(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】薬物として使用する多価フコース誘導体
(51)【国際特許分類】
C07H 15/26 20060101AFI20221122BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20221122BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221122BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20221122BHJP
A61K 31/785 20060101ALI20221122BHJP
A61K 31/724 20060101ALI20221122BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20221122BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20221122BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20221122BHJP
C08B 37/16 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C07H15/26 CSP
A61P31/10
A61P11/00
A61K31/7056
A61K31/785
A61K31/724
A61K47/55
A61K47/61
A61K47/54
C08B37/16
(21)【出願番号】P 2019543382
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018053843
(87)【国際公開番号】W WO2018149945
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-07
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504336294
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ デ ナンテス
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE NANTES
【住所又は居所原語表記】1,quai Tourville,BP 13522,F-44035 Nantes Cedex 1 FRANCE
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】グイン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブルマン,サミ
(72)【発明者】
【氏名】ル パープ,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァロット,アナベル
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-202810(JP,A)
【文献】特表2017-503863(JP,A)
【文献】特表2015-522702(JP,A)
【文献】Journal of the American Chemical Society,2014年,Vol.136,p.4325-4332
【文献】Organic Letters,2004年,Vol.6, No.20,p.3457-3460
【文献】Chem. Eur. J.,2013年,Vol.19,p.7847-7855
【文献】Org. Biomol. Chem.,2007年,5(14),pp.2291-2301
【文献】MEHDI ALMANT,CHEMISTRY - A EUROPEAN JOURNAL,2011年07月19日,V17 N36,P10029-10038
【文献】SEBASTIEN G. GOUIN,CHEMMEDCHEM,2009年05月11日,V4 N5,P749-755
【文献】Beilstein J. Org. Chem.,2012年,Vol.8,p.421-427
【文献】Organic & Biomolecular Chemistry,2016年,Vol.14(13),p.3476-3481
【文献】Chemistry - A European Journal,2016年,Vol.22(1),p.88-92
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
C07H
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのフコース部分を有し、かつ分子量は0.6kDaから340
kDaを有する化合物であり、
前記化合物は式(I)
【化18】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次のA1~A4から選択され、
【化19】
kは1又は3に等
しい;
【化20】
rは1から30までで
ある;
【化21】
sは5から300までで
ある;
【化22】
vは0から10までで
ある;
Bは次の式であり、
【化23】
Bは、Bがトリアゾールの窒素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB1であり、Bが炭素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB2である;
【化86】
【化87】
Cは次の式であり、
【化24】
yは0又は1に等しく;
XはO、S、又はCH
2から選択され;
Uは次から選択され、
【化25】
mは0から8までであり、
【化26】
nは0から8までであり、
【化27】
pは1から10までであり、
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
qは1から10までであり、
【化32】
又は
【化33】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる
;
Dは次から選択される
【化34】
jは0から8である、
である化合物。
【請求項2】
前記式(I)が
【化35】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次のA1~A4から選択され、
【化36】
kは1又は3に等
しい;
【化37】
rは1から30までで
ある;
【化38】
sは5から300までで
ある;
【化39】
vは0から10までで
ある;
Bは次の式であり、
【化40】
Bは、Bがトリアゾールの窒素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB1であり、Bが炭素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB2である;
【化88】
【化89】
Cは次の式であり
【化41】
yは1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択され、
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
qは1から10までであり、
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される
;
Dは次から選択される
【化46】
jは0から8である、
である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記A
がA1-1から選択され
る、
【化47】
kは1に等しい;
前記D
i、B、Cは式(I)で定義される;
又は
前記A
が次のA2-1~A2-8から選択され
る、
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
前記D
i、B、Cは式(I)で定義される、
又は
前記A
が次のA3-1から選択され
る、
【化56】
sは~66に等しい;
前記D
i、B、Cは式(I)で定義される;
又は
前記A
が次のA4-1から選択され
る、
【化57】
前記D
i、B、Cは式(I)で定義される、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記CがC1、C2又はC3から選択さ
れる、
【化60】
【化61】
【化62】
前記A、B、D
iは式(I)に定義される;
又は前記Cが次のC2-1又はC2-2から選択さ
れる、
【化63】
【化64】
前記A、B、D
iは式(I)に定義される、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が式(I)であり、前記化合物が次
から選択される[B-C]の群を含み
、
[B2 - C1],
[B2 - C2],
[B2 - C2-1],
[B2 - C2-2]又は
[B1 - C3];
ここで、前記A、D
i
、B1、B2は請求項1の式(I)に定義され、
前記C1、C2、C3、C2-1及びC2-2は、
【化90】
【化91】
【化92】
【化93】
【化94】
である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が
式(I)であり、前記化合物が次から選択される
[A-B-C]の群を含む化合物であり、
[A1 - B2 - C1],
[A1 - B2 - C2],
[A1 - B2 - C2-1],
[A1 - B2 - C2-2],
[A2 - B2 - C1],
[A4 - B2 - C1],
[A4 - B2 - C2],
[A4 - B2 - C2-1]
[A4 - B2 - C2-2]又は
[A3 - B1 -C3]
前記A1、A2、A3、A4、B1、B2は請求項1の式(I)に定義され、
前記C1、C2、C3、C2-1及びC2-2は、
【化95】
【化96】
【化97】
【化98】
【化99】
である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が式(I)であり、前記化合物が次から選択される[A-B-C]の群を含む化合物であり、
[A1-1 - B2 - C1],
[A1-1 - B2 - C2],
[A1-1 - B2 - C2-1],
[A1-1 - B2 - C2-2],
[A2-4 - B2 - C1],
[A2-5 - B2 - C1],
[A2-6 - B2 - C1],
[A2-7 - B2 - C1],
[A2-8 - B2 - C1],
[A4-1 - B2 - C1],
[A4-1 - B2 - C2],
[A4-1 - B2 - C2-1],
[A4-1 - B2 - C2-2]又は
[A3-1 - B1 - C3],
前記A1-1、A2-4、A2-6、A2-7、A2-8、A4-1、A3-1は請求項3の式(I)に定義され、前記B1、B2は請求項1の式(I)に定義され、
前記C1、C2、C3、C2-1及びC2-2は、
【化100】
【化101】
【化102】
【化103】
【化104】
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が次から選択される、
【化65】
【化66】
【化67】
又は
【化68】
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
少なくとも2つのフコース部分を有す
る化合物
を活性成分として含む、薬物として使用するための組成物であり、前記化合物の分子量は0.6kDaから340
kDaであり;
前記化合物は式(I)
【化69】
式中、
iは0又は1に等しい
Aは次のA1~A4から選択される
【化70】
kは1又は3に等
しい;
【化71】
rは1から30までで
ある;
【化72】
sは5から300までで
ある;
【化73】
vは0から10までで
ある;
Bは次の式であり、
【化74】
Bは、Bがトリアゾールの窒素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB1であり、Bが炭素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB2である;
【化105】
【化106】
Cは次の式であり、
【化75】
yは0又は1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択され、
【化76】
mは0から8までであり、
【化77】
nは0から8までであり、
【化78】
pは1から10までであり、
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
q は1から10までであり、
【化83】
又は
【化84】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立して H、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただし y+n又はy+mは0とは異なる
;
Dは次から選択される
【化85】
jは0から8である、
である組成物。
【請求項10】
有効成分として請求項
1~8のいずれか1項に定義される化合物を含むアスペルギル
ス症の予防又は治療に薬物としての使用を目的とする組成物。
【請求項11】
前記組成物はヒト用及び/又は動物用に調製される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記アスペルギルス
症がアスペルギルス属フミガティ節菌、アスペルギルス属フラビ節菌、アスペルギルス属ニガー節菌、アスペルギルス属ニデュランテス節菌、アスペルギルス オリゼー、アスペルギルス ボムビシス(bombycis)、アスペルギルス ネミウス(nemius)
から選択されるアスペルギルス属菌種によって引き起こされる感染症である、請求項
10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
前
記アスペルギルス
症がアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギローマ、慢性肺アスペルギルス症、又は浸潤性肺アスペルギルス症である、請求項
10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記化合物が呼吸経路
、吸入、経口経
路又は静脈内投与により使用される、請求項
10~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が1mgから
10gの活性成分を含
む、請求項10~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が0.015mg/kgから143mg/kgの活性成分の投与量を含む、請求項10~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記化合物がアゾール抗真菌剤、ポリエン抗真菌剤、又はエキノキャンディン抗真菌剤などの抗真菌剤と関連している、請求項
10~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
アスペルギル
ス症の予防又は治療のための薬物の製造における、少なくとも2つのフコース部分を持つ化合物であり、前記化合物の分子量は0.6kDaから340
kDaであり
、
前記化合物は式(I)
【化1】
式中、iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化2】
kは
1又は3に等
しい;
【化3】
rは1から30までで
ある;
【化4】
sは5から300までで
ある;
【化5】
vは0から10までであ
る;
Bは次の式であり、
【化6】
Bは、Bがトリアゾールの窒素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB1であり、Bが炭素原子を通じてCと結合してB-Cを形成する場合はB2である;
【化107】
【化108】
Cは次の式であり;
【化7】
yは0又は1に等しく;
XはO、S、又はCH
2から選択され;
Uは次から選択される
【化8】
mは0から8までであり、
【化9】
nは0から8までであり、
【化10】
pは1から10までであり、
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
qは1から10までであり、
【化15】
又は
【化16】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる
;
Dは次から選択される
【化17】
jは0から8である、
化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物として使用する多価フコース誘導体に関する。より詳しくは、本発明はアスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の予防又は治療に薬物として使用する多価フコース誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
侵潤性アスペルギルス症は同種移植患者又は白血病患者などの重症免疫不全患者の主な死亡原因である。この病原体は嚢胞性線維症、気管支肺慢性閉塞性疾患(BPCO)及び喘息により患者を衰弱させるアレルギー型に、またアスペルギルス腫及び慢性肺アスペルギルス症に関与する。今日のアスペルギルス症の予防と治療戦略は、毒性及び抗真菌薬に対する耐性の問題に直面している。
【0003】
アスペルギルス症の治療は、治療に対する固有又は獲得耐性の問題が発生するアゾール誘導体(イトラコナゾール、ボリコナゾールなど)にかかっている。しかし広範囲なスペクトルを有するアンホテリシンBは有意な腎毒性を示す一方、新しいクラスに属する抗真菌剤のエキノカンジンはアスペルギルス属菌種に対してはほとんど活性を示さない。全身治療は別として現在、抗真菌剤の吸入は治療法の選択肢ではあるが、長期毒性から判断すると予防には考えにくい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの目標はアスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の予防に薬物として使用する化合物の提供である。
本発明の別の目的はアスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の治療に薬物として使用する化合物の提供である。
本発明の1つの目的は少なくとも2つのフコース部分を有する化合物の提供である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明はアスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の予防又は治療に薬物として使用する少なくとも2つのフコース部分を有する化合物に関し、かかる化合物の分子量は0.6kDaから340kDa、特に0.6kDaから2kDa、又は1kDaから7kDa、又は2kDaから10kDa、又は5kDaから340kDaである。
特に化合物の分子量は0.6kDaから2kDaまでであり、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2kDaを含む。
【0006】
本発明によれば分子量が0.6kDaから2kDaまでの化合物は二価の足場を有する化合物に対応する。本発明によれば用語「二価の足場」とは、それぞれフコース部分に共有結合された2つの部位を有する足場を言う。二価の足場の例としてはアルキル鎖及びポリエチレングリコール鎖が挙げられる。
特に化合物の分子量は1kDaから7kDaまでであり1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7kDaの分子量を含む。
【0007】
本発明によれば分子量が1kDaから7kDaまでの化合物はサイクリックな6価から8価までの足場を有する化合物に対応する。本発明によれば用語「サイクリックな6価から8価までの足場」とは、柔軟なリンカーを通して束縛され、それぞれフコース部分に共有結合された6、7、又は8部位を有する足場を言う。サイクリックな6価から8価までの足場の例としてはカリキサレン及びシクロデキストリンが挙げられる。
特に化合物の分子量は2kDaから10kDaまでであり、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10kDaの分子量を含む。
【0008】
本発明によれば分子量が2kDaから10kDaまでの化合物は多面体、ケージ状、8価の足場を有する化合物に対応する。本発明によれば用語「多面体、ケージ状、8価の足場」とは、それぞれフコース部分に共有結合された8部位を有する足場を言う。
多面体、ケージ状、8価の足場の例としてはフラーレン及び多面体オリゴマシルセスキオキサン(POSS)が挙げられる。
特に化合物の分子量は5kDaから340kDaまでであり5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、340kDaの分子量を含む。
【0009】
本発明によれば分子量が5kDaから340kDaまでの化合物は線形超原子価の足場を有する化合物に対応する。本発明によれば用語「線形超原子価」とは、それぞれフコース部分に共有結合された少なくとも23部位を有する足場を言う。線形超原子価の例としてはプルラン及びデキストランなどのポリマーが挙げられる。
【0010】
本発明によれば用語「予防」とはプロフィラクスィス(Prophylaxis)に関し、疾患治療と対照的に疾患予防に取られた対策から成る。疾患予防は先行措置に依存する。
本発明によれば用語「治療」は病気を抑えるための、又は患者を治療するための全ての適当な手段に関する。
【0011】
本発明によれば用語「アスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症」は、アスペルギルス症などのアスペルギルス属の真菌により引き起こされる感染症に関する。
【0012】
本発明は本発明の化合物によるアスペルギルス属菌種レクチンAFLの予想外の阻害に基づく。このレクチンはアスペルギルス属菌種胞子の表面にあり、真菌の宿主細胞のグリカンへの付着を可能にする(Houser et al, Plos One, 2013, 8, e83077)。AFLレクチンはFleAとも呼ばれる。この抗付着性により本発明の化合物はアスペルギルス属菌種により引き起こされる疾患を予防及び/又は治療する薬物として使用することができる。
【0013】
有利な実施形態では、本発明は使用を目的とする化合物に関し、かかる化合物は式(I)である
【化1】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化2】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化3】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化4】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化5】
vは0から10までであり、特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化6】
Cは次の式である
【化7】
yは0又は1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる;
特にmは1から5である;
特にnは1から5である;
Dは次から選択される
【化17】
Aは足場であり、Dはオプショナルスペーサーであり、Bはトリアゾールスペーサーであり、Cはフコース部分である。
【0014】
破線「
」と交差した線「
」はそれぞれがその隣に共有結合する選択された群の部位を示す。
選択された群における1本以上の破線「
」の存在は、それぞれ同じ置換基に共有結合される部位を示す。つまり足場Aは常に同じ(D)
i - B - C群に1回以上結合されている。
選択された群における1つの破線「
」と1つの交差した線「
」の存在は、それぞれ2つの異なる置換基に共有結合される部位を示す。
例えば足場はA2
【化18】
であり、
及びトリアゾールスペーサーはB
【化19】
である場合、形成されるA2-Bは
【化20】
又は
【化21】
を表す。
【0015】
トリアゾールスペーサーB
【化22】
はA - (D)
i及びCに結合されている。A - (D)
i群はトリアゾールの窒素原子又は炭素原子のどちらか一方だけに結合され、C群は他の原子に結合される。例えばBがトリアゾールの窒素原子を通じてA - (D)
i群に結合している場合は、Cは炭素原子を通じてトリアゾールに結合され、式
【化23】
のA - (D)
i - B - C群を形成する。
【0016】
本発明によればポリエチレングリコ-ル群は次のように書かれる
【化24】
又は
【化25】
U群に見る太い線「
」はX群への接続点を表し、U及びXはフコース部分Cに属する。
ジグザグボンド「
」とはリンク二重結合の立体化学がZ又はEのいずれか一方だけという意味である。
【0017】
有利な実施形態では、本発明は使用を目的とする化合物に関し、かかる化合物は式(I)である
【化26】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化27】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化28】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、5から9までであり、10から15までであり、16から20までであり、21から25までであり、又は26から30である;
【化29】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化30】
vは0から10までであり、特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化31】
Cは次の式である
【化32】
yは1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
qは1から10までであり、
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
特にmは1から5である;
特にnは1から5である;
Dは次から選択される
【化37】
【0018】
有利な実施形態では、本発明は有効成分として上に定義した化合物を含むアスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の予防又は治療の薬物として使用を目的とする組成物に関する。
有利な実施形態では、本発明はヒト用及び/又は動物用に製剤され、有効成分として上に定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関する。
別の有利な実施形態では、本発明はヒト用及び/又は動物用に製剤され、有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関する。
【0019】
有利な実施形態では、本発明は有効成分として上に定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかるアスペルギルス属菌種はアスペルギルス属フミガティ節菌(Aspergillus Section Fumigati)、アスペルギルス属フラビ節菌(Aspergillus section Flavi)、アスペルギルス属ニガー節菌(Aspergillus section Nigri)、アスペルギルス属ニデュランテス節菌(Aspergillus section Nidulantes)、アスペルギルス オリゼー (Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ボムビシス(Aspergillus bombycis)、アスペルギルス ネミウス(Aspergillus nemius)である。
【0020】
特に本発明は有効成分として上に定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかるアスペルギルス属菌種がアスペルギルス属フミガティ節菌、アスペルギルス属フラビ節菌、アスペルギルス属ニガー節菌、アスペルギルス属ニデュランテス節菌、より詳しくはアスペルギルス属菌種がアスペルギルス属フミガティ節菌である。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかるアスペルギルス属菌種がアスペルギルス属フミガティ節菌、アスペルギルス属フラビ節菌、アスペルギルス属ニガー節菌、アスペルギルス属ニデュランテス節菌、アスペルギルス オリゼー、アスペルギルス ボムビシス、アスペルギルス ネミウスである。
特に本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかるアスペルギルス属菌種がアスペルギルス属フミガティ節菌、アスペルギルス属フラビ節菌、アスペルギルス属ニガー節菌、アスペルギルス属ニデュランテス節菌、より詳しくはアスペルギルス属菌種がアスペルギルス属フミガティ節菌である。
【0021】
有利な実施形態では、本発明は有効成分として上に定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかる感染症はアスペルギルス症であり、特にアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギローマ、慢性肺アスペルギルス症、又は浸潤性肺アスペルギルス症である。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかる感染症はアスペルギルス症であり、特にアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アスペルギローマ、慢性肺アスペルギルス症、又は浸潤性肺アスペルギルス症である。
アスペルギルス症はアスペルギルス感染症から生じる一群の疾患であり、侵潤性アスペルギルス症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、慢性肺アスペルギルス症、アスペルギローマが挙げられる。喘息はまたアスペルギルス感染症(SAFS)により合併して悪化する。アスペルギルスはヒトに影響を及ぼし、鳥及び動物もアスペルギルス症を発症して、商業的には多くの植物の病気及び食品の損傷はアスペルギルス感染又は汚染による可能性がある。
【0022】
有利な実施形態では、本発明は有効成分として上に定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかる化合物は呼吸経路により、特に吸入により、経口経路又は静脈内投与により使用される。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、式(I)の化合物は呼吸経路により、特に吸入により、経口経路また静脈内投与により使用される。
【0023】
本発明の化合物を含む吸入可能製剤としては吸入粉末、噴射剤含有の定量エアロゾル又は噴射剤不使用の吸入可能溶液が挙げられる。活性物質を含む本発明の吸入可能粉末は活性物質そのものか、又は生理的に許容可能な賦形剤との活性物質の混合物から成っている。本発明の範囲で用語「噴射剤不使用の吸入可能溶液」としては、使える状態である濃縮物又は無菌性の吸入可能溶液も挙げられる。
【0024】
吸入可能粉末:本発明の活性物質が生理的に許容可能な賦形剤との混合物中に存在する場合には、次に示す生理的に許容可能な賦形剤が本発明の吸入可能粉末を調製するのに使用される:単糖類(例えばグルコース又はアラビノース)、二糖類(例えばラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖類(例えばデキストラン)、ポリアルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩類(塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の相互の混合物。好ましくは単糖類又は二糖類が使用されるが、ラクトース又はグルコースの使用が、特に、但し限定的にではなく、これらの水和物の形態で好ましい。
【0025】
噴射剤含有の吸入可能エアロゾル:本発明に使用される噴射剤を含む吸入可能エアロゾルは、噴射剤ガス中に溶解されるか又は分散した形状で本発明の化合物を含む。本発明の吸入エアロゾルの調製に使用される噴射剤ガスは従来技術で周知である。好適な噴射剤ガスはn-プロパン、n-ブタン又はイソブタンなどの炭化水素、及びメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン、シクロブタンの好ましくはフッ素化された誘導体などのハロゲン化炭化水素から選択される。上記の噴射剤ガスはそれら単体で、又はそれらの混合液で使用される。特に好ましい噴射剤ガスはTG134a(1,1,1,2,-テトラフルオルエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、及びこれらの混合液から選択されるフッ素化アルカン誘導体である。本発明による使用の範囲内で使用される噴射剤による吸入エアロゾルは共溶媒、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、潤滑剤、pH調整剤などの別の成分も含む。これら成分の全ては当技術分野で知られている。
【0026】
噴射剤不使用の吸入可能溶液:特に本発明の化合物は噴射剤不使用の吸入可能溶液及び吸入可能懸濁液の調製に使用される。この目的に使用される溶媒としては水性又はアルコール性の溶液、好ましくはエタノール溶液が挙げられる。溶媒は水のみか、又は水とエタノールの混合液である。溶液又は懸濁液は好適な酸類を使ってpHが2から7に、好ましくは2から5の間に調整される。pHは無機又は有機酸を使って調整される。特に好適な無機酸の例としては塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例としてはアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸などが挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。活性物質のいずれかで酸付加塩を既に形成した酸を使用することもできる。有機酸ではアスコルビン酸、フマル酸、クエン酸が好ましい。望まれるのであれば、例えばクエン酸又はアスコルビン酸に見られる例えば香味剤、酸化防止剤、錯化剤などの酸性性質に加えたほかに別の特性がある酸の特別な場合において上記の酸類の混合液も使用できる。
【0027】
共溶媒及び/又は賦形剤は本発明の目的に用いられる噴射剤不使用の吸入可能溶液に添加される。好ましい共溶媒はアルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのヒドロキシル基又は別の極性基を含む共溶媒である。
【0028】
本明細書において用語「賦形剤」及び「添加剤」とは活性物質製剤の定性的性質を向上させるために、活性物質ではないが、薬理学的に好適な溶媒中の活性物質(単数又は複数)と製剤化される薬理学的に許容される物質を意味する。好ましくは、これらの物質には薬理効果は無く、又は望まれる治療に関して目立つような、あるいは少なくとも望ましくない薬理効果は無い。例えば賦形剤及び添加剤としては大豆レシチン、オレイン酸などの界面活性剤、ポリソルベートなどのソルビタンエステル、ポリビニルピロリドン、別の安定剤、錯化剤、完成した製剤の貯蔵期間を保証するか、又は延長させる酸化防止剤及び/又は防腐剤、当技術分野で知られている香味剤、ビタミン及び/又は別の添加物などが挙げられる。添加剤は等張剤としては塩化ナトリウムなどの薬学的に許容される塩も挙げられる。賦形剤が人体中のpH、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び類似のビタミン又はプロビタミンの調整に既に使用されてないことを条件に、好ましい賦形剤としては例えばアスコルビン酸などの酸化防止剤が挙げられる。防腐剤は病原菌による汚染から製剤を保護するのに使用される。好適な防腐剤は当技術分野で知られている防腐剤であり、従来技術で周知である濃度において特に塩化アセチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、安息香酸又は安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。
【0029】
本発明の組成物は減菌水又は無菌食塩水で再構成された無菌粉末、顆粒、タブレット、濃厚溶液又は懸濁液、冷凍乾燥粉末の形態でもよい。
即時注入液及び懸濁液は被験者投与前に減菌水又は無菌食塩水で再構成され、これらの無菌粉末、顆粒、タブレット、濃厚溶液又は懸濁液、冷凍乾燥粉末から調製できる。
望まれる投与経路に好適な製剤は当業者に周知であり、例えばRemington, The science and Practice of Pharmacy, 22eme edition, 2013, The Pharmaceutical Pressに記載されている。
【0030】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は1mgから1.4gの活性成分を含み、特に1mgから7mgの活性成分、又は7mgから700mgの活性成分、又は70mgから350mgの活性成分、又は350mgから700mgの活性成分、又は700mgから1.05gの活性成分、又は1.05gから1.4gの活性成分を含む。
本発明によれば1mgから1.4gの活性成分の投与量、特に1mgから7mgの活性成分、又は7mgから700mgの活性成分、又は70mgから350mgの活性成分、又は350mgから700mgの活性成分、又は700mgから1.05gの活性成分、又は1.05gから1.4gの活性成分の投与量はネビュライザ法により人体への一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は1mgから1.4gの活性成分、特に1mgから7mgの活性成分、又は7mgから700mgの活性成分、又は70mgから350mgの活性成分、又は350mgから700mgの活性成分、又は700mgから1.05gの活性成分、又は1.05gから1.4gの活性成分を含む。
【0031】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は200mgから10gの活性成分、特に400mgから7gの活性成分を含む。
本発明によれば200mgから10gの活性成分の投与量、特に400mgから7gの活性成分の投与量は経口経路からの人体への一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は200mgから10gの活性成分、特に400mgから7gの活性成分を含む。
【0032】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は10mgから10gの活性成分、特に50mgから7gの活性成分を含む。
本発明によれば10mgから10gの活性成分の投与量、特に50mgから7gの活性成分の投与量は人体への静脈注射からの一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかる組成物は10mgから10gの活性成分、特に50mgから7gの活性成分を含む。
【0033】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.015mg/kgから20mg/kgの活性成分、特に0.015mg/kgから0.1mg/kgの活性成分、又は0.1mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は1mg/kgから5mg/kgの活性成分、又は5mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は10mg/kgから15mg/kgの活性成分、又は15mg/kgから20mg/kgの活性成分を含む。
本発明によれば0.015mg/kgから20mg/kgの活性成分の投与量、特に0.015mg/kgから0.1mg/kgの活性成分、又は0.1mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は1mg/kgから5mg/kgの活性成分、又は5mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は10mg/kgから15mg/kgの活性成分、又は15mg/kgから20mg/kgの活性成分の投与量はネビュライザ法により70kgの人体への一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.015mg/kgから20mg/kgの活性成分、特に0.015mg/kgから0.1mg/kgの活性成分、又は0.1mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は1mg/kgから5mg/kgの活性成分、又は5mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は10mg/kgから15mg/kgの活性成分、又は15mg/kgから20mg/kgの活性成分を含む。
【0034】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は3mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に6mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
本発明によれば3mg/kgから143mg/kgの活性成分の投与量、特に6mg/kgから100mg/kgの活性成分の投与量は経口経路からの人体への一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は3mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に6mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
【0035】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.15mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に1mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
本発明によれば0.15mg/kgから143mg/kgの活性成分の投与量、特に1mg/kgから100mg/kgの活性成分の投与量は体重70kgの人体への静脈注射からの一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.15mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に1mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物はアゾール抗真菌剤、ポリエン抗真菌剤、又はエキノキャンディン抗真菌剤などの抗真菌剤と関連している。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物はアゾール抗真菌剤、ポリエン抗真菌剤、又はエキノキャンディン抗真菌剤などの抗真菌剤と関連している。
本発明は上に定義した化合物を投与するステップを含む、アスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の予防又は治療法に関する。
有利な実施形態では、本発明は上に定義した式(I)の化合物を投与するステップを含む、アスペルギルス属菌種により引き起こされる感染症の予防又は治療法に関する。
【0036】
本発明は少なくとも2つのフコース部分を有する化合物に関し、かかる化合物の分子量は0.6kDaから340kDa、特に0.6kDaから2kDa、又は1kDaから7kDa、又は2 kDaから10kDa、又は5kDaから340kDaである。
特に化合物の分子量は0.6kDaから2kDaまでであり0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2kDaを含む。
特に化合物の分子量は1kDaから7kDaまでであり1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7 kDaの分子量を含む。
特に化合物の分子量は2kDaから10kDaまでであり2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10kDaの分子量を含む。
特に化合物の分子量は5kDaから340kDaまでであり5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300。325、340kDaの分子量を含む。
【0037】
有利な実施形態では、本発明は化合物に関し、かかる化合物は式(I)である
【化38】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化39】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化40】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化41】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化42】
vは0から10までであり特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化43】
Cは次の式である
【化44】
yは0又は1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる;
特にmは1から5である;
特にnは1から5である;
Dは次から選択される
【化54】
【0038】
特別な実施形態では、本発明は少なくとも2つのフコース部分を有し、かつ分子量は0.6kDaから340kDa、特に0.6kDaから2kDa、又は1kDaから7kDa、又は2kDaから10kDa、又は5kDaから340kDaを有する化合物に関する。
かかる化合物は式(I)である
【化55】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化56】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化57】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化58】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化59】
vは0から10までであり、特に1から8までであり好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化60】
Cは次の式である
【化61】
yは0又は1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる;
特にmは1から5である;
特にnは1から5である;
Dは次から選択される
【化71】
【0039】
有利な実施形態では、本発明は式(I)の化合物に関する。
【化72】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化73】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化74】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化75】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化76】
vは0から10までであり、特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化77】
Cは次の式である
【化78】
yは1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
特にmは1から5である;
特にnは1から5である;
Dは次から選択される
【化83】
【0040】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-A1)の化合物に関し、Aは式A1であり、特に次から選択される
【化84】
kは1に等しい;
D
i、B、Cは式(I)で定義される。
【0041】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-A2)の化合物に関し、Aは式A2であり、特に次から選択される
【化85】
rは1に等しい;
【化86】
rは2に等しい;
【化87】
rは3に等しい;
【化88】
rは4に等しい;
【化89】
rは7に等しい;
【化90】
rは11に等しい;
【化91】
rは19に等しい;
【化92】
rは27に等しい;
D
i、B、Cは式(I)で定義される。
【0042】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-A3)の化合物に関し、Aは式A3であり、特に次から選択される
【化93】
sは~66に等しい;
D
i、B、Cは式(I)で定義される。
【0043】
デキストラン足場(A3)はポリマー足場である。このポリマー足場は多分散系であり、足場のグルコース単量体単位の割合は正確に定義できない。特に本発明のデキストラン足場は多分散性指数のPDIで1.5未満である。従って式(A3-1)の群は約68個のグルコース単位(sは~66に等しい)を有し、「約68個のグルコース単位」とは1.43のPDIを言う。
【0044】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-A4)の化合物に関し、Aは式A4であり、特に次から選択される
【化94】
D
i、B、Cは式(I)で定義される。
【0045】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-B)の化合物に関し、BはB1又はB2から選択される
【化95】
【化96】
A、D
i、Cは式(I)に定義される。
【0046】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-C)の化合物に関し、CはC1、C2、又はC3から選択される
【化97】
【化98】
【化99】
A、B、D
iは式(I)に定義される。
式C1においてXは酸素原子であり、m及びnは0に等しい。
式C2においてXは酸素原子であり、mは0に等しくnは0から8までである。
式C3においてXは酸素原子であり、mは1に等しく、nは0に等しい。
【0047】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-C2)の化合物に関し、Cは次から選択される
【化100】
【化101】
A、B、D
iは式(I)に定義される。
(C2-1)においてX群はOであり、mは0に等しく、nは2に等しい。(C2-2)においてX群はOであり、mは0に等しく、nは4に等しい。
【0048】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I-BC)の化合物に関し、かかる化合物は下記の群を含む
[B2 - C1],
[B2 - C2],
[B2 - C2-1],
[B2 - C2-2]又は
[B1 - C3];
Aは式(I)に定義される。
【0049】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I)の化合物に関し、かかる化合物は次から選択される
[A1 - B2 - C1],
[A1 - B2 - C2],
[A1 - B2 - C2-1],
[A1 - B2 - C2-2]
[A1-1 - B2 - C1],
[A1-1 - B2 - C2],
[A1-1 - B2 - C2-1]又は
[A1-1 - B2 - C2-2]
【0050】
本発明によれば式(A1-1 - B2 - C2-1)の化合物は以下を表す。
【化102】
6つのフコース部分を有する本発明のα-シクロデキストリン誘導体(6個のグルコース単位を有するシクロデキストリン)はアスペルギルスのレクチンに対する特に強い親和性を有し、このレクチンに対する特に強い抗付着性に関連することを発明者らは発見した。本発明の一態様によれば本発明のα-シクロデキストリン誘導体はAFLレクチンに特に強い親和性を有し、かつAFLに対する特に強い抗付着性に関連する。
【0051】
例えばアスペルギルスのレクチンAFLに対する親和性は実施例35に記載した等温滴定型カロリメトリー(ITC)法で測定される。等温滴定型カロリメトリーは生体分子と合成化合物の間の相互作用の熱力学定数の測定に頻繁に使用される方法である。これは関与するパートナーを変更せずに、結合に関するエンタルピー及びエントロピーのパラメータの両方を測定する唯一の方法である。この方法は2つのセルを備える微小熱量計において、化合物-受容体結合の形成における熱放出の推定法に基づく。1つは正確な温度で維持された超純水を含んで参照細胞となり、もう1つは固定濃度での蛋白質溶液を含む(
図1-I)。この溶液に対して装置は撹拌しながら一定時間の間隔で化合物溶液の正確な量を添加する。その後この注入により、加熱抵抗器によって補償される参照細胞について熱の変化が生まれる。また温度を維持するのに必要な電力は全ての化合物注入について記録される。グラフ形式での生データの積分(
図1-II及び1-III)により解離定数Kd、結合の化学量論データ、エンタルピーデータ(ΔH)が得られる。このデータから自由エンタルピー(ΔG)及び系のエントロピー変動(ΔS)を測定できる。平衡勾配から得られた解離定数が化合物-蛋白質の熱力学的親和性を示す一方、下部プレートと上部プレートのエネルギー差はエンタルピー値である。このことは形成された結合に対する水素結合及びvan der Waalsエネルギーの寄与を示す。自由エンタルピー及び系のエントロピーの値は熱力学の方程式により取得された最初のデータから推定される。エントロピーは自由度の喪失などの立体配座的考察の一部となる。
【0052】
例えば抗付着性は実施例36に記載の方法で測定される。抗付着戦略は気管支肺上皮の表面における分生子付着の阻害に基づく。これらの胞子は上皮を形成する肺胞性肺細胞に対する特に高い付着能を表す。第1のステップは96ウエルプレートに肺胞性肺細胞の層の取得を目的としている。そのために約40,000個の細胞は各ウエルに導入され、37℃で7日間培養される。この培養中に細胞はウエルの下部に均一に堆積してゆき、合流して細胞間には空きスペースがなくて細胞同士が接触する状態である。平行してアスペルギルス フミガタスを37℃で3日から5日間成長させる。次に胞子はPBS緩衝液で注意深く収集され、フィラメント(菌糸)に進化した胞子を収集しないようにする。この溶液は1-2x10
6 胞子/mlの濃度に希釈されたら、可変濃度における本発明の種々のフコシド誘導体と前培養される。このステップは本発明のフコシド誘導体がアスペルギルス フミガタスにおけるレクチンAFLとの予めの相互作用を可能にする。続けてこれらの溶液は肺細胞の層を含むウエルに添加され、37℃で45分間培養される。大きな抗付着能を有する化合物は胞子の結合能力を低下させる。それ故に培養後には上清に存在する胞子は3段階の濯ぎのステップで除去される。次に細胞層に付着した胞子は400の肺細胞の平均面において顕微鏡下で数えられる。この方法は
図3に図式化する。
【0053】
別の有利な実施形態では、本発明は式(I)の化合物に関し、かかる化合物は次から選択される
[A2 - B2 - C1],
[A2-4 - B2 - C1],
[A2-5 - B2 - C1],
[A2-6 - B2 - C1],
[A2-7 - B2 - C1],
[A2-8 - B2 - C1],
[A4 - B2 - C1],
[A4 - B2 - C2],
[A4 - B2 - C2-1]
[A4 - B2 - C2-2],
[A4-1 - B2 - C1],
[A4-1 - B2 - C2],
[A4-1 - B2 - C2-1],
[A4-1 - B2 - C2-2],
[A3 - B1 - C3] 又は
[A3-1 - B1 - C3],
又は、かかる化合物は次から選択される
【化103】
【化104】
【化105】
【化106】
【0054】
本発明は薬物として使用する少なくとも2つのフコース部分を有する化合物に関し、かかる化合物の分子量は0.60kDaから340kDa、特に0.60kDaから2kDa、又は10kDaから7kDa、又は20kDaから10kDa、又は50kDaから340kDaである。
特に化合物の分子量は0.60kDaから2kDaまでであり0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2kDaを含む。
特に化合物の分子量は1kDaから7kDaまでであり1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7kDaの分子量を含む。
特に化合物の分子量は2kDaから10kDaまでであり2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10kDaの分子量を含む。
特に化合物の分子量は5kDaから340kDaまでであり5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、340kDaの分子量を含む。
【0055】
有利な実施形態では、本発明は使用を目的とする化合物に関し、かかる化合物は式(I)である
【化107】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化108】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化109】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化110】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化111】
vは0から10までであり、特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化112】
Cは次の式である
【化113】
yは0又は1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化114】
【化115】
【化116】
【化117】
【化118】
【化119】
【化120】
【化121】
【化122】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる;
特にmは1から5である;
特にnは1から5である;
Dは次から選択される
【化123】
有利な実施形態では、本発明は使用を目的とする化合物に関し、かかる化合物は式(I)である
【化124】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化125】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化126】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、5から9までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化127】
sは5から300までであり特に60から80である;
【化128】
vは0から10までであり、特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化129】
Cは次の式である
【化130】
yは1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化131】
【化132】
【化133】
【化134】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
特にmは1から5である;
特にnは0から5である;
Dは次から選択される
【化135】
【0056】
特別な実施形態では、本発明は薬物として使用する少なくとも2つのフコース部分を有する化合物に関し、かかる化合物の分子量は0.6kDaから340kDa、特に0.6kDaから2kDa、又は1kDaから7kDa、又は2kDaから10kDa、又は5kDaから340kDaである
かかる化合物は式(I)である
【化136】
式中、
iは0又は1に等しい;
Aは次から選択される
【化137】
kは1、2、又は3に等しく、特にkは1に等しい;
【化138】
rは1から30までであり、特に1から4までであり、5から9までであり、10から15までであり、16から20までであり、又は26から30である;
【化139】
sは5から300までであり、特に60から80である;
【化140】
vは0から10までであり、特に1から8までであり、好ましくは、vは3に等しい;
Bは次の式である
【化141】
Cは次の式である
【化142】
yは0又は1に等しい;
XはO、S、又はCH
2から選択される;
Uは次から選択される
【化143】
【化144】
【化145】
【化146】
【化147】
【化148】
【化149】
【化150】
【化151】
R
1、R
2、R
3、R
4は相互に独立してH、COCH
3、NH
2、NO
2、NHAc、OH、OMe、COOH、COOMe、CONHMe、Cl、Br、I、F、SMe、又はMeから選択される;
ただしy+n又はy+mは0とは異なる;
特にmは1から5である;
特にnは0から5である;
Dは次から選択される
【化152】
【0057】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む薬物として使用を目的とする組成物に関する。
別の有利な実施形態では、本発明はヒト用及び/又は動物用に調製され、有効成分として上に定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関する。
別の有利な実施形態では、本発明はヒト用及び/又は動物用に調製され、有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関する。
別の有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる化合物では呼吸経路が使用され、特に吸入による。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、式(I)の化合物では呼吸経路が使用され、特に吸入による。
【0058】
本発明の化合物を含む吸入可能製剤としては吸入粉末、噴射剤含有の定量エアロゾル又は噴射剤不使用の吸入可能溶液が挙げられる。活性物質を含む本発明の吸入可能粉末は活性物質そのものか、又は生理的に許容可能な賦形剤との活性物質の混合物から成っている。本発明の範囲で用語「噴射剤不使用の吸入可能溶液」としては、使える状態である濃縮物又は無菌性の吸入可能溶液も挙げられる。
【0059】
吸入可能粉末:本発明の活性物質が生理的に許容可能な賦形剤との混合物中に存在する場合には、次に示す生理的に許容可能な賦形剤が本発明の吸入可能粉末を調製するのに使用される:単糖類(例えばグルコース又はアラビノース)、二糖類(例えばラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖類(例えばデキストラン)、ポリアルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩類(塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の相互の混合物。好ましくは単糖類又は二糖類が使用される一方で、ラクトース又はグルコースの使用が好ましく特に、但し限定的にではなく、これらの水和物の形態が好ましい。
【0060】
噴射剤含有の吸入可能エアロゾル:本発明に使用される噴射剤を含む吸入可能エアロゾルは、噴射剤ガス中に溶解されるか又は分散した形状で本発明の化合物を含む。本発明の吸入エアロゾルの調製に使用される噴射剤ガスは従来技術で周知である。好適な噴射剤ガスはn-プロパン、n-ブタン又はイソブタンなどの炭化水素、及びメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン、シクロブタンの好ましくはフッ素化された誘導体などのハロゲン化炭化水素から選択される。上記の噴射剤ガスはそれら単体で、又はそれらの混合液で使用される。特に好ましい噴射剤ガスはTG134a(1,1,1,2,-テトラフルオルエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、及びこれらの混合液から選択されるフッ素化アルカン誘導体である。本発明による使用の範囲内で使用される噴射剤による吸入エアロゾルは共溶媒、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、潤滑剤、pH調整剤などの別と成分も含む。これら成分の全ては当技術分野で知られている。
【0061】
噴射剤不使用の吸入可能溶液:本発明の化合物は特に噴射剤不使用の吸入可能溶液及び吸入可能懸濁液の調製に使用される。この目的に使用される溶媒としては水性又はアルコール性の溶液、好ましくはエタノール溶液が挙げられる。溶媒は水のみか、又は水とエタノールの混合液である。溶液又は懸濁液は好適な酸類を使ってpHが2から7に、好ましくは2から5の間に調整される。pHは無機又は有機酸を使って調整される。特に好適な無機酸の例としては塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例としてはアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸などが挙げられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。活性物質のいずれかで酸付加塩を既に形成した酸を使用することもできる。有機酸ではアスコルビン酸、フマル酸、クエン酸が好ましい。望まれるのであれば、例えばクエン酸又はアスコルビン酸に見られる例えば香味剤、酸化防止剤、錯化剤などの酸性性質に加えたほかに別の特性がある酸の特別な場合において上記の酸類の混合液も使用できる。
【0062】
共溶媒及び/又は賦形剤は本発明の目的に用いられる噴射剤不使用の吸入可能溶液に添加される。好ましい共溶媒はアルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのヒドロキシル基又は別の極性基を含む共溶媒である。
【0063】
本明細書において用語「賦形剤」及び「添加剤」とは活性物質製剤の定性的性質を向上させるために、活性物質ではないが、薬理学的に好適な溶媒中の活性物質(単数又は複数)と製剤化される薬理学的に許容される物質を意味する。好ましくは、これらの物質には薬理効果は無く、又は望まれる治療に関して目立つような、あるいは少なくとも望ましくない薬理効果は無い。例えば賦形剤及び添加剤としては大豆レシチン、オレイン酸などの界面活性剤、ポリソルベートなどのソルビタンエステル、ポリビニルピロリドン、別の安定剤、錯化剤、完成した製剤の貯蔵期間を保証するか、又は延長させる酸化防止剤及び/又は防腐剤、香味剤、当技術分野で知られているビタミン及び/又は別の添加物などが挙げられる。添加剤としては等張剤として塩化ナトリウムなどの薬学的に許容される塩も挙げられる。賦形剤が人体中のpH、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び類似のビタミン又はプロビタミンの調整に既に使用されてないことを条件に、好ましい賦形剤としては例えばアスコルビン酸などの酸化防止剤が挙げられる。防腐剤は病原菌による汚染から製剤を保護するのに使用される。好適な防腐剤は当技術分野で知られている防腐剤であり、従来技術で周知である濃度において特に塩化アセチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、安息香酸又は安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。
【0064】
本発明の組成物は減菌水又は無菌食塩水で再構成された無菌粉末、顆粒、タブレット、濃厚溶液又は懸濁液、冷凍乾燥粉末の形態でもよい。
即時注入液及び懸濁液は被験者投与前に減菌水又は無菌食塩水で再構成され、これらの無菌粉末、顆粒、タブレット、濃厚溶液又は懸濁液、冷凍乾燥粉末から調製できる。
望まれる投与経路に好適な製剤は当業者に周知であり、例えばRemington, The science and Practice of Pharmacy, 22eme edition, 2013, The Pharmaceutical Pressに記載されている。
【0065】
別の有利な実施形態では本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は1mgから1.4gの活性成分を含み、特に1mgから7mgの活性成分、又は7mgから700mgの活性成分、又は70mgから350mgの活性成分、又は350mgから700mgの活性成分、又は700mgから1.05gの活性成分、又は1.05gから1.4gの活性成分を含む。
本発明によれば1mgから1.4gの活性成分の投与量、特に1mgから7mgの活性成分、又は7mgから700mgの活性成分、又は70mgから350mgの活性成分、又は350mgから700mgの活性成分、又は700mgから1.05gの活性成分、又は1.05gから1.4gの活性成分の投与量はネビュライザ法により人体への一日摂取量に対応する。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は1mgから1.4gの活性成分を含み、特に1mgから7mgの活性成分、又は7mgから700mgの活性成分、又は70mgから350mgの活性成分、又は350mgから700mgの活性成分、又は700mgから1.05gの活性成分、又は1.05gから1.4gの活性成分を含む。
【0066】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は200mgから10gの活性成分を、特に400mgから7gの活性成分を含む。
本発明によれば200mgから10gの活性成分の投与量、特に400mgから7gの活性成分の投与量は経口経路からの人体への一日摂取量に対応する。
【0067】
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は200mgから10gの活性成分を、特に400mgから7gの活性成分を含む。
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は10mgから10gの活性成分を、特に50mgから7gの活性成分を含む。
本発明によれば10mgから10gの活性成分の投与量、特に50mgから7gの活性成分投与量は人体への静脈注射からの一日摂取量に対応する。
【0068】
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかる組成物は10mgから10gの活性成分、特に50mgから7gの活性成分を含む。
【0069】
別の有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.015mg/kgから20mg/kgの活性成分、特に0.015mg/kgから0.1mg/kgの活性成分、又は0.1mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は1mg/kgから5mg/kgの活性成分、又は5mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は10mg/kgから15mg/kgの活性成分、又は15mg/kgから20mg/kgの活性成分を含む。
本発明によれば0.015mg/kgから20mg/kgの活性成分の投与量、特に0.015mg/kgから0.1mg/kgの活性成分、又は0.1mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は1mg/kgから5mg/kgの活性成分、又は5mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は10mg/kgから15mg/kgの活性成分、又は15vから20mg/kgの活性成分の投与量はネビュライザ法により70kgの人体への一日摂取量に対応する。
【0070】
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関し、かかる組成物は0.015mg/kgから20mg/kgの活性成分、特に0.015mg/kgから0.1mg/kgの活性成分、又は0.1mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は1mg/kgから5mg/kgの活性成分、又は5mg/kgから10mg/kgの活性成分、又は10mg/kgから15mg/kgの活性成分、又は15mg/kgから20mg/kgの活性成分を含む。
【0071】
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は3mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に6mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
本発明によれば3mg/kgから143mg/kgの活性成分の投与量、特に6mg/kgから100mg/kgの活性成分の投与量は経口経路からの人体への一日摂取量に対応する。
【0072】
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は3mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に6mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.15mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に1mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
本発明によれば0.15mg/kgから143mg/kgの活性成分の投与量、特に1mg/kgから100mg/kgの活性成分の投与量は体重70kgの人体への静脈注射からの一日摂取量に対応する。
【0073】
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる組成物は0.15mg/kgから143mg/kgの活性成分、特に1mg/kgから100mg/kgの活性成分を含む。
【0074】
別の有利な実施形態では、本発明は活性成分として上で定義した化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる化合物はアゾール抗真菌剤、ポリエン抗真菌剤、又はエキノキャンディン抗真菌剤などの抗真菌剤と関連している。
別の有利な実施形態では、本発明は有効成分として式(I)の化合物を含む使用を目的とする組成物に関しており、かかる化合物がアゾール抗真菌剤、ポリエン抗真菌剤、又はエキノキャンディン抗真菌剤などの抗真菌剤と関連している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図
【
図1】
図1は微小熱量測定の原理を表している。I) Aが断熱ジャケットであり、Bが参照セルであり、Cが蛋白質である試料セルであり、Dが配位子を添加する撹拌注射器であり、Eは一定電力であり、Fはセルの両方で温度を一定に保つフィードバック電圧を備える装置であり、またII)は生データであり、そしてIII)は積分データである。
【
図2】
図2は本発明の多価フコース誘導体と、一価参照化合物33の解離定数を比較している棒状グラフを示す。
【
図3】
図3は本発明のフコース誘導体の存在下で、肺細胞に対する分生子付着試験の一般的な図式である。Aは阻害剤/胞子の共培養を表し、Bは肺細胞A549への共培養の添加を表し、Cは細胞の洗浄を表し、細胞層に付着した胞子のDは顕微鏡下で数えられる。
【
図4】
図4は100μM、10μM、1μMの濃度において本発明の多価フコース誘導体の存在下で、肺細胞に対するアスペルギルス フミガタスからの分生子の残留付着率の比較を示す。
【
図5】
図5は等温滴定型カロリメトリーのデータを示す。温度25℃で(A)は10mMのαMeFucにより、(B)は126μMの化合物30により、(C)は130μMの化合物42により、AFL滴定が50μM(A)、12.5μM(B)、10μM(C)で比較したサーモグラム。下部のパネル:「1つの結合部位」モデルに適している曲線とのデータの積分。モル比はレクチン単量体当たりの化合物分子の数で定義される。
【
図6】
図6はAが形成されるイメージを示す。フミガタス胞子は10μMでの化合物29(B)にて凝集する及び対照(A)。
【実施例】
【0076】
材料
試薬は全てAcros Organics、Alfa Aesar、Carbosynth、又はAldrichから購入して、精製をさらにすることなく使用された。ジクロロメタン酢酸エチル及び石油エーテルはBuchi rotavapor R-220-SEで蒸留された。アセトニトリル、ピリジン、ベンゼン、DMFはアルゴン下で水素化カルシウムから新たに蒸留された。THFはナトリウムとベンゾフェノンを入れ、アルゴン下で蒸留された。無水の状態を必要とする反応はアルゴン下で実施された。カラムクロマトグラフィーはMerckのシリカゲルKieselgel SI60 (40-63 μm)上で、又はInterchimのシリカカートリッジ上で行われ、UV及びELSD検出を用いたPuriflash 430から溶出された。薄層クロマトグラフィー(TLC):Merckシリカゲル60F254分析プレートと、UV(254nm)を用いるか、又はモリブデン酸セリウム、過マンガン酸カリウム、ニンヒドリンでの浸漬を用い、その後の加熱での検出。マイクロ波実験は合成化学用に特別に設計された市販のマイクロ波反応器内の密封バイアルで実施された(MultiSYNTH、Milestone)。かかる装置は反応混合液の高均質性を可能にする特別な加振機を特徴としている。
【0077】
核磁気共鳴分光学
1H及び13CのNMRスペクトルは5mm i.d.を装着したBruker Avance 300分光計に記録された。BBOプローブは注意深く(1H用に)300.13Hz及び(13C用に)75.47MHzの記録周波数に同調させて、プローブの温度は室温(293~294Kほどに)に設定して、5mm i.d.を装着したBruker Avance 400分光計を用いた。BBFO+プローブは注意深く(1H用に)400.13Hz及び(13C用に)100.61MHzの記録周波数に同調させて、プローブの温度は303Kに設定して5mm i.d.を装着したBruker Avance III 500分光計を用いた。13C/1の凍結プローブは注意深く(1H用に)500.13Hz及び(13C用に)125.76MHzの記録周波数に同調させ、プローブの温度は303Kに設定した。スペクトルは実施された溶媒と参照される(1H CDCl3に対する7.26 ppm、13C CDCl3に対する77.16 ppm、1H DMSO-d6に対する2.50 ppm、13C DMSO-d6に対する39.52 ppm、1H CD3ODに対する3.31 ppm、13Cに対する49.00 ppm、1H C6D6に対する7.16 ppm、13C C6D6に対する128.06 ppm、1H CD2Cl2に対する5.32 ppm、13Cに対する53.84 ppm、1H D2Oに対する4.79 ppm)。化学シフト(δ)は百万分率(ppm)で、また結合定数(J)はHzt単位である。信号の多重度は次に示す:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、brs(ブロード一重線)、dd(二重の二重線)、dt(二重の三重線)などである。NMR属性に使用される番号はIUPAC番号とは異なり、分子ごとに記載される。
【0078】
質量分析
低分解能質量分析(MS)は化学イオン化(CI)については(TracUltra GC装置と結合して)ThermoFinnigan DSQII quadripolar分光計を用いて、エレクトロスプレイイオン化(ESI)についてはThermoFinnigan LCQ Advantage分光計を用いて記録された。高分解能質量分析(NRMS)は(CI用に)ThermoFinnigan MAT95XL分光計を用いて、(ESI+用に)ThermoFisher Scientific LTQ-Orbitrap分光計を用いて、(MALDI+用に)Bruker Autoflex III分光計を用いて記録された。
【0079】
光学回転測定
光学回転データは20℃でNaランプ放射線下における100mmセルにてPerkin-Elmer 341偏光計を用いて得られた。
【0080】
実施例1:H2SO4-シリカの調製:
シリカ(10g)のジエチルエーテル(50ml)懸濁液に硫酸(3ml)を添加した。混合物は15分間、室温で撹拌して真空で蒸発させた。得られた粉末は80℃で一晩乾燥させた。
【0081】
実施例2:Fisher グリコシル化 G1:
糖類(1 eq.)のアルコール(5 eq.)溶液に一般的な手順の記載のとおり調製されたH2SO4-シリカ(5mg/mmol)を添加した。混合物は80℃で6時間撹拌された。溶媒の濾過及び蒸発後に化合物は1:1のAc2O-ピリジン中(10mL/mmol)でペル-O-アセチル化された。溶媒は減圧下で除去され、DCM(20mL/mmol)中で溶解され、NaHCO3飽和溶液(2 x 20mL/mmol)で洗浄された。有機相はMgSO4で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。反応混合物はシリカゲルカラムで精製されて純粋なα‐アノマーを得る。
【0082】
実施例3:アジド化G2:
メシラート化/臭素化化合物(1 eq)のDMF(10ml/mmol)溶液にアジ化ナトリウム(2eq.)を添加した。続けて混合物は80℃まで16時間加熱した。室温まで冷却したら、混合物は真空で濃縮された。粗生成物はDCM(20mL/mmol)中で溶解され、H2O(20 mL/mmol)で洗浄され、水層はDCM(2 x 20 mL/mmol)により抽出された。有機層はMgSO4で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。得られた生成物はフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0083】
実施例4:銅触媒アジド-アルキン環状付加の方法G3(方法A):
アジド誘導体及びアルキン誘導体(1.1又は0.9 eq/アジド官能基)はジオキサン(2mL/mmol)中で溶解された。硫酸銅(0.2 eq/アジド官能基)及びアスコルビン酸ナトリウム(0.4 eq/アジド官能基)の水(0.5 mL/mmol)溶液は添加され、混合物は完了まで60℃で加熱された。混合物はDCM(50 mL/mmol)中で溶解され、EDTA(50 mL/mmol)溶液で洗浄され、水層はDCMで2回(2x50 mL/mmol)抽出された。次に有機層はMgSO4で乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮して精製した。
【0084】
実施例5:銅触媒アジド-アルキン環状付加の方法G4(方法B):
アジド誘導体及びアルキン誘導体(1.1又は0.9 eq/アジド官能基)はジオキサン(2mL/mmol)中で溶解された。硫酸銅(0.4 eq/アジド官能基)及びアスコルビン酸ナトリウム(0.8 eq/アジド官能基)の水(0.5 mL/mmol)溶液は添加され、混合物はマイクロ波条件下で密封容器内において90分間80℃で加熱された。混合液はDCM(50 mL/mmol)中で溶解され、EDTA(50 mL/mmol)溶液で洗浄され、水層はDCMで2回(2x50 mL/mmol)抽出された。次に有機層はMgSO4で乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮して精製した。
【0085】
実施例6:ナトリウムメタノラートを用いたアセチル基の脱保護 方法G5:
保護された炭水化物(1 eq)はメタノール(2 mL/mmol)中で溶解され、ナトリウムメタノラート溶液(0.1M、0.05 eq/アセチル基)が添加された。混合物は室温で撹拌された。完了後に水が添加され、続けてAmberlite(商標)IR120が添加された。混合物はpHが約5になるまで撹拌された。濾過により樹脂の除去後、得られた混合液は凍結乾燥された。
【0086】
実施例7:ナトリウムメタノラートを用いたアセチル基の脱保護 方法G6:
保護された炭水化物(1 eq.)はMeOH/H2O(1:1、1 mL/mmol)中で溶解された。Amberlite樹脂IRN 78 OH- 1.25 meq/mL(150 mg/mmol)が添加され、混合物は一晩、室温で撹拌された。樹脂は濾過され、メタノール及び水で洗浄された。溶媒は減圧下で蒸発させた。
【0087】
実施例8:メシル化 G7:
OEG(1 eg)及びトリエチルアミン(2 eg)はジクロロメタン(15 mL/mmol)中で溶解され、0℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(2 eq)は滴下され、混合物は一晩撹拌された。濾液は飽和炭酸ナトリウム(15 mL/mmol)で洗浄され、ジクロロメタンで3回(3 x 15 mL/mmol)抽出され、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液は減圧下で濃縮され、粗生成物はDCM/MeOHで溶出したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製された。
【0088】
実施例9:トリチルエーテル保護基の除去 G8:
トリイソプロピルシラン(7 eg)はDCM(20 mL/mmol)の官能化OEGエーテル溶液に添加された。次に混合物は1時間、TFA(1 mL/mmol)で処理された。出発物質を消費した後で、過剰なTFA及びDCMはトルエンとの同時蒸着後に減圧下で除去された。残渣はメタノール(10 mL/mmol)中に取り込まれナトリウムメトキシド(1M、2 mL/mmol)で処理された。溶媒は減圧下で濃縮され、飽和塩化アンモニウム溶液(20 mL/mmol)は残渣に添加され、水層はDCM(5x20 mL/mmol)で抽出された。混合有機溶液は硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させてフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH)による精製用の粗生成物を得る。
【0089】
実施例10:グリコシル化 G9
ボロントリフルオリド-エチルエーテル(5 eq)はペル-O-アセチル化糖(1 eq)及びアルコール受容体(4 eq)の無水ジクロロメタン(15 mL/mmol)溶液に0℃で滴下された。溶液は室温で16時間撹拌された。炭酸カリウム(1 g/mmol)は分割添加され、反応混合物は更に1時間撹拌されて濾過された。濾液はジクロロメタン(20 mL/mmol)で希釈され、水(2 x 20 mL/mmol)で洗浄され、MgSO4で乾燥され、濃縮されてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン)により精製された。
【0090】
実施例11:化合物7
【化153】
トリフェニルホスフィン(16.3 g、62.1 mmol)及びヨード(16.8 g、66.24 mmol)の乾燥DMF(80 mL)溶液にCD(5 g、4.14 mmol)が添加され、溶液は70℃で20時間撹拌された。続けてこれは減圧下で約30mLに濃縮されて、メタノール中のナリウムメトキシド(3M、30 mL)が添加されてpHは9に調整された。溶液は冷水(20 mL/mmol)に入れられた後で30分間、室温で維持された。沈殿物を濾過によって回収し、メタノールで洗浄し、定量的収率で6-デオキシ-6-ヨード-CDs(6)を得る。
6-デオキシ-6-ヨード-CDs(6)(1g、0.6 mmol)はDMF(15 mL)中で溶解され、NaN
3(0.36 g、5.5 mmol)が添加された。得られた懸濁液は70℃で16時間撹拌された。次に懸濁液は減圧下で濃縮され、DMAP(50 mg、0.4 mmol)が添加される前にピリジン及び無水物の混合液(1/1、8 mL)中で溶解された。溶液は室温、窒素下で3時間撹拌され、次に減圧下で濃縮された。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/ EtOAc: 7/3)を用いて精製されて、86%の収率で白色粉末の化合物7を得る。
化合物7の分析データは文献データと完全に一致した。
【0091】
実施例12:化合物8
【化154】
臭化プロパギル(0.76 g、4.92 mmol)のトルエン(0.6 mL)溶液は0.3mLの水中で撹拌したデキストラン(糖単位の0.1 g、0.615 mmol)溶液に滴下され,KOH-H
2O (0.64 g、8.6mmol)及びTEBAC (8.4 mg、36.9 μmol)が添加され、混合物は10℃から15℃の温度で20分間撹拌された。更に室温で48時間、反応させた。アセトン(1 mL)が添加され、有機層は分離されて化合物がエタノール(75 mL)で析出した。ミリポアフィルター上に濾過させ、水(25 mL)とエタノール(25 mL)で洗浄し、次に真空で乾燥させて60%の収率で白色粉末の化合物8を得る。
化合物8の分析データは文献データと完全に一致した。
【0092】
実施例13:化合物9
【化155】
実施例2のFisher グリコシル化プロトコールG1に従って得られた。粗生成物は溶離剤として8/2(シクロヘキサン/AcOEt)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、白色固体の化合物9(51%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.38 (dd, J = 11.0Hz, J =3.4Hz, 1 H; H-3), 5.32 (dd, J = 1.3Hz, 1 H; H-4), 5.27 (d, J =3.8Hz, 1 H; H-1), 5.18 (dd, 1 H; H-2), 4.27 (d, J = 2.4Hz, 2 H; H-7), 4.21 (br q, J = 6.5Hz, 1 H; H-5), 2.44 (t, 1 H; H-9), 2.18, 2.10, 2.00 (3 s, 9 H; COCH
3), 1.16 (d, 3H; H-6)
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.5, 170.3, 169.9 (3 COCH
3), 95.0 (C-1), 78.6 (C-8), 74.8 (C-9), 71.0 (C-4), 67.8 (C-2), 67.7 (C-3), 64.9 (C-5), 55.2 (C-7), 20.7, 20.6, 20.5 (3 COCH
3), 15.7 (C-6).
MS, ESI m/z: [M + H]
+= 351.2 Da
【0093】
実施例14:化合物10
【化156】
実施例2のFisher グリコシル化プロトコールG1に従って得られた。粗生成物は溶離剤として8/2(シクロヘキサン/AcOEt)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、黄色ガムの化合物10(55%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.32 (dd, J = 11.0Hz, J = 3.5Hz, 1 H; H-3), 5.30 (dd, J = 1.5Hz, J =3.5Hz, 1 H; H-4), 5.27 (d, J = 3.8Hz, 1 H; H-1), 5.18 (dd, J =3.8Hz, , J = 11.0Hz, 1 H; H-2), 3.99 (m, J = 5.7Hz, 1 H, H-7a), 3.83 (m,J = 5.7Hz, 1 H, H-7b), 3.50 (t, J =5.7Hz, 2H, H-8), 2.18, 2.08, 1.99 (3 s, 9H, COCH
3), 1.24 (d, J =6.41Hz, 3H)
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.5, 170.3, 169.7 (3 COCH
3), 96.4 (C-1), 70.1 (C-8), 69.8 (C-9), 69.6 (C-4), 68.4(C-2), 63.6(C-3), 62.5 (C-5), 30.1 (C-7), 29.8, 21.0, 20.7 (3 COCH
3), 16.2 (C-6).
MS, ESI m/z: [M + H]
+= 419.0 Da
【0094】
実施例15:化合物11
【化157】
実施例3のアジド化プロトコールG2に従って得られた。粗生成物は溶離剤として7/3(シクロヘキサン/AcOEt)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、黄色ガムの化合物11(74%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 4.90 (d, J = 2.5Hz, 1H, H-1), , 3.99 (q, J = 6.8Hz, 1H, H-5), 3.93 - 3.78 (m, 3H), 3.77 - 3.68 (m, 2H), 3.55 - 3.38 (m, 2H, CH
2N
3), 1.29 (d, J = 6.6Hz, 3H, CH
3).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 98.0 (C-1), 71.8 (C-4), 71.1 (C-3), 69.0 (C-2), 67.0 (OCH
2), 66.5 (C-5), 50.8 (CH
2N
3), 16.3 (CH
3).
MS, ESI : [M + H]
+ = 360.1 Da
化合物10及び11の分析データは文献データと完全に一致した。
【0095】
実施例16:化合物14
【化158】
実施例2のFisher グリコシル化プロトコールG1に従って得られた。粗生成物は溶離剤として98/2(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、黄色ガムの化合物14 (65%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.35 (dd, J = 3.4, 9.6Hz, 1H, H-2), 5.22 (dd, J = 1.1, J = 3.4Hz, 1H, H-4), 5.12 (d, J = 3.7Hz, 1H, H-3), 5.10 (s, 1H, H-1), 4.27 - 4.19 (q, J = 7.3Hz, 1H, H-5), 4.20 (d, J = 2.5Hz, 2H, H-9), 3.78-3.70 (m, 2H, H-7), 3.70 - 3.60 (m, 6H, CH
2O), 2.40 (t, J = 2.3Hz, 1H, H-11), 2.13, 2.04, 1.95 (3s, 9H, COCH
3), 1.13 (d, J = 6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.7, 170.5, 170.1 (3s, 3C, COCH
3), 96.3 (C-1), 79.7 (C-10), 74.6 (C-11), 71.3 (C-4), 70.8-69.2 (CH
2O), 68.2 (C-3), 68.1 (C-2), 67.6 (C-7), 64.4 (C-5), 58.4 (C-9) 20.9, 20.8, 20.7 (3s, 3C, COCH
3), 15.9 (C-6).
HRMS, ESI : m/z: [M + Na]
+
calc= 439.1580 Da, [M + Na]
+
mes = 439.1578 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -15.8 Da
【0096】
実施例17:化合物15
【化159】
実施例2のFisher グリコシル化プロトコールG1に従って得られた。粗生成物は溶離剤として98/2(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、黄色ガムの化合物15(55%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ(ppm): 5.37 (dd, J = 3.4, 9.6Hz, 1H, H-2), 5.24 (dd, J = 1.1, J = 3.4Hz, 1H, H-4), 5.13 (d, J = 3.7Hz, 1H, H-3), 5.11 (s, 1H, H-1), 4.29 - 4.20 (q, J = 7.3Hz, 1H, H-5), 4.17 (d, J = 2.5Hz, 2H, H-9), 3.79-3.70 (m, 2H, H-7), 3.70 - 3.60 (m, 14H, CH
2O), 2.41 (t, J = 2.3Hz, 1H, H-11), 2.12, 2.04, 1.96 (3s, 9H, COCH
3), 1.11 (d, J = 6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.8, 170.5, 170.2 (3s, 3C, COCH
3), 96.3 (C-1), 79.6 (C-10), 74.7 (C-11), 71.2 (C-4), 71.0-69.1 (CH
2O), 68.2 (C-3), 68.0 (C-2), 67.7 (C-7), 64.3 (C-5), 58.3 (C-9) 21.0, 20.8, 20.7 (3s, 3C, COCH
3), 15.8 (C-6)
HRMS, ESI : m/z: [ M + Na]
+
calc= 527.2104 Da, [m + Na]
+
mes = 527.2101 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -11.4 Da
【0097】
実施例18:化合物16
【化160】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として95/5(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、無色油の化合物16(85%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.32 (dd, J = 11.0Hz, J = 3.6Hz, 2 H, H-3), 5.26 (bd, J = 6.5Hz, 2 H, H-4), 5.15 (d, J = 3.4Hz, 2 H, H-1), 5.18 (dd, J = 3.4Hz, J =11.0Hz, 2 H, H-2), 4.79 (d, J = 11.7Hz, 2 H, H-7a), 4.63 (d, J =11.7Hz, 2 H, H-7b), 4.53 (t, J =4.8Hz, 4 H, H-11), 4.19 (br q, J = 6.5Hz, 2 H, H-5), 3.86 (t, J = 4.8Hz, 4 H, H-10), 3.65-3.53 (m, 8 H, CH
2O), 2.14, 2.00, 1.90 (3 s, 18 H; COCH
3), 1.11 (d, J = 6.3Hz, 6 H, H-6)
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.7, 170.5, 170.0 (3 COCH
3), 142.9 (C-8), 124.0 (C-9), 95.7 (C-1), 71.2 (C-4), 70.6-70.4 (CH
2O), 69.5 (C-10), 68.1 (C-2), 68.0 (C-3), 64.7 (C-5), 50.4 (C-7), 20.9, 20.8, 20.7 (3 COCH
3), 15.9 (C-6)
HRMS, MALDI : m/z: [M + H]
+
calc= 901.3678 Da, [M + H]
+
mes = 901.3682 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -13.2
【0098】
実施例19:化合物17
【化161】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として95/5(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、無色油の化合物17(82%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.34 (dd, J = 11.0Hz, J = 3.6Hz, 2 H, H-3), 5.24 (bd, J = 6.5Hz, 2 H, H-4), 5.15 (d, J = 3.4Hz, 2 H, H-1), 5.17 (dd, J = 3.4Hz, J =11.0Hz, 2 H, H-2), 4.80 (d, J = 11.2Hz, 2 H, H-7a), 4.62 (d, J =11.2Hz, 2 H, H-7b), 4.53 (t, J =4.8Hz, 4 H, H-11), 4.20 (br q, J = 6.5Hz, 2 H, H-5), 3.87 (t, J = 4.8Hz, 4 H, H-10), 3.68-3.50 (m, 24 H, CH
2O), 2.15, 2.01, 1.90 (3 s, 18 H; COCH
3), 1.13 (d, J = 6.3Hz, 6 H, H-6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.7, 170.6, 170.1 (3 COCH
3), 142.8 (C-8), 124.2 (C-9), 95.5 (C-1), 71.2 (C-4), 70.9-70.2 (CH
2O), 69.5 (C-10), 68.2 (C-2), 68.1 (C-3), 64.7 (C-5), 50.3 (C-7), 21.0, 20.7, 20.6 (3 COCH
3), 15.7 (C-6).
HRMS, MALDI : m/z: [M + H]
+
calc= 1077.4727 Da, [M + H]
+
mes = 1077.4722 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -12.6
【0099】
実施例20:化合物18
【化162】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として95/5(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、無色油の化合物18(78%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.31 (dd, J = 11.0Hz, J =3.6Hz, 2 H, H-3), 5.24 (bd, J = 6.5Hz, 2 H, H-4), 5.15 (d, J =3.4Hz, 2 H, H-1), 5.12 (dd, J = 3.4Hz, J = 11.0Hz, 4 H, H-2), 4.84 (d, J = 11.2Hz, 2H, H-7a), 4.62 (d, J = 11.2Hz, 2 H, H-7b), 4.53 (t, J = 4.8Hz, 2 H, H-11), 4.21 (br q, J = 6.5Hz, 2 H, H-5), 3.88-3.36 (m, 42 H, H-10, CH
2O), 2.14, 2.01, 1.90 (3 s, 18 H; COCH
3), 1.12 (d, J = 6.3Hz, 6 H, H-6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.8, 170.6, 170.0 (3 COCH
3), 142.7 (C-8), 124.3 (C-9), 95.5 (C-1), 71.2 (C-4), 70.9-70.0 (CH
2O), 69.4 (C-10), 68.2 (C-2), 68.1 (C-3), 64.6 (C-5), 50.4 (C-7), 21.0, 20.7, 20.5 (3 COCH
3), 15.5 (C-6).
HRMS, MALDI : m/z: [M + H]
+
calc= 1253.5776 Da, [M + H]
+
mes = 1253.5779 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -15.5
【0100】
実施例21:化合物19
【化163】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として95/5(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、白色固体の化合物19(79%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.33 (dd, J = 11.0Hz, J = 3.6Hz, 2 H, H-3), 5.26 (bd, J = 6.5Hz, 2 H, H-4), 5.15 (d, J = 3.4Hz, 2 H, H-1), 5.11 (dd, J = 3.4Hz, J =11.0Hz, 2 H, H-2), 4.87 (d, J = 11.2Hz, 2 H, H-7a), 4.60 (d, J =11.2Hz, 2 H, H-7b), 4.55 (t, J =4.8Hz, 2 H, H-11), 4.22 (br q, J = 6.5Hz, 2 H, H-5), 3.85-3.35 (m, 74 H, H-10, CH
2O), 2.15, 2.01, 1.91 (3 s, 18 H; COCH
3), 1.14 (d, J = 6.3Hz, 6 H, H-6)
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.7, 170.6, 170.1 (3 COCH
3), 142.5 (C-8), 124.2 (C-9), 95.4 (C-1), 71.1 (C-4), 71.1-70.1 (CH
2O), 69.4 (C-10), 68.3 (C-2), 68.0 (C-3), 64.7 (C-5), 50.4 (C-7), 21.1, 20.7, 20.5 (3 COCH
3), 15.3 (C-6)
HRMS, MALDI : m/z: [M + H]
+
calc= 1605.7873 Da, [M + H]
+
mes = 1605.7869 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -17.3
【0101】
実施例22:化合物20
【化164】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として95/5(DCM/MeOH)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、白色固体の化合物20(74%の収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 5.32 (dd, J = 11.0Hz, J = 3.6Hz, 2 H, H-3), 5.25 (bd, J = 6.5Hz, 2 H, H-4), 5.16 (d, J = 3.4Hz, 2 H, H-1), 5.12 (dd, J = 3.4Hz, J =11.0Hz, 2 H, H-2), 4.85 (d, J = 11.2Hz, 2 H, H-7a), 4.61 (d, J =11.2Hz, 2 H, H-7b), 4.54 (t, J =4.8Hz, 4 H, H-11), 4.21 (br q, J = 6.5Hz, 2 H, H-5), 3.90-3.35 (m, 104 H, H-10, CH
2O), 2.14, 2.01, 1.90 (3 s, 18 H; COCH
3), 1.13 (d, J = 6.3Hz, 6 H, H-6)
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.7, 170.6, 170.1 (3 COCH
3), 142.5 (C-8), 124.2 (C-9), 95.4 (C-1), 71.1 (C-4), 71.1-70.1 (CH
2O), 69.4 (C-10), 68.3 (C-2), 68.0 (C-3), 64.7 (C-5), 50.4 (C-7), 21.1, 20.7, 20.5 (3 COCH
3), 15.3 (C-6)
HRMS, MALDI : m/z: [M + H]
+
calc= 1957.9970 Da, [M + H]
+
mes = 1957.9976 Da
[α]
D (CHCl
3, c=1, 20°C) = -14.2
【0102】
実施例23:化合物21
【化165】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として8/2(シクロヘキサン/AcOEt)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、白色固体の化合物21(65%の収率)を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 7.70 (bs, 6H, H-8 ), 5.43 (m, 6H, H-3), 5.39 (bs, 6H,H-1’), 5.30 (dd, J = 2.7Hz, J = 10.5Hz, 6H, H-2), 5.20 (bd, J =6.5Hz, 6 H, H-4), 5.02 (t, J = 9.1Hz, 6H, H-3’), 5.01 (bs, 6H, H-1), 4.70-4.30 (m, 30H, H-2’, H-4’, H-5’, H6’), 4.15 (m, 6 H, H-5), 3.56 (m, 60 H, CH
2O), 2.20-1.80 (5 bs, 90 H, CH
3CO), 1.05 (d, J = 6.0Hz, 18 H, H-6).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.8-169.2 (CH
3CO), 144.8 (C-7), 125.6 (C-8), 96.3 (C-1’), 71.2 (C-2), 70.5 (C-3), 70.2-69.0 (CH), 68.2-68.1 (CH
2O), 67.5 (CH
2O), 64.5 (C-5), 64.3 (CH), 20.9-20.5 (CH
3CO), 15.9 (C-6)
HRMS, MALDI : m/z: [M + 3H]
3+
calc= 1375.8396 Da, [M + 3H]
3+
mes = 1375.8390 Da
[α]
D (CHCl
3, c=0.7, 20°C) = -24.6
【0103】
実施例24:化合物22
【化166】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。粗生成物は溶離剤として8/2(シクロヘキサン/AcOEt)でのシリカゲルカラムでクロマトグラフィーされ、白色固体の化合物22(65%の収率)を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 7.72 (bs, 6H, H-8 ), 5.40 (m, 6H, H-3), 5.38 (bs, 6H, H-1’), 5.31 (dd, J = 2.7Hz, J = 10.5Hz, 6H, H-2), 5.22 (bd, J = 6.5Hz, 6 H, H-4), 5.02 (t, J = 9.1Hz, 6 H, H-3’), 5.04 (bs, 6H, H-1), 4.70-4.30 (m, 30H, H-2’, H-4’, H-5’, H6’), 4.16 (m, 6 H, H-5), 3.54 (m, 108 H, CH
2O), 2.20-1.80 (m, 90 H, CH
3CO), 1.07 (d, J = 6.0Hz, 18 H, H-6).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.8-169.2 (CH
3CO), 144.7 (C-7), 125.5 (C-8), 96.3 (C-1’), 71.3 (C-2), 70.6 (C-3), 70.3-69.0 (CH), 68.3-68.1 (CH
2O), 67.4 (CH
2O), 64.5 (C-5), 64.3 (CH), 20.9-20.5 (CH
3CO), 15.9 (C-6)
HRMS, MALDI : m/z: [M + 3H]
3+
calc= 1552.2789 Da, [M + 3H]
3+
mes = 1552.2793 Da
[α]
D (CHCl
3, c=0.5, 20°C) = -20.9
【0104】
実施例25:化合物23
【化167】
実施例4のCuAACプロトコールG3に従って得られた。残渣は少量のCH
2Cl
2中で溶解され、生成物はEt
2O(50mL)の添加で析出された。沈殿物は濾過することで回収され、Et
2O (50mL)で洗浄してEt
2Oから2回析出させて白色固体23(63%の収率)を得る。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.30-7.51 (m broad, 3H, H-9), 5.30-5.22 (m broad, 6 H, H-3, H-4) 4.80-4.49 (m broad, 13H, H-1, H-2, H-11, H-1’), 4.25-3.80 (m broad, 15H, H-5, H-8, H-7), 3.86-3.30 (m broad, 6H, H-2’,3’,4’,5’,6’), 2.15-1.80 (m, 18H, CH
3CO), 1.22 (bs, 9H, H-6).
13C NMR (125 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 170.7, 170.0, 169.8 (CH
3CO), 145.4 (C-10), 124.4 (C-9), 97.7 (C-1), 97.6 (C-1’), 77.3 (C-3’), 77.2 (C-4’), 70.7 (C-2‘), 69.3 (C-4, C-5’), 66.4 (C-2), 65.9(C-3), 62.3 (C-5), 60.5 (C-7), 60.1 (C-6‘), 49.7 (C-8), 20.8-20-6 (3 x CH
3CO), 14.3 (C-6).
【0105】
実施例26:式[A2-4 - B2 - C1]の化合物24
【化168】
実施例6の酢酸脱保護プロトコールG5に従って得られた。この反応から白色固体の化合物24(定量的収率)を得る。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.09 (s, 1H, H-9), 4.94 (bs, 1H, H-1), 4.89 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7a), 4.79 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7b) 4.60 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-10), 3.95 (q, J = 6.7Hz, 1H, H-5), 3.89 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-11), 3.75 (bd, 1H, J = 0.9Hz, H-2), 3.69-3.50 (m, 14H, H-3, H-4, CH
2O), 1.20 (d, J =6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (125 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 145.5 (C-8) 126.0 (C-9), 100.2(C-1), 73.7 (C-3), 73.6-71.4 (CH
2O), 70.4 (C-11), 69.0 (C-2), 67.8 (C-5), 62.2 (C-4), 61.7 (C-7), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -66.6
HRMS, ESI : m/z: [M + H]
+
calc= 649.3045 Da, [M + H]
+
mes = 649.3041 Da
【0106】
実施例27:式[A2-5 - B2 - C1]の化合物25
【化169】
実施例6の酢酸脱保護プロトコールG5に従って得られた。この反応から白色固体の化合物25(定量的収率)を得る。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.09 (s, 1H, H-9), 4.94 (bs, 1H, H-1), 4.89 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7a), 4.79 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7b) 4.60 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-10), 3.95 (q, J = 6.7Hz, 1H, H-5), 3.89 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-11), 3.75 (bd, 1H, J = 0.9Hz, H-2), 3.69-3.50 (m, 14H, H-3, H-4, CH
2O), 1.20 (d, J =6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (125 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 145.5 (C-8) 126.0 (C-9), 100.2(C-1), 73.7 (C-3), 73.6-71.4 (CH
2O), 70.4 (C-11), 69.0 (C-2), 67.8 (C-5), 62.2 (C-4), 61.7 (C-7), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -49.9
HRMS, ESI : m/z: [M + H]
+
calc= 825.4093 Da, [M + H]
+
mes = 825.4092 Da
【0107】
実施例28:式[A2-6 - B2 - C1]の化合物26
【化170】
実施例6の酢酸脱保護プロトコールG5に従って得られた。この反応から白色固体の化合物26(定量的収率)を得る。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.09 (s, 1H, H-9), 4.94 (bs, 1H, H-1), 4.89 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7a), 4.79 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7b) 4.60 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-10), 3.95 (q, J = 6.7Hz, 1H, H-5), 3.89 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-11), 3.75 (bd, 1H, J = 0.9Hz, H-2), 3.69-3.50 (m, 14H, H-3, H-4, CH
2O), 1.20 (d, J =6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (125 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 145.5 (C-8) 126.0 (C-9), 100.2(C-1), 73.7 (C-3), 73.6-71.4 (CH
2O), 70.4 (C-11), 69.0 (C-2), 67.8 (C-5), 62.2 (C-4), 61.7 (C-7), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -24.1
HRMS, ESI : m/z: [M + H]
+
calc= 1001.5142 Da, [M + H]
+
mes = 1001.5144 Da
【0108】
実施例29:式[A2-7 - B2 - C1]の化合物27
【化171】
実施例6の酢酸脱保護プロトコールG5に従って得られた。この反応から白色固体の化合物27(定量的収率)を得る。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.09 (s, 1H, H-9), 4.94 (bs, 1H, H-1), 4.89 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7a), 4.79 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7b) 4.60 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-10), 3.95 (q, J = 6.7Hz, 1H, H-5), 3.89 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-11), 3.75 (bd, 1H, J = 0.9Hz, H-2), 3.69-3.50 (m, 14H, H-3, H-4, CH
2O), 1.20 (d, J =6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (125 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 145.5 (C-8) 126.0 (C-9), 100.2(C-1), 73.7 (C-3), 73.6-71.4 (CH
2O), 70.4 (C-11), 69.0 (C-2), 67.8 (C-5), 62.2 (C-4), 61.7 (C-7), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -63.3
HRMS, ESI : m/z: [M + H]
+
calc= 1353.7239 Da, [M + H]
+
mes = 1353.7241 Da
【0109】
実施例30:式[A2-8 - B2 - C1]の化合物28
【化172】
実施例6の酢酸脱保護プロトコールG5に従って得られた。この反応から白色固体の化合物28(定量的収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.09 (s, 1H, H-9), 4.94 (bs, 1H, H-1), 4.89 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7a), 4.79 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7b) 4.60 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-10), 3.95 (q, J = 6.7Hz, 1H, H-5), 3.89 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-11), 3.75 (bd, 1H, J = 0.9Hz, H-2), 3.69-3.50 (m, 14H, H-3, H-4, CH
2O), 1.20 (d, J =6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 145.5 (C-8) 126.0 (C-9), 100.2(C-1), 73.7 (C-3), 73.6-71.4 (CH
2O), 70.4 (C-11), 69.0 (C-2), 67.8 (C-5), 62.2 (C-4), 61.7 (C-7), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -55.9
【0110】
実施例31:式[A1-1 - B2 - C1-1]の化合物29
【化173】
実施例7の酢酸脱保護プロトコールG6に従って得られた。この反応から白色固体の化合物29(定量的収率)を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.01 (s, 6 H, H-8), 5.04 (bd, J = 3.2Hz, 6 H, H-1’), 4.76 (d, J = 3.5Hz, 6 H, H-1), 4.37 (t, J = 9.6Hz, 12 H, CH
2O), 4.17 (m, 12 H), 3.96 (m, 12H, H-5, H-6’a), 3.77-3.39 (m, 120 H), 3.24 (m, 6H, CH
2O), 1.15 (d, J = 6.8Hz, 18 H, H-6)
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 143.9 (C-8), 126.9 (C-9), 101.3 (C-1’), 98.6 (C-1), 82.3 (CH), 72.5 (CH’), 71.8 (CH), 71.3 (CH’), 70.1 (CH’), 69.7-69.4 (CH
2O), 69.0 (CH’), 68.1 (CH), 66.8 (CH), 66.6 (CH
2O) 62.9 (C-6’), 50.4 (CH
2O), 15.3 (C-6).
HRMS, MALDI : m/z: [M + 2H]
2+
calc= 1705.9336 Da, [M + 2H]
2+
mes = 1705.9334 Da
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -36.5
【0111】
実施例32:式[A1-1 - B2 - C2-2]の化合物30
【化174】
実施例7の酢酸脱保護プロトコールG6に従って得られた。この反応から白色固体の化合物30(定量的収率)を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.01 (s, 6 H, H-8), 5.04 (bd, J = 3.2Hz, 6 H, H-1’), 4.76 (d, J = 3.5Hz, 6 H, H-1), 4.37 (t, J = 9.6Hz, 12 H, CH
2O), 4.17 (m, 12 H), 3.96 (m, 12H, H-5, H-6’a), 3.77-3.39 (m, 120 H), 3.24 (m, 6H, CH
2O), 1.15 (d, J = 6.8Hz, 18 H, H-6).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 143.9 (C-8), 126.9 (C-9), 101.3 (C-1’), 98.6 (C-1), 82.3 (CH), 72.5 (CH’), 71.8 (CH), 71.3 (CH’), 70.1 (CH’), 69.7-69.4 (CH
2O), 69.0 (CH’), 68.1 (CH), 66.8 (CH), 66.6 (CH
2O) 62.9 (C-6’), 50.4 (CH
2O), 15.3 (C-6).
HRMS, MALDI : m/z: [M + 2H]
2+
calc= 1697.2544 Da, [M + 2H]
2+
mes = 1697.2543 Da
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -33.2
【0112】
実施例33:式[A3-1 - B1 - C3]の化合物31
【化175】
実施例7の酢酸脱保護プロトコールG6に従って得られた。の反応から黄色い固体の化合物31(72%の収率)を得る。.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.18-7.95 (m broad, 3 H, H-9), 5.22-5.06 (m broad, 1 H, H-1’), 5.03-4.81 (m broad, 9 H, H-1, H-11), 4.50- 4.36 (m broad, 3H, H-7), 4.05-3.69 (m broad, 11H), 3.64-3.52 (m broad, 4 H), 3.49-3.36 (m broad, 3H), 3.35-3.26 (m broad, 3H), 3.07-2.95 (m broad, 3H), 2.91-2.76 (m broad, 3H), 2.76-2.60 (m broad, 3H), 2.41-2.21 (m broad, 3H), 1.55-1.30 (m broad, 3H, H-6).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 144.4 (C-10), 125.2 (C-9), 96.1 (C-1’), 94.4 (C-1), 80.6 (CH’), 79.2 (CH’), 78.5 (CH), 77.3 (CH’), 72.7 (CH’), 70.0 (CH), 69.1 (CH), 65.5 (CH’), 65.3 (CH), 63.3 (CH
2), 57.6 (CH
2), 48.9 (CH
2), 24.1 (C-6).
【0113】
実施例34:化合物33
【化176】
実施例6の酢酸脱保護プロトコールG5に従って得られた。この反応から白色固体の化合物33(定量的収率)を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 8.09 (s, 1H, H-9), 4.94 (bs, 1H, H-1), 4.89 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7a), 4.79 (d, J = 12.5Hz, 1H, H-7b) 4.60 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-10), 3.95 (q, J = 6.7Hz, 1H, H-5), 3.89 (t, J = 5.1Hz, 2H, H-11), 3.75 (bd, 1H, J = 0.9Hz, H-2), 3.69-3.50 (m, 14H, H-3, H-4, CH
2O), 1.20 (d, J =6.6Hz, 3H, H-6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ (ppm): 145.5 (C-8) 126.0 (C-9), 100.2 (C-1), 73.7 (C-3), 73.6-71.4 (CH
2O), 70.4 (C-11), 69.0 (C-2), 67.8 (C-5), 62.2 (C-4), 61.7 (C-7), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
HRMS, ESI : m/z: [M + Na]
+
calc= 356.1434 Da, [M + Na]
+
mes = 356.1433 Da
[α]
D (MeOH, c=1, 20°C) = -48.7
【0114】
実施例35:化合物9
【化177】
酸性シリカ(8 mg)はL-フコース(255 mg、1.55 mmol、1 eq)及びプロパルギルアルコール(0.8 mL、11 mmol、7 eq)の混合物に添加された。混合物は80℃で16時間撹拌され、濾過され、減圧下で濃縮された。残渣は4-ジメチルアミノピリジン(19 mg、0.16 mmol、0.1 eq)と共にピリジン及び無水酢酸の混合物(1/1、15 mL)中で溶解された。混合物は室温で12時間撹拌され、減圧下で濃縮され、ジクロロメタン中で溶解され、水性NaHCO
3satで洗浄され、MgSO
4で乾燥され、濾過されて減圧下で濃縮された。残渣はシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチルが8:2)で精製されて黄色油の化合物9(242mg、47%)を得る。
[α]
D(CHCl
3, c=1, 20°C) = -147.5;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) d: 5.36 (1H, dd, J
3-4 = 3.4 Hz, J
3-2 = 10.8 Hz, H-3), 5.30 (1H, dd, J
4-5 = 1.2 Hz, H-4), 5.25 (1H, d, J
2-1 = 3.8 Hz, H-1), 5.15 (1H, dd, H-2), 4.25 (2H, d, J
7-9 = 2.4 Hz, H-7), 4.19 (1H, qd, J
5-6 = 6.6 Hz, H-5), 2.42 (1H, t, H-9), 2.16, 2.08, 1.98 (9H, 3s, COCH
3), 1.14 (3H, d, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d: 170.7, 170.5, 170.1 (COCH
3), 95.24 (C-1), 78.75 (C-8), 74.93 (C-9), 71.27 (C-4), 67.99 (C-2), 65.17 (C-5), 55.37 (C-7), 20.92, 20.80, 20.76 (COCH
3), 15.90 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
15H
20O
8Na [M+Na]
+
calc : 351.1056, found 351.1048.
【0115】
実施例36:化合物34
【化178】
化合物9(32.5 mg、0.099 mmol)は水酸化リチウム(1.2 mg、0.05 mmol、0.5 eq)と共にMeOH(3mL)に入れて1時間撹拌された。水(1 mL)が添加され、混合物は更に30分間撹拌された。Dowex-50樹脂はpHが7になるまで添加された。混合物はフリット漏斗を通過して濾過され、減圧下で濃縮されて定量的収率(20 mg)で脱アセチル化化合物34を得る。
1H NMR (400 MHz, MeOD
4) d: 4.94 (1H, d, J
1-2 = 3.4 Hz, H-1), 4.26 (2H, d, J
9-7 = 2.0 Hz, H-7), 3.97 (1H, q, J
5-6= 6.4 Hz, H-5), 3.76 (1H, dd, J
2-3= 10.1 Hz, H-2), 3.72 (1H, dd, J
3-4= 2.9 Hz, H-3), 3.67 (1H, dd, J
4-5= 1.2 Hz, H-4), 2.83 (1H, t, H-9), 1.22 (3H, d, H-6);
13C NMR (100 MHz, MeOD
4) d: 99.3 (C-1), 80.3 (C-9), 75.8 (C-8), 73.6 (C-4), 71.6 (C-2), 69.8 (C-3), 68.0 (C-5), 55.6 (C-7), 16.5 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
9H
14O
5Na [M+Na]
+
calc : 225.0739, found 225.0737.
【0116】
実施例37:化合物14
【化179】
酸性シリカ(15 mg)はL-フコース(500 mg、3.05 mmol、1 eq)及びジエチレングリコールプロパルギルエーテル(1.32 mL、9.18 mmol、3 eq)の混合物に添加された。混合物は80℃で16時間撹拌され、濾過され、減圧下で濃縮された。残渣はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノールが95:5)で精製されて残ったアルコールを除去した。α/βアノマーの混合物は4-ジメチルアミノピリジン(36 mg、0.30 mmol、0.1 eq)と共にピリジン及び無水酢酸(1/1、30 mL)中で溶解された。混合物は室温で12時間撹拌され、減圧下で濃縮され、ジクロロメタン中で溶解され、水性NaHCO
3satで洗浄され、MgSO
4で乾燥され、濾過されて減圧下で濃縮された。残渣はシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチルが6:4)で精製されて黄色油の化合物14(372mg、29%)を得る。
[α]
D (CHCl
3, c = 1, 20°C) = -109.5;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) d: 5.33 (1H, dd, J
3-4 = 3.4 Hz, J
3-2 = 10.0 Hz, H-3), 5.26 (1H, dd, J
4-5 = 1.2 Hz, H-4), 5.13-5.05 (2H, m, H-1, H-2), 4.20 (3H, qd, J
5-6 = 6.6 Hz, H-5), 4.17 (2H, d, J
9-7 = 2.4 Hz, H-7), 3.82-3.59 (8H, m, CH
2), 2.42 (1H, t, H-9), 2.12, 2.03, 1.94 (9H, 3s, COCH
3), 1.10 (3H, d, J
5-6 = 6.6Hz, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d: 170.7, 170.5, 170.1 (3 COCH
3), 96.3 (C-1), 79.7 (C-8), 74.7 (C-9), 71.3 (C-4), 70.6 (CH
2), 70.2 (CH
2), 69.2 (CH
2), 68.3 (C-2), 68.1 (C-3), 67.6 (CH
2), 64.4 (C-5), 58.5 (C-7), 20.9, 20.74, 20.69 (3s, 3C, COCH
3), 15.9 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
19H
28O
10Na [M+Na]
+
calc: 439.1580, found 439.1586.
【0117】
実施例38:化合物35
【化180】
化合物14(28.7 mg、0.069 mmol)は水酸化リチウム(0.8 mg、0.03 mmol、0.5 eq)と共にMeOH(3mL)に入れて1時間撹拌された。水(1 mL)が添加され、混合物は更に30分間撹拌された。Dowex-50樹脂はpHが7になるまで添加された。混合物はフリット漏斗を通過して濾過され、減圧下で濃縮されて定量的収率(20 mg)で脱アセチル化化合物35を得る。
1H NMR (400 MHz, MeOD
4) d: 4.78 (1H, m, H-1), 4.19 (2H, m, H-7), 4.02 (1H, q, H-5), 3.83-3.76 (1H, m, H-3), 3.76-3.70 (2H, m, H-2, H-4), 3.70-3.58 (8H, m, CH
2O), 1.21 (3H, d, H-6);
13C NMR (100 MHz, MeOD
4) d: 100.7 (C-1), 71.7 (C-4), 71.4 (CH
2), 70.1 (C-2), 70.0 (CH
2), 68.2 (H-3), 67.6 (H-5), 59.0 (C-7), 16.6 (C-6);HRMS (ES+) m/z calcd for C
13H
22O
7Na [M+Na]
+
calc: 313.1263, found 313.1266.
【0118】
実施例39:化合物15
【化181】
酸性シリカ(30 mg)はL-フコース(1 mg、6.10 mmol、1 eq)及び テトラエチレングリコールプロパルギルエーテル(4.24 g、18.58 mmol、3 eq)の混合物に添加された。混合物は80℃で16時間撹拌され、濾過され、減圧下で濃縮された。残渣はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノールが95:5)で精製されて残ったアルコールを除去した。α/βアノマー混合物は4-ジメチルアミノピリジン(72 mg、0.60 mmol、0.1 eq)と共にピリジン及び無水酢酸(1/1、60 mL)中で溶解された。混合物は室温で12時間撹拌され、減圧下で濃縮され、ジクロロメタン中で溶解され、水性NaHCO
3satで洗浄され、MgSO
4で乾燥され、濾過されて減圧下で濃縮された。残渣はシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチルが5:5)で精製されて黄色油の化合物15(381mg、12%)を得る。
[α]
D (CHCl
3, c = 1, 20°C) = -53.5;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) d: 5.36-5.28 (1H, m, H-3), 5.25 (1H, dd, J
4-5 = 1.2Hz, J
4-3 = 3.4Hz, H-4), 5.11-5.02 (2H, m, H-1, H-2), 4.24-4.13 (3H, m, H-7, H-5), 3.69-3.57 (16H, m, CH
2), 2.41 (1H, t, J
7-9 = 2.4 Hz, H-9), 2.12, 2.03, 1.94 (9H, 3s, CH
3CO), 1.09 (3H, d, J
5-6 = 6.6Hz, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d: 170.7, 170.5, 170.1 (3 COCH
3), 96.3 (C-1), 79.7 (C-8), 74.6 (C-9), 71.3 (C-4), 70.8 (CH
2), 70.7 (CH
2), 70.4 (CH
2), 70.2 (CH
2), 69.1 (CH
2), 68.2 (C-2) 68.1 (C-3), 67.2 (CH
2), 64.3 (C-5), 58.4 (C-7), 20.9, 20.8, 20.7 (3 COCH
3), 15.9 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
23H
36O
12Na [M+Na]
+
calc : 527.2104, found 527.2114.
【0119】
実施例40:化合物36
【化182】
化合物15(26.7 mg、0.099 mmol)は水酸化リチウム(0.6 mg、0.03 mmol、0.5 eq)と共にMeOH(3mL)に入れて1時間撹拌された。水(1 mL)が添加され、混合物は更に30分間撹拌された。Dowex-50樹脂はpHが7になるまで添加された。混合物はフリット漏斗を通過して濾過され、減圧下で濃縮されて定量的収率(20 mg)で脱アセチル化化合物36を得る。
[α]
D(MeOH, c = 0.5, 20°C) = -139.8;
1H NMR (400 MHz, MeOD
4) d: 4.79 (1H, d, J
1-2 = 3.3 Hz, H-1), 4.19 (2H, d, J
7-9 = 2.4 Hz, H-7), 4.01 (1H, q, J
5-6 = 6.3 Hz, H-5), 3.85-3.76 (1H, m, H-4), 3.76-3.58 (18H, m, CH
2, H-2, H-3), 2.85 (1H, t, H-9), 1.21 (3H, d, H-6);
13C NMR (100 MHz, MeOD
4) d: 100.7 (C-1), 80.6 (C-9), 75.9 (C-8), 73.6 (C-4),71.7 (C-2), 71.5 (CH
2),71.3 (CH
2), 70.12 (C-3), 70.10 (CH
2), 68.2 (CH
2), 67.6 (C-5), 59.0 (C-7), 16.7 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
17H
30O
9Na [M+Na]
+
calc : 401.1788, found 401.1777.
【0120】
実施例41:化合物37
【化183】
市販のPOSS-オクタビニル10(100 mg、0.16 mmol、1 eq)は1-メルカプト-11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデカン(500 mg、2.4 mmol、15 eq)及びDPAP(20 mg、0.008 mmol、0.5 eq)と共にDMF/THF(2/1 3 mL)に入れた。反応は光活性化(365 nm)され、1時間撹拌された。粗生成物はSephadex LH-20により精製され、化合物37(327 mg、89%)を得る。
1H NMR (MeOD
4, 300MHz) d: 3.70-3.61 (96H, m, CH
2O), 3.61-3.55 (16H, m, H-4), 2.80-2.65 (32H, m, H-2, H-3), 1.15-1.00 (16H, t, J
1-2= 8.0 Hz, H-1);
13C NMR (MeOD
4, 75MHz) d: 73.7, 72.1, 71.7, 71.6, 71.5, 71.3 (6 CH
2O), 62.3 (C-4), 32.3 (C-3), 27.4 (C-2), 14.0 (C-1). HRMS (ES-) m/z calcd for C
80H
167O
44Si
8S
8 [M-H]
-
calc : 2311.6750, found 2311.6707.
【0121】
実施例41:化合物38
【化184】
化合物37(669 mg、0.289 mmol、1 eq)は乾燥DCM(20mL)中で溶解された。トリエチルアミン(0.58 mL、4.3 mmol、15 eg.)と、続けてメタンスルホニルクロリド(0.22 mL、2.89 mmol、10 eq)が添加され、混合物は室温で48時間撹拌された。混合物は減圧下で濃縮され、酢酸エチル(20 mL)中で溶解され、水(20 mL)、塩水(20 mL)、水(20 mL)で洗浄され、MgSO
4で乾燥されて減圧下で濃縮された。粗生成物はSephadex LH-20により精製され、化合物38(415 mg、49%)を得る。
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) d: 4.33 (16H, t, J
6-5 = 4.4 Hz, H-6), 3.73 (16H, t, H-5), 3.67-3.52 (80H, m, 4 CH
2, H-4), 2.68 (16H, t, J
2-3 = 6.9 Hz, H-3), 2.58 (16H, t, J
1-2 = 8.6 Hz, H-2), 0.97 (16H, t, H-1);
13C NMR (CDCl
3, 100MHz) d: 70.6, 70.5, 70.3, 69.4, 69.0 (5 CH
2), 37.7 (C-7), 31.2 (C-3), 26.4 (C-2), 13.1 (C-1). HRMS (ES+) m/z calcd for C
88H
184O
60Na
3Si
8S
8 [M+3Na]
3+
calc : 1001.8242, found 1001.8276.
【0122】
実施例42:化合物39
【化185】
化合物38(415 mg、0.14 mmol、1 eq)はアジ化ナトリウム(92 mg、1.4 mmol、10 eq)と共に乾燥DMF中で溶解された。混合液は室温で48時間撹拌され、減圧下で濃縮され、Sephadex LH-20により精製されて化合物39(270 mg、76%)を得る。
1H NMR (CDCl
3, 400MHz) d: 3.88-3.53 (96H, m, CH
2), 3.37 (16H, t, J = 5.0 Hz, H-4), 2.71 (16H, t, J
2-3= 6.9 Hz, H-3), 2.59 (16H, t, J
1-2= 8.6 Hz, H-2), 0.99 (16H, t, H-1);
13C NMR (CDCl
3, 400MHz) d: 70.7, 70.4, 70.1 (3 CH
2O), 50.8 (C-4), 31.5 (C-3), 26.7 (C-2), 13.7 (C-1); HRMS (ES+) m/z calcd for C
80H
168N
26O
36Si
8S
8[M+2NH
4]
2+
calc : 2548.8034, found 2548.7906.
【0123】
実施例43:式[A4-1 - B2 - C1]の化合物40
【化186】
化合物34(62 mg, 0.307 mmol, 8.8 eq)及び化合物39(91 mg, 0.036 mmol, 1 eq)の混合物にアスコルビン酸ナトリウム(4.8 eq)及び硫酸銅五水和物(2.4 eq)が添加され、続けて2/1のジオキサン/水が添加された。混合物は60℃で16時間撹拌された。Quadrasil MTUが添加され、混合物は30分間撹拌された。化合物はSephadex LH-20により精製(MeOH/Acetoneが1:1)され、所望の環状付加物40を得る。
1H NMR (300Hz, MeOD
4): d = 8.08( 8H, bs, H-9), 4.90 (8H, m, H-1) , 4.81-4.63 (16H, m, H-7), 4.59 (16H, t, J
10-11 = 4.4 Hz, H-10), 3.96 (8H, q, J
5-6= 6.4 Hz, H-5), 3.91 (16H, t, H-11), 3.75 (16H, H-3, H-2), 3.72-3.53 (88H, m, H-12, H-13, H-14, H-15, H-16, H-4), 2.73 (32H, m, H-17, H-18), 1.20 (24H, d, H-6), 1.06 (16H, m, H-19);
13C NMR (100Hz, MeOD
4): d = 145.6 (C-8), 126.0 (C-9), 100.2 (C-1), 73.6 (CH2), 71.9 (CH2), 71.6 (C-3), 71.5 (CH2), 71.4 (CH2), 70.4 (C-16), 69.9 (C-2), 67.9 (C-5), 61.8 (C-7), 51.5 (C-10), 32.6 (C-17), 27.9 (C-18), 16.8 (C-6).
【0124】
実施例44:式[A4-1 - B2 - C2-1]の化合物41
【化187】
化合物35(66 mg、0.227 mmol、8.7 eq)及び化合物39(65 mg、0.026 mmol、1 eq)の混合物にアスコルビン酸ナトリウム(25 mg、0.126 mmol、4.8 eq)及び硫酸銅五水和物(16 mg、0.064 mmol、2.4 eq)が添加され、続けて2/1のジオキサン/水(2.25 mL)が添加された。混合物は60℃で16時間撹拌された。Quadrasil MTU が添加され、混合物は30分間撹拌された。化合物はSephadex LH-20により精製(MeOH/Acetone が1:1)され、所望の環状付加物41(77 mg、62%)を得る。
[α]
D(MeOH, c=1, 20°C) = -43.2;
1H NMR (400MHz, MeOD
4): d = 1H : 8.07 (8H, bs, H-13), 4.79 (8H, d, H-1), 4.64 (16H, s, H-11), 4.60 (16H, t, H-14), 3.99 (8H, q, J
6-5 = 6.4 Hz, H-5), 3.91 (16H, t, J
15-14= 4.7, H-15), 3.84-3.51 (144H, m, CH
2), 2.92-2.59 (32H, m, H-22, H-21), 1.19 (24H, d, H-6), 1.09 (16H, m, H-23).
13C NMR (100MHz, MeOD
4) : d = 145.8 (C-12), 126.00 (C-13), 100.7 (C-1), 73.6 (C-3), 72.0 (CH
2), 71.7 (C-2), 71.5 (CH
2), 71.4 (CH
2), 70.8 (CH
2), 70.4 (C-15), 70.1 (C4), 68.2 (CH
2), 67.6 (C-5), 65.1 (C-11), 51.5 (C-14), 32.5 (C-21), 27.9 (C-22), 16.8 (C-6);
【0125】
実施例45:式[A4-1 - B2 - C2-2]の化合物42
【化188】
化合物36(73 mg、0.193 mmol、9.2 eq)及び化合物39(53 mg、0.021 mmol、1 eq)の混合物にアスコルビン酸ナトリウム(21 mg、0.106 mmol、5.0 eq)及び硫酸銅五水和物(13 mg、0.052 mmol、2.5 eq)が添加され、続けて2/1のジオキサン/水(2.1 mL)が添加された。混合物は60℃で16時間撹拌された。Quadrasil MTUが添加され、混合物は30分間撹拌された。化合物はSephadex LH-20により精製(MeOH/Acetoneが1:1)され、所望の環状付加物42(91 mg、78%)を得る。
[α]
D(MeOH, c=1, 20°C) = -45.1;
1H NMR (400MHz, MeOD
4): d = 8.07 (8H, bs, H-17), 4.79 (8H, d, J
1-2 = 4.8hz, H-1), 4.64 (16H, H-15), 4.60 (16H, H-18), 4.00 (8H, q, J
5-6 = 6.5hz, H-5), 3.91 (16H, H-19), 3.84-3.38 (208H ,m , H-20, H-21,H-22, H-23, H-24, H-7, H-8, H-9, H-10, H-11, H-12, H-13, H-14), 2.89-2.62 (32H, m, H-25, H-26), 1.21 (24H, d, H-6), 1.17-0.98 (16H, H-27);
13C NMR (100MHz, MeOD
4) : d = 146.0 (C-16), 126.0 (C-17), 100.7 (C-1), 73.6 (C-3), 71.9 (CH2), 71.7 (C-2), 71.6 (CH2), 71.4 (CH2), 70.8 (CH2), 70.4 (C-19), 68.3 (CH2), 67.6 (C-5), 65.1 (C-15), 51.5 (C-18), 32.6 (C-25), 27.8 (C-26), 16.8 (C-6);
【0126】
実施例46:化合物43
【化189】
フコシド9(66.6 mg、0.203 mmol、6.6 eq)及び足場ヘキサキス(6-デオキシ-6-アジド)-α-シクロデキストリン(50 mg、0.031 mmol、1 eq)の混合物にアスコルビン酸ナトリウム(14.6 mg、0.074 mmol、2.4 eq)及び硫酸銅五水和物(9.2 mg、0.037 mmol、1.2 eq)が添加され、続けて4/1のジオキサン/水(2.5 mL)が添加された。混合物は60℃で16時間撹拌された。エチレンジアミン四酢酸が添加され、混合物は20分間撹拌された。混合物は酢酸エチル中で溶解され、水で洗浄され、水性NaHCO
3satで洗浄され、水で洗浄され、MgSO
4で乾燥され、濾過されて減圧下で濃縮された。化合物はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/ MeOHが95:5)で精製され、所望の環状付加物43(76 mg、69%)を得る。
[α]
D (CHCl
3, c = 0.5, 20°C) = -44.6;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) d: 7.67 (6H, bs, H-9), 5.58-5.41 (12H, m, H-1’, H-3’), 5.26 (6H, dd, J
3-4= 3.2 Hz, J
2-3 = 10.8 Hz, H-3), 5.23-5.17 (6H, m, H-4), 5.15 (6H, d, J
1-2 = 3.5Hz, H-1), 5.06 (6H, dd, J
2-1 = 3.6 et 10.8, H-2), 4.92-4.47 (36H, m, H-5’,H-2’, H-7, H-6’), 4.26-4.13 (6H, m, H-5), 3.54 (6H, dd, J = 8.6Hz, H-4’), 2.18-1.85 (90H, m, 30 COCH
3), 1.12 (6H, d, J
5-6 = 6.5 Hz, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d: 170.6, 170.44, 170.37, 169.9, 169.2 (5 COCH
3), 143.9 (C-8), 125.7 (C-9), 96.7 (C-1’), 95.6 (C-1), 71.2 (C-4), 71.0 (C-3’), 70.0 (C-5’, C-2’), 68.2 (C-2), 67.9 (C-3), 64.9 (C-5), 60.8 (C-6’), 50.7 (C-7), 20.8, 20.7 (COCH
3), 15.9 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
150H
198N
18O
84Na
3[M+3Na]
3+
calc : 1221.3823, found 1221.3790.
【0127】
実施例47:式[A1-1 - B2 - C1]の化合物44
【化190】
化合物43(66 mg、0.018 mmol、1eq)は水酸化リチウム(0.2 mg、0.009 mmol、0.5 eq)と共にMeOH(3mL)に入れて1時間撹拌された。水(1 mL)が添加され、混合物は更に30分間撹拌された。Dowex-50樹脂はpHが7になるまで添加された。混合物はフリット漏斗を通過して濾過され、減圧下で濃縮されて脱アセチル化化合物44(43mg、定量的)を得る。
1H NMR (400 MHz, DMSO
3) d: 7.93 (6H, bs, H-9), 5.70-5.51 (10H, m, OH), 5.09 (6H, s, H-1’), 4.69 (6H, d, J
1-2 = 3.0 Hz, H-1), 4.55-4.41 (18H, m, 6 H-6’a, 12 H-7), 4.41-4.26 (24H, m, 6 H-6’b, 18 OH), 4.22-4.11 (6H, m, H-5’), 3.88-3.78 (6H, m, H-3’), 3.78-3.67 (6H, m, H-5), 3.57-3.51 (6H, m, H-2), 3.50-3.45 (6H, m, H-3), 3.44-3.39 (6H, m, H-4), 3.27-3.19 (12H, m, H-2’, H-4’), 1.04 (18H, d, J
6-5 = 6.4 Hz, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d:143.7 (C-8), 125.7 (C-9), 101.3 (C-1’), 98.5 (C-1), 82.6 (C-2’), 72.4 (C-3’), 71.5 (C-4), 71.3 (C-4’), 69.6 (C-5’), 68.0 (C-2), 66.0 (C-5), 60.0 (C-6’), 54.9, 49.7 (C-7), 48.6, 16.4 (C-6); [a]
D (H
2O, c=0.5, 20°C) = -37.7; HRMS (ES+) m/z calcd for C
90H
140N
18O
54[M +2 H]
2+
calc : 1168.4381, found 1168.4329.
【0128】
実施例48:化合物21
【化191】
フコシド14(103 mg、0.247 mmol、6.8 eq)及び足場ヘキサキス(6-デオキシ-6-アジド)-α-シクロデキストリン(59 mg、0.036 mmol、1 eq)の混合物にアスコルビン酸ナトリウム(17.3 mg、0.087 mmol、2.4 eq)及び硫酸銅五水和物(10.9 mg、0.044 mmol、1.2 eq)が添加され、続けて4/1のジオキサン/水(5 mL)が添加された。混合物は60℃で16時間撹拌された。エチレンジアミン四酢酸が添加され、混合物は20分間撹拌された。混合物は酢酸エチル中で溶解され、水で洗浄され、水性NaHCO
3satで洗浄され、水で洗浄され、MgSO
4で乾燥され、濾過されて減圧下で濃縮された。化合物はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/ MeOHが97:3)で精製され、所望の環状付加物21(92 mg、61%)を得る。
[α]
D (CHCl
3, c = 0.5, 20°C) = -33.3;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) d: 7.67 (6H, bs, H-9), 5.56-5.43 (6H, m, H-3’), 5.39 (6H, d, J
1’2’ = 3.1 Hz, H-1’), 5.32 (6H, m, H-3), 5.25 (6H, dd, J= 2.3 Hz, H-4), 5.10-5.04 (12H, m, H-1, H-2), 4.71 (6H, dd, J
2’3’ = 9.9 Hz, H-2’), 4.68-4.45 (30H, m, H-5’, H-6’, H-7), 4.19 (6H, q, J
5-6 = 6.4 Hz, H-5), 3.70-3.50 (54H, m, H-4’, 24 CH
2), 2.15-1.93 (90H, m, COCH
3), 1.09 (18H, d, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d: 170.7, 170.5, 170.3, 170.1, 169.1 (5 COCH
3), 144.9 (C-8), 125.6 (C-9), 96.9 (C-1’), 96.4 (C-1), 71.3 (C-4), 71.1 (C-3’), 70.6, 70.2, 70.1 (3 CH
2), 70.0 (C-2’), 68.3 (C-2), 68.2 (C-3), 67.6 (CH
2), 64.6 (C-6’), 64.4 (C-5), 50.6 (C-7), 20.9, 20.8, 20.7 (3 COCH
3), 16.0 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
174H
249N
18O
96[M+3H]
3+
calc : 1375.5052, found 1375.5020.
【0129】
実施例49:式[A1-1 - B2 - C2-1]の化合物29
【化192】
化合物21(122 mg、0.030 mmol、1 eq)は水酸化リチウム(0.4 mg、0.015 mmol、0.5 eq)と共にMeOH(3mL)に入れて1時間撹拌された。水(1 mL)が添加され、混合物は更に30分間撹拌された。Dowex-50樹脂はpHが7になるまで添加された。混合物はフリット漏斗を通過して濾過され、減圧下で濃縮されて脱アセチル化化合物29(85 mg、定量的)を得る。
[α]
D(MeOH, c=1, 20°C) = -43.6;
1H NMR (MeOD
4, 300MHz) d: 8.06 (6H, bs, H-9), 5.19 (6H, H-1’), 4.78 (6H, H-1), 4.72-4.15 (30H, m, H-3’, H-4’, H-5’, H-6’), 4.05-3.90 (12H, m, H-5, H-3), 3.91-3.40 (78H, m, H-2’, H-2, H-4, H-7, 4 CH
2O), 1.19 (18H, d, J
5-6 = 6.3 Hz, H-6);
13C NMR (MeOD
4, 75MHz) d: 145.7 (C-8), 127.6 (C-9), 103.1 (C-1’), 100.6 (C-1), 74.6 (C-3), 73.6 (C-4), 73.3 (C-2’), 71.7 (C-2), 71.4 (CH
2), 71.3 (CH
2), 70.9 (C-7), 70.1, 68.2 (CH
2), 67.6 (C-5), 64.9 (CH
2), 51.6 (C-6’), 16.8 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
114H
186N
18O
66Na
3[M +3 Na]
3+
calc : 977.3815, found 977.3844.
【0130】
実施例50:化合物22
【化193】
フコシド15(68.3 mg、0.135 mmol、7.1 eq)及び足場ヘキサキス(6-デオキシ-6-アジド)-α-シクロデキストリン(31.3 mg、0.019 mmol、1 eq)の混合物にアスコルビン酸ナトリウム(9.1 mg、0.046 mmol、2.4 eq)及び硫酸銅五水和物(5.8 mg、0.023 mmol、1.2 eq)が添加され、続けて4/1のジオキサン/水(2.5 mL)が添加された。混合物は60℃で16時間撹拌された。エチレンジアミン四酢酸が添加され、混合物は20分間撹拌された。混合物は酢酸エチル中で溶解され、水で洗浄され、水性NaHCO
3satで洗浄され、水で洗浄され、MgSO
4で乾燥され、濾過されて減圧下で濃縮された。化合物はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/MeOHが96:4)で精製され、所望の環状付加物22(67 mg、49%)を得る。
[α]
D (CHCl
3, c = 0.5, 20°C) = -26.3;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) d: 7.68, (6H, bs, H-9), 5.73-5.37 (12H, m, H-1’, H-3’), 5.37-5.31 (6H, m, H-3), 5.29-5.24 (6H, m, H-4), 5.12-5.05 (12H, m, H-1, H-2), 4.88-4.34 (30H, m, H-2’, H-5’, H-6’, H-7), 4.20 (6H, q, J
5-6= 6.5 Hz H-5), 3.72-3.36 (102H, m, CH
2), 2.15-1.94 (90H, m, COCH
3), 1.11 (18H, d, H-6);
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) d: 170.7, 170.5, 170.1 (3 COCH
3), 144.9 (C-8), 125.7 (C-9), 96.4 (C-1), 71.4 (C-4), 70.8, 70.7, 70.6, 70.2, 70.1 (5 CH
2), 70.0 (C-2’, C-5’), 68.3(C-3’), 68.2 (C-3), 67.6 (CH
2), 64.5 (C-6’), 64.4 (C-5), 20.9, 20.8, 20.7 (3 COCH
3), 16.0 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
198H
298N
18O
108[M+4H]
4+
calc : 1163.9595, found 1163.9604.
【0131】
実施例51:式[A1-1 - B2 - C2-2]の化合物30
【化194】
化合物22(71 mg、0.015 mmol、1eq)は水酸化リチウム(0.2 mg、0.007 mmol、0.5 eq)と共にMeOH(3mL)に入れて1時間撹拌された。水(1 mL)が添加され、混合物は更に30分間撹拌された。Dowex-50樹脂はpHが7になるまで添加された。混合物はフリット漏斗を通過して濾過され、減圧下で濃縮されて脱アセチル化化合物30(85 mg、定量的)を得る。
[α]
D(MeOH, c=1, 20°C) = -33.6;
1H NMR (MeOD
4, 300MHz) d: 8.07 (6H, bs, H-9), 5.19 (6H, m, H-1’), 4.79 (6H, d, J
1-2 = 3.2 Hz, H-1), 4.72-4.12 (30H, m, H-3’, H-4’, H-5’, H-6’), 4.07-3.92 (12H, m, H-5, H-3), 3.86-3.50 (120H, m, H-2, H-4, H-7, 8 CH
2O), 3.71-3.41 (6H, m, H-2’), 1.20 (18H, d, J
5-6= 6.5 Hz);
13C NMR (MeOD
4, 75MHz) d: 145.7 (C-8), 127.4 (C-9), 103.1 (C-1’), 100.6 (C-1), 74.6 (C-3), 73.6 (C-4), 73.3 (C-2’), 71.7 (C-2), 71.5 (CH
2), 71.4 (CH
2), 71.3 (CH
2), 70.9 (CH
2), 70.1, 68.2 (C-7), 67.6 (C-5), 64.9 (CH
2), 51.6 (C-6’), 16.8 (C-6); HRMS (ES+) m/z calcd for C
138H
237N
18O
78[M +3 H]
3+
calc : 1131.5044, found 1131.5072.
【0132】
実施例52:Fisher グリコシル化及びアセチル化1 G10
酸性シリカ(5mg/mmol)はL-フコース(1 eq)及び受容体アルコールプロパルギル(3 eq)の混合物に添加された。混合物は一晩、70℃に加熱し、綿で濾過して減圧下で濃縮された。残渣はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール)で精製されて受容体アルコールを除去した。α/βアノマーはジクロロメタン中で溶解され、無水酢酸(6 eq)、TEA(6 eq)及びDMAP(0.1 eq)が0℃で添加された。混合物は室温で12時間撹拌され、減圧下で濃縮され、ジクロロメタン中で溶解され、水性NaHCO3satで洗浄されてMgSO4で乾燥された。有機層は減圧下で濃縮され、残渣はシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル)で精製されて所望のフコシドを単離した。
(1H. Hashimoto, K. Shimada, S. Horito, Tetrahedron Asymmetr.. 1994, 5, 2351-2366.)
【0133】
実施例53:クリック化学 G11
フコシド(1 eq)及び2-[2-[2-(2-アジドエトキシ)エトキシ]エトキシ]エタノール2(1.1 eq)のジオキサン/水(4:1)溶液にアスコルビン酸ナトリウム(0.6 eq)及び硫酸銅五水和物(0.3 eq)が添加された。混合物は60℃で一晩撹拌され、次にChelex樹脂が添加され、濾過前に混合物は30分間撹拌された。樹脂はMeOHで洗い流し、濾液は減圧下で蒸発させた。残渣はシリカゲルカラム(ジクロロメタン/ MeOH)で精製されて所望の化合物を得る。
(2L. N. Goswani, Z. H. Houston, S. J. Sarma, S. S. Jalisatgi, M. F. Hawthorne, Org. Biomol. Chem., 2013, 11, 1116-1126)
【0134】
実施例54:脱アセチル化 G12:
アセチル化化合物は室温でAmberlite樹脂IRN 78と共にMeOH/H2O (1:1)に入れて一晩撹拌された。樹脂は濾過され、MeOHで洗い流したら濾液は減圧下で蒸発させて所望の化合物を得る。
【0135】
実施例55:プロパルギル化 G13:
0℃におけるジオール(4 eq)及びNaH(4 eq)のDMF溶液に臭化プロパギル(1 eq)が添加され、室温になるまで一晩撹拌された。混合液はDCMで希釈されて冷水、飽和水性NaHCO3、塩水で洗浄された。有機相はMgSO4で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。残渣はシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル)で精製されて所望の鎖を得る。
【0136】
実施例56:化合物45:6-(プロピ-2-イニルオキシ) ヘキサン-1-オル
【化195】
化合物45(1.25 mg、72%、黄色油)は一般的な手順G13に従ってヘキサン-1.6-ジオールから得られる。フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAcが8/2)。化合物45の分析データは文献データ
3と完全に一致した。
(
3N. Ranjan, S. Story, G. Fulcrand, F. Leng, M. Ahmad, A. King, S. Sur, W. Wang, Y-C. Tse-Dinh, D.P. Arya, J. Med. Chem 2017, 60, 4904-4922.)
【0137】
実施例57:化合物46:4-(プロピ-2-イニルオキシ) ブタン-1-オル:
【化196】
化合物46(1.28 mg、71%、黄色油)は一般的な手順G13に従ってブタン-1.4-ジオールから得られる。フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAcが8/2)。化合物46の分析データは文献データ
4と完全に一致した。
(
4L. Yi,J. Shi, S. Gao, S. Leng, C. Niu, Z. Xi, Tetrahedron Lett. 2009, 50, 759-762)
【0138】
実施例58:化合物47:cis-4-(プロピ-2-イニルオキシ) ブテン-1-オル:
【化197】
化合物47(1.58 mg、80%、黄色油)は一般的な手順G13に従ってcis-2-ブテン-1.4-ジオールから得られる。フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAcが8/2)。HRMS-ESI m/z calcd for C
7H
10O
2 [M+Na]
+149.0578 found 149.0583.
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 5.79 (dtt, J = 11.2, 6.4, 1.3 Hz, 1H, H2 or H3), 5.67 - 5.55 (m, 1H, H2 or H3), 4.21 - 4.09 (m, 6H, H1, H4, H5), 2.65 (s, 1H, OH), 2.45 (t, J = 2.4 Hz, 1H, H7).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 133.2, 127.1 (C-2, C-3), 79.4 (C-7), 74.9 (C-6), 64.9, 58.3, 57.2 (C-1, C-4, C-5).
【0139】
実施例59:化合物48
【化198】
化合物48(159.7 mg、20%、黄色油)は一般的な手順G10に従って6-(プロピ-2-イニルオキシ)ヘキサン-1-オル(鎖1)と共にL-フコース(294mg、1.79 mmol)のFisher グリコシル化により得られた。フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/ EtOAcが8/2)。 HRMS-ESI m/z calcd for C
21H
32O
9 [M+Na]
+ 451.1944 found 451.1942.
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 5.32 (dd, J = 10.6, 3.4 Hz, 1H, H3), 5.27 (dd, J = 3.4, 1.2 Hz, 1H, H4), 5.07 (dd, J = 10.6, 3.7 Hz, 1H, H2), 5.01 (d, J = 3.7 Hz, 1H, H1), 4.12 (m, 3H, H5, H13), 3.64 (dt, J= 9.8, 6.5 Hz, 1H, CHH H7 or H12), 3.49 (t, J = 6.5 Hz, 2H, CH
2H7 or H12), 3.37 (dt, J = 9.8, 6.5 Hz, 1H, CHH H7 or H12), 2.41 (t, J = 2.4 Hz, 1H, H15), 2.14 (s, 3H, CH
3), 2.04 (s, 3H, CH
3), 1.96 (s, 3H, CH
3), 1.57 (td, J = 6.7, 4.0 Hz, 4H, H8, H11), 1.41 - 1.30 (m, 4H, H9, H10), 1.11 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 170.7, 170.5, 170.2 (3 CH
3CO), 96.1 (C-1), 80.0 (C-14), 74.2 (C-15), 71.3 (C-4), 70.1, 68.4 (C-7, C-12), 68.4, 68.2 (C-2, C-3), 64.3 (C-5), 58.1 (C-13), 29.5, 29.3, 25.9, 25.9 (C-8, C-9, C-10, C-11), 20.9, 20.8, 20.7 (3 CH
3CO), 15.98 (C-6).
【0140】
実施例60:化合物49:
【化199】
化合物49( 221.8 mg、16 %、黄色油)は一般的な手順G10に従って4-(プロピ-2-イニルオキシ)ブタン-1-オル(鎖2)と共にL-フコース(546 mg、3.32 mmol)のFisher グリコシル化により得られた。
化合物49: フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/ EtOAcが8/2)。HRMS-ESI m/z calcd for C
19H
28O
9 [M+Na]
+423.1631 found 423.1619.
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 5.31 (dd, J = 10.6, 3.4 Hz, 1H, H3), 5.25 (dd, J = 3.4, 1.1 Hz, 1H, H4), 5.06 (dd, J = 10.6, 3.7 Hz, 1H, H2), 5.00 (d, J = 3.7 Hz, 1H, H1), 4.16 - 4.07 (m, 3H, H5, H11), 3.73 - 3.62 (m, 1H, CHH H7 or H10), 3.53 - 3.47 (m, 2H, CH
2 H7 or H10), 3.44 - 3.34 (m, 1H, CHH H7 or H10), 2.41 (t, J= 2.4 Hz, 1H, H13), 2.13 (s, 3H, CH
3), 2.03 (s, 3H, CH
3), 1.95 (s, 3H, CH
3), 1.68 - 1.59 (m, 4H, H8, H9), 1.10 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 170.7, 170.5, 170.1 (3 CH
3CO), 96.1 (C-1), 79.9 (C-12), 74.34 (C-13), 71.2 (C-4), 69.6 (C-7 or C-10), 68.3 (C-2), 68.1 (C-3, C-7 or C-10), 64.3 (C-5), 58.1 (C-11), 26.2, 26.1 (C-8, C-9), 20.8, 20.7, 20.7 (3 CH
3CO), 15.9 (C-6).
【0141】
実施例61:化合物50:
【化200】
化合物50:フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAcが7/3)。HRMS-ESI m/z calcd for C
19H
28O
9 [M+Na]
+423.1631 found 423.1619.
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 5.23 - 5.12 (m, 1H, H4, H3), 4.99 (dd, J = 10.4, 3.5 Hz, 1H, H2), 4.41 (d, J= 7.9 Hz, 1H, H1), 4.11 (d, J = 2.4 Hz, 1H, H11), 3.91 (dt, J = 9.1, 5.7 Hz, 1H, CHH H7 or H10), 3.78 (q, J = 6.4 Hz, 1H, H5), 3.56 - 3.41 (m, 3H, CHH H7 or H10, CH
2H7 or H10), 2.40 (t, J = 2.4 Hz, 1H, H13), 2.15 (s, 3H, CH
3), 2.03 (s, 3H, CH
3), 1.96 (s, 3H, CH
3), 1.72 - 1.55 (m, 4H, H8, H9), 1.20 (d, J = 6.4 Hz, 1H, H6). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 170.8, 170.3, 169.6 (3 CH
3CO), 101.2 (C-1), 80.0 (C-12), 74.2 (C-13), 71.4 (C-2), 70.4 (C-4), 69.8, 69.7 (C-7, C-10), 69.2, 69.1 (C-3, C-5), 58.1 (C- 11), 26.2, 25.9 (C-8, C-9), 20.9, 20.8, 20.7 (3 CH
3CO), 16.2 (C-6).
【0142】
実施例62:化合物51:
【化201】
化合物51(63.5 mg、6 %、黄色油)は一般的な手順G10に従って(Z)-4-(プロピ-2-イニルオキシ)ブテ-2-エン-1-オル(鎖3)と共にL-フコース(425 mg、2.6 mmol)のFisher グリコシル化により得られた。フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/ EtOAcが8/2)。HRMS-ESI m/z calcd for C
19H
26O
9 [M+Na]
+ 421.1475 found 421.1466.
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.77 - 5.63 (m, 2H, H8, H9), 5.33 (dd, J = 10.6, 3.4 Hz, 1H, H3), 5.26 (dd, J = 3.4, 1.2 Hz, 1H, H4), 5.09 (dd, J = 10.6, 3.7 Hz, 1H, H2), 5.05 (d, J = 3.7 Hz, 1H, H1), 4.26 - 4.05 (m, 7H, H5, H11, H7, H10), 2.43 (t, J = 2.4 Hz, 1H, H13), 2.13 (s, J = 2.2 Hz, 3H, CH
3), 2.05 (s, 3H, CH
3), 1.95 (s, 3H, CH
3), 1.12 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, CDCl
3) δ 170.6, 170.5, 170.0 (3 CH
3CO), 129.4, 129.0 (C-8, C-9), 95.5 (C-1), 79.5 (C-12), 74.7 (C-13), 71.2 (C-4), 68.1, 68.0 (C-2, C-3), 65.0, 64.5 (C-7 or C-10, C-5), 63.5 (C-7 or C-10), 57.2 (C-11), 20.9, 20.7, 20.7 (3 CH
3CO), 15.9 (C-6).
【0143】
実施例63:化合物52:
【化202】
化合物52(256mg、26 %、白色固体)は一般的な手順G10 に従ってプロパルギルアルコールと共にL-フコース(500 mg、3.04 mmol)のFisher グリコシル化により得られた。化合物52の分析データは文献データ
5と完全に一致した。
(
5B. Roy and B. Mukhopadhyay, Tetrahedron Lett. 2007, 48, 3783-3787.)
【0144】
実施例64:化合物53:
【化203】
0℃における2,3,4-トリ-O-アセチル-1-S-アセチル-1-チオ-α-L-フコピラノース
6(1 eq)のMeOH 溶液にNaSMe(1.1 eq)が添加された。溶液は45分間撹拌され、続けて臭化プロパギル(2.2 eq)が混合物に添加された。室温で1時間撹拌され、溶媒は減圧下で蒸発させた。粗生成物はジクロロメタンに入れて、HCl 1M及び sat. NaClで洗浄された。有機層はMgSO
4で乾燥されて減圧下で濃縮された。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAcが8/2)を用いて精製され、無色油の化合物53を得る(mg、60%)。HRMS-ESI m/z calcd for C
15H
20O
7S
[M+Na]
+367.0827 found 367.0822.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.85 (d, J = 5.7 Hz, 1H, H1), 5.31 (dd, J = 10.9, 5.7 Hz, 1H, H2), 5.27 (d, J = 1.8 Hz, 1H, H4), 5.17 (dd, J = 10.9, 3.3 Hz, 1H, H3), 4.42 (q, J = 6.4 Hz, 1H, H5), 3.30 (dd, J = 16.7, 2.6 Hz, 1H, H7a), 3.14 (dd, J = 16.7, 2.6 Hz, 1H, H7b),2.21 (t, J = 2.6 Hz, 1H, H9), 2.14 (s, 3H, CH
3), 2.04 (s, 3H, CH
3), 1.96 (s, 3H, CH
3), 1.14 (d, J = 6.5 Hz, 3H, H6).
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 170.5, 170.0, 169.9 (3 CH
3CO), 81.8 (C-1), 79.2 (C-8), 71.4 (C-9), 70.9 (C-4), 68.8 (C-3), 67.7 (C-2), 65.4 (C-5), 20.8, 20.7, 20.6 (3 CH
3CO), 17.3 (C-7), 15.9 (C-6).
(
6H. Hashimoto, K. shimada, S. Horito, Tetrahedron-Asymmetr.. 1994, 5, 2351-2366.)
【0145】
実施例65:化合物54:
【化204】
化合物54(45.6 mg、75%、無色油)は一般的な手順G11に従って化合物48(40mg、0.093 mmol)から得られる。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHが97/3)HRMS-ESI m/z calcd for C
29H
49N
3O
13 [M+Na]
+ 670.3163 found 670.3163.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.03 (s, 1H, H15), 5.38 - 5.22 (m, 2H, H3, H4), 5.08 - 5.01 (m, 2H, H2, H1), 4.65 - 4.57 (m, 4H, H13, H16), 4.27 - 4.15 (m, 1H, H5), 3.98 - 3.88 (m, 2H, H17), 3.78 - 3.38 (m, 17H, 6 CH
2O, H7, H12, OH), 2.16 (s, 3H, CH
3), 2.05 (s, 3H, CH
3), 1.97 (s, 3H, CH
3), 1.72 - 1.54 (m, 4H, H8, H11), 1.51 - 1.35 (m, 4H, H9, H10), 1.14 (t, J = 6.1 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 172.2, 171.9, 171.6 (3 CH
3CO), 145.9 (C-14), 125.7 (C-15), 97.3 (C-1), 73.6 (CH
2), 72.5 (C-4), 71.5 - 71.3 (5 CH
2), 70.3 (C-17), 69.6, 69.5 (C-2, C-3), 69.3 (C-7 or C-12), 65.6 (C-5), 64.6 (C-13), 62.20 (CH
2), 51.3 (C-16), 30.6, 30.3 (C-8, C-11), 27.0, 26.9 (C-9, C-10), 20.6, 20.4 (3 CH
3CO), 16.1 (C-6).
【0146】
実施例66:化合物55:
【化205】
化合物55(71.7 mg、77%、無色油)は一般的な手順G11に従って化合物49(60mg、0.15 mmol)から得られる。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHが96/4) HRMS-ESI m/z calcd for C
27H
45N
3O
13 [M+Na]
+ 642.2850 found 642.2852.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.04 (s, 1H, H13), 5.38 - 5.25 (m, 2H, H3, H4), 5.11 - 4.97 (m, 2H, H2, H1), 4.66 - 4.56 (m, 4H H11, H14), 4.24 - 4.15 (m, 1H, H5), 3.98 - 3.87 (m, 2H, H15), 3.80 - 3.39 (m, 18H 6 CH
2O, H7, H10, OH), 2.16 (s, 3H, CH
3), 2.05 (s, 3H, CH
3), 1.97 (s, 3H, CH
3), 1.77 - 1.64 (m, 4H, H8, H9), 1.12 (d, J = 6.5 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 172.2, 171.9, 171.6 (3 CH
3CO), 145.9 (C-12), 125.7 (C-13), 97.4 (C-1), 73.6 (CH
2), 72.5 (C-4), 71.5 - 71.1 (5 CH
2), 70.3 (C-15), 69.6, 69.5 (C-2, C-3), 69.1 (C-7 or C-10), 65.6 (C-5), 64.6 (C-11) , 62.1 (CH
2), 51.3 (C-14), 27.3, 27.2 (C-8, C-9), 20.6, 20.4 (3 CH
3CO), 16.1 (C-6).
【0147】
実施例67:化合物56:
【化206】
化合物56(64.9 mg、83%、無色油)は一般的な手順G11に従って化合物50(50mg、0.125 mmol)から得られる。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHが96/4)HRMS-ESI m/z calcd for C
27H
45N
3O
13 [M+Na]
+ 642.2850 found 642.2857.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.05 (s, 1H, H13), 5.24 (dd, J = 3.0, 1.0 Hz, 1H, H4), 5.15 - 5.01 (m, 2H, H2, H3), 4.65 - 4.55 (m, 5H, H1, H11, H14), 4.03 - 3.82 (m, 4H, H5, H15, H7a or H10a), 3.73 - 3.48 (m, 16H, 6 CH
2O, H7 or H10, OH), 2.18 (s, 3H, CH
3), 2.04 (s, 3H, CH
3), 1.96 (s, 3H, CH
3), 1.69 - 1.59 (m, 4H, H8, H9), 1.20 (d, J = 6.4 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 172.2, 171.5, 171.4 (3 CH
3CO), 145.9 (C-12), 125.7 (C-13), 102.0 (C-1), 73.6 (CH
2), 72.7 (C-2), 71.9 (C-4), 71.5 - 71.1 (5 CH
2), 70.5 (C-3), 70.4, 70.3 (C-15, C-7 or C-10), 70.0 (C-5), 64.6 (C-11), 62.2 (CH
2), 51.3 (C-14), 27.3, 27.1 (C-8, C-9), 20.7, 20.5, 20.5 (3 CH
3CO), 16.3 (C-6).
【0148】
実施例68:化合物57:
【化207】
化合物57(67.8 mg、77%、無色油)は一般的な手順G11に従って化合物51(60 mg、0.15 mmol)から得られる。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHが95/5)HRMS-ESI m/z calcd for C
27H
43N
3O
13 [M+Na]
+ 640.2694 found 642.2710.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.07 (s, J = 3.2 Hz, 1H, H13), 5.88 - 5.67 (m, 2H, H8, H9), 5.39 - 5.24 (m, 2H, H3, H4), 5.12 - 5.05 (m, 2H, H2, H1), 4.66 - 4.55 (m, 4H, H11, H14), 4.33 - 4.13 (m, 5H, H5, H7, H10), 3.99 - 3.86 (m, 2H, H15), 3.77 - 3.52 (m, 13H, 6 CH
2O, OH), 2.19 (s, 3H, CH
3), 2.07 (s, 3H, CH
3), 1.99 (s, 3H, CH
3), 1.15 (d, J = 6.5 Hz, 3H, 6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 172.2, 171.9, 171.6 (3 CH
3CO), 145.6 (C-12), 131.0, 129.4 (C-8, C-9), 125.8 (C-13), 96.6 (C-1), 73.6 (CH
2), 72.5 (C-4), 71.5, 71.4, 71.3 (4 CH
2), 70.3 (C-15), 69.4, 69.3 (C2, C3), 66.8 (C7 or C-10), 65.8 (C-5), 64.4 (C-7 or C-10), 64.0 (C-11), 62.1 (CH
2), 51.3 (C-14), 20.6, 20.6, 20.5 (3 CH
3CO), 16.1 (C-6).
【0149】
実施例69:化合物58:
【化208】
化合物58(170 mg、90%、無色油)は一般的な手順G11に従って化合物52(115 mg、0.35 mmol)から得られる。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHが96/4)HRMS-ESI m/z calcd for C
23H
37N
3O
12 [M+Na]
+ 570.2275 found 570.2280.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.12 (d, J = 7.3 Hz, 1H, H9), 5.36 - 5.27 (m, 2H, H3, H4), 5.16 (d, J = 3.7 Hz, 1H, H1), 5.04 (dd, J = 10.6, 3.7 Hz, 1H, H2), 4.81 (d, J = 12.5 Hz, 1H, H7a), 4.69 (d, J = 12.5 Hz, 1H, H7b), 4.65 - 4.58 (m, 2H, H10), 4.31 - 4.21 (m, 1H, H5), 3.97 - 3.88 (m, 2H, H11), 3.71 - 3.53 (m, 13H, 6 CH
2O, OH), 2.16 (s, 3H, CH
3), 2.01 (s, 3H, CH
3), 1.96 (s, 3H, CH
3), 1.13 (d, J = 6.5 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 172.2, 171.8, 171.5 (3 CH
3CO), 144.9 (C-8), 126.4 (C-9), 96.7 (C-1), 73.6 (CH2), 72.5 (C-4), 71.5 - 70.3 (5 CH
2O), 69.3, 69.2 (C-2, C-3), 65.9 (C-5), 62.2 (CH
2), 61.6 (C-7), 51.4 (C-10), 20.6, 20.4 (3 CH
3CO), 16.1 (C-6).
【0150】
実施例70:化合物59:
【化209】
化合物59(32.4 mg、50%、無色油)は一般的な手順G11に従って化合物53(40 mg、0.12 mmol)から得られる。フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOHが96/4)HRMS-ESI m/z calcd for C
23H
37N
3O
11S[M+Na]
+ 586.2046 found 586.2049.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 7.95 (s, 1H, H9), 5.66 - 5.58 (m, 1H, H1), 5.30 (d, J = 1.1 Hz, 1H, H4), 5.26 - 5.12 (m, 2H, H2, H3), 4.61 - 4.55 (m, 2H, H10), 4.55 - 4.46 (m, 1H, H5), 3.95 - 3.79 (m, 4H, H7, H11), 3.72 - 3.55 (m, 13H, 6 CH
2O, OH), 2.17 (s, 3H, CH
3), 2.01 (s, 3H, CH
3), 1.97 (s, 3H, CH
3), 1.13 (d, J = 6.5 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 172.1, 171.4 (3 CH
3CO), 145.4 (C-8), 125.2 (C-9), 82.87 (C-1), 73.6 (CH
2), 72.24 (C-4), 71.5 - 71.4 (4 CH
2), 70.3 (C-11), 70.0, 69.1 (C-2, C-3), 66.4 (C-5), 62.2 (CH
2), 51.4 (C-10), 24.3 (C-7), 20.5, 20.5, 20.4 (3 CH
3CO), 16.1 (C-6).
【0151】
実施例71:化合物60:
【化210】
化合物60(30.8 mg, 96%、無色油)は一般的な手順G12 に従って化合物52(40 mg、0.062 mmol)から得られる。 HRMS-ESI m/z calcd for C
23H
43N
3O
10 [M+Na]
+ 544.2846 found 544.2849.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.03 (s, 1H, H15), 4.74 (d, J = 2.3 Hz, 1H, H1), 4.63 - 4.56 (m, 4H, H7, H16), 3.99 - 3.86 (m, 3H, H5, H17), 3.77 - 3.38 (m, 20H, H2, H3, H4, H7, H12, 6 CH
2O, OH), 1.72 - 1.53 (m, 4H, H8, H11), 1.48 - 1.34 (m, 4H, H9, H10), 1.20 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 145.9 (C-14), 125.8 (C-15), 100.44 (C-1), 73.7, 73.6 (C-4, CH
2), 71.69 (C-2 or C-3), 71.5 - 71.3 (5 CH
2), 70.3 (C-17), 70.0 (C-2 or C-3), 69.15 (CH
2), 67.4 (C-5), 64.6 (C-13), 62.2 (CH
2), 51.3 (C-16), 30.6, 30.5 (C8, C-11), 27.1, 27.0 (C-9, C-10), 16.6 (C-6).
【0152】
実施例72:化合物61:
【化211】
化合物61(47.7 mg、92%、無色油)は一般的な手順G12に従って化合物55(65mg、0.105 mmol)から得られる。 HRMS-ESI m/z calcd for C
21H
39N
3O
10 [M+Na]
+ 516.2533 found 51-.2531.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.05 (s, 1H, H13), 4.75 (d, J = 1.9 Hz, 1H, H1), 4.63 - 4.58 (m, 4H, H11, H14), 3.98 - 3.88 (m, 3H, H5, H15), 3.75 - 3.72 (m, 2H, H2, H3), 3.71 - 3.40 (m, 18H, H4, H7, H10, 6 CH
2O, OH), 1.78 - 1.64 (m, 4H, H8, H9), 1.21 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 145.9 (C-12), 125.8 (C-13), 100.4 (C-1), 73.7 (CH
2), 73.6 (C-4), 71.6 (C-2 or C-3), 71.5 - 71.3 (5 CH
2), 70.3 (C-15), 70.0 (C-2 or C-3), 68.9 (CH
2), 67.4 (C-5), 64.6 (C-11), 62.1 (CH
2), 51.3 (C-14), 27.4, 27.3 (C-8, C-9), 16.6 (C-6).
【0153】
実施例73:化合物62:
【化212】
化合物62(32.5 mg、92%、無色油)は一般的な手順G12に従って化合物56(44 mg、0.071 mmol)から得られる。HRMS-ESI m/z calcd for C
21H
39N
3O
10 [M+Na]
+516.2533 found 516.2531.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.04 (s, 1H, H13), 4.65 - 4.55 (m, 4H, H11, H14), 4.23 - 4.14 (m, 1H, H1), 3.94 - 3.82 (m, 3H, H15, H7a or H10a), 3.71 - 3.50 (m, 18H, H3, H5, H7b or H10b, H7 or H10, 6 CH
2O, OH), 3.49 - 3.44 (m, 2H, H2, H4), 1.78 - 1.62 (m, 4H, H8, H9), 1.27 (d, J = 6.5 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 145.9 (C-12), 125.80 (C-16), 104.79 (C-1), 75.1 (C-2), 73.64 (CH
2), 73.02( C-3), 72.29 (C-4), 71.81 (C-5), 71.5 - 71.3 (5 CH
2), 70.34, 70.31 (C-15, C-7 or C-10), 64.58 (C-11), 62.19 (CH
2), 51.38 (C-14), 27.47, 27.24 (C-8, C-9), 16.78 (C-6).
【0154】
実施例74:化合物63:
【化213】
化合物63(44.3 mg、93%、無色油)は一般的な手順G12に従って化合物57(60 mg、0.97 mmol)から得られる。HRMS-ESI m/z calcd for C
21H
37N
3O
10 [M+Na]
+514.2377 found 514.2377.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.05 (s, 1H, H13), 5.87 - 5.66 (m, 2H, H8, H9), 4.79 (d, J = 1.7 Hz, 1H, H1), 4.64 - 4.56 (m, 4H, H11, H15), 4.27 - 4.09 (m, 4H, H7, H10), 3.99 - 3.87 (m, 3H, H5, H15), 3.78 - 3.69 (m, 2H, H2, H3), 3.69 - 3.47 (m, 14H, H4, 6CH
2O, OH), 1.21 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 145.6 (C-12), 130.3, 130.2 (C-8, C-9), 125.9 (C-13), 99.7 (C-1), 73.6 (CH
2), 73.5 (C-4), 71.6 (C-2 or C-3), 71.5 - 71.3 (4 CH
2), 70.3 (C-15), 69.8 (C-2 or C-3), 67.6 (C-5), 66.8, 64.1 (C-7, C-10), 64.0 (C-11), 62.1 (CH
2), 51.3 (C-14), 16.7 (C-6).
【0155】
実施例75:化合物64:
【化214】
化合物64(116 mg、96%、無色油)は一般的な手順G12に従って化合物58(158 mg、0.29 mmol)から得られる。HRMS-ESI m/z calcd for C
17H
31N
3O
9 [M+Na]
+444.1958 found 444.1951.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 8.09 (s, 1H, H9), 4.90 (m, 1H, H1), 4.79 (d, J = 12.5 Hz, 1H, H7a), 4.66 (d, J = 12.4 Hz, 1H, H7b), 4.62 - 4.58 (m, 2H, H10), 4.02 - 3.94 (m, 1H, H5), 3.94 - 3.88 (m, 2H, H11), 3.80 - 3.71 (m, 2H, H2, H3), 3.70 - 3.54 (m, 13H, H4, 6 CH
2O), 1.21 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 145.5 (C-8), 125.9 (C-9), 100.1 (C-1), 73.64 (C-4), 73.62 (CH
2), 71.60 (C-2 or C-3), 71.5 - 71.3 (4 CH
2), 70.34 (C-11), 69.9 (C-2 or C-3), 67.8 (C-5), 62.2 (C-7), 61.6 (CH
2), 51.4 (C-10), 16.6 (C-6).
【0156】
実施例76:化合物65:
【化215】
化合物65(19.8 mg、93%、無色油)は一般的な手順G12に従って化合物59(27.5 mg、0.049 mmol)から得られる。HRMS-ESI m/z calcd for C
17H
31N
3O
8S[M+Na]
+ 460.1730 found 460.1723.
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ 7.94 (s, 1H, H9), 5.32 (d, J = 5.6 Hz, 1H, H1), 4.58 - 4.52 (m, 2H, H10), 4.25 (q, J = 6.7 Hz, 1H, H5), 4.05 (dd, J = 10.0, 5.6 Hz, 1H, H2), 3.91 - 3.81 (m, 3H, H11, H7a), 3.76 (d, J = 14.4 Hz, 1H, H7b), 3.70 - 3.53 (m, 14H, 6 CH
2O, H3, H4), 1.20 (d, J = 6.6 Hz, 3H, H6).
13C NMR (75 MHz, MeOD) δ 146.2 (C-8), 125.1 (C-9), 86.7 (C-1), 73.64 (CH
2), 73.39, 72.47 (C-3, C-4), 71.5 - 71.4 (4 CH
2), 70.3 (C-11), 69.3 (C-2), 68.1 (C-5), 62.21 (CH
2), 51.41 (C-10), 24.21 (C-7), 16.66 (C-6).
【0157】
実施例77:一価化合物
【化216】
上記の一価化合物はCuAACの一般的な手順G11に従って対応する保護アルキン及び2-[2-[2-(2-アジドエトキシ)エトキシ]エトキシ]エタノール足場からと、酢酸脱保護の一般的な手順G12に従って得られた。
【0158】
実施例78:二価化合物
【化217】
上記の二価化合物は一般的な手順G3又はG4に従って、次に一般的な手順G5又はG12に従って対応するアルキン及びジ‐アジド足場から得られる。
【0159】
実施例79:シクロデキストリン化合物
【化218】
上記のシクロデキストリン化合物は一般的な手順G3に従って、次に一般的な手順G5又はG6に従って対応するアルキン及びアジド足場から得られる。
【0160】
実施例80:POSS化合物
【化219】
上記のPOSS化合物は化合物40の調製に使用された手順と同じ手順に従って対応するアルキン配位子及び足場39から得られる。
【0161】
実施例81:等温滴定型カロリメトリー
i.方法の説明
等温滴定型カロリメトリー(ITC)は生体分子(AFL)と合成配位子の間の相互作用の熱力学定数の測定に頻繁に使用される方法である。これは関与するパートナーを変更せずに、結合に関するエンタルピー及びエントロピーのパラメータの両方を測定する唯一の方法である。この方法は2つのセルを備える微小熱量計において、配位子-受容体結合の形成における熱放出の推定法に基づく。1つは正確な温度で維持された超純水を含んで参照セルとなり、もう1つは固定濃度での蛋白質溶液を含む(
図1-I)。この溶液に対して撹拌しながら一定時間間隔で配位子溶液の正確な量を装置で添加する。その後この注入により、加熱抵抗器によって補償される参照セルについて熱の変化が生まれる。また温度を維持するのに必要な電力は全ての配位子注入について記録される。グラフ形式での生データの積分(
図1-II及び1-III)により会合定数Ka、結合の化学量論データ、エンタルピーデータ(ΔH)が得られる。このデータから自由エンタルピー(ΔG)及び系のエントロピー変動(ΔS)を測定できる。
平衡勾配から得られた解離定数は配位子-蛋白質の熱力学的親和性を示す一方、下部プレートと上部プレートのエネルギー差はエンタルピー値である。このことは形成された結合への水素結合及びvan der Waalsエネルギーの寄与を示す。自由エンタルピー及び系のエントロピーの値は熱力学の方程式により取得された最初のデータから推定される。エントロピーは自由度の喪失などの立体配座的考察の一部となる。
【0162】
ii.結果
六価化合物29及び30は参照化合物33(β効果の測定に有効)のみならず、単位がそれぞれ4、12、28であるスペーサーのオリゴエチレングリコール(OEG)を有する配位子24、26、28も同様に試験された。得られたデータを表1に示す。フリーのα-シクロデキストリン(つまりフコース誘導体が無い。データは示さない)はAFLレクチンに対して親和性を示さない。
x個の連結配位子(tethered ligands)(又はエピトープ)を有する多価構成体で記録される結合値力価が、対応する一価配位子のそれよりもx倍大きい場合には、多価効果(β効果)が認められる。この条件は解離定数の値(Kd)を使って計算でき、β = (Kd) 一価/[(Kd) 多価 x 原子価]とするβ因子として表せる。配位子当たりの相対的効力とも称されるβ値が単量体参照と同一である場合には、現れた効果は統計的には僅かであり、親和力が増えたとは認めがたい。
【0163】
【表1】
β因子はKdの比率及び足場に対するフコース誘導体の量により得られる。
【0164】
解離定数はフコース部分とレクチンAFLの間の相互作用強度を証明する。表1は異なる化合物の解離定数の比較を示す。
多価化合物は一価参照であるαMeFuc(メチルフコシド)及び33のKd値の下限のKd値を示す。六価化合物29及び30はサブミクロモル範囲のKd値を有しており、化合物30は180nMの低いKd及び479(メチルフコシドから計算)の高いβ因子に関連する最も高い親和性を有する。このことはAFL親和性を向上させるシクロデキストリンのコアに基づく多価フコシドの設計において非常に有益であることを示す(
図2)。
また二価化合物はメチルフコシドと比較して有意なβ効果(化合物24、26、28に対してβはそれぞれ68、470、5である)を示す。化合物24及び28は、AFLとの相互作用の強度に関連するスペーサー長さの基本的な重要性を強調している化合物26との比較において中程度のβ効果を示す。化合物26にはAFLの異なる結合部位と効率的に相互作用するように適応される12個のエチレングリコールの単位スペーサーがある(Kd=550nM)。
4に等しいn値とは化合物が同一の分子の2つの結合部位に必ずしも連結しておらず、また凝集現象を示すことができるという意味である。
【0165】
相互作用の化学量論(表1)は単一蛋白質に結合された配位子の量を示す。単一の六価化合物はキレート相互作用モードを示す蛋白質により連結されていると考えられる。二価化合物24、26、28はそれぞれ2.12、2.35、3.81の化学量論を有し、24及び26についてキレート結合モードを、28については一価結合をほぼ示す。このことは後者について観察されたAFLに関する親和性増強が極めて低いことを説明する。
αMeFuc参照はKd値が517μMである。比較すると一価参照化合物33は僅かに小さいKd値(167 μM)を有しており、アグリコン部分(トリアゾール及びOEG)が僅かに高い親和性を誘発することを示す。一価参照化合物33と比較すると二価化合物24、26、28はエンタルピー及びエントロピーの寄与が類似している。しかしn=2 OEG単位を有する六価化合物29は一価参照化合物よりもエンタルピー寄与が2.7倍高く、さらにn=4 OEG単位を有する六価化合物30はAFL相互作用に非常に適してエンタルピー寄与が3.7倍高い。化合物29では-TΔS因子が3.3倍になり、また化合物30では-TΔS因子が4.7倍になり、エントロピーエボリューションはこの相互作用に有害である。このようなエンタルピー及びエントロピーの変化は異なる種類の相互作用が多価化合物とAFLの異なる結合部位との間に存在することを示す。
【0166】
化合物は精製AFL蛋白質の第2バッチで評価され、集められたデータを表2に示す。この一連の測定においてαMeFuc参照はKd値が109.5μMである(
図5A)。化合物29及び30について得られた値は前に得られ表1に記載の値と同等である。化合物44についてのOEGスペーサーの除去は29及び30と比べて親和性の有意な減少に繋がり、この原因としてはキレート結合モードを可能にするには44のリンカーが短すぎるのではないか思われる。
8価化合物40、41、42が試験され、化学量論は単一の8価化合物が凝集結合又はキレート凝集結合の状態である1つ以上の蛋白質に結合されていることを示す(
図5C)。エンタルピー及びエントロピーの寄与は化合物40に対する低親和性にもかかわらず同等である。このことはトリアゾールとフコース単位の間のスペーサー不存在に由来することがある。最も良い親和性が化合物42において観察され、これは最も良い六価化合物30の4倍高い。
これらの結果を総合すれば高い(ナノモル)親和性は本明細書において開発された多価フコシドにより達成され、シクロデキストリン及びPOSS足場が基礎であることを示す。
【0167】
【0168】
実施例82:フコース誘導体の存在下における肺細胞に対する分生子付着試験
i.方法の詳細
この方法の原理は
図3に図式化する。
抗付着戦略は気管支肺ルート上皮の表面における分生子付着の阻害に基づく。これらの胞子は上皮を形成する肺胞性肺細胞に対する特に高い付着能を表す。
第1のステップは96ウエルプレートにおいて肺胞性肺細胞の層の取得を目的としている。そのために約40,000個の細胞は各ウエルに導入され、37℃で7日間培養される。培養中に細胞はウエルの下部に均一に堆積してゆき、細胞間には空きスペースがなくて細胞同士が接触する状態である。平行してアスペルギルスフミガタスを37℃で3日から5日間成長させる。次に胞子はPBS緩衝液で注意深く収集され、フィラメント(菌糸)に進化した胞子を収集しないようにする。この溶液は1-2x10
6胞子/mlの濃度に希釈されたら、可変濃度における本発明の種々のフコシド誘導体と前培養される。
このステップは本発明のフコシド誘導体がアスペルギルス フミガタスにおけるレクチンAFLと予めの相互作用を可能にする。次にこれらの溶液は肺細胞の層を含むウエルに添加され、続けて37℃で45分間培養される。大きな抗付着能を有する化合物は胞子の結合能力を低下させる。それ故に培養後には上清に存在する胞子は3段階の濯ぎステップで除去される。次に細胞層に付着した胞子は400の肺細胞の平均面において顕微鏡下で数えられる。
【0169】
ii.結果
本発明の異なるフコース誘導体についての多価効果を比較するのに分子についてではなく、考慮された誘導体に対するフコース部分の量との関連においてモル濃度が検討された。例えば二価化合物の5 μM溶液は10 μMのフコース濃度に対応する。このことで多価足場に対するそれぞれのフコース部分の親和性利得を直接的比較できる。それぞれの化合物の活性はフコース当量における2つ、又は3つの異なる濃度で評価された(
図4における1、10、100 μM)。測定は三回実施された。
この測定試験から得られた第1の情報は濃度1μM及び10μMにおける一価化合物33の抗付着活性の不存在である。二価化合物24は高濃度の100μMにおいて分生子付着が37%低下することを示す。ITC試験において(実施例35)AFLに強い親和性を有したフコース誘導体26は、10μMにおいて肺細胞に対する分生子の有意な残留付着(76%)を示す。これはITCデータとも完全に一致して、リンカー長の抗付着効果への重要な役割を示す。
最も低い試験濃度においても阻害が観測され、濃度10μMにおける44%の胞子付着の低下が観測されるので、デキストラン化合物31は有意な抗付着能を有する。このクラスの化合物についての凝集ポテンシャルを証明する胞子凝集の形成が、残留分生子の数の顕微鏡による計数中に観察されたことに留意すべきである。
アスペルギルス性胞子の付着阻害において最も高いポテンシャルを有する化合物は、分生子の阻害が10μMのフコース濃度において約50%の六価フコース誘導体29及び30である。最も短いスペーサーを有する化合物29はフコース誘導体30に類似する活性を有しているが、ITC試験において効果が僅かに劣る(29ではKd = 0.60 μMであり、30ではKd = 0.18 μMである)。上記のように試験の結果はフコースの有効濃度の関数として表される。従って10μM濃度のフコースの場合には化合物29又は30のモル濃度は、1.7μM(分子当たり6個のフコース部分)である。以上から化合物29及び30は1.7μMの低いIC50の強力な分生子抗付着剤である。
【0170】
実施例83:In vitro実験
化合物はA.フミガタスの種々の臨床株と、フミガティ節菌ならびにフラビ節菌由来の種とに対して評価される。このために96ウエルのスキャニング分光蛍光法で行う際には、蛍光分生子及び標識肺細胞を使用する新しい試験法が使用される。
【0171】
実施例84:In vivo実験
6週齢の非近交系CD1雄マウス(Charles River)(25 g )はシクロホスファミド(150 mg/kg)及び酢酸コルチゾン(250 mg/kg)の腹腔内投与による免疫抑制療法を受ける。感染前にはマウスに対して腹腔内ペントバルビタール(マウス当たり0.75 mg)で麻酔をかける。第1の実験では阻害剤と共に事前に培養されたA.フミガタス分生子が感染に使用される。第2の実験では評価する化合物は予防戦略において、また感染前に吸入投与される。A.フミガタス分生子混濁液は気管内注入され、鼻腔内モデルにはいずれかの鼻孔にゆっくりとピペットで入れる。真菌負荷の評価は定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び組織病理学的な染色により実施される。