(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】アクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられる多重送受信アンテナアレイアレンジメント、人体セキュリティ検査装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/02 20060101AFI20221122BHJP
G01S 13/90 20060101ALI20221122BHJP
G01S 13/89 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01S7/02 212
G01S13/90
G01S13/89
(21)【出願番号】P 2020571671
(86)(22)【出願日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2019100787
(87)【国際公開番号】W WO2020035023
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】201810946420.7
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811654211.1
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811654154.7
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811653893.4
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 自然
(72)【発明者】
【氏名】游 燕
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 文国
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ ▲靈▼博
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲穎▼康
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 旭明
(72)【発明者】
【氏名】武 ▲劍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 志▲敏▼
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0320331(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106054181(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048964(US,A1)
【文献】中国実用新案第206209132(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103197353(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104375144(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0091965(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0075889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波を送信するための一群の送信アンテナと、前記一群の送信アンテナに送信され人体に反射されるミリ波を受信するための一群の受信アンテナとを備えるアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイであって、
前記一群の送信アンテナは1行目に沿って配列される複数の送信アンテナを含み、前記一群の受信アンテナは2行目に沿って配列される複数の受信アンテナを含み、前記一群の送信アンテナの1行目の複数の送信アンテナは、前記一群の受信アンテナの2行目の複数の受信アンテナに平行して配列され、1行目の送信アンテナと2行目の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置し、
送信アンテナの数が受信アンテナの数よりも少なくなるように、2行目における、1行目に沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔長さと同じ長さ範囲において、少なくとも1つの受信アンテナが配置され、
前記スパース多重送受信アレイは、
前記一群の送信アンテナの1行目に配列される複数の送信アンテナは順次にミリ波を送信して一群の送信アンテナの一次元走査を完成できるとともに、前記一群の送信アンテナの行の方向に直交する方向に沿って変位した後、再度順次にミリ波を送信して人体の二次元走査を完成でき、さらにフーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって結像を完成できるように配置され
、
1行目に沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔距離がミリ波の波長の1倍以上であり、2行目に沿って配列される2つの隣り合う受信アンテナの間の間隔距離がミリ波の波長の1倍以上であることにより、対をなすように配置される送信アンテナと受信アンテナのセットの間にミリ波の波長の1倍の距離で間隔を空ける場合に比べ、送信アンテナと受信アンテナの総数は減少する
スパース多重送受信アレイ。
【請求項2】
少なくとも1つの送信アンテナが少なくとも1つの受信アンテナに整列することにより両者の間の接続線が前記一群の送信アンテナ又は前記一群の受信アンテナの行の方向に垂直であるようにし、或いは、
いずれか1つの送信アンテナといずれか1つの受信アンテナとの接続線が前記一群の送信アンテナ又は前記一群の受信アンテナの行の方向に垂直ではない、
請求項1に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項3】
前記一群の送信アンテナのうちの1つの送信アンテナと、前記一群の受信アンテナのうちの最も近い対応の複数の受信アンテナのうちの1つとの接続線の中点は、当該一対の送信アンテナ-受信アンテナの仮想の等価位相中心とみなされ、
隣り合う等価位相中心の間の距離はミリ波の波長の0.3~0.7倍であり、好ましくは0.5倍である、
請求項1に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項4】
前記一群の送信アンテナが順次にミリ波を送信するように制御するための制御スイッチをさらに備える、
請求項1~3の何れか一項に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項5】
フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって正確な結像領域に対して画像再構成を一回で完成するように配置され、結像公式は、
【数1】
であり、
ただし、
σ(x,y)は人体の散乱係数であり、R
0は結像距離であり、FT
2Dは二次元フーリエ変換であり、
【数2】
は二次元逆フーリエ変換であり、jは虚数単位であり、kは伝搬定数であり、k
x、k
yはそれぞれ、前記ミリ波の伝搬空間における、kのx方向の成分及びy方向の成分であり、
【数3】
は一対の送信アンテナ-受信アンテナのセットが受信した人体のエコー信号であり、K
ωは周波数ステッピング信号の空間周波数であり、ターゲット領域内の1つのポイントターゲットについて、IはI(x
n,y
n)に位置する散乱されるポイントターゲットを表し、Iと送信アンテナA
tとの距離をR
t,nと定義し、Iと受信アンテナA
rとの距離をR
r,nと定義し、
x
t及びy
tは前記一対の送信アンテナ-受信アンテナのセットのうちの送信アンテナの位置座標であり、x
r及びy
rは前記一対の送信アンテナ-受信アンテナのセットのうちの受信アンテナの位置座標である
請求項1に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項6】
前記スパース多重送受信アレイは、隣り合う2つのセグメントの間になす角を形成する複数のセグメントを備え、
前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは、前記複数のセグメントにそれぞれ配置される部分を含む、
請求項1に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項7】
第1の鉛直平面内に配置される第1のセグメントと、第2の鉛直平面内に配置される第2のセグメントと、を備え、
第1の鉛直平面と第2の鉛直平面とのなす角θ
12が0ではなく、
前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは、第1のセグメントに配置される部分と、第2のセグメントに配置される部分と、を含む、
請求項6に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項8】
第3の鉛直平面内に配置される第3のセグメントをさらに備え、
前記第3の鉛直平面と第1の鉛直平面、第2の鉛直平面とのなす角がそれぞれθ
13とθ
23であるとともに0ではなく、
前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは第3のセグメントに配置される部分を含む、
請求項7に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項9】
ミリ波を送信するための平行に配列される複数行の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための平行に配列される複数行の受信アンテナとを備えるアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイであって、
各行の送信アンテナは複数の送信アンテナを含み、
各行の受信アンテナは複数の受信アンテナを含み、
前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとは平行であり、
前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとは互いに間隔を空け、
複数行の送信アンテナのうちの1行の送信アンテナと複数行の受信アンテナのうちの1行の受信アンテナとはスパース多重送受信アレイを構成する、
請求項1~8のいずれかに記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項10】
前記一群の送信アンテナのうちの1行目に沿って配列される複数の送信アンテナは、アーク状面内に配置されて第1のアークに沿って配列され、
前記一群の受信アンテナのうちの2行目に沿って配列される複数の受信アンテナは、アーク状面内配置されて第2のアークに沿って配列され、
前記一群の送信アンテナのうちの第1のアークに沿って配列される複数の送信アンテナは前記一群の受信アンテナのうちの第2のアークに沿って配列される複数の受信アンテナに平行して配列され、
第1のアークに沿って配列される前記一群の送信アンテナと第2のアークに沿って配列される前記一群の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置し、
第2のアークにおける第1のアークに沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔のアーク長に対応する同じアーク長範囲において、少なくとも1つの受信アンテナが配置される、
請求項1に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項11】
アーク面内に配置されてミリ波を送信するための平行に配列されかつアーク線に沿って配列される複数行の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための平行に配列されかつアーク線に沿って配列される複数行の受信アンテナとを備え、
前記アーク線に沿って配列される複数行の送信アンテナは前記アーク線に沿って配列される複数行の受信アンテナに平行であり、
前記アーク線に沿って配列される複数行の送信アンテナと前記アーク線に沿って配列される複数行の受信アンテナとは互いに間隔を空け、
アーク線に沿って配列される複数行の送信アンテナのうちの1行の送信アンテナとアーク線に沿って配列される複数行の受信アンテナのうちの1行の受信アンテナとは、請求項10に記載のスパース多重送受信アレイを構成する、
請求項10に記載のスパース多重送受信アレイ。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のスパース多重送受信アレイを一つ又は複数備え、
第1のスパース多重送受信アレイと、第2のスパース多重送受信アレイとを含み、
第1のスパース多重送受信アレイと第2のスパース多重送受信アレイとは、両者の間に人体セキュリティ検査を実施するための検査空間を区画するように対向して配置され、
第1のスパース多重送受信アレイと第2のスパース多重送受信アレイは、走査を実施するために、鉛直平面内において上下方向に沿って平行移動できるように配置される、
人体セキュリティ検査装置。
【請求項13】
第1のスパース多重送受信アレイが上下移動可能に配置される第1のフレームと、第2のスパース多重送受信アレイが上下移動可能に配置される第2のフレームとをさらに備え、
第1のフレームには第1のガイドレール装置が設けられ、
第1のスパース多重送受信アレイは、前記第1のガイドレール装置にスライド移動可能に接続され、前記第1のガイドレール装置に沿って移動して人体に対して第1の走査を行うことが可能となり、
第2のフレームには第2のガイドレール装置が設けられ、
前記第2のスパース多重送受信アレイは、前記第2のガイドレール装置にスライド移動可能に接続され、前記第2のガイドレール装置に沿って移動して人体に対して第2の走査を行うことが可能となる、
請求項12に記載の人体セキュリティ検査装置。
【請求項14】
前記第1のスパース多重送受信アレイを直接駆動する第1の駆動装置と、
前記第2のスパース多重送受信アレイを直接駆動する第2の駆動装置と、
前記第1のスパース多重送受信アレイと前記第2のスパース多重送受信アレイとが互いに反対の方向にしか移動できないように、前記第1のスパース多重送受信アレイと前記第2のスパース多重送受信アレイとの運動関係を拘束するための拘束装置と、を含み、
前記拘束装置は前記第1のスパース多重送受信アレイと前記第2のスパース多重送受信アレイとを接続する剛性な接続ワイヤロープであり、
前記第1のガイドレール装置には第1の定滑車が設けられ、前記第2のガイドレール装置には第2の定滑車が設けられ、前記接続ワイヤロープは前記第1のスパース多重送受信アレイから第1の定滑車と第2の定滑車を順次に経過して前記第2のスパース多重送受信アレイに接続される、請求項13に記載の人体セキュリティ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は人体セキュリティ検査分野に関し、特にミリ波を用いる多重送受信アンテナアレイを含む人体セキュリティ検査装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内外で反テロリズムの情態がますます厳しくなっており、テロリストは銃器、刃物及び爆発物、毒物などの危険品を隠匿して携帯し、航空安全を脅かしている。空港、鉄道駅などの特殊な場所における人体セキュリティ検査技術は各国の交輸管理部門に重要視されている。
【0003】
従来技術には、既にアクティブミリ波・テラヘルツ波に基づく人体結像技術がある。当該技術の動作原理は、装置がまず人体にミリ波を放射し、そしてファインダで人体又は容疑物によって散乱されたミリ波を受信し、再構成アルゴリズムによって人体を結像する、ということである。しかしながら、計算量が大きくて結像速度が遅い。使用されるミリ波を送信・受信するためのアンテナが多く、装置が複雑になり、製造する難易度が高い。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一面によれば、本開示の実施例は、ミリ波を送信するための一群の送信アンテナと、前記一群の送信アンテナに送信され人体に反射されるミリ波を受信するための一群の受信アンテナとを備えるアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントを提供している。
【0005】
ただし、前記一群の送信アンテナは1行目に沿って配列される複数の送信アンテナを含み、前記一群の受信アンテナは2行目に沿って配列される複数の受信アンテナを含み、前記一群の送信アンテナの1行目の複数の送信アンテナは、前記一群の受信アンテナの2行目の複数の受信アンテナに平行であり、かつ1行目の前記一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置する。
【0006】
ただし、送信アンテナの数が受信アンテナの数よりも少なくなるように、2行目における1行目に沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔長さに対応する同じ長さ範囲において、少なくとも1つの受信アンテナが配置される。
【0007】
本開示の一面は、ミリ波を送信するための一群の送信アンテナと、前記一群の送信アンテナに送信され人体に反射されるミリ波を受信するための一群の受信アンテナとを備えるアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントを提供している。
【0008】
ただし、前記一群の送信アンテナは1行目に沿って配列される複数の送信アンテナを含み、前記一群の受信アンテナは2行目に沿って配列される複数の受信アンテナを含み、前記一群の送信アンテナの1行目の複数の送信アンテナは、前記一群の受信アンテナの2行目の複数の受信アンテナに平行して配列され、かつ1行目の前記一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置する。
【0009】
ただし、1行目に沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔距離が放射波の波長の1倍以上であり、2行目に沿って配列される複数の受信アンテナの間の間隔距離が放射波の波長の1倍以上であることにより、対をなすように配置される送信アンテナと受信アンテナのセットの間に放射波の波長の1倍の距離で間隔を空ける場合に比べ、送信アンテナと受信アンテナの総数は減少する。
【0010】
ただし、前記スパース多重送受信アレイアレンジメントは、隣り合う2つのセグメントの間になす角を形成する複数のセグメントを備える。
【0011】
前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは、前記複数のセグメントにそれぞれ配置される部分を備える。
【0012】
本開示の一面は、ミリ波を送信するための平行に配列される複数行の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための平行に配列される複数行の受信アンテナとを備えるアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントを提供している。各行の送信アンテナは複数の送信アンテナを含み、各行の受信アンテナは複数の受信アンテナを含む。
【0013】
前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとは平行であり、前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとは互いに間隔を空ける。
【0014】
ただし、複数行の送信アンテナのうちの1行の送信アンテナと複数行の受信アンテナのうちの1行の受信アンテナとは上記スパース多重送受信アレイアレンジメントを構成する。
【0015】
本開示の一面は、ミリ波を送信するための一群の送信アンテナと、前記一群の送信アンテナに送信され人体に反射されるミリ波を受信するための一群の受信アンテナとを備えるアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントを提供している。
【0016】
ただし、前記一群の送信アンテナは、アーク状面内において第1のアークに沿って配列される複数の送信アンテナを含み、前記一群の受信アンテナは、アーク状面内において第2のアークに沿って配列される複数の受信アンテナを含み、前記一群の送信アンテナのうちの第1のアークに沿って配列される複数の送信アンテナは前記一群の受信アンテナのうちの第2のアークに沿って配列される複数の受信アンテナに平行して配列され、かつ第1のアークに沿って配列される前記一群の送信アンテナと第2のアークに沿って配列される前記一群の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置する。
【0017】
ただし、第2のアークにおける第1のアークに沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔のアーク長に対応する同じアーク長範囲において、少なくとも1つの受信アンテナが配置される。
【0018】
本開示の一面は、上記スパース多重送受信アレイアレンジメントを備える人体セキュリティ検査装置を提供している。
【0019】
本開示の一面は、上記人体セキュリティ検査装置を使用して実施される人体セキュリティ検査方法を提供している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一次元一重送受信アンテナアレイを示す模式図である。
【
図2】一次元多重送受信アンテナアレイを示す模式図である。
【
図3】多重送信アンテナ-多重受信アンテナの動作原理を示す図である。
【
図4】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が4λである。
【
図5】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が4λである。
【
図6A】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が3λである。
【
図6B】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が3λである。
【
図7A】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が2λである。
【
図7B】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が2λである。
【
図8A】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が5λである。
【
図8B】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナの間の間隔距離が5λである。
【
図9A】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナが複数の群に分けられる。
【
図9B】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図であり、ただし、送信アンテナが複数の群に分けられる。
【
図10】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図である。
【
図11】本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す模式図である。
【
図12】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図13】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図14】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図16】本開示によるアーク状アレイのアーク長とコード長の関係を示す。
【
図17A】のそれぞれは本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す正面図と平面図である。
【
図17B】のそれぞれは本開示の一実施例によるスパース多重送受信アレイアレンジメントを示す正面図と平面図である。
【
図18】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図19】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図20】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図21】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図22】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【
図23】本開示の一実施例による人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は各種の修正及び置換可能な様態を許容するが、具体的な実施例は例として図面に示されているとともに、本文において詳しく説明されている。しかしながら、添付の図面と詳細な説明は、本開示を開示された具体的な様態に限定するためのものではなく、逆に、添付の請求項に限定される本開示の趣旨と範囲に入る全ての修正、同等様態及び置換様態を含むためのものであると理解されるべきである。図面は例示するためのものであるため、比例して描画されたものではない。
【0022】
本明細書において、「上」、「下」、「左」、「右」などの用語が使用されているが、エレメントの絶対方位を限定するためではなく、エレメントの図面における相対位置を説明して理解しやすくするためである。本明細書における「頂側」と「底側」は、通常、正立する物体の上側と下側の方位である。「第1の」、「第2の」なども順位を付けるためではなく、異なる部品を区別するためである。
【0023】
以下、図面を参照しながら本開示の複数の実施例を説明する。
【0024】
まず、本開示の実施例に用いられるミリ波人体セキュリティ検査の基本知識を紹介する。現在、アクティブミリ波人体セキュリティ検査装置は通常、一次元一重送受信又は準一重送受信アンテナアレイによる合成開口結像原理に基づく。
図1において、三角形は1つの送受信アンテナ(送信アンテナ-受信アンテナ)ユニットを表し、Tは送信アンテナを表し、Rは受信アンテナを表し、TRは送信アンテナ-受信アンテナユニットを表す。結像に必要な開口の長手方向に間隔距離が半波長である原則に従って実際の送受信アンテナユニットを等間隔に配置する。送受信アンテナユニットの後端(図示せず)は高速スイッチングによって送受信装置に繋がる。1番目の送受信アンテナユニットはスイッチングによって送受信装置と組み合わせて一回のデータ採取を完成する。スイッチングの切替によって、2番目の送受信アンテナユニットはスイッチングによって送受信装置と組み合わせて一回のデータ採取を再度完成するように制御する。1番目の送受信アンテナユニットからN番目の送受信アンテナユニットに切り替えるようにスイッチングを制御することにより、N群のデータ採取を完成して結像に必要なN個の等価ユニットのデータ情報を取得できる。
【0025】
送受信一体又は送受信分離のアンテナユニット一次元アレイ結像方式の欠点は、非常に多数のアンテナ資源を必要とすることである。N個のアンテナユニットのサンプル採取を実現するために、送受信一体アンテナアレイはN個のアンテナユニットを必要とし、送受信分離アンテナアレイは2N個のアンテナユニットを必要とするので、送受信アンテナの利用率は低い。また、アンテナユニットアレイを実現するには必要とするアンテナユニットの数が多く、かつアンテナユニット間隔距離がナイキスト法則、即ちアンテナユニット間隔が半波長の間隔距離である要求を満足する必要があるため、動作周波数が低い場合、物理的実現難易度が高くないが、動作周波数の引き上げに伴って実現難易度が次第に高くなる。
【0026】
ナイキスト法則とは、開口に沿って必要とされるサンプル採取数は、波長、開口寸法、ターゲット寸法及びターゲットまでの距離を含む要因によって特定される。1つのサンプル採取点から次のサンプル採取点までの移相がπ未満であれば、ナイキスト法則を満足する。最悪の場合、ターゲットが開口に非常に近くてサンプル採取点が開口のエッジに近い。空間サンプリング間隔Δxについて、最悪の場合、移相は2kΔxを超えない。したがって、サンプリング法則は下記式で表すことができる。
ΔX<(λ/4)
ただし、λ=2π/kは波長である。
【0027】
この結果が通常の要求よりも厳しいのは、ターゲット(例えば人体)が通常開口に近くてアンテナビーム幅が通常180度未満であるためである。これに基づき、応用される結像システムが通常採用されるサンプリング間隔はλ/2のオーダーにある。
【0028】
動作周波数が24~30GHzと70~80GHzである場合を例として対比し、対応波長はそれぞれ10mmと4mmである。
図1に示す一次元アレイを実現するために、送信アンテナと受信アンテナとの間隔距離はそれぞれ5mmと2mmであることが要求される。仮にアンテナ開口の長さが1mである場合には、送受信一体アンテナアレイはそれぞれ200個と500個のアンテナユニットを必要とし、送受信分離アンテナアレイは400個と1000個のアンテナユニットを必要とする。周波数の増加に伴ってアンテナ間隔が小さくなり、必要とされるアンテナ数が急激に増加することが見られる。アンテナ間隔が小さくなることによって、アンテナユニット設計及びアレイレイアウト設計には大きな困難があると同時に、送受信アンテナの性能が制限される。アンテナ数が増加すると、ハードウェアコスト及びシステムの複雑さを増加させるだけではなく、データ量も増加し、採取時間が長くなる。したがって、
図1に示す一次元アレイは高周波ミリ波(50GHz~300GHz)人体結像安全検査における利用可能性が低く、工事実現価値を具備していない。
【0029】
図2はスパース分布多重入出力のアンテナレイアウト方式を示す。ただし、Tは送信アンテナを表し、Rは受信アンテナを表す。このようなアンテナレイアウト方式はアンテナの数を低減させることができるが、例えば、等価位相中心と送受信アンテナとの距離が大きいため、計算速度が遅くて画像の再構成時間が長い逆投影法しか採用できない、という欠点がある。後ろ向き投影は、コンピュータトモスキャン技術に由来し、時間域信号処理に基づく精確な結像アルゴリズムである。その基本的思想は、結像領域における各結像点に対して、当該点から受信、送信アンテナまでの時間遅れを算出することで、全てのエコーが当該時間遅れに対する寄与に対してコヒーレンススタックを行い、当該点の画像における対応的な画素値を取得し、このように結像領域全体に対して各点ずつコヒーレンススタック処理を行うことで結像領域の画像を取得できる、ということである。このようなアルゴリズムの最も大きな欠点は、結像区間全体の各点を再構成する必要があることである。再構成速度が遅くてかかる時間も長い。また、両端の受信アンテナは密に分布するものであり、間隔がナイキスト採用定理を満足する必要がある。例えば170GHz~260GHz周波数帯について、典型的な送信アンテナと受信アンテナの開口は10.8mmであり、中心周波数に対応する半波長は1.36mmである。このようなアンテナアレンジメント方式は不適当であることが明らかである。解決法の1つは受信アンテナをスパースにし、等価位相中心の間隔が半波長よりも大きくなるようにすることであるが、アンテナ採取不足によって再構成画像のアーチファクトはひどくなる。
【0030】
上記不足を解決するために、本開示はスパース多重送受信アレイアレンジメント案を提出している。多重送受信アレイのスパース化設計及び制御技術におよって、データ採取速度とアンテナユニット利用率を大きく向上させることができる。アレイ方向に沿って電気的走査を完全的に実現し(即ちスイッチングによって次から次へと動作するようにアンテナを制御し、或いはスイッチングによって周波数走査を次から次へと行うようにアンテナを制御する)、機械的走査を必要とせず、素早く走査して結像速度を向上させることができる。また、高速フーリエ変換に基づく再構成アルゴリズムを採用して再構成速度を著しく向上させることができる。同時に、ハードウェアの複雑さを低減して工事実現可能性を向上させる。
【0031】
本開示の実施例は、アクティブミリ波結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントを提供している。ただし、シングルステーション等価と電気的スイッチング制御によって、等価ユニット間隔距離が動作周波数に対応する波長の半分よりも幾分大きく、或いは動作周波数に対応する波長の半分に等しくなるように設けられる。前記等価ユニットは等価位相中心である。
【0032】
説明を容易にするために、
図3は多重送受信システムを示す。X-Y座標系を作り、X軸にスパース送受信セットを設置し、A
t(x
t,y
t)とA
r(x
r,y
r)で一対の送受信のセットの送信アンテナと受信アンテナ及びそれらの所在位置の座標をそれぞれ表す。
【0033】
ターゲット領域内の1つのポイントターゲットについて、IはI(x
n,y
n)に位置する散乱されるポイントターゲットを表す。Iと送信アンテナA
tとの距離をR
t,nと定義し、Iと受信アンテナA
rとの距離をR
r,nと定義する。R
0はターゲット領域中心と直線状アレイとの垂直距離、即ち結像距離である。
【数1】
【0034】
ポイントターゲットによって散乱されたエコー信号は下記式で表すことができる。
【数2】
ただし、σ(x,y)は人体の散乱係数であり、K
ωは周波数ステッピング信号の空間周波数であり、jは虚数単位である。
【0035】
送受信のセットA
tA
rが受信したターゲット領域のエコー信号は下記式で表すことができる。
【数3】
ただし、Dは結像領域である。
【0036】
信号を送信・受信する等価位置はアンテナの位相中心で表すことができる。当該等価位置は2つの独立したアンテナ又は開口の物理的中心である。多重送受信システムにおいて、1つの送信アンテナは複数の受信アンテナに対応する。本開示の実施例において、受信アンテナユニットと送信アンテナユニットとは異なる位置に位置するように設けられる。このような送信アンテナと受信アンテナとが空間的に分離したシステムは1つの仮想システムでシミュレーションすることができる。仮想システムにおいて、各群の送信と受信アンテナとの間に、等価位相中心と称される1つの仮想位置を設置する。送受信アンテナセットが採取したエコーデータは、等価位相中心Ae(xe,ye)の所在位置における自己送受信アンテナが採取したエコーに等価することができる。
【0037】
当該送受信セットについて、各アンテナの間の物理的座標の関係は下記式で表すことができる。
【数4】
【0038】
等価位相中心原理を採用し、等価エコー信号は下記式で表すことができる。
【数5】
【0039】
本開示の上記したアクティブミリ波結像のスパース多重送受信アレイアレンジメント原理に基づき、
図4は一実施例を示す。
図4におけるスパース多重送受信アレイアレンジメントは具体的に以下のステップによって構成される。
【0040】
まず、例えば動作周波数(波長λ)、アンテナアレイ長さ、即ちアンテナ開口Lapなどの要求のような結像指標パラメータに応じて必要な等価ユニット数N及び間隔dを確定する。
【0041】
そして、送受信分離方式に従って実際のアンテナユニットを配置する。送信アンテナ/受信アンテナはそれぞれ互いに平行な2つの直線に沿って分布され、間隔がdtrである。
【0042】
次に、送信アンテナユニットのアレンジメントを設計する。送信アンテナの総数Ntは任意のものであり、アンテナ開口Lapによって決定される。各送信アンテナの間隔距離はMλ(本実施例では、4λ)である。
【0043】
続いて、受信アンテナユニットのアレンジメントを設計する。受信アンテナの総数Nrが任意のものである。受信アンテナは等間隔距離に分布され、間隔距離がλである。
【0044】
上記ステップによって構成されたアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントは、ミリ波を送信するための一群の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための一群の受信アンテナと、を備える。本実施例において、前記一群の送信アンテナは、1行目に沿って配列された複数の送信アンテナを含み、前記一群の受信アンテナは、2行目に沿って配列される複数の受信アンテナを含み、1行目の前記一群の送信アンテナは2行目の前記一群の受信アンテナに平行であり、かつ1行目の前記の一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置する。ただし、1行目における2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔長さに対応して、2行目において2つを超える受信アンテナを配置する。このように、画像鮮明度を保証するとともに、受信アンテナの数を減らすことができる。送信アンテナの数が受信アンテナの数よりも少ないため、エレメントの総数を減らし、製造難易度及びコストを低減させる。
【0045】
スパース多重送受信アレイアレンジメントが動作する際、種々の様態があってもよい。例えば、一実施例において、1行目の複数の送信アンテナは左から右へ(即ち、一端部の送信アンテナから)次々に/ステップ的に電磁波信号を送信し、各送信アンテナの電磁波信号は、最も近くにある例えば6つ又は8つの受信アンテナに受信される(等価位相中心の間の間隔が半波長であることを保証する)。最後に、全ての送信アンテナは一回の信号の送信を完成すると一行の走査を完成する。一実施例において、(例えば)別の動作様態として、1行目の複数の送信アンテナは、同一の周波数の電磁波信号を同時に送信し、各送信アンテナが送信した信号は何れもコード化され、受信アンテナが受信した信号はデコードされた後に画像に応用される必要があり、一回の電磁波信号の送信と受信を完成すると一回の一次元走査を完成する。一実施例において、1行目の複数の送信アンテナは左から右へ(即ち、一端部の送信アンテナから)次々に/ステップ的に電磁波信号を送信する。各送信アンテナの電磁波信号は、最も近くにある例えば6つ又は8つの受信アンテナに受信される。かつ送信アンテナが送信した電磁波信号の周波数は次第に増大する。最後に、全ての送信アンテナは一回の信号の送信を完成すると一行の走査を完成する。一実施例において、(例えば)さらに別の動作様態として、1行目の複数の送信アンテナは左から右に次々に電磁波信号を送信する。一回の一次元走査を完成した後、1行目の送信アンテナは横方向に沿って所定変位を平行移動してから、再び次々に電磁波信号を送信し、電磁波信号の周波数は前回送信した周波数と異なる。
【0046】
送信アンテナと受信アンテナはさらに他の動作方式を有してもよい。
【0047】
一実施例において、少なくとも1つの送信アンテナが少なくとも1つの受信アンテナに整列することにより両者の間の接続線が前記一群の送信アンテナ又は前記一群の受信アンテナの行の方向に垂直であるようにする。しかしながら、それは必須のものではないと分かるべきである。
【0048】
しかしながら、別の実施例において、いずれか1つの送信アンテナといずれか1つの受信アンテナとの接続線は、前記一群の送信アンテナ又は前記一群の受信アンテナの行の方向と所定のなす角を形成する。これは有利的であり、送信アンテナと付近の受信アンテナとの間の空間を効果的に利用することができ、一対の送信アンテナと受信アンテナとが近接しすぎることはない。
【0049】
一実施例において(例示として)、複数の送信アンテナの間は放射波の波長の4倍の距離で間隔を空ける。前記一群の受信アンテナは、放射波の波長の1倍の距離で間隔を空ける複数の受信アンテナを含む。送信アンテナと受信アンテナは、上記条件を満足する場合、アレイアレンジメントの長さ又はいわゆる開口に基づいて数が特定される。
【0050】
図4はアレンジメント方式を示す。一群の送信アンテナのうちの1つの送信アンテナと、一群の受信アンテナのうちの対応する1つの受信アンテナとの接続線の中点は、当該一対の送信アンテナ-受信アンテナの仮想の等価位相中心とみなされ、隣り合う等価位相中心の間の距離は放射波の波長の半分である。
図4(下記の
図5においても同様)において、正方形Tで表す送信アンテナと円形Rで表す受信アンテナとの間には破線で接続される。TとRの中点は三角形で表す。三角形の位置は仮想の等価位相中心を表す。1つの送信アンテナは通常、複数の受信アンテナに対応できる。例えば、1つの送信アンテナは3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は8つの受信アンテナに対応できる。即ち、1つの送信アンテナが送信した信号は、もっとも近くにある3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は8つの受信アンテナによって受信されて識別される。実際、送信アンテナの信号は他の受信アンテナに受信されることも可能である。しかしながら、実際の応用において、他の受信アンテナの信号を考慮しない。即ち、各送信アンテナと固定的な対応の受信アンテナとを対にして測定する。各対の送信アンテナ-受信アンテナの間には1つの仮想の等価位相中心を有する。これら仮想の等価位相中心、即ち
図4における三角形で表す等価位相中心の位置は、互いの間隔距離が放射波の波長の半分である。送信アンテナと受信アンテナの数を減少させるとともに、一般的な等価位相中心の重なりを避けるために、隣り合う等価位相中心の間の距離を放射波の波長の約半分にすれば、最終的に鮮明な画像を構成することができる。例えば隣り合う等価位相中心の間の距離は放射波の波長の0.3~0.7倍である。換言すると、隣り合う等価位相中心の間の距離が放射波の波長の半分よりも遥かに大きくなっている場合、画像が鮮明でない可能性がある。
【0051】
本開示の実施例では、1行目の前記一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとの間隔距離が任意の値であってよいが、1行目の前記一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとの間において、間隔距離をできるだけ小さくすることは有利である。それは、距離が大きくなりすぎると、等価位相中心条件(隣り合う等価位相中心の間隔距離が波長の半分或いは波長の半分に近い)が成立しないからである。しかしながら、実際の応用において、距離が短くなりすぎると、実現が困難になり、クロストーク及び空間不足の問題がある。一実施例において、1行目の前記一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとの間隔距離は結像距離の10%よりも小さい。
【0052】
一実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントは、前記一群の送信アンテナが順次にミリ波を送信するように制御するための制御スイッチをさらに備えてもよい。
【0053】
一実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントは、前記一群の送信アンテナが順次に放射波を送信することで一群の送信アンテナの走査を完成し、多重送受信アレイアレンジメントが前記一群の送信アンテナの行の方向に直交する方向に沿って変位することで人体の二次元走査を次第に完成し、フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって結像を完成するように配置される。
図4に示すように、左側1番目の送信アンテナからミリオーダーの放射波を送信し、受信アンテナが戻り信号を受信し、その後、2番目の送信アンテナが放射波を放射し、順次に操作を行い、一回の走査を完成する。その後、紙面の上向き又は下向き方向に沿ってステップ1つの距離を移動し、再び上記走査を繰り返して人体を次第に走査する。
【0054】
一実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントは、フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって正確な結像領域に対して画像再構成を一回で完成するように配置され、結像公式は下記である。
【数6】
ただし、σ(x,y)は人体の散乱係数であり、R
0は結像距離であり、FT
2Dは二次元フーリエ変換であり、
【数7】
は二次元逆フーリエ変換であり、jは虚数単位であり、kは伝搬定数であり、k
x、k
yはそれぞれ空間伝搬定数であり、
【数8】
は一対の送信アンテナ-受信アンテナのセットが受信した人体のエコー信号であり、K
ωは周波数ステッピング信号の空間周波数である。
【0055】
動作する時、制御スイッチによって、複数の送信アンテナは順次に放射波を送信する。1番目の送信アンテナが動作する時、1番目~4番目の受信アンテナがエコーデータを採取する。2番目の送信アンテナが動作する時、1番目~8番目の受信アンテナがエコーデータを採取する。3番目の送信アンテナが動作する時、5番目~12番目の受信アンテナがエコーデータを採取する。この順に、各送信アンテナに対応する8つの受信アンテナがデータを採取する。最終の送信アンテナ、即ちNt番目の送信アンテナになると、最終の4つの受信アンテナがデータを採取する。
【0056】
全ての送信アンテナが順次に送信した後、一回の横方向のデータ採取が完成し、最終的には(Nt-1)×8個のエコーデータを取得する。上記等価位相中心原理に基づき、これらエコーデータは(Nt-1)×8個の等価位相中心が採取したエコーデータに等価することができる。そして、これら等価位相中心の間隔は0.5λであり、ナイキスト採取法則に要求される等価エレメント分布を満足する。
【0057】
そして、アレイに直交する方向において合成開口走査、即ち機械的走査を行い、二次元開口に対する走査を完成する。走査の歩幅は同様に採用定理、即ち半波長が0.5λであることを満足する必要がある。
【0058】
二次元開口走査を完成した後、採取したエコーデータは下記式で表すことができる。
【数9】
【0059】
最後、高速フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって素早く再構成して結像を完成することができる。
【0060】
結像アルゴリズムの目的は、エコー式からターゲットの像、即ちターゲットの散乱係数σ(x,y)を反転することにある。フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムは、逆投影法のように結像領域全体に対して各点ずつ再構成する必要がなく、高速フーリエ変換の優勢を利用して一回で正確な結像領域に対して再構成を完成する。結像公式は下記式である。
【数10】
ただし、R
0は結像距離である。
【0061】
別の実施例において、
図5に示すように、送信アンテナアレイと受信アンテナアレイとは、位置をずらして設けられる。送信アンテナアレイの左から1番目のアンテナと受信アンテナアレイの左から1番目のアンテナとの間隔距離はλである。
【0062】
本開示が提示したスパース多重送受信アレイアレンジメントはシングルステーション等価原理に基づくものである。即ちアレイはシングルステーション等価によって制御スイッチの制御を組み合わせ、最終的に形成した等価位相中心(本開示においても等価ユニット又は等価アンテナユニットと称される)がナイキスト採取法則を満足するように設計される。つまり、送受信アンテナアレイにおいて、最終的に形成した等価アンテナユニットの間隔距離は、動作周波数に対応する波長の半分よりも幾分大きく、或いは動作周波数に対応する波長の半分に等しくなる。本開示の実施例は上述原則に基づき、高周波数帯ミリ波の波長が比較的に短いことを考慮し、工事実現可能性を実現させるために、アレイスパース化設計とアレイスイッチング制御技術を同時に採用し、最終的に半波長間隔距離等価アンテナユニットの分布要求を実現する。
【0063】
以下、
図4を参照して、63個の送信アンテナと248個の受信アンテナとによってアレイを構成する設計過程を例として、本開示のスパース多重送受信アレイを配置する方法を紹介する。当業者は本発明の教示に基づいてスパースアレイを配置することができる。
【0064】
まず、例えば結像解像度、サイドロープレベルなどのパラメータのような結像指標パラメータの要求に応じて、必要な等価ユニットの数及び間隔、即ち等価仮想アレイの分布を特定する。等価エレメントの間隔は動作波長の半分よりも幾分大きく、或いは動作波長の半分に等しくなる必要がある。
【0065】
そして、送受信分離方式に従って実際のアンテナユニットを配置する。送信アンテナ/受信アンテナはそれぞれ互いに平行な2つの直線に沿って分布され、直線の間隔距離は任意の値であってよいが、小さいほうが好ましい(λ、1.5λ、2λ、3λ、4λなどであってもよい)。実際に設計されるアンテナユニット寸法及びアレイ寸法の設計要求に応じて合理的に選択し、本発明のアレイ寸法を1mに設計する。
【0066】
次に、
図4に示すように、送信アンテナユニットのアレンジメントを設計する。送信アンテナの総数は63(他の任意の数にしてもよいが、具体的な数は結像解像度、結像範囲などの要因によって決定される)である。各送信アンテナの間隔距離は4λである。
【0067】
続いて、受信アンテナユニットのアレンジメントを設計する。受信アンテナの総数は248(他の任意の数にしてもよいが、具体的な数は結像解像度、結像範囲などの要因によって決定される)である。各受信アンテナの間隔距離はλである。送信アンテナアレイと受信アンテナアレイとの1番目のアンテナが整列する時の様子は
図4に示すようである。
【0068】
図5に示す実施例において、送信アンテナアレイと受信アンテナアレイとは、1番目のアンテナが位置をずらして設けられる。送信アンテナアレイの左から1番目のアンテナと受信アンテナアレイの左から1番目のアンテナとの間隔距離はλ(他の任意の値にしてもよいが、通常、[-5λ,5λ]の間の任意の値を採用する)である。
【0069】
動作する時、1番目の送信アンテナが最初のM/2(即ち4)個の受信アンテナに対して差分を求め、2番目~Nt-1個の送信アンテナ分布がM(即ち8)個の受信アンテナに対して差分を求め、第Nt個の送信アンテナが最後のM/2(即ち4)個の受信アンテナに対して差分を求め、等間隔が0.5λである等価ユニット分布を取得し、最終的にナイキスト採取法則要求を満足する等価エレメント分布を取得する。電気的スイッチング制御によって、送信アンテナを順次に切り替えて一回のデータ採取を完成する。そして、アレイに直交する方向において合成開口走査を行い、二次元開口に対する走査を完成する。最後、高速フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって素早く再構成して結像テストを完成することができる。
【0070】
図6は本開示の別の実施例を示す。
図4の実施例と異なっているのは、各送信アンテナの間の間隔距離が3λであり、各受信アンテナの間の間隔距離がλであることである。ただし、
図6Aにおいて、1番目の送信アンテナと1番目の受信アンテナとが整列しており、
図6Bにおいて、1番目の送信アンテナと1番目の受信アンテナとがλ1つ分ずれている。
【0071】
図7は本開示の別の実施例を示す。
図4の実施例と異なっているのは、各送信アンテナの間隔距離が2λであり、各受信アンテナの間の間隔距離がλであることである。ただし、
図7Aにおいて、1番目の送信アンテナと1番目の受信アンテナとが整列しており、
図7Bにおいて、1番目の送信アンテナと1番目の受信アンテナとがλ1つ分ずれている。
【0072】
図8は本開示の別の実施例を示す。
図4の実施例と異なっているのは、各送信アンテナの間隔距離が5λであり、各受信アンテナの間の間隔距離がλであることである。ただし、
図8Aにおいて、1番目の送信アンテナと1番目の受信アンテナが整列しており、
図8Bにおいて、1番目の送信アンテナと1番目の受信アンテナとがλ1つ分ずれている。動作する時、1番目の送信アンテナが最初の5個の受信アンテナに対して差分を求め、2番目~Nt-1個の送信アンテナ分布が10個の受信アンテナに対して差分を求め、第Nt個の送信アンテナが最後の5個の受信アンテナに対して差分を求め、等間隔が0.5λである等価ユニット分布を取得し、最終的にナイキスト採取法則要求を満足する等価エレメント分布を取得する。電気的スイッチング制御によって、送信アンテナを順次に切り替えて一回のデータ採取を完成する。そして、アレイに直交する方向において合成開口走査を行い、二次元開口に対する走査を完成する。最後、高速フーリエ変換に基づく合成開口ホログラフィアルゴリズムによって素早く再構成して結像テストを完成することができる。例えば、51個の送信アンテナと250個の受信アンテナを設置して1mのアレイを形成することができる。
【0073】
本開示の別の実施例では、上記実施例と異なっているのは、アクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントが、ミリ波を送信するための平行に配列される複数行の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための平行に配列される複数行の受信アンテナとを備えることである。したがって、送信アンテナがより強い信号を送信でき、受信アンテナがより強い信号を取得でき、走査精度が改善される。各行の送信アンテナが複数の送信アンテナを含み、各行の受信アンテナが複数の受信アンテナを備える。このように、複数行の送信アンテナは順にミリオーダー放射波を送信して一回の走査を完成し、走査効率を大幅に向上させ、一回の走査にカバーされる人体面積が増加し、走査速度が向上される。本実施例において、送信アンテナが送信した電磁波信号はコード化されることができるため、その信号を受信すべき受信アンテナが受信した信号は識別されるとともにデコードされることができ、画像を生成するようにする。
【0074】
本実施例において、前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとは平行であり、前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとは互いに間隔を空ける。複数行の送信アンテナのうちの1行の送信アンテナと複数行の受信アンテナのうちの1行の受信アンテナとは上記スパース多重送受信アレイアレンジメントを構成する。
【0075】
他の実施例において、複数対の隣り合う送信アンテナ-受信アンテナ対の複数の等価位相中心の少なくとも一部は一列に交互に配列されている。例えば、本開示の一実施例において、前記複数の送信アンテナは複数の送信アンテナ群に分けられることができ、同一の送信アンテナ群内の送信アンテナの間には放射波の波長の1倍の距離を空け、隣り合う送信アンテナ群の間の間隔距離は放射波の波長の2以上の整数倍である。
図9Aは本実施例の送信アンテナと受信アンテナのアレンジメントを示す。図中、tが送信アンテナを表し、rが受信アンテナを表す。t1、t2が近いため、一群とみなされてもよく、t3、t4が近いため、一群とみなされてもよい。t1-r1の等価位相中心とt2-r2の等価位相中心とは隣り合う。t2-r2の等価位相中心とt1-r2の等価位相中心とは隣り合う。即ち、t1-r1、t1-r2の等価位相中心は隣り合って配列されるではなく、両者の間にt2-r1の等価位相中心を配列している。このようなアレンジメントは、送信アンテナの信号をコード化することが必要である。受信アンテナは受信した予設の送信アンテナのコード化された信号をデコードして処理する。受信アンテナは、他の送信アンテナの信号を処理できず、又は処理しない。ミリ波の波長の半分に近い間隔で配列される等価位相中心によってフィードバックされた信号はミリ波画像の構成に用いられる。
【0076】
別の実施例において、複数の送信アンテナは複数の送信アンテナ群に分けられることができ、同一の送信アンテナ群内の送信アンテナの間の間隔は放射波の波長の2以上の整数倍であり、隣り合う送信アンテナ群の間の間隔距離は放射波の波長の2以上の整数倍である。
図9Bは本開示の一実施例を示す。
図9Bに示すように、2つのアンテナ(例えばt1とt2)は一群となり、t1はr1から1.5倍のミリ波波長の位置にあり、t1とt2の間の間隔距離は3倍のミリ波波長であり、t2とt3の間の間隔距離は5倍のミリ波波長であり、送信アンテナtと受信アンテナrの間の間隔距離は3倍のミリ波波長である。送信アンテナと受信アンテナの間の間隔距離は、送受信アンテナアレイを置くことができるのであれば、任意の値であってもよい。しかしながら、送信アンテナと受信アンテナとの相互結合を小さくするために、通常、送信アンテナと受信アンテナとの間の間隔距離は結像距離の10%よりも小さいことが要求されている。t1-r2とt1-r3の等価位相中心の間にはt2-r1の等価位相中心がある。t2-r1とt2-r2の等価位相中心の間にはt1-r3の等価位相中心がある。複数の送信アンテナ-受信アンテナ群の等価位相中心は交互に配列されている。なお、ミリ波画像を再構成する前に、受信アンテナのデータの順序を正確な順序に調整することが必要であることに注意すべきである。
図9Aにおいて、アレイの長さが1mであると、128個の受信アンテナと64個の送信アンテナが必要であり、取結像距離が0.35mであると、送受信アンテナアレイの間隔距離が3倍のミリ波波長である。
【0077】
実際に操作する時、送信アンテナt1が送信し、受信アンテナr1-r4が受信する。そして、送信アンテナt2が送信し、受信アンテナr1-r4が受信する。そして、送信アンテナt3が送信し、受信アンテナr1-r8が受信する。そのあと、送信アンテナt4が送信し、受信アンテナr1-r8が受信する。送信アンテナt67が送信し、受信アンテナr121-r128が受信するまでこのルールに従う。最後に送信アンテナt68が送信し、受信アンテナr121-r128が受信する。合計504個の等価位相中心点を形成する。画像を再構成する前に、等価位相中心の順序を調整すると空間的に左から右へ配列する必要がある。
【0078】
一実施例において、前記複数の送信アンテナの間の間隔距離は放射波の波長の1倍よりも大きく、前記複数の受信アンテナは放射波の波長の1倍よりも大きい距離で間隔を空けている。また、前記複数の送信アンテナの総数と前記複数の受信アンテナの総数とは異なり、かつ互いに素である。
図10は一実施例を示す。ただし、1つの送信アンテナは5つの受信アンテナに対応し、1つの受信アンテナは4つの送信アンテナのコード化された信号を受信して識別することができる。1つの送信アンテナと対応の複数の受信アンテナによって特定される等価位相中心と、隣り合う送信アンテナと対応の複数の受信アンテナによって特定される等価位相中心とは交互に配列される。かつ等価位相中心の間にミリ波の波長の0.3~0.7倍、通常0.5倍の距離を空けている。
【0079】
図10におけるアレイの構成は周期的なスパース互素アレイである。送信アンテナのアレイと受信アンテナのアレイにおけるエレメント数が互いに素であることを利用し、準シングルステーション近似を行い、受信-送信アンテナの接続線の中点を一重送受信アレイの位置とみなして等価の均一線アレイを取得する。仮に一つの周期内の受信、送信アンテナの数分布はN
1、N
2である場合には、均一にサンプル採取された等価位相中心のアレイを取得するために、N
1とN
2とが異なり、且つN
1とN
2が公約数を有しないことは必要である。通常、N
2>N
1。一つの周期内のアレイアンテナの長さがDであると、送信アンテナの間隔距離がD/N
1であり、受信アンテナのアレイ間隔距離がD/N
2である。1つの送信アンテナが2N
2個の等価位相中心に対応すると、1つの周期内の等価位相中心総数が2N
1N
2である。仮にアレイの周期アレイの周期数がMである場合には、等価位相中心の総数が2MN
1N
2であり、送受信アンテナアレイの間隔距離dtrが満足する条件は前にある実施例におけるアレイ構成と同一である。
【0080】
上記実施例によって構成されたアクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントは、ミリ波を送信するための一群の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための一群の受信アンテナと、を備え、前記一群の送信アンテナは、1行目に沿って配列される複数の送信アンテナを含み、前記一群の受信アンテナは、2行目に沿って配列される複数の受信アンテナを含み、前記一群の送信アンテナの1行目の複数の送信アンテナは、前記一群の受信アンテナの2行目の複数の受信アンテナに平行して配列され、かつ1行目の前記一群の送信アンテナと2行目の前記一群の受信アンテナとは間隔を空けて同一の平面に位置する。ただし、1行目に沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナの間の間隔距離が放射波の波長の1倍以上であり、2行目に沿って配列される複数の受信アンテナの間の間隔距離が放射波の波長の1倍以上であることにより、送信アンテナと受信アンテナとが一対一に配置されてなる送信アンテナ-受信アンテナ群の間に放射波の波長の1倍の距離で間隔を空ける場合に比べて、送信アンテナと受信アンテナの総数は減少しているため、製造難易度及びコストを低減させる。
【0081】
スパース多重送受信アレイアレンジメントの動作には種々の様態があってもよい。例えば、一実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントは、前記一群の送信アンテナが順次にミリ波を送信するように制御するための制御スイッチをさらに備えてもよい。制御スイッチによって、1行目の複数の送信アンテナは左から右へ(即ち、一端部の送信アンテナから)次々に/ステップ的に電磁波信号を送信する。各送信アンテナの電磁波信号は、最も近くにある例えば6つ又は8つの受信アンテナに受信される(等価位相中心の間の間隔が半波長であることを保証する)。最後に、全ての送信アンテナは一回の信号の送信を完成すると一行の走査を完成する。一実施例において、(例えば)別の動作様態として、1行目の複数の送信アンテナは、同一の周波数の電磁波信号を同時に送信し、各送信アンテナが送信した信号は何れもコード化され、受信アンテナが受信した信号はデコードされた後に画像に応用する必要があり、一回の電磁波信号の送信と受信を完成すると一回の一次元走査を完成する。一実施例において、1行目の複数の送信アンテナは左から右へ(即ち、一端部の送信アンテナから)次々に/ステップ的に電磁波信号を送信する。各送信アンテナの電磁波信号は、最も近くにある例えば6つ又は8つの受信アンテナに受信され、かつ送信アンテナが送信した電磁波信号の周波数は次第に増大する。最後に、全ての送信アンテナは一回の信号の送信を完成すると一行の走査を完成する。一実施例において、(例えば)さらに別の動作様態として、1行目の複数の送信アンテナは左から右へ次々に電磁波信号を送信し、一回の一次元走査を完成した後、1行目の送信アンテナは配列方向の横方向に沿って所定変位を平行移動してから、次々に電磁波信号を再度送信し、電磁波信号の周波数は前回送信した周波数と異なる。
【0082】
送信アンテナと受信アンテナはさらに他の動作方式を有してもよい。例えば前記した
図4~8の実施例に対する説明のようであるので、ここでは説明を省略する。
【0083】
本開示の一実施例は、アクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントであって、ミリ波を送信するための平行に配列される複数行の送信アンテナと、人体に反射されるミリ波を受信するための平行に配列される複数行の受信アンテナとを含み、各行の送信アンテナが複数の送信アンテナを含み、各行の受信アンテナが複数の受信アンテナを含み、前記複数行の送信アンテナが前記複数行の受信アンテナに平行であり、前記複数行の送信アンテナと前記複数行の受信アンテナとが互いに間隔を空けており、ただし、複数行の送信アンテナのうちの1行の送信アンテナと複数行の受信アンテナのうちの1行の受信アンテナが前述した
図4~10を参照して説明したスパース多重送受信アレイアレンジメントを構成する、アクティブミリ波セキュリティ検査結像に用いられるスパース多重送受信アレイアレンジメントをさらに開示しており、ここでは説明を省略する。
【0084】
本開示の一実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントは、隣り合う2つのセグメントの間になす角を形成する複数のセグメントを備えてもよい。前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは、前記複数のセグメントにそれぞれ配置される部分を含む。本実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントはなす角を形成する複数のセグを備えるため、
図11に示すように、複数のセグメントは一つの半閉の空間を囲むことができる。実際に操作する時、スパース多重送受信アレイアレンジメントの複数のセグメントは一つの対象を囲んで対象の異なる側面に向かい合うことができる。或いは、スパース多重送受信アレイアレンジメントの形状は折れ線形である。直線に配列されるスパース多重送受信アレイアレンジメントに比べて、なす角を形成する複数のセグメントを有する折れ線形のスパース多重送受信アレイアレンジメントは、異なる角度から被検人体に対して検査を行うことができ、人体体側の結像効果をある程度向上させる。
【0085】
例えば、一実施例において、前記スパース多重送受信アレイアレンジメントは、第1の鉛直平面内に配置される第1のセグメントと、第2の鉛直平面内に配置される第2のセグメントと、を備え、ただし、第1の鉛直平面と第2の鉛直平面とのなす角θ12が0ではない。前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは、第1のセグメントに配置される部分と、第2のセグメントに配置される部分と、を含む。1本の直線に沿って配置される場合について、なす角を形成する第1のセグメントと第2のセグメントを備えるスパース多重送受信アレイアレンジメントは2つの方向から対象を測定することができる。例えば、θ12は90度以上180度以下の任意の角度であってもよい。
【0086】
さらに、別の実施例において、スパース多重送受信アレイアレンジメントは、第3の鉛直平面内に配置される第3のセグメントをさらに備えてもよい。前記第3の鉛直平面と第1の鉛直平面、第2の鉛直平面とのなす角はそれぞれθ
13とθ
23であるとともに、0ではない。前記一群の送信アンテナと前記一群の受信アンテナのそれぞれは第3のセグメントに配置される部分を含む。
図11はこのようなアレンジメントを示す。図面中、小さなドットが送信アンテナを表し、大きなドットが受信アンテナを表す。
図11において、なす角を形成する第1のセグメント1、第2のセグメント2及び第3のセグメント3を備えるスパース多重送受信アレイアレンジメントは3つの方向から対象を測定することができる。例えば、θ
13とθ
23は90度以上180度以下の任意の角度であってもよい。
【0087】
他の実施例において、前記スパース多重送受信アレイアレンジメントは、第4のセグメント、第5のセグメントなどを備えてもよい。当業者は本開示の教示に基づいて要求に応じて設置することができる。
【0088】
なお、スパース多重送受信アレイアレンジメントの各セグメントにおける送信アンテナと受信アンテナのアレンジメントは、上記実施例の様態に応じて配置することができる。ここでは説明を省略する。
【0089】
本開示の一実施例は、1つ又は複数の上記スパース多重送受信アレイアレンジメントを備える人体セキュリティ検査装置をさらに提供している。
図12は人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。人体セキュリティ検査装置は、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とを備える。ただし、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメントと第2のスパース多重送受信アレイアレンジメントとは、両者の間に人体セキュリティ検査の検査空間Sを区画するように対向して配置される。第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメントは、走査を実施するために、鉛直平面内において上下方向に沿って平行移動できるように配置される。例えば、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100はその所在鉛直平面内において上から下に向けて走査し、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200はその所在鉛直平面内において下から上に向けて走査する。
【0090】
なお、1つの第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100のみでも人体セキュリティ検査を完成することができる。
【0091】
人体全体の走査を完成した後、完全な散乱界データを取得してデータ処理ユニットに伝送し、ホログラフィーアルゴリズムを利用して再構成し、被検人体の画像を形成する。最後、画像を例えば表示ユニットに伝送してオペレータに表示する。
【0092】
具体的には、
図13に示すように、第1のフレーム101には第1のガイドレール装置104が設けられてもよい。第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は、前記第1のガイドレール装置104にスライド移動可能に接続され、前記第1のガイドレール装置104に沿って移動して被検対象(人体)に対して第1の走査を行うことができる。第2のフレーム201には第2のガイドレール装置204が設けられてもよい。前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は、前記第2のガイドレール装置204にスライド移動可能に接続され、前記第2のガイドレール装置204に沿って移動して被検対象(人体)に対して第2の走査を行うことができる。前記第1のガイドレール装置104と前記第2のガイドレール装置204とは互いに平行となってもよい。
【0093】
人体セキュリティ検査装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100が前記第1のガイドレール装置104に沿って移動するように駆動し、及び/又は前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が前記第2のガイドレール装置204に沿って移動するように駆動するための駆動装置400を備えてもよい。人体セキュリティ検査装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とが互いに反対の方向にしか移動できないように、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200との運動関係を拘束するための拘束装置をさらに備えてもよい。一実施例において、前記拘束装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とが同じ速度でしか移動できないように、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200との位置関係を拘束する。具体的には、前記拘束装置は前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とを接続する剛性な接続ワイヤロープ300である。前記第1のガイドレール装置104には第1の定滑車103が設けられ、前記第2のガイドレール装置204には第2の定滑車203が設けられる。前記接続ワイヤロープは前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100から第1の定滑車103と第2の定滑車203を順次に経過して前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200に接続される。
【0094】
別の実施例において、
図14に示すように、人体セキュリティ検査装置は第1のフレーム101を備え、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は第1のフレーム101に配置されて第1のフレーム101において上下移動可能である。人体セキュリティ検査装置は第2のフレーム201を備え、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は第2のフレーム201に配置されて第2のフレーム201において上下移動可能である。第1のフレーム101には第1のガイドレール装置104が設けられてもよい。第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は、前記第1のガイドレール装置104にスライド移動可能に接続され、前記第1のガイドレール装置104に沿って移動して被検対象(人体)に対して第1の走査を行うことができる。第2のフレーム201には第2のガイドレール装置204が設けられてもよい。前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は、前記第2のガイドレール装置204にスライド移動可能に接続され、前記第2のガイドレール装置204に沿って移動して被検対象(人体)に対して第2の走査を行うことができる。駆動装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100を直接駆動する第1の駆動装置401を備え、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は第1の駆動装置を介して第1のガイドレール装置104に接続される。前記駆動装置は、前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200を直接駆動する第2の駆動装置402を備え、前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は第2の駆動装置を介して第2のガイドレール装置204に接続される。このようなアレンジメントによって、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は独立して制御されることができる。例えば両者の移動方向が同一又は逆であってもよく、移動速度が同一又は異なってもよい。本実施例において、例えば第1の滑車と第2の滑車及び剛性な接続ワイヤロープ300である拘束装置を設置しない。
【0095】
第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が共に被検対象に対して走査を行う全過程において、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とはミリ波を発信するタイミングが異なる。例えば、走査が開始される時、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は最低周波数から最高周波数までミリ波を送信し、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が最高周波数から最低周波数までミリ波を送信する。或いは、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が最低周波数から最高周波数までミリ波を送信し、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100が最高周波数から最低周波数までミリ波を送信する。本実施例において、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は独立して走査することができ、両者の走査信号は人体の画像の形成に用いられる。
【0096】
本開示の実施例による人体セキュリティ検査装置は、駆動装置を制御することで走査を実施するとともに、受信したミリ波信号を処理することで第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200のミリ波エコー信号を処理して人体表面の画像を形成し、さらに外部から入力された指令などを受信するためのプロセッサ又はコントローラをさらに備える。
【0097】
本開示の人体セキュリティ検査装置を使用して人体、例えば旅客などに対して安全検査を行う時、人体が人体セキュリティ検査装置の中、即ち第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200との間に滞在するだけで、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は同時に走査し或いはそれぞれ人体の一側を走査し、走査した信号をプロセッサ又はコントローラに送信し、プロセッサ又はコントローラによって画像処理を行って人体の画像を形成して便利且つ素早い検査を完成するようにする。
【0098】
図21~23は本開示の別の3つの実施例を示す。それらはそれぞれ
図12~14に示す実施例の変形例であってもよい。ただし、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は、
図12~14おける直線に沿って配置される第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200に代えて、
図11に示す実施例のアレンジメント、即ちなす角を有する複数のセグメントからなる第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200を採用する。
図21~23の実施例の他の部分のアレンジメントは
図12~14に示す実施例と類似するため、ここでは説明を省略する。
【0099】
図15、17Aと17Bに示すように、本開示の一実施例は、1行目に沿って配列される送信アンテナと2行目に沿って配列される受信アンテナがそれぞれ第1のアークと第2のアークに沿って配列されるようにする点以外、前述の実施例(例えば
図4~11に示す)と同様である。換言すると、1行目に沿って配列される送信アンテナと2行目に沿って配列される受信アンテナは1つのアーク面内に平行に設置されるが、送信アンテナと受信アンテナはそれぞれアーク線に沿って配列される。以下、アークに沿って配列される送信アンテナと受信アンテナの実現方法を説明する。
【0100】
直線に配列されるアレイを半径Rの円弧に湾曲し、Rの数値範囲が0.5m~1mである。湾曲過程は
図15に示すようである。
図16に示すように、アークに沿って配列されるアレイについて、直線アレイに比べ、結像条件は、アーク線に沿って配列される2つの隣り合う送信アンテナ又は受信アンテナの間隔の最大値に対応するアーク長とコード長hの差eが0に漸近することが必要である。
【数11】
ただし、θが円弧に対応するフィールドアングルであり、Rが円弧半径であり、以下の関係を満たす。
【数12】
θ<<1である時、
【数13】
に対してテーラー級数展開をする。
【数14】
ただし、O(θ)が高次項である。
差分eは、
【数15】
で表すことができる。
【0101】
前記した
図4~10で示す全てのアレイ構成もe~0を実現できる。例えば、
図6Aと
図7において、1つの送信アンテナが8つの受信アンテナに対応し、隣り合う2つの送信アンテナの間隔が4λであり、λ=4mm、半径R=500mmの円弧に湾曲し、このときe=2.22×10
-5m。
図6Aと
図7は送信アンテナと受信アンテナが直線に沿って配列されるよに簡略化して示す。実際、本実施例において、送信アンテナと受信アンテナはアーク線に沿って配列される。本実施例において、
図8A~11で示すアレンジメントは送信アンテナと受信アンテナがアーク線に沿って配列されるように変形される。これらの送信アンテナと受信アンテナのアレンジメントと操作は前述した実施例と類似する。
【0102】
TR間隔距離dtrは任意の値であってもよく、送受信アンテナアレイを置くことができ、相互結合を小さくする一方、dtr/z0<10%が要求され、z0が結像距離である。
【0103】
これから分かる通り、巨視的に長さ1mのアレイ構成について、アーク状に配置されるアレイ構成と直線に沿って配列されるアレイ構成とは、結像原理が類似する。本開示の他の実施例において、便宜上、送信アンテナと受信アンテナを直線的に配列されるように示すが、これらの送信アンテナと受信アンテナはアーク状に配列されると分かるべきである。又は簡単に言えば、本開示のスパースアレイ送受信装置はまず直線的に配列され、そしてアーク状に湾曲さればよい。
【0104】
本開示の一実施例は、1つの又は複数の上記スパース多重送受信アレイアレンジメントを備える人体セキュリティ検査装置をさらに提供している。
図18は人体セキュリティ検査装置を示す模式図である。人体セキュリティ検査装置は、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200を備え、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメントと第2のスパース多重送受信アレイアレンジメントとは、それぞれアーク面に沿って配置されるとともに、両者の間に人体セキュリティ検査の検査空間Sを区画するように対向して設置される。第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメントは、走査を実施するために、鉛直平面内において上下方向に沿って平行移動できるように配置される。例えば、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100はその所在鉛直平面内において上から下に向けて走査し、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200はその所在鉛直平面内において下から上に向けて走査する。
【0105】
なお、アーク状の設計によって、1つの第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100のみでも人体セキュリティ検査を完成することができる。
【0106】
人体全体の走査を完成した後、完全な散乱界データを取得してデータ処理ユニットに伝送し、ホログラフィーアルゴリズムを利用して再構成し、被検人体の画像を形成する。最後、画像を例えば表示ユニットに伝送してオペレータに表示する。
【0107】
別の実施例において、
図19に示すように、人体セキュリティ検査装置は第1のフレーム101を備え、アーク面に沿って配置される第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は第1のフレーム101に配置されて第1のフレーム101において上下移動可能である。人体セキュリティ検査装置は第2のフレーム201を備え、アーク面に沿って配置される第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は第2のフレーム201に配置されて第2のフレーム201において上下移動可能である。
【0108】
別の実施例において、
図19に示すように、第1のフレーム101には第1のガイドレール装置104が設けられてもよい。アーク面に沿って配置される第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は、前記第1のガイドレール装置104にスライド移動可能に接続され、前記第1のガイドレール装置104に沿って移動して被検対象(人体)に対して第1の走査を行うことができる。第2のフレーム201には第2のガイドレール装置204が設けられてもよい。アーク面に沿って配置される前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は、前記第2のガイドレール装置204にスライド移動可能に接続され、前記第2のガイドレール装置204に沿って移動して被検対象(人体)に対して第2の走査を行うことができる。前記第1のガイドレール装置104と前記第2のガイドレール装置204とは互いに平行となってもよい。
【0109】
人体セキュリティ検査装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100が前記第1のガイドレール装置104に沿って移動するように駆動し、及び/又は前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が前記第2のガイドレール装置204に沿って移動するように駆動するための駆動装置400を備えてもよい。人体セキュリティ検査装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とが互いに反対の方向にしか移動できないように、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200との運動関係を拘束するための拘束装置をさらに備えてもよい。一実施例において、前記拘束装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とが同じ速度でしか移動できないように、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200との位置関係を拘束する。具体的には、前記拘束装置は前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200を接続する剛性な接続ワイヤロープ300である。前記第1のガイドレール装置104には第1の定滑車103が設けられ、前記第2のガイドレール装置204には第2の定滑車203が設けられる。前記接続ワイヤロープは前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100から第1の定滑車103と第2の定滑車203を順次に経過して前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200に接続される。
【0110】
別の実施例において、
図20に示すように、人体セキュリティ検査装置は第1のフレーム101を備え、アーク面に沿って配置される第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は第1のフレーム101に配置されて第1のフレーム101において上下移動可能である。人体セキュリティ検査装置は第2のフレーム201を備え、アーク面に沿って配置される第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は第2のフレーム201に配置されて第2のフレーム201において上下移動可能である。第1のフレーム101には第1のガイドレール装置104が設けられてもよい。第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は、前記第1のガイドレール装置104にスライド移動可能に接続され、前記第1のガイドレール装置104に沿って移動して被検対象(人体)に対して第1の走査を行うことができる。第2のフレーム201には第2のガイドレール装置204が設けられてもよい。前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は、前記第2のガイドレール装置204にスライド移動可能に接続され、前記第2のガイドレール装置204に沿って移動して被検対象(人体)に対して第2の走査を行うことができる。駆動装置は、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100を直接駆動する第1の駆動装置401を備え、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は第1の駆動装置401によって第1のガイドレール装置104に接続される。前記駆動装置は、前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200を直接駆動する第2の駆動装置402を備え、前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は第2の駆動装置を介して第2のガイドレール装置204に接続される。このようなアレンジメントによって、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は独立して制御されることができる。例えば両者の移動方向が同一又は逆であってもよく、移動速度が同一又は異なってもよい。本実施例において、例えば第1の滑車と第2の滑車及び剛性な接続ワイヤロープ300である拘束装置を設置しない。
【0111】
第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が共に被検対象に対して走査を行う全過程において、前記第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と前記第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200とはミリ波を発信するタイミングが異なる。例えば、走査が開始される時、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100は最低周波数から最高周波数までミリ波を送信し、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は最高周波数から最低周波数までミリ波を送信する。或いは、第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200が最低周波数から最高周波数までミリ波を送信し、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100が最高周波数から最低周波数までミリ波を送信する。本実施例において、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は独立して走査することができる。両者の走査信号は人体の画像の形成に用いられる。
【0112】
本開示の実施例による人体セキュリティ検査装置は、駆動装置を制御することで走査を実施するとともに、受信したミリ波信号を処理することで第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200のミリ波エコー信号を処理して人体表面の画像を形成し、さらに外部から入力された指令などを受信するためのプロセッサ又はコントローラをさらに備える。
【0113】
本開示の人体セキュリティ検査装置を使用して人体、例えば旅客などに対して安全検査を行う時、人体が人体セキュリティ検査装置の中、即ち第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200との間に滞在するだけで、第1のスパース多重送受信アレイアレンジメント100と第2のスパース多重送受信アレイアレンジメント200は同時に走査し或いはそれぞれ人体の一側を走査し、走査した信号をプロセッサ又はコントローラに送信し、プロセッサ又はコントローラによって画像処理を行って人体の画像を形成して便利且つ素早い検査を完成するようにする。
【0114】
本開示の一実施例は、上記したスパース多重送受信アレイアレンジメントを使用して人体を検出する方法をさらに提供している。
【0115】
本開示全体が案出したいくつかの実施例は既に表示及び説明されたが、本開示全体の発想及び原則を逸脱しない場合、これらの実施例を変更してもよく、本開示の範囲は請求項及びそれらと同等のものに限定されると当業者に理解されるべきである。
【符号の説明】
【0116】
100 スパース多重送受信アレイアレンジメント
101 フレーム
103 定滑車
104 ガイドレール装置
200 スパース多重送受信アレイアレンジメント
201 フレーム
203 定滑車
204 ガイドレール装置
300 接続ワイヤロープ
400 駆動装置
401 第1の駆動装置
402 第2の駆動装置