実施例の範囲を限定するためのものではない。
【0018】
実施例の説明において、各構成要素(element)「上(の上)」(on)又は「下(の下)」(under)に形成されると記載される場合において、上(の上)又は下(の下)(on or under)は、2つの構成要素が直に(directly)相互接して形成される場合も、両構成要素の間に一つ以上の別の構成要素が配置されて(indirectly)形成される場合も含む。また、「上(の上)」又は「下(の下)」(on or under)と表現される場合、一つの構成要素を基準に上方を指すことも、下方を指すこともある。
【0019】
また、以下に使われる「上/上部/上方」及び「下/下部/下方」などのような関係的用語は、そのような実体又は要素間のいずれかの物理的又は論理的な関係又は順序を必ずしも要求又は内包するものではなく、いずれか一つの実体又は要素を他の実体又は要素と区別するために使われてもよい。
【0020】
図1は、一実施例に係る基板着座部を具備した基板処理装置を示す図である。基板処理装置は、反応空間が設けられている工程チャンバー100、及び該工程チャンバー100内に設けられ、少なくとも一つの基板10を支持する基板着座部200を備えることができる。
【0021】
また、基板処理装置は、前記基板着座部200と対向する工程チャンバー100内の他側に設けられ、工程ガスを噴射するガス分配装置300、前記工程チャンバー100の外側に設けられ、ガス分配装置300に工程ガスを供給するガス供給部400を備えることができる。また、基板処理装置は、工程チャンバー100の内部を排気するための排気部500をさらに備えることができる。
【0022】
工程チャンバー100は、内部に基板10の蒸着のための空間が設けられる筒状でよい。このような工程チャンバー100は、基板10の形状に応じて様々な形状にしてもよい。
【0023】
このような工程チャンバー100の内部には、基板着座部200とガス分配装置300が相対向して設けられ得る。例えば、基板着座部200が工程チャンバー100の下側に設けられ、ガス分配装置300が工程チャンバー100の上側に設けられ得る。
【0024】
また、工程チャンバー100には、基板10を押し入れたり取り出すための基板出入口110が設けられ得る。そして、工程チャンバー100には、工程チャンバー100内に工程ガスを供給するガス供給部400と連結されるガス流入口120が設けられ得る。
【0025】
また、工程チャンバー100には、工程チャンバー100の内部圧力を調節したり、工程ガス、その他の工程チャンバー100内の異物などを排気するよう、排気口130が設けられ、排気口130に排気部500が連結され得る。
【0026】
例えば、基板出入口110は、工程チャンバー100の一側面に基板10が出入できる程度の大きさに設けられ、ガス流入口120は、工程チャンバー100の上壁を貫通して設けられ、排気口130は、基板着座部200よりも低い位置の工程チャンバー100の側壁又は下壁を貫通して設けられ得る。
【0027】
基板着座部200は、工程チャンバー100の内部に設けられ、工程チャンバー100内に取り込まれた少なくとも一つの基板10が着座する。このような基板着座部200は、ガス分配装置300と対向する位置に設けられ得る。
【0028】
基板着座部200は、上下方向から見て概ね円形又は四角形の板状でよい。ただし、下記では一実施例として四角板状の基板着座部200について説明する。
【0029】
例えば、工程チャンバー100内部の下側に基板着座部200が設けられ、工程チャンバー100内部の上側にガス分配装置300が設けられ得る。
【0030】
基板着座部200の下部には基板着座部200を上下に移動させる乗降装置210が設けられ得る。乗降装置210は、基板着座部200の少なくとも一領域、例えば、中央部を支持するように設けられ、基板着座部200上に基板10が着座すると基板着座部200を、ガス分配装置300に近接するよう移動させる。
【0031】
また、基板着座部200には加熱部700が装着され得る。加熱部700は、定められた温度で発熱されて基板10を加熱することによって、薄膜蒸着工程、エッチング工程などが基板10上で容易に行われるようにし得る。前記加熱部700の構造及び配置については、
図2~
図5を参照して具体的に後述する。
【0032】
ガス分配装置300は、工程チャンバー100内部の上側に設けられ、基板着座部200上に載置された基板10に向けて工程ガスを噴射する。このようなガス分配装置300は、基板着座部200と同様に、基板10の形状に対応する形状に作製でき、略円形又は四角形に作製することができる。
【0033】
一方、ガス分配装置300は、上部板310、シャワーヘッド320、側壁板330を備えることができる。上部板310は、前記工程チャンバー100の上壁と同様に、ガス流入口120が設けられ、ガス供給部400と連結され得る。
【0034】
シャワーヘッド320は、前記上部板310と上下方向に一定距離をおいて設けられ、且つ複数の噴射ホールを有し得る。側壁板330は、前記上部板310とシャワーヘッド320との空間を密閉するように設けられ得る。
【0035】
ガス供給部400は、複数の工程ガスをそれぞれ供給するガス供給源410、ガス供給源410から工程ガスを工程チャンバー100の内部に供給するガス供給管420を備えことができる。工程ガスとしては、薄膜蒸着ガス、エッチングガスなどを含むことができる。
【0036】
排気部500は、排気装置510と、工程チャンバー100の排気口130と連結された排気管520を備えることができる。排気装置510には真空ポンプなどを用いることができ、これによって、工程チャンバー100の内部を真空に近い圧力、例えば、0.1mTorr以下の圧力までに真空吸入できる。
【0037】
一方、基板処理装置には、RF電源620、インピーダンスマッチングボックス(I.M.B(Impedance Matching Box)610を有するRF電力供給部600がさらに備えられてもよい。RF電力供給部600は、前記ガス分配装置300の上部板310をプラズマ電極として使用し、工程ガスにプラズマを発生させることができる。
【0038】
そのために、上部板310には、RF電力を供給するRF電源620が連結され、上部板310とRF電源620との間には、最大電力が印加され得るよう、インピーダンスをマッチングするインピーダンスマッチングボックス610が位置し得る。
【0039】
図2は、一実施例に係る基板着座部200の各区域を示す図である。基板着座部200は、全区域にわたって均一な加熱のために加熱部700を適切に配置する必要がある。したがって、前記加熱部700の配置のために、前記基板着座部200を複数の区域に分ける必要がある。
【0040】
図2に示すように、基板着座部200は、一実施例として四角板状にすることができ、内側区域230と外側区域220とに分割できる。ここで、「分割」とは、区域を分けることを意味し、基板着座部200が複数に切り離されて各パートが互いに離隔することを意味するものではない。
【0041】
前記内側区域230は基板着座部200の中央部に設けられ、前記外側区域220は基板着座部200の周縁に前記内側区域230を取り囲むように設けられ得る。
【0042】
このとき、
図2に示すように、前記外側区域220は、前記基板着座部200の少なくとも2つの角部、すなわち、コーナー部に設けられ、後述するように、前記各外側区域220はそれぞれ独立して加熱され得る。
【0043】
また、後述するように、前記内側区域230には内側加熱線710と外側加熱線720の一部が設けられ、前記外側加熱線720の一部は加熱されないように構成され得る。また、後述するように、前記外側区域220には外側加熱線710が設けられ得る。
【0044】
図2に示すように、実施例では基板着座部200が四角板状であるので、前記内側区域230も四角形にし、前記外側区域は、外形が四角形であり、前記内側区域230を除いて枠状のものにし得る。
【0045】
前記内側区域230は、前記基板着座部200の中心を基準に相互対称である複数個に分割され得る。このとき、前記内側区域230は4分面以上に分割され得る。
【0046】
例えば、さらに内側区域230は総4個の四角形に分割され得る。すなわち、
図2に示すように、前記内側区域230は、内側1区域230-1、内側2区域230-2、内側3区域230-3、及び内側4区域230-4に分割され得る。
【0047】
内側1区域230-1~内側4区域230-4は、基板着座部200の中心を基準に相互対称となるように設けられ得る。このとき、昇降部210は、例えば、前記内側1区域230-1~内側4区域230-4の角部、すなわち、各コーナー部が出会う基板着座部200の中心に隣接して前記基板着座部200と結合して配置され得る。
【0048】
同様に、前記外側区域220は、前記基板着座部200の中心を基準に相互対称となる複数個に分割され得る。このとき、前記外側区域220は4分面以上に分割され得る。例えば、外側区域220は総4個に分割され得る。
【0049】
すなわち、
図2に示すように、前記外側区域220は、外側1区域220-1、外側2区域220-2、外側3区域220-3、及び外側4区域220-4に分割され得る。このとき、
図2に示すように、外側1区域220-1~外側4区域220-4はそれぞれ、前記基板着座部200のそれぞれのコーナー部を含み、前記それぞれのコーナー部で折り曲がた形状でよい。
【0050】
図3は、一実施例に係る基板着座部200の加熱部700の配置状態を示す図である。実施例において、加熱部700は、基板着座部200の内側区域230及び外側区域220をそれぞれ独立して加熱する複数個が設けられ得る。
【0051】
このような構造から、加熱部700は、基板着座部200の全領域を均一の又はわずかな差の温度に加熱することができる。
【0052】
一方、基板着座部200が局部的に異なる温度で不均一に加熱される場合、特に、基板着座部200の周縁部位、及び四角板状の基板着座部200では周縁の角部、すなわちコーナー部が、中央部に比べて温度が顕著に低くなることがある。
【0053】
すなわち、基板着座部200の縁部又はコーナー部は、工程チャンバー100の外壁と近接して配置されるので、外気による熱損失が発生することがあり、その形状の特徴のために表面積が中央部に比べて大きく、それによる熱損失が発生することがある。
【0054】
基板着座部200が不均一に加熱される場合、基板着座部200に配置される基板10も不均一に加熱されることがあり、不均一な加熱状態で基板製造工程が行われると、基板完成品の不良を招いたり、基板完成品の素子特性の低下を招くことにつながり得る。
【0055】
この理由から、基板着座部200は全領域にわたって均一な温度を有するように加熱する必要があり、以下、基板着座部200の均一な加熱のための加熱部700の具体的な構造について説明する。
【0056】
図3に示すように、加熱部700は、基板着座部200の内側区域230に配置される内側加熱線710、及び外側区域220に配置される外側加熱線720を有することができる。前記加熱部700は、例えば、内側加熱線710と外側加熱線720で構成され得る。これらの内側又は外側加熱線は、例えば、電気抵抗加熱方式の電熱線の形態でよい。
【0057】
また、前記加熱部700は、基板着座部200において基板10が着座する基板10の上面以外の部位に配置されることが好適であろう。例えば、前記加熱部700は、基板着座部200の内部、下側又は下面に配置されることが好適であろう。
【0058】
内側加熱線710は、
図3に示すように、前記複数に分割されたそれぞれの前記内側区域230を独立して加熱するよう、前記分割された前記内側区域230と対応する個数及び位置に配置され得る。
【0059】
例えば、前記内側加熱線710は、4個に分割された基板着座部200の内側区域230のそれぞれに、対応する個数で配置され得る。すなわち、内側加熱線710は、第1-1加熱線710-1、第1-2加熱線710-2、第1-3加熱線710-3及び第1-4加熱線710-4に分割されて配置され得る。
【0060】
このとき、前記第1-1加熱線710-1は内側1区域230-1に配置され、前記内側1区域230-1を加熱することができる。また、前記第1-2加熱線710-2は内側2区域230-2に配置され、前記内側2区域230-2を加熱することができる。
【0061】
また、前記第1-3加熱線710-3は内側3区域230-3に配置され、前記内側3区域230-3を加熱することができる。また、前記第1-4加熱線710-4は内側4区域230-4に配置され、前記内側4区域230-4を加熱することができる。
【0062】
前記第1-1加熱線710-1~第1-4加熱線710-4は、前記内側1区域230-1~内側4区域230-4を独立して加熱することができる。すなわち、前記第1-1加熱線710-1~第1-4加熱線710-4は、外部電源(図示せず)とそれぞれ独立して接続され、前記外部電源を制御する制御装置(図示せず)によってそれぞれ独立して電力が供給され、前記内側1区域230-1~内側4区域230-4を加熱することができる。
【0063】
例えば、前記制御装置は、第1-1加熱線710-1~第1-4加熱線710-4に同一又は個別の大きさの電力を外部電源が供給するように制御して、前記内側1区域230-1~内側4区域230-4が均一な温度で加熱されるようにし、内側区域230の全体を均一の温度に加熱させることができる。
【0064】
前記内側加熱線710は、少なくとも一部、すなわち、電熱線の一部区間がグザグ状又は波状に配置され得る。これは、実施例において、内側区域230が四角形であり、内側加熱線710が電熱線の形態であるので、四角形全体を均一に加熱するのに適した電熱線の形状にする必要があるためである。
【0065】
一方、図示してはいないが、他の実施例として、前記内側加熱線710を前記内側区域230に渦巻(vortex)状などを含め、前記内側区域230を均一に加熱できる様々な形態にしてもよい。
【0066】
一方、前記内側区域230は、内側1区域230-1~内側4区域230-4に分割された境界部に前記内側加熱線710が配置されない非加熱部が設けられ得る。これらの非加熱部は、内側区域230が過度に加熱され、基板着座部200全体が均一に加熱されないことを防止することができる。
【0067】
すなわち、前記境界部には外側加熱線720と外部電源とを電気的に連結するケーブル800が配置され得るが、この部分が加熱されると、内側区域230全体が過度に加熱されることがあり、これを防止するためには非加熱部とすることが好適であろう。
【0068】
このような非加熱部は、例えば、前記内側区域に位置している前記外側加熱線720の一部が加熱されないようにして具現できる。そのために、前記外側加熱線720の加熱されない部分は、電熱線ではなく電気的連結のためのケーブル800で構成され得る。
【0069】
このような非加熱部が形成されることにより、少なくとも一つの前記内側区域230の前記外側加熱線、すなわち、ケーブル800の一部は、前記内側区域230の前記内側加熱線720に比べて低い温度を保つことができる。
【0070】
また、前記第1-1加熱線710-1~第1-4加熱線710-4の境界部が互いに離隔され、非加熱部となることにより、第1-1加熱線710-1~第1-4加熱線710-4はお互い熱的に影響を及ぼさないか、わずかな影響しか及ぼさず、第1-1加熱線710-1~第1-4加熱線710-4及び各内側区域230の独立した温度制御が可能となる。
【0071】
具体的に、
図3に示すように、前記非加熱部には、一側が外部の電源に接続され、他側が前記外側加熱線720に電気的に接続され、加熱されないケーブル800が配置され得る。
【0072】
このようなケーブル800は、電熱線の形態とせず、主に外部電源と前記外側加熱線720とを電気的に連結する役割を果たし得るものとすることが好適であろう。
【0073】
外側加熱線720は、
図3に示すように、前記複数に分割されたそれぞれの前記外側区域220を独立して加熱するよう、前記分割された前記外側区域220と対応する個数及び位置に配置され得る。
【0074】
このとき、電熱線で構成される外側加熱線720の両端は、前記非加熱部に配置されるケーブル800にそれぞれ電気的に連結され、それらのケーブル800を通じて外部電源から電力を受け、加熱され得る。
【0075】
例えば、前記外側加熱線720は、4個に分割された基板着座部200の外側区域220のそれぞれに対応するように配置され得る。すなわち、外側加熱線720は、第2-1加熱線720-1、第2-2加熱線720-2、第2-3加熱線720-3及び第2-4加熱線720-4に分割されて配置され得る。
【0076】
このとき、前記第2-1加熱線720-1は外側1区域220-1に配置され、前記外側1区域220-1を加熱することができる。また、前記第2-2加熱線720-2は外側2区域220-2に配置され、前記外側2区域220-2を加熱することができる。
【0077】
また、前記第2-3加熱線720-3は外側3区域220-3に配置され、前記外側3区域220-3を加熱することができる。また、前記第2-4加熱線720-4は外側4区域220-4に配置され、前記外側4区域220-4を加熱することができる。
【0078】
前記第2-1加熱線720-1~第2-4加熱線720-4は、前記外側1区域220-1~外側4区域220-4を独立して加熱することができる。
【0079】
すなわち、前記第2-1加熱線720-1~第2-4加熱線720-4は、外部電源とそれぞれ独立して連結され、前記外部電源を制御する前記制御装置によってそれぞれ独立して電力を受け、前記外側1区域220-1~外側4区域220-4を加熱することができる。
【0080】
一方、前記外部電源及び制御装置は、前記内側加熱線710及び外側加熱線720とそれぞれ独立して電気的に連結され、必要な場合は複数で設けられてもよい。
【0081】
例えば、前記制御装置は、第2-1加熱線720-1~第2-4加熱線720-4に同一又は個別の大きさの電力を外部電源が供給するように制御して、前記外側1区域220-1~外側4区域220-4が均一な温度で加熱されるようにし、外側区域220全体を均一な温度に加熱させることができる。
【0082】
特に、外側加熱線720は、外側区域220の各コーナー部を加熱することができる。したがって、シャープな形状的特性のために冷却され易い外側区域220の各コーナー部が外側加熱線720によって独立して加熱され、基板着座部200は全領域にわたって均一又はわずかな差の温度に加熱され得る。
【0083】
また、図示してはいないが、少なくとも一つの前記外側区域220の前記外側加熱線720の一部は、基板10と重ならないよう、前記基板10の外郭に配置され得る。これは、基板10の外郭部分は冷却されやすく、この基板10の外郭の温度を補償するためである。
【0084】
また、少なくとも一つの前記外側区域220の前記外側加熱線720の一部は、前記内側区域230における外側加熱線、すなわちケーブル800よりも高い温度を保つように制御され得る。
【0085】
実施例において、前記内側加熱線710は、少なくとも一部の区間が第1間隔D1で同一の前記内側区域230に配置され、それぞれ異なる前記内側区域230に配置される各内側加熱線710は、互いに平行に並ぶ箇所では第2間隔D2で配置され得る。例えば、前記内側加熱線710は、ジグザグ状又は波状をなす部分では前記第1間隔D1を有し得る。
【0086】
実施例において、前記内側加熱線710と前記外側加熱線710は互いに平行に並ぶ箇所では第3間隔D3で配置され得る。
【0087】
実施例において、前記第1間隔D1は、前記第2間隔D2よりも狭くてよい。これは、基板着座部200において前記第2間隔D2に対応する箇所と前記内側区域230の温度を同一又は類似にすることによって、前記基板着座部200全体を均一な温度分布にさせるためである。
【0088】
すなわち、前記第2間隔D2に対応する箇所にはケーブル800が配置され、該ケーブル800からジュール(Joule)熱が発生するので、前記第2間隔D2に対応する箇所は、前記内側区域230に比べてより多量の発熱があり得る。
【0089】
したがって、前記第1間隔D1を前記第2間隔D2よりも狭い間隔にすることによって、前記第2間隔D2に対応する箇所において前記内側加熱線710の加熱による温度は、前記内側区域230の温度より低くなり得る。
【0090】
ただし、前記第2間隔D2に対応する箇所に配置されるケーブル800が発熱し、このような発熱により、前記第2間隔D2に対応する箇所と前記内側区域230との温度差が補償され得る。
【0091】
すなわち、前記第2間隔D2に対応する箇所では、内側加熱線710とケーブルが共に発熱し、前記内側区域230では内側加熱線710だけが発熱するので、前記第1間隔D1を前記第2間隔D2よりも狭い間隔にして各部位の発熱量を調節することによって、前記第2間隔D2に対応する箇所と前記内側区域230の温度を同一又は類似にさせることができる。
【0092】
実施例において、前記第1間隔D1は、前記第3間隔D3と同一であるか、又は前記第3間隔D3よりも狭くてよい。これは、外側区域220で発生する瞬間的な温度上昇を抑制又は緩和するためである。
【0093】
外側区域220では、基板着座部200の側面が外気に接触するので、内側区域230に比べて相対的に冷却されやすい。このため、前記外側区域220に配置される外側加熱線720は、前記内側加熱線710に比べて相対的に高い発熱量を有するように設けられ得る。
【0094】
仮に、外側区域220に配置される外側加熱線720が外気によって冷却されやすいことがない場合では、前記外側加熱線720が配置される外側区域220は瞬間的に温度が上昇し、外側区域220と内側区域230との温度分布がばらつくことがある。
【0095】
このような温度ばらつきを解消するために、第1間隔D1は前記第3間隔D3と同一であるか、前記第3間隔D3より狭いよう設けられ、このような構造によって、内側加熱線710から外側区域22への熱伝達を抑制し、逆に、外側加熱線720から内側区域230への熱伝達を増加させることによって、外側区域220で発生する瞬間的な温度上昇を効果的に抑制又は緩和させることができる。
【0096】
実施例において、前記第2間隔D2は前記第3間隔D3と同一であるか、前記第3間隔D3よりも広くてよい。これは、基板着座部200全体の温度分布を均一にするためである。
【0097】
基板着座部200で、上記のた通り、前記第2間隔D2に対応する箇所では内側加熱線710とケーブルが共に発熱し、前記第3間隔D3に対応する箇所では内側加熱線710と外側加熱線720が共に発熱し得る。
【0098】
図3を参照すると、例えば、前記第2間隔D2に対応する箇所では、2個の内側加熱線710と2個のケーブル800が共に発熱し、前記第3間隔D3に対応する箇所では1個の内側加熱線710と1個の外側加熱線720が共に発熱し得る。
【0099】
このため、前記第2間隔D2に対応する箇所の発熱量は、前記第3間隔D3に対応する箇所の発熱量よりも大きくなることがあり、これによって基板着座部200全体の温度分布が不均一になり得る。
【0100】
したがって、実施例において、前記第2間隔D2は前記第3間隔D3と同一であるか、前記第3間隔D3よりも広い間隔にすることによって、前記第2間隔D2に対応する箇所では相対的に周囲へ熱がよく伝達され、前記第3間隔D3に対応する箇所では相対的に周囲へ熱がよく伝達されないようにし得る。
【0101】
このような構造によって、前記第2間隔D2に対応する箇所と前記第3間隔D3に対応する箇所における温度が同一又は類似になり、基板着座部200全体の温度分布を均一になり得る。
【0102】
図4は、
図3のB部分を示す図である。実施例において、
図4に示すように、基板10のコーナー部は、前記外側区域220から離隔して前記内側区域230に配置され得る。
【0103】
例えば、基板10が角形である場合、コーナー部から外部に熱伝達が活発になり、内側加熱線710からコーナー部への熱供給が不十分となる場合がある。このため、基板10のコーナー部が他の部位に比べてより冷却され、製品不良発生の原因になることがある。
【0104】
したがって、基板10のコーナー部が冷却によって他の部位と熱的不均衡となることを防止するために、基板100のコーナー部は内側区域230に配置し、基板10のコーナー部と離隔している外側区域220に配置される外側加熱線720の温度を適度に制御し、外側加熱線720から発生する熱を基板着座部200を通って伝導方式で基板10のコーナー部に伝達させることができる。
【0105】
このような構造によって、外側加熱線720は基板10のコーナー部の温度を適度に制御して製品不良を防止することができ、さらに、蒸着などの加工工程で製造された完成品基板、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)などの特性を製造段階で制御できるという効果がある。
【0106】
図5は、
図3のA部分を示す図である。実施例において、
図5に示すように、前記基板着座部200の中央部には、前記基板着座部200を支持し昇降させる昇降部210が設けられ、前記昇降部210は、通孔が設けられ得る。すなわち、前記昇降部210は中空の柱で構成され得る。
【0107】
このとき、前記内側加熱線710及び外側加熱線720を構成する各電熱線は、前記昇降部210の通孔に配置される各ケーブル800と連結されて、前記外部電源及び制御装置と電気的に連結され得る。
【0108】
このとき、上記の通り、各電熱線は、独立して前記外部電源及び制御装置と電気的に連結され、独立して加熱温度が制御され得る。
【0109】
例えば、実施例において、内側区域230を加熱する第1-1加熱線710-1~第1-2加熱線710-2、外側区域220を加熱する第2-1加熱線720-1~第2-2加熱線720-2の、総8個の加熱部700が基板着座部200に独立して設けられ得る。
【0110】
したがって、総8個の加熱部700を構成する各電熱線の両端は一対のケーブル800によって前記外部電源及び制御装置に連結され得る。そののために、
図5に示すように、前記昇降部210は、総8対のケーブル800が通孔に配置され得る。
【0111】
総8対の前記ケーブル800は、総8個の加熱部700を独立して前記外部電源及び制御装置に電気的に連結させることができる。このような構成により、前記総8個の加熱部700は、前記外部電源及び制御装置によって独立して電源を受け、制御され、加熱され得る。
【0112】
各加熱部700は独立した適度の温度制御によって加熱されるため、基板着座部200の全領域が均一の又はわずかな差の温度に加熱され得る。
【0113】
例えば、内側区域230に比べて冷却速度がより速い外側区域220は、内側区域230に比べてより高い温度に設定されて加熱されるため、基板着座部200の内側区域230と外側区域220の温度が均一又は微小な差で維持され得る。
【0114】
実施例において、基板着座部200の全領域にわたって温度を均一又は微小な差で保たせることによって、基板着座部200の全体温度均一度を改善させ得るという効果がある。
【0115】
また、基板着座部200を外側区域220と内側区域230とに分割し、さらに前記外側区域220と内側区域230を複数に分割し、各区域の温度を個別に調節できるという効果がある。
【0116】
特に、基板着座部200の外側区域220の温度を個別調節できるので、前記外側区域220と隣接した基板10のコーナー部の温度調節を容易にし、完成品基板の素子特性を調節できるという効果がある。
【0117】
実施例と関連して上述したように、いくつかの実施の形態だけを説明したが、その他にも様々な形態の実施が可能である。上述した実施例の技術的内容は、互いに両立できない技術でない限り、様々な形態で組み合わせることができ、それによる新しい実施の形態も具現可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0118】
実施例において、基板着座部の全領域にわたって温度が均一であるか、微小な差で保たれるようにし、基板着座部の全体温度均一度を改善させることができる。