IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

特許7181317電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査
<>
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図1
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図2
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図3
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図4
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図5
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図6
  • 特許-電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】電子ビーム誘起電流に基づくウェーハ検査
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/28 20060101AFI20221122BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20221122BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/244
H01L21/66 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020566704
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019063286
(87)【国際公開番号】W WO2019238373
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】62/684,141
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マ,ロン
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-166702(JP,A)
【文献】特開2003-303867(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01511066(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0135754(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0239347(US,A1)
【文献】特開2005-071775(JP,A)
【文献】特開2002-083849(JP,A)
【文献】特開2006-119133(JP,A)
【文献】特開2008-204775(JP,A)
【文献】特開2001-185593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/28
H01J 37/244
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)を検出するための回路を含む電子検出器と、
前記ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)を検出するための回路を含む電流検出器と、
1つ又は複数のプロセッサとメモリとを有するコントローラであって、
前記SE/BSEに関するデータを取得し、
前記EBICに関するデータを取得し、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと同期させ、及び
前記SE/BSEデータ及び前記EBICデータの評価に基づいて前記ウェーハの構造情報を決定する
ための回路を含むコントローラと
を備え
前記構造情報の前記決定の際に、前記コントローラが、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと比較し、及び
前記比較に基づいて前記構造情報を決定し、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと比較する際に、前記コントローラが、
前記SE/BSEデータに基づいて前記ウェーハのSE/BSE像を構築し、
前記EBICデータに基づいて前記ウェーハのEBIC像を構築し、
前記SE/BSE像の画素を、前記EBIC像の分解能にわたって平均化し、及び
前記SE/BSE像を前記EBIC像と比較する電子ビームシステム。
【請求項2】
前記構造情報の前記決定の際に、前記コントローラが、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと同期させる
ための回路を含み、前記同期させることは、前記ウェーハに投影される電子ビームの走査速度に基づいて、前記SE/BSEデータと前記EBICデータとを、時間的に同期させることを有する、請求項1に記載の電子ビームシステム。
【請求項3】
前記構造情報が、
前記ウェーハ上の欠陥、
前記ウェーハ上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン、及び
前記ウェーハ上に形成されたフィーチャの縁部
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電子ビームシステム。
【請求項4】
前記電流検出器回路が前記ウェーハに結合され、前記電流検出器回路が、前記ウェーハから電流を受け取ってEBICデータを前記コントローラに提供するように構成される、請求項1に記載の電子ビームシステム。
【請求項5】
前記ウェーハに結合された前記電流検出器回路が、前記EBICの強度を測定して前記強度を前記EBICデータとして出力するように構成された電流計を含む、請求項に記載の電子ビームシステム。
【請求項6】
前記ウェーハに結合された前記電流検出器回路が、前記EBICデータを増幅するように構成された増幅器を含む、請求項に記載の電子ビームシステム。
【請求項7】
前記電子検出器が、前記SE/BSEの強度に基づくSE/BSEデータを前記コントローラに提供するための回路を含む、請求項1に記載の電子ビームシステム。
【請求項8】
前記EBICが前記ウェーハの基板電流である、請求項1に記載の電子ビームシステム。
【請求項9】
一次電子ビームで前記ウェーハを走査するための回路を含む電子ビームツールをさらに備える、請求項1に記載の電子ビームシステム。
【請求項10】
電子ビームで走査されたウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、
前記ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと同期させることと、
前記SE/BSEデータ及び前記EBICデータの評価に基づいて前記ウェーハの構造情報を決定することと
を含み、
前記ウェーハの構造情報を決定することは、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと比較することと、及び
前記比較に基づいて前記構造情報を決定することと、
を含み、
前記SE/BSEデータを前記EBICデータと比較することは、
前記SE/BSEデータに基づいて前記ウェーハのSE/BSE像を構築することと、
前記EBICデータに基づいて前記ウェーハのEBIC像を構築することと、
前記SE/BSE像の画素を、前記EBIC像の分解能にわたって平均化することと、及び
前記SE/BSE像を前記EBIC像と比較することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記同期させることは、前記ウェーハに投影される電子ビームの走査速度に基づいて、前記SE/BSEデータと前記EBICデータとを、時間的に同期させることを有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本出願は、2018年6月12日に出願された米国特許出願第62/684,141号の優先権を主張するものであり、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本開示は、概して、半導体ウェーハ計測の分野に関し、より詳細には、ウェーハの二次電子/後方散乱電子(SE/BSE)イメージングをウェーハの電子ビーム誘起電流(EBIC)イメージングと結合することによってウェーハを検査するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成の又は完成した回路コンポーネントは、設計に従って製造され且つ欠陥がないことを確実にするために検査する必要がある。その上、パターン形成されていないウェーハ又はベアウェーハもまた、ICを作製するために使用される前に、欠陥がないこと又は所要の仕様を満たすことを確実にするために検査する必要がある。そのようなものとして、ウェーハ検査プロセスは、製造プロセスに組み込まれている。具体的には、ウェーハ検査システムは、光学顕微鏡又は、走査電子顕微鏡(SEM)などの、荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡を用いて、ウェーハを走査してウェーハ表面の像を構築し得る。次に、ウェーハ検査システムは、その像を詳細に調べて、欠陥を検出しウェーハ上の欠陥の位置座標を決定し得る。
【0004】
[004] 光子ビームと比較して、電子ビームは、短波長を有し、それによって、より優れた空間分解能を提供し得る。典型的には、SEMは、検査中のウェーハの所定の走査箇所に一次電子ビームの電子を集束させ得る。一次電子ビームは、ウェーハと相互作用して後方散乱され得るか、又はウェーハに二次電子を放出させ得る。後方散乱電子又は二次電子の強度は、ウェーハの内部又は外部構造の特性によって異なり、例えば、ウェーハ上の欠陥、あるフィーチャの寸法などの、ウェーハの構造情報を示す。
【発明の概要】
【0005】
[005] 本開示の実施形態は、ウェーハの二次電子/後方散乱電子(SE/BSE)イメージングとウェーハの電子ビーム誘起電流(EBIC)イメージングとを結合することによってウェーハを検査するためのシステムに関する。いくつかの実施形態では、電子ビームシステムが提供される。電子ビームシステムは、ウェーハから放出されたSE/BSEを検出するための回路を含む電子検出器を含む。電子ビームシステムはまた、ウェーハからのEBICを検出するための回路を含む電流検出器を含む。電子ビームシステムは、1つ又は複数のプロセッサとメモリとを有するコントローラであって、SE/BSEに関するデータを取得し、EBICに関するデータを取得し、及びSE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定するための回路を含むコントローラをさらに含む。
【0006】
[006] いくつかの実施形態では、コンピュータシステムが提供される。コンピュータシステムは、命令を記憶するメモリを含む。コンピュータシステムはまた、メモリに電子的に結合されたプロセッサを含む。プロセッサは、ウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、SE/BSEデータ及びEBICデータを評価することと、SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定することとをコンピュータシステムにさせるための命令を実行するための回路を含む。
【0007】
[007] いくつかの実施形態では、方法が提供される。方法は、電子ビームで走査されたウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定することとを含む。
【0008】
[008] いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。媒体は、ウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定することとを含む方法を1つ又は複数のデバイスに実施させるように1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である1組の命令を記憶する。
【0009】
[009] 開示の実施形態の追加の目的及び利点は、以下の説明に部分的に記載されており、且つその説明から部分的に明らかになるか、又は実施形態の実施によって知られ得る。開示の実施形態の目的及び利点は、特許請求の範囲に記載された要素及び組み合わせによって実現され達成され得る。
【0010】
[010] 前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、単に例示的且つ説明的なものに過ぎず、特許請求される、開示の実施形態を制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[011]図1は、本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを図示する概略図である。
図2】[012]図2は、本開示の実施形態と一致する、図1の例示的な電子ビーム検査の一部であり得る例示的な電子ビームツールを図示する概略図である。
図3】[013]図3は、本開示の実施形態と一致する、EBICを測定するための構造的構成を図示する概略図である。
図4】[014]図4は、本開示の実施形態と一致する、SE/BSE測定とEBIC測定との結合を図示する概略図である。
図5】[015]図5は、本開示の実施形態と一致する、ウェーハのSE/BSE信号とEBIC信号との相関関係を図示する概略図である。
図6】[016]図6は、本開示の実施形態と一致する、図2の電子ビーム検査と通信する例示的なコントローラのブロック図である。
図7】[017]図7は、本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[018] ここで例示的な実施形態について詳細に言及し、その例を添付の図面に図示する。以下の説明では、別段の表示がない限り、異なる図面中の同じ番号が同じ又は同様の要素を表す添付の図面を参照する。例示的な実施形態の以下の説明に記載された実施態様は、本発明と一致する、全ての実施態様を表すわけではない。むしろ、それらの実施態様は、添付の特許請求の範囲に列挙される、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例に過ぎない。
【0013】
[019] 上で説明したように、典型的な電子ビーム(eビーム)ツール(例えば、SEM)は、ウェーハの構造情報を検出するのに後方散乱電子又は二次電子に依存する。しかしながら、実際には、ウェーハは、ほんの少数の後方散乱電子又は二次電子しか放出できない材料から作られることが多い。その上、ウェーハは、後方散乱電子又は二次電子を放出するウェーハの能力を低下させる構造を有するようにパターン形成されることがある。これらの状況では、後方散乱/二次電子信号は、あまりにも微弱すぎて、微細構造の情報を明らかできない場合がある。ウェーハを走査するのにより多くの時間を費やすことで、収集される後方散乱/二次電子の量が増加し得るが、これによって、電子ビームツールのスループットが劣化する。
【0014】
[020] 本出願は、後方散乱/二次電子信号以外に又はこれに加えて電子信号に基づいてウェーハ構造を検出するための電子ビームシステムを提供する。本明細書に開示する技術のいくつかは、微弱な後方散乱/二次電子信号に伴う問題を解決する。特に、電子ビームによってウェーハが走査されたときに、ウェーハは、後方散乱電子又は二次電子を放出するだけでなく、電流も放出し得る。放出電流の強度はまた、ウェーハの内部又は外部構造の特性によって異なるので、ウェーハの構造情報を示し得る。開示の電子ビームシステムは、ウェーハ構造情報を決定するために、放出電流を収集し分析する。以下により詳細に説明するように、後方散乱/二次電子信号が微弱である場合、放出電流の強度は大きい。それゆえ、開示の電子ビームシステムは、従来の電子ビームシステムでは検出するのが困難であるウェーハ構造を検出することができる。その上、本出願はまた、後方散乱/二次電子信号と放出電流信号とを同時に収集し、ウェーハを走査するための時間を増やさずに、両方の信号を比較してウェーハ構造に関する補足的情報を提供するための技術を提供する。それゆえ、開示の電子ビームシステムは、より正確且つ効率的にウェーハ構造を検出することができる。
【0015】
[021] 本出願全体を通じて使用される場合、特段の定めがない限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除き、可能な全ての組み合わせを包含する。例えば、デバイスがA又はBを含むことができると定められている場合、特段の定めがない限り又は実現不可能でない限り、デバイスは、A、若しくはB、又はA及びBを含むことができる。第2の例として、デバイスがA、B、又はCを含むことができると定められている場合、特段の定めがない限り又は実現不可能でない限り、デバイスは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことができる。
【0016】
[022] 図1は、本開示の実施形態と一致する例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を図示する。図1に示すように、EBIシステム100は、メインチャンバ101と、装填/ロックチャンバ102と、電子ビームツール104と、機器フロントエンドモジュール(EFEM)106とを含む。電子ビームツール104は、メインチャンバ101内に位置する。EFEM 106は、第1の装填ポート106aと第2の装填ポート106bとを含む。EFEM 106は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bは、検査すべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、以下ではまとめて「ウェーハ」と称される)を収容するウェーハカセットを受け取る。
【0017】
[023] EFEM 106内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、ウェーハを装填/ロックチャンバ102に移送する。装填/ロックチャンバ102は、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように装填/ロックチャンバ102内のガス分子を除去する装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第1の圧力に達した後に、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、ウェーハを装填/ロックチャンバ102からメインチャンバ101に移送する。メインチャンバ101は、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するようにメインチャンバ101内のガス分子を除去するメインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第2の圧力に達した後に、ウェーハは、電子ビームツール104による検査を受ける。
【0018】
[024] 図2は、本開示の実施形態と一致する、電子ビームツール104の例示的なコンポーネントを図示する。図2に示すように、電子ビームツール104は、電動ステージ200と、検査すべきウェーハ203を保持するために電動ステージ200によって支持されたウェーハホルダ202とを含む。電子ビームツール104は、対物レンズアセンブリ204と、電子検出器206(電子センサ表面206a及び206bを含む)と、対物アパーチャ208と、集光レンズ210と、ビーム絞りアパーチャ212と、ガンアパーチャ214と、アノード216と、カソード218とをさらに含む。対物レンズアセンブリ204は、一実施形態では、磁極片204aと、制御電極204bと、偏向器204cと、励磁コイル204dとを含む、変更スウィング対物制動液浸レンズ(SORIL)を含み得る。電子ビームツール104は、ウェーハ上の材料の特性を明らかにするためのエネルギー分散型X線スペクトロメータ(EDS)検出器(図示せず)を追加的に含み得る。
【0019】
[025] 一次電子ビーム220は、アノード216とカソード218との間に電圧を印加することによってカソード218から放出される。一次電子ビーム220は、ガンアパーチャ214及びビーム絞りアパーチャ212を通過し、ガンアパーチャ214とビーム絞りアパーチャ212の両方は、ビーム絞りアパーチャ212よりも下に存在する、集光レンズ210に入射する電子ビームのサイズを決定してもよい。集光レンズ210は、一次電子ビーム220が対物アパーチャ208に入射する前に一次電子ビーム220を集束させ、対物レンズアセンブリ204に入射する前に電子ビームのサイズを設定する。偏向器204cは、ウェーハ上のビーム走査を容易にするために、一次電子ビーム220を偏向させる。例えば、走査プロセスでは、偏向器204cは、ウェーハ203の異なる部分の像再構築のためのデータを提供するために、異なる時点でウェーハ203の上面の異なる箇所に一次電子ビーム220を順次偏向させるように制御されてもよい。その上、偏向器204cはまた、その箇所におけるウェーハ構造の立体像再構築のためのデータを提供するために、異なる時点で特定の箇所におけるウェーハ203の異なる側面に一次電子ビーム220を偏向させるように制御されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、アノード216及びカソード218は、多数の一次電子ビーム220を生成するように構成されてもよく、及び電子ビームツール104は、ウェーハ203の異なる部分の像再構築のためのデータを提供するために、ウェーハの異なる部分/側面に多数の一次電子ビーム220を同時に投影するための複数の偏向器204cを含み得る。
【0020】
[026] 励磁コイル204d及び磁極片204aは、磁極片204aの一端部から始まり、磁極片204aの他端部で終わる磁界を生成してもよい。一次電子ビーム220によって走査されるウェーハ203の一部は、磁界に浸されてもよく、帯電させて電界を発生させてもよい。電界は、一次電子ビーム220がウェーハと衝突する前にウェーハの表面付近で衝突する一次電子ビーム220のエネルギーを低減する。制御電極204bは、磁極片204aから電気的に絶縁され、ウェーハのマイクロアーチングを防止し及び適切なビーム集束を確保するために、ウェーハ上の電界を制御する。
【0021】
[027] 二次電子/後方散乱電子(SE/BSE)ビーム222は、一次電子ビーム220を受け取った時点でウェーハ203の一部から放出され得る。二次電子ビーム222は、電子検出器206のセンサ表面206a又は206bにビームスポットを形成し得る。電子検出器206は、ビームスポットの強度を表す信号(例えば、電圧、電流など)を生成してもよく、及び電子検出器206との有線又は無線通信を介してコントローラ300に信号を提供してもよい。SE/BSEビーム222の強度、及び結果として生じるビームスポットは、ウェーハ203の外部又は内部構造に応じて異なり得る。その上、上述したように、異なる強度のSE/BSEビーム222(及び結果として生じるビームスポット)を生成するために、一次電子ビーム220が、ウェーハの上面の異なる箇所又は特定の箇所におけるウェーハの異なる側面に投影されてもよい。それゆえ、ビームスポットの強度をウェーハ203の箇所とマッピングすることによって、コントローラ300は、ウェーハ203の内部又は外部構造を反映するSE/BSE像を再構築してもよい。
【0022】
[028] 上で説明したように、電子ビームツールは、光学ツールよりも優れた空間分解能を提供する。しかしながら、電子ビームツールの感度は依然として、検出すべきデバイス又は構造によって決まる。例えば、高アスペクト比(HAR)ホール及びトレンチなどの、いくつかの構造は、後方散乱電子又は二次電子がウェーハ(例えば、ウェーハ203)から逃げるのを防止し、それによって、検出器(例えば、電子検出器206)に達する電子の量を大幅に低減し得る。これによって、SEM像内の異なるHAR構造が暗く見えるようになるだけでなく、SEMの信号対雑音比が劣化する。例えば、SEM像内の正常なHARホールと欠陥のあるHARホールとに違いがない場合がある。
【0023】
[029] 半導体産業で使用されるインライン計測は、急速な速さのデバイススケーリング及び新たなデバイスアーキテクチャの採用という課題を抱えているので、感度の限界によって、電子ビームツールが、次世代のウェーハ検査技術によって課せられる要件を満たすことができない場合がある。例えば、論理接点、トレンチアイソレーション、及び3次元(3D)メモリフィーチャを含む、多くの異なる用途では、HAR構造を作製する際にリソグラフィプロセスを監視するための検査が必要となる。これらの用途では、20:1、30:1、40:1、又はさらには60:1のホール及びトレンチをウェーハ上に形成する必要がある場合がある。例えば、HARコンタクトホールは、32nmのノードで約30:1のアスペクト比では、深さが1μmであり、及び直径が30nmであってもよい。しかしながら、上で説明したように、中又は低エネルギーの後方散乱電子(BSE)及び二次電子(SE)は、HAR構造から逃げることが困難である場合がある。それゆえ、BSE及びSEに基づく測定は、HAR構造に対する感度がより低く、HAR構造の重大な欠陥又はクリティカルディメンジョン情報を見逃す場合がある。
【0024】
[030] これらの問題を解決するために、電子ビームツール104はさらに、ウェーハ203の電子ビーム誘起電流(EBIC)を取得し、BSE/SE信号に加えて又はBSE/SE信号と組み合わせて、EBIC信号に基づいてウェーハ203の構造情報を決定するように構成される。いくつかの構造的フィーチャ(例えば、HAR構造)はBSE/SE信号強度よりも高いEBIC信号強度を有し得るので、EBIC信号は、これらの構造的フィーチャに対する感度がより高い。それゆえ、電子ビームツール104の感度が改善される。
【0025】
[031] 具体的には、開示の実施形態と一致して、ウェーハ203は、ウェーハホルダ202及びEBIC検出回路230を介して接地されてもよい。図3に概略的に示すように、いくつかの実施形態では、電線231は、ウェーハ203から延在させて、サンプルホルダ202を介して接地に接続されてもよい。一次ビーム220がウェーハ203を走査する間に、EBIC(又は基板電流)は、電線231を流れ、EBIC検出回路230によって測定されてもよい。
【0026】
[032] 再び図2を参照すると、EBIC検出回路230は、コントローラ300と有線又は無線通信して、測定したEBIC値をコントローラ300に報告する。そのようなものとして、一次電子ビーム220がウェーハ203を走査する間に、SE/BSE信号とEBIC信号は同時に測定されてコントローラ300に送信されてもよい。コントローラ300は、ウェーハ203の同じ箇所(又はフィーチャ)に対応するSE/BSEデータ及びEBICデータを相関させてもよい。コントローラ300はまた、SE/BSE像及びEBIC像をそれぞれ構築してもよい。例えば、SE/BSE像及びEBIC像は、グレースケールレベルがSE/BSE及びEBIC信号の強度に比例するグレースケール像であってもよい。コントローラ300はさらに、SE/BSEデータ(又は像)をEBICデータ(又は像)と比較してもよい。比較に基づいて、コントローラ300は、SE/BSEデータ(又は像)のみに基づくのでは検出が容易でないウェーハ203の(例えば、欠陥、クリティカルディメンジョン、縁部など)構造情報を決定してもよい。
【0027】
[033] 図4は、本開示の実施形態と一致する、SE/BSE測定とEBIC測定との結合を図示する概略図である。図4を参照すると、一次電子ビーム220のビーム電流Ipeは、一次電子ビーム220をファラデーカップ内(図示せず)に投影することによって測定されてもよい。一次電子ビーム220がウェーハ203の表面に投影されたときに、SE/BSEが生成されて電子検出器206によって収集され得る。SE/BSEの電流Ise/bseは、電子検出器206によって測定されて、増幅器207によって増幅される。次いで、増幅されたIse/bse信号は、コントローラ300に送信される。その一方で、EBICは、基板電流の形で生成され、接地に流れる。EBIC検出回路230は、EBIC Iebicを測定するための電流計232(例えば、ピコメータ)と、Iebic信号を増幅するための増幅器233とを含む。そして、増幅されたIebic信号は、コントローラ300に送信される。Ise/bse信号及びIebic信号は、それぞれ、ウェーハ203のSE/BSE像及びEBIC像を縮小させるために使用され得る。Ise/bseがウェーハ203のある特定のフィーチャ(例えば、材料、HAR構造など)に起因してより微弱である場合、Ipe=Ise/bse+Iebicであるので、Iebicは十分に強く、及びウェーハ203の構造情報を決定するのに依存され得る。
【0028】
[034] 例えば、SE/BSE放出の収率は、ウェーハ203上にコーティングされた材料のタイプによって決まり得る。
【0029】
【表1】
【0030】
[035] 表1を参照すると、Ipe及びIebicは、それぞれファラデーカップ及び電流計232によって測定されてもよい。Ise/bseは、Ise/bse=Ipe-Iebicに基づいて算出されてもよく、及びSE/BSE放出の収率は、収率=Ise/bse/Ipeに基づいて算出されてもよい。表1が示すように、金などの重金属はSE/BSE放出の収率が比較的高く、その一方で、チタンなどの遷移金属はSE/BSE放出の収率が比較的低い。開示の実施形態では、ウェーハ203のSE/BSE放出の収率が低い場合には、ウェーハ203のIebic信号が強く、このIebic信号は、ウェーハ203の構造情報を決定するために使用され得る。
【0031】
[036] 図5は、本開示の実施形態と一致する、同じウェーハによって生成されるSE/BSE信号とEBIC信号との相関関係を図示する概略図である。図5を参照すると、一次電子ビーム220がウェーハ203を走査する間に、ウェーハ203によって生成されたSE/BSE信号及びEBIC信号が同期されてもよい。電流計232及び電子検出器206の速度(すなわち、周波数)に応じて、EBIC信号の分解能は、SE/BSE像の分解能と同じであっても異なってもよい。図5に示す例では、電流計232の速度が電子検出器206の速度よりも低いので、ウェーハ203のSE/BSE像は2nmの分解能を有し、その一方で、EBIC信号は1μmの分解能を有する。そのようなものとして、同期されたSE/BSE信号及びEBIC信号を比較するために、SE/BSE像の画素はまず、1μmにわたって平均化され、次いで、EBIC信号と比較されてもよい。
【0032】
[037] 図5に図示するように、SE/BSE像内では、高いグレースケール値を有する(すなわち、「明るい」)画素は、小さなIebicに対応し、及び低いグレースケール値を有する(すなわち、「暗い」)画素は、大きなIebicに対応する。ウェーハ203上のラインフィーチャは、EBIC信号、SE/BSE信号又はこれらの組み合わせに基づいて検出されてもよい。
【0033】
[038] 図6は、本開示の例示的な実施形態と一致する、例示的なコントローラ300のブロック図である。コントローラ300は、電子ビームツール104に電子的に接続される。コントローラ300は、EBIシステム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであってもよい。例えば、コントローラ300は、ウェーハ203の表面上で一次電子ビーム220を走査するように電子ビームツール104の様々なコンポーネントを制御してもよく、その結果、ウェーハ203は、電子ビームツール104によって同時に検出され得る、SE/BSE及びEBICを放出し得る。
【0034】
[039] 図6を参照すると、コントローラ300は、ウェーハに関するSE/BSEデータ及びEBICデータを受信するように電子ビームツール104に電気的に結合される通信インターフェース322を有する。コントローラ300はまた、SE/BSEデータとEBICデータとを同期させ、ウェーハのSE/BSE像及びEBIC像を構築し、SE/BSEデータ/像をEBICデータ/像と比較し、及び比較に基づいてウェーハの構造情報を決定するように構成されたプロセッサ324を含む。
【0035】
[040] プロセッサ324は、中央処理ユニット(CPU)、画像処理ユニット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ324は、並列プロセスを同時に実行することが可能なシングルコア又はマルチコアプロセッサなどの、開示のウェーハ検査方法の機能を果たすように設計された1つ又は複数の処理デバイスであってもよい。例えば、プロセッサ324は、仮想処理技術を用いて構成されたシングルコアプロセッサであってもよい。ある実施形態では、プロセッサ324は、論理プロセッサを使用して、多数のプロセスを同時に実行し制御することができる。プロセッサ324は、多数のソフトウェアプロセス、アプリケーション、プログラムなどを実行し、制御し、起動し、操作し、及び記憶するなどの能力を提供するための、仮想機械技術又は他の既知の技術を実装してもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ324は、多数のプロセスを同時に実行する並列処理機能を提供するように構成されたマルチコアプロセッサ構成(例えば、デュアルコア、クアッドコアなど)を含み得る。本明細書に開示する能力を提供する他のタイプのプロセッサ構成を実現できることが認識される。
【0036】
[041] コントローラ300はまた、開示のウェーハ検査プロセスなどの、1つ又は複数のアプリケーション、及びコンピュータシステム上で利用可能であることが知られている他の任意のタイプのアプリケーション又はソフトウェアをプロセッサ324が実行できるようにするための命令を含むメモリ326を含み得る。代替的又は追加的に、命令、アプリケーションプログラムなどは、コントローラ300と直接通信する内部データベース又は外部ストレージ(図示せず)に記憶されてもよい。内部データベース又は外部ストレージは、揮発性若しくは不揮発性、磁気、半導体、テープ、光学、取り外し可能、取り外し不能、又は他のタイプの記憶デバイス又は有形若しくは非一時的コンピュータ可読媒体であってもよく、或いはクラウドストレージとすることができる。非一時的媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記憶媒体、孔のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM及びEPROM、フラッシュEPROM、又は他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、並びにこれらのネットワーク化されたバージョンを含む。
【0037】
[042] 開示の実施形態と一致して、メモリ326は、プロセッサ324によって実行されたときに、本明細書に開示する機能と一致する1つ又は複数のプロセスを実施する命令を含み得る。その上、プロセッサ324は、コントローラ300から遠隔に位置する1つ又は複数のプログラムを実行してもよい。例えば、コントローラ300は、実行されたときに、開示の実施形態に関連する機能を果たす、1つ又は複数の遠隔プログラムにアクセスしてもよい。
【0038】
[043] コントローラ300はまた、ユーザインターフェース328を含み得る。ユーザインターフェース328は、コンピュータユーザに情報を表示するための、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、又はタッチスクリーンなどの、ディスプレイを含み得る。例えば、ディスプレイは、ウェーハ検査結果(例えば、欠陥情報、寸法情報など)をユーザに提示するために使用され得る。インターフェース328はまた、プロセッサ324に情報及びコマンド選択を伝達するための、英数字及び他のキーを含む、入力デバイスを含み得る。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ328に方向情報及びコマンド選択を伝達するため、及びディスプレイ上でのカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどの、カーソル制御である。入力デバイスは、典型的には、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする、2つの軸、すなわち、第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy)における2自由度を有する。いくつかの実施形態では、カーソル制御と同じ方向情報及びコマンド選択は、カーソルなしにタッチスクリーン上のタッチを受信することによって実現されてもよい。例えば、ユーザは、入力デバイスを使用して、ウェーハの検査エリアを選択するか又は検査すべき欠陥特性を入力してもよい。
【0039】
[044] いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース328は、1つ又は複数の計算デバイスによって実行される実行可能なソフトウェアコードとして大容量記憶デバイスに記憶され得るグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を実装するように構成されてもよい。このモジュール及び他のモジュールは、例として、ソフトウェアコンポーネント、オブジェクト指向ソフトウェアコンポーネント、クラスコンポーネント及びタスクコンポーネントなどの、コンポーネント、プロセス、関数、フィールド、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、及び変数を含み得る。
【0040】
[045] 図7は、本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査方法700のフローチャートである。方法700は、電子ビームツール(例えば、電子ビームツール104)と通信するコントローラ(例えば、コントローラ300)によって実施されてもよい。図7を参照すると、方法700は、以下のステップ710~740の1つ又は複数を含み得る。
【0041】
[046] ステップ710では、コントローラは、ウェーハ(例えば、ウェーハ203)を一次電子ビーム(例えば、一次電子ビーム220)で走査するように電子ビームツールを制御する。走査動作は、ウェーハ表面上で一次電子ビームを偏向させること、一次電子ビームの下でウェーハを移動させること、又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。
【0042】
[047] ステップ720では、一次電子ビームがウェーハを走査する間に、コントローラは、SE/BSE信号とEBIC信号とを略同時に受信する。SE/BSE信号とEBIC信号の両方は、走査によって生じる。電子ビームツールは、SE/BSEを収集してSE/BSE電流に比例する強度を有するSE/BSE信号を生成するための電子検出器(例えば、電子検出器206)を含み得る。電子ビームツールはまた、EBICを測定するための電流計(例えば、電子検出器232)を含み得る。SE/BSE信号とEBIC信号の両方は増幅され、次いでコントローラに送信される。
【0043】
[048] ステップ730では、コントローラは、SE/BSE信号をEBIC信号に相関させる。コントローラは、SE/BSE信号及びEBIC信号の各データ点を対応する走査位置に相関させてもよい。代替的又は追加的に、コントローラは、SE/BSE信号をEBIC信号と時間的に同期させてもよい。任意選択的に、コントローラは、SE/BSE信号及びEBIC信号に基づいてそれぞれウェーハのSE/BSE像又はEBIC像を構築してもよい。
【0044】
[049] ステップ740では、コントローラは、SE/BSE信号及びEBIC信号の少なくとも一方に基づいてウェーハの構造情報を決定する。いくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハの異なるダイ又はセルに由来するSE/BSE信号を比較し、その比較に基づいて欠陥を検出してもよい。例えば、コントローラは、異なるダイ又はセルのSE/BSE像が何らかの不一致を有するかどうかを判定してもよい。不一致がある場合、コントローラはさらに、SE/BSE像を検討して、不一致が欠陥に相当するかどうかを判定してもよい。同様に、いくつかの実施形態では、コントローラはまた、ウェーハの異なるダイ又はセルに由来するEBIC信号を比較し、その比較に基づいて欠陥を検出してもよい。
【0045】
[050] いくつかの実施形態では、コントローラは、SE/BSE信号(又は像)を対応する又は同期されたEBIC信号(又は像)と比較し、その比較に基づいてウェーハの構造情報を決定してもよい。例えば、コントローラは、比較に基づいて欠陥を検出してもよい。例えば、低いSE/BSE強度を有するが、高いEBIC強度を有する(すなわち、SE/BSE放出が所定の閾値よりも低い)構造又はデバイス(例えば、HAR構造又はデバイス)では、EBIC信号は、より高い信号対雑音比を有するので、欠陥を検出するために使用され得る。別の例では、SE/BSE強度とEBIC強度の和は、一定である一次電子ビームの強度に概ね等しい。しかしながら、SE/BSE強度とEBIC強度の和がウェーハのある特定の領域で大きく変動する場合には、この現象は、影響を受けた領域が欠陥を含むことを暗に示し得る。
【0046】
[051] 上で説明したシステム及び方法は、ウェーハのSE/BSEイメージングとウェーハのEBICイメージングの両方に基づいてウェーハを検査する。特に、開示の電子ビームシステムがウェーハを走査してウェーハに由来するSE及びBSEを検出したときに、ウェーハのEBIC(又は基板電流)を同時に収集するために、追加のデータチャネルが作成される。EBICデータは、SE/BSEデータに相関させ(例えば、SE/BSEデータと同期させ)、及びSE/BSEに基づく測定が検査済みの構造に対して低密度である場合にSE/BSEデータを補うか又は置換するために使用され得る。
【0047】
[052] ウェーハが電子ビームによって走査される間に、EBICデータがSE/BSEデータと同時に取得され分析され得るので、開示のシステム及び方法は、インライン計測に完全に組み込まれ得る。その上、開示の実施形態はより高い感度を提供するので、HAR構造を調べるための追加の製造後プロセス/ステップが排除され得る。それゆえ、IC製造の生産性が改善される。
【0048】
[053] 実施形態については、以下の条項を使用してさらに説明され得る。
1.
ウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)を検出するための回路を含む電子検出器と、
ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)を検出するための回路を含む電流検出器と、
1つ又は複数のプロセッサとメモリとを有するコントローラであって、
SE/BSEに関するデータを取得し、
EBICに関するデータを取得し、及び
SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定する
ための回路を含むコントローラと
を備える電子ビームシステム。
2.
構造情報の決定の際に、コントローラが、
SE/BSEデータをEBICデータと同期させる
ための回路を含む、条項1に記載の電子ビームシステム。
3.
構造情報の決定の際に、コントローラが、
SE/BSEデータをEBICデータと比較し、及び
比較に基づいて構造情報を決定する
ための回路を含む、条項1及び2の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
4.
SE/BSEデータをEBICデータと比較する際に、コントローラが、
SE/BSEデータに基づいてウェーハのSE/BSE像を構築し、
EBICデータに基づいてウェーハのEBIC像を構築し、及び
SE/BSE像をEBIC像と比較する
ための回路を含む、条項3に記載の電子ビームシステム。
5.
構造情報が、
ウェーハ上の欠陥、
ウェーハ上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン、及び
ウェーハ上に形成されたフィーチャの縁部
のうちの少なくとも1つを含む、条項1~4の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
6.
電流検出器回路がウェーハに結合され、電流検出器回路が、ウェーハから電流を受け取ってEBICデータをコントローラに提供するように構成される、条項1~5の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
7.
ウェーハに結合された電流検出器回路が、EBICの強度を測定して強度をEBICデータとして出力するように構成された電流計を含む、条項6に記載の電子ビームシステム。
8.
ウェーハに結合された電流検出器回路が、EBICデータを増幅するように構成された増幅器を含む、条項6及び7の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
9.
電子検出器が、SE/BSEの強度に基づくSE/BSEデータをコントローラに提供するための回路を含む、条項1~8の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
10.
EBICがウェーハの基板電流である、条項1~9の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
11.
一次電子ビームでウェーハを走査するための回路を含む電子ビームツールをさらに備える、条項1~10の何れか一項に記載の電子ビームシステム。
12.
命令を記憶するメモリと、
メモリに電子的に結合されたプロセッサであって、
ウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、
ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、
SE/BSEデータ及びEBICデータを評価することと、
SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定することと
をコンピュータシステムにさせるための命令を実行するように構成されたプロセッサと
を備えるコンピュータシステム。
13.
構造情報の決定の際に、プロセッサがさらに、
SE/BSEデータをEBICデータと比較することと、
比較に基づいて構造情報を決定することと
をコンピュータシステムにさせるための命令を実行するように構成される、条項12に記載のコンピュータシステム。
14.
SE/BSEデータをEBICデータと比較する際に、プロセッサがさらに、
SE/BSEデータに基づいてウェーハのSE/BSE像を構築することと、
EBICデータに基づいてウェーハのEBIC像を構築することと、
SE/BSE像をEBIC像と比較することと
をコンピュータシステムにさせるための命令を実行するように構成される、条項13に記載のコンピュータシステム。
15.
構造情報が、
ウェーハ上の欠陥、
ウェーハ上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン、及び
ウェーハ上に形成されたフィーチャの縁部
のうちの少なくとも1つを含む、条項12~14の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
16.
EBICがウェーハの基板電流である、条項12~15の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
17.
電子ビームで走査されたウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、
ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、
SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定することと
を含む方法。
18.
SE/BSEデータをEBICデータと同期させることをさらに含む、条項17に記載の方法。
19.
ウェーハの構造情報を決定することが、
SE/BSEデータをEBICデータと比較することと、
比較に基づいて構造情報を決定することと
を含む、条項17及び18の何れか一項に記載の方法。
20.
SE/BSEデータとEBICデータとを比較することが、
SE/BSEデータに基づいてウェーハのSE/BSE像を構築することと、
EBICデータに基づいてウェーハのEBIC像を構築することと、
SE/BSE像をEBIC像と比較することと
をさらに含む、条項19に記載の方法。
21.
ウェーハの基板電流を受け取って基板電流をEBICデータに変換すること
をさらに含む、条項17~20の何れか一項に記載の方法。
22.
基板電流の強度を測定して強度をEBICデータとして出力すること
をさらに含む、条項21に記載の方法。
23.
EBICデータを増幅すること
をさらに含む、条項21及び22の何れか一項に記載の方法。
24.
ウェーハから放出された二次電子又は後方散乱電子(SE/BSE)に関するデータを取得することと、
ウェーハからの電子ビーム誘起電流(EBIC)に関するデータを取得することと、
SE/BSEデータ及びEBICデータの評価に基づいてウェーハの構造情報を決定することと
を含む方法を1つ又は複数のデバイスに実施させるように1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である1組の命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
25.
1組の命令が、
一次電子ビームを使用してウェーハを走査するように電子ビームツールを制御すること
を1つ又は複数のデバイスにさらに実施させるように1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項24に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
26.
1組の命令が、
SE/BSEデータをEBICデータと同期させること
を1つ又は複数のデバイスにさらに実施させるように1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項24及び25の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
27.
1組の命令が、
SE/BSEデータをEBICデータと比較することと、
比較に基づいて構造情報を決定することと
を1つ又は複数のデバイスにさらに実施させるように1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項24~26の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
28.
1組の命令が、
SE/BSEデータに基づいてウェーハのSE/BSE像を構築することと、
EBICデータに基づいてウェーハのEBIC像を構築することと、
SE/BSE像をEBIC像と比較することと
を1つ又は複数のデバイスにさらに実施させるように1つ又は複数のデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項27に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
29.
EBICがウェーハの基板電流である、条項24~28の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0049】
[054] 開示の実施形態は、上で説明され添付の図面に図示されている厳密な構造に限定されるものではないことと、その範囲から逸脱することなく種々の修正及び変更がなされ得ることが理解されるであろう。主題の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7