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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】曲管の製造装置、及び曲管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/025 20060101AFI20221122BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20221122BHJP
   B21D 9/00 20060101ALI20221122BHJP
   B21D 9/05 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B21D7/025 B
B21D5/01 S
B21D9/00 A
B21D9/05
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020190330
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079250
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸一郎
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-297456(JP,A)
【文献】特開2007-319904(JP,A)
【文献】特開2001-232421(JP,A)
【文献】特開平10-034247(JP,A)
【文献】特開昭60-234723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/00 - 9/07
B21D 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と、前記第1配管が内部に配置された第2配管と、前記第1配管と前記第2配管との連結部分とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造装置であって、
前記第1配管の内部に配置されるように構成された内側芯金と、
前記第1配管と前記第2配管との間に配置されるように構成された中間芯金と、
前記二重管を曲げるように構成された曲げ型と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記二重管のうち前記内側芯金及び前記中間芯金が配置された第1領域において、前記曲げ型により前記第1配管及び前記第2配管を第1方向に曲げる第1曲げ処理と、
前記第1曲げ処理の後、前記第1領域よりも前記連結部分から離れると共に、前記二重管のうち前記内側芯金及び前記中間芯金が配置された第2領域において、前記曲げ型により前記第1配管及び前記第2配管を第2方向に曲げる第2曲げ処理と、
前記第2曲げ処理の後、前記内側芯金及び前記中間芯金が前記第2領域に配置されていない状態で、前記第2領域で前記第2配管を前記第2方向と同じ向きに曲げる曲げ増し処理と、
を実行するように構成される、曲管の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の曲管の製造装置であって、
前記制御部は、前記第1曲げ処理の後、前記第1領域で前記第2配管を前記第1方向と同じ向きに曲げる補助曲げ増し処理を実行するように構成される、曲管の製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の曲管の製造装置であって、
前記制御部は、前記第2曲げ処理の後に前記補助曲げ増し処理を実行するように構成される、曲管の製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の曲管の製造装置であって、
前記第2領域に含まれる支点を中心に前記第2配管を回転させることで前記第2配管を曲げるように構成された曲げ増し型をさらに備え、
前記制御部は、前記曲げ増し処理において前記曲げ増し型によって前記第2配管を曲げるように構成される、曲管の製造装置。
【請求項5】
請求項2に記載の曲管の製造装置であって、
前記制御部は、前記第2曲げ処理の前に前記曲げ型を用いて前記補助曲げ増し処理を実行するように構成される、曲管の製造装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の曲管の製造装置であって、
前記第1方向と前記第2方向とは同一方向である、曲管の製造装置。
【請求項7】
第1配管と、前記第1配管が内部に配置された第2配管と、前記第1配管と前記第2配管との連結部分とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造方法であって、
前記第1配管の内部に内側芯金を配置すると共に、前記第1配管と前記第2配管との間に中間芯金を配置する工程と、
前記二重管のうち前記内側芯金及び前記中間芯金が配置された第1領域において、曲げ型により前記第1配管及び前記第2配管を第1方向に曲げる工程と、
前記第1方向に曲げる工程の後、前記第1領域よりも前記連結部分から離れると共に、前記二重管のうち前記内側芯金及び前記中間芯金が配置された第2領域において、前記曲げ型により前記第1配管及び前記第2配管を第2方向に曲げる工程と、
前記第2方向に曲げる工程の後、前記内側芯金及び前記中間芯金が前記第2領域に配置されていない状態で、前記第2領域で前記第2配管を前記第2方向と同じ向きに曲げ増す工程と、
を備える、曲管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、曲管の製造装置、及び曲管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に芯金(つまりマンドレル)を入れた二重管に外側から曲げ型を押し当て、曲げ型を移動させることで二重管を複数個所で任意の方向に曲げる方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-155456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二重管の曲げ加工は、内管と外管との間に芯金が配置された箇所で行われるため、内管と外管との隙間が保持される。しかし、内管と外管との連結部分から離れた領域で曲げ加工を行うと、芯金を引き抜くときに内管が外管に対して軸方向に伸びながら曲がる。そのため、内管の曲がりと外管の曲がりとにズレが生じ、内管と外管との隙間が小さくなる。
【0005】
本開示の一局面は、内管と外管との隙間を保持しつつ、二重管に対する複数回の曲げ加工が可能な曲管の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1配管と、第1配管が内部に配置された第2配管と、第1配管と第2配管との連結部分とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造装置である。曲管の製造装置は、第1配管の内部に配置されるように構成された内側芯金と、第1配管と第2配管との間に配置されるように構成された中間芯金と、二重管を曲げるように構成された曲げ型と、制御部と、を備える。
【0007】
制御部は、二重管のうち内側芯金及び中間芯金が配置された第1領域において、曲げ型により第1配管及び第2配管を第1方向に曲げる第1曲げ処理と、第1曲げ処理の後、第1領域よりも連結部分から離れると共に、二重管のうち内側芯金及び中間芯金が配置された第2領域において、曲げ型により第1配管及び第2配管を第2方向に曲げる第2曲げ処理と、第2曲げ処理の後、第2領域で第2配管を第2方向と同じ向きに曲げる曲げ増し処理と、を実行するように構成される。
【0008】
このような構成によれば、連結部分から離れた第2領域において、第2曲げ処理後の芯金の引き抜きによる第1配管の曲げに追従するように第2配管が曲げ増しされる。そのため、第1配管と第2配管との隙間を保持しつつ、二重管に対する複数回の曲げ加工が可能となる。
【0009】
本開示の一態様では、制御部は、第1曲げ処理の後、第1領域で第2配管を第1方向と同じ向きに曲げる補助曲げ増し処理を実行するように構成されてもよい。このような構成によれば、第1領域における、第1配管と第2配管との隙間の減少も補填することができる。
【0010】
本開示の一態様では、制御部は、第2曲げ処理の後に補助曲げ増し処理を実行するように構成されてもよい。このような構成によれば、第1曲げ処理及び第2曲げ処理の完了後に、二重管を任意の姿勢にした状態で曲げ増し処理を行うことができる。そのため、第1配管と第2配管との隙間の補填が容易になる。
【0011】
本開示の一態様は、第2領域に含まれる支点を中心に第2配管を回転させることで第2配管を曲げるように構成された曲げ増し型をさらに備えてもよい。制御部は、曲げ増し処理において曲げ増し型によって第2配管を曲げるように構成されてもよい。このような構成によれば、第1配管の変形量が大きい部分において第2配管が曲げ増しされるので、効果的に第1配管と第2配管との隙間を確保することができる。
【0012】
本開示の一態様では、制御部は、第2曲げ処理の前に曲げ型を用いて補助曲げ増し処理を実行するように構成されてもよい。このような構成によれば、曲げ型に二重管が配置された状態で補助曲げ増しを行うことができるので、曲管の製造工程が短縮される。
【0013】
本開示の一態様では、第1方向と第2方向とは同一方向であってもよい。このような構成によれば、同じ方向に複数回曲げられる二重管に対し、第1配管と第2配管との隙間の減少を効果的に補填することができる。
【0014】
本開示の別の態様は、第1配管と、第1配管が内部に配置された第2配管と、第1配管と第2配管との連結部分とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造方法である。
【0015】
曲管の製造方法は、第1配管の内部に内側芯金を配置すると共に、第1配管と第2配管との間に中間芯金を配置する工程と、二重管のうち内側芯金及び中間芯金が配置された第1領域において、曲げ型により第1配管及び第2配管を第1方向に曲げる工程と、第1方向に曲げる工程の後、第1領域よりも連結部分から離れると共に、二重管のうち内側芯金及び中間芯金が配置された第2領域において、曲げ型により第1配管及び第2配管を第2方向に曲げる工程と、第2方向に曲げる工程の後、第2領域で第2配管を第2方向と同じ向きに曲げ増す工程と、を備える。
【0016】
このような構成によれば、連結部分から離れた第2領域において、二重管を第2方向に曲げた後の芯金の引き抜きによる第1配管の曲げに追従するように第2配管が曲げ増しされる。そのため、第1配管と第2配管との隙間を保持しつつ、二重管に対する複数回の曲げ加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態における曲管の製造装置の模式図である。
図2図2Aは、図1の曲管の製造装置における内側芯金の模式的な側面図であり、図2Bは、図1の曲管の製造装置における中間芯金の模式的な側面図である。
図3図3は、実施形態における曲管の製造方法のフロー図である。
図4図4Aは、図3の曲管の製造方法の手順を説明する模式図であり、図4Bは、図4Aの次の手順を説明する模式図である。
図5図5Aは、図4Bの次の手順を説明する模式図であり、図5Bは、図5Aの次の手順を説明する模式図である。
図6図6Aは、図5Bの次の手順を説明する模式図であり、図6Bは、図6Aの次の手順を説明する模式図である。
図7図7Aは、図6Bの次の手順を説明する模式図であり、図7Bは、図7Aの次の手順を説明する模式図である。
図8図8Aは、図7Bの次の手順を説明する模式図であり、図8Bは、図8Aの次の手順を説明する模式図である。
図9図9Aは、図8Bの次の手順を説明する模式図であり、図9Bは、図9Aの次の手順を説明する模式図である。
図10図10は、図1とは異なる実施形態における曲管の製造装置の模式図である。
図11図11は、図3とは異なる実施形態における曲管の製造方法のフロー図である。
図12図12Aは、図11の曲管の製造方法の手順を説明する模式図であり、図12Bは、図12Aの次の手順を説明する模式図である。
図13図13Aは、図12Bの次の手順を説明する模式図であり、図13Bは、図13Aの後の手順を説明する模式図である。
図14図14Aは、図13Bの次の手順を説明する模式図であり、図14Bは、図14Aの次の手順を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す曲管の製造装置1(以下、単に「製造装置1」ともいう。)は、直管を曲げて曲管を得る装置である。
【0019】
本実施形態の製造装置1は、第1配管101と、第2配管102とを備える二重管110から曲管を製造する。第2配管102は、第1配管101の外周面を囲うように配置されている。つまり、第1配管101は、第2配管102の内部に配置されている。なお、図1等では、二重管110の断面が図示されている。
【0020】
二重管110は、第1配管101と第2配管102との連結部分103を備える。連結部分103は、二重管110の第1端部111に設けられている。一方、二重管110の第1端部111と反対側の第2端部112では、第1配管101と第2配管102とは接合されていない。
【0021】
具体的には、第1配管101は、第2配管102の内周面に接触するように拡径され、連結部分103を構成する端部を有している。また、第1配管101と第2配管102とは、第1端部111にてスポット溶接にて接合されている。なお、第1配管101と第2配管102との連結手段は、溶接に限定されない。
【0022】
第1配管101及び第2配管102の中心軸と垂直な断面の外形は、それぞれ円形(つまり真円又は楕円)である。本実施形態では、第1配管101の中心軸と第2配管102の中心軸とは一致しているが、第1配管101の中心軸と第2配管102の中心軸とは必ずしも一致しなくてもよい。
【0023】
製造装置1は、第1配管101と第2配管102との間の隙間を確保しつつ、第1配管101と第2配管102とを同時に曲げることで、湾曲した二重管110を曲管として得る。
【0024】
製造装置1は、内側芯金2と、中間芯金3と、曲げ型5と、曲げ増し型6と、制御部8とを備える。
【0025】
<内側芯金>
図2Aに示すように、内側芯金2は、第1配管101の内部に配置されるように構成されている。内側芯金2は、内側芯金本体21と、第1内側可動部22と、第2内側可動部23とを有する。
【0026】
(内側芯金本体)
内側芯金本体21は、円筒状又は円柱状の部材である。内側芯金本体21は、二重管110のストレート部(つまり曲げられない部分)に配置される。
【0027】
内側芯金本体21の外径は、軸方向に沿って一定である。内側芯金本体21の外径は、第1配管101の内径とおおむね等しい。内側芯金本体21の軸方向における長さは、第1内側可動部22及び第2内側可動部23の軸方向における長さよりも大きい。
【0028】
(第1内側可動部)
第1内側可動部22は、内側芯金本体21の軸方向における一方の端部に連結された円筒状又は円柱状の部材である。
【0029】
第1内側可動部22は、内側芯金本体21の中心軸と直交する第1揺動軸L1を中心に内側芯金本体21に対し揺動する。第1揺動軸L1は、内側芯金本体21の中心軸を含む直線と、第1内側可動部22の中心軸を含む直線との交点を通る。
【0030】
(第2内側可動部)
第2内側可動部23は、第1内側可動部22を挟んで内側芯金本体21とは反対側において第1内側可動部22に連結された円筒状又は円柱状の部材である。
【0031】
第2内側可動部23は、第1内側可動部22の第1揺動軸L1と平行な第2揺動軸L2を中心に第1内側可動部22に対し揺動する。第2揺動軸L2は、第1内側可動部22の中心軸を含む直線と、第2内側可動部23の中心軸を含む直線との交点を通る。
【0032】
<中間芯金>
図1に示される中間芯金3は、第1配管101と第2配管102との間に配置されるように構成されている。
【0033】
中間芯金3は、二重管110の曲げ部分において、内側芯金2と共に第1配管101を径方向に挟むように配置される。また、中間芯金3は、第1配管101と第2配管102とによって第1配管101の径方向に挟まれる。
【0034】
図2Bに示すように、中間芯金3は、中間芯金本体31と、第1中間可動部32と、第2中間可動部33とを有する。
【0035】
(中間芯金本体)
中間芯金本体31は、円筒状の部材である。中間芯金本体31は、二重管110のストレート部に配置される。
【0036】
中間芯金本体31の内径及び外径は、軸方向に沿って一定である。中間芯金本体31の内径は、第1配管101の外径とおおむね等しい。中間芯金本体31の外径は、第2配管102の内径とおおむね等しい。中間芯金本体31の軸方向における長さは、第1中間可動部32及び第2中間可動部33の軸方向における長さよりも大きい。
【0037】
(第1中間可動部)
第1中間可動部32は、中間芯金本体31の軸方向における一方の端部に直接連結された円筒状の部材である。
【0038】
第1中間可動部32は、中間芯金本体31の中心軸と直交する第3揺動軸L3を中心に中間芯金本体31に対し揺動する。第3揺動軸L3は、中間芯金本体31の中心軸を含む直線と、第1中間可動部32の中心軸を含む直線との交点を通る。また、第3揺動軸L3は、第1揺動軸L1と平行である。
【0039】
(第2中間可動部)
第2中間可動部33は、第1中間可動部32を挟んで中間芯金本体31とは反対側において第1中間可動部32に連直接連結された円筒状の部材である。
【0040】
第2中間可動部33は、第1中間可動部32の第3揺動軸L3と平行な第4揺動軸L4を中心に第1中間可動部32に対し揺動する。第4揺動軸L4は、第1中間可動部32の中心軸を含む直線と、第2中間可動部33の中心軸を含む直線との交点を通る。
【0041】
<曲げ型>
図1に示す曲げ型5は、内側芯金2と中間芯金3とが配置された領域において二重管110を曲げるように構成されている。
【0042】
具体的には、曲げ型5は、内側芯金2と中間芯金3と共に、第1配管101及び第2配管102を径方向に挟みながら回転及び移動することで、第1配管101及び第2配管102を曲げる。曲げ型5は、回転部51と、第1クランプ部52と、滑り部53と、送り部54とを有する。
【0043】
回転部51は、二重管110の曲げ部分と径方向に重なるように配置される。回転部51は、チャック部51Aを二重管110の外周面に押し当てた状態で回転軸Pを中心に回転するように構成されている。回転部51の回転軸Pは、第1内側可動部22の第1揺動軸L1(図2A参照)と平行である。
【0044】
回転部51は、第1内側可動部22及び第2内側可動部23に第1配管101の内面を押し当てると共に、第1中間可動部32及び第2中間可動部33に第2配管102の内面を押し当てるように構成されている。
【0045】
第1クランプ部52は、二重管110を挟んで回転部51とは反対側に配置されている。第1クランプ部52は、回転部51のチャック部51Aと共に二重管110を挟持するように構成されている。第1クランプ部52は、回転部51の回転に伴って回転部51の回転軸Pを中心に揺動する。
【0046】
滑り部53は、回転部51に隣接して配置されている。滑り部53は、曲げ加工時に、二重管110のストレート部の外周面と摺動することで二重管110を回転部51の回転方向に沿って送るガイドの機能を奏する。
【0047】
送り部54は、二重管110を挟んで滑り部53とは反対側、かつ第1クランプ部52に隣接する位置に配置されている。送り部54は、二重管110のストレート部を径方向に押圧しながら中心軸に沿って移動するように構成されている。送り部54は、二重管110を滑り部53に押し付けながら、二重管110を回転部51に向けて送り出す。
【0048】
<曲げ増し型>
曲げ増し型6は、曲げ型5によって曲げられた二重管110の第2配管102をさらに曲げるように構成されている。曲げ増し型6は、第2クランプ部61と、第3クランプ部62と、加圧部63とを有する。
【0049】
第2クランプ部61及び第3クランプ部62は、二重管110を径方向に挟持する。具体的には、固定された第2クランプ部61に第3クランプ部62が二重管110を押し付けるように移動することで、二重管110を固定する。
【0050】
加圧部63は、二重管110の外周面に押し当てられ、二重管110を外側から径方向に加圧する。これにより、二重管110の第2配管102は、支点を中心に回転するように曲がる。
【0051】
<制御部>
制御部8は、例えば、プロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。制御部8は、予め記憶されたプログラムを実行することで、曲げ型5の動きと曲げ増し型6の動きとを制御する。
【0052】
制御部8は、第1曲げ処理と、第2曲げ処理と、補助曲げ増し処理と、曲げ増し処理とを実行するように構成されている。以下に説明する曲管の製造方法において、第1曲げ処理は第1曲げ工程に相当し、第2曲げ処理は第2曲げ工程に相当し、補助曲げ増し処理は補助曲げ増し工程に相当し、曲げ増し処理は曲げ増し工程に相当する。
【0053】
[1-2.製造方法]
以下では、図1の曲管の製造装置1を用いた曲管の製造方法について説明する。図3に示すように、本実施形態の曲管の製造方法は、配置工程S10と、第1曲げ工程S20と、型戻し工程S30と、第2曲げ工程S40と、第1取り出し工程S50と、補助曲げ増し工程S60と、曲げ増し工程S70と、第2取り出し工程S80とを備える。
【0054】
<配置工程>
本工程では、図1に示すように、第1配管101の内部に内側芯金2を配置すると共に、第1配管101と第2配管102との間に中間芯金3を配置する。具体的には、曲げ型5の回転部51と第1クランプ部52との間に保持された内側芯金2と中間芯金3とに対し、二重管110を第2端部112から軸方向に挿入する。
【0055】
本工程では、内側芯金2は、内側芯金本体21、第1内側可動部22及び第2内側可動部23の中心軸が同一直線上になるように保持されている。同様に、中間芯金3は、中間芯金本体31、第1中間可動部32及び第2中間可動部33の中心軸が同一直線上になるように保持されている。
【0056】
また、第1内側可動部22は、少なくとも一部が第1配管101の径方向において中間芯金3と重なるように配置される。第2内側可動部23は、第1配管101の径方向において中間芯金3と重ならないように配置される。
【0057】
<第1曲げ工程>
本工程では、二重管110のうち内側芯金2及び中間芯金3が配置された第1領域R1において、曲げ型5により第1配管101及び第2配管102を第1方向D1に曲げる。
【0058】
具体的には、まず、図4Aに示すように、第1クランプ部52及び送り部54によって、内側芯金2及び中間芯金3が内部に配置された二重管110を径方向に加圧する。これにより、二重管110は、内側芯金2と中間芯金3と共に回転部51に向かって径方向にスライドする。二重管110は、第1クランプ部52によって回転部51のチャック部51Aに押し付けられると共に、送り部54によって滑り部53に押し付けられる。
【0059】
次に、図4Bに示すように、回転部51をチャック部51Aが滑り部53から離間する方向に(つまり第1端部111に向けて)回転させると共に、第1クランプ部52を追う方向に送り部54をスライドさせる。なお、回転部51の回転方向は、第1方向D1と一致する。
【0060】
これにより、チャック部51Aと第1クランプ部52とが二重管110を挟みながら第1端部111に向かって二重管110の外周面上を摺動する。その結果、二重管110のチャック部51Aと第1クランプ部52とに挟まれた部分が、回転部51の回転軸Pを中心に湾曲するように塑性変形する。
【0061】
回転部51の回転による二重管110の曲げに合わせて、第1内側可動部22は、内側芯金本体21に対し揺動すると共に、第2内側可動部23は、第1内側可動部22に対し揺動する。
【0062】
同様に、回転部51の回転による二重管110の曲げに合わせて、第1中間可動部32は、中間芯金本体31に対し揺動すると共に、第2中間可動部33は、第1中間可動部32に対し揺動する。
【0063】
内側芯金本体21及び中間芯金本体31は、曲げ工程中移動しないように保持される。したがって、二重管110は、内側芯金2と中間芯金3とに摺動しつつ、第1クランプ部52の移動方向に伸びながら移動する。
【0064】
本工程では、後述する曲げ増しを考慮して、製造する曲管の第1領域R1における設計曲げ角度(つまり、全工程が完了した後の二重管110の第1領域R1における曲げ角度)よりも小さい曲げ角度で二重管110を曲げる。本工程における曲げ角度は、曲げ加工後の第1配管101と第2配管102との隙間を実測することで決定できる。
【0065】
<型戻し工程>
本工程では、第1曲げ工程S20後に、内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5を初期位置に戻す。
【0066】
まず、図5Aに示すように、内側芯金2及び中間芯金3を第1領域R1とは異なる第2領域R2と重なる位置まで引き戻す。第2領域R2は、第1領域R1よりも二重管110の連結部分103から離れた領域であり、第1領域R1よりも第2端部112に近い領域である。
【0067】
このとき、第1領域R1では、第1配管101が内側芯金2及び中間芯金3に引っ張られて軸方向に伸びることで、第1配管101の曲げ増しが発生する。その結果、第1領域R1の湾曲の内側において、第1配管101と第2配管102との隙間が小さくなる。
【0068】
内側芯金2及び中間芯金3の引き抜き後、第1クランプ部52及び送り部54を二重管110から径方向に離間させると共に、二重管110を回転部51及び滑り部53からも離間させる。また、送り部54を初期位置に戻す。
【0069】
次に、図5Bに示すように、回転部51及び第1クランプ部52を初期位置に戻した後、二重管110の第2領域R2が第1クランプ部52と径方向に重なる位置まで、二重管110を内側芯金2と中間芯金3と共に軸方向にスライドさせる。
【0070】
<第2曲げ工程>
本工程では、第1曲げ工程S20及び型戻し工程S30の後、二重管110のうち内側芯金2及び中間芯金3が配置された第2領域R2において、曲げ型5により第1配管101及び第2配管102を第2方向D2に曲げる。
【0071】
具体的には、まず、図6Aに示すように、第1クランプ部52及び送り部54によって、内側芯金2及び中間芯金3が内部に配置された二重管110を径方向に加圧する。二重管110は、第1クランプ部52によって回転部51のチャック部51Aに押し付けられると共に、送り部54によって滑り部53に押し付けられる。
【0072】
次に、図6Bに示すように、回転部51をチャック部51Aが滑り部53から離間する方向に(つまり第1端部111に向けて)回転させると共に、第1クランプ部52を追う方向に送り部54をスライドさせる。なお、回転部51の回転方向は、第2方向D2と一致する。これにより、二重管110のチャック部51Aと第1クランプ部52とに挟まれた部分が、回転部51の回転軸Pを中心に湾曲するように塑性変形する。
【0073】
このとき、第1配管101は、内側芯金2及び中間芯金3の抵抗によって軸方向に引っ張られる。そのため、第1配管101は、曲げの内側において第2配管102の内面に近づくように曲がる。
【0074】
本工程では、後述する曲げ増しを考慮して、製造する曲管の第2領域R2における設計曲げ角度(つまり、全工程が完了した後の二重管110の第2領域R2における曲げ角度)よりも小さい曲げ角度で二重管110を曲げる。
【0075】
第2曲げ工程S40における第2方向D2への曲げの中心軸は、第1曲げ工程S20における第1方向D1への曲げの中心軸と同様に、回転部51の回転軸Pである。つまり、第1曲げ工程S20における第1方向D1への曲げの中心軸と、第2曲げ工程S40における第2方向D2への曲げの中心軸とは互いに平行である。
【0076】
換言すれば、二重管110の第1領域R1及び第2領域R2は共に、回転部51の回転軸Pと直交する仮想面内で曲げられる。また、第1方向D1と第2方向D2とは同一方向である。そのため、二重管110は、第1曲げ工程S20及び第2曲げ工程S40によって円弧状に曲げられる。
【0077】
<第1取り出し工程>
本工程では、曲げ加工後の二重管110を内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5から取り出す。
【0078】
具体的には、まず、図7Aに示すように、内側芯金2及び中間芯金3を二重管110の第2領域R2と重ならない位置まで引き戻す。このとき、第2領域R2では、第1配管101が内側芯金2及び中間芯金3に引っ張られて軸方向に伸びることで、第1配管101の曲げ増しが発生する。その結果、第2領域R2の湾曲の内側において、第1配管101と第2配管102との隙間が小さくなる。
【0079】
内側芯金2及び中間芯金3の引き戻し後、第1クランプ部52及び送り部54を二重管110から径方向に離間させると共に、二重管110を回転部51及び滑り部53からも離間させる。また、送り部54を初期位置に戻す。
【0080】
次に、図7Bに示すように、回転部51及び第1クランプ部52を初期位置に戻した後、内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5から二重管110を取り出す。
【0081】
<補助曲げ増し工程>
本工程では、第1曲げ工程S20及び第2曲げ工程S40の後、第1領域R1で第2配管102を第1方向D1と同じ向きにさらに曲げる。
【0082】
具体的には、まず、図8Aに示すように、第1取り出し工程S50で曲げ型5から取り出した二重管110を曲げ増し型6の第2クランプ部61と第3クランプ部62との間に配置する。
【0083】
次に、図8Bに示すように、第3クランプ部62を第2クランプ部61に向けて動かすことで、二重管110の第1領域R1よりも第1端部111に近い部分を径方向に把持する。この状態で、加圧部63を二重管110の第1領域R1と第2領域R2との間の部分に対し、第1領域R1及び第2領域R2の湾曲の外側から、径方向に押し当てる。
【0084】
これにより、第1領域R1に含まれる支点F1を中心に第2配管102が回転することで第2配管102のみが第1方向D1に曲がる。支点F1は、第1領域R1よりも第1端部111に近い部分における第2配管102の中心軸C1と、第1領域R1と第2領域R2との間の部分における第2配管102の中心軸C2との交点である。
【0085】
本工程では、二重管110に内側芯金2及び中間芯金3が配置されないため、第2配管102の曲げ増しの間、第1配管101は曲げられない。また、第2配管102の曲げ増し角度は、第1領域R1における第1配管101の曲げ角度と第2配管102の曲げ角度とがほぼ等しくなる(つまり、曲げの内側における第1配管101と第2配管102との隙間と、曲げの外側における第1配管101と第2配管102との隙間とがほぼ等しくなる)大きさとされる。
【0086】
<曲げ増し工程>
本工程では、第2曲げ工程S40及び補助曲げ増し工程S60の後、第2領域R2で第2配管102を第2方向D2と同じ向きにさらに曲げる。なお、曲げ増し工程S70は補助曲げ増し工程S60の前に行われてもよい。
【0087】
具体的には、まず、図9Aに示すように、第1領域R1を曲げ増した二重管110の向きを変えて、曲げ増し型6の第2クランプ部61と第3クランプ部62との間に再配置する。
【0088】
次に、図9Bに示すように、第3クランプ部62を第2クランプ部61に向けて動かすことで、二重管110の二重管110の第1領域R1と第2領域R2との間の部分を径方向に把持する。この状態で、加圧部63を第2領域R2よりも第2端部112に近い部分に対し、第1領域R1及び第2領域R2の湾曲の外側から、径方向に押し当てる。
【0089】
これにより、第2領域R2に含まれる支点F2を中心に第2配管102が回転することで第2配管102が第2方向D2に曲がる。支点F2は、第1領域R1と第2領域R2との間の部分における第2配管102の中心軸C2と、第2領域R2よりも第2端部112に近い部分における第2配管102の中心軸C3との交点である。
【0090】
本工程では、補助曲げ増し工程S60と同様に、二重管110に内側芯金2及び中間芯金3が配置されないため、第1配管101は曲げられない。また、第2配管102の曲げ増し角度は、第2領域R2における第1配管101の曲げ角度と第2配管102の曲げ角度とがほぼ等しくなる大きさとされる。
【0091】
<第2取り出し工程>
本工程では、曲げ増し工程S60及び補助曲げ増し工程S70後の二重管110を曲げ増し型6から取り出す。
【0092】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)連結部分103から離れた第2領域R2において、第2曲げ処理後の内側芯金2及び中間芯金3の引き抜きによる第1配管101の曲げに追従するように第2配管102が曲げ増しされる。そのため、第1配管101と第2配管102との隙間を保持しつつ、二重管110に対する複数回の曲げ加工が可能となる。
【0093】
(1b)補助曲げ増し処理によって、第1領域R1における第1配管101と第2配管102との隙間の減少も補填することができる。
【0094】
(1c)曲げ増し型6によって、第1曲げ処理及び第2曲げ処理の完了後に、二重管110を任意の姿勢にした状態で曲げ増し処理を行うことができる。そのため、第1配管101と第2配管102との隙間の補填が容易になる。
【0095】
(1d)曲げ増し型6によって、第1配管101の変形量が大きい部分において第2配管102が曲げ増しされるので、効果的に第1配管101と第2配管102との隙間を確保することができる。
【0096】
(1e)第1方向D1と第2方向D2とが同一方向である(つまり同じ方向に複数回曲げられる)二重管110に対し、第1配管101と第2配管102との隙間の減少を効果的に補填することができる。
【0097】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図10に示す曲管の製造装置1A(以下、単に「製造装置1A」ともいう。)は、直管を曲げて曲管を得る装置である。
【0098】
本実施形態の製造装置1Aは、内側芯金2と、中間芯金3と、曲げ型5と、制御部8Aとを備える。製造装置1Aの内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5は、それぞれ、図1の製造装置1の内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5と同じものである。
【0099】
<制御部>
制御部8Aは、例えば、プロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。制御部8Aは、予め記憶されたプログラムを実行することで、曲げ型5の動きを制御する。
【0100】
制御部8Aは、第1曲げ処理と、第2曲げ処理と、補助曲げ増し処理と、曲げ増し処理とを実行するように構成されている。本実施形態では、制御部8Aは、曲げ型5を用いて曲げ増し処理及び補助曲げ増し処理を実行する。
【0101】
[2-2.製造方法]
以下では、図10の曲管の製造装置1Aを用いた曲管の製造方法について説明する。図11に示すように、本実施形態の曲管の製造方法は、配置工程S110と、第1曲げ工程S120と、補助曲げ増し工程S130と、型戻し工程S140と、第2曲げ工程S150と、曲げ増し工程S160と、取り出し工程S170とを備える。
【0102】
<配置工程>
本工程は、図3の曲管の製造方法における配置工程S10と同じであるため、説明を省略する。
【0103】
<第1曲げ工程>
本工程は、図3の曲管の製造方法における第1曲げ工程S20と同じであるため、説明を省略する(図4A及び図4B参照)。
【0104】
<補助曲げ増し工程>
本工程は、第1曲げ工程S120の後、第2曲げ工程S150の前に、曲げ型5を用いて第1領域R1で第2配管102を第1方向D1と同じ向きにさらに曲げる。
【0105】
具体的には、まず、図12Aに示すように、回転部51、第1クランプ部52、滑り部53及び送り部54で二重管110を把持した状態で、内側芯金2及び中間芯金3を第1領域R1と重ならない位置まで引き戻す。
【0106】
このとき、第1領域R1では、第1配管101が内側芯金2及び中間芯金3に引っ張られて軸方向に伸びることで、第1配管101の曲げ増しが発生する。その結果、第1領域R1にて、第1配管101と第2配管102との隙間が小さくなる。
【0107】
次に、図12Bに示すように、チャック部51Aと第1クランプ部52とで二重管110の第1領域R1よりも第1端部111に近い部位を挟んだ状態で、回転部51を第1方向D1に回転させる。このとき、第1領域R1内には内側芯金2及び中間芯金3が配置されていないため、第2配管102のみが第1方向D1に曲げられる。
【0108】
これにより、第1領域R1における第1配管101と第2配管102との隙間が調整される。つまり、第1領域R1における第1配管101の曲げ角度と第2配管102の曲げ角度とがほぼ等しくされる。
【0109】
<型戻し工程>
本工程は、曲げ増し工程S130後に、内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5を初期位置に戻す。
【0110】
具体的には、図13Aに示すように、第1クランプ部52及び送り部54を二重管110から径方向に離間させると共に、二重管110を回転部51及び滑り部53からも離間させる。また、送り部54を初期位置に戻す。
【0111】
次に、回転部51及び第1クランプ部52を初期位置に戻した後、二重管110の第2領域R2が第1クランプ部52と径方向に重なる位置まで、二重管110を内側芯金2と中間芯金3と共に軸方向にスライドさせる(図5B参照)。
【0112】
<第2曲げ工程>
本工程は、図3の曲管の製造方法における第2曲げ工程S40と同じであるため、説明を省略する(図6A及び図6B参照)。第2曲げ工程S150において、第1配管101が内側芯金2及び中間芯金3の抵抗によって軸方向に引っ張られ、曲げの内側において第2配管102の内面に近づくように曲がる。
【0113】
<曲げ増し工程>
本工程は、第2曲げ工程S150の後、第2領域R2で第2配管102を第2方向D2と同じ向きにさらに曲げる。
【0114】
具体的には、まず、図13Bに示すように、回転部51、第1クランプ部52、滑り部53及び送り部54で二重管110を把持した状態で、内側芯金2及び中間芯金3を第2領域R2と重ならない位置まで引き戻す。
【0115】
このとき、第2領域R2では、第1配管101が内側芯金2及び中間芯金3に引っ張られて軸方向に伸びることで、第1配管101の曲げ増しが発生する。その結果、第2領域R2にて、第1配管101と第2配管102との隙間が小さくなる。
【0116】
次に、図14Aに示すように、チャック部51Aと第1クランプ部52とで二重管110の第2領域R2よりも第1領域R1に近い部位を挟んだ状態で、回転部51を第2方向D2に回転させる。このとき、第2領域R2内には内側芯金2及び中間芯金3が配置されていないため、第2配管102のみが第2方向D2に曲げられる。
【0117】
これにより、第2領域R2における第1配管101と第2配管102との隙間が調整される。つまり、第2領域R2における第1配管101の曲げ角度と第2配管102の曲げ角度とがほぼ等しくされる。
【0118】
<取り出し工程>
本工程では、曲げ加工及び曲げ増し加工後の二重管110を内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5から取り出す。
【0119】
具体的には、図14Bに示すように、第1クランプ部52及び送り部54を二重管110から径方向に離間させると共に、二重管110を回転部51及び滑り部53からも離間させる。また、曲げ型5を初期位置(つまり二重管110が挿入可能な位置)に戻す。その後、内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5から二重管110を取り出す。
【0120】
[2-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)曲げ型5に二重管110が配置された状態で補助曲げ増しを行うことができるので、曲管の製造工程が短縮される。
【0121】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0122】
(3a)上記実施形態の曲管の製造装置において、二重管の連結部分に近い第1領域では、内側芯金及び中間芯金の引き抜きによる第1配管の曲げ量は小さい。そのため、制御部は、必ずしも補助曲げ増し処理を実行しなくてもよい。つまり、上記実施形態の曲管の製造方法は、必ずしも補助曲げ増し工程を備えなくてもよい。
【0123】
(3b)上記実施形態の曲管の製造装置において、制御部は、3回以上の曲げ処理を行ってもよい。つまり、上記実施形態の曲管の製造方法は、3回以上の曲げ工程を備えてもよい。
【0124】
(3c)上記実施形態の曲管の製造装置及び製造方法における二重管の曲げ方向は一例である。例えば、第1方向と第2方向とは必ずしも同一方向でなくてもよい。また、二重管は、3次元的に曲げられてもよい。
【0125】
(3d)上記実施形態の曲管の製造装置において、制御部は、第1領域及び/又は第2領域で第2配管を第1配管に対し逆向きに曲げる曲げ戻し処理を実行してもよい。つまり、上記実施形態の曲管の製造方法は、第2配管の曲げ戻し工程を備えてもよい。
【0126】
(3e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0127】
1,1A…曲管の製造装置、2…内側芯金、3…中間芯金、5…曲げ型、
6…曲げ増し型、8,8A…制御部、21…内側芯金本体、22…第1内側可動部、
23…第2内側可動部、31…中間芯金本体、32…第1中間可動部、
33…第2中間可動部、51…回転部、51A…チャック部、52…第1クランプ部、
53…滑り部、54…送り部、61…第2クランプ部、62…第3クランプ部、
63…加圧部、101…第1配管、102…第2配管、103…連結部分、
110…二重管、111…第1端部、112…第2端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14