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  • 特許-スキンケア組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】スキンケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20221122BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221122BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20221122BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/02
A61K8/37
A61K8/46
A61K8/81
A61Q17/04
A61Q19/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021507019
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2019047611
(87)【国際公開番号】W WO2020041543
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】62/721,613
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ナムラタ マノハール バンダルカル
(72)【発明者】
【氏名】ポール ロバート タナー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン デイビッド マッコナーフィ
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/139246(WO,A2)
【文献】特表2013-532715(JP,A)
【文献】特開2010-184912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンケア組成物であって、
a)前記組成物の15重量%~55重量%の1つ以上の紫外線(UV)遮断活性物質と、 b)レオロジー法により測定して、2cSt~200cStの動粘度を有する、前記組成物の3重量%~40重量%のジメチコンと、
c)前記組成物の3重量%~90重量%の粒子物質と、を含み、
前記1つ以上のUV遮断活性物質は、水溶性UV遮断活性物質を含み、
前記組成物は、前記組成物の0.1重量%~2重量%の乳化剤を含み、
前記組成物は、タック法により測定して、0.01秒~0.7秒の平均破断時間と、レオロジー法により測定して、100s -1 で、0.01Pa・S~0.70Pa・Sの動的粘度と、を呈し、
前記組成物は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール及び、ベヘニルアルコールを含まない、スキンケア組成物
【請求項2】
前記組成物は、前記組成物の17重量%~50重量%の前記1つ以上のUV遮断活性物質を含む、請求項1に記載のスキンケア組成物
【請求項3】
前記組成物は、前記組成物の0.5重量%~10重量%の前記水溶性UV遮断活性物質を含む、請求項1又は2に記載のスキンケア組成物。
【請求項4】
前記水溶性UV遮断活性物質は、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のスキンケア組成物
【請求項5】
前記水溶性UV遮断活性物質は、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸である、請求項4に記載のスキンケア組成物。
【請求項6】
前記1つ以上のUV遮断活性物質は、追加のUV遮断活性物質を更に含み、前記追加のUV遮断活性物質は、ホモサレート、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾン、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、酸化亜鉛、二酸化チタン、ビス-エチル-ヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、トリエタノールアミン-サリチル酸、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル-フェノール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される請求項1~5のいずれか一項に記載のスキンケア組成物
【請求項7】
前記追加のUV遮断活性物質は、ホモサレート、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビス-エチル-ヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のスキンケア組成物
【請求項8】
前記組成物は、前記組成物の0.01重量%~50重量%の前記追加のUV遮断活性物質を含む、請求項6又は7に記載のスキンケア組成物
【請求項9】
前記組成物は、前記組成物の4重量%~30重量%の前記ジメチコンを含み、前記ジメチコンの動粘度は、レオロジー法により測定して、3.5cSt~50cStの範囲にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のスキンケア組成物
【請求項10】
前記組成物は、前記組成物の3.5重量%~40重量%の前記粒子物質を含み、前記粒子物質は、糖誘導体、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、シリコーン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択され、
前記糖誘導体は、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、リン酸架橋デンプン、タピオカデンプン、アセチル置換デンプン、アジピン酸置換デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、トウモロコシデンプン、2-ヒドロプロピルエーテル変性デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸エステル、シクロデキストリン、ポリメチルシルセスキオキサン被覆デンプン、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される請求項1~9のいずれか一項に記載のスキンケア組成物
【請求項11】
前記ケイ酸塩は、タルク、カオリン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ/又は
前記炭酸塩は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ/又は
前記シリコーンは、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、ポリシリコーン、ポリメチルシルセスキオキサン、ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサンクロスポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のスキンケア組成物。
【請求項12】
前記粒子物質に対する前記ジメチコンの重量比は、1:2~2:1である、請求項1~11のいずれか一項に記載のスキンケア組成物
【請求項13】
前記組成物は、前記組成物の0.2重量%~1重量%の乳化剤を含み、前記乳化剤は、エーテル系乳化剤、エステル系乳化剤、高分子乳化剤、シリコーン乳化剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項14】
前記エーテル系乳化剤は、ポリグリコールと脂肪アルコールとのエーテル、ポリグリコールとグリコシル化脂肪アルコールとのエーテル、C12~30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールとのエーテル、オキシアルキレン修飾C12~30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールとのエーテル、C12~30脂肪アルコールとスクロース又はグルコースとのエーテル、ソルビトール及び/又はソルビタンとアルコキシル化ソルビタンとのエーテル、ポリグリコールとコレステロールとのエーテル、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ/又は
前記エステル系乳化剤は、ポリグリコールと脂肪酸とのエステル、ポリグリコールとグリコシル化脂肪酸とのエステル、C12~30脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、スクロース又はグルコースとC12~30脂肪酸とのエステル、ペンタエリトリトールとC12~30脂肪酸とのエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとC12~30脂肪酸とのエステル、C12~30脂肪酸とソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシル化エーテルとのエステル、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
前記高分子乳化剤は、架橋アルキルアクリレート、アクリロイルジメチルタウレートポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ/又は
前記シリコーン乳化剤は、ポリエーテル修飾シリコーン、ポリグリセロール化直鎖又は分枝鎖シロキサン乳化剤、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、
前記架橋アルキルアクリレートは、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/C12~13アルキルメタクリレート/メトキシエチルアクリレートクロスポリマー、アクリレートクロスポリマー、アクリレート/エチルヘキシルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/エチルヘキシルアクリレート/グリシジルメタクリレートクロスポリマー、アクリレート/PEG-4ジメタクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー、アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー、アクリレート/ビニルネオデカノエートクロスポリマー、アリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、アリルメタクリレートクロスポリマー、ブチルアクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、C8~22アルキルアクリレート/メタクリル酸クロスポリマー、グリコールジメタクリレート/ビニルアルコールクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/メタクリル酸ナトリウムクロスポリマー、メタクリル酸/PEG-6メタクリレート/PEG-6ジメタクリレートクロスポリマー、PEG/PPG-5/2メタクリレート/メタクリル酸クロスポリマー、ステアリル/ラウリルメタクリレートクロスポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ/又は前記アクリロイルジメチルタウレートポリマーは、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ベヘネス-25メタクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/カルボキシエチル、アクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ラウレス-7メタクリレートコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ステアレス-25メタクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ステアレス-8メタクリレートコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ビニルホルムアミドコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウムジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムクロスポリマー、HEA/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウレートポリオキシメチレンメラミン、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリルアミドコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/PEG-8ジアクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリルアミド/VPコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/メタクリルアミドラウリン酸コポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/VPクロスポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載のスキンケア組成物。
【請求項15】
前記組成物は、前記組成物の0.01重量%~5重量%のpH調整剤を更に含み、前記pH調整剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、アミノメチルプロパノール、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【請求項16】
前記組成物は、
a)フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、オクトクリレン、及びブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む、前記組成物の20重量%~45重量%の1つ以上のUV遮断活性物質であって、前記組成物において、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の濃度は、前記組成物の2重量%~5重量%であり、ホモサレートの濃度は、前記組成物の6重量%~10重量%であり、オクトクリレンの濃度は、前記組成物の7重量%~11重量%であり、かつブチルメトキシジベンゾイルメタンの濃度は、前記組成物の1重量%~5重量%である、1つ以上のUV遮断活性物質と、
b)レオロジー法により測定して、3.5cSt~20cStの動粘度を有する、前記組成物の4.5重量%~6重量%のジメチコンと、
c)前記組成物の4.5重量%~6重量%のポリメチルシルセスキオキサン被覆デンプン又はポリメチルシルセスキオキサンと、
d)前記組成物の0.3重量%~0.8重量%のアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーと、
e)前記組成物の0.5重量%~0.8重量%の水酸化ナトリウムと、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のスキンケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、所望の皮膚感触を有する、消費者に紫外線(ultraviolet、UV)保護を提供するためのスキンケア組成物に関する。より具体的には、本開示は、曳糸性と粘度との間のバランスを有するUV遮断組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
UV放射(すなわち、280nm~400nmの範囲の波長)は、ヒト表皮に損傷を引き起こし得ることが周知である。より具体的には、320~400nmの範囲の波長を有するUV光線(UV-Aとして既知)は、皮膚の色素沈着及び皮膚における長期損傷(しわ及び小じわなど)を引き起こすおそれがあり、280~320nm(UV-Bとして既知)の範囲の波長を有する光線は、紅斑及び皮膚火傷につながり得る。UV放射により引き起こされる損傷又は有害な影響を防止又は最小限に抑えるために、UV遮断化合物を様々な濃度で含有するスキンケア組成物(日焼け防止組成物とも称される)が提供される。
【0003】
日焼け防止組成物は、夏などのより暖かい季節の間により頻繁に使用されるので、消費者は、日焼け防止組成物の使用時に、皮膚に対して爽快な水のような感触を望む。このような要望は、日常的に日焼け防止組成物を使用する消費者にとって特に強い。しかしながら、市販のほとんどの日焼け防止組成物は、油系であるため、そのような爽快な水のような感触を皮膚に提供することは、一般に難しい。それどころか、このような油系日焼け防止組成物は、皮膚に脂っぽい感触を付与する傾向がある。このような不利な皮膚感触は、高SPFのUV遮断製品の場合、特により悪い場合があるのは、このような製品は、著しく増加した水準のUV遮断活性物質を含有するからである。特に、高SPFのUV遮断組成物は、皮膚上に広げられている間、非常にべたつきのある、油状で脂っぽい肌触りをもたらす。日焼け防止剤を塗った後に触れるすべてのものに脂の跡が残ることは、消費者にとって非常に不快である。したがって、消費者は、高いSPF指数及び良好な皮膚感触(例えば、良好な展延性、非グリース性、非べたつき性/非粘着性、非油性/てかりなし、爽快感など)の両方を有するUV遮断組成物を期待している。
【0004】
このような消費者の期待に応えるために、改善された感覚的利益を提供する多くの日焼け防止製品が開発されてきた。残念なことに、すべての消費者のニーズを満たすことが可能な製品はほとんどない。例えば、いくつかの製品は、良好な展延性を提供するための低い粘度を有するか、非常に粘着性があり、その一方で、いくつかの他の製品は、あまり粘着性がないが、広げるのが難しい。高いSPF指数及び良好な皮膚感触の両方を消費者に提供するUV遮断組成物を配合することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、有効なUV保護のみならず、爽快で脂っぽくない皮膚感触も提供するUV遮断組成物が必要とされている。また、塗布しやすく使用時に汚れない日焼け防止組成物を提供することも有利である。また、ファンデーションベース製品として好適に使用可能な日焼け防止組成物を提供することも有利である。より具体的には、展延性と粘着性との間のバランスのとれた感触を消費者に提供するUV遮断組成物を開発することが非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
UV組成物を配合するための新規技術が、上記のニーズを満たすために、発明者等により開発されている。特に、驚くべきことに、特定の範囲内の平均破断時間(例えば、下記のタック法により測定して、約0.01秒~約0.7秒)及び特定の範囲内の動的粘度(例えば、100s-1で下記のレオロジー法により測定して、約0.01Pa・S~約0.70Pa・S)を呈する高SPFのスキンケア組成物が消費者に望ましい皮膚感触を提供することが見出された。特に、このような高SPFのスキンケア組成物は、展延性、油性、べたつき性/曳糸性、水の軽い感触、爽快感、及び/又はてかりなどの様々な感覚的側面の間に、良好なバランスをもたらし得る。
【0007】
更に、驚くべきことに、低粘度ジメチコンと、粒子物質と、水溶性UV遮断活性物質と、を含む高SPFのスキンケア組成物が、上記消費者のニーズを満たすことができ、すなわち、爽快で脂っぽくない感触を皮膚に残しながら、有効なUV保護を提供し、それでいて塗布が容易であり、かつ/又は使用時に汚れることはないと見出された。より具体的には、本開示の組成物は、重い又は脂っぽい感触を伴わずに、皮膚に水を塗布した後に残される感覚的知覚に似たバランスのとれた感触を消費者に提供することができる。
【0008】
一態様では、本開示は、スキンケア組成物であって、
a)組成物の約7重量%~約90重量%の1つ以上のUV遮断活性物質と、
b)下記のレオロジー法により測定して、0.1cSt~2000cStの動粘度を有する、組成物の約2重量%~約90重量%のジメチコンと、
c)組成物の約3重量%~約90重量%の粒子物質と、を含んでもよい、スキンケア組成物、を対象とする。
【0009】
別の態様では、本開示は、組成物の15重量%~55重量%の1つ以上のUV遮断活性物質を含むスキンケア組成物であって、組成物は、(1)タック法により測定して、約0.01秒~約0.7秒の平均破断時間と、(2)100s-1でレオロジー法により測定して、約0.01Pa・S~約0.70Pa・Sの動的粘度と、を呈してもよい、スキンケア組成物、を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】タック法の実験のセットアップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むものとする。特に指定がない限り、本明細書において使用するすべての百分率及び比率は、組成物全体の重量基準である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別途記載のない限り、すべての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。特に指定がない限り、すべての測定は周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約25℃、約1気圧下、及び相対湿度約50%における条件を意味する。すべての数値範囲は、より狭い範囲を含む。区切られた上下の範囲限界は組み合わせ可能であり、明示的に区切られていない更なる範囲を作る。
【0012】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意選択の成分を含む、それらから実質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「~から実質的になる」とは、組成物又は構成成分が、追加成分を含み得るが、追加成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特性を実質的に変えない場合に限ることを意味する。
【0013】
定義
組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」は、組成物を表皮などの角質組織上に塗る又は広げることを意味する。
【0014】
「角質組織」とは、哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコなど)の最外保護外皮として配置されている角質含有層を指し、皮膚、唇、毛髪、足の爪、指の爪、角皮、ひづめなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「皮膚科学的に許容可能な」とは、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトの皮膚組織と接触させて使用するのに好適であることを意味する。
【0016】
「安全かつ有効な量」とは、有益な効果を有意に誘導するのに十分な化合物又は組成物の量を意味する。
【0017】
「UV遮断活性物質」とは、日焼け防止配合物の分野の当業者により皮膚科学的に許容可能なUV吸収活性物質又はUV反射活性物質であると認識される物質を意味する。このようなUV遮断活性物質は、UVA遮断活性剤及び/又はUVB遮断活性剤として説明されてもよい。規制機関による承認は、一般に、ヒトへの使用を目的とする配合物に活性剤を含めるために必要とされる。処方箋を必要としない日焼け防止薬物製品中での使用に許容可能であるとして米国食品医薬品局により(21 C.F.R.part 352によって)認可された又は認可されつつあるそれらの活性薬剤としては、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、アントラニル酸メンチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、ジエタノールアミン-メトキシケイヒ酸、三オレイン酸ジガロイル(digalloy trioleate)、ジヒドロキシプロピルPABAエチル、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、赤色ペトロラタムを含むが、これらに限定されない有機物質及び無機物質が挙げられる。米国では未だ承認されていないが、欧州(欧州委員会の化粧品指令規則に従って)、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド、又はカナダ等の他の地域又は国で市販使用が承認されている更なる日焼け防止活性物質の例としては、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ベンジリデンマロネートポリシロキサン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾエート、ビスベンズオキサゾイルフェニルエチルヘキシルイミノトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、4-メチルベンジリデンカンファー、及び4-メトキシケイヒ酸イソペンチルが挙げられる。しかしながら、承認された物質のリストは現在拡大しているため、当業者であれば、本発明が、ヒトへの使用のために現在承認されているUV遮断活性物質に限定されるのではなく、将来的に許容され得るものに容易に適用可能であると認識するであろう。
【0018】
「スキンケア組成物」とは、皮膚状態を調節かつ/又は改善するための局所パーソナルケア組成物を指す。スキンケア組成物のいくつかの非限定的な例としては、溶液、エアロゾル、リポソーム、クリーム、保湿剤、ゲル、ローション、軟膏、セラム、スティック、スプレー、エマルション、又は任意の他の分散液、例えば、洗顔剤、ボディソープ、日焼け防止クリーム、日焼け防止スプレー、日焼け防止エマルション、スキンケアベース、メイクアップベース、着色クリーム、液体中のファンデーション、アイコントゥールケア製品、コンシーリングケアセラム、コンシーラースティック、又は唇用の天然メイクアップ製品、液体グロス、リップスティックペーストなどが挙げられる。
【0019】
「局所」とは、皮膚又は毛髪などの角質表面に塗布されることが意図される組成物を指す。
【0020】
「誘導体」とは、関連化合物のエステル、エーテル、アミド、ヒドロキシ、及び/又は塩構造類似体を意味する。
【0021】
スキンケア組成物
本明細書において、スキンケア組成物は、角質組織への局所塗布のために構成されている。特に、スキンケア組成物は、特定量でジメチコン及び粒子物質、並びに水溶性UV遮断活性物質を含んでもよく、このような組成物は、非グリース性、非べたつき性(平均破断時間により示される)、てかりなし、爽快感、及び広げやすさ(動的粘度により示される)を含む所望の感触を提供することができる。より具体的には、スキンケア組成物は、UV遮断組成物又は日焼け防止組成物である。
【0022】
理論に束縛されるものではないが、スキンケア組成物の曳糸性及び粘度は、皮膚に所望の感触を提供するために重要であると考えられる。本明細書で使用するとき、曳糸性とは、平均破断時間、すなわち、組成物と接触している物体が組成物から引き離される際に組成物の糸が破断するまでに要する時間(すなわち、接触を断つために力を加えなければならない時間の長さ)を特徴とする。曳糸性は、以下の試験方法のセクションで説明されるタック法に従って測定される。
【0023】
流体の動的粘度は、剪断流動に対するその抵抗を表し、隣接する層は、異なる速度で互いに平行に移動する。理論に束縛されるものではないが、動的粘度は、スキンケア組成物の展延性を示すと考えられる。本明細書において、動的粘度は、以下の試験方法のセクションで説明されるレオロジー法に従って測定される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明のスキンケア組成物は、タック法により測定して、約0.01秒~約0.7秒、好ましくは約0.05秒~約0.4秒、より好ましくは0.08秒~約0.3秒、最も好ましくは約0.10秒~約0.25秒、例えば、約0.11秒、約0.12秒、約0.13秒、約0.14秒、約0.15秒、約0.16秒、約0.17秒、約0.18秒、約0.19秒、約0.20秒、約0.21秒、約0.22秒、約0.23秒、約0.24秒、約0.25秒、又はこれらの間の任意の範囲の平均破断時間を呈してもよい。追加的に又は代替的に、組成物は、100s-1でレオロジー法により測定して、約0.01Pa・S~約0.70Pa・S、好ましくは約0.20Pa・S~約0.70Pa・S、より好ましくは約0.35Pa・S~約0.70Pa・S、最も好ましくは約0.40Pa・S~約0.68Pa・S、例えば、約0.40Pa・S、約0.42Pa・S、約0.44Pa・S、約0.46Pa・S、約0.48Pa・S、約0.50Pa・S、約0.52Pa・S、約0.54Pa・S、約0.56Pa・S、約0.58Pa・S、約0.60Pa・S、約0.62Pa・S、約0.64Pa・S、約0.66Pa・S、又はこれらの間の任意の範囲の動的粘度を呈してもよい。好ましくは、本発明のスキンケア組成物は、先に記載の範囲内の平均破断時間及び動的粘度の両方を呈する。
【0025】
好ましい実施形態では、組成物は、タック法により測定して、約0.10秒~約0.25秒の平均破断時間及び/又は100s-1でレオロジー法により測定して、約0.40Pa・S~約0.68Pa・Sの動的粘度を呈する。
【0026】
より好ましい実施形態では、組成物は、タック法により測定して、約0.18秒~約0.25秒の平均破断時間及び/又は100s-1でレオロジー法により測定して、約0.48Pa・S~約0.66Pa・Sの動的粘度を呈する。
【0027】
UV遮断活性物質
本開示の組成物は、UV遮断活性物質を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「UV遮断活性物質」という用語は、日焼け防止剤及び物理的日焼け止め剤の両方を含む。好適なUV遮断活性物質は、有機であってもよく、又は無機であってもよい。好適なUV遮断活性物質は、周知である。組成物は、米国、欧州、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド、又はカナダの規制機関により規定又は提示されている量のUV遮断活性物質を含んでもよい。特定の実施形態では、組成物は、組成物の約0.5重量%、1重量%、2重量%、又は3重量%~約50重量%、40重量%、30重量%、又は20重量%のUV遮断活性物質を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約15、30、45、50、又は50+の日焼け防止係数(SPF)を得るのに十分な量のUV遮断活性物質を含んでもよい。SPF試験は、従来のものであり、当該技術分野において十分に理解されている。好適なSPF試験は、ISO24444に規定されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の約10重量%~約60重量%、好ましくは約15重量%~約55重量%、より好ましくは約17重量%~約50重量%、最も好ましくは約20重量%~約45重量%の1つ以上のUV遮断活性物質を含んでもよい。
【0029】
好適なUV遮断活性物質としては、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(すなわち、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン)(PARSOL(登録商標)1789としてDSMから市販)、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、及び2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンを含む、ジベンゾイルメタン誘導体が挙げられる。他の好適なUV遮断活性物質としては、p-メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)MCXとしてDSMから市販)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン(benzonphenone)-3(すなわち、オキシベンゾン(oxybeznone))、ジメチル-p-アミノ安息香酸オクチル、三オレイン酸ジガロイル、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、4-(ビス(ヒドロキシ-プロピル))アミノ安息香酸エチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート)、p-アミノ安息香酸グリセリル、サリチル酸3,3,5-トリ-メチルシクロヘキシル、アントラニル酸メチル、p-ジメチル-アミノ安息香酸又はアミノベンゾエート、p-ジメチル-アミノ-安息香酸2-エチルヘキシル、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル)-5-スルホンベンゾオキサゾイン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0030】
他の好適なUV遮断活性物質としては、4-メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000としてDSMから又はEusolex 6300としてMerckから市販)、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(すなわち、ビスオクトリゾール、Tinosorb(登録商標)MとしてBASFから市販)、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(すなわち、ベモトリジノール、Tinosorb(登録商標)SとしてBASFから市販)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(すなわち、ビスジスリゾール二ナトリウム、Neo Heliopan(登録商標)APとしてSymriseから市販)、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul(登録商標)T 150としてBASFから市販)、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XLとしてL’Orealより販売)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム(すなわち、ベンゾフェノン-9、Uvinul(登録商標)DS 49としてBASFから市販)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Uvinul(登録商標)A PlusとしてBASFから市販)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(すなわち、イスコトリジノール、Uvasorb(登録商標)HEBとして3V Sigmaから市販)、ポリシリコーン-15(すなわち、PARSOL(登録商標)SLXとしてDSMから市販)、p-メトキシケイヒ酸イソアミル(すなわち、アミロキサート、Neo Heliopan(登録商標)E 1000としてSymriseから市販)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物中のUV遮断活性物質は、水溶性UV遮断活性物質及び任意選択で追加のUV遮断活性物質を含んでもよい。好ましくは、水溶性UV遮断活性物質は、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ/又は追加のUV遮断活性物質は、ホモサレート(サリチル酸ホモメチル)、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾン、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、酸化亜鉛、二酸化チタン、ビス-エチル-ヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、トリエタノールアミン-サリチル酸、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル-フェノール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、水溶性UV遮断活性物質は、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸であり、かつ/又は追加のUV遮断活性物質は、ホモサレート(ホモメチルサリチレート)、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビス-エチル-ヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
特に、組成物は、組成物の約0.01重量%~約50重量%、より好ましくは約0.1重量%~約30重量%、更により好ましくは約0.5重量%~約10重量%、最も好ましくは約1重量%~約5重量%、例えば、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、若しくはそれらの間の任意の範囲の水溶性UV遮断活性物質を含んでもよく、かつ/又は組成物は、組成物の約0.01重量%~約50重量%、より好ましくは約0.1重量%~約45重量%、更により好ましくは約1重量%~約40重量%、更により好ましくは約5重量%~約35重量%、最も好ましくは約13重量%~約21重量%、例えば、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、若しくはそれらの間の任意の範囲の追加のUV遮断活性物質を含んでもよい。理論に束縛されることを意図するものではないが、好ましい濃度の水溶性UV遮断活性物質と、好ましい濃度の追加のUV遮断活性物質と、をある特定比で組み合わせて使用することにより、更なる利点、例えば、更により良好な感覚的利益がもたらされると考えられる。
【0033】
好ましくは、いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛又は酸化チタン)などの物理的日焼け止め剤を本質的に含まない。理論に束縛されることを意図するものではないが、物理的日焼け止め剤が存在しないことは、不快な皮膚感触を防止するのに有用であると考えられる。
【0034】
好ましくは、いくつかの実施形態では、本開示の組成物において、ホモサレートの濃度は、組成物の6重量%~10重量%であり、オクトクリレンの濃度は、組成物の7重量%~11重量%であり、ブチルメトキシジベンゾイルメタンの濃度は、組成物の1重量%~5重量%である。
【0035】
本発明のUV遮断活性物質は、カプセル封入されてもよい。市販のカプセル封入された日焼け防止活性物質の例としては、水、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、シリカ、フェノキシエタノール、PVP、クロルフェネシン、EDTA二ナトリウム、及びBHTを含むEusolex UV-Pearls 2292(Merck/EMD Chemicals);水、ポリシリコーン-14、及びメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを含むSilasoma ME(Seiwa Kasei Co.,Ltd);水、ポリシリコーン-14、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、及びブチルメトキシジベンゾイルメタンを含むSilasoma MEA(Seiwa Kasei Co.,Ltd);水、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及びポリシリコーン-14を含むSilasoma MEP(S)(Seiwa Kasei Co.,Ltd);メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、合成蜜蝋、PEG-20、カルナウバヤシ(カルナウバ)蝋、ビス-PEG-12ジメチコン、蜜蝋、VP/エイコセンコポリマー、三ステアリン酸ソルビタン、ステアレス-100、及びステアリン酸PEG-100を含むSuncaps 664(Particle Sciences,Inc.);メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ベンゾフェノン-3、合成蜜蝋、PEG-20、カルナウバヤシ(カルナウバ)蝋、ビス-PEG-12ジメチコン、蜜蝋、VP/エイコセンコポリマー、三ステアリン酸ソルビタン、ステアレス-100、及びステアリン酸PEG-100を含むSuncaps 903(Particle Sciences,Inc.);メトキシケイヒ酸エチルヘキシル及びシリカを含むUV Pearls OMC(Sol Gel Technologies);メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びシリカを含むOMC-BMDBM(Sol Gel Technologies);ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及びポリメチルメタクリレートを含むTinosorb S Aqua(BASF);ポリメチルメタクリレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びサリチル酸オクチルを含むHybrid ABOS(Kobo);並びにポリメチルメタクリレート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを含むHybrid ABOMC(Kobo)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
ジメチコン
本組成物は、組成物の約2重量%~約45重量%、好ましくは約3重量%~約40重量%、より好ましくは約4重量%~約30重量%、更により好ましくは約4.5重量%~約20重量%、最も好ましくは約4.5重量%~約10重量%、例えば、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約5.5重量%、約6重量%、約6.5重量%、約7重量%、約7.5重量%、約8重量%、約8.5重量%、約9重量%、約9.5重量%、約10重量%、又はそれらの間の任意の範囲のジメチコンを含んでもよい。特に、ジメチコンは、組成物の油相中に付与された単一のジメチコン又は2種以上のジメチコンのブレンドであってもよい。好ましくは、本開示の組成物中のジメチコンは、低粘度ジメチコンである。いくつかの実施形態では、本開示の組成物中のジメチコンは、不揮発性である。
【0037】
本明細書で使用するとき、「ジメチコン」という用語は、次式を有するポリジメチルシロキサン化合物を意味する。
【0038】
【化1】
【0039】
ジメチコンは、分子量に応じて、約0.5cSt~2000万cStの範囲の多様な粘度で製造されてもよい。特に、ジメチコンは、分子量が非常に低い場合は、薄い注入可能な液体の形態にあり、分子量が非常に高い場合は、厚いゴム状の半固体の形態にある。低粘度ジメチコンは、重い脂っぽい感触を残すことなく広範な成分を皮膚に送達するための担体として、スキンケア組成物において一般に使用されている。しかしながら、これには、例えば、このような低粘度ジメチコンが乾燥していると知覚されるおそれがあるといった、いくつかの欠点もある。本明細書で使用するとき、「低粘度ジメチコン」という用語は、比較的低い動粘度、好ましくは約1000cSt以下、より好ましくは約500cSt以下のジメチコンを意味する。
【0040】
驚くべきことに、予想外なほどに良好にバランスのとれた皮膚感触を有する高SPFのUV組成物が、粒子物質などの他の成分と組み合わせて低粘度ジメチコンを使用することにより形成可能であることが本発明の発明者等により見出された。
【0041】
本開示の組成物において有用なジメチコンの動粘度は、レオロジー法により測定して、約0.5cSt~約1000cSt、好ましくは約1cSt~約500cSt、より好ましくは約1.5cSt~約350cSt、更により好ましくは約2cSt~約200cSt、更により好ましくは約3.5cSt~約100cSt、更により好ましくは約3.5cSt~約50cSt、最も好ましくは約3.5cSt~約20cStの範囲、例えば、約0.5cSt、約0.65cSt、約1cSt、約1.5cSt、約2cSt、約2.5cSt、約3cSt、約3.5cSt、約4cSt、約4.5cSt、約5cSt、約6cSt、約7cSt、約8cSt、約9cSt、約10cSt、約12cSt、約15cSt、約18cSt、約20cSt、約30cSt、約40cSt、約50cSt、約100cSt、約200cSt、約300cSt、約400cSt、約500cSt、又はこれらの間の任意の範囲にあってもよい。理論に束縛されることを意図するものではないが、ジメチコンの好ましい濃度及び/又はジメチコンの好ましい動粘度は、より高い安定性、更により良好な感覚的利益、好適な保湿の知覚、及び/又は製品の審美性などの更なる利益をもたらし得ると考えられる。より具体的には、これは、低温条件に曝されたときに配合物を安定化させるのに役立つ場合があり、他の成分(例えば、粒子物質)により引き起こされる不安定化を防止する。
【0042】
特に有用な低粘度ジメチコンとしては、Andisil(登録商標)SF 5、Andisil(登録商標)SF 50、Andisil(登録商標)SF 500、Andisil(登録商標)SF 1000、Clearco PSF 0.65cSt、PSF 1.5cSt、PSF 2cSt、Dow Corning 200(登録商標)Fluid 0.65cs、Dow Corning 200(登録商標)Fluid 1.5cs、Dow Corning Xiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cst、Dow Corning 200(登録商標)Fluid 10cSt、GE SF96-5、GE SF96-10cs、GE SF96-20cs、Momentive SF96-5、Momentive SF96-10、Momentive SF96-20、Rhodorsil 47V5、Rhodorsil 47V10、Rhodorsil 47V20、Shinetsu DM5、Shinetsu DM10、Shinetsu DM20が挙げられる。
【0043】
粒子物質
本発明の組成物は、組成物の約3重量%~約45重量%、好ましくは約3.5重量%~約40重量%、より好ましくは約4重量%~約30重量%、更により好ましくは約4.5重量%~約20重量%、最も好ましくは約4.5重量%~約10重量%、例えば、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約5.5重量%、約6重量%、約6.5重量%、約7重量%、約7.5重量%、約8重量%、約8.5重量%、約9重量%、約9.5重量%、約10重量%、又はそれらの間の任意の範囲の粒子物質(化粧品粉末又は乾燥粉末とも称される)を含んでもよい。
【0044】
好適な粒子物質の非限定的な例としては、無機粉末、有機粉末、複合粉末、光学的光沢剤粒子、及び前述のもののうちのいずれかの混合物が挙げられる。これらの粒子は、例えば、小板形状、球状、細長形状若しくは針状、又は不規則形状であってもよく、表面被覆されていてもよい、若しくは被覆されていなくてもよく、多孔質であってもよい、若しくは多孔質でなくてもよく、荷電されていてもよい、若しくは荷電されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、粒子物質は、疎水性に被覆されている。
【0045】
好適な無機粒子物質としては、タルク、ケイ酸塩、シリカ、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、及びそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
好適な有機粒子物質としては、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球、例えば、Tospearl(商標)145A、Tospearl(商標)CF600;ポリメチルメタクリレートの微小球、例えば、Micropearl(商標)M 100(Seppic);架橋ポリジメチルシロキサンの球状粒子、例えば、Trefil(商標)E 506C又はTrefil(商標)E 505C(Dow Corning Toray Silicone);ポリアミドの球状粒子、例えば、ナイロン-12及びOrgasol(商標)2002D Nat C05(Atochem);ポリスチレン微小球、例えば、Dynospheres(商標)という名称で販売されているDyno Particles、及びFloBead(商標)EA209(Kobo)という名称で販売されているエチレンアクリレートコポリマー;オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、例えば、Dry Flo(商標)(Akzo Nobel);デンプン、例えば、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、タピオカデンプン、アセチル置換デンプン、アジピン酸置換デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、トウモロコシデンプン、2-ヒドロプロピルエーテル変性デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸エステル;シクロデキストリン及びその誘導体;ポリメチルシルセスキオキサン被覆タピオカ粒子、例えば、Dry Flo TS(商標)(Akzo Nobel);ポリエチレンの微小球、例えば、Microthene(商標)FN510-00(Equistar)、シリコーン樹脂、ポリメチルシルセスキオキサンシリコーンポリマー、L-ラウロイルリシンから作製された小板形状の粉末、及びそれらの混合物から選択されるポリマー粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
特に、粒子物質は、糖誘導体、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、シリコーン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択されてもよい。より具体的には、糖誘導体は、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、リン酸架橋デンプン、タピオカデンプン、アセチル置換デンプン、アジピン酸置換デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、トウモロコシデンプン、2-ヒドロプロピル変性デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸エステル、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、ポリメチルシルセスキオキサン被覆タピオカデンプンなどのポリメチルシルセスキオキサン被覆デンプン、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよく、かつ/又はケイ酸塩は、タルク、カオリン、及びそれらの組み合わせから選択されてもよく、かつ/又は炭酸塩は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせから選択されてもよく、かつ/又はシリコーンは、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、ポリシリコーン、ポリメチルシルセスキオキサン、ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサンクロスポリマー、及びそれらの任意の組み合わせから選択されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、粒子物質の個々の粒子の最も長い辺の平均直径は、約1ミクロン~約150ミクロンの範囲、好ましくは約75ミクロン未満、より好ましくは約50ミクロン未満、例えば、約1ミクロン、約2ミクロン、約3ミクロン、約4ミクロン、約5ミクロン、約1ミクロン、約10ミクロン、約15ミクロン、約30ミクロン、又はこれらの間の任意の範囲にある。
【0049】
低粘度ジメチコンと粒子物質との間の重量比
いくつかの実施形態では、スキンケア組成物中の粒子物質に対するジメチコンの重量比は、約1:2~約2:1、好ましくは約1:1.5~約1.5:1、より好ましくは約1:1.2~約1.2:1、最も好ましくは約1:1.1~1.1:1、例えば、約1:2、約1:1.8、約1:1.5、約1:1.3、約1:1.2、約1:1.1、約1:1.05、約1:1、約1.05:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.5:1、約1.8:1、約2:1、又はそれらの間の任意の範囲にある。
【0050】
理論に束縛されることを意図するものではないが、ジメチコン(例えば、ジメチコン、5cSt)及び粒子物質(例えば、ポリメチルシルセスキオキサン又はポリメチルシルセスキオキサン被覆デンプン)の好ましい濃度及び/若しくは好ましい種類、並びに/又は粒子物質に対するジメチコンの好ましい比(例えば、1:1.1~1.1:1)は、より高い安定性、更により良好な感覚的利益、好適な保湿の知覚、及び/又は製品の審美性などの更なる利益をもたらし得ると考えられる。
【0051】
脂肪アルコール
本開示の組成物は、1つ以上の脂肪アルコールを含んでもよい。脂肪アルコールとしては、典型的に、8~22個の炭素原子を有する一価アルコールが挙げられるが、30個を超える炭素を有するより長鎖のアルコールを用いてもよい。脂肪アルコールは、飽和又は不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。特に、組成物は、末端ヒドロキシルを有する直鎖飽和脂肪アルコールを含んでもよい。好適な脂肪アルコールとしては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イコシルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。相は、約0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、3%、5%~約5%、7.5%、10%、15%、20%の脂肪アルコールを含んでもよい。
【0052】
あるいは、本開示の組成物は、1つ以上又は任意の脂肪アルコールを本質的に含んでいなくてもよい。特に、本開示の組成物は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される脂肪アルコールを本質的に含んでいなくてもよい。
【0053】
本開示の文脈において、「本質的に含まない」という表現は、組成物の重量に対する成分の濃度が、約1%以下、好ましくは約0.8%以下、より好ましくは約0.5%以下、更により好ましくは約0.3%以下、更により好ましくは約0.2%以下、更により好ましくは約0.1%以下、最も好ましくは約0.01%以下であることを意味する。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の0重量%~約0.5重量%、好ましくは0重量%~約0.2重量%、更により好ましくは0重量%~約0.1重量%、更により好ましくは0重量%~約0.05重量%、最も好ましくは0重量%~約0.01重量%、例えば、約0重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、又はそれらの間の任意の範囲の脂肪アルコールを含む。
【0055】
理論に束縛されることを意図するものではないが、スキンケア組成物中に脂肪アルコールが存在しないことにより、より高い安定性、更により良好な感覚的利益、好適な保湿の知覚、及び/又は製品の審美性などの更なる利益がもたらされ得ると考えられる。
【0056】
乳化剤
本開示の組成物は、組成物の約0.01重量%~約40重量%の乳化剤を更に含んでもよい。乳化剤は、非イオン性であってもよく、アニオン性であってもよく、又はカチオン性であってもよい。
【0057】
好適な乳化剤は、エーテル系乳化剤、エステル系乳化剤、高分子乳化剤、シリコーン乳化剤、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0058】
エーテル系乳化剤は、ポリグリコールと脂肪アルコールとのエーテル、ポリグリコールとグリコシル化脂肪アルコールとのエーテル、C12~30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールとのエーテル、オキシアルキレン修飾C12~30アルコールとグリセロール又はポリグリセロールとのエーテル、C12~30脂肪アルコールとスクロース又はグルコースとのエーテル、ソルビトール及び/又はソルビタンとアルコキシル化ソルビタンとのエーテル、ポリグリコールとコレステロールとのエーテル、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0059】
エステル系乳化剤は、ポリグリコールと脂肪酸とのエステル、ポリグリコールとグリコシル化脂肪酸とのエステル、C12~30脂肪酸とグリセロール又はポリグリセロールとのエステル、スクロース又はグルコースとC12~30脂肪酸とのエステル、ペンタエリトリトールとC12~30脂肪酸とのエステル、ソルビトール及び/又はソルビタンとC12~30脂肪酸とのエステル、C12~30脂肪酸とソルビトール及び/又はソルビタンのアルコキシル化エーテルとのエステル、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0060】
本明細書で使用するための乳化剤の非限定的な例としては、モノラウリン酸ポリエチレングリコール20ソルビタン(ポリソルベート20)、ステアレス-20、セテアレス-20、二ステアリン酸PPG-2メチルグルコースエーテル、セテス-10、ポリソルベート80、リン酸セチル、セチルリン酸カリウム、セチルリン酸ジエタノールアミン、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、三オレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン(ポリソルベート85)、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテルステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ヘキシル、二ステアリン酸PPG-2メチルグルコースエーテル、セテス-10、セチルリン酸ジエタノールアミン、ステアリン酸グリセリル、PEG40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、イソステアリン酸グリセレス-25 PCA、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0061】
シリコーン乳化剤が有用であり得る。直鎖又は分枝鎖型シリコーン乳化剤もまた使用してもよい。特に有用なシリコーン乳化剤としては、KF-6011、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6015、KF-6017、KF-6043、KF-6028、及びKF-6038などのポリエーテル修飾シリコーン、並びにKF-6100、KF-6104、及びKF-6105などのポリグリセロール化直鎖又は分枝鎖シロキサン乳化剤(すべてShin Etsuから入手可能)が挙げられる。
【0062】
高分子乳化剤もまた使用してもよい。好ましくは、組成物は、組成物の約0.02重量%~約30重量%、約0.03重量%~約20重量%、約0.05重量%~約5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約2重量%、更により好ましくは約0.2重量%~約1重量%、最も好ましくは約0.3重量%~約0.8重量%、例えば、約0.3重量%、約0.35重量%、約0.4重量%、約0.45重量%、約0.5重量%、約0.55重量%、約0.6重量%、約0.65重量%、約0.7重量%、約0.75重量%、約0.8重量%、又はこれらの間の任意の範囲の高分子乳化剤を含んでもよい。
【0063】
好ましい高分子乳化剤は、架橋アルキルアクリレート、アクリロイルジメチルタウレートポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。架橋アルキルアクリレートとは、コモノマーが、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸、又はアルキルアクリレートのうちの少なくとも1つからなる架橋ポリマーであり、アクリロイルジメチルタウレートポリマーとは、そのモノマーがアクリロイルジメチルタウレートモノマーから少なくとも部分的に構成されているホモポリマー、コポリマー、又は架橋ポリマーを意味する。
【0064】
特に、架橋アルキルアクリレートは、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/C12~13アルキルメタクリレート/メトキシエチルアクリレートクロスポリマー、アクリレートクロスポリマー、アクリレート/エチルヘキシルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/エチルヘキシルアクリレート/グリシジルメタクリレートクロスポリマー、アクリレート/PEG-4ジメタクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー、アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー、アクリレート/ビニルネオデカノエートクロスポリマー、アリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、アリルメタクリレートクロスポリマー、ブチルアクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、C8~22アルキルアクリレート/メタクリル酸クロスポリマー、グリコールジメタクリレート/ビニルアルコールクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/メタクリル酸ナトリウムクロスポリマー、メタクリル酸/PEG-6メタクリレート/PEG-6ジメタクリレートクロスポリマー、PEG/PPG-5/2メタクリレート/メタクリル酸クロスポリマー、ステアリル/ラウリルメタクリレートクロスポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ/又はアクリロイルジメチルタウレートポリマーは、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリル酸コポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ベヘネス-25メタクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/カルボキシエチル、アクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ラウレス-7メタクリレートコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ステアレス-25メタクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ステアレス-8メタクリレートコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ビニルホルムアミドコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウムジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムクロスポリマー、HEA/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウレートポリオキシメチレンメラミン、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリルアミドコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/PEG-8ジアクリレートクロスポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/アクリルアミド/VPコポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/メタクリルアミドラウリン酸コポリマー、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/VPクロスポリマー、ポリアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0065】
高分子乳化剤の非限定的な例は、Carbopol 1382(商標)、Carbopol Ultrez 20(商標)、Carbopol Ultrez 21(商標)、Pemulen TR II(商標)、Pemulen TR I(商標)、Pemulen EZ4U(商標)、Aculyn 88、Aculyn 38、Stabylen 30、Aqua Keep 10SH-NFC、Aristoflex(登録商標)AVC、SEPINOV(商標)EMT 10、SIMULGEL(商標)NS、SEPIPLUS(商標)S、EMTポリマーなどである。
【0066】
いくつかの好ましい実施形態では、本開示の組成物は、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、並びに/又はヒドロキシエチルアクリレート(及び)アクリロイルジメチル(及び)タウリン酸ナトリウムコポリマーを含む。このような高分子乳化剤の使用は、驚くべきことに、更なる感覚的利益を提供する。理論に束縛されることを意図するものではないが、これらはまた、製品の感覚的知覚に悪影響を及ぼす可能性がある他の増粘剤/乳化剤の使用を防止するために、増粘剤として機能する、換言すれば、これらは、油及び水を乳化し、また、単一物質の使用により組成物を増粘することができると考えられる。
【0067】
理論に束縛されることを意図するものではないが、乳化剤の好ましい濃度及び/又は好ましい種類は、より高い安定性、更により良好な感覚的利益、好適な保湿の知覚、より高い費用効果、及び/又は製品の審美性などの更なる利益をもたらすと考えられる。
【0068】
PH調整剤
本開示の組成物は、組成物のpHを制御するためのpH調整剤を更に含んでもよい。特に、本開示の組成物のpHは、約5~約8、好ましくは約5.2~約7.8、より好ましくは約5.4~約7.6の範囲にあり、例えば、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、及びこれらの間の任意の範囲にある。
【0069】
特に、組成物は、組成物の約0.01重量%~約5重量%、好ましくは約0.1重量%~約3重量%、より好ましくは約0.3重量%~約2重量%、更により好ましくは約0.4重量%~約1.8重量%、最も好ましくは約0.5重量%~約1.6重量%、例えば、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、及びこれらの間の任意の範囲のpH調整剤を更に含んでもよく、当該pH調整剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、アミノメチルプロパノール、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
高分子乳化剤及びpH調整剤を使用する際、特定の組成物の場合に、pH調整剤に対する高分子乳化剤の適切な比を用いて本開示の組成物を配合することが好ましく、かつ必要であることがある。いくつかの実施形態では、pH調整剤に対する高分子乳化剤の重量比は、約1:5~約1:0.5、好ましくは約1:3~約1:1、例えば、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1.1、及びこれらの間の任意の範囲にある。
【0071】
理論に束縛されることを意図するものではないが、pH調整剤の好ましい濃度及び/又は好ましい種類は、より高い安定性、更により良好な感覚的利益、好適な保湿の知覚、より高い費用効果、及び/又は製品の審美性などのより好ましい結果をもたらすと考えられる。
【0072】
増粘剤
本発明の組成物は、増粘剤(増粘化剤とも称される)を含んでもよい、又は組成物中の乳化剤が増粘剤としても機能する場合、追加の増粘剤を更に含んでもよい。本発明の組成物は、存在する場合、約0.1%~約5%又は代替的に約0.2%~約2%の1つの増粘剤又は追加の増粘剤を含んでもよい。増粘剤の好適な部類としては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スルホン化ポリマー、それらのコポリマー、それらの疎水性変性誘導体、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明で使用するための1つの好ましい増粘剤は、アクリレート架橋シリコーンコポリマーネットワーク(「ポリアクリレートシロキサンコポリマーネットワーク」とも称されることがある)である。好適な増粘化剤としては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー又はコポリマー、スルホン化ポリマー、ゴム、粘土、セルロース又は変性セルロース系組成物などが挙げられる。
【0074】
他の任意の成分
本組成物は、任意の成分(複数可)が製品安定性、審美性、又は性能を過度に変化させない限り、パーソナルケア組成物に使用することが知られている様々な任意の成分を含んでもよい。組成物中に組み込まれる場合、任意の成分は、通常の判断の範囲内で、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応性などを伴わず、ヒトの角質組織に接触させるのに好適でなければならない。本明細書の組成物は、組成物の約0.0001重量%~約50重量%、約0.001重量%~約20重量%、又は代替的に約0.01重量%~約10重量%の任意の成分を含んでもよい。任意の成分のいくつかの非限定的な例としては、研磨剤、吸収剤、不透明化剤、着色料/着色剤(例えば、顔料、染料、及びレーキ)、粒子、精油、固化防止剤、発泡剤、消泡剤、油制御剤、結合剤、生物学的添加剤、ビタミン、ミネラル、ペプチド、糖アミン、フラボノイド化合物、抗酸化剤、防腐剤、植物抽出液、フィトステロール、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、剥離剤、皮膚美白剤、サンレスタンニング剤、抗座瘡活性物質、抗セルライト活性物質、抗しわ活性物質、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、抗真菌剤、保湿剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、潤滑剤、芳香剤、抗ふけ剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、殺生物剤、変性剤、収斂剤、外部鎮痛剤、抗炎症剤、日焼け防止剤、フィルム形成剤、及び/又は組成物の被膜形成特性及び持続性を補助するためのポリマー、噴射剤、還元剤、封鎖剤、コンディショニング剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、エタノールを本質的に含んでいなくてもよい。理論に束縛されることを意図するものではないが、本開示の組成物中にエタノールが存在しないことにより、より良好な感覚的利益及び/又は製品の審美性などのより好ましい結果がもたらされると考えられる。
【0076】
いくつかの特定の実施形態では、本開示は、組成物であって、
a)フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、オクトクリレン、及びブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む、組成物の20重量%~45重量%の1つ以上のUV遮断活性物質であって、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の濃度は、組成物の2重量%~5重量%であり、ホモサレートの濃度は、組成物の6重量%~10重量%であり、オクトクリレンの濃度は、組成物の7重量%~11重量%であり、かつブチルメトキシジベンゾイルメタンの濃度は、組成物の1重量%~5重量%である、1つ以上のUV遮断活性物質と、
b)レオロジー法により測定して、3.5cSt~20cStの動粘度を有する、組成物の4.5重量%~6重量%のジメチコンと、
c)組成物の4.5重量%~6重量%のポリメチルシルセスキオキサン被覆デンプン又はポリメチルシルセスキオキサンと、
d)組成物の0.3重量%~0.8重量%のアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマーと、
e)組成物の0.5重量%~0.8重量%の水酸化ナトリウムと、を含む、組成物、を提供する。
【0077】
試験方法
試験1:タック法
この方法は、試験される試料組成物の曳糸性を決定するのに好適な手段を提供する。本方法では、テクスチャ分析装置を使用して、試料組成物から形成されたフィルムにプローブを接触させる。次に、テクスチャ分析装置は、プローブを試料組成物フィルムから分離するために必要な力を測定する。粘着力、時間加重フォースエリア、平均破断時間、及び破断時間の変化のいずれも、この方法により測定することができる。タック法は、100分間の時間にわたり行われるように構成される。理論により制限されるものではないが、タック試験の過程において試料組成物が示す曳糸性特性は、使用者による試料組成物の使用の最初の数分間(例えば、10分未満、30秒~5分、又は1分~3分)に組成物が示す曳糸性特性を近似しているものと考えられる。
【0078】
図1は、タック試験の例示的な試験セットアップを示す。TA.XT2iブランドのテクスチャ分析装置(Texture Technologies Corporation(MA)から入手可能)50、又は同等の装置を使用して、試料組成物から形成されたフィルムの粘着性を測定する。テクスチャ分析装置は、平坦面を有する直径12.75mmのアクリル製シリンダーの形の粘着プローブ52を備えている。試験中、プローブ52の平坦面を、組成物のフィルムの表面と接触させる。したがって、プローブの平坦面とフィルムの表面とは、プローブ52の有効な試験表面にわたってフィルムによる充分な接触が得られるように、試験中に互いに平行でなければならない。フィルムは、試験される組成物で矩形溝54(例えば、長さ25cm×幅30mm×深さ0.25mm)を充填又は過剰充填(その後に延伸)することによって作製される。
【0079】
試験は、接着試験プロトコルを用いて、試験前速度0.10mm/秒、試験速度0.10mm/秒、試験後速度1.0mm/秒で行われる。加えられる力は、200gであり、戻り距離は、4mmであり、接触時間は、5.0秒である。試料接触を指定するトリガタイプは、自動に設定され、トリガの力は、5.0gである。試験が実施されると、フィルムが調製された直後に、以下のように時間が増加していく:1分未満(すなわち、フィルムの調製直後)、10分、20分、30分、40分、50分、60分、80分、及び100分。各時点で、以前に触れられていない/試験されていない試料の領域上で試験を行う。各試料試験を3連で行い、平均を記録する。
【0080】
データ抽出には、プローブが試料から上方に引き上げられる際に収集されるデータの部分を使用する。粘着力は、各試験実施のピーク力である。
【0081】
時間加重フォースエリア(Time weighted force area)は、次式により求められる。
【0082】
【数1】
式中、
t1=測定を行った時間範囲における2つの時間のうちの後の時間であり、
t2=測定を行った時間範囲における2つの時間のうちの先の時間であり、
P1=計算される2つの時間のうちの時間1におけるピーク力をグラムで表したものであり、
P2=計算される2つの時間のうちの時間2におけるピーク力をグラムで表したものである。
【0083】
t1とt2又はP1とP2との差を計算する際、結果の絶対値を用いて時間加重フォースエリアを計算する。時間加重フォースエリアは、8つの時間間隔(<1分~10分、10分~20分、20分~30分など)のそれぞれについて計算された個々の時間加重フォースエリアの値の合計として報告される。
【0084】
破断時間は、力曲線の幅により求められる。破断時間計算の開始時間は、テクスチャ分析装置により加えられる力の符号が時間0において負から正に変化する時点(すなわち、試験の開始時点)と、破断時間としての、力がピーク力から0.0+/-0.02まで減衰する時点である。平均破断時間は、60分、80分、及び100分における破断時間の平均として報告される。破断時間の変化は、初期破断時間と100分における破断時間との間の差である。
【0085】
試験2:レオロジー法
この方法は、所与の剪断速度で動的粘度を測定する好適な手段を提供する。この方法で使用される機器は、TA Instrumentsから入手可能なDiscover HR-2レオメータ又は同等物である。この機器は、直径40mm及びギャップ0.9mmのクロスハッチ平行プレート形状を使用して、240秒にわたり0~800Paの制御された応力条件下で回転傾斜を行うように設定する。温度を25℃に設定する。機器プロトコルは、対数分布において100個のデータポイントを収集するように設定する。
【0086】
自動化した較正を行った後に、約5グラムの試料を、プレートの中心に配置する。0.9mmのギャップをもたらすようにプレートを配置し、外辺部ギャップから絞り出されたあらゆる過剰の材料を注意深く取り除く。次いで、測定を開始する。試験終了時に、後のプロッティング及び分析のために、データファイルを保存する。動的粘度は、100S-1の剪断応力における、又はその付近におけるPa・Sの値として報告される。動粘度は、測定された動的粘度を25℃の試料の密度で割ることにより計算することができる。
【実施例
【0087】
実施例1:従来製品と比較して改善された、本開示の組成物により達成される曳糸性と粘度との間のバランス
4つの試料であるスキンケア組成物(組成物例1~4、実施例1~4)を以下のように調製する。好適な容器内で、水相成分を混ぜ合わせ、35℃に加熱する。別個の容器内で、油相成分を混ぜ合わせ、65℃に加熱する。次いで、増粘剤を油相に添加する。次に、油相成分を水相成分に添加し、生じるエマルションを(例えばロータ-ステータミルで)粉砕する。撹拌しながらエマルションを45℃に冷却する。45℃で、中和されたフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及び追加の中和剤を含む残りの成分を添加する。次いで、撹拌しながら生成物を30℃に冷却する。冷却された生成物を再度粉砕し、次いで好適な容器に注ぐ。これらの組成物の詳細な組成の内訳を以下のように列挙する(表1を参照)。
【0088】
【表1】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Momentive製のTospearl CF600
AkzoNobel製のDry Flo TS
【0089】
100S-1の剪断速度における各組成物の動的粘度を、上記の試験2に記載のレオロジー法に従って決定し、平均破断時間の値を、上記の試験1に記載のタック法に従って決定した。次いで、本開示による試料組成物の平均破断時間及び動的粘度を、感覚的利益を提供するものとして販売されているいくつかの従来のスキンケア製品(比較組成物例A~H、比較実施例A~H)と比較した。平均破断時間の値及び動的粘度の値を表2に示す。表2に見られるように、本組成物は、べたつき性/曳糸性(平均破断時間により示される)と展延性(動的粘度により示される)との間の有利なバランスを提供する。本開示の組成物のSPFをインビボで試験し、同様に表2に示す。
【0090】
いくつかの例(実施例1及び実施例2)を、エマルション安定性及び活性成分の安定化について、25℃及び40℃で12週間の期間にわたりモニタした。結果は、これらが安定していることを示す。
【0091】
【表2】
Biore Aqua UV Rich Watery Essense SPF50 SPF50+(T0000576 & T0000636)。
Biore Aqua UV Rich Watery Essense SPF50 SPF50+PA++++(T0002507)
Lancome UV Expert XL Shield Aqua Gel SPF50:20181015
Lancome UV Expert Youth Shield Aqua Gel SPF50 PA++++(78P800)
Anessa Perfect UV Sunscreen Aqua Booster SPF50+(6106K、6097EB & 6096EB)
Anessa Perfect UV Sunscreen Aqua Booster SPF50+PA+++(6249LB)
Anessa Perfect UV Sunscreen Skincare Milk SPF50+PA++++(8017QD)
Shiseido Perfect UV Protector 50+Wet Force Multi-Defense SPF50+PA++++(8006KN)
【0092】
実施例2:単一製品の盲検化試験(SPBT)及びパネル試験において従来製品と比較して改善された、本開示の組成物により達成される皮膚感触
SPBT
この調査では、本開示の組成物及び比較組成物を500人の女性に付けた(それぞれの脚についてベースサイズ=100)。各消費者は、1つの製品を10日間にわたり毎日使用し、1日目の調査前にリコールアンケートを行った。製品を盲検化して同一の白色チューブ内に入れた(単に盲検化されたスプレー及び用時振とう製品を除く)が、ただしUV遮断剤の状況(「デイリーUV遮断剤」)で入れた。
【0093】
消費者プロファイル:夏の間に毎日UV遮断剤を使用している北京/上海在住の年齢25~54歳の中国人女性。
【0094】
研究の一環として、製品を5点スケール(低い、中程度、良好、非常に良好、優れている)で全体として評価し、これを分析及び官能特性のために0~100スケールに変換した。詳細は、以下で1日目のスコアに示されており、これはユーザからの1回目の使用の満足度を反映している。
【0095】
表3に示されるように、本開示の組成物は、比較組成物よりも著しく良好な感触を示す。特に、実施例3と比較実施例との間の全体的な評価の差及び実施例4と比較実施例との間の差の両方が、統計的に有意である(p>0.05)。
【0096】
【表3】
Biore Aqua UV Rich Watery Essense SPF50 SPF50+PA++++(T0002507)
Anessa Perfect UV Sunscreen Aqua Booster SPF50+PA+++(6249LB)
Lancome UV Expert Youth Shield Aqua Gel SPF50PA++++(78P800)
大文字は、p>0.05での有意差を示し、小文字は、p>0.1での有意差を示す。
【0097】
パネル試験
この調査では、製品を盲検化し、10人の訓練を受けたパネリストの間に置き、これらのパネリストが、ランダムな順序で製品を使用して製品の客観的定量評価を行った。パネリストは、-5~+5のスケールで感覚的感触に評点を付け、その際、べたつき性、油量、てかりは、不利な感触とみなされ、展延性及び水のような感触が望ましい感触である。
【0098】
各パネリストが、実施例2、実施例3、及び実施例4を、自身の顔において使用し、異なる時点で製品を評価する。全体として、実施例2は、実施例3及び実施例4よりも、試験されたすべての側面においてより良好でさえある。
【0099】
【表4】
表4
これは、A、B、及びCのグループのうちのどの2グループが、90%の信頼水準で有意差を示すかを示す。
【0100】
実施例3:ジメチコンと粒子物質との組み合わせにより達成される改善された皮膚感触
4つの試料であるスキンケア組成物を先に記載のように調製し、これらの試料としては、以下のものが挙げられる:(実施例2)5%のジメチコン+5%の粒子物質、(比較実施例1)1%のジメチコン+5%の粒子物質、(比較実施例2)5%のジメチコン+1%の粒子物質、及び(比較実施例3)0%のジメチコン+0%の粒子物質。これらの組成物の詳細な組成の内訳を以下のように列挙する。
【0101】
【表5】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Momentive製のTospearl CF600
【0102】
レオロジー及びタック試験
各組成物の動的粘度を、上記の試験2に記載のレオロジー法に従って決定し、平均破断時間の値を、上記の試験1に記載のタック法に従って決定した。平均破断時間の値及び動的粘度の値を以下の表に示す。データは、本組成物が、好ましい濃度のジメチコン及び粒子物質を使用することにより、べたつき性/曳糸性(平均破断時間により示される)と展延性(動的粘度により示される)との間の良好なバランスを提供することを示す。
【0103】
パネル試験
上記と同様に、製品を盲検化し、10人の訓練を受けたパネリストの間に置き、これらのパネリストが、ランダムな順序で製品を使用して製品の客観的定量評価を行った。パネリストは、-5~+5のスケールで感覚的感触に評点を付け、その際、べたつき性、油量、油の感触は、不利な感触とみなされる(すなわち、高いプラスのスコアは望ましくない効果を示す)。各パネリストは、自身の顔においてこれらの組成物を使用し、塗布後15分で製品を評価する。結果は、本組成物が、好ましい濃度のジメチコン及び粒子物質を使用することにより、有利な皮膚感触を提供することを証明している。特に、べたつき性の点において、本発明による組成物(実施例2)は、対照(比較実施例1~3)と比較して著しく改善された性能を示す。
【0104】
【表6】
【0105】
実施例4:高分子乳化剤により達成される有利な皮膚感触
3つの試料であるスキンケア組成物を先に記載のように調製し、これらの試料としては、以下のものが挙げられる:(実施例2)0.5%のPemulen、(比較実施例4)一般的な乳化剤、(比較実施例5)0.05%のPemulen。これらの組成物の詳細な組成の内訳を以下のように列挙する(以下の表を参照)。
【0106】
【表7】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
乳化剤
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Momentive製のTospearl CF600
【0107】
レオロジー及びタック試験
各組成物の動的粘度を、上記の試験2に記載のレオロジー法に従って決定し、平均破断時間の値を、上記の試験1に記載のタック法に従って決定した。平均破断時間の値及び動的粘度の値を以下の表に示す。データは、本組成物が、pemulenを乳化剤として使用することにより、べたつき性/曳糸性(平均破断時間により示される)と展延性(動的粘度により示される)との間の驚くほどより良好なバランスを提供することを示す。
【0108】
パネル試験
上記と同様に、製品を盲検化し、10人の訓練を受けたパネリストの間に置き、これらのパネリストが、ランダムな順序で製品を使用して製品の客観的定量評価を行った。パネリストは、-5~+5のスケールで感覚的感触に評点を付け、その際、べたつき性、油量、てかりは、不利な感触とみなされ、展延性及び水のような感触が望ましい感触である。各パネリストは、自身の顔においてこれらの組成物を使用し、様々な時点で製品を評価する。結果は、本組成物が、Pemulenを乳化剤として使用することにより、有利な皮膚感触を提供することを証明している。
【0109】
実施例5:好ましい濃度のPBSAにより達成される有利な皮膚感触
3つの試料であるスキンケア組成物を先に記載のように調製し、これらの試料としては、以下のものが挙げられる:(実施例2)3%のPBSA、(比較実施例6)0%のPBSA、(比較実施例7)1%のPBSA。これらの組成物の詳細な組成の内訳を以下のように列挙する(以下の表を参照)。
【0110】
【表8】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Momentive製のTospearl CF600
【0111】
レオロジー及びタック試験
各組成物の動的粘度を、上記の試験2に記載のレオロジー法に従って決定し、平均破断時間の値を、上記の試験1に記載のタック法に従って決定した。平均破断時間の値及び動的粘度の値を以下の表に示す。データは、本組成物が、好ましい濃度のPBSAを使用することにより、べたつき性/曳糸性(平均破断時間により示される)と展延性(動的粘度により示される)との間の良好なバランスを提供することを示す。
【0112】
パネル試験
上記と同様に、製品を盲検化し、10人の訓練を受けたパネリストの間に置き、これらのパネリストが、ランダムな順序で製品を使用して製品の客観的定量評価を行った。パネリストは、-5~+5のスケールで感覚的感触に評点を付け、その際、べたつき性、油量、てかりは、不利な感触とみなされ、展延性及び水のような感触が望ましい感触である。各パネリストは、自身の顔においてこれらの組成物を使用し、様々な時点で製品を評価する。結果は、本組成物が、好ましい濃度のPBSAを使用することにより、有利な皮膚感触を提供することを証明している。
【0113】
実施例6:高粘度ジメチコンと比較して低粘度ジメチコンにより達成される有利な皮膚感触
2つの試料であるスキンケア組成物を先に記載のように調製し、これらの試料としては、以下のものが挙げられる:(実施例2)5%の低粘度ジメチコン、(比較実施例8)5%の高粘度ジメチコン。これらの組成物の詳細な組成の内訳を以下のように列挙する(以下の表を参照)。
【0114】
【表9】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Dow Corning製のXiameter(登録商標)
Momentive製のTospearl CF600
【0115】
レオロジー及びタック試験
各組成物の動的粘度を、上記の試験2に記載のレオロジー法に従って決定し、平均破断時間の値を、上記の試験1に記載のタック法に従って決定した。平均破断時間の値及び動的粘度の値を以下の表に示す。データは、本組成物が、低粘度ジメチコンを使用することにより、高粘度ジメチコンと比較して、べたつき性/曳糸性(平均破断時間により示される)と展延性(動的粘度により示される)との間の驚くほどより良好なバランスを提供することを示す。
【0116】
パネル試験
上記と同様に、製品を盲検化し、10人の訓練を受けたパネリストの間に置き、これらのパネリストが、ランダムな順序で製品を使用して製品の客観的定量評価を行った。パネリストは、-5~+5のスケールで感覚的感触に評点を付け、その際、べたつき性、油量、てかりは、不利な感触とみなされ、展延性及び水のような感触が望ましい感触である。各パネリストは、自身の顔においてこれらの組成物を使用し、様々な時点で製品を評価する。結果は、本組成物が、低粘度ジメチコンを使用することにより、高粘度ジメチコンと比較して、驚くほどより良好な皮膚感触を提供することを証明している。
【0117】
実施例7:脂肪アルコールが存在しないことにより達成される有利な皮膚感触
2つの試料であるスキンケア組成物を先に記載のように調製し、これらの試料としては、以下のものが挙げられる:(実施例2)脂肪アルコールなし、(比較実施例9)1.1%の脂肪アルコール。これらの組成物の詳細な組成の内訳を以下のように列挙する(以下の表を参照)。
【0118】
【表10】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Momentive製のTospearl CF600
【0119】
レオロジー及びタック試験
各組成物の動的粘度を、上記の試験2に記載のレオロジー法に従って決定し、平均破断時間の値を、上記の試験1に記載のタック法に従って決定した。平均破断時間の値及び動的粘度の値を以下の表に示す。データは、本組成物が、脂肪アルコールの使用を除外することにより、べたつき性/曳糸性(平均破断時間により示される)と展延性(動的粘度により示される)との間の驚くほどより良好なバランスを提供することを示す。
【0120】
パネル試験
上記と同様に、製品を盲検化し、10人の訓練を受けたパネリストの間に置き、これらのパネリストが、ランダムな順序で製品を使用して製品の客観的定量評価を行った。パネリストは、-5~+5のスケールで感覚的感触に評点を付け、その際、べたつき性、油量、てかりは、不利な感触とみなされ、展延性及び水のような感触が望ましい感触である。各パネリストは、自身の顔においてこれらの組成物を使用し、様々な時点で製品を評価する。結果は、本組成物が、任意の脂肪アルコールの使用を除外することにより、より有利な皮膚感触を提供することを証明している。
【0121】
実施例8:例示的なスキンケア組成物
以下は、UV遮断活性物質と、ジメチコン及び粒子物質を含む他の成分と、の組み合わせを用いる日焼け防止組成物の実施例である(以下の表を参照)。組成物実施例5~12を実施例1と同様に調製する。
【0122】
【表11】
Lubrizolから入手可能なPemulen TR II。
Lubrizolから入手可能なPemulen TR I
Lubrizolから入手可能なPemulen EZ4U
Lubrizolから入手可能なCarbopol(登録商標)Ultrez 20
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体5cs
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-0245
Dow Corning製のXiameter(登録商標)PMX-200シリコーン流体50cs
Momentive製のTospearl CF600
AkzoNobel製のDry Flo TS
【0123】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0124】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0125】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
図1