(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20221122BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20221122BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F28F3/00 311
F28D9/02
(21)【出願番号】P 2020017866
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山口 要
(72)【発明者】
【氏名】四方 智浩
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/216165(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/122428(WO,A1)
【文献】特開2017-015350(JP,A)
【文献】特開2001-059688(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224767(WO,A1)
【文献】特開2010-085094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/04
F28F 3/00
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面と該第一面に対して反対向きの第二面とをそれぞれ有し且つ前記第一面と直交する第一方向において前記第一面同士が対向するように重ね合わされる二つの伝熱プレートによって構成される伝熱プレート対を複数備え、
前記複数の伝熱プレート対が前記第一方向において前記第二面同士が対向するように重ね合わされた状態において、対向する第一面間のそれぞれに第一流体が前記第一方向と直交する第二方向に流通可能な第一流路が形成されると共に、対向する第二面間のそれぞれに第二流体が前記第二方向に流通可能な第二流路が形成され、
前記複数の伝熱プレート対に含まれる複数の伝熱プレートのそれぞれにおいて、
前記第一面は、前記第二方向に沿って延びる少なくとも一つの第一面側凸条及び前記第二方向に沿って延びる少なくとも一つの第一面側凹条を有し、
前記第二面は、前記第一面の前記第一面側凸条と表裏の関係にある少なくとも一つの第二面側凹条及び前記第一面の前記第一面側凹条と表裏の関係にある少なくとも一つの第二面側凸条を有し、
各伝熱プレート対では、前記対向する第一面のそれぞれにおいて前記第一面側凸条と前記第一面側凹条とが前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に交互に並ぶことで、対向する第一面側凸条によって構成される凸条対が前記第三方向に複数並び、
前記第三方向に並ぶ複数の凸条対のうちの少なくとも一つの凸条対である第一凸条対では、前記対向する第一面側凸条同士が前記第一方向に間隔をあけて対向し、前記複数の凸条対のうちの残りの凸条対である第二凸条対では、前記対向する第一面側凸条同士が互いに当接して
おり、
前記第一凸条対を構成する前記第一面側凸条は、該第一面側凸条を前記第三方向に横断する溝部を前記第二方向の途中位置に少なくとも一つ有する、プレート式熱交換器。
【請求項2】
第一面と該第一面に対して反対向きの第二面とをそれぞれ有し且つ前記第一面と直交する第一方向において前記第一面同士が対向するように重ね合わされる二つの伝熱プレートによって構成される伝熱プレート対を複数備え、
前記複数の伝熱プレート対が前記第一方向において前記第二面同士が対向するように重ね合わされた状態において、対向する第一面間のそれぞれに第一流体が前記第一方向と直交する第二方向に流通可能な第一流路が形成されると共に、対向する第二面間のそれぞれに第二流体が前記第二方向に流通可能な第二流路が形成され、
前記複数の伝熱プレート対に含まれる複数の伝熱プレートのそれぞれにおいて、
前記第一面は、前記第二方向に沿って延びる少なくとも一つの第一面側凸条及び前記第二方向に沿って延びる少なくとも一つの第一面側凹条を有し、
前記第二面は、前記第一面の前記第一面側凸条と表裏の関係にある少なくとも一つの第二面側凹条及び前記第一面の前記第一面側凹条と表裏の関係にある少なくとも一つの第二面側凸条を有し、
各伝熱プレート対では、前記対向する第一面のそれぞれにおいて前記第一面側凸条と前記第一面側凹条とが前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に交互に並ぶことで、対向する第一面側凸条によって構成される凸条対が前記第三方向に複数並び、
前記第三方向に並ぶ複数の凸条対のうちの少なくとも一つの凸条対である第一凸条対では、前記対向する第一面側凸条同士が前記第一方向に間隔をあけて対向し、前記複数の凸条対のうちの残りの凸条対である第二凸条対では、前記対向する第一面側凸条同士が互いに当接して
おり、
前記対向する第二面のうちの少なくとも片方の第二面は、前記第二方向と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条を有し、
前記障壁用凸条は、相手側の第二面の前記複数の第二面側凸条と当接している、プレート式熱交換器。
【請求項3】
前記対向する第二面のうちの一方の第二面の複数の第二面側凸条のそれぞれと、前記対向する第二面のうちの他方の第二面の複数の第二面側凸条のそれぞれとは、互いに接触しないように前記第三方向にずれた位置に配置されている、請求項1又は2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記一方の第二面の前記第二面側凸条が前記他方の第二面の前記第二面側凹条と対向すると共に前記一方の第二面の前記第二面側凹条が前記他方の第二面の前記第二面側凸条と対向する、請求項3に記載のプレート式熱交換器。
【請求項5】
前記少なくとも一つの障壁用凸条は、前記対向する第二面のそれぞれに配置され、
前記対向する第二面のうちの前記一方の第二面の前記少なくとも一つの障壁用凸条と、前記対向する第二面のうちの前記他方の第二面の前記少なくとも一つの障壁用凸条とは、前記第二方向において異なる位置に配置されている、請求項
2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項6】
前記対向する第二面のそれぞれにおいて、前記障壁用凸条の頂部と各第二面側凸条の頂部との前記第一方向の位置は、同じである、請求項
2又は
5に記載のプレート式熱交換器。
【請求項7】
前記第一凸条対を構成する前記第一面側凸条は、該第一面側凸条を前記第三方向に横断する溝部を前記第二方向の途中位置に少なくとも一つ有する、請求項
1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項8】
前記対向する第二面のうちの少なくとも片方の第二面は、前記第二方向と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条を有し、
前記障壁用凸条は、相手側の第二面の前記複数の第二面側凸条と当接している、請求項
2に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の伝熱プレートが重ね合わされたプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、
図20に示すような、複数の伝熱プレート501が重ね和されたプレート式熱交換器500が知られている(特許文献1参照)。具体的に、各伝熱プレート501では、一方の面の凹部と他方の面の凸部とが表裏の関係となり且つ一方の面の凸部と他方の面の凹部とが表裏の関係となるように、交互に繰り返される同じ大きさの凹部と凸部とが両面に配置されている。そして、この伝熱プレート501が重ね合わされることで、伝熱プレート501の重ね合わせ方向において、第一流体が流通可能な第一流路Raと第二流体が流通可能な第二流路Rbとが、各伝熱プレート501を介して交互に形成される。これら第一流路Raと第二流路Rbとの流路断面積は、同じである。
【0003】
このプレート式熱交換器500では、第一流体が第一流路Raを流れると共に第二流体が第二流路Rbを流れることで、第一流路Raと第二流路Rbとを隔てている伝熱プレート501を通じて第一流体と第二流体とが熱交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のプレート式熱交換器500において、一方の流体(第一流体)として、例えば、熱交換によって層変化する流体(第二流体と特性の異なる流体)が用いられる場合、第一流体が第二流体と熱交換することによって第一流路を規定する伝熱プレート501の面上に液膜が形成されるため、十分な熱交換性能を得るためには、第一流路Raでの第一流体の流速を第二流路Rbでの第二流体の流速に比べて大きくすることで前記液膜の流れを乱す必要がある。
【0006】
しかし、第一流路Raと第二流路Rbとの流路断面積が同じであるため、第一流体の流速を第二流体の流速に比べて十分に大きくし難く、即ち、第一流体と第二流体との流速の差が十分に生じず、これにより、上記のプレート式熱交換器500において十分な熱交換性能が得られなかった。
【0007】
そこで、本発明は、特性の異なる第一流体と第二流体とを熱交換させる場合にも十分な熱交換性能が得られるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプレート式熱交換器は、
第一面と該第一面に対して反対向きの第二面とをそれぞれ有し且つ前記第一面と直交する第一方向において前記第一面同士が対向するように重ね合わされる二つの伝熱プレートによって構成される伝熱プレート対を複数備え、
前記複数の伝熱プレート対が前記第一方向において前記第二面同士が対向するように重ね合わされた状態において、対向する第一面間のそれぞれに第一流体が前記第一方向と直交する第二方向に流通可能な第一流路が形成されると共に、対向する第二面間のそれぞれに第二流体が前記第二方向に流通可能な第二流路が形成され、
前記複数の伝熱プレート対に含まれる複数の伝熱プレートのそれぞれにおいて、
前記第一面は、前記第二方向に沿って延びる少なくとも一つの第一面側凸条及び前記第二方向に沿って延びる少なくとも一つの第一面側凹条を有し、
前記第二面は、前記第一面の前記第一面側凸条と表裏の関係にある少なくとも一つの第二面側凹条及び前記第一面の前記第一面側凹条と表裏の関係にある少なくとも一つの第二面側凸条を有し、
各伝熱プレート対では、前記対向する第一面のそれぞれにおいて前記第一面側凸条と前記第一面側凹条とが前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向に交互に並ぶことで、対向する第一面側凸条によって構成される凸条対が前記第三方向に複数並び、
前記第三方向に並ぶ複数の凸条対のうちの少なくとも一つの凸条対である第一凸条対では、前記対向する第一面側凸条同士が前記第一方向に間隔をあけて対向し、前記複数の凸条対のうちの残りの凸条対である第二凸条対では、前記対向する第一面側凸条同士が互いに当接している。
【0009】
このように、第一凸条対において第一面側凸条同士が間隔をあけて対向することで、該位置において対向する第一面側凸条同士が当接する場合に比べて第一流路を規定する伝熱プレート(第一面)の第一方向の間隔が大きくなるため第一流路の流路断面積が大きくなると共に、第一凸条対と対応する位置(即ち、第三方向の同じ位置)での第二流路を規定する伝熱プレート(第二面)の第一方向の間隔が小さくなるため、第二流路の流路断面積が小さくなり、これにより、第一流路と第二流路との流路断面積の差が大きくなる。このため、第一流路を流れる第一流体の流速と第二流路を流れる第二流体の流速の差を大きくし易くなり、その結果、特性の異なる第一流体と第二流体とを熱交換させる場合においても、十分な熱交換性能が得られる。
【0010】
前記プレート式熱交換器では、
前記第一凸条対を構成する前記第一面側凸条は、該第一面側凸条を前記第三方向に横断する溝部を前記第二方向の途中位置に少なくとも一つ有してもよい。
【0011】
このように、第一凸条対を構成する第一面側凸条にリブ状の部位(溝部)を設けることで、該部位の強度を向上させることができる。
【0012】
また、前記プレート式熱交換器において、
前記対向する第二面のうちの一方の第二面の複数の第二面側凸条のそれぞれと、前記対向する第二面のうちの他方の第二面の複数の第二面側凸条のそれぞれとは、互いに接触しないように前記第三方向にずれた位置に配置されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、対向する第二面において、対向する第二面側凸条同士が接触しないように互いに第三方向にずれているため、対向する第二面間に形成される第二流路を第二流体が第二方向に流れるときに第二流体の第三方向への移動も可能となり、これにより、第二流体の流れ(流量)における第三方向の偏りが抑えられ、その結果、前記偏りに起因する熱交換性能の低下を防ぐことができる。
【0014】
この場合、
前記一方の第二面の前記第二面側凸条が前記他方の第二面の前記第二面側凹条と対向すると共に前記一方の第二面の前記第二面側凹条が前記他方の第二面の前記第二面側凸条と対向することが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、第二方向から見て第二流路が蛇行するように第三方向に延び(
図13参照)、これにより、第三方向の各位置において、対向する第二面同士の間隔(第一方向の間隔)が一定又は略一定となるため、第二流体の流れにおける第三方向の偏りがより抑えられ、これにより、前記偏りに起因する熱交換性能の低下をより確実に防ぐことができる。
【0016】
また、前記プレート式熱交換器では、
前記対向する第二面のうちの少なくとも片方の第二面は、前記第二方向と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条を有し、
前記障壁用凸条は、相手側の第二面の前記複数の第二面側凸条と当接してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、第二流体が第二流路、詳しくは、第二面側凹条に沿って流れるときに障壁用凸条に衝突して第二流体の流れに乱れ(乱流等)が生じるため、熱交換性能が向上する。
【0018】
この場合、
前記少なくとも一つの障壁用凸条は、前記対向する第二面のそれぞれに配置され、
前記対向する第二面のうちの前記一方の第二面の前記少なくとも一つの障壁用凸条と、前記対向する第二面のうちの前記他方の第二面の前記少なくとも一つの障壁用凸条とは、前記第二方向において異なる位置に配置されることが好ましい。
【0019】
対向する第二面のそれぞれの障壁用凸条が第二方向の同じ位置に配置されると、この位置における第二流路の流路幅(第一方向の寸法)が小さく又は無くなって第二流路の流通抵抗が大きくなり過ぎる。しかし、上記構成のように、一方の第二面の障壁用凸条と他方の第二面の障壁用凸条との第二方向の位置を異ならせることで各位置での流路幅を確保して第二流路の流通抵抗が大きくなり過ぎることを防ぎつつ、一方の第二面と他方の第二面とのそれぞれに設けられた障壁用凸条のそれぞれに第二流体が衝突することで第二流路における第二流体の流れに十分な乱れを生じさせることができる。
【0020】
さらに、
前記対向する第二面のそれぞれにおいて、前記障壁用凸条の頂部と各第二面側凸条の頂部との前記第一方向の位置は、同じであることがより好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、第二流路において第二方向に連通した領域、即ち、第二流体が第二方向に流れるときに、伝熱プレートに衝突せずに通過できる領域が生じないため(
図13参照)、第二流体の流れの偏りの発生を防ぐことができ、これにより、前記流れの偏りに起因する熱交換性能の低下を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上より、本発明によれば、特性の異なる第一流体と第二流体とを熱交換させる場合にも十分な熱交換性能が得られるプレート式熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るプレート式熱交換器の斜視図である。
【
図2】
図2は、前記プレート式熱交換機の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、前記プレート式熱交換器が備える第一伝熱プレートを第一面側から見た図である。
【
図4】
図4は、前記第一伝熱プレートを第二面側から見た図である。
【
図5】
図5は、前記プレート式熱交換器が備える第二伝熱プレートを第一面側から見た図である。
【
図6】
図6は、前記第二伝熱プレートを第二面側から見た図である。
【
図7】
図7は、
図3においてVIIで示す囲まれた部位の拡大図である。
【
図8】
図8は、
図4においてVIIIで示す囲まれた部位の拡大図である。
【
図9】
図9は、
図7におけるIX-IX位置での断面図である。
【
図13】
図13は、複数の伝熱プレートが重ね合わされた状態の横断面における一部拡大図である。
【
図15】
図15は、前記プレート式熱交換器の流路構成を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第一流路内での第一流体の流れを示す図である。
【
図17】
図17は、第二流路内での第二流体の流れを示す図である。
【
図18】
図18は、他実施形態に係る伝熱プレートにおける主伝熱部の一部拡大図である。
【
図20】
図20は、従来のプレート式熱交換器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図17を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係るプレート式熱交換器(以下、単に「熱交換器」とも称する。)は、
図1及び
図2に示すように、所定の方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート2、3を備える。また、熱交換器1は、複数の伝熱プレート2、3を前記所定の方向の外側から挟み込む一対のフレームプレート(端部プレート)4を備える。これら複数の伝熱プレート2、3における各伝熱プレート2、3間に、流体A、Bの流通可能な流路Ra、Rbが形成されている。具体的な構成は、以下の通りである。
【0026】
本実施形態の熱交換器1は、三つ以上の矩形状の伝熱プレート2、3を備え、これら三つ以上の伝熱プレート2、3は、二種類の伝熱プレートを含む。以下の説明では、二種類の伝熱プレート2、3のうちの一方の伝熱プレートを第一伝熱プレート2とも称し、二種類の伝熱プレート2、3のうちの他方の伝熱プレートを第二伝熱プレート3とも称する。また、伝熱プレート2、3が重ね合わされる方向(所定の方向)を直交座標系のX軸方向(第一方向)とし、伝熱プレート2、3の短辺方向を直交座標系のY軸方向(第三方向)とし、伝熱プレート2、3の長辺方向を直交座標系のZ軸方向(第二方向)とする。
【0027】
これら二種類の伝熱プレート、即ち、第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3とは、共通する構成を有する。このため、以下では、先ず、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の共通する構成について説明する。
【0028】
伝熱プレート2、3は、
図2~
図6に示すように、第一面Sa1、Sb1と該第一面Sa1、Sb1に対して反対向きの第二面Sa2、Sb2とを有する伝熱部20、30と、伝熱部20、30の外周縁の全域から該伝熱部20、30と面交差する方向に延出する環状の嵌合部21、31と、を備える。本実施形態の伝熱プレート2、3は、金属プレート(薄板)がプレス成型されることによって形成されている。
【0029】
伝熱部20、30は、X軸方向と直交する方向に広がり、X軸方向に厚みを有する。このため、X軸方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート2、3の各伝熱部20、30における第一面Sa1、Sb1及び第二面Sa2、Sb2は、X軸方向に並ぶ。本実施形態の伝熱部20、30は、X軸方向から見てZ軸方向に長尺な矩形状である(
図3~
図6参照)。
【0030】
また、伝熱部20、30は、凹部22、32及び凸部23、33を有する。本実施形態の伝熱部20、30は、第一面Sa1、Sb1及び第二面Sa2、Sb2のそれぞれに、複数の凹部22、32及び複数の凸部23、33を有する。
【0031】
本実施形態の伝熱プレート2、3は、上述のように、金属プレートがプレス成型されることによって形成されている。このため、伝熱部20、30の第一面Sa1、Sb1の凹部22、32と、伝熱部20、30の第二面Sa2、Sb2の凸部23、33とは、表裏の関係にある。また、伝熱部20、30の第一面Sa1、Sb1の凸部23、33と、伝熱部20、30の第二面Sa2、Sb2の凹部22、32とは、表裏の関係にある。即ち、伝熱部20、30において、第一面Sa1、Sb1で凹部22、32を構成する部位が第二面Sa2、Sb2で凸部23、33を構成し、第一面Sa1、Sb1で凸部23、33を構成する部位が第二面Sa2、Sb2で凹部22、32を構成する。
【0032】
具体的に、伝熱部20、30は、Z軸方向の中央に配置される主伝熱部25、35と、開口200、201、202、203、300、301、302、303を有する開口周縁部200p、201p、202p、203p、300p、301p、302p、303pと、主伝熱部25、35と開口周縁部200p、201p、202p、203p、300p、301p、302p、303pとの間に配置される堰部26、36と、を有する。
【0033】
本実施形態の伝熱部20、30は、Z軸方向の一端部及び他端部のそれぞれに少なくとも二つの開口200、201、202、203、300、301、302、303を有する。より具体的に、伝熱部20、30は、Z軸方向の一端部に二つの開口200、203、300、303を有し、Z軸方向の他端部に二つの開口201、202、301、302を有する。
【0034】
これら伝熱部20、30の一端部にある二つの開口200、203、300、303は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。また、伝熱部20、30の他端部にある二つの開口201、202、301、302は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0035】
伝熱部20、30の一端部における一方の開口200、300の開口周縁部200p、300p、及び伝熱部20、30の他端部における一方の開口201、301の開口周縁部201p、301pは、第一面Sa1、Sb1側から見て窪んでいる。一方、開口周縁部200p、201p、300p、301pは、第二面Sa2、Sb2側から見て膨出している。
【0036】
これら第二面Sa2、Sb2側から見て膨出した各開口周縁部200p、201p、300p、301pのX軸方向の変位量(X軸方向の位置)は、隣り合う伝熱プレート2、3の開口周縁部200p、201p、300p、301pと当接するように設定されている。
【0037】
これに対し、伝熱部20、30の一端部における他方の開口203、303の開口周縁部203p、303p、及び伝熱部20、30の他端部における他方の開口202、302の開口周縁部202p、302pは、第一面Sa1、Sb1側から見て膨出している。一方、開口周縁部202p、203p、302p、303pは、第二面Sa2、Sb2側から見て窪んでいる。
【0038】
これら第一面Sa1、Sb1側から見て膨出した各開口周縁部202p、203p、302p、303pのX軸方向の変位量(X軸方向の位置)は、隣り合う伝熱プレート2、3の開口周縁部202p、203p、302p、303pと当接するように設定されている。尚、
図3~
図6において、第一面Sa1、Sb1及び第二面Sa2、Sb2のそれぞれにおける凹凸関係を明確にすべく、窪んでいる開口周縁部200p、201p、202p、203p、300p、301p、302p、303p、及び堰部26、36において窪んでいる部位(後述する第一面側凹部225、325及び第二面側凹部226、326)の底部(最も窪んでいる部位)にドットを付している。
【0039】
本実施形態の伝熱部20、30において、Z軸方向の一端部にある一方の開口200、300と、Z軸方向の他端部にある一方の開口201、301とは、対角位置にある。また、Z軸方向の一端部にある他方の開口203、303と、Z軸方向の他端部にある他方の開口202、302とは、対角位置にある。
【0040】
主伝熱部25、35は、X軸方向から見て矩形状の部位である。この主伝熱部25、35は、
図3、
図5、
図7、
図9、
図10、及び
図12に示すように、第一面Sa1、Sb1に、Z軸方向に沿って延びる少なくとも一つの第一流路形成用凹条(第一面側凹条)221、321と、Z軸方向に沿って延びる少なくとも一つの第一流路形成用凸条(第一面側凸条)231、331と、Z軸方向と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁裏側凹条223、323と、を有する。本実施形態の主伝熱部25、35は、第一面Sa1、Sb1に、複数の第一流路形成用凹条221、321と、複数の第一流路形成用凸条231、331と、複数の障壁裏側凹条223、323と、を有する。これら複数の第一流路形成用凹条221、321及び複数の障壁裏側凹条223、323は、上述の伝熱部20、30の複数の凹部22、32に含まれる。また、複数の第一流路形成用凸条231、331は、上述の伝熱部20、30の複数の凸部23、33に含まれる。
【0041】
尚、
図7及び
図10において、第一面Sa1、Sb1における凹凸関係を明確にすべく、窪んでいる第一流路形成用凹条221、321及び障壁裏側凹条223、323の底部(最も窪んでいる部位)にドットを付している。
【0042】
複数の障壁裏側凹条223、323それぞれは、主伝熱部25、35におけるY軸方向の一端から他端まで連続して延びている。本実施形態の複数の障壁裏側凹条223、323のそれぞれは、Y軸方向に真っ直ぐに延びている。
【0043】
これら複数の障壁裏側凹条223、323は、Z軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の複数の障壁裏側凹条223、323は、Z軸方向の一端(
図3及び
図5における上端)に配置された障壁裏側凹条223A、323Aを除き、Z軸方向に等間隔に配置されている。この一端に配置された障壁裏側凹条223A、323Aと、該障壁裏側凹条223A、323AとZ軸方向に隣り合う障壁裏側凹条223、323との間隔は、他の位置でZ軸方向に隣り合う障壁裏側凹条223、323同士の間隔の半分又は略半分である。
【0044】
このように配置される複数の障壁裏側凹条223、323は、第一面Sa1、Sb1側において、主伝熱部25、35を、Z軸方向に並ぶ複数の領域(第一面側分割領域)D1に区画する。本実施形態の障壁裏側凹条223、323は、例えば、六つであり、主伝熱部25、35を七つの第一面側分割領域D1に区画する。
【0045】
複数の第一面側分割領域D1のそれぞれでは、複数の第一流路形成用凹条221、321が、それぞれZ軸方向に延び且つY軸方向に間隔をあけて配置され、複数の第一流路形成用凸条231、331のそれぞれが、Y軸方向に隣り合う第一流路形成用凹条221、321間においてZ軸方向に延びている。即ち、各第一面側分割領域D1において、第一流路形成用凹条221、321と第一流路形成用凸条231、331とがY軸方向に交互に並んでいる。
【0046】
これら複数の第一流路形成用凹条221、321と複数の第一流路形成用凸条231、331とのそれぞれは、第一面側分割領域D1におけるZ軸方向の一端から他端まで延びている。このため、各第一流路形成用凹条221、321における障壁裏側凹条223、323側の端は、該障壁裏側凹条223、323に繋がっている。
【0047】
また、第一面側分割領域D1において、各第一流路形成用凹条221、321の深さと、障壁裏側凹条223、323の深さとは、同じである。即ち、各第一流路形成用凹条221、321の底部のX軸方向における位置と、障壁裏側凹条223、323の底部のX軸方向における位置とは、同じである。
【0048】
本実施形態の各第一面側分割領域D1では、第一流路形成用凹条221、321のY軸方向の中央位置と、第一流路形成用凸条231、331のY軸方向の中央位置とが等間隔(同じピッチ)となるように、第一流路形成用凹条221、321と第一流路形成用凸条231、331とがY軸方向に交互に配置されている(
図7、
図9、
図10、及び
図12参照)。そして、これら交互に並ぶ第一流路形成用凹条221、321と第一流路形成用凸条231、331とによって構成される凹凸群のY軸方向の中央に位置する第一流路形成用凸条231、331のY軸方向の中央位置が、伝熱部20、30のY軸方向の中央位置においてZ軸方向に延びる縦中心線CLに対してY軸方向に1/2ピッチずれるように、前記凹凸群が配置されている(
図3及び
図5参照)。尚、前記の1ピッチは、隣り合う第一流路形成用凹条221、321と第一流路形成用凸条231、331との前記中央位置同士の間隔である(
図9及び
図12の符号P参照)。
【0049】
また、各第一面側分割領域D1に配置される複数の第一流路形成用凸条231、331は、頂部のX軸方向における位置(高さ)の異なる二種類の第一流路形成用凸条、具体的には、第一の第一流路形成用凸条(以下、「第一凸条」と称する。)231A、331Aと、第一凸条231A、331Aより高い第二の第一流路形成用凸条(以下、「第二凸条」と称する。)231B、331Bと、を含む。
【0050】
各第一面側分割領域D1において、第二凸条231B、331Bは、第一凸条231A、331Aに対して一つ置きに配置されている。即ち、Y軸方向に隣り合う第二凸条231B、331Bの間のそれぞれに、第一凸条231A、331Aが一つずつ配置されている。
【0051】
本実施形態の主伝熱部25、35において、各第一面側分割領域D1の構成は同じである。このため、各第一面側分割領域D1の第一凸条231A、331AがZ軸方向に真っ直ぐに並び(即ち、同一直線上に並び)、各第一面側分割領域D1の第二凸条231B、331BがZ軸方向に真っ直ぐに並び、各第一面側分割領域D1の第一流路形成用凹条221、321がZ軸方向に真っ直ぐに並ぶ。
【0052】
また、この主伝熱部25、35は、
図4、
図6、
図8、
図9、
図11、及び
図12に示すように、第二面Sa2、Sb2において、第一面Sa1、Sb1の第一流路形成用凸条231、331の裏側に形成される第二流路形成用凹条(第二面側凹条)222、322と、第一面Sa1、Sb1の第一流路形成用凹条221、321の裏側に形成される第二流路形成用凸条(第二面側凸条)232、332と、を有する。また、主伝熱部25、35は、第二面Sa2、Sb2において、第一面Sa1、Sb1の障壁裏側凹条223、323の裏側に形成される障壁用凸条233、333を有する。即ち、主伝熱部25、35は、第二面Sa2、Sb2に、Z軸方向に沿って延びる少なくとも一つの第二流路形成用凹条222、322と、Z軸方向に沿って延びる少なくとも一つの第二流路形成用凸条232、332と、を有する。また、主伝熱部25、35は、第二面Sa2、Sb2に、Z軸方向と交差する方向に延びる少なくとも一つの障壁用凸条233、333を有する。本実施形態の主伝熱部25、35は、第二面Sa2、Sb2に、複数の第二流路形成用凹条222、322と、複数の第二流路形成用凸条232、332と、複数の障壁用凸条233、333と、を有する。これら複数の第二流路形成用凹条222、322は、上述の伝熱部20、30の複数の凹部22、32に含まれる。また、複数の第二流路形成用凸条232、332及び複数の障壁用凸条233、333は、上述の伝熱部20、30の複数の凸部23、33に含まれる。
【0053】
尚、
図8及び
図11において、第一面Sa1、Sb1における凹凸関係を明確にすべく、窪んでいる第一流路形成用凹条221、321及び障壁裏側凹条223、323の底部(最も窪んでいる部位)にドットを付している。
【0054】
複数の障壁用凸条233、333それぞれは、主伝熱部25、35におけるY軸方向の一端から他端まで連続して延びている。本実施形態の複数の障壁用凸条233、333のそれぞれは、Y軸方向に真っ直ぐに延びている。
【0055】
これら複数の障壁用凸条233、333は、Z軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の複数の障壁用凸条233、333は、Z軸方向の一端(
図4及び
図6における上端)に配置された障壁用凸条233A、333Aを除き、Z軸方向に等間隔に配置されている。この一端に配置された障壁用凸条233A、333Aと、該障壁用凸条233A、333Aに対してZ軸方向に隣り合う障壁用凸条233、333との間隔は、他の位置でZ軸方向に隣り合う障壁用凸条233、333同士の間隔の半分又は略半分である。
【0056】
このように配置される複数の障壁用凸条233、333は、第二面Sa2、Sb2側において、主伝熱部25、35を、Z軸方向に並ぶ複数の領域(第二面側分割領域)D2に区画する。本実施形態の障壁用凸条233、333は、例えば、六つ配置され、主伝熱部25、35を七つの第二面側分割領域D2に区画する。本実施形態の各第二面側分割領域D2は、第一面Sa1、Sb1の複数の第一面側分割領域D1における対応する第一面側分割領域D1の裏側に形成されている。
【0057】
複数の第二面側分割領域D2のそれぞれでは、複数の第二流路形成用凹条222、322が、それぞれZ軸方向に延び且つY軸方向に間隔をあけて配置され、複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれが、Y軸方向に隣り合う第二流路形成用凹条222、322間においてZ軸方向に延びている。即ち、各第二面側分割領域D2において、第二流路形成用凹条222、322と第二流路形成用凸条232、332とがY軸方向に交互に並んでいる。
【0058】
これら複数の第二流路形成用凹条222、322と複数の第二流路形成用凸条232、332とのそれぞれは、第二面側分割領域D2におけるZ軸方向の一端から他端まで延びている。このため、各第二流路形成用凸条232、332における障壁用凸条233、333側の端は、該障壁用凸条233、333に繋がっている。
【0059】
また、第二面側分割領域D2において、各第二流路形成用凸条232、332の高さと、障壁用凸条233、333の高さとは、同じである。即ち、各第二流路形成用凸条232、332の頂部のX軸方向における位置と、障壁用凸条233、333の頂部のX軸方向における位置とは、同じである。
【0060】
本実施形態の各第二面側分割領域D2では、第二流路形成用凹条222、322のY軸方向の中央位置と、第二流路形成用凸条232、332のY軸方向の中央位置とが等間隔(同じピッチ)となるように、第二流路形成用凹条222、322と第二流路形成用凸条232、332とがY軸方向に交互に配置されている(
図8、
図9、
図11、及び
図12参照)。そして、これら交互に並ぶ第二流路形成用凹条222、322と第二流路形成用凸条232、332によって構成される凹凸群のY軸方向の中央に位置する第二流路形成用凹条222、322のY軸方向の中央位置が、伝熱部20、30の縦中心線CLに対してY軸方向に1/2ピッチずれるように、前記凹凸群が配置されている(
図4及び
図6参照)。尚、前記の1ピッチは、隣り合う第二流路形成用凹条222、322と第二流路形成用凸条232、332との前記中央位置同士の間隔である(
図9及び
図12の符号P参照)。
【0061】
また、各第二面側分割領域D2に配置される複数の第二流路形成用凹条222、322は、底部のX軸方向における位置(深さ)の異なる二種類の第二流路形成用凹条、具体的には、第一の第二流路形成用凹条(以下、「第一凹条」と称する。)222A、322Aと、第一凹条222A、322Aより深い第二の第二流路形成用凹条(以下、「第二凹条」と称する。)222B、322Bと、を含む。この第一凹条222A、322Aは、第一面Sa1、Sb1の第一凸条231A、331Aの裏側に形成され、第二凹条222B、322Bは、第一面Sa1、Sb1の第二凸条231B、331Bの裏側に形成されている。
【0062】
各第二面側分割領域D2において、第二凹条222B、322Bは、第一凹条222A、322Aに対して一つ置きに配置されている。即ち、Y軸方向に隣り合う第二凹条222B、322Bの間のそれぞれに、第一凹条222A、322Aが一つずつ配置されている。
【0063】
本実施形態の主伝熱部25、35において、各第二面側分割領域D2の構成は同じである。このため、各第二面側分割領域D2の第一凹条222A、322AがZ軸方向に真っ直ぐに並び(即ち、同一直線上に並び)、各第二面側分割領域D2の第二凹条222B、322BがZ軸方向に真っ直ぐに並び、各第二面側分割領域D2の第二流路形成用凸条232、332がZ軸方向に真っ直ぐに並ぶ。
【0064】
堰部26、36は、
図3~
図6に示すように、伝熱部20、30において、Z軸方向における主伝熱部25、35の一方側と他方側とにそれぞれ配置されている。即ち、伝熱部20、30は、一対の堰部26、36を有する。本実施形態の各堰部26、36は、主伝熱部25、35との境界を底辺とし、伝熱部20、30におけるZ軸方向の一端部又は他端部に配置される二つの開口200、201、202、203、300、301、302、303の中間位置を頂点とする三角状の部位である。
【0065】
これら一対の堰部26、36のそれぞれは、第一面Sa1、Sb1又は第二面Sa2、Sb2に沿って開口200、201、202、203、300、301、302、303から主伝熱部25、35に向かう流体A、Bの流れをY軸方向に拡散させ、又は、第一面Sa1、Sb1又は第二面Sa2、Sb2に沿って主伝熱部25、35から開口200、201、202、203、300、301、302、303に向かう流体A、Bの流れをY軸方向に集束させる部位である(
図16及び
図17参照)。
【0066】
具体的に、各堰部26、36は、第一面Sa1、Sb1に、複数の第一面側凹部225、325と、複数の第一面側凸部235、335とを有する。これら第一面側凹部225、325と第一面側凸部235、335とは、Z軸方向に対して一方側に傾斜する方向と他方側に傾斜する方向との各方向において交互に配置されている。これら複数の第一面側凹部225、325は、上述の伝熱部20、30の複数の凹部22、32に含まれ、複数の第一面側凸部235、335は、上述の伝熱部20、30の複数の凸部23、33に含まれる。
【0067】
また、各堰部26、36は、第二面Sa2、Sb2に、複数の第二面側凹部226、326と、複数の第二面側凸部236、336とを有する。これら複数の第二面側凹部226、326と複数の第二面側凸部236、336とのそれぞれは、第一面Sa1、Sb1において対応する位置の第一面側凹部225、325又は第一面側凸部235、335の裏側に形成されている。具体的に、第二面側凹部226、326と第二面側凸部236、336とは、Z軸方向に対して一方側に傾斜する方向と他方側に傾斜する方向との各方向において交互に配置されている。これら複数の第二面側凹部226、326は、上述の伝熱部20、30の複数の凹部22、32に含まれ、複数の第二面側凸部236、336は、上述の伝熱部20、30の複数の凸部23、33に含まれる。
【0068】
第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、いずれも以上のように構成される伝熱部20、30を有する。
【0069】
続いて、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の異なる構成について説明する。
【0070】
第一伝熱プレート2の嵌合部21は、伝熱部20の外周縁から第一面Sa1側に延出する(
図2及び
図3参照)。これに対し、第二伝熱プレート3の嵌合部31は、伝熱部30の外周縁から第二面Sb2側に延出する(
図2及び
図6参照)。
【0071】
以上のように構成される第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3とは、
図2に示すように、互いの第一面Sa1、Sb1同士を対向させ、又は、互いの第二面Sa2、Sb2同士を対向させるようにX軸方向に交互に重ね合わされる。即ち、複数の伝熱プレート2、3のそれぞれは、伝熱部20、30の第一面Sa1、Sb1を、X軸方向の一方側において隣り合う伝熱プレート2、3の伝熱部20、30の第一面Sa1、Sb1と対向させると共に、伝熱部20、30の第二面Sa2、Sb2を、X軸方向の他方側において隣り合う伝熱プレート2、3の伝熱部20、30の第二面Sa2、Sb2と対向させる。
【0072】
このとき、重ね合わされた複数の伝熱プレート2、3では、X軸方向に隣り合う伝熱プレート2、3のうちの一方の伝熱プレート2、3の嵌合部21、31が、X軸方向に隣り合う伝熱プレート2、3のうちの他方の伝熱プレート2、3の嵌合部21、31と嵌合している。
【0073】
具体的に、X軸方向に並ぶ複数の伝熱プレート2、3において、第一面Sa1、Sb1同士が対向するように隣り合う二つの伝熱プレート(第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3)が重ね合わされることで伝熱プレート対5が構成され、この伝熱プレート対5は、複数形成されている(
図2参照)。これら複数の伝熱プレート対5は、第二面Sa2、Sb2同士が対向するように重ね合わされている。この重ね合わせにおいて、複数の伝熱プレート対5は、一つ置きにX軸方向に延びる仮想線周りに180°回転した状態で重ね合わされている。
【0074】
これら各伝熱プレート対5では、対向する第一面Sa1、Sb1の対応する(具体的には、Z軸方向における同じ位置の)第一面側分割領域D1同士が対向する。そして、この対向する第一面側分割領域D1(第一面Sa1、Sb1)のそれぞれにおいて第一流路形成用凹条221、321と第一流路形成用凸条231、331とがY軸方向に交互に並ぶことで、
図13に示すように、対向する第一流路形成用凸条231、331によって構成される凸条対6がY軸方向に複数並ぶ。
【0075】
このY軸方向に並ぶ複数の凸条対6では、少なくとも一つの凸条対(第一凸条対)6Aでは、対向する第一凸条231A、331A同士がX軸方向に間隔をあけて対向し、残りの凸条対(第二凸条対)6Bでは、対向する第二凸条231B、331Bが互いに当接している。本実施形態の伝熱プレート対5では、第一凸条対6Aと第二凸条対6Bとは、Y軸方向に交互に配置されている。
【0076】
また、各伝熱プレート対5において、対向する第一面Sa1、Sb1の複数の障壁裏側凹条223、323のそれぞれが対向している。これにより、
図14に示すように、第一面Sa1、Sb1間の障壁裏側凹条223、323と対応する位置に、Y軸方向に沿って伝熱部20、30の一端から他端まで延びる柱状の空間S1が形成されている。
【0077】
また、隣り合う伝熱プレート対5では、上述のように、一方の伝熱プレート対5が他方の伝熱プレート対5に対してX軸方向に延びる仮想線周りに180°回転した状態で隣り合っている。そして、第二面Sa2、Sb2において、Z軸方向の一端にある第二面側分割領域D2のZ軸方向の寸法は、他の第二面側分割領域D2のZ軸方向の寸法の半分又は略半分である。このため、対向する第二面Sa2、Sb2の第二面側分割領域D2同士は、Z軸方向にずれた状態で対向している。
【0078】
本実施形態の隣り合う伝熱プレート対5において、一方の伝熱プレート対5の第二面Sa2、Sb2の第二面側分割領域D2と、他方の伝熱プレート対5の第二面Sa2、Sb2の第二面側分割領域D2とは、Z軸方向に半ピッチ(他よりZ軸方向の間隔の小さな障壁用凸条233、333間の間隔に相当する距離)ずれた状態で対向している。即ち、対向する第二面Sa2、Sb2のうちの一方の第二面Sa2、Sb2の各障壁用凸条233、333と、他方の第二面Sa2、Sb2の各障壁用凸条233、333とは、Z軸方向において異なる位置に配置されている。本実施形態の例では、一方の第二面Sa2、Sb2の各障壁用凸条233、333と、他方の第二面Sa2、Sb2の各障壁用凸条233、333とは、Z軸方向において半ピッチずつずれた位置に配置されている。
【0079】
このとき、一方の第二面Sa2、Sb2の各障壁用凸条233、333が、他方の第二面Sa2、Sb2においてY軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれと当接すると共に、他方の第二面Sa2、Sb2の各障壁用凸条233、333が、一方の第二面Sa2、Sb2においてY軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれと当接する。これにより、
図13に示すように、第二面Sa2、Sb2間に形成される第二流路Rbにおいて、Y軸方向における伝熱部20、30の一端から他端までZ軸方向に真っ直ぐに流れることができる領域がなくなる。即ち、第二流体Bが、伝熱部20、30のZ軸方向における一端から他端まで流れる間に、対向する第二面Sa2、Sb2のうちのいずれかの第二面Sa2、Sb2の障壁用凸条233、333とぶつかる。
【0080】
また、対向する第二面Sa2、Sb2のZ軸方向における障壁用凸条233、333の無い位置においては、一方の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれと、他方の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれとは、互いの接触しないようにY軸方向にずれた位置に配置されている。
【0081】
本実施形態の伝熱部20、30では、第二流路形成用凹条222、322のY軸方向の中心と、該第二流路形成用凹条222、322と隣り合う第二流路形成用凸条232、332のY軸方向の中心との距離を1ピッチとしたときに、各第二面側分割領域D2における第二流路形成用凹条222、322と第二流路形成用凸条232、332との配置が、縦中心線CLを対称軸にした線対称な配置に対して1/2ピッチずれている(
図4及び
図6参照)。このため、一方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凸条232、332と他方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凹条222、322とが対向すると共に一方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凹条222、322と他方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凸条232、332とが対向するように、対向する第二面のそれぞれの第二流路形成用凹条222、322と第二流路形成用凸条232、332とが配置されている。即ち、対向する第二面Sa2、Sb2は、各第二面側分割領域D2における第二流路形成用凹条222、322及び第二流路形成用凸条232、332の配置がそれぞれ1ピッチずれた状態で対向している。
【0082】
以上のように複数の伝熱プレート2、3が重ね合わされて伝熱プレート群が構成されることで、第一面Sa1、Sb1間のそれぞれに第一流体AがZ軸方向に流通可能な第一流路Raが形成されると共に、第二面Sa2、Sb2間のそれぞれに第二流体BがZ軸方向に流通可能な第二流路Rbが形成される。
【0083】
また、この伝熱プレート群においては、伝熱部20、30の対応する位置にある開口200、201、202、203、300、301、302、303がX軸方向に連なる。また、互いに対向し且つ相手方に向けて膨出する開口周縁部200p、201p、202p、203p、300p、301p、302p、303p同士が当接する。これにより、第一流路Raに第一流体Aを供給する第一流入路Pa1と、第一流路Raから第一流体Aを流出させる第一流出路Pa2と、第二流路Rbに第二流体Bを供給する第二流入路Pb1と、第二流路Rbから第二流体Bを流出させる第二流出路Pb2とが形成される(
図2及び
図15参照)。
【0084】
一対のフレームプレート4のそれぞれは、伝熱プレート2、3より厚く、熱交換器1の強度を確保している。
【0085】
具体的に、一対のフレームプレート4のうちの一方のフレームプレート4Aは、
図1及び
図2に示すように、X軸方向と直交する方向に広がる厚板状のプレート本体41Aと、プレート本体41Aの外周縁の全域から該プレート本体41Aと面交差する方向に延出するフレーム嵌合部42Aと、プレート本体41Aから延びる複数のノズル43と、を備える。
【0086】
プレート本体41Aは、伝熱プレート2、3の伝熱部20、30と対応する形状であり、本実施形態のプレート本体41Aは、Z軸方向に長尺な矩形状である。
【0087】
このプレート本体41Aは、X軸方向から見て、第一流入路Pa1、第一流出路Pa2、第二流入路Pb1、第二流出路Pb2のそれぞれと重なる位置に、Z軸方向に貫通する貫通孔を有する。即ち、本実施形態のプレート本体41Aは、四隅に貫通孔を有する。
【0088】
フレーム嵌合部42Aは、プレート本体41Aの外周縁から伝熱プレート2、3側に延出する。
【0089】
複数のノズル43のそれぞれは、筒状の部位であり、プレート本体41Aの各貫通孔と対応する位置からX軸方向に延びている。各ノズル43の中空部は、プレート本体41Aの貫通孔と連通している。これにより、各ノズル43の中空部は、第一流入路Pa1、第一流出路Pa2、第二流入路Pb1、又は第二流出路Pb2と連通している。
【0090】
一対のフレームプレート4のうちの他方のフレームプレート4Bは、X軸方向と直交する方向に広がる厚板状のプレート本体41Bと、プレート本体41Bの外周縁の全域から該プレート本体41Bと面交差する方向に延出するフレーム嵌合部42Bと、を備える。
【0091】
プレート本体41Bは、伝熱プレート2、3の伝熱部20、30と対応する形状であり、本実施形態のプレート本体41Bは、Z軸方向に長尺な矩形状である。
【0092】
フレーム嵌合部42Bは、プレート本体41Bの外周縁から伝熱プレート2、3と反対側、即ち、伝熱プレート2、3から離れる側に延出する。
【0093】
以上のように構成される一対のフレームプレート4A、4Bは、伝熱プレート群をX軸方向の外側から挟み込む。
【0094】
このとき、一方のフレームプレート4Aのフレーム嵌合部42Aは、X軸方向に隣接する伝熱プレート2の嵌合部21に外嵌する。一方、他方のフレームプレート4Bのフレーム嵌合部42Bは、X軸方向に隣接する伝熱プレート3の嵌合部31に外嵌される。
【0095】
本実施形態の熱交換器1において、隣り合うフレームプレート4と伝熱プレート2、3との当接した部分同士、及び、隣り合う伝熱プレート2、3の当接した部分同士は、ロウ付けされている。これにより、複数の伝熱プレート2、3及び一対のフレームプレート4が一体的(機械的)に接続されるとともに、隣り合う伝熱プレート2、3の対向面間(当接部分)が封止される。
【0096】
以上のように構成される熱交換器1において、外部から第一流入路Pa1に供給された第一流体Aは、
図2及び
図15に示すように、第一流入路Pa1から複数の第一流路Raのそれぞれに流入する。そして、第一流体Aは、複数の第一流路Raのそれぞれにおいて伝熱部20、30の対角位置に配置された開口202、203、302、303間をZ軸方向に流れ、第一流出路Pa2に流出する(
図16参照)。これに対し、外部から第二流入路Pb1に供給された第二流体Bは、第二流入路Pb1から複数の第二流路Rb、Rb1のそれぞれに流入する。そして、第二流体Bは、複数の第二流路Rb、Rb1のそれぞれにおいて伝熱部20、30の対角位置に配置された開口200、201、300、301間をZ軸方向に流れ、第二流出路Pb2に流出する(
図17参照)。
【0097】
このとき、第一流路Raを流通する第一流体Aと、第二流路Rb、Rb1を流通する第二流体Bは、第一流路Raと第二流路Rb、Rb1とを仕切る伝熱プレート2、3(伝熱部20、30)を介して熱交換する。これにより、第一流体Aは、第一流路Ra内でZ軸方向に流通する過程において、凝縮或いは蒸発する。
【0098】
尚、本実施形態の熱交換器1では、第一流体Aとして、フロン等の熱交換によって相変化する流体が用いられ、第二流体として、水等が用いられるが、これらに限定されない。
【0099】
以上の熱交換器1のように、第一凸条対6Aにおいて第一凸条231A、331A(第一流路形成用凸条231、331)同士がX軸方向に間隔をあけて対向することで、該位置において対向する第一流路形成用凸条231、331同士が当接する場合に比べ、第一流路Raを規定する伝熱プレート2、3(第一面Sa1、Sb1)のX軸方向の間隔が大きくなる(
図13参照)。このため、第一流路Raの流路断面積が大きくなる。
【0100】
一方、第一凸条対6Aにおいて第一凸条231A、331A同士がX軸方向に間隔をあけて対向することで、該位置において対向する第一凸条231A、331A同士が当接する場合に比べ、該第一流路Raと隣り合う第二流路RbのY軸方向における該第一凸条対6Aと対応する位置において、該第二流路Rbを規定する伝熱プレート2、3(第二面Sa2、Sb2)のX軸方向の間隔が小さくなる(
図13参照)。このため、第二流路Rbの流路断面積が小さくなる。
【0101】
これにより、熱交換器1において、第一凸条対6Aにおいて対向する第一凸条231A、331A同士が当接する場合に比べ、第一流路Raと第二流路Rbとの流路断面積の差が大きくなる。このため、第一流路Raを流れる第一流体Aの流速と第二流路Rbを流れる第二流体Bの流速の差を大きくし易くなり、その結果、例えば上記のようにフロンと水とのように特性の異なる第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる場合においても、十分な熱交換性能が得られる。
【0102】
また、本実施形態の熱交換器1では、対向する第二面Sa2、Sb2のZ軸方向における障壁用凸条233、333の配置されていない位置において、一方の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれと、他方の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれとは、互いに接触しないようにY軸方向にずれた位置に配置されている。
【0103】
このため、対向する第二面Sa2、Sb2間に形成される第二流路Rbを第二流体BがZ軸方向に流れるときに第二流体BのY軸方向への移動も可能となる。即ち、対向する第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凸条232、332同士が接触(当接)していると、この第二流路形成用凸条232、332同士の接触部位によって第二流体Bが第二流路RbをZ軸方向に流れる(第二流路形成用凹条222、322や第二流路形成用凸条232、332に沿って流れる)際の第二流体BのY軸方向への移動が規制される。これにより、第二流体Bの流れ(流量)におけるY軸方向の偏りが抑えられ、その結果、前記偏りに起因する熱交換性能の低下を防ぐことができる。
【0104】
また、本実施形態の熱交換器1では、対向する第二面Sa2、Sb2のうちの一方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凸条232、322が他方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凹条222、322とが対向すると共に一方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凹条222、322が他方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凸条232、332と対向する。かかる構成によれば、Z軸方向から見て第二流路Rbが蛇行するようにY方向に延び(
図13参照)、これにより、Y軸方向の各位置において、対向する第二面Sa2、Sb2同士の間隔(X軸方向の間隔)が一定又は略一定となる。このため、第二流体Bの流れにおけるY軸方向の偏りがより抑えられ(換言すると、Y軸方向の一部の領域に集中することが抑えられ)、これにより、前記偏りに起因する熱交換性能の低下をより確実に防ぐことができる。
【0105】
また、本実施形態の熱交換器1では、第二面Sa2、Sb2は、Z軸方向と交差する方向に延びる複数の障壁用凸条233、333を有し、各障壁用凸条233、333は、相手側の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれと当接する。かかる構成によれば、第二流体Bが第二流路Rbを流れる、詳しくは、第二流路形成用凹条222、322に沿って流れるときに、障壁用凸条233、333に衝突して第二流体Bの流れに乱れ(乱流等)が生じ、これにより、熱交換性能(熱交換効率)が向上する。
【0106】
熱交換器1において、対向する第二面Sa2、Sb2のそれぞれの障壁用凸条233、333がZ軸方向の同じ位置に配置されると、この位置における第二流路Rbの流路幅(X軸方向の寸法)が小さく又は無くなって第二流路Rbの流通抵抗が大きくなり過ぎる。しかし、本実施形態の熱交換器1のように、対向する第二面Sa2、Sb2のうちの一方の第二面Sa2、Sb2の複数の障壁用凸条233、333のそれぞれと、他方の第二面Sa2、Sb2の複数の障壁用凸条233、333のそれぞれとが、Z軸方向において異なる位置に配置されていると(
図14参照)、Z軸方向の各位置での流路幅を確保して第二流路Rbの流通抵抗が大きくなり過ぎることを防ぎつつ、一方の第二面Sa2、Sb2と他方の第二面Sa2、Sb2とのそれぞれに設けられた各障壁用凸条233、333に第二流体Bが衝突することで第二流路Rbにおける第二流体Bの流れに十分な乱れを生じさせることができる。
【0107】
また、本実施形態の熱交換器1では、対向する第二面Sa2、Sb2のそれぞれにおいて、障壁用凸条233、333の頂部と各第二流路形成用凸条232、332の頂部232t、332tのX軸方向の位置が同じである。かかる構成によれば、第二流路RbにおいてZ軸方向に連通した領域、即ち、第二流体BがZ軸方向に流れるときに、伝熱プレート2、3に衝突せずに通過できる領域が生じない(
図13参照)。即ち、第二流体Bは、一方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凹条222、322内(換言すると、一方の第二面Sa2、Sb2の隣り合う第二流路形成用凸条232、332間)を流れた場合でも、他方の第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凹条222、322内(換言すると、他方の第二面Sa2、Sb2の隣り合う第二流路形成用凸条232、332間)を流れた場合でも、障壁用凸条233、333と衝突する。これにより、第二流体Bの流れの偏り(詳しくは、前記衝突せずに通過できる領域に流れが集中することによる偏り)の発生を防ぐことができ、その結果、前記流れの偏りに起因する熱交換性能の低下を防ぐことができる。
【0108】
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0109】
上記実施形態の熱交換器1では、障壁用凸条233、333は、対向する第二面Sa2、Sb2のそれぞれに複数配置されているが、この構成に限定されない。障壁用凸条233、333は、対向する第二面Sa2、Sb2のうちの何れか一方の面のみに配置されていてもよい。また、障壁用凸条233、333は、第二面Sa2、Sb2に無くてもよく、一つのみ配置されていてもよい。
【0110】
また、上記実施形態の障壁用凸条233、333は、Y軸方向において伝熱部20、30の一端から他端まで真っ直ぐ延びているが、この構成に限定されない。障壁用凸条233、333は、Z軸方向と交差する方向に延びていればよい。また、障壁用凸条233、333は、伝熱部20、30におけるY軸方向の一部の範囲(領域)に配置されていてもよい。また、障壁用凸条233、333は、一箇所又は複数個所で屈曲や湾曲等していてもよい。また、障壁用凸条233、333は、断続的に延びていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態の障壁用凸条233、333の頂部は、X軸方向において第二流路形成用凸条232、322の頂部と同じ位置、即ち、障壁用凸条233、333と第二流路形成用凸条232、322の高さは、同じであるが、この構成に限定されない。障壁用凸条233、333の頂部は、第二流路形成用凸条232より高くてもよく、低くてもよい。
【0112】
また、上記実施形態の熱交換器1における各流路形成用凹条(第一流路形成用凹条221、321、第二流路形成用凹条222、322)及び各流路形成用凸条(第一流路形成用凸条231、331、第二流路形成用凸条232、332)は、各分割領域D1、D2のY軸方向における一端から他端まで配置され、それぞれがZ軸方向に真っ直ぐ延びているが、この構成に限定されない。各流路形成用凹条221、222、321、322及び各流路形成用凸条231、232、331、332は、Z軸方向に対して傾斜していてもよく、一箇所又は複数個所で屈曲や湾曲等していてもよい。即ち、各流路形成用凹条221、222、321、322及び各流路形成用凸条231、232、331、332は、Z軸方向に沿って延びていればよい。また、各流路形成用凹条221、222、321、322及び各流路形成用凸条231、232、331、332は、分割領域D1、D2又は伝熱部20、30におけるZ軸方向の一部の範囲(領域)に配置されていてもよい。また、各流路形成用凹条221、222、321、322及び各流路形成用凸条231、232、331、332は、断続的に延びていてもよい。
【0113】
また、上記実施形態の熱交換器1では、X軸方向において、第一凸条231A、331Aの頂部の位置は、第二凸条231B、331Bの頂部の位置と第二流路形成用凹条222、322の底部の位置との中央位置であるが、この構成に限定されない。X軸方向において、第一凸条231A、331Aの頂部の位置は、第二凸条231B、331Bの頂部の位置より第二流路形成用凹条222、322の底部側の位置で、且つ、第二流路形成用凹条222、322の底部の位置より第二凸条231B、331Bの頂部側の位置であれば、いずれの位置でもよい。
【0114】
また、上記実施形態の熱交換器1では、Y軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の第一流路形成用凸条231、331によって構成される凸条群において、第一凸条231A、331Aと第二凸条231B、331Bとが交互に配置されている、換言すると、第一凸条231A、331Aは、Y軸方向に隣り合う第二凸条231B、331Bの間に一つずつ配置されているが、この構成に限定されない。第一凸条231A、331Aは、Y軸方向に隣り合う第二凸条231B、331Bの間に複数配置されていてもよい。例えば、P≧0.9の場合、強度の観点から、Y軸方向に隣り合う第二凸条231B、331Bの間に配置される第一凸条231A、331Aの数は、二つ以下が好ましい。
【0115】
また、伝熱部20、30の部位(領域)毎に、Y軸方向に隣り合う第二凸条231B、331Bの間に配置される第一凸条231A、331Aの数が異なっていてもよい。
【0116】
また、第一凸条231A、331Aは、該第一凸条231A、331AをY軸方向の横断する溝部2310、3310をZ軸方向の途中位置に少なくとも一つ(
図18及び
図19に示す例では一つ)有していていもよい。
【0117】
伝熱プレート対5における第一凸条対6Aを構成している部位では、対向している第一凸条231A、331A同士が当接していない(間隔をあけて対向している)ため、第一凸条231A、331A同士が接近する方向の力に対する強度が、第一凸条231A、331A同士が当接している構成に比べて低い。しかし、上記構成のように、第一凸条対6Aを構成する第一凸条231A、331Aにリブ状の部位(溝部2310、3310)を設けることで、該部位の強度を向上させることができる。
【0118】
また、全ての第一凸条231A、331Aが溝部2310、3310を有していなくてもよい。例えば、主伝熱部25、35の周縁部や主伝熱部25、35における堰部26、36等の他の部位との境界部等の伝熱部20、30において強度が低くなりやすい部位の第一凸条231A、331Aのみが溝部2310、3310を有していてもよい。
【0119】
また、上記実施形態の熱交換器1において隣り合う伝熱プレート対5における対向する第二面Sa2、Sb2では、一方の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれと、他方の第二面Sa2、Sb2の複数の第二流路形成用凸条232、332のそれぞれとは、互いに接触しないようにY軸方向に互いにずれた位置に配置されているが、この構成に限定されない。前記対向する第二面Sa2、Sb2の第二流路形成用凸条232、332同士が当接する構成であってもよい。
【0120】
熱交換器1における具体的な流路構成は、限定されない。例えば、上記実施形態の熱交換器1では、各流路Ra、Rb、は、流入路Pa1、Pb1と流出路Pa2、Pb2との間において並列に接続されているが、熱交換器1の流通路(即ち、熱交換器1の内部に流入してから外部に流出するまでの流体A、Bの流路)において、直列に接続されている部位や並列に接続されている部位が設けられていてもよい。
【0121】
上記実施形態の熱交換器1は、伝熱プレートとして第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3のみを備えているが、この構成に限定されない。熱交換器1において、第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3とが重ね合わされた伝熱プレート群のZ軸方向の一端及び他端の少なくとも一方の端に、上記実施の伝熱プレート2、3と異なる構成の伝熱プレートが重ね合わされた伝熱プレート群が重ね合わされていてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…プレート式熱交換器、2…第一伝熱プレート(伝熱プレート)、3…第二伝熱プレート(伝熱プレート)、20、30…伝熱部、200、201、202、203、300、301、302、303…開口、200p、201p、202p、203p、300p、301p、302p、303p…開口周縁部、21、31…嵌合部、22、32…凹部、221、321…第一流路形成用凹条(第一面側凹条)、222、322…第二流路形成用凹条(第二面側凹条)、222A、322A…第一凹条(第二流路形成用凹条、第二面側凹条)、222B、322B…第二凹条(第二流路形成用凹条、第二面側凹条)、223、223A、323、323A…障壁裏側凹条、225、325…第一面側凹部、226、326…第二面側凹部、23、33…凸部、231、331…第一流路形成用凸条(第一面側凸条)、231A、331A…第一凸条(第一流路形成用凸条、第一面側凸条)、231B、331B…第二凸条(第一流路形成用凸条、第一面側凸条)、2310、3310…溝部、232、332…第二流路形成用凸条(第二面側凸条)、233、233A、333、333A…障壁用凸条、235、335…第一面側凸部、236、336…第二面側凸部、25、35…主伝熱部、26、36…堰部、4、4A、4B…フレームプレート、41A、41B…プレート本体、42A、42B…フレーム嵌合部、43…ノズル、5…伝熱プレート対、6…凸条対、6A…第一凸条対、6B…第二凸条対、500…プレート式熱交換器、501…伝熱プレート、A…第一流体(流体)、B…第二流体(流体)、CL…縦中心線、D1…第一面側分割領域、D2…第二面側分割領域、Pa1…第一流入路、Pa2…第一流出路、Pb1…第二流入路、Pb2…第二流出路、Ra…第一流路(流路)、Rb…第二流路(流路)、S1…柱状の空間、Sa1、Sb1…第一面、Sa2、Sb2…第二面