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特許7181331車両制御装置、車両制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20221122BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20221122BHJP
【FI】
E05B49/00 R
B60R25/25
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021050004
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148355
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】劉 海嵩
(72)【発明者】
【氏名】茂呂澤 亮
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/003826(WO,A1)
【文献】特開平11-43016(JP,A)
【文献】特開2006-274677(JP,A)
【文献】特開2004-324183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
B60R 25/00-25/40
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮像する撮像部と、
第1消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記周辺の人物の顔を第1精度で検出する検出部と、
前記検出部によって顔が検出された場合、前記第1消費電力よりも高い第2消費電力で前記撮像部を動作させ、前記第2消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記第1精度よりも高い第2精度で、前記検出部によって検出された顔が予め登録された登録ユーザの顔であるか否かを判定するユーザ判定部と、
前記ユーザ判定部の判定結果に応じて、ドアのロックを解除するロック解除部と、
前記ユーザ判定部により前記登録ユーザの顔ではないと判定された場合、前記検出部によって顔が検出された検出領域を、前記ユーザ判定部による判定が行われない判定禁止領域に設定する設定部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記ユーザ判定部は、前記登録ユーザの判定を複数回行い、
前記設定部は、前記ユーザ判定部による複数回の判定結果に基づいて、前記検出領域を前記判定禁止領域に設定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記判定禁止領域は、前記検出部による顔の検出が禁止される領域である、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記判定禁止領域は、前記検出部による顔の検出が可能な領域であり、
前記ユーザ判定部は、前記検出部によって前記判定禁止領域から検出された顔に基づく前記登録ユーザの判定を行わない、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記判定禁止領域は、前記検出部による顔の検出が可能な領域であり、
前記検出領域における顔と、前記判定禁止領域から検出された顔とが一致するか否かの判定を行う一致判定部を備え、
前記ユーザ判定部は、前記一致判定部によって前記一致したと判定された顔に基づく前記登録ユーザの判定を行わない、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記判定禁止領域の顔の動きを検出し、
前記設定部は、前記検出部によって顔の動きが検出された場合、前記判定禁止領域の設定を解除する、
請求項4または5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記判定禁止領域の設定を解除した後、前記登録ユーザの判定において前記登録ユーザの顔ではないと判定された場合、再び前記検出領域を前記判定禁止領域に設定する、
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記判定禁止領域から顔が検出されなくなった場合、前記判定禁止領域の設定を解除する、
請求項4から7のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記ユーザ判定部は、前記判定禁止領域を除いた他の領域については前記登録ユーザの判定を行うことが可能であり、
前記ロック解除部は、前記登録ユーザの判定において前記登録ユーザの顔であると判定された場合、前記ロックを解除し、
前記設定部は、前記ロック解除部によって前記ロックが解除された場合、前記判定禁止領域の設定を解除する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記設定部は、車両の駐車時に、前記検出領域を前記判定禁止領域に設定する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
車両の周辺を撮像する撮像部を備えた車両に搭載されるコンピュータが、
第1消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記周辺の人物の顔を第1精度で検出し、
前記第1精度で顔を検出した場合、前記第1消費電力よりも高い第2消費電力で前記撮像部を動作させ、前記第2消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記第1精度よりも高い第2精度で、前記検出した顔が予め登録された登録ユーザの顔であるか否かを判定し、
前記判定の結果に応じて、ドアのロックを解除し、
前記判定において前記登録ユーザの顔ではないと判定した場合、前記検出した検出領域を、前記判定を行わない判定禁止領域に設定する、
を備える車両制御方法。
車両制御方法。
【請求項12】
車両の周辺を撮像する撮像部を備えた車両に搭載されるコンピュータに、
第1消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記周辺の人物の顔を第1精度で検出させ、
前記第1精度で顔を検出した場合、前記第1消費電力よりも高い第2消費電力で前記撮像部を動作させ、前記第2消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記第1精度よりも高い第2精度で、前記検出した顔が予め登録された登録ユーザの顔であるか否かを判定させ、
前記判定の結果に応じて、ドアのロックを解除させ、
前記判定において前記登録ユーザの顔ではないと判定した場合、前記検出した検出領域を、前記判定を行わない判定禁止領域に設定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアロックに関し、各種キーレスエントリーシステムが提案されている。例えば、ドアノブに手をかけた人の虹彩を撮像し、撮像した虹彩情報を用いて認証を行うキーレスエントリーシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-138817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、高精度のカメラを頻繁に起動させると、消費電力が増大し、バッテリの蓄電量が減少してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、バッテリの蓄電量の減少を抑えることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両制御装置は、車両の周辺を撮像する撮像部と、第1消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記周辺の人物の顔を第1精度で検出する検出部と、前記検出部によって顔が検出された場合、前記第1消費電力よりも高い第2消費電力で前記撮像部を動作させ、前記第2消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記第1精度よりも高い第2精度で、前記検出部によって検出された顔が予め登録された登録ユーザの顔であるか否かを判定するユーザ判定部と、前記ユーザ判定部の判定結果に応じて、ドアのロックを解除するロック解除部と、前記ユーザ判定部により前記登録ユーザの顔ではないと判定された場合、前記検出部によって顔が検出された検出領域を、前記ユーザ判定部による判定が行われない判定禁止領域に設定する設定部と、を備える。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記ユーザ判定部は、前記登録ユーザの判定を複数回行い、前記設定部は、前記ユーザ判定部による複数回の判定結果に基づいて、前記検出領域を前記判定禁止領域に設定する。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記判定禁止領域は、前記検出部による顔の検出が禁止される領域である。
【0009】
(4):上記(1)または(2)の態様において、前記判定禁止領域は、前記検出部による顔の検出が可能な領域であり、前記ユーザ判定部は、前記検出部によって前記判定禁止領域から検出された顔に基づく前記登録ユーザの判定を行わない。
【0010】
(5):上記(1)または(2)の態様において、前記判定禁止領域は、前記検出部による顔の検出が可能な領域であり、前記検出領域における顔と、前記判定禁止領域から検出された顔とが一致するか否かの判定を行う一致判定部を備え、前記ユーザ判定部は、前記一致判定部によって前記一致したと判定された顔に基づく前記登録ユーザの判定を行わない。
【0011】
(6):上記(4)または(5)の態様において、前記検出部は、前記判定禁止領域の顔の動きを検出し、前記設定部は、前記検出部によって顔の動きが検出された場合、前記判定禁止領域の設定を解除する。
【0012】
(7):上記(6)の態様において、前記設定部は、前記判定禁止領域の設定を解除した後、前記登録ユーザの判定において前記登録ユーザの顔ではないと判定された場合、再び前記検出領域を前記判定禁止領域に設定する。
【0013】
(8):上記(4)から(7)のいずれかの態様において、前記設定部は、前記判定禁止領域から顔が検出されなくなった場合、前記判定禁止領域の設定を解除する。
【0014】
(9):上記(1)から(8)のいずれかの態様において、前記ユーザ判定部は、前記判定禁止領域を除いた他の領域については前記登録ユーザの判定を行うことが可能であり、前記ロック解除部は、前記登録ユーザの判定において前記登録ユーザの顔であると判定された場合、前記ロックを解除し、前記設定部は、前記ロック解除部によって前記ロックが解除された場合、前記判定禁止領域の設定を解除する。
【0015】
(10):上記(1)から(9)のいずれかの態様において、前記設定部は、車両の駐車時に、前記検出領域を前記判定禁止領域に設定する。
【0016】
(11):この発明の一態様に係る車両制御方法は、車両の周辺を撮像する撮像部を備えた車両に搭載されるコンピュータが、第1消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記周辺の人物の顔を第1精度で検出し、前記第1精度で顔を検出した場合、前記第1消費電力よりも高い第2消費電力で前記撮像部を動作させ、前記第2消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記第1精度よりも高い第2精度で、前記検出した顔が予め登録された登録ユーザの顔であるか否かを判定し、前記判定の結果に応じて、ドアのロックを解除し、前記判定において前記登録ユーザの顔ではないと判定した場合、前記検出した検出領域を、前記判定を行わない判定禁止領域に設定する。
【0017】
(12):この発明の一態様に係るプログラムは、車両の周辺を撮像する撮像部を備えた車両に搭載されるコンピュータに、第1消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記周辺の人物の顔を第1精度で検出させ、前記第1精度で顔を検出した場合、前記第1消費電力よりも高い第2消費電力で前記撮像部を動作させ、前記第2消費電力で動作する前記撮像部の撮像結果を用いて、前記第1精度よりも高い第2精度で、前記検出した顔が予め登録された登録ユーザの顔であるか否かを判定させ、前記判定の結果に応じて、ドアのロックを解除させ、前記判定において前記登録ユーザの顔ではないと判定した場合、前記検出した検出領域を、前記判定を行わない判定禁止領域に設定させる。
【発明の効果】
【0018】
(1)~(12)によれば、バッテリの蓄電量の減少を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る車両制御装置が搭載された車両Mの構成を例示した図である。
図2】車両制御装置200の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3】検出禁止領域を設定する際の具体例を示す説明図である。
図4】実施形態1に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態2の認証無視領域を設定する際の具体例を示す説明図である。
図6】実施形態2に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態3の一致判定領域を設定する際の具体例を示す説明図である。
図8】実施形態3に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムの実施形態1~3について説明する。実施形態1~3では、駐車時に、車両外部を撮像するカメラの撮像結果を用いて顔を認証して、ドアのロックを解除させることについて説明する。
【0021】
[実施形態1]
まず、実施形態1について説明する。図1は、実施形態に係る車両制御装置が搭載された車両Mの構成を例示した図である。車両Mには、外部を撮像するカメラ100(撮像部の一例)が配置されている。カメラ100は、車両の前方方向を基準にして、左方カメラ100aと、右方カメラ100bと、後方カメラ100cとを含む。左方カメラ100aは、車両Mの左方のセンターピラーの上部に配置される。右方カメラ100bは、車両Mの右方のセンターピラーの上部に配置される。後方カメラ100cは、車両Mの後部のナンバープレート周辺に配置される。
【0022】
なお、図示では、SUV(Sport Utility Vehicle)タイプの車両を示しているが、後方カメラ100cは、セダンタイプの車両であれば、後部のエンブレムの周辺に配置され、ミニバンタイプの車両であれば、リアガラスの下に配置される。カメラ100は、小型のカメラであり、例えば、CCD(charge coupled device)カメラや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラが用いられる。カメラ100は、バッテリ220に蓄電された電気を用いて動作する。カメラ100が撮像する画像は、例えば、動画であるが、静止画でもよい。また、カメラ100の数は、3以外の数でもよい。また、カメラ100の配置位置は、上記の配置位置に限らず、車両Mの周辺を撮像できる位置であれば、任意の位置とするとことができる。
【0023】
カメラ100は、高電力モードと、低電力モードとのうち、いずれか一方のモードで動作することが可能である。高電力モードは、高精度(高解像度)で撮像するモードであり、消費電力の高いモードである。低電力モードは、低精度(低解像度)で撮像するモードであり、消費電力の低いモードである。なお、本実施形態では、一のカメラ100で、高解像度と低解像度との画像を撮像することとしているが、これに限らず、高解像度用のカメラと低解像度用のカメラとを別々に設けてもよい。
【0024】
また、カメラ100は、車両Mの周辺を撮像する。カメラ100は、人の顔の画像を得ることができる位置を常時撮像する。例えば、カメラ100は、高さ0.5m~2.5mの範囲で、車両Mに近付いて来た人を撮像する。カメラ100は、駐車中には常時、低電力モードで動作する。駐車中とは、例えば、車両Mの電源がオフになっており、且つ、ドアロックがされている状態である。すなわち、車両の電源がオンになっている場合や、ドアロックがされていない場合、カメラ100は、低電力モードで動作せずに、撮像機能をオフにする。
【0025】
[車両制御装置200の機能的構成]
図2は、車両制御装置200の機能的構成の一例を示すブロック図である。車両制御装置200は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)によって実現される。車両制御装置200は、画像入出力部211と、電源部212と、通信部213とを備える。
【0026】
画像入出力部211は、カメラ100と、車両制御装置200とのインタフェースである。画像入出力部211は、カメラ100によって撮像された撮像結果を検出部201や、ユーザ判定部202へ出力する。また、画像入出力部211は、カメラ100を低電力モードから高電力モードへ切り替える指示をユーザ判定部202から入力すると、当該指示を対象のカメラ100へ出力する。
【0027】
電源部212は、バッテリ221から供給される電気を用いて、車両制御装置200およびカメラを駆動させる。通信部213は、制御ユニット222との通信インタフェースである。制御ユニット222は、例えば、BCM(Body Control Module)である。BCMは、照明装置やワイパー装置、空調システム、シート調整装置など車両10の車載装置を総合的に管理して制御する。
【0028】
また、図2に示すように、車両制御装置200は、検出部201と、ユーザ判定部202と、ロック解除部203と、設定部204とを備える。これらの構成要素は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め車両制御装置200のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(不図示)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで車両制御装置200のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0029】
検出部201は、低電力(第1消費電力の一例)で動作するカメラ100の撮像結果を用いて、車両Mの周辺の人物の顔を低解像度(第1精度の一例)で検出する。検出部201は、駐車中、常時、低解像度で周辺の人物の顔を検出することが可能である。検出部201は、低解像度の画像を解析し、顔の特徴量を抽出して、人物の顔の認証を行う。
【0030】
ユーザ判定部202は、検出部201によって顔が検出された場合、高電力(第2消費電力の一例)でカメラ100を動作させて、高解像度(第2精度の一例)で、検出部201によって検出された顔が予め登録された登録ユーザであるか否かのユーザ判定(認証)を行う。ユーザ判定部202は、人が近付いて来た方向に配置されるカメラ100を高電力モードで動作させる。具体的には、左方から人が近付いて来た場合には、ユーザ判定部202は、左方カメラ100aを高電力モードで動作させる。
【0031】
登録ユーザは、例えば、車両Mの所有者や、その家族などである。ユーザ判定部202は、高解像度の画像を解析し、顔の特徴量を抽出して、予めデータベースに登録されている特徴量とマッチングし、マッチングしたスコアが最も高い人物を特定する。特定した人物が、車両Mの所有者であれば、認証に成功することとなる。なお、顔の特徴量を記憶するデータベースは、外部の装置が備えていてもよい。また、車両制御装置200の記憶部が、マッチング用のユーザの特徴量を記憶していてもよい。
【0032】
なお、以下では、ユーザ判定を「認証」という場合がある。また、ユーザ判定において、登録ユーザの顔であると判定することを「ユーザの認証に成功する」という場合がある。また、ユーザ判定においてユーザの顔ではないと判定することを「ユーザの認証に失敗する」という場合がある。
【0033】
ロック解除部203は、ユーザ判定の結果に応じて、ドアロック部223のロックを解除する。例えば、ロック解除部203は、ユーザ判定において認証に成功した場合、ロックを解除する。一方で、ロック解除部203は、ユーザ判定において認証に失敗した場合、ロックを保持する。
【0034】
ここで、カメラ100は、車両の駐車中は常時、低電力モードで動作する。例えば、駐車させた車両Mの周辺に、人の顔のポスターが掲示されていたとする。この場合、検出部201によって低解像度でポスターの顔が検出される。さらに、ユーザ判定部202によって高解像度でポスターの顔についてユーザ判定が行われてしまう。なお、この場合において、ユーザ判定ではユーザの認証に失敗するため、ロックが解除されることはない。
【0035】
しかしながら、ユーザの認証に失敗した後、再び検出部201によってポスターの顔が検出されるため、ユーザ判定部202は、高解像度の画像を取得して、ユーザの認証を再び行ってしまう。すなわち、顔の検出→カメラを高電力モードで動作→ユーザの認証に失敗、という処理が繰り返される無限のループとなってしまう。これにより、カメラ100が頻繁に高電力モードで動作してしまうため、バッテリ221の蓄電量が減少してしまい、バッテリ上がりが生じることがある。
【0036】
そこで、本実施形態において、設定部204は、ユーザの認証に失敗した場合、検出部201によって顔が検出された検出領域を、所定期間、ユーザ判定が行われない判定禁止領域に設定する。所定期間は、後述する解除条件が成立するまでの期間である。
【0037】
ユーザ判定部202がユーザ判定を行わないようにする一例を挙げる。例えば、判定禁止領域は、検出部201による顔の検出が禁止される領域(以下「検出禁止領域」という。)である。言い換えれば、検出部201は、検出禁止領域の顔を検出せず、検出禁止領域を除いた領域の顔を検出する。これにより、検出部201によって検出禁止領域から顔が検出されることがないため、ユーザ判定部202が検出禁止領域(判定禁止領域)の顔についてユーザ判定を行わないこととなる。
【0038】
これについて、図3を用いて説明する。図3は、検出禁止領域を設定する際の具体例を示す説明図である。図3(A)は、車両Mがポスターの近くに駐車した際のカメラ100(例えば左方カメラ100a)の撮像結果を示す。図3(A)において、検出部201は、ポスター上の人物の顔310(310a、310b)を検出する。検出部201によって顔310が検出されると、ユーザ判定部202は、左方カメラ100aを高電力モードで動作させて、顔310について高解像度の画像を得て、ユーザ判定を行う。図3(A)に示す顔310a、310bは、いずれもユーザの顔とは異なる。このため、ユーザ判定部202は、ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定する。
【0039】
ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定すると、図3(B)に示すように、検出部201は、ポスター上の人物の顔310の位置(検出領域)を検出禁止領域320に設定する。検出禁止領域320は、撮像領域300のうち、検出部201による顔の検出が禁止される領域である。検出禁止領域320からは顔が検出されないため、ユーザ判定部202によるユーザ判定も行われない。すなわち、ユーザ判定部202は、検出禁止領域320については、高解像度の画像を得ることがない。つまり、ユーザ判定部202は、検出禁止領域320について高解像度の画像を得ることがないため、カメラ100を高電力モードで動作させることを行わない。
【0040】
なお、検出部201は、撮像領域300のうち、検出禁止領域320以外の他の撮像領域330については、顔の検出を行う。同様に、ユーザ判定部202は、他の撮像領域330については、ユーザ判定を行う。
【0041】
設定部204は、ユーザの認証に1回失敗した場合に、検出領域を検出禁止領域に設定するようにしてもよいが、本実施形態では、ユーザの認証に複数回失敗した場合に、検出領域を検出禁止領域に設定するようにしている。具体的には、ユーザ判定部202は、複数回のユーザ判定を行う。設定部204は、複数回のユーザ判定の判定結果に基づいて、検出領域を前記判定禁止領域に設定する。例えば、設定部204は、3回連続してユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定された場合に、検出領域を検出禁止領域に設定する。なお、設定部204は、複数回のユーザ判定における認証の成功と失敗との割合に応じて、検出領域を検出禁止領域に設定してもよい。このように、複数回のユーザ判定結果を用いることにより、ユーザ判定の信頼性を向上させることができるため、検出禁止領域320の誤設定を抑えることができる。
【0042】
次に、検出禁止領域320の設定を解除する解除条件について説明する。解除条件は、例えば、ドアロック部223のロック解除である。これについて、具体的に説明する。ユーザ判定部202は、検出禁止領域320とは異なる他の撮像領域330についてはユーザ判定を行う。具体的には、検出部201によって他の撮像領域330の顔が検出されると、ユーザ判定部202は、カメラ100を高電力モードで動作させて、当該顔について高解像度の画像を得て、ユーザ判定を行う。
【0043】
ユーザ判定において、他の撮像領域330から検出された顔の認証に成功すると、ロック解除部203は、ドアロック部223のドアロックを解除する。設定部204は、ロック解除部203によってロックが解除された場合、検出禁止領域320の設定を解除する。
【0044】
なお、本実施形態では、車両Mの周辺にポスターが掲示されている場合を例に挙げて説明するが、ポスターの他にも、例えば、車両Mの周辺に人形や像が設置されている場合も、同様に、低解像度で顔が検出されることになる。
【0045】
[実施形態1に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理]
図4は、実施形態1に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理の一例を示すフローチャートである。図4において、検出部201は、駐車中であるか否かを判断する(ステップS401)。なお、駐車中とは、例えば、車両Mの電源がオフになっており、且つ、ドアロックがされている状態である。検出部201は、駐車中となるまで待機する。駐車中となると、検出部201は、カメラ100を低電力モードで動作させる(ステップS402)。
【0046】
次に、検出部201は、カメラ100から低解像度の画像を取得する(ステップS403)。そして、検出部201は、低解像度の撮像結果を用いて、人物の顔の検出を開始する(ステップS404)。そして、検出部201は、人物の顔を検出したか否かを判断する(ステップS405)。ユーザ判定部202は、検出部201によって人物の顔が検出されるまで待機し、人物の顔が検出されると、カメラ100を高電力モードで動作させる(ステップS406)。さらに、ユーザ判定部202は、カメラ100から高解像度の顔画像を取得する(ステップS407)。
【0047】
そして、ユーザ判定部202は、高解像度の顔画像(特徴量)を抽出してユーザの顔の判定(ユーザの認証)を行う(ステップS408)。次に、ユーザ判定部202は、ユーザの認証に成功したか否かを判断する(ステップS409)。ユーザの認証に失敗すると、設定部204は、ユーザの認証に3回失敗したか否かを判断する(ステップS410)。ユーザの認証に3回失敗していない場合、すなわち、ユーザの認証に1回または2回失敗している場合、設定部204は、ステップS406に戻る。ユーザの認証に3回に失敗した場合、設定部204は、検出禁止領域320を設定し(ステップS411)、ステップS402に戻る。
【0048】
ステップS408において、ユーザの認証に成功すると、ロック解除部203は、ドアロック部223のロックを解除する(ステップS412)。そして、設定部204は、検出禁止領域320の設定中であるか否かを判断する(ステップS413)。検出禁止領域320の設定中ではない場合、設定部204は、一連の処理を終了する。検出禁止領域320の設定中である場合、設定部204は、検出禁止領域320の設定を解除し(ステップS414)、一連の処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置200は、ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定した場合、検出部201によって顔が検出された検出領域を、判定禁止領域(検出禁止領域320)に設定するようにした。これにより、ユーザの認証に失敗した後に、再びユーザの認証を行わないようにすることができる。このため、顔の検出→カメラを高電力モードで動作→ユーザの認証に失敗、という処理が繰り返される無限のループが生じることを抑えることができる。これにより、カメラ100が頻繁に高電力モードで動作してしまうことを抑えることができる。したがって、バッテリ221の蓄電量が減少することを抑え、バッテリ上がりが生じることを抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態の車両制御装置200は、複数回のユーザ判定の判定結果に基づいて、検出領域を検出禁止領域320に設定するようにした。これにより、ユーザ判定の信頼性を向上させることができるため、検出禁止領域320の誤設定を抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態において、判定禁止領域を、検出部201による顔の検出が禁止される検出禁止領域320(図3参照)とした。これにより、検出部201によって検出禁止領域320の顔が検出されることがないため、ユーザ判定部202にユーザ判定を行わせないようにすることができる。したがって、検出禁止領域320について高解像度の画像を得るためにカメラ100を高電力モードで動作させてしまうことを抑えることができる。このため、バッテリ221の蓄電量が減少することを抑えることができる。
【0052】
また、本実施形態の車両制御装置200は、ドアロックが解除された場合、検出禁止領域320の設定を解除するようにした。これにより、次回の駐車において、検出禁止領域320が設定されたままとなることを抑え、撮像領域300の全領域において顔の検出を行うことが可能になる。
【0053】
また、本実施形態の車両制御装置200は、車両の駐車時に、検出領域を検出禁止領域320に設定するようにした。これにより、駐車中における顔の認証に伴ってバッテリ221の蓄電量が減少することを抑えることができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る車両制御装置200は、スマートフォン等の可搬型のコンピュータ装置と連動してもよい。例えば、車両制御装置200は、可搬型のコンピュータ装置から、ユーザが近付いて来た旨の情報を受信した場合、検出禁止領域320の設定を解除してもよい。これにより、検出禁止領域320が設定されていた場合に、当該検出禁止領域320の方向からユーザが近付いて来たとしても、顔の検出およびユーザ判定を行って、ドアロックを解除させることができる。
【0055】
また、本実施形態において、車両制御装置200は、1日単位でリセットかけるようにしてもよい。すなわち、特定の時間や、明るさとなった場合に、検出禁止領域320の設定を解除してもよい。ただし、車両Mの付近に顔のポスターがある場合には、再度、検出禁止領域320が設定されることになる。
【0056】
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。上述した実施形態1では、ユーザ判定部202がユーザ判定を行わない判定禁止領域として、検出部201によって顔が検出されない検出禁止領域320(図3参照)を設定することについて説明した。実施形態2では、ユーザ判定部202がユーザ判定を行わない判定禁止領域として、認証無視領域を設定することについて説明する。なお、以下の説明において、実施形態1で説明した内容と同様の内容については、同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0057】
図5は、実施形態2の認証無視領域を設定する際の具体例を示す説明図である。図5(A)は、図3(A)と同様の図である。図5(A)において、検出部201によって顔310が認証されると、ユーザ判定部202は、ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定する。
【0058】
ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定すると、図5(B)に示すように、設定部204は、ポスター上の人物の顔310の位置(検出領域)を認証無視領域500(500a、500b)に設定する。認証無視領域500は、検出部201による顔の検出が可能な領域である。ただし、認証無視領域500は、検出部201によって顔が検出されたとしても、ユーザ判定を行わない領域である。すなわち、ユーザ判定部202は、認証無視領域500については、高解像度の画像を得ない。つまり、ユーザ判定部202は、認証無視領域500について高解像度の画像を得ることがないため、カメラ100を高電力モードで動作させないようにする。
【0059】
なお、検出部201は、撮像領域300のうち、認証無視領域500以外の他の撮像領域510については、顔の検出を行う。同様に、ユーザ判定部202は、他の撮像領域510については、ユーザ判定を行う。
【0060】
次に、実施形態2において、認証無視領域500について、ユーザ判定を行わないことの解除条件(3つの条件)について説明する。1つ目の条件として、ユーザ判定部202は、ロック解除部203によってロックが解除された場合、認証無視領域500の設定を解除する。これにより、ユーザ判定部202は、以降の駐車において、撮像領域300の全領域においてユーザ判定を行うことが可能になる。
【0061】
また、2つ目の解除条件について説明する。検出部201は、低解像度の画像を用いて認証無視領域500の顔の動きを検出する。ここで、顔の動きが検出されるということは、ポスターの顔ではないということである。一方で、顔の動きが検出されないということは、ポスターの顔である可能性がある。そこで、設定部204は、検出部201によって顔の動きが検出された場合、認証無視領域500の設定を解除する。これにより、ユーザ判定部202は、認証無視領域500であった検出領域について第2認証を行うことが可能になる。すなわち、ユーザ判定部202は、カメラ100を高電力モードで動作させ、当該検出領域について高解像度の顔画像を得ることが可能になる。
【0062】
ユーザ判定部202は、認証無視領域500の設定が解除された後、当該検出領域の顔のユーザ判定に失敗することがある。すなわち、ユーザ判定部202は、カメラ100を高電力モードで動作させてユーザ判定を行ったものの、登録ユーザの顔ではないと判定する場合がある。登録ユーザの顔ではないとは、例えば、窃盗を狙った不審者などの顔である。この場合、ユーザ判定部202は、再び当該検出領域を認証無視領域500に設定し、ユーザ判定部202にユーザ判定を行わせないようにする。
【0063】
さらに、3つ目の解除条件について説明する。検出部201によって認証無視領域500の顔が検出されなくなるということは、認証無視領域500から顔がいなくなったということであり、すなわち、認証無視領域500の顔はポスターの顔ではないということが判明する。そこで、設定部204は、認証無視領域500の設定した期間に、検出部201によって認証無視領域500の顔が検出されなくなった場合、認証無視領域500の設定を解除する。
【0064】
[実施形態2に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理]
図6は、実施形態2に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理の一例を示すフローチャートである。図6において、検出部201は、駐車中であるか否かを判断する(ステップS601)。検出部201は、駐車中となるまで待機する。駐車中となると、検出部201は、カメラ100を低電力モードで動作させる(ステップS602)。
【0065】
次に、検出部201は、カメラ100から低解像度の画像を取得する(ステップS603)。そして、検出部201は、低解像度の撮像結果を用いて、人物の顔の検出を開始する(ステップS604)。そして、検出部201は、人物の顔を検出したか否かを判断する(ステップS605)。設定部204は、検出部201によって人物の顔が検出されるまで待機し、人物の顔が検出されると、認証無視領域500の設定中であるか否かを判断する(ステップS606)。
【0066】
認証無視領域500の設定中ではない場合、設定部204は、ステップS608に進む。認証無視領域500の設定中である場合、検出部201は、認証無視領域500から検出した顔であるか否かを判断する(ステップS607)。認証無視領域500から検出した顔ではない場合、ユーザ判定部202は、カメラ100を高電力モードで動作させる(ステップS608)。さらに、ユーザ判定部202は、カメラ100から高解像度の顔画像を取得する(ステップS609)。
【0067】
そして、ユーザ判定部202は、高解像度の顔画像(特徴量)を抽出してユーザの顔の判定(ユーザの認証)を行う(ステップS610)。次に、ユーザ判定部202は、ユーザの認証に成功したか否かを判断する(ステップS611)。ユーザの認証に失敗すると、設定部204は、ユーザの認証に3回失敗したか否かを判断する(ステップS612)。ユーザの認証に3回失敗していない場合、すなわち、ユーザの認証に1回または2回失敗している場合、設定部204は、ステップS609に戻る。ユーザの認証に3回に失敗した場合、設定部204は、認証無視領域500を設定し(ステップS613)、ステップS602に戻る。
【0068】
ステップS605において、検出部201によって人物の顔が検出されない場合、設定部204は、認証無視領域500の設定中であるか否かを判断する(ステップS614)。認証無視領域500の設定中ではない場合、設定部204は、ステップS602に戻る。認証無視領域500の設定中である場合、すなわち、認証無視領域500から顔がなくなった場合、設定部204は、認証無視領域500の設定を解除し(ステップS615)、ステップS602に戻る。
【0069】
ステップS607において、認証無視領域500から検出した顔である場合、検出部201は、低解像度の画像を用いて、顔の動きを検出したか否かを判断する(ステップS616)。顔の動きを検出しない場合、検出部201は、ステップS602に戻る。顔の動きを検出した場合、設定部204は、認証無視領域500の設定を解除し(ステップS617)、ステップS608に進む。なお、車両制御装置200は、認証無視領域500の設定を解除した後、カメラ100を高電力モードで動作させるものの、解除した領域におけるユーザの認証に失敗した場合には、再び、認証無視領域500の設定をする(ステップS608~ステップS613)。
【0070】
ステップS611において、ユーザの認証に成功すると、ロック解除部203は、ドアロック部223のロックを解除する(ステップS618)。そして、設定部204は、認証無視領域500の設定中であるか否かを判断する(ステップS619)。認証無視領域500の設定中ではない場合、設定部204は、一連の処理を終了する。認証無視領域500の設定中である場合、設定部204は、認証無視領域500の設定を解除し(ステップS620)、一連の処理を終了する。
【0071】
以上説明したように、実施形態2の車両制御装置200は、ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定した場合、検出部201によって顔が検出された検出領域を、認証無視領域500(図5参照)に設定するようにした。これにより、ユーザの認証に失敗した後に、再び認証無視領域500からポスターの顔を検出した場合でも、当該領域を無視して、ユーザ判定を行わないようにすることができる。このため、認証無視領域500について高解像度の画像を得るためにカメラ100を頻繁に高電力モードで動作させてしまうことを抑えることができる。したがって、バッテリ221の蓄電量が減少することを抑えることができる。
【0072】
また、実施形態2の車両制御装置200は、認証無視領域500の顔の動きが検出された場合、認証無視領域500の設定を解除するようにした。これにより、認証無視領域500において検出された顔に動きがある場合に、カメラ100を高電力モードで動作させて、認証無視領域500であった領域について高解像度の画像を得ることができる。したがって、認証無視領域500であった領域の顔についても、ユーザ判定を行うことによって、ドアロックを解除することができる。
【0073】
また、実施形態2の車両制御装置200は、認証無視領域500の設定を解除した後、ユーザ判定においてユーザでないと判定した場合、再び検出領域を認証無視領域500に設定するようにした。これにより、認証無視領域500が示す方向から不審者が近付いて来た場合に、ユーザ判定を行わないようにすることができる。これにより、認証無視領域500について高解像度の画像を得るためにカメラ100を頻繁に高電力モードで動作させてしまうことを抑えることができる。また、ドアロックを解除させないようにすることができる。
【0074】
また、実施形態2の車両制御装置200は、認証無視領域500から顔が検出されなくなった場合、認証無視領域500の設定を解除するようにした。これにより、認証無視領域500の顔がポスターの顔ではない場合に、カメラ100を高電力モードで動作させ、高解像度の画像を得ることができる。したがって、認証無視領域500であった領域の顔についても、第2認証を行うことによって、ドアロックを解除することができる。
【0075】
[実施形態3]
次に、実施形態3について説明する。上述した実施形態2では、ユーザ判定部202がユーザ判定を行わない判定禁止領域として、認証無視領域500(図5参照)を設定することについて説明した。実施形態3では、ユーザ判定部202がユーザ判定を行わない判定禁止領域として、低解像度の画像の一致判定を行う一致判定領域に設定することについて説明する。
【0076】
図7は、実施形態3の一致判定領域を設定する際の具体例を示す説明図である。図7(A)は、図3(A)と同様の図である。図7(A)において、検出部201によって顔310が認証されると、ユーザ判定部202は、ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定する。
【0077】
ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定すると、図7(B)に示すように、ユーザ判定部202は、ポスター上の人物の顔310の位置(検出領域)を一致判定領域700(700a、700b)に設定する。一致判定部720(図3参照)は、ユーザの認証に失敗した際の検出領域における低解像度の顔と、検出部201によって一致判定領域700から検出された低解像度の顔とが一致するか否かの一致判定を行う。一致判定部720は、低解像度の画像を解析し、顔の特徴量を抽出して、人物の顔の一致判定を行う。なお、一致判定部720は、低解像度の画像からエッジ点を抽出して、輪郭を比較することによって、一致判定を行ってもよい。
【0078】
ここで、一致判定で一致するということは、検出された顔は同じ顔であるということから、ポスターの顔である可能性がある。一方で、一致判定で一致しないということは、検出された顔に変化があることから、ポスターの顔ではない。そこで、ユーザ判定部202は、一致判定において同一であると判定された場合、一致判定領域700におけるユーザ判定を行わない。このため、ユーザ判定部202は、一致判定領域700については、高解像度の画像を得ない。つまり、ユーザ判定部202は、一致判定領域700について高解像度の画像を得ることがないため、カメラ100を高電力モードで動作させないようにする。一方で、ユーザ判定部202は、一致判定において同一ではないと判定された場合、一致判定領域700の第2認証を行う。
【0079】
なお、検出部201は、撮像領域300のうち、一致判定領域700以外の他の撮像領域710については、顔の検出を行う。同様に、ユーザ判定部202は、他の撮像領域710については、ユーザ判定を行う。また、実施形態3において、一致判定領域700の解除条件(3つの条件)は、実施形態2における認証無視領域500の解除条件と同様である。
【0080】
[実施形態3に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理]
図8は、実施形態3に係る車両制御装置200が行う高電力モードの禁止制御処理の一例を示すフローチャートである。図8において、検出部201は、駐車中であるか否かを判断する(ステップS801)。検出部201は、駐車中となるまで待機する。駐車中となると、検出部201は、カメラ100を低電力モードで動作させる(ステップS802)。
【0081】
次に、検出部201は、カメラ100から低解像度の画像を取得する(ステップS803)。そして、検出部201は、低解像度の撮像結果を用いて、人物の顔の検出を開始する(ステップS804)。そして、検出部201は、人物の顔を検出したか否かを判断する(ステップS805)。設定部204は、検出部201によって人物の顔が検出されるまで待機し、人物の顔が検出されると、一致判定領域700の設定中であるか否かを判断する(ステップS806)。
【0082】
一致判定領域700の設定中ではない場合、設定部204は、ステップS808に進む。一致判定領域700の設定中である場合、検出部201は、一致判定領域700から検出した顔であるか否かを判断する(ステップS807)。一致判定領域700から検出した顔ではない場合、ユーザ判定部202は、カメラ100を高電力モードで動作させる(ステップS808)。さらに、ユーザ判定部202は、カメラ100から高解像度の顔画像を取得する(ステップS809)。
【0083】
そして、ユーザ判定部202は、高解像度の顔画像(特徴量)を抽出してユーザの顔の判定(ユーザの認証)を行う(ステップS810)。次に、ユーザ判定部202は、ユーザの認証に成功したか否かを判断する(ステップS811)。ユーザの認証に失敗すると、設定部204は、ユーザの認証に3回失敗したか否かを判断する(ステップS812)。ユーザの認証に3回失敗していない場合、すなわち、ユーザの認証に1回または2回失敗している場合、設定部204は、ステップS809に戻る。ユーザの認証に3回に失敗した場合、設定部204は、一致判定領域700を設定し(ステップS813)、ステップS802に戻る。
【0084】
ステップS805において、検出部201によって人物の顔が検出されない場合、設定部204は、一致判定領域700の設定中であるか否かを判断する(ステップS814)。一致判定領域700の設定中ではない場合、設定部204は、ステップS802に戻る。一致判定領域700の設定中である場合、すなわち、一致判定領域700から顔が検出されなくなった場合、設定部204は、一致判定領域700の設定を解除し(ステップS815)、ステップS802に戻る。
【0085】
ステップS807において、一致判定領域700から検出した顔である場合、検出部201は、顔の動きを検出したか否かを判断する(ステップS816)。顔の動きを検出した場合、検出部201は、ステップS819に進む。顔の動きを検出しない場合、一致判定部720は、ユーザの認証に失敗した際の低解像度の顔と、今回、一致判定領域700から検出された低解像度の顔との一致判定を行う(ステップS817)。そして、一致判定部720は、一致判定において一致したか否かを判断する(ステップS818)。
【0086】
一致判定において一致した場合、一致判定部720は、ステップS802に戻る。一致判定において一致しない場合、設定部204は、一致判定領域700の設定を解除し(ステップS819)、ステップS808に進む。なお、車両制御装置200は、一致判定領域700の設定を解除した後、カメラ100を高電力モードで動作させるものの、解除した領域におけるユーザの認証に失敗した場合には、再び、一致判定領域700を設定する(ステップS808~ステップS813)。
【0087】
ステップS811において、ユーザの認証に成功すると、ロック解除部203は、ドアロック部223のロックを解除する(ステップS820)。そして、設定部204は、認証無視領域500の設定中であるか否かを判断する(ステップS821)。認証無視領域500の設定中ではない場合、設定部204は、一連の処理を終了する。認証無視領域500の設定中である場合、設定部204は、認証無視領域500の設定を解除し(ステップS822)、一連の処理を終了する。
【0088】
以上説明したように、実施形態3の車両制御装置200は、ユーザ判定において登録ユーザの顔ではないと判定した場合、検出部201によって顔が検出された検出領域を、一致判定領域700(図7参照)に設定し、一致判定において一致した場合にユーザ判定を行わないようにした。これにより、ユーザの認証に失敗した後に、再び一致判定領域700からポスターの顔を検出した場合でも、検出した顔と、検出領域における顔とが同じ顔であれば、ユーザ判定を行わないようにすることができる。このため、一致判定領域700について高解像度の画像を得るためにカメラ100を頻繁に高電力モードで動作してしまうことを抑えることができる。したがって、バッテリ221の蓄電量が減少することを抑えることができる。
【0089】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0090】
100…カメラ、200…車両制御装置、201…検出部、202…ユーザ判定部、203…ロック解除部、204…設定部、211…画像入出力部、212…電源部、213…通信部、221…バッテリ、222…制御ユニット、223…ドアロック部、720…一致判定部、M…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8