(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】多方向入力装置、ゲームコントローラー及びゲーム機
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H01H25/04 C
(21)【出願番号】P 2020557306
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2020108442
(87)【国際公開番号】W WO2022000712
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】202010609397.X
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520012378
【氏名又は名称】深▲せん▼市致尚科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Zesum Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】5F, NO#2046 Guanguang Road, Baihua Community, Guangming District, Shenzhen City, Guangdong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】楊 時影
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-210525(JP,A)
【文献】特開2010-73642(JP,A)
【文献】特開2007-227337(JP,A)
【文献】特開2007-200707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00 - 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機に用いられる多方向入力装置であって、
天面の中央に開口部を備える上ケースと、
当該開口部から突出する第一操作部材と、
円盤状フランジを有し、前記操作部材の駆動の下で水平360度の全方向においてスライドする第一スライド部材と、
前記第一スライド部材を原点位置に復帰させるために、前記第一スライド部材の外周に配置されている弾性片と、
前記第一スライド部材の駆動の下でそれぞれX、Y方向にスライドする第二スライド部材及び第三スライド部材と、
それぞれ第二スライド部材と第三スライド部材に設けられている第一可動接点と第二可動接点と、
第一可動接点及び第二可動接点と電気的に接触する第一固定接点及び第二固定接点を備える回路基板と、
前記上ケースと上下に、且つ第一操作部材、第一スライド部材、弾性片、第二スライド部材、第三スライド部材、第一可動接点、第二可動接点、回路基板、及び接触板を収容する下ケースと、を備え、
前記第一操作部材は上下方向に沿って設けられた貫通孔を有し、導電性材料からなり且つ第一操作部材の上方に露出し、下部には第一操作部材の貫通孔に挿入される管部を有した第二操作部材と、前記管部内にはセンシング接点及びセンシング接点を押圧するための金属ばねが収容され、前記センシング接点は金属ばねの下端に位置し、前記センシング接点は、金属ばねの弾性力により押圧され第一スライド部材と平行に配置された接触板と電気的に接触し、前記接触板の外周の任意の位置にセンシング接点と電気的に導通する接触アームが延設され、前記接触アームは回路基板と電気的に接触する
多方向入力装置。
【請求項2】
前記第二操作部材の材質は金属或いは導電性プラスチックである
請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記第一操作部材の貫通孔の上端には切欠きが開けられており、前記第二操作部材は貫通孔を貫通し且つ一部が前記切欠きの中に係合される
請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記管部の下端には少なくとも一つの管部の外側へ延びる第一かしめ部と少なくとも一つの管部の内側へ延びる第二かしめ部を備える
請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記第一スライド部材と第一操作部材とは一体構造或いは別体構造である
請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記下ケースにはさらにプッシャが収容され、前記接触板は前記プッシャの中に設けれ、前記接触板の天面は前記プッシャの面より低く、或いは二つの平面は同一面、且つ、前記接触板の面積はセンシング接点の直径と第二操作部材の移動量の和の二倍以上である
請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の多方向入力装置を含む
ゲームコントローラー。
【請求項8】
請求項7に記載のゲームコントローラーを含む
ゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2020年6月29日に出願された、出願番号202010609397.X、発明名称「多方向入力装置、ゲームコントローラー及びゲーム機」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本発明はゲーム機の技術分野に関し、特に多方向入力装置、当該多方向入力装置を用いたゲームコントローラー及び当該ゲームコントローラーを用いたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のゲーム機のゲームコントローラーの多方向入力装置には、スティック組立体及び回路基板が設置されており、スティック組立体のスライドスティックを回して、回路基板により方向信号を出力することで、方向に対する制御を実現する。しかしながら、従来の多方向入力装置では、使用者によるスティックに対するタッチ或いは押圧時の電気信号を生成することは不可能であり、その感度は比較的低いものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、多方向入力装置を提案する。その目的は、当該多方向入力装置の感度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本願が提案する多方向入力装置は、
天面の中央に開口部を備える上ケースと、
当該開口部から突出する第一操作部材と、
円盤状構造を有し、前記操作部材の駆動の下で水平360度の全方向においてスライドする第一スライド部材と、
前記第一スライド部材を原点位置に復帰させるために、前記第一スライド部材の外周に配置されている弾性片と、
前記第一スライド部材の駆動の下でそれぞれX、Y方向にスライドする第二スライド部材及び第三スライド部材と、
それぞれ第二スライド部材と第三スライド部材に設けられている第一可動接点と第二可動接点と、
第一可動接点及び第二可動接点と電気的に接触する第一固定接点及び第二固定接点を備える回路基板と、
前記上ケースと上下に、且つ第一操作部材、第一スライド部材、弾性片、第二スライド部材、第三スライド部材、第一可動接点、第二可動接点、回路基板、及び接触板を収容する下ケースとを備え、
前記第一操作部材は上下方向に沿って設けられた貫通孔を有し、第二操作部材は導電性材料からなり且つ第一操作部材の上方に露出し、第二操作部材の下部には第一操作部材の貫通孔に挿入される管部を有し、前記管部内にはセンシング接点及びセンシング接点を押圧するための金属ばねが収容されており、前記センシング接点は金属ばねの下端に位置し、前記センシング接点は、金属ばねの弾性力により円盤状フランジの下面からはみだしており、金属ばねに押圧されたセンシング接点は第一スライド部材と平行に配置された接触板と電気的に接触し、前記接触板の外周の任意の位置には一つの弾性があってセンシング接点と電気的に導通する接触アームが延設され、前記接触アームは回路基板と接触する多方向入力装置。
【0006】
さらに、前記第二操作部材の材質は金属又は導電性プラスチックである。
【0007】
さらに、前記第一操作部材の貫通孔の上端には切欠きが開けられており、前記第二操作部材は貫通孔を貫通し且つ切欠きの中に係合される。
【0008】
さらに、前記管部の下端には少なくとも一つの管部の外側へ延びる第一かしめ部と少なくとも一つの管部の内側へ延びる第二かしめ部を備える。
【0009】
さらに、前記第一スライド部材と第一操作部材とは一体構造又は別体構造である。
【0010】
さらに、前記接触板の頂面が位置する平面はプッシャの頂面が位置する平面より低く、或いは二つの平面は面一になり、且つ/又は、前記接触板の面積はセンシング接点のはみ出た領域の直径と第二操作部材の移動量の和の二倍以上である。
【0011】
本願では、前記多方向入力装置を含むゲームコントローラーを提案する。
【0012】
本願は更に、前記ゲームコントローラーを含むゲーム機を提案する。
【0013】
本願の技術案では、前記多方向入力装置は第一操作部材、第二操作部材及び接触板を備え、前記第二操作部材は導電性材料からなり且つ第一操作部材の上方に露出し、第二操作部材の下部には第一操作部材の貫通孔に挿入される管部を有し、前記管部内にはセンシング接点及びセンシング接点を押圧するための金属ばねが収容されている。前記接触板は前記第一スライド部材と平行に配置されて且つセンシング接点と接触し、接触板には回路基板と接触する弾性接触アームがある。手で操作部材をタッチ或いは押圧した場合、操作部材の材質が導電性材料であるので、人の手との間に静電気を起こして、静電気がセンシング接点を通して接触板及び回路基板に伝わり、最後は回路基板により接触信号を出力することで、感度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本願実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行わないことを前提に、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
【
図1】本願の一実施例における多方向入力装置の構造模式図である。
【
図2】
図1における多方向入力装置のもう一つの角度から見た構造模式図である。
【
図3】
図1における多方向入力装置の一部構造模式図である。
【
図4】
図1における多方向入力装置の一部構造模式図である。
【
図5】
図1におけるスティック組立体の構造模式図である。
【
図6】
図1における第二支持部材の構造模式図である。
【
図7】
図1における第二操作部材の構造模式図である。
【
図8】
図1における第一スライド部材の構造模式図である。
【
図9】
図8における第一スライド部材のもう一つの角度から見た構造模式図である。
【
図10】
図1における多方向入力装置の一部構造模式図である。
【
図11】
図1における多方向入力装置の一部構造模式図である。
【
図12】
図1におけるプッシャと接触板の構造模式図である。
【
図13】
図12におけるプッシャと接触板のもう一つの角度から見た構造模式図である。
【
図14】
図1における多方向入力装置の一部構造模式図である。
【
図15】
図1における回路基板の構造模式図である。
【
図17】
図12における接触板の構造模式図である。 添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本願実施例における添付図面と組み合わせ、本願実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得られた全ての他の実施例は、本願の保護する範囲に属す。
【0016】
本願実施例での全ての方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後...)は、当該方向性指示はある特定の姿勢(添付図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、移動状況等を説明するためだけに用いられ、もし当該特定の姿勢が変わる場合、当該方向性指示もそれ相当に変わることは説明すべきである。
【0017】
また、本願実施例において「第一」、「第二」等に係る説明は説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定されている特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、各実施例の技術案はお互いに組み合わせることができる。ただし、当業者が実現できることはその基礎である。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在しない、且つ本願が請求する保護範囲にないと理解すべきである。
【0018】
図1乃至
図17を参照して、本願実施例では、本願で提案する多方向入力装置100は、ゲーム機に適用される。
【0019】
前記多方向入力装置100、すなわち方向入力を制御する装置は、ゲーム機のゲームコントローラーの多方向入力装置であってもよいし、ゲーム機のゲームコントローラーの方向ボタン入力構造であってもよいことは、理解できるであろう。
【0020】
前記多方向入力装置100は、ハウジング組立体10と、スティック組立体30と、スライド組立体50と、方向センシング組立体70とを備える。
【0021】
前記ハウジング組立体10は、上ケース11と、下ケース13と、上ケース11と下ケース13とを接続する固定部材15と、第一支持部材17と、第二支持部材19とを備える。前記上ケース11は、下ケース13上に配置され且つ、下ケース13と共に一つの収容空間を形成する。前記スティック組立体30と、スライド組立体50と、方向センシング組立体70と、第二支持部材19と、第一支持部材17は、収容空間内に収容される。
【0022】
前記上ケース11は、中央に開口部1121が開けられた頂壁112と、少なくとも1つの係合部材114が凸設された側壁113とを備えている。前記頂壁112の内面にはさらに、いくつかの接続ポスト115が設けられている。
【0023】
具体的には、前記側壁113には逃げ領域1131が形成されており、前記逃げ領域1131には前記係合部材114が形成されている。
【0024】
いくつかの実施例では、前記頂壁112の内面にはさらに、いくつかの接続ポスト115が設けられている。前記下ケース13には接続孔115が設けられ、上ケース11と下ケース13とを接続するために、前記接続ポスト115は接続孔115内に接続されている。
【0025】
前記下ケース13の板本体には凹溝が凹設されている。前記板体の凹溝から遠く離れた面には、当該凹部に対応するように、凸起131が形成されている。前記凹溝は板本体の一つの表面から凹んで形成され、対応するように当該凸起131が形成されていることは、理解できるであろう。前記下ケース13の側壁にはさらに逃げ領域133が形成されている。
【0026】
前記固定部材15は開孔151を備えており、前記凸起131は開孔151内に収容されている。前記固定部材15は少なくとも一つの固定板153を備え、前記固定板153には係合孔1531が開けられている。前記固定板153は逃げ領域133と逃げ領域1131とに密着して設けられており、且つ、前記上ケースの係合部材114は係合孔1531内に係合されることで、上ケース11と下ケース13を接続する。
【0027】
前記スティック組立体30は、第一操作部材31と、前記第一操作部材31に接続された第二操作部材33とを備える。
【0028】
前記第一操作部材31は、一つの柱体311と、柱体311の一端に凸設されて水平方向に沿って延びる円盤状のフランジ313とを有している。前記柱体311及びフランジ313は、前記第二操作部材33が通れるような中空構造を有する。前記柱体311の外壁にはさらに、少なくとも一つの凸条315が凸設されている。前記柱体311のフランジ313から遠く離れた端にはさらに、少なくとも一つの切欠き317が設けられ、これにより挟持アーム319を形成する。前記挟持アーム319の内面は平面である。前記第二操作部材33は柱体311を貫通し且つ切欠き317内に係合されている。前記第一操作部材31はこの開口部1121から突出しており、当該第一スライド部材51は第一操作部材31の駆動の下で水平360度の全方向においてスライドする。
【0029】
前記挟持アーム319はプラスチック材質とすることが可能である。
【0030】
前記第一スライド部材51と第一操作部材31とは一体構造又は別体構造である。
【0031】
前記第一操作部材31は、上下方向に沿って設けられた貫通孔を有する。
【0032】
前記第二操作部材33は導電性材料からなり且つ第一操作部材31の上方に露出し、本体331を含み、下部には第一操作部材31の貫通孔に挿入される管部333を有し、前記管部333内には、第一スライド部材31と平行なセンシングユニットが収容されており、センシングユニットは、導電材料から構成されるセンシング接点337とセンシング接点337を押圧するための金属ばね335とを備え、前記センシング接点337は金属ばね335の下端に位置する。前記第二操作部材33のセンシング接点337は、金属ばね335の弾性力により第一操作部材31の円盤状フランジの下面からはみだしており、接触板72は前記第一スライド部材51と平行に配置され、前記接触板72の外周の任意の位置には一つの弾性のある接触アーム721が延設され、前記接触アーム721は回路基板77と接触し、センシング接点337は接触アーム721と電気的に導通する。
【0033】
前記本体331は二つの対向して設置された平面を有し、第二操作部材33が前記中空構造に収容されたときに、前記前記本体331は切欠き317の底壁にのり上がり、前記本体331の二つの平面は前記挟持アーム319の二つの平面に密着して設けられている。前記管部333の一端は開口しており、前記センシング接点337はこの開口を通して管部333からはみ出ることが可能である。金属ばね335は、原点位置に戻るようにセンシング接点337に弾性力を提供することができる。一つの実施形態では、前記金属ばね335は、センシング接点337の一部が管部333からはみ出るように、すなわち、前記第二操作部材33のセンシング接点337が金属ばね335の弾性力によって管部333の外部にはみ出るように、センシング接点337に当接する。
【0034】
前記管部333の上ケース11から遠く離れた端には、少なくとも一つの管部333の外側へ延びる第一かしめ部3331と、少なくとも一つの管部333の内側へ延びる第二かしめ部3333とを有し、前記第一操作部材31の上ケースから遠く離れた端には環状のかしめ凸起312が形成されており、前記第一かしめ部3331はかしめ凸起312にかしめられ、第二操作部材33と第一操作部材31とをかしめて接続している。
【0035】
一つの実施形態では、少なくとも二つの外向きに設置された第一かしめ部3331を含み、これらの少なくとも二つの第一かしめ部3331は対向して設置される。
【0036】
一つの実施例では、少なくとも二つの内向きに設置された第二かしめ部3333を備え、第二操作部材33のセンシング接点の脱落を防止するために、これらの少なくとも二つの第二かしめ部は対向して設置されている。
【0037】
一つの実施例では、金属ばね335を管部333の中に装着してから、さらにセンシング接点337をも管部333の中に装着して、金属ばね335の本体331から遠く離れた端がセンシング接点337の端に当接し、且つセンシング接点337の金属ばね335から遠く離れた端が管部333の外にはみ出る。金属ばね335の弾性により、センシング接点337の管部333からはみ出た部分の長さを一定に保つことができる。たとえ本体331を押圧して、センシング接点337が下方に移動して接触板72に接触しても、金属ばね335によってこのセンシング接点337の管部333からはみ出た部分の長さは変わらない。
【0038】
前記スティック組立体30は、第二操作部材33を備えず、第一操作部材31のみを備えていてもよいことは、理解できるであろう。
【0039】
一実施例において、前記第二操作部材33の材質は、金属又は導電性プラスチックである。
【0040】
前記スライド組立体50は、円盤状の第一スライド部材51と、弾性片52と、第二スライド部材53と、第二スライド部材53と直交して設けられた第三スライド部材55とを含む。
【0041】
一実施例では、前記第一スライド部材51には第一開口511が開けられ、前記第二スライド部材53には第二開口531が開けられ、前記第三スライド部材55には第三開口551が開けられ、前記第一スライド部材51、第一操作部材31及び第二操作部材33は前記第一開口511、第二開口531及び第三開口551を通る。
【0042】
もう一つの実施例では、前記第一スライド部材51には第一開口511が開けられ、前記第二スライド部材53には第二開口531が開けられ、前記第三スライド部材55には第三開口551が開けられ、前記第一操作部材31は前記第一開口511内に固定接続されて(即ち、前記第一スライド部材51は前記第一操作部材31と一体に設けられている)、且つ第二操作部材33と移動可能に第二開口531及び第三開口551の中を通る。
【0043】
前記弾性片52は、第一スライド部材51の外周側であって第一スライド部材51とほぼ同一の水平面に複数配置されている。
【0044】
前記複数の弾性片52は、第一スライド部材51を原点位置に復帰させるために、第一スライド部材51の外周縁に交差して設けられている。好ましくは、前記弾性片52は第一スライド部材51の外周縁を覆う。第一操作部材31及び第二操作部材33が移動すると、前記弾性片52は弾性変形することで第一操作部材31及び第二操作部材33を原点位置に復帰させることができる。
【0045】
第一操作部材31によりよく回復力を提供するために、前記交差して設けられている弾性片52は第一スライド部材51の外周縁を覆う。
【0046】
前記弾性片52はC型構造を有し、前記C型構造は中間領域に位置する中心固定部523と、中心固定部523の両端に位置する弾性部521と、弾性部521の先端に位置する駆動部525とを有し、駆動部525は、第一スライド部材51を原点復帰方向に付勢するように第一スライド部材51の外周面に当接するためのものである。
【0047】
弾性部521は、中心固定部523に接続された第一弾性部5211と、両端がそれぞれ第一弾性部5211および駆動部525に接続された第二弾性部5213とを含む。隣接する各第二弾性部5213は一方が他方の上に位置し、隣接二つの第二弾性部5213の間では交差するように配置されている。
【0048】
第二弾性部5213の幅は、第一弾性部5211の幅よりも狭い。第二弾性部5213の幅は、第一弾性部5211の幅の二分の一以下である。
【0049】
前記弾性部521の長さは16~24mmである。
【0050】
前記駆動部525は、第一スライド部材51の外周面を押すための、第一スライド部材51の外周面と平行で且つ長さが第一スライド部材51の厚さと同じである直線部5251を有し、前記直線部5251の両端には第一スライド部材51の内径方向へ湾曲したストッパ部5253が形成されている。前記駆動部525はおおむねU型或いはV型構造とすることができる。
【0051】
第一スライド部材の内周方向に形成された上ケース11の垂直面と隙間を持って対向して配置されるように、前記駆動部525のストッパ部5253は第一スライド部材51の原点位置にある。
【0052】
一実施例では、前記弾性片52の強度を増大させるために、弾性シート52の内面及び/又は外面に補強リブ527が形成されている。前記補強リブ527は弾性片52の長さ方向に沿って延びる。
【0053】
前記いくつかの弾性片52の形状は同一であってもよいし、異なってもよく、実際の必要に応じて設置することが可能である。
【0054】
一実施例において、前記弾性片52は第一スライド部材51と同一の水平面に位置する。
【0055】
具体的には、前記第一スライド部材51のその厚さ方向に垂直な中心面と、各弾性片52のその幅方向に垂直な中心面とが一つの水平面上にあることにより、弾性片52によって、第一スライド部材51は360度の範囲で安定した円滑なスライドが可能である。
【0056】
もう一つの実施例では、前記第一スライド部材51のその厚さ方向に垂直な中心面と、各弾性片52の弾性部521のその幅方向に垂直な中心面とが一つの水平面上にある。
【0057】
もう一つの実施例では、前記第一スライド部材51のその厚さ方向に垂直な中心面と、各弾性片52の駆動部525のその幅方向に垂直な中心面とが一つの水平面上にある。
【0058】
前記弾性片52のコストは比較的低く、しかも弾性片52を第一スライド部材51に取り付ける工程も自動組立によって容易に実現できることは、理解できるであろう。
【0059】
前記第一スライド部材51の上面には、第一開口511の周縁に沿ってフランジ513が凸設され、前記フランジ513の内面にはさらに、少なくとも一つのスライド溝5131が開けられている。前記第一操作部材31の柱体311は移動可能に第一開口511を通るか、または第一開口511内に固定的に収容され、しかも、前記柱部311の凸条315はスライド溝5131内に収容できる。前記第一スライド部材51のフランジ513から遠く離れた端にはさらに、方形フレーム515が凸設されている。前記方形フレーム515は第二開口531と第三開口551の重なった領域に収容されることで、前記第一スライド部材51が回動中において、方形フレーム515を介して第二スライド部材53及び第三スライド部材55をそれぞれX方向及びY方向に沿って移動させる。X方向はY方向と垂直である。前記スイッチ信号入力端7731はドームスイッチ777(即ち、ボタンスイッチ)と電気的に接続されている。前記スイッチ信号入力端7731及びドームスイッチ777と凸台713との間には隙間が存在する。
【0060】
前記第一操作部材31の駆動により、第一スライド部材51が水平360度の全方向にスライドし、第一スライド部材51の水平360度の全方向の範囲で第一操作部材31を押し下げてドームスイッチ777のスイッチ信号をトリガする。
【0061】
前記第二スライド部材53及び第三スライド部材55の少なくとも一方は、射出成形(Insert molding)により製造されている。
【0062】
前記第二スライド部材53及び第三スライド部材55は何れもフレーム体555とフレーム体555の両端に設置されたガイドレール553を備える。
【0063】
少なくとも一つのフレーム体555の材質は金属であり、好ましくはステンレススチールとすることで、第二スライド部材53と第三スライド部材55の力学強度を上げる。少なくとも一つのガイドレール553の材質はプラスチックであり、前記プラスチックと金属は射出成形方法で一体に接続できる。
【0064】
前記第一スライド部材51は上ケース11と第一支持部材17との間にスライド可能に設置され、前記第一支持部材17の端部はこれらのいくつかのガイドレール553上に設置されている。
【0065】
一実施例において、前記第一スライド部材51は第一支持部材17上にスライド可能に設置されている。前記第一支持部材17はいくつかの支持脚が形成され、且つ支持脚を介して下ケース13に設置されることで、沈下するのを防ぐ。各ガイドレール553にはスライド溝5531が開けられて、前記第一支持部材17はおおむね方形構造をしており、前記第一支持部材17は少なくとも四つの凸ブロック171を備える。前記凸ブロック171がスライド溝5531の中に収容されることで、第二スライド部材53と第三スライド部材55を第一支持部材17とスライド可能に接続させる。
【0066】
第一操作部材31がスライドの過程において第二スライド部材53及び第三スライド部材55から外れないように、前記第一操作部材31のフランジ313は、第二開口531及び第三開口551を貫通してから、前記第二スライド部材53及び第三スライド部材55のフレーム体555の外壁に当接する。
【0067】
前記第二支持部材19は、板体191と、板体191に凸設されたいくつかの支柱193及び板体191に開けられた第四開口195とを備える。前記支柱193は下ケース13又は回路基板77に配設されている。前記第一操作部材31と第二操作部材33は第二開口531、第三開口551及び第四開口195を移動可能に貫通している。
【0068】
前記方向センシング組立体70は、プッシャ71と、前記プッシャ71の中に設けられた接触板72と、プッシャ71の一端に外嵌されたコイルばね74と、第二スライド部材53に設けられた第一可動接点73と、第三スライド部材55に設けられた第二可動接点75と、プッシャ71の下方に設けられた回路基板77と、回路基板77に設けられたドームスイッチ79を備え、前記第一可動接点73と第二可動接点75はいずれも回路基板77に電気的に接続されており、前記第一操作部材31はプッシャ71に設けられている。
【0069】
前記プッシャ71は概ね環状構造であり、前記プッシャ71の中央にま凹溝が形成され、前記接触板72はこの凹溝内に収容される。
【0070】
前記プッシャ71は平面部715を有し、プッシャ71の水平中心の下部には一つの環状の凸台713と一つの突起部711が形成されている。前記凸台713はドームスイッチ79を操作するためのものであり、前記コイルばね74は突起部711に外嵌されて、前記プッシャ71を上方へ押し上げる。前記突起部711は凸台713を囲繞して、両者は同心して設置されている。前記平面部715はこの円盤状フランジ313と接触して、且つ円盤状フランジ313の直径より大きい直径を有する。
【0071】
前記プッシャ71の平面部715は円形或いは多角形であり、その面積は第一操作部材31の円盤状フランジ313の面積より大きく、且つ第一操作部材31のスライド量以上である。
【0072】
もう一つの実施例では、前記プッシャ71の平面部715は円形或いは多角形であり、その面積は第一操作部材31の円盤状フランジ313の面積以下であり、且つ第一操作部材31のスライド量以上である。この実施例は第二操作部材33を備えない場合に適用される。
【0073】
一実施例において、前記接触板72の頂面が位置する平面はプッシャ71の頂面が位置する平面より低く、或いは二つの平面は面一になる。二つの平面の間の間隔は0mm~2mmである。
【0074】
一実施例において、前記接触板72の面積はセンシング接点337のはみ出た領域の直径と第二操作部材33の移動量の和の二倍以上である。前記第二操作部材33のいずれか一方側における移動量は1~3mmであり、好ましくは2mmである。
【0075】
前記接触板72の外周の任意の位置には一つの弾性のある接触アーム721が延設されており、前記接触アーム721は回路基板77と接触し、接触アーム721は第二操作部材33のセンシング接点33と電気的に導通する。
【0076】
前記接触アーム721がプッシャ71を貫通してから、接触信号入力端7738と接続できる。
【0077】
前記センシング接点337の管部333からはみ出た部分は接触板72と接触できる。たとえ第二操作部材33が回動する中でも、前記センシング接点337は少なくとも接触板72の縁部と接触する。手で本体331を接触或いは押圧する場合、本体331の材質が金属であるため、手との間に静電気を起こして、静電気はセンシング接点337から接触板72に伝わり、そして接触アーム721を介して接触信号入力端7738に伝わって、最後は接触信号出力端7739により接触信号を出力する。
【0078】
前記回路基板77は第一スライド部材と平行に配置された基板771及び基板771に設けられた導電回路773を含む。前記回路基板77はフレキシブル回路基板とすることができる。基板771はポリイミド材質とすることが可能である。ポリイミド(PI、Polyimide)は優れた耐高低温性、電気絶縁性、接合性、耐放射性及び耐薬品性を有し、-269℃~280℃の温度範囲で長期にわたって使用でき、短期間で400℃の高温に達することができ、加工と使用が便利である。
【0079】
前記基板771は環状部772、環状部772と同心して且つ平行に設置されたプラットホーム部775、環状部772とプラットホーム部775を繋ぐ傾斜部774、及び直線部分776を備える。前記プラットホーム部775は環状部772より低い。
【0080】
前記環状部772には第五開口7721が形成されている。一実施例において、前記第二支持部材19は第五開口7721の中に位置する。
【0081】
前記導電回路773はスイッチ信号入力端7731、スイッチ信号出力端7732、接地端7733、第一固定接点7734、X方向信号出力端7735、第二固定接点7736、Y方向信号出力端7737、接触信号入力端7738、接触信号出力端7739、電源端7740を備える。X方向はY方向と垂直である。
【0082】
前記スイッチ信号出力端7732、接地端7733、X方向信号出力端7735、Y方向信号出力端7737、接触信号出力端7739、電源端7740は直線部分776に設けられている。前記第一固定接点7734、第二固定接点7736、接触信号入力端7738は環状部772に設けられている。前記スイッチ信号入力端7731はプラットホーム部775に設けられている。
【0083】
前記凸台713はスイッチ信号入力端7731と対向して設置されるか、接触して設置される。前記第一支持部材17は前記コイルばね74により押し上げられたプッシャ71を上限位置に保つためのものである。
【0084】
前記第一操作部材31及び/又は第二操作部材33を推し進める或いは移動させる場合、前記第一操作部材31は直交するように設置された第二スライド部材53と第三スライド部材55をX方向及びY方向に沿って安定してスライドするように駆動する。X方向はY方向に垂直である。同時に、第二スライド部材53及び第三スライド部材55と接続された第一可動接点73及び第二可動接点75もあわせて安定してX方向とY方向に沿ってスライドする。第一可動接点73と第二可動接点75はそれぞれ第一固定接点7334と第二固定接点7336と接続されることで、第二スライド部材53と第三スライド部材55のスライド位置の出力信号を第一固定接点7334と第二固定接点7336により入力して、且つX方向信号出力端7735とY方向信号出力端7737により制御信号を出力して、変位精度の精確な制御を実現できる。いくつかの弾性片52が交差して第一スライド部材51の外周縁に設けられてるため、前記第一操作部材31及び第二操作部材33が水平360度の全方向の範囲でスライドでき、且つ第一操作部材31及び第二操作部材33を原点位置に復帰させる作用力を提供する。
【0085】
前記第一操作部材31及び/又は第二操作部材33を押圧する場合、前記第一操作部材31及び/又は第二操作部材33が下へ移動して、第二開口531、第三開口551、第四開口195を貫通し、且つ一緒に下へ移動するようにプッシャ71を動かして、プッシャ71の凸台713及び/又は凸台713はドームスイッチ70に接触して、スイッチ信号を発生させて、スイッチ信号はさらにスイッチ信号出力端7732を通して出力される。第一スライド部材51の水平360度の全方向の範囲で第一操作部材31を押し下げることでドームスイッチ79をトリガして、スイッチ信号を生成して、スイッチ信号をさらにスイッチ信号出力端7732を通して出力する。
【0086】
本願ではさらにゲームコントローラーを提案する。前記ゲームコントローラーは前記多方向入力装置100を備える。当該ゲームコントローラーは上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての有益効果を有し、ここでは逐一贅言しない。
【0087】
本願ではさらにゲーム機を提案する。前記ゲーム機は前記ゲームコントローラーを備える。当該ゲーム機は上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての有益効果を有し、ここでは逐一贅言しない。
【0088】
以上は本願の好ましい実施例にすぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明の構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた等価構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接或いは間接的なの応用は、何れも本願の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
100 多方向入力装置
10 ハウジング組立体
11 上ケース
112 頂壁
1121 開口部
113 側壁
1131 逃げ領域
114 係合部材
13 下ケース
131 凸起
133 逃げ領域
15 固定部材
151 開孔
153 固定板
1531 係合孔
17 第一支持部材
171 凸ブロック
19 第二支持部材
191 板体
193 支持脚
195 第四開口
30 スティック組立体
31 第一操作部材
311 柱体
313 フランジ
312 かしめ凸台
315 凸条
317 切欠き
319 挟持アーム
33 第二操作部材
331 本体
333 管部
3331 第一かしめ部
3333 第二かしめ部
335 金属ばね
337 センシング接点
50 スライド組立体
51 第一スライド部材
511 第一開口
513 フランジ
5131 スライド溝
515 方形フレーム
52 弾性片
521 弾性部
5211 第一弾性部
5213 第二弾性部
523 中心固定部
525 駆動部
5251 直線部
5253 ストッパ部
527 補強リブ
53 第二スライド部材
531 第二開口
55 第三スライド部材
551 第三開口
553 ガイドレール
5531 スライド溝
555 フレーム体
70 方向センシング組立体
71 プッシャ
711 突起部
713 凸台
715 平面部
72 接触板
721 接触アーム
73 第一可動接点
74 コイルばね
75 第二可動接点
77 回路基板
771 基板
772 環状部
7721 第五開口
773 導電回路
7731 スイッチ信号入力端
7732 スイッチ信号出力端
7733 接地端
7734 第一固定接点
7735 X方向信号出力端
7736 第二固定接点
7737 Y方向信号出力端
7738 接触信号入力端
7739 接触信号出力端
7740 電源端
774 傾斜部
775 プラットホーム部
776 直線部分
79 ドームスイッチ