(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】エアバッグ圧縮ラッパー及び関連エアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 21/201 20110101AFI20221122BHJP
【FI】
B60R21/201
(21)【出願番号】P 2021522968
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 US2019065532
(87)【国際公開番号】W WO2020123545
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ヘス、トラヴィス ビー.
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088173(JP,A)
【文献】特開平11-059310(JP,A)
【文献】特開2017-149338(JP,A)
【文献】特開2001-287611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグクッションアセンブリであって、
折り畳まれた構成のエアバッグクッション(145)と、
複数のスタッド(142)と、
前記エアバッグクッション(145)と結合された圧縮ラッパー(110)と、
を備え、
前記圧縮ラッパー(
110)は、
前記複数のスタッド(
142)に結合された複数の垂直ストラップ(122、124、126、128)であって、それぞれが、前記エアバッグクッション(145)の角部領域を制限して、前記エアバッグクッション(145)を再成形する複数の垂直ストラップ(122、124、126、128)と、
各隣接する垂直ストラップ(122、124、126、128)の間に延びる径方向ストラップ(112、114、116、118)と、
前記エアバッグクッション(145)の展開時に破断するように構成された複数の弱化領域(115、135)と、を備え
、
前記複数の弱化領域(115、135)は、
前記圧縮ラッパー(110)の座部(130)に配置された座部弱化領域(135)であって、前記座部(130)は、前記それぞれの垂直ストラップ(122、124、126、128)の端部とは反対側の前記圧縮ラッパー(110)の端部にある、座部弱化領域(135)と、
前記径方向ストラップ(114)に沿って配置された径方向ストラップ弱化領域(115)と、
を備えることを特徴とするエアバッグクッションアセンブリ。
【請求項2】
前記径方向ストラップ(112、114、116、118)のそれぞれは、前記エアバッグクッション(145)のそれぞれの角部上に配置された、前記径方向ストラップに隣接した垂直ストラップ(122、124、126、128)を保持するように構成されている、請求項1に記載のエアバッグクッションアセンブリ。
【請求項3】
前記
垂直ストラップ(
122、124、126、128)のそれぞれは、前記複数のスタッド(
142)のうちの1つが延びる開口部(121)を備える、請求項1又は2に記載のエアバッグクッションアセンブリ。
【請求項4】
前記径方向ストラップ弱化領域(115)は、前記径方向ストラップ(114)の対向する側に沿って配置された、対向する一対の径方向ストラップ弱化領域(115)を含む、請求項
1に記載のエアバッグクッションアセンブリ。
【請求項5】
エアバッグクッション(145)を圧縮するための圧縮ラッパー(110)であって、
折り畳まれたエアバッグクッション(145)を内部に受け入れるように構成された閉鎖座部(130)であって、前記折り畳まれたエアバッグクッション(145)の展開時に前記閉鎖座部(130)を開放するように構成された弱化領域(135)を備える閉鎖座部(130)と、
複数の垂直ストラップ(122、124、126、128)と、
前記閉鎖座部(130)と前記複数の垂直ストラップ(122、124、126、128)のそれぞれの端部との間に、前記圧縮ラッパー(110)の外周の周囲に延びる径方向ストラップ(112、114、116、118)と、を備え、
前記複数の垂直ストラップ(122、124、126、128)のそれぞれは、前記折り畳まれたエアバッグクッション(145)の角部領域を固定するように構成されており、前記複数の垂直ストラップ(122、124、126、128)のそれぞれは、スタッド(142)を通して受け入れるように構成された開口部を備
え、
前記径方向ストラップ(112、114、116、118)は、隣接する垂直ストラップ(121、122)の間に延びる第1の径方向ストラップ部分(112)と、隣接する垂直ストラップ(124、126)の間に延びる第2の径方向ストラップ部分(116)と、を備え、前記第1の径方向ストラップ部分(112)は、前記弱化領域(135)に対して、前記第2の径方向ストラップ部分(116)とは反対側に配置されており、前記第1の径方向ストラップ部分(112)は、前記第2の径方向ストラップ部分(116)よりも短く、これにより、前記第1の径方向ストラップ部分(112)は、隣接する第1の対のスタッド(142)の反対側にある隣接する第2の対のスタッド(142)よりも互いに接近している、隣接する前記第1の対のスタッド(142)の間に延びることができることを特徴とする圧縮ラッパー(110)。
【請求項6】
前記径方向ストラップ(112、114、116、118)に沿って配置された弱化領域(115)を更に備える、請求項
5に記載の圧縮ラッパー(110)。
【請求項7】
前記径方向ストラップ(112、114、116、118)の対向する側に沿って配置された、対向する一対の弱化領域(115)を更に備える、請求項
6に記載の圧縮ラッパー(110)。
【請求項8】
前記圧縮ラッパー(110)が前記閉鎖座部(130)と前記径方向ストラップ(112、114、116、118)との間に開口部を備えるように、前記径方向ストラップ(112、114、116、118)は、前記閉鎖座部(130)から離間している、請求項
5~
7のいずれか一項に記載の圧縮ラッパー(110)。
【請求項9】
前記圧縮ラッパー(110)が前記閉鎖座部(130)と前記径方向ストラップ(112、114、116、118)との間の複数の開口部を備えるように、前記径方向ストラップ(112、114、116、118)は、前記閉鎖座部(130)から離間しており、前記複数の開口部の各開口部は、隣接する2つの垂直ストラップ(122、124、126、128)の間に配置されている、請求項
5~
8のいずれか一項に記載の圧縮ラッパー(110)。
【請求項10】
前記径方向ストラップ(112、114、116、118)は、互いに結合された複数の個別の径方向ストラップ(112、114、116、118)によって画定される、請求項
5~
9のいずれか一項に記載の圧縮ラッパー(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エアバッグクッションは、多くの場合、折り畳まれるなどして圧縮されて、カバー又はハウジング内に配置されている。そのようなクッション、特に車両ステアリングホイールを通して運転席側で展開するように構成されたクッションは、円形の形状などの、そのような圧縮/折り畳みに寄与しない形状に制限される場合があり、折り畳まれたエアバッグクッションは、矩形形状であることが多い。したがって、所望のカバー、ハウジング、又は他の容器内にクッションをフィットさせることが困難なことがある。場合によっては、そのようにすることにより、容器容積が効率的に利用されないことがあり、所望の展開運動学を阻害する応力下にクッションを置くことがあり、又は容器に望ましくない応力をかけることがある。
【0002】
したがって、本発明者らは、前述の制限及び/又は先行技術の他の制限のうちの1つ以上を克服する装置、システム、及び方法を提供することが望ましいと判断した。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発明概念は、クッション、容器、又は展開運動学を損なうことなく、クッションを圧縮して、エアバッグカバー又は他の容器内の配置を容易にすることができるエアバッグクッションラッパーを提供することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ラッパーは、クッションを、例えば、矩形形状から少なくとも実質的に円形の形状、又は少なくとも略円形の形状に再成形することができる。
【0003】
いくつかの実施形態に係るエアバッグクッションアセンブリのより具体的な実施例では、エアバッグクッションアセンブリは、折り畳まれた又は別の方法で圧縮された構成のエアバッグクッションを備えてもよい。アセンブリは、いくつかの実施形態では、リテーナリング又は他の同様の構成要素から延びることができる複数のスタッドを更に備えてもよい。圧縮ラッパーは、圧縮された/折り畳まれたエアバッグクッションの周囲に巻かれてもよく、複数のスタッドと結合された1つ以上の(いくつかの実施形態では、複数の)垂直ストラップを備えてもよい。垂直ストラップのそれぞれは、エアバッグクッションを再成形するために、折り畳まれた/圧縮されたエアバッグクッションの角部領域に重なり合う、及び/又はそれを制限することができる。圧縮ラッパーは、隣接する各垂直ストラップの間に延びる径方向ストラップなどの1つ以上の径方向ストラップを更に備えてもよい。いくつかの実施形態では、単一の一体型材料片は、様々な径方向ストラップのそれぞれを画定することができる。あるいは、各径方向ストラップは、別個の材料片によって画定されてもよく、一緒に結合されて、複数の径方向ストラップを画定してもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、径方向ストラップのそれぞれは、エアバッグクッションのそれぞれの角部上に配置された、それに隣接する垂直ストラップを保持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、径方向ストラップのそれぞれは、複数のスタッドのうちの1つが延びる開口部を備えることができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、圧縮ラッパーは、エアバッグクッションの展開時に破断するように構成された1つ以上の弱化領域を更に備えてもよい。いくつかの実施形態では、弱化領域(単数又は複数)は、垂直ストラップの端部とは反対側の圧縮ラッパーの端部にある圧縮ラッパーの座部に配置された1つ以上の座部弱化領域、及び/又は径方向ストラップのうちの1つ以上に沿って配置された1つ以上の径方向ストラップ弱化領域を備えてもよい。そのようないくつかの実施形態では、径方向ストラップ弱化領域は、径方向ストラップの対向する側又は圧縮ラッパーの対向する径方向ストラップに沿って配置された、対向する一対の径方向ストラップ弱化領域を備えてもよい。
【0006】
エアバッグクッションを圧縮するための圧縮ラッパーの一実施例では、ラッパーは、折り畳まれたエアバッグクッションを内部に受け入れるように構成された閉鎖座部を備えてもよい。閉鎖座部は、折り畳まれたエアバッグクッションの展開時に破断して閉鎖座部を開放するように構成された弱化領域を備えてもよい。圧縮ラッパーは、複数の垂直ストラップを更に備えてもよい。複数の垂直ストラップのそれぞれは、折り畳まれたエアバッグクッションの角部領域を固定及び/又は圧縮するように構成することができる。複数の垂直ストラップのそれぞれは、スタッドを通して受け入れるように構成された開口部、又はそれに締結具を堅固に結合する別の手段を備えてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態は、圧縮ラッパーの外周の周囲に延びる径方向ストラップを更に備えてもよい。そのようないくつかの実施形態では、複数のストラップ又は単一ストラップによって画定することができる径方向ストラップは、閉鎖座部と垂直ストラップの自由端との間に配置されてもよく、複数の垂直ストラップの隣接する垂直ストラップの各対の間に延びてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態は、径方向ストラップのうちの1つ以上に沿って配置された、断裂シームなどの弱化領域を更に備えもよい。そのようないくつかの実施形態では、対向する一対の弱化領域は、径方向ストラップの対向する側(又は、ラッパーの外周全体の周囲に延びる径方向ストラップを集合的に画定する、対向する径方向ストラップ又は径方向ストラップ部分)に沿って配置されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、径方向ストラップは、圧縮ラッパーが閉鎖座部と径方向ストラップとの間に開口部を備えるように、閉鎖座部から離間していてもよい。そのようないくつかの実施形態では、径方向ストラップは、圧縮ラッパーが閉鎖座部と径方向ストラップとの間に複数の開口部を画定するように、閉鎖座部から離間していてもよい。そのようないくつかの実施形態では、複数の開口部の各開口部は、隣接する2つの垂直ストラップの間に配置されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、径方向ストラップは、隣接する垂直ストラップの間に延びる第1の径方向ストラップ部分と、隣接する垂直ストラップの間に延びる第2の径方向ストラップ部分と、を備えてもよい。第1の径方向ストラップ部分は、第2の径方向ストラップ部分とは反対側に配置されてもよい。そのようないくつかの実施形態では、第1の径方向ストラップ部分は、第2の径方向ストラップ部分よりも短くてもよく、それにより、第1の径方向ストラップ部分は、隣接する第1の対のスタッドの反対側にある隣接する第2の対のスタッドよりも互いに接近している、隣接する第1の対のスタッドの間に延びることができる。
【0011】
いくつかの実施形態に係るエアバッグモジュールの一実施例では、エアバッグモジュールは、エアバッグカバーの形状を画定する周壁を備えるエアバッグカバーを備えてもよい。モジュールは、モジュールのリテーナリングなどのリテーナ要素から延びることができる複数のスタッドを更に備えてもよい。エアバッグクッションは、折り畳まれた構成などの圧縮された構成でエアバッグカバー内に配置されてもよい。圧縮ラッパーは、エアバッグクッションを更なる圧縮された形状に圧縮するようにエアバッグクッションの周囲に延びてもよく、圧縮された形状は、圧縮ラッパーなしのエアバッグクッションの圧縮されていない形状よりも、エアバッグカバーの形状により類似している。圧縮ラッパーは、対向する垂直ストラップ及び/又は1つ以上の径方向ストラップなどの、エアバッグクッションの対向する角部を圧縮する手段を備えてもよい。エアバッグクッションの対向する角部を圧縮する手段は、複数のスタッドのうちの少なくとも2つの対向するスタッドと結合されて、エアバッグクッションを圧縮された形状に再成形してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、圧縮する手段は、対向する一対のストラップを含んでもよい。対向する一対のストラップの各ストラップは、折り畳まれたエアバッグクッションの角部領域を圧縮する、かつ/又は圧縮するように構成することができる。いくつかの実施形態では、対向する一対のストラップの各ストラップは、圧縮ラッパーが折り畳まれたエアバッグクッションに圧縮力を加えることを可能にするようにスタッドが延びる開口部を備えてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、圧縮する手段は、4つのストラップを含んでもよい。そのようないくつかの実施形態では、4つのストラップのそれぞれは、エアバッグクッションの角部領域を圧縮する、かつ/又は圧縮するように構成することができる。そのようないくつかの実施形態では、4つのストラップのそれぞれは、スタッドが延びる開口部を備えることができる。
【0014】
一実施形態に関連して本明細書に開示される特徴、構造、工程、又は特性は、1つ以上の代替実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面を参照して、本開示の様々な実施形態を含む、本開示の非限定的かつ非網羅的な実施形態が記載される。
【0016】
【
図1】いくつかの実施形態に係る、エアバッグクッション圧縮ラッパーの斜視図である。
【0017】
【
図2】本明細書に開示されるエアバッグクッション圧縮ラッパーのうちの1つ以上を使用して包まれるように構成されたエアバッグクッションアセンブリの底面図である。
【0018】
【
図3】いくつかの実施形態に係る、エアバッグカバー内に配置されたエアバッグクッション圧縮ラッパーの斜視図である。
【0019】
【
図4】いくつかの実施形態に係る、エアバッグクッションアセンブリを圧縮して再成形するエアバッグクッション圧縮ラッパーを有するエアバッグクッションアセンブリの底面図である。
【0020】
【
図5】
図4の圧縮包装エアバッグクッションアセンブリの側面図である。
【0021】
【
図6】
図4の圧縮包装エアバッグクッションアセンブリの上面図である。
【0022】
【
図7】関連付けられたエアバッグクッションの展開後の、いくつかの実施形態に係るエアバッグクッション圧縮ラッパーを示す。
【0023】
【
図8】いくつかの実施形態及び実装形態に係る、エアバッグクッション圧縮ラッパーを組み立てるために使用することができる材料ブランクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の様々な実施形態と一致する装置、システム、及び方法の詳細な説明を以下に提供する。いくつかの実施形態について説明するが、本開示は、開示される特定の実施形態のいずれかに限定されるものではなく、代わりに多数の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において多数の具体的な詳細が記載されているが、いくつかの実施形態は、これらの詳細の一部又は全てを伴わずに実施することができる。更に、明確にする目的で、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、関連技術分野において既知の特定の技術資料について詳細に説明していない。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、示されるように機能する動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全若しくはほぼ完全な程度又は度合いを指す。例えば、「実質的に」円筒形又は「実質的に」垂直である物体は、物体/特徴が、同じ又はほぼ同じ機能をもたらすように、円筒形/垂直又はほぼ円筒形/垂直のいずれかであることを意味する。この用語によって提供される正確な許容される偏差の程度は、特定の文脈に依存し得る。「実質的に」の使用は、動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指すために、負の含意で使用される場合に等しく適用可能である。例えば、底部を「実質的に含まない」構造は、底部を完全に欠いている、又はその効果が底部を完全に欠いていた場合と実質上同じであるように、底部をほぼ完全に欠いているかのいずれかである。
【0026】
同様に、本明細書で使用するとき、用語「約」は、所与の値が、範囲に関連付けられた機能を依然として達成しながら、端点の「わずか上」又は「わずか下」であり得ることを提供することによって、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。
【0027】
本開示の実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解することができ、同様の部分は、同様の数字によって指定される場合がある。開示される実施形態の構成要素は、本明細書の図面に概ね記載及び例示されるように、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、本開示の装置及び方法の実施形態の以下の詳細な説明は、特許請求されるように、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本開示の可能な実施形態を表すものである。加えて、特に指定しない限り、方法の工程は、必ずしも、任意の特定の順序で実行される必要はなく、又は更には連続的に実行される必要はなく、また工程は1回のみ実行される必要もない。特定の好ましい実施形態及び実装形態に関する更なる詳細は、ここで添付図面を参照してより詳細に説明される。
【0028】
図1は、例えば、エアバッグカバー内の配置に、より密接に一致する及び/又は従う形状などの所望の形状にエアバッグクッション(
図1には図示せず)を圧縮及び/又は再成形するように構成された、いくつかの実施形態に係る圧縮ラッパー110を示す。この図に示されるように、ラッパー110は、隣接する垂直ストラップの間に延びる複数の径方向ストラップを備える。
【0029】
より具体的には、径方向ストラップ112は、垂直ストラップ122と128との間に延び、径方向ストラップ114は、垂直ストラップ122と124との間に延び、径方向ストラップ116は、垂直ストラップ124と126との間に延び、径方向ストラップ118は、垂直ストラップ126と128との間に延びる。様々な径方向ストラップのそれぞれは、別個の材料片によって画定されてもよく、又は代わりに、単一の材料片が、様々な径方向ストラップのそれぞれを画定するように、ラッパー110の周囲に延びてもよい。
【0030】
垂直ストラップ122~128のそれぞれは、エアバッグクッションの角部及び/又は縁部領域などの特定の領域の上に延びる及び/又はそれを制限するように構成されている。これにより、ラッパー110によってエアバッグクッションが再成形されることを可能にすることができ、それにより、少なくとも実質的に円形の形状を有するものなど、異なる形状を有するカバー/容器によりエアバッグクッションがより容易に配置されることを可能にすることができる。径方向ストラップのそれぞれは、好ましくは、折り畳まれたエアバッグクッションのそれぞれの角部又は他の所望の領域上に配置された、それに隣接する垂直ストラップを保持するように構成されている。垂直ストラップ及び径方向ストラップを含む、本明細書に開示されるストラップのそれぞれは、折り畳まれたエアバッグクッションなどのエアバッグクッションの対向する角部を圧縮する手段の例である。
【0031】
図1に示されるように、径方向ストラップ(単数又は複数)は、折り畳まれたエアバッグクッションを内部に受け入れるように構成することができる座部130と、図(事前組立/包装)に示される構成における様々な垂直ストラップの固定されていない端部によって画定することができるラッパー110の上部との間で、ラッパー110の比較的中央部分の周囲に延びてもよい。図示の実施形態では、したがって、様々な径方向ストラップと座部130との間に4つの開口部が画定される。しかしながら、径方向ストラップ(単数又は複数)が座部130まで延びてもよい他の実施形態が想到され、又はそうでなければ、これらの開口部を省略することができる。
【0032】
好ましい実施形態では、所望の展開特性を促進するために、1つ以上の弱化部分をラッパー110の周囲に戦略的に配置してもよい。例えば、図示の実施形態では、弱化部分135は、座部130に沿って配置されている。これにより、エアバッグクッションが膨張中に座部130を介して及び/又はエアバッグカバーの外に、より容易に展開することを可能にすることができる。弱化部分135は、図に示されるような断裂シームを含んでもよく、又は代わりに、折り目、スタンピングされた領域、低減された層及び/若しくはより弱い材料を有する領域などの、隣接するエアバッグクッションの展開中にラッパー110の断裂及び/若しくは破裂を促進するように設計された他の特徴を含んでもよい。
【0033】
追加の弱化部分は、径方向ストラップ(単数又は複数)に沿って形成されてもよい。したがって、
図1に示すように、同様に断裂シーム115の形態の弱化部分が、径方向ストラップ114に沿って垂直に延びてもよい。好ましい実施形態では、別の断裂シーム(
図1では見えない)又は他の弱化部分が、径方向ストラップ114とは反対側の径方向ストラップ、すなわち径方向ストラップ118の周囲に配置されてもよい。このようにして、ラッパー110は、
図7に示し以下により詳細に説明するように、展開後に両側で引き裂かれて拘束力を均衡させるように、及び/又は平坦な、若しくは少なくともより平坦な最終構成を提供することを容易にするように構成されてもよい。
【0034】
様々な孔をラッパー110の周囲に戦略的に配置して、エアバッグクッションの周囲の適所へのラッパー110の固定を容易にすることができる。例えば、図示された実施形態では、垂直ストラップ122~128のそれぞれは、リテーナリング又は他のリテーナアセンブリの一部であってもよいスタッドなどの、スタッドを通して受け入れるための開口部を備える。単一のそのような開口部のみが、
図1の各垂直ストラップ上に示されているが、垂直ストラップの1つ以上(そのようないくつかの実施形態では、それぞれ)に複数のそのような開口部を配置することができる他の実施形態が想到される。これにより、調整されるエアバッグクッションの周囲のラッパー110の締め付けを可能にすることができ、かつ/又は単一のラッパーを異なる複数のエアバッグクッションと共に使用することを可能にすることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ラッパー110の1つ以上の部分は、所望に応じてラッパー110の強度を高めるために複数の層を含んでもよい。例えば、図示の実施形態では、様々な垂直ストラップ122~128のそれぞれは、2つの材料層を含む。これらの層は、任意の好適な方法で一緒に結合されてもよい。例えば、図示の実施形態では、縫い目123を適用して、少なくとも部分的に垂直ストラップ122~128を画定する2つの材料層を結合してもよい。この材料の一部分はまた、必要に応じて、径方向ストラップのうちの1つ以上の一部を画定してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、隣接する垂直ストラップの間に延びる径方向ストラップのうちの1つ以上は、他の径方向ストラップよりも短くてもよい。これにより、ラッパー110を、均等に離間していないリテーナリングのスタッドなどのスタッドを有するアセンブリに結合することが可能になる。例えば、図示の実施形態では、径方向ストラップ112は、他の3つの径方向ストラップ114、116、及び118よりも短い。これにより、隣接する一対のスタッドと垂直ストラップ122及び128との結合を考慮することができる。これらの一対のスタッドは、垂直ストラップ124及び126と結合される、対向する一対のスタッドよりも互いに接近しているからである。前述したように、必要に応じて、孔117などのマーカーを、他とは異なる長さを有する径方向ストラップ(単数又は複数)(図示の実施形態では径方向ストラップ112)に適用して、適切な向きでの組み立てを支援してもよい。
【0037】
これらのスタッド、折り畳まれたエアバッグクッション、及び/又はエアバッグクッションアセンブリによる圧縮ラッパー110の正しい配置を容易にするために、向きマーカー117を使用することができる。図示の実施形態では、向きマーカー117は、孔を含む。しかしながら、孔を作製することなくラッパー110上に印刷又はスタンピングされたマーカーなどの、様々な他のマーカーが使用されてもよい。
【0038】
図2は、圧縮ラッパー110などの本明細書に開示される圧縮ラッパーを使用して包むことができるエアバッグクッションアセンブリ140を示す。エアバッグクッションアセンブリは、折り畳まれた構成のエアバッグクッション145を備え、内側ラッパー144を更に備えてもよい。いくつかの実施形態では、内側ラッパー144を使用して、エアバッグクッション145を折り畳まれた構成に維持してもよい。
【0039】
複数のスタッド142は、エアバッグクッション145の周囲に配置されている。図示した実施形態では、エアバッグクッション145は、矩形形状に折り畳まれ、スタッド142は、その角部領域のそれぞれに沿って配置されている。
【0040】
図3は、エアバッグカバー150内に配置された圧縮ラッパー110を示す。
図3に示す構成では、
図2のエアバッグクッションアセンブリ140は、内部に挿入され、ラッパー110を使用して包まれてもよい。所望であれば、様々な垂直ストラップ122~128のそれぞれに示された2組の孔は、互いに位置合わせされて、それぞれの垂直ストラップの端部部分に2つの層を提供し、それによって、エアバッグクッションアセンブリ140に圧縮力を適用する領域における垂直ストラップの強度を向上させることができる。他の実施形態では、以下に説明するように、この補強は、ラッパーを形成するために使用されるブランクの隣接する区画からタブを折り畳み、位置合わせすることによって提供されてもよい。
【0041】
図4は、圧縮ラッパー110を使用して包まれたアセンブリ140を備えるエアバッグクッションアセンブリ100を示す。この図に示されるように、垂直ストラップ122、124、126、及び128のそれぞれは、各垂直ストラップに形成された孔を通して各スタッド142を延ばすことによって、スタッド142に結合されている。各ストラップ122~128はまた、アセンブリ100の角部領域に隣接して配置されており、アセンブリ140を再成形するための圧縮力を提供する。図示の実施形態では、この再成形により、アセンブリ140の略矩形の形状からアセンブリ100にかなり円形の形状を提供する。しかしながら、当業者が理解するように、他の実施形態では、例えば、寸法、ストラップの数、及び/又はストラップの位置を変更することによってなど、他の再成形がラッパー110によって提供されてもよい。例えば、2つの垂直ストラップのみを提供することによって、いくつかの実施形態は、より細長い、かつ/又は管状の形状を形成する再成形を提供することができる。
【0042】
図5は、アセンブリ100の側面図である。この図では、径方向ストラップ114が、アセンブリの中央領域に沿って(上部から底部まで)延びるのを見ることができる。この径方向ストラップは、好ましくは、矩形の折り畳まれたエアバッグクッションの角部領域に沿うように、隣接する垂直ストラップ122と124との間に緊密に延びて、垂直ストラップ122及び124を所望の位置に維持する力を提供し、隣接する垂直ストラップ122と124との間の領域の外にクッションが過度に膨らむことを防止する。このようにして、径方向ストラップ114、及び
図5では見えない他の径方向ストラップの上方及び下方の両方に開放空間が存在してもよい。加えて、弱化部分115は、好ましくは、展開中に径方向ストラップ114が裂けることを可能にするように、垂直線に延びる。前述したように、好ましい実施形態では、別の同一又は類似の弱化部分が、径方向ストラップ114とは反対側の径方向ストラップに沿って延びてもよい。いくつかの実施形態では、そのような弱化部分は、アセンブリ100の様々な径方向ストラップのそれぞれに沿って配置されてもよい。
【0043】
図6は、
図6の矢印によって示されるように展開中に破断して、エアバッグクッションが破断部を通って展開することを可能にするように構成された座部130及び弱化部分135を示す、アセンブリ100の平面図である。この場合もやはり、断裂シームが図に示されているが、所望により、交差断裂シーム、スタンプされた領域などの、他の弱化部分が提供されてもよい。
【0044】
図7は、圧縮ラッパー110を使用して以前は包まれていたエアバッグクッション(図示せず)の展開後の圧縮ラッパー110を示す。この図に示されるように、様々な(図示の実施形態では3つの)弱化領域のそれぞれは、破断されていて、ラッパー110が更なる力で膨張するクッションを解放し、所望であれば、図に示されるように、平坦になることを可能にする。
【0045】
図8は、いくつかの実施形態に係る、圧縮ラッパーを形成するために使用することができる材料ブランク800を示す。ブランク800は、4つのアーム、すなわち、それぞれが圧縮ラッパーの垂直ストラップを形成することができるアーム822、824、826、及び828を備える。これらのアーム822~828のそれぞれは、前述のように、圧縮ラッパーの座部を形成することができる基部から延びる。平行スリットを含む断裂シーム835は、この基部の対向する角部の間に延びる。
【0046】
アーム822~828のそれぞれは、最初にそのそれぞれのアームに対して垂直に延びてアームに平行に延びるタブを形成するL字型部材を備える。各タブは、隣接するアーム(しかし、そのタブが延びるアームではない)と結合されるように構成されている。したがって、タブ862は、アーム822と重なり合い縫われる、又は別の方法で結合されるように構成され、タブ864は、アーム824と重なり合い縫われる、又は別の方法で結合されるように構成され、タブ866は、アーム826と重なり合い縫われる、又は別の方法で結合されるように構成され、タブ868は、アーム828と重なり合い縫われる、又は別の方法で結合されるように構成されている。図から明らかなように、各タブを対応するアーム822~828と完全に位置合わせして、三次元ラッパーを形成するために、それぞれの対応するタブ862~868を90度だけ回転させる必要がある。
【0047】
組み立てを容易にするために、孔が設けられてもよい。したがって、各タブ862~868上に示される孔821の対のそれぞれは、重なり合う層が適切に位置合わせされることを確実にするために、アーム822~828上の対応する一対の孔それぞれと位置合わせされてもよい。また、これらの孔821の一方又は両方を使用して、前述のように、結果として得られる圧縮ラッパーのスタッド又は他の締結具への結合を容易にしてもよい。
【0048】
それぞれの対応するアームから垂直に(又は少なくとも実質的に垂直に)延びる各L字型部材の部分は、結果として得られる圧縮ラッパーの様々な径方向ストラップを形成する。前述したように、これらの径方向ストラップのうちの1つ以上は、展開中の圧縮ラッパーの所望の断裂を容易にする弱化部分を備えてもよい。したがって、図示の実施形態では、断裂シーム815は、アーム824から延びるL字型部材の部分に沿って配置され、別の断裂シーム815は、アーム828から延びるL字型部材の部分に沿って配置されている。したがって、結果として得られる圧縮ラッパーは、前述のように、両側で破断するように構成されている。
【0049】
前述の明細書は、様々な実施形態及び実装形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、様々な動作工程、並びに動作工程を実行するための構成要素は、特定の用途に応じて、又はシステムの動作に関連付けられた任意の数の費用関数を考慮して、様々な方法で実装されてもよい。したがって、工程のうちの任意の1つ以上は、削除、修正、又は他の工程と組み合わせることができる。更に、本開示は、限定的な意味ではなく例示的なものと見なされるべきであり、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、様々な実施形態に関して、利益、他の利点、及び問題に対する解決策が上述されてきた。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、若しくは解決策を生じさせる、又はより顕著にさせることができる任意の要素(単数又は複数)は、重要な、必要な、若しくは必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0050】
当業者は、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に多くの変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。