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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】体液採取用のシリンジ型流体分流機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/153 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A61B5/153 100
【請求項の数】 54
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020094488
(22)【出願日】2020-05-29
(62)【分割の表示】P 2018081980の分割
【原出願日】2013-12-02
(65)【公開番号】P2020146488
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】61/731,620
(32)【優先日】2012-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514113555
【氏名又は名称】マグノリア メディカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バリントン,グレゴリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パットン,リチャード ジー.,エム.ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ガウ,シャン イー.
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06126643(US,A)
【文献】特開2005-237617(JP,A)
【文献】特開昭53-097289(JP,A)
【文献】特開2002-116201(JP,A)
【文献】米国特許第03680558(US,A)
【文献】米国特許第05429610(US,A)
【文献】特開平07-016219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/15 - 5/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から体液を取得する体液移送デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって規定されたチャネルであって、前記患者から第1体積の体液を受け取るための第1流体流路の少なくとも一部を規定するチャネルと、
前記チャネルに沿って配置された弁と、を備え、
前記弁は、前記弁の近位端と遠位端との間の圧力の差に応答して閉鎖形態から開放形態に移行するように構成され、
前記弁は、前記第1体積の体液が前記体液移送デバイス内に受け取られた後に前記閉鎖形態に戻るようにさらに構成され、
前記弁が前記閉鎖形態である前記体液移送デバイスは、
前記第1体積の体液の少なくとも一部及びその中に包含された汚染物質を封鎖し、かつ、前記患者から、少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された第2流体流路であって、前記第2流体流路の少なくとも一部が前記第1流体流路とは別個に形成されている、第2流体流路内に第2体積の体液が流れることを可能にし、
サンプル容器内に、前記第1体積の体液の一部及びその中に包含された汚染物質の封鎖によって汚染を低減したサンプルの体液を提供する、ように構成される、体液移送デバイス。
【請求項2】
前記弁は一方向逆止め弁である、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項3】
前記閉鎖形態の前記弁は、前記チャネルを規定する壁とともに前記弁が実質的に流体密封シールを形成するように、前記チャネル内に配置された弁座に接触する、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項4】
前記開放形態の前記弁は、前記第1体積の体液の少なくとも一部が、前記弁の前記遠位端から前記近位端まで前記弁を越えて流れることを可能にするように構成される、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項5】
前記弁は、前記弁の前記近位端と前記遠位端との間の圧力の等化に応答して前記第1体積の体液が前記体液移送デバイス内に受け取られた後、前記閉鎖形態に自動的に戻る、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項6】
前記閉鎖形態の前記弁は、前記第2流体流路内に負圧を生成して前記患者から前記第2体積の体液を引き込むことを可能にするように構成される、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項7】
前記ハウジングはポートを含み、前記体液移送デバイスは、前記ポートを介して前記サンプル容器内に前記サンプルの体液を提供するように構成される、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項8】
前記第2流体流路は、前記チャネルとは別個の経路内に体液が流れることを可能にする、請求項1に記載の体液移送デバイス。
【請求項9】
患者から体液を取得する体液移送デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって規定されたチャネルであって、前記患者から第1体積の体液を受け取るための内部空間の少なくとも一部を規定するチャネルと、
前記チャネル内に配置された弁と、を備え、
前記弁は、前記弁の近位端と遠位端との間の圧力の差に応答して閉鎖形態から開放形態に移行するように構成され、
前記弁は、前記第1体積の体液が前記体液移送デバイス内に受け取られた後に前記閉鎖形態に戻るようにさらに構成され、
前記弁が前記閉鎖形態である前記体液移送デバイスは、
前記チャネルとは別個に形成された、少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された流体流路内に第2体積の体液を引き込むように前記ハウジング内に負圧の発生を可能にし、
前記第1体積の体液の少なくとも一部及びその中に包含された汚染物質が、前記第2体積の体液を汚染することを実質的に阻止する、ように構成される、体液移送デバイス。
【請求項10】
前記弁が前記閉鎖形態である前記体液移送デバイスは、培地を包含するサンプル容器内にサンプルの体液を提供するようにさらに構成される、請求項9に記載の体液移送デバイス。
【請求項11】
前記ハウジングはポートを含み、前記体液移送デバイスは、前記ポートを介して前記サンプル容器内に前記サンプルの体液を提供するように構成される、請求項10に記載の体液移送デバイス。
【請求項12】
前記弁は一方向逆止め弁である、請求項9に記載の体液移送デバイス。
【請求項13】
前記閉鎖形態の前記弁は、前記チャネルを規定する壁とともに前記弁が実質的に流体密封シールを形成するように、前記チャネル内に配置された弁座に接触する、請求項9に記載の体液移送デバイス。
【請求項14】
前記開放形態の前記弁は、前記第1体積の体液の少なくとも一部が、前記弁の前記遠位端から前記近位端まで前記弁を越えて流れることを可能にするように構成される、請求項9に記載の体液移送デバイス。
【請求項15】
前記弁は、前記弁の前記近位端と前記遠位端との間の圧力の等化に応答して前記第1体積の体液が前記内部空間内に受け取られた後、前記閉鎖形態に自動的に戻る、請求項9に記載の体液移送デバイス。
【請求項16】
患者から体液を取得する体液移送デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって規定されたチャネルであって、前記チャネルは、前記患者からの第1体積の体液を受け取るための第1流体流路の少なくとも一部を規定し、前記チャネルの壁の少なくとも一部は弁座と流体連通する、チャネルと、
前記チャネル内に配置された弁であって、前記チャネルを規定する前記壁とともに実質的に流体密封シールを形成するように前記弁座に接触するように構成された弁と、を備え、
前記弁は、前記第1体積の体液の少なくとも一部が、前記第1流体流路を介して前記体液移送デバイス内に受け取られることを可能にするために閉鎖形態から開放形態に移行するように構成され、
前記弁は、前記第1体積の体液の一部及びその中に包含される汚染物質を封鎖し、かつ、少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された第2流体流路内に前記患者から第2体積の体液が流れることを可能にするための圧力の等化に応答して前記閉鎖形態に自動的に戻り、前記第2流体流路の少なくとも一部は、前記第1流体流路とは別個に形成される、体液移送デバイス。
【請求項17】
前記弁が前記閉鎖形態である前記体液移送デバイスは、培地を包含するサンプル容器内にサンプルの体液を提供するようにさらに構成される、請求項16に記載の体液移送デバイス。
【請求項18】
前記ハウジングはポートを含み、前記体液移送デバイスは、前記ポートを介して前記サンプル容器内に前記サンプルの体液を提供するように構成される、請求項17に記載の体液移送デバイス。
【請求項19】
前記弁は一方向逆止め弁である、請求項16に記載の体液移送デバイス。
【請求項20】
前記開放形態の前記弁は、前記第1体積の体液の少なくとも一部が、前記弁の前記遠位端から前記近位端まで前記弁を通じて流れることを可能にするように構成される、請求項16に記載の体液移送デバイス。
【請求項21】
前記閉鎖形態の前記弁は、前記第2流体流路内に負圧を生成して前記患者から前記第2体積の体液を引き込むことを可能にするように構成される、請求項16に記載の体液移送デバイス。
【請求項22】
前記第2流体流路は前記チャネルとは別個である、請求項16に記載の体液移送デバイス。
【請求項23】
患者から体液を取得する体液移送デバイスであって、
前記患者に接続されるチューブに接続するように構成されたポートを含むハウジングと、
前記ハウジングによって規定されて、前記患者からの第1体積の体液とその中の汚染物質とを受け取るように構成されたチャネルと、
前記チャネルに沿って配置された弁であって、前記第1体積の体液の少なくとも一部が前記チャネルを実質的に充填することを可能にするために開放し、かつ、前記第1体積の体液を受け取った後、前記第1体積の体液の一部及びその中の汚染物質が、前記チャネルと別個に形成されかつ少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された流体流路内に受け取られた第2体積の体液を汚染することを実質的に阻止するために自動的に閉鎖するように構成された弁と、を備える体液移送デバイス。
【請求項24】
開放時に前記弁は、前記第1体積の体液の少なくとも一部が前記弁を越えて流れることを可能にするように構成される、請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項25】
前記弁は、前記弁の入口及び出口の間の圧力の等化に応答して自動的に閉鎖する、請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項26】
閉鎖時に前記弁は、前記ハウジング内に形成された内部空間内に前記第1体積の体液を封鎖するように構成され、前記チャネルは前記内部空間の少なくとも一部を規定する,請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項27】
前記弁は一方向逆止め弁である、請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項28】
閉鎖時の前記弁は、前記流体流路内に負圧を生成して前記患者から前記第2体積の体液を引き込むことを可能にするように構成される、請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項29】
閉鎖時の前記弁は、前記チャネルを規定する壁とともに前記弁が実質的に流体密封シールを形成するように、前記チャネル内に配置された弁座に接触する、請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項30】
閉鎖時の前記弁は、前記体液移送デバイスから、培地を包含するサンプル容器内に、サンプルの体液が提供されることを可能にするように構成される、請求項23に記載の体液移送デバイス。
【請求項31】
患者から血液を取得する血液移送デバイスであって、
前記患者内に挿入される針に接続するためのポートを含むハウジングと、
前記ハウジングによって規定されたチャネルであって、前記チャネルは、前記患者からの第1体積の血液とその中の汚染物質とを受け取るための第1流体流路の少なくとも一部を規定し、前記チャネルは弁及び弁座を含む、チャネルと、を備え、
前記弁は、前記第1体積の血液が前記チャネルを実質的に充填し、かつ、前記第1体積の血液の少なくとも一部が、前記患者から、前記チャネルと別個に形成されてかつ少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された第2流体流路内に受け取られた第2体積の血液を汚染させることを阻止するために自動的に閉鎖するように構成される、血液移送デバイス。
【請求項32】
前記弁は、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記弁を越えて流れることを可能にするために開放する、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項33】
前記弁は、前記弁の入口及び出口の間の圧力の等化に応答して自動的に閉鎖する、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項34】
閉鎖時の前記弁は、前記流体流路内に負圧を生成して前記患者から前記第2体積の体液を引き込むことを可能にするように構成される、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項35】
閉鎖時の前記弁は、前記チャネルを規定する壁とともに前記弁が実質的に流体密封シールを形成するように、前記弁座に接触する、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項36】
前記弁は一方向逆止め弁である、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項37】
前記第2流体流路は前記チャネルとは別個である、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項38】
シールをさらに備え、開放時の前記弁は、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記シールに向かって流れることを可能にする、請求項31に記載の血液移送デバイス。
【請求項39】
患者から血液を取得する血液移送デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって規定されたチャネルであって、前記患者からの第1体積の血液とその中の汚染物質とを受け取るための内部空間の少なくとも一部を規定するチャネルと、
前記チャネル内に配置された弁と、を備え、
前記弁は、前記弁の入口及び出口の間の圧力の差に応答して開放するように構成され、
前記弁は、前記第1体積の血液が前記内部空間内に受け取られた後、第2体積の血液が、前記チャネルとは別個でありかつ少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された前記血液移送デバイスの流体流路内に引き込まれることができる一方で、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記第2体積の血液を汚染することを阻止するように、前記ハウジング内に負圧を発生させることを可能にするために自動的に閉鎖するように構成される、血液移送デバイス。
【請求項40】
前記弁は、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記弁を越えて流れることを可能にするために開放する、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項41】
前記弁は、前記弁の入口及び出口の間の圧力の等化に応答して自動的に閉鎖する、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項42】
閉鎖時の前記弁は、前記チャネルを規定する壁とともに前記弁が実質的に流体密封シールを形成するように、前記チャネル内に配置された弁座に接触する、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項43】
前記弁は一方向逆止め弁である、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項44】
前記ハウジングは、前記患者内に挿入される針に接続するためのポートを含み、
前記チャネルは、前記患者から前記ポートを介して前記第1体積の血液を受け取る、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項45】
前記ハウジングは、サンプル容器に接続するためのポートを含み、
前記血液移送デバイスは、前記患者から前記第2体積の血液を受け取った後、前記サンプル容器内にサンプルの血液を提供するように構成される、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項46】
シールをさらに備え、開放時の前記弁は、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記シールに向かって流れることを可能にする、請求項39に記載の血液移送デバイス。
【請求項47】
患者から血液を取得する血液移送デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって規定されたチャネルであって、前記患者からの第1体積の血液とその中の汚染物質とを受け取るための第1流体流路の少なくとも一部を規定するチャネルと、
前記チャネルに沿って配置された弁と、を備え、
前記弁は、前記弁の入口及び出口の間の圧力の差に応答して開放し、かつ、前記弁の入口及び出口の間の圧力の等化に応答して閉鎖するように構成され、
第1状態の前記血液移送デバイスは、前記第1流体流路を介して前記チャネル内に第1体積の血液が流れることを可能にするように構成され、
前記血液移送デバイスは、前記第1体積の血液を受け取った後、前記第1状態から、前記弁が閉鎖される第2状態に自動的に移行するように構成され、
前記第2状態の前記血液移送デバイスは、前記患者から、前記チャネルと別個に形成されてかつ少なくとも一部が前記ハウジングによって規定された第2流体流路を介して第2体積の血液を受け取る一方で、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記第2体積の血液を汚染することを阻止するように構成される、血液移送デバイス。
【請求項48】
前記弁は、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記弁を越えて流れることを可能にするために開放する、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【請求項49】
閉鎖時の前記弁は、前記第1流体流路の少なくとも一部を規定する壁とともに前記弁が実質的に流体密封シールを形成するように、弁座に接触する、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【請求項50】
前記第2流体流路は前記チャネルとは別個である、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【請求項51】
前記ハウジングは、前記患者内に挿入される針に接続するためのポートを含み、
前記第2流体流路は、前記ポートによって少なくとも部分的に規定される、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【請求項52】
前記ハウジングは、サンプル容器に接続するためのポートを含み、
前記血液移送デバイスは、前記患者から前記第2体積の血液を受け取った後、前記サンプル容器内にサンプルの血液を提供するように構成される、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【請求項53】
前記第2状態の前記血液移送デバイスは、前記患者から前記第2体積の血液を引き込むために前記第2流体流路内に負圧を発生させることを可能にするように構成される、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【請求項54】
シールをさらに備え、開放時の前記弁は、前記第1体積の血液の少なくとも一部が前記シールに向かって流れることを可能にする、請求項47に記載の血液移送デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本出願は、2012年11月30日に出願された、「体液採取用のシリンジ型流体分流機構(Syringe Based Fluid Diversion Mechanism For Bodily-Fluid Sampling)」と題する米国仮特許出願第61/731,620号に対する優先権及びその利益を主張し、その出願の開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[1002] 本明細書に記載する実施形態は、概して体液サンプルの非経口的獲得(parenteral procurement)に関し、より詳細には、皮膚に存在する微生物等、体液源の外部の微生物又は他の汚染物質からの汚染を低減して、体液サンプルを非経口的に獲得するデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[1003] 医療従事者は、日常的に、非経口的に取得された体液を用いて患者に対してさまざまなタイプの微生物検査を行う。場合によっては、患者サンプル(例えば体液)は、細菌、真菌又は酵母菌(例えばカンジダ)等、1種又は複数種の望ましくない可能性がある微生物が存在するかについて検査される。微生物検査は、微生物増殖を促進する培地を収容する1つ又は複数の滅菌容器において患者サンプルを培養すること、リアルタイム診断及び/又はPCRに基づく手法を含む場合がある。一般に、こうした微生物が患者サンプルに存在する場合、それら微生物は培地において経時的に繁殖する。所定時間(例えば数時間から数日間)の後、培地に対して微生物が存在するかについて検査することができる。培地に微生物が存在する場合、それは、患者サンプルに同じ微生物が存在することを示唆し、それはさらに、サンプルを取得した患者の体液に同じ微生物が存在することを示唆する。従って、培地に微生物が存在すると判断された場合、患者は、患者から望ましくない微生物を処置するか又は他の方法で除去するように特に設計された1種若しくは複数種の抗生物質又は他の処置が処方される可能性がある。
【0004】
[1004] しかしながら、患者サンプルは獲得中に汚染される可能性がある。患者サンプルの汚染が発生する可能性がある1つの過程は、患者の体内への針の挿入中に取り除かれ後に患者サンプルとともに培地に移送された体表からの微生物(例えば、皮膚に存在する微生物)の移送による。体表微生物及び/又は他の望ましくない外部微生物は、直接、又は取り除かれた組織片、毛包、汗腺及び他の付属器構造を介して取り除かれる可能性がある。別のあり得る汚染源は、患者サンプルを抜き取る人から来る。例えば、医師、瀉血専門医、看護師等が、自身の身体(例えば指、腕等)から患者サンプルに汚染物質を移送する可能性がある。移送された微生物は、培地で生育し、最終的に陽性の微生物検査結果をもたらす可能性があり、それにより、体内におけるこうした微生物の存在を誤って示す。こうした不正確な結果は、疑いのある疾患又は健康状態を診断するか又は治療しようとする場合に問題である。例えば、微生物検査からの偽陽性結果により、患者が1つ又は複数の抗微生物療法を不必要に受けることになる可能性があり、それにより、患者に対して例えば死亡を含む深刻な副作用が引き起こされるとともに、医療制度に対する不必要な負担及び出費がもたらされる可能性がある。
【0005】
[1005] 従って、体液検査サンプルにおける微生物汚染を低減させる改善された体液移送デバイス及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[1006] 本明細書では、皮膚に存在する微生物等、体液源の外部の微生物からの汚染を低減して体液サンプルを非経口的に獲得するデバイスについて記載する。いくつかの実施形態では、汚染を低減して患者から体液サンプルを非経口的に獲得するシリンジ型デバイスは、ハウジング、プリサンプル(pre-sample)リザーバ及びアクチュエータ機構を含む。ハウジングは、近位端部分及び遠位端部分を有し、それらの間に内部空間(volume)を規定している。近位端部分は実質的に開放しており、遠位端部分は、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成されたポートを有している。プリサンプルリザーバは、ポートに流体的に結合可能であり、患者から抜き取られる第1体積の体液を受け取りかつ隔離するように構成されている。アクチュエータ機構は、ハウジングの内部空間内に少なくとも部分的に配置され、近位端部分及び遠位端部分を有している。遠位端部分は封止部材を含み、近位端部分は作動(engagement)部分を含み、作動部分は、使用者がアクチュエータ機構を、体液がポートからプリサンプルリザーバまで流れることができる第1配置と、体液がポートから封止部材及びハウジングによって少なくとも部分的に規定されたサンプルリザーバまで流れることができる第2配置との間で選択的に移動させることを可能にするように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るシリンジ型移送デバイスの概略図である。
図2】第1配置にある、実施形態によるシリンジ型移送デバイスの正面図である。
図3図2のシリンジ型移送デバイスの組立分解図である。
図4】第1配置にある、図2に示すシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図5】第2配置にある、図2のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図6】第3配置にある、図2のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図7】第1配置にある、実施形態によるシリンジ型移送デバイスの正面図である。
図8図7のシリンジ型移送デバイスの組立分解図である。
図9】第1配置にある、図7のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図10】第2配置にある、図7のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図11】第1配置にある、実施形態によるシリンジ型移送デバイスの正面図である。
図12図11のシリンジ型移送デバイスの組立分解図である。
図13】第1配置にある、図11のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図14】第2配置にある、図11のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図15】第3配置にある、図11のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図16】実施形態による、第1配置にあるシリンジ型移送デバイスの少なくとも一部の概略図である。
図17】実施形態による、第2配置にあるシリンジ型移送デバイスの少なくとも一部の概略図である。
図18】第1配置にある、実施形態によるシリンジ型移送デバイスの正面図である。
図19図18のシリンジ型移送デバイスの組立分解図である。
図20】第1配置にある、図18のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図21】第2配置にある、図18のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図22】第3配置にある、図18のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図23】第4配置にある、図18のシリンジ型移送デバイスの線X-Xに沿った断面図である。
図24】シリンジ型移送デバイスを用いて患者から体液サンプルを取得する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1030] 本明細書では、皮膚に存在する微生物等、体液源の外部の微生物からの汚染を低減して体液サンプルを非経口的に獲得するデバイスについて記載する。いくつかの実施形態では、汚染を低減して患者から体液サンプルを非経口的に獲得するシリンジ型デバイスは、ハウジング、プリサンプルリザーバ及びアクチュエータ機構を含む。ハウジングは、近位端部分及び遠位端部分を有し、それらの間に内部空間を規定している。近位端部分は実質的に開放しており、遠位端部分は、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成されたポートを有している。プリサンプルリザーバは、ポートに流体的に結合可能であり、患者から抜き取られる第1体積の体液を受け取りかつ隔離するように構成されている。アクチュエータ機構は、ハウジングの内部空間内に少なくとも部分的に配置され、近位端部分及び遠位端部分を有している。遠位端部分は封止部材を含み、近位端部分は作動部分を含み、作動部分は、使用者がアクチュエータ機構を、体液がポートからプリサンプルリザーバまで流れることができる第1配置と、体液がポートから封止部材及びハウジングによって少なくとも部分的に規定されたサンプルリザーバまで流れることができる第2配置と、の間で選択的に移動させることを可能にするように構成されている。
【0009】
[1031] いくつかの実施形態では、汚染を低減して患者から体液サンプルを非経口的に獲得するシリンジ型デバイスはハウジング及びアクチュエータ機構を含む。ハウジングは、近位端部分及び遠位端部分を含み、かつそれらの間に内部空間を規定している。近位端部分は、実質的に開放しており、遠位端部分は、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成されたポートを有している。アクチュエータ機構は、内部空間内に移動可能に配置される。アクチュエータ機構は、近位端部分及び遠位端部分を有しかつそれらの間に内部空間を規定する第1部材と、第1部材の内部空間内に移動可能に配置された第2部材と、を含む。第1部材の遠位端部分は、ハウジングによって規定された内部空間と第1部材によって規定された内部空間との間の選択的な流体連通を可能にするように構成された流路を含む第1プランジャを含む。第2部材は、第2部材の遠位端部分に配置された第2プランジャと、使用者がアクチュエータ機構を選択的に移動させるのを可能にするように構成された作動部分と、を含む。
【0010】
[1032] いくつかの実施形態では、汚染を低減して患者から体液サンプルを非経口的に獲得するシリンジ型デバイスは、ハウジング、アクチュエータ機構及び穿孔部材を含む。ハウジングは、近位端部分及び遠位端部分を含み、かつそれらの間に内部空間を規定している。近位端部分は、実質的に開放しており、遠位端部分は、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成されたポートを有している。アクチュエータ機構は、ハウジングの内部空間内に移動可能に配置される。アクチュエータ機構は、近位端部分及び遠位端部分を有し、かつそれらの間に内部空間を規定している。遠位端部分は、流路を含むプランジャを含む。近位端部分は、実質的に開放し、かつ真空封止されたサンプルチューブを受け入れるように構成されている。穿孔部材は、アクチュエータ機構の内部空間内に配置され、プランジャの流路に流体的に結合された内腔を規定している。プランジャの流路及び穿孔部材は、ハウジングによって規定された内腔とアクチュエータ機構によって規定された内部空間との間に選択的な流体連通を提供するように構成されている。
【0011】
[1033] いくつかの実施形態では、汚染を低減して患者から体液サンプルを非経口的に獲得するシリンジ型デバイスは、ハウジング、アクチュエータ機構及び流れ制御機構を含む。ハウジングは、近位端部分及び遠位端部分を含み、かつそれらの間に内部空間を規定している。近位端部分は、実質的に開放しており、遠位端部分は、患者から体液を受け取るように内腔規定デバイスに結合されるように構成されたポートを有している。アクチュエータ機構は、ハウジングの内部空間内に移動可能に配置され、近位端部分及び遠位端部分を有している。遠位端部分は、第1プランジャと、使用者が前記アクチュエータ機構を選択的に移動させるのを可能にするように構成された作動部分を含む近位端部分とを含む。第2プランジャが、ハウジングの内部空間内に移動可能に配置され、かつアクチュエータ機構に解除可能に結合されている。第2プランジャは、ポートと選択的に流体連通して配置されるように構成された流路を規定している。流れ制御機構は、ポートと第2プランジャ及びハウジングによって規定されたプリサンプルリザーバとの間の流体流を選択的に制御するように動作可能である。流れ制御機構は、体液が第1流路を通ってプリサンプルリザーバまで流れることができる第1配置と、体液が第2流路を通って第1プランジャ、第2プランジャ及びハウジングによってまとめて規定されたサンプルリザーバまで流れることができる第2配置との間で移動するように構成されている。
【0012】
[1034] いくつかの実施形態では、ポートを備えたハウジングとハウジング内に移動可能に配置されるアクチュエータ機構とを含むシリンジ型移送デバイスを用いて、患者から体液サンプルを取得する方法は、患者とシリンジ型移送デバイスのポートとの間に流体連通を確立するステップと、ポートとプリサンプルリザーバとの間に流体連通を確立するステップと、を含む。第1体積の体液が、シリンジ型移送デバイスによってプリサンプルリザーバに移送される。プリサンプルリザーバは、ポートから流体的に隔離されて、プリサンプルリザーバ内で第1体積の体液を封鎖する(sequester)。第1体積の体液がプリサンプルリザーバ内で封鎖された後、ポートと、アクチュエータ機構及びハウジングによって少なくとも部分的に規定されたサンプルリザーバとの間に流体連通が確立される。アクチュエータ機構が、第1位置から第2位置まで移動して、第2体積の体液が患者からサンプルリザーバまで引き込まれる。
【0013】
[1035] いくつかの実施形態では、装置は、ハウジング及びアクチュエータ機構を含む。本装置は、ハウジング及び/又はアクチュエータ機構によって少なくとも部分的に規定された、第1流体リザーバと、第1流体リザーバから流体的に隔離された第2流体リザーバと、をさらに含む。ハウジングは、体液を受け取るように構成されたポートを含む。ハウジング及びアクチュエータ機構は、まとめて、第1流体流路及び第2流体流路を規定している。第1流体流路は、アクチュエータ機構がハウジングに対して第1位置にある時、第1体液流をポートから第1流体リザーバまで移送するように構成されている。第2流体流路は、アクチュエータがハウジングに対して第2位置にある時、体内の患者状態を表さない望ましくない微生物が実質的にない第2体液流を、ポートから第2流体リザーバに移送するように構成されている。
【0014】
[1036] いくつかの実施形態では、体液移送デバイスを、第2量の体液が第2リザーバ内に流れるのを可能にする前に、所定の第1量の体液の流れを第1リザーバに選択的に分流させるように構成することができる。このように、第2量の体液を、体表及び/又は他の外部源からの微生物を含む可能性がある第1量の体液が、微生物の存在が検査されるべき体液から隔離されている間に、診断又は他の検査に使用することができるが、さらには、臨床医によって指示されるように他の血液検査(例えば、全血球算定「CBC」、免疫診断検査、癌細胞検出検査等)に使用することができる。
【0015】
[1037] 本明細書で用いる「体液」は、限定されないが、血液、髄液、尿、胆汁、リンパ液、唾液、滑液、漿液、胸膜液、羊水等又はそれらのあらゆる組合せを含む、患者の体内から得られるあらゆる流体を含むことができる。
【0016】
[1038] 本明細書で用いる「組」という用語は、複数の機構又は複数の部品を含む単一の機構を指すことができる。例えば、壁の組と言う場合、壁の組を、別個の部分を含む1つの壁とみなすことができ、又は壁の組を、複数の壁とみなすことができる。同様に言えば、一体的に構成された物品は一組の壁を含むことができる。こうした一組の壁は、例えば、互いに不連続である複数の部分を含むことができる。一組の壁を、別個に製造され、後に(例えば、溶接、接着剤又はあらゆる好適な方法を介して)互いに接合される複数の物品から製造することも可能である。
【0017】
[1039] 本明細書で用いる「近位」及び「遠位」という語は、デバイスを患者に接触するように配置する使用者に対してそれぞれ近い方の方向及び離れる方向を指す。従って、例えば、患者の身体に最初に接触するデバイスの端部は遠位端となり、デバイスの反対側の端部(例えば、使用者が操作しているデバイスの端部)はデバイスの近位端となる。
【0018】
[1040] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる「所定の第1量」、「第1量」及び「第1体積」という用語は、第1リザーバ又はプリサンプルリザーバによって受け取られるか又は収容されるように構成された体液の量を述べる。「第1量」及び「第1体積」という用語は、所定量を明示的に述べないが、明示的に異なるように述べられていない限り、第1量は第1の所定量であることが理解されるべきである。
【0019】
[1041] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる「所定の第2量」、「第2量」及び「第2体積」という用語は、第2リザーバ又はサンプルリザーバによって受け取られるか又は収容されるように構成された体液の量を述べる。第2量を、体液のあらゆる好適な量とすることができ、それは所定量である必要はない。逆に、そのように明示的に述べられる場合、第2リザーバ又はサンプルリザーバによって受け取られかつ収容される第2量は、第2の所定量であり得る。
【0020】
[1042] 図1は、一実施形態に係るシリンジ型移送デバイス100の一部の概略図である。概して、シリンジ型移送デバイス100(本明細書では、「体液移送デバイス」、「流体移送デバイス」又は「移送デバイス」とも呼ぶ)は、患者から体液を抜き取ることを可能にし、その際、抜き取られた体液の第1部分又は第1量が、医療診断及び/又は治療の目的で検査されるため等、生物学的サンプルとして使用される、抜き取られた体液の第2部分又は第2量から流体的に隔離されかつ分流されるように構成されている。言い換えれば、本明細書においてより詳細に記載するように、移送デバイス100は、第1の所定量の体液を第1収集リザーバに、第2量の体液を、第1収集リザーバから流体的に隔離された1つ又は複数の体液収集リザーバ(例えば、サンプルリザーバ)に移送するように構成されている。
【0021】
[1043] 移送デバイス100は、ハウジング101と、アクチュエータ機構140と、第1流体リザーバ180(本明細書では、「第1リザーバ」又は「プリサンプルリザーバ」とも呼ぶ)と、第1リザーバ180とは異なる第2流体リザーバ190(本明細書では、「第2リザーバ」又は「サンプルリザーバ」とも呼ぶ)とを含む。ハウジング101を、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成とすることができ、それについては、具体的な実施形態に関して本明細書においてさらに詳細に記載する。図1に示すように、ハウジング101はポート105を含み、ポート105は、医療デバイスに少なくとも一時的に物理的にかつ流体的に結合されて、患者から体液を抜き取り及び/又は移送デバイス100に輸送する経路Pを規定することができる。例えば、ポート105を、針、カニューレ又は他の内腔のあるデバイスに物理的にかつ流体的に結合されるように構成されたLuer-Lok(登録商標)等とすることができる。他の実施形態では、ポート105を、内腔のあるデバイスの少なくとも一部と一体的に形成することができる。このように、ポート105は、本明細書においてさらに記載するように、経路Pを介して患者から体液を受け取ることができる。
【0022】
[1044] 図1に示すように、ハウジング101は、アクチュエータ機構140の一部を受け入れるように構成された内部空間111を規定している。より具体的には、アクチュエータ機構140は、ハウジング101の内部空間111内に少なくとも部分的に配置され、ハウジング101に対して第1配置と第2配置との間で移動可能である。ハウジング101はまた、第1リザーバ180の少なくとも一部及び第2リザーバ190の少なくとも一部を収容するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、第1リザーバ180及び/又は第2リザーバ190を、ハウジング101によって規定される内部空間111内に少なくとも一時的に配置することができる。他の実施形態では、第1リザーバ180及び/又は第2リザーバ190を、内部空間111を規定するハウジング101の一組の壁によって少なくとも部分的に規定することができる。同様に言えば、内部空間111の一部が、少なくとも第1リザーバ180の一部及び/又は第2リザーバ190の一部を形成することができる。
【0023】
[1045] アクチュエータ機構140は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140の少なくとも一部の形状及びサイズは、内部空間111を規定するハウジング101の壁の形状及びサイズに実質的に対応する。上述したように、アクチュエータ機構140の少なくとも一部は、ハウジング101の内部空間111内に移動可能に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140の遠位端部分は、ハウジング101の内部空間111内に配置され、アクチュエータ機構140の近位端部分は、実質的にハウジング101の外側に配置される。このように、使用者は、アクチュエータ機構140の近位端部分を作動させて、内部空間111内に配置されたアクチュエータ機構140の部分を、ハウジング101に対して第1配置と第2配置との間で移動させることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140を、本明細書においてさらに記載するように、ハウジング101に対して第3配置(又は保管形態)で配置することができる。
【0024】
[1046] 図1には示さないが、いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140は、第1部材及び第2部材を含むことができる。こうした実施形態では、第1部材及び第2部材の両方を、ハウジング101の内部空間111内でまとめて移動させることができる。さらに、第1部材及び第2部材を、ハウジング101内で独立して移動するように構成することができる。同様に言えば、具体的な実施形態に関してさらに後述するように、第1部材を第2部材に対して移動させることができ、及び/又は、第2部材を第1部材に対して移動させることができる。いくつかの実施形態では、第1部材及び/又は第2部材は、内部空間111内で移動するように構成されたピストン又はプランジャを形成することができる。さらに、ピストン又はプランジャの一部が、内部空間111を規定するハウジング101の壁と実質的に流体密封シールを形成することができる。このように、ハウジング101及びアクチュエータ機構140は、まとめて封止された気密空洞(例えばシリンジ)を形成することができ、それにより、アクチュエータ機構140(又はアクチュエータ機構140の少なくとも一部)を、内部空間111内で真空の発生を導入するか又は他の方法で促進するように構成することができる。
【0025】
[1047] 第1リザーバ180を、体液を収容するあらゆる好適なリザーバとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1リザーバ180は、内部空間111を規定するハウジング101の壁の一部とアクチュエータ機構140の一部とによって規定される。他の実施形態では、第1リザーバ180は、アクチュエータ機構140のみによって規定される。さらに他の実施形態では、第1リザーバ180を、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,197,420号(「‘420特許」)に詳細に記載されているプリサンプルリザーバとすることができる。このように、第1リザーバ180を、ハウジング101又はアクチュエータ機構140と直接流体連通させて(例えば、ハウジング101又はアクチュエータ機構140に物理的にかつ流体的に結合されて)又は間接的に(例えば、滅菌可撓性管等の介在構造を介して流体的に結合されて)選択的に配置することができる。
【0026】
[1048] 第1リザーバ180は、所定の第1量の体液を受け取りかつ収容するように構成されている。より具体的には、アクチュエータ機構140が第1配置にある時、アクチュエータ機構140の一部及びハウジング101の一部は、ハウジング101のポート105を第1リザーバ180に流体的に結合するように構成された第1流体流路181を規定することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140を、(例えば、上述した第3配置から)第1配置に移動させることができ、アクチュエータ機構140は、第1流路181を通り第1リザーバ180に入る体液の流れを促進する真空を導入することができる。第1リザーバ180は、第1量の体液を収容するように構成されており、それにより、第1量は、患者からその後に抜き取られる(第1量の体液とは異なる)第2量の体液から流体的に隔離される。
【0027】
[1049] 第2リザーバ190を、あらゆる好適なリザーバとすることができ、それは、第2量の体液を受け取りかつ収容するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2リザーバ190は、内部空間111及びアクチュエータ部材140の一部を規定するハウジング101の壁の一部によって規定されている。このように、アクチュエータ機構140が第2配置にある時、アクチュエータ機構140の一部及びハウジング101の一部は、ポート105を第2リザーバ190に流体的に結合するように構成された第2流体流路191を規定することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140が第2配置に移動することにより、第2真空力によって第2流路191を通り第2リザーバ190に入る体液の流れを促進することができるようになる。第2量の体液は、第1量の抜取に続いて患者から抜き取られた量であり得る。いくつかの実施形態では、第2リザーバ190は、第2量の体液を収容するように構成され、それにより、第2量は、第1量の体液から流体的に隔離される。
【0028】
[1050] 上述したように、移送デバイス100を用いて、患者からの体液を移送デバイス100内に含まれる第1リザーバ180及び/又は第2リザーバ190に移送することができる。より具体的には、第1リザーバ180に移送される第1量の体液の流れにより、静脈穿刺事象中に取り除かれた皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部源(例えば、サンプルを収集している医師の皮膚から移送された周囲の浮遊微生物等)が、流れに混入し、それにより、第1リザーバ180に移送されることになる可能性がある。さらに、第1リザーバ180は、第1量を流体的に隔離し、それにより、後続する第2量が第2リザーバ190内に引き入れられた時に、第2量には皮膚に存在する微生物が実質的にない。図1には示さないが、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス100を、同様に患者サンプルの汚染を低減するように構成されている、患者と流体連通しているデバイスに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス100を、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月12日に出願された「体液サンプル収集用の内腔のない針(Lumenless Needle for Bodily-Fluid Sample Collection)」と題する、米国特許出願第61/777,758号(「‘758出願」)に記載されていているもののような内腔のない針等とともに使用することができる。
【0029】
[1051] いくつかの実施形態では、移送デバイス100が第2量の体液の流れが第2流路191を通して第2リザーバ180まで輸送されるのを可能にする前に、第1量の体液を第1リザーバ180に輸送する必要があるように、移送デバイス100を構成することができる。このように、移送デバイス100を、第2量の体液(例えばサンプル)を収集する前の第1の所定量(例えばプリサンプル)の収集に関する、医療従事者によるコンプライアンスを必要とするものとして特徴付けることができる。同様に言えば、移送デバイス100を、医療従事者が、第1量の体液すなわちプリサンプルを第1リザーバ180内に最初に分流させることなく、第2量の体液すなわちサンプルを第2リザーバ190に収集するのを防止するように構成することができる。このように、医療従事者は、皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部の望ましくない汚染物質を含む可能性がより高い第1量の体液を、分析に使用される体液サンプルに(意図的であっても無意図的であっても)含めることが防止される。他の実施形態では、流体移送デバイス100は、強制的コンプライアンスの特徴又は構成要素を含む必要はない。
【0030】
[1052] いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構140は、第1配置、第2配置及び第3配置とは異なる第4配置を有することができる。こうした実施形態では、移送デバイス100が第2量の体液を収集し、患者と接触した状態から取り除かれた時、アクチュエータ機構140を第4配置に向かって移動させることができる。第4配置にある時、第1流体リザーバ180は、第1量の体液を流体的に隔離して維持することができ、第2流体リザーバ190を、ポート105と流体連通して維持することができる。従って、アクチュエータ機構140が第4配置に向かって移動すると、移送デバイス100は、第2量の体液の一部を第2リザーバ190からあらゆる好適な容器(例えば、バイアル(vile)、試験管、ペトリ皿、培地、検査装置等)に移送することができ、それにより、第2量の体液の一部を検査することができる。
【0031】
[1053] 図2図6は、実施形態によるシリンジ型移送デバイス200を示す。シリンジ型移送デバイス200(本明細書では、「体液移送デバイス」、「流体移送デバイス」又は「移送デバイス」とも呼ぶ)は、ハウジング201及びアクチュエータ機構240を含む。さらに、移送デバイス200は、第1流体リザーバ280(本明細書では、「第1リザーバ」又は「プリサンプルリザーバ」とも呼ぶ)と第2流体リザーバ290(本明細書では、「第2リザーバ」又は「サンプルリザーバ」とも呼ぶ)とを含むか又は規定するように構成されている。移送デバイス200は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、図2及び図3において実質的に円筒状であるものとして示されているが、移送デバイス200は、正方形、矩形、多角形及び/又は他のあらゆる非円筒状の形状であり得る。
【0032】
[1054] 図2及び図3に示すように、ハウジング201は、近位端部分202及び遠位端部分203を含み、それらの間に内部空間211を規定している。いくつかの実施形態では、ハウジング201は、シリンジ本体と実質的に同様であり得る。ハウジング201の近位端部分202は、実質的に開放しており、アクチュエータ機構240の少なくとも一部を、アクチュエータ機構240のその部分が内部空間211内に移動可能に配置されるように、受け入れるように構成されている。さらに、内部空間211は、本明細書においてさらに記載するように、第2流体リザーバ290を規定するように構成されている。ハウジング201の遠位端部分203はポート205を含む。いくつかの実施形態では、ポート205を、(例えば、図2図6に示すように)ハウジング201と一体的に形成することができる。他の実施形態では、ポート205を、例えば摩擦嵌め(friction fit)、ねじ結合、機械的締結具、接着剤、あらゆる数の嵌合凹部及び/又はそれらのあらゆる組合せを介する等、あらゆる好適な方法で遠位端部分203に結合することができる。
【0033】
[1055] ポート205は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ポート205の少なくとも一部は、針、カニューレ又は他の内腔のあるデバイスに物理的にかつ流体的に結合されるように構成されたロック機構を形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ポート205は、Luer-Lok(登録商標)、又は針あるいはカニューレアセンブリ(図2図6には図示せず)に物理的にかつ流体的に結合するように構成された同様の係止機構であり得る。他の実施形態では、ポート205を、内腔のあるデバイスの少なくとも一部と一体的に形成することができる。このように、ポート205を、本明細書においてさらに記載するように、内腔規定デバイスによって規定される内腔と流体連通し、内腔規定デバイスが(例えば、静脈穿刺事象の結果として)患者の体内に配置された時に患者から体液を受け取るように配置することができる。
【0034】
[1056] 上述したように、アクチュエータ機構240は、内部空間211内に配置され、第1位置(例えば、ハウジング201に対する遠位位置)と第2位置(例えば、ハウジング201に対する近位位置)との間で移動可能である。さらに、ハウジング201に対するアクチュエータ機構240の移動により、後にさらに記載するように、移送デバイス200が第1配置、第2配置及び第3配置の間で移動することができる。アクチュエータ機構240は第1部材241及び第2部材251を含む。アクチュエータ機構240の第1部材241は、近位端部分242と遠位端部分243とを含み、それらの間に内部空間246を規定している。本明細書においてさらに記載するように、内部空間246の少なくとも一部は、第1リザーバ280を規定するように構成されている。
【0035】
[1057] 近位端部分242は、第2部材251の少なくとも一部を内部空間246内に移動可能に配置することができるように、実質的に開放している。近位端部分242はまた、突起244も含み、それは、内部空間246を規定する壁(又は壁の組)の内面から延在して、第2部材251の一部と選択的に係合するように構成されている。
【0036】
[1058] 第1部材241の遠位端部分243はプランジャ247を含む。プランジャ247は、アクチュエータ機構240がハウジング201内に配置された時に内部空間211を規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成するように構成されている。同様に言えば、プランジャ247は、内部空間211を規定する壁の内面と流体シールを規定し、それにより、プランジャ247の近位側の内部空間211の部分が、プランジャ247の遠位側の内部空間211の部分から流体的に隔離される。プランジャ247は、プランジャ247の遠位端及び近位端を通して延在するチャネル248を規定するようにさらに構成されている。さらに、チャネル248を規定する内側の壁の組の一部は、弁座249を形成するように構成されている。このように、チャネル248の一部は、弁座249と接触している弁270を受け入れることができる。
【0037】
[1059] 弁270はあらゆる好適な弁であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、弁270は、弁270の遠位端から弁270の近位端への流体の流れを可能にするが、近位端から遠位端への流体の流れを実質的に可能にしないように構成された一方向逆止め弁である。さらに、弁270を、チャネル248内に配置することができ、チャネル248を規定する壁と実質的流体密封シールを形成するように、弁座249と接触させることができる。いくつかの実施形態では、弁270は、チャネル248を規定する壁と第1嵌合を形成することができる。他の実施形態では、弁270は、壁の少なくとも一部とのねじ結合等を形成することができる。弁270はまた、弁座249と係合し、それにより流体密封シールの少なくとも一部を形成するように構成された、シール部材も含むことができる。プランジャ247及び弁270の配置は、本明細書においてさらに記載するように、弁270が開放形態にある時に、第1部材241によって規定される内部空間246が、プランジャ247の遠位側のハウジング201の内部空間211の部分と流体連通するように配置されるようなものである。
【0038】
[1060] アクチュエータ機構240の第2部材251は、近位端部分252及び遠位端部分253を含む。近位端部分252は、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)が、アクチュエータ機構240の少なくとも一部をハウジング201に対して移動させるように作動させることができる作動部分258を含む。遠位端部分253は、第2部材251が第1部材241内に配置された時に内部空間246を規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成するように構成されたプランジャ257を含む。同様に言えば、プランジャ257は、内部空間246を規定する壁の内面と流体シールを規定し、それにより、プランジャ257の近位側の内部空間246の部分は、プランジャ257の遠位側の内部空間246の部分から流体的に隔離される。
【0039】
[1061] 上述したように、第2部材251の少なくとも一部は、第1部材241の内部空間246内に移動可能に配置されるように構成されている。より具体的には、第2部材251を、第1位置(例えば遠位位置)と第2位置(例えば近位位置)との間で移動可能とし、それにより、アクチュエータ機構240を第1配置と第2配置との間でそれぞれ移動させることができる。さらに、第2部材251は、半径方向に延在して第1部材241の突起244と選択的に係合する突起254を含む。このように、第1部材241の突起244及び第2部材251の突起254を、第2部材251の第1部材241に対する近位方向の移動を実質的に制限するように接触して配置することができる。
【0040】
[1062] 使用時、使用者は、例えば、バタフライ針、カニューレアセンブリ、(場合によっては、カテーテルを患者の体内に挿入するために使用される)トロカール等、内腔規定デバイス(図示せず)の近位端部分にポート205を結合するように、移送デバイス200を作動させることができる。ポート205が内腔規定デバイスに物理的に結合された状態で、ポート205は、内腔規定デバイスによって規定される内腔と流体連通するように配置される。さらに、内腔規定デバイスの遠位端部分を、患者の身体の一部(例えば、静脈)内に配置することができる。このように、ポート205は、身体の一部と流体連通するように配置される。
【0041】
[1063] ポート205が内腔規定デバイスに結合された状態で、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)は、移送デバイス200を第1配置から第2配置に移動させることができる。より具体的には、使用者は、アクチュエータ機構240に含まれる第2部材251の作動部分258を作動させて、図5において矢印AAによって示すように、アクチュエータ機構240をその第1配置からその第2配置に移動させ、それにより移送デバイス200を第2配置に配置する。このように、アクチュエータ機構240の第2部材251は、第2部材251の突起254が第1部材241の突起244と接触するように配置されるまで、第1部材241に対して近位方向に移動する(例えば、第1部材241は近位方向に実質的に移動しない)。
【0042】
[1064] 第1部材241内における第2部材251の配置は、第2部材251の近位方向の動きにより、プランジャ257の遠位側の内部空間246の部分の体積が増大し、それにより第1リザーバ280が規定される、というものである。さらに、プランジャ257が、内部空間246を規定する壁の内面と流体密封シールを形成することにより、体積の増大によって、第1リザーバ280内に負圧をもたらすことができる。
【0043】
[1065] 図5において矢印BBによって示すように、ポート205、弁270及びチャネル248は、第1リザーバ280を内腔規定デバイスと流体連通するように配置する流体流路を規定する。従って、第1リザーバ280は、患者の一部(例えば、静脈)と流体連通するように配置される。さらに詳述すると、第1リザーバ280内の負圧は、弁270を閉鎖形態から開放形態に移動させるように動作可能であり得る。このように、プランジャ257の移動によってもたらされる第1リザーバ280内の負圧により、患者のその部分の中に吸引力が導入される。従って、体液が、ポート205及び弁270を通して第1リザーバ280内に引き込まれる。いくつかの実施形態では、体液は、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部汚染物質等、望ましくない微生物を含む可能性がある。
【0044】
[1066] いくつかの実施形態では、吸引力の大きさを、作動機構240に加えられる力の量を増減させることによって調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、静脈に導入される吸引力の量を制限することが望ましい可能性がある。こうした実施形態では、使用者は、第2部材251の作動部分258に加えられる力の量を低減させることができる。このように、第1リザーバ280の体積の変化(例えば、増大)の速度を、静脈と流体リザーバとの間の負圧の差が、第1リザーバ280の体積をさらに増大させる前に平衡状態になる時間を考慮して十分低速とすることができる。このように、吸引力の大きさを調整することができる。
【0045】
[1067] 移送デバイス200を、第2配置にある間、第1リザーバ280に移送された所望の量(例えば、所定量)の体液を移送するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の所定量は、第1リザーバ280のサイズに実質的に対応することができる。他の実施形態では、第1量は、第1リザーバ280及び患者の一部の中の圧力の等化に実質的に対応することができる。さらに、こうした実施形態では、圧力の等化により、弁270が閉鎖形態に戻るのを可能にすることができる。従って、第1リザーバ280は、第1リザーバ280の実質的に外側の空間から流体的に隔離されている。
【0046】
[1068] 第1量が流体的に隔離された状態で、アクチュエータ機構240を、近位方向にさらに移動させることにより、第2配置から第3配置に移動させることができる。例えば、図6において矢印CCによって示すように、使用者は、アクチュエータ機構240をハウジング201に対して移動させるように第2部材251の作動部分258に力を加えることができる。さらに詳述すると、第2部材251の突起254が第1部材241の突起244と接触している状態で、作動部分258に対して力をさらに加えることにより、第1部材241及び第2部材251がまとめて、ハウジング201に対して近位方向に移動することになる。
【0047】
[1069] ハウジング201の内部空間211内の第1部材241の配置は、第1部材241の近位方向の動きにより、プランジャ247の遠位側の内部空間211の部分の体積が増大し、それにより第2リザーバ290が規定される、というものである。さらに、プランジャ247が内部空間211を規定する壁の内面と流体密封シールを形成し、かつ弁270が閉鎖形態にあることにより、体積の増大によって、第2リザーバ290内に負圧をもたらすことができる。
【0048】
[1070] 図6において矢印DDによって示すように、ポート205及び内部空間211の一部は、第2リザーバ290を内腔規定デバイスと流体連通するように配置する流体流路を規定する。従って、第2リザーバ290は、患者の一部(例えば、静脈)と流体連通するように配置される。さらに詳述すると、プランジャ247の移動によってもたらされる第2リザーバ290内の負圧により、患者のその部分の中に吸引力が導入される。従って、体液が、ポート205を通して第2リザーバ290内に引き込まれる。さらに、第2リザーバ290内に収容される体液には、一般に患者のその部分の外側で見出される微生物(例えば、皮膚に存在する微生物、移送デバイス200によって規定される内腔内の微生物、内腔規定デバイスによって規定される内腔内の微生物及び/又は他のあらゆる望ましくない微生物)が実質的にない。
【0049】
[1071] 図2図6には示さないが、アクチュエータ機構240を第3配置から第4配置に移動させて、移送デバイス200を第4配置に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、所望の量の体液が第2流体リザーバ290内に配置された状態で、移送デバイス200を患者のその部分から取り除き、容器(例えば、バイアル、試験管、ペトリ皿、培地、検査装置、自動化された高速微生物検出システムと使用されるように設計されたカートリッジ等)の上方に又は中に配置することができ、それにより、第2量の体液の少なくとも一部を検査することができる。抜き取られた体液を、例えば、血液培養検査、リアルタイム診断及び/又はPCRに基づく手法等、あらゆる検査プロセス又は処置に使用することができる。さらに詳述すると、使用者は、第2部材251の作動部分258に力を加えて、アクチュエータ機構240を遠位方向(例えば、図6に示す矢印CCの反対方向)に移動させることができる。弁270が閉鎖形態にある状態で、第1リザーバ280内に収容されている体液は、第1リザーバ280の外側の空間と流体的に隔離されて維持される。いくつかの実施形態では、第1リザーバ280の体積は、最初の1センチリットル又は数センチリットルの体液を収容するのに十分である。他の実施形態では、第1リザーバ280を、約0.1mlから約3.0mlまで収容するように構成することができる。さらに他の実施形態では、第1リザーバ280を、約3.0ml、4.0ml、5.0ml、6.0ml、7.0ml、8.0ml、9.0ml、10.0ml、15.0ml、20.0ml、25.0ml、50mlから又はそれらの間のあらゆる体積あるいはそれらの分数値を収容するように構成することができる。さらに、第1リザーバ280内の圧力により、第2部材251に加えられた力が、第1部材241に対して第2部材251を実質的に移動させないようにすることができる。従って、作動部分258に加えられた力により、第2部材251及び第1部材241がハウジング201に対して遠位方向にまとめて移動して、第2量の体液の所望の部分を内腔規定デバイスから容器内に放出する。
【0050】
[1072] 図2図6には示さないが、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス200を、同様に患者サンプルの汚染を低減させるように構成された、患者と流体連通するデバイスに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス200を、‘758出願に記載されているもの等の内腔のない針等と使用することができる。
【0051】
[1073] 図7図10は、実施形態によるシリンジ型移送デバイス300を示す。シリンジ型移送デバイス300(本明細書では、「体液移送デバイス」、「流体移送デバイス」又は「移送デバイス」とも呼ぶ)は、本明細書においてさらに記載するように、第1配置、第2配置、第3配置及び第4配置の間で移動するように構成されている。移送デバイス300は、ハウジング301及びアクチュエータ341を含む。さらに、移送デバイス300は、第1流体リザーバ380(本明細書では、「第1リザーバ」又は「プリサンプルリザーバ」とも呼ぶ)と第2流体リザーバ390(本明細書では、「第2リザーバ」又は「サンプルリザーバ」とも呼ぶ)とを含むか又は規定するように構成されている。移送デバイス300は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、図7及び図8において実質的に円筒状であるものとして示されているが、移送デバイス300は、正方形、矩形、多角形及び/又は他のあらゆる非円筒状の形状であり得る。さらに、移送デバイス300のいくつかの部分を、図2図6に関して上述した移送デバイス200の対応する部分と実質的に同様とすることができる。従って、こうした部分については、本明細書ではそれ以上詳細に記載せず、異なるように明示的に記載されていない限り、実質的に同様であるとみなされるべきである。
【0052】
[1074] 図7及び図8に示すように、ハウジング301は、近位端部分302及び遠位端部分303を含み、それらの間に内部空間311を規定している。ハウジング301の近位端部分302は、実質的に開放しており、アクチュエータ341の少なくとも一部を、アクチュエータ341のその部分が内部空間311内に移動可能に配置されるように、受け入れるように構成されている。さらに、内部空間311は、本明細書においてさらに記載するように、第2流体リザーバ390を規定するように構成されている。ハウジング301の遠位端部分303はポート305を含む。ポート305は、上述したもののような内腔のあるデバイスに結合されるか又はそれと一体的に形成されるように構成されている。
【0053】
[1075] 上述したように、アクチュエータ341は、内部空間311内に配置され、第1位置(例えば、ハウジング301に対する遠位位置)と第2位置(例えば、ハウジング301に対する近位位置)との間で移動可能である。アクチュエータ341は、近位端部分342と遠位端部分343とを含み、それらの間に内部空間346を規定している。近位端部分342は、アクチュエータ機構240の第2部材251に関して上述したように、作動部分350を含む。さらに、第1リザーバ380の少なくとも一部を内部空間346内で移動可能に配置することができるように、近位端342は実質的に開放している。
【0054】
[1076] アクチュエータ341の遠位端部分343はプランジャ347を含む。プランジャ347は、図2図6を参照して詳細に上述したように、アクチュエータ341がハウジング301内に配置された時に、内部空間311を規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成するように構成されている。プランジャ347はまた、プランジャ347の遠位端及び近位端を通して延在するチャネル348も規定している。チャネル348は、基部376及び穿孔部材377を有するポート375を受け入れるように構成されている。基部376を、チャネル348内に配置することができ、基部376は、チャネル348を規定する設定された壁と摩擦嵌めを形成する。このように、基部376とチャネル348を規定する壁とは、実質的流体密封シールを形成することができる。ポート375の穿孔部材377は、基部376から近位方向に延在するように構成されている。図8に示すように、穿孔部材377を、例えば針を露出させるように選択的に移動させるように構成されたシース内に配置することができる。簡単のために、図8図10は、穿孔部材のシースのみを示し、その中に配置された針は示していない。
【0055】
[1077] チャネル348を規定する一組の壁の一部は、弁座349を形成するように構成されている。このように、チャネル348の一部は弁370を、弁座349と接触するように受け入れることができる。弁370をあらゆる好適な構成とすることができ、例えば、弁370は、上述した弁270と形態及び機能が同様であり得る。このように、プランジャ347及び弁370の配置は、本明細書においてさらに記載するように、弁370が開放形態にある時、ポート375が、プランジャ347の遠位側にあるハウジング301の内部空間311の部分と流体連通するように配置される、というものである。
【0056】
[1078] 使用時、使用者は、例えば、バタフライ針、カニューレアセンブリ、(場合によっては、カニューレを患者の体内に挿入するために使用される)トロカール等、内腔規定デバイス(図示せず)の近位端部分にポート305を結合するように、移送デバイス300を作動させることができる。ポート305が内腔規定デバイスに物理的に結合された状態で、ポート305は、内腔規定デバイスによって規定される内腔と流体連通するように配置される。さらに、内腔規定デバイスの遠位端部分を、患者の身体の一部(例えば、静脈)内に配置することができる。このように、ポート305は、身体の一部と流体連通するように配置される。
【0057】
[1079] ポート305が内腔規定デバイスに結合された状態で、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)は、移送デバイス300を第1配置から第2配置に移動させることができる。このように、使用者は、第1リザーバ380を作動させて、アクチュエータ341によって規定される内部空間346内に第1リザーバ380を配置することができる。より具体的には、図8に示すように、第1リザーバ380は、流体を受け入れるように構成された外部流体リザーバであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1リザーバ380は、Vacutainer(登録商標)及び/又は負圧ありあるいはなしでの移送デバイス300内の一体的に形成されたチャンバであり得る。他の実施形態では、第1リザーバ380は、‘420特許に開示されているもののようなプリサンプルリザーバであり得る。このように、第1リザーバ380を、図9において矢印EEによって示すように、アクチュエータ341の内部空間346内に配置することができる。
【0058】
[1080] アクチュエータ341の内部空間346内に第1リザーバ380を挿入することにより、移送デバイス300を第2配置に配置することができる。さらに第1リザーバ380の遠位端部分を、ポート375の穿孔部材377を受け入れることができる穿孔可能隔壁を含むように構成することができる。図9には示さないが、第1リザーバ380の遠位端部分は、穿孔部材377のシースが移動し、それにより針を露出させるように、ポート375と係合することができる。従って、針は、第1リザーバ380の隔壁を穿孔して、第1リザーバ380をポート375と流体連通するように配置することができる。第1リザーバ380の配置はまた、その中に規定される内部空間が実質的に真空にされるようなものであり得る。同様に言えば、第1リザーバ380の内部空間は負圧を規定する。
【0059】
[1081] 図9において矢印FFによって示すように、ポート305、弁370及びポート375は、第1リザーバ380が内腔規定デバイスと流体連通するように流体流路を規定する。従って、第1リザーバ380は、患者の一部(例えば、静脈、脊椎腔等)と流体連通するように配置される。さらに詳述すると、第1リザーバ380内の負圧は、弁370を閉鎖形態から開放形態に移動させるように動作可能であり得る。このように、第1リザーバ380内の負圧により、患者のその部分の中に吸引力が導入される。従って、体液が、ポート305、弁370及びポート375を通して第1リザーバ380内に引き込まれる。いくつかの実施形態では、体液は、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部汚染物質等、望ましくない微生物を含む可能性がある。
【0060】
[1082] 移送デバイス300を、第2配置にある間、第1リザーバ380に移送された所望の量(例えば、所定量)の体液を移送するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の所定量は、第1リザーバ380及び患者のその部分の中の圧力の等化に実質的に対応することができる。さらに、こうした実施形態では、圧力の等化により、弁370が閉鎖形態に戻るのを可能にすることができる。従って、第1リザーバ380は、第1リザーバ380の実質的に外側の空間から流体的に隔離されている。
【0061】
[1083] 第1量の体液(例えば、皮膚に存在する微生物を含有する量)が流体的に隔離された状態で、第1リザーバ380を、アクチュエータ341の内部空間346から取り除いて廃棄することができる。このように、アクチュエータ341を、近位方向に移動させることによって第2配置から第3配置に移動させることができる。例えば、図10において矢印GGによって示すように、使用者は、アクチュエータ341の作動部分350に力を加えて、アクチュエータ341をハウジング301に対して移動させることができる。ハウジング301の内部空間311内のアクチュエータ341の配置は、アクチュエータ341の近位方向の動きにより、プランジャ347の遠位側の内部空間311の部分の体積が増大し、それにより第2リザーバ390が規定されるというものである。さらに、プランジャ347が、内部空間311を規定する壁の内面と流体密封シールを形成し、かつ弁370が閉鎖形態にあることにより、体積の増大によって、第2リザーバ390内に負圧をもたらすことができる。
【0062】
[1084] 図10において矢印HHによって示すように、ポート305と内部空間311の一部とは、第2リザーバ390が内腔規定デバイスと流体連通するように流体流路を規定する。従って、第2リザーバ380は、患者の一部(例えば、静脈、脊椎腔等)と流体連通するように配置される。さらに詳述すると、プランジャ347の移動によってもたらされる第2リザーバ390内の負圧により、患者のその部分の中に吸引力が導入される。従って、体液が、ポート305を通して第2リザーバ390内に引き込まれる。さらに、第2リザーバ390内に収容される体液には、一般に患者のその部分の外側に見いだされる微生物(例えば、皮膚に存在する微生物、移送デバイス300によって規定される内腔内の微生物、内腔規定デバイスによって規定される内腔内の微生物、及び/又は他のあらゆる望ましくない微生物)が実質的にない。図7図10には示さないが、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス300を、同様に患者サンプルの汚染を低減させるように構成されている、患者と流体連通しているデバイスに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス300を、‘758出願に記載されているもののような内腔のない針等と使用することができる。
【0063】
[1085] 図7図10には示さないが、アクチュエータ341を、第3配置から第4配置に移動させて、移送デバイス300を第4配置に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、所望の量の体液が第2流体リザーバ390内に配置された状態で、移送デバイス300を患者の一部から取り除き、容器(例えば、バイアル、試験管、ペトリ皿、培地、検査装置、カートリッジ等)の上方に又は中に配置することができ、それにより、第2量の体液の少なくとも一部を検査することができる。さらに詳述すると、使用者は、作動部分350に力を加えて、アクチュエータ341を遠位方向に移動させることができる。従って、弁370が閉鎖形態にある状態で、作動部分350に加えられる力、ハウジング301に対して遠位方向において、第2量の体液の所望の部分を内腔規定デバイスから容器内に放出するアクチュエータ341。
【0064】
[1086] 上に示した実施形態は、体液の流れを方向付けるように動作可能なアクチュエータを記載しているが、いくつかの実施形態では、移送デバイスは、体液の流れを方向付けるように構成された流れ制御機構を含むことができる。例えば、図11図15は、実施形態によるシリンジ型移送デバイス400を示す。シリンジ型移送デバイス400(本明細書では、「体液移送デバイス」、「流体移送デバイス」又は「移送デバイス」とも呼ぶ)は、ハウジング401、流れ制御機構430及びアクチュエータ機構440を含む。さらに、移送デバイス400は、第1流体リザーバ480(本明細書では、「第1リザーバ」又は「プリサンプルリザーバ」とも呼ぶ)と第2流体リザーバ490(本明細書では、「第2リザーバ」又は「サンプルリザーバ」とも呼ぶ)とを含むか又は規定するように構成されている。移送デバイス400は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、図11及び図12において実質的に円筒状であるものとして示されているが、移送デバイス400は、正方形、矩形、多角形及び/又は他のあらゆる非円筒状の形状であり得る。さらに、移送デバイス400のいくつかの部分を、図2図6に関して上述した移送デバイス200の対応する部分と実質的に同様とすることができる。従って、こうした部分については、本明細書ではそれ以上詳細に記載せず、異なるように明示的に記載されていない限り、実質的に同様であるとみなされるべきである。
【0065】
[1087] 図11及び図12に示すように、ハウジング401は、近位端部分402及び遠位端部分403を含み、それらの間に内部空間411を規定している。ハウジング401の近位端部分402は、実質的に開放しており、アクチュエータ機構440の少なくとも一部を、アクチュエータ機構440のその部分が内部空間411内に移動可能に配置されるように、受け入れるように構成されている。さらに、内部空間411は、本明細書においてさらに記載するように、第1流体リザーバ480及び第2流体リザーバ490を少なくとも部分的に規定するように構成されている。
【0066】
[1088] ハウジング401の遠位端部分403は、ポート405及び分流器409を含む。ポート405は、上述したもののような内腔のあるデバイスに結合されるか又はそれと一体的に形成されるように構成されている。分流器409は、流れ制御機構430の一部を移動可能に受け入れる空隙408を規定している。図13に示すように、空隙408は、ポート405と流体連通している。分流器409は、空隙408及び内部空間411の第1部分と流体連通している第1内腔406と、空隙408及び内部空間411の第2部分と流体連通している第2内腔407とをさらに規定している。このように、分流器409は、本明細書においてさらに記載するように体液の流れを選択的に受け入れることができる。
【0067】
[1089] 図12に戻ると、流れ制御機構430は、第1部材431及び第2部材435を含む。上述したように、流れ制御機構430の少なくとも一部は、ハウジング401の一部の中に移動可能に配置されている。より具体的には、第1部材431は、分流器409の空隙408内に回転可能に配置されている。第1部材431は、第1内腔432及び第2内腔433を規定し、円形断面形状を規定している。このように、第1部材431を、その一部が空隙408を規定する分流器409の壁と摩擦嵌めを形成するように、空隙408内に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部材431は、シリコーンから形成され、直径が空隙408の直径より大きい。このように、第1部材431の直径は、第1部材431が空隙408内に配置されると低減する。従って、第1部材431の外面は、空隙408を規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成する。他の実施形態では、第1部材431は、分流器409の空隙408内に配置された時に変形するように構成されたあらゆる好適なエラストマーであり得る。
【0068】
[1090] 第2部材435は、空隙408の実質的に外側に配置され、使用者が、流れ制御機構430を第1配置と第2配置との間で回転させるように作動させることができる。さらに、第1部材431を、第2部材445に結合し及び/又は他の方法で係合させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2部材435を、機械的締結具及び/又は接着剤を介して第1部材431に結合することができる。他の実施形態では、第2部材435及び第1部材431を、あらゆる好適な方法で結合することができる。従って、第1部材431は、第2部材435がハウジング401に対して回転する時に第2部材435と同時に移動するように構成されている。このように、流れ制御機構430を回転させて、本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1内腔432又は第2内腔433をポート405、第1内腔406及び/又は第2内腔407と流体連通するように配置することができる。
【0069】
[1091] 上述したように、アクチュエータ機構440は、内部空間411内に配置され、第1位置(例えば、ハウジング401に対する遠位位置)と第2位置(例えば、ハウジング401に対する近位位置)との間で移動可能である。さらに、ハウジング401に対するアクチュエータ機構440の移動により、本明細書においてさらに記載するように、移送デバイス400が第1配置、第2配置及び第3配置の間で移動することができる。アクチュエータ機構440は、第1部材470及び第2部材451を含む。第1部材470は分流管471及びプランジャ476を含む。プランジャ476は、チャネル477を規定し、それは、分流管471の周囲に移動可能に配置されるように構成されている。同様に言えば、分流管471は、チャネル477内に配置されている。プランジャ476は、詳細に上述したものと機能が実質的に同様であり得る。例えば、プランジャ476を、ハウジング401の内部空間411を規定する一組の壁と摩擦嵌めを形成するように構成することができる。このように、プランジャ476と内部空間411を規定する壁とは、実質的流体密封シールを形成する。同様に、プランジャ476及び分流管471は、実質的流体密封シールを形成する。従って、プランジャ476は、プランジャ476の近位側の内部空間411の部分をプランジャ476の遠位側の内部空間411の部分から流体的に隔離する。
【0070】
[1092] 分流管471は、近位端部分472及び遠位端部分473を含む。遠位端部分473は、分流管471によって規定される内腔475が、分流器409によって規定される第2内腔407と流体連通するように、分流器409の一部に結合されている。分流管471の近位端部分472は、本明細書においてさらに記載するように、突起474を含み、突起474は、プランジャ476の分流管471に対する近位方向の移動を実質的に制限するようにプランジャ476と係合するように構成されている。
【0071】
[1093] アクチュエータ機構440の第2部材451は、近位端部分452及び遠位端部分453を含む。近位端部分452は作動部分458を含み、それを、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)が、アクチュエータ機構440の少なくとも一部をハウジング401に対して移動させるように作動させることができる。遠位端部分453は、第2部材451が内部空間411とともに配置された時に内部空間446を規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成するように構成されたプランジャ457を含む。同様に言えば、プランジャ457は、内部空間411を規定する壁の内面と流体シールを規定し、それにより、プランジャ457の近位側の内部空間411の部分が、プランジャ457の遠位側の内部空間411の部分から流体的に隔離される。
【0072】
[1094] 図11図15には示さないが、第2部材451を、第1部材470のプランジャ476に少なくとも一時的に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2部材451のプランジャ457は、第1部材470のプランジャ476によって規定される溝内に配置されるように構成された突起を含むことができる。このように、第1部材470及び第2部材451を、ハウジング401内で少なくとも一時的にまとめて移動するように構成することができ、互いに対して少なくとも一時的に移動するようにさらに構成することができる。
【0073】
[1095] 図13に示すように、遠位端部分453は、分流管471の一部の周囲に選択的に配置されるように構成されたチャネル459を規定している。さらに詳述すると、チャネル459を、直径が、第2部材451が分流管471の周囲を自由に移動することができるように十分大きいように構成することができる(例えば、分流管471とチャネルを規定する壁とは実質的な摩擦嵌めを形成しない)。
【0074】
[1096] 使用時、使用者は、例えば、バタフライ針、カニューレアセンブリ、(場合によっては、カニューレを患者の体内に挿入するために使用される)トロカール等、内腔規定デバイス(図示せず)の近位端部分にポート405を結合するように、移送デバイス400を作動させることができる。ポート405が内腔規定デバイスに物理的に結合された状態で、ポート405は、内腔規定デバイスによって規定される内腔と流体連通するように配置される。さらに、内腔規定デバイスの遠位端部分を、患者の身体の一部(例えば、静脈、脊柱等)の中に配置することができる。このように、ポート405は、身体のその部分と流体連通するように配置される。
【0075】
[1097] ポート405が内腔規定デバイスに結合された状態で、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)は、移送デバイス400を第1配置から第2配置に移動させることができる。より具体的には、使用者は、アクチュエータ機構440に含まれる第2部材451の作動部分458を作動させ、図14において矢印IIによって示すように、アクチュエータ機構440をその第1配置からその第2配置まで移動させ、それにより、移送デバイス400を第2配置に配置することができる。このように、アクチュエータ機構440は、ハウジング401に対して近位方向に移動する。
【0076】
[1098] アクチュエータ機構440の配置は、第2部材451の近位方向の動きにより第1部材470のプランジャ476が分流管471に対して近位方向に移動する、というものである。さらに詳述すると、第1部材470及び第2部材451がハウジング401に対して近位方向に同時に移動するように、第1部材470を第2部材451に少なくとも一時的に結合することができる。このように、第1部材470は、分流管471に含まれる突起474と接触するように配置されるまで、近位方向に移動する。さらに、プランジャ476の近位方向の移動により、プランジャ476の遠位側のハウジング401の内部空間411の部分の体積が増大し、それにより、図14に示すように、第1リザーバ480が規定される。プランジャ476が、内部空間411を規定する壁の内面とかつプランジャ476が周囲に配置される分流管471と流体密封シールを形成することにより、内部空間411のその部分の体積増大により、第1リザーバ480内に負圧をもたらすことができる。
【0077】
[1099] 移送デバイス400が第2配置に配置されている間、流れ制御機構430を第1配置に維持することができる。このように、流れ制御機構430の第1部材431を空隙408内に配置することができ、それにより、流れ制御機構430によって規定される第1内腔432が、ポート405と流体連通し、かつ分流器409によって規定される第1内腔406と流体連通する。このように、ポート405と、流れ制御機構430によって規定される第1内腔432と、分流器409によって規定される第1内腔406とは、図14において矢印JJによって示すように、第1リザーバ480を内腔規定デバイスと流体連通するように配置する流体流路を規定する。従って、第1リザーバ480は、患者の一部(例えば、静脈)と流体連通するように配置される。さらに詳述すると、(矢印IIによって示すように)プランジャ476の移動によってもたらされる第1リザーバ480内の負圧により、患者のその部分の中に負圧が導入される。従って、体液が、ポート405、流れ制御機構430によって規定された第1内腔432、及び分流器409によって規定された第1内腔406を通して、流体リザーバ480内に引き込まれる。いくつかの実施形態では、体液は、例えば、皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部汚染物質等、望ましくない微生物を含む可能性がある。
【0078】
[1100] いくつかの実施形態では、吸引緑の大きさを、回転流れ制御機構430を分流器409に対して移動させることによって調整することができる。流れ制御機構330の回転により、ポート405と流れ制御機構430の第1内腔432との間及び分流器409の第1内腔406と流れ制御機構430の第1内腔432との間の流体経路のサイズ(例えば、内径)が低減し、それにより、患者の静脈内に導入される吸引力が低減する。
【0079】
[1101] 所望の量の体液が第1リザーバ480に移送されると、使用者は、移送デバイス400を第2配置から第3配置に移動させるように移送デバイス400を作動させることができる。いくつかの実施形態では、第1リザーバ480に移送される所望の量の体液は、(上述したような)所定量の流体である。いくつかの実施形態では、第1リザーバ480の体積は、1センチリットル又は数センチリットルの体液を収容するのに十分である。他の実施形態では、第1リザーバ480を、約0.1mlから約3.0mlまで収容するように構成することができる。さらに他の実施形態では、第1リザーバ480を、約3.0ml、4.0ml、5.0ml、6.0ml、7.0ml、8.0ml、9.0ml、10.0ml、15.0ml、20.0ml、25.0ml、50mlから又はそれらの間のあらゆる体積あるいは体積の分数値を収容するように構成することができる。いくつかの実施形態では、体液の所定量(例えば、体積)は、ポート405、流れ制御機構430の第1内腔432、分流器409の第1内腔406及び内腔規定デバイスの結合された体積に少なくとも等しい。他の実施形態では、流れ制御機構430を、使用者の介入なしに流体流を分流させるように、第1配置から第2配置に自動的に移動するように構成することができる。
【0080】
[1102] 図15に示すように、矢印KKによって示すように、流れ制御機構430の第2部材435を分流器409に対して回転させることによって、移送デバイス400を第2配置から第3配置に移動させることができる。このように、流れ制御機構430は、第2配置に移動し、第1内腔432は、ポート405及び分流器409の第1内腔406から流体的に隔離される。従って、第1リザーバ480は、第1リザーバ480の実質的に外側の空間から流体的に隔離される。さらに、流れ制御機構430によって規定される第2内腔433は、ポート405及び分流器409によって規定される第2内腔407と流体連通するように配置される。従って、ポート405、流れ制御機構430の第2内腔433、分流器409の第2内腔407及び分流管471の内腔475は、矢印LLによって示すように、流体流路を規定する。
【0081】
[1103] 流れ制御機構430が第2配置に配置された状態で、アクチュエータ機構440の第2部材451を、第2配置から第3配置に移動させることができる。さらに詳述すると、プランジャ476が分流管471の突起474と接触した状態で、第2部材451を近位方向に移動させて、プランジャ476から第2部材451を分離することができる(上述したように、プランジャ476は、第1部材451に少なくとも一時的に結合される)。このように、図15の矢印MMによって示すように、第2部材451を、第1部材470に対して近位方向に移動させることができる。第1部材470に対する第2部材451の近位方向の移動により、第1部材470のプランジャ476の近位側でありかつ第2部材451のプランジャ457の遠位側である内部空間411の部分の体積が増大し、それにより第2リザーバ490が規定される。
【0082】
[1104] 第1部材470のプランジャ476及び第2部材451のプランジャ457が、内部空間411を規定する壁の内面と流体密封シールを形成することにより、内部空間411のその部分の体積増大によって、第1リザーバ490内に負圧をもたらすことができる。従って、第2リザーバ490内の負圧により、第2リザーバ490と患者の身体のその部分との間の負圧の差によって、患者のその部分の中に吸引力が導入されることになる。従って、所望の量の体液が、ポート405、流れ制御機構430の第2内腔433、分流器409の第2内腔407、及び分流管471によって規定される内腔475を通して、第2リザーバ490内に引き込まれる。さらに、第2リザーバ490内に配置された体液は、第1リザーバ480内に収容された第1の所定量の体液から流体的に隔離される。
【0083】
[1105] 図11図15には示さないが、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス400を、同様に患者サンプルの汚染を低減させるように構成されている、患者と流体連通しているデバイスに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイス400を、‘758出願に記載されているもののような内腔のない針等と使用することができる。
【0084】
[1106] 図11図15には示さないが、アクチュエータ機構440を、第3配置から第4配置に移動させて、移送デバイス400を第4配置に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、所望の量の体液が第2流体リザーバ490内に配置された状態で、移送デバイス400を患者の一部から取り除き、容器(例えば、バイアル、試験管、ペトリ皿、培地、検査装置等)の上方に又は中に配置することができ、それにより、第2量の体液の一部を検査することができる。さらに詳述すると、使用者は、作動部分458に力を加えて、第2部材451を遠位方向に移動させることができる。従って、作動部分458に加えられる力により、第2部材451がハウジング301に対して遠位方向に移動し、第2量の体液の所望の部分が内腔規定デバイスから容器内に放出される。
【0085】
[1107] 移送デバイス400を、ポート405を第1リザーバ480及び第2リザーバ490それぞれと流体連通するように選択的に配置する、第1内腔432及び第2内腔433を規定する流れ制御機構430を含むものとして示し上述しているが、他の実施形態では、移送デバイスは体液の流れを選択的に阻止するか又は遮断するように構成された1つ又は複数の部分を備えた流れ制御機構を含むことができる。例えば、図16及び図17は、実施形態によるシリンジ型移送デバイス500の少なくとも一部を示す。シリンジ型移送デバイス500(本明細書では、「体液移送デバイス」、「流体移送デバイス」又は「移送デバイス」とも呼ぶ)は、ハウジング501及び流れ制御機構530を含み、流体リザーバ580(本明細書では、「第1リザーバ」又は「プリサンプルリザーバ」とも呼ぶ)を規定している。図16及び図17には示さないが、移送デバイス500を、アクチュエータ等に結合することができ、及び/又は、移送デバイス500は、アクチュエータ等を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ハウジング501は、シリンジ等に結合することができる近位ポート515を含むことができる。こうした実施形態では、近位ポート515を、例えば、シリンジの遠位ポートに物理的にかつ流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、シリンジを、体液の流れを受け取ることができる流体リザーバ(例えば、図16及び図17に示さないサンプルリザーバ)を規定するように構成することができる。他の実施形態では、近位ポート515を、プランジャを含むアクチュエータを受け入れるように構成することができる。こうした実施形態では、プランジャは、近位ポート515の内面と実質的流体密封シールを形成することができ、それにより、プランジャに対して遠位の第2体積からプランジャに対して近位の第1体積を流体的に隔離する。さらに他の実施形態では、近位ポート515を、例えば負圧を規定することができる流体リザーバに物理的にかつ流体的に結合することができる。このように、ハウジング501の近位ポート515を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ハウジング501の少なくとも一部の中に負圧を導入することができ、及び/又は体液の流れを受け取るように構成された流体リザーバを規定することができる、あらゆる好適なデバイス、機構、アセンブリ、サブアセンブリ等に結合することができる。
【0086】
[1108] 図16及び図17に示すように、ハウジング501は、遠位ポート505及び分流器509を含み、遠位ポート505及び近位ポート515と流体連通している内部空間511を規定している。内部空間511は、本明細書においてさらに記載するように、流体リザーバ580を少なくとも部分的に規定することができる。分流器509は、あらゆる好適な構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、分流器509は、体液の流体を内部空間511内で方向付けるように内部空間511内に延在することができる一組の壁であり得る。例えば、図16及び図17に示すように、分流器509は、内部空間511の一部の境界を定めることができる環状壁又は環状壁の組であり得る。さらに、内部空間511内の分流器509の配置は、分流器509と内部空間511を規定するハウジング501の一組の壁とが、本明細書においてさらに詳細に記載するように、近位ポート515及び遠位ポート505と流体連通するように選択的に配置することができる、第1チャネル506及び第2チャネル507を少なくとも部分的に規定する、と言うものであり得る。分流器509はまた、分流器509の実質的楔状部分510を形成することができる壁又は壁の組も含む。例えば、図16及び図17に示すように、楔状部分510を形成する分流器509の壁は、内部空間511の中心から半径方向に延在することができる。このように、楔状部分510は、内部空間511の一部を分割し及び/又は遮断して、流体リザーバ580の少なくとも一部を規定することができる。さらに、楔状部分510は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、例えば、近位ポート515から流体リザーバ580を流体的に隔離するように、流れ制御機構530の一部によって選択的に遮断することができるチャネル516又は流路を規定することができる。
【0087】
[1109] 移送デバイス500の流れ制御機構530は、第1部材537、第2部材538及び第3部材539を含む。流れ制御機構530の少なくとも一部は、ハウジング501の内部空間511の一部の中に移動可能に配置される。より具体的には、第1部材537は、分流器509の空隙508内に配置されたハウジング501のハブ517に回転可能に結合される。同様に、第2部材538及び第3部材539を、分流器509の一部を規定する環状壁の外面、及び内部空間511を規定するハウジング501の周辺部分それぞれに、回転可能に結合することができる。第1部材537、第2部材538及び第3部材539は、あらゆる好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1部材537、第2部材538及び第3部材539は、ゲート構成等で配置することができる弁等であり得る。より具体的には、第1部材537、第2部材538及び第3部材539は、ハウジング501の内面と接触するように選択的に配置することができる実質的に薄い細長い部材であり得る。例えば、第1部材537は、ハブ517から半径方向に延在して、分流器509の少なくとも一部を形成する環状壁の内面と接触するように配置され得る。さらに、第1部材537を、環状壁の内面と実質的流体密封シールを形成するように、相対的に可撓性及び/又は圧縮性の材料から形成することができる。このように、本明細書においてさらに詳細に記載するように、第1部材537と分流器509の楔状部分510とは、まとめて、それらの間の流体リザーバ580の少なくとも一部を規定することができ、第1部材537は、例えば、近位ポート515と流体連通している内部空間511の一部から流体リザーバ580を流体的に隔離することができる。
【0088】
[1110] 流れ制御機構の第2部材538及び第3部材539を、同様に配置することができる。例えば、第2部材538は、分流器509の一部を形成する環状壁の外面から延在して、ハウジング511の内面と接触するように配置され得る。使用時、第2部材538を、第1位置と第2位置との間で回転させて、第1チャネル506及び第2チャネル507をそれぞれ、遠位ポート505と流体連通するように選択的に配置することができる。同様に、第3部材539は、内部空間511を規定するハウジング501の周辺壁の内面から延在して、分流器509の一部を形成する環状壁の外面と接触するように配置され得る。使用時、第3部材を第1位置と第2位置との間で回転させて、遠位ポート505を近位ポート515と流体連通するように選択的に配置することができる。
【0089】
[1111] 使用時、瀉血専門医、技師、医師、看護師等は、近位ポート515を(図16及び図17には示さない)シリンジ等に物理的にかつ流体的に結合することにより、移送デバイス500を操作することができる。いくつかの実施形態では、シリンジは、例えば皮膚に存在する微生物が実質的にない体液の流れを受け取るように構成されたサンプルリザーバ等を形成することができる。図16に示すように、第1部材537、第2部材538及び第3部材539は、各々、第1チャネル506が遠位ポート505と流体連通し、一方で第2チャネル507が遠位ポート505及び近位ポート515から流体的に隔離されるように、ハウジング501に対してそれらの第1位置にあり得る。図16及び図17には示さないが、遠位ポート505を、例えばバタフライ針、カニューレアセンブリ、(場合によってはカテーテルを患者の体内に挿入するために使用される)トロカール等の内腔規定デバイスの近位端部分に結合することができる。ポート505が内腔規定デバイスに物理的に結合された状態で、ポート505は、内腔規定デバイスによって規定された内腔と流体連通するように配置される。さらに、内腔規定デバイスの遠位端部分を、患者の体内の一部(例えば、静脈、脊柱等)の中に配置することができる。このように、ポート505は、身体の一部と流体連通するように配置される。遠位ポート505を内腔規定デバイスに結合する前に近位ポート515をシリンジに物理的にかつ流体的に結合するものとして上述したが、場合によっては、近位ポート515をシリンジに結合する前に、遠位ポート505を内腔規定デバイスに結合することができる。
【0090】
[1112] ポート505が内腔規定デバイスに結合された状態で、使用者(例えば、瀉血専門医、技師、医師、看護師等)は、移送デバイス500を第1配置から第2配置に移動させることができる。より具体的には、使用者は、図16において矢印NNによって示すように、第1部材537をハウジング501に対するその第1位置からハウジング501に対するその第2位置まで回転させるように、移送デバイス500を操作することができる。場合によっては、近位ポート515をシリンジ型デバイス等に結合することができ、シリンジ型デバイス等は、例えば、内部空間511の一部に、チャネル516を通して吸引力を及ぼす負圧を導入することができ、その吸引力が、第1部材537をその第1位置からその第2位置まで回転させるように動作可能である。同様に言えば、シリンジによってもたらされる負圧は、チャネル516を通して吸引力を及ぼし、第1部材537に対して使用者から直接の手動の介入なしに、第1部材537をその第1位置からその第2位置まで回転させることができる。第1部材537が、分流器509及び/又はハウジング501の内面と実質的流体密封シールを形成していることにより、第1部材537の回転によって、分流器509の楔状部分510と第1部材537との間に少なくとも部分的に規定された流体リザーバ580の体積が増大し、それによって、流体リザーバ580により負圧がもたらされる。さらに、第1チャネル506が流体リザーバ580及び遠位ポート505と流体連通していることにより、流体リザーバ580内の負圧は、第1チャネル506及び遠位ポート505を通して吸引力を及ぼすことができ、その吸引力が、図16において矢印OOによって示すように、患者からの体液の流れを、内腔規定デバイス(図示せず)及び第1チャネル506を通して流体リザーバ580内に付勢することができる。いくつかの実施形態では、体液は、例えば皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部汚染物質等の望ましくない微生物を含む可能性がある。
【0091】
[1113] 所望の量の体液が第1リザーバ580に移送されると、使用者は、移送デバイス500を第2配置から第3配置に移動させるように移送デバイス500を作動させることができる。いくつかの実施形態では、第1リザーバ580に移送される所望の量の体液は、(上述したような)所定量の流体である。いくつかの実施形態では、第1リザーバ580の体積は、1センチリットル又は数センチリットルの体液を収容するのに十分である。他の実施形態では、第1リザーバ580を、約0.1mlから約3.0mlまで収容するように構成することができる。さらに他の実施形態では、第1リザーバ580を、約3.0ml、4.0ml、5.0ml、6.0ml、7.0ml、8.0ml、9.0ml、10.0ml、15.0ml、20.0ml、25.0ml、50mlから又はそれらの間のあらゆる体積あるいは体積の分数値を収容するように構成することができる。いくつかの実施形態では、体液の所定量(例えば、体積)は、ポート505、第1チャネル506及び内腔規定デバイスの結合された体積に少なくとも等しい。いくつかの実施形態では、第1部材537を分流器509の楔状部分510の一部と接触するように配置してチャネル516が実質的に遮断されるように(例えば図17を参照)、第1部材537を第2位置まで回転させることができる。従って、所定の体積を、第1部材537の回転の量及び/又は分流器509の楔状部分510のサイズ、形状、角度等に関連付けることができる。
【0092】
[1114] 図17に示すように、流れ制御機構530の第2部材538及び第3部材539を、図17においてそれぞれ矢印PP及びQQによって示すように、分流器509及び/又はハウジング501に対して回転させることにより、移送デバイス500を第2配置から第3配置に移動させることができる。このように、第1部材537、第2部材538及び第3部材539がそれらの第2位置まで回転すると、流体リザーバ580及び第1チャネル506は、遠位ポート505及び近位ポート515から流体的に隔離され、流体リザーバ580内に所定体積の体液を封鎖する。さらに、第2チャネル507は、遠位ポート505及び近位ポート515と流体連通するように配置され、それにより、遠位ポート505はシリンジと流体連通するように配置される。従って、使用者は、近位ポート515、第2チャネル507、遠位ポート505及び内腔規定デバイスを通して、矢印RRによって示すように、患者からの体液の流れを例えばシリンジによって規定されるサンプルリザーバに付勢することができる吸引力を及ぼすように、シリンジを操作することができる。場合によっては、流体リザーバ580内で所定体積を封鎖することにより、上述したように、患者から(図16及び図17には示さない)シリンジによって規定されるサンプルリザーバへの体液の流れに、汚染物質(例えば、皮膚に存在する微生物等)がないようにすることができる。
【0093】
[1115] 図18図23は、実施形態によるシリンジ型移送デバイス600を示す。シリンジ型移送デバイス600(本明細書では、「体液移送デバイス」、「流体移送デバイス」又は「移送デバイス」とも呼ぶ)は、本明細書においてさらに記載するように、第1配置、第2配置、第3配置及び第4配置の間で移動するように構成されている。移送デバイス600は、ハウジング601及びアクチュエータ機構640を含む。さらに、移送デバイス600は、第1流体リザーバ680(本明細書では、「第1リザーバ」又は「プリサンプルリザーバ」とも呼ぶ)及び第2流体リザーバ690(本明細書では、「第2リザーバ」又は「サンプルリザーバ」とも呼ぶ)を含むか又は規定するように構成されている。
【0094】
[1116] 図18図20に示すように、ハウジング601は、近位端部分602、遠位端部分603及び中間部分604を含み、内部空間611を規定している。ハウジング601の近位端部分602は、実質的に開放しており、アクチュエータ機構640の少なくとも一部を受け入れるように構成されている。ハウジング601の遠位端部分603は、ポート605及び一組の通気孔612を含む。通気孔612を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、気体(例えば空気)が内部空間611の一部からハウジング601の外側の空間に流れるのを可能にするように構成することができる。ポート605は、上述したもの等、内腔のあるデバイスに結合されるか又はそれと一体的に形成されるように構成されている。さらに、図20に示すように、ポート605は細長い部分613を含み、それは、本明細書においてさらに詳細に記載するように、内腔614を規定し、かつ内部空間611の一部の中に配置されるように近位方向においてポートから延在するように構成されている。
【0095】
[1117] ハウジング601の中間部分604は、ハウジング601に対して実質的に狭窄した部分を規定し及び/又は形成している。例えば、近位端部分602及び遠位端部分603は、中間部分604の第2径より大きい第1径を有することができる。このように、中間部分604は、ハウジング601の近位端部分602によって規定される内部空間611の第1部分611Aと、アクチュエータ機構640の一部を移動可能に受け入れることができる遠位端部分603によって規定される内部空間611の第2部分611Bとの間にチャネル又は内腔を形成することができる。さらに、中間部分604は、例えば、アクチュエータ機構640の一部と実質的流体密封シールを形成することができるOリング等、シール部材665を含むことができ、それにより、本明細書においてさらに詳細に記載するように、内部空間611の第1部分611Aを内部空間611の第2部分611Bから流体的に隔離する。
【0096】
[1118] 上述したように、アクチュエータ機構640は、内部空間611内に配置され、第1部分(例えば、ハウジング601に対する遠位部分)と第2部分(例えば、ハウジング601に対する近位部分)との間で移動可能である。さらに、ハウジング601に対するアクチュエータ機構640の移動により、本明細書においてさらに記載するように、移送デバイス600が第1配置、第2配置、第3配置及び第4配置の間で移動することができる。アクチュエータ機構640は、第1部材641及び第2部材651を含む。アクチュエータ機構640の第1部材641は、近位端部分642及び遠位端部分643を含み、内部空間646を規定している。本明細書においてさらに記載するように、内部空間646の少なくとも一部は、第1リザーバ680を規定するように構成されている。図20に示すように、第1部材641の一部を、ハウジング601の中間部分604によって規定されるチャネル又は内腔内に移動可能に配置することができ、それにより、第1部材641の第1部分が内部空間611の第1部分611Aに配置され、第1部材641の第2部分が内部空間611の第2部分611Bに配置される。
【0097】
[1119] 第1部材641の近位端部分642は、ハウジング601の中間部分604を通して延在するように構成されている実質的に細長い部材又は分流管を形成している。いくつかの実施形態では、近位端部分642の少なくとも一部は、ハウジング601の中間部分604によって規定されるチャネル又は内腔の直径に実質的に対応する直径を有することができる。従って、シール部材665は、近位端部分の外面と実質的流体密封シールを形成することができる。さらに、本明細書においてより詳細に記載するように、近位端部分642は、近位端部分642を通して延在する内腔662を規定し、それにより、第1部材641の少なくとも一部を、内部空間611の第1部分611Aと流体連通するように配置することができる。
【0098】
[1120] 第1部材641の遠位端部分643は、内部空間611の第2部分611B内に移動可能に配置される。遠位端部分643は、プランジャ647及び破断可能シール661を含み、一組の通気孔660を規定している。通気孔660を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、気体(例えば、空気)が第1流体リザーバ680から内部空間611の第2部分661Bまで流れるのを可能にするように構成することができる。破断可能シール661を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、近位端部分642によって規定される内腔662を内部空間646から選択的に流体的に隔離するように構成することができる。プランジャ647は、内部空間611の第2部分611Bを規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成する。プランジャ647は、プランジャ647の遠位端及び近位端を通して延在するチャネル648を規定している。図20に示すように、チャネル648は、ポート605の細長い部分613を受け入れることができ、細長い部材613の外面と実質的流体密封シールを形成するように配置することができる。このように、遠位端部分643を、本明細書においてさらに詳細に記載するように、細長い部材613の周囲に配置し、ハウジング601に対して第1位置(例えば、近位位置)と第2位置(例えば、遠位位置)との間で移動させることができる。
【0099】
[1121] アクチュエータ機構640の第2部材651は、内部空間611の第1部分611A内に移動可能に配置され、近位端部分652及び遠位端部分653を含む。近位端部分652は、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)がアクチュエータ機構640の少なくとも一部をハウジング601に対して移動させるように作動させることができる作動部分658を含む。遠位端部分653は、内部空間611の第1部分611Aを規定する壁の内面と摩擦嵌めを形成するように構成されたプランジャ657を含む。本明細書においてさらに詳細に記載するように、第2部材651は、内部空間611の第1部分611A内で第1位置(例えば、遠位位置)と第2位置(例えば、近位位置)との間で移動可能であり得る。
【0100】
[1122] 使用時、使用者は、例えば、バタフライ針、カニューレアセンブリ、(場合によっては、カニューレを患者の体内に挿入するために使用される)トロカール等、内腔規定デバイス(図示せず)の近位端部分にポート605を結合するように、移送デバイス600を作動させることができる。ポート605が内腔規定デバイスに物理的に結合された状態で、ポート605は、内腔規定デバイスによって規定される内腔と流体連通するように配置される。さらに、内腔規定デバイスの遠位端部分を、患者の身体の一部(例えば、静脈)内に配置することができる。このように、ポート605は、身体の一部と流体連通するように配置される。
【0101】
[1123] ポート605が内腔規定デバイスに結合されると、使用者(例えば、瀉血専門医、看護師、技師、医師等)は、移送デバイス600を、第1配置(図20)から第2配置(図21)まで移動させることができる。例えば、使用者は、図21において矢印SSによって示すように、アクチュエータ機構640を内部空間611内で遠位方向に移動させるように、第2部材651の作動部分658を作動させることができる。より具体的には、アクチュエータ機構640の配置は、第1部材641の近位端部分642が、第2部材651に含まれるプランジャ657の遠位面と接触するというものであり得る。従って、内部空間611の第1部分611A内の第2部材651の遠位方向の移動により、第1部材641の近位端部分642が、ハウジング601の中間部分604によって規定されるチャネル又は内腔を通して移動することができ、それにより、第1部材641の一部が、内部空間611の第2部分611B内で同時に移動する。内部空間611の第2部分611B内における第1部材641の配置は、第1部材651の遠位方向の動きにより、プランジャ647の近位側の内部空間611の第2部分611Bの体積が増大し、それにより、(詳細に上述したように)プランジャ647の近位側の内部空間611の第2部分611B内に負圧がもたらされる、というものである。さらに、通気孔660が、プランジャ647の近位側の内部空間611の第2部分611Bと、かつ第1流体リザーバ680と流体連通しているポート605の細長い部分613によって規定される内腔614と流体連通するように第1流体リザーバ680を配置されることにより、負圧は、ポート605を通して、図21において矢印TTによって示すように、患者からの体液を、ポート605及び細長い部分613によって規定される内腔614を通して第1流体リザーバ680内に引き込むように動作可能であり得る吸引力を及ぼすことができる。いくつかの実施形態では、詳細に上述したように、体液は、例えば皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部汚染物質等、望ましくない微生物を含む可能性がある。
【0102】
[1124] 移送デバイス600を、第2配置にある間に、第1リザーバ680に移送された所望の量(例えば所定量)の体液を移送するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の所定量は、第1リザーバ680のサイズに実質的に対応することができる。他の実施形態では、第1量は、第1リザーバ680及び患者のその部分の中の圧力の等化に実質的に対応することができる。さらに、第1リザーバ680は、第1リザーバ680の実質的に外側の空間から流体的に隔離される。例えば、いくつかの実施形態では、通気孔660を、気体(例えば、空気)がそこを流れるのを可能にしながら、流体(例えば、体液)の流体を実質的に阻止するように構成することができる。
【0103】
[1125] 第1量の体液が流体的に隔離された状態で、アクチュエータ機構640を、遠位方向にさらに移動させることによって、第2配置から第3配置まで移動させることができる。例えば、図22において矢印UUによって示すように、使用者は、アクチュエータ機構640をハウジング601に対して移動させるように、第2部材651の作動部分658に力を加えることができる。従って、内部空間611の第1部分611A内の第2部材651の遠位方向の移動により、第1部材641の近位端部分642が、ハウジング601の中間部分604によって規定されたチャネル又は内腔を通して移動し、それにより、上述したように、第1部材641の一部が、内部空間611の第2部分611Bの中で同時に移動する。内部空間611の第2部分611Bにおける第1部材641の遠位方向の移動により、ポート605の細長い部分613が第1部材641に含まれる破断可能シール661と接触するように配置されるようにすることができる。従って、図22に示すように、第1部材641が細長い部分613に対してさらに遠位方向に移動することにより、細長い部分613が破断可能シールを刺し及び/又は破断する。従って、ポート605の細長い部分613によって規定される内腔614を、第1部材641の近位端部分642の内腔662と流体連通するように配置することができる。
【0104】
[1126] 細長い部分613の内腔614が近位端部分642の内腔662と流体連通している状態で、使用者は、アクチュエータ機構640を第3配置から第4配置まで移動させるようにアクチュエータ機構640を操作することができ、それにより移送デバイス600が第4配置に配置される。例えば、図23において矢印VVによって示すように、使用者は、第2部材651を、ハウジング601及び/又は第1部材641に対して近位方向に移動させるように作動部分658を操作することができる。従って、第2部材651の近位方向の移動により、プランジャ657の遠位側の内部空間611の第1部分611Aの体積が増大し、それにより第2リザーバ690が規定され及び/又は形成されることになる。従って、第2部材651の近位方向の移動により第2リザーバ690の体積が増大し、それにより、第2リザーバ690内に負圧がもたらされる。さらに、第1部材641の近位端部分642の内腔662が内部空間611の第1部分611Aと、かつ内腔662と流体連通しているポート605の細長い部分613の内腔614と流体連通していることにより、負圧は、患者からの体液を、細長い部分613及び近位端部分642それぞれによって規定された内腔614、662を通して第2リザーバ690内に引き込むように動作可能な吸引力を及ぼす。さらに、第2リザーバ690内に収容された体液には、患者のその部分の外側で一般に見出される微生物(例えば、皮膚に存在する微生物、移送デバイス600によって規定される内腔内の微生物、内腔規定デバイスによって規定される内腔内の微生物及び/又は他のあらゆる望ましくない微生物)が実質的にない。
【0105】
[1127] 図18図23には示さないが、所望の量の体液が第2リザーバ690に移送されると、アクチュエータ機構640を第4配置から第3配置まで移動させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、所望の量の体液が第2流体リザーバ690内に配置されると、移送デバイス600を、患者のその部分から取り除き、容器(例えば、バイアル、試験管、ペトリ皿、培地、検査装置、自動化された高速微生物検出システムと使用されるように設計されたカートリッジ等)の上方に又は中に配置することができ、それにより、第2量の体液の少なくとも一部を検査することができる。抜き取られた体液を、例えば、血液培養検査、リアルタイム診断及び/又はPCRに基づく手法等、あらゆる検査プロセス又は処置に使用することができる。さらに詳述すると、使用者は、第2部材651の作動部分658に力を加えて、第2部材651を遠位方向に移動させることができる。第1部材641がその第2位置(例えば、遠位位置)にあり、細長い部材613が第1リザーバ680を通して延在している状態で、第1リザーバ680内に収容された体液は、第1リザーバ680の外側の体積と流体的に隔離された状態で維持される。従って、作動部分658に加えられる力により、第2部材651が第1部材641及びハウジング601に対して遠位方向に移動し、それにより、第2量の体液の所望の部分が内腔規定デバイスから容器内に放出される。
【0106】
[1128] 図24は、シリンジ型移送デバイスを使用して患者から体液サンプルを取得する方法1000を示すフローチャートである。シリンジ型移送デバイスは、本明細書に記載するもの等のあらゆる好適なデバイスであり得る。従って、シリンジ型移送デバイスは、患者に結合されるように構成されたポートを有するハウジングと、ハウジング内に移動可能に配置されたアクチュエータ機構とを含むことができる。例えば、ハウジング、ポート及びアクチュエータ機構は、図2図6に関して上述したハウジング201、ポート205及びアクチュエータ機構240それぞれと実質的に同様であるか又は同じであり得る。
【0107】
[1129] 方法1000は、1001において、患者とシリンジ型移送デバイスのポートとの間に流体連通を確立するステップを含む。例えば、ポートを、例えば、患者と流体連通しているバタフライ針、カニューレアセンブリ等の内腔規定デバイスの近位端部分に結合することができる(例えば、内腔規定デバイスの少なくとも遠位端部分が患者の体内に配置される)。ポートが内腔規定デバイスに物理的にかつ流体的に結合された状態で、ポートは、身体と流体連通するように配置される。
【0108】
[1130] ポートが内腔規定デバイスに結合されると、使用者は、1002において、ポートと、シリンジ型移送デバイスに含まれ及び/又はそれによって規定されるプリサンプルリザーバとの間に流体連通を確立することができる。例えば、使用者は、アクチュエータ機構を第1配置から第2配置まで移動させ、それにより、ポートをプリサンプルリザーバと流体連通するように配置することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構の移動により内部容積を増大させることができ、それにより、図5において移送デバイス200に関して上述したように、プリサンプルリザーバ内に負圧をもたらすことができる。上述したように、いくつかの実施形態では、シリンジ型移送デバイスを、アクチュエータ機構の移動を制御することによって吸引力の大きさを調整するように操作することができる。このように、1003において、第1体積の体液は、シリンジ型移送デバイスによってプリサンプルリザーバに移送される。いくつかの実施形態では、体液は、例えば皮膚に存在する微生物及び/又は他の外部汚染物質等の望ましくない微生物を含む可能性がある。
【0109】
[1131] 体液の第1体積は、あらゆる好適な体積であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、プリサンプルリザーバに移送される体液の第1体積は、所定体積であり得る。いくつかの実施形態では、第1体積は、例えば、約0.1ml、約0.3ml、約0.5ml、約1.0ml、約2.0ml、約3.0ml、4.0ml、5.0ml、約10.0ml、約20ml、約50ml及び/又はそれらの間のあらゆる体積あるいはそれらの分数値であり得る。他の実施形態では、第1体積は、50mlを超えるか又は0.1ml未満であり得る。いくつかの実施形態では、第1体積は、プリサンプルリザーバ280のサイズに実質的に対応することができる。第1体積の体液がプリサンプルリザーバに移送されると、1004において、プリサンプルリザーバは、ポートから流体的に隔離されて、プリサンプルリザーバにおいて第1体積の体液が封鎖される。例えば、いくつかの実施形態では、使用者は、アクチュエータ機構を移動させ及び/又は他の方法でシリンジ型移送デバイスを操作して、プリサンプルリザーバを流体的に隔離することができる。
【0110】
[1132] 第1量が流体的に隔離された状態で、1005において、ポートと、アクチュエータ機構及びシリンジ型移送デバイスのハウジングによって少なくとも部分的に規定されたサンプルリザーバとの間に、流体連通が確立される。例えば、いくつかの実施形態では、ハウジングは、アクチュエータ機構が少なくとも部分的に配置される内部空間を規定することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ機構は、ハウジングの内部空間を規定する一組の壁と実質的流体密封シールを形成し、それによりサンプルリザーバを規定することができるシール部材又はプランジャを含むことができる。例えば、アクチュエータ機構及びハウジングは、図6のアクチュエータ機構240、ハウジング201及びサンプルリザーバ290に関して上述したものと同様に、サンプルリザーバを規定することができる。従って、1006において、アクチュエータ機構を第1位置から第2位置まで移動させて、患者からの第2体積の体液をサンプルリザーバ内に引き込むことができる。第1体積の体液がプリサンプルリザーバにおいて封鎖されることにより、サンプルリザーバに移送された第2体積の体液には、例えば皮膚に存在する微生物等の汚染物質が実質的にないようにすることができる。
【0111】
[1133] さまざまな実施形態について上述したが、それらは、限定ではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。上述した方法及びステップは、いくつかの事象が一定の順序で発生するように示すが、本開示の利益を有する当業者は、いくつかのステップの順序付けを変更することができ、こうした変更は本発明の変形によることを理解するであろう。さらに、いくつかのステップを、可能な場合は並行プロセスで同時に行うことができるとともに、上述したように逐次行うことができる。さらに、いくつかのステップを、後続するステップに進む前に部分的に完了することができる。例えば、移送デバイス400の流れ制御機構430を、アクチュエータ機構440の第2部材451より前に移動しているものとして(図15に関して)上述しているが、いくつかの実施形態では、第2部材451を、流れ制御機構430より前に又はそれと同時に移動させることができる。
【0112】
[1134] さまざまな実施形態について詳細に示し記載したが、形態及び詳細のさまざまな変更を行うことができる。例えば、流れ制御機構430を、単一方向に回転するものとして図11図15に関して示し記載しているが、他の実施形態では、流れ制御機構を、第1方向(例えば、図15において矢印KKの方向)及び第1方向とは反対の第2方向に回転させることができる。こうした実施形態では、第2方向における回転を、あらゆる数の形態を通して移送デバイスを移動させるように構成することができる。他の実施形態では、第2方向における流れ制御機構の回転を制限することができる。例えば、いくつかの実施形態では、流れ制御機構を、第2方向において回転が制限されるようにして、上述したように吸引力を低減するため等、流れ制御機構と内腔との間の流路の直径を制限することができる。
【0113】
[1135] さまざまな実施形態について、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして記載したが、本明細書に記載した実施形態のうちのいずれかからのあらゆる特徴及び/又は構成要素のあらゆるコンビネーション又はサブコンビネーションを有する他の実施形態が可能である。例えば、移送デバイス400は、図11図15において弁(例えば、移送デバイス200及び300において記載されているもの等)を含まないように示されているが、いくつかの実施形態では、移送デバイス400は弁を含むことができる。例えば、移送デバイス400は、分流器409の第1内腔406又は他のあらゆる好適な位置に弁を含むことができる。
【0114】
[1136] さまざまな構成要素の具体的な構成を変更することも可能である。例えば、さまざまな構成要素のサイズ及び具体的な形状は、図示する実施形態と異なり得るが、依然として、本明細書に記載する機能を提供することができる。より具体的には、さまざまな構成要素のサイズ及び形状を、体液リザーバ内への体液流の所望の速度に対して具体的に選択することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24