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特許7181223不動産及び再建に関係するリスクを判定すること
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  • 特許-不動産及び再建に関係するリスクを判定すること 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】不動産及び再建に関係するリスクを判定すること
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20221122BHJP
【FI】
G06Q40/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019560219
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018062401
(87)【国際公開番号】W WO2018210762
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】17171800.0
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/508,094
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518287537
【氏名又は名称】カーベーセー グループ エンフェー
【氏名又は名称原語表記】KBC Groep NV
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルストリート,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】チジ,バラク
(72)【発明者】
【氏名】マティスカ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス,タイエナ
(72)【発明者】
【氏名】マース,ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ガッセ,リタ
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0235153(US,A1)
【文献】特開2009-146433(JP,A)
【文献】特表2008-542769(JP,A)
【文献】特開2016-164703(JP,A)
【文献】米国特許第8712805(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0302529(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0115163(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01V 1/00
G08B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的データに基づいて物理的エンティティに関連するリスクを判定するためのコンピューター実施方法であって、前記物理的エンティティは不動産に関係し、前記リスクは、前記物理的データに含まれる物理的パラメーターに関する前記物理的エンティティの損傷の確率に関係し、該方法は、
前記物理的エンティティの地理的アドレスをユーザーから受信するステップと、
前記物理的エンティティに関係するエンティティカテゴリを前記ユーザーから受信するステップであって、前記エンティティカテゴリは、テラスハウス、二戸建て住宅、一戸建て住宅、又はアパートのうちの1つである、ステップと、
前記エンティティカテゴリに少なくとも基づいて前記リスクを自動的に判定するステップと、
を含み、該方法は、
前記地理的アドレスに基づいて前記物理的エンティティの地理的座標のセットを自動的に決定するステップと、
データベースから、前記地理的座標に基づいて前記物理的データに属する前記物理的パラメーターの少なくとも1つの値を自動的に取り出すステップと、
を更に含むこと、
前記リスクの前記判定は、前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値に更に基づくこと、及び、
前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値は、予め規定された値と比較され、前記予め規定された値以上の値となる前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値は、該方法の更なるステップを選択的にトリガーし、前記トリガーは、選択的に行われて、前記リスクを判定するときの前記ユーザーの必要な精神的及び身体的努力の両方を減らし、前記更なるステップは、前記ユーザーから更なる物理的値を受信すること、及び/又は、前記ユーザーに更なる情報を提供することに関することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記物理的パラメーターの前記値は、前記物理的パラメーターの自動測定に、好ましくは、前記物理的パラメーターの自動リアルタイム測定に少なくとも部分的に基づくことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記リスクに基づく出力を前記ユーザーに提供する更なるステップを含み、前記出力は、好ましくは前記リスク及び/又はリスクカテゴリを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる物理的値を前記受信することに少なくとも関係すること、前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関係するリスク指示特徴値である前記更なる物理的値を前記ユーザーから受信することを含むこと、
及び、前記リスクを前記判定することは、前記リスク指示特徴値に更に基づくことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該方法は、第1のリスク値及び第2のリスク値を前記ユーザーに提供する更なるステップであって、前記リスクに対する前記リスク指示特徴値の影響を定量化し、前記ユーザーが前記影響を評価することを可能にするために、前記第1のリスク値は、前記リスク指示特徴値を考慮することなく決定され、前記第2のリスク値は、前記リスク指示特徴値を考慮して決定される、ステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる情報を前記ユーザーに前記提供することに少なくとも関係すること、前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関する忠告を含む更なる情報を前記ユーザーに提供することを含み、前記忠告は技術的対策を含むこと、
及び、前記技術的対策は、前記リスクを下げるために前記ユーザーによって/前記ユーザーを介して実施することができる前記物理的エンティティの修正に関係することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる情報を前記ユーザーに前記提供することに少なくとも関係すること、前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関する忠告を含む更なる情報を前記ユーザーに提供することを含み、前記忠告は技術的対策を含むこと、
前記技術的対策は、前記リスクを下げるために前記ユーザーによって/前記ユーザーを介して実施することができる前記物理的エンティティの修正に関係すること、
及び、前記忠告は、第1のリスク値及び第2のリスク値を更に含み、前記リスクに対する前記リスク指示特徴値の影響を定量化し、前記ユーザーが前記影響を評価することを可能にするために、前記第1のリスク値は、前記技術的対策が実施されないことを仮定して決定され、前記第2のリスク値は、前記技術的対策が実施されることを仮定して決定されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記物理的エンティティに関係する特性値を前記ユーザーから受信する更なるステップであって、前記特性値は、前記物理的エンティティに特有の物理的表面又は階数の少なくとも一方に関係する、ステップを含み、
前記リスクを前記判定することは、前記特性値に更に基づくことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記リスク、前記エンティティカテゴリ、及び好ましくは前記特性値に基づいて前記物理的エンティティに関係する建設又は再建要件を前記ユーザーに提供する更なるステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
第2のデータベースから比較エンティティカテゴリデータを取り出す更なるステップであって、前記第2のデータベースは、好ましくは、前記エンティティカテゴリに基づき、更に好ましくは前記特性値に基づく前記データベースである、ステップと、
第3のデータベースから地理インデックス付けデータを取り出す更なるステップであって、前記第3のデータベースは、好ましくは、前記地理的アドレス及び/又は前記エンティティカテゴリ及び/又は前記特性値に基づき、好ましくは、前記地理的アドレス及び前記エンティティカテゴリ及び前記特性値に基づく前記データベース及び/又は前記第2のデータベースである、ステップと、
前記リスク、前記比較エンティティカテゴリデータ、前記地理インデックス付けデータに少なくとも基づいて、更に好ましくは前記特性値及び/又は前記再建要件に基づいて、前記物理的エンティティに関係する建設又は再建コストを前記ユーザーに提供する更なるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
損傷の前記確率に関係する前記リスクは、前記物理的エンティティの、洪水によって引き起こされる損傷の確率に関係すること、前記物理的パラメーター及び前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値は、所与の物理的ロケーションに関連する洪水の確率に関係することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる物理的値を前記受信することに少なくとも関係し、前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関係するリスク指示特徴値である前記更なる物理的値をユーザーから受信することを含み、
前記リスクを前記決定することは、前記リスク指示特徴値に更に基づき、前記リスク指示特徴値は、前記物理的エンティティの、地下空間、好ましくは地階の存在及び/又は物理的表面、前記エンティティカテゴリがアパートである場合の前記物理的エンティティの階レベルのうちの任意のものに関係すること、
及び/又は、前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる情報を前記ユーザーに前記提供することに少なくとも関係し、前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関する忠告を含む更なる情報を前記ユーザーに提供することであって、前記忠告は技術的対策を含むことを含み、
前記技術的対策は、前記リスクを下げるために前記ユーザーによって/前記ユーザーを介して実施することができる前記物理的エンティティの修正に関係し、前記技術的対策は、好ましくは、前記物理的エンティティの、地下空間、好ましくは地階及び/又は前記物理的エンティティの最も低い階レベルに関することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
物理的データに基づいて物理的エンティティに関連するリスクを判定するためのコンピューティングシステムであって、前記物理的エンティティは不動産に関係し、前記リスクは、前記物理的データに含まれる物理的パラメーターに関する前記物理的エンティティの損傷の確率に関係し、該コンピューティングシステムは、
サーバーであって、プロセッサ、有形の不揮発性メモリ、前記プロセッサに指令するために前記メモリ上に存在するプログラムコードを備える、サーバーと、
ユーザーデバイスであって、プロセッサ、有形の不揮発性メモリ、前記プロセッサに指令するために前記メモリ上に存在するプログラムコード、情報をユーザーに提供するためのスクリーン、ユーザーからユーザー入力を受信するための入力手段、前記サーバーに接続するための接続手段を備える、ユーザーデバイスと、
少なくとも1つのコンピューター可読媒体であって、データベースを備え、前記データベースは前記物理的データを含み、前記物理的データは、
対応する地理的座標によってインデックス付けられた前記物理的パラメーターの複数の値、
を含む、少なくとも1つのコンピューター可読媒体と、
を備え、
該コンピューティングシステムは、物理的データに基づいて物理的エンティティに関連するリスクを判定する方法を履行するように構成され、前記方法は、
前記入力手段を介して前記ユーザーから前記物理的エンティティの地理的アドレスを、前記サーバーによって受信するステップと、
前記物理的エンティティに関係するエンティティカテゴリを、前記入力手段を介して前記ユーザーから前記サーバーによって受信するステップであって、前記エンティティカテゴリは、テラスハウス、二戸建て住宅、一戸建て住宅、又はアパートのうちの1つである、ステップと、
少なくとも前記エンティティカテゴリに基づいて前記リスクを、前記サーバーによって自動的に判定するステップと、
を含み、前記方法は、
前記地理的アドレスに基づいて前記物理的エンティティの地理的座標のセットを、好ましくは前記サーバーによって自動的に決定するステップと、
前記データベースから、前記地理的座標に基づいて前記物理的データに属する前記物理的パラメーターの少なくとも1つの値を、好ましくは前記サーバーによって自動的に取り出すステップと、
を更に含むこと、
前記リスクの前記判定は、前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値に更に基づくこと、及び、
前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値は、予め規定された値と比較され、前記予め規定された値以上の値となる前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値は、前記方法の更なるステップを選択的にトリガーし、前記トリガーは、選択的に行われて、前記リスクを判定するときの前記ユーザーの必要な精神的及び身体的努力の両方を減らし、前記更なるステップは、前記ユーザーから更なる物理的値を受信すること、及び/又は、前記ユーザーに更なる情報を提供することに関すること、
好ましくは、前記物理的パラメーターの前記値は、前記物理的パラメーターの自動測定に、好ましくは、前記物理的パラメーターの自動リアルタイム測定に少なくとも部分的に基づくこと、
好ましくは、前記方法は、前記リスクに基づく出力を前記ユーザーに提供する更なるステップであって、前記出力は、好ましくは前記リスク及び/又はリスクカテゴリを含む、ステップを含むこと、
好ましくは、
前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる物理的値を前記受信することに少なくとも関係すること、
前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関係するリスク指示特徴値である前記更なる物理的値を前記ユーザーから受信することを含むこと、
及び、前記リスクを前記判定することは、前記リスク指示特徴値に更に基づくこと、
好ましくは、前記方法は、
第1のリスク値及び第2のリスク値をユーザーに提供する更なるステップであって、前記リスクに対する前記リスク指示特徴値の影響を定量化し、前記ユーザーが前記影響を評価することを可能にするために、前記第1のリスク値は、前記リスク指示特徴値を考慮することなく決定され、前記第2のリスク値は、前記リスク指示特徴値を考慮して決定される、ステップを含むこと、
好ましくは、
前記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる前記更なるステップは、前記更なる情報を前記ユーザーに前記提供することに少なくとも関係すること、
前記更なるステップは、
前記物理的エンティティに関する忠告を含む更なる情報を前記ユーザーに提供することを含み、前記忠告は技術的対策を含むこと、
及び、前記技術的対策は、前記リスクを下げるために前記ユーザーによって/前記ユーザーを介して実施することができる前記物理的エンティティの修正に関係すること、
好ましくは、前記忠告は、第1のリスク値及び第2のリスク値を更に含み、前記リスクに対する前記リスク指示特徴値の影響を定量化し、前記ユーザーが前記影響を評価することを可能にするために、前記第1のリスク値は、前記技術的対策が実施されないことを仮定して決定され、前記第2のリスク値は、前記技術的対策が実施されることを仮定して決定されること、
好ましくは、
前記方法は、
前記物理的エンティティに関係する特性値を前記ユーザーから受信する更なるステップであって、前記特性値は、前記物理的エンティティに特有の物理的表面又は階数の少なくとも一方に関係する、ステップを含み、
そして、好ましくは、前記リスクの前記判定は、前記特性値に更に基づくこと、
好ましくは、
損傷の前記確率に関係する前記リスクは、前記物理的エンティティの、洪水によって引き起こされる損傷の確率に関係すること、
前記物理的パラメーター及び前記物理的パラメーターの前記少なくとも1つの値は、所与の物理的ロケーションに関連する洪水の確率に関係すること、
そして、前記リスク指示特徴値は、前記物理的エンティティの、地下空間、好ましくは地階の存在及び/又は物理的表面、前記エンティティカテゴリがアパートである場合の前記物理的エンティティの階レベルのうちの任意のものに関係すること、
好ましくは、
前記リスクは、前記物理的エンティティに関する再建忠告のコンテキストで判定され、前記方法は、
前記物理的エンティティに関する前記再建忠告を、前記ユーザーに提供する更なるステップであって、前記再建忠告は技術的要件を含む、ステップを含むこと、
そして、前記技術的要件は、建物に関する再建指示、好ましくは、基礎及び/又は防火設備及び/又はダム及び/又は地震活動の検出システムに関する指示に関すること、
を特徴とする、コンピューティングシステム。
【請求項14】
前記地理的アドレスに基づいて地理的座標の前記セットを前記決定することは、前記サーバーと異なる測位関連リモートサーバーによって実施されること、及び/又は、前記データベースを備える前記コンピューター可読媒体は、前記サーバーと異なる物理的パラメーター関連リモートサーバーに含まれることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記測位関連リモートサーバーは前記物理的パラメーター関連リモートサーバーに等しいことを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
請求項13~15に記載のシステムにおける請求項1~12に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的データに基づいて物理的エンティティに関連するリスクを判定する技術分野に関し、上記物理的エンティティは不動産に関係する。
【背景技術】
【0002】
建物所有者は、洪水、火災、及び他の危険による自身の損失のリスクを、保険に加入して、被保険不動産を再建するコストに対して損失のリスクを補償することによって、最小にすることを好む。保険会社の観点から、建物再建コストを正確に見積る能力は、そのようなポリシーについて適切な保険料を設定するために非常に重要である。保険会社及び建物所有者の両方にとって、建物に関連するリスクを判定することは更に不可欠である。
【0003】
残念ながら、再建コストを見積るための既存の方法は、複雑で、非効率的で、しばしば不正確である。さらに、建物等の物理的エンティティに関連するリスクを評価するための既存の方法は、ユーザーにとって非常に複雑であるか、又は、上記リスクを評価するために利用可能な物理的データを考慮しない。
【0004】
当技術分野において、建物又はアパートの再建コストを見積もり、見通しの生成を自動化する、改良型システム及び関連方法が依然として必要とされている。これに関連して、当技術分野において、物理的データに基づいて物理的エンティティに関連するリスクを判定する、改良型方法及び関連システムが依然として必要とされている。上記物理的エンティティは不動産に関係する。
【0005】
特許文献1は、建物について及び建物内の指定エリアについて再建コストを見積るためのシステム及び方法を記載している。建築業者が供給する全再建コストデータに基づく再建価格決定データは、データベースに記憶され、そのデータベースから、データが、地理的ロケーション、建物カテゴリ、及び建物エリアタイプによってアクセスされる。アクセスされたデータが使用されて、再建コスト見積もりが生み出される。既存の建物の地理的ロケーションについての価格データは、ユーザーによって入力される地理的ロケーションデータに基づいてデータベースから得られる。建物及び建物内の異なる建物エリアを再建するための価格決定レベルデータも、データベースから得られる。再建コスト見積もりは、ロケーションの価格データ及び再建価格データに基づいてプロセッサによって計算される。したがって、特許文献1は、見積もりの正確さを改善することに主に向けられる。これに相応して、特許文献1に関する問題は、再建コスト見積もりを生成することができるために必要とされるパラメーターの数が過度に多く、システムの複雑かつ煩雑な使用につながることである。これは、居住エリアのサイズ等の伝統的な基準に基づいて、特許文献1に従う見積もりアプローチに関連する。さらに、特許文献1の概念は、建物の階数、及びアパート建物の場合、アパート建物内の別個の区画の存在を考慮する手段に欠ける。これに関連して、特許文献1のアプローチは、不動産に関係する物理的エンティティに関連するリスクを判定するときに物理的データを考慮することになると、過度に複雑かつ更には不完全である。
【0006】
特許文献2は、空中画像を使用する建設見積もりのためのシステム及び方法を開示している。このシステムは、建物の少なくとも1つの空中画像を受信する。見積もりエンジンが、空中画像を複数の角度で処理して、建物の(of)屋根の複数の特徴に対応する、画像内の複数(例えば、周辺及び内部)のラインを自動的に識別する。見積もりエンジンは、ユーザーが、種々の屋根特徴の輪郭を自動的に描くことによって、屋根の2次元モデル及び3次元モデルを生成することを可能にし、建物の屋根に関する情報を含むレポートを生成する。システムは、建物の空中画像を受信するためのコンピューターシステムを有する。見積もりエンジンは、建物の屋根に関係する複数の特徴を推定するために空中画像を処理するためのコンピューターシステム内に設けられる。空中画像を複数の角度で処理して、屋根の複数の特徴に対応する、空中画像内の複数のラインを自動的に識別するために、見積もりエンジンヒストグラムが設けられる。建物の空中画像を表示するためのグラフィカルユーザーインターフェースが設けられる。特許文献2に関する問題は、特許文献2が、建物の再建コストを見積もるための部分的手段しか提供していないことである。例えば、特許文献2は、建物内の区画を識別するための手段及び建物が位置する近隣地の特徴等の、再建コストに決定的に重要な態様を考慮するための手段を欠く。同様に、特許文献2のアプローチは、不動産に関係する物理的エンティティに関連するリスクを判定するときに物理的データを考慮するために複雑かつ不適切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2003/0115163号
【文献】米国特許出願公開第2013/0211790号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記で言及された問題のうちの少なくともいくつかを解決することを目標とする。それに加えて、本発明は、リスクを判定する及び/又は再建コストを見積もる適切な手段及び関連システムを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、請求項1に記載のコンピューター実施方法を提供する。
【0010】
本方法は、有利には、リスクを評価するために極めて重要である場合がある上記物理的パラメーターの上記値の上記自動化取り出しを含む。上記取り出しは、自動的に、かつ、上記物理的エンティティの主要な特徴として任意のユーザーに知られていると仮定することができる地理的アドレス等のデータの共通知識に基づいて行われ、これは、したがって、ポジティブなユーザー体験に寄与する。さらに、方法は、有利には、選択的トリガーによって上記物理的パラメーターを利用し、方法によって要求されるユーザーからの労力が低減される。物理的パラメーターの値がリスクの評価において決定的に重要である場合があるため、上記予め規定された値以上の値となる場合にのみ、上記更なるステップを含むことがよりユーザーフレンドリーであると考えることができる。好ましい実施形態において、上記予め規定された値以上の値となることは、リスクの増大及び/又は上記リスクが高い確率の増加に関係し、一方、上記予め規定された値未満の値となるとき、逆のことが当てはまり、リスクの減少/低さ及び/又は上記リスクが高い確率の減少を伴う場合がある。したがって、上記予め規定された値以上の値となるときに更なるステップを含みながら、リスクが減少する/低いときに、方法の複雑度をできる限り低く維持することが有利である。この更なるステップは、上記ユーザーから更なる物理的値を受信することに関係し、受信することは、この場合、より正確なリスクの計算を提供することを可能にすることができ、及び/又は、予め規定された値以上の値となる理由及び/又は状況に関するより詳細な情報を、リスクを検査するオペレータに提供することができる。さらに又は代替的に、更なるステップは、上記ユーザーに更なる情報を提供することに関係することができる。例えば、地理的アドレスに基づいて、物理的エンティティが、上記物理的パラメーターの上記値が上記予め規定された値以上の値となることに関連付けられることに関係する情報をユーザーが提供される場合がある。
【0011】
これにより、上記リスクを上記自動的に判定すること、地理的座標の上記セットを上記自動的に決定すること、及び、上記自動的に取り出すことは、それらが、機械間オペレーションすなわちマシンツーマシンインタラクションに関係する点で自動であるものとすることができる。好ましい実施形態において、上記方法は、本文書で述べるサーバーであっても、そうでなくてもよいリスク判定サーバーによって実施される。そのような実施形態において、リスク判定サーバーは、ユーザーから受信される少なくとも上記エンティティカテゴリ及び上記物理的パラメーターの少なくとも1つの値に基づいて好ましくは自律的に上記リスクを上記判定するように構成することができる。これにより、上記地理的座標は、好ましくは、上記リスク判定サーバーにおいてローカルに計算されるが、代替的に、リモート地理的情報システムサーバー等の測位関連リモートサーバーとの測位サービス関連インタラクションによって決定することができる。さらに、上記物理的パラメーターの上記少なくとも1つの値の取り出しは、上記リスク判定サーバーに記憶される上記データベースによってローカルに実施することができるが、地理的座標の上記セットを入力値として受信し、上記物理的パラメーターの上記値を出力値として返すように構成される物理的パラメーター決定リモートサーバー等の物理的パラメーター関連リモートサーバーとの物理的パラメーターサービス関連インタラクションによって実施することもできる。
【0012】
第2の態様において、本発明は、請求項12によるシステムを提供する。第3の態様において、本発明は、請求項12~14によるシステムにおける請求項1~11による方法の使用を提供する。システム及び使用の利点は、方法の利点と同様である。
【0013】
詳細な説明及び従属請求項において、更に好ましい実施形態が論述される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に関係する例示的なワークフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本文書において、用語「物理的エンティティ(physical entity)」は、人々が居住する及び/又は時間を過ごすことができる永久的又は半永久的空間として識別可能である任意の物理的構造又は範囲を指す。したがって、用語「物理的エンティティ」は、指示される場合を除いて、「建物(building)」と相互交換可能に主に使用される。物理的エンティティは、住宅又はアパート建物のような個人所有建物から図書館建物、市庁舎、ホテル又はレストラン建物、スポーツスタジアム等までの全範囲を包含する。物理的エンティティは、れんが、コンクリート、鋼、又は木材等の従来の材料で構築された建物に関することができるが、同様に、岩又は土に掘られた洞窟とすることができる。物理的エンティティは、永久的構造に関することができるが、トレーラー、コンテナー、キャラバン、又はテントの場合と同様に半永久的特性を有することができる。さらに、用語「アパート」は、人々が居住する及び/又は時間を過ごすことができる任意の空間を指し、それにより、アパートは上記建物に属する。本発明のコンテキストで、アパートと建物との差は、純粋に形式上のものであり、アパートと建物との間の相互関係を規定するだけであり、それにより、後者は前者を含む。概して、建物は、アパートを含むことができるが、それ自体、第2のより大きい建物に含まれることができる。
【0016】
本文書において、用語「地理的アドレス(geographical address)」又は「アドレス(address)」は、建物又はその建物に属するアパートの物理的アドレスを指す。アドレスは、建物又はアパートのロケーションを示す情報の集合体に関する。通常、集合体は、住宅又はアパート番号等の他の識別子とともに、国/市/郡及び/又は他の政治的境界、番地名を含む。アドレスは、1つ以上の特別なコードも含むことができる。1つのそのようなコードは、識別をより容易にするための郵便番号である。別の特別なコードは、建物又はアパートの経度及び緯度である。これは、座標の上記セットに関係し、建物又はアパートの2次的又は代替的な位置特定手段として有用である場合があり、アドレスが全く規定できない又は入手できない場合に、更に極めて重要である。
【0017】
本文書において、複数の実施形態が論じられ、複数の実施形態は、本発明の全ての態様に、すなわち、本発明による方法、システム及び使用のうちの少なくとも任意のものに関係することができる。
【0018】
第1の態様によれば、本発明は、請求項1に記載の方法に関する。
【0019】
好ましい実施形態において、上記物理的パラメーターの上記値は、上記物理的パラメーターの自動測定に、好ましくは、上記物理的パラメーターの自動リアルタイム測定に少なくとも部分的に基づく。例えば、センサーのネットワークが、物理的エンティティが位置するエリア内の洪水を測定するために存在することができる。別の例において、地震活動が、物理的エンティティに近接して位置する土内に又は建物内に存在するセンサーによって測定される。そのようなセンサーの測定値は、オフラインで収集され、データベースに記録することができるが、好ましくは、データベースにリアリタイムに書き込むことができる。そのような実施形態は、上記物理的パラメーターをスクリーニングするプロセスを自動化するので有利である。これは、実際のリスクに関するより正確なビューにつながることができる。
【0020】
好ましい実施形態において、上記方法は、上記リスクに基づく出力を上記ユーザーに提供する更なるステップを含み、上記出力は、好ましくは上記リスク及び/又はリスクカテゴリを含む。この方法は、ユーザーにリスクを直接知らせるので有利である。この方法は、上記リスクが計算され、計算されたリスクをユーザーに知らせることなく、何らかの更なる対策の計算において使用される方法と対比することができる。
【0021】
別の好ましい実施形態において、上記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる上記更なるステップは、上記更なる物理的値を上記受信することに少なくとも関係し、上記更なるステップは、
上記物理的エンティティに関係するリスク指示特徴値である上記更なる物理的値を上記ユーザーから受信すること、
を含み、上記リスクを上記判定することは、上記リスク指示特徴値に更に基づく。これは、おそらくは関連性の低い多数の一般的な質問にユーザーが回答する必要を回避しながら、関連性の高い1つ以上の特定の質問の制限されたセットに関連する、リスクのより正確な計算につながるので、有利である。
【0022】
好ましい実施形態において、上記方法は、
第1のリスク値及び第2のリスク値をユーザーに提供する更なるステップであって、上記リスクに対する上記リスク指示特徴値の影響を定量化し、上記ユーザーが上記影響を評価することを可能にするために、上記第1のリスク値は、上記リスク指示特徴値を考慮することなく決定され、上記第2のリスク値は、上記リスク指示特徴値を考慮して決定される、ステップを含む。
【0023】
そのような実施形態は、上記物理的エンティティの或る特徴の影響をユーザーが評価することを可能にするので、有利である場合がある。
【0024】
別の好ましい実施形態において、上記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる上記更なるステップは、上記更なる情報を上記ユーザーに上記提供することに少なくとも関係し、上記更なるステップは、
上記物理的エンティティに関する忠告を含む更なる情報をユーザーに提供することであって、上記忠告は技術的対策を含むこと、
を含み、上記技術的対策は、上記リスクを下げるために上記ユーザーによって/上記ユーザーを介して実施することができる上記物理的エンティティの修正に関係する。そのような実施形態は、有利には、リスクを下げるためにユーザーがどのように行動を起こすことができるかに関して、特定の関連性の高い情報をユーザーに提供することができる。一例が、例の節にて与えられる。
【0025】
別の実施形態において、上記忠告は、第1のリスク値及び第2のリスク値を更に含み、上記リスクに対する上記リスク指示特徴値の影響を定量化し、上記ユーザーが上記影響を評価することを可能にするために、上記第1のリスク値は、上記技術的対策が実施されないことを仮定して決定され、上記第2のリスク値は、上記技術的対策が実施されることを仮定して決定される。これは、忠告及び忠告に含まれる技術的対策の関連性を更に増加させ、ユーザーのよりよい洞察につながる。
【0026】
更に別の実施形態によれば、上記方法は、
上記物理的エンティティに関係する特性値をユーザーから受信する更なるステップであって、上記特性値は、上記物理的エンティティに特有の物理的表面又は階数の少なくとも一方に関係する、ステップ、
を更に含み、上記リスクを上記特定することは、上記特性値に更に基づく。そのような実施形態は、物理的エンティティの全体サイズを考慮して損傷のリスクが評価されるべきであるので、有利である場合がある。
【0027】
別の好ましい実施形態において、上記方法は、
上記リスク、上記エンティティカテゴリ及び好ましくは上記特性値に基づいて上記物理的エンティティに関係する建設又は再建要件をユーザーに提供する更なるステップを含む。
【0028】
一実施形態において、物理的エンティティは、新築不動産又はまだ建っていない不動産に関係し、建設要件が提供される。別の実施形態において、物理的エンティティは、既存の不動産に関係し、物理的エンティティの損傷又は喪失がある場合の再建要件が提供され、再建要件は上記物理的エンティティの再建に関係する。再建要件は、物理的エンティティ又はその再建に関して達成されるべき1つ以上の技術的要件からなることができる。例えば、好ましい実施形態において、エンティティカテゴリに等しい再建要件エンティティカテゴリを提供することができる。1つ以上の技術的要件は、上記物理的エンティティに関する再建命令、好ましくは、基礎及び/又は防火設備及び/又はダム及び/又は地震活動の検出システムに関する命令に更に関係することができる。そのような実施形態は、上記物理的エンティティの建設又は再建に関わる要件の列挙の技術的活動を促進するので有利である。
【0029】
別の好ましい実施形態において、上記方法は、
第2のデータベースから比較エンティティカテゴリデータを取り出す更なるステップであって、上記第2のデータベースは、好ましくは、上記エンティティカテゴリに基づき、更に好ましくは上記特性値に基づく上記データベースである、ステップと、
第3のデータベースから地理インデックス付けデータを取り出す更なるステップであって、上記第3のデータベースは、好ましくは、上記アドレス及び/又は上記エンティティカテゴリ及び/又は上記特性値に基づき、好ましくは、上記アドレス及び上記エンティティカテゴリ及び上記特性値に基づく上記データベース及び/又は上記第2のデータベースである、ステップと、
上記リスク、上記比較エンティティカテゴリデータ、上記地理インデックス付けデータに少なくとも基づいて、好ましくは更に上記特性値及び/又は上記再建要件に基づいて、上記物理的エンティティに関係する建設又は再建コスト及び/又は建設又は再建の困難さをユーザーに提供する、ステップと、
を含む。
【0030】
これにより、比較エンティティカテゴリデータは、複数の異なるエンティティカテゴリのそれぞれを建設又は再建するためのリスク及び/又は困難さ及び/又は価格決定の相対的レベルを指す。さらに、比較建物カテゴリデータは、好ましくは、上記比較エンティティカテゴリデータの例とすることができる。地理インデックス付けデータは、所与のロケーションにおける複数の異なるエンティティカテゴリについての価格決定データに基づいて、建築の困難さ、及び/又は、建設又は再建のコスト等の建築の困難さの指標を示す、地理的ロケーションによってインデックス付けされたデータを指す。価格インデックスデータは、上記地理インデックス付けデータの例とすることができる。一実施形態において、物理的エンティティは、新築不動産又はまだ建っていない不動産に関係し、建設コストが提供される。別の実施形態において、物理的エンティティは、既存の不動産に関係し、物理的エンティティの損傷又は喪失がある場合の再建コストが提供され、再建コストは上記物理的エンティティの再建に関係する。
【0031】
別の好ましい実施形態において、損傷の上記確率に関係する上記リスクは、上記物理的エンティティの洪水によって引き起こされる損傷の確率に関係し、上記物理的パラメーター及び上記物理的パラメーターの上記少なくとも1つの値は、所与の物理的ロケーションに関連する洪水の確率に関係する。
【0032】
更なる実施形態において、上記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる上記更なるステップは、上記更なる物理的値を上記受信することに少なくとも関係し、上記更なるステップは、上記物理的エンティティに関係するリスク指示特徴値である上記更なる物理的値をユーザーから受信することを含み、上記リスクを上記決定することは、上記リスク指示特徴値に更に基づき、上記リスク指示特徴値は、上記物理的エンティティの、地下空間、好ましくは地階の存在及び/又は物理的表面、上記エンティティカテゴリがアパートである場合の上記物理的エンティティの階レベルのうちの任意のものに関係する。
別の更なる実施形態において、上記予め規定された値以上の値となることによって選択的にトリガーされる上記更なるステップは、上記更なる情報を上記ユーザーに上記提供することに少なくとも関係し、上記更なるステップは、上記物理的エンティティに関する忠告を含む更なる情報をユーザーに提供することを含み、上記忠告は技術的対策を含み、上記技術的対策は、上記リスクを下げるために上記ユーザーによって/上記ユーザーを介して実施することができる上記物理的エンティティの修正に関係し、上記技術的対策は、好ましくは、上記物理的エンティティの、地下空間、好ましくは地階及び/又は上記物理的エンティティの最も低い階レベルに関する。
【0033】
そのような実施形態及び上記更なる実施形態のそれぞれは、洪水を考慮してリスクを判定する問題に適切に対処するので有利である場合がある。利点は、例の節においてより詳細に論じられる。
【0034】
第2の態様において、本発明は、請求項12に記載のシステムを提供する。
【0035】
好ましい実施形態において、上記地理的アドレスに基づいて地理的座標の上記セットを上記決定することは、上記サーバーと異なる測位関連リモートサーバーによって実施される。関連する好ましい実施形態において、上記データベースを備える上記コンピューター可読媒体は、上記サーバーと異なる物理的パラメーター関連リモートサーバーに含まれる。上記コンピューター可読媒体は、モジュール性を提供し、管理するのがより容易であり、及び/又は、そのオペレーションがより予測可能であり、及び/又は、或る方法ステップを第三者に委任するためにより適切であるシステムを可能にする点で有利である。更なる好ましい実施形態において、上記測位関連リモートサーバーは上記物理的パラメーター関連リモートサーバーに等しい。
【0036】
好ましい実施形態において、方法の1つ以上のステップは、ユーザーデバイス上の専用グラフィカルインターフェースによって実施することができるが、インハウスアプリケーション若しくはウェブサービス又は第三者アプリケーション若しくはウェブサービスとすることができる何らかのより大きいアプリケーション又はウェブサイトを有するウェブサービスのプラグイン又はバックエンド機能によって行うこともできる。或る実施形態において、そのようなアプリケーションは、例えば、アパートのみに関係することができる。そのような場合、アプリケーションの使用は、ユーザーが、アパートである物理的エンティティを参照し、したがって、第2のステップが、明示的に実行される必要はないが、ユーザーがアプリケーションを使用しているというコンテキスト及び事実によって示唆されることを伴う場合がある。
【0037】
好ましい実施形態において、ユーザーは、複数の目的で地理的アドレス及びエンティティカテゴリを要求され、その目的の中で、リスクを判定することは1つの目的にすぎない。例えば、本発明のためのコンテキストを提供するアプリケーション又はウェブサービスは、例えば、ポイント1~15によるシステム及び見通しによる上記物理的エンティティの再建コストの見積もりに関係することができる。そのような見積もりの場合、上記リスクを判定することは極めて重要である場合がある。例えば、必要とされる基礎のタイプを決定するために、物理的エンティティが、例えば洪水エリアに位置するか否かを判定することは有用である場合がある。別の例において、火災の危険が増加したゾーンに物理的エンティティが位置することは、適切な建物材料、例えば、耐火建物材料が必要とされることを示す場合がある。
【0038】
本発明をいずれの点でも制限することを意図しない更なる態様によれば、本発明は、建物又はアパートの再建コストを見積もり、上記建物又はアパートに関係する見通しを生成する技術分野に関しており、以下のポイント1~15に関係しても、しなくてもよい。
【0039】
1. 再建コストを見積もるためのコンピューティングシステムであって、
サーバーであって、プロセッサ、有形の不揮発性メモリ、上記プロセッサに指令するために上記メモリ上に存在するプログラムコードを備える、サーバーと、
少なくとも1つのコンピューター可読媒体であって、データベースを備え、上記データベースは再建価格決定データを含み、再建価格決定データは、
複数の価格インデックスデータであって、対応する地理的ロケーションによってインデックス付けされ、複数の異なる建物タイプ及び建物内の複数の異なる建物エリアタイプについての再建価格決定データを示す、複数の価格インデックスデータと、
複数の異なる建物カテゴリのそれぞれの建物カテゴリを再建するための相対的価格決定レベルを示す比較建物カテゴリデータと、
任意選択で、建物内の複数の異なるアパートタイプのそれぞれのアパートタイプを再建するための相対的価格決定レベルを示す比較アパートデータと、
を含む、少なくとも1つのコンピューター可読媒体と、
を備え、
上記コンピューティングシステムは、建物及び/又は上記建物に属するアパートについての上記再建コストの上記見積もりのための方法を実施するように構成され、上記方法は、
(a)上記サーバーにおいてユーザーからのユーザー入力に属するキーユーザー入力パラメーターのセットを受信するステップであって、ユーザーからの上記キーユーザー入力は、上記建物及び/又は上記建物に属する上記アパートに関係する、ステップと、
(b)上記データベースから上記ユーザー入力に関係する建物関連データを取り出すステップと、
(c)上記建物関連データに基づいて上記建物について建物カテゴリ規定データを決定するステップと、
(d)任意選択で、上記建物に属する上記アパートについてアパートタイプデータを決定するステップであって、アパートタイプデータは複数の異なるアパートタイプから選択される、ステップと、
(e)上記データベースから、上記ユーザー入力に関係する価格インデックスデータを取り出すステップと、
(f)ステップ(c)にて決定された建物カテゴリ規定データに基づいて上記建物についてデータベースから関連する比較建物カテゴリデータを取り出すステップと、
(g)任意選択で、ステップ(d)にて決定されたアパートタイプデータに基づいてデータベースから関連する比較アパートデータを取り出すステップと、
(h)建物及び/又は上記建物に属するアパートについて再建コスト見積もりを生成するために十分な情報が利用可能であるか否かを判定するステップであって、
(h.1)利用可能である場合、ステップ(i)に進み、
(h.2)利用可能ではない場合、上記ユーザーから上記ユーザー入力に属する更なるユーザー入力パラメーターを受信し、ステップ(b)に戻る、ステップと、
(i)ステップ(e)にて取り出された価格インデックスデータと、ステップ(f)にて取り出された関連する比較建物カテゴリデータと、任意選択で、ステップ(g)にて取り出された関連する比較アパートデータとに少なくとも基づいて、建物及び/又は上記建物に属するアパートについて上記再建コスト見積もりを生成するステップと、
を含み、
キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、及び、任意選択で、(C)上記建物の上記建物タイプ、及び/又は、任意選択で、(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなること、及び、上記建物の上記建物タイプは、テラスハウス、二戸建て住宅、一戸建て住宅、又はアパート建物のうちの1つであることを特徴とする、コンピューティングシステム。
2. キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、及び、(C)上記建物の上記建物タイプのみからなることを特徴とする、ポイント1に記載のコンピューティングシステム。
3. キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、及び、(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなることを特徴とする、ポイント1に記載のコンピューティングシステム。
4. キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、(C)上記建物の上記建物タイプ、及び、(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなることを特徴とする、ポイント1に記載のコンピューティングシステム。
5. 上記データベースは、複数の異なるアパートタイプのそれぞれのアパートタイプを再建するための相対的価格決定レベルを示す比較アパートデータを含むこと、上記方法は、上記建物に属する上記アパートについてアパートタイプデータを決定するステップ(d)であって、アパートタイプデータは複数の異なるアパートタイプから選択される、ステップ(d)、及び、ステップ(d)にて決定されたアパートタイプデータに基づいてデータベースから関連する比較アパートデータを取り出すステップ(g)を含むこと、及び、ステップ(d)にて決定された上記アパートタイプデータは上記幾つかのレベルに少なくとも部分的に基づいて決定されることを特徴とする、ポイント3又は4に記載のコンピューティングシステム。
6. 上記更なるユーザー入力パラメーターは、以下のもののうちの任意のもの又は任意の組み合わせに関係する指標を含み、以下のものとは、上記建物のための現在の商業的目的、上記建物のための過去の商業的目的、別荘、ハウスボート、シャレー、キャラバン、重要文化財建築物、わらぶき屋根、上記建物が建設中であること、上記建物が取り壊しのために指定されていること、上記建物が破損状態にあること、地盤面、上記建物が氾濫原に位置すること、ソーラーパネルの存在、上記建物が外国にあること、高価値のユーザー所持品目であることを特徴とする、ポイント1~5のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
7. ステップ(h)は、ステップ(h)にて生成される上記再建コスト見積もりに関係する変動を生成することであって、上記変動は上記再建コスト見積もりの正確さに特有であることを更に含むことを特徴とする、ポイント1~6のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
8. ステップ(h)にて得られる上記変動は、上記再建コスト見積もりを生成するために十分な情報が利用可能であるか否かを決定し、好ましくは、ステップ(h.2)にてどのユーザー入力パラメーターを取り出すかを決定するために使用されることを特徴とする、ポイント7に記載のコンピューティングシステム。
9. ステップ(c)は、ステップ(b)にて取り出された上記建物の高さ及び/又は地盤面及び/又は部屋数及び/又は最も大きい部屋のサイズに基づいて上記建物の階数の見積もりを決定することを含むことを特徴とする、ポイント1~8のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
10. ステップ(h)は、地盤面が、閾地盤面値を超えるか否かを確認することを含むことを特徴とする、ポイント1~9のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
11. 上記データベースは、1つ以上のデータセットを含み、上記1つ以上のデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットは、上記サーバーに対してリモートロケーションに位置することを特徴とする、ポイント1~10のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
12. 上記データベースは、上記アドレスを囲む近隣地に関する近隣地データを含み、上記近隣地データは、以下のもののうちの任意のもの又は任意の組み合わせを含み、以下のものとは、平均収入、都市化タイプ、収入統計量又は生活状況等の近隣地に関する社会経済学的データ、総人口密度、年齢による人口密度であることを特徴とする、ポイント1~11のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
13. 上記コンピューティングシステムは、見通しを生成するための方法を実施するように更に構成され、上記方法は、
(01)上記ユーザー入力に属するとともにユーザーの能力に関係するユーザー能力入力を受信するステップであって、上記能力は、持ち家に住む人及び/又は賃貸人及び/又は賃借人に関する、ステップと、
(02)上記ユーザー入力に属する見通し関連ユーザー入力を受信するステップであって、上記見通し関連ユーザー入力は、水泳プールの存在及び表面及び/又は庭の存在及び表面及び/又は燃料油タンクの存在及び/又は建物の施工年度及び/又は駐車スペースの存在を含む、ステップと、
(03)上記再建コスト見積もりに少なくとも部分的に基づいた保険料を含み、ステップ(02)にて受信された上記見通し関連特徴に関係する上記ユーザー入力に少なくとも部分的に基づいて決定された1つ以上のオプションの保険を更に含む見通しを生成するステップと、
を含むことを特徴とする、ポイント1~12のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
14. 上記ステップ(03)は、上記見通しが上記システムによって承諾され得るか否かを判定することを含み、上記判定することは、上記ユーザー入力に関係することに上記関係するリスク及び/又は上記ユーザーに関係する利用可能な更なる情報を考慮することを特徴とする、ポイント13に記載のコンピューティングシステム。
15. ポイント14に記載のシステムによって生み出される見通しであって、上記ユーザーの上記ユーザーデバイスのスクリーン上での又は上記ユーザーの上記ユーザーデバイス上で受信されたデータのプリントアウト上での可視化を含み、上記見通しは、上記保険料及び上記オプションの保険のリストを含み、上記オプションの保険のそれぞれは、上記システムによって決定された関連する保険料の追加料金とともに可視化される、見通し。
【0040】
上記更なる態様によれば、また、上記ポイント1~15に関係して、本発明は、再建コストを見積もるためのコンピューティングシステムを提供し、このコンピューティングシステムは、
サーバーであって、プロセッサ、有形の不揮発性メモリ、上記プロセッサに指令するために上記メモリ上に存在するプログラムコードを備える、サーバーと、
少なくとも1つのコンピューター可読媒体であって、データベースを備え、上記データベースは再建価格決定データを含み、上記再建価格決定データは、
複数の価格インデックスデータであって、対応する地理的ロケーションによってインデックス付けされ、複数の異なる建物タイプ及び建物内の複数の異なる建物エリアタイプについての再建価格決定データを示す、複数の価格インデックスデータと、
複数の異なる建物カテゴリのそれぞれの建物カテゴリを再建するための相対的価格決定レベルを示す比較建物カテゴリデータと、
任意選択で、建物内の複数の異なるアパートタイプのそれぞれのアパートタイプを再建するための相対的価格決定レベルを示す比較アパートデータと、
を含む、少なくとも1つのコンピューター可読媒体と、
を備え、
上記コンピューティングシステムは、建物及び/又は上記建物に属するアパートについての上記再建コストの上記見積もりのための方法を実施するように構成され、上記方法は、
(a)上記サーバーにおいてユーザーからのユーザー入力に属するキーユーザー入力パラメーターのセットを受信するステップであって、上記キーユーザー入力は、ユーザーからの、上記建物及び/又は上記建物に属する上記アパートに関係する、ステップと、
(b)上記データベースから上記ユーザー入力に関係する建物関連データを取り出すステップと、
(c)上記建物関連データに基づいて上記建物について建物カテゴリ規定データを決定するステップと、
(d)任意選択で、上記建物に属する上記アパートについてアパートタイプデータを決定するステップであって、アパートタイプデータは複数の異なるアパートタイプから選択される、ステップと、
(e)上記データベースから、上記ユーザー入力に関係する価格インデックスデータを取り出すステップと、
(f)ステップ(c)にて決定された建物カテゴリ規定データに基づいて上記建物についてデータベースから関連する比較建物カテゴリデータを取り出すステップと、
(g)任意選択で、ステップ(d)にて決定されたアパートタイプデータに基づいてデータベースから関連する比較アパートデータを取り出すステップと、
(h)建物及び/又は上記建物に属するアパートについて再建コスト見積もりを生成するために十分な情報が利用可能であるか否かを判定するステップであって、
(h.1)利用可能である場合、ステップ(i)に進み、
(h.2)利用可能ではない場合、上記ユーザーから上記ユーザー入力に属する更なるユーザー入力パラメーターを受信し、ステップ(b)に戻る、
ステップと、
(i)ステップ(e)にて取り出された価格インデックスデータと、ステップ(f)にて取り出された関連する比較建物カテゴリデータと、任意選択で、ステップ(g)にて取り出された関連する比較アパートデータとに少なくとも基づいて、建物及び/又は上記建物に属するアパートについて上記再建コスト見積もりを生成する、ステップと、
を含み、
それにより、キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、及び、任意選択で、(C)上記建物の上記建物タイプ、及び/又は、任意選択で、(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなり、上記建物の上記建物タイプは、テラスハウス、二戸建て住宅、一戸建て住宅、又はアパート建物のうちの1つである。
【0041】
そのようなシステムの利点は、システムのユーザーに提供される利便性である。従来技術のシステムの場合にそうであるように、見通しを得る前に質問の広範囲のリストを済ますことを要求されるのではなく、ユーザーは、非常に制限された数のキーユーザー入力パラメーターに関する入力を単に要求され、その中で、アドレスは、主要なパラメーターであり、そのパラメーターは、任意選択で、建物の建物タイプ及び建物のレベルの数で補完される。上記再建コストの見積もりが、上記建物に属するアパートについて想定される場合、上記アパートのエリアも要求される。これにより、このユーザー入力、特に、アドレスは、データベースからデータを取り出すために使用される。更なるユーザー入力パラメーターが第2のステージにおいて要求されることが考えられるが、これらの更なるユーザー入力パラメーターを受信することを要求することなく、ユーザーが助けられるかなりの機会が存在し、再建コスト見積もりの、及び、好ましい実施形態において、見通しの迅速な生成につながる。
【0042】
さらに、同様に、キーユーザー入力パラメーターの選択が、それ自体、有利であることに留意されたい。実際には、現代の情報社会のコンテキストにおいて、アドレスは、それ自体、Googleストリートビュー等の空中画像及び3Dビューを含む、建物又はアパートに関する多量の情報に対するアクセスを提供する。階数は、データベースに存在する知識を補完するために、例えば、データベースに存在する高さ値の正しさを確認するために特に関連性がある。これは、1つの階当たりの平均表面積(m2単位)の導出を促進することができる。一方、1つの階当たりの平均表面積の知識は、好ましくは、ステップ(e)にて得られる表面積当たりの単位コストを使用して、階、アパート、又は建物全体についての再建コスト見積もりを導出することを可能にする。これは、通常、階数がユーザーから確実に得られる可能性があるので有利であり、一方、居住面積(m2単位)の場合、ユーザーによって与えられる見積もりは、誤差を生じ易い。建物のタイプは、建物のタイプが、不動産の全体価値を示す場合があるので、関連性がある。
【0043】
同様に、システムを管理するシステムアドミニストレーターについて、本発明は利益を提供する。再建コスト見積もりに到達するために要求されるユーザー入力の量が非常に制限されるため、ユーザーインターフェースは簡略化され得る。好ましい実施形態において、データベースは、1つ以上のデータセットを含み、1つ以上のデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットは、上記サーバーに対してリモートロケーションに位置する。そのようなリモートデータセット部分は、第三者が操作することができる。リモートデータセットは、自由にアクセス可能とすることができる、又は、業務委託契約書に関係する特定の条件下でアクセス可能とすることができる。その利点は、第三者によって最新に保たれる外部情報にアクセスすることができ、システムアドミニストレーターにかかる負担が低減されることである。
【0044】
別の利点は、従来技術のシステムと比較されるときの、見積もりの改善された正確さに関する。従来技術のシステムは、ユーザーが回答するための質問の広範囲のリストを使用することによって多数の情報を集めるが、回答とコスト見積もりとの間の関係は、通常、ある程度の一般化に基づき、誤差を生じた。例えば、再建コストを見積もるために部屋数に頼ることは、建物スタイルの間の大きい差によって、また、建物の現行のトレンドによって決して信頼できない。実際には、過去10年にわたって、1つの住宅当たりの部屋数は、全体として減少しており、一方、部屋の表面積は、平均して、増加している。したがって、質問の広範囲のリストを使用し、その後、履歴相関に頼ることは、決して正確でない。対照的に、本発明は、データ駆動型アプローチに従い、それにより、特に、アドレスは、最近まで電子形態で入手できなかった多数の情報の電子的かつ自動的取り出しに対するキーを形成する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、本発明によるシステムは、見通しを生成するための方法を実施するために更に構成され、上記方法は、
(01)上記ユーザー入力に属するとともにユーザーの能力に関係するユーザー能力入力を受信するステップであって、上記能力は、持ち家に住む人及び/又は賃貸人及び/又は賃借人に関する、ステップと、
(02)上記ユーザー入力に属する見通し関連ユーザー入力を受信するステップであって、上記見通し関連ユーザー入力は、水泳プールの存在及び表面及び/又は庭の存在及び表面及び/又は燃料油タンクの存在及び/又は建物の施工年度及び/又は駐車スペースの存在を含む、ステップと、
(03)上記再建コスト見積もりに少なくとも部分的に基づいて保険料を含むとともに、ステップ(02)にて受信された上記見通し関連特徴に関係する上記ユーザー入力に少なくとも部分的に基づいて決定された1つ以上のオプションの保険を更に含む見通しを生成するステップと、
を含む。
【0046】
本明細書において、用語「見通し」は、建物又は上記建物に属するアパートの保険に関係し、再建コスト又は再建コストの見積もりに少なくとも部分的に基づく商業的提案を指す。さらに、用語「能力(capacity)」は、上記建物又は上記建物に属する上記アパートに責任がある任意の人/関係者を、そこで実際に居住する又は時間を過ごす人々に対してこの人/関係者を関係させる正確なコンテキストによらず包含する。このコンテキストは、従来の契約において獲得することができるが、同様に、Airbnb等のホスピタリティサービスとすることができる。
【0047】
その利点は、制限された数のキーユーザー入力パラメーターのみを入力した後にユーザーが全体見通しを受信することができることである。これは有利であり、なぜならば、それが、再建コスト見積もりを探すだけでなく、請われるアクションができる限り少ない単純かつ高速なプロセスを所望しながら、住宅見通し全体をオンラインで探すユーザーの要望に合うからである。更なる好ましい実施形態において、上記ステップ(03)は、上記見通しが上記システムによって承諾され得るか否かを判定することを含み、上記判定することは、上記ユーザーに関係するリスク及び/又は上記建物又はアパートに関係し、また、任意選択で上記ユーザーに関係する更なる情報を考慮する。上記見通しに関連する保険会社の観点から、これは有利であり、なぜならば、それが、ユーザーの要求の早期フィルタリングをもたらし、それにより、自動的に生成できない見通しのみが、保険会社の従業員による人的な注目を要求するからである。
【0048】
好ましくは上記ポイント1~15に関係する更なる態様において、本発明は、本発明によるシステムによって生み出される見通しを提供し、上記見通しは、上記ユーザーの上記ユーザーデバイスのスクリーン上での又は上記ユーザーの上記ユーザーデバイス上で受信されたデータのプリントアウト上での可視化を含み、上記見通しは、上記保険料及び上記オプションの保険のリストを含み、上記オプションの保険のそれぞれは、上記システムによって決定された関連する保険料の追加料金とともに可視化される。
【0049】
上記ポイント1~15に関係する更なる態様において、本発明は、例えば、請求項1及びポイント1によるシステム又は請求項2及びポイント2によるシステムを有する、請求項11~14のいずれか1項及び同時にポイント11~14のいずれか1つのポイントによるシステムを提供する。
【0050】
好ましい実施形態において、キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、及び、(C)上記建物の上記建物タイプのみからなる。関連する好ましい実施形態において、キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、及び、(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなる。両方の実施形態は、2つのキーユーザー入力パラメーターのみがユーザーから要求されるという利点を有し、ユーザー体験の向上につながる。別の好ましい実施形態において、キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、(B)アパートの場合、上記アパートのエリア、(C)上記建物の上記建物タイプ、及び、(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなる。3つのキーユーザー入力パラメーターのみがユーザーから要求される状態で、同様に、この実施形態は、利便性の点で有利である。
【0051】
好ましい実施形態において、上記データベースは、複数の異なるアパートタイプのそれぞれのアパートタイプを再建するための相対的価格決定レベルを示す比較アパートデータを含み、それにより、上記方法は、上記建物に属する上記アパートについてアパートタイプデータを決定するステップ(d)であって、アパートタイプデータは複数の異なるアパートタイプから選択される、ステップ(d)、及びステップ(d)にて決定されたアパートタイプデータに基づいてデータベースから関連する比較アパートデータを取り出すステップ(g)を含み、それにより、ステップ(d)にて決定された上記アパートタイプデータはレベルの上記数に少なくとも部分的に基づいて決定される。異なるアパートタイプを考慮する利点は、それ自体、有利であり、なぜならば、それが、再建コスト見積もりについてよりよい正確さを可能にするからである。アパートタイプデータをレベルの数に少なくとも部分的に基づかせることによって、ユーザーによって提供される最小情報が、最大限に使用される。
【0052】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、上記更なるユーザー入力パラメーターは、以下のもののうちの任意のもの又は任意の組み合わせに関係する指標を含み、以下のものとは、上記建物のための現在の商業的目的、上記建物のための過去の商業的目的、別荘、ハウスボート、シャレー、キャラバン、重要文化財建築物、わらぶき屋根、上記建物が建設中であること、上記建物が取り壊しのために指定されていること、上記建物が破損状態にあること、地盤面、建物が氾濫原に位置すること、ソーラーパネルの存在、建物が外国にあること、高価値のユーザー所持品目である。これにより、ユーザーから更なるユーザー入力パラメーターを要求する理由は、キーユーザーパラメーターのセットが、正確な再建コスト見積もりを計算するために十分に詳述されていないことである。好ましい実施形態によれば、別の理由は、上記見通しが承諾されるべきか否かを決定するために不十分な情報が存在することである場合がある。更なるユーザー入力パラメーターを、一番最初からではなく後になってからのみ要求することは、有益であり、なぜならば、それが、多くの場合、ユーザーが更なるユーザー入力パラメーターを入力することを要求されることなく、建設コスト見積もり及び/又は見通しを得ることを可能にするからである。
【0053】
更なる好ましい実施形態によれば、ステップ(h)は、ステップ(h)にて生成される上記再建コスト見積もりに関係する変動を生成することであって、上記変動は、上記再建コスト見積もりの正確さに特有であることを更に含む。統計的尺度として、この変動は、得られる再建コスト見積もりを、別の再建コスト値、例えば、手動介入及び詳述した手動解析によって得られる再建コスト値(以降、「実際の」再建コスト)と比較するときに予想され得る偏差を示す。変動は、見積もりの周りに位置する或る間隔に同様に関連付けることができ、それにより、間隔は、「実際の」再建コストがおそらくはそこに見出され得る範囲を示す。これにより、好ましい実施形態において、「実際の」再建コストが、述べる間隔で見出すことができる可能性は、パーセンテージで表現することができ、例えば、95%は、「実際の」再建コストが、所与の間隔において95%で見出すことができることを示す。好ましい実施形態において、変動は、有利には、或る決定をトリガーするために使用することができ、それにより、或る閾値は、変動が、例えば、「十分に低い」か、「高過ぎる」かを決定するために使用することができる。この種の第1の決定は、再建コスト計算に関連する見通しが承諾され得るか否かである。これは、以下で同様に論じられる。これにより、高い変動は、非常に大きい不確実性を示し、見通しを承諾せず、支店/代理店との個人面談に立ち会うことをユーザーに忠告する決定をトリガーすることができる。低い変動は、一方、見積もりの良好な品質を示し、少なくとも、この決定に関係する全ての他の条件が満たされる場合に、見通しを生成することができることを示すことができる。この種の第2の決定は、ステップ(h)における決定、すなわち十分な情報が利用可能か否かである。これにより、変動が高過ぎることが見出される場合、ステップ(h.2)に従って、更なるユーザー入力パラメーターについてユーザーに要求することが賢明である場合がある。一方、変動が十分に低いことが見出される場合、ステップ(h.1)に従って、ユーザーから更なるユーザー入力パラメーターを要求することは要求されない場合がある。
【0054】
別の好ましい実施形態において、ステップ(h)にて得られる上記変動は、上記再建コスト見積もりを生成するために十分な情報が利用可能であるか否かを決定し、好ましくは、ステップ(h.2)にてどのユーザー入力パラメーターを取り出すかを決定するために使用される。上記で論じたように、変動は、有利には、或る決定をトリガーするために使用することができる。更なる好ましい実施形態において、得られる変動は、更なるユーザー入力パラメーターが受信されるべきか否かだけでなく、更なるユーザー入力パラメーターが要求される場合、要求されるユーザーパラメーターの数及び種類を決定するためにトリガーする。例えば、ほんのわずかに高過ぎる変動は、ほんの少数の更なる質問がユーザーに提示されることを要求することができ、一方、過度に大きい変動は、多数の更なる質問が問われることを要求することができる。
【0055】
好ましい実施形態において、ステップ(c)は、ステップ(b)にて取り出された上記建物の高さ及び/又は地盤面及び/又は部屋数及び/又は最も大きい部屋のサイズに基づいて上記建物の階数の見積もりを決定することを含む。これは、上記建物の高さ及び/又は地盤面及び/又は部屋数及び/又は最も大きい部屋のサイズが、データベースにおいて、例えば、第三者及び/又は政府によって集められた外部データベースにおいて容易に利用可能なパラメーターである場合に特に有利である。上記で述べたように、高さ及び地盤面が入手可能であるとき、この情報は、階数と組み合わされて、1つの階当たりの平均表面積を導出し得る。これは、今度は、好ましくはステップ(e)にて得られる表面積当たりの単位コストを使用することによって、再建コスト見積もりを導出するために少なくとも部分的に使用され得る。部屋数及び/又は最も大きい部屋のサイズは、計算の正確さを改善するために及び/又は1つの階当たりの平均表面積の見積もりの品質を試験/改善するために更に使用され得る。
【0056】
好ましい実施形態において、ステップ(h)は、地盤面が、閾地盤面値を超えるか否かを確認することを含む。これは有利であり、なぜならば、それが、地盤面の上の階まで延在しない多くの付属設備を1階レベルに有する状況を考慮することを可能にするからである。過度に大きい地盤面値は、その状況を示すものとすることができる。そのような場合、地盤面は、計算において導入されるべきでなく、なぜならば、それが、1つの階当たりの平均表面積の不正確な見積もりにつながるからである。それにより、地盤面値を或る最大値に「クリップし(clip)」、更なる計算において、元の地盤面値の代わりにこの最大値を使用することが有利である。
【0057】
好ましい実施形態において、データベースは、1つ以上のデータセットを含み、1つ以上のデータセットのうちの少なくとも1つのデータセットは、上記サーバーに対してリモートロケーションに位置する。そのようなリモートデータセット部分は、第三者が操作することができる。リモートデータセットは、自由にアクセス可能とすることができるか、又は、業務委託契約書に関係する特定の条件下でアクセス可能とすることができる。その利点は、第三者によって最新に保たれる外部情報にアクセスすることができ、本発明によるシステムを管理するシステムアドミニストレーター(複数の場合もある)の負担を低減することである。
【0058】
更に別の好ましい実施形態において、上記データベースは、上記アドレスを囲む近隣地に関する近隣地データを含み、上記近隣地データは、以下のもののうちの任意のもの又は任意の組み合わせを含み、以下のものとは、平均収入、都市化タイプ、収入統計量又は生活状況等の近隣地に関する社会経済学的データ、総人口密度、年齢による人口密度である。これは有利であり、なぜならば、それが、コスト計算の基礎になる統計モデルへの十分な入力を提供するからである。利用可能なデータセットに対して実施された実験から、住宅のタイプだけでなく近隣地に関係するデータもまた、使用される材料のタイプ及び仕上げの程度等の住宅の再建コスト関連特徴を示すことができることが明らかである。
【0059】
好ましい実施形態によれば、上記更なるユーザー入力パラメーターは、以下のもののうちの任意のもの又は任意の組み合わせに関係する指標を含み、以下のものとは、上記建物のための現在の商業的目的、上記建物のための過去の商業的目的、別荘、ハウスボート、シャレー、キャラバン、重要文化財建築物、わらぶき屋根、上記建物が建設中であること、上記建物が取り壊しのために指定されていること、上記建物が破損状態にあること、地盤面、上記建物が氾濫原に位置すること、ソーラーパネルの存在、上記建物が外国にあること、高価値のユーザー所持品目である。その利点は、そのような更なるユーザー入力パラメーターが、ステップ(i)にて使用されて、より正確な再建コスト見積もりを生成することができることである。それにより、上記建物は、文化遺産に関係する制限対象である場合に列挙される。
【0060】
好ましい実施形態において、同様に、空中画像等の更なる不動産関連情報は、再建コストを決定するときに及び/又は見通しを生成するときに考慮される。
【0061】
別の好ましい実施形態において、同様に、空中画像等の更なる不動産関連情報は、リスクを判定するときに考慮される。
【0062】
更に別の実施形態において、キーユーザー入力パラメーターの上記セットは、(A)上記建物及び/又は上記建物に属するアパートのアドレス、及び任意選択で(C)上記建物の上記建物タイプ、及び/又は任意選択で(D)上記建物の幾つかのレベルのみからなる。
【0063】
本発明は、本発明を更に説明し、本発明の範囲を制限することは意図されず、これを制限するものと解釈されるべきでもない、以下の非限定的な例示によって更に記載される。
【0064】

例1:ステップ(1)~(9)を有する例示的なフローチャート
この例は、示すように、ステップ(1)~(9)を有する図1のフローチャートによって示される。この例は、オンラインプラットフォームとしてユーザーに提示されるシステムを介して住宅保険を提供するコンテキストで、建物又はその建物に属するアパートについての再建コストの見積もりに関係する。建物タイプは、アパート建物、テラスハウス、二戸建て住宅、又は一戸建て住宅とすることができ、指定されるエリアは、アパート建物に属する区画又は建物全体に関するものとすることができる。
【0065】
システムの主な利点は、(非常に)制限されたユーザー入力に基づく再建コストの見積もりを可能にすることである。ユーザー入力は、ユーザーによって与えられるパラメーターの(非常に)制限されたセットに関する。これは、請われるアクションができる限り少ない単純かつ高速なプロセスを所望しながら、住宅見通しをオンラインで探すユーザーの要望に合う。コスト見積もりの場合、システムは、ステップのシーケンスに従う。
【0066】
ステップ(1)は、ユーザーが、第1のユーザー入力、すなわち、キーユーザー入力パラメーター、この場合、不動産のアドレスを入力することに関する。キーユーザー入力パラメーターのセットは、サーバーによって受信され、サーバーは、再建コスト見積もりを決定することを伴う住宅見通しを生成するタスクを有する。
【0067】
ステップ(2)にて、再建コスト見積もりを生成するために、サーバーはデータベースからデータを取り出す。データは、不動産自身に関するデータ(建物のタイプ、エリア、高さ)及び近隣地に関するデータ(平均収入、都市化タイプ、収入統計量又は生活状況等の近隣地に関する社会経済学的データ、人口)を含む。好ましくは、データベースは、見通しを配布する保険会社の外部にある複数のデータベースを備える。
【0068】
ステップ(3)にて、強化されたデータの品質に基づいて、アルゴリズムは、モデルについて十分な情報が存在するか否かを決定し、存在する場合、システムは、ステップ(5)にジャンプし、存在しない場合、システムはステップ(4)に移動する。
【0069】
ステップ(4)にて、必要である場合、更なる情報がユーザーに請われる。これは、更なるユーザー入力情報とも呼ばれる。
【0070】
ステップ(5)にて、システムは、データベースから得られる情報とともに、見通しからの全ての情報に対して1つ以上の統計モデルを実行する。
【0071】
ステップ(6)にて、不動産の承諾、ニーズ検出及び価値が、上記1つ以上の統計モデルの出力として計算されることを必要とする。それにより、承諾は、オンラインプロセスに関連する内部リスク及び/又は製品特有の基準に基づくオンライン保険について、上記不動産、及び任意選択で上記ユーザーを承諾する保険会社の意欲を指す。さらに、ニーズ判定は、一方で、上記不動産についての特定のユーザーのニーズ(例えば、特定のユーザーが、持ち家に住む人用の保険を必要とするか、賃貸人用の保険を必要とするか、賃借人用の保険を必要とするか)を判定することを指す。他方で、ニーズ検出は、水泳プール用の保険、庭用の保険、又は燃料油タンク用の保険等の、幾つかの更なる保険が、上記不動産についてかけられるべきか否かを尋ねることを含む。価値見積もりは、見通し入力(最終的に、上記不動産のアドレスのみ)並びに利用可能な内部及び/又は外部データの組み合わせを使用すること、統計モデル(複数の場合もある)を通して上記入力及びデータを処理すること、及び、上記不動産の再建の正しい見積もりを与えることを指す。上記見通しを承諾する(とりわけ上記ユーザー及び上記不動産の承諾を示唆する)意欲が全く存在しない場合、システムはステップ(9)にジャンプする。上記不動産を承諾する意欲が存在する場合、システムはステップ(7)に移動する。
【0072】
ステップ(7)にて、価格決定モデルが統計モデル出力に提供される。
【0073】
ステップ(8)にて、保険料が計算される。
【0074】
ステップ(9)にて、ユーザーは、支店/代理店との標準的なオフラインプロセスを参照する。
例2:洪水を有する例示的な実施形態
【0075】
例2:洪水を有する例示的な実施形態
この例において、請求項1による上記方法は、リスクが洪水に関係する場合に適用される。これにより、損傷の上記確率に関係するリスクは、上記物理的エンティティの、洪水によって引き起こされる損傷の確率に関係する。上記物理的パラメーター及び上記物理的パラメーターの上記少なくとも1つの値は、所与の物理的ロケーションに関連する洪水の確率に関係する。
【0076】
より好ましくは、物理的パラメーターは、ここ数年の測定に基づいて洪水の小さい及び/又は大きい可能性を有するゾーンを識別する上記物理的エンティティが位置するエリアの洪水マップに関係する。一実施形態において、例えば、地理的座標のセットによって特徴付けられる各ロケーションについて、洪水マップは、以下の変数のうちの任意の変数又は任意の組み合わせを示すことができ、以下の変数とは、
所与の時間窓について、上記ロケーションが氾濫したか否かを示すブール値、
所与の期間、例えば、今後10年に関する潜在的な洪水リスクの確率である数値p、0<p<1、
そのロケーションが氾濫した回数及び/又はそのロケーションにおける洪水事象中の水位を考慮する、所与の時間窓にわたる洪水の強度、
である。
【0077】
物理的パラメーターは、これらの変数のうちの任意の変数とすることができるか、又は、これらの変数の組み合わせとして、例えば、重みを有するこれらの変数の線形結合として導出することができ、その重みは、経験に基づいて選択することができ、及び/又は、最小二乗誤差等の何らかの基準に従って、或る既存のデータセットに最適にフィットするように適合することができる。
【0078】
この例において、本発明の方法は、ローカルサーバー又は遠隔で実行されるクラウドコンピューティングサービスによって実行することができる以下の例示的なステップを含む。
【0079】
第1のステップは、上記物理的エンティティの地理的アドレスをユーザーから受信することからなる。第2のステップは、上記物理的エンティティに関係するエンティティカテゴリをユーザーから受信することからなり、上記エンティティカテゴリは、テラスハウス、二戸建て住宅、一戸建て住宅、又はアパートのうちの1つである。
【0080】
その後、第3のステップは、上記地理的アドレスに基づいて上記物理的エンティティの地理的座標のセットを自動的に決定することからなる。これは、好ましくは、定期的に更新される「インハウス(in-house)」地理的データベースを調べることによって行われる。そのような「インハウス」データベースは、例えば、サーバーにおいて記憶される場合がある、又は、個人的に記憶され/アクセス可能であり、上記クラウドコンピューティングサービスのコンテキストで維持される場合がある。代替ステップにおいて、上記第3のステップは、地理的アドレスを第三者サービスに送出することによって実施され、第三者サービスは、地理的アドレスを受信すると、地理的座標のセットを調べ、それを返す。
【0081】
第4のステップは、データベースから、上記地理的座標に基づいて上記物理的データに属する上記物理的パラメーターの少なくとも1つの値を自動的に取り出すことからなる。特に、地理的座標の所与のセットについて、洪水リスクがデータベースから取り出される。この洪水リスクは、予め規定された値と比較され、上記物理的パラメーターの上記少なくとも1つの値が上記予め規定された値以上の値となることは、方法の更なるステップ、すなわち、第5のオプションのステップを選択的にトリガーする。
【0082】
第5のステップは、オプションであり、第4のステップによってトリガーされる。このステップは、高い洪水リスクが検出される場合にだけ実行される。第5のステップは、上記物理的エンティティに関係するリスク指示特徴値である更なる物理的値をユーザーから受信することからなる。特に、リスク指示特徴値は、好ましくは、以下のもののうちの任意のものに関係し、以下のものとは、上記物理的エンティティの地下空間、好ましくは地階の存在及び/又は物理的表面、上記エンティティカテゴリがアパートである場合の上記物理的エンティティの階レベルである。一例において、物理的エンティティは高い洪水リスクに関連するアパートであり、リスク指示特徴値は階レベルである。これにより、0の階レベルは、例えば、1、2、3、4、5、6、又は7に等しい階レベルに比べて、洪水による損傷の高いリスクを示すことができる。別の例において、物理的エンティティは二戸建て住宅であり、リスク指示特徴値は地階の存在である。これにより、地階が存在することは、洪水による損傷の増加リスクを示すことができる。
【0083】
第6のステップは、上記エンティティカテゴリ及び上記リスク指示特徴値に少なくとも基づいて上記リスクを判定することからなる。
【0084】
この例において、これらのステップは、ウェブベースアプリケーションを有するウェブサービス、すなわち、ウェブサイトを有するウェブサービスを実行するユーザーデバイス上の専用グラフィカルインターフェースによって実施される。物理的エンティティは、任意のエンティティカテゴリのものとすることができ、したがって、第2のステップにおける選択は、ドロップダウンメニュー又はラジオボタンを有するリストによって明示的に行われる。アプリケーションは、複数の目的で、地理的アドレス及びエンティティカテゴリをユーザーに要求し、その目的の中で、リスクを判定することは1つの目的にすぎない。アプリケーションは、例えば、ポイント1~15によるシステム及び見通しによる上記物理的エンティティの再建コストの見積もりに関係する。見積もりは、例えば、再建に必要とされる基礎のタイプを決定するために、リスクを判定し、それにより、物理的エンティティが洪水エリアに位置するか否かを評価することを含む。
【0085】
代替の例示的な実施形態において、第5のステップは、更に及び/又は付加的に、技術的エンティティに関する忠告を含み、上記忠告は技術的対策を含む。例えば、技術的対策は、例えば、充填材料で地階を充填することによって地階をなくすことによって、洪水リスクを下げることに関係する。
例3:他の物理的パラメーターを有する例示的な実施形態
【0086】
例3:他の物理的パラメーターを有する例示的な実施形態
この第3の例において、特徴は、物理的パラメーターが別のマップに関係することを除いて第2の例の特徴である。物理的パラメーターは、例えば、火災リスクマップに関係することができ、火災リスクマップは、森林火災リスクについて知られているエリアに関係することができる。別の例示的な実施形態において、物理的エンティティは、自然地震活動又はフラッキング若しくは採掘による地震活動等の高まった地震活動を有するエリアに位置し、物理的パラメーターは、地震マップ又はアースクエイクマップに関係する。この例において、好ましくは、物理的パラメーターの組み合わせ、例えば、洪水リスク、火災リスク、及び地震リスクの組み合わせが考慮される。
図1