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特許7181226超音波処置における動き補償のためのワークフロー、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】超音波処置における動き補償のためのワークフロー、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20221122BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20221122BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B6/03 377
A61B5/055 390
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019561909
(86)(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018061636
(87)【国際公開番号】W WO2018206473
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】62/504,571
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クルエッカー ヨヘン
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/178198(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0186378(US,A1)
【文献】特表2010-515472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0324841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
A61B 6/00
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブと動作可能に接続され、前記超音波プローブを使用して超音波撮像を行う超音波撮像デバイスと、
ディスプレイと、
前記超音波プローブの向き追跡するプローブトラッカと、
前記超音波撮像デバイス、前記プローブトラッカ及び前記ディスプレイと動作可能に接続された電子プロセッサと、
前記超音波撮像デバイスを動作させてライブ超音波画像を取得し、また、前記ディスプレイを動作させて前記ライブ超音波画像を、複合変換を使用して前記ライブ超音波画像と位置合わせされた輪郭又は参照画像と共に表示し、また、更なる動作を行うように前記電子プロセッサによって読み取り可能及び実行可能な命令を記憶する非一時的記憶媒体と、
を含み、
前記更なる動作は、
基準3次元超音波(3D-US)画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させることであって、前記基準3D-US画像は前記プローブトラッカによって測定された前記超音波プローブの対応する基準向きがタグ付けされている、前記超音波撮像デバイスを動作させることと、
1つ以上の参照3D-US画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させることであって、1つ以上の前記参照3D‐US画像は前記プローブトラッカによって測定された前記超音波プローブの対応する参照向きがそれぞれタグ付けされている、前記超音波撮像デバイスを動作させることと、
前記基準3D-US画像各前記参照3D‐US画像と空間的に位置合わせする変換を計算することと、
前記プローブトラッカによって測定された前記超音波プローブの現在の向きにその対応する向きが最も近い参照3D-US画像を決定することと、
前記基準3D-US画像前記最も近い参照3D-US画像と空間的に位置合わせする変換を含めるように前記複合変換を更新することと、
を含む、介入撮像デバイス。
【請求項2】
前記基準3D-US画像各前記参照3D‐US画像と空間的に位置合わせする変換を計算する動作は、変換の集合{T1,i}i=1,...,Nを計算することであって、ここで、Nは参照3D-US画像の数であり、前記変換T1,iは前記基準3D-US画像iでインデックス付けされた前記参照3D-US画像と空間的に位置合わせすることであり、
前記複合変換の更新は、前記複合変換を、少なくとも変換T1,kと変換T2、kとの積に更新することを含み、ここで、kは決定された前記最も近い参照3D-US画像にインデックスを付け、前記変換T2,kは決定された前記最も近い参照3D-US画像を前記ライブ超音波画像と空間的に位置合わせする、請求項1に記載の介入撮像デバイス。
【請求項3】
更新された前記複合変換は、変換T0と、前記変換T1,kと、前記変換T2,kとの積を含み、ここで、前記変換T0は、超音波以外の撮像モダリティによって取得される3次元計画画像を前記基準3D-US画像と空間的に位置合わせし、
前記複合変換の更新は、前記変換T0を更新しない、請求項2に記載の介入撮像デバイス。
【請求項4】
超音波以外の撮像モダリティによって取得される前記3次元計画画像は、3次元磁気共鳴(3D‐MRI)画像又は3次元コンピュータ断層撮影(3D‐CT)画像を含む、請求項3に記載の介入撮像デバイス。
【請求項5】
前記ライブ超音波画像と共に表示される前記輪郭又は前記参照画像は、前記3次元計画画像内に定義される輪郭であって、前記変換T0を使用して前記基準3D―US画像と位置合わせされる輪郭を含む、請求項3又は4に記載の介入撮像デバイス。
【請求項6】
前記電子プロセッサは、前記超音波撮像デバイスを動作させて、時系列のライブ超音波画像を取得して、前記複合変換を使用して前記ライブ超音波画像と位置合わせされた前記輪郭又は前記参照画像と共に表示し、
更新された前記複合変換の前記変換T2,kは、kでインデックス付けされ決定された前記最も近い参照3D-US画像を前記ライブ超音波画像と空間的に位置合わせすることによる前記複合変換の更新に続いて取得される前記ライブ超音波画像に対して生成される、請求項2から5のいずれか一項に記載の介入撮像デバイス。
【請求項7】
前記複合変換の更新は、トリガ制御部のユーザ起動の検出によってトリガされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の介入撮像デバイス。
【請求項8】
超音波プローブを有する超音波撮像デバイスと、ディスプレイと、前記超音波プローブの向きを追跡するプローブトラッカとに動作可能に通信する電子プロセッサによって読み取り可能及び実行可能な命令を記憶する非一時的記憶媒体であって、前記電子プロセッサによって読み取り可能及び実行可能な前記命令は、
ライブ超音波画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップと、
複合変換を使用して、輪郭又は参照画像を前記ライブ超音波画像と空間的に位置合わせするステップと、
前記ライブ超音波画像を、空間的に位置合わせされた前記輪郭又は前記参照画像と共に前記ディスプレイに表示するステップと、
動作によって前記複合変換を調整するステップと、
を含む、ライブ撮像方法を行い、
前記動作は、
基準3次元超音波(3D-US)画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップであって、前記基準3D-US画像は前記プローブトラッカによって測定された前記超音波プローブの対応する基準向きがタグ付けされている、前記超音波撮像デバイスを動作させるステップと、
1つ以上の参照3D-US画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップであって、1つ以上の前記参照3D‐US画像は前記プローブトラッカによって測定された前記超音波プローブの対応する参照向きがそれぞれタグ付けされている、前記超音波撮像デバイスを動作させるステップと、
前記基準3D-US画像1つ以上の前記参照3D‐US画像と空間的に位置合わせする変換の集合{T1,i}i=1,…,Nを計算するステップと、
前記プローブトラッカによって測定された前記超音波プローブの現在の向きに最も近い参照向きを決定するステップと、
前記複合変換を少なくとも変換T1,kと変換T2、kとの積に更新するステップと、
を含み、
Nは参照3D-US画像の数であり、前記変換T1,iは前記基準3D-US画像iでインデックス付けされた前記参照3D-US画像と空間的に位置合わせし、
kは決定された前記最も近い参照3D-US画像のインデックスであり、これにより、前記変換T1,kは、前記基準3D-US画像kでインデックス付けされ決定された前記最も近い参照3D-US画像と空間的に位置合わせし、前記変換T2,kは、決定された前記最も近い参照3D-US画像を前記ライブ超音波画像と空間的に位置合わせする、非一時的記憶媒体。
【請求項9】
前記更新するステップは、前記複合変換を、変換T0と、前記変換T1,kと、前記変換T2,kとの積に更新し、前記変換T0は、超音波以外の撮像モダリティによって取得された3次元計画画像を前記基準3D-US画像と位置合わせし、
前記ライブ超音波画像と共に表示される前記輪郭又は前記参照画像は、前記3次元計画画像内に定義された輪郭又は前記3次元計画画像である、請求項8に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項10】
前記ライブ超音波画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップと、前記輪郭又は前記参照画像を前記ライブ超音波画像と空間的に位置合わせするステップと、前記ライブ超音波画像を空間的に位置合わせされた前記輪郭又は前記参照画像と共に表示するステップとを反復的に繰り返して、前記複合変換を使用して、時系列の前記ライブ超音波画像を取得して、前記ライブ超音波画像と位置合わせされた前記輪郭又は前記参照画像と共に表示する、請求項8又は9に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項11】
前記基準3D-US画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップと、前記1つ以上の参照3D‐US画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップと、前記変換の集合{T1,i}i=1,…,Nを計算するステップとは、前記時系列のライブ超音波画像の前記取得及び前記表示の前に行われる、請求項10に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項12】
前記複合変換を更新するステップは、
対応する参照向きがタグ付けされた新しい参照3D-US画像を取得するために前記超音波撮像デバイスを動作させるように、前記時系列のライブ超音波画像の前記取得及び前記表示を中断するステップと、前記新しい参照3D-US画像を前記基準3D-US画像と空間的に位置合わせする新しい変換T1,N+1を計算するステップと、
を更に含む動作によるものであり、
決定された前記最も近い参照向きが前記新しい参照3D-US画像に対応する場合、前記複合変換は、少なくとも前記変換T1,N+1と変換T2,N+1との積に更新され、前記変換T2,N+1は、前記新しい参照3D-US画像を前記ライブ超音波画像と空間的に位置合わせする、請求項11に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項13】
前記新しい参照3D‐US画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップは、前記超音波プローブを手動で操作して、前記新しい参照3D-US画像の取得中に前記超音波プローブの指定された掃引を行うようにユーザに指示するステップを含む、請求項12に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項14】
前記複合変換を調整するステップは、トリガ制御部のユーザ起動の検出によりトリガされる、請求項8から13のいずれか一項に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項15】
前記ライブ超音波画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップは、
2次元超音波画像である前記ライブ超音波画像を取得するように前記超音波撮像デバイスを動作させるステップを含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の非一時的記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、一般に、生検技術、近接照射療法技術等といった画像誘導外科技術、このような外科的処置において画像誘導を提供するために行われる超音波撮像等に関する。
【背景技術】
【0002】
画像誘導外科的処置は、組織サンプル抽出(即ち、生検)処置、標的レーザーアブレーション処置及び(放射性シードを標的部位に送達する)近接照射療法処置といった様々な目的に使用される。超音波(US)撮像は、直腸前立腺生検又は近接照射療法処置といった外科的処置の画像誘導のための一般的なモダリティである。これらの処置では、直腸USプローブが使用され、また、グリッドを使用して生検針又は他の介入器具が位置合わせされる。(ほぼ)リアルタイム撮像を得るには、2次元(2D)US撮像(一般に「ライブ」2D-US撮像と呼ばれる)が一般的に使用される。撮像速度が十分であれば、3D-USライブ撮像も使用することができる。空間においてライブUS画像の位置合わせをするために、例えば電磁(EM)追跡、光学追跡(プローブが患者の外にある場合)等によってUSプローブの追跡が行われる。更に、術前の3次元(3D)US基準画像を取得して、3D空間における前立腺や他の関心解剖学的特徴の輪郭が提供される。幾つかの処置では、磁気共鳴撮像(MRI)やコンピュータ断層撮影(CT)といった別のモダリティによって3次元(3D)計画画像を取得し、輪郭描出が計画画像で行われ、3D-US基準画像は当該計画画像(又は計画画像で定義された輪郭)をライブ2D-US画像に位置合わせするための中間段階として使用される。後者の場合、計画画像は、通常、画像誘導外科的処置の前に取得されて、腫瘍又は他の生検標的を特定し、前立腺器官の輪郭を描くための情報が提供される。
【0003】
幾つかの例示的なアプローチが、Xu他による米国特許第8,885,897号に開示されている。1つのそのような例示的なアプローチでは、術前の基準3D-US画像が3D診断画像(例えば3D-MRI)と比較されて、基準3D-US画像と3D-MRIボリューム画像とを位置合わせする基準変換が決定される。外科的処置中に、ライブ2D(又は3D)US画像が取得される。1つのライブUS画像又はライブUS画像のグループが基準3D-US画像と比較されて、動き補正変換が決定される。基準変換及び動き補正変換を使用して3D-MRI画像が調整されて、ライブUS画像の表示と共に表示される(例えば融合される)動き補正済み3D-MRI画像が生成される。このようにして、3D-MRI画像の取得と後続のライブUS撮像との間に発生した可能性のある組織の動き(即ち、歪み又は変化)が補正される。
【発明の概要】
【0004】
以下は、新規かつ改良されたシステム及び方法を開示する。
【0005】
1つの開示される態様では、介入撮像デバイスは、超音波プローブと、超音波プローブと動作可能に接続され、超音波プローブを使用して超音波撮像を行う超音波撮像デバイスと、ディスプレイと、超音波プローブの向き追跡するプローブトラッカ28とを含む。デバイスは更に、超音波撮像デバイス、プローブトラッカ及びディスプレイと動作可能に接続された電子プロセッサを含む。非一時的記憶媒体が、超音波撮像デバイスを動作させてライブ超音波画像を取得し、また、ディスプレイを動作させてライブ超音波画像を、複合変換を使用してライブ超音波画像と位置合わせされた輪郭又は参照画像と共に表示し、また、更なる動作を行うように電子データデータプロセッサによって読み取り可能及び実行可能な命令を記憶する。更なる動作は、基準3次元超音波(3D-US)画像を取得するように超音波撮像デバイスを動作させることであって、基準3D-US画像はプローブトラッカによって測定された超音波プローブの対応する基準向きがタグ付けされている、超音波撮像デバイスを動作させることと、1つ以上の参照3D‐US画像を取得するように超音波撮像デバイスを動作させることであって、参照3D-US画像はプローブトラッカによって測定された超音波プローブの対応する参照向きがそれぞれタグ付けされている、超音波撮像デバイスを動作させることと、各参照3D‐US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせする変換を計算することと、プローブトラッカによって測定された超音波プローブの現在の向きにその対応する向きが最も近い参照3D-US画像を決定することと、最も近い参照3D-US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせする変換を含めるように複合変換を更新することとを含む。
【0006】
別の開示される態様では、非一時的記憶媒体は、超音波プローブを有する超音波撮像デバイスと、ディスプレイと、超音波プローブの向きを追跡するプローブトラッカとに動作可能に通信する電子プロセッサによって読み取り可能及び実行可能な命令を記憶する。命令は、ライブ超音波画像を取得するように超音波撮像デバイスを動作させるステップと、複合変換を使用して、輪郭又は参照画像をライブ超音波画像と空間的に位置合わせするステップと、ライブ超音波画像を、空間的に位置合わせされた輪郭又は参照画像と共にディスプレイに表示するステップと、複合変換を調整するステップとを含むライブ撮像方法を行うように電子プロセッサによって読み取り可能及び実行可能である。調整するステップは、基準3次元超音波(3D-US)画像を取得するように超音波撮像デバイスを動作させるステップであって、基準3D-US画像はプローブトラッカによって測定された超音波プローブの対応する基準向きがタグ付けされている、超音波撮像デバイスを動作させるステップと、1つ以上の参照3D‐US画像を取得するために超音波撮像デバイスを動作させるステップであって、参照3D-US画像はプローブトラッカによって測定された超音波プローブの対応する参照向きがそれぞれタグ付けされている、超音波撮像デバイスを動作させるステップと、1つ以上の参照3D‐US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせする変換の集合{T1,ii=1,…,Nを計算するステップと、プローブトラッカによって測定された超音波プローブの現在の向きに最も近い参照向きを決定するステップと、複合変換を少なくとも変換T1,kと変換T2、kとの積に更新するステップとを含む動作によって行われ、Nは参照3D-US画像の数であり、変換T1,iはiでインデックス付けされた参照3D-US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせし、kは決定された最も近い参照3D-US画像のインデックスであり、これにより、変換T1,kは、kでインデックス付けされ決定された最も近い参照3D-US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせし、変換T2,kは、決定された最も近い参照3D-US画像をライブ超音波画像と空間的に位置合わせする。
【0007】
別の開示される態様では、ライブ超音波撮像方法が開示される。超音波撮像デバイスを動作させて、超音波プローブを使用して、時系列のライブ超音波画像が取得される。複合変換を使用して、輪郭又は参照画像が時系列のライブ超音波画像と空間的に位置合わせされる。時系列のライブ超音波画像が空間的に位置合わせされた輪郭又は参照画像と共に表示される。複合変換が以下の動作によって調整される。当該動作は、基準3次元超音波(3D-US)画像を取得するように超音波撮像デバイスを動作させるステップであって、基準3D-US画像はプローブトラッカによって測定された超音波プローブの対応する基準向きがタグ付けされている、超音波撮像デバイスを動作させるステップと、1つ以上の参照3D‐US画像を取得するように超音波撮像デバイスを動作させるステップであって、参照3D-US画像はプローブトラッカによって測定された超音波プローブの対応する参照向きがそれぞれタグ付けされている、超音波撮像デバイスを動作させるステップと、1つ以上の参照3D‐US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせする変換の集合{T1,ii=1,…,Nを計算するステップと、プローブトラッカによって測定された超音波プローブの現在の向きに最も近い参照向きを決定するステップと、複合変換を少なくとも変換T1,kと変換T2、kとの積に更新するステップとを含み、Nは参照3D-US画像の数であり、変換T1,iはiでインデックス付けされた参照3D-US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせし、kは決定された最も近い参照3D-US画像のインデックスであり、これにより、変換T1,kは、kでインデックス付けされ決定された最も近い参照3D-US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせし、変換T2,kは、決定された最も近い参照3D-US画像をライブ超音波画像と空間的に位置合わせする。更新された複合変換は、輪郭又は参照画像と、時系列のライブ超音波画像のうちの、現在のライブ超音波画像の後に取得されたライブ超音波画像との空間的位置合わせに使用される。
【0008】
1つの利点は、基準3D-US画像及び/又は以前に取得した3D-MRI若しくは他の計画画像のコンテキストにおいて、画像誘導外科的処置の前又はその間に生じた可能性のある組織の動きについての基準3D-US画像又は3D-MRI画像の補正が向上されたライブ超音波(US)撮像が提供される点にある。
【0009】
別の利点は、基準3D-US画像及び/又は以前に取得した3D-MRI若しくは他の計画画像に描出された1つ以上の臓器輪郭又は他の画像特徴のコンテキストにおいて、画像誘導外科的処置の前又はその間に生じた可能性のある組織の動きについての画像特徴の補正が向上されたライブUS撮像が提供される点にある。
【0010】
別の利点は、超音波プローブの位置変更によって生じる組織変形に対するロバスト性が向上された画像誘導外科的処置のためのライブUS撮像ガイダンスが提供される点にある。
【0011】
別の利点は、外科的処置の視覚化に関して最適な視点を提供するようにUSプローブを異なる向きに動かしたときに、画像誘導外科的処置のためのライブUS撮像ガイダンスが高い精度で提供される点にある。
【0012】
別の利点は、前述の利点の1つ以上が、付随する高速ライブUS撮像と共に提供され、したがって、画像誘導外科的処置のためのライブ画像ガイダンスが向上される点にある。
【0013】
所与の実施形態が、上記利点を1つも提供しないか、又は、1つ、2つ、それ以上若しくはすべての利点を提供し、及び/又は、本開示を読み、理解した当業者には明らかとなる他の利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの構成、また、様々なステップ及びステップの構成の形を取ってよい。図面は、好適な実施形態を例示することのみを目的とし、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0015】
図1図1は、例示的な超音波(US)誘導前立腺生検システムを図示する。
図2図2は、図1のUS誘導前立腺生検システムのUS誘導部によって適切に生成される、組織の動きが補正された代表的な画像を示す。
図3図3は、図1のUS誘導前立腺生検システムによって行われる3D基準画像及び参照US画像の取得及び処理を図示する。
図4図4は、図1のUS誘導前立腺生検システムのUS誘導部により、前立腺生検外科的処置を支援するために行われるライブUS撮像を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
画像位置合わせに基づいた動き補償の精度及びロバスト性は、位置合わせされる画像の類似性に依存する。幾つかのUS誘導外科的処置では、手術を見るための好適な視点を提供するために、外科医が処置中にUSプローブの向きを調整することができる。これは、基準US画像に比べて、組織変形がかなり異なるため、プローブの様々な向きで取得された非類似のライブUS画像と基準3D-US画像との位置合わせを難しくする。このような位置合わせは、当該位置合わせの基準となる2D-US画像における画像情報が少ないため、ライブ2D-US画像では特に難しい。
【0017】
この問題を認識して本明細書で開示するアプローチは、超音波プローブの様々な向きで取得された複数の参照3D-US画像を提供する。このうちの1つが、基準3D-US画像として指定される。各参照3D-US画像及び基準3D-US画像には、そのプローブの向き、つまり、参照3D-US画像又は基準3D-US画像が取得されたときの超音波プローブの向きがタグ付けされる。各参照3D-US画像は、基準3D-US画像と空間的に位置合わせされる。異なるモダリティの計画画像(例えば3D-MRI画像又は3D-CT画像)も提供される場合、当該計画画像は、クロスモダリティ空間画像位置合わせを使用して、指定された基準画像と空間的に位置合わせされる。介入(即ち、外科的)処置が進むにつれて、これは、前立腺又は他の外科的領域の(ほぼ)リアルタイム撮像を提供するのに十分な速度でライブUS画像を取得する超音波撮像デバイスを使用してモニタリングされる。通常、ライブUS画像は2次元(2D)画像であるが、3D-US取得速度が十分であるならば(例えば3D-USプローブが使用される場合)、3DライブUS画像が考えられる。
【0018】
最初に、基準3D-US画像は、外科的に関連する輪郭(例えば前立腺輪郭)を重ね合わせ、及び/又は、ライブUS画像を計画画像又はコンテキスト3D-US画像と融合させるために使用される。或いは、追跡システムがライブUS撮像中にUSプローブの向きを追跡するため、この向きを使用して、この目的のために最も近い参照又は基準3D-US画像を最初に選択することができる。参照3D-US画像が選択されると、関連輪郭の重ね合わせ及び/又は3D画像の融合には、ライブUS画像と最も近い参照3D-US画像との変換と、最も近い参照3D-US画像と基準3D-US画像との最初に生成された変換との両方を使用した空間変換が必要である。
【0019】
輪郭の重ね合わせ及び/又は3D画像の融合を使用したこのライブ追跡は、介入処置が進むにつれて継続される。しかし、外科医がUSプローブの位置を十分に大きい量だけ調整すると、ライブUS画像及び最も近い参照又は基準3D-US画像を取得するために使用されたUSプローブの向き間の推定類似性がより非類似となるため、使用される変換は次第に不正確になる。これが続くと、外科医は、ライブUS画像と重ね合わされた輪郭及び/又は融合された3D画像とのアライメントが次第に悪くなることに気付くことが予想される。この時点で、外科医は、トリガボタン又は他のユーザ入力部を押して、空間位置合わせの更新をトリガすることができる。この更新手順では、追跡システムが、ライブUS撮像のための現在のUSプローブの向きを決定し、この向きが基準及び参照3D-US画像にタグ付けされたUSプローブの向きと比較されて、最も近い3D-US画像が選択される。変換はこれに応じて更新される(例えば新しい最も近い参照3D-US画像が選択され、新しい最も近い参照3D-US画像と基準3D-US画像との変換が、後続の使用のために選択され、その後、ライブUS画像は新しい最も近い参照3D-US画像と位置合わせされる)。
【0020】
このようにして、外科医がUSプローブの位置を変更することによってもたらされる動き(例えば差分組織変形)がより正確に考慮される。これは、計算効率的に行われる。なぜならば、計画画像(例えば3D-MRI又は3D-CT画像)と基準3D-US画像との計算コストの高いクロスモダリティ位置合わせは再計算されず、また同様に、参照3D-US画像と基準3D-US画像とのそれほど計算コストが高くない(が依然として計算コストの幾分高い)変換も再計算されないからである。
【0021】
幾つかの変形実施形態では、この最後の利点に反して、1つ以上の追加の参照3D-US画像を取得する及び/又は以前に取得した参照3D-US画像を再取得して、新しく取得した参照3D-US画像と基準3D-US画像との変換を計算(又は再計算)するオプションがある(例えば外科医が選択可能であるか又は空間位置合わせ品質メトリックの許容できない値によって自動的にトリガされる)。この変形アプローチは、採用されるならば、参照3D-USを更新することで、より大きい動き(例えばより大きい組織変形)や、参照3D-US画像の何れの向きからも離れた位置へのUSプローブの位置変更を補正する機構を提供する。
【0022】
図1を参照して、前述した内容を実施するのに適している例示的な介入撮像デバイスを示す。超音波(US)撮像デバイス10は、例えばオランダのアムステルダムのコーニンクレッカフィリップス社から入手可能であるEPIQTM超音波撮像システムであっても、別の商用又は特注の超音波撮像システムであってもよい。超音波撮像デバイス10は、超音波プローブ12と動作可能に接続され、超音波プローブ12を使用して超音波撮像を行う。例示的なUSプローブは、患者14の直腸に挿入される直腸超音波プローブ12である。(図1では、患者の下半分を切り取り、そうしなければ見えない挿入されたプローブ12が見えるようにしている。通常、患者は、横になっているか、脚が持ち上げられテーブル延長部に固定された状態で仰向けになっている。)例示する直腸USプローブ12の選択は、前立腺処置のUSモニタリングのための従来通りの選択であるが、より一般的には、開示される介入撮像アプローチは、他のタイプのUSプローブと共に及び/又は他のタイプの介入外科的処置をモニタリングするために使用されてよい。例えばUSプローブは、肝臓又は乳房の処置のモニタリングに使用される経皮USプローブである。例示する超音波プローブ12は、ケーブル15を介して超音波撮像システム10に接続される。前立腺処置で使用するための例示する直腸超音波プローブ12は、生検サンプルを収集するための一体型生検針アセンブリ16を含む。より一般的には、例えば超音波プローブが直腸に挿入され、直腸壁を介して前立腺にアクセスする、図示される一体型プローブ12、16を使用する経直腸的超音波誘導生検や、超音波プローブが直腸に通されるが、生検針は(任意選択的に定位グリッド板等を使用して)会陰部を通過して前立腺にアクセスする経会陰生検等の任意のタイプの画像誘導生検技術を使用することができる。一部の介入処置では、生検針又は他の介入器具がUSプローブに接続されていない場合がある。例示する経直腸的前立腺生検処置では、患者14は、適切な枕又は他の支持体(図示せず)を備えた図示される患者ベッド又は支持体18上に(図1に図示するように)横たわる。例示する超音波撮像システム10は、超音波画像を表示するディスプレイ20と、ユーザインターフェースディスプレイ22や、キーボード、専用ボタン、トラックボール、マウス又は他のポインティングデバイス等といったユーザ入力デバイスを含むユーザ制御パネル24といった1つ以上のユーザインターフェースコンポーネントとを含む。ポインティングデバイスの代わりに又は加えて、ディスプレイコンポーネント20、22の一方又は両方は、ディスプレイ20上の位置を押すことによるユーザ入力を可能にするタッチスクリーンディスプレイであってもよい。
【0023】
引き続き図1を参照すると、介入撮像デバイスは更に、USプローブの向きを追跡するプローブトラッカ28を含む。プローブトラッカ28は、例えばノーザンデジタル社(NDI、カナダ、オンタリオ州)から入手可能であるオーロラ(登録商標)電磁(EM)追跡システムといったEMトラッカを含む。EMトラッカは、追跡対象のコンポーネント上のEMセンサを使用する。例えば1つ以上のEMセンサ(図示せず)がUSプローブ12の上又は中に適切に取り付けられ、その位置及び向きを追跡することができる。他の実施形態では、プローブトラッカは、ジャイロスコープセンサ、USプローブに取り付けられた端部と参照点に固定された基部とを有する座標測定機(CMM)等を含む。USプローブが可視である他の考えられる実施形態の場合、例えば患者の外部に配置される経皮的USプローブの場合、プローブトラッカ28は、USプローブ12に取り付けられた光学反射器等や、距離カメラを使用する光学追跡を利用する。ファイバブラッグ格子、レイリー散乱等を使用して、光ファイバの形状、位置又は向きを決定し、当該データから超音波プローブの位置又は向きを決定する光ファイバ形状検知及び位置特定も使用できる。これらは単なる例である。本明細書に説明する例示的な例では、プローブトラッカ28はEMトラッカであると想定する。
【0024】
引き続き図1を参照すると、介入撮像デバイスは更に、US撮像デバイス10及びディスプレイ20、22と動作可能に接続され、また、本明細書に開示される動作を行うように超音波撮像デバイス10を動作させるように電子データプロセッサ30によって読み取り可能及び実行可能な命令を記憶した非一時的記憶媒体32を有する当該電子プロセッサ30を含む。電子プロセッサ30は、(図1に図示するように)US撮像デバイス10のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラか、及び/又は、コンピュータ又は他の別の電子データ処理デバイスのマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラ等として具現化される。非一時的記憶媒体32は、非限定的な例として、ハードディスクドライブ若しくは他の磁気記憶媒体、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)若しくは他の電子記憶媒体、光ディスク若しくは他の光学記憶媒体又はこれらの様々な組み合わせ等を含む。
【0025】
図1は更に、非一時的記憶媒体32から読み取られた命令を実行する電子プロセッサ30によって行われるライブ超音波撮像プロセスの工程を図示する。このプロセスは、ライブ超音波撮像ユーザインターフェース(UI)40を提供することを含み、ライブ超音波画像が、超音波撮像デバイス10及びUSプローブ12を使用して取得される。ライブ超音波画像はディスプレイ20に表示される。コンテキストを提供するために、ライブ超音波画像は、複合変換42を使用してライブ超音波画像と位置合わせされた輪郭又は参照画像と共に表示される。例えば前立腺生検処置を支援する介入撮像を提供するために、コンテキストは、前立腺の計画3D-MRI(又は3D-CT画像等)又は当該3D-MRI内に描画された前立腺の輪郭である。複合変換42は、本明細書の他の場所でより詳細に説明する変換更新プロセス44によって時々更新される。幾つかの実施形態では、変換更新プロセス44は、外科医又は他のユーザが操作可能であるトリガ制御部46によってトリガされる。例えばユーザ制御パネル24又は他のユーザ入力制御部が、解剖学的輪郭及び/又は融合3D参照画像をライブ超音波画像と空間的に位置合わせするために使用される空間位置合わせ42の更新をトリガするトリガ制御部46として動作する。なお、トリガ制御部46は、超音波撮像システム10と無線又は赤外線接触するハンドヘルド遠隔制御器、ユーザインターフェースディスプレイ22に表示されるソフトキー(この場合、ディスプレイ22はタッチセンシティブである)、制御パネル24の専用トリガキー等といった様々な形を取りうることは理解されたい。
【0026】
典型的には、電子プロセッサ30によって実装されるUI40は、超音波撮像デバイス10を動作させて、複合変換を使用して時系列のライブ超音波画像を取得して各ライブ超音波画像と位置合わせされた重ね合わされた輪郭又は融合参照画像と共に表示する。時系列のライブ超音波画像は、ライブ撮像UI40が外科医に前立腺又は他の外科的標的を貫通する生検針又は他の介入器具のほぼリアルタイムのビューを提供するように、十分に速い速度(即ち、ビデオディスプレイと同様の「フレームレート」)で取得されることが好適である。一部の超音波撮像デバイスでは、ライブ超音波画像は、1次元超音波トランスデューサアレイを有するUSプローブ12を使用して取得された2次元(2D)ライブ超音波画像である。3D-US画像を高速取得可能である2D超音波トランスデューサアレイを備えたUSプローブを使用する他の実施形態では、ライブ超音波画像は3Dライブ超音波画像であることが想定される。
【0027】
コンテキストを提供するために、電子プロセッサ30によって実装されるライブ撮像UI40は更に、ライブ超音波画像と共に輪郭又は参照画像を表示する。例えば前立腺の輪郭が、前立腺を描写する表示されたライブ超音波画像に重ねられてもよいし、及び/又は、例えばアルファブレンディング等を使用して3D-MRI計画画像がライブ超音波画像と融合されてもよい。ただし、3D-MRI、3D-CT又は他の非超音波計画画像とライブ超音波画像とのクロスモダリティ空間位置合わせは、計算集約的なプロセスである。更に、2Dライブ超音波画像の場合、このような空間位置合わせの精度は、2Dライブ超音波画像が捕捉する空間情報によって制限される場合がある(2Dライブ超音波画像の空間情報は、空間の平面に制限される)。これらの問題を軽減するために、3次元超音波(3D-US)画像取得ユーザインターフェース(UI)48を使用して、基準3D-US画像が取得される。3D-US画像取得UI48の動作は、使用されるUSプローブ12の特定のタイプに依存する。USプローブ12が2D超音波トランスデューサアレイを含む場合、3D-US画像取得UI48は、3D-US画像を直接取得することができる。USプローブ12が線形超音波トランスデューサアレイしか含まない場合、3D-US画像取得UI48は、3D-US画像を生成するための3次元超音波エコーデータを提供するために空間距離にわたってUSプローブ12を掃引するようにユーザに指示することができる。本明細書の他の箇所で説明するように、3D-US画像取得UI48は、様々な基準3D-US画像及び参照3D-US画像の取得に使用されるUSプローブ12の様々な向きで基準3D-US画像及び1つ以上の参照3D-US画像を取得するために使用される。
【0028】
なお、USプローブ12の上又は中に配置された1つ以上のEMセンサの空間位置を測定することによって、USプローブ12の位置及び向きを追跡する例えばEMプローブトラッカであるUSプローブトラッカ28が提供されることを理解されたい。各ライブ超音波画像は、当該ライブ超音波画像についてプローブトラッカ28によって測定されたUSプローブ12の対応する向きがタグ付けされる。同様に、各基準3D-US画像又は参照3D-US画像も、当該基準3D-US画像又は参照3D-US画像についてプローブトラッカ28によって測定されたUSプローブ12の対応する基準向き又は参照向きがそれぞれタグ付けされる。あるUS画像に対応するUSプローブ12の向きは、当該US画像についてプローブトラッカ28によって測定されたUSプローブ12の向きである。この対応する向きは、例えばUS画像の取得中、又は、US画像の取得時に使用されたUSプローブ12の向きが変わらない間にUS画像の取得の直前若しくは直後に、当該US画像についてプローブトラッカ28によって測定される。各US画像は、当該US画像についてプローブトラッカ28によって測定されたUSプローブ12の対応する向きがタグ付けされる。「タグ」との用語は、US画像についてプローブトラッカ28によって測定された対応する向きがデータストレージ内のUS画像に関連付けられ、したがって、非一時的記憶媒体32の命令を実行する電子プロセッサ30が対応する向きを取り出し、それを、対応するUS画像を取得する際に使用されたUSプローブ12の向きであると認識することができることを暗示する。タグ付けは、例えば直接的な画像タグ付けで、例えば向きがUS画像データファイルのヘッダーに含まれるメタデータとして保存される。又は、タグ付けは、間接的でもよく、例えばUS画像にインデックスを付け、各US画像についてプローブトラッカ28によって測定された対応する向きを保存する列、フィールド等を含むテーブル、スプレッドシート等に保存される。
【0029】
3D‐US画像取得UI48は、USプローブ12の様々な向きを有する3D-US画像を取得するために使用される。これら画像を使用して、複合変換42を作成するために(部分的に)使用される3D変換の集合50が生成される。より具体的には、3D‐US画像取得UI48を使用して、プローブトラッカ28によって測定された対応する基準向きがタグ付けされた基準3D-US画像が取得される。次に、クロスモダリティ空間画像位置合わせプロセスを適用して、ここでは一般性を失うことなくTと表される3D変換52が生成される。3D変換52は、3D計画画像(例えば3D-MRI、3D-CT画像、3D-ポジトロン放出断層撮影画像等)を基準3D-US画像と位置合わせする。このクロスモダリティ画像位置合わせは計算コストが高いか、及び/又は、任意選択的に、計画画像及び基準3D-US画像における対応するランドマークの指定又は計画画像及び基準3D-US画像における対応する特徴の輪郭描出といったユーザ入力を受け取る必要がある場合がある。ただし、クロスモダリティ画像位置合わせは、通常、所与の外科的処置について1回しか行われない。
【0030】
USプローブ12を外科的処置の間ずっと固定位置に保持されるならば、単一の基準3D-US画像を取得し、3D計画画像を基準3D-US画像と位置合わせする変換T52を生成するだけで十分である。この場合、複合変換42は、変換Tと、基準3D-US画像をライブ超音波画像と位置合わせする第2の変換との積になる。(なお、本明細書で使用される場合、このコンテキストにおける「積」との用語は、Tと第2の変換との機能の組み合わせを示すことに留意されたい。これは、様々な方法で実現することができ、例えばTをある画像に適用した後に第2の変換を当該画像に適用することによって実現することができる)。
【0031】
しかし、外科的処置中に、介入器具及び標的臓器(例えば前立腺生検処置の場合、前立腺を貫通する生検針)のライブ超音波撮像の異なる視点を得るために、外科医はUSプローブ12の位置を変更することを選択することができる。その際、位置変更されたUSプローブは、動き、例えばUSプローブ12によってもたらされる組織変形の変化をもたらす場合がある。このような動き(即ち、USプローブ12の基準向きと比べて異なる組織変形)は、通常、基準3D-US画像では正確に考慮されない。
【0032】
この問題に対処するために、開示されるアプローチでは、3D-US画像取得UI48を更に使用して、1つ以上の参照3D-US画像が取得される。各参照3D-US画像は、当該参照3D-US画像についてプローブトラッカ28によって測定された対応する参照向きがタグ付けされる。一般性を失うことなく、取得される参照3D-US画像の数は、本明細書ではNとして示し、Nは1以上の整数である。次に、空間画像位置合わせプロセスを適用して、一般性を失うことなく、本明細書では{T1,ii=1,…,Nと表される3D変換の集合54が生成される。ここでも、Nは参照3D-US画像の数であり、変換T1,iは、iでインデックス付けされた参照3D-US画像を基準3D-US画像と空間的に位置合わせする。(なお、適切なインデックスが明らかな場合、使用される変換は省略形Tとも表される)。これは同一モダリティ(超音波-超音波)空間位置合わせであるため、計算コストが比較的低く、また、幾つかの実施形態では、参照3D-US画像及び基準3D-US画像における対応する特徴を特定するために自動化された特徴検出プロセス(例えばコーナー検出器又は他の画像勾配セグメンテーションアプローチ)を使用して行うことができ、これにより、画像位置合わせを完全に自動化することができる。或いは、例えば対応する特徴及び/又は対応する輪郭を描画するユーザ入力を使用する。
【0033】
この場合、複合変換42は、少なくとも変換T1,kと変換T2,kとの積を含む。(ここでも、本明細書で使用される場合、このコンテキストにおける「積」との用語は、例えばT1,kを基準3D-US画像に適用し、T1,kによる変換の後、T2,kを当該基準3D-US画像に適用することによる、T1,k及びT2,kの機能の組み合わせを示す。これは、様々な方法で実現することができ、例えばTをある画像に適用した後に第2の変換を当該画像に適用することによって実現することができる)。ここで、インデックスkは、その対応する参照向きが、現在のライブ超音波画像を取得する際に使用されたUSプローブ12の現在の向きに近い参照3D-USにインデックスを付ける。したがって、T1,kは、基準3D-US画像をkでインデックス付けされた参照3D-US画像と空間的に位置合わせする。変換T2,kは、kでインデックス付けされた参照3D-US画像をライブ超音波画像と空間的に位置合わせする。したがって、変換T1,k及びT2,kの積は、基準3D-US画像を現在のライブ超音波画像と空間的に位置合わせする。ライブ超音波画像と共に表示される輪郭又は参照画像が、3D計画画像又は3D計画画像に描かれた輪郭である場合、複合変換42は更に、変換Tを含む、即ち、複合変換42は、変換T、変換T1,k及び変換T2,kの積を含む。(ここでも、本明細書で使用される場合、このコンテキストにおける「積」との用語は、例えばTを計画画像又は計画画像に描かれた輪郭に適用して基準3D-US画像の空間フレームに変換した後に、T1,kを適用してkでインデックス付けされた参照3D-US画像の空間フレームに変換した後に、T2,kを適用してライブ超音波画像の空間フレームに変換することによる、T、T1,k及びT2,kの機能の組み合わせを示す)。
【0034】
(幾つかの実施形態では、ライブ超音波画像と共に表示される参照輪郭又は参照画像は、基準3D-US画像又は基準3D-US画像に描かれた輪郭であってもよいと考えられる。この場合、複合変換42はTを含まず、実際に、このような実施形態では、超音波以外のモダリティによって取得された3D計画画像がない)。
【0035】
図1を参照して上述した構造を用いて、USプローブ12の位置変更を考慮するために複合変換42を更新することは、プローブトラッカ28によって測定されたUSプローブ12の現在の向きに最も近いUSプローブ12の参照向きを決定することが必要である。複合変換42において、T1,kは、kを最も近い参照向きを有する参照3D-US画像のインデックスと同じに設定することにより更新される。この更新に続いてライブ画像を表示するために、T2,kは、更新されたkでインデックス付けされた参照3D-US画像をライブ超音波画像と空間的に位置合わせするように作成される。変換T(使用する場合)は、この更新によって変更されないため、変換Tを再計算する計算コストを有利に回避することができる。
【0036】
図2を参照して、このような更新の効果を示す。図2の左の画像は、輪郭が重ねられた前立腺の基準3D-US画像を示す。この例では、輪郭は、基準3D-US画像に描かれているが、3D-MRIといった3D計画画像に描かれ、変換Tを使用して基準3D-US画像の空間フレームに変換された輪郭であってもよい。図2の中央の画像は、図1の輪郭が変換T1,k及びT2,kによって2Dライブ超音波画像の空間フレームに変換された2Dライブ超音波画像を示す。しかし、図2に見られるように、輪郭と2Dライブ超音波画像内の前立腺の境界(図2の中央の画像に矢印で示す)とは大きくずれている。図2の右の画像は、更新された輪郭を有する同じ2Dライブ超音波画像を示す。これは、最も近い参照3D-US画像にkが更新された変換T1,kを使用するように複合変換を更新することにより更新される。図2はまた、変換T、T及びTの積を含む複合変換の実施に適した変換T、T及びTの連続適用も示す。
【0037】
なお、限定的な例では、USプローブ12の現在の向きに最も近い参照向きは、実際には、参照3D-US画像のどれかではなく、基準3D-US画像に対応する基準向きでありうることに留意されたい。この場合、変換Tを省略するか、又は、別の観点から、変換Tをユニティ変換に設定することができる。ユニティ変換Tを、基準3D-US画像に適用すると、修正のない同じ基準3D-US画像が出力される。
【0038】
基準向きは、外科的処置を行う際に最も一般的に使用される向きであるように選択されることが好適である。例えば前立腺生検の場合、基準向きは軸方向であることが好適である。追加の参照ボリューム(参照3D-US画像)が、基準3D-US画像と同じ関心領域で取得されるが、プローブの向きが異なり、異なる組織変形がもたらされ、これにより、画像の外観が異なる。参照ボリュームを基準ボリュームに位置合わせして、参照ボリューム内の画像ボクセルを基準ボリューム内の画像ボクセルにマッピングする。これはボリューム位置合わせであるため、位置合わせのために大量の画像情報を有利に使用することができ、これは、変形によってボリューム間に違いが生じるにも関わらず、変換{T1,ii=1,…,N54を正確かつロバストに決定することができる。
【0039】
引き続き図1を参照し、また、更に図3を参照して、非一時的記憶媒体32から読み取られた命令を実行して3D変換50を生成する電子プロセッサ30によって適切に行われるプロセスを説明する。プロセスは、3D計画画像60を受け取り、また、任意選択的に、3D計画画像60に描かれた1つ以上の特徴輪郭62も受け取る(このような輪郭がライブ超音波画像に重ねられるべき場合)。3D-US画像取得UI48によって行われる動作64において、基準3D-US画像66についてプローブトラッカ28によって測定されたUSプローブ12の対応する基準向きがタグ付けされた当該基準3D-US画像66が取得される。3D-US画像取得UI48により行われる動作68において、1つ以上の参照3D-US画像70(即ち、N個のそのような画像)が取得される。各参照3D-US画像は、当該参照3D-US画像についてプローブトラッカ28により測定されたUSプローブ12の対応する参照向きがタグ付けされる。(なお、動作64、68は様々な順序で行われてよい)。動作72において、クロスモダリティ画像位置合わせを適用して、計画画像60(したがって、計画画像62に描かれている場合は輪郭62)が基準3D-US画像66と位置合わせされる。これにより、変換T52が生成される。動作74において、同一モダリティ(超音波-超音波)画像位置合わせを適用して、基準3D-US画像66が、1つ以上の参照3D-US画像70の各参照3D-US画像と位置合わせされる。これにより、変換の集合{T1,ii=1,...,N54が生成される。
【0040】
引き続き図1を参照し、また、更に図4を参照して、非一時的記憶媒体32から読み取られた命令を実行して、トリガ制御部46の起動に反応して複合変換42の更新44を含むライブ超音波撮像を行う電子プロセッサ30によって適切に行われるプロセスを説明する。図4の例では、ライブ超音波画像は2Dライブ超音波画像であると想定される。動作80において、最初の2Dライブ超音波画像が取得され、USプローブ12の対応する向きがタグ付けされる。動作82において、2Dライブ超音波画像は、最も近い参照(又は基準)3D-US画像と空間的に位置合わせされて、変換T84が生成される。動作86において、2Dライブ超音波画像は、輪郭又は参照画像と共に表示される。その後、ステップ82、84、86、88を繰り返すことにより、時系列の2Dライブ画像が生成される。この時系列ライブ撮像が行われる際に、ユーザはUSプローブ12の位置を変更することを選択することがある。これにより、最初に選択された最も近い3D-US画像は、(例えば図2の中央の画像に示すように)もはや十分に正確でなくなる。ユーザは、この精度の低下を認識すると、更新トリガ46を起動することができる。これは、動作90において検出される。動作92において、プローブトラッカ28によって測定されるUSプローブ12の現在の向きが、参照向き及び基準向きと比較され、最も近い参照向き(ここでは、一般性を失うことなく、kでインデックス付けされる)が選択される。次に、フローは動作82に戻り、kでインデックス付けされた更新された最も近い参照3D-US画像を使用してライブ超音波撮像を続行する(つまり、2Dライブ超音波画像を、kでインデックス付けされた更新された最も近い参照3D-US画像と位置合わせすることにより、変換Tがインデックスkに更新され、変換TがT2,kに更新される)。
【0041】
図4には示さないが、任意選択的に、設定プロセス(図3)において取得されなかった追加の参照向きが必要な場合、ライブ超音波撮像の時系列生成(つまり、動作82、84、86、88の反復)が中断されて、図3の動作68、74に従って、追加の参照向きを有する1つ以上の追加の参照3D-US画像が取得され、基準3D-US画像と位置合わせされる。最初の変換の集合が{T1,ii=1,...,N54であるならば、追加の参照向きの新しい変換は、T1,N+1と適切に表すことができる。このような新しい参照3D-US画像の取得は、例えば動作92において、USプローブ12の最も近い参照向きがUSプローブ12の現在の向きと閾値量を超えて異なる場合にトリガされる。前述のように、USプローブ12が線形アレイの超音波トランスデューサしかない場合、新しい参照3D-US画像を取得するために超音波撮像デバイスを操作することには、USプローブ12を手動で操作して、新しい参照3D-US画像の取得中にUSプローブ12の指定の掃引を行うようにユーザに指示することが含まれる。
【0042】
例示する実施形態(例えば図1)では、変換更新44は、ユーザがトリガ制御部46を操作することによって手動でトリガされる。代替実施形態では、トリガ条件が検出されると変換更新44を自動的にトリガすることが考えられる。例えば動作82において、空間的に位置合わせされた画像の適合品質メトリックが、空間的位置合わせの精度が低いことを示す場合、更新がトリガされる。
【0043】
変換更新44の例示的な実施態様では、単一のライブ超音波画像が現在のライブ超音波画像として取得される。代替実施形態では、現在のライブ超音波画像は、時系列のライブ超音波画像のうちの、同じ現在の向きで取得された複数のライブ超音波画像を含む。したがって、例えば位置合わせ動作82において、複数のライブ超音波画像にわたって平均された最高精度で当該複数のライブ超音波画像を最適に位置合わせすることができる。このようなアプローチは、精度を向上させ、また、かなりのノイズ又は他の画像アーチファクトを有する異常値2Dライブ超音波画像によるスプリアス結果の可能性を低減することができる。
【0044】
本発明は、好適な実施形態を参照して説明した。前述の詳細な説明を読んで理解すると、他の人が修正態様及び変更態様を想到することができるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、このようなすべての修正態様及び変更態様を含むと解釈されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4